説明

粉粒体の分配装置および分配方法

【課題】 分配すべき一定量を保持し易く、しかも効率的な分配が可能となる粉粒体の分配装置および分配方法を提供する。
【解決手段】 分配装置1を、収容部23が形成された有底円筒状をなし、粉粒体Pを収容して軸芯X廻りの回転方向Rに回転自在となされた回転トレー10と、粉粒体Pを均して、平滑な表面を形成することのできるレベラー11と、一定量の粉粒体Pを充填することのできる充填室を有するとともに、容器3との間を往復自在となされ、容器3の穴部4に、充填室に充填された一定量の粉粒体Pを吐出して分配する充填ノズル40と、充填ノズル40によって収容部23内の粉粒体Pを掻き分ける複数の爪部を有する櫛形ブレード13a、13bと、適量の粉粒体Pを補充供給する供給部14と、を備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体の分配装置および分配方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体状または粒体状の医薬品、化粧品、食料品等を容器に一定量ずつ分配するための装置として、特許文献1に記載されるものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載される装置によれば、容器上方において、「通孔」が形成された「シャッタ」部材および「ホッパ」を左右にスライドさせる構成であるため、「シャッタ」部材等の隙間から粉体等がこぼれ易く、容器の穴部周辺に粉体等がこぼれ落ちて、一定量を分配することができないという問題があった。
【0004】
これに対して、管状ハウジングの内部にピストンを弾装し、先端部に形成される凹状空間に、計量された薬剤等の粉末を圧縮充填して、これをカプセル等の容器に移すようにした充填ノズル(「適量分配器」)が公知となっている(例えば、特許文献2)。このような充填ノズルであれば、上記特許文献1に記載される装置に比べて、決められた量の粉末を分配し易い。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2582224号公報
【特許文献2】特開昭52−134763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2に記載される如くの装置では、粉末等の充填を繰り返すうちに、トレー等に収容された粉末等の密度が不均一となり、分配すべき一定量(いわゆる含量均一性;特に医薬品の分野では重要視される)を保持し難くなるという問題があった。また、粉末等の密度を均一化するために、いちいち作業を中断して、粉末等を攪拌して水平に均したり、不足する粉末等を補充する必要があり、効率的な分配をおこない難いという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、分配すべき一定量を保持し易く、しかも効率的な分配が可能となる粉粒体の分配装置および分配方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の粉粒体の分配装置は、穴部を有する容器に、粉粒体を一定量ずつ分配するための装置であって、収容部が形成された有底円筒状をなし、該収容部内に粉粒体を収容して軸芯廻りの一定の回転方向に回転自在となされた回転トレーと、該収容部内の粉粒体を均して、平滑な表面を形成することのできるレベラーと、該レベラーの該回転方向前方に配設され、該収容部内の粉粒体に挿入して一定量の粉粒体を充填することのできる充填室を有するとともに、容器との間を往復自在となされ、該容器の穴部に、該充填室に充填された一定量の粉粒体を吐出して分配する充填ノズルと、該充填ノズルの該回転方向前方に配設され、該収容部内の粉粒体を掻き分ける複数の爪部を有する一または複数の櫛形ブレードと、該充填ノズルの該回転方向前方に配設され、適量の粉粒体を補充供給する供給部と、を備えたことを要旨とする。
【0009】
また、請求項2に記載の粉粒体の分配装置は、穴部を有する容器に、粉粒体を一定量ずつ分配するための装置であって、平面視ドーナツ状の底面と、該底面に同心円状に立設される外壁面および内壁面とによって、上部開放の断面コ字状をなして周方向に連続する収容部が形成され、該収容部内に粉粒体を収容して軸芯廻りの一定の回転方向に回転自在となされた回転トレーと、該収容部内の粉粒体を均して、平滑な表面を形成することのできるレベラーと、該レベラーの該回転方向前方に配設され、該収容部内の粉粒体に挿入して一定量の粉粒体を充填することのできる充填室を有するとともに、容器との間を往復自在となされ、該容器の穴部に、該充填室に充填された一定量の粉粒体を吐出して分配する充填ノズルと、該充填ノズルの該回転方向前方に、該回転トレーの該外壁面と該内壁面との間をそれぞれ横断するように配設され、該収容部内の粉粒体を掻き分ける複数の爪部をそれぞれ有する一対の櫛形ブレードと、該櫛形ブレードの該回転方向前方であって、かつ該レベラーの該回転方向後方に配設され、該収容部内の粉粒体の量を感知して、適量の粉粒体を補充供給する供給部と、を備えたことを要旨とする。
【0010】
また、請求項3に記載の粉粒体の分配装置は、請求項2に記載の構成において、該一対の櫛形ブレードが、平面視でそれぞれを延長してできる交点が該回転トレーの該軸芯とは一致しないように配設されていることを要旨とする。
【0011】
また、請求項4に記載の粉粒体の分配装置は、請求項3に記載の構成において、該レベラーが、該収容部内の粉粒体の該表面に対して所定角度をなす対向面が形成された起立部と、該起立部の該回転方向前方に折れ線を介して延設され、該対向面から連続する水平な当接面が下端に形成された延出部と、を備えたことを要旨とする。
【0012】
また、請求項5に記載の粉粒体の分配装置は、請求項4に記載の構成において、該延出部が、該回転トレーの該外壁面および該内壁面にそれぞれ臨み、かつ同一の中心角をなす外側円弧および内側円弧を有するように設けられていることを要旨とする。
【0013】
また、請求項6に記載の粉粒体の分配装置は、請求項5に記載の構成において、該中心角が、20〜40度であることを要旨とする。
【0014】
また、請求項7に記載の粉粒体の分配装置は、請求項2乃至6の何れかに記載の構成において、該起立部が、該収容部内の粉粒体の該表面に対して一定角度をなす第1起立部と、該一定角度よりも緩い角度をなして、該第1起立部と該延出部との間に介設される第2起立部と、を備えたことを要旨とする。
【0015】
また、請求項8に記載の粉粒体の分配装置は、穴部を有する容器に、粉粒体を一定量ずつ分配するための装置であって、平面視ドーナツ状の底面と、該底面に同心円状に立設される外壁面および内壁面とによって、上部開放の断面コ字状をなして周方向に連続する収容部が形成され、該収容部内に粉粒体を収容して軸芯廻りの一定の回転方向に回転自在となされた回転トレーと、該収容部内の粉粒体を均して、平滑な表面を形成することのできるレベラーと、該レベラーの該回転方向前方に、該回転トレーの該外壁面と該内壁面との間をそれぞれ横断するように配設され、該収容部内の粉粒体を掻き分ける複数の爪部をそれぞれ有する一対の櫛形ブレードと、該櫛形ブレードの該回転方向前方であって、かつ該レベラーの該回転方向後方に配設され、該収容部内の粉粒体の量を感知して、適量の粉粒体を補充供給する供給部と、を備えたことを要旨とする。
【0016】
また、請求項9に記載の粉粒体の分配方法は、穴部を有する容器に、粉粒体を一定量ずつ分配するための方法であって、平面視ドーナツ状の底面と、該底面に同心円状に立設される外壁面および内壁面とによって、上部開放の断面コ字状をなして周方向に連続する収容部が形成された回転トレーの該収容部内に粉粒体を収容して、軸芯廻りの一定の回転方向に回転させる工程と、起立部と、該起立部の該回転方向前方に設けられ、水平な当接面が形成された延出部と、を備えたレベラーによって、該収容部内の粉粒体を均して、平滑な表面を形成するとともに、粉粒体の密度を均一化する工程と、密度が均一化された該収容部内の粉粒体に、充填室を有する充填ノズルを挿入して、充填室に一定量の粉粒体を充填したのちに、容器の穴部に、該充填室に充填された一定量の粉粒体を吐出して分配する工程と、平面視でそれぞれを延長してできる交点が該回転トレーの該軸芯とは一致しないように配設された一対の櫛形ブレードによって、該充填ノズルを挿入したのちの該収容部内の粉粒体を掻き分ける工程と、該櫛形ブレードを通過して該レベラーに向かう該収容部内の粉粒体の量を感知して、適量の粉粒体を補充供給する工程と、を含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、穴部を有する容器に、粉粒体を一定量ずつ分配するための装置であって、収容部が形成された有底円筒状をなし、該収容部内に粉粒体を収容して軸芯廻りの一定の回転方向に回転自在となされた回転トレーと、該収容部内の粉粒体を均して、平滑な表面を形成することのできるレベラーと、該レベラーの該回転方向前方に配設され、該収容部内の粉粒体に挿入して一定量の粉粒体を充填することのできる充填室を有するとともに、容器との間を往復自在となされ、該容器の穴部に、該充填室に充填された一定量の粉粒体を吐出して分配する充填ノズルと、該充填ノズルの該回転方向前方に配設され、該収容部内の粉粒体を掻き分ける複数の爪部を有する一または複数の櫛形ブレードと、該充填ノズルの該回転方向前方に配設され、適量の粉粒体を補充供給する供給部と、を備えた粉粒体の分配装置であるため、分配すべき一定量を保持し易く、しかも効率的な分配が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図8に基づいて説明する。図1、図2は本実施形態の分配装置1を示す全体平面図および一部破断正面図である。図3は本実施形態のレベラー11を示す拡大図である。図4、図5は本実施形態の充填ノズル40および櫛形ブレード13a、13bを示す拡大図であり、図6は図5におけるA−A線断面図である。図7、図8は充填ノズル40による充填状況および分配状況を示す拡大図である。
【0019】
図1〜図2に示すように、分配装置1は、容器たるブリスターパック3を一定方向に間欠搬送するベルトコンベア等の搬送手段6に臨んで設けられる。ブリスターパック3は、多数の穴部4が凹設されたシート状をなし、搬送プレート7に嵌着された状態で、搬送手段6上に載置されている。分配装置1は、このブリスターパック3の穴部4に、粉粒体Pを一定量ずつ分配するために用いられるものである。
【0020】
「粉粒体」としては、例えば、医薬品、化粧品、食品等各種の粉末や顆粒、または、これらの混合物等を対象とできる。また、この実施形態ではブリスターパック3を用いているが、「容器」としては、一定量の粉粒体を格納し得る穴部(大小や配設数を問わない)を有するものであればよい。つまり、カプセルや凹状に射出成形されたプラスチック等の他、ガラス瓶のようなものも容器として用いることができる。
【0021】
分配装置1について具体的に説明する。 図1〜図2に示すように、分配装置1は、主として回転トレー10、レベラー11、充填ユニット12、櫛形ブレード13aおよび13b、供給部14を備えて構成される。図中8は、この分配装置1を水平状態に支持する架台である。
【0022】
回転トレー10は、図1〜図2に示すように、全体としてやや扁平の有底円筒形を呈しているが、回転トレー10には、平面視ドーナツ状の底面20と、この底面20に同心円状に立設される外壁面21および内壁面22とによって、上部開放の断面コ字状をなして周方向に連続する収容部23が形成されている。収容部23は、粉粒体Pを収容する。回転トレー10は、内壁面22を設けずに有底円筒状をなした構成とすることもできる。
【0023】
回転トレー10の中心部には、図示しないモータ等に接続されるシャフト25が垂下され、回転トレー10とシャフト25とが一体となって軸芯X廻りを回転方向Rに回転自在となるように構成されている。架台8と回転トレー10との間には、回転トレー10を下方から転動支持するローラ10aが適宜位置に設けられている(図2参照)。
そして、この回転トレー10上において、以下に詳述するレベラー11、充填ユニット12、櫛形ブレード13aおよび13b、供給部14が、回転方向Rに沿って順に適宜間隔で、かつ何れも回転トレー10の回転に追従することなく配設されているものである。
【0024】
レベラー11は、図1および図3に示すように、起立部30および延出部31を備えており、架台8上の適宜位置に設けられた固設手段33によって固設されている。起立部30は、回転トレー10の半径方向に一致する折れ線35を基線として、回転されてくる収容部23内の粉粒体Pに対峙するように起立して設けられるとともに、起立部30には、図3に示す如く粉粒体Pの形成されるべき表面Pに対して所定角度をなす対向面36が形成されている。
【0025】
また、この起立部30の回転方向R前方に、折れ線35を介して、延出部31が延設されている。延出部31は、図1に示すように平面視幅広弓形状をなし、回転トレー10の外壁面21および内壁面22にそれぞれ臨み、かつ同一の中心角αをなす外側円弧38および内側円弧39を有するように設けられている。延出部31の下端には、図3に示す如く、対向面36から折れ線35を介して連続する水平な当接面37が形成されている。
【0026】
図3からも明らかなように、レベラー11の起立部30は、上記収容部23に収容される粉粒体Pの凹凸を均して、回転方向R前方に平滑な表面Pを形成するとともに、余分な粉粒体Pを堆積させる働きをなすが、さらに延出部31によって、粉粒体Pが一定時間継続して所定の厚みdに保たれることから、粉粒体Pが上方からの圧縮力を受けることとなり、粉粒体P中の空気が適度に脱気される。これにより、粉粒体Pが所定の密度に圧縮され、粉粒体Pの密度が均一化される。
【0027】
収容部23内の粉粒体Pには、回転トレー10の回転に伴って、軸芯Xから径方向外方に向かう一定の慣性力(遠心力)等が働いている。このため、とりわけ粉粒体Pがレベラー11の起立部30に衝突して延出部31に当接している間、粉粒体Pは収容部23内で径方向外方に広がり易くなる。延出部31を、上記所定の平面視幅広弓形形状に構成したことで、非常に効果的に、粉粒体Pの密度を均一化することが可能となっているものである。
【0028】
なお、延出部31の中心角αは、粉粒体Pの種類、組成、形状、物性等に応じて適宜最適な値に設定できることは言うまでもない。ただし、中心角αが小さくなり過ぎると、上記脱気の効果を得難くなる一方で、逆に中心角αが大きくなり過ぎると、粉粒体Pの流動性が阻害され、ブリッジ現象を生じるおそれがある。したがって、一般には10°≦α≦50°程度が好ましく、より好ましくは20°≦α≦40°とするのがよい。
【0029】
充填ユニット12は、図1〜図2に示すように、上記レベラー11の下流側、すなわちレベラー11の回転方向R前方に配設される。充填ユニット12は、複数の充填ノズル40を、ブリスターパック3の穴部4に対応する所定状態に整列してなる。充填ノズル40は、固定プレート41に挿通固定されており、固定プレート41はさらに、所定の移動手段43に嵌設されている。
【0030】
移動手段43は、充填ユニット12を、回転トレー10上で昇降自在、かつ回転トレー10と搬送手段6上の容器3との間で往復自在とするものである。この実施形態では、架台8上の適宜位置で上下動可能に形成されたシリンダ44と、シリンダ44上方に水平移動可能に配設されたスライドバー45とを備えて移動手段43を構成しており、スライドバー45上に、固定プレート41を嵌設するスライドプレート47の両端を固着している。移動手段43は、図示しないカム機構やリミットスイッチ等に適宜接続されている。
【0031】
充填ノズル40は、図4に示すように、管状のハウジング50と、ハウジング50内の軸方向空路51に沿って設けられるピストン52とを備えている。ハウジング50の適宜位置には、固定プレート41の挿通孔41a上縁に係止するための係止リング54が、外方突起して周設されている。ピストン52の先端には、ハウジング50の先端部55の内周壁56に摺接し、かつ水平な圧下面57aを有するヘッド57が形成されており、これらにより、粉粒体Pを充填するための充填室59が凹設されるものである。ハウジング50の先端部55は、粉粒体Pへの挿入等が容易に行えるように、先端縁55aに向かって次第に薄肉をなす尖鋭状に形成されている。
ハウジング50、ピストン52、あるいは充填室59の断面形状は円形に限らず、種々のものを用いてよい。充填室59に充填され得る粉粒体Pの量は、容器3の穴部4の大きさや粉粒体Pの種類、組成、形状、物性等に応じて、50mg〜2500mg程度に設定できる。
【0032】
充填ノズル40は、ピストン52を上下に移動することで、充填室59の容量を変化させ、これにより、充填室59に一定量の粉粒体Pを圧縮充填する構造を備えるが、この構造としては、既知のものが採用されている。
【0033】
すなわち、充填ノズル40には、図示しないコイルばねが内蔵されるとともに、図4に示す如くピストン52を軸方向に操作移動するための操作ロッド61が、ピストン52の頭頂に接続されている。そして、図4に例示するように、操作ロッド61に対応した押圧突起65を有する押圧板64からなり、油圧または空気・ガス圧力等によって作動する押圧手段63によって、ピストン52を上下に移動させたり、所定位置で停止保持させることができるようになっている(図1や図2ではこの押圧手段63の図示を省略している)。
【0034】
なお、この実施形態では、ピストン52を介して充填室59内に粉粒体Pを圧縮充填するように構成したが、これは充填ノズル40の他の形態の採用を排除する趣旨ではない。例えば、収容部23内の粉粒体Pの厚み(d)に対して、あらかじめ充填室59の容量を小さく固定しておき、単に充填ノズル40を粉粒体Pに下降挿入することによって充填室59に一定量の粉粒体Pを押し込めるようにしてもよい。また、充填ノズル40を適宜の吸引手段と接続し、充填室59内に粉粒体Pを吸引充填するような構成とすることもできる。この構成は、特に粉粒体Pが顆粒等の粒子径の大きいものの場合に有効である。
【0035】
櫛形ブレード13aおよび13bは、図1に示すように、上記充填ユニット12の下流側、すなわち充填ユニット12の回転方向R前方に配設される。櫛形ブレード13aおよび13bは、架台8上の適宜位置に設けられた固設手段70によって固設されている。
櫛形ブレード13aおよび13bは、図5〜図6に示すように、それぞれ回転トレー10の外壁面21と内壁面22との間を横断するように設けられている。櫛形ブレード13aおよび13bは同形をなし、上記充填ユニット12の充填ノズル40によって粉粒体Pを充填した後の収容部23内の粉粒体Pを掻き分けることのできる多数の爪部72をそれぞれ有している。爪部72は、粉粒体Pを上方から突刺し、先端が底面20ぎりぎりに位置するように配設されている。
【0036】
櫛形ブレード13aおよび13bは、図5に示すように、平面視でそれぞれを延長してできる交点73が、回転トレー10の軸芯Xとは一致しないように対設されるものである。このような構成とした場合には、同形の櫛形ブレード13aおよび13bを単に半径方向に並べた場合(上記交点と軸芯Xとが一致する)に比べて、図5に示す如く櫛形ブレード13aの爪部軌跡75aと、櫛形ブレード13bの爪部軌跡75bとが、互いに異なる位置で密に形成され易くなり、収容部23内の粉粒体Pを満遍なく掻き分けることができる。また、櫛形ブレード13aおよび13bは同形であるため、製造コスト等を抑制できる。
【0037】
爪部72の間隔77(図6参照)は、これら櫛形プレート13aおよび13bの配置や回転トレー10の大きさ、充填ノズル40の径、粉粒体Pの種類、組成、形状、物性等に応じて適宜変更してよい。爪部72は、図6に示したものの他、細い棒状に形成することもできる。このような構成は、特に粉粒体Pが顆粒等の粒子径の大きいものの場合に有効となる。
なお、櫛形ブレード13aおよび13bは、直線状のものに限らず、波型等の曲線状のもの、あるいはV字状、ジグザグ状のもの等であってもよい。また、櫛形ブレードを一個だけ、あるいは三個以上設ける構成とすることもできる。
【0038】
供給部14は、図1〜図2に示すように、ホッパー80、シュート81およびセンサー82からなり、上記櫛形ブレード13aおよび13bの下流側かつ上記レベラー11の上流側、すなわち上記櫛形ブレード13aおよび13bの回転方向Rの前方かつ上記レベラー11の回転方向Rの後方に配設される。
ホッパー80は、回転トレー10外方において粉粒体Pを貯留するもので、底部に適宜接続されるシュート81を介して、粉粒体Pを回転トレー10の収容部23に向けて供給できるようになっている。図2において81aは、粉粒体Pを適度に分散させるためのバイブレーターである。
【0039】
センサー82は、架台8上の適宜位置に、固設手段84を介して固設されている。センサー82は、通過する粉粒体Pの量を感知するもので、この実施形態では、静電気によって粉粒体Pの変位を感知する形式のものを用いている。そして、ホッパー80内には、センサー82の感知に連動するプロペラフィン(図示せず)等が設けられており、必要時に適量の粉粒体Pをホッパー80からシュート81に強制排出できるように制御されている。
【0040】
次に、上記の如く構成される分配装置1の使用態様等について説明する。
まず準備段階として、回転トレー10の収容部23に、所定量の粉粒体Pをホッパー80から供給する。そして、回転トレー10を回転方向Rに数回転させながら、図3に示したように、レベラー11によって、粉粒体Pに平滑な表面Pを形成するとともに、粉粒体Pの密度を均一化しておく。そのため、形成されるべき表面Pレベルよりもやや多めの粉粒体Pが、収容部23には供給されている。
【0041】
準備段階を経たのち、充填ユニット12を下方に移動させ、各充填ノズル40の先端部55を、収容部23内の粉粒体Pに下降挿入することにより、図7(a)に示す如く粉粒体Pを充填室59内に押し込める。そして、図7(b)に示すように、充填ノズル40内のヘッド57を、充填室59の容量を縮小する向きに押圧摺動させ、充填室59内の粉粒体Pを所定の嵩密度まで圧縮する。この圧縮は、充填ノズル40の移動中における粉粒体Pのこぼれ落ちを防止するためにおこなわれる。さらに、充填ユニット12を上方に移動して、各充填ノズル40を引き上げれば、図7(c)に示す如く一定量の粉粒体Pが充填室59内に圧縮充填されている。このとき、充填された粉粒体Pの下端をきれいに払い揃えるスクレーパー等を付設してもよい。なお、この充填作業中には、回転トレー10の回転を一時的に停止させておくことが好ましい。
【0042】
上記によって、各充填ノズル40への粉粒体Pの充填を完了した充填ユニット12は、搬送手段6上方に移動される。搬送手段6上には、図8(a)に示す如く充填ユニット12の各充填ノズル40に対応して各穴部4が位置するようブリスターパック3が待機しており、図8(b)に示すようにして、ブリスターパック3の各穴部4内に、各充填室59内の粉粒体Pが吐出される。この吐出は、例えばピストン52のヘッド57がハウジング50の先端部55の縁端近辺まで移動することによっておこなわれる。
吐出作業を終えた充填ユニット12は、再び回転トレー10上に戻され、上記充填作業と吐出作業が繰り返される。
【0043】
なお、充填ノズル40の充填室59内に粉粒体Pを吸引充填するような形態の場合には、吸引を解除することにより、粉粒体Pの吐出をおこなうようにしてもよい。また、充填ノズル40に適宜の圧縮空気噴出手段を接続し、吐出後の充填室59内に圧空を噴出することで、充填室59をクリーニングするようにしてもよい。これにより、充填室59に粉粒体Pが残留付着することがあっても、これを確実に除去し、次回の計量充填を正確におこなうことができる。
【0044】
上記充填作業の後、収容部23内の粉粒体Pには、図7(c)に示す如くの取出穴90が複数形成されているが、この取出穴90は、櫛形ブレード13aおよび13bによって破壊される。これは、回転トレー10の回転に伴って、上記した通りの所定構成をなす一対の櫛形ブレード13aおよび13bが、取出穴90が形成された粉粒体Pを効果的に掻き分けることによる。
【0045】
上記充填作業等を経由することで、取出穴90が形成されたり、粉粒体Pが部分的に圧縮等され、粉粒体P中の密度が不均一となり得るが、これらの櫛形ブレード13aおよび13bによって、粉粒体Pの取出穴90を破壊したり、圧縮された部分をほぐして軟らかくすることができる。
【0046】
櫛形ブレード13aおよび13bを通過した粉粒体Pは、さらに回転してレベラー11に向かうが、このとき供給部14のセンサー82が収容部23内の粉粒体Pの量を感知し、不足する場合には、ホッパー80を介して適量の粉粒体Pが補充供給される。そして、レベラー11によって、あらためて粉粒体Pに平滑な表面Pが形成されるとともに、密度が均一化された粉粒体Pが充填ユニット12に供されることとなるが、櫛形ブレード13aおよび13bと、後に続くレベラー11との相互作用に伴い、粉粒体Pの密度が非常に均一化され易いものとなる。
【0047】
以上説明した分配装置1によれば、所定構成をなすレベラー11や櫛形ブレード13aおよび13bによって、収容部23内の粉粒体Pに平滑な表面Pが形成されるとともに、粉粒体Pの密度が均一化され、常時良好な状態の粉粒体Pを充填ユニット12の各充填ノズル40に連続的に提供できる。よって、充填ノズル40による分配すべき粉粒体Pの一定量を保持し易いものとできる。さらに、所定の供給部14を備えた構成とも相俟って、いちいち作業を中断することなく、効率的な粉粒体Pの分配をおこなうことが可能となる。
【0048】
また、回転トレー10の底面20には、粉粒体Pの充填ノズル40への充填時に、充填ノズル40の先端部55あるいは先端部55との間に介在する粉流体Pの粒子等によって、所定の圧力がかかったり磨耗が招来されたりするが、分配装置1によれば、回転トレー10の底面20における充填ノズル40の下降位置を毎回異なったものとできる。よって、回転トレー10の底面20に生じ得る圧力や磨耗を分散させることができるため、部材の耐久性を向上させることが可能となる。
【0049】
上記実施形態の変形例を、図9(a)(b)(c)を参照して説明する。図9(a)(b)(c)は、上記レベラー11のその他の形態であるレベラー11a、11b、11cをそれぞれ示している。上記実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
図9(a)に示すように、起立部30aのみによってレベラー11aを構成することができる。起立部30aの対向面36aは、表面Pに対して角度θをなしている。角度θは、0°<θ<180°を満たす任意の値に設定してよいが、とりわけ0°<θ<90°の場合には、粉粒体Pに上方から一定の圧縮力を付加できるため、粉粒体Pの密度均一化の点から、好ましいと言える。
【0051】
図9(b)に示すように、起立部30bを、第1起立部30b’と第2起立部30b”とによって、二段階に折り曲げた構成とすることもできる。第1起立部30b’の対向面36b’は、表面Pに対して角度θ(0°<θ<90°)をなし、第2起立部30b”の対向面36b”は、表面Pに対して角度θをなすとともに、角度θは角度θよりも緩い角度をなしている。このような構成によれば、起立部30bに対する粉粒体Pの衝突力を次第に低減することができ、粉粒体Pの回転移動等が円滑となって、粉粒体Pの密度を均一化し易いものとできる。
【0052】
図9(c)に示すように、起立部30cを上記第1起立部30b’および第2起立部30b”によって形成し、第2起立部30b”に延出部31を付設することで、第1起立30b’と延出部31との間に第2起立部30b”を介設した構成とすることもできる。このような構成によれば、延出部31によって、粉粒体P中の空気を適度に脱気できるため、粉粒体Pの密度をより一層均一化し易いものとできる。
【0053】
上記したレベラー11およびレベラー11a、11b、11cは、粉粒体Pの種類、組成、形状、物性等に応じて適宜選択して用いることができる。
【0054】
なお、充填ユニット12を除いた構成を「分配装置」として提供し、任意の充填ノズル等と組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0055】
以上の実施形態の記述は、本発明をこれに限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更等が可能である。
例えば、各構成要素の形状・大きさ等は適宜変更してよく、各構成要素を形成する素材等は最適なものを適宜選択することができる。充填ユニット12の充填ノズル40の配置等も、適用される容器等に応じて適宜変更され得る。上記の実施形態では、複数の充填ノズル40を集合し、まとまって機能する充填ユニット12の構成例を示したが、一又は複数の充填ノズル40をそれぞれ別個単独に機能するように配設することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、分配すべき一定量を保持し易く、しかも効率的な分配が可能となる粉粒体の分配装置および分配方法を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態の分配装置を示す全体平面図である。
【図2】実施形態の分配装置を示す一部破断正面図である。
【図3】実施形態のレベラーを示す拡大図である。
【図4】実施形態の充填ノズルを示す一部破断拡大図である。
【図5】実施形態の櫛形ブレードを示す拡大平面図である。
【図6】図5におけるA−A線断面図である。
【図7】実施形態の充填ノズルによる充填状況を示す拡大図である。
【図8】実施形態の充填ノズルによる分配状況を示す拡大図である。
【図9】変形例に係るレベラーを示す拡大図である。
【符号の説明】
【0058】
1 分配装置
3 ブリスターパック(容器)
4 穴部
10 回転トレー
11 レベラー
12 充填ユニット
13a、13b 櫛形ブレード
14 供給部
20 底面
21 外壁面
22 内壁面
23 収容部
30 起立部
31 延出部
35 折れ線
36 対向面
37 当接面
40 充填ノズル
43 移動手段
59 充填室
72 爪部
73 交点
82 センサー
90 取出穴
P 粉粒体
表面
R 回転方向
X 軸芯
α 中心角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穴部を有する容器に、粉粒体を一定量ずつ分配するための装置であって、
収容部が形成された有底円筒状をなし、該収容部内に粉粒体を収容して軸芯廻りの一定の回転方向に回転自在となされた回転トレーと、
該収容部内の粉粒体を均して、平滑な表面を形成することのできるレベラーと、
該レベラーの該回転方向前方に配設され、該収容部内の粉粒体に挿入して一定量の粉粒体を充填することのできる充填室を有するとともに、容器との間を往復自在となされ、該容器の穴部に、該充填室に充填された一定量の粉粒体を吐出して分配する充填ノズルと、
該充填ノズルの該回転方向前方に配設され、該収容部内の粉粒体を掻き分ける複数の爪部を有する一または複数の櫛形ブレードと、
該充填ノズルの該回転方向前方に配設され、適量の粉粒体を補充供給する供給部と、を備えた粉粒体の分配装置。
【請求項2】
穴部を有する容器に、粉粒体を一定量ずつ分配するための装置であって、
平面視ドーナツ状の底面と、該底面に同心円状に立設される外壁面および内壁面とによって、上部開放の断面コ字状をなして周方向に連続する収容部が形成され、該収容部内に粉粒体を収容して軸芯廻りの一定の回転方向に回転自在となされた回転トレーと、
該収容部内の粉粒体を均して、平滑な表面を形成することのできるレベラーと、
該レベラーの該回転方向前方に配設され、該収容部内の粉粒体に挿入して一定量の粉粒体を充填することのできる充填室を有するとともに、容器との間を往復自在となされ、該容器の穴部に、該充填室に充填された一定量の粉粒体を吐出して分配する充填ノズルと、
該充填ノズルの該回転方向前方に、該回転トレーの該外壁面と該内壁面との間をそれぞれ横断するように配設され、該収容部内の粉粒体を掻き分ける複数の爪部をそれぞれ有する一対の櫛形ブレードと、
該櫛形ブレードの該回転方向前方であって、かつ該レベラーの該回転方向後方に配設され、該収容部内の粉粒体の量を感知して、適量の粉粒体を補充供給する供給部と、を備えた粉粒体の分配装置。
【請求項3】
該一対の櫛形ブレードが、平面視でそれぞれを延長してできる交点が該回転トレーの該軸芯とは一致しないように配設されている請求項2に記載の粉粒体の分配装置。
【請求項4】
該レベラーが、
該収容部内の粉粒体の該表面に対して所定角度をなす対向面が形成された起立部と、
該起立部の該回転方向前方に折れ線を介して延設され、該対向面から連続する水平な当接面が下端に形成された延出部と、を備えた請求項3に記載の粉粒体の分配装置。
【請求項5】
該延出部が、該回転トレーの該外壁面および該内壁面にそれぞれ臨み、かつ同一の中心角をなす外側円弧および内側円弧を有するように設けられている請求項4に記載の粉粒体の分配装置。
【請求項6】
該中心角が、20〜40度である請求項5に記載の粉粒体の分配装置。
【請求項7】
該起立部が、
該収容部内の粉粒体の該表面に対して一定角度をなす第1起立部と、
該一定角度よりも緩い角度をなして、該第1起立部と該延出部との間に介設される第2起立部と、を備えた請求項2乃至6の何れかに記載の粉粒体の分配装置。
【請求項8】
穴部を有する容器に、粉粒体を一定量ずつ分配するための装置であって、
平面視ドーナツ状の底面と、該底面に同心円状に立設される外壁面および内壁面とによって、上部開放の断面コ字状をなして周方向に連続する収容部が形成され、該収容部内に粉粒体を収容して軸芯廻りの一定の回転方向に回転自在となされた回転トレーと、
該収容部内の粉粒体を均して、平滑な表面を形成することのできるレベラーと、
該レベラーの該回転方向前方に、該回転トレーの該外壁面と該内壁面との間をそれぞれ横断するように配設され、該収容部内の粉粒体を掻き分ける複数の爪部をそれぞれ有する一対の櫛形ブレードと、
該櫛形ブレードの該回転方向前方であって、かつ該レベラーの該回転方向後方に配設され、該収容部内の粉粒体の量を感知して、適量の粉粒体を補充供給する供給部と、を備えた粉粒体の分配装置。
【請求項9】
穴部を有する容器に、粉粒体を一定量ずつ分配するための方法であって、
平面視ドーナツ状の底面と、該底面に同心円状に立設される外壁面および内壁面とによって、上部開放の断面コ字状をなして周方向に連続する収容部が形成された回転トレーの該収容部内に粉粒体を収容して、軸芯廻りの一定の回転方向に回転させる工程と、
起立部と、該起立部の該回転方向前方に設けられ、水平な当接面が形成された延出部と、を備えたレベラーによって、該収容部内の粉粒体を均して、平滑な表面を形成するとともに、粉粒体の密度を均一化する工程と、
密度が均一化された該収容部内の粉粒体に、充填室を有する充填ノズルを挿入して、充填室に一定量の粉粒体を充填したのちに、容器の穴部に、該充填室に充填された一定量の粉粒体を吐出して分配する工程と、
平面視でそれぞれを延長してできる交点が該回転トレーの該軸芯とは一致しないように配設された一対の櫛形ブレードによって、該充填ノズルを挿入したのちの該収容部内の粉粒体を掻き分ける工程と、
該櫛形ブレードを通過して該レベラーに向かう該収容部内の粉粒体の量を感知して、適量の粉粒体を補充供給する工程と、を含む粉粒体の分配方法。

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−70219(P2010−70219A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240041(P2008−240041)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000137904)株式会社ミューチュアル (37)
【Fターム(参考)】