説明

粉体供給設備、及び吸収体製造設備

【課題】粉体の脈動を生じさせず、粉体の混入濃度を所定通りとする。
【解決手段】粉体Pの定量供給装置12を備える粉体供給設備10であって、前記定量供給装置12の後段に前記粉体Pの取入口18及び流出口19を備える容器体15と、前記容器体15内に前記粉体Pを浮遊充満させる撹拌手段16(攪拌羽根)とを有し、前記定量供給装置12から排出される前記粉体Pを前記取入口18から前記容器体15内に取り込み、前記撹拌手段16(攪拌羽根)によって前記粉体Pを浮遊充満させることで脈動を緩和ないし消滅させた後に前記粉体Pを前記流出口19から流出させる脈動抑制装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体供給設備、及び吸収体製造設備に関するものである。より詳しくは、粉体の定量供給装置が備わる場合に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、例えば、紙おむつや生理用ナプキン等の吸収性物品は、液透過性の表面シート及び液不透過性の裏面シートの間に、粉砕パルプが積繊し、かつ吸収性ポリマーや消臭剤等の粉体が混入する吸収体が介在するなどして、主になる(例えば、特許文献1参照。)。そして、この吸収体を製造するに際して、吸収体製造装置等に、吸収性ポリマーや消臭剤等の粉体を供給するにあたっては、ヘリックス状のスクリュー羽根が備わる定量供給装置(以下、単に「ヘリックス型装置」ともいう。)が、用いられている。
しかしながら、ヘリックス型装置を用いた供給は、粉体が、スクリュー羽根間において凝集することや、スクリュー羽根間に詰まることなどがあるため、脈動が生じることがある。供給に脈動が生じると、得られる吸収体は、粉体の混入濃度(分布)が意図しないものとなり、吸収性ポリマーや消臭剤等の粉体混入による効果が期待通りに発揮されない。
特に、消臭剤等の平均径200μm以下の粉体は、スクリュー羽根間において凝集する確率や詰まる確率が著しく高く、脈動が大きかった。したがって、消臭剤等の粉体は、積繊した粉砕パルプに混入するのではなく、綿などからなるシートに内添又は外添し、このシートで粉砕パルプを被包することによって対応しているのが、現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−65300号公報
【特許文献2】特開昭49−088285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする主たる課題は、粉体の脈動が生じるおそれのない粉体供給設備、及び粉体の混入濃度が所定通りとなる吸収体製造設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
粉体の定量供給装置が備わる粉体供給設備であって、
前記定量供給装置の後段に、
前記粉体の取入口及び流出口が備わる容器体と、この容器体内に前記粉体を浮遊充満させる撹拌羽根と、を有するとともに、前記定量供給装置から排出される粉体を前記取入口から前記容器内に取り込んで、前記浮遊充満によって脈動を緩和ないし消滅させた後、前記流出口から流出させる、脈動抑制装置が備わる、
ことを特徴とする粉体供給設備。
【0006】
〔請求項2記載の発明〕
前記粉体が平均径200μm以下の粉体であり、
前記定量供給装置がテーブルフィーダーである、
請求項1記載の粉体供給設備。
【0007】
〔請求項3記載の発明〕
前記粉体が平均径200μm超の粉体であり、
前記定量供給装置が電磁フィーダーである、
請求項1記載の粉体供給設備。
【0008】
〔請求項4記載の発明〕
粉体の定量供給装置と、前記粉体とともに粉砕パルプが供給され、この供給物から前記粉砕パルプが積繊し、かつ前記粉体が混入する吸収体を製造する吸収体製造装置と、が備わる吸収体製造設備であって、
前記定量供給装置の後段に、
前記粉体の取入口及び流出口が備わる容器体と、この容器体内に前記粉体を浮遊充満させる撹拌羽根と、を有するとともに、前記定量供給装置から排出される粉体を前記取入口から前記容器内に取り込んで、前記浮遊充満によって脈動を緩和ないし消滅させた後、前記流出口から流出させる、脈動抑制装置が備わり、
この脈動抑制装置から流出させた粉体を、エジェクタで付勢して前記吸収体製造装置に供給する、ことを特徴とする吸収体製造設備。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、粉体の脈動が生じるおそれのない粉体供給設備、及び粉体の混入濃度が所定通りとなる吸収体製造設備となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】粉体供給設備の模式図である。
【図2】テーブルフィーダーの説明図である。
【図3】脈動抑制装置の説明図である。
【図4】吸収体製造装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
〔粉体〕
本発明の対象となる粉体の種類は、特に限定されない。例えば、吸収性ポリマー、消臭剤、乾燥剤、抗菌剤、シルクパウダー、ベビーパウダー、活性炭、塩、顔料、クエン酸ナトリウム、エチルパラベン、ホウ酸、酸化チタン、酸化亜鉛などを、例示することができる。
【0012】
〔粉体供給設備・方法〕
図1に、本実施の形態の粉体供給設備10の模式図を示した。本粉体供給設備10には、定量供給装置12が備わる。この定量供給装置12には、ホッパー11などに一時的に蓄えられた粉体Pが、供給される。
【0013】
本定量供給装置12の種類は、特に限定されない。例えば、ヘリックス型装置や、テーブルフィーダー、電磁フィーダー(振動フィーダー)、ベルトフィーダーなどを使用することができる。
【0014】
ただし、前述したように、粉体Pが消臭剤等の平均径200μm以下ものである場合は、ヘリックス型装置を使用すると、スクリュー羽根間において凝集・詰まりが生じる確率が高く、事実上、供給不可能となるほどに、脈動が大きくなるおそれがある。この問題は、特に平均径180μm以下の場合、更には平均径160μm以下の場合に顕著になる。そこで、粉体Pが消臭剤等の平均径200μm以下ものである場合は、定量供給装置12として、例えば、図2に示すような、テーブルフィーダー30を使用して、脈動を防止するのが好ましい。このテーブルフィーダー30による脈動防止効果は、特に粉体Pが平均径180μm以下の場合、更には平均径160μm以下の場合に顕著になる。
【0015】
このテーブルフィーダー30は、水平方向に延在する円盤状のテーブル31と、このテーブル31の上側面近傍から上方に延在する平板状の崩し落し板32と、から主になる。このテーブルフィーダー30においては、テーブル31の上側面に、ホッパー11からの粉体Pが盛られている。この粉体Pは、テーブル31が中心軸回りに回転するのにともなって、崩し落し板32(の先端部)によって崩され、テーブル31の外方に落とされる。この外方に落された粉体Pは、定量供給物として、装置外に排出される。
【0016】
このようにして、定量供給装置12から排出された粉体Pは、図1に示すように、管などからなる移送路14を通して、定量供給装置12の後段に備わる脈動抑制装置に送られる。
【0017】
この脈動抑制装置は、円筒状の容器体15と、モーター等の駆動源17によって駆動させられる撹拌手段16とから、主になる。
【0018】
容器体15は、その天面に、移送路14を通して送られてきた粉体Pを取り入れるための取入口18が備わり、また、その下端部周面に、容器体15内の粉体Pを流出させるための流出口19が備わる。容器体15の形状は、特に限定されない。例えば、断面略真円形状とすることや、楕円形状、正方形状、長方形状、菱形状、多角形状、星型状などとすることもできる。ただし、粉体Pを均一に浮遊充満させて脈動を緩衝するという観点(この観点については、後で詳説する。)からは、図3にも示す本形態のように、断面略真円形状とするのが好ましい。
【0019】
一方、撹拌手段16は、図3に示すように、駆動源17によって軸心回りに回転させられる回転軸16Aと、この回転軸16Aから径方向に向かって延出する撹拌羽根16Bと、から主になる。容器体15内に取り込まれた粉体Pは、撹拌羽根16Bによって、容器体15内に浮遊状態で充満させられる(浮遊充満)。この浮遊充満によって、定量供給装置12から排出された段階において脈動していた粉体Pの脈動は、緩和ないし消滅させられる(緩衝効果)。加えて、定量供給装置12から排出された段階において、凝集した粉体Pが存在したとすれば、この凝集した粉体Pは、撹拌羽根16Bによって、粉砕される。
【0020】
脈動の緩衝効果を得るという観点からは、容器体15の容積が大きい方が好ましいが、他方、容器体15の容積が大きいと、運転開始時などにおいて、粉体Pの浮遊充満状態が安定するまでに、時間がかかる。そこで、容器体15の容積は、両者のバランスなどを考慮して、適宜決定するとよい。本発明者らが試験したところ、粉体Pが平均径3μmの消臭剤(ゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部が銀イオンで置換されてなる抗菌消臭性ゼオライト粒子。三次元骨格構造をもつアルミノシリケートで、一般式aM2/n0・xAl2O3・ySiO2・zH2Oで表される。式中のa、x、y、zはそれぞれ金属酸化物、酸化アルミ、酸化ケイ素、結晶水の数を表す整数。Mは陽イオンで銀イオンを含む。nは陽イオンの原子価。)、定量供給装置12がテーブルフィーダーで、粉体Pを2g/分及び10g/分で供給した場合、容器体15の容積が0.5Lであると、十分に脈動の緩衝効果が得られた。
【0021】
撹拌羽根16Bの形状、本数、延出位置などは、特に限定されない。例えば、脈動の緩衝効果などをファクターとして、適宜設計することができる。本形態では、直線状の撹拌羽根16Bが、上下に間隔をおいて各2本の合計4本、備えられている。上段及び下段の撹拌羽根16Bは、それぞれ相互に反対方向に、延出している。
【0022】
もっとも、撹拌羽根16Bは、その回転(撹拌)によって、粉体Pの脈動を緩衝するとともに、容器体15内において浮遊充満する粉体Pの一部を、流出口19から流出させる作用を有するのが好ましい。したがって、撹拌羽根16Bは、この流出効果を発揮する形状、つまり、容器体15内をほぼ上方から下方に向かって対流させる形状であるのが好ましい。
【0023】
なお、本粉体供給設備10において、符号13は、定量供給装置12の操作ボックスであり、符号22は、定量供給装置12や操作ボックス13、脈動抑制装置などが載置された台車である。この台車22は、底面にタイヤ23が備わっており、本粉体供給設備10を搬送・移動することができるようになっている。
【0024】
〔吸収体製造設備・方法〕
次に、以上の粉体供給設備10が備わる吸収体製造設備について、説明する。
本形態の吸収体製造設備は、図4に示すように、粉体供給設備10と、吸収体製造装置40と、から主になる。
【0025】
この吸収体製造装置40の形状・仕組みなどは、特に限定されない。例えば、特開2002−272782号公報などに開示される形状・仕組みの吸収体製造装置40などを、使用することができる。
【0026】
本形態の吸収体製造装置40は、ケーシング42が備わり、このケーシング42内に、粉体供給設備10からの粉体Pが供給される。この供給に際しては、図1に示すように、粉体供給設備10の容器体15から流出した粉体Pを、管などからなる移送路20を通して、かつ、この移送路20の途中に備わるエジェクタ21で付勢して、吸収体製造装置40のケーシング42内に供給するのが好ましい。本発明者らは、この形態によると、粉体Pを再び脈動させることなく、約3〜5m移送することができることを知見している。
なお、本形態においては、容器体15などからなる粉体供給設備10を、台車22上に載置している。
【0027】
本形態において、ケーシング42には、粉体Pの供給にともなって、パルプSが粉砕装置41などによって粉砕されてなる粉砕パルプ(S)及び吸収性ポリマーRも供給される。そして、これらの供給物のうち粉砕パルプ(S)は、ケーシング42の下端部に備わる積繊ドラム43周面の吸収体積繊用凹部43Aに積繊される。他方、粉体P及び吸収性ポリマーRは、積繊された粉砕パルプ(S)に混入される。このようにして、粉砕パルプ(S)が積繊し、かつ粉体P及び吸収性ポリマーRが混入する吸収体Aが形成される。この吸収体Aは、吸収体積繊用凹部43A内から転写ドラム44の表面に移され(転写)、次いで、ベルトコンベア45に載せられて、搬送される。
【0028】
本形態において、吸収性ポリマーRの供給方法は、特に限定されない。例えば、粉体供給設備10を利用して供給することもできる。ただし、粉体供給設備10を利用する場合において、特に、吸収性ポリマーRの平均径が200μm超である場合は、定量供給装置12として、テーブルフィーダーではなく、電磁フィーダーを使用するのが好ましい。平均径が200μm超であると、流動性が良いためである。
【0029】
もちろん、吸収性ポリマーRには、平均径100〜700μmと、さまざまな大きさのものがあり、平均径等に応じて、粉体供給設備10の種類を、選択することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、粉体の定量供給装置が備わる粉体供給設備、及び吸収体製造設備として、適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
10…粉体供給設備、11…ホッパー、12…定量供給装置、13…操作ボックス、15…容器体、16…撹拌手段、16A…回転軸、16B…撹拌羽根、17…駆動源、18…取入口、19…流出口、21…エジェクタ、22…台車、23…タイヤ、30…テーブルフィーダー、31…テーブル、32…崩し落し板、40…吸収体製造装置、41…粉砕装置、42…ケーシング、43…積繊ドラム、43A…吸収体積繊用凹部、44…転写ドラム、45…ベルトコンベア、A…吸収体、P…粉体、S…パルプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体の定量供給装置が備わる粉体供給設備であって、
前記定量供給装置の後段に、
前記粉体の取入口及び流出口が備わる容器体と、この容器体内に前記粉体を浮遊充満させる撹拌羽根と、を有するとともに、前記定量供給装置から排出される粉体を前記取入口から前記容器内に取り込んで、前記浮遊充満によって脈動を緩和ないし消滅させた後、前記流出口から流出させる、脈動抑制装置が備わる、
ことを特徴とする粉体供給設備。
【請求項2】
前記粉体が平均径200μm以下の粉体であり、
前記定量供給装置がテーブルフィーダーである、
請求項1記載の粉体供給設備。
【請求項3】
前記粉体が平均径200μm超の粉体であり、
前記定量供給装置が電磁フィーダーである、
請求項1記載の粉体供給設備。
【請求項4】
粉体の定量供給装置と、前記粉体とともに粉砕パルプが供給され、この供給物から前記粉砕パルプが積繊し、かつ前記粉体が混入する吸収体を製造する吸収体製造装置と、が備わる吸収体製造設備であって、
前記定量供給装置の後段に、
前記粉体の取入口及び流出口が備わる容器体と、この容器体内に前記粉体を浮遊充満させる撹拌羽根と、を有するとともに、前記定量供給装置から排出される粉体を前記取入口から前記容器内に取り込んで、前記浮遊充満によって脈動を緩和ないし消滅させた後、前記流出口から流出させる、脈動抑制装置が備わり、
この脈動抑制装置から流出させた粉体を、エジェクタで付勢して前記吸収体製造装置に供給する、ことを特徴とする吸収体製造設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−41192(P2012−41192A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217394(P2011−217394)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【分割の表示】特願2005−337142(P2005−337142)の分割
【原出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】