説明

筒状発熱体及び定着装置

【課題】トナー像を加熱加圧下に記録媒体に定着する。
【解決手段】筒状体11aと、該筒状体の外周面111a及び内周面のうち少なくとも一方に設けられた通電発熱可能の金属パターン12aと、該筒状体の端部において該筒状体の外周面及び内周面のうち少なくとも一方に設けられて前記金属パターンに通電可能に接続されたリング状電極部141a,142aとを含む筒状発熱体1A。未定着トナー像を担持した記録媒体を加熱用回転体と該加熱用回転体に向け押圧される加圧用回転体とで形成されるニップに通過させて該トナー像を加熱加圧下に該記録媒体に定着させる定着装置であって、加熱用回転体が筒状発熱体を含んでいる定着装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式などの画像形成装置に採用されている定着装置、すなわち画像形成部において形成されたトナー像が転写された記録紙等の記録媒体(未定着トナー像を担持した記録媒体)を加熱用回転体と加熱用回転体に向け押圧される加圧用回転体とで形成されるニップに通過させて該トナー像を加熱加圧下に該記録媒体に定着させる定着装置における該加熱用回転体或いはその部品などとして利用できる筒状発熱体、さらにはそのような筒状発熱体を利用した定着装置に関する。
【0002】
電子写真方式や静電記録方式などの画像形成装置において採用されている定着装置は、図22に例示するように、一般的には加熱用回転体91と回転体91に向けて押圧された加圧用回転体92とを含んでいる。
【0003】
加熱用回転体91は、通常、中空金属軸911にシリコンゴム等からなる弾性材層912を周設するとともに金属軸911内にハロゲンランプヒータ等のヒータHを配置したものである。弾性材層912は例えばフッソ樹脂系の耐摩耗性膜913で被覆されることもある。
【0004】
一方、加圧用回転体92は軸棒921に弾性材層922を周設したものである。弾性材層922は例えばフッソ樹脂系の耐摩耗性膜923で被覆されることもある。
【0005】
このタイプの定着装置は、例えば特開平5−158369号公報、特開平5−210336号公報等に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−158369号公報
【特許文献2】特開平5−210336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の定着装置では、加熱用回転体91のヒータHを内蔵した中空金属軸911は回転体軸としての強度を有するように肉厚に形成されている等により熱容量が大きく、従ってヒータHを内蔵した中空金属軸911からなる熱源部分によると、加熱用回転体表面温度がトナー像を記録媒体に加熱溶融させて定着させる温度まで昇温するのに時間がかかり(所謂ウォームアップ時間が長く)、定着装置、ひいては画像形成装置の使いやすさのための定着装置ウォームアップ時間の短縮の要請や、今日の省エネルギーの要請に応え難かった。
【0008】
そこで本発明は、電子写真方式や静電記録方式などの画像形成装置等に採用される、未定着トナー像を担持した記録媒体を加熱用回転体と該加熱用回転体に向け押圧される加圧用回転体とで形成されるニップに通過させて該トナー像を加熱加圧下に該記録媒体に定着させる定着装置における該加熱用回転体の熱源などとして利用できる発熱効率の高い筒状発熱体を提供することを第1の課題とする。
【0009】
また本発明は、電子写真方式や静電記録方式などの画像形成装置等に採用される、未定着トナー像を担持した記録媒体を加熱用回転体と該加熱用回転体に向け押圧される加圧用回転体とで形成されるニップに通過させて該トナー像を加熱加圧下に該記録媒体に定着させる定着装置であって、加熱用回転体熱源としてヒータを内蔵した中空金属軸からなる熱源を採用する従来の定着装置と比較すると、加熱用回転体を未定着トナー像定着可能温度へ迅速に効率よく立ち上げることができ、定着装置、ひいては画像形成装置の使いやすさのための定着装置ウォームアップ時間の短縮の要請や、今日の省エネルギーの要請に応えることができる定着装置を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は前記第1の課題を解決するため、
筒状体と、該筒状体の外周面及び内周面のうち少なくとも一方に設けられた通電発熱可能の金属パターンと、該筒状体の端部において該筒状体の外周面及び内周面のうち少なくとも一方に設けられて前記金属パターンに通電可能に接続されたリング状電極部とを含む筒状発熱体を提供する。
【0011】
ここで「通電発熱可能の金属パターン」とは、通電することで発熱する金属線からなるパターンである。
【0012】
また本発明は前記第2の課題を解決するため、
未定着トナー像を担持した記録媒体を加熱用回転体と該加熱用回転体に向け押圧される加圧用回転体とで形成されるニップに通過させて該トナー像を加熱加圧下に該記録媒体に定着させる定着装置であって、該加熱用回転体は本発明に係る筒状発熱体を含んでいる定着装置を提供する。
【0013】
本発明に係る定着装置において、加圧用回転体が加熱用回転体に向けて押圧される態様には次のいずれの場合も含まれる。
【0014】
(1) 回転軸が定位置にある加熱用回転体に向けて、回転軸が移動可能の加圧用回転体が押圧される場合、
(2) 逆に、回転軸が定位置にある加圧用回転体に対して回転軸が移動可能の加熱用回転体が押圧されることで該加圧用回転体が相対的に加熱用回転体に向け押圧される場合、
(3) 加熱用回転体と加圧用回転体とが互いに相手方へ向け押圧されることで、該加圧用回転体が相対的に加熱用回転体に向け押圧される場合。
【0015】
本発明に係る筒状発熱体は、前記金属パターンに電気的に接続された前記リング状電極部に給電部材(例えば回転可能のローラ電極、接触摺動可能の摺動接触電極)を介して給電することで金属パターンを、ひいては筒状発熱体全体を発熱させることかできる。
【0016】
本発明に係る筒状発熱体は、電子写真方式や静電記録方式などの画像形成装置等に採用される、未定着トナー像を担持した記録媒体を加熱用回転体と該加熱用回転体に向け押圧される加圧用回転体とで形成されるニップに通過させて該トナー像を加熱加圧下に該記録媒体に定着させる定着装置における該加熱用回転体の熱源などとして利用できる。
【0017】
さらに言えば、本発明に係る筒状発熱体は、未定着トナー像を担持した記録媒体を加熱用回転体と該加熱用回転体に向け押圧される加圧用回転体とで形成されるニップに通過させて該トナー像を加熱加圧下に該記録媒体に定着させる定着装置の該加熱用回転体の少なくとも一部を構成するための発熱体である場合を例示できる。
【0018】
いずれにしても、本発明に係る筒状発熱体は、筒状体の内周面及び外周面のうち少なくとも一方に通電発熱可能の金属パターンを設けたものであり、該金属パターンに通電することで該金属パターンから直接、効率よく発熱させることができ、筒状体は熱容量小さく形成することができ、そうすることで、金属パターン及びそれを設けた筒状体を含む筒状発熱体全体から発熱効率高く発熱させることができ、また、それだけ省エネルギーを達成できる。
【0019】
本発明に係る定着装置は、加熱用回転体が本発明に係る、効率よく発熱させることができる筒状発熱体を含んでいるから、加熱用回転体熱源としてヒータを内蔵した中空金属軸からなる熱源を採用する従来の定着装置と比較すると、加熱用回転体を未定着トナー像定着可能温度へ迅速に効率よく立ち上げることができ、定着装置、ひいては画像形成装置の使いやすさのための定着装置ウォームアップ時間の短縮の要請や、今日の省エネルギーの要請に応えることができる。
【0020】
いずれにしても金属パターンは前記筒状体の周面に直接形成されてもよいが、例えば、通電発熱可能の金属パターンがシート面上に形成された可撓性樹脂シートが前記筒状体の外周面及び内周面のうち少なくとも一方に配置されていることで該筒状体の外周面及び内周面のうち少なくとも一方に前記金属パターンが設けられていてもよい。
【0021】
金属パターンが形成された可撓性樹脂シートの筒状体周面への配置の態様としては、接着剤(粘着剤を含む)による貼着による配置であってもよく、支障なければ、接着剤による貼着によらない単なる配置等であってもよい。
【0022】
金属パターンに給電するための前記リング状電極部については、前記金属パターンが前記筒状体の内周面に設けられている場合はリング状電極部も該筒状体の端部内周面に設け、前記金属パターンが前記筒状体の外周面に設けられている場合はリング状電極部も該筒状体の端部外周面に設ける場合を例示できる。
【0023】
このような場合、リング状電極部は前記金属パターンに通電可能に連続する状態で該金属パターンと一体的に形成されていてもよい。
【0024】
リング状電極部は、金属パターンが設けられている筒状体周面とは反対側の筒状体周面に形成されていてもよい。すなわち、前記金属パターンが前記筒状体の外周面及び内周面のうち一方に設けられており、前記リング状電極部は該筒状体の外周面及び内周面のうち他方に設けられている場合である。
【0025】
このような場合には、例えば、金属パターンとリング状電極部とを筒状体を通して銀ロウや適当な通電線で接続したり、所謂ハトメで接続したりして、電気的に接続すればよい。
【0026】
また、前記リング状電極部は前記金属パターンを設けた筒状体の補強部を兼ねるように形成されていてもよい。この場合も、必要に応じ、該リング状電極部と金属パターンと適当な導電性接続部で接続すればよい。
【0027】
いずれにしても、リング状電極部は、接触抵抗が抑制された状態で給電部材から安定的に受電できるように、少なくとも表層がニッケル(Ni)、金(Au)、ロジウム(Rh)及び導電性カーボンのうちから選ばれた少なくとも一種の導電性材料で形成されていてもよい。
【0028】
前記金属パターンは、分割された複数の発熱域を提供するための複数パターンに分割されており、前記リング状電極部は該複数パターンのそれぞれに独立して通電できるように複数設けられていてもよい。
【0029】
本発明に係る筒状発熱体は定着装置の加熱用回転体の少なくとも一部として利用する等のために、前記金属パターンは、分割された複数の発熱域(例えばA4サイズ記録媒体用発熱域とA3サイズ記録媒体用発熱域)を提供するための複数パターンに分割されていてもよい。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように本発明によると、電子写真方式や静電記録方式などの画像形成装置等に採用される、未定着トナー像を担持した記録媒体を加熱用回転体と該加熱用回転体に向け押圧される加圧用回転体とで形成されるニップに通過させて該トナー像を加熱加圧下に該記録媒体に定着させる定着装置における該加熱用回転体の熱源などとして利用できる発熱効率の高い筒状発熱体を提供することができる。
【0031】
また本発明によると、電子写真方式や静電記録方式などの画像形成装置等に採用される、未定着トナー像を担持した記録媒体を加熱用回転体と該加熱用回転体に向け押圧される加圧用回転体とで形成されるニップに通過させて該トナー像を加熱加圧下に該記録媒体に定着させる定着装置であって、加熱用回転体熱源としてヒータを内蔵した中空金属軸からなる熱源を採用する従来の定着装置と比較すると、加熱用回転体を未定着トナー像定着可能温度へ迅速に効率よく立ち上げることができ、定着装置、ひいては画像形成装置の使いやすさのための定着装置ウォームアップ時間の短縮の要請や、今日の省エネルギーの要請に応えることができる定着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1(A)は筒状発熱体の1例の斜視図であり、図1(B)は図1(A)に示す筒状発熱体において金属パターンを覆う電気絶縁性膜を除いた状態の斜視図である。
【図2】定着装置の1例の正面図である。
【図3】筒状発熱体の他の例の斜視図である。
【図4】定着装置の他の例を示す図である。
【図5】定着装置のさらに他の例を示す図である。
【図6】筒状発熱体のさらに他の例の正面図である。
【図7】図7(A)は金属パターンを形成した可撓性樹脂シート例の斜視図であり、図7(B)は該樹脂シートをロールに巻き付ける様子を示す斜視図であり、図7(C)は丸めた樹脂シートを筒状体に挿入してその内周面に貼着する様子を示す図である。
【図8】図7の手法で形成された筒状発熱体を含む、定着装置用の加熱ローラ例を示す図である。
【図9】図8の加熱ローラの変形例を示す図である。
【図10】定着装置のさらに他の例を示す図である。
【図11】金属パターンを分割形成した可撓性樹脂シート例の斜視図である。
【図12】図12(A)は金属パターンを形成した可撓性樹脂シートの他の例の斜視図であり、図12(B)はその樹脂シートを筒状体外周面に貼着する様子を示す図であり、図12(C)は図12(A)及び(B)の手法で形成された筒状発熱体を含む、定着装置用の加熱ローラの例を示す断面図である。
【図13】加熱ローラのさらに他の例の断面図である。
【図14】定着装置のさらに他の例を示す図である。
【図15】定着装置のさらに他の例の正面図である。
【図16】図16(A)は図15の定着装置における加熱ローラへの給電装置の一部の断面図であり、図16(B)及び(C)は給電装置中の第1及び第2の部分を図15においてX方向、Y方向からそれぞれ見た状態を示す図である。
【図17】筒状発熱体のさらに他の例の概略斜視図である。
【図18】温度検出用抵抗パターンを形成した可撓性樹脂シートの例を示す図である。
【図19】図17の筒状発熱体を含む、定着装置用の加熱ローラ例を示す図である。
【図20】温度検出用抵抗パターンを形成した可撓性樹脂シートの他の例を示す図である。
【図21】定着装置用の加熱ローラのさらに他の例を示す図である。
【図22】定着装置の従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本発明の実施形態等について説明する。
図1(A)は筒状発熱体の1例の斜視図である。
図1(A)の筒状発熱体1Aは、円筒形状の筒状体11aと、筒状体11aの外周面111aに設けられた通電発熱可能の金属パターン12aとを含み、金属パターン12aを電気絶縁性膜13aで被覆したものである。図1(B)は金属パターン12aを電気絶縁性膜13aで被覆する前の状態の斜視図である。
ここで「金属パターン」とは通電することで発熱する金属線からなるパターンであり、以下の説明においても同じである。
【0034】
ここでの金属パターン12aは筒状体11aの長手方向に長く延びる互いに平行な部分を複数本含む全体としてジグザグ状に延在するパターンである。
【0035】
筒状体11aの両端部外周面には金属パターン12aに電気的に連続する受電用のリング状電極部141a、142aが周設されている。この例では、それらリング状電極部は金属パターンと一体的に形成されており、金属パターン12aの一端が一方の電極部141aに接続されているとともに金属パターン12aの他端が他方の電極リング部142aに連続している。
【0036】
電気絶縁性膜13aはリング状電極部141a、142aより内側域で金属パターン12aを被覆している。
なお、リング状電極部は金属パターン12aとは別途に設け、その後に金属パターン12aと電気的に接続してもよい。かかる電気的接続手段としては、銀ロウや所謂ハトメを利用することもできる。このように別途に設けるリング状電極部には筒状体11aを補強させてもよい。
【0037】
筒状体11aの両端のそれぞれには、この筒状発熱体1Aを回転可能に支持するための、後述する部材15a(図2参照)を係合させる係合部(係合凹所)113aが180度中心角度間隔で一対ずつ形成されている。後述するように、図2において左側の部材15aは回転駆動される部材であり、従って、図2の例では筒状発熱体1Aは定着装置2Aにおいて回転駆動されるものである。しかし、駆動されずに加圧回転体の回転に従動するなどでフリー回転するように利用される場合は(例えば後述する図10、図14等に示すように利用される場合は)、係合部113aは位置合わせ用の目印とすることができ、場合によっては係合部113a無しで済ませることもできる。
【0038】
図2の定着装置2Aは、電子写真方式や静電記録方式などの画像形成装置において採用できる定着装置であり、本例ではローラ形態の加熱用回転体21a(以下、加熱ローラ21aという。)と、これに対向配置されたローラ形態の加圧用回転体22a(以下、加圧ローラ22aという。)とを含んでいる。
【0039】
加熱ローラ21aは図1(A)の筒状発熱体1Aを利用したものである。すなわち、筒状発熱体1Aの筒状体11aの各端部に端部材15aを嵌め、各端部材15aの回転軸saをフレームFaに回転自在に支持させることで回転可能とした加熱ローラである。
【0040】
端部材15aは、外側円盤部151とそれより若干小径の内側円盤部152とを中心を一致させて一体的に2段重ねするとともに外側円盤部151の外面中央から前記回転軸saを一体的に突設したものである。内側円盤部152は周面に一対の突起153を有している。各端部材15aはその内側円盤部152で筒状体11aの端部に嵌着されるとともにもに突起153が筒状体11aの係合部113aに係合される。
【0041】
加圧ローラ22aは回転軸221に弾性材層222を周設したものであり、回転軸221がフレームFaに回転可能に支持されることで、加圧ローラ22a全体が回転可能にフレームに支持されている。加圧ローラ22aは、その弾性材層222が加熱ローラ21aに押圧されており、それにより加熱ローラ21aと加圧ローラ22a間にニップNaが提供されている。
【0042】
ニップNaは、後述する記録媒体への未定着トナー像の加熱溶融定着に要求される幅(記録媒体通過方向の長さ)を有するニップである。
【0043】
加熱ローラ21aの片方(図2中左側)の端部材15aの軸saは電動モータ(図示省略)を含む回転駆動機構161に連結されており、加熱ローラ21aは駆動機構161で回転させることができる。このとき、加熱ローラ21aの筒状発熱体1Aの片方の端部材15aは機構161にて回される回転部材であり、端部材15aが回されることで加熱ローラ21aが回される。
【0044】
加圧ローラ22aは歯車等からなる伝動機構162を介して駆動機構161にて加熱ローラとは反対方向に回転駆動される。
かくして加熱ローラ21a及び加圧ローラ22aはニップNaに記録媒体を通過させる方向へ回転させることができる。
【0045】
加熱ローラ21aを構成している筒状発熱体1Aの筒状体11a端部に周設されたリング状電極部141a、142aには給電用電極部である給電ローラe1a、e2aが転がり接触可能に当接している。なお、給電ローラに代えて電極部141a、142aに摺動接触する給電電極を採用することも可能である。
【0046】
給電ローラe1a、e2aは出力可変の電源ユニットPWaに配線接続されている。
【0047】
以上説明した定着装置2Aによると、電源ユニットPWaから加熱ローラ21aの筒状発熱体1Aの金属パターン12aに通電して該筒状発熱体1Aを発熱させ、ひいては加熱ローラ21a表面温度をトナー像定着温度へ昇温させ、また、駆動機構161にて加熱ローラ21a及び加圧ローラ22aを回転させ、未定着トナー像を担持した記録媒体(図2では図示省略)を未定着トナー像を担持した記録媒体面を加熱ローラ21a側へ向けてニップNaに通過させることで、該トナー像を加熱加圧下に記録媒体に溶融定着させることができる。
【0048】
加熱ローラ21aの主要な部分を構成している筒状発熱体1Aは、その筒状体11aの外周面に通電発熱可能の金属パターン12aを設けたものであり、金属パターン12aに電源ユニットPWaから通電することで金属パターン12aから直接、効率よく発熱させることができ、また、筒状体11aは熱容量小さく形成することができ、そうすることで、金属パターン12a及びそれを設けた筒状体11aを含む筒状発熱体1A全体から発熱効率高く発熱させることができ、ひいては、加熱ローラ21aをトナー像定着温度へ迅速に効率よく立ち上げることができ、定着装置2A、ひいてはそれを備えた画像形成装置の使いやすさのための定着装置ウォームアップ時間の短縮の要請や、今日の省エネルギーの要請に応えることができる。
【0049】
図1の筒状発熱体1Aは筒状体11aの外周面111aに金属パターン12aを設けたものであったが、筒状体の内周面に金属パターンを設けてもよく、内外周面の双方に通電発熱可能の金属パターンを設けてもよい。
【0050】
図3は筒状体11aの内周面112aに金属パターン12bをジグザグ状に設けた筒状発熱体1Bである。筒状体11aはこの例では筒状発熱体1Aのものと同じである。金属パターン12bは電気絶縁性膜13bで被覆されている。筒状体11aの両端部外周面にはリング状電極部141b、142bを設けてある。金属パターン12bはこれら電極部に電気的に接続されている。
【0051】
図4は電子写真方式や静電記録方式などの画像形成装置において採用できる定着装置の例2Bであり、定着装置2Bは加熱ローラ21bと、これに対向配置された加圧ローラ22bとを含んでいる。
加熱ローラ21bは図3の筒状発熱体1Bを利用したものである。
【0052】
すなわち、加熱ローラ21bは、筒状発熱体1Bの筒状体11aの外周面111aに、リング状電極部141b、142bは露出させたままとしてそれらの内側域で弾性材層211を周設し、その表面を耐摩耗性膜212で被覆し、さらに、図2で示した端部材15aと同様の端部材(図示省略)を筒状体11aの両端に装着し、該端部材から突出する軸saで図示省略のフレームに回転可能に支持したものである。
それとは限定されないが、このような弾性材層211は例えば樹脂成形により得ることができ、耐摩耗性膜212は例えばそのような材質のチューブを被着することで設けることができる。
【0053】
加圧ローラ22bは、回転軸221’に弾性材層222’を周設したものであり、図示省略のフレームに回転可能に支持されているとともに記録媒体Sへの未定着トナー像Tの定着に要求されるニップNbを形成するように加熱ローラ21bへ押圧配置されている。
【0054】
加熱ローラ21b及び加圧ローラ22bは図2の定着装置2Aの場合と同様の駆動機構及び伝動機構を用いて回転駆動可能となっている。
【0055】
筒状体11aの両端部外周面にはリング状電極部141b,142bが形成されており、これらは金属パターン12bに電気的に接続されている。電極141b,142bには給電ローラ電極e1a、e2aが転がり接触可能に当接しており、これらローラ電極は図示省略の出力可変電源ユニット接続される。
【0056】
定着装置2Bによると、電源ユニットからローラ電極e1a、e2a及び加熱ローラの筒状発熱体のリング状電極部141b、142bを介して金属パターン12bに通電し、筒状発熱体1Bを発熱させ、ひいては加熱ローラ21bの表面温度をトナー像定着温度へ昇温させ、また、加熱ローラ21b及び加圧ローラ22bを回転させ、未定着トナー像Tを担持した記録媒体SをニップNbに通過させることで、トナー像Tを加熱加圧下に記録媒体Sに溶融定着させることができる。
【0057】
図5はさらに他の定着装置例2Cを示している。定着装置2Cは定着装置2Bにおいて加熱ローラ21bを加熱ローラ21cに置き換えたものであり、その他の点は定着装置2Bと実質上同じである。
【0058】
加熱ローラ21cは、図3の筒状発熱体1Bの筒状体11a内に回転軸213を配置するとともに該軸の回りに弾性材層214を設けて筒状発熱体1Bを支持し、回転軸213で図示省略のフレームに回転駆動可能に支持したものである。ローラ21cでは筒状体11a両端部の係合部113aは無くてもよい。
【0059】
加熱ローラ21cを採用する場合、加熱ローラ21cと加圧ローラ22bとの接触回転においてトナー像定着のためのより十分な幅のニップが形成されるように、筒状発熱体1Bの筒状体11aを撓め得るように薄い目に形成してもよい。
【0060】
以上説明した筒状発熱体1A、1Bにおける金属パターン12a、12bは一本の連続したものであり、筒状発熱体両端部を除く略全体にわたり一様に発熱するものであった。 しかし、筒状発熱体を定着装置の加熱用回転体の少なくとも一部として利用する場合、定着装置に通される記録媒体は各種サイズのものがあるので、エネルギーの節約等のために、サイズに応じて発熱域を変更できるものであってもよい。
【0061】
図6に示す筒状発熱体1Cはそのような筒状発熱体の例を示している。筒状発熱体1Cは筒状体11aの内周面に中央のジグザグ状金属パターン121cとその両側の同じジグザグ状の金属パターン122c、123cを設けたものである。
【0062】
筒状体11aの外周面の一方の端部には、
パターン121cの一端に電気的に接続されたリング状電極部141c、
パターン122cの一端に電気的に接続されたリング状電極部142c及び
パターン123cの一端に電気的に接続されたリング状電極部143cが周設されている。
筒状体11aの外周面の他方の端部には、パターン121c,122c及び123cのそれぞれの他端に電気的に接続された共通のリング状電極部144cが周設されている。
【0063】
この筒状発熱体を用いた加熱ローラを採用する定着装置では、A4サイズの記録媒体を縦長方向に定着装置に通す場合、パターン121cにだけに通電し、A3サイズの記録媒体を縦長方向に定着装置に通す場合、パターン121c、122c及び123cの全部に通電して発熱させればよい。
【0064】
以上説明した筒状発熱体1A、1B、1Cにおける金属パターン或いはさらに金属パターンと一体的に形成されるリング状電極部の形成は、例えば、パターンや電極部を形成する金属材料を含む導電性ペースト(例えば銅ペースト、銀ペースト)で筒状体11aの外周面及び内周面のうち少なくとも一方にそのようなパターン、さらには電極部を描いたり、プリントすることにより設けることができる。
【0065】
また、別法として、筒状体11aの金属パターン、或いはさらに電極部を設けようとする外周面及び内周面のうち少なくとも一方に、導電性金属膜を形成し、形成しようとするパターンに応じたレジストパターンを該金属膜上に形成し、該レジスト部分を残して金属膜をエッチングする手法でも形成できる。
いずれにしても、金属パターンや電極は、それ自体、プリント配線基板の形成等において既に知られているパターン形成手法を用いて形成できる。
【0066】
筒状発熱体は図7に示す方法によっても作製することができる。図7に示す筒状発熱体の製造方法は基本的には次のとおりである。
すなわち、可撓性樹脂シート171上に金属パターン12dを形成して発熱シート17Dを形成し(図7(A))、この発熱シート17Dを丸めて筒状体172内に挿入するとともに該筒状体の内周面に配置する方法である〔図7(B)及び図7(C)参照〕。必ずしもそうしなければならないというものではないが、本例では、発熱シート17Dを丸めて筒状体172内に挿入するとともに該筒状体の内周面に接着剤(粘着剤を含む)で貼着する。
【0067】
さらに詳述すると、本例において可撓性樹脂シート171は一対の舌片171dを延設したシートであり、一対の舌片171dはシート171の二組の平行辺部のうち一組の平行辺部171’、171’から一体的に延設されている。このシート171面上に金属パターン12dが形成されるとともにパターン12dの両外側で帯状電極部(リング状電極部の前駆体)141d、142dが形成され発熱シート17Dとされている。金属パターン12dを電気絶縁性膜で被覆しておいてもよい。このとき電極部141d、142dは露出させておく。
【0068】
一方、軸棒31に弾性材層32を周設した芯ロール30(図7(B))を準備しておき、この芯ロールの弾性材層32周面上に発熱シート17dをその金属パターン12dを内側にして、且つ、帯状電極部141d、142dを弾性材層32両端より外側にはみ出させて巻き付け、前記の各舌片171dを接着剤でシート171の辺部(耳部)171’の外周面に重ね貼着し、かくして図8に例示するように、定着装置の加熱ローラ21dの一部として利用できる筒状発熱体1Dを得ることができる。
【0069】
筒状発熱体1Dにおいては、前記の帯状電極部141d、142dは丸められてリング状電極部となっている。
また、筒状発熱体1Dにおいて舌片171dが重ねられたシート耳部171’は、加熱ローラ21dにおいて記録媒体が通過する領域より外側に位置しており、記録媒体通過域の平滑性を保つようになっている。さらに、このように重ねた部分は筒状発熱体1Dの端部分の補強部を兼ねている。
【0070】
図8に示す加熱ローラ21dでは、筒状発熱体1Dをローラ30の弾性材層32に貼着しておいてもよい。筒状発熱体1Dは、支障がないなら、例えばローラ30上で位置ズレしないのであれば、弾性材層32に貼着されることなくそれに外嵌配置されているだけでもよい。加熱ローラ21dは、ローラ軸31で定着装置のフレームに回転可能に支持することができ、同フレームに支持させた加圧ローラと組み合わせて未定着トナー像の記録媒体への定着に用いることができる。このとき、例えば、図8に示すように定位置の給電用電極e1d、e2dを回転するリング状電極部141d、142dに転がり接触或いは摺動接触させて、これら電極を介して金属パターン12dに通電し、筒状発熱体1Dを発熱させ、ひいては加熱ローラ21dをトナー像定着温度へ昇温させることができる。
【0071】
図9に示すように、図8の加熱ローラ21dにおいて筒状発熱体1Dの筒状体171の外周面に弾性材層33を周設し(例えば樹脂成形により周設し)、その表面を耐摩耗性膜34で被覆して用いることもできる。このように弾性材層33を設けることで、加圧ローラとの間にトナー像定着に寄与する十分なニップを形成し易くなる。
【0072】
また、図7に示す工程により筒状発熱体1Dを形成したのち、ロール30を発熱体1Dから抜き取り、残りの筒状発熱体1Dを定着装置の加熱用回転体の一部等として利用することもできる。
図10はさらに他の定着装置例2Eの概略構成を示している。定着装置2Eは、ロール30を抜き取った筒状発熱体1Dに弾性材層33’を樹脂成形等により周設し、その表面を耐摩耗性膜34’で被覆したものをベルト状の加熱回転21eとして用いたものである。
【0073】
加熱用回転ベルト21eは内側から回転可能のローラReで支えられており、加圧ローラ22eが、支持ローラReとの間にベルト21eを挟着するようにしてベルト21eに押圧されている。
加圧ローラ22eは軸棒221’に弾性材層222’を周設したもので、図示省略の駆動部により図中反時計方向に回転駆動可能である。
【0074】
定着装置2Eによると、加熱用べルト21eの筒状発熱体1Dの金属パターン12dにリング状電極部141d、142d及びこれに接触する図示省略の給電用電極部から給電されることで発熱体1Dが発熱し、ベルト21eが定着温度へ昇温する。また、加圧ローラ22eが回転駆動され、加熱用ベルト21eが支持ローラReに支持された状態で従動回転する。
【0075】
このような状態で、未定着トナー像Tを保持した記録媒体Sを加熱用回転ベルト21eと加圧ローラ22eとのニップNdに通すことでトナー像を記録媒体Sに定着させることができる。
ローラReも回転駆動してもよい。また、ローラReに代えて、ベルト21eを内側から加圧ローラ22e側へ押すパッド(図示省略)を採用することもできる。このときパッドのサイズを選択してニップNe幅を変更することもできる。
【0076】
先に説明した筒状発熱体1A、1B、1Cも、筒状体11aを薄肉に撓み可能に形成することで、加熱用ベルトの少なくとも一部の構成部材として利用できる。
筒状発熱体をその内側からローラ、パッド等で加圧回転体側へ押圧する場合、押圧用の内側のローラ、パッド等と筒状発熱体との接触動作をより円滑にするために、通電発熱用の金属パターンは筒状体の外周面側に設けてもよい。金属パターンを設けた発熱シートを採用する場合には該発熱シートを筒状体の外周面側に配置してもよい。
【0077】
筒状発熱体1Dにおける金属パターン12dは一本の連続したものであり、筒状発熱体両端部を除く略全体にわたり一様に発熱するものであった。しかし、筒状発熱体を定着装置の加熱用回転体の少なくとも一部として利用する場合、定着装置に通される記録媒体は各種サイズのものがあるので、エネルギーの節約等のために、サイズに応じて発熱域を変更できるものであってもよい。
【0078】
そのような筒状発熱体を提供するための発熱シートとして図11に示す発熱シートを例示できる。図11に示す発熱シート17Eは、図7(A)に示す樹脂シートと同様の可撓性樹脂シート171の中央部にジグザグ状金属パターン121dを設け、その両側にジグザグ状の金属パターン122d、123dを設けたものである。
【0079】
可撓性樹脂シート171の両端部のうち一方の端部の、前記金属パターンを設けた面とは反対側の面には、
パターン121dの一端に電気的に接続された帯状電極部141e、
パターン122dの一端に電気的に接続された帯状電極部142e及び
パターン123dの一端に電気的に接続された帯状電極部143eが形成されている。 シート171の他端部の、前記金属パターンを設けた面とは反対側の面には、パターン121d,122d及び123dのそれぞれの他端に電気的に接続された共通の帯状電極部144eが形成されている。
【0080】
この発熱シート17Eによっても、これを丸めて筒状体の内周面に貼着或いは単なる配置等により配置して筒状発熱体を得ることができる。
【0081】
筒状発熱体は図12に示す方法によっても作製することができる。図12に示す筒状発熱体の製造方法は基本的には次のとおりである。
すなわち、可撓性樹脂シート171f上に金属パターン12fを形成して発熱シート17Fを形成し(図12(A))、この発熱シート17Fを丸めて筒状体11aの外周面に配置する方法である(図12(B)。このとき、発熱シート17Fは接着剤(粘着剤を含む)で筒状体11aの外周面に貼着してもよく、筒状体に対してずれる恐れがないなど、支障がないときは、貼着せず配置するだけでもよい。
【0082】
さらに説明すると、四角形状の可撓性樹脂シート171fの面上に金属パターン12fを形成するとともにパターン12fの両外側で帯状電極部(リング状電極部の前駆体)141f、142fを形成して発熱シート17Fを得る。金属パターン12fは電気絶縁性膜で被覆してもよい。このとき電極部141f、142fは露出させておく。
【0083】
この発熱シート17Fを筒状体11aの外周面に巻き付けるとともに接着剤で貼着し、或いは貼着せずしっかり巻き付け配置し、筒状発熱体1Fを得るのである。本例では、発熱体1Fを定着装置の加熱用回転体として利用するために、図12(B)に鎖線で示すように、また、図12(C)に示すように、筒状発熱体1Fには弾性材層35を樹脂成形等により周設してあり、その表面を耐摩耗性フィルムチューブを被着する等して耐摩耗性膜36で被覆してある。
【0084】
図13に示すように、筒状体11aの外周面に弾性材層37を周設し、その上に発熱シート17Fを巻き付けて筒状発熱体1F’とし、さらにその上に弾性材層35’を周設し、或いはさらにこれを耐摩耗性膜36’で被覆してもよい。
なお、筒状体の外周面に配置する発熱シートは、図12(A)のものに限定されるものではなく、金属パターンを複数群設けたもの、例えば、図11に示す発熱シート17Eのうようなものであってもよい。
【0085】
いずれにしても、筒状体11aは図1の筒状発熱体1Aで使用した筒状体11aと同じものである。従って、筒状発熱体1Aの場合と同様に両端に端部材15aを装着する等して定着装置の加熱用回転体の主たる部分として利用できる。
【0086】
しかし発熱シートを配置する筒状体は筒状体11aである必要はなく、係合部113aの無い筒状体であってもよく、また、その厚さも可撓性を示すように薄肉のものであってもよい。
【0087】
図14はさらに他の定着装置例2Gを示している。定着装置2Gは加熱用回転体21Gとこれに接触しつつ回転する加圧ローラ22Gとを含むものである。加熱用回転体21Gは、図12(A)に示す可撓性の発熱シート17Fを、薄肉に形成されて可撓性を示す筒状体の外周面に巻き付け貼着してベルト形態の加熱用回転体21Gとしたものである。
【0088】
加圧ローラ22Gは回転軸221gに弾性材層222gを周設したものである。
加熱用回転ベルト21Gは案内ローラr1、r2、r3に巻き掛けられ、加圧ローラ側の案内ローラr1とr2との間でパッドPdに押されて加圧ローラ22Gとの間に広いニップNgを形成している。このニップNgに未定着トナー像を保持した記録媒体を通過させることで、トナー像を記録媒体に定着させることができる。
【0089】
図15は定着装置のさらに他の例2Hを示している。定着装置2Hは、加熱ローラ21hとこれに押圧された加圧ローラ22hとを含んでいる。
【0090】
加熱ローラ21hは既述の図9に示す加熱ローラを変更したものである。さらに言えば、図9の加熱ローラを構成している筒状発熱体1D、すなわち、金属パターン12dを設けた可撓性樹脂シート171からなる発熱シート17Dを丸めて筒状体172の内周面に貼着した筒状発熱体1Dにおいて両端部のリング状電極部141d、142dを省略した筒状発熱体1D’を利用したものである。
【0091】
筒状発熱体1D’の筒状体172には筒状発熱体1Dと同様に弾性材層33が周設され、その表面が耐摩耗性膜34で被覆されている。筒状体172の両端部に端部材211h、212hが装着されている。端部材211h、212hは、図2に示す定着装置2Aの加熱ローラ21aの端部材15aと同様に円盤状部分を一体的に2段重ねした構成のもので、小径円盤状部分を筒状発熱体1D’端部に嵌着したものである。
【0092】
加熱ローラ21hは、端部材211hから突設された軸211sと、端部材212hから突設された軸212sとで定着装置フレームFhに回転可能に支持されている。
【0093】
加圧ローラ22hは軸棒221hに弾性材層222hを周設したもので、フレームFhに回転可能に支持され、加熱ローラ21hに圧接され、加熱ローラ21hとの間にニップNhを形成している。
【0094】
加熱ローラ21hは片方の軸212sが図示省略の回転駆動装置により回転駆動可能であり、加圧ローラ22hは図示省略の伝動機構を介して加熱ローラ側から回転駆動可能となっている。
【0095】
定着装置2Hは、筒状発熱体1D’の金属パターン12dに通電する給電装置18を含んでいる。図16(A)は給電装置18の要部の一つの断面図である。
給電装置18は、図15及び図16(A)に示すように、第1部分181と、これと同じであるが、左右対称的に第1部分181に向かい合わされた第2部分182とを含んでいる。
第1部分181は円盤状の第1コア部材181’に1次コイル181cを巻回配置したものであり、第2部分182は円盤状の第2コア部材182’に2次コイル182cを巻回配置したものである。コア部材181’、182’は電磁石のコアとなり得る材料(磁性体材料)(本例ではフェライト)で形成されている。
【0096】
第1部分181はそのコア部材181’の背面から突設された軸棒181sにより定位置フレームFh’に支持され、静止配置されている。
第2部分182はそのコア部材182’の背面に前記加熱ローラ21hの端部材211hから突設された軸211sが接続固定されている。
かくして、第1部分181と第2部分182は中心軸線を一致させた状態で、それらのコア部材の向かい合う平坦平面間に間隔dsをおいて対向している。
それとは限定されないが、本例では各コア部材の該平坦平面の部分の面積は同じである。
【0097】
図16(B)は第1部分181を図15に示す矢印X方向に見た図であり、図16(C)は第2部分182を図15に示す矢印Y方向に見た図である。
【0098】
第1、第2の部分181、182の互いに対向するコア部材面のそれぞれに、前記軸181s、211sの回転中心軸線と中心を一致させて同サイズの円形溝180が形成されており、この円形溝180においてコイルが巻回されている。
【0099】
第1部分181のコア部材181’に巻かれたコイル181cは1次コイルであり、このコイルの両端部181e、181e’は第1部分181を貫通して第1部分の背後へ引き出さされ、出力可変の交流電源ユニットPWhに接続されている。
第2部分182のコア部材182’に巻かれたコイル182cは2次コイルであり、このコイルの両端部182e、182e’は第2部分182を貫通して第2部分の背後へ引き出され、さらに端部材軸211sの中空部へ導かれ、該中空部を通って筒状発熱体1D’内へ至り、そこから金属パターン12dに接続されている。
【0100】
1次コイル181cを設けた第1部分181と2次コイル182cを設けた第2部分182は言わば途中で分離された分離変圧器(分離トランス)であり、1次コイル181cに電源ユニットPWhから交流電流を流すことにより第2部分182の2次コイル182cに相互誘導による誘導電流が流れ、それにより金属パターン12dに通電され、筒状発熱体1D’が発熱し、加熱ローラ21h表面が未定着トナー像を記録媒体に定着させ得る定着温度へ昇温することができる。
【0101】
加熱ローラの温度制御については、加熱ローラ21hの表面温度をサーミスタ等の適当な温度センサTSで検出し、検出される温度と目標とする温度(例えば180℃程度)との差に基づいて、検出温度が目標温度に向かうように、電源ユニットPWhの出力を調整すればよい。
【0102】
電源ユニットPWhの出力については、一般的に言えば交流電力であればよく、商用電源の50Hz〜60Hz(90V〜240V)程度から100kHz程度の周波数範囲のものを例示できる。しかし、高周波電力を採用すると、コア部材とコイル巻き数に影響される第1部分や第2部分の体積を減らして小型化できることから、第1、第2の部分181、182のサイズ(特にコア部材181’、182’のサイズ)を小型化すべく、そして電力伝送効率を考慮して、1kHz〜100kHzの範囲で制御する例を挙げることができ、本例では、さらに好ましい範囲として20kHz〜40kHzの範囲で制御できるようにしている。
なお、ユニットPWhの出力制御については、PWM制御で波形のデューティ比を変更することによる出力制御でもよい。
いずれにしても温度制御をきめ細かく行うことができる。
【0103】
第1、第2のコア部材181’、182’の平坦平面間の間隔dsは、一般的に言えば、両部材の接触を避けるうえで0.1mm以上を例示できる。
また、1次、2次の各コイルの巻き数やコア部材181’、182’の材質等にもよるが、第1、第2のコア部材の平坦平面間の間隔は2次コイル182cに加熱ローラ表面温度を所定温度に向かわせ得る誘導電流を発生させるうえで、概ね10mm程度までとする例を挙げることができる。
【0104】
また、第1コア部材181’の第2コア部材182’に向かい合っている平坦平面の部分の該平坦平面の全面積に対する割合(また、第2コア部材182’の第1コア部材181’に向かい合っている平坦平面の部分の該平坦平面の全面積に対する割合)は、1次、2次の各コイルの巻き数やコア部材181’、182’の材質、両部材の間隔等にもよるが、加熱ローラ表面温度を所定温度に向かわせ得る誘導電流をより確実に、効率よく発生させるうえで、概ね50パーセント以上とする例を挙げることができる。
【0105】
定着装置2Hにおいて加熱ローラ21hの筒状発熱体1D’の内側には記録媒体の通過域に対応する位置でスポンジ等からなる支持弾性材を樹脂成形等により設けておいてもよい。
以上説明した給電装置18と同様のタイプの給電装置は、図15に示すように加熱ローラ21hの筒状発熱体1D’の金属パターン12dへの通電だけでなく、本明細書記載の他の筒状発熱体や同様の筒状発熱体の金属パターンへの通電にも、特に構造上等において支障がないかぎり、適用できる。
【0106】
図17は筒状発熱体のさらに他の例1Jを示している。筒状発熱体1Jは、筒状体11jの外周面に、中央部の金属パターン12j1とその両側の金属パターン12j2、12j3とを設けるとともに、筒状体11jの片側端部の外周面にリング状電極部141j、142j、143j、144jを周設し、筒状体11jの内周面に温度検出用の抵抗パターン(温度変化に応じて電気抵抗が変動する通電線、例えば銅線からなる抵抗パターン)を設けたものである。
【0107】
図示を省略しているが筒状体外周面の
リング状電極部141jは金属パターン12j1の一端に接続されており、
リング状電極部142jは金属パターン12j2の一端に接続されており、
リング状電極部143jは金属パターン12j3の一端に接続されており、
リング状電極部144jは各金属パターンの他端に接続されている。
【0108】
筒状体11j内周面の温度検出用抵抗パターンは、それとは限定されないが、本例ではつぎのようにして設けられている。
図18に示すように可撓性樹脂シート19の片面上に中央部抵抗パターンsj1とその両側の抵抗パターンsj2、sj3を形成するとともにシートの片側端部の反対側面上にに帯状電極部1s、2s、3s、4sを形成し、該樹脂シート19を抵抗パターンを設けた面を外側にして丸めて筒状体11j内へ挿入し、筒状体11j内周面上に配置することで設けられている。本例では、抵抗パターンを設けた樹脂シート19は接着剤で筒状体11jの内周面に貼着されているが、位置ズレ等の心配がないなど、支障がないのであれば、貼着せずに内嵌配置するだけにしてもよい。
なお、抵抗パターンsj1、sj2、sj3は本例ではいずれも温度変動に応じて電気抵抗が変動する金属線からなるパターンである。
【0109】
このように樹脂シート19が筒状体11j内周面に配置された状態では、抵抗パターンsj1は金属パターン12j1に、抵抗パターンsj2は金属パターン12j2に、抵抗パターンsj3は金属パターン12j3にそれぞれ対応して位置している。
【0110】
帯状電極部1s、2s、3s、4sは樹脂シート19が丸められ筒状体11jの内周面に配置された状態ではリング状電極部となり、これらは露出させたままとしておく。
【0111】
図示を省略しているが筒状体11j内周面側の
電極部1sは抵抗パターンsj1の一端に接続されており、
電極部2sは抵抗パターンsj2の一端に接続されており、
電極部3sは抵抗パターンsj3の一端に接続されており、
電極部4sは各抵抗パターンの他端に接続されている。
【0112】
筒状発熱体1Jを、定着装置用加熱ローラの一部として利用する場合には、例えば、図19に示すように、筒状発熱体1Jに弾性材層41を周設し、その表面を耐摩耗性膜42で被覆し、筒状発熱体1Jの各端部に適当な端部材を装着し、これを軸で定着装置フレームに支持することで回転可能の加熱ローラ21jを得ることができる。なお、この場合、抵抗パターン用のリング状電極部1s〜4sに外側から給電用電極を接触させることができるように、端部材はそれら電極部1s〜4sより奥側に装着すればよい。
【0113】
そして、トナー像定着に供する記録媒体サイズに応じて、図示省略の給電用電極及びリング状電極部141j〜144jのうち幾つかを介して金属パターン12j1〜12j3のうち少なくとも一つに出力可変の電源ユニット(図示省略)から通電して、筒状発熱体1Jの所定範囲を発熱させ、それにより記録媒体サイズに応じて加熱ローラ21jの所定範囲をトナー像定着温度へ向け昇温させることができる。
【0114】
また、金属パターン12j1〜12j3のうち少なくとも一つへの通電による発熱によって、発熱する金属パターンに対応する抵抗パターンの温度変化に伴う電気抵抗の変動を前記のリング状電極部1s〜4sのうち少なくとも幾つかとそれらに接触せしめられる図示省略の検出電極とを介して図示省略の抵抗検出器で検出できる。それにより金属パターンの発熱により加熱されている加熱ローラ21jの部分の温度を把握することができ、該検出器からの検出温度相当の検出情報を受ける図示省略の制御部において、抵抗パターンによる検出温度と目標温度との差に基づいて、該金属パターンへの電源ユニットからの電力供給を周波数制御やPWM制御等により制御して、加熱ローラ21jの所定範囲について所定定着温度へ向け細かく精度よく、安定的に制御できる。
電源ユニット出力を周波数制御する場合、抵抗パターンの抵抗を周波数に変換できるようにしておいて、抵抗パターンの抵抗変動を周波数変動に変換して把握してもよい。
【0115】
図20に示す可撓性樹脂シートは、図18に示すように可撓性樹脂シート19の面上に配線による抵抗パターン群を形成することに代えて樹脂シート19のシート面上に、金属パターン12j1に対応させて抵抗パターンsj1’を、金属パターン12j2に対応させて抵抗パターンsj2’を、金属パターン12j3に対応させて抵抗パターンsj3’をそれぞれプリント形成したものである。ここでの抵抗パターンsj1’、sj2’、sj3’のそれぞれは、温度変動に応じて電気抵抗が変動する銅ペーストや銀ペースト等の導電性ペートの塗膜帯からなる抵抗パターンである。
【0116】
シート19の反対側の面の端部には、これら抵抗塗膜帯に電気的に接続されたリング状電極部となるべき帯状電極部1s’〜4s’が形成されている。
【0117】
このシートも抵抗パターンsj1’〜sj3’を設けた面を外側にして丸めて筒状体11j内へ挿入し、接着剤による貼着や単なる配置等により筒状体11jの内周面に配置して筒状発熱体1J’を得ることができ、さらにその外周面に弾性材層41を周設し、その表面を体摩耗性膜42で被覆して図21に示すような加熱ローラ21j’とすることができる。
【0118】
この加熱ローラ21j’においても、金属パターン12j1〜12j3のうち少なくとも一つへの通電による発熱によって、発熱する金属パターンに対応する抵抗パターンの温度変化に伴う電気抵抗の変動を前記のリング状電極部1s’〜4s’のうち少なくとも幾つかとそれらに接触せしめられる図示省略の検出電極とを介して検出できる。それにより金属パターンの発熱により加熱されている加熱ローラ21j’の部分の温度を把握することができ、抵抗パターンによる検出温度と目標温度との差に基づいて、該金属パターンへの電源ユニットからの電力供給を制御して、加熱ローラ21j’の所定範囲について所定定着温度へ向け精度よく制御できる。
【0119】
温度検出用の抵抗パターン(配線によるパターン、塗膜帯のパターン等)は以上説明した筒状発熱体1J、1J’だけでなく、本明細書記載の他の筒状発熱体や同様の筒状発熱体にも、支障がなければ、設けることができ、その抵抗パターンにより筒状発熱体や、それを利用した定着装置の加熱用回転体の温度制御に供することができる。
また、いずれにしても温度検出用の抵抗パターンは、筒状体の内周面に直接形成したり、金属パターンを電気絶縁性膜で被覆してその電気絶縁性膜上に形成することもできる。
【0120】
以上説明した筒状発熱体1A(図1)、1B(図3)、1C(図6)、1D(図8等)、1F(図12)、1F’(図13)、1D’(図15)、1J(図17等)、1J’(図21)などの筒状発熱体のそれぞれにおける筒状体、すなわち、筒状体11a(図1等)、172(図7〜図9等)、11j(図17等)などの筒状体は、一般的に言えば、金属パターンの発熱に耐える耐熱性を持たせるため、そのような耐熱性を示すポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂等の熱硬化性樹脂で形成することができる。
【0121】
また、筒状発熱体を構成する筒状体は金属製であってもよく、例えば、ニッケル、銅又は鉄を主成分とする金属材料からなるものであってもよい。
しかし、図面を参照して説明した筒状発熱体における筒状体11a(図1等)、172(図7〜図9等)、11j(図17等)などの筒状体は、ポリイミド樹脂からなるものである。
筒状体の厚みについては、筒状発熱体をロール形態の加熱用回転体の構成部品として用いるのか、可撓性ベルト形態の加熱用回転体の構成部品位として用いるのかに応じて、また、筒状体材料等に応じて、適宜に選択決定すればよい。
【0122】
また、筒状発熱体を構成する筒状体〔筒状体11a(図1等)、172(図7〜図9等)、11j(図17等)など〕は、その熱分布を均一化させるために、カーボン粉や、ニッケル粉等の金属粉のような熱伝導性粉を分散させたものであってもよい。
筒状体が導電性の熱伝導性粉を含むものであるときは、安全のため、例えば金属パターンや、温度検出用の抵抗パターン等の通電する部材は直接筒状体に触れないように配置する等すればよい。
【0123】
筒状発熱体1A(図1)、1B(図3)、1C(図6)、1D(図8等)、1F(図12)、1F’(図13)、1D’(図15)、1J(図17等)、1J’(図21)などの筒状発熱体のそれぞれにおける通電発熱可能の金属パターン、すなわち金属パターン12a(図1等)、12b(図3)、121c〜123c(図6)、12d(図7等)、121d〜123d(図11)、12f(図12)、12j1〜12j3(図17)などの金属パターンは、一般的に言えば、銅、鉄、アルミニウム又は(銅、鉄及びアルミニウムのうちから選ばれた2種以上の金属の合金)からなっている場合を例示できるが、図面を参照して説明した筒状発熱体における金属パターンは銅を主体とするもの(銅で形成されたものを含む)である。
【0124】
金属パターンの形成は、先に形成した銅膜のエッチングや、銅を主体とする導電性ペーストによるプリント等により形成することができる。
【0125】
金属パターンの材質(特に導電率)並びに金属パターンを提供する通電発熱可能の線の厚さ、幅及び全体の長さ等は、その金属パターンによる目標発熱温度に応じて選択することができ、換言すれば、金属パターンを提供する通電発熱可能の線の導電率、厚さ、幅、長さを、金属パターンへの供給電力とともに発熱温度の制御要素することができ、それだけ容易に発熱温度を制御できる。
【0126】
これらを考慮した場合でも、金属パターン形成面をできるだけ平滑にしておく観点からすると、金属パターンを提供する通電発熱可能の線の厚さは概ね12.5μm〜50μm程度の範囲のものとする例を挙げることができる。
【0127】
また、金属パターンや、場合によって温度検出用の抵抗パターンを被覆する前記の電気絶縁性膜としては、一般的に言えば、ポリイミドフィルム等の耐熱性良好な熱硬化性樹脂フィルムや、ポリイミド系ワニス等の耐熱性良好なワニス膜を例示できるが、先に説明した筒状発熱体における金属パターン等を被覆する電気絶縁性膜には、ポリイミド系ワニスを採用している。
【0128】
いずれにしても、電気絶縁性膜の厚みとしては、電気絶縁性効果あらしめるために概ね10μm以上とする例を挙げることかでき、一方、徒に厚くなりすぎたり、筒状発熱体に可撓性が要求される場合その可撓性を妨げないようにするために概ね50μm以下とする例を挙げることができる。
【0129】
図7に例示するように、可撓性樹脂シート(例えば171)に金属パターン(例えば12d)を形成し、このシートを丸めて筒状体(例えば172)の内周面に接着剤で貼着する、或いは貼着しないで配置するなどして配置して筒状発熱体(例えば1D)を形成する場合や、図12に例示するように可撓性樹脂シート(例えば171f)に金属パターン(例えば12f)を形成し、このシートを筒状体(例えば11a)の外周面に接着剤で貼着する、或いは貼着しないで配置するなどして配置して筒状発熱体(例えば1F)を形成する場合、可撓性樹脂シートとしては、一般的に言えば、金属パターンの発熱に耐えられる耐熱性を示すポリイミド系樹脂等の熱硬化性樹脂からなる樹脂シートを例示できる。先に説明した筒状発熱体1D、1F等では、金属パターンを形成する可撓性樹脂シートとしてポリイミドフィルムを採用している。
【0130】
また、可撓性樹脂シートの厚みとしては、ある程度の強度と電気絶縁性の確保のために概ね12.5μm程度以上とする例を挙げることができ、また、可撓性を維持するうえで概ね50μm以下とする例を挙げることができる。
【0131】
温度検出用の抵抗パターンを形成する可撓性樹脂シート19(図18、図20参照)についても、金属パターンを形成する樹脂シートと同様のものを採用できる。
【0132】
樹脂シートを筒状体周面に貼着する場合に採用できる接着剤(粘着剤を含む)としては、エポキシ系接着剤、ポリイミド系接着剤等の金属パターン発熱に耐え得る耐熱性接着剤を例示することができる。
【0133】
筒状発熱体を利用した定着装置の加熱用回転体〔21b(図4)、21c(図5)、21d’(図9)、21e(図10)、21f(図12)、21f’(図13)、21h(図15)、21j(図19)、21j’(図21)等)における弾性材層〔211(図4)、214(図5)、32(図7〜図9)、33(図9)、33’(図10)、35(図12)、35’及び37(図13)、41(図19、図21)等)については、耐熱性の弾性材層としてシリコン樹脂(例えばシリコンゴム)からなる弾性材層を例示できる。このような弾性材層のうち、金属パターンより外周側に位置する弾性材層(211(図4)等)については、熱分布を均一化させるために、カーボン粉や、ニッケル粉等の金属粉のような熱伝導性粉を混合分散させたものであってもよい。
【0134】
また、弾性材層の表面を耐摩耗性膜で被覆する場合〔膜212(図4)、膜34(図9、図15)、膜34’(図10)、膜36(図12)、膜36’(図13)、膜42(図19、図21)等〕、該耐摩耗性膜としては、加熱用回転体の温度に耐え得る耐熱性を有する樹脂フィルム、例えばPTFE、PFA等のフッ素系樹脂フィルムやチューブを挙げることができる。
【0135】
以上説明した筒状発熱体1A(図1)、1B(図3)、1C(図6)、1D(図8等)、1F(図12)、1F’(図13)、1D’(図15)、1J(図17等)、1J’(図21)などの筒状発熱体のそれぞれにおける通電発熱可能の金属パターンに給電するリング状電極部や、温度検出用抵抗パターンを設けてある筒状発熱体ではその抵抗パターンから抵抗変動を検出するためのリング状電極部は、金属パターンや抵抗パターンと一体的に設けられていてもよいが、金属パターンや抵抗パターンに対して別途形成されて、あとで銀ロウ、ハトメ等の電気的接続手段でそれらパターンに接続されてもよい。別途形成されるリング状電極部は筒状発熱体端部の補強部材を兼ねていてもよい。
【0136】
いずれにしても、リング状電極部は、それが金属パターンに接続されたものであるときは、それに接触せしめられる給電電極との接触抵抗をできるだけ長期間にわたり低く抑えるために、そして、リング状電極部が抵抗パターンに接続されたものであれば、それと接触する抵抗検出用電極との接触抵抗をできるだけ長期間にわたり低く抑えるために、電極部表層はニッケル、金、ロジウム及び導電性カーボンから選ばれた少なくとも一種の導電性材料で形成されていることが好ましい。
【0137】
そのような表層部は、例えば、メッキや、そのような材料又はそのような材料を含むペーストの塗布等により得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式などの画像形成装置等に採用される、未定着トナー像を担持した記録媒体を加熱用回転体と該加熱用回転体に向け押圧される加圧用回転体とで形成されるニップに通過させて該トナー像を加熱加圧下に該記録媒体に定着させる定着装置における該加熱用回転体の熱源などとして利用できる発熱効率の高い筒状発熱体を提供することに利用でき、また、ウォームアップ時間の短縮の要請や、今日の省エネルギーの要請に応えることができる定着装置を提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0139】
1A 筒状発熱体
11a 筒状体
111a 筒状体外周面
112a 筒状体内周面
113a 係合部(係合凹所)
12a 金属パターン
13a 電気絶縁性膜
141a、142a リング状電極部
2A 定着装置
21a 加熱ローラ
15a 端部材
151 外側円盤部
152 内側円盤部
153 突起
sa 端部材15aの軸
22a 加圧ローラ
221 回転軸
222 弾性材層
Na ニップ
Fa 定着装置フレーム
161 回転駆動機構
162 伝動機構
e1a、e2a 給電ローラ電極
PWa 電源ユニット
2B 定着装置
21b 加熱ローラ
1B 筒状発熱体
12b 金属パターン
141b、142b リング状電極部
221 弾性材層
212 耐摩耗性膜
22b 加圧ローラ
221’ 回転軸
222’ 弾性材層
Nb ニップ
T 未定着トナー像
S 記録媒体
2C 定着装置
21c 加熱ローラ
213 回転軸
214 弾性材層
1C 筒状発熱体
121c、122c、123c 金属パターン
141c、142c、143c、144c リング状電極部
1D 筒状発熱体
17D 発熱シート
171 可撓性樹脂シート
12d 金属パターン
172 筒状体
171d 舌片
171’ シート171の辺部(耳部)
141d、142d 帯状電極部(リング状電極部の前駆体)
30 ロール
31 軸棒
32 弾性材層
21d 加熱ローラ
e1d、e2d 給電用電極
33 弾性材層
34 耐摩耗性膜
2E 定着装置
21e ベルト状の加熱回転体
1D’ 筒状発熱体
33’ 弾性材層
34’ 耐摩耗性膜
Re ローラ
22e 加圧ローラ
Ne ニップ
17E 発熱シート
121d、122d、123d 金属パターン
141e、142e、143e、144e 帯状電極部(リング状電極部の前駆体)
1F 筒状発熱体
17F 発熱シート
171f 可撓性樹脂シート
12f 金属パターン
141f、142f 帯状電極部(リング状電極部の前駆体)
35 弾性材層
36 耐摩耗性膜
1F’筒状発熱体
37 弾性材層
35’弾性材層
36’耐摩耗性膜
2G 定着装置例
21G ベルト形態の加熱用回転体
22G 加圧ローラ
221g 回転軸
222g 弾性材層222
r1、r2、r3 案内ローラ
Pd パッド
Ng ニップ
2H 定着装置
21h 加熱ローラ
22h 加圧ローラ
1D’ 筒状発熱体
211h、212h 端部材
211s,212s 軸
Fh 定着装置フレーム
Nh ニップ
18 給電装置
181 第1部分
181’ 第1コア部材
181s 軸棒
Fh’ フレーム
182 第2部分
182’ 第2コア部材
180 円形溝
181c 1次コイル
182c 2次コイル
181e、181e’ コイル181cの端部
182e、182e’ コイル182cの端部
PWh 高周波電源ユニット
TS 温度センサ
ds 部分181、182の間隔
1J 筒状発熱体
11j 筒状体
12j1、12j2、12j3 金属パターン
141j、142j、143j、144j リング状電極部
19 可撓性樹脂シート
sj1、sj2、sj3 抵抗パターン
1s、2s、3s、4s 帯状電極部
21j 加熱ローラ
41 弾性材層
42 耐摩耗性膜
1J’ 筒状発熱体
sj1’、sj2’、sj3’ 抵抗パターン
1s’、2s’、3s’、4s’ 帯状電極部
21j’ 加熱ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体と、該筒状体の外周面及び内周面のうち少なくとも一方に設けられた通電発熱可能の金属パターンと、該筒状体の端部において該筒状体の外周面及び内周面のうち少なくとも一方に設けられて前記金属パターンに通電可能に接続されたリング状電極部とを含むことを特徴とする筒状発熱体。
【請求項2】
未定着トナー像を担持した記録媒体を加熱用回転体と該加熱用回転体に向け押圧される加圧用回転体とで形成されるニップに通過させて該トナー像を加熱加圧下に該記録媒体に定着させる定着装置の該加熱用回転体の少なくとも一部を構成するための発熱体である請求項1記載の筒状発熱体。
【請求項3】
通電発熱可能の金属パターンがシート面上に形成された可撓性樹脂シートが前記筒状体の外周面及び内周面のうち少なくとも一方に配置されていることで該筒状体の外周面及び内周面のうち少なくとも一方に前記金属パターンが設けられている請求項1又は2記載の筒状発熱体。
【請求項4】
前記金属パターンは前記筒状体の内周面に設けられているとともに前記リング状電極部は該筒状体の端部内周面に設けられている請求項1、2又は3記載の筒状発熱体。
【請求項5】
前記金属パターンは前記筒状体の外周面に設けられているとともに前記リング状電極部は該筒状体の端部外周面に設けられている請求項1、2又は3記載の筒状発熱体。
【請求項6】
前記リング状電極部は前記金属パターンに通電可能に連続する状態で該金属パターンと一体的に形成されている請求項4又は5記載の筒状発熱体。
【請求項7】
前記金属パターンは前記筒状体の外周面及び内周面のうち一方に設けられており、前記リング状電極部は該筒状体の外周面及び内周面のうち他方に設けられている請求項1、2又は3記載の筒状発熱体。
【請求項8】
前記リング状電極部は前記金属パターンを設けた筒状体の補強部を兼ねており、該金属パターンと導電性接続部で接続されている請求項4、5又は7記載の筒状発熱体。
【請求項9】
前記リング状電極部はニッケル、金、ロジウム及び導電性カーボンのうちから選ばれた少なくとも一種の導電性材料からなる表面層を有している請求項1から8のいずれかに記載の筒状発熱体。
【請求項10】
前記金属パターンは、分割された複数の発熱域を提供するための複数パターンに分割されており、前記リング状電極部は該複数パターンのそれぞれに独立して通電できるように複数設けられている請求項1から9のいずれかに記載の筒状発熱体。
【請求項11】
未定着トナー像を担持した記録媒体を加熱用回転体と該加熱用回転体に向け押圧される加圧用回転体とで形成されるニップに通過させて該トナー像を加熱加圧下に該記録媒体に定着させる定着装置であって、該加熱用回転体は筒状発熱体を含んでおり、該筒状発熱体は請求項1から10のいずれか1項に記載の筒状発熱体であり、該筒状発熱体へ通電するための給電部材として、該リング状電極に接触する給電部材を備えていることを特徴とする定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−65005(P2011−65005A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216709(P2009−216709)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】