説明

算出された溶接歪みに基づいて溶接する溶接法、ワークの欠陥位置を検出するための検出ユニットを備えた溶接装置、並びに複合体

本発明によれば、第1のワーク(10)を第2のワーク(11)に接続するために溶接法、特にレーザ溶接法において、第1の方法ステップで第1のワークと第2のワークとを互いに接触させ、第2の方法ステップで所望の溶接歪みを算出し、第3の方法ステップで前記溶接歪みに基づいて第1のワークと第2のワークとを互いに溶接することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
このような装置は一般的に公知である。例えばドイツ連邦共和国特許公開第102006015383号明細書によれば、第1のワークを第2のワークにレーザ溶接するための方法及び装置が公知である。この公知の装置は、レーザ源と、溶接工程のプロセスを監視するためのセンサとを有している。プロセス監視は、特に溶接深さを監視するために用いられる。溶接深さは、センサとしての光学カメラによるオンライン測定によって瞬時に検出され、レーザ源のための調整値として考慮される。溶接歪みの規定は行われない。
【0002】
発明の開示
本発明による溶接法、本発明による溶接装置、及び併合出願請求項による本発明の複合体は、従来技術に対して、溶接プロセスの前に、溶接プロセス中に変化した所望の又は必要な溶接歪みが検出される、という利点を有している。従って、本発明の方法によれば、第1のワークと第2のワークとの接続が得られるだけではなく、付加的に第1のワークと第2のワークとの間の所望の方向性若しくは変形も得られる。このような形式で、例えば溶接中に、第1のワーク及び第2のワークの接触面の固定若しくは曲げ及びずれを補整することができる。選択的に、相応の曲げパラメータを入力することによって又は相応の溶接歪みを入力することによって、溶接継ぎ目の領域内において所望の曲げを生ぜしめることも考えられる。この際に得られた溶接歪みは、第3の方法ステップで、相応の溶接パラメータを選択することによって実現される。これによって有利な形式で、比較的高い精度の所望の外側輪郭を有する構成部分が実現される。従来では、このような溶接接合された構成部分の外側輪郭形状の高い精度は、個別の接合相手、つまり第1及び第2のワークの接合面の比較的高い精度によって得られていた。この場合、接合面は、従来では例えば平坦化するか若しくは切削する必要があった。このような従来技術に対して、本発明による方法は、第1及び第2のワークの接合面を比較的高価な費用を必要とする形式で予め処理する必要なしに、上記のような精密な構成部分を製造することができる。本発明による方法は、すべての溶接法、特にビーム溶接、例えばレーザ溶接又はアーク溶接を含む。
【0003】
本発明の有利な実施態様及び改良は、従属請求項、並びに図面に関連した実施例の説明に記載されている。
【0004】
有利な実施態様によれば、第2の方法ステップで、第1のワークと第2のワークとの間の欠陥位置を検出し、該欠陥位置に基づいて、特に前記欠陥位置を補整するための溶接歪みを算出するようにした。これによって、有利な形式で、この溶接法の実施中に第1のワークと第2のワークとの間の欠陥位置の補整を行うことができる。従ってこの溶接法は、第1のワークと第2のワークとを堅固に結合する機能を有すると同時に、第1のワークと第2のワークとの間の結合を調整する機能を有する。これによって接合面の前処理を省くことができる。特に、第2の方法ステップにおいて、欠陥位置が検出され、次いでこの欠陥位置を補整するために必要な溶接歪みが計算される。欠陥位置の本来の補整は、次いで行われる溶接法で実施され、この際に、溶接のプロセスパラメータは、算出された溶接歪みが欠陥位置を補整するように作用する。
【0005】
本発明において欠陥位置とは、所望の目標位置からずれた、第1のワークと第2のワークとの間の実際位置のことである。従って欠陥位置は、第1のワークの方向付けと第2のワークの方向付けとの間のずれのことではない。
【0006】
本発明の別の有利な実施態様によれば、第3の方法ステップで、溶接光線を前記溶接歪みに基づいて調節し、この際に有利な形式で、放射出力、溶接光線の向き及び/又は焦点合わせを、第1及び第2のワークに対して相対的に調節するようにした。有利な形式で、放射出力、焦点合わせ及び/又は放射方向を相応に変化させることによって、溶接歪みの変化を得ることができる。従って、例えば放射出力を高めるか若しくは低下させることによって、溶接歪みを高めるか若しくは減少させることができる。
【0007】
本発明の別の有利な実施態様によれば、第3の方法ステップで、第1及び第2のワークを1つの回転軸線を中心にして回転させ、相応の回転角度を溶接歪みに基づいて調節するようにした。本発明において、回転角度は、得ようとする所望の溶接歪みに関連した、溶接開始中の調整角度、つまり溶接光線と複合体との間の、溶接プロセスが開始される角度を含む。この場合、特に、第1のワークと第2のワークとから成る複合体を、該複合体固有の軸線を中心にして回転させ、この際に、有利な形式で放射出力を全回転角度に亘ってほぼ一定とすることによって、第1のワークと第2のワークとの間の比較的堅固で一様な結合が得られる。回転角度はさらに、有利な形式で、所望の溶接歪みに基づいて調節される。何故ならば回転角度の変化によって、第1のワークと第2のワークとの間の所定の領域内でのエネルギ供給を所望に高めかつ/または低下させることができるからである。これによって、所望の形式で、得ようとする溶接歪みに相応の影響を与えることができる。さらに、回転角度によって、オーバーラップ領域の位置若しくは、該オーバーラップ領域に向き合う部分領域の位置が確定される。
【0008】
本発明の別の有利な実施態様によれば、第3の方法ステップで、第1及び第2のワークを完全に1回転させた後で、オーバーラップ領域を生ぜしめ、該オーバーラップ領域で溶接継ぎ目が重なり合うようにした。第1のワークと第2のワークとから複合体を、溶接光線に対して360°以上回転させると、生ぜしめられた溶接継ぎ目と前記複合体の固有の始端領域とのオーバーラップが開始する。これによって、相応の回転角度を選択することによって、オーバーラップ領域の大きさが確定され、この際に、有利な形式で、生ぜしめられた溶接歪みは、オーバーラップ領域の大きさに基づいている。
【0009】
本発明の有利な実施態様によれば、第3の方法ステップで、オーバーラップ領域の大きさを、溶接歪みに基づいて調節し、かつ/またはオーバーラップ領域において放射出力を低下させるようにした。有利な形式で、溶接歪みは、2つのワークの一方側におけるオーバーラップ領域の大きさによって調節され、この場合、より小さいオーバーラップ領域によってオーバーラップ領域に向かう方向でより小さい溶接歪みが形成され、より大きいオーバーラップ領域によってオーバーラップ領域に向かう方向でより大きい溶接歪みが形成される。
【0010】
本発明の別の有利な実施態様によれば、第3の方法ステップで、前記オーバーラップ領域に対して180゜の回転角度で向き合う部分領域に、高められた放射出力を供給し、かつ/または追加的な放射線量を供給するようにした。オーバーラップ領域に向き合う部分領域において放射出力を高めるか又は追加的な放射線量を供給することによって、オーバーラップ領域に向かう方向の溶接歪みに抗する溶接歪みが生ぜしめられるので、溶接歪みはオーラーラップ領域に向かう方向で少なくとも部分的に補整されるか、又は過剰補整される。従って、その結果得られた溶接歪みは制御可能である。この場合、部分領域における補整は、第1及び第2のワークの第1の回転中に、部分領域における高められた放射出力によって実現可能であり、この場合、有利な形式で、この溶接プロセスは、従来技術による溶接プロセスと比較して追加的な時間及び/又は追加的な回転を必要としない。選択的に、部分領域における補整は、部分領域における追加的な放射線量によって実現可能である。この追加的な放射線量は、第2の回転中に部分領域内に放射される。これによって、高められた電力放射を必要としない、という利点がある。
【0011】
本発明の別の実施態様は、併合出願された装置の発明である。この場合、第1のワークと第2のワークとの間の欠陥位置は、検出ユニットによって検出される。これは、修正若しくは補整するために必要な溶接歪みが、次の溶接プロセスにおける溶接パラメータを調節するために考慮される欠陥位置から計算される、という利点を有している。従って、本発明による溶接装置は、第1のワークと第2のワークとを堅固に結合するだけではなく、溶接中に第1のワークと第2のワークとの結合を調整することもできるので、第1のワークと第2のワークとから成る、所望の外側形状を有する構成部分を、比較的精確に製造することができる。この溶接装置は、特に、管状及び/又は棒状の細長いワークを溶接するために適している。何故ならば、この場合、第1のワークと第2のワークとの間の欠陥位置は、例えば第1及び第2のワークの面平行ではない接合面によって、特に強い影響を受けるからである。また、これによって有利な形式で、元のワークの面平行ではない接合面においても、第1のワーク及び/又は第2のワークの比較的良好な平面回転(Planlauf)が得られる。
【0012】
本発明の有利な実施態様によれば、第1及び第2のワークを共通に運動させるためのホルダの駆動装置及び/又は溶接ヘッドの制御が検出ユニットによって行われるようになっている。欠陥位置を考慮若しくは修正するために、上記詳しく説明したように、溶接光線は、放射出力、焦点合わせ及び/又は放射方向を考慮して、放射ヘッドによって調節され、かつ/または相対位置若しくは相対運動、つまり特に第1及び第2のワークと溶接光線との間の回転角度が、駆動装置によって調節され、この場合、所望の溶接歪みを生ぜしめるために、放射ヘッド及び/又は駆動装置が、間接的又は直接的に検出ユニットによって制御される。
【0013】
本発明の別の有利な実施態様によれば、検出ユニットは、光学式及び/又は機械式の検出ユニットを含んでいる。特に有利には、光学式の検出ユニットは光学レーザを含んでおり、該光学レーザは、第1のワークと第2のワークとの間の欠陥位置を比較的精確に検出するために使用される。選択的に、機械式の検出ユニットは、有利な形式で手の感覚による検出ユニットを含む。この場合、欠陥位置は、手で触れることによって若しくは接触することによって検出される。また、歪みを、ワークの変形を簡単に測定することによって及び/又はワークホルダの位置によって検出することも考えられる。歪みの検出を、その他の適当な方法によって行うことができることは、当業者にとって自明である。
【0014】
また本発明は、本発明の方法に従って製造され、かつ/または本発明の溶接装置によって製造された第1及び第2のワークより成る複合体に関する。
【0015】
本発明の幾つかの実施例が図面に示され、以下に詳しく説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】Aは、従来技術による溶接法の概略的なブロック図、Bは、本発明の第1実施例による溶接法の概略的なブロック図である。
【図2】A及びBは、本発明の第1実施例及び第2実施例による溶接装置の概略的な側面図である。
【図3】本発明の第3実施例による溶接装置の概略的な平面図である。
【図4】A,B及びCは、本発明の第2、第3及び第4実施例による溶接法の回転角度に基づく放射出力の概略図である。
【0017】
実施例の説明
図1Aは、従来技術による典型的な溶接法の概略的なブロック図を示しており、第1のステップ1′において、まず第1及び第2のワークが、これらのワークのそれぞれの接合面が互いに接触するように、ホルダによって緊締される。次いで、第2のステップ3′で第1及び第2のワークが、駆動装置によって、回転軸線を中心にして共通に回転運動せしめられ、本来の溶接プロセスが実施される。この際に、溶接光線、特にレーザ光線が、第1のワークと第2のワークとの間の接触箇所に向けられ、溶接光線は回転運動させることによって接触箇所の周囲に沿って移動することによって、溶接継ぎ目が接触箇所の周囲に形成され、それによって第1のワークと第2のワークとの間に完全に環状の溶接接合が得られる。
【0018】
図1Bは、本発明の第1実施例による溶接法の概略的なブロック図を示しており、本発明による溶接法は、図1Aに示した溶接法と類似しており、第1の方法ステップにおいて第1及び第2のワークをホルダによって緊締した後で、まず必要な若しくは所望の溶接歪みが第2の方法ステップ2において算出される。このために、第1のワークと第2のワークとから成る複合体が検出ユニットによって測定され、第1のワークと第2のワークとの間の不都合な若しくは修正されるべき欠陥位置が検出される。この際に、特に第1のワークと第2のワークとの実際位置(Ist-Anordnung)が検出され、目標位置(Soll-Anordnung)と比較される。検出された欠陥位置によって、検出された欠陥位置を補整するために必要な溶接歪みが計算され、従って第1のワークと第2のワークとの配置は、溶接プロセスの終了後に目標位置に相当するようになる。次いで第3の方法ステップ3において、第1のワークと第2のワークとから成る複合体が回転軸線を中心にして回転せしめられ、溶接プロセスが開始される。この場合、複合体の回転運動及び溶接プロセスは、計算された溶接歪みに基づいて生ぜしめられた溶接歪みによって、溶接プロセス終了後に前記欠陥位置が補整されるように、実施される。この場合、有利な形式で第1のワークと第2のワークとから成る複合体の回転運動及び/又は放射出力は、検出された溶接歪みに基づいて制御される。この溶接歪みを生ぜしめるために、特に放射出力が、前記複合体と溶接光線との間の初期角度に基づいて制御される。
【0019】
図2A及び図2Bには、本発明の第1及び第2実施例による溶接装置の概略的な側面図が示されており、該溶接装置は、図1Bに示された本発明の第1実施例による溶接法を実施するために設けられている。図1Bに示された第1実施例においては、ホルダ12内に保持される第1及び第2のワーク10,11が設けられている。第1のワーク10の主延在方向と第2のワーク11の主延在方向とは、互いに180°ではない角度を有している。つまり、第1のワーク10と第2のワーク11とは、互いに正確に平行に整列されていない。これは例えば、第1及び第2のワーク10,11の面平行ではない接合面によって得られる。第1及び第2のワーク10,11の配向のずれは、以下では欠陥位置と称呼される。欠陥位置は、図示していない検出ユニット例えば光学レーザによって検出され、この検出された欠陥位置を考慮して溶接歪みが算出される。この溶接歪みは、溶接プロセスの完全終了後に欠陥位置を真っ直ぐに補整するのに適している。第1のワーク10と第2のワーク11との間の接触領域13内に、図示していない溶接ヘッドから溶接光線14が放射され、それによって第1のワーク10と第2のワーク11とが接触領域13において互いに結合される。この場合、第1のワーク10と第2のワーク11とは、図示していない駆動装置によって、回転軸線16を中心として共通の回転運動15で回転せしめられる。この場合、溶接接合を生ぜしめると同時に、欠陥位置を真っ直ぐに補整する溶接歪みを接触領域13において生ぜしめるために、溶接光線14の放射出力及び回転運動15が、算出された溶接歪みに基づいて調節される。図2Bには、第1実施例とほぼ同じである第2実施例が示されている。この第2実施例においては、第2のワーク11は直方体又は円形の形状を有していて、第1のワーク10は、第2のワーク11と、側方に弾性的である支持クランプ12′との間で緊締されている。支持クランプ12′は、側方運動に対して弾性的、つまり回転軸線16に対して垂直な方向に弾性的であって、同時に検出ユニットとして機能する。この場合、第2のワーク11に対する第1のワーク10の欠陥位置は、支持クランプ12′の側方位置によって測定される。この場合、支持クランプ12′が接触箇所の正確に上側若しくは回転軸線16上に配置されていれば、欠陥位置はゼロである。
【0020】
図3には、本発明の第3実施例による溶接装置の概略的な平面図が示されている。この第3実施例は、図2Aに示した第1実施例のものにほぼ相当しており、溶接装置は、図2Aの矢印20で示した方向で見た平面図で示されている。この場合、溶接光線14は、第1のワーク10と第2のワーク11との間の接触箇所に向けて放射されていて、それと同時に第1のワークと第2のワークとから成る複合体は、この複合体の軸線を中心にして溶接光線14に対して相対的に回転せしめられる。この際に、複合体の周面に沿って延在する溶接継ぎ目21が形成される。堅固な溶接接合を得るために、溶接継ぎ目21は周面22よりも長く形成されており、溶接継ぎ目21は、複合体が360°完全に回転せしめられた後で始点23において重なり合っている。溶接継ぎ目21が重なり合う領域は、オーバーラップ領域17として示されている。溶接歪みは、一般的にこのオーバーラップ領域17に向けられている。このような溶接歪みをオーバーラップ領域17に向かう方向で減少させるために、図4Cに示したように溶接光線14が制御される。この場合、溶接光線14の放射出力24はオーバーラップ領域17において低下される。選択的な実施例によれば、複合体の第1の回転中に、回転軸線16を挟んでオーバーラップ領域17に向き合う部分領域18内により高い放射出力24′が生ぜしめられる(図4B参照)。この部分領域18は、180°回転させた時に始まる。この場合、高められた放射出力24′は、オーバーラップ領域17に向かう方向の溶接歪みに抗して作用し、この溶接歪みを補整するようになっている。別の実施例(図4A参照)では、複合体の追加的な2回目の回転中つまり360°〜720°の回転中に、部分領域18にだけ追加的な放射線量24″が放射される。ほぼ540°以上の回転範囲内において放射される、このような追加的な放射線量24″によって、やはりオーバーラップ方向での溶接歪みの補整が得られる。
【0021】
図4A、図4B及び図4Cには、本発明の第2実施例、第3実施例及び第4実施例による溶接法の回転角度25に関連した放射出力が概略的に示されている。回転角度25に関連した放射出力の種々異なる供給量については、前記図3を用いて説明されている。この場合、図4A、図4B及び図4Cには、横軸にはそれぞれ回転角度25の角度が示されていて、縦軸にはそれぞれ放射出力24若しくはそれに相当する放射温度が示されている。0°の回転角度25は始点23に相当する。図4Aに示した放射線供給形式は、第1の回転中(0゜〜360度)に、一様な放射出力24を有しており、この場合、放射出力24は、オーバーラップ領域17(360゜と約400゜との間)内でゼロに低下され、オーバーラップ領域17に向かう方向で溶接歪みを補整するために、第2の回転中(360゜〜720゜)に、オーバーラップ領域及び部分領域17,18の外で放射出力24はゼロに調節され、部分領域18内若しくは部分領域18の周辺(500゜〜600゜の間)に、追加的な放射線量24″が与えられる。追加的な放射線量24″の放射出力24は、第1の回転中に一様に放射された放射出力24よりも小さい。図4Bに示した放射線供給形式は、第1の回転中に、部分領域18においてのみ短時間高められる、全体的に僅かな放射出力を示す。このような短時間高められた放射出力24′は、オーバーラップ領域17に向かう方向で溶接歪みを補整するために用いられる。図4Aには、低下された放射出力24が示されているので、溶接歪みはオーバーラップ領域17に向かう方向で全体的に減少される。このような、所望の溶接歪みに基づいて異なる、放射出力24の供給形式によって、溶接歪みの部分的な精確な補整、若しくはオーバーラップ領域17に向かう方向での溶接歪みの過剰補整が調節され、それによって、溶接工程中に放射出力24及び/又は回転運動を相応に選択することによって、欠陥位置が修正される。
【符号の説明】
【0022】
1 第1の方法ステップ、 1′ 第1のステップ、 3′ 第2のステップ、 3 第3の方法ステップ、 12 ホルダ、 12′ 支持クランプ、 13 接触領域、 14 溶接光線、 16 回転軸線、 17 オーバーラップ領域、 21 溶接継ぎ目、 22 周面、 23 始点、 24 放射出力、 24″ 放射線量、 25 回転角度
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方法ステップ(1)で第1及び第2のワーク(10,11)を互いに接触させ、第1のワーク(10)と第2のワーク(11)とを接続するための溶接法、特にレーザ溶接法において、
第2の方法ステップ(2)で所望の溶接歪みを算出し、第3の方法ステップ(3)で前記溶接歪みに基づいて第1のワーク(10)と第2のワーク(11)とを互いに溶接することを特徴とする、溶接法。
【請求項2】
第2の方法ステップ(3)で、第1のワーク(10)と第2のワーク(11)との間の欠陥位置を検出し、該欠陥位置に基づいて、特に前記欠陥位置を補整するための溶接歪みを算出する、請求項1記載の溶接法。
【請求項3】
第3の方法ステップ(3)で、溶接光線(14)を前記溶接歪みに基づいて調節し、この際に有利な形式で、放射出力(24)、溶接光線(14)の向き及び/又は焦点合わせを、第1及び第2のワーク(10,11)に対して相対的に調節する、請求項1又は2記載の溶接法。
【請求項4】
第3の方法ステップ(3)で、第1及び第2のワーク(10,11)を1つの回転軸線(16)を中心にして回転させ、相応の回転角度(25)を溶接歪みに基づいて調節する、請求項1から3までのいずれか1項記載の溶接法。
【請求項5】
第3の方法ステップ(3)で、第1及び第2のワーク(10,11)を完全に1回転させた後で、オーバーラップ領域(17)を生ぜしめ、該オーバーラップ領域(17)で溶接継ぎ目(21)が重なり合うようにし、第3の方法ステップ(3)で前記オーバーラップ領域(17)の大きさを、有利には溶接歪みに基づいて調節する、請求項1から4までのいずれか1項記載の溶接法。
【請求項6】
第3の方法ステップ(3)で、前記オーバーラップ領域(17)に対して180゜の回転角度で向き合う部分領域(18)に、高められた放射出力(24′)を供給し、かつ/または追加的な放射線量(24″)を供給する、請求項1から5までのいずれか1項記載の溶接法。
【請求項7】
溶接光線(14)を発生させる溶接ヘッドと、互いに溶接しようとする第1及び第2のワーク(10,11)のためのホルダ(12)とを備えた溶接装置において、
該溶接装置が、第1のワーク(10)と第2のワーク(11)との間の欠陥位置を検出するための検出ユニットを有していることを特徴とする、溶接装置。
【請求項8】
第1及び第2のワーク(10,11)を共通に運動させるためのホルダ(12)の駆動装置及び/又は溶接ヘッドの制御が、前記検出ユニットによって行われる、請求項7記載の溶接装置。
【請求項9】
前記検出ユニットが、光学式及び/又は機械式の検出ユニットを含む、請求項7又は8記載の溶接装置。
【請求項10】
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法に従って製造され、かつ/または請求項7から9までのいずれか1項記載の溶接装置により製造された第1の部分(10)及び第2の部分(11)より成る複合体。

【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公表番号】特表2012−521894(P2012−521894A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502527(P2012−502527)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052120
【国際公開番号】WO2010/112266
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】