説明

粉漏れ検知装置

【課題】製品が粉の場合には、ベルトコンベア上に載置され順次搬送されてくる製品の上側を作業員が手で叩き、粉が飛び散ったか否かを目視で観察して穴あきの有無を確認している。そのため、作業員が粉の飛散を見落とす場合がある。また、ベルトコンベアに接した下側面の穴あきの有無を確認することは難しい。
【解決手段】粉が充填されてなる製品(w)が順次搬送される搬送ライン3、11と、吸入口33が搬送されている製品に向けて配置された吸入経路31と、吸入口33から吸入経路31内に空気を吸引するファンモーター35と、吸引され空気と共に吸入経路31を通過する粉(p)をセンサー検知する赤外線センサー43と、粉(p)が検知されると作動される警報ブザー61と警報ランプ63を備える。この装置によれば、袋の穴の有無を連続的且つ機械的に検知できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉漏れ検知装置に係り、特に粉が充填された包装体からの穴あきによる粉漏れを検知する粉漏れ検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製品が粉や液体の場合には、自動充填包装機に掛けてプラスチック製袋(ポリエチレン、ポリプロピレン等の単層もしくは、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレン等の複層)などに充填包装する場合があるが、どのように包装されても製品は全て穴あきの検査を受け、穴が無いことが確認されたものが商品として供されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−75412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、製品が液体の場合には、伝導性を利用し、高電圧を印加してインピーダンスの変化から袋にピンホール(=穴)の有無を検知するようなことが行われているが、内容物が粉の場合には、上述のような検知手法は利用できない。
また、意図的に袋に封入した希ガスの穴からの漏れによる圧力変動を検知することで穴の有無を検知することもできるが、検出精度確保のため、バッチ式が基本であり、処理効率に問題がある。
従って、上記のように、製品が粉の場合には、ベルトコンベア上に載置され順次搬送される製品を上側から作業員が手で叩き、粉が飛散したか否かを目視で観察して粉漏れの有無から穴あきの有無を確認している。
【0005】
しかしながら、作業員が粉の飛散を見落とす場合がある。また、ベルトコンベアに接した下側の袋面については穴あきの有無を確認することは難しい。
本発明は、上記従来の問題点に着目して為されたものであり、プラスチック製袋(ポリエチレン、ポリプロピレン等の単層フィルムまたは、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレン等の積層フィルム)などの包装体から粉漏れが有るか無いかを連続的に且つ確実に検知できる検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、包装体からの粉漏れを検知する粉漏れ検知装置において、粉が充填されてなる包装体が順次搬送される搬送ラインと、吸入口と排出口を有し、前記吸入口が搬送されている包装体に向けて配置された空気流路と、前記吸入口から前記空気流路内に空気を吸引する空気吸引手段と、吸引され空気と共に前記空気流路を通過する粉をセンサー検知する粉末検知手段と、粉が検知されるとその旨を警報する警報手段と、を備えることを特徴とする粉漏れ検知装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した粉漏れ検知装置において、搬送ラインは2つのベルトコンベアが隙間をあけて直列に配置されたものからなり、空気吸引手段の吸入口は前記2つのベルトコンベアの隙間に下から臨ませる位置関係で配置されていることを特徴とする粉漏れ検知装置である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載した粉漏れ検知装置において、搬送ラインにはベルトコンベアが配置されており、空気吸入手段の吸入口は前記ベルトコンベアの上方もしくは側方に配置されていることを特徴とする粉漏れ検知装置である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載した粉漏れ検知装置において、警報手段はブザー及び/またはランプであることを特徴とする粉漏れ検知装置である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載した粉漏れ検知装置において、さらに、搬送ラインの緊急停止手段を備えることを特徴とする粉漏れ検知装置である。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれに記載した粉漏れ検知装置において、さらに、検知した粉を捕集する捕集手段を備えることを特徴とする粉漏れ検知装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の粉漏れ検知装置を用いれば、連続処理をしても、プラスチック製袋(ポリエチレン、ポリプロピレン等の単層もしくは、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレン等の複層)などの包装体から漏れ出た粉を確実に検知できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態に係る粉漏れ検知装置1を、図1にしたがって説明する。
先ず、粉漏れ検知装置1の構成を説明する。
符号3、11は搬送ラインとしてのベルトコンベアを示す。ベルトコンベア3では、モーターと接続された駆動ロール5と受動ロール7との間に搬送ベルト9が掛け渡されており、ベルトコンベア11では、モーターと接続された駆動ロール13と受動ロール15との間に搬送ベルト17が掛け渡されている。
ベルトコンベア3、11は直列に配置されており、夫々の搬送ベルト9、17の間には隙間(s)が形成されているが、粉が袋に充填包装された製品(w)が乗り移れるようになっている。
【0014】
駆動ロール5、13に夫々連結されたモーターには、給電線19を介してモーター電源(商用電源)21が接続されている。給電線19にはモーターへの給電を適宜停止できる非常停止リレー23の接点25が介装されており、この非常停止リレー23は相方の電磁コイル27の励磁により常時閉の接点25が開いてモーターへの給電を停止するように構成されている。
非常停止リレー23の電磁コイル27を励磁するための回路にはライン停止スイッチ29が設けられている。このライン停止スイッチ29には停止ボタン(図示省略)が接続されており、その停止ボタンの押下によりライン停止スイッチ29がオンになるように構成されている。
【0015】
符号31は吸入経路を示し、この吸入経路31は管で形成されている。管は可撓性のホースで構成されても、非可撓性のハード部材で構成されていても、また、ホースの先端側にハード部材で構成された延長管が連結されているものでもよい。
吸入経路31の先端に設けられた吸入口33は、2つのベルトコンベア3、11の夫々の搬送ベルト9、17の隙間(s)に下から臨ませる位置関係で配置されている。
【0016】
吸入経路31の後端は、空気吸引手段としてのファンモーター35に接続されている。このファンモーター35はファン部とモーター部とからなる。吸入経路31のファンモーター35側には捕集手段37が介装されている。捕集手段37は、特に限定されないが、例えば、電気掃除機に設けられた集塵容器のように、即ち、空気流が渦流となってフィルターの周囲を回転し、そのサイクロン作用による遠心力によって空気流中の粉が当該容器の内壁面に沿って集められ、大きな粉が当該容器の底部に溜まるようなものに構成してもよい。
ファンモーター35には排出経路39が接続されており、吸入経路31に吸引された空気はこの排出経路39の排出口41から外に排出される。
吸入経路31と排出経路39とで、空気流路が構成されている。
【0017】
符号43は粉末検知手段としての赤外線センサーを示し、この赤外線センサー43は一対の赤外線発光ダイオード45及びフォトトランジスタ47とから構成されている。図に示すように、一対の赤外線発光ダイオード45及びフォトトランジスタ47は、吸入経路31内の粉(p)の通過する箇所に対向配置される。赤外線センサー43は、粉(p)を確実に検知でき、且つその一方で周囲雰囲気中の塵埃を検知しないことが要求されているので、その感度は粉(p)の大きさに応じてその時点で最適と思われるものが選択される。
フォトトランジスタ47はデプレッション形になっており、その介装された信号受信回路は、粉、即ち障害物により赤外線が遮られて、フォトトランジスタ47に入光する赤外線の光量が低下すると、ゲート電圧が低下してオン、即ち導通するようになっている。
【0018】
上記した信号受信回路には、信号増幅用のフォトカプラ49のフォトダイオード51が介装されている。相方のフォトトランジスタ53はエンハンス形になっており、その介装された回路はフォトトランジスタ53に入光する光量が増大すると、ゲート電圧が増大してオン、即ち導通するようになっている。
フォトトランジスタ53の介装された回路は(24V)リレー駆動回路になっており、直流電源に負荷である警報駆動リレー55の電磁コイル57が直列に介装されている。この警報駆動リレー55は電磁コイル57の励磁により相方の常時開の接点59が閉じるようになっている。
【0019】
相方の接点59は警報手段への給電回路に介装されており、この給電回路では直流電源に対して警報ブザー61と警報ランプ(パトランプ)63が並列に接続されている。
警報駆動リレー55の電磁コイル57の励磁により常時開の接点59が閉じると、直流電源から警報ブザー61と警報ランプ63に給電されて、警報ブザー61が鳴動し、警報ランプ63が点灯するようになっている。
【0020】
次に、粉漏れ検知装置1の動作を、作業者の作業と共に説明する。
ベルトコンベア3、11が駆動されると共に、検知側のファンモーター35が駆動され、赤外線センサー43が発光されて、検知モードになる。
隣接する充填包装機で、ポリエチレンなどのビニール袋に粉剤などの粉が充填包装された製品(w)が順次製造される。作業者により、製品(w)が順次所定の間隔をおいてベルトコンベア3の搬送ベルト9に載置される。そして、製品(w)が叩かれて、粉漏れが目視観察により確認された場合にはその製品(w)は取り除かれる。粉漏れが確認されなかった場合にはそのまま搬送させる。
【0021】
製品(w)は、矢印に示すように、順次ベルトコンベア11の搬送ベルト17に乗り移り、更に搬送されていく。
その乗り移りの際、その袋の穴から漏れ出て周囲の搬送ベルト9や袋と搬送ベルト9との間に飛散した粉(p)が隙間(s)から落下する。その落下した粉(p)はファンモーター35の駆動により生成された吸引力により生成された周囲の空気流にトラップされながら、吸入口33から吸入経路31内に入り込み、捕集手段37により粉(p)が捕集され周囲空気とは分離される。その後、空気流はファンモーター35内へ導かれ、ファンモーター35からの排気は排出経路39の排出口41からなされる。
【0022】
粉(p)が吸入経路31の赤外線センサー43を通過すると、上記した信号受信回路、リレー駆動回路及び警報手段への給電回路が導通し、警報ブザー61が鳴動し、警報ランプ63が点灯する。
上記警報に気付いた作業者により、停止ボタンが押されてベルトコンベア3、11の駆動が停止される。袋の穴あきにより粉漏れが有った製品(w)はベルトコンベアの両端部に掛け渡されて隙間(s)上にあるかその少し前方にあるので、作業者によりその製品(w)がベルトコンベア3、11上から取り除かれる。
ベルトコンベア11の搬送ベルト17の下流端まで搬送された製品(w)は、順次梱包されていく。
【0023】
上記のように、粉漏れ検知装置1では、プラスチック製袋(ポリエチレン、ポリプロピレン等の単層もしくは、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレン等の複層)などの包装体の穴から漏れ出して飛散した粉(p)が確実に検知される。しかも、充填包装した製品を梱包作業部に引き渡すまでの搬送ラインの途中で飛散した粉(p)を検知できるので、既存の搬送ラインを利用できる。従って、処理効率が非常に良い。
さらに、ベルトコンベア3の搬送ベルト9上に飛散した粉(p)が確実に捕集されるので、後から搬送されてくる別の製品の袋に付着することが無く、誤検知が防止される。
【0024】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の調整などがあっても本発明に含まれる。
例えば、上記の粉漏れ検知装置1では、光学センサーとして赤外線センサーを利用しているが、これに限定されない。空気吸引手段も、ファンに限定されず、真空ポンプやブロアーなどでもよい。
粉の検出信号をベルトコンベアの制御盤に送り、自動的に搬送ラインを停止する構成にしてもよい。この際の信号は制御盤の仕様によりセンサーからの信号のまま5V程度で発信されても、24V等に適宜増幅してもかまわない。
また、前処理として、製品を人手で叩いて粉を飛散させているが、製品を吊らす、揺らす、圧迫する、落下させるなどの前処理により機械的に粉を飛散させるようにしてもよい。そのようにすれば、手間も掛からない上に、確実に粉を飛散させることができるので検知精度も上がる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の粉漏れ検知装置によれば、従来の充填包装から梱包までの連続処理ラインに介在できるので、処理効率が良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る粉漏れ検知装置の模式図である。
【符号の説明】
【0027】
1…粉漏れ検知装置 3、11…ベルトコンベア
19…給電線 21…モーター電源
23…非常停止リレー 31…吸入経路
33…吸入口 35…ファンモーター
37…捕集手段 39…排出経路
43…赤外線センサー 55…警報駆動リレー
61…警報ブザー 63…警報ランプ
w…製品 p…粉 s…隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装体からの粉漏れを検知する粉漏れ検知装置において、
粉が充填されてなる包装体が順次搬送される搬送ラインと、
吸入口と排出口を有し、前記吸入口が搬送されている包装体に向けて配置された空気流路と、
前記吸入口から前記空気流路内に空気を吸引する空気吸引手段と、
吸引され空気と共に前記空気流路を通過する粉をセンサー検知する粉末検知手段と、
粉が検知されるとその旨を警報する警報手段と、を備えることを特徴とする粉漏れ検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載した粉漏れ検知装置において、
搬送ラインは2つのベルトコンベアが隙間をあけて直列に配置されたものからなり、
空気吸引手段の吸入口は前記2つのベルトコンベアの隙間に下から臨ませる位置関係で配置されていることを特徴とする粉漏れ検知装置。
【請求項3】
請求項1に記載した粉漏れ検知装置において、
搬送ラインにはベルトコンベアが配置されており、
空気吸入手段の吸入口は前記ベルトコンベアの上方もしくは側方に配置されていることを特徴とする粉漏れ検知装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載した粉漏れ検知装置において、
警報手段はブザー及び/またはランプであることを特徴とする粉漏れ検知装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載した粉漏れ検知装置において、さらに、
搬送ラインの緊急停止手段を備えることを特徴とする粉漏れ検知装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれに記載した粉漏れ検知装置において、さらに、
検知した粉を捕集する捕集手段を備えることを特徴とする粉漏れ検知装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−30661(P2010−30661A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197344(P2008−197344)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】