説明

管等の状態を測定するセンサ又はプローブの配置構造

管(1、2)、槽、又は管状部間にフランジ接続部(3、4)等の接続部が設けられる管、槽、又は管状容器の、圧力、温度、又は腐食等の物理的状態又は化学的状態を測定するセンサ又はプローブ(11)の配置構造。センサ又はプローブ(11)は、管(1、2)、槽、又は管状部間でシールとして用いられるリングガスケット(8)等のガスケットとともに設けられる。プローブ又はセンサ素子は、管、槽、又は管状部の内側に面したリングガスケットの内面に設けられる。プローブ又はセンサ素子(11)からの信号を変換する電気コネクタ(16)が、センサ又はプローブからガスケットすなわちリングガスケット(8)を通してガスケットの外側まで延びる1つ又は複数のボア(14)内に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管、槽、又は管、槽、容器等を構成する管状部にフランジ接続部等の接続部が設けられる管、槽、又は管状容器の、圧力、温度、又は腐食等の物理的状態又は化学的状態を測定するセンサ又はプローブの配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の種類のセンサ及びプローブは、加工産業において、流体の流れ又はプロセスの状態の検出、監視、及び制御を可能にするために一般的に用いられている。このようなプローブ又はセンサは、管、槽、又は容器の壁にある孔又はボア内に延びてねじ又は溶接接続を用いて壁に取り付けられる別個の測定ヘッドに設けられるため、通常は貫入形式のものである。このような既知の解決手段の主な欠点は、センサ又はプローブが設けられる壁に孔が形成されることにより壁の強度が低下する(孔が壁の弱化点を示す)ことである。さらに、溶接接続部がある場合、これが壁の材料の強度を低下させる。貫入形式のプローブ又はセンサは、さらなる漏出源があることを示し、また製造及び設置に費用がかかる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ドイツ公開特許公報第198 06 440号は、管内を通る流体の量を測定する貫流測定装置(オリフィス)を図示及び説明しており、ゲージを有するオリフィス流量計の形態であるこの測定装置は、管に対応する直径を有する別個のリング要素に設けられ、リング要素は、別個のガスケット要素を間に挟んだ管のフランジ間に取り付けられるように設けられる。測定装置及びゲージを保持するために別個のリングが作られるため、この既知の解決手段は費用がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明により、管、槽、又は管、槽、若しくは容器を構成する管状部におけるフランジ接続部等の接続部で、既存のパッキン又はガスケットの利用が好適なプローブ又はセンサの配置又は配設に関する解決手段が提供される。
【0005】
添付の独立請求項1において定義されるように、本発明は、管、槽、又は管状部間でシールとして用いられるガスケット又パッキンリングとともにセンサ又はプローブが設けられ、プローブ又はセンサ素子は、管、槽、又は管状部の内側に面したリングの内面に設けられ、センサ又はプローブからガスケット又はパッキンリングを通してリングの外側まで延びる1つ又は複数のボア内にプローブ又はセンサ素子からの信号を変換する電気コネクタが設けられることを特徴とする。
【0006】
本発明の好適な実施形態は、添付の従属請求項2〜6において規定される。
【0007】
本発明は、実施の例を用いて添付図面を参照して以下でさらに詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1及び図2は、2つの管端1、2間のフランジ接続部を示している。フランジ3、4は、フランジの貫通孔7内に設けられるボルト5及びナット6を用いて互いにしっかりと結合される。リングガスケット8が、2つのフランジ3、4間の密封シールを得るために、各フランジの溝9、10内でフランジ間に設けられる。本発明による主な発明的特徴は、ガスケット8にセンサ11を配置又は配設することである。センサとしては、圧力、温度、又はセンサ素子の腐食又は侵食に起因した導電率又は電気抵抗率の変化を測定する任意のタイプの素子を用いることができる。
【0009】
図3a及び図3bは、図1及び図2に示されるようにセンサを備えたガスケット8を、ガスケットの内側(内側の壁)から見た拡大図及び拡大断面図である。ここで示されるセンサ素子8は、ガスケットの内側でガスケットの内方に面した壁にある長手方向凹部12内に設けられた両面膜圧素子(two-sided membrane pressure element)であり、V字形(両面)膜圧素子の両面間の中空空間に油又は他の適当な流体が充填される。好適には圧電結晶からなるセンサ素子15が、凹部12の下側に設けられ、このセンサ素子15に接続される電気導体16が、ガスケット8を通って延びるボア14内に設けられる。電気導体とボアとの間の空間は、ガラス絶縁材又は他の抵当な材料によって密封される。
【0010】
図1〜図3bを参照してセンサの機能を説明する。管1、2内の圧力がV字形膜11に作用することにより、膜内の流体の圧力が上昇してセンサ素子15に作用し、センサ素子15が導体16を介して感知装置及び測定装置(図示せず)に伝えられる電気信号を生成する。V字形の両面膜は、膜面積が大きいため非常に高感度である。これに関して、膜は、ガスケットの周りで360°にわたって完全に延びて、さらにその感圧度を高めることができることに留意されたい。
【0011】
図4a及び図4bは、センサの設計及び機能に関する特徴は前述の図と同じであるが、センサ素子15がガスケット8の壁内に直接一体化され且つ膜18が平坦でガスケットの内壁に設けられている、代替的なセンサの別の実施形態を示す。この解決手段は、膜が硬質であり膜が覆う凹部12の長辺間の距離が短いため、上記のV字形膜よりも感圧度が低い。
【0012】
膜材料は、Inconel(登録商標)625又はAISI316等の任意の適当な材料から形成することができるが、センサが適用される環境に応じて、シリコンゴム等の他の材料を用いることもできる。
【0013】
特許請求の範囲において規定される本発明は、上述のようなRTJフランジに適用できるだけでなく、図5に示されるような小型フランジ、図6に示されるようなRFフランジ、及び図7に示されるような機械継手等、他のタイプのフランジ及び継手に適用されて使用されることもできる。
【0014】
本発明は、図8に示されるようなシートユニオン接続部等、他のタイプの管接続部で用いてもよい。センサ素子15から引き出される電気導体16は、この例では、管端1の雄ねじ20の長手方向凹部19内に設けられる。
【0015】
実際には、本発明は、ガスケットを接続対象の管端間で用いるか又は用いることができ、且つ電気導体をセンサから接続部の外側まで通すか又は配置することを可能にする、任意のタイプの管接続部で用いることができる。しかしながら、ガスケットにセンサ(複数可)を設けることを可能にする適当な材料でガスケットができていることが必須条件である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるセンサが設けられるリングガスケットとの管フランジ接続部を示す断面図である。
【図2】図1と同じフランジ接続部の左側を示す拡大断面図である。
【図3a】図1及び図2に示されるセンサを備えたガスケットをガスケットの内側(内側の壁)から見た拡大図である。
【図3b】図1及び図2に示されるセンサを備えたガスケットを示す拡大断面図である。
【図4a】他の実施の形態に係るセンサを備えたガスケットをガスケットの内側(内側の壁)から見た拡大図である。
【図4b】他の実施の形態に係るセンサを備えたガスケットを示す拡大断面図である。
【図5】本発明に係るセンサが用いられる一タイプのフランジを示す図である。
【図6】本発明に係るセンサが用いられる一タイプのフランジを示す図である。
【図7】本発明に係るセンサが用いられる一タイプのフランジを示す図である。
【図8】本発明によるセンサが用いられる他のタイプの管接続部を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管(1、2)、槽、又は管状部間にフランジ接続部(3、4)等の接続部が設けられる該管、該槽、又は管状容器の、圧力、温度、又は腐食等の物理的状態又は化学的状態を測定するセンサ又はプローブ(11)の配置構造であって、
前記センサ又はプローブ(11)は、前記管(1、2)、前記槽、又は前記管状部間でシールとして用いられるリングガスケット(8)等のガスケットとともに設けられ、前記プローブ又はセンサ素子は、前記管、前記槽、又は前記管状部の内側に面した前記ガスケットリングの内面に設けられ、前記プローブ又はセンサ素子(11)からの信号を変換する電気コネクタ(16)が、前記センサ又はプローブから前記ガスケット(8)を通して該ガスケットの外側まで延びる1つ又は複数のボア(14)内に設けられることを特徴とする、センサ又はプローブの配置構造。
【請求項2】
前記プローブ又はセンサ(11)は、前記リングガスケット(8)の内壁にある溝又は凹部(12)内に設けられることを特徴とする請求項1に記載の配置構造。
【請求項3】
前記プローブ又はセンサは、圧力の測定に適用され、
前記センサ素子は、前記凹部(12)内に設けられる容量素子又はピエゾ抵抗素子であり、前記凹部には流体が充填され、該凹部は、膜(13、18)によって密封可能に覆われることを特徴とする請求項1又は2に記載の配置構造。
【請求項4】
前記膜は、両面V字形形態(13)を有することを特徴とする請求項3に記載の配置構造。
【請求項5】
前記膜(18)は平坦であり、前記ガスケットリング(8)の前記内壁とともに上下動することを特徴とする請求項3に記載の配置構造。
【請求項6】
前記膜は、前記リングガスケット(8)の前記内壁に溶接されることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の配置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−513699(P2008−513699A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532272(P2007−532272)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【国際出願番号】PCT/NO2005/000331
【国際公開番号】WO2006/031124
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(591237869)ノルスク・ヒドロ・アーエスアー (24)
【氏名又は名称原語表記】NORSK HYDRO ASA
【住所又は居所原語表記】0240 OSLO,NORWAY
【Fターム(参考)】