説明

粉体微量供給装置

【課題】空気搬送を用いて粉体の微量供給が可能な粉体微量供給装置を提供する。
【解決手段】粉体を貯留する貯留容器13と、下端が貯留容器13内に配置され、上端側が貯留容器13外に配置された粉体送給管40と、貯留容器13内に下方から圧縮空気を供給する第1圧縮空気供給手段と、粉体送給管の途中に圧縮空気を間欠的に供給する第2圧縮空気供給手段と、を備えており、第1,第2圧縮空気供給手段の作動によって貯留容器13内の粉体Pを粉体送給管40の下端から流入させて空気搬送し、被供給対象に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば数μmの粉体を微量ずつ被供給対象に供給する粉体微量供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末染料や顔料を噴射して塗装を行う分野や、粉体の化学薬剤や貴金属の調合や配合等を行う分野では、粉体を定量供給する供給装置が用いられている。この種の装置としては、例えば、スクリューフィーダーやテーブルフィーダーを用いたものや(特許文献1等)や、粉体を収容する容器を振動させて粉体を排出するもの(特許文献2等)等が公知である。
【特許文献1】特開2004―151118号公報
【特許文献2】特開2005―289632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように粉体を供給する装置は各種知られているが、いずれも微量の供給を行うのは困難である。例えば、スクリューフィーダーを用いた供給装置の場合、1時間あたり50〜100gの供給を行うものは現在でも市販されているが、数g/h乃至それ以下という微量で粉体を供給できる装置は見当たらない。
【0004】
また、上記のほかにも、空気搬送によって粉体を供給する装置も知られているが、微量の粉体を搬送するためには極細の粉体送給管が必要となり、管内で粉体の詰まりが生じ易くなる。また、微量供給するために、圧縮空気の流量を少なくしすぎると、粉体の搬送力不足で粉体が粉体送給管内で滞留しやすくなり、圧縮空気の流量を多くすると微量の供給が困難になる。
【0005】
本発明は、空気搬送を用いて粉体の微量供給が可能な粉体微量供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明の粉体微量供給装置は、粉体を貯留する貯留容器と、下端が前記貯留容器内に配置され、上端側が前記貯留容器外に配置された粉体送給管と、前記貯留容器内に下方から圧縮空気を供給する第1圧縮空気供給手段と、前記粉体送給管の途中に間欠的に圧縮空気を供給する第2圧縮空気供給手段と、を備えており、前記第1,第2圧縮空気供給手段の作動により、前記貯留容器内の粉体を前記粉体送給管内に下端から流入させて空気搬送し、被供給対象に供給するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の粉体微量供給装置は、前記第1圧縮空気供給手段が、前記貯留容器内の下方から間欠的に圧縮空気を供給するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の粉体微量供給装置は、前記粉体送給管の途中であって前記第2圧縮空気供給手段が圧縮空気を供給する位置よりも粉体搬送方向の上流側に連続的に圧縮空気を供給する、第3圧縮空気供給手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明の粉体微量供給装置は、前記第3圧縮空気供給手段が、前記粉体送給管の下端近傍に接続されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の粉体微量供給装置は、前記第1、第2圧縮空気供給手段による圧縮空気の供給流量が、前記第3圧縮空気供給手段による圧縮空気の供給流量よりも大きく設定されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の粉体微量供給装置は、前記第1圧縮空気供給手段と前記第2圧縮空気供給手段とが、圧縮空気を生成する共通の圧縮空気供給源と、該圧縮空気供給源に接続された共通の空気流動管と、該空気流動管に設けられ且つ間欠的に開閉する共通の開閉弁と、備えており、前記空気流動管が、前記開閉弁よりも空気流れ方向下流側で分岐するとともに、分岐した空気流動管の一方が前記貯留容器の下部に接続され、他方が前記粉体送給管の途中に接続されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の粉体微量供給装置は、前記粉体送給管の下端に、該下端の内径を絞る絞り部材が設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明の粉体微量供給装置は、前記第1圧縮空気供給手段が、前記貯留容器内の下方から連続的に一定流量の圧縮空気を供給するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の粉体微量供給装置は、前記貯留容器を振動させる振動機構を、更に備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明の粉体微量供給装置は、前記貯留容器が、空気の通過を許容するとともに粉体の通過を阻止する通気部材を内部に備え、該通気部材が、前記貯留容器内の粉体を下側から受けており、前記第1圧縮空気供給手段が、通気部材の下側から圧縮空気を供給するように構成されていることを特徴とする、請求項1記載の粉体微量供給装置。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、第1圧縮空気供給手段によって、粉体を粉体送給管の下端から流入させるとともに上方に搬送することができる。さらに、第2圧縮空気供給手段によって、粉体送給管内の粉体の搬送力を高めるとともに、粉体送給管内の粉体の希薄化及び均一化を図り、粉体を微量供給することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、第1圧縮空気供給手段によって、間欠的に圧縮空気を供給することによって、粉体を微量ずつ粉体送給管内に流入させるとともに、流動と停止とを繰り返し行うような運動を粉体にさせることによって、詰まりを防止しながら搬送することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、第3圧縮空気供給手段によって、粉体送給管内の粉体の流れをスムーズにし、間欠的に流入した粉体を分散させてより均一化、希薄化を図ることができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、粉体送給管の下端に粉体が流入した直後から、第3圧縮空気供給手段によって粉体を分散させ、粉体送給管の略全体にわたって粉体を詰まらせることなくスムーズに搬送することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、第1,第2圧縮空気供給手段による圧縮空気の供給流量を大きくすることで、粉体に瞬間的に大きな力を与えて粉体送給管への流入及び搬送を促進することができ、一方、この圧縮空気は間欠的であるので、粉体送給管内を流れる粉体を全体として微量とし、流速を下げることができる。逆に、第3圧縮空気供給手段による圧縮空気の供給流量を小さくすることで、粉体の流速を過度に高めることなく粉体を円滑に搬送することができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、第1圧縮空気供給手段と第2圧縮空気供給手段との間で、圧縮空気供給源、空気流動管、開閉弁を共用しているので、構造の簡素化及びコストダウンを図ることができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、絞り部材によって、粉体送給管の下端から多量の粉体が流入するのを防止することができ、さらに、絞り部材を通過したあとは内径が拡大するので、粉体の詰まりを防止することができる。
【0023】
請求項8の発明によれば、貯留容器内に連続的に圧縮空気を供給しているので、粉体を略一定量ずつ粉体送給管内に流入させることができる。
【0024】
請求項9の発明によれば、例えば、微量の粉体を粉体送給管に流入させるため、第1圧縮空気供給手段により供給する圧縮空気量を少なくし、それによって、粉体容器内の粉体の流動化が不十分になったとしても、振動機構によって貯留容器を振動させることで、貯留容器内で粉体が偏って減少することが少なくなる。
【0025】
請求項10の発明によれば、第1圧縮空気供給手段によって通気部材上の粉体に略均一に圧縮空気を供給することができ、該粉体が貯留容器内で凝集したり閉塞したりすることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の実施形態にかかる粉体微量供給装置11の全体斜視図である。供給装置11は、装置本体12の上部に粉体を貯留可能な貯留容器13を備えている。装置本体12は、アングル材等の複数の枠材14を互いに接合することによって略立方体の枠形状に形成されており、前面には計器パネル15を備えている。計器パネル15には、圧力計16やフローメータ17、タイマー18等が設けられている。装置本体12の下部には、ストッパー付きの可搬車輪19が設けられている。貯留容器13は、装置本体12の上面に設けられた基板20上に固定されている。
【0027】
図2は、貯留容器13の縦断面図であり、該貯留容器13は、上下端部にフランジ部30,33を突出した円筒形状の容器本体22と、容器本体22の上部開口を閉鎖する蓋体23と、容器本体22の下部開口を閉鎖する覆板24と、容器本体22内の覆板24のやや上側に配置された通気部材25と、を備えている。
【0028】
容器本体22は、ステンレス等の金属によって、全高が約80mm、胴部の外径が約60mmに形成されている。また、容器本体22は、上から順に、上側筒部27と、下側筒部28と、漏斗部29とを上下方向に接合することによって構成されている。上側筒部27は、円筒形に形成されており、上端外周部に径方向外方に突出するフランジ部30を備えている。下側筒部28は、上側筒部27よりもやや大径の円筒形に形成されており、下側筒部28と上側筒部27との間には、両者の径の違いを吸収する接合リング31が介在されている。
【0029】
漏斗部29は、上部内面29aが、下方にいくに従って内径が小さくなるように傾斜する円錐状に形成され、下部内面29bが、上部内面29aの最小内径よりも大径の円筒状に形成され、上部内面29aと下部内面29bとの間には段部29cが形成されている。上部内面29aの傾斜角度は約45°である。漏斗部29の下端外周部には、径方向外方に突出するフランジ部33が形成されている。フランジ部33は、装置本体12の基板20上に載せられた状態で、該基板20にボルト34によって固定されている。
【0030】
覆板24は、平面視円形状の板材であり、その外周部がボルト35を介して漏斗部29の下面に固定されている。この覆板24を取り付けた部分には、基板20に開口20aが形成されている。覆板24には、容器本体22の中心線上に、後述する第1空気流動管41が接続されている。
【0031】
通気部材25は、リング状の支持枠25aの内側に設けられ、空気の通過は許容するが、容器本体22内の粉体Pの通過を阻止するものとなっている。支持枠25aは、覆板24と段部29cとの間にOリング36を介して挟持されている。この通気部材25としては、例えば、複数の焼結金網を重ね合わせて結合したものを用いることができる。
【0032】
蓋体23は、容器本体22の上端部のフランジ部30と略同じ外径を有する平面視円盤状に形成されており、容器本体22の上面と蓋体23の下面との間にシール部材37を介在させた状態で、クランプ具38によって容器本体22に固定されている。
【0033】
蓋体23には、粉体送給管40と第3空気流動管43とが一体的に固着されている。粉体送給管40は、ステンレス等の直線状のパイプ材により形成され、上下方向に向けて配置されるとともに、蓋体23の中心を上下方向に貫通している。粉体送給管40の下端部は、容器本体22内の下部、具体的には、漏斗部29の上部内面29aの領域に、通気部材25から上方に間隔をあけて配置されている。また、粉体送給管40の下端部は、第1空気流動管41に対向している。
【0034】
粉体送給管40の下端部には、粉体送給管40の内径を絞る絞り部材45が設けられている。粉体送給管40の上端部は、蓋体23から上方に突出している。粉体送給管40は、例えば内径が約4mm、長さが140mmとされ、絞り部材45の内径は、粉体送給管40の約半分の約2mmとされている。
【0035】
図1に示すように、粉体送給管40の途中にはT字状の継手管46を介して第2空気流動管42が接続されている。
【0036】
図2に示すように、第3空気流動管43は、粉体送給管40に並行して配置されており、上部管47と下部管48とを有している。下部管48は、上端が蓋体23に固定され、蓋体23から下方へ垂直に延びると共に、下端部が約90°曲がって粉体送給管40の下端近傍に接続されている。上部管47は、下端が蓋体23に固定され、蓋体23から上方へ垂直に延びており、上部管47と下部管48とは蓋体23を介して互いに連通している。上部管47は、粉体送給管40と同じ内径であり、下部管48は、上部管47よりも細く、例えば内径を約2mmとすることができる。
【0037】
図3は、供給装置11の概略図である。供給装置11は、圧縮空気を生成するブロワやコンプレッサ等の圧縮空気供給源50を備えている。圧縮空気供給源50には、主空気流動管51が接続され、主空気流動管51には、2つの副空気流動管52,53と圧力計57とが接続されている。双方の副空気流動管52,53には、それぞれフローメータ17,17と流量調整弁54が設けられており、各管52,53を流れる空気流量が調整可能とされている。
【0038】
一方の副空気流動管53の途中には、ソレノイド弁等の開閉弁55が設けられ、さらにその下流側は、前記第1,第2の空気流動管41,42に分岐されている。前述した通り、第1空気流動管41は貯留容器13の下部に接続され、第2空気流動管42は粉体送給管40の途中に接続されている。
【0039】
貯留容器13の蓋体23には、貯留容器13内の圧力を計測する圧力計56が設けられている。前記開閉弁55は、タイマー18によって所定のタイミングで開閉するようになっている。
【0040】
ここで、圧縮空気供給源50、主空気流動管51、副空気流動管53、開閉弁55、及び第1空気流動管41等により第1圧縮空気供給手段が構成され、圧縮空気供給源50、主空気流動管51、副空気流動管53、開閉弁55、及び第2空気流動管42等により第2圧縮空気供給手段が構成され、圧縮空気供給源50、主空気流動管51、副空気流動管52、及び第3空気流動管43等により第3圧縮空気供給手段が構成されている。
【0041】
<本実施形態の作用効果>
次に、上記構成を有する粉体供給装置11の作用効果について説明する。
図3に示すように、貯留容器13には、粉体Pが通気部材25上に載った状態で貯留されている。粉体送給管40の下端部は粉体P内に配置され、粉体P内で下向きに開口している。そして、圧縮空気供給源50を作動し、流量調整弁54で流量を調整しながら双方の副空気流動管52,53に圧縮空気を送る。
【0042】
一方の副空気流動管53を流れる圧縮空気は、タイマー18により設定されたタイミングで開閉する開閉弁55により、間欠的に第1,第2空気流動管41,42に流入する。このタイミングは、例えば、約0.4秒間隔とすることができる。第1空気流動管41を流れる間欠的な圧縮空気は、貯留容器13の下端から通気部材25を通過して、通気部材25上の粉体Pを間欠的に押し上げるように作用する。この作用で、粉体Pは、粉体送給管40内に下端から微量だけ入り込み、上方への間欠的な搬送力が与えられる。
【0043】
この際、仮に、圧縮空気を連続的に通気部材25の下側から送ったとすると、粉体送給管40内には連続的に粉体Pが流入し、細い粉体送給管40内が詰まる可能性が高くなるが、間欠的に圧縮空気を通気部材25の下側から送ることによって、粉体を微量ずつ粉体送給管40内に流入させるとともに、流動と停止とを繰り返し行うような運動を粉体にさせることによって、詰まりを防止しながら搬送することができる。
【0044】
なお、粉体送給管40の下端には絞り部材45(図2)が設けられ、該絞り部材45によって内径が絞られているので、粉体送給管40内に微量の粉体Pだけを流入させることができ、かつ、絞り部材45を通過した後は内径が大きくなるので、粉体Pの詰まりを防止することができる。
【0045】
第2空気流動管42から粉体送給管40に送られた間欠的な圧縮空気は、粉体送給管40内の粉体Pに更なる搬送力を与えるとともに、粉体送給管40内の粉体濃度を均一化、希薄化する。
【0046】
他方の副空気流動管52から連続的に送られた圧縮空気は、第3空気流動管43に上端部から流入して下方に流れ、粉体送給管40内に下部から流入する。粉体送給管40の下端部は粉体Pによって塞がれているので、圧縮空気は、矢印aで示すように粉体送給管40内を上方へ流れる。この上方への流れによって粉体送給管40内の粉体Pがよりスムーズに上方に搬送され、粉体送給管40内の粉体濃度がより希薄化及び均一化される。
【0047】
また、第3空気流動管43は、粉体送給管40の下端近傍に接続されているので、第3空気流動管43からの圧縮空気による作用を粉体送給管40の略全体にわたって与えることができる。
【0048】
粉体送給管40内を通って搬送される粉体Pは、粉体送給管40の終端(粉体送給管40にホース等が接続されている場合にはその終端)から極めて薄い煙状となって排出される。従って、粉体Pを極微量ずつ被供給箇所に供給できることになる。上記供給装置11の供給量は、粉体の種類にもよるが、例えば、1時間あたり数μg〜数gとすることが可能である。
【0049】
なお、第3空気流動管43の空気流量は、第1、第2空気流動管41,42の空気流量よりも小さく設定されている。例えば、第3空気流動管43に接続された一方の副空気流動管52には、約1L/minの流量で圧縮空気が送られ、第1,第2空気流動管41,42に接続される他方の副空気流動管53には、一方の副空気流動管52よりも多い約2〜3L/minの流量で圧縮空気が送られている。
【0050】
これによって、第1,第2空気流動管41,42の圧縮空気で粉体に瞬間的に大きな力を与え、粉体送給管40への流入及び搬送を促進することができる。その一方、この圧縮空気は間欠的であるので、粉体送給管40内を流れる粉体を全体として微量とし、流速を下げることができる。第3空気流動管43による圧縮空気の供給流量を小さくすることで、流速を過度に高めることなく粉体Pを円滑に搬送することができる。
【0051】
<その他の作用効果>
(1)粉体送給管40は、直線状のパイプ材により形成され、上下方向に向けて配置されているので、簡単な構造で、貯留容器13内の下部に粉体送給管40の下端を適切に配置することができる。
【0052】
(2)粉体送給管40や第3空気流動管43は、蓋体23に一体的に固着されているので、貯留容器13から蓋体23を取り外すことで、同時に粉体送給管40や第3空気流動管43を貯留容器13から抜き取ることができる。したがって、貯留容器13への粉体Pの補充作業等を簡単に行うことができる。
【0053】
(3)粉体送給管40と第3空気流動管43は、貯留容器13の蓋体23から上方に突出しているので、粉体送給管40に対する第2空気流動管42やその他のホース等の接続や、第3空気流動管43に対する副空気流動管52の接続等を容易に行うことができる。
【0054】
(4)図1に示すように、空気流動管等の配管は、大半が装置本体12の枠内に配置されており、これによって、供給装置11をコンパクトに構成することができる。また、装置本体12を枠形状とすることによって内部の配管作業を容易に行うことができる。
【0055】
(5)第1〜第3空気流動管41〜43への圧縮空気は、共通の圧縮空気供給源50によって生成されるものであり、更に、第1,第2空気流動管41,42への間欠的な圧縮空気は、共通の開閉弁55によって生成されるものである。したがって、それぞれ各空気流動管41〜43について、圧縮空気供給源50や開閉弁55を個別に備える場合に比べて装置の簡素化及びコスト減を図ることができる。
【0056】
(6)上記供給装置11は、貯留容器13から下方に粉体を排出するのではなく、貯留容器13内の下部から粉体送給管40を介して上方に粉体を排出するものであるので、貯留容器13内の下部で粉体Pの詰まりが生じたり、ブリッジ減少が生じたりすることを防止することができる。
【0057】
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態にかかる粉体微量供給装置11の概略図である。本実施形態では、第3空気流動管43を、貯留容器13の上部からではなく、側部から突出している。また、第2空気流動管42を、貯留容器13内で粉体送給管40の途中に接続している。その他の構成は第1実施形態と同じであり、第1実施形態と略同様の作用効果を奏する。
【0058】
〔第3実施形態〕
図5は、本発明の第3実施形態にかかる粉体微量供給装置11の概略図、図6は、第3実施形態の貯留容器13の縦断面図である。本実施形態では、上記第1実施形態における、第3圧縮空気供給手段(第3空気流動管43)を省略し、新たに振動機構60を加えたものとなっている。また、第1空気流動管41には、略一定流量の圧縮空気が連続的に供給され、貯留容器13の構造も若干異なるものとなっている。以下、詳細について説明する。
【0059】
図6に示すように、貯留容器13は、第1実施形態と同様に、上下端部にフランジ部30、33を突出した円筒形状の容器本体22と、容器本体22の上部開口を閉鎖する蓋体23と、容器本体22の下部開口を閉鎖する覆板24と、容器本体17内の覆板24のやや上側に配置された通気部材25と、を備えている。しかしながら、容器本体22は、図2に示したような上側筒部27、下側筒部28及び接合リング31を備えておらず、これらに代えて、上端にフランジ部30を設けた単一の筒部26を備えており、該筒部26の下端部に漏斗部29が接合されている。
【0060】
また、蓋体23には、図2で示したような第3空気流動管43はなく、粉体送給管40のみが固着されている。その他の貯留容器13の構成は、第1実施形態(図2)と同様である。
【0061】
貯留容器13は、図1に示した装置本体12上に設けられるのではなく、振動機構60上(図5)に設けられている。具体的には、貯留容器13のフランジ部33は、振動機構60の基板63上に載せられた状態で、該基板63にボルト34固定されている。基板63には、開口63aが形成され、該開口63a内に覆板24が配置されている。
【0062】
本実施形態の粉体送給管40は、例えば、内径が約2mmとされており、第1実施形態よりも細いものが用いられている。粉体送給管40の下端部には、図2に示したような絞り部材45は設けられていない(但し、設けることもできる)。粉体送給管40の下端部は、粉体P内に配置されている。粉体送給管40の蓋体23よりも上側には、T字形状の継手管46を介して第2空気流動管42が接続されている。
【0063】
図5に示すように、圧縮空気供給源50には、主空気流動管51が接続され、主空気流動管51には、エアチャンバー49を介して副空気流動管52,53と圧力計57とが接続されている。各副空気流動管52,53には、それぞれフローメータ17と流量調整弁54とが設けられ、各管52,53を流れる空気流量が調整可能とされている。
【0064】
一方の副空気流動管53は、そのまま第1空気流動管41として貯留容器13の下部に接続されている。他方の空気流動管52には、タイマー18によって間欠的に開閉する開閉弁55が設けられ、その下流側に第2空気流動管42が接続されている。貯留容器13の蓋体23には、貯留容器13内の圧力を計測する圧力計56が設けられている。
【0065】
ここで、本実施形態では、圧縮空気供給源50、主空気流動管51、エアチャンバー49、副空気流動管53、第1空気流動管41等により第1圧縮空気供給手段が構成され、圧縮空気供給源50、主空気流動管51、エアチャンバー49、副空気流動管52、第2空気流動管42、開閉弁55等により第2圧縮空気供給手段が構成されている。
【0066】
第1,第2空気流動管41,42には、略同じ流量、例えば、約0.3〜3L/minの圧縮空気が流動するようになっている。しかし、第1空気流動管41には、連続的に一定流量の圧縮空気が流れるのに対して、第2空気流動管42には、開閉弁55によって間欠的に圧縮空気が流れるようになっている。また、第1,第2空気流動管41,42は、略同じ内径(例えば、約2mm)のものが用いられている。
【0067】
図5に示すように、振動機構60は、本体部61と、該本体部61を下側から弾性的に支持する弾性支持部62と、基板63と、該基板63を振動させる振動発生部64とを有する。弾性支持部62は、本体部61の底面から下方に延びる複数本の脚部65によって構成され、該脚部65は、圧縮コイルバネによって構成されている。基板63は、水平方向に延びる上部と、上部から斜め下方に傾斜して延びる下部とによって、略への字形状に形成されている。基板63の上部には、貯留容器13が連結され、基板63の下端は、本体部61の一側部にボルト等によって固定されている。
【0068】
振動発生部64は、電磁石64aのコイルに間欠的に(例えば、1秒間に数回〜数十回)電流を流すことによって、基板63を間欠的に吸着し、該基板63を矢印aで示すように振動させる。これによって、該基板63に取り付けた貯留容器13を共に振動させるようになっている。
【0069】
<第3実施形態の作用効果>
圧縮空気供給源50を作動し、流量調整弁54で流量を調整しながら副空気流動管52,53に圧縮空気を送り、更に、第1空気流動管41には、連続的に一定流量の圧縮空気を流動し、第2空気流動管42には、タイマー18により設定されたタイミングで開閉する開閉弁55によって間欠的に圧縮空気を流動する。
【0070】
第1空気流動管41を流れる圧縮空気は、貯留容器13内の粉体Pを流動化(浮遊懸濁化)させるとともに押し上げて、粉体送給管40内に微量だけ流入させ、空気搬送する。この際、第1実施形態では、第1空気流動管41から間欠的に圧縮空気を送っていたので、粉体送給管40内に流入する粉体Pに濃淡が生じ易くなっていたが、本実施形態では、連続的に圧縮空気を送っているので、このような濃淡は生じ難く、略均一に粉体送給管40内に粉体Pを流入することができる。
【0071】
第2空気流動管42から粉体送給管40に送られた間欠的な圧縮空気は、第1実施形態と同様に、粉体送給管40内の粉体Pに更なる搬送力を与えると共に、粉体送給管40内の粉体濃度をより希薄化する。
【0072】
ところで、先に説明した第1実施形態では、第1空気流動管41から間欠的に圧縮空気を送ることで、粉体送給管40内への粉体Pの詰まりを防止していたが、本実施形態では、第1空気流動管41から連続的に圧縮空気を送っているので、逆に、詰まりが生じ易くなる可能性がある。したがって、粉体送給管40に詰まりが生じるような場合には、空気流量をより少なくする必要がある。
【0073】
しかし、第1空気流動管41への空気流量を少なくすると、貯留容器13内の粉体Pが十分に流動化しなくなり、貯留容器13内に貯留された粉体Pが貯留容器13の中央側から減少し、内壁近傍に偏った状態で残り、完全に排出できなくなってしまう可能性が高くなる。
【0074】
そこで、本実施形態では、粉体Pの搬送を行っている間、振動機構60を同時に作動するようにしており、これによって貯留容器13を振動させ、該容器13内の粉体Pにも振動を与えて、粉体Pを偏りがないように均平化し、貯留容器13内の粉体Pを完全に排出できるようにしているのである。
【0075】
換言すると、本実施形態のような振動機構60を備えることで、第1空気流動管41から供給する圧縮空気の流量をより少なくして粉体送給管40の詰まりを防止したとしても、貯留容器13内の粉体Pの偏りを防止することができる。
【0076】
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更可能である。例えば、空気流動管41〜43を流れる空気流量、開閉弁55の開閉タイミング、貯留容器13や粉体送給管40、空気流動管41〜43の寸法等は、単なる1例を示すものであって、本発明を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の供給装置は、例えば、塗装やデザイン画の作成のため、粉末顔料(塗料)を噴射供給するのに用いたり、薬剤等を化学反応させるため、微粉状の添加剤や触媒を噴射供給するのに用いたりすることができる。また、他の用途として、溶融金属シリコンを滴下して球状シリコンを生成する装置で、球状シリコンの固化を促進するため、装置内に粉末状シリコンを吹き込むのに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる粉体供給装置の全体斜視図である。
【図2】貯留容器の縦断面図である。
【図3】粉体供給装置の概略図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる粉体供給装置の概略図である。
【図5】本発明の第3実施形態にかかる粉体供給装置の概略図である。
【図6】貯留容器の縦断面図である。
【符号の説明】
【0079】
11 粉体供給装置
13 貯留容器
40 粉体送給管
41 第1空気流動管
42 第2空気流動管
43 第3空気流動管
50 圧縮空気供給源
55 開閉弁
60 振動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を貯留する貯留容器と、下端が前記貯留容器内に配置され、上端側が前記貯留容器外に配置された粉体送給管と、前記貯留容器内に下方から圧縮空気を供給する第1圧縮空気供給手段と、前記粉体送給管の途中に間欠的に圧縮空気を供給する第2圧縮空気供給手段と、を備えており、
前記第1,第2圧縮空気供給手段の作動により、前記貯留容器内の粉体を前記粉体送給管内に下端から流入させて空気搬送し、被供給対象に供給するように構成されていることを特徴とする、粉体微量供給装置。
【請求項2】
前記第1圧縮空気供給手段が、前記貯留容器内の下方から間欠的に圧縮空気を供給するように構成されていることを特徴とする、請求項1記載の粉体微量供給装置。
【請求項3】
前記粉体送給管の途中であって前記第2圧縮空気供給手段が圧縮空気を供給する位置よりも粉体搬送方向の上流側に連続的に圧縮空気を供給する、第3圧縮空気供給手段を備えていることを特徴とする、請求項2記載の粉体微量供給装置。
【請求項4】
前記第3圧縮空気供給手段が、前記粉体送給管の下端近傍に接続されていることを特徴とする、請求項3記載の粉体微量供給装置。
【請求項5】
前記第1、第2圧縮空気供給手段による圧縮空気の供給流量が、前記第3圧縮空気供給手段による圧縮空気の供給流量よりも大きく設定されていることを特徴とする、請求項3記載の粉体微量供給装置。
【請求項6】
前記第1圧縮空気供給手段と前記第2圧縮空気供給手段とが、圧縮空気を生成する共通の圧縮空気供給源と、該圧縮空気供給源に接続された共通の空気流動管と、該空気流動管に設けられ且つ間欠的に開閉する共通の開閉弁と、備えており、前記空気流動管が、前記開閉弁よりも空気流れ方向下流側で分岐するとともに、分岐した空気流動管の一方が前記貯留容器の下部に接続され、他方が前記粉体送給管の途中に接続されていることを特徴とする、請求項2記載の粉体微量供給装置。
【請求項7】
前記粉体送給管の下端には、該下端の内径を絞る絞り部材が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の粉体微量供給装置。
【請求項8】
前記第1圧縮空気供給手段が、前記貯留容器内の下方から連続的に一定流量の圧縮空気を供給するように構成されていることを特徴とする、請求項1記載の粉体微量供給装置。
【請求項9】
前記貯留容器を振動させる振動機構を、更に備えていることを特徴とする、請求項8記載の粉体微量供給装置。
【請求項10】
前記貯留容器は、空気の通過を許容するとともに粉体の通過を阻止する通気部材を内部に備え、該通気部材は、前記貯留容器内の粉体を下側から受けており、
前記第1圧縮空気供給手段が、通気部材の下側から圧縮空気を供給するように構成されていることを特徴とする、請求項1記載の粉体微量供給装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−261807(P2007−261807A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227592(P2006−227592)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000004732)株式会社日本アルミ (64)
【Fターム(参考)】