説明

筐体、電子機器、および筐体の製造方法

【課題】本発明は、製品品質の低下を抑制することができる筐体、電子機器、および筐体の製造方法を提供する。
【解決手段】第1の主面とこれに対向する第2の主面とを有する平板部と、前記平板部の周縁に設けられ前記第1及び第2の主面と交差する方向に突出する突出部と、前記平板部の周縁に設けられた封止部と、を備えたことを特徴とする筐体が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体、電子機器、および筐体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネル(例えば、液晶表示パネル、有機EL表示パネルなどのフラットディスプレイパネル)、スイッチ、回路基板などの電子部品を内蔵した電子機器においては、外力や衝撃などを受けても内蔵された電子部品が破損しないようにする必要がある。そのため、外力や衝撃などを受けても内蔵された電子部品が破損しないように電子機器の筐体には高い剛性が求められる。
【0003】
電子機器の筐体としては、溶融したアルミニウムやマグネシウムなどの非鉄金属の合金を金型に充填することで成形したもの、いわゆるダイカスト成形品が知られている。溶融した非鉄金属の合金を高圧力で金型内に充填する成形方法であるダイカスト成形法によれば、肉厚の薄い成形品を得ることが可能となる。そのため、剛性が高く重さの軽い筐体を得ることができるという利点がある。しかしながら、溶融した非鉄金属合金の湯流れ性などを考慮すると薄肉化にも限界がある。このことは、ダイカスト成形法により成形された筐体を用いた電子機器の軽量化、薄型化、小型化にも限界があるということを意味する。
【0004】
そこで、金属材料などからなる芯体と樹脂とをインサート成形法により一体成形することで筐体を形成する技術が提案されている(特許文献1を参照)。インサート成形法により金属材料などからなる芯体と樹脂とを一体成形すれば、筐体の高剛性化、軽量化、薄型化、小型化、ひいては電子機器の高剛性化、軽量化、薄型化、小型化を図ることができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示がされている技術においては、樹脂充填の際の圧力により封止部にある芯体が変形したり、その位置がずれたりすることに関する考慮がされていなかった。そのため、封止部にある芯体が樹脂表面から露出してしまうおそれがあった。
【0006】
また、金属材料などの熱膨張率と樹脂材料の熱膨張率とではその差が大きいため、充填された樹脂が冷却される際に筐体に反りが発生するおそれもある。
そして、封止部にある芯体が樹脂表面から露出したり、筐体に反りが発生したりすれば製品品質の低下を招くことになる。
【特許文献1】特開2005−10699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、製品品質の低下を抑制することができる筐体、電子機器、および筐体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、第1の主面とこれに対向する第2の主面とを有する平板部と、前記平板部の周縁に設けられ前記第1及び第2の主面と交差する方向に突出する突出部と、前記平板部の周縁に設けられた封止部と、を備えたことを特徴とする筐体が提供される。
【0009】
また、本発明の他の一態様によれば、第1の主面とこれに対向する第2の主面とを有する平板部と、前記平板部の周縁に設けられ、樹脂が除去された肉抜き部を有する封止部と、を備え、前記肉抜き部は、前記第1の主面側に発生する熱応力と、前記第2の主面側に発生する熱応力と、の差が少なくなるように設けられていること、を特徴とする筐体が提供される。
【0010】
また、本発明の他の一態様によれば、上記の筐体と、前記第1及び第2の主面の少なくともいずれかの側に設けられた電子部品と、を備えたこと、を特徴とする電子機器が提供される。
【0011】
また、本発明の他の一態様によれば、平板部と、前記平板部の周縁に設けられ前記平板部の主面と交差する方向に突出した突出部と、を有する芯体の周縁を樹脂により封止すること、を特徴とする筐体の製造方法が提供される。
【0012】
また、本発明の他の一態様によれば、第1の主面とこれに対向する第2の主面とを有する平板部の周縁を樹脂で封止する筐体の製造方法であって、前記樹脂で封止した部分には、前記第1の主面側に発生する熱応力と、前記第2の主面側に発生する熱応力と、の差が少なくなるように樹脂が除去された肉抜き部が設けられること、を特徴とする筐体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、製品品質の低下を抑制することができる筐体、電子機器、および筐体の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について例示をする。尚、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器を例示するための模式図である。また、図1(a)は電子機器の正面図、図1(b)は図1(a)におけるA−A矢視断面を表している。
なお、図1に例示をする電子機器は、本発明の実施の形態に係る電子機器の一例として、キースイッチのような入力手段やフラットパネルディスプレイのような出力手段などを備えた携帯用情報機器を例示するものである。携帯用情報機器としては、例えば、携帯用コンピュータ、各種の携帯用オーディオプレーヤーやビデオプレーヤー、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯情報端末、携帯電話などを例示することができる。ただし、これらに限定されるわけではなく各種の電子機器に適用することができる。
【0015】
図1(a)、(b)に示すように、電子機器1には筐体2が設けられている。また、筐体2には、その周囲を枠状に囲む封止部4と、封止部4の内部に周縁部8の少なくとも1部が封止されることで封止部4と一体成形される板状の芯体3と、が設けられている(図2を参照)。そして、枠状の封止部4の内側(筐体2の中央側)には、芯体3の主面が露出している。すなわち、芯体3は、第1の主面3aと、これに対向する第2の主面3bと、を有する平板部を備え、平板部(芯体)の周縁には封止部が設けられている。
【0016】
芯体3の平板部の第1の主面3aには、キースイッチのような入力手段5aやフラットパネルディスプレイのような出力手段5bなどの操作部材5が設けられている。また、第1の主面3aに対向する第2の主面3bには、回路基板や電源などの機構部材6が設けられている。
【0017】
この場合、使用者が操作を行う側、すなわち操作部材5が設けられる第1の主面3aの側が電子機器1の表面側となり、これに対向する第2の主面3bが裏面側となる。ここで、一般的には、入力手段や出力手段などの操作部材5の厚み方向寸法は、回路基板や電源などの機構部材6の厚み方向寸法よりも小さい。そのため、操作性を考慮して操作部材5を第1の主面3aに設けるとともに、スペース効率を考慮して、厚み方向寸法の小さな部材は第1の主面3aに設け、厚み方向寸法の大きな部材は第2の主面3bに設けるようにしている。
【0018】
このように、スペース効率をも考慮して部材を設ける面を決めるようにしているため、第1の主面3a、第2の主面3bの厚み方向の位置は、筐体2の厚み方向の中央ではなく表面側にずれた位置となっている。
【0019】
ここで、筐体2には、外力や衝撃などが加えられても内蔵された操作部材5や機構部材6などの電子部品が破損しないように高い剛性が求められる。一方、電子機器1の軽量化、薄型化、小型化などのために筐体2をできるだけ軽量化、薄型化、小型化する必要もある。そのため、封止部4を密度の小さい樹脂材料などで形成して軽量化、薄型化、小型化を図り、芯体3を剛性の高い金属材料などで形成して高剛性化を図るようにしている。この場合、インサート成形法を用いて樹脂材料などからなる封止部4と金属材料などからなる芯体3とを一体化するようにすれば、量産化、低コスト化などを図ることができる。
【0020】
封止部4に用いる樹脂材料としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などを例示することができる。なお、インサート成形法を用いる場合には、熱可塑性樹脂を用いるようにすることが好ましい。
【0021】
熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではない。例えば、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン 、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc) 、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂 、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテルm-PPE、変性PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレート・ガラス樹脂入り(PET-G)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF-PET)、環状ポリオレフィン (COP)、セルロース類、ゴム・エラストマー類などを例示することができる。なお、これらは混合して使用することもできる。また、必要に応じて、樹脂添加剤を添加することができる。樹脂添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤、滑剤、ブロッキング防止剤、核剤、可塑剤、抗菌剤、防臭剤などを例示することができる。
【0022】
芯体3に用いる材料としては、封止部4に用いる材料よりも剛性が高いものであれば特に限定されるものではない。例えば、ステンレスなどの金属材料、セラミックスなどの無機材料、炭素繊維強化樹脂のような高剛性の樹脂などを例示することができる。なお、後述する所定の形状となるように芯体3を形成する際には、それぞれの材料の特質に合わせて種々の形成方法を選択することができる。例えば、ステンレスなどの金属の板状材料から芯体3を形成させる場合には、板金法を用いることができる。また、アルミニウムやマグネシウムの合金などから芯体3を形成させる場合には、ダイカスト法などを用いることができる。また、セラミックスなどの無機材料から芯体3を形成させる場合には、加圧成形法や押出成形法などを用いることができる。また、炭素繊維強化樹脂などの高剛性の樹脂から芯体3を形成させる場合には、押出成形法などを用いることができる。ただし、これらの形成方法に限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0023】
筐体2の外表面には、外皮7が設けられている。外皮7は、エラストマーなどの樹脂材料からなるものとすることができる。ただし、これに限定されるわけではなく金属材料などの各種の材料を用いることができる。
【0024】
次に、本発明の実施の形態に係る筐体2についてさらに例示をする。
図2は、本発明の実施の形態に係る筐体を例示するための模式斜視図である。また、図2(a)は筐体の模式斜視図、図2(b)は筐体に設けられる芯体の模式斜視図である。 図2(a)に示すように、筐体2には、その周囲を枠状に囲む封止部4と、封止部4の内部に周縁部8の少なくとも1部が封止されることで封止部4と一体成形される板状の芯体3と、が設けられている。
【0025】
また、図2(b)に示すように、芯体3の平板部の主面3a、3bの周縁部には、突出部8aと延出部8bとを有する周縁部8が設けられている。
また、芯体3の主面(第1の主面3a、第2の主面3b)を貫通する孔3cが適宜設けられている。孔3cは、例えば、第1の主面3a、第2の主面3bに設けられた部材の配線などのために用いられる。
【0026】
次に、芯体3の周縁部8についてさらに例示をする。
図3は、周縁部に係る第1の比較例を例示するための模式断面図である。また、図3(a)は突出部が長い場合を例示するための模式断面図、図3(b)は突出部が短い場合を例示するための模式断面図である。
【0027】
図3(a)に示すように、芯体103の周縁部108には突出部108aが設けられている。突出部108aは、芯体103の第2の主面103bの側(裏面側)に、略直角となるように折曲されている。また、樹脂による封止が行われる際に金型110により、突出部108aが封止部4の内部となるような位置に保持される。そのため、樹脂による封止が行われることで、封止部4の内部に突出部108aと突出部108aに連接する芯体103の一部が封止されることになる。ここで、封止部4に封止される芯体103の一部をインサート部108bと呼ぶことにする。
【0028】
ここで、インサート部108bの長さを長くするほど、筐体の剛性を高くすることができる。これは、樹脂材料などからなる封止部4に比べて金属材料などからなるインサート部108bの方が剛性が高い(ヤング率が大きい)ためである。また、突出部108aの長さ(折り返し部分の長さ)を長くするほど筐体の剛性を高くすることができる。突出部108aの長さ(折り返し部分の長さ)を長くするほど断面2次モーメントを大きくすることができるので、芯体103の曲げ剛性を高くすることができるからである。
【0029】
樹脂による封止が行われる際には、突出部108aとインサート部108bとが金型内部の樹脂が充填される空間に保持されることになる。この場合、突出部108a、インサート部108bを金型110によって直接保持することはできない。ここで、金型内に樹脂を充填する際に樹脂の流れを均等にすることは困難である。そのため、突出部108a、インサート部108bに加わる力が不均等となり、突出部108aやインサート部108bが変形する場合がある。
【0030】
図3(a)、(b)は、インサート部108bが変形した場合を表している。図3(a)に示すように、長い突出部108aを有する場合には、インサート部108bが僅かに変形しただけでも突出部108aやインサート部108bの一部が封止部4の外表面から露出してしまうおそれがある。例えば、図3(a)の場合には、図中のB部やC部において突出部108aやインサート部108bの一部が露出してしまうおそれがある。
【0031】
図3(b)に示すように、短い突出部108cを有する場合には、突出部108cの先端が封止部4の外表面から露出することを抑制することができる。しかしながら、スペース効率を考慮して、芯体103は筐体の厚み方向の中央ではなくその表面側にずれた位置に設けられている。そのため、インサート部108bが僅かに変形しただけでも突出部108cやインサート部108bの一部が封止部4の表面側の外表面から露出してしまうおそれがある。例えば、図3(b)の場合には、図中のD部において突出部108cやインサート部108bの一部が露出してしまうおそれがある。このことは、図3(a)において説明をした場合も同様であり、特に封止部4の表面側の外表面から突出部やインサート部の一部が露出しやすくなることになる。また、インサート部の長さを長くするほど剛性を高めることができるが、その一方で外表面から突出部やインサート部の一部が露出しやすくなることになる。
【0032】
このように、突出部やインサート部の一部が封止部4の外表面から露出すれば、外皮7の取付けに支障が生じるだけでなく、商品性が著しく低下してしまうことになる。すなわち、製品品質が著しく低下することになる。
【0033】
図4は、周縁部に係る第2の比較例を例示するための模式断面図である。また、図4(a)は突出部が長い場合を例示するための模式断面図、図4(b)は突出部が短い場合を例示するための模式断面図である。
【0034】
図4(a)に示すように、芯体103の周縁部108には突出部108aが設けられている。突出部108aは、芯体103の第2の主面103bの側(裏面側)に、略直角となるように折曲されている。本比較例の場合においては、樹脂による封止が行われる際に金型110により、突出部108aが封止部4の内部であって内周面4aの近傍となるような位置に保持される。また、樹脂による封止が行われる際に突出部108aの一方の面が金型110により支持されるようになっている。この場合、図3において説明をしたようなインサート部108bが設けられないことになる。
【0035】
また、図4(b)に示すように、芯体103の周縁部108には突出部108cが設けられている。突出部108cは、芯体103の第2の主面103bの側(裏面側)に、略直角となるように折曲されている。なお、突出部108cの長さは図4(a)において説明をした突出部108aの長さよりも短いものとなっている。本比較例の場合においても、樹脂による封止が行われる際に金型110により、突出部108cが封止部4の内部であって内周面4aの近傍となる位置に保持される。また、樹脂による封止が行われる際に突出部108cの一方の面が金型110により支持されるようになっている。この場合、図3において説明をしたようなインサート部108bが設けられないことになる。
【0036】
図4(a)、(b)の場合においては、突出部108a、108cの一方の面を金型110により支持することができる。また、図3において説明をしたようなインサート部108bが設けられないことになる。そのため、樹脂を金型内に充填する際に発生する突出部108a、108cの変形を抑制することができる。しかしながら、封止部4の内部に設けられる芯体103の部分が少なくなるので、筐体の剛性が低下することになる。
【0037】
図5は、本実施の形態に係る芯体3の周縁部を例示をするための模式断面図である。また、図5(a)は封止部の内部における状態を例示するための模式断面図、図5(b)は樹脂による封止を行った際の変形を例示するための模式断面図である。
図5(a)、(b)に示すように、芯体3の平板部の主面3a、3bの周縁には、突出部8aと延出部8bとを有する周縁部8が設けられている。突出部8aは、芯体3の平板部の周縁から芯体3の第2の主面3bの側(裏面側)に突出するようにして設けられている。すなわち、突出部8aは、芯体3の周縁に設けられ、芯体3の平板部の主面(第1の主面3a、第2の主面3b)と交差する方向に突出して設けられている。
【0038】
また、突出部8aには、芯体3の第2の主面3bの側(裏面側)に突出する(折曲する)第1の折曲部8a1と、第1の折曲部8a1に連接し、第1の折曲部8a1の突出方向(折曲方向)と交差する方向に突出する(折曲する)第2の折曲部8a2と、が設けられている。なお、図5には、第1の折曲部8a1と第2の折曲部8a2とが離間している場合を例示しているが、両者が当接するようにして設けられていてもよい。
【0039】
また、突出部8aの周縁には、第2の折曲部8a2と連接し、第2の折曲部8a2の突出方向(折曲方向)と交差する方向であって、芯体3の中央部から見て外側に向かって延出する延出部8bが設けられている。すなわち、突出部8aの周縁に設けられ、突出部8aが突出する方向と交差する方向であって、芯体3の中央部から見て外側に向かって延出する延出部8bが設けられている。
【0040】
この場合、封止部4の厚み方向における少なくとも一方の端面4b(4c)と略平行となるように延出部8bを設けるようにすることが好ましい。あるいは、芯体3の主面3a、3bに対して略平行となるように、延出部8bを設けるようにすることが望ましい。
【0041】
図5(a)、(b)に例示をする場合においては、第1の折曲部8a1が芯体3の第2の主面3bの側(裏面側)に略直角に折曲され、これに連接する第2の折曲部8a2が略180度反転するように折曲されている。また、第2の折曲部8a2と連接し、第2の折曲部8a2に対して略直角に折曲された延出部8bが設けられている。なお、図5(a)、(b)に例示をする場合においては、芯体3の主面(第1の主面3a、第2の主面3b)と封止部4の厚み方向における端面4b、4cとが略平行となるようにされているため、芯体3の主面3a、3bと延出部8bとが略平行となっている。
【0042】
また、突出部8aの延出部8bが設けられた部分が樹脂封止されている。この場合、少なくとも延出部8bが樹脂封止されるようにする。図5(a)、(b)に例示をする場合においては、第1の折曲部8a1の一方の面、第2の折曲部8a2、延出部8bが樹脂封止されている。
【0043】
また、樹脂封止が行われる際には、金型110により突出部8a(第1の折曲部8a1)が支持されるようになっている。そのため、突出部8aの延出部8bが設けられた側の面と対向する面が、封止部4から露出するようにされている。
すなわち、突出部8aの平板部側の一部(延出部8bから遠方側の一部)は、封止部4から露出している。
そのため、金型110で突出部8a(第1の折曲部8a1)の露出部分を支持するようにすれば、突出部8aの変形を抑制することができる。
【0044】
また、図3や図4で例示をしたものと同様に、芯体3の平板部の主面(第1の主面3a、第2の主面3b)は、筐体2の厚み方向の中央ではなくその表面側にずれた位置に設けられている。ここで、図3で例示をした比較例の場合においては、芯体103の主面の延長であるインサート部108bが封止部4の厚み方向の中央ではなくその表面側にずれた位置に設けられることになる。そのため、封止部4の表面側の外表面から突出部108aやインサート部108bの一部が露出しやすくなることになる。
【0045】
これに対して、本実施の形態においては、封止部4の厚み方向における延出部8bの位置を適宜変更することができる。すなわち、第2の折曲部8a2の長さを変更することで、封止部4の厚み方向における延出部8bの位置を適宜変更することができる。このようにすれば、封止部4の外表面から延出部8bが露出しにくい位置に延出部8bを設けるようにすることができる。その結果、封止部4の外表面から延出部8bが露出することを抑制することができる。また、延出部8bの位置とは関わりなく、芯体3の主面(第1の主面3a、第2の主面3b)を取り付ける部材のスペース効率を考慮した位置に設けることができる。
この場合、図5(a)に示すように、延出部8bの位置を封止部4の厚み方向における略中央とすることができる。そのようにすれば図5(b)に示すように、封止部4の表面側、裏面側の双方において延出部8bの露出を抑制することができる。ただし、樹脂の充填方向などによって延出部8bの変形方向が予想できる場合には、変形方向における封止部4の厚み方向端面との寸法が長くなるような位置に延出部8bを設けるようにすることもできる。
【0046】
また、前述したように、封止部4の厚み方向における少なくとも一方の端面4b(4c)と略平行となるように延出部8bを設けるようにすれば、封止部4の外表面から延出部8bが露出することを抑制することができる。
【0047】
また、図3において例示をしたように、芯体の樹脂封止がされる部分(図3においてはインサート部108b)が封止部4の厚み方向において片寄った位置にあると、片寄った側(表面側)が凸になる向きに曲げられる場合に比べ、反対側(裏面側)が凸になる向きに曲げられる場合の方が剛性が低くなる。電子機器1の実使用時においては、いずれの向きにも曲げられる可能性があるので、どちらの向きの変形に対しても同等の剛性を有していることが好ましい。本実施の形態においては、延出部8bの位置を封止部4の厚み方向における略中央とすることができるので、表面側あるいは裏面側のどちらの向きの変形に対しても同等の剛性を得ることができる。
【0048】
また、第1の折曲部8a1と第2の折曲部8a2との連接部分と、封止部4の厚み方向端面との間の寸法(図5(a)中の寸法E)や、延出部8b先端と封止部4外周面との間の寸法(図5(a)中の寸法F)を短くすると、筐体2の剛性を高めることができる。ただし、余り短くしすぎると樹脂による封止の際に溶融した樹脂の流通が妨げられるおそれがある。そのため、寸法E、Fは、溶融した樹脂の流通が妨げられない程度においてなるべく小さくすることが好ましい。
【0049】
図6は、他の実施の形態に係る周縁部について例示をするための模式断面図である。
図6に示すように、芯体3の周縁には、突出部8aと延出部18bとを有する周縁部18が設けられている。そして、図5において例示をしたものと同様に、突出部8aには第1の折曲部8a1と第2の折曲部8a2とが設けられている。また、第2の折曲部8a2と連接し、第2の折曲部8a2の突出方向(折曲方向)と交差する方向であって、芯体3の中央部から見て外側に向かって延出する延出部18bが設けられている。
【0050】
ここで、本実施の形態においては、延出部18bに凹凸部が設けられている。そのため、延出部18bの剛性を高めることができ、樹脂封止の際に延出部18bが変形することを抑制することができる。なお、凹凸部は図6に例示をした波状であってもよいし、溝状や窪み状であってもよい。また、その形状、位置、数、大きさなどは図示したものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
また、図示は省略するが、延出部の先端に折曲部を設けるようにすることもできる。また、延出部と樹脂との接合性や樹脂の流動性などを考慮して、延出部に切り欠きや穴などを設けるようにすることもできる。
【0051】
図7は、他の実施の形態に係る周縁部について例示をするための模式断面図である。
図7に示すように、芯体13の周縁には、突出部28aと延出部28bとを有する周縁部28が設けられている。突出部28aは、芯体13の周縁から芯体13の第2の主面13bの側(裏面側)に突出するようにして設けられている。すなわち、突出部28aは、芯体13の主面(第1の主面13a、第2の主面13b)と交差する方向に突出するようにして設けられている。
【0052】
また、突出部28aからは、突出部28aの突出方向と交差する方向であって、芯体13の中央部から見て外側に向かって延出する延出部28bが設けられている。図5や図6において例示をしたものは、例えば板金法により形成させることができる。一方、本実施の形態に係るものは、例えばダイカスト法により形成させることができる。
【0053】
本実施の形態においても、金型110により突出部28aの一方の面を支持することができるので、突出部28aの変形を抑制することができる。また、封止部4の厚み方向における延出部28bの位置を適宜変更することができるので、封止部4の外表面から延出部28bが露出しにくい位置に延出部28bを設けるようにすることができる。その結果、封止部4の外表面から延出部28bが露出することを抑制することができる。
【0054】
以上、樹脂充填の際に封止部にある芯体が樹脂表面から露出することを抑制することについて例示をした。なお、本実施の形態によれば後述するものの場合と同様に、封止部における芯体の曲げ剛性を向上させることもできるので、後述する筐体の反りも抑制することができる。
ここで、電子機器の種類によっては芯体が樹脂表面から露出することを抑制することよりも、充填された樹脂が冷却される際に発生する筐体の反りを抑制することの方が重要となる場合がある。例えば、封止部4の厚み方向の寸法が比較的厚いものなどの場合には、芯体が樹脂表面から露出するおそれが低くなるので、筐体の反りの抑制のみを考慮すれば良い場合もある。
次に、筐体の反りを抑制することについて例示をする。
芯体に用いられる金属材料などの熱膨張率よりは、封止部に用いられる樹脂材料の熱膨張率の方が大きい。そのため、充填された樹脂が冷却される際に熱応力が発生する。そして、発生した熱応力の分布が大きくなると筐体に反りが発生する場合がある。
【0055】
図8は、筐体の反りを例示するための模式図である。なお、図8(a)は模式平面図、図8(b)は図8(a)におけるG−G矢視図、図8(c)は図8(a)におけるH−H矢視図である。
前述したように、封止部4と平板部30(芯体)との間における熱膨張率の差により熱応力が発生する。この場合、発生する熱応力の大きさは平板部30(芯体)と接する部分における封止部4の厚み寸法によって変化し、封止部4の厚み寸法が厚くなるほど発生する熱応力が大きくなる。そのため、平板部30(芯体)と接する部分における封止部4の厚み寸法の厚い側の収縮量が大きくなって、封止部4の厚み寸法の薄い側に突出するように筐体32が反ることになる。
図8(b)、図8(c)に示す湾曲した矢印は筐体32の反る様子を表している。すなわち、図8に例示をしたものの場合には、平板部30の主面30b側に接する封止部4の厚み寸法の方が厚いので、封止部4の厚み寸法が薄い主面30aの側に突出するように筐体32が反ることになる。
筐体32にこのような反りが発生すると、平板部30の主面30a、30bに操作部材や機構部材などを設ける際の障害となる。また、外皮7の取付けに支障が生じ、商品性が著しく低下してしまうことにもなる。すなわち、製品品質が著しく低下することになる。
【0056】
このような筐体の反りを抑制するためには、封止部における芯体の曲げ剛性を向上させればよい。そして、封止部における芯体の曲げ剛性を向上させるためには、第1及び第2の主面と交差する方向に突出する突出部を平板部(芯体)の周縁に設けるようにすればよい。
【0057】
図9、図10は、突出部の形態を例示するための模式断面図である。なお、図9は封止部の幅寸法が薄い場合を表し、図10は封止部の幅寸法が厚い場合を表している。
図9、図10に示すように、芯体は、第1の主面と、これに対向する第2の主面と、を有する平板部を備え、平板部(芯体)の周縁には封止部4が設けられている。
また、第1及び第2の主面と交差する方向に突出する突出部38a〜38eが平板部(芯体)の周縁に設けられている。
そして、突出部38a〜38eの少なくとも一部が封止部4により封止されている。この場合、前述したものと同様に突出部38a〜38eの平板部側の一部が封止部4から露出しているようにすることもできる。
突出部38a〜38eの形態としては、図9(a)、図10(a)に示すような湾曲状の突出部38a、図9(b)、図10(b)に示すようなL字状の突出部38b、図9(c)、図10(c)に示すようなU字状の突出部38c、図9(d)、図10(d)に示すようなZ字状の突出部38d、図9(e)、図10(e)に示すような階段状の突出部38eなどを例示することができる。ただし、これらの形態に限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、図9、図10に例示をしたものは封止部4の厚み寸法が厚い側に突出部38a〜38eを突出させているが、樹脂充填の際に封止部4の表面から突出部38a〜38eが露出しない場合には封止部4の厚み寸法が薄い側に突出部を突出させるようにすることもできる。
【0058】
また、封止部4における突出部38a〜38eの位置も適宜変更することができる。例えば、封止部4の幅寸法が薄い場合には筐体の強度低下が比較的少ないので、図9に示すように内周面4aの近傍に突出部38a〜38eを設けるようにすることができる。そのようにすれば、樹脂充填の際に封止部4にある突出部38a〜38eが樹脂表面から露出することを抑制することができる。
【0059】
また、封止部4の幅寸法が厚い場合には筐体の強度が低下するおそれがあるので、図10に示すように内周面4aから離隔した位置に突出部38a〜38eを設けるようにすることができる。そのようにすれば、封止部4の内部に設けられる金属材料部分の量が多くなるので、封止部4の補強ひいては筐体の強度を向上させることができる。そのため、充填された樹脂が冷却される際に発生する熱応力による筐体の反りを抑制することができる。
例えば、図8(b)に例示をしたような平板状の芯体の場合において、芯体の材料をステンレス、その厚み寸法を0.3mmとすれば中央部分における反り量は1.5mm程度となった。これに対し、図10(b)に例示をしたような突出部を設け、芯体の主面から突出する寸法を0.9mmとすれば中央部分における反り量を0.5mm程度に抑制することができた。
また、図5、図6に例示をしたものと同様に、突出部38a〜38eの周縁に設けられ突出部38a〜38eが突出する方向と交差する方向であって平板部の中央部から見て外側に向かって延出する延出部をさらに備えるようにすることもできる。延出部をさらに備えるようにすれば封止部4をさらに補強することができ、ひいては筐体の強度をさらに向上させることができる。その結果、筐体の反りをさらに抑制することができる。
【0060】
本実施の形態によれば、平面部(芯体)の主面と交差する方向に突出する突出部を設けているので、封止部における芯体の曲げ剛性を向上させることができる。そのため、充填された樹脂が冷却される際に熱応力が発生したとしても筐体が反ることを抑制することができる。
【0061】
以上は、封止部における芯体の曲げ剛性を高めることで筐体の反りを抑制する場合であるが、第1の主面側に発生する熱応力と、第2の主面側に発生する熱応力と、の差が少なくなるようにすることで筐体の反りを抑制することもできる。ここで、発生する熱応力の差を少なくするためには、平板部30(芯体)と接する部分における封止部の厚み寸法の差が少なくなるようにすればよい。すなわち、第1の主面側における封止部の厚み寸法と、第2の主面側における封止部の厚み寸法と、の差が少なくなるようにすればよい。
【0062】
図11は、芯体と接する部分における封止部の厚み寸法の差を少なくすることについて例示をするための模式断面図である。
平板部30(芯体)と接する部分における封止部4の厚み寸法の差を少なくするためには、例えば、封止部4に樹脂が除去された部分である肉抜き部4dを設けるようにすればよい。この場合、図11(a)〜(e)に例示をするように、封止部4の厚み寸法が薄い側における寸法T1と厚い側における寸法T2との差が少なくなるように肉抜き部4dを設ければよい。このようにすれば、寸法T1側における熱応力と寸法T2側における熱応力との差を少なくすることができる。そして、芯体の両主面側において発生する熱応力の差を少なくすることができるので筐体の反りを抑制することができる。この場合、寸法T1と寸法T2とを略同一とすれば、発生する熱応力を略均衡させることができる。
すなわち、図11に例示をした筐体においては、第1の主面とこれに対向する第2の主面とを有する平板部30と、平板部30の周縁に設けられ、樹脂が除去された肉抜き部4dを有する封止部4と、を備え、肉抜き部4dは、第1の主面側に発生する熱応力と、第2の主面側に発生する熱応力と、の差が少なくなるように設けられている。
また、肉抜き部4dは、第1の主面側における封止部4の厚み寸法T1と、第2の主面側における封止部4の厚み寸法T2と、の差が少なくなるように設けられている。
なお、肉抜き部4dの大きさ、形状、数、配置などは例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、肉抜き部4dの形態として一方が開放されたものを例示したが、中空状に設けられる肉抜き部とすることもできる。また、厚み寸法の差を少なくすることは必ずしも厳密に行う必要はなく、例えば、筐体の反りが許容できる範囲内で製品デザインなどを考慮して、肉抜き部の大きさ、形状、数、配置などを適宜決定することもできる。
【0063】
図12は、肉抜き部を設ける様子を例示するための模式図である。なお、図12(a)は主面30bの側から見た図を表し、図12(b)は図12(a)におけるI−I矢視断面を表している。
図12(a)、(b)に示すように、封止部4に沿って略均等に肉抜き部4dを設けるようにすることができる。この場合、図12(a)に例示をするように連結部4eを適宜設けるようにすることで封止部の強度低下を抑制することもできる。なお、肉抜き部4d、連結部4eの大きさ、形状、数、配置などは例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0064】
本実施の形態によれば、肉抜き部を設けることで平板部30(芯体)と接する部分における封止部の厚み寸法の差を少なくすることができる。そのため、充填された樹脂が冷却される際に発生する熱応力分布の差を少なくすることができるので、筐体が反ることを抑制することができる。
【0065】
また、突出部と肉抜き部とを設けることで、封止部における芯体の曲げ強度を向上させるとともに熱応力の差が少なくなるようにすることもできる。
図13は、突出部と肉抜き部とを設ける場合を例示するための模式断面図である。
図13(a)〜(e)に示すように、平板部の周縁に設けられ第1及び第2の主面と交差する方向に突出する突出部38a〜38eを設けるとともに肉抜き部4dを適宜設けて突出部38a〜38e(芯体)と接する部分における封止部4の厚み寸法の差を少なくするようにすれば、筐体の反りをさらに抑制することができる。なお、突出部38a〜38e、肉抜き部4dの大きさ、形状、数、配置などは例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、肉抜き部4dの形態として一方が開放されたものを例示したが、中空状に設けられる肉抜き部とすることもできる。また、厚み寸法の差を少なくすることは必ずしも厳密に行う必要はなく、例えば、筐体の反りが許容できる範囲内で製品デザインなどを考慮して、肉抜き部の大きさ、形状、数、配置などを適宜決定することもできる。
また、図5、図6に例示をしたものと同様に、突出部38a〜38eの周縁に設けられ突出部38a〜38eが突出する方向と交差する方向であって平板部の中央部から見て外側に向かって延出する延出部をさらに備えるようにすることもできる。延出部をさらに備えるようにすれば封止部4をさらに補強することができ、ひいては筐体の強度をさらに向上させることができる。その結果、筐体の反りをさらに抑制することができる。
【0066】
次に、本発明の実施の形態に係る筐体の製造方法、電子機器の製造方法を例示する。 図14は、本発明の実施の形態に係る筐体の製造方法、電子機器の製造方法を例示するためのフローチャートである。
図14に示すように、まず、芯体を形成する(ステップS1)。
この際、キースイッチなどの入力手段やフラットパネルディスプレイなどの出力手段などの操作部材、回路基板や電源などの機構部材などを設ける主面(平坦面)を形成する。また、この主面に連接するようにして、芯体の周縁に突出部と延出部とを有する周縁部を形成する。すなわち、主面の周縁に設けられ、主面と交差する方向に突出して設けられた突出部と、突出部に設けられ、突出部が突出する方向と交差する方向であって、主面の中央部から見て外側に向かって延出する延出部と、を有する芯体を形成する。
【0067】
この場合、主面と延出部の位置は、それぞれにとって好ましい位置となるように形成される。例えば、操作部材や機構部材などを設ける際のスペース効率を考慮して芯体の主面の位置を決めるようにすることができる。また、樹脂封止の際に、封止部の外表面から延出部が露出しにくい位置となるように延出部の位置を決めるようにすることができる。 また、前述したように、延出部に凹凸部などを設けることもできる。
【0068】
また、図9、図10に例示をしたように突出部のみを設けるようにすることもできる。
また、突出部、延出部を設けないようにすることもできる。その場合は、後述するように樹脂封止がされる部分(封止部)に肉抜き部を設けるようにすればよい。
【0069】
なお、芯体の形成方法は、芯体の材料の特質に合わせて適宜選択することができる。 例えば、ステンレスなどの金属の板状材料から芯体を形成させる場合には、板金法を用いることができる。また、アルミニウムやマグネシウムの合金などから芯体を形成させる場合には、ダイカスト法などを用いることができる。また、セラミックスなどの無機材料から芯体を形成させる場合には、加圧成形法や押出成形法などを用いることができる。また、炭素繊維強化樹脂などの高剛性の樹脂から芯体を形成させる場合には、押出成形法などを用いることができる。
【0070】
次に、芯体の周縁を樹脂で封止して筐体を形成する(ステップS2)。
この場合、延出部が設けられている場合には少なくとも延出部を樹脂封止するようにする。また、延出部が設けられていない場合には少なくとも突出部を樹脂封止するようにする。また、前述したように、突出部の延出部が設けられた面を樹脂封止するようにすることもできる。また、延出部を樹脂封止がされる部分(封止部)の厚み方向において略中央となる位置に保持するようにすることもできる。また、樹脂封止がされる際には、突出部の延出部が設けられた面と対向する面を支持するようにすることもできる。また、樹脂封止にはインサート成形法を用いることができる。
【0071】
また、突出部、延出部が設けられていない場合には、図11、図12に例示をしたように肉抜き部を設けるようにする。すなわち、樹脂で封止した部分には、第1の主面側に発生する熱応力と、第2の主面側に発生する熱応力と、の差が少なくなるように樹脂が除去された肉抜き部が設けられるようにする。
なお、突出部、延出部が設けられている場合であっても肉抜き部を設けるようにすることもできる。
【0072】
図15は、インサート成形法を用いた樹脂封止を例示するための模式工程図である。
まず、図15(a)に示すように、射出成形機100の成形金型である雌金型100aと雄金型100bの間に芯体Wを載置する。
次に、図15(b)に示すように、雌金型100aと雄金型100bの型締めを行う。型締めの際には、雌金型100aと雄金型100bとにより少なくとも延出部が設けられた部分が樹脂封止されるような位置に芯体が保持される。また、金型により突出部が支持されるようになっている。
【0073】
なお、突出部は設けられているが延出部が設けられていない場合には、少なくとも突出部が設けられた部分が樹脂封止されるような位置に芯体が保持される。また、突出部と延出部とが設けられていない場合には、芯体の周縁が樹脂封止されるような位置に芯体が保持される。
【0074】
次に、図15(c)に示すように、金型の内部に溶融した樹脂を充填して芯体Wの周縁を樹脂で封止する。この際、突出部が金型により支持されている場合には、突出部の変形を抑制することができる。また、延出部が封止部の外表面から露出しにくい位置となるように形成されているので、延出部が封止部の外表面から露出することを抑制することができる。
【0075】
次に、図15(d)に示すように、雌金型100aと雄金型100bとを開いて筐体(樹脂封止がされた芯体W)を取り出す。その後、必要に応じて、バリ取りや洗浄などが行われ筐体の形成が終了する。
【0076】
ここで、筐体(樹脂封止がされた芯体W)を取り出す際には、樹脂部分が冷却されるので熱応力が発生する。本実施の形態によれば、突出部を設けることで封止部における芯体の曲げ剛性を高めているので熱応力による筐体の反りを抑制することができる。また、肉抜き部を設けることで発生する熱応力の差が少なくなるようにしているので、熱応力による筐体の反りを抑制することができる。
【0077】
次に、芯体Wの主面に操作部材、機構部材などの電子部品を設け、必要な配線などを行う(ステップS3)。
例えば、操作部材としては、キースイッチなどの入力手段やフラットパネルディスプレイなどの出力手段などを例示することができる。また、機構部材としては、回路基板や電源などを例示することができる。
【0078】
次に、必要に応じて筐体の外表面に外皮を設ける(ステップS4)。例えば、接着剤や両面テープなどで外皮を筐体の外表面に接着することができる。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、電子機器1が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、数などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子機器を例示するための模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る筐体を例示するための模式斜視図である。
【図3】周縁部に係る第1の比較例を例示するための模式断面図である。
【図4】周縁部に係る第2の比較例を例示するための模式断面図である。
【図5】本実施の形態に係る芯体の周縁部を例示をするための模式断面図である。
【図6】他の実施の形態に係る周縁部について例示をするための模式断面図である。
【図7】他の実施の形態に係る周縁部について例示をするための模式断面図である。
【図8】筐体の反りを例示するための模式図である。
【図9】突出部の形態を例示するための模式断面図である。
【図10】突出部の形態を例示するための模式断面図である。
【図11】芯体と接する部分における封止部の厚み寸法の差を少なくすることについて例示をするための模式断面図である。
【図12】肉抜き部を設ける様子を例示するための模式図である。
【図13】突出部と肉抜き部とを設ける場合を例示するための模式断面図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る筐体の製造方法、電子機器の製造方法を例示するためのフローチャートである。
【図15】インサート成形法を用いた樹脂封止を例示するための模式工程図である。
【符号の説明】
【0081】
1 電子機器、2 筐体、3 芯体、3a 第1の主面、3b 第2の主面、4 封止部、4b 端面、4c 端面、4d 肉抜き部、5 操作部材、6 機構部材、7 外皮、8 周縁部、8a 突出部、8a1 第1の折曲部、8a2 第2の折曲部、8b 延出部、13 芯体、13a 第1の主面、13b 第2の主面、18 周縁部、18b 延出部、28 周縁部、28a 突出部、28b 延出部、30 平板部、38a〜38e 突出部、100 射出成形機、100a 雌金型、100b 雄金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面とこれに対向する第2の主面とを有する平板部と、
前記平板部の周縁に設けられ前記第1及び第2の主面と交差する方向に突出する突出部と、
前記平板部の周縁に設けられた封止部と、
を備えたことを特徴とする筐体。
【請求項2】
前記突出部の周縁に設けられ前記突出部が突出する方向と交差する方向であって前記平板部の中央部から見て外側に向かって延出する延出部と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の筐体。
【請求項3】
前記封止部は、前記突出部のうちの前記延出部に連接する部分の少なくとも一部を封止してなること、を特徴とする請求項2記載の筐体。
【請求項4】
前記延出部は、前記第1及び第2の主面に対して略平行に延在してなること、を特徴とする請求項2または3に記載の筐体。
【請求項5】
前記延出部は、前記封止部の厚み方向の略中央に設けられたこと、を特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の筐体。
【請求項6】
前記延出部は、凹凸部を有すること、を特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の筐体。
【請求項7】
前記突出部の前記平板部側の一部は、前記封止部から露出していること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の筐体。
【請求項8】
第1の主面とこれに対向する第2の主面とを有する平板部と、
前記平板部の周縁に設けられ、樹脂が除去された肉抜き部を有する封止部と、
を備え、
前記肉抜き部は、前記第1の主面側に発生する熱応力と、前記第2の主面側に発生する熱応力と、の差が少なくなるように設けられていること、を特徴とする筐体。
【請求項9】
前記肉抜き部は、前記第1の主面側における前記封止部の厚み寸法と、前記第2の主面側における前記封止部の厚み寸法と、の差が少なくなるように設けられていること、を特徴とする請求項8記載の筐体。
【請求項10】
前記平板部の周縁に設けられ前記第1及び第2の主面と交差する方向に突出する突出部と、を備えることを特徴とする請求項8または9に記載の筐体。
【請求項11】
前記突出部の周縁に設けられ前記突出部が突出する方向と交差する方向であって前記平板部の中央部から見て外側に向かって延出する延出部と、を備えたことを特徴とする請求項10記載の筐体。
【請求項12】
前記封止部は、インサート成形法により形成されてなること、を特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の筐体。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1つに記載の筐体と、
前記第1及び第2の主面の少なくともいずれかの側に設けられた電子部品と、
を備えたこと、を特徴とする電子機器。
【請求項14】
平板部と、前記平板部の周縁に設けられ前記平板部の主面と交差する方向に突出した突出部と、を有する芯体の周縁を樹脂により封止すること、を特徴とする筐体の製造方法。
【請求項15】
第1の主面とこれに対向する第2の主面とを有する平板部の周縁を樹脂で封止する筐体の製造方法であって、
前記樹脂で封止した部分には、前記第1の主面側に発生する熱応力と、前記第2の主面側に発生する熱応力と、の差が少なくなるように樹脂が除去された肉抜き部が設けられること、を特徴とする筐体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−16327(P2010−16327A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224830(P2008−224830)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】