説明

筐体連結機構および携帯端末装置

【課題】第1筐体を回転可能に第2筐体に連結し、装置の厚さを増加させることなく、円滑に第1筐体を回転させることができる筐体連結機構を得る。
【解決手段】接続部材によって第1筐体に固定される平板状の第1部材と、第2筐体に固定される平板状の第2部材とを含む筐体回転機構を備え、筐体回転機構は、第1筐体における第2筐体に対向する面である裏面の側であって、かつ、第2筐体における第1筐体に対向する面である表面の側に配置され、接続部材は、力を受けると、第2部材の裏面側で移動するように配置され、筐体回転機構は、第2筐体の縦断面に対して所定角度傾いて取り付けられている。第1筐体における裏面は、第2筐体に向かって膨らむように湾曲して形成され、第2筐体における表面は、第1筐体に対して凹むように湾曲して形成され、第1筐体における裏面の湾曲の形状と、第2筐体における表面の湾曲の形状とは同じである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの筐体を備えた携帯端末装置において一の筐体に対して他の筐体を回転させることができる筐体連結機構、および筐体連結機構を備えた携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示部を有する表示部側筐体(以下、第1筐体またはR側筐体ともいう。)と操作部を有する操作部側筐体(以下、第2筐体またはM側筐体ともいう。)とを回転連結機構で連結し、M側筐体に対してR側筐体を回転させることができる携帯電話機がある(例えば、特許文献1参照)。そのような携帯電話機のユーザは、1セグメント放送(ワンセグ)を視聴するとき等にR側筐体を回転させる。具体的には、操作部が設けられている表面の形状が矩形であるM側筐体の長辺に対して、表示部が設けられている表面の形状が矩形であるR側筐体の長辺が90゜の角度をなすように、R側筐体を回転させる。以下、M側筐体の長辺に対してR側筐体の長辺が90゜の角度をなすような位置関係を、「90゜回転した位置」のように表現する。また、R側筐体が回転を始める前の位置を、「初期位置」または「0゜の位置」のように表現する。R側筐体がM側筐体に対して初期位置にあるときには、R側筐体の裏面(表示部が設けられているいない面)が、M側筐体の表面を覆っている。
【0003】
90゜回転した位置から、R側筐体を、M側筐体に対してさらに90゜回転させることが可能であるように構成された携帯電話機がある。R側筐体が、M側筐体に対してさらに90゜回転した位置に設定された状態は、初期位置から180゜回転した位置に相当するので、以下、その状態を、「180゜回転した位置」のように表現する。一般に、ユーザは、通話を行うときに、R側筐体を「180゜回転した位置」に設定する。
【0004】
表示部側筐体と操作部側筐体とを備え、ユーザが操作または通話を行うときに、表示部側筐体が操作部側筐体を塞いだ状態すなわち閉じられた状態から、表示部側筐体が開いた状態に設定される折り畳み型の携帯電話機がある(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載されているように、折り畳み型の携帯電話機では、開かれた状態では、一般に、表示部側筐体の表面と操作部側筐体の表面とが平行にならないように、表示部側筐体の回転が規制される。表示部側筐体の表面と操作部側筐体の表面とが平行にまで達すると、ユーザが表示部の画面を見ながら操作を行う際に、却って、画面が見づらくなるからである。すなわち、表示部側筐体と操作部側筐体とがフラットになると、視認性が低下するからである。また、表示部側筐体と操作部側筐体とがフラットになると、表示部側筐体または操作部側筐体がユーザの顔から離れるので、通話がしづらくなるからである。
【0005】
表示部側筐体が操作部側筐体に対して開閉するように構成された折り畳み型の携帯電話機では、開かれた状態において表示部側筐体と操作部側筐体とがフラットにならないようにすることは容易である。単に、表示部側筐体の回転を規制する構造にすればよいからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2006−19925号公報
【特許文献2】国際公開第2003/47218号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
表示部側筐体が操作部側筐体に対して90゜回転した位置にまで回転可能であったり、さらに、180゜回転した位置にまで回転可能であるように構成された携帯電話機でも、90゜回転した位置や180゜回転した位置にあるときに、表示部側筐体と操作部側筐体とがフラットにならないようにすることが好ましい。
【0008】
以下、表示部側筐体が操作部側筐体に対して90゜回転した位置にまで回転可能であったり、さらに、180゜回転した位置にまで回転可能であるように構成された携帯電話機を、「筐体がスライド回転する携帯電話機」と表現し、90゜回転した位置または180゜回転した位置を、「回転後の位置」と表現する。また、2つの筐体の位置関係が、「初期位置(0゜の位置)」、「90゜回転した位置」および「180゜回転した位置」にある状態を、3つのスタイルということがある。
【0009】
上記のように、筐体がスライド回転する携帯電話機において、表示部側筐体が回転後の位置に設定されたときに、表示部側筐体と操作部側筐体とがフラットにならないようにすることが好ましいが、そのようにすることは、折り畳み型の携帯電話機に比べると、容易ではない。
【0010】
筐体がスライド回転する携帯電話機において、「90゜回転した位置」にある状態および「180゜回転した位置」にある状態で表示部側筐体と操作部側筐体とがフラットにならないようにするために、回転連結機構を傾けて携帯電話機に組み込むことが考えられる。
【0011】
しかし、単に回転連結機構を傾けて携帯電話機に組み込んだだけでは、表示部側筐体と操作部側筐体とのクリアランス(隙間)を確保できなくなるおそれがある。すなわち、表示部側筐体を回転させるときに、表示部側筐体の一部が操作部側筐体に当り、表示部側筐体の回転が阻害されるおそれがある。また、回転連結機構を傾けて携帯電話機に組み込むと、実効的な回転連結機構の高さが高くなり、携帯電話機の厚さが増加してしまう。
【0012】
そこで、本発明は、第2筐体に対して第1筐体を回転させ、回転後の状態において第1筐体と第2筐体とがフラットにならないようにする構造において、装置の厚さを増加させることなく、円滑に第1筐体を回転させることができる筐体連結機構、およびそのような筐体連結機構を備えた携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による筐体回転機構は、第1筐体を回転可能に第2筐体に連結する筐体連結機構であって、接続部材によって第1筐体に固定される平板状の第1部材と、第2筐体に固定される平板状の第2部材とを含む筐体回転機構を備え、筐体回転機構は、第1筐体における第2筐体に対向する面である裏面の側であって、かつ、第2筐体における第1筐体に対向する面である表面の側に配置され、接続部材は、力を受けると、第2部材の裏面側で移動するように配置され、筐体回転機構は、第2筐体の縦断面に対して所定角度傾いて取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明による携帯端末装置は、第1筐体と、第2筐体と、第1筐体を回転可能に第2筐体に連結する筐体連結機構とを備えた携帯端末装置であって、第1筐体における第2筐体に対向する面の反対側の面である表面に表示部が設けられ、筐体連結機構は、接続部材によって第1筐体に固定される平板状の第1部材と、第2筐体に固定される平板状の第2部材とを有する筐体回転機構を含み、筐体回転機構は、第1筐体における第2筐体に対向する面である裏面側であって、かつ、第2筐体における第1筐体に対向する面である表面側に配置され、接続部材は、力を受けると、第2部材の裏面側で移動するように配置され、筐体回転機構は、第2筐体の縦断面に対して所定角度傾いて取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第2筐体に対して第1筐体を回転させ、回転後の状態において第1筐体と第2筐体とがフラットにならないようにする構造において、装置の厚さを増加させることなく、円滑に第1筐体を回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】携帯電話機を示す正面図である。
【図2】筐体回転機構の一例を示す斜視図である。
【図3】筐体回転機構を構成する各部品を示す分解斜視図である。
【図4】ベースプレートとスイングプレートとの位置関係を示す平面図である。
【図5】筐体連結機構を備えた携帯電話機を折り畳み型の携帯電話機ととも示す側面図である。
【図6】携帯電話機に対する筐体回転機構の取り付け方を説明するための分解斜視図である。
【図7】携帯電話機に対する筐体回転機構の取り付け方を説明するための側面図である。
【図8】筐体回転機構の取り付け方をより具体的に説明するための側面図である。
【図9】M側筐体における凹部の部位を拡大して示す拡大図である。
【図10】携帯電話機における3つのスタイルにおけるR側筐体とM側筐体との位置関係を示す側面図である。
【図11】R側筐体の表面がM側筐体の長軸に対して傾く理由を説明するための説明図である。
【図12】携帯電話機に対する筐体回転機構の取り付け方の比較例を示す側面図である。
【図13】比較例での携帯電話機における3つのスタイルにおけるR側筐体とM側筐体との位置関係を示す側面図である。
【図14】第2の実施形態の携帯電話機における筐体回転機構の取り付け方を説明するための側面図である。
【図15】第2の実施形態の携帯電話機における3つのスタイルにおけるR側筐体とM側筐体との位置関係を示す側面図である。
【図16】第3の実施形態の携帯電話機における筐体回転機構の取り付け方を説明するための側面図である。
【図17】第3の実施形態の携帯電話機における3つのスタイルにおけるR側筐体とM側筐体との位置関係を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明による筐体連結機構を備えた携帯端末装置の一例である携帯電話機を示す正面図である。本発明による携帯電話機1は、3つのスタイルを実現することが可能である。図1には、3つのスタイルが示されている。
【0019】
図1に示すように、携帯電話機1は、表示部側筐体(第1筐体:R側筐体)10と操作部側筐体(第2筐体:M側筐体)20とを備えている。R側筐体10とM側筐体20とは、R側筐体10がM側筐体20に対して回転可能に、筐体連結機構で連結されている。R側筐体10の表面には、LCD等による表示部(図示せず)が設けられている。M側筐体20の表面には、操作部(キーシート)21が設けられている。
【0020】
図1(A)には、R側筐体10が「初期位置」にある状態が示されている。図1(B)には、R側筐体10が「90゜回転した位置」にある状態が示されている。図1(C)には、R側筐体10が「180゜回転した位置」にある状態が示されている。
【0021】
なお、一般に、ユーザは、操作を行ったりワンセグの視聴を行うときにR側筐体10を「90゜回転した位置」に設定し、操作を行ったり通話を行うときにR側筐体10を「180゜回転した位置」に設定する。
【0022】
まず、本発明の前提になる筐体回転機構を説明する。図2は、筐体回転機構の一例を示す斜視図である。図2(A)は、筐体回転機構の表面の斜視図であり、図2(B)は、筐体回転機構の裏面の斜視図である。
【0023】
図3は、筐体回転機構を構成する各部品を示す分解斜視図である。図3(A)は、筐体回転機構の表面の分解斜視図であり、図3(B)は、筐体回転機構の裏面の分解斜視図である。
【0024】
図2および図3に示す筐体回転機構30は、金属製の板状のベースプレート32と金属製の板状のスイングプレート31とを含む。スイングプレート31に取付られているガイドスリーブ36の貫通穴には、R側筐体10に接続されたピン(図示せず)が嵌め込まれる。よって、R側筐体10は、ピンおよびガイドスリーブ36を介してスイングプレート31に固定される。また、ベースプレート32は、M側筐体20に固着される。
【0025】
ベースプレート32の両端部には、ピン(スイングピン)34,35が設けられている。スイングピン34は、図2(A)に示す状態である「初期位置」から図2(A)に示す矢印の方向にスイングプレート31が回転するときに、回転の支点になる。また、スイングプレート31の先端には、鉤部31aが設けられている。鉤部31aの凹部は、スイングプレート31が矢印の方向に90゜回転したときに、スイングピン35に嵌り込む。従って、R側筐体10が90゜回転したときに、回転が停止される。換言すれば、スイングピン35は、R側筐体10が90゜以上回転しないようにする規制部材としての役割も果たす。
【0026】
図2(B)に示すように、ベースプレート32を挟んで、スイングプレート31の裏側には、ばね41が、ガイドスリーブ36の襟部を介してスイングプレート31に取り付けられている。
【0027】
図2および図3に示すように、ばね41は、渦巻き状に形成されている。そして、ばね41の一端が延伸され、延伸した線状部が、ガイドスリーブ36に巻き付くようにして固定される。よって、ばね41は、ガイドスリーブ36を介してスイングプレート31に抗力を与える。
【0028】
また、ばね41の他端が延伸され、延伸した線状部が、ばねワッシャ42に巻き付くようにして固定される。ばねワッシャ42は、ベースプレート32に固定されている。よって、ばね41が移動するときに、ばねワッシャ42を支点にして移動を行う。
【0029】
また、ベースプレート32には、貫通部33が設けられている。図2および図3に示すように、貫通部33は、略V字型に形成されている。また、貫通部33の幅は、ガイドスリーブ36の径(直径)よりも小さい。
【0030】
ばね41は、図2(A)に示す「初期位置」から矢印の方向(図2(A)参照)にスイングプレート31が回転するときに、スイングプレート31に対して回転方向と反対方向の抗力を与える。抗力よりも大きい回転方向(図2(A)に示す矢印方向)の力がスイングプレート31に加わると、スイングプレート31の回転に伴って、ガイドスリーブ36が貫通部33に沿って移動する。なお、スイングプレート31に加わる回転方向の力は、R側筐体10から与えられる。R側筐体10には、R側筐体10を回転させようとするユーザから力が与えられる。
【0031】
図4は、ベースプレート32とスイングプレート31との位置関係を示す平面図である。図4(A)は、「初期位置」におけるベースプレート32とスイングプレート31との位置関係を示す。図4(B)は、「90゜回転した状態」におけるベースプレート32とスイングプレート31との位置関係を示す。図4(C)は、「180゜回転した状態」におけるベースプレート32とスイングプレート31との位置関係を示す。
【0032】
図2(A)および図4(A)に示すように、「初期位置」では、ガイドスリーブ36は、V字における\の部分(領域33a)の最上部に位置している。スイングピン34を支点にして、矢印の方向(図2(A)参照)にスイングプレート31が回転するにつれて、ガイドスリーブ36は、V字における\の部分の下部に移動する。ガイドスリーブ36が、V字における\と/(領域33c)との合流部を通過すると、ばね41の渦巻き部分は、貫通部33におけるV字の下部33bに向かって移動し、ガイドスリーブ36は、領域33cに入り込む。
【0033】
貫通部33は、ガイドスリーブ36が下部33bの最下部に当接したときに、鉤部31aの凹部がスイングピン35に嵌り込むことになるように形成されている。
【0034】
スイングプレート31は、ガイドスリーブ36の中心を通る軸に対して、ほぼ左右対称な形状に形成されている。よって、鉤部31aの反対側に、鉤部31aと同形状の鉤部31bが設けられている。スイングプレート31が90゜回転した状態では、図4(B)に示すように、鉤部31aの凹部がスイングピン35に嵌り込むとともに、鉤部31bの凹部がスイングピン34に嵌り込んでいる。なお、鉤部31aの凹部はスイングピン35の周囲で回転可能であり、鉤部31bの凹部はスイングピン34の周囲で回転可能である。
【0035】
鉤部31aの凹部がスイングピン35に嵌り込むとともに、鉤部31bの凹部がスイングピン34に嵌り込んでいる状態、すなわち、スイングプレート31が90゜回転した状態(R側筐体10が90゜回転した状態でもある。)において、スイングプレート31の短辺部37に力が加わると、スイングプレート31は、「初期位置」に戻ろうとするか、または、R側筐体10が180゜回転した状態になるように移動する。
【0036】
スイングプレート31の短辺部37において、スイングピン35に近い方に力が加わると、スイングプレート31は、「初期位置」に戻ろうとする。
【0037】
スイングプレート31の短辺部37において、スイングピン34に近い方に力が加わると、スイングプレート31は、R側筐体10が180゜回転した状態(、スイングプレート31が180゜回転した状態でもある。)になるように移動する。すなわち、鉤部31bがスイングピン34から離れ、スイングプレート31は、スイングピン35を支点にして回転する。R側筐体10が180゜回転した状態になるようにスイングプレート31が回転しているときには、ばね41の渦巻き部分およびガイドスリーブ36は、貫通部33のV字における/の部分(領域33c)の上部に向かって移動する。
【0038】
スイングプレート31が180゜回転した状態では、図4(C)に示すように、ガイドスリーブ36がV字における/の部分の最上部に当接するとともに、ばね41の渦巻き部分は、貫通部33から外れた部分に位置する。なお、図2(A)および図4(A)に示す「初期位置」では、ガイドスリーブ36がV字における\の部分の最上部に当接するとともに、ばね41の渦巻き部分は、貫通部33から外れた部分に位置する。
【0039】
スイングプレート31が180゜回転した状態において、スイングプレート31の長辺部38に力が加わると、スイングプレート31は、「90゜回転した状態」に戻ろうとする。
【0040】
以上のような筐体回転機構30の仕組みによって、スイングプレート31は、ベースプレート32に対して、「初期位置(0゜の位置)」、「90゜回転した位置」または「180゜回転した位置」になることができる。スイングプレート31にはR側筐体10が固着され、ベースプレート32はM側筐体20に固定されているので、M側筐体20に対してR側筐体10が「初期位置」、「90゜回転した位置」または「180゜回転した位置」にある状態になることができる。すなわち、携帯電話機は、3つのスタイルのいずれかになることができる。
【0041】
図5は、本発明による筐体連結機構を備えた携帯電話機を折り畳み型の携帯電話機ととも示す側面図である。図5(A)に示すように、折り畳み型の携帯電話機では、開かれた状態では、表示部側筐体110の表面と操作部側筐体120の表面とが平行にならないように、表示部側筐体110の回転が規制される。
【0042】
また、図5(B)に示すように、筐体がスライド回転する携帯電話機において、表示部側筐体210が回転した後の状態において、表示部側筐体210の表面と操作部側筐体220の表面とが平行になっている場合には、図5(A)に示された折り畳み型の携帯電話機の場合に比べて、ユーザの表示部に対する視認性がよくない。
【0043】
しかし、図5(C)に示すように、筐体がスライド回転する携帯電話機において、表示部側筐体10が回転した後の状態において、R側筐体(表示部側筐体)10の表面とM側筐体(操作部側筐体)20の表面とが平行になっていない場合には、図5(A)に示す場合と同様に、ユーザの表示部に対する視認性が低下しない。なお、R側筐体10の表面とM側筐体20の表面とが平行になっていない状態は、具体的には、R側筐体10の上部が視認者(ユーザ)側に傾いている状態である。
【0044】
実施形態1.
次に、図2および図3に示されたような携帯電話機における3つのスタイルを実現することが可能な筐体回転機構30を用いた筐体連結機構を説明する。
【0045】
図6は、携帯電話機に対する筐体回転機構30の取り付け方を説明するための分解斜視図である。図6に示すように、携帯電話機において、筐体回転機構30は、R側筐体10とM側筐体20との間に取り付けられる。具体的には、、筐体回転機構30におけるスイングプレート31がR側筐体10に固定され、ベースプレート32がM側筐体20に固定される。
【0046】
図7は、携帯電話機に対する筐体回転機構30の取り付け方を説明するための側面図である。図7に示すように、筐体回転機構30は、M側筐体20に対して、所定角度傾けて携帯電話機に取り付けられる。本実施形態では、所定角度は、一例として、1.5゜である。
【0047】
また、「所定角度(この例では、1.5゜)傾ける」とは、具体的には、ベースプレート32およびスイングプレート31の面を傾けることである。より具体的には、筐体回転機構30における携帯電話機の下端(図7における下側)に近い側の端部30aと上端(図7における上側)に近い側の端部30bとを結ぶ直線を、M側筐体20の縦断面(側面図における長軸20aに対応)に対して、R側筐体10の方に1.5゜傾けることである。
【0048】
また、R側筐体10の裏面(M側筐体20に対向する面)には、Rが付けられている。すなわち、R側筐体10における裏面の側面形状は、R側筐体10の上端と下端とを結ぶ線分の中点において、その線分に直交する直線上にある点(R側筐体10の表面側の遠方にある点)を中心にした円弧状である。よって、R側筐体10の裏面は、M側筐体20に対して膨らむように湾曲している。なお、円弧の中心が存在する点は、R側筐体10の上端と下端とを結ぶ線分の中点からややずれた点を通過する直線上にあってもよい。
【0049】
よって、中央部10aからR側筐体10の上端(図7における上側)に向かう曲面と、中央部10aからR側筐体10の下端(図7における下側)に向かう曲面とはほぼ同じである。すなわち、R側筐体10における裏面は、図7に示す側面図において、中央部10aに対してほぼ左右対称である。
【0050】
湾曲の程度は、R側筐体10の裏面の上部および下部に比べて、R側筐体10の裏面の中央部10aの近傍では小さくなる。つまり、中央部10aを含む領域では、上部および下部に比べて、図7の側面図におけるR側筐体10の上下方向の位置の違い(距離差)に応じた左右方向の位置の違い(距離差)の程度が小さい。そして、例えば、仮にR側筐体10の裏面において中央部10aを含む領域(中央領域)が平坦であるとみなすと、R側筐体10の裏面の上部および下部は、R側筐体10の裏面の中央領域に対して、それぞれ、1.5゜程度(例えば、正確に1.5゜)傾いている。
【0051】
また、M側筐体20における表面(R側筐体10に対向する面)には、R側筐体10に付けられたRと同じRが付けられている。すなわち、R側筐体10に対して凹むように湾曲している。よって、R側筐体10の裏面の形状(図7の側面図を見た場合に形状)とM側筐体20の表面の形状(図7の側面図を見た場合に形状)とは同じである。
【0052】
図8は、筐体回転機構30の取り付け方をより具体的に説明するための側面図である。図8に示すように、M側筐体20の上部(図8では、M側筐体20の長手方向の上側)に、筐体回転機構30におけるベースプレート32が嵌り込む凹部22が形成されている。
【0053】
図9は、M側筐体20における凹部22の部位を拡大して示す拡大図である。図8および図9に示す例では、ベースプレート32は、凹部22の内部のリブの表面(図9において黒で示されている部分)で支えられる。以下、リブの表面(図9において黒色で示されている部分)を、支え部23という。ただし、図9には、支え部の一部にのみ符号(23)が付されている。
【0054】
支え部23は、M側筐体20の長軸20a(図7参照)に対して、1.5゜傾いている。具体的には、支え部23が形成する平面(リブの表面である支え部23を含む平面)を仮定し、かつ、支え部23をM側筐体20の側面から眺めた場合に、支え部23が形成する平面が、図7に示す直線A(長軸20aと平行)に対して1.5゜傾いた状態になる(図7に示す直線Bのようになる。)ように、支え部23が形成されている。
【0055】
なお、回転連結機構は、筐体回転機構30と、M側筐体20に形成されている凹部22とで実現されている。
【0056】
次に、図10を参照して、携帯電話機における3つのスタイルにおけるR側筐体10とM側筐体20との位置関係を説明する。図10(A)は、「初期位置(0゜の位置)」におけるR側筐体10とM側筐体20との位置関係を示す。図10(B)は、「90゜回転した位置」におけるR側筐体10とM側筐体20との位置関係を示す。図10(C)は、「180゜回転した位置」におけるR側筐体10とM側筐体20との位置関係を示す。
【0057】
「初期位置」では、R側筐体10の表面は、M側筐体20の長軸20aに対して平行な状態になる。なお、筐体回転機構30は、M側筐体20の長軸20aに対して1.5゜傾いているので、その付近において、R側筐体10の裏面は、M側筐体20の長軸20aに対して傾いていることになる。すなわち、湾曲している。しかし、R側筐体10の表面は、M側筐体20の長軸20aに平行である。
【0058】
また、R側筐体10およびM側筐体20の上部において、R側筐体10とM側筐体20とが接触しないようにクリアランスが確保されている。
【0059】
「初期位置」から、R側筐体10の下部が、図10における紙面背面側に押され、90゜回転すると、R側筐体10が、図10(B)に示す「90゜回転した位置」に到達する。「90゜回転した位置」では、R側筐体10の表面は、M側筐体20の長軸20aに対してほぼ1.5゜傾いている。
【0060】
また、R側筐体10の裏面とR側筐体10の表面とに同じRが付けられていることから、「90゜回転した位置」でも、R側筐体10およびM側筐体20の上部において、R側筐体10とM側筐体20とが接触しないようにクリアランスが確保される。
【0061】
「90゜回転した位置」から、その位置におけるR側筐体10の右側(紙面表面に近い側)に対して下向きの力が加わると、R側筐体10が、図10(C)に示す「180゜回転した位置」になる。「180゜回転した位置」では、R側筐体10の表面は、M側筐体20の長軸20aに対してほぼ3.0゜傾いている。
【0062】
また、R側筐体10の裏面とR側筐体10の表面とに同じRが付けられていることから、「180゜回転した位置」でも、R側筐体10およびM側筐体20の上部において、R側筐体10とM側筐体20とが接触しないようにクリアランスが確保される。
【0063】
図11は、M側筐体20に対してR側筐体10が回転すると、R側筐体10の表面がM側筐体20の長軸に対して傾く理由を説明するための説明図である。図11には、R側筐体10、M側筐体20および筐体回転機構30が模式的に示されている。図11(A)は、「初期位置(0゜の位置)」におけるR側筐体10とM側筐体20との位置関係を示す。図11(B)は、「90゜回転した位置」におけるR側筐体10とM側筐体20との位置関係を示す。図11(C)は、「180゜回転した位置」におけるR側筐体10とM側筐体20との位置関係を示す。
【0064】
また、図11(A),(B),(C)の左側には、R側筐体10とM側筐体20との位置関係を示す模式的な平面図が示され、図11(A),(B),(C)の右側には、R側筐体10とM側筐体20との位置関係を示す模式的な側面図が示されている。
【0065】
図11(A),(B),(C)に示すように、筐体回転機構30の平面は、M側筐体20の長軸に対して1.5゜傾いている。筐体回転機構30におけるベースプレート32はM側筐体20に固定されているので、R側筐体10の回転軸は、常に、M側筐体20の長軸に直交する直線に対して1.5゜傾いている。
【0066】
図11(A)に示すように、「初期位置」では、M側筐体20の長軸に対してR側筐体10の表面は平行な状態になっている。よって、表示部11の表示面は、M側筐体20の長軸に対して傾いていない。
【0067】
図11(B)に示すように、「90゜回転した位置」では、R側筐体10の裏面の中央領域12がM側筐体20と対向する。上述したように、中央領域12の湾曲の程度は、それ以外の領域に比べて小さい。すなわち、平坦に近い。すると、M側筐体20の表面における筐体回転機構30が取り付けられている部分と、R側筐体10の裏面の中央領域12と、R側筐体10の表面とは、平行な状態に近い状態になる。M側筐体20の表面における筐体回転機構30が取り付けられている部分は、M側筐体20の長軸に対してほぼ1.5゜傾いているので、R側筐体10の表面も、1.5゜傾くことになる。
【0068】
図11(C)に示すように、「180゜回転した位置」では、R側筐体10の裏面の領域13がM側筐体20と対向する。上述したように、領域13は、R側筐体10の表面に対して、ほぼ1.5゜傾いている。また、領域13は、M側筐体20の表面に対してほぼ平行になるので、M側筐体20の長軸に対して既に、1.5゜傾いていることになる。よって、R側筐体10の表面は、M側筐体20の長軸に対してほぼ3.0゜傾く。
【0069】
以上に説明したように、3つのスタイルを実現することが可能な携帯電話機において、操作や通話を行ったりワンセグの視聴を行うときに、表示部の表面を、M側筐体20に対して傾けることができる。具体的には、筐体回転機構30がM側筐体20の長軸に対して1.5゜傾いている場合には、「90゜回転した位置」では、表示部の表面は、ほぼ1.5゜傾く。また、「180゜回転した位置」では、M側筐体20の長軸に対するR側筐体10の裏面の領域13の傾きが1.5゜である場合には、表示部の表面は、ほぼ3.0゜(「90゜回転した位置」での傾きと、R側筐体10の裏面の領域13の傾きとの和)傾く。
【0070】
また、R側筐体10とM側筐体20との外形形状を、3つのスタイルのいずれにおいてもR側筐体10とM側筐体20とが接触しないようにクリアランスを確保できる形状にしたので、表示部の表面をM側筐体20に対して傾けるようにする際にR側筐体10の回転が阻害されることはない。
【0071】
本実施形態では、一般的な折りたたみ型携帯電話機と同様に、表示部を傾けることが可能になって、ユーザは画面を見やすい。また、R側筐体10とM側筐体20との向かい合う面をR形状にすることによって装置厚みの増加を防止することが可能になり、デザイン性および商品をが向上させることができる。
【0072】
なお、第1の実施形態では、筐体回転機構30を1.5゜傾けて携帯電話機に組み込む例について説明したが、「1.5゜」は一例であって、傾きの程度を1.5゜以外にしてもよい。
【0073】
図12は、携帯電話機に対する筐体回転機構30の取り付け方の比較例を示す側面図である。図7に示された本実施形態の場合とは異なり、図12に示す比較例では、R側筐体210における裏面およびM側筐体220の表面は、M側筐体220の長軸20aに平行であり、かつ、平坦である。そのようなR側筐体210とM側筐体220とを用い、筐体回転機構30を、M側筐体220の長軸20aに対して所定角度(一例として、1.5゜)傾けて携帯電話機に取り付けることを想定する。
【0074】
図13は、図12に示された比較例での携帯電話機における3つのスタイルにおけるR側筐体210とM側筐体220との位置関係を示す側面図である。図13(A)に示すように、R側筐体210およびM側筐体220の上部におけるクリアランスと、R側筐体210およびM側筐体220の下部におけるクリアランスとは同じである。
【0075】
図13(A)に示すように、「初期位置」では、R側筐体10の表面とM側筐体20の裏面とは平行している。
【0076】
「初期位置」から、R側筐体10が90゜回転すると、R側筐体10は、図13(B)に示す「90゜回転した位置」に到達する。「90゜回転した位置」では、R側筐体10の表面は、M側筐体20の長軸20aに対して1.5゜傾いている。その状態では、図13(B)に示すように、上部においてクリアランスは確保されているが、下部において、クリアランスの余裕が小さくなる。
【0077】
そして、図13(C)に示すように、「180゜回転した位置」では、下部において、クリアランスの余裕がさらに小さくなる。図13(C)には、クリアランスが確保されていない例が示されている。すなわち、実際にはR側筐体10が「180゜回転した位置」に到達できない例が示されている。
【0078】
「180゜回転した位置」においてもクリアランスを確保できるようにするには、筐体回転機構30の高さを高くして(筐体回転機構30を厚くして)、「初期位置」におけるクリアランス(隙間)を大きくしておく必要がある。その場合には、携帯電話機の厚みが大きくなってしまう。
【0079】
実施形態2.
第1の実施形態では、R側筐体10およびM側筐体20の形状として、R側筐体10の裏面とM側筐体20の表面とに同じRを付けた形状を採用することによって、すなわち、同程度に湾曲させた形状を採用することによって、「90゜回転した位置」および「180゜回転した位置」におけるR側筐体10とM側筐体20との間のクリアランスを確保するようにしたが、R側筐体10およびM側筐体20の他の形状によって、クリアランスを確保するようにしてもよい。
【0080】
図14は、第2の実施形態の携帯電話機における筐体回転機構30の取り付け方を説明するための側面図である。図14に示すように、第1の実施形態の場合と同様に、筐体回転機構30は、M側筐体25に対して、所定角度傾けて携帯電話機に取り付けられる。本実施形態では、所定角度は、一例として、1.5゜である。
【0081】
図15を参照して、第2の実施形態の携帯電話機における3つのスタイルにおけるR側筐体15とM側筐体25との位置関係を説明する。図15(A)は、「初期位置(0゜の位置)」におけるR側筐体15とM側筐体25との位置関係を示す。図15(B)は、「90゜回転した位置」におけるR側筐体15とM側筐体25との位置関係を示す。図15(C)は、「180゜回転した位置」におけるR側筐体15とM側筐体25との位置関係を示す。
【0082】
図12に示された比較例の場合とは異なり、図14および図15に示す第2の実施形態では、R側筐体15における裏面およびM側筐体25の表面は、それぞれ、平坦であるが、M側筐体25の長軸20aに対して所定角度(一例として、1.5゜)傾いている。所定角度は、筐体回転機構30が傾いている角度と同じである。
【0083】
M側筐体25は、下部に向かって幅(厚さ)が窄まるように形成されているので、R側筐体15が「初期位置」から「90゜回転した位置」にまで回転するときにも、「90゜回転した位置」から「180゜回転した位置」にまで回転するときにも、R側筐体15とM側筐体25との間のクリアランスが確保される。すなわち、R側筐体15の回転がM側筐体25に阻害されて「180゜回転した位置」にまで到達できないということはない。
【0084】
実施形態3.
図16は、第3の実施形態の携帯電話機における筐体回転機構30の取り付け方を説明するための側面図である。図16に示すように、第1の実施形態および第2の実施形態の場合と同様に、筐体回転機構30は、M側筐体26に対して、所定角度傾けて携帯電話機に取り付けられる。本実施形態では、所定角度は、一例として、1.5゜である。
【0085】
図17を参照して、第3の実施形態の携帯電話機における3つのスタイルにおけるR側筐体16とM側筐体26との位置関係を説明する。図17(A)は、「初期位置(0゜の位置)」におけるR側筐体16とM側筐体26との位置関係を示す。図17(B)は、「90゜回転した位置」におけるR側筐体16とM側筐体26との位置関係を示す。図17(C)は、「180゜回転した位置」におけるR側筐体16とM側筐体26との位置関係を示す。
【0086】
第1の実施形態では、R側筐体10およびM側筐体20の形状として、R側筐体10の裏面とM側筐体20の表面とに同じRを付けた形状を採用したが、第3の実施形態では、R側筐体16における裏面およびM側筐体26の表面は、それぞれ、3つの平面(側面図では、3つの直線X,Y,Zで表される。)で構成されている。上部の平面(筐体回転機構30の取り付け部を含む平面)は、R側筐体16の中央部に向かうにつれてR側筐体16の幅(厚さ)が大きくなるようにする平面である。具体的には、M側筐体26の長軸20aに対して所定角度(一例として、1.5゜)傾いている。所定角度は、筐体回転機構30が傾いている角度と同じである。中央部の平面は、M側筐体26の長軸20aに対して平行な平面である。下部の平面(筐体回転機構30の取り付け部から最も遠い平面)は、R側筐体16の下部に向かうにつれてR側筐体16の幅(厚さ)が小さくなるようにする平面である。
【0087】
そして、M側筐体26の表面は、いずれの地点でも、R側筐体16の裏面との間の距離が同じになるように形成される。つまり、3つの平面(側面図では、3つの直線X,Y,Zで表される。)で構成されている。具体的には、上部の平面(筐体回転機構30の取り付け部を含む平面)は、M側筐体26の長軸20aに対して所定角度(一例として、1.5゜)傾いている。所定角度は、筐体回転機構30が傾いている角度と同じである。
【0088】
第1の実施形態および第2の実施形態の場合と同様に、M側筐体26における直線Xに対応する平面を含む部分では、下部(具体的には、中央部)に向かって幅(厚さ)が窄まるように形成されている。よって、第1の実施形態および第2の実施形態の場合と同様に、R側筐体16が「初期位置」から「90゜回転した位置」にまで回転するときにも、「90゜回転した位置」から「180゜回転した位置」にまで回転するときにも、R側筐体16とM側筐体26との間のクリアランスが確保される。すなわち、R側筐体16の回転がM側筐体26に阻害されて「180゜回転した位置」にまで到達できないということはない。
【0089】
なお、本実施形態では、R側筐体16とM側筐体26との向かい合う面を3つの平面で構成したが、より多くの平面で構成するようにしてもよい。
【0090】
また、第1〜第3の実施形態では、携帯端末装置として携帯電話機を例にしたが、携帯電話機以外の複数の筐体を含む端末装置であって1つの筐体が他の筐体に対して回転可能に構成されている端末装置に対して本発明を適用することができる。
【0091】
また、上記の各実施形態では、以下のような筐体連結機構および携帯端末装置が開示されている。
【0092】
(1)接続部材(例えば、ガイドスリーブ36)によって第1筐体(例えば、R側筐体10)に固定される平板状の第1部材(例えば、スイングプレート31)と、第2筐体(例えば、M側筐体20)に固定される平板状の第2部材(例えば、ベースプレート32)とを含む筐体回転機構を備え、筐体回転機構が、第1筐体における第2筐体に対向する面である裏面の側であって、かつ、第2筐体における第1筐体に対向する面である表面の側に配置され、接続部材は、力を受けると、第2部材の裏面側で移動するように配置され、筐体回転機構は、第2筐体の縦断面に対して所定角度傾いて取り付けられている筐体連結機構。筐体回転機構は、上端(例えば、図7に示す端部30b)が第1筐体の側に倒れ込むように取り付けられている。
【0093】
(2)第2部材を支持するために第2筐体における表面に設けられた凹部(例えば、図8に示す凹部22)を含み、凹部の内部における第2部材を支える部位の表面(例えば、支え部23)が、第2筐体の縦断面に対して所定角度傾いて形成されている筐体連結機構。
【0094】
(3)第2部材における2つの端部のそれぞれに回転軸部材(例えば、スイングピン34,35)が設けられ、第1部材における2つの端部のそれぞれに、回転軸部材に係合可能な鉤部(例えば、鉤部31a,31b)が設けられ、第1部材が第1位置(例えば、「初期位置」)に位置するときには、第1部材における一方の鉤部(例えば、鉤部31a)が第2部材における回転軸部材の一方(例えば、スイングピン34)に係合するとともに、第1部材における他方の鉤部は回転軸部材に係合せず、第1部材が第2位置(例えば、「90゜回転した位置」)に位置するときには、第1部材における一方の鉤部が第2部材における回転軸部材の一方に係合するとともに、第1部材における他方の鉤部(例えば、鉤部31b)が第2部材における回転軸部材の他方(例えば、スイングピン35)に係合し、第1部材が第3位置(例えば、「180゜回転した位置」)に位置するときには、第1部材における他方の鉤部が第2部材における回転軸部材の他方に係合するとともに、第1部材における一方の鉤部は回転軸部材に係合せず、第1位置に位置しているときの第1部材と、第2位置に位置しているときの第1部材とがなす角度が90゜になり、第1位置に位置しているときの第1部材と、第3位置に位置しているときの第1部材とがなす角度が180゜になるように、回転軸部材が配置されている筐体連結機構。
【0095】
(4)第1筐体における裏面が、第2筐体に向かって膨らむように湾曲して形成され、第2筐体における表面が、第1筐体に対して凹むように湾曲して形成され(図7参照)、第1筐体における裏面の湾曲の形状と、第2筐体における表面の湾曲の形状とが同じである携帯端末装置。
【0096】
(5)第1筐体における裏面と、第2筐体における表面とは、それぞれ平面状に形成され、第1筐体における裏面および第2筐体における表面が、筐体回転機構の傾きと同じ傾きを有する(図14参照)ように形成された携帯端末装置。なお、「平面」には、完全に平坦な面の他、製造上許容される凹凸を有する面や、携帯端末装置に所定の機能を付与する際に生ずる凹凸(例えば、ねじ止め部において生ずる凹凸やデザインの観点から付与された凹凸)を含む面も含まれる。
【0097】
(6)第1筐体における裏面と、第2筐体における表面とは、それぞれ複数の平面で形成され、第1筐体における複数の平面のうちの中央部(例えば、図16に示す直線Yに対応する平面)に位置する面は第2筐体の縦断面に平行であり、第1筐体における複数の平面のうちの筐体回転機構が配置される面(例えば、図16に示す直線Xに対応する平面)は、筐体回転機構の傾きと同じ傾きを有し、第2筐体における複数の平面のうちの中央部に位置する面(例えば、図16に示す直線Yに対応する平面)は第2筐体の縦断面に平行であり、第2筐体における複数の平面のうちの筐体回転機構が配置される面(例えば、図16に示す直線Xに対応する平面)は、筐体回転機構の傾きと同じ傾きを有するように形成されている携帯端末装置。
【符号の説明】
【0098】
1 携帯電話機
10,15,16 R側筐体(第1筐体:表示部側筐体)
11 表示部
12 中央領域
13 領域
20,25,26 M側筐体(第2筐体:操作部側筐体)
20a 長軸
21 操作部
22 凹部
23 支え部
30 筐体回転機構
31 スイングプレート
31a,31b 鉤部
32 ベースプレート
33 貫通部
34,35 スイングピン
36 ガイドスリーブ
37 短辺部
38 長辺部
41 ばね
42 ばねワッシャ
110 表示部側筐体
120 操作部側筐体
210 表示部側筐体(R側筐体)
220 操作部側筐体(M側筐体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体を回転可能に第2筐体に連結する筐体連結機構であって、
接続部材によって前記第1筐体に固定される平板状の第1部材と、前記第2筐体に固定される平板状の第2部材とを含む筐体回転機構を備え、
前記筐体回転機構は、前記第1筐体における前記第2筐体に対向する面である裏面の側であって、かつ、前記第2筐体における前記第1筐体に対向する面である表面の側に配置され、
前記接続部材は、力を受けると、前記第2部材の裏面側で移動するように配置され、
前記筐体回転機構は、前記第2筐体の縦断面に対して所定角度傾いて取り付けられている
ことを特徴とする筐体連結機構。
【請求項2】
前記第2部材を支持するために前記第2筐体における表面に設けられた凹部を含み、
前記凹部の内部における前記第2部材を支える部位の表面が、前記第2筐体の縦断面に対して所定角度傾いて形成されている
請求項1記載の筐体連結機構。
【請求項3】
前記第2部材における2つの端部のそれぞれに回転軸部材が設けられ、
前記第1部材における2つの端部のそれぞれに、前記回転軸部材に係合可能な鉤部が設けられ、
前記第1部材が第1位置に位置するときには、前記第1部材における一方の鉤部が前記第2部材における前記回転軸部材の一方に係合するとともに、前記第1部材における他方の鉤部は前記回転軸部材に係合せず、
前記第1部材が第2位置に位置するときには、前記第1部材における一方の鉤部が前記第2部材における前記回転軸部材の一方に係合するとともに、前記第1部材における他方の鉤部が前記第2部材における前記回転軸部材の他方に係合し、
前記第1部材が第3位置に位置するときには、前記第1部材における他方の鉤部が前記第2部材における前記回転軸部材の他方に係合するとともに、前記第1部材における一方の鉤部は前記回転軸部材に係合せず、
前記第1位置に位置しているときの前記第1部材と、前記第2位置に位置しているときの前記第1部材とがなす角度が90゜になり、前記第1位置に位置しているときの前記第1部材と、前記第3位置に位置しているときの前記第1部材とがなす角度が180゜になるように、前記回転軸部材が配置されている
請求項1または請求項2記載の筐体連結機構。
【請求項4】
第1筐体と、第2筐体と、第1筐体を回転可能に第2筐体に連結する筐体連結機構とを備えた携帯端末装置であって、
前記第1筐体における前記第2筐体に対向する面の反対側の面である表面に表示部が設けられ、
前記筐体連結機構は、接続部材によって前記第1筐体に固定される平板状の第1部材と、前記第2筐体に固定される平板状の第2部材とを有する筐体回転機構を含み、
前記筐体回転機構は、前記第1筐体における前記第2筐体に対向する面である裏面側であって、かつ、前記第2筐体における前記第1筐体に対向する面である表面側に配置され、
前記接続部材は、力を受けると、前記第2部材の裏面側で移動するように配置され、
前記筐体回転機構は、前記第2筐体の縦断面に対して所定角度傾いて取り付けられている
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項5】
前記筐体回転機構は、上端が前記第1筐体の側に倒れ込むように取り付けられている
請求項4記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記第1筐体における裏面は、前記第2筐体に向かって膨らむように湾曲して形成され、
前記第2筐体における表面は、前記第1筐体に対して凹むように湾曲して形成され、
前記第1筐体における前記裏面の湾曲の形状と、前記第2筐体における前記表面の湾曲の形状とは同じである
請求項4または請求項5記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記第1筐体における裏面と、前記第2筐体における表面とは、それぞれ平面状に形成され、
前記第1筐体における裏面および前記第2筐体における表面は、前記筐体回転機構の傾きと同じ傾きを有する
請求項4または請求項5記載の携帯端末装置。
【請求項8】
前記第1筐体における裏面と、前記第2筐体における表面とは、それぞれ複数の平面で形成され、
前記第1筐体における複数の平面のうちの中央部に位置する面は前記第2筐体の縦断面に平行であり、
前記第1筐体における複数の平面のうちの前記筐体回転機構が配置される面は、前記筐体回転機構の傾きと同じ傾きを有し、
前記第2筐体における複数の平面のうちの中央部に位置する面は前記第2筐体の縦断面に平行であり、
前記第2筐体における複数の平面のうちの前記筐体回転機構が配置される面は、前記筐体回転機構の傾きと同じ傾きを有する
請求項4または請求項5記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記第2筐体における表面に、前記第2部材を支持する凹部が設けられ、
前記凹部の内部における前記第2部材を支える部位の表面が、前記第2筐体の縦断面に対して所定角度傾いて形成されている
請求項4から請求項8のうちのいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項10】
前記第2部材における2つの端部のそれぞれに回転軸部材が設けられ、
前記第1部材における2つの端部のそれぞれに、前記回転軸部材に係合可能な鉤部が設けられ、
前記第1部材が第1位置に位置するときには、前記第1部材における一方の鉤部が前記第2部材における前記回転軸部材の一方に係合するとともに、前記第1部材における他方の鉤部は前記回転軸部材に係合せず、
前記第1部材が第2位置に位置するときには、前記第1部材における一方の鉤部が前記第2部材における前記回転軸部材の一方に係合するとともに、前記第1部材における他方の鉤部が前記第2部材における前記回転軸部材の他方に係合し、
前記第1部材が第3位置に位置するときには、前記第1部材における他方の鉤部が前記第2部材における前記回転軸部材の他方に係合するとともに、前記第1部材における一方の鉤部は前記回転軸部材に係合せず、
前記第1位置に位置しているときの前記第1部材と、前記第2位置に位置しているときの前記第1部材とがなす角度が90゜になり、前記第1位置に位置しているときの前記第1部材と、前記第3位置に位置しているときの前記第1部材とがなす角度が180゜になるように、前記回転軸部材が配置されている
請求項4から請求項9のうちのいずれか1項に記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−216622(P2010−216622A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66683(P2009−66683)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】