説明

第III族金属窒化物とその製造方法

基質に付着させた第III族金属窒化材料膜を形成する方法が得られる。この方法には、基質に0.01 Pa以下の周囲圧力をかける手順と、基質を加熱して約500°Cないし800°Cの温度にする手順とが含まれる方法。本法は、第III族金属蒸気を基準圧(0.01 Pa以上)で基質表面に送り込み、複数の第III族金属粒を表面に形成させる手順と、活性窒素を0.05 Paないし2.5 Paの使用圧力で基質に送り込み、第III族金属粒上に第III族金属窒化物分子を形成させる手順とをさらに含む。本法は、使用圧力および活性窒素を維持し、第III族金属窒化物分子を第III族金属粒に拡散させ、窒化物/金属液滴を形成させる手順と、窒化物/金属液滴を基質上のぬれ層に変える手順と、ぬれ層の第III族金属窒化物分子を持続的に濃縮させ、ぬれ層に含まれるすべての第III族金属原子を消耗させ、ぬれ層を第III族金属窒化物膜に変える手順も含む。開示された方法の別の態様によると、ぬれ層が比較的薄い場合、濃縮手順のあいだに第III族金属窒化物分子がぬれ層に拡散し、それによって粘性が増大し、ぬれ層が固形の非晶質第III族金属窒化物膜へと変化する。開示された方法のさらに別の態様によると、ぬれ層が比較的厚い場合、濃縮手順のあいだにぬれ層の表面に結晶シード膜が形成され、シード膜から活性窒素が拡散し、ぬれ層で第III族金属と反応することでシード膜がさらに肥厚化し、ぬれ層が結晶質第III族金属窒化物膜へと変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された方法は、概して第II族金属窒化物と、具体的には第III族金属窒化物膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非晶質材料は固形であり、規則正しく内部構造が繰り返される結晶質材料とは反対に、原子は長距離秩序を呈さず、互いに不規則に結合する。非晶質材料の実施例は、融解した粘性の高いケイ酸を冷却したときに形成される一般的な窓ガラスであり、規則正しい結晶格子は形成されない。ガラスが非晶質状態になると、透過性等、さまざまな有用な光学的特性を持つようになる。さまざまな異物および不純物があると、非晶質材料の最終特性に重大な影響を及ぼす可能性がある(色、透過性、融点等)。
【0003】
周期表の第III族金属(アルミニウム、ガリウム、インジウム等)を用いて、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)等の窒化物を生成することができる。第III族金属は、さまざまなエネルギーギャップ(隣接する2つの許容帯の間)を有する半導体で、例えば、InNは0.7 eVの微小ギャップ、GaNは3.4 eVの中間ギャップは、AlNは6.2 eVの幅広ギャップを有する。固形の第III族金属窒化物は規則正しい結晶構造を有しているため、有利な化学的および物理的特性が得られ、第III族金属窒化物から製造された電子装置は、高温、高電力、高周波数という条件にて動作する。第III族金属窒化物から製造された電子装置は、UV領域からIR領域までのスペクトルの波長を有する電磁放射線を放射または吸収可能であり、特に発光ダイオード(LED)、すなわち固体ライト等を作製するのに適している。
【0004】
さまざまな技術的用途で使用できるように、第III族金属窒化物結晶は自立型のウエハまたは薄膜の形状をしており、導電体性、半導体性、または誘電体性の任意のプラットフォームに結合される。その他の使用目的のため、第III族金属窒化物は、自立型のバルク結晶の形状をすることも可能である。工業用途には、大型(実質的に25 mm以上等)の第III族金属窒化物結晶が必要である。しかし、欠陥密度が低い大型の結晶を製造することは困難である。
【0005】
第III族金属窒化物結晶は天然では存在せず、当業者に既知の方法を用いて、薄膜として結晶基質上に人工的に生産される。第III族金属窒化物のうち窒化ガリウムはヘテロエピタクシーを用いて生産可能であり、ヘテロエピタクシャルテンプレートとして使用する基質は、例えばGaN層を被着させた単一のサファイア(Al)結晶ウエハでもよい。代替方法として、炭化ケイ素(SiC)ウエハを基質として使用することができる。しかし、基質とGaN層の格子パラメータが異なるため、GaN結晶にはさまざまな結晶欠陥が現れる可能性がある。
【0006】
第III族金属窒化物結晶を成長させる別の既知の方法では、典型的には第III属金属の融解金属を用いる。融解生成物に窒素を供給し、融解生成物内で第III族金属と化学反応させることで、結晶を成長させることができる。そのような方法は費用がかかることが多く、実現可能な結晶の寸法と生産された結晶の質は、典型的には工業用途には不十分である。当業者に既知の方法により製造された第III族金属窒化物結晶には、内部に転位、方位差、空格子点、格子間原子、不純物、粒界等の結晶欠陥が認められるのが一般的である。具体的には、寸法が大きく、欠陥密度が低い(1平方センチメートルあたり欠陥が10個未満)GaN結晶シートを生産するのに上述の方法は用いない。
【0007】
非晶質第III族金属窒化物は特定の有用な光学的特性を有していることから、太陽電池やフルカラーディスプレイ等、さまざまな用途の材料候補となり得る。
【0008】
膜材料の製造技術には薄膜蒸着法(スパッタ蒸着法および化学蒸着法等)、分子線エピタクシー法(MBE)、およびイオン打込み法などがある。薄膜蒸着法とは薄膜を基質上またはあらかじめMBE基質上に被着させた層に蒸着させる方法である。
【0009】
MBEは、粒子ビームを基質表面に向けて緩徐に放射することにより、基質上でエピタキシャルに材料層を成長させる。MBEは、概して、エピタキシャル的に形成させた材料に不純物が混ざらないようにするため、高真空の反応チャンバーを必要とする。MBEのエピタクシー蒸着速度は、他の蒸着法と比べて遅いとされている。
【0010】
スパッタ蒸着法は、薄膜蒸着法の一種である。目標とする固形材料中の原子が、イオン照射により気相へ押し出される。衝撃のたびに原子がさらに失われ、その場合、入射イオン1個あたり押し出される原子数(スパッタ収率等)は、入射イオンのエネルギー、イオンおよび原子の塊、固形物中の原子の結合エネルギー等、複数の要因によって異なる。イオンはプラズマ、通常は希ガス(アルゴン等)のプラズマを用いて作られる。押し出された原子は熱力学的平衡状態を失い、真空槽の表面全体に被着する傾向がある。したがって、真空槽中の基質が枯渇し、目標材料と同一成分を有する薄膜で内部が被覆される。スパッタ蒸着中に気化が起こらないため、目標物は比較的低温に保たれる。反応スパッタ法では、プラズマガスに少量の非希ガス(酸素または窒素等)が含まれていて、目標物にてスパッタ後、材料と反応する。その結果、反応の生成物である酸化物または窒化物等の材料が蒸着される。
【0011】
化学蒸着法(CVD)は薄膜蒸着法の別法で、化学反応により薄膜が形成される。基質表面と反応する混合ガスと基質を接触させて任意の付着物を生成し、基質上で凝縮させる。CVDは、基質を加熱する窯炉またはCVD反応器において、中温ないし高温にて実行する。反応によって望まない副産物も通常生成されるが、これはガスフローにより反応チャンバーから除去される。プラズマを用いて、化学反応速度を促進することもできる。有機金属化学蒸着法(MOCVD)は、反応物として有機金属化合物が生じる。
【0012】
イオン打込み法とは、第2の目標材料中に第1材料のイオンを注入する方法である。イオンが静電気的に加速され高エネルギー化し、基質表面等、目標材料に衝突する。衝突する材料の量(ドーズ量)は、イオン電流の経時的な積分である。ドーズ量、エネルギー量、および目標物に適用する温度を調節することにより、非晶質層が形成されるような方法で目標表面の結晶構造を変えることができる。衝突イオンが目標材料内の化学結合を破壊し、組織化されていない、熱力学的平衡を持たない新たな結合が形成されると、目標材料は非晶質性を持つようになる。
【0013】
特許文献1(Yagi)は、非晶質の窒化物第III族ないし第V族化合物半導体とその製造装置および製造工程を対象としている。製造工程では、プラズマ増強MOCVDが用いられている。半導体製造装置は反応器と、第1および第2の活性化‐供給部分と、排気パイプと、ヒーターと、基質ホルダーを含む。基質ホルダーは、真空化が可能な反応器内の基質を保持する。各活性化‐供給部分は一対のガス導入パイプと、反応器に接続される石英パイプと、マイクロ波導波管(または代替方法として高周波コイル)から構成され、活性化を担っている。
【0014】
第V族元素のプラズマ(窒素プラズマ等)は第1活性化‐供給部分で発生し、反応器へ送り込まれる。例えば、Nガスはガス導入パイプから送り込まれ、マイクロ波はマイクロ波発振器によりマイクロ波導波管へ供給される。マイクロ波導波管から石英パイプにマイクロ波が侵入すると、Nガスが活性化される。第1活性化‐供給部分のガス導入パイプから第III族元素(Al、Ga、In等)を含む有機金属化合物が供給される。補助材料(He、Ne、Ar、H、Cl、Fl等)は、第2活性化‐供給部分のガス導入パイプから供給される。補助材料(水素プラズマ等)は第III族元素を含む有機金属化合物の有機官能基と反応し、これを不活化させる。気化した有機金属化合物および補助材料のプラズマを第V族元素のプラズマに添加する。
【0015】
ヒーターで基質を適切な温度(200°Cないし400°C)まで加熱する。第III族元素および第V族元素を含む非晶質材料膜が基質上に形成される。半導体化合物膜は第III族元素および第V族元素を含む。例えば、非晶質材料は、水素化非晶質窒化ガリウムである。非晶質材料は、オプトエレクトロニクス用途の光半導体として適している。
【0016】
特許文献2(Kordesch)は、アルミニウムおよびガリウムを含む非晶質半導体合金とスパッタ蒸着法を用いるその製造方法を対象としている。半導体基質は、反応用スパッタ蒸着チャンバー内の陽極に配置される。スパッタ蒸着チャンバーは、目標陰極上にスパッタの目標物も含む。スパッタ蒸着チャンバーは、高周波発生源および整合回路に連結される。スパッタの目標物は、アルミニウムおよびガリウム(アルミニウムおよびガリウムの両方を用いた単一の統合目標物、アルミニウム部分およびガリウム部分を用いた単一の目標物、またはアルミニウムおよびガリウムによる別個の目標物等)を含む。スパッタの目標物は、インジウムを含むこともある。スパッタ蒸着チャンバーに窒素ガスが送り込まれる。スパッタ蒸着チャンバーが作動し、目標物であるアルミニウムおよびガリウムと窒素との反応を促進する。半導体基質は、成長した合金が非晶質となるように指定された蒸着温度(約77kないし約300k)で維持される。アルミニウムおよびガリウムの相対的な割合を指定し、非晶質合金のバンドギャップを約3eVないし約6eVにする。非晶質合金の化学式は、AlGa1−XNである。非晶質合金に、希土類の発光中心等を注入すると、さまざまなフォトニクス用途に利用できる。
【特許文献1】米国特許第5,976,398号明細書『半導体の製造工程、半導体の製造装置、および非晶質材料』
【特許文献2】米国特許第2002/0100910号明細書『非晶質AI‐Ga‐N合金のバンドギャップ工学』
【発明の概要】
【0017】
開示された方法に従えば、基質に付着させた第III族金属窒化材料膜を形成する方法が得られる。この方法には、基質に0.01 Pa以下の周囲圧力をかける手順と、基質を加熱して約500°Cないし800°Cの温度にする手順とが含まれる。本法は、第III族金属蒸気を基準圧(0.01 Pa以上)で基質表面に送り込み、複数の第III族金属粒を表面に形成させる手順と、活性窒素を0.05 Paないし2.5 Paの使用圧力で基質に送り込み、第III族金属粒上に第III族金属窒化物分子を形成させる手順とをさらに含む。本法は、使用圧力および活性窒素を維持し、第III族金属窒化物分子を第III族金属粒に拡散させ、窒化物/金属液滴を形成させる手順と、窒化物/金属液滴を基質上のぬれ層に変える手順と、ぬれ層の第III族金属窒化物分子を持続的に濃縮させ、ぬれ層に含まれるすべての第III族金属原子を消耗させ、ぬれ層を第III族金属窒化物膜に変える手順も含む。
【0018】
開示された方法によると、ぬれ層が比較的薄い場合、濃縮手順のあいだに第III族金属窒化物分子がぬれ層に拡散し、それによって粘性が増大し、ぬれ層が固形の非晶質第III族金属窒化物膜へと変化する。
【0019】
ぬれ層が比較的厚い場合、濃縮手順のあいだにぬれ層の表面に結晶シード膜が形成され、シード膜から活性窒素が拡散し、ぬれ層で第III族金属と反応することでシード膜がさらに肥厚化し、ぬれ層が結晶質第III族金属窒化物膜へと変化する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
開示された方法は、以下の詳細な説明と図によってより完全に理解される。
【図1】開示された方法の実施形態に従って作成され、作動するガリウム窒化物材料生成システムの概略図。
【図2A】開示された方法の別の実施形態に従い、基質上にガリウム粒が形成される段階にある図1のシステムの基質の概略図。
【図2B】ガリウム粒上にGaN分子が形成される、さらに進んだ段階にある図2Aの基質の概略図。
【図2C】GaN分子がガリウム粒に拡散し、GaN/Ga液滴が形成される、さらに進んだ段階にある図2Bの基質の概略図。
【図2D】GaN/Ga液滴がぬれ層へと変化する、さらに進んだ段階にある図2Cの基質の概略図。
【図2E】ぬれ層がGaN結晶質層または非晶質GaN層へと変化する、さらに進んだ段階にある図2Dの基質の概略図。
【図2F】ぬれ層上に結晶シード膜が形成される、さらに進んだ段階にある図2Dの基質の概略図。
【図2G】結晶シード膜が基質の方向に肥厚化する、さらに進んだ段階にある図2Fの基質の概略図。
【図3】開示された方法のさらに進んだ実施形態に従って機能する、ガリウム窒化物生成方法の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
開示された方法は、結晶質または非晶質の第III族金属窒化物の薄膜とその製造方法を提供することにより先行技術の欠点を克服する。開示された方法に従い、基質上で成長させたGa粒と活性窒素を接触させることによりGaN/Ga溶液のぬれ層を形成させる。ぬれ層と、ぬれ層表面でガリウム原子と反応する活性窒素をさらに接触させ、GaN分子を形成させる。ぬれ層の厚さに応じて、さまざまな種類の膜が形成される(非晶質膜または結晶質膜等)。
【0022】
比較的薄いぬれ層の場合(最大約50nm)、GaN分子が溶液の大部分に拡散し、粘性を増大させる。最終的には、反応時にすべてのガリウム原子を使い切るため、ぬれ層が固形の非晶質GaN層へと変化する。
【0023】
比較的厚いぬれ層の場合(約500nmないし1μm)、ぬれ層の厚さに応じて温度または濃度の勾配が構成され、ぬれ層表面に結晶シード膜が形成される。シード膜から活性窒素が拡散し、基礎をなすぬれ層で液体ガリウムと反応し、結晶質膜をさらに肥厚化させる。結晶質膜は、ぬれ層表面からぬれ層を通って基質表面方向に成長する。結晶質膜は、ミクロンレベルの溶液表面から任意の固形基質方向に成長し、溶液を枯渇させる。ぬれ層から結晶質膜が成長すると、基質に自然に付着し、結晶質膜を基質にさらに結合させる必要がなくなる。
【0024】
開示された方法により、結晶質膜は結晶質のミスマッチおよび固形基質の欠陥の影響を受けなくなり、シード膜を形成するのに適切な温度を指定することにより結晶質膜の結晶の微細構造を改良し、特定の役割を割り当てることができる。結晶質膜の厚さはミクロンレベルであるため、固体型薄膜技術を利用して結晶質膜を使用し、その上にデバイスを構築する。また、結晶質膜は任意の廉価な固形基質を用いて支持するため、結晶質層には実質的にはサイズ制限がほとんどない。
【0025】
開示された方法の実施形態に従って作成され、作動するガリウム窒化物生成システム(概して参照番号100)の概略図である図1を参照する。システム100は、基質102と、ヒーター106と、ガリウム蒸気発生源104と、窒素プラズマ発生源107と、窒素ガス供給源110と、窒素プラズマ供給源108と、真空槽112と、真空ポンプ114とを含む。
【0026】
真空ポンプ114は、真空パイプ111を介して真空槽112に連結される。基質102は、真空槽112内に被着する。基質102は、例えばケイ素ウエハである。ガリウム蒸気発生源104は真空槽112内の基質102下面の反対側に配列され、ガリウム蒸気116がガリウム蒸気発生源104から基質102下面方向に向かうよう放出される。ヒーター106は基質102上面に連結される。図1に示したシステム100の配置によると、基質102下面は活性表面であり、基質102上面は非活性表面である。
【0027】
窒素ガス供給源110は、窒素プラズマ発生源108に連結される。例えば、窒素ガス供給源110は窒素ガス(N)シリンダーであり、パイプを介して窒素プラズマ発生源108に連結される。パイプは、窒素プラズマ発生源内の窒素ガスの圧を調節するリークバルブ115を含む。圧力計117は、窒素プラズマ発生源108と連結され、その圧をモニタリングする。
【0028】
窒素プラズマ供給源108は、真空槽112の基質102の活性表面の近位にある一面に配置される。窒素プラズマ発生源107は、窒素プラズマ供給源108周辺に配置される。窒素プラズマ発生源107は、例えば100kHz変圧器タイプのプラズマトロンである。窒素プラズマ供給源108は、シャッター119を介して真空槽112の反応器領域(基質102を配置する場所等)に活性窒素(NまたはN等)を送り込む。
【0029】
窒素ガス供給源110は、純粋な窒素ガス120を真空槽112内部に送り込む。リークバルブ115および圧力計117を用いて、窒素ガス120の圧を約5パスカル(Pa)に設定する。100 kHz変圧器タイプのプラズマトンを使用する場合、窒素プラズマ供給源108は100kHzで動作し、窒素ガス120を着火させて活性窒素118を生成する。シャッター119を開放すると、活性窒素118が膨張し、基質102の活性表面と接触する。
【0030】
開示された方法の説明は結晶質層または非晶質ガリウム窒化物(GaN)材料の生成に関するものであるが、結晶質層または窒化インジウム(InN)あるいは窒化アルミニウム(AlN)等、その他の第III族金属窒化物から作成される非晶質材料の生成にも同様に適用できる点に注目する。したがって、以下の説明によりガリウムはインジウムまたはアルミニウムと置き換えられるため、開示された方法は、必要に応じて改変すれば、ガリウムではなくインジウムまたはアルミニウムを使用する場合にも同様に適用可能である。
【0031】
ここでは、図2A、2B、2C、2D、2E、2F、および2Gを参照する。図2Aは、開示された方法の別の実施形態に従い、基質上にガリウム粒が形成される段階にある図1のシステムの基質の概略図である。図2Bは、ガリウム粒上にGaN分子が形成される、さらに進んだ段階にある図2Aの基質の概略図である。図2Cは、GaN分子がガリウム粒に拡散し、GaN/Ga液滴が形成される、さらに進んだ段階にある図2Bの基質の概略図である。図2Dは、GaN/Ga液滴がぬれ層へと変化する、さらに進んだ段階にある図2Cの基質の概略図である。図2Eは、ぬれ層が固形の非晶質GaN層へと変化する、さらに進んだ段階にある図2Dの基質の概略図である。図2Fは、ぬれ層上に結晶シード膜が形成される、さらに進んだ段階にある図2Dの基質の概略図である。図2Gは、結晶シード膜が基質の方向に肥厚化する、さらに進んだ段階にある図2Fの基質の概略図である。
【0032】
図2Aによると、ヒーター106はガリウムの融点を超える温度まで、例えば約500°Cないし800°Cまで基質102を加熱する。ガリウムではなくインジウムを使用する場合、要求される温度は約250°C低くなるが、アルミニウムを使用する場合、要求される温度は500°Cよりやや高くなることに留意する。
【0033】
ガリウム蒸気発生源104(図なし)は、基質102の活性表面に向かってガリウム蒸気116を放出する。真空ポンプ114を用いて、真空槽内部の基準圧を0.01 Pa以上に設定する。ガリウム蒸気116が基質102の活性表面に到達すると、凝縮してガリウム液滴122Aになる。ガリウム液滴122Aは、ガリウム原子を含む。ガリウム粒122Aは実質的に球形を維持する傾向または基質102の組成に基づいて容易に拡散する傾向を示し、ガリウム粒122Aの表面張力との反発または引力の相互作用を決定づける。ガリウム粒122Aの正確なサイズおよび量は、表面張力のほか、真空槽112(図1)内の圧、基質102の温度、およびガリウム蒸気116の蒸気圧によって異なる。
【0034】
ガリウム粒122Aが均一に凝縮すると、各ガリウム粒122Aがその他のガリウム粒122Aと実質的に同じサイズになり、その他のガリウム粒122Aと実質的に同じ距離を保つことができる。代替方法として、ガリウム粒122Aが不均一に凝縮し、各ガリウム粒122Aがその他のガリウム粒122Aと異なるサイズになり、さまざまな距離をとるようにすることもできる。ガリウム粒122A間のサイズおよび距離の均一性は、基質102の活性表面の均一性および異物ならびに欠陥の存在に依存する。したがって、基質102の活性表面をあらかじめ処理して表面から異物を取り除き、ガリウム粒122Aが均一に凝縮できるようにする。例えば、基質102の活性表面は、活性窒素を適用するあるいは基質102を加熱して十分高温(850°C等)にする、あるいはその両方によりあらかじめ処理することができる。
【0035】
図2Bによると、ガリウム粒122Aが凝縮すると、窒素プラズマ発生源108が基質102の活性表面に向かって活性窒素118を放出する。活性窒素118がガリウム粒122Bのガリウム原子と反応すると、ガリウム粒122Bの外殻にGaN分子124が形成される。GaN分子124は、化学反応Ga+N→GaNにより生成される。GaN分子124は、化学反応nGa+nN→(GaN)に基づき、各ガリウム粒122Bの外殻上の単一の分子または分子群を含む。
【0036】
図2Cによると、ガリウム粒122Bの外殻にGaN分子124が生成されると、GaN分子124は拡散を開始し、ガリウム粒122B内部の液体ガリウムに侵入する。ガリウム粒122B内部の液体が徐々にGaN/Ga溶液(液体Ga中に溶解されたGaN等)に変わり、ガリウム粒122BがGaN/Ga液滴122Cへと変化する。結晶化の条件は、臨界飽和度(CS)とも呼ばれる。ホモ核形成を用いる場合は高値のCSが必要であるが、ヘテロ核形成を用いる場合は低値のCSが必要となる。本明細書で使用する「ホモ核形成」とは、液体表面(液相と気相の間の界面等)に結晶粒が形成されることを示す。本明細書で使用する「ヘテロ核形成」とは、固形基質表面(固相と液相の間の界面等)に結晶粒が形成されることを示す。したがって、GaNの核形成は、Ga中のGaNの局所濃度に基づいて、GaN/Ga液滴122Cの表面またはGaN/Ga液滴122Cの界面のいずれかで開始する。
【0037】
ぬれは、液体材料と固形表面との接触と関連のある物理現象である。液体の表面張力が高い場合は液滴(ガリウム液滴122Aとほぼ同じ)が形成され、表面張力が低い液体は広域に拡散する。ぬれは、界面エネルギーの極小化の結果である。液体が基質表面になじみ、厚さ‐面積比が最小になると、液体はぬれ液体とされる。基質の表面になじまず、液滴を形成する液体は、非ぬれ液体とされる。
【0038】
基質に対する液体のぬれ特性は、その化学的性質に依存する。液体の化学的性質が変化すると、基質に対するぬれ特性も変化することがある。一方、ガリウムはシリコン基質に対し非ぬれ性とされているため、シリコン基質上に粒が形成される。一方、特定の濃度を有するGaN/Ga溶液は、シリコン基質に対しぬれ性とされている。
【0039】
図2Dによると、GaN/Ga液滴122C中のGaN/Gaの相対濃度が増大すると、GaN/Ga液滴122Cの表面張力が低下する。GaN/Ga溶液は基質102に対しぬれ性であるため、GaN/Ga液滴122Cは最終的に拡散し、均一なぬれ層122Dへと変化して基質102の表面全体を被覆する。GaN/Ga液滴122Cがぬれ層122Dへ変化すると、GaN/Ga液滴122Cの厚さ‐面積比が大幅に減少する。ぬれ層の形成速度は、液滴のサイズで決まる。粒が比較的小さい場合、短時間で要求される濃度に到達し、拡散する。粒が比較的大きい場合、要求される濃度に到達して拡散するまで時間がかかる。基質102上に大きな粒と小さな粒が一緒に形成された場合、小さな粒は活性窒素118が初めて送り込まれるとほぼ同時に拡散し、大きな粒は拡散しないままとなる。活性窒素とさらに接触させると、小さな粒により形成されたぬれ層が凝固し始め、最終的に非晶質層へと変化する。大きな粒は拡散を始めるだけである。望まれない最終結果は、大きな粒が既存の非晶質層に拡散することである。したがって、GaN/Ga液滴122Cのサイズが実質的に均一であることは重要である。具体的には、GaN/Ga液滴122Cの径の差は、係数2を超えてはならない。これは、基質102の種類を適切に選別し、基質102の清浄度、基質102の温度、ガリウム蒸気116の導入速度、および真空圧を適切に指定することで可能になる。図1のシステム100が基質102上に形成されるぬれ層の厚さを測定する計器(図なし)をさらに含むことに留意する。
【0040】
図2Eによると、窒素プラズマ発生源108(図1)は、ぬれ層122Dに向かって活性窒素118を持続的に放出する。ぬれ層122Dが比較的薄い場合(約50nm)、非晶質層が形成される。活性窒素118がぬれ層122D表面のガリウム原子と反応すると、新しいGaN分子が形成される(反応式:Ga+N→GaN等より)。GaN分子がGaN/Ga溶液の大部分に拡散し、粘度を増大させる。反応がすすむにつれてガリウム原子が徐々に消耗され、より大量のGaN分子が生成され、溶液の粘性がさらに増大する。十分な時間をおくと、すべてのガリウムが枯渇し、ぬれ層122Dが固体様の形状を有する高粘度の膜へ変化する。これが非晶質層122Eとなる。この段階で、基質102の温度を約200°Cないし600°Cにすると、非晶質層122Eが形成されることに留意する。ぬれ層122Eは比較的薄いため、内部の温度が均一になり、そこで生じる化学的工程も均一になる。
【0041】
開示された方法の別の実施形態では、活性窒素を追加で送り込んでガリウム原子と反応させるのではなく、窒化後、ぬれ層を長時間持続的に加熱することにより非晶質GaN層を形成させ、溶液中に残るガリウム原子を蒸発させる。
【0042】
開示された方法により、厚さが約50 nm(単一層等)の非晶質窒化ガリウムを製造できることが実験で確認されている。
【0043】
図2Fおよび2Gによると、窒素プラズマ発生源108(図1)は、ぬれ層122Dに向かって活性窒素を持続的に放出する。ぬれ層122Dが厚い場合(約500nmないし1μm)、結晶質膜が形成される。この段階で、基質102の温度を約900°Cにすることに留意する。ぬれ層122Fが比較的厚いため、その厚さに応じて温度勾配(基質102表面に近い高温等)および濃度勾配(基質102表面に近い低濃度のGaN/Ga)が形成される。ぬれ層の温度勾配および濃度勾配の結果として、ぬれ層122Fの上面にGaN結晶シード膜123が形成される。ぬれ層の液体表面上でGaN結晶質層123が自然に結晶化するため、基質102に存在する転位またはGaN結晶質層122と基質102(さまざまな材料から構成される)間の格子パラメータの差から生じるミスフィット転位等、基質102の欠陥が実質的には存在しない状態で結晶化する傾向を示す。
【0044】
窒素プラズマ118の窒素原子125がシード膜123から拡散し、基礎をなすぬれ層122F内のガリウム原子と結合する。したがって、ぬれ層122Fに複数の新しいGaN分子が形成され、それによりシード膜123がぬれ層122F方向に肥厚化する。窒素プラズマ118は維持されるため、シード膜123がぬれ層122Fに向かってさらに成長し、結晶質膜127へと変化する(図2G)。ぬれ層122Fの液体内容物全体が完全に結晶化し(シード膜123により溶液が枯渇する等)、厚さがぬれ層とほぼ同じであるGaN結晶質膜が形成されるまでこれが持続する。ぬれ層122Fの溶液が枯渇すると、形成されたGaN結晶質膜127が基質102の活性表面に到達し、自然に付着する。このような方法で、開示された方法は基質に自然に付着するGaN結晶質膜の生成が可能になるため、結晶を基質にさらに結合させる必要がなくなる。
【0045】
GaN膜(非晶質または結晶質を枯渇させる)が形成される前に、ガリウムをさらに追加することでぬれ層を肥厚化させることができる。肥厚段階時もしくは窒化段階(活性窒素とガリウムを反応させて窒化ガリウムを生成する)前にぬれ層に注入すると、ドープ剤含有GaN膜が形成される。実施例は、pタイプのマグネシウムドーピングした第III族金属窒化物である。
【0046】
新たな層は結晶質または非晶質のGaN膜の上面に形成され、前回形成された層が後続の層の基質の役割を果たす。例えば、一連の薄い層が連続的に形成され、それにより厚い層が生成される。薄い層の場合、さまざまな第III族金属窒化物(AlN‐GaN‐AlN等)が交互にくることもある。GaN結晶の結晶質層も、非晶質層上で成長させることができる。非晶質層は、さまざまな結晶相の熱変形用の優れたバッファーとなることに留意する。
【0047】
さまざまな第III族金属窒化物の隣接する非晶質層を焼鈍することにより、ガリウムとアルミニウムの両方を含む層等、第III族金属窒化物合金が形成される(式:AlGaN等)。交互になった層により量子井戸が形成され、さまざまな焼鈍/冷却方法により量子ドットおよび微結晶が形成されることに留意する。
【0048】
活性窒素118の濃度は、飽和度を超える、例えば結晶化が生じるのに必要な濃度の2倍(500°Cの温度等)となる必要があることに留意する。さらに、活性窒素は、十分な時間適用されなければならない。実験が進むにつれて、120秒という期間で非晶質GaNが形成され、90秒または75秒という短時間でぬれ層の上面にGaN結晶層が形成される(冷却により結晶が成長する場合等)。結晶化は、非飽和溶液が冷却可能な場合に生じる。
【0049】
次に、開示された方法のさらに進んだ実施形態に従って作動する、ガリウム窒化物生成方法の概略図である図3を参照する。手順152では、0.01 Pa以下の周囲圧力をかける。図1を参照して、真空槽112内部に基質102を配置する。真空ポンプ114を用いて真空槽112内部の気体を排出することで、真空槽112内部の圧を0.01 Pa以下にする。
【0050】
手順154では、あらかじめ基質を処理し、既存の異物を取り除く。手順154は任意であり、また、図3に示した方法により手順152から手順156へ直接進む場合があることに留意する。図1を参照して、あらかじめ基質102を処理し、考えられる異物を処分する。異物は、加熱またはその他の方法を用いて除去できる。
【0051】
手順156では、約500°Cないし800°Cまで基質を加熱する。図2Aによると、ヒーター106はガリウムの融点を超える温度まで、例えば約500°Cないし800°Cまで基質102を加熱する。非晶質材料であるGaN層を生成する場合、ヒーター106にて約500°Cまで基質102を加熱する。GaN結晶層を生成する場合、ヒーター106にて約800°Cまで基質102を加熱する。
【0052】
手順158では、0.01 Pa以上の基準圧でガリウム蒸気を基質表面に送り込み、基質表面にガリウム粒を形成させる。基準圧が高くなるほど望まれない酸素が含まれるため、この圧がガリウム粒形成に適している。図1および2Aによると、ガリウム蒸気発生源104が、基質102の活性表面に向かってガリウム蒸気116を放出すると、基質102上にガリウム液滴122Aが形成される。真空ポンプ114を用いて、真空槽112内部に0.01 Pa以上の圧をかける。ガリウム蒸気は基準圧0.01 Pa以上で送り込まれるが、高めの圧が採用される場合もある(希ガスまたは純粋な窒素の添加等により)ことが示唆される。
【0053】
手順160では、約0.05 Paないし約2.5 Paから選択した大気圧以下の圧で、活性窒素が基質表面に送り込まれると、ガリウム粒上にGaN分子が形成される。この大気圧以下の圧は、「使用圧力」とも呼ばれる。窒素プラズマをガリウム粒に送り込むと、ガリウム粒の外殻上で活性窒素がガリウム原子と反応し、結果的にガリウム粒上にGaN分子が形成される。手順160のあいだ、ガリウム蒸気116が持続的に放出されることに留意する。図1および2Bによると、窒素ガス供給源110は窒素プラズマ発生源108に向かって純粋な窒素ガス120を放出する。窒素プラズマ発生源108により純粋な窒素ガス120を着火させて、活性窒素118(NまたはN’)を生成する。窒素プラズマ供給源108は、基質102の活性表面に向かって活性窒素プラズマ118を放出する。ガリウム粒122Bの外殻上で活性窒素118がガリウム原子と反応し、結果的にガリウム粒122B上にGaN分子124が形成される。
【0054】
手順162では、基質周辺の使用圧力および定方向の活性窒素流を維持すると、GaN分子がガリウム粒に拡散してGaN/Ga液滴が形成される、あるいはGaN/Ga液滴が基質上でぬれ層へと変化する。手順162のあいだ、ガリウム蒸気116が持続的に放出されることに留意する。図1、2C、および2Dによると、活性窒素118を基質102の活性表面に向けて放出し続けると、GaN分子124がガリウム粒122B内部の液体ガリウムに拡散し始め、最終的にGaN/Ga液滴122Cが形成される。基質102周辺の使用圧力を維持する。活性窒素118を維持すると、GaN/Ga液滴122Cの表面張力が低下する。GaN/Ga液滴122Cが均一のぬれ層122Dに変わり、基質102の活性表面を被覆する。
【0055】
手順164では、ぬれ層中のGaN濃度を持続的に増大させると、すべてのガリウムが枯渇し、ぬれ層がGaN結晶質層または非晶質GaN層へと変化する。定方向の活性窒素流を維持することにより、ぬれ層中のGaN濃度が増大し、活性窒素とぬれ層表面のガリウム原子が反応可能になる。代替方法として、GaN濃度の増大は、基質を加熱して残存するガリウム原子を蒸発させることで実現できる。ぬれ層の厚さに応じて、さまざまな種類の膜が形成される(非晶質膜または結晶質膜等)。164Aの処理では、ぬれ層が比較的薄い(50 nm等)場合、GaN分子がぬれ層に拡散し、その粘性が増大し、ぬれ層が固形の非晶質GaN膜へと変化する。164Bの処理では、ぬれ層が比較的厚い(500 nm)場合、ぬれ層の表面に結晶シード膜が形成され、シード膜から活性窒素が拡散し、ぬれ層のガリウムと反応し、ぬれ層が結晶質GaN膜へと変化する。
【0056】
図1および2Eによると、活性窒素118はぬれ層122Dに向けて放出し続ける。ぬれ層122D表面のガリウム原子と活性窒素118が反応し、新しいGaN分子を形成する。この原子が溶液の大部分に拡散し、粘性を増大させる。最終的には、すべてのガリウムが枯渇し、ぬれ層122Dが固形のGaN非晶質層122Eへと変化する。
【0057】
図1、2F、2Gによると、窒素プラズマ発生源108は、ぬれ層122Dに向かって活性窒素118を持続的に放出する。ぬれ層の温度勾配および濃度勾配の結果として、ぬれ層122Fの上面にGaN結晶シード膜123が形成される。窒素プラズマ118の窒素原子125がシード膜123から拡散し、基礎をなすぬれ層122F内のガリウム原子と結合する。したがって、ぬれ層122Fに複数の新たなGaN分子が形成され、それによりシード膜123がぬれ層122F方向に肥厚化する。窒素プラズマ118は維持されるため、シード膜123がぬれ層122Fに向かってさらに成長し、結晶質膜127へと変化する。ぬれ層122Fの液体内容物全体が完全に結晶化するまでこれが持続する。
【0058】
手順166では、手順156、158、160、162、164が恒久的に繰り返され、既存のGaN層が基質として使用され、その上に新たな層が形成される。例えば、一連の薄い結晶質または非晶質の層が連続的に形成され、厚い結晶質または非晶質のGaN層が生成される。代替方法として、GaN層は非晶質層上で成長させることができる。既存の層上に新たな層が成長する前に既存の層を完全に冷却してから再加熱することに留意する。さらなる代替方法として、隣接する非晶質層を焼鈍することにより、第III族金属窒化物合金が形成される。
【0059】
開示された方法は、具体的に示した図やその説明に限定されないことを当業者は理解する。開示された方法の目的は、以下の請求項によってのみ定義される。
【符号の説明】
【0060】
100システム
102基質
104ガリウム蒸気発生源
106ヒーター
107窒素プラズマ発生源
108窒素プラズマ供給源
110窒素ガス供給源
111真空パイプ
112真空槽
114真空ポンプ
115リークバルブ
116ガリウム蒸気
117圧力計
118活性窒素
119シャッター
120窒素ガス
122Aガリウム液滴
122Bガリウム粒
122C GaN/Ga液滴
122Dぬれ層
122E非晶質層
122Fぬれ層
123シード膜
124GaN分子
125窒素原子
127結晶質膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基質に付着させた第III族金属窒化物膜を形成する方法、すなわち
前記基質に0.01 Pa以下の周囲圧力をかける手順と、
前記基質を加熱して約500°Cないし800°Cの温度にする方法と、
第III族金属蒸気を0.01 Pa以上の基準圧で前記基質表面に送り込み、複数の第III族金属粒を前記表面に形成させる手順と、
活性窒素を0.05 Paないし2.5 Paの使用圧力で前記表面に送り込み、前記第III族金属粒上に第III族金属窒化物分子を形成させる手順と、
前記使用圧力および前記活性窒素を維持し、前記第III族金属窒化物分子を前記第III族金属粒に拡散させ、窒化物/金属液滴を形成させる、もしくは前記窒化物/金属液滴を前記基質上のぬれ層に変える手順と、
前記ぬれ層の第III族金属窒化物分子を持続的に濃縮させ、前記ぬれ層に含まれるすべての第III族金属原子を消耗させ、前記ぬれ層を第III族金属窒化物膜に変える手順を含む、方法。
【請求項2】
前記ぬれ層が比較的薄い場合、濃縮手順のあいだに第III族金属窒化物分子が前記ぬれ層に拡散し、それによって粘性が増大し、前記ぬれ層が固形の非晶質第III族金属窒化物膜へと変化する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ぬれ層の厚さが約50nmである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記濃縮手順時に、前記基質の温度を約200°Cないし600°Cにする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記基質の前記温度が約200°Cの場合、前記固形の非晶質第III族金属窒化物膜が純粋な非晶質材料である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記基質の前記温度が約600°Cの場合、前記非晶質第III族金属窒化物膜がその内部にナノ構造を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ぬれ層が比較的厚い場合、前記濃縮手順のあいだに前記ぬれ層の前記表面に結晶シード膜が形成され、前記シード膜から前記活性窒素が拡散し、前記ぬれ層で第III族金属と反応し、前記ぬれ層が結晶質第III族金属窒化物膜へと変化する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ぬれ層の前記厚さが約500nmである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記濃縮手順時の前記基質の温度が約900°Cである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記活性窒素を維持することにより、前記ぬれ層中の前記第III族金属窒化物分子濃度が持続的に増大し、前記ぬれ層に含まれる前記全第III族金属原子を枯渇させる手順が可能になる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ぬれ層をさらに加熱することにより、前記ぬれ層中の第III族金属窒化物分子濃度が持続的に増大し、前記ぬれ層に残存する前記全第III族金属原子を蒸発させる前記手順が可能になる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第III族金属が、アルミニウム、ガリウム、およびインジウムからなる一覧から選択される1種類以上の元素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
あらかじめ前記基質を処理し、前記基質から異物を取り除く手順をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ぬれ層にドープ剤を添加してから、前記手順により前記ぬれ層中の第III族金属窒化物分子濃度を持続的に増大させる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第III族金属窒化物層を基質として使用して、前記第III族金属窒化物層上に新たな層が形成される前記手順をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記新たな層が第III族金属窒化物結晶質層である、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−534605(P2010−534605A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550772(P2009−550772)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000229
【国際公開番号】WO2008/102358
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(509235279)
【Fターム(参考)】