説明

粉体塗料組成物及びアルミホイールの塗装方法

【課題】
下地隠蔽性、防食性、意匠性を発現することができ、塗装工程を短縮することができ、かつ低温硬化性に優れるため特にアルミホイールの塗装に好適であり、貯蔵安定性にも優れた粉体塗料組成物及びそれを用いるアルミホイールの塗装方法を提供する。
【解決手段】
粉体塗料粒子からなる粉体塗料組成物であって、前記粉体塗料粒子は、金属顔料が結着剤によって結着されてなる熱硬化性樹脂粉体を少なくとも含有するものであり、前記熱硬化性樹脂粉体は、下記一般式(1);
【化1】


(式中、Rは、水素原子、メチル基又はエチル基、Rは、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又はHOCH(R)CH−、Aは、2価の炭化水素基を表す。)で表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を含有するものである粉体塗料組成物。
なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体塗料組成物及びアルミホイールの塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレーク状金属顔料を含有するメタリック塗料によってアルミホイールの塗装を行う場合、粉体塗料によるプライマー塗装工程と溶剤系メタリック塗料による上塗り塗装工程とを行うことが一般的であった。このような方法においては、工程が多いため、工程削減の要求があり、また、有機溶剤の使用量を低減させることも求められている。
【0003】
ホイールの塗装を行うための粉体塗料としては、β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を含有してなるものが知られている(例えば、特許文献1等)。β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤は、低温での硬化反応を生じさせることができることから、硬化工程における使用エネルギー量の低減という観点から好ましいものである。また、成型されたアルミニウム基材は、高温での処理を行うと強度が低下してしまうことから、このような問題を生じない点からも好ましい。しかし、特許文献1においては、フレーク状金属顔料を配合した粉体塗料組成物とすることは記載されていない。このため、上述したような改善点を有するものである。
【0004】
フレーク状金属顔料を含有する粉体塗料組成物として、結着剤を使用することによって、熱硬化性樹脂粉体とフレーク状金属顔料とを結着させた粉体塗料組成物が知られている(例えば、特許文献2等)。しかし、特許文献2においては、アルミホイールの塗装に適した粉体塗料とすることについての開示はなされていない。
【0005】
【特許文献1】特開2001−294804号公報
【特許文献2】特開2004−175813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、下地隠蔽性、防食性、意匠性を発現することができ、塗装工程を短縮することができ、かつ低温硬化性に優れるため特にアルミホイールの塗装に好適であり、貯蔵安定性にも優れた粉体塗料組成物及びそれを用いるアルミホイールの塗装方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、粉体塗料粒子からなる粉体塗料組成物であって、上記粉体塗料粒子は、金属顔料が結着剤によって結着されてなる熱硬化性樹脂粉体を少なくとも含有するものであり、上記熱硬化性樹脂粉体は、下記一般式(1);
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、Rは、水素原子、メチル基又はエチル基、Rは、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又はHOCH(R)CH−、Aは、2価の炭化水素基を表す。)で表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を含有するものであることを特徴とする粉体塗料組成物である。
【0010】
上記金属顔料は、上記熱硬化性樹脂粉体の表面に結着していることが好ましい。
上記金属顔料は、フレーク状の金属顔料であることが好ましい。
上記熱硬化性樹脂粉体と上記金属顔料との結着率は、90〜100%であることが好ましい。
上記粉体塗料粒子の平均粒子径は、D50換算で100μm以下であることが好ましい。
【0011】
上記結着剤は、数平均分子量が300〜2000であり、軟化点が30〜180℃である有機化合物であることが好ましい。
上記結着剤は、テルペン系樹脂、テルペン・フェノール系樹脂、テルペン系水素添加系樹脂及びテルペン・フェノール系水素添加系樹脂からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0012】
本発明の粉体塗料組成物は、平均粒子径が5〜50μmであることが好ましい。
上記粉体塗料粒子は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
上記粉体塗料粒子は、更に、エポキシ基含有ビニル系樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含有することが好ましい。
【0013】
本発明は、上述した粉体塗料組成物を塗装する工程(1−1)と、150〜170℃で硬化する工程(1−2)とを含むことを特徴とするアルミホイールの塗装方法でもある。
【0014】
本発明は、上述した粉体塗料組成物を塗装する工程(2−1)、150〜170℃で硬化する工程(2−2)、工程(2−2)によって形成された硬化塗膜上にクリヤー塗料を塗装する工程(2−3)、及び、塗装したクリヤー塗料を硬化する工程(2−4)からなることを特徴とするアルミホイールの塗装方法でもある。
【0015】
本発明は、上述した粉体塗料組成物を塗装する工程(3−1)、工程(3−1)によって塗装された塗膜上にクリヤー塗料を塗装する工程(3−2)、及び、工程(3−1)及び(3−2)によって塗装された塗膜を150〜170℃で硬化する工程(3−3)からなることを特徴とするアルミホイールの塗装方法でもある。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明の粉体塗料組成物は、粉体塗料粒子からなる粉体塗料組成物であって、上記粉体塗料粒子は、金属顔料が結着剤によって結着されてなる熱硬化性樹脂粉体を少なくとも含有するものである。このような粉体塗料組成物を使用すると、下地隠蔽性、防食性、意匠性を発現することができ、かつ低温硬化性に優れるため特にアルミホイールの塗装に好適である。また、被塗物との密着性においても優れるため、プライマー塗装を行うことなくフレーク状金属顔料を有する塗膜を形成することができるため、塗装工程を削減することによって、効率よく塗装を行うことができる。
【0017】
上記熱硬化性樹脂粉体は、下記一般式(1);
【0018】
【化2】

【0019】
(式中、Rは、水素原子、メチル基又はエチル基、Rは、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又はHOCH(R)CH−、Aは、2価の炭化水素基を表す。)で表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を含有するものである。上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤は、低い温度で硬化反応を生じさせることができる点で好ましい。
【0020】
上記一般式(1)中のRとしては、水素原子又はメチル基が、Rとしては、HOCH(R)CH−が、Aとしては炭素原子数2〜10が好ましく、4〜8のアルキレン基がより好ましい。
【0021】
上記β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤は、例えば、カルボン酸及び/又はカルボン酸エステルと、β−ヒドロキシアルキルアミンとを、ナトリウムやカリウム等のアルコキシドの触媒の存在下で反応させることにより得られる。
【0022】
上記カルボン酸やカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジメチル等が挙げられる。β−ヒドロキシアルキルアミンとしては、例えば、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン等を挙げることができる。
【0023】
上記熱硬化性樹脂粉体においてβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤と併用して使用される熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エボナイト等を挙げることができる。塗膜物性が良好であることから、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂を用いることがより好ましい。
【0024】
上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂とβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤との配合比は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂中のカルボキシル基の当量数/β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数=0.6/1〜1/0.6であることが好ましい。より好ましくは0.8/1〜1/0.8である。この範囲外であると、機能的強度、耐水性が低下するおそれがある。
【0025】
上記カルボキシル基含有ポリエステルは、樹脂固形分酸価が10〜100(mgKOH/g固形分;以下同様)であることが好ましく、より好ましくは15〜80、更に好ましくは20〜60である。酸価が10未満であると、硬化性が低下し、機械的物性が低下するおそれがあり、100を超えると、得られる塗膜の耐水性が低下するおそれがある。また、軟化点が80〜150℃であることが好ましく、より好ましくは、90〜130℃である。軟化点が80℃より低いと、耐ブロッキング性が低下するおそれがあり、150℃より高いと、得られる塗膜の平滑性が低下するおそれがある。また、重量平均分子量が1000〜150000であることが好ましく、より好ましくは3000〜70000、更に好ましくは4000〜50000である。1000未満であると、得られる塗膜の性能及び物性が低下するおそれがあり、150000を超えると、得られる塗膜の平滑性、外観が低下するおそれがある。
【0026】
なお、本発明における樹脂固形分の酸価はJIS K 0070、また、軟化点はJIS K 2207それぞれ準拠した方法により決定することができる。また、本発明における重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)等の公知の方法により決定することができる。上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、2種以上の複合物であってもよく、その場合、上記の物性値及び特数値は、複合物全体としての値を意味する。
【0027】
上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸を主成分とした酸成分と、多価アルコールを主成分としたアルコール成分とを原料として通常の方法により縮重合することにより得ることができる。それぞれの成分及び縮重合の条件を選択することにより、上記の物性値及び特数値を有するカルボキシル基含有ポリエステル樹脂を得ることができる。
【0028】
上記酸成分としては特に限定されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸及びこれらの無水物、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類及びこれらの無水物;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸類及びこれらの無水物;γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類及びこれらに対応するヒドロキシカルボン酸類;p−オキシエトキシ安息香酸等の芳香族オキシモノカルボン酸類等が挙げられ、2種以上であってもよい。
【0029】
上記アルコール成分としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、ビスフェノールSアルキレンオキシド付加物、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール等のジオール;トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール類等が挙げられ、2種以上であってもよい。
【0030】
本発明の粉体塗料組成物は、上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂と共にエポキシ基含有ビニル系樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含むことが好ましい。これにより、粉体塗料組成物の低温硬化性と貯蔵安定性がより向上することになる。
【0031】
上記エポキシ基含有ビニル系樹脂は、分子の末端又は側鎖にエポキシ基を有するビニル系共重合体であり、2種以上の複合物であってもよい。エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ当量としては、粉体塗料組成物の貯蔵安定性、得られる塗膜の機械的物性、耐水性等の点から、250〜1500が好ましく、より好ましくは300〜1000、更に好ましくは400〜900である。250未満であると、固相反応が進みやすくなり、貯蔵安定性が低下するおそれがあり、1500を超えると、機械的物性、耐水性が低下するおそれがある。また、軟化点は、80〜150℃であることが好ましい。この範囲外であると、耐ブロッキング性や塗膜の平滑性が低下するおそれがある。また、その数平均分子量としては、塗膜の機械的物性や平滑性の点から300〜10000であることが好ましく、より好ましくは、1000〜5000である。300未満であると、機械的物性が低下するおそれがあり、10000を超えると、平滑性が低下するおそれがある。
【0032】
上記エポキシ基含有ビニル系樹脂は、エポキシ基を有するビニル系モノマーと、必要によりその他のビニル系モノマーとを共重合させることによって、又は、ビニル系共重合体にエポキシ基を導入することにより得られる。
【0033】
上記エポキシ基含有ビニル系樹脂をエポキシ基を有するビニル系モノマーを使用した重合で得る場合、上記エポキシ基を有するビニル系モノマーとしては特に限定されず、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の各種のグリシジルエステル類;3,4−エポキシシクロヘキシルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメタクリレート等の各種の脂環式エポキシ基含有ビニル系単量体類等が挙げられる。
【0034】
その他のビニル系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)クリレート、ベンジル(メタ)クリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;エチレン、プロピレン、ブテン−1等の各種のα−オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の各種の芳香族ビニル化合物類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類等を挙げることができる。
上記ビニル系共重合体にエポキシ基を導入する方法としては、例えば、イソシアネート基を有するビニル共重合体にグリシドールを反応させる方法が挙げられる。
【0035】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、1分子内に平均1.1個以上のエポキシ基を有するものが用いられる。具体的には、ノボラック型フェノール樹脂とエピクロルヒドリンとの反応生成物、ビスフェノール型エポキシ樹脂(A型、B型、F型等)、水素添加ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型フェノール樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂(A型、B型、F型等)とエピクロルヒドリンとの反応生成物、ノボラック型フェノール樹脂とビスフェノール型エポキシ樹脂(A型、B型、F型等)との反応生成物、クレゾールノボラック等のクレゾール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール及びグリセロール等のアルコール化合物とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル類、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びトリメリット酸等のカルボン酸化合物とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル類、p−オキシ安息香酸やβ−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応生成物、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート等の脂環式エポキシ化合物類、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)及びその誘導体等が用いられる。これらの2種以上を併用するものであってもよい。
【0036】
上記エポキシ樹脂のエポキシ当量は、100〜4000であることが好ましく、100〜2000がより好ましい。エポキシ当量が100未満であると、塗料の貯蔵安定性が低下するおそれがあり、4000を超えると、塗膜の耐水性が低下するおそれがある。なお、本発明におけるエポキシ当量はJISK 7236により決定することができる。
【0037】
このようなエポキシ樹脂の市販品の例としては、エポトートYD−128、エポトートYD−014、エポトートYD019、ST−5080、ST−5100、ST4100D(いずれも、東都化成社製)、EHPA−3150(ダイセル化学工業社製)、アラルダイトCY179(日本チバガイギー社製)、デナコールEX−711(ナガセ化成工業社製)、エポトートYDPN−639、エポトートYDCN701、エポトートYDCN701(いずれも、東都化成社製)、エピクロンN−680、エピクロンN−695、エピクロンHP−4032、エピクロンHP−7200H(いずれも、大日本インキ化学工業社製)、アラルダイト PT 810、アラルダイト PT 910(日本チバガイギー社製)、TEPIC(日産化学工業社製)等を挙げることができる。
【0038】
本発明の粉体塗料組成物におけるカルボキシル基含有ポリエステル樹脂、エポキシ基含有ビニル系樹脂、エポキシ樹脂及びβ−ヒドロキシルアルキルアミド硬化剤の各成分の好ましい含有割合は以下の通りである。
【0039】
上記エポキシ基含有ビニル系樹脂は、塗膜の機械的物性、耐水性、平滑性、塗料の貯蔵安定性等の観点から、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部、更に好ましくは2〜9質量部である。0.1質量部未満であると塗膜の機械的物性の低下や、耐水性が不良になるおそれがあり、10質量部を超えると塗膜の平滑性の低下や、塗料の貯蔵時にカルボキシル基とエポキシ基の反応が進み、塗料の貯蔵安定性が低下するおそれがある。
【0040】
上記エポキシ樹脂の配合量は、塗膜の耐水性、塗料の貯蔵安定性等の観点からカルボキシル基含有ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部、更に好ましくは2〜9質量部である。0.1質量部未満であると塗膜の耐水性が不良になるおそれがあり、10質量部を超えると塗料の貯蔵時にカルボキシル基とエポキシ基の反応が進み、塗料の貯蔵安定性が悪くなるおそれがある。
【0041】
更に、本発明の粉体塗料組成物の固形分中に含まれるエポキシ基の全当量数である、エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ基の当量数と、エポキシ樹脂のエポキシ基の当量数との合計当量数と、β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数との比が0.05/1〜1/1となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.1/1〜0.8/1、更に好ましくは0.1/1〜0.6/1となるように、β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を含有することが好ましい。カルボキシル基含有ポリエステル樹脂中のカルボキシル基とβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基との室温での反応性は、エポキシ基とのそれよりも低い。よって、上記比率を上記範囲内とすることにより、粉体塗料中のβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基量をエポキシ基量よりも多く存在させることとなり、室温のような低い反応条件では、さほど反応が進まず、その結果、塗料の貯蔵安定性が良好となる。従って、上記比率が1/1を超えると、塗料の貯蔵安定性が低下するおそれがあり、0.05/1未満であると、エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ基及びエポキシ樹脂のエポキシ基と、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂のカルボキシル基との反応が少なくなり、低温焼き付け時の塗膜の機械的物性、耐水性が低下するおそれがある。
【0042】
上記エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ当量数とエポキシ樹脂のエポキシ基の当量数とβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数との合計に対する、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂のカルボキシル基の当量数の比としては、0.5/1〜1.6/1であることが好ましく、より好ましくは0.7/1〜1.3/1である。この範囲内にあれば、硬化反応は正常に進むが、0.5/1未満であると、硬化が不十分となり、塗膜の機械的物性の低下や、耐水性が低下するおそれがある。1.6/1を超えると、塗膜の耐水性が低下するおそれがある。
【0043】
また、特にカルボキシル基含有ポリエステル樹脂の酸価が10〜45である場合は、上記当量比が0.9/1〜1.3/1であることが好ましい。この範囲内にあれば、硬化反応は過不足無く進み、塗膜の機械的物性、耐水性が良好となり、好ましい。
【0044】
上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の酸価を45〜100と、通常の粉体塗料で採用されている酸価よりも高くして、低温硬化性を特に向上させようとした場合、上記当量比は0.7/1〜1.1/1が好ましい。この範囲外であると、塗膜の機械的物性の低下、耐水性の低下となるおそれがある。
【0045】
上記熱硬化性樹脂粉体には必要に応じて、β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤以外の硬化剤;分散剤;表面調整剤;シリカ、アルミ、水酸化アルミニウム等の各種流動性調整剤;アクリルオリゴマー、シリコーン等の各種流展剤;ベンゾイン等の各種発泡防止剤;ワックス類、カップリング剤、酸化防止剤、磁性粉、安定剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、増粘剤、沈降防止剤、可塑剤、ワキ防止剤、帯電制御剤等の粉体塗料組成物において使用される各種添加剤及び各種機能性材料を含有していてもよい。
【0046】
上記表面調整剤としては、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類を原料として得られた、数平均分子量が300〜50000、ガラス転移温度が20℃未満のアクリル重合体からなる表面調整剤が好ましい。分子量が上記範囲外であると、十分に表面調整性を付与することができず、ヘコミ等の外観不良防止が不十分となるおそれがある。また、ガラス転移温度が20℃以上であると、十分に表面調整性を付与することができないおそれがある。表面調整剤は、粉体塗料組成物中に0.01〜5質量%とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜3質量%、更に好ましくは0.1〜2質量%である。0.01質量%未満であると十分に表面調整性を付与することができず外観不良の確率が高くなるおそれがあり、5質量%を超えると、塗料のブロッキング性が低下するおそれがある。
【0047】
上記表面調整剤の市販品としては、例えば、アクロナール4F(BASF社製)、ポリフローS(共栄社化学社製)、レジフローLV(ESTRON CHEMICAL社製)等が挙げられ、シリカ担体アクリル重合体、例えば、モダフローIII(モンサント社製)、レジフローP67(ESTRON CHEMICAL社製)等が好適に用いられる。また、表面調整剤であるアクリル重合体とエポキシ樹脂の混合物をエポキシ樹脂の使用量が上記範囲内になるようにして、使用してもよい。
【0048】
上記流動性付与剤は、粉体塗料組成物自体に流動性を与えるだけでなく、耐ブロッキング性も向上させることができる。流動性付与剤としては、疎水性シリカ、親水性シリカや酸化アルミニウム、酸化チタン等が適用でき、市販品として、例えば、AEROSIL130、AEROSIL 200、AEROSIL 300、AEROSILR−972、AEROSIL R−812、AEROSIL R−812S、二酸化チタンT−805、二酸化チタンP−25、Alminium OxideC(日本アエロジル社製)、カープレックスFPS−1(塩野義製薬社製)等が挙げられる。流動性付与剤の添加量としては、付与される効果と塗膜の平滑性の観点から、粉体塗料組成物100質量部に対して、0.05〜2質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.1〜1質量部である。0.05質量部未満であると効果が小さくなり、2質量部を超えると塗膜の平滑性が低下や艶引けが発生するおそれがある。
【0049】
上記熱硬化性樹脂粉体は、着色顔料、着色剤、体質顔料、防錆顔料、艶消し剤等を含んでもよい。これらの成分の配合量としては、その種類によって異なるが、上記金属顔料の特徴が生かされ、かつ塗膜表面の平滑性や鮮映性が損なわれない範囲に設定することが好ましい。これらの着色顔料、着色剤、体質顔料、防錆顔料、艶消し剤としては、塗料において一般に使用されるものを使用することができる。
【0050】
上記着色顔料、着色剤としては特に限定されず、例えば、キナクリドン、ジケトピロロピロール、イソインドリノン、インダンスロン、ペリレン、ペリノン、アントラキノン、ジオキサジン、ベンゾイミダゾロン、トリフェニルメタンキノフタロン、アントラピリミジン、黄鉛、パールマイカ、透明パールマイカ、着色マイカ、干渉マイカ、フタロシアニン、ハロゲン化フタロシアニン、アゾ顔料(アゾメチン金属錯体、縮合アゾ等)、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、銅フタロシアニン、縮合多環類顔料等を挙げることができる。
【0051】
上記熱硬化性樹脂粉体の平均粒子径としては特に限定されないが、通常5〜100μmであることが好ましい。上記下限は、15μmであることが好ましく、上記上限は60μmであることがより好ましく、50μmであることが更に好ましい。平均粒子径が5μm未満では、顔料と均一に混合することが困難になるとともに、凝集性が高くなり粉体塗装の際に均一に粉塵化できなくなるおそれがあり、100μmを超えと、塗膜表面の平滑性が阻害され、良好な外観が得られないおそれがある。上記熱硬化性樹脂粉体の平均粒子径は、レーザー回折法、マイクロメッシュシーブ法、コールターカウンター法等の公知の粒度分布測定法により測定された粒度分布より体積平均を算出して求められる。
【0052】
上記熱硬化性樹脂粉体の製造方法として、例えば、以下のような方法を挙げることができる。まず、樹脂、硬化剤及び必要に応じて添加する充填剤等の原材料組成物を、ミキサー、ブレンダー等を用いてドライブレンドし、混合後、ニーダーにより原材料を80〜120℃で溶融混練し、冷却する。次に、溶融物は冷却ロールや冷却コンベヤー等で冷却して固化され、機械又は気流式の粉砕機を用いて冷却済みの溶融混練物を粉砕し、粗粉砕及び微粉砕の工程を経て所望の粒径に粉砕する。その後、気流式分級機により分級して、熱硬化性樹脂粉体を得ることができる。この方法以外にもスプレードライ法や重合法によっても熱硬化性樹脂粉体を製造することができる。
【0053】
本発明の粉体塗料組成物に用いられる金属顔料は、光輝性の顔料であり、アルミニウム、亜鉛、銅、ブロンズ、ニッケル、チタン、ステンレス等の金属フレーク及びそれらの合金フレーク等が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。金属顔料としては、偏平状の形状を有するフレーク状のものであることが好ましい。中でも、アルミニウムフレーク顔料が金属光沢に優れ、比重が小さいため扱いやすく、特に好適である。
【0054】
上記金属顔料の平均粒子径としては、通常1〜100μmが好ましく、より好ましくは3〜60μmである。平均厚みは通常0.01〜5μmが好ましく、より好ましくは0.02〜2μmである。更に、平均粒子径を平均厚みで割った形状係数が5〜100のものが特に好ましい。
【0055】
上記金属顔料の平均粒子径が100μmを超えると、金属顔料が塗膜表面に突き出すため、塗面の平滑性や鮮映性が低下するおそれがあり、1μm未満であるとメタリック感や光輝感が低下する傾向がある。平均厚みが5μmを超えると、塗面の平滑性や鮮映性が低下するおそれがあり、0.01μm未満であると、強度が低下したり、製造工程中の加工が困難になったりするおそれがある。
【0056】
上記金属顔料の平均粒子径は、レーザー回折法、マイクロメッシュシーブ法、コールターカウンター法等の公知の粒度分布測定法により測定された粒度分布より体積平均を算出して求められる。平均厚みについては、フレーク状金属顔料の隠蔽力と密度より算出される。
【0057】
上記金属顔料の表面には、磨砕時に添加する磨砕助剤が吸着していてもよい。磨砕助剤としては、例えば、脂肪酸(オレイン酸、ステアリン酸)、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族アルコール、エステル化合物等が挙げられる。これらは金属顔料表面の不必要な酸化を抑制し、光沢を改善する効果を有する。磨砕助剤の吸着量としては、金属顔料100質量部に対し2質量部未満であることが好ましい。2質量部以上であると、表面光沢が低下するおそれがある。
【0058】
本発明においては、金属顔料に多彩な色彩を付与するため、金属顔料の表面に各種着色剤、着色顔料を付着させることができる。着色剤、着色顔料としては、上述したものを使用することができる。
【0059】
上記金属顔料は、表面に干渉膜を形成したものであってもよい。上記干渉膜の形成方法は特に限定されず、例えば、酸素量をコントロールした雰囲気中で金属フレークを300〜700℃程度に加熱することにより、表面に空気酸化皮膜を形成する方法、遷移金属等の酸化物の前駆体で金属顔料を被覆し加熱分解する方法等を挙げることができる。
【0060】
上記金属顔料は、耐薬品性、耐水性や耐候性を付与するため、金属顔料の表面に樹脂層を形成したものであってもよい。上記金属顔料の表面に樹脂層を形成する方法としては、金属フレークを有機溶媒中に分散したスラリーに少なくとも一つの重合性二重結合を有するオリゴマー及び/又はモノマーを少なくとも二種含有する原料組成物を添加し、不活性ガス雰囲気中で加熱しながら重合開始剤を添加することにより、重合体を析出させる方法等が好ましい。
【0061】
上記金属顔料がアルミニウムフレーク顔料である場合には、アルミニウムフレーク顔料の表面に形成させる樹脂組成物皮膜(本明細書において、樹脂コートとも記載する)のアルミニウムフレーク顔料100gに対する量(本明細書において、樹脂コート量とも記載する)としては、2g以上が好ましく、5g以上がより好ましい。
【0062】
上記樹脂コート量が2g未満では、樹脂コートによる耐候性、耐薬品性等の効果が不十分となるおそれがある。樹脂コート量が50gを超えると、結着率が低くなるおそれがある。
【0063】
本発明の粉体塗料組成物は、熱硬化性樹脂粉体と金属顔料とを結着剤によって結着させたものである。これによって、(1)回収再塗装時の色相の変化、(2)色ムラ(メタルムラ)の防止、(3)アルミフレークの凝集物の抑制という効果が得られるものである。
上記結着剤によって、熱硬化性樹脂粉体と金属顔料とが結着するのであるが、上記金属顔料は、上記熱硬化性樹脂粉体の表面に結着していることが好ましい。表面に結着していることによって、より光輝感が向上するためである。
【0064】
上記結着剤は、上記熱硬化性樹脂粉体と金属顔料とを結着させる機能を有する化合物であれば、特に限定されず、使用する熱硬化性樹脂粉体、金属顔料の種類に応じて選択することができる。
【0065】
上記結着剤としては、数平均分子量300〜2000の有機化合物であることが好ましい。上記下限は400であることがより好ましく、上記上限は2000であることが好ましく、1500であることがより好ましい。数平均分子量が300未満であると、常温で液状となり熱硬化性粉体塗料樹脂同士がブロッキングを起こすおそれがあり、2000を超えると、熱硬化性粉体塗料樹脂に均一に浸透、分散しにくくなるおそれがある。
【0066】
上記結着剤の軟化点は、30〜180℃であることが好ましい。上記下限は80℃であることがより好ましく、上記上限は150℃であることがより好ましい。軟化点が30℃未満であると、熱硬化性粉体塗料樹脂同士がブロッキングを起こすおそれがあり、180℃を超えると熱硬化性粉体塗料樹脂に均一に浸透、分散しにくくなるおそれがある。
【0067】
上記結着剤として使用することができる化合物としては、例えば、クロマン・インデン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン・フェノール系樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン系樹脂、テルペン系水素添加系樹脂、テルペン・フェノール系水素添加系樹脂、ロジン系樹脂、水素添加ロジンエステル系樹脂、ロジン変性フェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂等の天然樹脂系の結着剤;アルキルフェノール・アセチレン系樹脂、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド系樹脂、スチレン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、キシレン系樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド系樹脂等の合成樹脂系の結着剤;ポリブテン、液状系ゴム等のオリゴマー系粘着付与剤;その他、各種ゴム材料、油脂、ロウ(ワックス)等が好適である。これらの中でも、テルペン系樹脂、テルペン・フェノール系樹脂、テルペン系水素添加系樹脂及びテルペン・フェノール系水素添加系樹脂からなる群より選ばれる1種以上が好適である。
【0068】
上記熱硬化性樹脂粉体表面に、結着剤によって金属顔料を結着させる方法としては特に限定されず、例えば、以下の方法で行うことができる。
あらかじめ均一に混合した熱硬化性樹脂粉体と金属顔料に、溶媒に溶解した結着剤を添加し混練する。溶媒が蒸発し全体が粉体化するまで混練を継続し、完全に溶媒を除去した後、スクリーン式分級機により分級してメタリック塗装用粉体塗料組成物を得る。混練しながら溶媒を蒸発除去し、乾燥することにより、金属顔料と熱硬化性樹脂粉体の結着力を高めると同時に樹脂粉体同士のブロッキングを抑制することができる。なお、溶媒を蒸発除去し、乾燥する際には真空吸引を行うのがより好ましい。
上記混練工程は、温度を−5〜50℃の範囲で行うことが好ましい。50℃を超えると、熱硬化性樹脂粉体のブロッキングを生じる可能性がある。
【0069】
上記結着剤を溶解する溶媒としては特に限定されず、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のアルカン類;イソペンタン、イソヘキサン、イソヘプタン、イソオクタン等のイソパラフィン類;メタノール、エタノール等のアルコール類;四塩化炭素等の有機ハロゲン化物類、水等を挙げることができる。
【0070】
上記熱硬化性樹脂粉体と混合される金属顔料は、熱硬化性樹脂粉体100質量部あたり通常1〜40質量部とすることが好ましく、より好ましくは2〜20質量部である。1質量部未満では十分なメタリック感及び光輝感が得られないおそれがある。40質量部を超えると、塗膜の平滑性が失われ、外観が悪くなるおそれがある。
【0071】
上記結着剤の添加量としては、得られる粉体塗料組成物に対し0.1〜5%とすることが好ましい。0.1%未満であると結着が不十分で遊離の金属顔料が多く残存する場合があり、5%を超えるとブロッキングを生じるおそれがある。
【0072】
本発明の粉体塗料組成物に含まれる上記熱硬化性樹脂粉体と上記金属顔料との結着率は90%〜100%の範囲であることが好ましいが、95%以上であることがより好ましい。結着率がこの範囲より小さい場合には、金属顔料が静電気によってガンノズルに付着するという問題を生じるおそれがある。この問題は、アルミニウムフレーク顔料において特に顕著なものである。上記結着率は、金属顔料粒子のうち、熱硬化性樹脂粉体の表面に結着しているものの割合を指す値であり、以下に示す方法によって測定することができる。
【0073】
結着率(ボンディング率)の測定方法
(i)結着率の測定の原理
熱硬化性樹脂粉体と金属顔料との結着率は、次式のように熱硬化性樹脂粉体と結着していない金属顔料を定量分析し、その比率を引くことにより求める。
結着率(%)=100−結着していない金属顔料の比率(%)
ここで、結着していない金属顔料を定量するためには、熱硬化性樹脂粉体が結着していない金属顔料(遊離金属顔料)と、熱硬化性樹脂粉体が結着した金属顔料とを分離しなければならない。
【0074】
(ii)金属顔料含有量の測定
粉体塗料組成物を一定量採取した後、N−メチルピロリドンを用いて熱硬化性樹脂粉体を溶解除去することにより樹脂組成物皮膜によりコートされた金属顔料のみを取出し、その質量を測定することによって粉体塗料組成物中の金属顔料の含有量を算出する。
熱硬化性樹脂粉体と結着していない金属顔料の定量及び分離は、特開2004−175813号公報に記載されている遊離アルミニウムフレーク顔料の定量方法、分離方法により行うことができる。
【0075】
本発明の粉体塗料組成物に含まれる粉体塗料粒子の平均粒子径は、D50換算で100μm以下であることが好ましく、D50換算で10μm以上であることが好ましい。
【0076】
本発明の粉体塗料組成物は、被塗装物(基材)に対して塗布された後、加熱することにより塗膜を得ることができるものである。
本発明の粉体塗料組成物は、各種素材に対して適用することができるが、特にアルミニウムの塗装に好適である。具体的な形態としては、例えば、車体、事務用品、家庭用品、スポーツ用品、建築材料、電気製品等に利用され、中でも、アルミホイールの塗装に好適である。
【0077】
本発明の粉体塗料組成物を塗装する方法としては、あらかじめ塗装表面をブラスト処理後、化成処理等の公知の処理を施した上で粉体塗料組成物を付着させ、その後加熱硬化させることが好ましい。上記化成処理は、環境保護の面からノンクロメート処理であることが好ましく、ジルコニウム処理等を挙げることができる。本発明の粉体塗料組成物は、ジルコニウム処理を行ったアルミニウム表面との密着性にも優れるものである。
【0078】
本発明の粉体塗料組成物からなる塗膜は、プライマーを使用せずに単層を形成した場合でも、良好な密着性、保護機能、意匠性を有するため、塗装工程を短縮することができる。
【0079】
本発明の粉体塗料組成物を基材表面に塗布する方法としては、スプレー塗装法、流動浸漬法、静電粉体塗装法等の公知の方法を適用することができるが、静電粉体塗装法が塗着効率に優れ、好ましい。静電粉体塗装の方法としては、コロナ放電方式、摩擦帯電方式等が挙げられる。
【0080】
本発明の粉体塗料組成物を加熱硬化させる条件としては、硬化に関与する官能基及び硬化促進剤の量により異なるが、例えば、加熱温度は、100〜230℃が好ましく、より好ましくは140〜200℃であり、特に好ましくは、150〜170℃である。加熱時間は、加熱温度に応じて適宜設定することができるが、一般的には1分間以上、好ましくは5〜30分間とすればよい。また、本発明の粉体塗料組成物を塗布する際の塗装膜厚としては特に限定されないが、加熱により形成された塗膜の厚みが20〜200μmとなるように設定することが好ましい。
【0081】
本発明の粉体塗料組成物は、1コート1ベークからなる単層塗膜の形成に使用することもできるが、複層塗膜の形成に使用することもできる。特に、本発明の粉体塗料組成物によって形成された塗膜の上にクリヤー塗料組成物を塗装することによって、複層塗膜を形成する方法が好ましい。上記複層塗膜の形成は、2コート2ベーク、2コート1ベーク方式のいずれの方式においても好適に用いることができる。中でも、2コート1ベーク方式に特に好適に用いることができる。
【0082】
上記複層塗膜の形成方法において使用することができるクリヤー塗料組成物としては特に限定されず、溶剤系クリヤー塗料、水性クリヤー塗料、粉体クリヤー塗料等を使用することができる。中でも、ハイソリッドタイプ(HS)、粉体クリヤーが好ましい。
【0083】
本発明の粉体塗料組成物を使用して2コート1ベーク方式によって複層塗膜を形成する場合は、粉体塗料による塗装を行った後、プレヒートを行うことによって、粉体塗料によって形成された塗膜を平滑化させた後でクリヤー塗料を塗装することが好ましい。これによって、良好な外観を有する複層塗膜を形成することができる。上記プレヒートは、例えば、100〜200℃で行うことが好ましい。
【0084】
このような、(1)、上記粉体塗料組成物を塗装する工程(1−1)と、150〜170℃で硬化する工程(1−2)とを含むアルミホイールの塗装方法、(2)上記粉体塗料組成物を塗装する工程(2−1)、150〜170℃で硬化する工程(2−2)、工程(2−2)によって形成された硬化塗膜上にクリヤー塗料を塗装する工程(2−3)、及び、塗装したクリヤー塗料を硬化する工程(2−4)からなるアルミホイールの塗装方法、(3)上記粉体塗料組成物を塗装する工程(3−1)、工程(3−1)によって塗装された塗膜上にクリヤー塗料を塗装する工程(3−2)、及び、工程(3−1)及び(3−2)によって塗装された塗膜を150〜170℃で硬化する工程(3−3)からなるアルミホイールの塗装方法も、本発明の1つである。
【発明の効果】
【0085】
本発明の粉体塗料組成物及びアルミホイールの塗装方法は、上述の構成からなり、塗装作業性に優れ、ワンコートで優れた下地隠蔽性、防食性、意匠性を発現することができるため塗装工程を短縮することができ、かつ低温硬化性に優れるため特にアルミホイールメタリック意匠の製造に好適に用いることができるものであり、塗装工程を短縮することができるものである。
【実施例】
【0086】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0087】
<性能評価用アルミ処理板の作製>
アルミニウム合金(AC−4C)テストパネルを用いて、脱脂を行った後、水洗を行い、以下に示した条件で酸洗処理、水洗、化成処理、水洗、後処理を行い、乾燥した後、粉体塗装を行った。水洗は、水道水シャワーで行い、各工程は、全てディップ方式で処理を行った。乾燥は、電気乾燥機で120℃、25分間行った。
【0088】
(A)脱脂処理液:2%(質量/体積)サーフクリーナー53(日本ペイント社製)
処理温度:50℃、処理時間:3分
(B)酸洗処理処理液:3%(質量/体積)サーフクリーナー355A(日本ペイント社製;FeSO・7HO 0.81g/L、98%硫酸 12.1g/L、pH0.9)
処理温度:40℃、処理時間:3分
【0089】
(C)化成処理処理液:2.5%(質量/体積)アルサーフ501N−1(日本ペイント社製;リン酸ジルコニウム系処理剤;(NHZrF 0.12g/L、75%HPO 0.10g/L、55%HF 0.02g/L、42%HBF 0.16g/L、pH3.5)
処理温度:40℃、処理時間:45秒
【0090】
(D)後処理処理液:パワーニックス110F−2(日本ペイント社製;成分は、変成エポキシエマルション;不揮発分36質量%)を樹脂固形分が2質量%となるように水で希釈したもの。処理温度:25℃、処理時間:1分
【0091】
<粉体塗料の製造>
粉体塗料1
ファインディックM8962(大日本インキ化学工業社製、酸価33、軟化点112℃)100質量部と、ファインディックA241(大日本インキ化学工業社製、エポキシ基含有ビニル系重合体、エポキシ当量600、軟化点109℃)を5質量部と、エポトートYD−014(東都化成社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量950)5質量部と、プリミドXL552(EMS−PRIMD社製、β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤で下記式(2)で示される物質、水酸基当量84)5質量部と、アクロナール4F(BASF社製、アクリル重合体、Tgが−55℃、溶解性パラメータSPが9.3、数平均分子量が16500の表面調整剤)0.5質量部と、ベンゾイン1質量部と、タイペークCR−90(石原産業社製、ルチル型二酸化チタン顔料)65質量部を原料として、混合機スーパーミキサー(日本スピンドル社製)を用いて約3分間混合し、更に溶融混練機コニーダー(ブス社製)を用いて約110℃で溶融混練した。ここで、プリミドXL552は、以下の式(2)で示される物質である。
【0092】
【化3】

【0093】
その後、得られた溶融混練物を室温まで冷却した後、粉砕機アトマイザー(不二パウダル社製)を用いて粉砕し、得られた粉体を気流分級機DS−2型(日本ニューマチック工業社製)を用いて分級し、微小粒子と粗大粒子を除去することによって、粉体塗料組成物を得た。その平均粒子径は35μmであった。エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ基の当量数とエポキシ樹脂のエポキシ基の当量数との合計当量数と、β−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数との比は、0.23/1であり、エポキシ基含有ビニル系樹脂のエポキシ基の当量数とエポキシ樹脂のエポキシ基の当量数とβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤の水酸基の当量数との合計当量数と、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂のカルボキシル基の当量数との比は、1.24/1であった。
【0094】
粉体塗料2
上記粉体塗料1、50.0gと、樹脂コートアルミニウム粉であるPCF 7410B−K(東洋アルミニウム社製、アクリル酸/アクリル酸エステル/エポキシ化ポリブタジエン/ジビニルベンゼンを重合させて得られる樹脂組成物皮膜を有するアルミニウムフレーク顔料)5.0gをよくドライブレンドすることによりアルミフレーク含有粉体塗料を得た。
【0095】
粉体塗料3
上記粉体塗料1、50.0gと、樹脂コートアルミニウム粉であるPCF 7410B−K(東洋アルミニウム社製、アクリル酸/アクリル酸エステル/エポキシ化ポリブタジエン/ジビニルベンゼンを重合させて得られる樹脂組成物皮膜を有するアルミニウムフレーク顔料)5.0gと、をよくドライブレンドした後、高速ブレンダー(PHONIX社製、容量200ml密閉ガラス瓶型)にチャージした。
【0096】
次いで、粘着性を備えた結着剤としてテルペン・フェノール系水素添加系樹脂(ヤスハラケミカル社製、YS−ポリスターTH−130、数平均分子量800、軟化点130℃)2.0gをノルマルヘプタン(沸点98.4℃)21.1gに溶解させた。この溶液を上記ドライブレンドに添加し、薬匙で均一になるよう、よく混練した。混練を継続しながら約1時間自然乾燥させると粉塵が立つ粉体が得られた。
これを1リットルのナスフラスコに充填し、エバポレーターを用い、回転混合させながら、更に20分常温真空乾燥させた。試料を観察すると、ナスフラスコの中に凝集塊は存在しなかったので、特に粉砕は行わなかった。得られた粉体を目開き100μmのスクリーンに粉体塗料組成物を得た(収率:97.5%)。
【0097】
アルミニウムフレーク顔料含有量の測定方法、結着率(ボンディング率)の測定方法は特開2004−175813号公報記載の方法に従い算出し、粉体塗料3はアルミニウムフレーク顔料含有量は8.2%、結着率(ボンディング率)97.5%となった。
【0098】
実施例1
粉体塗料3は、コロナ放電式静電粉体塗装機(商品名「MXR−100VT−mini」、旭サナック社製)を用いて印加電圧80kVでブリキ板(30cm×40cm)及び表面処理アルミ板(製造例1)に塗装した。その後160℃で20分(被塗物保持時間)で焼き付けることにより塗板を作製した。
【0099】
得られた塗膜をローソリッド溶剤クリヤー塗料としてスーパーラック5000 AW−10(アクリル系溶剤型塗料、日本ペイント社製)、乾燥膜厚40μmとなるように1ステージ塗装し、7分間セッティングした後、140℃で20分間加熱し複層塗膜を作製した。
【0100】
実施例2
実施例1と同様の方法で粉体塗料を塗装、焼き付け乾燥を行った後、ハイソリッド溶剤クリヤー塗料としてO−1800Wクリアー(日本ペイント社製)を、乾燥膜厚40μmとなるように1ステージ塗装し、7分間セッティングした後、140℃で20分間加熱し複層塗膜を作製した。
【0101】
実施例3
実施例1と同様の方法で粉体塗料を塗装、焼き付け乾燥を行った後、粉体クリヤー塗料としてパウダックス A400WHクリアー塗料(日本ペイント社製)を、乾燥膜厚80μmとなるように塗装し、160℃で20分間加熱し複層塗膜を作製した。
【0102】
実施例4
実施例1と同様の方法で粉体塗料の塗装を行った後、160℃3分でプレヒートを行った。
得られた塗膜をローソリッド溶剤クリヤー塗料としてスーパーラック5000 AW−10(アクリル系溶剤型塗料、日本ペイント社製)を、乾燥膜厚40μmとなるように1ステージ塗装し、7分間セッティングした後、140℃で20分間加熱し複層塗膜を作製した。
【0103】
実施例5
実施例1と同様の方法で粉体塗料を塗装、160℃3分でプレヒートを行った後、ハイソリッド溶剤クリヤー塗料としてO−1800Wクリアー(日本ペイント社製)を、乾燥膜厚40μmとなるように1ステージ塗装し、7分間セッティングした後、140℃で20分間加熱し複層塗膜を作製した。
【0104】
実施例6
実施例1と同様の方法で粉体塗料を塗装、160℃3分でプレヒートを行った後、粉体クリヤー塗料としてパウダックス A400WHクリアー塗料(日本ペイント社製)を、乾燥膜厚80μmとなるように塗装し、160℃で20分間加熱し複層塗膜を作製した。
【0105】
比較例1
粉体塗料1は、コロナ放電式静電粉体塗装機(商品名「MXR−100VT−mini」旭サナック社製)を用いて印加電圧80kVでブリキ板(30cm×40cm)及び表面処理アルミ板(製造例1)に塗装した。その後160℃で20分(被塗物保持時間)で焼き付けることにより塗板を作製した。
【0106】
得られた塗膜にスーパーラックAS70 11SV−14(アクリル系溶剤型塗料、日本ペイント社製)を乾燥膜厚20μmとなるように塗装し、10分間セッティングした後、140℃で20分間加熱し、十分に室温まで冷却した後、ローソリッド溶剤クリヤー塗料としてスーパーラック5000 AW−10(アクリル系溶剤型塗料、日本ペイント社製)、乾燥膜厚40μmとなるように1ステージ塗装し、7分間セッティングした後、140℃で20分間加熱し複層塗膜を作製した。
【0107】
比較例2
粉体塗料2は、コロナ放電式静電粉体塗装機(商品名「MXR−100VT−mini」旭サナック社製)を用いて印加電圧80kVでブリキ板(30cm×40cm)及び表面処理アルミ板(製造例1)に塗装した。その後160℃で20分(被塗物保持時間)で焼き付けることにより塗板を作製した。
【0108】
得られた塗膜をローソリッド溶剤クリヤー塗料としてスーパーラック5000 AW−10(アクリル系溶剤型塗料、日本ペイント社製)、乾燥膜厚40μmとなるように1ステージ塗装し、7分間セッティングした後、140℃で20分間加熱し複層塗膜を作製した。
【0109】
輝度の評価はブリキ板の塗装された塗膜の輝度(β/α)及び目視により判定した。主に170以上を光輝感が高い塗膜として評価した。
またムラはブリキ板(30cm×40cm)全体を観察し、目視による評価を行った。
〇(良好):全体に均一で、アルミフレークの濃淡が観察されない
△(不良):アルミフレークは全体に塗布されているもののその意匠には濃淡が観察でき、黒っぽい部分と白っぽい部分が同一塗板内に観察される。
×(不良):明らかにアルミフレークが存在しない部分が観察でき、意匠の濃淡も特にひどいもの。
輝度及びムラの評価結果を表1に示す。
【0110】
<性能評価方法>
性能評価は全て表面処理を行ったアルミニウム合金(AC−4C)テストパネルに塗装したもので評価を行った。結果を表2に示した。
【0111】
密着試験
密着性試験各試験片の塗膜に、カッターにより1mmの間隔で縦横10本ずつの切れ目を入れ、その上にセロハンテープを貼付してはがし、100個のます目のうちの残存したます目をカウントした(碁盤目試験)。
【0112】
耐水試験
温水浸漬試験各試験片を60℃の温水中に72時間浸漬した後、24時間放置し、次いで上記密着試験と同じ碁盤目試験を行った。
【0113】
耐食試験
塩水噴霧試験各試験片の表面をカッターナイフによりクロスカットし、5質量%のNaCl水溶液を用いて、35℃で1200時間塩水噴霧を行い、24時間放置後カット部の周辺2mm以内における腐食の度合いを測定した。
○:塗膜のふくれ、錆等異常なし。
×:異常あり。
【0114】
耐候性試験
性試験各試験片に対して、サンシャインウエザオメータにより600時間暴露試験を行った。その後、50℃、相対湿度98%において240時間保持し、24時間放置した後で、碁盤目試験(1mm×1mmの碁盤目100個)を行い、各試験片について碁盤目の剥離及び変色を調べた。
○:外観に著しい変化がない。
×:異常あり。
【0115】
【表1】

【0116】
【表2】

【0117】
実施例の結果から明らかなように、本発明の粉体塗料組成物を用いると、2コート2ベーク、2コート1ベーク方式のいずれの方式においても、優れた意匠性を有し、かつ密着性、耐食性等の性能に優れる塗膜を形成することができた。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の粉体塗料組成物は、熱に弱いアルミホイール等の被塗物に対して、優れた意匠性を有する塗膜を形成するために使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体塗料粒子からなる粉体塗料組成物であって、
前記粉体塗料粒子は、金属顔料が結着剤によって結着されてなる熱硬化性樹脂粉体を少なくとも含有するものであり、
前記熱硬化性樹脂粉体は、下記一般式(1);
【化1】

(式中、Rは、水素原子、メチル基又はエチル基、Rは、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又はHOCH(R)CH−、Aは、2価の炭化水素基を表す。)で表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤を含有するものである
ことを特徴とする粉体塗料組成物。
【請求項2】
前記金属顔料は、前記熱硬化性樹脂粉体の表面に結着している請求項1記載の粉体塗料組成物。
【請求項3】
前記金属顔料は、フレーク状の金属顔料である請求項1又は2記載の粉体塗料組成物。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂粉体と前記金属顔料との結着率は、90〜100%である請求項1、2又は3記載の粉体塗料組成物。
【請求項5】
前記粉体塗料粒子の平均粒子径は、D50換算で100μm以下である請求項1、2、3又は4記載の粉体塗料組成物。
【請求項6】
前記結着剤は、数平均分子量が300〜2000であり、軟化点が30〜180℃である有機化合物である請求項1、2、3、4又は5記載の粉体塗料組成物。
【請求項7】
前記結着剤は、テルペン系樹脂、テルペン・フェノール系樹脂、テルペン系水素添加系樹脂及びテルペン・フェノール系水素添加系樹脂からなる群より選ばれる1種以上である請求項1、2、3、4、5又は6記載の粉体塗料組成物。
【請求項8】
平均粒子径が5〜50μmである請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の粉体塗料組成物。
【請求項9】
前記粉体塗料粒子は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂を含有する請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の粉体塗料組成物。
【請求項10】
前記粉体塗料粒子は、更に、エポキシ基含有ビニル系樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含有する請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の粉体塗料組成物。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の粉体塗料組成物を塗装する工程(1−1)と、150〜170℃で硬化する工程(1−2)とを含む
ことを特徴とするアルミホイールの塗装方法。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の粉体塗料組成物を塗装する工程(2−1)、150〜170℃で硬化する工程(2−2)、工程(2−2)によって形成された硬化塗膜上にクリヤー塗料を塗装する工程(2−3)、及び、塗装したクリヤー塗料を硬化する工程(2−4)からなる
ことを特徴とするアルミホイールの塗装方法。
【請求項13】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の粉体塗料組成物を塗装する工程(3−1)、工程(3−1)によって塗装された塗膜上にクリヤー塗料を塗装する工程(3−2)、及び、工程(3−1)及び(3−2)によって塗装された塗膜を150〜170℃で硬化する工程(3−3)からなる
ことを特徴とするアルミホイールの塗装方法。

【公開番号】特開2006−213771(P2006−213771A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−25492(P2005−25492)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】