管ライニング材の管路内への反転挿入方法
【課題】管ライニング材の反転を途中で停止させることなく、確実にしかも円滑に既設管路に反転挿入することが可能な管ライニング材の管路内への反転挿入方法を提供する。
【解決手段】管ライニング材17が収納容器1から引き出されて、導管40を介して反転ノズル10に導かれ、密閉容器内に流体圧を作用させることにより反転ノズルによって管ライニング材の反転が開始される。反転されたライニング材は、既設管路31の入口に配置された屈曲管45を介して垂直方向から水平方向に向きを変えられて管路内に反転挿入される。このような構成では、ライニング材の屈曲進行方向が緩やかにかつ確実に管路の延びる方向に変更されるため、ライニング材が既設管の段差等に影響されることなく、ライニング材を確実に管路内に反転挿入することができる。
【解決手段】管ライニング材17が収納容器1から引き出されて、導管40を介して反転ノズル10に導かれ、密閉容器内に流体圧を作用させることにより反転ノズルによって管ライニング材の反転が開始される。反転されたライニング材は、既設管路31の入口に配置された屈曲管45を介して垂直方向から水平方向に向きを変えられて管路内に反転挿入される。このような構成では、ライニング材の屈曲進行方向が緩やかにかつ確実に管路の延びる方向に変更されるため、ライニング材が既設管の段差等に影響されることなく、ライニング材を確実に管路内に反転挿入することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管ライニング材の管路内への反転挿入方法、更に詳細には、外表面がプラスチックフィルムで気密的に被覆された管状樹脂吸着材に未硬化の液状硬化性樹脂を含浸せしめて成る管ライニング材をライニングすべき管路内に反転挿入する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設された下水管、ガス管、通信ケーブル管、電力ケーブル管等の管路が老朽化した場合、この管路を地中から掘出することなく、その内面にライニングを施して該管路を補修する管ライニング工法が提案され、既に実用に供されている。
【0003】
上記管ライニング工法の1つとして、外表面がプラスチックフィルムで気密的に被覆された管状樹脂吸着材に未硬化の液状硬化性樹脂を含浸せしめて成る管ライニング材を用いて施工されるものが知られており、この工法においては、ライニング反転装置を用いて管ライニング材を流体圧によって管路内に反転挿入した後、該管ライニング材を流体圧によって膨張させて管路の内面に押圧した状態で、管ライニング材に含浸された硬化性樹脂を硬化させている。
【0004】
通常、管ライニング材は、平坦状にして折りたたんだ状態で密閉容器に収納され、管ライニング材の一端を外側に取り出してこれを密閉容器に接続された反転ノズルの開口端外周に取り付け、密閉容器内に流体圧を作用させて反転させながら管路内に挿入されている(特許文献1)。その場合、反転挿入を容易にするために、管ライニング材の外表面にオイルを塗布することが行われている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−165158号公報
【特許文献2】特開平10−151671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来では、既設管路にライニングを施す場合、反転ノズルは垂直方向に取り付けられ、また管路は水平に延びるので、反転ノズルによって反転された管ライニング材は、その方向転換部で屈曲し、そこで大きな摩擦を生じ反転の抵抗となっていた。特に、ライニング材の厚みが増加し多くの反転圧力が必要な場合や、大口径のライニング材で重量が増加した場合には、ライニング材の反転が途中で停止してしまうなどの問題があった。
【0006】
また、従来の反転ノズルでは、そのノズル口径は一定となっているので、例えば大口径のライニング材をノズル径の小さな反転ノズルに取り付けると、取り付け部で管ライニング材がだぶつき、また小口径のライニング材をノズル径の大きな反転ノズルに取り付けると、そこで緊張部が発生し、いずれの場合も管ライニングの反転が効果的に実行できず、ライニング材の反転が途中で停止してしまうなどの問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、管ライニング材の反転を途中で停止させることなく、確実にしかも円滑に既設管路に反転挿入することが可能な管ライニング材の管路内への反転挿入方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(請求項1)は、
外表面がプラスチックフィルムで気密的に被覆された管状樹脂吸着材に未硬化の液状硬化性樹脂を含浸せしめて成る管ライニング材をライニングすべき管路内に反転挿入する方法であって、
密閉容器内に収納された管ライニング材の一端を密閉容器に接続された反転ノズルの開口端外周に取り付け、
前記密閉容器内に流体圧を作用させることにより反転ノズルによって反転が開始されたライニング材の向きを屈曲管を介して管路の延びる方向に変更して管路内に反転挿入することを特徴とする。
【0009】
また、本発明(請求項7)は、
外表面がプラスチックフィルムで気密的に被覆された管状樹脂吸着材に未硬化の液状硬化性樹脂を含浸せしめて成る管ライニング材をライニングすべき管路内に反転挿入する方法であって、
密閉容器内に収納された管ライニング材の一端を密閉容器に接続されたノズル口径が可変な反転ノズルの開口端外周に取り付け、
前記密閉容器内に流体圧を作用させることにより反転ノズルによって反転が開始されたライニング材を管路内に反転挿入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、反転ノズルにより反転された管ライニング材が既設管路の入口に設けた屈曲管を介して管路の延びる方向に変更して管路内に反転挿入されるので、ライニング材の屈曲進行方向が緩やかにかつ確実に管路の延びる方向に変更されるため、ライニング材が既設管の段差等に影響されることなく、ライニング材の厚みが増加した場合や、大口径のライニング材で重量が増加した場合にも、ライニング材の反転が途中で停止してしまうことを回避することができ、また反転時に必要な圧力を低くすることが可能となる。
【0011】
また、本発明によれば、反転ノズルのノズル口径が可変になっていて、管ライニング材の口径に合わせたノズル径とすることができるので、反転ノズルのライニング材取り付け部で管ライニング材がだぶついたり、あるいは緊張が生じないので、管ライニングの反転が効果的に行われ、ライニング材の反転が途中で停止してしまうのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0013】
図1には、本発明に用いられるライニング材反転装置の構成が図示されており、1は密閉容器であって、該密閉容器1は、円筒状の本体2の両端に蓋3,4を着脱可能に取り付けて構成され、その上部には温度計5と圧力計6が取り付けられている。
【0014】
図1及び図2に示すように、一方の蓋3には上から下方に向かって順次給水管7、挿通管8及び排水管9が取り付けられており、他方の蓋4には導管40を介して反転ノズル10が着脱可能に取り付けられている。蓋3,4は複数のボルト11とナット12によって本体に着脱可能に取り付けられる。
【0015】
導管40は、その断面が矩形状となっていて、湾曲しており、水平に延びる水平部40a、湾曲部40b、垂直に延びる垂直部40cからなる一体部材として構成されている。導管40の水平部40aは、蓋4の突起部4aに、ボルト11とナット12と同様な取り付け手段13を介して着脱可能に取り付けられ、また導管40の垂直部40cは、ボルトナットによる取り付け手段14により反転ノズル10の円錐部10aと着脱可能に取り付けられている。また、反転ノズル10はノズル部10bを有し、円錐部10aは、ボルトナットによる取り付け手段15によりノズル部10bと着脱可能に取り付けられている。前記ボルトとナットの取り付け手段による取り付け(11、12、13、14、15)は、密閉構造を保持できるように行われるので、密閉容器1、導管40並びに反転ノズル10までの内部空間は全体として密閉構造となり、後述するように、反転用の水圧は低下することなく反転ノズルに伝達される。
【0016】
また、密閉容器1内には、図1に示すように、上面が開口する矩形ボックス状の収納容器16が配置され、この収納容器16には、平坦状を成す管ライニング材17がエンド端側から交互に折り畳まれて順次積み重ねされて収納される。通常、管ライニング材17を収納した収納容器16は、氷水内又は保冷庫内で保冷された状態で施工現場まで搬送され、作業が開始される約1時間〜10時間前に氷水内又は保冷庫内から取り出され、蓋4を外すことにより密閉容器1内の所定位置に搬入される。
【0017】
ここで、管ライニング材17は、図3に示すように、外表面がプラスチックフィルム21で気密的に被覆された管状樹脂吸着材22に未硬化の液状硬化性樹脂を含浸せしめて構成される。尚、プラスチックフィルム21としてはポリエチレン、塩化ビニル、ビニロン、ポリウレタン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン−ナイロン共重合体等のフィルムが用いられ、管状樹脂吸着材22としてはポリエステル、ナイロン、アクリル、ビニロン等の不織布が用いられる。又、管状樹脂吸着材22に含浸される未硬化の液状硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられるが、この熱硬化性樹脂にはシリカ(アエロジル)、タルク、酸化マグネシウム等の充填剤が添加され、該熱硬化性樹脂の温度25℃における粘度は30poise以上、揺変度は1.5以上に設定されている。
【0018】
また、図4に示すように、導管40の底部には、導管のほぼ全長にわたって複数のローラー(回転体)43が等間隔に設けられている。ローラー43は、図5(A)、(B)に示すように、導管40の側壁に固定された軸43aを中心に回転自在に取り付けられており、管ライニング材17が導管40に導かれて進行すると、管ライニング材17がローラー43と接触し、管ライニング材の進行につれて各ローラー43が回転するので、ローラー43は、管ライニング材17に作用する接触による摩擦圧を軽減させる案内手段となり、管ライニング材17を反転ノズル10に円滑に案内することができる。
【0019】
更に、反転ノズル10の下方には、反転ノズル10により反転された管ライニング材17を垂直方向から水平方向に曲げ水平に延びる既設管路31に導く屈曲管(シュータ)45が設けられる。
【0020】
この屈曲管45は、図7に示したように、反転ノズル側に面したつば部45a、反転ノズル10のノズル軸方向(垂直方向)に延びる垂直部45b、屈曲部45c、既設管路31の延びる方向(水平方向)と同じ方向に延びる水平部45d、それに既設管路31に面したつば部45eから構成されており、ライニングに先立ちつば部45eをマンホール20の内壁面にセメントあるいはモルタルも用いて固定させて設置する。この設置を強固にするために、屈曲管45を支持台(不図示)で固定的に支持することもできる。また、屈曲管のライニング材入口45fの口径並びにその出口45gの口径は、少なくともライニングすべき既設管路の口径よりも大きくなっている。
【0021】
管ライニング材17が収納容器16と共に密閉容器1内に搬入されると、図1に示すように、密閉容器1の一端開口部に蓋4を複数のボルト11とナット12によって取り付ける。尚、この蓋4の突起部4aには、導管40の一端が取り付けられ、また導管40の他端には、反転ノズル10が取り付けられる。
【0022】
又、図1に示す状態では、蓋3に取り付けられた前記給水管7には給水ホース23の一端が取り付けられ、挿通管8はカップリング24によって塞がれ、排水管9には排水ホース25の一端が取り付けられている。ここで、排水ホース25の途中にはバルブ26が設けられている。
【0023】
ところで、前記給水ホース23の他端は水槽27に接続されており、その途中にはバルブ28と給水ポンプ29が設けられている。又、水槽27には水が収容されており、この水の温度は温度計30によって検出される。
【0024】
他方、図1において、31は地中に埋設された通信ケーブル管等の既設管路であって、この管路31内には、スタートライナー(不図示)がエアー圧等によって予め反転挿入されている。また、屈曲管45の垂直部45bが垂直方向となり、水平部45dが水平となるように、またライニング材出口45gの中心が既設管路31の軸心とほぼ一致するように屈曲管45が取り付けられる。管路31をライニングするために、ライニング反転装置が、マンホール20の近くに配備され、反転ノズル10がマンホール20に垂直方向に挿入され、反転ノズル10の軸心が屈曲管45の入口45fの中心とほぼ一致するように配置される。
【0025】
ここで、密閉容器1内に配備された管ライニング材17の一端は、図示のように外側に折り返されてガイドローラー18を介して、導管40に導かれ、反転ノズル10の開口端外周にバンド33によって取り付けられる。その状態で給水ポンプ29が駆動されて水槽27内の水が給水ホース23から密閉容器1内に供給される。尚、このとき、排水ホース25に設けられたバルブ26は閉じられ、給水ホース23に設けられたバルブ28は開けられている。
【0026】
上述のように、密閉容器1内に水が供給されると、密閉容器1から導管40を経て反転ノズル10に至るまでの内部空間が全体として密閉構造となっていることから、管ライニング材17は水圧によって反転しながら屈曲管45により垂直方向から水平方向に向きを変えられて管路31内に順次挿入される。このとき、収納容器16から引き出される未反転の管ライニング材17はガイドローラ18から、導管40内に進み、各導管内のローラー43と接触するが、各ローラー43は、管ライニング材17の進行につれて管ライニング材と接触し、その接触圧で回転する。従って、導管内で管ライニング材17が接触する部分で摩擦が軽減し、管ライニング材17はスムーズに反転ノズル10へと導かれる。また、反転ノズル10により反転された管ライニング材17は、屈曲管45によりその向きが垂直方向から水平方向に緩やかにかつ円滑に変更されて管路31内に反転挿入される。
【0027】
また、本実施例では、熱硬化性樹脂に充填剤を添加し、該熱硬化性樹脂の温度25℃における粘度を30poise以上、揺変度を1.5以上に設定し、これにより、小径で厚さの厚い管ライニング材17の反転のために反転圧力を高めたり、反転を容易にするために管ライニング材17の温度を上げた場合であっても、管ライニング材17の先端から熱硬化性樹脂が絞り出されることがなく、管ライニング材17の反転作業を何ら問題なくスムーズに行うことができるようにしている。
【0028】
このように、管ライニング材17が水圧によって管路31内に反転挿入されると、該管ライニング材17が温水によって加温され、管ライニング材17に含浸された熱硬化性樹脂が熱によって硬化するため、管路31の内面は、硬化した管ライニング材17によってライニングされて修復される。
【0029】
ところで、管ライニング材17は、水平状態で密閉容器から引き出されて、導管40の屈曲部40bで垂直方向に向きを変えられる。従って、この部分で管ライニング材は、ねじれたり、あるいは詰まりが発生することが多くなる。そこで、本実施例では、導管の一部、特に屈曲部40bに、管ライニング材17の進行状態を監視したり、あるいは管ライニング材の詰まりを直す作業を行うための開口部が設けられる。
【0030】
この開口部は、図4、図6(B)に示したように、導管40の屈曲部40bの枠部41に矩形状の開口部41aを形成することにより設けられる。また、この開口部41aは、図6(A)に示したように、枠41に設けたねじ孔41bにねじ止め可能な開閉蓋42により密閉して覆うことが可能となっている。蓋42には、透明部42bが形成されているので、作業者はこの蓋42の透明部42bを介して搬送される管ライニング材の状態を常時監視することができ、管ライニング材が、ねじれたり、あるいは詰まりが生じた場合には、蓋42のねじを取り外し、取手42aを手にもって蓋42を取り外し、開口部41aから管ライニング材のねじれや詰まり等を修正することが可能になる。また、この開口部41aは、最もねじれや詰まりが発生しやすい導管40の屈曲部40bに形成されるので、その作業効率を高めることができる。
【0031】
また、上述した実施例では、案内手段はローラー43として形成されているが、図5(C)に示したように、導管40底面に設けられ、管ライニング材の進行方向に延びる、例えばテフロン(商品名)のような摩擦係数の小さい材質の案内レール46から構成することもできる。また、この案内レールは、図5(D)に示したように、細片状の複数の案内レール47とし、これらを管ライニング材の進行方向と垂直な方向に等間隔に並べて配置することができる。
【0032】
また、上述したように、反転に先立ち、反転ノズル10の軸心が屈曲管45の入口45fの中心に合致するように反転ノズルが配置されるが、この正確な軸合わせは困難なので、屈曲管45のライニング材入口45fの口径をライニング材出口45gの口径より大きくするのが好ましい。このように、入口45fを出口45gより大きくすることにより、反転された管ライニング材が確実に屈曲管45内に進入することが可能になる。
【0033】
また、屈曲管は、ライニング材入り口を出口より広くした場合や全長を長くした場合、マンホール等の入口より屈曲管を入れることが困難になるので、例えば図7(B)で一点鎖線X、Y、あるいはZで示した部分、あるいはこれらを組み合わせた部分で分割できるようにするのが好ましい。あるいは、分割を図7(A)に示したように、E−E線に沿って縦割りするようにしてもよい。これにより、口径の狭いマンホール等を通過して屈曲管を出し入れする場合に、分割して通過させ、既設管内部にて組立てることが可能となり、工事の作業性が向上する。この場合、組み立ては、各分割部に結合用のフランジ部を設け、このフランジ部をナット/ボルトなどの取り付け手段により結合することにより行うことができる。
【0034】
また、屈曲管45の一部、特に屈曲部あるいはその全長にわたってライニング材と屈曲管内面の摩擦抵抗を低減するための部材を屈曲管の内面に設けることもできる。この例が、図8に示されており、ライニング材と屈曲管内面の摩擦抵抗を低減するために、屈曲管45の内面を屈曲管素よりも摩擦係数の低い材料からなる複数の細片状部材50で屈曲管の延びる方向(長さ方向)に被覆(コーティング)するようにしている。また、図9に示す例では、複数の細片50による被覆ではなく、所定幅を有する幅広の部材で被覆が行われている。各例で、細片状部材50あるいは幅広の部材51は、メッキ等の金属素材、あるいはフッ素樹脂等の樹脂素材等でなっている。
【0035】
また、細片状部材50あるいは幅広の部材51を、コーティングにより屈曲管に設けるのではなく、屈曲管と一体成型するか、あるいは屈曲管に貼付するようにしてもよい。
【0036】
このように、屈曲管内面に、屈曲管素材よりも摩擦係数の低い部材が設けられるので、ライニング材と屈曲管内面との接触面積を低減し摩擦抵抗を低減させることができるので、管ライニング材の円滑な反転挿入が可能になる。
【0037】
また、摩擦係数の低い部材を設けるのではなく、図11(A)、(B)に示したように、管ライニング材が屈曲管45内を進行するとき、屈曲管内面に接触する部分に複数の案内ローラ55を設け、管ライニング材がこれらのローラ55に接触したとき、ローラがその接触摩擦圧により管ライニング材の進行により回転するようにしてもよい。このような構成によっても、摩擦係数の低い部材を設けたのと、同様な効果が得られる。
【0038】
また、上述した実施例では、反転ノズル10は、そのノズル口径が一定となっている。ノズル径が一定となっていると、管ライニング材の口径によっては、ライニング材の取り付けが、緩んだりあるいは緊張したりして反転に支障が生じるので、図10に示すように、ノズル口径を可変にするようにする。
【0039】
図10(A)は、図1あるいは図4に示した反転ノズル10で、ノズル部10bは口径D1を有し、円錐部10aに取り付け手段15を介して密閉構造にして取り付けることができる。そこで、図10(B)に示すように、異なる口径D2(D2<D1)のノズル部10b’を用意し、ノズル部10bをノズル部10b’と交換して円錐部10aに取り付けることにより、ノズル口径を可変にすることができる。
【0040】
このように、使用される管ライニング材の口径に合わせたノズル部を用意することにより、反転ノズルの口径を使用される管ライニング材の口径に合わせて可変にすることができ、反転ノズルのライニング材取り付け部で管ライニング材がだぶついたり、あるいは緊張が生じないので、管ライニングの反転が効果的に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るライニング反転装置の構成を示す構成図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】管ライニング材の横断面図である。
【図4】導管及び反転ノズルの側面図である。
【図5】(A)は図4のB−B線断面図、(B)は図4のC−C線断面図、(C)は案内手段の他の実施例を示すC−C線断面図に対応する断面図、(D)は案内手段の更に他の実施例を示すC−C線断面図に対応する断面図である。
【図6】(A)は導管の屈曲部に設けた開口部を塞ぐ蓋の図4のD方向から見た正面図、(B)は蓋を取り外したときの正面図である。
【図7】(A)は屈曲管の斜視図、(B)はその側面図である。
【図8】(A)は屈曲管の他の実施例で、図7(A)のE−E線に相当する線に沿った断面図、(B)は屈曲管の内面に被覆した部材を示した屈曲管内部の上面図である。
【図9】(A)は屈曲管の更に他の実施例で、図7(A)のE−E線に相当する線に沿った断面図、(B)は屈曲管の内面に被覆した部材を示した屈曲管内部の上面図である。
【図10】(A)は図4に示す反転ノズルの側面図、(B)は異なるノズル径を有する反転ノズルの側面図である。
【図11】(A)は屈曲管の更に他の実施例で、図7(A)のE−E線に相当する線に沿った断面図、(B)は屈曲管の内面に設けたローラを示した屈曲管内部の上面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 密閉容器
10 反転ノズル
16 収納容器
17 管ライニング材
40 導管
41a 開口部
42 蓋
43 ローラー
45 屈曲管
46、47 案内レール
50、51 摩擦低減部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、管ライニング材の管路内への反転挿入方法、更に詳細には、外表面がプラスチックフィルムで気密的に被覆された管状樹脂吸着材に未硬化の液状硬化性樹脂を含浸せしめて成る管ライニング材をライニングすべき管路内に反転挿入する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設された下水管、ガス管、通信ケーブル管、電力ケーブル管等の管路が老朽化した場合、この管路を地中から掘出することなく、その内面にライニングを施して該管路を補修する管ライニング工法が提案され、既に実用に供されている。
【0003】
上記管ライニング工法の1つとして、外表面がプラスチックフィルムで気密的に被覆された管状樹脂吸着材に未硬化の液状硬化性樹脂を含浸せしめて成る管ライニング材を用いて施工されるものが知られており、この工法においては、ライニング反転装置を用いて管ライニング材を流体圧によって管路内に反転挿入した後、該管ライニング材を流体圧によって膨張させて管路の内面に押圧した状態で、管ライニング材に含浸された硬化性樹脂を硬化させている。
【0004】
通常、管ライニング材は、平坦状にして折りたたんだ状態で密閉容器に収納され、管ライニング材の一端を外側に取り出してこれを密閉容器に接続された反転ノズルの開口端外周に取り付け、密閉容器内に流体圧を作用させて反転させながら管路内に挿入されている(特許文献1)。その場合、反転挿入を容易にするために、管ライニング材の外表面にオイルを塗布することが行われている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−165158号公報
【特許文献2】特開平10−151671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来では、既設管路にライニングを施す場合、反転ノズルは垂直方向に取り付けられ、また管路は水平に延びるので、反転ノズルによって反転された管ライニング材は、その方向転換部で屈曲し、そこで大きな摩擦を生じ反転の抵抗となっていた。特に、ライニング材の厚みが増加し多くの反転圧力が必要な場合や、大口径のライニング材で重量が増加した場合には、ライニング材の反転が途中で停止してしまうなどの問題があった。
【0006】
また、従来の反転ノズルでは、そのノズル口径は一定となっているので、例えば大口径のライニング材をノズル径の小さな反転ノズルに取り付けると、取り付け部で管ライニング材がだぶつき、また小口径のライニング材をノズル径の大きな反転ノズルに取り付けると、そこで緊張部が発生し、いずれの場合も管ライニングの反転が効果的に実行できず、ライニング材の反転が途中で停止してしまうなどの問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、管ライニング材の反転を途中で停止させることなく、確実にしかも円滑に既設管路に反転挿入することが可能な管ライニング材の管路内への反転挿入方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(請求項1)は、
外表面がプラスチックフィルムで気密的に被覆された管状樹脂吸着材に未硬化の液状硬化性樹脂を含浸せしめて成る管ライニング材をライニングすべき管路内に反転挿入する方法であって、
密閉容器内に収納された管ライニング材の一端を密閉容器に接続された反転ノズルの開口端外周に取り付け、
前記密閉容器内に流体圧を作用させることにより反転ノズルによって反転が開始されたライニング材の向きを屈曲管を介して管路の延びる方向に変更して管路内に反転挿入することを特徴とする。
【0009】
また、本発明(請求項7)は、
外表面がプラスチックフィルムで気密的に被覆された管状樹脂吸着材に未硬化の液状硬化性樹脂を含浸せしめて成る管ライニング材をライニングすべき管路内に反転挿入する方法であって、
密閉容器内に収納された管ライニング材の一端を密閉容器に接続されたノズル口径が可変な反転ノズルの開口端外周に取り付け、
前記密閉容器内に流体圧を作用させることにより反転ノズルによって反転が開始されたライニング材を管路内に反転挿入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、反転ノズルにより反転された管ライニング材が既設管路の入口に設けた屈曲管を介して管路の延びる方向に変更して管路内に反転挿入されるので、ライニング材の屈曲進行方向が緩やかにかつ確実に管路の延びる方向に変更されるため、ライニング材が既設管の段差等に影響されることなく、ライニング材の厚みが増加した場合や、大口径のライニング材で重量が増加した場合にも、ライニング材の反転が途中で停止してしまうことを回避することができ、また反転時に必要な圧力を低くすることが可能となる。
【0011】
また、本発明によれば、反転ノズルのノズル口径が可変になっていて、管ライニング材の口径に合わせたノズル径とすることができるので、反転ノズルのライニング材取り付け部で管ライニング材がだぶついたり、あるいは緊張が生じないので、管ライニングの反転が効果的に行われ、ライニング材の反転が途中で停止してしまうのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0013】
図1には、本発明に用いられるライニング材反転装置の構成が図示されており、1は密閉容器であって、該密閉容器1は、円筒状の本体2の両端に蓋3,4を着脱可能に取り付けて構成され、その上部には温度計5と圧力計6が取り付けられている。
【0014】
図1及び図2に示すように、一方の蓋3には上から下方に向かって順次給水管7、挿通管8及び排水管9が取り付けられており、他方の蓋4には導管40を介して反転ノズル10が着脱可能に取り付けられている。蓋3,4は複数のボルト11とナット12によって本体に着脱可能に取り付けられる。
【0015】
導管40は、その断面が矩形状となっていて、湾曲しており、水平に延びる水平部40a、湾曲部40b、垂直に延びる垂直部40cからなる一体部材として構成されている。導管40の水平部40aは、蓋4の突起部4aに、ボルト11とナット12と同様な取り付け手段13を介して着脱可能に取り付けられ、また導管40の垂直部40cは、ボルトナットによる取り付け手段14により反転ノズル10の円錐部10aと着脱可能に取り付けられている。また、反転ノズル10はノズル部10bを有し、円錐部10aは、ボルトナットによる取り付け手段15によりノズル部10bと着脱可能に取り付けられている。前記ボルトとナットの取り付け手段による取り付け(11、12、13、14、15)は、密閉構造を保持できるように行われるので、密閉容器1、導管40並びに反転ノズル10までの内部空間は全体として密閉構造となり、後述するように、反転用の水圧は低下することなく反転ノズルに伝達される。
【0016】
また、密閉容器1内には、図1に示すように、上面が開口する矩形ボックス状の収納容器16が配置され、この収納容器16には、平坦状を成す管ライニング材17がエンド端側から交互に折り畳まれて順次積み重ねされて収納される。通常、管ライニング材17を収納した収納容器16は、氷水内又は保冷庫内で保冷された状態で施工現場まで搬送され、作業が開始される約1時間〜10時間前に氷水内又は保冷庫内から取り出され、蓋4を外すことにより密閉容器1内の所定位置に搬入される。
【0017】
ここで、管ライニング材17は、図3に示すように、外表面がプラスチックフィルム21で気密的に被覆された管状樹脂吸着材22に未硬化の液状硬化性樹脂を含浸せしめて構成される。尚、プラスチックフィルム21としてはポリエチレン、塩化ビニル、ビニロン、ポリウレタン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン−ナイロン共重合体等のフィルムが用いられ、管状樹脂吸着材22としてはポリエステル、ナイロン、アクリル、ビニロン等の不織布が用いられる。又、管状樹脂吸着材22に含浸される未硬化の液状硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられるが、この熱硬化性樹脂にはシリカ(アエロジル)、タルク、酸化マグネシウム等の充填剤が添加され、該熱硬化性樹脂の温度25℃における粘度は30poise以上、揺変度は1.5以上に設定されている。
【0018】
また、図4に示すように、導管40の底部には、導管のほぼ全長にわたって複数のローラー(回転体)43が等間隔に設けられている。ローラー43は、図5(A)、(B)に示すように、導管40の側壁に固定された軸43aを中心に回転自在に取り付けられており、管ライニング材17が導管40に導かれて進行すると、管ライニング材17がローラー43と接触し、管ライニング材の進行につれて各ローラー43が回転するので、ローラー43は、管ライニング材17に作用する接触による摩擦圧を軽減させる案内手段となり、管ライニング材17を反転ノズル10に円滑に案内することができる。
【0019】
更に、反転ノズル10の下方には、反転ノズル10により反転された管ライニング材17を垂直方向から水平方向に曲げ水平に延びる既設管路31に導く屈曲管(シュータ)45が設けられる。
【0020】
この屈曲管45は、図7に示したように、反転ノズル側に面したつば部45a、反転ノズル10のノズル軸方向(垂直方向)に延びる垂直部45b、屈曲部45c、既設管路31の延びる方向(水平方向)と同じ方向に延びる水平部45d、それに既設管路31に面したつば部45eから構成されており、ライニングに先立ちつば部45eをマンホール20の内壁面にセメントあるいはモルタルも用いて固定させて設置する。この設置を強固にするために、屈曲管45を支持台(不図示)で固定的に支持することもできる。また、屈曲管のライニング材入口45fの口径並びにその出口45gの口径は、少なくともライニングすべき既設管路の口径よりも大きくなっている。
【0021】
管ライニング材17が収納容器16と共に密閉容器1内に搬入されると、図1に示すように、密閉容器1の一端開口部に蓋4を複数のボルト11とナット12によって取り付ける。尚、この蓋4の突起部4aには、導管40の一端が取り付けられ、また導管40の他端には、反転ノズル10が取り付けられる。
【0022】
又、図1に示す状態では、蓋3に取り付けられた前記給水管7には給水ホース23の一端が取り付けられ、挿通管8はカップリング24によって塞がれ、排水管9には排水ホース25の一端が取り付けられている。ここで、排水ホース25の途中にはバルブ26が設けられている。
【0023】
ところで、前記給水ホース23の他端は水槽27に接続されており、その途中にはバルブ28と給水ポンプ29が設けられている。又、水槽27には水が収容されており、この水の温度は温度計30によって検出される。
【0024】
他方、図1において、31は地中に埋設された通信ケーブル管等の既設管路であって、この管路31内には、スタートライナー(不図示)がエアー圧等によって予め反転挿入されている。また、屈曲管45の垂直部45bが垂直方向となり、水平部45dが水平となるように、またライニング材出口45gの中心が既設管路31の軸心とほぼ一致するように屈曲管45が取り付けられる。管路31をライニングするために、ライニング反転装置が、マンホール20の近くに配備され、反転ノズル10がマンホール20に垂直方向に挿入され、反転ノズル10の軸心が屈曲管45の入口45fの中心とほぼ一致するように配置される。
【0025】
ここで、密閉容器1内に配備された管ライニング材17の一端は、図示のように外側に折り返されてガイドローラー18を介して、導管40に導かれ、反転ノズル10の開口端外周にバンド33によって取り付けられる。その状態で給水ポンプ29が駆動されて水槽27内の水が給水ホース23から密閉容器1内に供給される。尚、このとき、排水ホース25に設けられたバルブ26は閉じられ、給水ホース23に設けられたバルブ28は開けられている。
【0026】
上述のように、密閉容器1内に水が供給されると、密閉容器1から導管40を経て反転ノズル10に至るまでの内部空間が全体として密閉構造となっていることから、管ライニング材17は水圧によって反転しながら屈曲管45により垂直方向から水平方向に向きを変えられて管路31内に順次挿入される。このとき、収納容器16から引き出される未反転の管ライニング材17はガイドローラ18から、導管40内に進み、各導管内のローラー43と接触するが、各ローラー43は、管ライニング材17の進行につれて管ライニング材と接触し、その接触圧で回転する。従って、導管内で管ライニング材17が接触する部分で摩擦が軽減し、管ライニング材17はスムーズに反転ノズル10へと導かれる。また、反転ノズル10により反転された管ライニング材17は、屈曲管45によりその向きが垂直方向から水平方向に緩やかにかつ円滑に変更されて管路31内に反転挿入される。
【0027】
また、本実施例では、熱硬化性樹脂に充填剤を添加し、該熱硬化性樹脂の温度25℃における粘度を30poise以上、揺変度を1.5以上に設定し、これにより、小径で厚さの厚い管ライニング材17の反転のために反転圧力を高めたり、反転を容易にするために管ライニング材17の温度を上げた場合であっても、管ライニング材17の先端から熱硬化性樹脂が絞り出されることがなく、管ライニング材17の反転作業を何ら問題なくスムーズに行うことができるようにしている。
【0028】
このように、管ライニング材17が水圧によって管路31内に反転挿入されると、該管ライニング材17が温水によって加温され、管ライニング材17に含浸された熱硬化性樹脂が熱によって硬化するため、管路31の内面は、硬化した管ライニング材17によってライニングされて修復される。
【0029】
ところで、管ライニング材17は、水平状態で密閉容器から引き出されて、導管40の屈曲部40bで垂直方向に向きを変えられる。従って、この部分で管ライニング材は、ねじれたり、あるいは詰まりが発生することが多くなる。そこで、本実施例では、導管の一部、特に屈曲部40bに、管ライニング材17の進行状態を監視したり、あるいは管ライニング材の詰まりを直す作業を行うための開口部が設けられる。
【0030】
この開口部は、図4、図6(B)に示したように、導管40の屈曲部40bの枠部41に矩形状の開口部41aを形成することにより設けられる。また、この開口部41aは、図6(A)に示したように、枠41に設けたねじ孔41bにねじ止め可能な開閉蓋42により密閉して覆うことが可能となっている。蓋42には、透明部42bが形成されているので、作業者はこの蓋42の透明部42bを介して搬送される管ライニング材の状態を常時監視することができ、管ライニング材が、ねじれたり、あるいは詰まりが生じた場合には、蓋42のねじを取り外し、取手42aを手にもって蓋42を取り外し、開口部41aから管ライニング材のねじれや詰まり等を修正することが可能になる。また、この開口部41aは、最もねじれや詰まりが発生しやすい導管40の屈曲部40bに形成されるので、その作業効率を高めることができる。
【0031】
また、上述した実施例では、案内手段はローラー43として形成されているが、図5(C)に示したように、導管40底面に設けられ、管ライニング材の進行方向に延びる、例えばテフロン(商品名)のような摩擦係数の小さい材質の案内レール46から構成することもできる。また、この案内レールは、図5(D)に示したように、細片状の複数の案内レール47とし、これらを管ライニング材の進行方向と垂直な方向に等間隔に並べて配置することができる。
【0032】
また、上述したように、反転に先立ち、反転ノズル10の軸心が屈曲管45の入口45fの中心に合致するように反転ノズルが配置されるが、この正確な軸合わせは困難なので、屈曲管45のライニング材入口45fの口径をライニング材出口45gの口径より大きくするのが好ましい。このように、入口45fを出口45gより大きくすることにより、反転された管ライニング材が確実に屈曲管45内に進入することが可能になる。
【0033】
また、屈曲管は、ライニング材入り口を出口より広くした場合や全長を長くした場合、マンホール等の入口より屈曲管を入れることが困難になるので、例えば図7(B)で一点鎖線X、Y、あるいはZで示した部分、あるいはこれらを組み合わせた部分で分割できるようにするのが好ましい。あるいは、分割を図7(A)に示したように、E−E線に沿って縦割りするようにしてもよい。これにより、口径の狭いマンホール等を通過して屈曲管を出し入れする場合に、分割して通過させ、既設管内部にて組立てることが可能となり、工事の作業性が向上する。この場合、組み立ては、各分割部に結合用のフランジ部を設け、このフランジ部をナット/ボルトなどの取り付け手段により結合することにより行うことができる。
【0034】
また、屈曲管45の一部、特に屈曲部あるいはその全長にわたってライニング材と屈曲管内面の摩擦抵抗を低減するための部材を屈曲管の内面に設けることもできる。この例が、図8に示されており、ライニング材と屈曲管内面の摩擦抵抗を低減するために、屈曲管45の内面を屈曲管素よりも摩擦係数の低い材料からなる複数の細片状部材50で屈曲管の延びる方向(長さ方向)に被覆(コーティング)するようにしている。また、図9に示す例では、複数の細片50による被覆ではなく、所定幅を有する幅広の部材で被覆が行われている。各例で、細片状部材50あるいは幅広の部材51は、メッキ等の金属素材、あるいはフッ素樹脂等の樹脂素材等でなっている。
【0035】
また、細片状部材50あるいは幅広の部材51を、コーティングにより屈曲管に設けるのではなく、屈曲管と一体成型するか、あるいは屈曲管に貼付するようにしてもよい。
【0036】
このように、屈曲管内面に、屈曲管素材よりも摩擦係数の低い部材が設けられるので、ライニング材と屈曲管内面との接触面積を低減し摩擦抵抗を低減させることができるので、管ライニング材の円滑な反転挿入が可能になる。
【0037】
また、摩擦係数の低い部材を設けるのではなく、図11(A)、(B)に示したように、管ライニング材が屈曲管45内を進行するとき、屈曲管内面に接触する部分に複数の案内ローラ55を設け、管ライニング材がこれらのローラ55に接触したとき、ローラがその接触摩擦圧により管ライニング材の進行により回転するようにしてもよい。このような構成によっても、摩擦係数の低い部材を設けたのと、同様な効果が得られる。
【0038】
また、上述した実施例では、反転ノズル10は、そのノズル口径が一定となっている。ノズル径が一定となっていると、管ライニング材の口径によっては、ライニング材の取り付けが、緩んだりあるいは緊張したりして反転に支障が生じるので、図10に示すように、ノズル口径を可変にするようにする。
【0039】
図10(A)は、図1あるいは図4に示した反転ノズル10で、ノズル部10bは口径D1を有し、円錐部10aに取り付け手段15を介して密閉構造にして取り付けることができる。そこで、図10(B)に示すように、異なる口径D2(D2<D1)のノズル部10b’を用意し、ノズル部10bをノズル部10b’と交換して円錐部10aに取り付けることにより、ノズル口径を可変にすることができる。
【0040】
このように、使用される管ライニング材の口径に合わせたノズル部を用意することにより、反転ノズルの口径を使用される管ライニング材の口径に合わせて可変にすることができ、反転ノズルのライニング材取り付け部で管ライニング材がだぶついたり、あるいは緊張が生じないので、管ライニングの反転が効果的に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るライニング反転装置の構成を示す構成図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】管ライニング材の横断面図である。
【図4】導管及び反転ノズルの側面図である。
【図5】(A)は図4のB−B線断面図、(B)は図4のC−C線断面図、(C)は案内手段の他の実施例を示すC−C線断面図に対応する断面図、(D)は案内手段の更に他の実施例を示すC−C線断面図に対応する断面図である。
【図6】(A)は導管の屈曲部に設けた開口部を塞ぐ蓋の図4のD方向から見た正面図、(B)は蓋を取り外したときの正面図である。
【図7】(A)は屈曲管の斜視図、(B)はその側面図である。
【図8】(A)は屈曲管の他の実施例で、図7(A)のE−E線に相当する線に沿った断面図、(B)は屈曲管の内面に被覆した部材を示した屈曲管内部の上面図である。
【図9】(A)は屈曲管の更に他の実施例で、図7(A)のE−E線に相当する線に沿った断面図、(B)は屈曲管の内面に被覆した部材を示した屈曲管内部の上面図である。
【図10】(A)は図4に示す反転ノズルの側面図、(B)は異なるノズル径を有する反転ノズルの側面図である。
【図11】(A)は屈曲管の更に他の実施例で、図7(A)のE−E線に相当する線に沿った断面図、(B)は屈曲管の内面に設けたローラを示した屈曲管内部の上面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 密閉容器
10 反転ノズル
16 収納容器
17 管ライニング材
40 導管
41a 開口部
42 蓋
43 ローラー
45 屈曲管
46、47 案内レール
50、51 摩擦低減部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面がプラスチックフィルムで気密的に被覆された管状樹脂吸着材に未硬化の液状硬化性樹脂を含浸せしめて成る管ライニング材をライニングすべき管路内に反転挿入する方法であって、
密閉容器内に収納された管ライニング材の一端を密閉容器に接続された反転ノズルの開口端外周に取り付け、
前記密閉容器内に流体圧を作用させることにより反転ノズルによって反転が開始されたライニング材の向きを屈曲管を介して管路の延びる方向に変更して管路内に反転挿入することを特徴とする管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項2】
前記屈曲管のライニング材入口がライニング材出口より広くなっていることを特徴とする請求項1に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項3】
前記屈曲管が分割可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項4】
前記屈曲管の屈曲部あるいはその全長にわたって内面にライニング材と屈曲管内面の摩擦抵抗を低減するための部材が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項5】
前記部材は、屈曲管素よりも摩擦係数の低い材質からできており、屈曲管と一体成型されるか、屈曲管に貼付されるか、あるいはコーティングされることを特徴とする請求項4に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項6】
前記管路が水平方向に延びる管路であり、反転ノズルがマンホールを介して垂直方向に配置され、反転のノズルにより垂直方向に反転されたライニング材が屈曲管を介して水平方向に向きを変えられて管路内に反転挿入されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項7】
前記屈曲管内に、管ライニング材の進行を案内する案内ローラが設けられることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項8】
外表面がプラスチックフィルムで気密的に被覆された管状樹脂吸着材に未硬化の液状硬化性樹脂を含浸せしめて成る管ライニング材をライニングすべき管路内に反転挿入する方法であって、
密閉容器内に収納された管ライニング材の一端を密閉容器に接続されたノズル口径が可変な反転ノズルの開口端外周に取り付け、
前記密閉容器内に流体圧を作用させることにより反転ノズルによって反転が開始されたライニング材を管路内に反転挿入することを特徴とする管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項9】
前記反転ノズルの口径が、使用される管ライニング材の口径に合わせて可変にされることを特徴とする請求項8に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項10】
前記反転ノズルが着脱自在なノズル部を有し、異なる口径のノズル部を装着することによりノズル口径が可変にされることを特徴とする請求項8又は9に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項1】
外表面がプラスチックフィルムで気密的に被覆された管状樹脂吸着材に未硬化の液状硬化性樹脂を含浸せしめて成る管ライニング材をライニングすべき管路内に反転挿入する方法であって、
密閉容器内に収納された管ライニング材の一端を密閉容器に接続された反転ノズルの開口端外周に取り付け、
前記密閉容器内に流体圧を作用させることにより反転ノズルによって反転が開始されたライニング材の向きを屈曲管を介して管路の延びる方向に変更して管路内に反転挿入することを特徴とする管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項2】
前記屈曲管のライニング材入口がライニング材出口より広くなっていることを特徴とする請求項1に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項3】
前記屈曲管が分割可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項4】
前記屈曲管の屈曲部あるいはその全長にわたって内面にライニング材と屈曲管内面の摩擦抵抗を低減するための部材が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項5】
前記部材は、屈曲管素よりも摩擦係数の低い材質からできており、屈曲管と一体成型されるか、屈曲管に貼付されるか、あるいはコーティングされることを特徴とする請求項4に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項6】
前記管路が水平方向に延びる管路であり、反転ノズルがマンホールを介して垂直方向に配置され、反転のノズルにより垂直方向に反転されたライニング材が屈曲管を介して水平方向に向きを変えられて管路内に反転挿入されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項7】
前記屈曲管内に、管ライニング材の進行を案内する案内ローラが設けられることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項8】
外表面がプラスチックフィルムで気密的に被覆された管状樹脂吸着材に未硬化の液状硬化性樹脂を含浸せしめて成る管ライニング材をライニングすべき管路内に反転挿入する方法であって、
密閉容器内に収納された管ライニング材の一端を密閉容器に接続されたノズル口径が可変な反転ノズルの開口端外周に取り付け、
前記密閉容器内に流体圧を作用させることにより反転ノズルによって反転が開始されたライニング材を管路内に反転挿入することを特徴とする管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項9】
前記反転ノズルの口径が、使用される管ライニング材の口径に合わせて可変にされることを特徴とする請求項8に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【請求項10】
前記反転ノズルが着脱自在なノズル部を有し、異なる口径のノズル部を装着することによりノズル口径が可変にされることを特徴とする請求項8又は9に記載の管ライニング材の管路内への反転挿入方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−43982(P2006−43982A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226632(P2004−226632)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(592057385)株式会社湘南合成樹脂製作所 (61)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(592057385)株式会社湘南合成樹脂製作所 (61)
【Fターム(参考)】
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