説明

第Xa因子阻害剤としての(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}

(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}薬剤組成物、方法および哺乳動物における、異常な血栓形成によって特徴付けられる疾患を治療するための化合物またはそれらの薬剤組成物の使用方法。(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}の結晶形態もまた記載される。式(I):
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第Xa因子阻害剤の鏡像異性体、その鏡像異性体を含む薬剤組成物および哺乳動物における異常な血栓形成によって特徴付けられる疾患を治療する治療薬としてのそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全世界において、虚血性心疾患および脳血管疾患は、主要な死亡原因である。血管内での異常な凝固および不適切な血栓形成は、多くの急性の循環器疾患を引き起こす。
【0003】
トロンビンは、凝固カスケードにおいて鍵酵素または主要な調節酵素とみなすことができる;これは通常の止血において正または負両方のフィードバックレギュレータとして多数の役割を果たす。しかし、いくつかの病状において、正のフィードバック調節は、トロンビン生成に必要な補因子の触媒活性化により広がる。このような補因子としては、第Xa因子、凝固カスケードにおいて極めて重要な位置を占めるセリンプロテアーゼが挙げられる。
【0004】
血管内での異常な凝固および不適切な血栓形成は、心筋梗塞症、心筋虚血、心房性細動に関連する発作、深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症、脳虚血または梗塞症、末梢動脈障害、再狭窄、アテローム性動脈硬化症および血栓塞栓症のような多くの循環器疾患を引き起こす。さらに、血栓形成は、癌、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および敗血症のような非循環器疾患と関連している。現在のところ、いくつかのこれらの状態は、抗血栓症薬を用いて治療されている。しかし、これらの薬剤の多くは、出血から身を守るために、患者の厳しい監視を必要とする。近年、第Xa因子阻害剤が持続した抗血栓症保護を提供し得ることがわかってきた。動物実験において、第Xa因子への短時間の暴露が持続した抗血栓症効果を提供する。第Xa因子の阻害は、潜在的に抗血栓効果と出血傾向との間の大きな治療域を生じることをデータは示す。その結果として、現在の入手可能な薬物と異なり、出血に対する患者の感受性を同時に増加させることなく第Xa因子阻害が達成される範囲が存在し得る。
【0005】
敗血症は急性炎症の複合性拡張(complex extension)であり、そして凝固および炎症の進行性の拡大連鎖に関与している。この疾患の進行において、凝固系の深い関与が、抗血栓剤を含む治療につながる。しかし、現在入手可能な抗血栓剤は疾患の適切な治療を提供しない。
【0006】
悪性腫瘍と血栓形成との間の関連は周知である。新規知見は、第Xa因子が血栓形成および止血におけるその役割とは独立して、腫瘍転移において役割を果たすことを示している。
【0007】
新規知見は、第Xa因子がタンパク質分解活性受容体(PAR)を介して、多くの細胞応答作用に影響し得ることを示している。慢性閉塞性肺疾患COPDにおいて、PARは間接的に役割を果たすことを示している。
【0008】
臨床的な冠動脈疾患を既往していない2型糖尿病患者は、心筋梗塞症の既往がある非糖尿病被験体と同様に冠状動脈性心臓病により瀕死の状態となる可能性を有する。心血管系の危険因子(高血圧症、脂質異常症、高インスリン血症、高血糖症、肥満が挙げられる)ならびにフィブリノゲン過剰血症およびプラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1の増大したレベルのような止血危険因子のクラスタリングは、糖尿病における心血管系の増大した危険の一因となる。これらの危険因子が組み合わさることで、致命的な血栓状態をもたらし、この状態は第Xa因子阻害剤を用いる治療により効果的に低減し得る。
【0009】
従って、第Xa因子のタンパク質分解活性を調節するなお効果的な薬剤が依然として必要とされていることは明白である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}およびそれらの薬剤組成物を包含する。本発明はまた、哺乳動物における異常な血栓形成により特徴付けられる疾患を治療するための本発明の化合物の使用方法に関する。本発明は、さらに(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミドの結晶形態に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキシ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}の式を以下に示す。
【化1】

【0012】
本発明の1つの実施形態は、(R)鏡像異性体が実質的に純粋である化合物(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}である。
【0013】
本発明の別の実施形態は、薬学的に受容可能な担体、添加剤または賦形剤および(R)鏡像異性体が実質的に純粋である(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}を含む薬剤組成物である。
【0014】
本発明の別の実施形態は、血栓性疾患または塞栓性疾患の治療が必要な患者における血栓性疾患または塞栓性疾患の治療方法であり、治療有効量の(R)鏡像異性体が実質的に純粋である(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}を投与することを包含する。
【0015】
本発明の別の実施形態は、転移性疾患(metastatic disorder)の治療が必要な患者の生存期間を延長するための、転移性疾患を有する患者の治療方法であり、治療有効量の(R)鏡像異性体が実質的に純粋である(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}を投与することを包含する。
【0016】
本発明の別の実施形態は、敗血症の治療が必要な患者における敗血症の治療方法であり、治療有効量の(R)鏡像異性体が実質的に純粋である(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}を投与することを包含する。
【0017】
本発明の別の実施形態は、(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}の結晶形態A(形態A)である。形態Aは、計算粉末X線回折(計算PXRD)パターン(図4)により特徴付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】時間関数に対するラセミ化合物のキラルクロマトグラフィーからの溶出パターンである。
【図2】キラル分離後の時間関数に対する(R)鏡像異性体の溶出パターンである。
【図3】時間関数に対するキラル合成(R)鏡像異性体のキラルクロマトグラフィーからの溶出パターンである。
【図4】形態Aの計算PXRDの回折図形(diffractogram)である。
【図5】形態Aの実験PXRDの回折図形である。
【図6】形態Aの計算PXRDおよび実験PXRDのオーバーレイ回折図形である。
【0019】
定義
患者は、ヒトさらに他の哺乳動物を含む。
【0020】
治療は、治療および/または予防的治療を含む。
【0021】
予防的治療とは、治療が必要な患者における血栓性疾患のリスクを予防または緩和するための治療を意味する。
【0022】
治療とは、治療が必要な患者における既存の障害の治療を意味する。
【0023】
患者は治療または予防的治療を必要とし得る。当業者は、治療において、いつ本発明の化合物を投与すべきか、そして血栓性疾患を有する患者を本発明の化合物を用いてどのように治療すべきか承知である。
【0024】
「DVT」とは深部静脈血栓症を意味する。PEとは肺塞栓症を意味する。VTEとは静脈血栓塞栓症を意味する。
【0025】
「一次性DVT」とは、DVTの既往歴のない患者において生じるDVTを意味する。
【0026】
「二次性VTE」とは、DVTまたはPEの既往歴のある患者におけるDVTまたはPEの再発、またはDVTの既往歴のある患者におけるPEの発生を意味する。
【0027】
「実質的に純粋」とは、(R)鏡像異性体が(S)鏡像異性体よりも多く存在する5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}の調製のことをいう。
【0028】
用語「(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}」および「(R)鏡像異性体」は同じ意味で用いられる。
【0029】
用語「(S)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}」および「(S)鏡像異性体」は同じ意味で用いられる。
【0030】
動脈塞栓症としては、肺塞栓症、心筋梗塞症および脳梗塞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
静脈塞栓症としては、深部静脈血栓症および腹腔内静脈血栓症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
用語「添加剤」とは、本発明の化合物以外の任意の成分を記載するために本明細書中で使用される。添加剤の選択は、特定の投与様式に大きく依存する。
【0033】
用語「多形体」および「結晶多形」および「結晶形態」は本明細書中で同じ意味で用いられる。
【0034】
用語「多形相」および「多形体」は本明細書中で同じ意味で用いられる。
【0035】
「形態A」、「形態A多形体」、「結晶形態A」および「(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}の形態A多形体」は同じ意味であり、そして本明細書中で同じ意味で用いられる。
【0036】
(1,2−ピロリジンジカルボキシアミド,(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}に適用される場合、用語「結晶形態」、「多形相」または「多形体」とは、(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}の1分子が、X線照射を受けた場合、特徴のある回折ピークを生じる区別できる結晶格子を形成するように配置された固体形成をいう。
【0037】
PXRDと関連して用いられ、本明細書中で使用される場合、用語「パターン」および「回折図形」は同じ意味を有する。
【0038】
「計算PXRD」および「予測PXRD」とは同じ意味であり、そして本明細書中で同じ意味で用いられる。
【0039】
実験PXRDおよび粉末PXRDとは同じ意味であり、そして本明細書中で同じ意味で用いられる。
【0040】
化合物は異なる物理的形状で存在してもよい。例えば、本化合物は、固体、液体またはガスとして存在してもよい。固体形体は、非晶質であっても、または特異的な結晶形態として存在してもよい。異なる結晶形態は、しばしば異なる物理的性質(すなわち、バイオアベイラビリティー、溶解度、融点など)を有する。
【0041】
これらの異なる結晶形態を多形体と呼ぶ。多形体の構造を決定する方法の1つは、単結晶X線解析である。この解析において、化合物の結晶状態をいくつかの結晶学的パラメータにより記載し、このパラメータとしては、単位格子寸法、空間群およびその単位格子の基点と比較した化合物における全ての原子の原子配置が挙げられる。単結晶X線解析のより詳細な議論は、International Tables for X−ray Crystallography,Vol.IV,pp.55,99,149 Birmingham:Kynoch Press,1974,G.M.Sheldrick,SHELXTL.User Manual,Nicolet Instrument Co.,1981およびCrystal Structure Analysis by Glusker,and Trueblood,第2編;Oxford University press:New York,1985に見出され得る。
【0042】
単結晶X線解析は、1つの結晶がX線ビーム中に配置される場合である。単結晶の構造の決定において生じるデータにより、当業者は粉末X線回折パターン(計算PXRD)を計算することが可能である。通常、単結晶実験は単位格子寸法、空間群および原子配置を決定するので、この換算は可能である。これらのパラメータは、特定の多形体についての粉末パターンを計算する基礎を提供する。
【0043】
多形体の構造を決定するための別の方法は、粉末X線回折(PXRD)である。PXRD解析は、結晶群からの結晶学的データの収集に関連する。PXRD解析を行うために、結晶質の粉末試料をホルダーに置き、次いで回折計に配置する。X線ビームを始めにホルダーの平面に対して小角度で試料に当て、次いで入射ビームとホルダーの平面との間の角度を連続して増加させ、弧を移動させる。反射される放射線の強度を記録する。これらのデータをPXRDパターンとしてグラフ形状で表すことができる。
【0044】
このような粉末X線解析に関連する測定差は、以下に挙げられる様々な因子に起因する:(a)試料調製の誤差(例えば、試料の高さ)、(b)機器誤差(例えば、平面試料の誤差)、(c)較正誤差、(d)操作誤差(ピーク位置を決定する場合に起こる誤差を含む)、(e)物質の性質(例えば、好ましい方向性および透明度の誤差)、(f)化合物ロット間差および(g)機械の種類。較正誤差および試料の高さの誤差、ロット間変動および機械の種類の差は、しばしば、同方向における全ピークのシフトをもたらす。これらのシフトは、X線回折図形から同定することができ、そしてシフトを補正する(すべてのピーク位置値に系統的補正係数を適用する)または機器を再較正することにより無視することができる。一般に、この補正係数は、0〜0.2度2θの範囲である。
【0045】
本発明の1つの実施形態は、(R)鏡像異性体が実質的に純粋であり、好ましくは(R)鏡像異性体対(S)鏡像異性体の比が4:1、より好ましくは17:3、より好ましくは9:1、より好ましくは19:1、最も好ましくは99:1より大きい化合物(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}である。
【0046】
本発明の1つの実施形態は、薬学的に受容可能な担体、添加剤または賦形剤および(R)鏡像異性体が実質的に純粋であり、好ましくは(R)鏡像異性体対(S)鏡像異性体の比が4:1、より好ましくは17:3、より好ましくは9:1、より好ましくは19:1、最も好ましくは99:1より大きい(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}を含む薬剤組成物である。
【0047】
本発明の別の実施形態は、血栓性疾患または塞栓性疾患の治療が必要な患者における血栓性疾患または塞栓性疾患の治療方法(予防的治療および治療を含む)であり、治療有効量の(R)鏡像異性体が実質的に純粋であり、好ましくは(R)鏡像異性体対(S)鏡像異性体の比が4:1、より好ましくは17:3、より好ましくは9:1、より好ましくは19:1、そして最も好ましくは99:1より大きい(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}を投与することを包含する。血栓性疾患または塞栓性疾患としては、一次性もしくは二次性静脈血栓症、動脈血栓症、静脈塞栓症、動脈塞栓症、肺塞栓症、肺高血圧症、静脈狭窄症、静脈再狭窄、動脈狭窄症、動脈再狭窄、心房性細動、発作、狭心症、糖尿病、癌、心不全、または外傷性傷害、外科処置もしくは内科的疾患による固定が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本発明の別の実施形態は、転移性疾患の治療が必要な患者の生存期間を延長するための、転移性疾患を有する患者の治療方法であって、治療有効量の(R)鏡像異性体が実質的に純粋であり、好ましくは(R)鏡像異性体対(S)鏡像異性体の比が4:1、より好ましくは17:3、より好ましくは9:1、より好ましくは19:1、最も好ましくは99:1より大きい(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}を投与することを包含する。
【0049】
本発明の別の実施形態は、敗血症の治療が必要な患者における敗血症の治療方法であって、治療有効量の(R)鏡像異性体が実質的に純粋であり、好ましくは(R)鏡像異性体対(S)鏡像異性体の比が4:1、より好ましくは17:3、より好ましくは9:1、より好ましくは19:1、最も好ましくは99:1より大きい(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}を投与することを包含する。
【0050】
本発明の別の実施形態は、哺乳動物における血栓性疾患を治療または予防的治療する医薬を製造する医薬を製造するための、好ましくは(R)鏡像異性体対(S)鏡像異性体の比が4:1、より好ましくは17:3、より好ましくは9:1、より好ましくは19:1、最も好ましくは99:1より大きい、実質的に純粋な(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミドの使用である。
【0051】
本発明の別の実施形態は、(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]の製造方法であり、以下:
工程(a)
(1)溶媒および塩基の存在下、式11:
【化2】

の化合物をメタクリロイル(methacryoyl)クロリドと反応させるか;または
(2)式11の化合物を塩化リチウム、トリエチルアミンおよび2−メチルアクリル酸無水物と反応させ;
式12:
【化3】

の化合物を得;
【0052】
工程(b)
式12の化合物をトリメチルシリルジアゾメタンと反応させ、希酸で処理し、そして単離して、式13:
【化4】

の化合物を得;
【0053】
工程(c)
溶媒中、式13の化合物をイソシアネートおよび中程度の塩基で処理し、式14:
【化5】

の化合物を得;
【0054】
工程(d)
キラル補助基を除去し、式15:
【化6】

の化合物を得;そして
【0055】
工程(e)
式15の化合物を式3:
【化7】

の化合物とカップリングさせ、所望の化合物を得ることを包含する。
【0056】
本発明の別の実施形態は、(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}の結晶形態Aである。形態Aは、粉末X線回折(PXRD)パターンにより特徴付けられる(表4)。
【0057】
本発明の他の実施形態としては、以下が挙げられるが、これに限定されない:5.4、7.2、9.4、10.9、15.6、19.6、21.7または23.3度2θで少なくとも1つのピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形態;
19.6および21.7でピークを有し、そして7.2、9.4、10.9、15.6または23.3度2θで1つまたはそれ以上のさらなるピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形態;
10.9、19.6および21.7でピークを有し、そして7.2、9.4、15.6または23.3度2θで1つまたはそれ以上のさらなるピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形態。
【0058】
活性測定
ヒト第Xa因子触媒活性の阻害剤として作用する化合物の能力を、発色性基質S2765(N−CBz−D−Arg−L−Gly−L−Arg−p−ニトロアニリド.2HCl)を切断するヒト第Xa因子の50%能力(IC50)で阻害する試験化合物の濃度を測定することによって評価することができる。
【0059】
製剤
薬物成分
本発明の化合物は、完全な非晶質から完全な結晶の範囲での固体状態の連続体で存在し得る。本発明の化合物はまた、非溶媒和形体および溶媒和形体で存在し得る。用語「溶媒和」は、本発明の化合物および1種またはそれ以上の薬学的に受容可能な溶媒分子(例えば、エタノール)を含む分子複合体を記載するために、本明細書中で使用される。用語「水和物」は、前記溶媒が水である場合に使用される。本発明の化合物はまた、適した条件に曝された場合、中間状態(中間相または液晶)で存在し得る。詳しくは、N.H.Hartshorne and A.StuartによるCrystals and the Polarizing Microscope第4編(Edward Arnold,1970)を参照のこと。
【0060】
個々の鏡像異性体を製造/単離するための従来技術としては、適した光学的に純粋な前駆体からのキラル合成または例えば、キラル相を用いるクロマトグラフィー(擬似移動床(SMB)、キラル高速液体クロマトグラフィーが挙げられるが、これらに限定されない)を使用するラセミ体の分割(resolution);適したキラル酸または塩基を用いるジアステレオマー塩の形成および結晶化による鏡像異性(enatiomeric)富化が挙げられる。
【0061】
製剤
本発明の化合物を送達するのに適した薬剤組成物およびそれらの製造方法は、当業者には容易に明らかである。このような組成物およびそれらの製造方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19編(Mack Publishing Company、1995)に見出され得る。本発明の化合物は、任意の適した経路により投与され得る。化合物および組成物は、例えば、経口、経腸、非経口または局所的に投与され得る。本発明の化合物を、即時および/または調節放出するように製剤し得る。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、拍動放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出が含まれる。
【0062】
経口投与
本発明の化合物は、経口投与され得る。経口投与には、化合物を胃腸管に入れるような嚥下、および/または化合物を口から直接血流に入れる口腔内投与、舌もしくは舌下投与が含まれ得る。
【0063】
経口投与に適した製剤としては、例えば、錠剤のような固体、半固体および液体系;マルチ粒子もしくはナノ粒子、液体または粉末を含む軟または硬カプセル剤;トローチ剤(液体充填を含む);チュアブル錠(chews);ゲル剤;急速分散投与形態;フィルム剤;スプレー剤;およびバッカル剤/粘膜接着貼付剤が挙げられる。
【0064】
液体製剤としては、懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。このような製剤は、軟または硬カプセル剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製)中の充填物として使用でき、そして典型的には、担体、例えば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適切な油ならびに1種またはそれ以上の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤はまた、例えば、サシェから固体を再調製することにより調製し得る。
【0065】
本発明の化合物はまた、Liang and ChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981〜986(2001)に記載されている投与形態のような速溶性、速崩壊性の投与形態で使用し得る。
【0066】
錠剤投与形態のために、用量に応じて、薬物は、投与形態の1質量%〜80質量%、より典型的には投与形態の5質量%〜60質量%を構成し得る。薬物に加えて、錠剤は、一般に、崩壊剤を含む。崩壊剤の例としては、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶セルロース、低アルキル置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、α化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが挙げられる。一般に、崩壊剤は、投与形態の1質量%〜25質量%、好ましくは5質量%〜20質量%を構成する。
【0067】
一般に、結合剤は、錠剤製剤に粘着性を付与するのに使用される。適した結合剤としては、微結晶セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。錠剤はまた、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶セルロース、デンプンおよび二塩基性リン酸カルシウム二水和物のような賦形剤を含み得る。
【0068】
錠剤はまた、場合によって、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80のような界面活性剤ならびに二酸化ケイ素およびタルクなどの流動促進剤を含み得る。存在する場合、界面活性剤は、錠剤の0.2質量%〜5質量%を構成し得、そして流動促進剤は、錠剤の0.2質量%〜1質量%を構成し得る。
【0069】
一般に、錠剤はまた、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウムならびにステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物のような滑沢剤を含む。滑沢剤は、一般に、錠剤の0.25質量%〜10質量%、好ましくは0.5質量%〜3質量%を構成する。
【0070】
他の可能な成分としては、例えば、抗酸化剤、着色剤、着香剤、保存剤および味マスキング剤が挙げられ得る。
【0071】
例示的な錠剤は、約80%までの薬物、約10質量%〜約90質量%の結合剤、約0質量%〜約85質量%の賦形剤、約2質量%〜約10質量%の崩壊剤および約0.25質量%〜約10質量%の滑沢剤を含む。
【0072】
錠剤ブレンドを、直接またはローラーにより圧縮して、錠剤を成形し得る。代替的には、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部を湿潤−、乾燥−もしくは溶融−顆粒化するか、溶融凝固させるか、または押し出して、その後打錠する。最終製剤は、1つまたはそれ以上の層を含んでもよく、そして被覆されていても、被覆されていなくてもよい;これをさらに、カプセル封入してもよい。錠剤の製剤は、H.Lieberman and L.LachmanによるPharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1(Marcel Dekker,New York、1980)で議論されている。
【0073】
ヒトまたは家畜に使用するための消耗性経口フィルムは、典型的には、柔軟な水溶性または水膨潤性薄膜投与形態であり、これは、迅速に溶解するか、粘膜接着性であり得、そして典型的には、本発明の化合物、膜形成ポリマー、結合剤、溶媒、湿潤剤、可塑剤、安定剤または乳化剤、粘度調節剤および溶媒を含む。製剤のいくつかの成分が、2以上の機能を果たし得る。フィルム形成ポリマーは、天然多糖類、タンパク質または合成親水コロイドから選択され得、そして典型的には、0.01〜99質量%の範囲、より典型的には、30〜80質量%の範囲で存在する。他の可能な成分としては、抗酸化剤、着色剤、着香剤およびフレーバーエンハンサー(flavour enhancer)、保存剤、唾液刺激剤、冷却剤、共溶媒(油を含む)、皮膚軟化剤、増量剤、消泡剤、界面活性剤および味マスキング剤が挙げられる。
【0074】
非経口投与
本発明の化合物はまた、血流中、筋肉中または内部器官に直接投与され得る。非経口投与に適した手段としては、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、尿道内、胸骨内(intrasternal)、頭蓋内、筋肉内、滑液嚢内および皮下が挙げられる。非経口投与に適したデバイスとしては、例えば、針(極微針を含む)注射器、針なし注射器、注入技術およびステントが挙げられる。
【0075】
非経口製剤は、典型的には、塩、炭水化物および緩衝剤(好ましくはpH3から9)のような添加剤を含み得る水溶液であるが、いくつかの用途のために、より適切には、滅菌非水溶液として、または滅菌した発熱物質不含水のような適したビヒクルと共に使用される乾燥形態として製剤され得る。
【0076】
本発明の化合物を、懸濁剤として、または本発明の化合物の調節放出をもたらす移植デポーとして投与するための固体、半固体またはチキソトロピー液として製剤し得る。このような製剤の例としては、薬物被覆ステントおよび半固体ならびに薬物充填ポリ(dl−乳酸−コグリコール)酸(PGLA)微小球を含む懸濁液が挙げられる。
【0077】
局所投与
本発明の化合物はまた、皮膚または粘膜に局所、皮膚(皮内)または経皮投与され得る。この目的ための典型的な製剤としては、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散布剤、包帯剤、フォーム剤、フィルム剤、皮膚パッチ、ウェハー、インプラント、スポンジ、繊維、帯具およびマイクロエマルションが挙げられる。リポソームもまた使用され得る。典型的な担体としては、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。浸透促進剤を導入してもよい−例えば、Finnin and MorganによるJ Pharm Sci、88(10)、955〜958(October 1999)を参照のこと。
【0078】
吸入/鼻腔内投与
本発明の化合物はまた、鼻腔内または吸入により、典型的には乾燥粉末吸入器からの乾燥粉末の形態で(単独で、混合物として、例えば、ラクトースとの乾燥ブレンドで、または例えば、ホスファチジルコリンのようなリン脂質と混合した混合成分粒子として)、1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンのような適した高圧ガスを使用するか、または使用しない、加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器(好ましくは霧状ミストを生じさせるために電磁流体力学を使用する噴霧器)またはネブライザからのエアロゾルスプレーとして、または点鼻液として投与することができる。鼻腔内使用について、粉末は、生体接着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含み得る。
【0079】
投与量
本発明の化合物を、1日当たり0.1〜2,000mgの範囲の投与量レベルで患者に投与し得る。別の実施形態において、本発明の化合物を、1日当たり0.01〜300mgの範囲で患者に投与する。別の実施形態において、本発明の化合物を、1日当たり0.01〜150mgの範囲の投与量レベルで患者に投与する。別の実施形態において、本発明の化合物を、1日当たり0.1〜100mg、1日当たり0.1〜50mg、1日当たり0.1〜25mg、1日当たり0.01〜10mgの範囲の投与量レベルで患者に投与する。使用される具体的な投与量は変動することができる。例えば、投与量は、多数の因子(患者の要求、治療される状態を含む)に依存し得る。個々の患者に対する最適な投与量の決定は、当業者に周知されている。
【0080】
同時投与
本発明の化合物を、種々の状態または病状の治療において、単独または他の治療薬と組み合わせて投与し得る。本発明の化合物および他の治療薬を同時に(同じ剤形または別々の剤形のいずれかで)または連続して投与し得る。2種またはそれ以上の化合物の「組み合わせ」投与とは、一方の存在が他方の生物的効果を変更させるのに厳密に十分な期間内に、2種の化合物を投与することを意味する。2種またはそれ以上の化合物を、同時に、併用してまたは連続して投与し得る。さらに、投与前に化合物を混合することにより、または同じ時点であるが、異なる解剖学的部位に化合物を投与するか、または異なる投薬経路を使用することにより、同時投与し得る。語句「併用投与」、「共同投与(co−administration)」、「同時投与(simultaneous administration)」および「同時に投与した」とは、 化合物を組み合わせて投与することを意味する。
【0081】
1つの実施形態において、本発明の化合物を経口抗血小板薬と同時投与し得、経口抗血小板薬としては、ジピリダモール、シロスタゾールおよびアナグレリド塩酸塩(anegrilide hydrochloride)が挙げられるが、これらに限定されない。なお別の実施形態において、本発明の化合物をアスピリンと同時投与し得る。
【0082】
別の実施形態において、本発明の化合物を糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤と同時投与し得、糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤としては、アブシキシマブ、エプチフィバチドおよびチロフィバンが挙げられるが、これらに限定されない。なお別の実施形態において、本発明の化合物をエプチフィバチドと同時投与し得る。別の実施形態において、本発明の化合物を血小板凝集を治療するのに有用な治験化合物と同時投与し得、この治験化合物としては、BAY 59−7939、YM−60828、M−55532、M−55190、JTV−803およびDX−9065aが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
本発明の実施形態を説明または記載するが、これらの実施形態は本発明の全ての可能な実施形態を説明および記載しているわけではない。どちらかといえば、本明細書中で使用される語は、限定よりもむしろ説明の語であり、そして本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の変更がなされ得ることが理解される。
【0084】
一般的な合成スキーム
Bigge et al.に対する米国特許出願番号US2003/0162787は、5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}の合成についての一般的な合成スキームを開示する。
【0085】
本明細書中で使用される出発物質は、市販されているか、または当該分野で公知の定法(COMPENDIUM OF ORGANIC SYNTHETIC METHODS,Vol.I−VI(Wiley−Interscienceにより発行)のような標準参考書に開示される方法のようなもの)により製造し得る。本発明の化合物を、一般的な合成スキームに説明される方法および以下に詳述される実験手順を使用して製造し得る。一般的な合成スキームは説明する目的のために示され、限定するものではない。
【0086】
(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}の製造方法の1つをスキームAに示す。
スキームA
【化8】

【0087】
1−H−ピリジン−2−オン(1)を、DMFのような溶媒中、2−フルオロ−4−ブロモアニリンおよび炭酸カリウムのような塩基、およびCuIと混合し、1−(4−アミノ−3−フルオロ−フェニル)−1H−ピリジン−2−オン(3)を得る。テトラヒドロフランまたは酢酸エチルのような溶媒中、0℃〜室温の温度で、メタクリロイル(methacryoyl)(4)クロリドおよび塩基(例えば、飽和含水重炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム)を添加することにより、アニリン(3)をアクリルアミド(5)に変換する。クロロホルム、塩化メチレンまたは酢酸エチル(ethylacetetate)のような溶媒中、トリメチルシリルジアゾメタンをアクリルアミド(5)に添加する。トリフルオロ酢酸、酢酸またはフッ化水素酸のような酸を添加した後、ピラゾリン(6)を単離する。次いで、トリエチルアミンのようなアミン塩基の存在下、クロロホルムのような溶媒中、ピラゾリンをイソシアネート(7)と反応させ、必要な化合物のラセミ混合物(8)を得る。次いで、例えば、Chiralpak ASカラム(R)上、アセトニトリル/メタノール中でのクロマトグラフィーにより鏡像異性体の混合物を分離し、(R)鏡像異性体(9)および(S)鏡像異性体(10)を得る。
【0088】
スキームB
(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}のキラル合成をスキームBに示す。
【化9】

【0089】
トルエンのような適した溶媒中の(1S)−(−)−2,10−カンファースルタム(11)の溶液に、水素化ナトリウムを添加し、そして混合物を撹拌した。メタクリロイル(Methacryoyl)クロリドを反応混合物に直接添加し、次いで生成物(12)を酢酸エチルで抽出することによって単離する。あるいは、Ho,Guo−Jie;Mathre,David J.Lithium−Initiated Imide Formation.A Simple Method for N−Acylation of 2−Oxazolidinones and Bornane−2,10−Sultam.Journal of Organic Chemistry(1995),60(7),2271−3に記載されるのと同様の方法で、−20℃〜室温で、スルタムのTHF溶液を塩化リチウム、トリエチルアミンおよび2−メチルアクリル酸無水物と混合し、次いで濾過し、所望の付加物(12)を得る。Mish,Michael R.;Guerra,Francisco M.;Carreira,Erick M.Asymmetric Dipolar Cycloadditions of Me3SiCHN2.Synthesis of a Novel Class of Amino Acids:Azaprolines.Journal of the AmericanChemical Society(1997),119(35),8379−8380に記載のと同様の方法で、このメタクリロイルスルタム付加物(12)をトリメチルシリルジアゾメタン に添加し、そして混合物を数日間撹拌する。トリフルオロ酢酸 またはフッ化水素酸のような希酸での処理する際、ピラゾリン(13)をクロマトグラフィーにより単離する。イソシアネート、および含水重炭酸塩のような中程度の塩基で処理し、そして塩化メチレンのような適した溶媒中で撹拌する際、尿素付加物(14)を単離する。水酸化リチウムのような塩基水溶液で加水分解することにより、キラル補助基を除去し、(15)を形成する。次いで、ピリジンと塩化チオニルのような脱水条件下でカルボン酸をアニリン(3)とカップリングさせ、必要なアミド(9)を得る。
【0090】
第Xa因子阻害活性
鏡像異性体の合成および分離に従って、各鏡像異性体を実施例3に記載されるように、そのIC50にいついてアッセイし、結果を以下の表1に示す。
【表1】

【0091】
単結晶X線解析
加熱/冷却により、ニトロメタン溶液から(R)鏡像異性体の単結晶を成長させ、X線構造測定に適した単結晶を得た。典型的な結晶を調べ、そして周囲温度でAPEX(Bruker−AXS)回折計を使用してデータを収集した。SHELXTLソフトウェアパッケージにより、全ての結晶学的計算を容易にした。結晶構造を解明し、そして単斜晶空間群、P21に精密化した。立体中心をフラックパラメータから決定した。フラックパラメータは、−0.0134(この構造について)vs.0.81(逆構造について)であった。精密化した構造は、最終R−指数5.45%を有するデータと十分適合し、そして最終差フーリエにおいて観察される電子密度は欠けているところがないか、または間違ってはいない。結晶構造からの非対称ユニットにより、分子構造および(R)鏡像異性体のキラリティーを確認する。
【0092】
表2〜8は単結晶X線解析から得られたデータを提供する。
【0093】
表2は、結晶構造および精密化についての一般的な情報を要約する。
【0094】
表3は、(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}についての原子座標(104)および同等の等方性置換パラメータ(Å2×103)を提供する。U(eq)は、直交化Uijテンソルのトレースの3分の1として定義する。
【0095】
表4は、結合長[Å]および角度[°]を提供する。
【0096】
表5は、異方性置換パラメータ(Å2×103)を提供する。異方性置換因子の指数は、式:−2π2[h2*211+…+2hka**12]をとる。
【0097】
表6は、水素座標(×104)および等方性置換パラメータ(Å2×103)を提供する。
【0098】
表7は、ねじれ角度[°]を提供する。
【0099】
表8は、水素結合[Åおよび°]を示す。
【0100】
このデータを使用して、計算粒子パターンを生成した。Accelrys Software(2004)によるMS Modelingソフトウェアパッケージバージョン4.0.0.0により、図4に示される回折図形を生成した。この試料が多形体の代表的なものであることの証拠として、この計算された粉末パターンをバルク材の以前のロットと比較した。
【0101】
実験PXRD
試料をバイアルから取り出し、そしてアルミニウムホルダー中のゼロバックグラウンド(zero−background)シリコン上に押し付けた。試料幅は5mm。試料を室温で保管し、そして走行させた。データ収集の間、垂直軸の周り、40rpmで試料を回転させた。40 kVおよび40mAで作動するCuKα放射線を用いるRigaku(Tokyo,Japan)Ultima−plus回折計で、粉末X線回折(PXRD)データを収集した。NaIシンチレーション検出器により、回折放射を検出した。2θ内で3.00°〜45.00°、1°/分:1.2 秒/0.02°ステップの走査速度で連続θ/2θ結合型走査により試料を走査した。6位置のオートサンプラーを備えたIBMコンパチブルインタフェース、ソフトウェア=Rig Meas v2.0(Rigaku,December 1995)およびExcel(Microsoft Office Excel 2003 Version 11.6355.6360)CuKa放射線(40mA、40kV、λ=1.5419Å)を用いて、データを収集した。0.5°のスリットIおよびII、0.6°のスリットIII。試料を室温で収集した。
【0102】
図5は実験PXRDの回折図形を示す。下部回折図形(defractogram)は計算PXRDに対応し、そして上部回折図形(defractogram)は実験PXRDに対応する実験および計算PXRDパターンのオーバーレイを図6に示す。
【0103】
表9は、計算パターン中で検出された特性ピークを示す。
【0104】
【表2】

【0105】
【表3】

【0106】
【表4】

【0107】
【表5】

【0108】
【表6】

【0109】
【表7】

【0110】
【表8】

【0111】
【表9】

【0112】
【表10】

【0113】
【表11】

【0114】
【表12】

【0115】
【表13】

【0116】
【表14】

【0117】
【表15】

【0118】
【表16】

【0119】
【表17】

【0120】
【表18】

【0121】
【表19】

【0122】
【表20】

【実施例】
【0123】
実施例1
(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}
工程1.1−(4−アミノ−3−フルオロ−フェニル)−1H−ピリジン−2−オン(3)の合成
【化10】

窒素下、機械的撹拌機および還流冷却器を備える3リットルの四つ口フラスコに、ジメチルホルムアミド(1.5L)中4−ブロモ−2−フルオロアニリン(2)(510g、2.684mol)、2−ヒドロキシピリジン(1)(280g、2.949mol)、粉末炭酸カリウム(221g、1.602mol)およびヨウ化銅(I)(25g、0.131mol)の混合物を満たした。混合物を125〜130℃(穏やかな還流)で加熱しながら22時間撹拌した。反応の進行をTLCにより追跡した。真空中で、溶媒(約800mL)を蒸留して除去した。濃厚残留物を室温まで冷却し、そして激しく撹拌しながら15% NH4OH(1L)を添加した。水(1.5L)を添加し、そして得られた懸濁液を10〜15℃(氷浴)で1時間撹拌し、そして濾過した。固体を水(1.5L)で洗浄し、そして吸引下でプレス乾燥させた。さらに真空中、35℃で18時間乾燥させ、生成物(3)(404g、73.8%)を得た。濾液から、さらに生成物を得た。
1H NMR(DMSO)ppm:7.55(d,1H),7.4(t,1H),7.05(2d,1H),6.75−6.9(m,2H),5.35(s,2H)。
【0124】
工程2.N−[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−2−メチル−アクリルアミド(5)の合成
【化11】

手順:10Lの容器にテトラヒドロフラン(3.75L)中の1−(4−アミノ−3−フルオロ−フェニル)−1H−ピリジン−2−オン(3)(363g、1.77mol)の混合物を添加した。機械的に撹拌した混合物を氷−アセトン浴で0℃まで冷却し、そして炭酸カリウム(450g、3.27mol)水溶液(2.25L)を添加した。<10摂氏温度のメタクリロイルクロリド(4)(370g、3.55mol)をストリームで2時間かけて添加した。添加の終わる頃に、ほとんどの固体が溶液に溶けていった。得られた混合物を0℃で3時間撹拌した。この間に、固体が分離した。固体を濾過して除去し、そして吸引下でプレス乾燥させた。濾液を濃厚スラリーになるまで真空中で濃縮した。スラリーを濾過し、そして固体を吸引下でプレス乾燥させた。2つの固体を合わせ、溶液が形成されるまで30℃のジクロロメタン(2.5L)と共に撹拌した。溶液を室温まで冷却し、そしてブライン(1L)と共に激しく撹拌した。相を分離し、そして有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして約1.5Lまで濃縮した。得られた懸濁液を週末にかけて5℃で撹拌し、そして濾過した。固体を冷(5℃)ジクロロメタン(100mL)、次いでジエチルエーテル(250mL)で洗浄し、そして吸引下でプレス乾燥させた。さらに真空中、35℃で18時間乾燥させ、生成物(5)(318g、66%)を得た。濾液からより低い純度のさらなる物質を得た。
1H NMR(DMSO)ppm:9.7(s,1H),7.6−7.65(m,2H),7.4−7.5(m,2H),7.2(2d,1H),6.45(d,1H),6.25(t,1H),5.85(s,1H),5.5(s,1H),1.9(s,3H)。
【0125】
工程3.3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラゾール−3−カルボン酸[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド(6)の合成。
【化12】

手順:窒素下、機械的撹拌機、2000mL均圧管付き滴下ロートおよび温度計を備えた12Lフラスコに、(5)(387g、1.42mol)および塩化メチレン(8.0L)を満たした。20〜21℃の撹拌溶液に、ジエチルエーテル中2M トリメチルシリルジアゾメタン(1000mL、2.0mol、1.4当量)を75分かけて添加した。得られた混合物を21〜22℃で18時間撹拌した。反応混合物のMS分析により、TMS−ピラゾール中間体(M+=386)および(5)の混合物の存在を示した。混合物にジエチルエーテル中2M トリメチルシリルジアゾメタン(423mL、0.846mol、0.6当量)の別のアリコートを30分かけて添加した。21〜22℃で、さらに22時間撹拌し続けた。反応混合物のMS分析により、所望のTMS−ピラゾール中間体(M+=386)および少量の(5)(M+=272)の存在を示した。溶液を0℃まで冷却し、そして添加の間、温度が8℃以下になるように維持しながら、トリフルオロ酢酸(345mL、2.0mol、1.4当量)を1.5時間かけて添加した。溶液を0〜5℃で3時間撹拌した。温度が10℃以下になるように維持しながら、トリエチルアミン(1400mL、1016g、10mol)を1.5時間かけて添加した。得られた混合物を濃厚ガム状になるまで真空中で濃縮した。濃厚な生成混合物を酢酸エチル(2L)中に取り出した。溶液が形成された。溶液に結晶種を入れ(seed)、そして5℃で一晩放置した。得られた懸濁液を−10℃で2時間撹拌した。懸濁液を濾過した。濾過ケーキを冷酢酸エチル(200mL)で洗浄した。濾過ケーキを吸引下でプレス乾燥させた。真空中、35℃でさらに乾燥させ、最初の得量(crop)として生成物(173g、39%)を得た。濾液を水(1×1000mL、1×500mL)で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させた。生成溶液を濾過し、そして乾燥剤を廃棄した。有機相を乾燥状態まで真空中で濃縮した。残りの油状物を酢酸エチル(250mL)中に取り出した。懸濁液を−10℃で2時間撹拌した。懸濁液を濾過した。濾過ケーキを冷酢酸エチル(40mL)で洗浄した。濾過ケーキを吸引下でプレス乾燥させた。濾過ケーキを真空中35℃で乾燥させ、生成物(60.5g、13.5%)を得た。合わせた水洗浄物を塩化メチレン(1×1000mL、1×500mL)で抽出した。合わせた抽出液をMgSO4で乾燥させた。生成溶液を濾過し、そして乾燥剤を廃棄した。有機相を乾燥状態まで真空中で濃縮した。残りの油状物を酢酸エチル(800mL)中に取り出した。懸濁液を−10℃で2時間撹拌した。懸濁液を濾過した。濾過ケーキを冷酢酸エチル(100mL)で洗浄した。濾過ケーキを真空中35℃吸引下でプレス乾燥させ、生成物(6)(125g、28%)を得た。生成物の全量は173+61+125=359g(80%)であった。合わせた生成物のHPLC分析:95%(面積/面積)。
1H NMR(DMSO)ppm:9.65(s,1H),8.05(t,1H),7.65(d,1H),7.45−7.55(m,2H),7.25(d,1H),7.2(s,1H),6.75(s,1H),6.45(d,1H),6.3(t,1H),2.7−2.95(2d,2H),1.35(s,3H).
【0126】
工程4.5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}(8)の合成
【化13】

手順:3−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラゾール−3−カルボン酸[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド(6)(152.5g、0.486mol)、4−クロロフェニルイソシアネート(7)(82.1g、0.535mol)およびテトラヒドロフラン(3.5L)の撹拌混合物に22〜23℃のトリエチルアミン(107.5g、1.06mol)を40分かけて滴下した。得られた混合物を22〜23℃で21時間撹拌した。この間、混合物は濃厚になり、そして溶液は全く形成されなかった。混合物を約2.5Lまで濃縮し、そして残留物を酢酸エチル(500mL)で希釈した。得られた濃厚懸濁液を−10℃で1時間撹拌し、そして濾過した。固体を酢酸エチル(100mL)で洗浄し、吸引下でプレス乾燥させ、そして真空中36℃で7時間さらに乾燥させた。生成物(8)(162g、71%)を得た。
1H NMR(DMSO)ppm:9.8(s,1H),9.2(s,1H),7.6−7.7(m,3H),7.35−7.5(m,2H),7.3(m,2H),7.2(d,1H),7.15(s,1H),6.45(d,1H),6.25(t,1H),3.2(2d,2H),1.6(s,3H)。
【0127】
生成物を、周囲温度でChiralpak AD(250×4.6mm)で分析し、検出器波長は230 nmであり、流速は1.00ml/分であり、そして移動相はメタノールであった。図1は時間関数としての2つの鏡像異性体の溶出パターンを示す。(S)−鏡像異性体の保持時間は10.5分であり、そして(R)−鏡像異性体の保持時間は17.8分であった。
【0128】
工程5.(R)および(S)5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}の分離
【化14】

手順:BiotageカラムをChiralPak AS樹脂で充填した。移動相は80% メタノールおよび20% アセトニトリル(v/v)で構成されていた。ラセミ体供給物(racemic feed)は75% アセトニトリルおよび25% メタノール(v/v)中2.0g/Lの(8)からなり、1.5L/分の流速および約5.0g/注入のロードであった。所望のストリーム−第二の溶出化合物を回収した。ラセミ体(492g)から、(9)(170g)を得、次いで塩化メチレンおよび酢酸エチルで処理した。
【0129】
生成物を、周囲温度でChiralpak AD(250×4.6mm)で分析し、検出器波長は230nmであり、流速は1.00ml/分であり、そして移動相はメタノールであった。分析により、物質が99.8% キラル純度を有することを示した。
1H NMR(DMSO)ppm:9.8(s,1H),9.2(s,1H),7.6−7.7(m,3H),7.35−7.5(m,2H),7.3(m,2H),7.2(d,1H),7.15(s,1H),6.45(d,1H),6.25(t,1H),3.2(2d,2H),1.6(s,3H)。
【0130】
実施例2
(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}
工程1.(3aS,6R,7aR)−1−メタクリロイル−8,8−ジメチルヘキサヒドロ−3a,6−メタノ−2,1−ベンゾイソチアゾール2,2−ジオキシドの合成
【化15】

手順:(1S)−(−)−2,10−カンファースルタム(1.160g,5.388mmole)のトルエン(10ml)溶液に、水素化ナトリウム(オイル中60%、0.323g、8.08mmole)を添加した。1.5時間撹拌し、メタクリロイル(methacryoyl)クロリド(1.126g、10.78mmole)を反応混合物に直接添加した。室温で一晩撹拌し、エバポレートし、酢酸エチルで抽出し、1N HClで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空中でエバポレートし、そしてクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜20% EtOAc)により精製し、所望の化合物(1.240g、81%)を得た。
1H NMR(400 MHz,DMSO−D6)δ ppm 0.90(s,3H),1.08(s,3H),1.23(m 1H),1.42(m,1H),1.78(m,5H),1.81(m,3H),3.26(s,4H),3.56(d,J=14.04Hz,1H),3.77(d,J=14.04Hz,1H),3.91(m,1H),5.48(s,1H),5.60(s,1H)
【0131】
工程2.(3aS,6R,7aR)−8,8−ジメチル−1−{[(5R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−イル]カルボニル}ヘキサヒドロ−3a,6−メタノ−2,1−ベンゾイソチアゾール2,2−ジオキシドの合成
【化16】

手順:(トリメチルシリル)ジアゾメタンのエーテル(2M;20ml)溶液に、固体(3aS,6R,7aR)−1−メタクリロイル−8,8−ジメチルヘキサヒドロ−3a,6−メタノ−2,1−ベンゾイソチアゾール2,2−ジオキシドを添加し、次いで反応混合物を室温で72時間撹拌した。溶液が形成された。溶液を真空中でエバポレートし、そして塩化メチレン(50ml)で希釈し、0℃まで冷却し、次いでトリフルオロ酢酸(1.2ml)を滴下した。混合物を0℃で2時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(200ml)で希釈し、そして飽和NaHCO3(200mL)で洗浄した。有機相をブライン(200mL)で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥させた。有機溶媒を真空中で除去し、そして生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液ヘキサン中10〜100 EtOAc)により精製し、次いでエーテルで処理した。生成物を固体(2.90g、56%収率)として単離した。旋光度=2ml中0.020g;c=0.01g/ml{C=1(CHCl3)};測定結果−0.287;旋光度=−0.287×4000/10=−114.8(Perkin−Elmer 241 Polarimeterを使用する)。
【0132】
【表21】

1H NMR(400 MHz,DMSO−D6)δppm 0.87(m,3H),0.98(s,3H),1.21(m,1H),1.32(s,3H),1.40(m,1H),1.71(m,4H),1.85(dd,J=13.35,7.70Hz,1H),2.54(dd,J=17.16,1.56Hz,1H),3.13(dt,J=17.20,1.34Hz,1H),3.64(d,J=14.04Hz,1H),3.74(d,J=14.04Hz,1H),3.83(dd,J=7.60,4.68Hz,1H),6.62(t,J=1.46Hz,1H),6.78(s,1H)
【0133】
工程3.(5R)−N−(4−クロロフェニル)−5−{[(3aS,6R,7aR)−8,8−ジメチル−2,2−ジオキシドテトラヒドロ−3a,6−メタノ−2,1−ベンゾイソチアゾール−1(4H)−イル]カルボニル}−5−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−カルボキシアミドの合成
【化17】

手順:(3aS,6R,7aR)−8,8−ジメチル−1−{[(5R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−イル]カルボニル}ヘキサヒドロ−3a,6−メタノ−2,1−ベンゾイソチアゾール2,2−ジオキシド(0.510g、1.56mmole)の塩化メチレン(2ml)溶液に、飽和重炭酸ナトリウム(1ml)、次いで4−クロロフェニルイソシアネート(0.530g、3.44mmole)を添加した。混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を塩化メチレン(20mL)で希釈し、次いで濾過し、そして濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(溶出液ヘキサン中5〜100% EtOAc)により精製し、必要な化合物(0.740g)を得た。CH2Cl2/メチルt−ブチルエーテルから固体を結晶化させた。固体を母液からの第二の得量と合わせ、表題化合物(0.540g、72% 収率)を得た。
旋光度=2ml中0.020g;c=0.01g/ml{C=1(CHCl3)};測定結果−0.120;旋光度=−0.120×4000/10=−48.0
【0134】
【表22】

1H NMR(400 MHz,DMSO−D6)δ ppm 0.86(s,3H),1.01(s,3H),1.21(m,1H),1.41(m,1H),1.46(s,3H)1.72(m,3H)1.85(m,2H),2.86(dd,J=17.93,1.75Hz,1H)3.24(dd,J=17.93,1.75Hz,1H),3.61(d,J=14.04Hz,1H),3.70(d,J=14.04Hz,1H),3.87(dd,J=7.02,5.46Hz,1H),5.15(s,1H),6.49(m,1H),7.22(d,J=9.0Hz,2H),7.57(d,J=9.0Hz 2H),9.07(s,1H)
【0135】
工程4:(5R)−1−{[(4−クロロフェニル)アミノ]カルボニル}−5−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボン酸の合成
【化18】

手順:MeOH(1ml)、THF(1ml)、H2O(2ml)中に(5R)−N−(4−クロロフェニル)−5−{[(3aS,6R,7aR)−8,8−ジメチル−2,2−ジオキシドテトラヒドロ−3a,6−メタノ−2,1−ベンゾイソチアゾール−1(4H)−イル]カルボニル}−5−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−カルボキシアミド(0.500g、1.04mmole)を溶解した。固体LiOH.H2O(0.094g、2.24mmole)を添加し、そして室温で3時間撹拌した。水(20ml)で希釈し、次いで1N HClを添加してpH 5に調節した。反応混合物を濾過してスルタムを除去した。水相を凍結乾燥させ、約20%のスルタムの不純物を含むリチウム塩として所望の生成物を得た。
1H NMR(400 MHz,DMSO−D6)δ ppm 1.53(s,3H),2.92(dd,J=18.62,1.66Hz,1H),3.19(dd,J=18.62,1.66Hz,1H),7.02(t,J=1.66Hz,1H)7.25(m,2H)7.62(m,2H)9.10(s,1H)
【0136】
工程5:(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}の合成
【化19】

手順:1.0 M塩化チオニルの乾燥塩化メチレン(0.319mL、0.319mmol)溶液を予め−20℃(氷−NaCl−水−アセトン−ドライアイス)に冷却したDMAP(43.5mg、0.213mmol)の乾燥THF(2mL)溶液に添加した。混合物を5分間撹拌し、次いで(5R)−1−{[(4−クロロフェニル)アミノ]カルボニル}−5−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(0.030g、0.11mmol)のTHF(1mL)溶液を添加した。混合物を20分間撹拌し、そしてアニリン(0.049g、0.24mmol)のTHF(4mL)溶液を添加した。混合物を2時間かけて23℃までゆっくりと温め、次いで23℃で16時間撹拌した。反応混合物を重複して行った反応と合わせた。水(5mL)を添加し、そしてTHFをエバポレートした。残留物をDCM(80mL)と10% HCl(20mL)との間で分配した。相を分離した。水相をDCM(2×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を5% HCl(1×20mL)、0.5N NaOH(1×20mL)およびブライン(1×20mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、そして溶媒を除去した。残留物を以下の条件下でMPLCにより精製した:カラム:RediSep 40g;溶出液:15分間でヘプタン中0% EtOAc〜ヘプタン中100% EtOAc、次いで45分間でEtOAc中0% MeOH〜EtOAc中5% MeOH。TLCにより決定した通り、純粋な画分を合わせ、そして溶媒を除去した。残留物を高真空下で一晩乾燥させた。これにより白色固体(0.079g、合わせた反応物について74%収率)を得た。この化合物のHPLC純度は98.46%であった。ジエチルエーテルで7時間摩砕して、さらに精製した。濾過の際、白色固体(0.059g)を回収した。
【0137】
【表23】

1H NMR(400 MHz,クロロホルム−d)δ ppm 1.88(s,3H)2.89(dd,J=19.20,1.66Hz,1H)4.10(dd,J=19.30,1.75Hz,1H)6.21(td,J=6.73,1.17Hz,1H)6.61(d,J=8.77Hz,1H)6.92(t,J=1.56Hz,1H)7.11(dd,J=8.77,1.36Hz,1H)7.20−7.29(m,4H)7.31−7.39(m,1H)7.41−7.46(m,2H),8.14(s,1H),8.39(t,,J=19.2Hz,1H),10.83(s,1H)
【0138】
最終生成物について、周囲温度、検出器波長252nm、流速1.00ml/分、移動相メタノールでChiralcel OJ−R(150×4.6mm)10umを行った。物質は95%(9)および5%(10)の含有量を示した。図3は時間関数としての溶出パターンを示す。(S)−鏡像異性体の保持時間は3.4分であり、そして(R)−鏡像異性体の保持時間は9.4分であった。
【0139】
最終化合物の光学純度を高めるために、例えば、Chiralpak ASカラムを用いてキラルHPLC分取を行ってもよい。
【0140】
実施例3
工程1.(3aS,6R,7aR)−1−メタクリロイル−8,8−ジメチルヘキサヒドロ−3a,6−メタノ−2,1−ベンゾイソチアゾール2,2−ジオキシドの合成
【化20】

手順:−20℃の(1S)−(−)−2,10−カンファースルタム(5.000g、23.22mmole)の無水THF(50ml)溶液に、塩化リチウム(1.08g、25.5mmole、−小球)、トリエチルアミン(4.21ml、30.2mmole、1.30当量)を添加し、次いで混合物を10分間撹拌した。塩化リチウムは溶液に溶けなかった。次いで、THF(15ml)中2−メチルアクリ酸無水物(4.15ml、27.9mmole、1.20当量)を添加した。約5分間の添加の間に、内部温度は−20℃〜−10℃で変化した。濃厚な白色混合物を冷却浴の中で撹拌し、そして室温にした。一晩撹拌した後、白色の不均一な反応混合物を撹拌しながら水(350ml)に添加した。白色の結晶固体(3aS,6R,7aR)−1−メタクリロイル−8,8−ジメチルヘキサヒドロ−3a,6−メタノ−2,1−ベンゾイソチアゾール2,2−ジオキシド(6.302g、96% 収率)を回収し、そして真空中で乾燥させた。
−分析用HPLCを溶媒A:H2O中0.1% トリフルオロ酢酸およびB:アセトニトリル中0.1% トリフルオロ酢酸で行うVydac 218TP54 C18 逆相カラムで行った。22分かけてグラジエント(0〜100%B)。保持時間18.166分(100%)。
旋光度=2ml中0.020g;c=0.01g/ml{C=1(CHCl3)};測定結果−0.226;旋光度=−0.226×4000/10=−90.4。
【0141】
【表24】

【0142】
実施例2の通りに工程2〜5を行った。
【0143】
実施例4
(R)鏡像異性体のIC50
最終濃度30pMのヒト第Xa因子(10mM HEPES、150mM NaCl、0.1% ウシ血清アルブミン(BSA)を含む緩衝液に希釈した、pH7.4)を使用して、アッセイを三つ組で行った。基質S−2765(N−CBz−D−Arg−L−Gly−L−Arg−p−ニトロアニリド.2HCl)は、そのKm値に等しい最終濃度で行った。1.0μM〜958fMの最終濃度まで(R)鏡像異性体を100% DMSOに連続希釈した(最終アッセイ濃度=2% DMSO)。希釈物を2.5 μL/ウェルの容量でブラックポリスチレン96−プレートマイクロタイターアッセイプレートに移した。ヒト第FXa因子を含む緩衝液を73μL/ウェルの容量で各ウェルに添加し、次いで穏やかに振とうさせながら、室温で50分間インキュベートした。50分経った時点で、両方のプレートおよび緩衝液希釈基質を37℃で10分間インキュベートした。予め温めた基質(50 μL)を添加することによって反応を開始し、そして予め37℃に温めたマイクロプーレートリーダー中に速やかに配置した。
【0144】
蛍光分析プレートリーダーを使用して、単位時間当たりの相対蛍光単位 (RFU)の変化率を連続的にモニターした。アッセイプレートを読み取り前に一旦混合した。蛍光発光を37℃で30分間44秒毎に記録した(λex=390nmおよびλex=460nmの励起/発光;自動遮断=455nm)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(R)鏡像異性体が実質的に純粋である、化合物(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}。
【請求項2】
(R)鏡像異性体対(S)鏡像異性体の比が4:1より大きい、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(R)鏡像異性体対(S)鏡像異性体の比が19:1より大きい、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
(R)鏡像異性体対(S)鏡像異性体の比が99:1より大きい、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
薬学的に受容可能な担体、添加剤または賦形剤および(R)鏡像異性体が実質的に純粋である(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}を含む薬剤組成物。
【請求項6】
(R)鏡像異性体対(S)鏡像異性体の比が4:1より大きい、請求項5に記載の薬剤組成物。
【請求項7】
(R)鏡像異性体対(S)鏡像異性体の比が19:1より大きい、請求項5に記載の薬剤組成物。
【請求項8】
(R)鏡像異性体対(S)鏡像異性体の比が99:1より大きい、請求項5に記載の薬剤組成物。
【請求項9】
血栓性疾患または塞栓性疾患の治療が必要な患者における血栓性疾患または塞栓性疾患の治療方法であって、治療有効量の(R)鏡像異性体が実質的に純粋である(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}を投与することを含む、方法。
【請求項10】
(R)鏡像異性体対(S)鏡像異性体の比が4:1より大きい、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(R)鏡像異性体対(S)鏡像異性体の比が19:1より大きい、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
(R)鏡像異性体対(S)鏡像異性体の比が99:1より大きい、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
血栓性疾患または塞栓性疾患が、一次性もしくは二次性静脈血栓症、動脈血栓症、静脈塞栓症、動脈塞栓症、静脈狭窄症、静脈再狭窄、動脈狭窄症または動脈再狭窄である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
治療が、心房性細動、狭心症、糖尿病、癌または心不全、または外傷性傷害、外科処置もしくは内科的疾患による固定を有する患者の治療である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
患者が、一次性DVT、二次性VTEまたは心房性細動を有する患者である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
治療が、肺塞栓症、肺高血圧症または発作を予防するための治療である、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
転移性疾患の治療が必要な患者の生存期間を延長するための、転移性疾患を有する患者の治療方法であって、治療有効量の(R)鏡像異性体対(S)鏡像異性体の比が4:1より大きい(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}を投与することを含む、方法。
【請求項18】
敗血症の治療が必要な患者における敗血症の治療方法であって、治療有効量の(R)鏡像異性体対(S)鏡像異性体の比が4:1より大きい(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミド}を投与することを含む、方法。
【請求項19】
哺乳動物における血栓性疾患を治療または予防的治療する医薬を製造するための実質的に純粋な(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]−アミドの使用。
【請求項20】
式:
【化1】

(R)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1,5−ジカルボン酸1−[(4−クロロ−フェニル)−アミド]5−{[2−フルオロ−4−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)−フェニル]の製造方法であって、
以下:
工程(a)
(1)溶媒および塩基の存在下、式11:
【化2】

の化合物をメタクリロイルクロリドと反応させるか;または
(2)式11の化合物を塩化リチウム、トリエチルアミンおよび2−メチルアクリル酸無水物と反応させ;
式12:
【化3】

の化合物を得;
工程(b)
式12の化合物をトリメチルシリルジアゾメタンと反応させ、希酸で処理し、そして単離して、式13:
【化4】

の化合物を得;
工程(c)
溶媒中、式13の化合物をイソシアネートおよび温和な塩基で処理し、式14:
【化5】

の化合物を得;
工程(d)
キラル補助基を除去し、式15:
【化6】

の化合物を得;そして
工程(e)
式15の化合物を式3:
【化7】

の化合物とカップリングさせ、所望の化合物を得ることを含む、方法。
【請求項21】
5.4、7.2、9.4、10.9、15.6、19.6、21.7または23.3度2θで少なくとも1つのピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形態。
【請求項22】
19.6および21.7でピークを有し、そして7.2、9.4、10.9、15.6または23.3度2θで1つまたはそれ以上のさらなるピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形態。
【請求項23】
10.9、19.6および21.7でピークを有し、そして7.2、9.4、15.6または23.3度2θで1つまたはそれ以上のさらなるピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形態。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−511034(P2010−511034A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538802(P2009−538802)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【国際出願番号】PCT/IB2007/003609
【国際公開番号】WO2008/065503
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】