説明

粉粒体の搬送用トレーラ

【課題】 工場側に求められる設備を、貯蔵槽への搬送用配管設備など最小限度に抑えることのできる粉粒体の搬送用トレーラを提供する。
【解決手段】 トレーラ主体STの底面部に、トラクタに搭載された電源で駆動させることのできるブロア10を配置し、このブロア10の送風口10bを、トレーラ主体STの後部に開口させて粉粒体の搬送用トレーラ1とする。コンテナC内に収容された粉粒体の貯蔵槽への移送は、前記トレーラ主体STに搭載したロータリーフィーダ9をトレーラ主体STの後方に配置し、前記ブロア10とロータリーフィーダ9とを接続管12で接続したのち、ブロア10およびロータリーフィーダ9を駆動させ、コンテナC内の粉粒体を、受入パイプ15を介してコンスタントに貯蔵槽に移送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンテナに搭載した粒状もしくは粉状体を、直接加工工場などに設置されたサイロなどの貯蔵槽内に供給することのできる、粉粒体の搬送用トレーラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
穀物や飼料、さらにはセメント、樹脂ペレットなどの粒状もしくは粉状物(以下、総称して「粉粒体」という。)は、一般的に、ポリエチレンシート等で形成した包装体に収容され、当該包装体をコンテナに搭載して、当該粉粒物を製品化する工場にコンテナ搬送される。
【0003】
工場にコンテナ搬送された粉粒物は、コンテナを傾斜させ、前記包装体の口部を開き、工場に設置された、配管やブロ、フィーダなどから構成される受入装置を使用して工場内に配置された貯蔵槽への移し変えが行なわれる。
しかしながら、前記受入装置の設置は、工場側にとっては負担が多く、コンテナ搬送を行なう輸送業者にとっては、駐車位置があらかじめ定められるとともに、順番待ちなど効率が必ずしもよくないものである。
【0004】
そこで、たとえば、特開平10−59549号公報(特許文献1)では、コンテナに収容した穀物や飼料などの粉粒物を、コンテナから直接工場内の最終貯槽に移送することのできる粒・粉状物の抜取装置が提案されている。
【0005】
すなわち、前記抜取装置は、粒・粉状物の輸送に用いられるコンテナの取出口に取り付けられ、コンテナ内の粒・粉状物をコンテナから抜き出す装置であって、前記取出口に固定される排出受部と、この排出受部に接続され、所定の圧力で空気が流入する空気供給口と粒・粉状物を送り出す送出口を設けた搬送部とを有することを特徴としてもので、前記コンテナは、所定角度に傾けることにより傾斜時、下端側に設けた送風口から粒・粉状物を抜き出すものであって、前記排出受部と前記搬送部との間にロータリーバルブを設けたことを特徴とするものである。
【特許文献1】特開平10−59549号公報(特許請求の範囲、図1および図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載の発明は、コンテナの取出口部分に取り付けられる受け部材(排出受け部)と、やはりコンテナの端面に取り付けられる架台上の載置された搬送管(搬送部)とを有し、これらをフレキシブルチューブにより連結した構造を有する。
この抜出装置はユニットとして構成され、樹脂ペレットなどの粉粒体の抜出し作業時、通常は、トレーラ上のコンテナ部分に取付けられて使用されるもので、使用に際しては、前記搬送管の空気供給口及び送出口に各々ホースを接続し、それぞれ空気供給側のホースは空気供給装置に、また送出側のホースは貯槽に接続して行なうものである。
【0007】
したがって、輸送トラクタから地下貯槽へ一旦粉粒物を移していた従来作業に比べ、コンテナから直接、粉粒物を最終貯槽へ移送することができ、作業効率を大幅に向上させることができるという作用効果が認められるものの、抜取装置の駆動に際しては、工場内に配置されている空気供給装置を使用することが前提であるので、工場側では付帯設備の軽減にはならず、当該空気供給装置のある場所にトレーラを駐車させる必要がある。
【0008】
この発明はかかる現状に鑑み、工場側に求められる設備を、貯蔵槽への搬送用配管設備など最小限度に抑えることのできる粉粒体の搬送用トレーラを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、この発明の請求項1に記載の発明は、
トレーラ主体の底面部にブロアを配置し、
前記ブロアの送風口を、トレーラ主体の後部に開口させたこと
を特徴とする粉粒体の搬送用トレーラである。
【0010】
また、この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の粉粒体の搬送用トレーラにおいて、
前記ブロアは、
前記トレーラを牽引するトラクタに搭載された電源で駆動するものであること
を特徴とするものである。
【0011】
また、この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項1に記載の粉粒体の搬送用トレーラにおいて、
前記トレーラ主体は、
前記ブロアの送風口と接続管を介して着脱自在に設けられるロータリーフィーダを具備していること
を特徴とするものである。
【0012】
また、この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3のいずれかに記載の粉粒体の搬送用トレーラにおいて、
前記トレーラ主体は、
その前部にグースネック部が一体的に突設されたものであること
を特徴とするものである。
【0013】
また、この発明の請求項5に記載の発明は、
請求項1〜4のいずれかに記載の粉粒体の搬送用トレーラにおいて、
前記トレーラ主体は、
搭載されたコンテナの前方を持ち上げて傾斜させるダンプアップ機構を有すること
を特徴とするものである。
【0014】
また、この発明の請求項6に記載の発明は、
請求項2に記載の粉粒体の搬送用トレーラにおいて、
前記ロータリーフィーダは、
トレーラ主体の前部に一体的に形成されたグースネック部に、積み下ろし自在に搭載されていること
を特徴とするものである。
【0015】
また、この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項3に記載の粉粒体の搬送用トレーラにおいて、
前記ロータリーフィーダは、
トレーラ主体の前部に一体的に形成されたグースネック部に設置されたクレーンによって、前記グースネック部に積み下ろし自在に搭載されていること
を特徴とするものである。
【0016】
また、この発明の請求項8に記載の発明は、
請求項1〜7のいずれかに記載の粉粒体の搬送用トレーラにおいて、
前記トレーラ主体は、
前縁部の近傍にブロアに空気を供給する吸気口が配置され、当該吸気口とブロアとが接続管で接続されていること
を特徴とするものである。
【0017】
また、この発明の請求項9に記載の発明は、
請求項5に記載の粉粒体の搬送用トレーラにおいて、
前記コンテナは、
プラスチックシートからなる包装体が装着自在に内装されたもので、コンテナ外から若しくはコンテナ内において粉粒体を前記包装体に供給が可能で、取出し口の開放によって内部の粉粒体を抜き取り可能にすることができるものであること
を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明の粉粒体の搬送用トレーラは、トレーラ主体の底面部にブロアが配置されているので、トラクタでコンテナを搭載したトレーラを工場の貯蔵槽の近傍に牽引し、コンテナ内の粉粒体を包装体の取出し口から貯蔵槽に繋がる配管に移送するに際し、トレーラ主体に装置したブロアを駆動させることによって、包装体から移送される粉粒体を効果的に貯蔵槽に収納することができる。
【0019】
特に、この発明においては、粉粒体を貯蔵槽に移送する空気を、トラクタに搭載された電源で駆動するブロアで発生させることができ、しかも、その電源はトラクタから供給されるので、工場側では粉粒体を搬送するためのブロア装置を必要とせず、粉粒体の配管設備が複数あれば、効率的にコンテナから貯蔵槽に粉粒体を収納することができる。
【0020】
また、この発明の粉粒体の搬送用トレーラは、コンテナから貯蔵槽に粉粒体を搬送するに際し、ブロアの送風口に連結パイプを接続するとともに、その連結パイプの先端部にロータリーフィーダを接続することによって、粉粒体をコンスタントに供給することができる。
【0021】
また、前記ロータリーフィーダをトレーラに着脱自在に搭載させておくことによって、工場側に特別な設備を設ける必要がない。
なお、ロータリーフィーダの電源は、基本的に工場側に設備されたものを使用するものであるが、その電源もトラクタに搭載する電源若しくは別途搭載する発電機を使用することによって、より工場側の設備を減らすことが可能となるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明にかかる粉粒体の搬送用トレーラの好ましい実施例を、添付の図面に基づいて具体的に説明するが、この発明は実施例にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができるものである。
【0023】
図1はこの発明にかかる粉粒体の搬送用トレーラの概略を示す平面図、図2はロータリーフィーダを搭載した状態を示す搬送用トレーラの側面図、図3は使用状態を示す側面図である。
【0024】
この発明の粉粒体の搬送用トレーラ1は、図1で明らかなように、所要間隔で配置された左右一対のメインフレーム2,2と、これらメインフレーム2,2間を連結する前後の横断フレーム3,3と、この横断フレーム3,3間に配される複数の補強フレーム4とで骨格構造が形成されたトレーラ主体STを有するものである。
【0025】
前記メインフレーム2の前方(図1の左側)は、図2で明らかなように、段部を介して一段高く形成されたグースネック部5で、前端部に設けられた基板6の裏面には、トラクタのカプラ(図示しない)と係合するカップリングピン7が垂設されている。
【0026】
また、前記グースネック部5の基端側、すなわち、段部近傍には、クレーン装置8が一体的に固定されている。
このクレーン装置8は、図2に示すように、グースネック部5上に積み下ろし自在に搭載されるロータリーフィーダ9を、地上に降ろし、あるいは地上からグースネック部5上に積み込むために使用するもので、重さ300〜500kg程度を吊上げることができる程度の簡易なカーゴクレーンであればよく、その構造については特段の制限はないものである。
【0027】
また、前記ロータリーフィーダ9は、複数の回転羽根を放射状に配設したロータをケーシング内で回転させるに際し、ホッパーなどから落下する粉粒体を前記回転羽根間に貯めて回転させ、もって粉粒体をコンスタントに送風口から送り出すように構成されたもので、コンテナCから供給される粉粒体を、逆流させることなく、また、断続させることなく工場に設けられた貯蔵槽に送り出すことができるものであれば、その構造には特段の制限はなく、市販のものを使用することができる。
なお、このロータリーフィーダ9は、使用に際して路面上を手押し方式で移動させることのできる、キャスター付きのものが好ましいものである。
【0028】
この発明の粉粒体の搬送用トレーラ1における最大の特長は、図1および図2で明らかなように、前記トレーラ主体STの床面下にブロア10を設けたことにある。
前記トレーラ主体STの前端部には、前記ブロア10に空気を供給するための吸気口10aが、また、ロータリーフィーダ9に空気を送る送風口10bがトレーラ主体STの後端部にそれぞれ配設されたもので、吸気口10aと送風口10bとは、それぞれフレキシブルパイプからなる接続管11,12によってそれぞれブロア10本体と接続されているもので、ブロア10は、トラクタに搭載された発電機構を基本的に駆動源とするものである。
【0029】
前記吸気口10aの開口位置には特段の制限はないが、送風口10bの開口位置は、可能な限りトレーラ主体STの後端側が好ましい。その理由は、トレーラ主体STに搭載されたコンテナCから送り出される粉粒体を、前記ロータリーフィーダ9を介して貯蔵槽に移送するに際し、トレーラ主体STの後端部近傍にロータリーフィーダ9を近接させて配置するためである。
なお、前記送風口10bには、トレーラ主体STの後端部近傍に配置するロータリーフィーダ9と、ブロア10とを接続するための連結パイプ13を装着させるためのコネクタ(図示せず)が設けられている。
【0030】
前記ブロア10も、コンテナCに収容された粉粒体を、ロータリーフィーダ9を介して貯蔵槽に移送するのに必要な空気力を得られるもので、好ましくはトラクタに搭載された電源を使用できるものであれば、その種類や構造には特段の制限はないものである。
【0031】
かかる構成を有する粉粒体の搬送用トレーラ1は、ロータリーフィーダ9をグースネック部5上に搭載するとともに、内部に粉粒体が収容された包装体が積み込まれたコンテナCを搭載したトレーラ主体STを、トラクタ(図示せず)によって所定の位置、すなわち、貯蔵槽近傍まで牽引する。
ついで、トレーラ主体STの前後の左右に配置されたランディングギヤ14を利用してトレーラ主体STを定位置に固定したのち、クレーン装置8を使用してグースネック部5からロータリーフィーダ9を地上に下し、ロータリーフィーダ9に付設のキャスターを利用して、図3に示すように、トレーラ主体STの後方に移動させる。
【0032】
ついで、前記ロータリーフィーダ9の吸気側に、フレキシブルパイプからなる連結パイプ13の基端を接続するとともに、その先端部をブロア10の送風口10bのコネクタと接続させ、さらに、ロータリーフィーダ9の排気側には、貯蔵槽(図示せず)と接続する受入パイプ15の一端部を接続させる。
【0033】
トレーラ主体STのグースネック部5の、後端近傍に配置された油圧装置16を使用して、コンテナCの前縁部下部を持ち上げ、角度45度にダンプアップしてコンテナCを図3に示すように傾斜させたのち、図3に示すように、コンテナCの後部に設けられた排出部とロータリーフィーダ9とを連結パイプ17で連結させる。
【0034】
なお、前記ランディングギヤ14および油圧装置16は、トレーラ主体STの床下に配置された、外部電源によって駆動するモータ、ギヤポンプ、電磁弁、オイルタンクなどから構成されるパワーユニットPUを駆動源とするものである。
【0035】
かかる手順で準備が完了すると、ブロア10を駆動させて接続管12を介してロータリーフィーダ9に空気を供給し、同時に連結パイプ17を介してロータリーフィーダ9にコンテナC内の粉粒体を供給すると、ロータリーフィーダ9に供給された粉粒体は、ロータの回転によってコンスタントに搬送パイプ15を介して貯蔵槽に移送される。
【0036】
コンテナC内の粉粒体の貯蔵槽への移送が完了すると、受入パイプ15と連結パイプ13とをロータリーフィーダ9から取外し、ロータリーフィーダ9をトレーラ主体STのグースネック部5まで搬送し、ついで、クレーン装置8を使用してロータリーフィーダ9をグースネック部5上に搭載固定する。
同時に、油圧装置16を再駆動させてコンテナCを元の状態のように復帰させ、トレーラ主体ST上に水平に戻し、一連の作業を完了させるものである。
【0037】
この発明において、コンテナC内に収容される粉粒体は、ポリエチレンシート等で形成した包装体に収容される内袋方式もあれば、コンテナC内に直接収容されるバルク方式もあるが、内袋方式の場合には、内袋の送風口とロータリーフィーダ9が、バルク方式の場合には、たとえば、特開2002−166995号公報に開示されるように、コンテナCの後部に設けられた送風口とロータリーフィーダ9とが連結パイプ17で接続される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明にかかる粉粒体の搬送用トレーラの概略を示す平面図である。
【図2】ロータリーフィーダを搭載した状態を示す搬送用トレーラの側面図である。
【図3】使用状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 粉粒体の搬送用トレーラ
ST トレーラ主体
5 グースネック部
8 クレーン装置
9 ロータリーフィーダ
10 ブロア
10a ブロアの吸気口
10b ブロアの排気口
11,12 接続管
13,17 連結パイプ
15 受入パイプ
16 油圧装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーラ主体の底面部にブロアを配置し、
前記ブロアの送風口を、トレーラ主体の後部に開口させたこと
を特徴とする粉粒体の搬送用トレーラ。
【請求項2】
前記ブロアは、
前記トレーラを牽引するトラクタに搭載された電源で駆動するものであること
を特徴とする請求項1に記載の粉粒体の搬送用トレーラ。
【請求項3】
前記トレーラ主体は、
前記ブロアの送風口と接続管を介して着脱自在に設けられるロータリーフィーダを具備していること
を特徴とする請求項1に記載の粉粒体の搬送用トレーラ。
【請求項4】
前記トレーラ主体は、
その前部にグースネック部が一体的に突設されたものであること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粉粒体の搬送用トレーラ。
【請求項5】
前記トレーラ主体は、
搭載されたコンテナの前方を持ち上げて傾斜させるダンプアップ機構を有すること
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粉粒体の搬送用トレーラ。
【請求項6】
前記ロータリーフィーダは、
トレーラ主体の前部に一体的に形成されたグースネック部に、積み下ろし自在に搭載されていること
を特徴とする請求項2に記載の粉粒体の搬送用トレーラ。
【請求項7】
前記ロータリーフィーダは、
トレーラ主体の前部に一体的に形成されたグースネック部に設置されたクレーンによって、前記グースネック部に積み下ろし自在に搭載されていること
を特徴とする請求項3に記載の粉粒体の搬送用トレーラ。
【請求項8】
前記トレーラ主体は、
前縁部の近傍にブロアに空気を供給する吸気口が配置され、当該吸気口とブロアとが接続管で接続されていること
を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の粉粒体の搬送用トレーラ。
【請求項9】
前記コンテナは、
プラスチックシートからなる包装体が装着自在に内装されたもので、コンテナ外から若しくはコンテナ内において粉粒体を前記包装体に供給が可能で、取出し口の開放によって内部の粉粒体を抜き取り可能にすることができるものであること
を特徴とする請求項5に記載の粉粒体の搬送用トレーラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−326443(P2007−326443A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158339(P2006−158339)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(000227216)日通商事株式会社 (27)
【Fターム(参考)】