説明

粉体散布装置における粉塵飛散防止装置

【課題】水量を極力抑え、通常の風では煽られる虞がなく、隙間のないミストカーテンを噴霧形成して粉塵飛散を効果的に抑えることができる粉体散布装置における粉塵飛散防止装置を提供する。
【解決手段】下方の散布口からセメント等の粉末状固化材を散布するホッパーの該散布口の周囲上方にリング状ノズル管を設け、該リング状ノズル管に多数の噴霧ノズルを略下方に向けて取り付け配置するとともに、これらの噴霧ノズルから上記散布口の周囲に隙間なく円筒状のミストカーテンを噴霧形成せしめて、該散布口から落下する粉塵の飛散を防止するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメントなどの粉末状固化材を改良地表面に散布するための粉体散布装置における粉塵飛散防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の粉体散布装置における粉塵飛散防止装置としては、地表部を自在に移動する散布及び攪拌混合機械に噴射ノズルを設け、地表部の散布及び攪拌混合部位を噴射ノズルから放射状に散水して形成されるドーム状のウォーターカーテンでほぼ密閉状に覆いつつ、地表部に固化材などの粉体を散布すると共にその地表部を攪拌混合するものがあった。(例えば、特許文献1参照)
また従来、ダストを落下させるダスト排出シュート下端外周に、ウオーターカーテンを形成させるための水噴射孔を多数穿設したリングノズルを設置して成るダストの払い出し装置があった。(例えば、特許文献2参照)
【0003】
しかし、上記従来の噴射ノズルや噴射孔によるウォーターカーテンは、水の使用量が多いだけでなく、粉塵の飛散を効果的に防止することが出来ない等の問題点があった。
【特許文献1】特開平7−150547号公報
【特許文献2】実開昭62−43688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、噴霧ノズルを効果的に配置することにより水量を極力抑えたミストカーテンを形成するとともに、通常の風では煽られる虞がなく、隙間のないミストカーテンを噴霧形成して粉塵飛散を効果的に抑えることができる粉体散布装置における粉塵飛散防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の粉体散布装置における粉塵飛散防止装置は、下方の散布口からセメント等の粉末状固化材を散布するホッパーの該散布口の周囲上方にリング状ノズル管を設け、該リング状ノズル管に多数の噴霧ノズルを略下方に向けて取り付け配置するとともに、これらの噴霧ノズルから上記散布口の周囲に隙間なく円筒状のミストカーテンを噴霧形成せしめて、該散布口から落下する粉塵の飛散を防止するように構成したことを特徴とする。また、上記噴霧ノズルが、主としてノズル本体と、圧搾空気供給口と、高圧水供給口、混合ステムと、ノズルオリフィスから構成され、高圧で供給される圧搾空気に高圧水を混合してミストを噴射するように構成されることを特徴とする。さらに、上記複数の噴霧ノズルが、扇状噴霧を噴出する扇状噴霧ノズルと、円錐状噴霧を噴出する円錐状噴霧ノズルから構成され、これらの扇状噴霧ノズルと円錐状噴霧ノズルを交互に配設して、円筒状のミストカーテンを噴霧形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の粉体散布装置における粉塵飛散防止装置は、噴霧ノズルを効果的に配置することにより水量を極力抑えると共に、通常の風では煽られる虞がなく、隙間のない密閉したミストカーテンを噴霧形成して、粉塵飛散を効果的に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明装置の一実施例を示す正面図、図2はその下面図である。図1及び図2において、1は本体フレーム、及び、2は下方に円錐状下部2aと該円錐状下部2aの下端に散布口2bを有するホパーであって、これら本体フレーム1及びホッパー2により粉体散布装置を構成する。
【0008】
上記本体フレーム1は、バックホー(図示せず)などの走行装置のアーム部に吊り下げられて、上記粉体散布装置を改良路盤などの散布面上を移動でするようにしている。
【0009】
上記ホパー2内には、セメント等の固化材などの粉体が圧送用高圧空気と共に圧送されて、該圧送用高圧空気から粉体が分離され、上記散布口2bから散布面上に落下するようになっている。2cは、上記ホパー2の上部に粉体を供給する供給パイプであって、圧送用高圧空気により送られる粉体がホパー2内でサイクロン(渦巻)流となるように円周方向に配向されている。
【0010】
3はリング状ノズル管であって、多数の噴霧ノズル4を略下方に向けて取り付け配置すると共に、該噴霧ノズル4に供給する水を送るようになっている。
【0011】
図3は、上記噴霧ノズル4の拡大断面図であって、主としてノズル本体4aと、圧搾空気供給口4bと、高圧水供給口4c、混合ステム4dと、ノズルオリフィス4eから構成され、高圧で供給される圧搾空気に高圧水を混合してミストを噴射するようになっている。
【0012】
5は圧搾空気供給パイプであって、コンプレッサー(図示せず)に接続され、圧搾空気を上記噴霧ノズル4に供給するようになっている。
【0013】
本実施例では、上記噴霧ノズル4は上記リング状ノズル管3に12個配置され、図4から明らかなように、扇状ミストXを噴出する扇状噴霧ノズル4′と、円錐状ミストYを噴出する円錐状噴霧ノズル4″が交互に配設されていて、両側の扇状噴霧ノズル4′が噴出する2つの扇状ミストX、Xの間に形成されるV状隙間を、上記円錐状噴霧ノズル4″が噴出する円錐状ミストYにより補填して、上記ホッパー2の散布口2bの周囲を、円筒状のミストカーテンにより隙間無く取り巻くようになっている。
【0014】
上記扇状噴霧ノズル4′は、例えばノズル先端をスリット状に構成することにより、扇状ミストXを噴出させることができる。特に、この扇状ミストXは細幅で噴出されるので、消費水量を節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明装置の一実施例を示す正面図である。
【図2】図1の下面図である。
【図3】噴霧ノズルの断面図である。
【図4】2種類の噴霧ノズルによる噴霧状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0016】
1 本体フレーム
2 ホッパー
2a 円錐状下部
2b 散布口
2c 供給パイプ
3 リング状ノズル管
4 噴霧ノズル
4′ 扇状噴霧ノズル
4″ 円錐状噴霧ノズル
4a ノズル本体
4b 圧搾空気供給口
4c 高圧水供給口
4d 混合ステム
4e ノズルオリフィス
5 圧搾空気供給パイプ
X 扇状ミスト
Y 円錐状ミスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方の散布口からセメント等の粉末状固化材を散布するホッパーの該散布口の周囲上方にリング状ノズル管を設け、該リング状ノズル管に多数の噴霧ノズルを略下方に向けて取り付け配置するとともに、これらの噴霧ノズルから上記散布口の周囲に隙間なく円筒状のミストカーテンを噴霧形成せしめて、該散布口から落下する粉塵の飛散を防止するように構成したことを特徴とする粉体散布装置における粉塵飛散防止装置。
【請求項2】
上記噴霧ノズルが、主としてノズル本体と、圧搾空気供給口と、高圧水供給口、混合ステムと、ノズルオリフィスから構成され、高圧で供給される圧搾空気に高圧水を混合してミストを噴射するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の粉体散布装置における粉塵飛散防止装置。
【請求項3】
上記複数の噴霧ノズルが、扇状噴霧を噴出する扇状噴霧ノズルと、円錐状噴霧を噴出する円錐状噴霧ノズルから構成され、これらの扇状噴霧ノズルと円錐状噴霧ノズルを交互に配設して、円筒状のミストカーテンを噴霧形成することを特徴とする請求項1または2に記載の粉体散布装置における粉塵飛散防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−233598(P2009−233598A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84174(P2008−84174)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(593077777)恵庭建設株式会社 (1)
【Fターム(参考)】