説明

筒状熱収縮性ラベル、その製造方法およびラベル付き容器

【課題】剥離性を向上させた筒状熱収縮性ラベルを提供することを主要な目的とする。
【解決手段】筒状熱収縮性ラベル4は、基材フィルムの主収縮方向における一方の端部4aを他方の端部4bに重ね合わせるように、基材フィルムを折り曲げて、さらに重ね合わせ部分8を接着してなり、印刷が施された印刷部6と、上記主収縮方向と直交する方向において印刷部6を挟むように設けられた、印刷が施されていない一対の非印刷部5,5とを含む。非印刷部5の少なくとも一部に、引張破断強度が、23〜49MPaである、引張破断強度を低下させた部分7を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に筒状熱収縮性ラベルに関するものであり、より特定的には、その剥離性を向上させた筒状熱収縮性ラベルに関する。この発明はまた、そのような筒状熱収縮性ラベルの製造方法に関する。この発明は、またそのような筒状熱収縮性ラベルを装着してなるラベル付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PETボトル飲料の普及に伴い、各飲料メーカからは様々な商品が販売されている。これらPETボトル飲料は、他社との違いを明確にするために、また消費者層に対するイメージをよくするためなどの目的で、デザイン性を重視したラベルで装飾されている。
【0003】
PETボトル用の熱収縮性ラベルとしては、ポリエステル系収縮フィルム又はポリスチレン系収縮フィルムを基材としたものが知られている。また、図9に示すように、PETボトル1のリサイクル性の点から、熱収縮性ラベル2にミシン目3を施し、消費者が容易に容器からラベルを剥がせるようにしたものが多くなっている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−199415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、PETボトルの軽量化(薄膜化)が進む中、不注意によりPETボトルを落とした場合に、ラベル2がミシン目3から破れるという問題が起こっている。これは、特にポリスチレン系収縮性フィルムをラベルの基材として用いた場合に起こりやすい。また、反対に、ポリエステル系収縮性フィルムをラベルの基材とした場合には、落下によってミシン目3が破れることはないが、消費者がミシン目3に沿ってラベル2を剥がそうとしても破れにくく、無理に剥がそうとすると指先を痛めるといった問題も起こっている。
【0005】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、容器から容易に剥がすことができるように改良された筒状熱収縮性ラベルを提供することを目的とする。
【0006】
この発明の他の目的は、任意の位置から剥がすことができるように改良された筒状熱収縮性ラベルを提供することにある。
【0007】
この発明のさらに他の目的は、販売者の望む位置から剥がすことができるように改良された筒状熱収縮性ラベルを提供することにある。
【0008】
この発明のさらに他の目的は、そのような筒状熱収縮性ラベルの製造方法を提供することにある。
【0009】
この発明のさらに他の目的は、そのような筒状熱収縮性ラベルを装着してなる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に従う筒状熱収縮性ラベルは、容器の胴部外周に装着される筒状熱収縮性ラベルに係る。前記筒状熱収縮性ラベルは、基材フィルムの主収縮方向における一方の端部を他方の端部に重ね合わせるように、基材フィルムを折り曲げて、さらに重ね合わせ部分を接着してなり、印刷が施された印刷部と、前記主収縮方向と直交する方向において該印刷部を挟むように設けられた、印刷が施されていない一対の非印刷部とを含む。上記非印刷部の少なくとも一部に、引張破断強度が23〜49MPaである、引張破断強度を低下させた部分が形成されている。
【0011】
上記引張破断強度を低下させた部分の引張破断強度は、より好ましくは23〜28MPaである。この値より大きいと引き裂き難くなり、この値より小さいと、強度が弱すぎ、不注意により容器を落とした場合に破れてしまうおそれがある。
【0012】
この発明の好ましい実施態様によれば、上記非印刷部の少なくとも一部に有機溶剤を塗布することにより、該一部の引張破断強度を低下させている。有機溶剤塗布の結果として、上記引張破断強度を低下させた部分の表面粗さは、未処理の非印刷部のそれより粗くなる。引張破断強度を低下させた部分の表面粗さは、0.8〜1.3μm、より好ましくは1.2〜1.3μmであるのが好ましい。また、上記引張破断強度を低下させた部分の引張伸度は、15〜55%、より好ましくは15〜41%、さらに好ましくは15〜26%である。
【0013】
上記引張破断強度を低下させた部分は、周方向に、短冊状に間隔を隔てて並べて設けられているのが好ましい。
【0014】
上記引張破断強度を低下させた部分は、周方向に沿って満遍なく設けられている。
【0015】
この発明のさらに好ましい実施態様によれば、上記引張破断強度を低下させた部分は、短冊状に一箇所、設けられている。
【0016】
上記引張破断強度を低下させた部分は、当該筒状熱収縮性ラベルの上下非印刷部の双方に設けられている。
【0017】
この発明の他の局面に従う方法は、容器の側面に装着される筒状熱収縮性ラベルの製造方法に係る。まず、基材フィルムに、該基材フィルムの延伸方向と直交する方向に、印刷部と非印刷部が交互に並ぶように印刷を施す。上記非印刷部に有機溶剤を塗布し、乾燥させることにより、該非印刷部に引張破断強度を低下させた部分を形成する。上記印刷部と上記非印刷部が、基材フィルムの延伸方向と直交する方向に、一列に交互に並んだフィルム体が得られるように、上記基材フィルムを、該基材フィルムの延伸方向と直交する方向に断裁する。このフィルム体は巻き取ってもよい。次に、上記フィルム体の延伸方向における両端部を重ね合わせて接着し、これによって、複数の筒状熱収縮性ラベル片がフィルムの延伸方向と直交する方向に連なった筒状熱収縮性ラベルの連続体を形成する。
【0018】
筒状熱収縮性ラベルの連続体は、容器に装着する際に、装着機内で一枚毎に切断され、ボトルに被せてスチームトンネル等で加熱して、容器に密着させる。
【0019】
上記基材フィルムにポリスチレン系熱収縮性フィルムを選んだ場合、ポリスチレンのSP値(溶解度パラメータ)は、8.6から9.7であるので、上記有機溶媒としては、これに近いSP値を有するものを選ぶのが好ましい。具体的には、上記有機溶剤としては、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジオキソラン又はアセトンが選ばれる。より好ましくは、酢酸エチル又はジオキソランである。
【0020】
この発明の他の局面に従うラベル付き容器は、その胴部に上記筒状熱収縮性ラベルを熱収縮させて装着してなる。
【0021】
この発明のさらに他の局面に従うラベル付き容器は、底部の中央部が窪んだ容器の胴部に上記筒状熱収縮性ラベルを熱収縮させて装着してなるラベル付き容器に係る。そして、上記筒状熱収縮性ラベルの下方部は、上記容器の底部の角を包み込むように、かつその端縁が、上記底部の窪み部分の上で浮き上がるように、該容器の底部の周縁を被覆していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、上記非印刷部の少なくとも一部の引張破断強度を、23〜49MPaにしているので、この部分でフィルムの強度が低下し、指で容易に剥がすことができる。本発明によれば、ミシン目を付ける必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
容器の胴部外周に装着されるものであり、印刷が施された印刷部と、主収縮方向と直交する方向において上記印刷部を挟むように設けられた、印刷が施されていない一対の非印刷部を含む筒状熱収縮性ラベルにおいて、容器から容易に剥がすことができるようにするという目的を、上記非印刷部の少なくとも一部に、引張破断強度が、23〜49MPaである、引張破断強度を低下させた部分を形成することによって実現した。以下、この発明の実施例を、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は実施例1に係る筒状熱収縮性ラベルの斜視図である。図1を参照して、筒状熱収縮性ラベル4は、プラスチック容器の胴部外周に装着されるものであり、基材フィルムの主収縮方向(収縮率の大きい方向、延伸方向Eと同じ)における一方の端部4aを他方の端部4bに重ね合わせるように、基材フィルムを折り曲げて、さらに重ね合わせ部分8を、溶剤シール又は接着剤により接着してなる。筒状熱収縮性ラベル4は、印刷が施された印刷部6と、主収縮方向と直交する方向において該印刷部6を挟むように設けられた、印刷が施されていない一対の非印刷部5,5とを含む。印刷部6には文字、絵柄等が印刷される。非印刷部5の少なくとも一部に、引張破断強度を低下させた部分7が設けられている。本実施例では、引張破断強度を低下させた部分7は、周方向に、短冊状に間隔を隔てて並べて設けられている。引張破断強度を低下させた部分7は、後述するように、この部分7に、有機溶剤を塗布することによって形成される。引張破断強度を低下させた部分7の引張破断強度は、23〜49MPaにされている。
【0025】
本実施例では、引張破断強度を低下させた部分7を、周方向に、短冊状に間隔を隔てて並べて設けた場合を例示したが、周方向に沿って満遍なく設けられてもよい。さらに、引張破断強度を低下させた部分7が、筒状熱収縮性ラベルの上下非印刷部の双方に設けられている場合を例示しているが、片側にだけ設けられても相当の効果を奏する。
【実施例2】
【0026】
次に、上述の筒状熱収縮性ラベルの製造方法について説明する。
【0027】
図2(A)を参照して、基材フィルム9に、該基材フィルム9の延伸方向Eと直交する方向Vに、印刷部10と非印刷部11が交互に並ぶように、グラビア印刷により、印刷を施す。非印刷部11は、印刷を施さないで残した部分である。基材フィルム9には、ポリスチレン系熱収縮性フィルム(Oriented Poly-Styrene Film (OPS)、厚み40μm)を用いた。
【0028】
ポリスチレン系熱収縮性フィルムの材料としては、イ)スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ロ)スチレン−ブチルアクリレート共重合体、ハ)ポリスチレン(スチレン単独重合体)が好ましい。
【0029】
ポリスチレン系熱収縮性フィルムとしては、1)イの単膜フィルム、2)イとロをブレンドした樹脂組成物からなる単膜フィルム、3)イとハをブレンドした樹脂組成物からなる単膜フィルム、4)イとスチレン含有量の違うイの多層フィルム、又は、5)外面層にイを中間層にロ又はロとイの混合物を使用した多層フィルムが好ましく用いられる。ここでは、イと、スチレン含有量の違うイとの多層フィルムを延伸したものを用いて試験を行なった。
【0030】
図2(B)を参照して、非印刷部11にグラビア印刷によって有機溶剤を塗布し、乾燥させることにより、該非印刷部に引張破断強度を低下させた部分12を形成する。
【0031】
有機溶剤の塗布について説明する。レーザ製版により、4種類のグラビア版((175線、深度30μm(セル幅:ドテ比=4:1),(150線、深度30μm(セル幅:ドテ比=4:1)),(175線、深度30μm(セル幅:ドテ比=2:1))を作成し、3種類の溶剤(ジオキソラン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF))を塗布して、引張破断強度を低下させた部分12を形成した。
【0032】
線数は、1インチ当たりのセルの本数である。グラビア版の深度、セル幅、ドテの定義については、図3(A)に示す通りである。セルの溝に溶剤が載り、基材フィルムの上に転写され、塗布され、その部分で基材フィルムが変質する。種々の条件で有機溶剤を塗布して変質させた、引張破断強度を低下させた部分の評価を、表1に示す。表1中、溶剤で処理しなかった場合、すなわち変質させなかった部分の評価値は、比較例として与えられている。
【表1】

【0033】
1丁目と3丁目(便宜上の呼び名、通称)では、セルの本数は同じでも、セル幅が、1丁目の方が広い。引張破断強度が30MPa以下のものは、手で容易に引き裂くことができた。
【0034】
引張破断強度および引張伸度の測定条件は以下の通りである。
【0035】
図3(B)を参照して、測定サンプル15の採り方は、主収縮方向に100mmとって、幅を15mmとする。図中、塗りつぶし部分が、有機溶剤で処理した部分16である。有機溶剤で処理した部分16を一箇所に設ける場合には、なるべく処理部が中央にくるようにした。また、有機溶剤で処理した部分16が複数の場合には、測定チャック間に入るようにした。
測定器:東洋精機社製 ストゴグラフ R−200
サンプル:100×15mm
測定チャック間距離:40mm
引張り速度:200mm/min
測定数n:5(非印刷部の任意の場所から5つのサンプルを取り測定し、平均値を取った。)
【0036】
表面粗さ(Ra)の測定条件は、以下の通りである。
測定器:東京精密社製 サーフコム
サンプル:10×15mm
測定距離:4mm
測定子速度:0.3mm/sec
カットオフ値:0.8mm/sec
【0037】
ここでいう表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)であり、図4に示す粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さlだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均した値である。算術平均粗さは、以下の式で表される。算術平均粗さによれば、1つの傷が測定値に及ぼす影響が非常に小さくなり、安定した結果が得られる。
【数1】

【0038】
表1を参照して、ジオキソラン又は酢酸エチルで処理したものが特に良く、特に1丁目と2丁目のものが良いことがわかった。引張破断強度を低下させた部分の引張伸度は、実験により、15〜55%が好ましいことがわかっている、より好ましくは、表1にあるように15〜41%、さらに好ましくは15〜26%である。引張破断強度は、23〜49MPaが好ましく、より好ましくは23〜28MPaである。表面粗さは、0.8〜1.3μm、より好ましくは1.2〜1.3μmである。
【0039】
次に、図5(A)を参照して、このように有機溶剤で処理された基材フィルム9に、該基材フィルム9を、該基材フィルム9の延伸方向Eと直交する方向であって、かつ上記印刷部の両側(図中、一点鎖線で示した位置がスリット位置である。)を断裁する。この場合、図示しないが、基材フィルム9は、延伸方向Eと直交する方向に流れている。この断裁によって、図5(B)を参照して、印刷部6と非印刷部5が一列にフィルムの延伸方向Eと直交する方向に交互に並んだ長いフィルム体13が形成される。この時、巻き取ってもよい。図5(B)と(C)を参照して、フィルム体13の延伸方向における両端部13a、13bを重ね合わせて接着し、筒状熱収縮性ラベル片がフィルムの延伸方向と直交する方向に連なった筒状熱収縮性ラベルの連続体14を形成し、これをロール状に巻き取る。これを製品ロールとする。両端部13a、13bの接着は、接着剤又は溶剤シールによって行われる。
【0040】
次に図5(D)を参照して、例えばプラスチックボトルに装着する際に、製品ロールから取り出された筒状熱収縮性ラベルの連続体14は、装着機内で一枚毎の筒状熱収縮性ラベル4に切断される。切断は、図中、一点鎖線で示されるように、筒状熱収縮性ラベル4の上下に非印刷部5(引張破断強度を低下させた部分7を含む)が残るように行う。得られた筒状熱収縮性ラベル4は、プラスチックボトルに被せてスチームトンネル等で加熱して、プラスチックボトルの側面に密着させる。
【実施例3】
【0041】
図6(A)は、実施例1に係る筒状熱収縮性ラベル4がその胴部外周に装着されたプラスチックボトル1の斜視図である。プラスチックボトル1の胴部に筒状熱収縮性ラベル4を嵌挿し、スチームトンネル等で加熱し、熱収縮させて、装着してなる。筒状熱収縮性ラベル4の熱収縮は、延伸方向とは逆方向に起こる。引張破断強度を低下させた部分7が、周方向に、短冊状に間隔を隔てて並べて設けられているので、この部分を指で引き裂き、プラスチックボトル1から筒状熱収縮性ラベル4を容易に剥離することができる。
【0042】
引張破断強度を低下させた部分7は、図6(B)に示すように、販売者が望む任意の位置に設けてもよい。
【実施例4】
【0043】
図7は、実施例4に係るラベル付きプラスチックボトルの斜視図である。プラスチックボトル1の胴部に装着された筒状熱収縮性ラベル4は、延伸方向(図中、周方向)における一方の端部4aを他方の端部4bに重ね合わせるように、基材フィルムを折り曲げて、さらに重ね合わせ部分8を接着してなるものである。図6にかかるラベル付きプラスチックボトルと異なる点は、引張破断強度を低下させた部分7を、重ね合わせ部分8の上に集中して、短冊状に一箇所に、形成している点である。通常、重ね合わせ部分8の上には、文字、絵柄等を印刷しないので、重ね合わせ部分8の上に集中して、引張破断強度を低下させた部分7を形成しても、文字、絵柄等は損なわれず、ひいては見栄えを損なわせないようにすることができる。
【実施例5】
【0044】
図8(A)は、実施例5に係る、例えば、ラーメンやスープ等のプラスチック容器に本発明に係る筒状熱収縮性ラベル4を装着した具体例であり、容器17を伏せた状態で図示している。図8(B)は、ラベルを装着する前の容器の立てた状態の概念的斜視図である。本実施例では、プラスチック容器として、底部の中央部が窪んだ容器17を用いるのが特徴である。プラスチック容器の胴部に筒状熱収縮性ラベル4が装着されており、筒状熱収縮性ラベル4の下方部は、容器17の底部の角を包み込むように、かつその端縁4eが、底部の窪み部分17aの上で浮き上がるように、該容器17の底部の周縁を被覆している。筒状熱収縮性ラベル4の端縁4eが底部の窪み部分17aの上で浮き上がっているので、窪み部分17aを介して、引張り破断強度を低下させた部分7に指がかけ易くなり、容易にラベルを破き、剥離することができる。
【0045】
このようなプラスチック容器は、図8(B)〜(D)に示すようにして作ることができる。すなわち、図8(B)を参照して、底部の中央部が窪んだ容器17を準備する。図8(C)の切断端面図を参照して、容器17を開口部が下になるように、つまり容器17を伏せた状態で筒状熱収縮性ラベル4を被せる。この場合、容器17よりも、筒状熱収縮性ラベル4の長さを長くする。この状態で、図8(D)の切断端面図を参照して、乾熱トンネルを通過させると、熱風により筒状熱収縮性ラベル4が収縮し、筒状熱収縮性ラベル4の下方部は、容器17の底部の角を包み込むように、かつその端縁4eが、底部の窪み部分17aの上で浮き上がるように、該容器17の底部の周縁を被覆する。
【0046】
なお、上記実施例では、容器の具体例として、プラスチックボトル、プラスチック容器を例示したが、この発明はこれに限られるものでなく、筒状熱収縮性ラベルをその胴部に装着する全ての容器に適用することができる。
【0047】
今回開示された実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明にかかる筒状熱収縮性ラベルによれば、容器から容易に剥がすことができるので、プラスチック容器のリサイクルが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施例1に係る筒状熱収縮性ラベルの斜視図である。
【図2】(A) 筒状熱収縮性ラベルの製造方法の第1工程を示す図である。 (B) 筒状熱収縮性ラベルの製造方法の第2工程を示す図である。
【図3】(A) グラビア版の表面の断面図を示す図である。 (B) 測定サンプルの方向を示す図である。
【図4】粗さ曲線を示す図である。
【図5】(A) 筒状熱収縮性ラベルの製造方法の第3工程を示す図である。 (B) 筒状熱収縮性ラベルの製造方法の第4工程を示す図である。 (C) 筒状熱収縮性ラベルの製造方法の第5工程を示す図である。 (D) 筒状熱収縮性ラベルの製造方法の第6工程を示す図である。
【図6】(A)実施例3に係る、筒状熱収縮性ラベルがその胴部外周に装着されたプラスチックボトルの斜視図である。 (B) 実施例3の変形例にかかるプラスチックボトルの斜視図である。
【図7】実施例4に係る、筒状熱収縮性ラベルがその胴部外周に装着されたプラスチックボトルの斜視図である。
【図8】(A) 実施例5に係る、筒状熱収縮性ラベルがその胴部外周に装着されたプラスチック容器の伏せた状態の斜視図である。 (B) 実施例5に係るプラスチック容器の製造方法の、第1工程における斜視図である。 (C) 実施例5に係るプラスチック容器の製造方法の、第2工程における切断端面図である。 (D) 実施例5に係るプラスチック容器の製造方法の、第3工程における切断端面図である。
【図9】従来の筒状熱収縮性ラベルがその胴部外周に装着されたプラスチックボトルの斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 PETボトル
2 熱収縮性ラベル
3 ミシン目
3 印刷部
4a 一方の端部
4b 他方の端部
4e 端縁
4 筒状熱収縮性ラベル
5 非印刷部
6 印刷部
7 引張破断強度を低下させた部分
8 重ね合わせ部分
9 基材フィルム
10 印刷部
11 非印刷部
12 引張破断強度を低下させた部分
13a、13b フィルム体の端部
14 筒状熱収縮性ラベルの連続体
15 測定サンプル
16 有機溶剤で処理した部分
17 プラスチック容器
17a 窪み部分
E 延伸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の胴部外周に装着される筒状熱収縮性ラベルであって、
前記筒状熱収縮性ラベルは、基材フィルムの主収縮方向における一方の端部を他方の端部に重ね合わせるように、基材フィルムを折り曲げて、さらに重ね合わせ部分を接着してなり、
印刷が施された印刷部と、前記主収縮方向と直交する方向において前記印刷部を挟むように設けられた、印刷が施されていない一対の非印刷部とを含み、
前記非印刷部の少なくとも一部に、引張破断強度が23〜49MPaである、引張破断強度を低下させた部分が形成されている筒状熱収縮性ラベル。
【請求項2】
前記引張破断強度を低下させた部分の表面粗さは、0.8〜1.3μmである、請求項1に記載の筒状熱収縮性ラベル。
【請求項3】
前記引張破断強度を低下させた部分の引張伸度は、15〜55%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の筒状熱収縮性ラベル。
【請求項4】
前記引張破断強度を低下させた部分は、周方向に、短冊状に間隔を隔てて並べて設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の筒状熱収縮性ラベル。
【請求項5】
前記引張破断強度を低下させた部分は、周方向に沿って満遍なく設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の筒状熱収縮性ラベル。
【請求項6】
前記引張破断強度を低下させた部分は、短冊状に一箇所、設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の筒状熱収縮性ラベル。
【請求項7】
前記引張破断強度を低下させた部分は、当該筒状熱収縮性ラベルの前記一対の非印刷部の双方に設けられている、請求項1から6のいずれか1項に記載の筒状熱収縮性ラベル。
【請求項8】
容器の側面に装着される筒状熱収縮性ラベルの製造方法であって、
基材フィルムに、該基材フィルムの延伸方向と直交する方向に、印刷部と非印刷部が交互に並ぶように印刷を施す工程と、
前記非印刷部に有機溶剤を塗布し、乾燥させることにより、該非印刷部に引張破断強度を低下させた部分を形成する工程と、
前記印刷部と前記非印刷部が、前記基材フィルムの延伸方向と直交する方向に、一列に交互に並んだフィルム体が得られるように、前記基材フィルムを、該基材フィルムの延伸方向と直交する方向に断裁する工程と、
前記フィルム体の延伸方向における両端部を重ね合わせて接着し、これによって、複数の筒状熱収縮性ラベル片がフィルムの延伸方向と直交する方向に連なってなる、筒状熱収縮性ラベルの連続体を形成する工程とを備えた筒状熱収縮性ラベルの製造方法。
【請求項9】
前記基材フィルムにポリスチレン系熱収縮性フィルムを選び、
前記有機溶剤に、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジオキソランおよびアセトンからなる群より選ばれた溶剤を用いる、請求項8に記載の筒状熱収縮性ラベルの製造方法。
【請求項10】
請求項1〜7に記載の筒状熱収縮性ラベルを、その胴部に熱収縮させて装着してなるラベル付き容器。
【請求項11】
底部の中央部が窪んだ容器の胴部に請求項1〜7に記載の筒状熱収縮性ラベルを熱収縮させて装着してなるラベル付き容器であって、
前記筒状熱収縮性ラベルの下方部は、前記容器の底部の角を包み込むように、かつその端縁が、前記底部の窪み部分の上で浮き上がるように、該容器の底部の周縁を被覆しているラベル付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−133037(P2008−133037A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325418(P2006−325418)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】