説明

粉体廃プラスチックの処理方法

【課題】 処理困難な廃棄物である粉体廃プラスチックと、従来から知られている処理困難な廃棄物である汚泥とを組み合わせ、混合処理するに際し、粉体廃プラスチックと汚泥との最も効率的な混合が可能な混合率を解明すること、そしてこの混合率に基いて種々の粉体廃プラスチックと下水処理場汚泥等との均一混合法を提供し、この混合法によって処理された混合物を有効利用可能とする。
【解決手段】 密閉されたタンク内で多数の羽根を高速回転させ、密閉タンク内の被混合物を密閉タンクの内周面に沿って跳ね上げることによって、被混合物にネット状カーテンの飛散流を形成させるようにした混合機を使用して撹拌させることにより、汚泥中に粉体廃プラスチックを均一に分散させて混合物とすることにより粉体廃プラスチックを処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥中に粉体廃プラスチックの処理方法に関する。
【0002】
廃棄物処理の問題はますます重要性を増しているが、特に新技術の開発に伴って発生する粉体廃プラスチックが処理困難な廃棄物として注目されている。
【0003】
本発明はこのような処理困難な廃棄物である粉体廃プラスチックを、従来から処理困難な廃棄物である汚泥中に均一に分散させる方法を提供し、各々の特性を組み合わせることにより環境への影響の低減、処理作業の安全化、処理コストの低減、さらには燃料等としての利用をも可能にしようとするものである。
【背景技術】
【0004】
さて、粉体プラスチックは粉末成形用材料や塗装、印刷などの資材として用いられているが、その使用量が増加するのに伴って廃棄量も急増している。しかしその粉体としての特質である粉じんの発生が避けられず、廃プラスチック類の廃棄物処理として一般的に行われる焼却処理や埋立処分を行う際に大きな問題を引き起こしている。
【0005】
粉体プラスチックの廃棄物を処理する際に起こる主な問題としては以下のようなものがある。
1.焼却処理する場合の問題として、
(1)廃棄物として受入れから焼却炉への投入までの間に粉じんが発生し、これによる環境上の問題と作業員の労働衛生上の問題が発生すること、
(2)焼却炉内で爆発的に燃焼し、炉の損傷その他の問題を引き起こす場合があること、
(3)燃焼によるばいじんの発生が多く、排ガス処理機、廃熱ボイラーなどで詰まりを発生し通風障害を引き起こすこと、
(4)比重が小さいため、焼却炉に投入されると直ちに燃焼のための空気流によって移動し、未燃のままの状態で排ガス処理機や廃熱ボイラー内で蓄積し、通風を妨げること、
2.埋立処分する場合の問題として、
廃プラスチック類であれば通常は安定型埋立処分場に埋立処分をすることが可能であるが、粉体プラスチックの場合には、埋立時や覆土時に飛散し周囲を汚染するので極めて処理困難な廃棄物となっている。
【0006】
次に、汚泥処理については、汚泥の発生量が極めて大量であり、かつその性質も多様であるので、肥料などとして緑農地への利用、建設資材への利用、消化ガスによるエネルギーへの利用等さまざまな再資源化・再利用の方法が行われている。しかし再資源・再利用何れの方法にも適さないかなりの量の汚泥が焼却処理されている。
汚泥の焼却処理については、含有する水分のために一般的に保有する熱量が低いので効率的な焼却処理が困難である。
【0007】
さて、有機汚泥と酸化カルシウム等との効率的な撹拌を可能とする撹拌装置、及びこの撹拌装置を利用して有機汚泥を燃料又は有機肥料として取得できる処理方法は知られている(特許文献1)。
【0008】
この撹拌装置は、酸化カルシウム等と有機汚泥などとの微細な混合を可能とするものであるが、酸化カルシウム等と有機汚泥等との混合割合によっては、所期する効率的な混合は望めなかった。
【特許文献1】特開平11−128710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、処理困難な廃棄物である粉体廃プラスチックと、従来から知られている処理困難な廃棄物である汚泥とを組み合わせ、混合処理するに際し、粉体廃プラスチックと汚泥との最も効率的な混合が可能な混合率を解明すること、そしてこの混合率に基いて種々の粉体廃プラスチックと下水処理場汚泥等との均一混合法を提供し、この混合法によって処理された混合物を有効利用可能にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのため、本発明の粉体廃プラスチックの処理方法は、密閉されたタンク内で多数の羽根を高速回転させ、前記タンク内の被混合物を前記タンクの内周面に沿って跳ね上げることによって、被混合物にネット状カーテンの飛散流を形成させるようにした混合機を使用して撹拌させることにより、汚泥中に粉体廃プラスチックを均一に分散させて混合物とすることを特徴とする。
そして、前記汚泥が有機汚泥であり、前記粉体廃プラスチックとの混合率を重量比で前記有機汚泥100に対し粉体廃プラスチック約10〜20とするか、前記汚泥が下水処理場汚泥(含水率80〜83%)であり、前記粉体廃プラスチックが静電塗装用粉体塗料廃棄物(かさ比重約0.5g/cm)であって、その混合率を重量比で前記汚泥100に対し粉体廃プラスチック約10〜20とするか、前記粉体廃プラスチックが粉末成形用樹脂廃棄物(かさ比重0.3〜0.5g/cm)であり、前記汚泥が下水処理汚泥(含水率80〜83%)であって、その混合率を重量比で汚泥100に対し粉体廃プラスチックを約10〜20とするか、または前記粉体廃プラスチックが熱転写プリンタ用廃トナー(かさ比重約0.3g/cm)、汚泥が下水処理場汚泥と食品工場汚泥との混合物(含水率80〜83%)であって、その混合率を重量比で汚泥100に対し粉体廃プラスチック約10〜20とすることが好ましい。
また、上記粉体廃プラスチックの処理方法により製造された混合物を、含水率が10〜25%となるように熱乾燥してなる汚泥・粉体廃プラスチック混合物とすることが好ましい。
さらに、粉体廃プラスチックに代えて、小麦粉、粉石けん、紙粉、又は廃薬品等の粉体廃棄物とした粉体廃棄物の処理方法にも応用できる。
【発明の効果】
【0011】
密閉されたタンク内で多数の羽根を高速回転させ、タンク内の被混合物を前記タンクの内周面に沿って跳ね上げることによって、被混合物にネット状カーテンの飛散流を形成させるようにした混合機を使用したので、汚泥中に粉体廃プラスチックを均一に分散させて混合物とすることにより粉体廃プラスチックを効率的に処理できるようになった。
【0012】
また、汚泥又は有機汚泥と粉体廃プラスチックの混合率を重量比で汚泥100に対し粉体廃プラスチック約10〜20とすることにより、これらの方法で得られた混合物は、何れも焼却処理を行うに際し障害を発生することなく利用できる。
【0013】
さらに、上記処理方法によって得られた混合物を含水率10〜25%となるように熱乾燥することにより、粉体プラスチックの保有熱量を利用でき燃料として再利用することが可能となり、リサイクル燃料としての利用も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
さて、本発明方法の好ましい実施形態について以下説明する。
本発明は、産業廃棄物である汚泥と、この汚泥中に同じく産業廃棄物である粉体廃プラスチックを均一に分散させて混合物とすることを特徴とする粉体廃プラスチックの処理方法である。
【0015】
そして、この均一分散操作を、密閉されたタンク内で多数の羽根を高速回転させ、前記タンク内の被混合物をタンク内の内周面に沿って跳ね上げ交叉させることによって被混合物にネット状カーテンの飛散流を形成させるようにした混合装置を使用し、被混合物である汚泥の中に粉体廃プラスチックを均一に分散させる方法である。
【0016】
前記混合装置の一例を図を参照して説明する。
図1で(a)は混合装置の正面図、(b)は同じく左側面図である。20は横長の撹拌胴部である。この撹拌胴部20は下部の横長の半円筒形胴部20aと半円筒形胴部20aの上部にこれと一体に連る上部室20bとで構成されている。上部室20bは上方に向って稍先細になるようテ−パα≒5°(図6)が付されている。従って、撹拌胴部20は全体として図6に示す如く上部寸法Lが半円筒形胴部20aの直径Dよりやゝ小巾(L<D)の左右対称の縦断面略U字形をなしている。
【0017】
撹拌胴部20内には撹拌ブレ−ド22を取付ける回転軸21が水平に設けられている。回転軸21の取付位置は撹拌胴部20の垂直対称軸線上で、かつ半円筒形胴部20aの直径Dに相当する最大巾部より撹拌胴部20の直径の1/40(半径の1/20)程度の距離δ(図6)だけ下にずらした位置に設けられている。言い換えれば回転軸21の中心O′は半円筒形胴部20aの中心Oと半円筒形胴部の半径の1/20だけ下にδだけ偏心している。回転軸21は2段構成で(図3)、両端部の軸受部21aは断面真円、中間のブレ−ド取付部21bは断面略正方形で、正方形の隅角部は半径R(図3(b))で面取りされている。
【0018】
回転軸21には複数の撹拌ブレ−ド22が嵌挿されている。この撹拌ブレ−ド22は図2に示す如く板状の4枚のブレ−ド部22aと、回転軸21へ嵌挿して取付けるブレ−ド基部22bとで構成される。ブレ−ド基部22bは回転軸21への固定・着脱を容易にするため、回転軸21のブレ−ド取付部21bの断面形状(略正方形)と同一の挿入穴22c(図2・(a))を有している。ブレ−ド基部22bには前記ブレ−ド部22aを取付けるための6角形の差込口22d(図4(a))を有するソケット22eが4個あり、これらソケット22eは互に円周方向に90°宛離間し、かつ半径方向(放射方向)を向いている。
【0019】
ブレ−ド基部22bは図2に示す如く基本的には4種類で一組となし、これら4種類のブレ−ド基部22bを軸端から順に軸の中央部に向って組込み、これにブレ−ド部22aを取付けると、ブレ−ド部は螺旋状に整列する。それぞれのブレ−ド基部に取付けられたソケット22eは、円周方向へ22.5°宛異った角度で取付けられている(図2)。回転軸21に図2(a)〜(d)に示す4種類のソケット22eを順に嵌挿して取付けたならば、回転軸21の両端部に設けた左・右ねじ部21c,21d(図3(a))へ固定金具(図示しない)をねじ込んで両側から締付けることにより、回転軸21と複数のブレ−ド基部22bは相互に固定される。固定後にブレ−ド基部22bの6角形の差込口22dへ、下部取付部が6角形をなすブレ−ド部22aの下端部を差し込み、固定ピン(図示しない)によってブレ−ド部22aをソケット22eに対し固定すると、円周方向へブレ−ド部22aが22.5°宛順次ずれると共に、回転軸21の軸方向にも順次螺旋状に配列される。
【0020】
また、図5に示すように回転軸21を左右2分して左側と右側に同数の撹拌ブレ−ド22を配置している。処理物をスム−ズかつ確実に撹拌胴部20の端部から中央部へ向けて送るよう、左右の各撹拌ブレ−ド22のブレ−ド部22aはその板面が回転軸21の軸線に対し、互に反対向きに取付けられている(図5)。各ブレ−ド部22aはブレ−ド部22aの長さ方向に対し、2つ宛異ったブレ−ド角で取付けられている。
【0021】
図5と図6を参照して、回転軸21への撹拌ブレ−ド22の配列について説明する。回転軸21には、その中心より左側と右側に同数の撹拌ブレ−ド22が取付けられている。一番左側には、図2(a)に示した4枚のブレ−ド部1a〜1dを備えた撹拌ブレ−ドのブレ−ド基部22bが嵌挿されている。次に図2(b)に示した撹拌ブレ−ド即ちブレ−ド部2a〜2dを備え、各ブレ−ド部が22.5°宛ずれた図2(b)のものが嵌挿されている。3番目には図2(c)に示したブレ−ド部3a〜3dを備え、各ブレ−ド部が図2(b)よりさらに左向きに22.5°ずれたものが嵌挿されている。さらに4番目には図2(d)に示す如く、ブレ−ド部4a〜4dを備え、各ブレ−ド部が図2(c)よりさらに22.5°ずれたものが嵌挿されている。以下同様の角度関係を有する4個宛の撹拌ブレ−ドが中心に向って配列されている。
【0022】
ただし、ブレ−ド部のブレ−ド角は次の様になっている。図5に示すように左端の撹拌ブレ−ド(1)と2番目の撹拌ブレ−ド(2)のブレ−ド部1a〜4dと2a〜4dはブレ−ド角20°、3番目と4番目の撹拌ブレ−ドはブレ−ド角15°となっている。5番目と6番目の撹拌ブレ−ドはブレ−ド角10°、7番目と8番目の撹拌ブレ−ドはブレ−ド角5°となっている。これらの関係は回転軸中心より右側の撹拌ブレ−ド群1'a〜1'd,2'a〜2'd,3'a〜3'd,4'a〜4'dにおいても中心に向って同様の関係になっている。なおこのブレ−ド角はこれらに限定するものではなく、端部から漸減するものであればよい。
【0023】
再び図1と図2に戻り、23は半円筒形胴部20aの下部に設けた排出シュ−ト開閉シリンダで、これにより排出シュ−ト口24を開けて、撹拌混合物をベルトコンベヤ25上に排出する。26は上部室20bの側壁に設けた点検扉、27は覗き窓である。28は駆動用モ−タで、変速機29で減速して、回転軸21を回す。30はメインテナンスフランジで、これを着脱することにより、撹拌ブレ−ド22の保守作業が行われる。
【0024】
(作動)
1.図1で汚泥と粉体廃プラスチックは、別個に設けられた或いは一体型の計量器で所定量が計量された後、まず、汚泥が撹拌胴部20へ投入され、複数の撹拌ブレ−ド22の撹拌作用により、撹拌胴部20の半円筒形胴部20a内で細密な流動状態となる。図5で説明したように、個々の撹拌ブレ−ドには4枚のブレ−ド部が固定され、これらが回転軸21のまわりに回転する。又回転軸21の水平軸方向と円周両方向で異なった角度で、即ち円周方向にはブレ−ド部が22.5°宛順次ずれて配列されている上に、水平軸方向(軸方向)にブレ−ド角が順次20°,15°,10°,5°と漸減して変化しているので、撹拌ブレ−ド22は図7に示すように、回転軸21の中心位置を境にして左右それぞれ逆向きの4つの螺旋面を画いて作用する(図7の太線は各ブレ−ドの先端の軌跡を示す)。しかも2枚宛ブレ−ド角の漸減するブレ−ドによる前記螺旋面を画いての作用により、汚泥は図8に示すように放物線が無数に重った撹拌状態となる。さらに、回転軸21の中心O′と半円筒形胴部20aの中心Oとが偏心δしているので、撹拌ブレ−ドの先端と半円筒形胴部内面との間隔も一定でなく、これも撹拌作用に寄与し、複雑な撹拌作用が行われる。
2.汚泥が撹拌ブレ−ドによる螺旋撹拌作用により、半円筒形胴部内で細密な連続螺旋による混合と、ブレ−ドによって跳ね飛ばされた放物線の合成によるネット状飛散流となった時、前記所定計量の粉体廃プラスチックが投入され、前記螺旋ネット状飛散流化した汚泥と粉体廃プラスチックとが短時間にスム−ズに1次混合される。
【0025】
さて、上述した撹拌装置によって汚泥中に投入された粉体廃プラスチックは、ネット状カーテンの飛散流の交叉によって均一に分散混合される。
【0026】
従来知られている混合方法では、その比重差が大きいことから粉体廃プラスチックと汚泥中の水との相溶性が乏しいため均一な分散ができなかったが、本発明により、汚泥中に粉体廃プラスチックが均一に分散する。これにより、粉体廃プラスチック内に潜在する熱量を有効利用することが可能となる。
【0027】
また、汚泥中に粉体廃プラスチックを均一に分散させることにより、粉じんの発生、あるいは飛散現象を防ぐことができ、粉体廃プラスチックの処理時に生ずる障害を除去することができるようになった。
【0028】
以下に汚泥とこれに混入される粉体廃プラスチック及びこれらの種類並びに混合率を変えてそれぞれの分散状態について実施した実験結果について説明する。
【0029】
(実施例1)
被混合物の粉体廃プラスチックとして、静電塗装用粉体塗料廃棄物(かさ比重約0.5g/cm)を、また汚泥として下水処理場汚泥(含水率80〜83%)を用い、これらの混合率は重量比で汚泥100に対し粉体廃プラスチック10の割合で実験した。
【0030】
(実施例2)
この実験例においては被混合物である汚泥と粉体廃プラスチックは実施例1と同じであるが、混合率を重量比で汚泥100に対し粉体廃プラスチック15の割合で実験した。
【0031】
(実施例3)
本実施例においても、被混合物は実施例1と同様で、混合率を重量比で汚泥100に対し粉体廃プラスチック20とした。
【0032】
(実施例4)
本実施例においては、被混合物の粉体廃プラスチックが粉末成形用樹脂廃棄物(かさ比重0.3〜0.5g/cm)であり、汚泥が下水処理場汚泥(含水率80〜83%)であって、これらの混合率を重量比で汚泥100に対し粉体廃プラスチックを10とした。
【0033】
(実施例5)
本実施例においては、被混合物は実施例4と同じであるが、これらの混合率を重量比で汚泥100に対し、粉体廃プラスチックを15とした。
【0034】
(実施例6)
本実施例に於ては、被混合物は実施例5と全く同じであるが、これらの混合率を重量比で汚泥100に対し粉体廃プラスチックを20とした。
【0035】
(実施例7)
本実施例においては、粉体廃プラスチックを熱転写プリンタ用廃トナー(かさ比重0.3g/cm)とし、これを混合する汚泥は下水処理汚泥と食品工場汚泥との混合物であって、これらの混合率を重量比で汚泥100に対し粉体プラスチック20とした。
【0036】
なお、上記の実施例1〜実施例7において、粉体廃プラスチックの汚泥との混合割合の最大量は、粉体プラスチックのかさ比重にもよるが、汚泥(水分)との相溶性を加味した各粉体プラスチックの特質に左右される。
【0037】
そして、廃棄物処理の目的から粉体廃プラスチックの混合割合は、高いほど望ましいが、汚泥中に粉体プラスチックが安定的に分散することを条件とすると、上記実施例3、6、及び7は各粉体プラスチックについてのほぼ上限値であることが実験により判った。
【0038】
そして、上記実施例1〜7の混合物はいずれもよく分散混合し、粉体廃プラスチックが効果的に働き、混合物の焼却処理を行うにあたっての障害は全く発生しなかった。
【0039】
(実施例8)
この実施例は、粉体プラスチック混合物の熱乾燥物の製造方法についてのもので、上記実施例3、実施例5、実施例7の混合物に対し、含水率が10〜25%となるよう熱乾燥を行った。乾燥後の汚泥と粉体廃プラスチックとの混合物は、保有熱量が15〜25(MJ/kg)[3,500〜6,000(Kcal/kg)]あり、粉じん発生等の取り扱い上の問題も解決された。
この乾燥物はセメントキルンの補助燃料などとして再利用することが可能であり、リサイクル燃料として有価取引することが可能な製品となった。
【0040】
(実施例9)
この実施例は、プラスチック以外の粉体廃棄物への応用についてのもので、プラスチック以外の粉体廃棄物についても、焼却処理を行う際に起こる処理上の問題点は程度の差はあれ内容的には同じであることが判った。
【0041】
上記方法において、粉体廃プラスチックに代えて、小麦粉、粉石けん、紙粉、廃薬品(反応性のないもの)等の粉体廃棄物を使用しても、粉じんの発生等の処理上の問題を引き起こすことなく焼却処理することが可能であることが判った。そしてプラスチック以外の粉体廃棄物についても、焼却処理を行う際に起こる処理上の問題点は程度の差はあれ内容的には同じであることが判った。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明方法に使用する撹拌装置を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図。
【図2】撹拌ブレードの詳細図。
【図3】回転軸の詳細図。
【図4】ブレード取付基部の詳細図。
【図5】回転軸とブレードの配置図。
【図6】図5のA−A’矢視図。
【図7】撹拌ブレードの作動態様の説明図。
【図8】図7のA−A’矢視図。
【符号の説明】
【0043】
1a〜1d,2a〜2d,3a〜3d,4a〜4d (回転軸中心より片側に設けた)ブレード部
1'a〜1'd,2'a〜2'd,3'a〜3'd,4'a〜4'd (回転軸中心より他側に設けた)
ブレード部
20 撹拌胴部
20a 半円筒形胴部 20b 上部室
21 回転軸 21a 軸受
21b ブレード取付部 21c 左ねじ部
21d 右ねじ部 22 撹拌ブレード
22a ブレード部 22b ブレード基部
22c 挿入穴 22d 差込口
22e ソケット 23 排出シュート開閉シリンダ
24 排出シュート口 25 ベルトコンベヤ
26 点検扉 27 覗き窓
28 駆動用モータ 29 変速機
30 メインテナンスフランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉されたタンク内で多数の羽根を高速回転させ、前記タンク内の被混合物を前記タンクの内周面に沿って跳ね上げることによって、被混合物にネット状カーテンの飛散流を形成させるようにした混合機を使用して撹拌させることにより、汚泥中に粉体廃プラスチックを均一に分散させて混合物とすることを特徴とする粉体廃プラスチックの処理方法。
【請求項2】
前記汚泥が有機汚泥であり、前記粉体廃プラスチックとの混合率を重量比で前記有機汚泥100に対し粉体廃プラスチック約10〜20としたことを特徴とする請求項1記載の粉体廃プラスチックの処理方法。
【請求項3】
前記汚泥が下水処理汚泥(含水率80〜83%)であり、前記粉体廃プラスチックが静電塗装用粉体塗料廃棄物(かさ比重約0.5g/cm)であって、その混合率を重量比で前記汚泥100に対し粉体廃プラスチック約10〜20としたことを特徴とする請求項1記載の粉体廃プラスチックの処理方法。
【請求項4】
前記粉体廃プラスチックが粉末成形用樹脂廃棄物(かさ比重0.3〜0.5g/cm)であり、前記汚泥が下水処理汚泥(含水率80〜83%)であって、その混合率を重量比で汚泥100に対し粉体廃プラスチックを約10〜20としたことを特徴とする請求項1記載の粉体廃プラスチックの処理方法。
【請求項5】
前記粉体廃プラスチックが熱転写プリンタ用廃トナー(かさ比重約0.3g/cm)、汚泥が下水処理汚泥と食品工場汚泥との混合物(含水率80〜83%)であって、その混合率を重量比で汚泥100に対し粉体廃プラスチック約10〜20としたことを特徴とする請求項1記載の粉体廃プラスチックの処理方法。
【請求項6】
請求項1〜5にいずれかに記載の粉体廃プラスチックの処理方法により製造された混合物を、含水率が10〜25%となるように熱乾燥してなる汚泥・粉体廃プラスチック混合物。
【請求項7】
粉体廃プラスチックに代えて、小麦粉、粉石けん、紙粉、又は廃薬品等の粉体廃棄物としたことを特徴とする請求項1記載の粉体廃棄物の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−341535(P2006−341535A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170401(P2005−170401)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(591284003)株式会社エコ計画 (8)
【Fターム(参考)】