説明

箱詰め装置

【課題】棒状体2を容器3に詰める箱詰め装置1において、設置面積の拡大を必要とせず、かつ低コストで、棒状体2の傷みやすさや詰込み状態の嵩高のようなバラ詰み方式の欠点を抑制する。
【解決手段】箱詰め装置1は、箱詰め位置5にて容器3の左端が右端よりも上方に配されるように容器3を水平方向に対して傾斜させる容器傾斜手段22を備える。これにより、傾斜した容器3に棒状体2が順次に供給されると、棒状体2は自重により容器3内を転がり、右下から左上に順次規則的に層状に詰まれていく。この結果、棒状体2が傷付いたり詰込み状態が嵩高になったりするのを抑制できる。また、容器傾斜手段22は、空気圧シリンダ26で容器3の一端を押し上げること等により簡便に構成できるので、設置面積を拡大することなく安価に設けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自身の軸心を中心に回転可能な棒状体を、所定の容器に詰める箱詰め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のスタータモータに用いられるシャフトのように、自身の軸心を中心に回転可能な棒状体を所定の容器に詰める箱詰め装置が公知である。この従来の箱詰め装置100では、図4に示すように、所定の箱詰め位置に詰込み用の容器101を供給するとともに、棒状体102をコンベアベルト103により搬送し、容器101に自然落下させて詰込む。そして、容器101への受入数が所定値に達したら、詰込み終了後の容器101と空の容器101とが交換される。
【0003】
ところで、このように簡便なバラ詰み方式を採る箱詰め装置100によれば、棒状体102が傷付きやすく、棒状体102の詰込み状態が嵩高になる。そこで、このようなバラ詰み方式の欠点を補うため、種々の技術改良が考えられている。例えば、詰込み用の容器を水平方向に移動させながら棒状体を容器に落下させる技術(例えば、特許文献1参照)や、詰込み用の容器を水平方向以外に上下方向にも移動可能とした技術(例えば、特許文献2参照)が考えられている。しかし、詰込み用の容器を水平方向や上下方向に移動させる手段は、極めて大掛かりであり、大きな設置面積を必要としコストも高い。
【特許文献1】特開平6−127522号公報
【特許文献2】特開平6−255612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、自身の軸心を中心に回転可能な棒状体を所定の容器に詰める箱詰め装置において、設置面積の拡大を必要とせず、かつ低コストで、棒状体の傷みやすさや詰込み状態の嵩高のようなバラ詰み方式の欠点を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔請求項1の手段〕
請求項1に記載の箱詰め装置は、自身の軸心を中心に回転可能な棒状体を所定の容器に詰めるものであり、所定の箱詰め位置に供給された容器に棒状体を供給する棒状体供給手段と、箱詰め位置に供給された容器を水平方向に対して傾斜させる容器傾斜手段とを備える。
【0006】
これにより、傾斜した容器に棒状体が順次に供給されると、棒状体は自重により容器内を転がる。このため、例えば、容器の右側を下方に容器の左側を上方に傾斜させた場合、棒状体は、右下から左上に順次規則的に層状に詰まれていく。この結果、棒状体が傷付いたり詰込み状態が嵩高になったりするのを抑制できる。また、容器傾斜手段は、空気圧シリンダで容器の一端を押し上げること等により簡便に構成できるので、設置面積を拡大することなく安価に設けることができる。
【0007】
以上により、棒状体を所定の容器に詰める箱詰め装置において、設置面積の拡大を必要とせず、かつ低コストで、棒状体の傷みやすさや詰込み状態の嵩高のようなバラ詰み方式の欠点を抑制することができる。
【0008】
〔請求項2の手段〕
請求項2に記載の箱詰め装置によれば、棒状体供給手段は、棒状体が載置されて搬送されるコンベアベルトを有し、コンベアベルトには、棒状体を1個ずつ収容するスリットが設けられている。
これにより、棒状体が1個ずつ容器に供給されるので、容器への詰め込みが不規則になる虞が低減する。このため、上記のようなバラ詰み方式の欠点がさらに抑制される。
【0009】
〔請求項3の手段〕
請求項3に記載の箱詰め装置によれば、棒状体供給手段は、コンベアベルトの棒状体の載置面との間に1個の棒状体が通過できる隙間を形成するガイドを有する。
これにより、スリットに収容されずに浮き上がった棒状体は、ガイドによりコンベアベルトの回転に伴う進行を阻止される。そして、ガイドは、浮き上がった棒状体がスリットに収容されるまで、コンベアベルトの回転に伴う進行を阻止する。このため、棒状体供給手段は、棒状体を確実に1個ずつ容器に供給することができる。
【0010】
〔請求項4の手段〕
請求項4に記載の箱詰め装置によれば、棒状体供給手段は、箱詰めの前工程からコンベアベルトに棒状体を供給する間欠運転可能なプレ供給手段を有し、プレ供給手段は、棒状体の詰込みが終了した容器と空の容器とを交換する間に前工程から送られる移送量よりも多い棒状体をストックできる。
これにより、箱詰め装置における容器交換中も、前工程を停止することなく稼動することができる。
【0011】
〔請求項5の手段〕
請求項5に記載の箱詰め装置によれば、コンベアベルトによる棒状体の搬送速度は、プレ供給手段による棒状体の供給速度よりも大きい。
これにより、容器交換の際にプレ供給手段にストックされた棒状体を、次の容器交換までにプレ供給手段よりも下流側の棒状体供給手段や箱詰め位置に供給された容器に移しておくことができる。
【0012】
〔請求項6の手段〕
請求項6に記載の箱詰め装置は、箱詰め位置に供給された容器への棒状体の詰込み量を検出する棒状体詰込み量検出手段を備える。
これにより、容器交換の時期を確実に把握できるとともに、詰込みの遅延が生じているか否か(つまり、箱詰め位置よりも上流側でトラブルが発生しているか否か)を把握できる。
【0013】
〔請求項7の手段〕
請求項7に記載の箱詰め装置によれば、棒状体は、車両のスタータモータに用いられるシャフトである。
この手段は、棒状体の一形態を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
最良の形態の箱詰め装置は、自身の軸心を中心に回転可能な棒状体を所定の容器に詰めるものであり、所定の箱詰め位置に供給された容器に棒状体を供給する棒状体供給手段と、箱詰め位置に供給された容器を水平方向に対して傾斜させる容器傾斜手段とを備える。
【0015】
棒状体供給手段は、棒状体が載置されて搬送されるコンベアベルトを有し、コンベアベルトには、棒状体を1個ずつ収容するスリットが設けられている。
また、棒状体供給手段は、コンベアベルトの棒状体の載置面との間に1個の棒状体が通過できる隙間を形成するガイドを有する。
【0016】
さらに、棒状体供給手段は、箱詰めの前工程からコンベアベルトに棒状体を供給する間欠運転可能なプレ供給手段を有し、プレ供給手段は、棒状体の詰込みが終了した容器と空の容器とを交換する間に前工程から送られる移送量よりも多い棒状体をストックできる。
また、コンベアベルトによる棒状体の搬送速度は、プレ供給手段による棒状体の供給速度よりも大きい。
【0017】
また、箱詰め装置は、箱詰め位置に供給された容器への棒状体の詰込み量を検出する棒状体詰込み量検出手段を備える。
なお、棒状体は、車両のスタータモータに用いられるシャフトである。
【実施例1】
【0018】
〔実施例1の構成〕
実施例1の箱詰め装置1の構成を、図1ないし図3を用いて説明する。
箱詰め装置1は、自身の軸心を中心に回転可能な棒状体2を所定の詰込み用の容器3に詰めるものであり、例えば、車両のスタータモータ(図示せず)に用いられるシャフトを棒状体2として箱詰めする。
【0019】
この箱詰め装置1は、図1に示すように、所定の箱詰め位置5に供給された容器3に棒状体2を供給する棒状体供給手段6と、箱詰め位置5に空の容器3を供給する空容器供給手段7と、棒状体2の詰込みが終了した容器3を箱詰め位置5から払い出す詰込み容器払出し手段8とを備える。そして、箱詰め装置1は、棒状体2を棒状体供給手段6のコンベアベルト9により搬送し、容器3に自然落下させて詰込み、容器3への詰込み数が所定値に達したら容器3を箱詰め位置5から払い出すとともに空の容器3を箱詰め位置5に供給する(つまり、容器3への詰込み数が所定値に達したら容器3を交換する)。
【0020】
ここで、空容器供給手段7は、コンベアベルト12を回転させることで空の容器3を箱詰め位置5まで搬送する間欠運転可能な装置として構成され、詰込み容器払出し手段8も、コンベアベルト13を回転させることで詰込みが終了した容器3を箱詰め位置5から払い出す間欠運転可能な装置として構成されている。なお、棒状体供給手段6、空容器供給手段7および詰込み容器払出し手段8の動作制御は、演算装置、記憶装置、出力装置、制御装置および入力装置の機能を具備する所定のコンピュータ(図示せず:以下、中央処理装置と呼ぶ)により実行される。
【0021】
棒状体供給手段6は、図2に示すように、棒状体2が載置されて搬送されるコンベアベルト9と、箱詰めの前工程からコンベアベルト9に棒状体2を供給する間欠運転可能なプレ供給手段15とを有する。そして、コンベアベルト9の表面16には、棒状体2を1個ずつ収容できる間隔でアタッチメント17が装着され、アタッチメント17により棒状体2を1個ずつ収容するスリット18が形成されている。
【0022】
また、プレ供給手段15は、棒状体2を軸方向に一列に整列させてコンベアベルト9に供給するものである。また、プレ供給手段15は、空気圧シリンダにより駆動されるストッパ19を有し、コンベアベルト9への供給を規制する。さらに、プレ供給手段15は、詰込みが終了した容器3と空の容器3とを交換する間に前工程から送られる移送量よりも多い棒状体2をストックできるように、例えば通路長さ等が設定されている。そして、コンベアベルト9による棒状体2の搬送速度は、プレ供給手段15による棒状体2の供給速度よりも大きくなるように制御される。
【0023】
また、箱詰め装置1は、図3に示すように、箱詰め位置5に供給された容器3を水平方向に対して傾斜させる容器傾斜手段22と、箱詰め位置5に供給された容器3への棒状体2の詰込み量を検出する棒状体詰込み量検出手段23とを備える。また、棒状体供給手段6は、棒状体2が載置される表面16との間に1個の棒状体2が通過できる隙間を形成するガイド24を有する。
【0024】
容器傾斜手段22は、箱詰め位置5に設けられ、例えば、2つの空気圧シリンダ26で容器3を押し上げ、容器3の左端が右端よりも上方に配されるように容器3を水平方向に対して傾斜させるものである(図3参照)。なお、容器傾斜手段22も、上記の中央処理装置により動作を制御される。
【0025】
棒状体詰込み量検出手段23は、例えば、コンベアベルト9からの棒状体2の落下直前位置を外側から覆うカバー27に装着され、落下直前位置を棒状体2が通過することで生じる静電容量の変動を検出するものであり、このような変動を検出することで容器3への棒状体2の詰込み量を検出する。そして、中央処理装置は、このような変動を伴う電気信号の入力を受けることで容器3への棒状体2の詰込み量を把握して各種の制御処理を実行する。
【0026】
〔実施例1の効果〕
実施例1の箱詰め装置1は、箱詰め位置5にて容器3の左端が右端よりも上方に配されるように容器3を水平方向に対して傾斜させる容器傾斜手段22を備える。
これにより、傾斜した容器3に棒状体2が順次に供給されると、棒状体2は自重により容器3内を転がり、右下から左上に順次規則的に層状に詰まれていく(図3参照)。この結果、棒状体2が傷付いたり詰込み状態が嵩高になったりするのを抑制できる。また、容器傾斜手段22は、空気圧シリンダ26で容器3の一端を押し上げること等により簡便に構成できるので、設置面積を拡大することなく安価に設けることができる。
したがって、棒状体2を容器3に詰める箱詰め装置1において、設置面積の拡大を必要とせず、かつ低コストで、棒状体2の傷みやすさや詰込み状態の嵩高のような従来のバラ詰み方式の欠点を抑制することができる。
【0027】
また、棒状体供給手段6は、棒状体2が載置されて搬送されるコンベアベルト9を有し、コンベアベルト9には、棒状体2を1個ずつ収容するスリット18が形成されている。
これにより、棒状体2が1個ずつ容器3に供給されるので、容器3への詰め込みが不規則になる虞が低減する。このため、上記のようなバラ詰み方式の欠点がさらに抑制される。
【0028】
また、棒状体供給手段6は、棒状体2が載置されるコンベアベルト9の表面16との間に1個の棒状体2が通過できる隙間を形成するガイド24を有する。
これにより、スリット18に収容されずスリット18から浮き上がった棒状体2は、ガイド24によりコンベアベルト9の回転に伴う進行を阻止される。そして、ガイド24は、浮き上がった棒状体2がスリット18に収容されるまで、コンベアベルト9の回転に伴う進行を阻止する。このため、棒状体供給手段6は、棒状体2を確実に1個ずつ容器3に供給することができる。
【0029】
また、棒状体供給手段6は、箱詰めの前工程からコンベアベルト9に棒状体2を供給する間欠運転可能なプレ供給手段15を有し、プレ供給手段15は、詰込みが終了した容器3と空の容器3とを交換する間に前工程から送られる移送量よりも多い棒状体2をストックできる。
これにより、箱詰め装置1における容器3の交換中も、前工程を停止することなく稼動することができる。
【0030】
また、コンベアベルト9による棒状体2の搬送速度は、プレ供給手段15による棒状体2の供給速度よりも大きくなるように制御される。
これにより、容器3の交換の際にプレ供給手段15にストックされた棒状体2を、次の容器3の交換までにプレ供給手段15よりも下流側のコンベアベルト9のスリット18や箱詰め位置5に供給された容器3に移しておくことができる。
【0031】
また、箱詰め装置1は、箱詰め位置5に供給された容器3への棒状体2の詰込み量を検出する棒状体詰込み量検出手段23を備える。
これにより、中央処理装置は、容器3の交換の時期を確実に把握できるとともに、詰込みの遅延が生じているか否か(つまり、箱詰め位置5よりも上流側でトラブルが発生しているか否か)を把握できる。
【0032】
〔変形例〕
実施例1の箱詰め装置1によれば、容器傾斜手段22は、2つの空気圧シリンダ26で容器3を押し上げて水平方向に対して傾斜させるものであったが、例えば、箱詰め位置5を予め傾斜状に設けておくことで容器傾斜手段22としての機能を構成してもよい。
また、実施例1の箱詰め装置1によれば、スリット18は、コンベアベルト9の表面16にアタッチメント17を装着することで形成されていたが、例えば、コンベアベルト9の表面16を直接加工することでスリット18を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】箱詰め装置の全体構成図である(実施例1)。
【図2】箱詰め装置の要部を示す要部構成図である(実施例1)。
【図3】(a)は箱詰め装置の要部を示す要部構成図であり、(b)〜(d)は棒状体の詰込み状態の推移を示す説明図である(実施例1)。
【図4】箱詰め装置の要部を示す要部構成図である(従来例)。
【符号の説明】
【0034】
1 箱詰め装置
2 棒状体
3 容器
5 箱詰め位置
6 棒状体供給手段
9 コンベアベルト
15 プレ供給手段
16 表面(棒状態の載置面)
18 スリット
22 容器傾斜手段
23 棒状体詰込み量検出手段
24 ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の軸心を中心に回転可能な棒状体を所定の容器に詰める箱詰め装置において、
所定の箱詰め位置に供給された前記容器に前記棒状体を供給する棒状体供給手段と、
前記箱詰め位置に供給された前記容器を水平方向に対して傾斜させる容器傾斜手段とを備える箱詰め装置。
【請求項2】
請求項1に記載の箱詰め装置において、
前記棒状体供給手段は、前記棒状体が載置されて搬送されるコンベアベルトを有し、
このコンベアベルトには、前記棒状体を1個ずつ収容するスリットが設けられていることを特徴とする箱詰め装置。
【請求項3】
請求項2に記載の箱詰め装置において、
前記棒状体供給手段は、前記コンベアベルトの前記棒状体の載置面との間に1個の前記棒状体が通過できる隙間を形成するガイドを有することを特徴とする箱詰め装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の内のいずれか1つに記載の箱詰め装置において、
前記棒状体供給手段は、箱詰めの前工程から前記コンベアベルトに前記棒状体を供給する間欠運転可能なプレ供給手段を有し、
このプレ供給手段は、前記棒状体の詰込みが終了した前記容器と空の前記容器とを交換する間に前記前工程から送られる移送量よりも多い前記棒状体をストックできることを特徴とする箱詰め装置。
【請求項5】
請求項4に記載の箱詰め装置において、
前記コンベアベルトによる前記棒状体の搬送速度は、前記プレ供給手段による前記棒状体の供給速度よりも大きいことを特徴とする箱詰め装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の内のいずれか1つに記載の箱詰め装置において、
前記箱詰め位置に供給された前記容器への前記棒状体の詰込み量を検出する棒状体詰込み量検出手段を備えることを特徴とする箱詰め装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6の内のいずれか1つに記載の箱詰め装置において、
前記棒状体は、車両のスタータモータに用いられるシャフトであることを特徴とする箱詰め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−285169(P2008−285169A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−128700(P2007−128700)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】