説明

粉粒体材料の捕集装置

【課題】捕集ホッパー内壁面への粉粒体材料の付着を抑制し得る粉粒体材料の捕集装置を提供する。
【解決手段】下部に空気輸送される粉粒体材料を受け入れる導入口15を設け、上端部に輸送空気から粉粒体材料を分離させる分離部18を設け、下端部に粉粒体材料を排出する排出口13を設けた捕集ホッパー10を備えた粉粒体材料の捕集装置1であって、前記捕集ホッパー内には、当該捕集ホッパー内の平面視における中心部から外方側に向けて放射状に突出するとともに略上下方向に延びる形状とされた導電性材料からなる複数のフィン16が設けられ、かつこれら複数のフィンが接地される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送元から空気輸送される粉粒体材料を捕集する粉粒体材料の捕集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、下部に空気輸送される粉粒体材料を受け入れる導入口を設け、上端部に輸送空気から粉粒体材料を分離させる分離部を設け、下端部に粉粒体材料を排出する排出口を設けた捕集ホッパーが知られている。このような捕集ホッパーにおいては、空気輸送された粉粒体材料を気流作用により捕集ホッパー内において流動(攪拌・拡散)させることで、粉粒体材料から微粉や塵埃等を分離部で分離させたり、空気輸送された複数種の粉粒体材料を捕集ホッパー内において混合したりすることができるものではあった(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−161290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような捕集ホッパーにおいては、気流作用により流動する粉粒体材料同士の摩擦や粉粒体材料と捕集ホッパー内壁面との摩擦により粉粒体材料が帯電し易いという問題があった。そのため、粉粒体材料が捕集ホッパーの内壁面に静電気によって付着し、排出される際に下端部の排出口に向けてスムーズに流下しないことが考えられた。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、捕集ホッパー内壁面への粉粒体材料の付着を抑制し得る粉粒体材料の捕集装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る粉粒体材料の捕集装置は、下部に空気輸送される粉粒体材料を受け入れる導入口を設け、上端部に輸送空気から粉粒体材料を分離させる分離部を設け、下端部に粉粒体材料を排出する排出口を設けた捕集ホッパーを備えた粉粒体材料の捕集装置であって、前記捕集ホッパー内には、当該捕集ホッパー内の平面視における中心部から外方側に向けて放射状に突出するとともに略上下方向に延びる形状とされた導電性材料からなる複数のフィンが設けられ、かつこれら複数のフィンが接地されることを特徴とする。
【0007】
上記構成とされた本発明に係る粉粒体材料の捕集装置は、捕集ホッパー内に、導電性材料からなり、接地される複数のフィンを設けている。従って、捕集ホッパー内において貯留された粉粒体材料が輸送や流動によって帯電した場合にも、貯留中や排出中に粉粒体材料がこれら複数のフィンに接触することで、接地されたフィンを介して粉粒体材料の電荷を放出乃至は中和(中性化)させることができる。つまりは、粉粒体材料の帯電量を低減させることができ、捕集ホッパー内壁面への粉粒体材料の静電気による付着を抑制することができる。この結果、例えば、粉粒体材料に帯電防止剤等を添加したり、噴霧したりする必要性を低減させることもできる。
また、これら複数のフィンは、捕集ホッパー内の平面視における中心部から外方側に向けて放射状に突出するとともに略上下方向に延びる形状とされているので、粉粒体材料を流動させる際や粉粒体材料を排出する際に、これら複数のフィンが抵抗となり難い。従って、このような帯電した粉粒体材料の帯電量を低減させるためのフィンを設けた場合にも、粉粒体材料の流動や排出の妨げを抑制できるとともに、これら複数のフィンに、流動時に粉粒体材料が衝突することによって生じる粉粒体材料の帯電を抑制することができる。
【0008】
本発明においては、前記捕集ホッパーを、上部側部位が略円筒形状とされ、下部側部位が略逆円錐筒形状とされたものとし、前記フィンを、上側縁部が中心部側から外方側に向かうに従い下方側に傾斜するように形成される一方、下側縁部が中心部側から外方側に向かうに従い上方側に傾斜するように形成されたものとし、該下側縁部が前記下部側部位内壁面との間に空隙を隔てて該下部側部位内壁面に対面するように配設するようにしてもよい。
このような構成とすれば、フィンの上側縁部が中心部側から外方側に向かうに従い下方側に傾斜するように形成されているので、フィンの上側縁部への粉粒体材料の付着や堆積等を抑制することができる。また、フィンの下側縁部が、中心部側から外方側に向かうに従い上方側に傾斜するように形成され、かつ略逆円錐筒形状とされた捕集ホッパーの下部側部位内壁面との間に空隙を隔てて該下部側部位内壁面に対面するように配設されている。従って、例えば、フィンの下側縁部を捕集ホッパーの内壁面に接触させて設けた場合には、その接触部位において粉粒体材料の付着や堆積等が生じ易くなることが考えられるが、上記構成によれば、このような粉粒体材料の付着や堆積等を抑制することができる。また、上記空隙を粉粒体材料が水平方向に移動可能な寸法とすれば、捕集ホッパーに貯留された粉粒体材料が下端部の排出口から排出される際に、捕集ホッパーの横断方向において粉粒体材料の流下度合いに偏り等が生じるようなことを抑制することができ、スムーズな排出が可能となる。
【0009】
また、本発明においては、前記フィンを、前記捕集ホッパーの上端部から下方側に向けて垂れ下がるように設けられた棒状支持部材の外周に設けてもよい。
フィンの支持構造としては、例えば、捕集ホッパー内を横断する方向に架け渡されたアーム状の支持部材にフィンを支持させる構造としてもよいが、この場合には、該支持部材に粉粒体材料の付着や堆積等が生じることが考えられ、また、該支持部材が粉粒体材料の流動や排出の妨げになることも考えられる。一方、上記構成とすれば、フィンを支持する支持部材への粉粒体材料の付着や堆積等の発生を防止することができる。また、棒状支持部材は、捕集ホッパー内の平面視における中心部に上下方向に沿って設けられることとなるため、粉粒体材料の流動や排出の妨げになり難く、また、スムーズな排出を助長させる整流棒として機能させることも可能となる。
【0010】
また、本発明においては、前記棒状支持部材を、上端部が粉粒体材料を空気輸送する管路に接続され、下端部に前記導入口を設けた材料導入筒としてもよい。
このような構成とすれば、フィンの支持部材と粉粒体材料を捕集ホッパー内に導入する導入部材とを兼用させることができる。また、前記導入口が、捕集ホッパー内の平面視における中心部に設けられることとなるため、気流作用によって該導入口から捕集ホッパー内に導入される粉粒体材料を、スムーズに捕集ホッパー内の上部側に向けて拡散させることができる。
【0011】
また、本発明においては、前記フィンを、前記棒状支持部材に対して該棒状支持部材の軸線廻りに回動自在に設けるとともに、スパイラル状に形成してもよい。
このような構成とすれば、下部の導入口から導入された粉粒体材料の捕集ホッパー内における流動及び捕集ホッパー内に導入された空気による気流の両方または一方によって、スパイラル状とされたフィンが回動する。これにより、捕集ホッパー内で流動する粉粒体材料を効率的に捕集ホッパー内において攪拌・拡散させることができ、複数種の粉粒体材料を混合する場合には、効率的に混合することができる。
【0012】
また、本発明においては、前記捕集ホッパー内の下端部にイオンを導入するイオン発生装置を更に備えたものとしてもよい。
このような構成とすれば、帯電した粉粒体材料をより効果的に除電することができ、粉粒体材料の捕集ホッパー内壁面への付着をより抑制することができる。また、捕集ホッパー内の下端部にイオンを導入することで、イオンと粉粒体材料との接触効率を向上させることができ、より効率的に帯電した粉粒体材料を除電することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る粉粒体材料の捕集装置は、上述のような構成としたことで、捕集ホッパー内壁面への粉粒体材料の付着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)、(b)は、いずれも本発明の一実施形態に係る粉粒体材料の捕集装置の一例を模式的に示し、(a)は、同捕集装置の一部破断概略正面図、(b)は、(a)におけるX−X線矢視に対応させた一部省略概略横断面図、(c)は、同捕集装置の一変形例を模式的に示し、(b)に対応させた一部省略概略横断面図である。
【図2】(a)、(b)は、いずれも同捕集装置を備えた粉粒体材料の輸送システムの一例を模式的に示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係る粉粒体材料の捕集装置1は、図1(a)に示すように、粉粒体材料を空気輸送する管路としての材料輸送管路3(図2も参照)に接続され、この材料輸送管路3を介して空気輸送される粉粒体材料を捕集し、供給先2に向けて排出して供給する捕集ホッパー10を備えている。
ここに、上記粉粒体材料は、粉体・粒体状の材料を指すが、微小薄片状や短繊維片状、スライバー状の材料等を含む。
また、上記材料としては、樹脂ペレットや樹脂繊維片等の合成樹脂材料、金属材料、半導体材料、木質材料、薬品材料、食品材料等どのようなものでもよい。
また、粉粒体材料としては、例えば、合成樹脂成形品を成形する場合には、ナチュラル材(バージン材)や粉砕材、マスターバッチ材、各種添加材等が挙げられる。
【0016】
供給先2としては、当該捕集装置1において捕集した粉粒体材料を一時的に貯留する貯留タンクや貯留ホッパー等の貯留部を供給先としてもよく、また、粉粒体材料を乾燥する乾燥ホッパーを供給先としてもよい。さらには、射出成形機2A(図2参照)等の成形機を当該捕集装置1の供給先としてもよい。つまり、当該捕集装置1を、射出成形機2A上に直接的に設置する態様としてもよい。なお、供給先としての成形機は、合成樹脂成形品を成形する射出成形機に限られず、他の材料用の射出成形機としてもよく、または種々の材料用の押出成形機や圧縮成形機等の他の成形機を供給先とする態様としてもよい。また、当該捕集装置1において捕集された粉粒体材料の供給先としては、単一の供給先に限られず、複数の供給先としてもよい。
【0017】
材料輸送管路3は、粉粒体材料の輸送元(材料元)6としての材料タンク(図2参照)等に一端部が接続され、他端部が捕集ホッパー10に接続されている。輸送元6としては、材料タンクに限られず、乾燥ホッパーや、粉粒体材料を計量する計量ホッパー、複数種の粉粒体材料を所定割合で配合する配合ホッパー等としてもよい。さらには、これら各種ホッパーの下流側に設けられる一時貯留部を輸送元6としてもよい。また、材料輸送管路3を、単一の輸送元6に接続して単一の粉粒体材料を当該捕集装置1において捕集する態様に限られない。例えば、相異なる粉粒体材料をそれぞれに貯留する複数の輸送元6に材料輸送管路3を接続し、これら複数の輸送元6からの複数種の粉粒体材料を当該捕集装置1において捕集する態様としてもよい。
【0018】
捕集ホッパー10は、下部に空気輸送される粉粒体材料を受け入れる導入口15を設け、上端部に輸送空気から粉粒体材料を分離させる分離部18を設け、下端部に粉粒体材料を排出する排出口(材料排出口)13を設けた構造とされている。このような構造とされた捕集ホッパー10においては、空気輸送された粉粒体材料を気流作用により捕集ホッパー10内において流動(攪拌・拡散)させることで、粉粒体材料から微粉や塵埃等(粉塵)を分離部18で分離させたり、空気輸送される複数種の粉粒体材料を捕集ホッパー10内において混合したりすることができる。
つまり、当該捕集装置1の捕集ホッパー10は、粉粒体材料を捕集する機能に加え、粉粒体材料から粉塵を除去する粉塵除去機能や複数種の粉粒体材料を混合する混合機能を兼ね備えている。
【0019】
この捕集ホッパー10は、本実施形態では、上部側部位が略円筒形状とされた円筒部11とされ、下部側部位が略逆円錐形状とされたコニカル部12とされている。
これら円筒部11及びコニカル部12の上下寸法や径、下方に向けて先細り状とされたコニカル部12の立体角等は、気流作用により粉粒体材料がスムーズに流動し、また、スムーズに排出されるよう適宜、設定される。図例では、コニカル部12の上下寸法を円筒部11の上下寸法の1/2程度とした例を示している。
コニカル部12の下端部には、略直管状の排出管が連なるように形成されており、その下端開口が、供給先2に向けて粉粒体材料を排出する材料排出口13となる。
【0020】
円筒部11の上端部は上方に向けて開口しており、該開口は蓋部材17によって開閉自在に封止されている。この蓋部材17と円筒部11の上端部とは、アジャスターファスナー等のファスナー金具(固定止金具)によって着脱自在に固定する態様としてもよい。または、蓋部材17を蝶番等の連結部材によって回動自在に円筒部11の上端部に連結するとともに、上記同様の固定止金具によって開閉自在に固定する態様としてもよい。
なお、蓋部材17を開閉自在に円筒部11の上端部に固定する態様としては、上記した例に限られず、その他の締結手段や固定手段等を採用するようにしてもよい。
また、この蓋部材17の例えば内周側面と円筒部11の例えば上端部外周側面との間にシール部材を設けるようにしてもよい。さらには、このような蓋部材17を設けないようにしてもよい。
【0021】
分離部18は、捕集ホッパー10内に導入された粉粒体材料と空気とを分離させ得るものであればどのようなものでもよいが、輸送空気またはこれに加えて粉塵を通過させる一方、粉粒体材料の通過を阻止するパンチングメタルやメッシュ状の多孔板等からなるものとしてもよい。また、このような多孔板等に代えて、または加えて、粉塵を捕捉するフィルターを設けるようにしてもよい。
この分離部18は、捕集ホッパー10の円筒部11の上端部内側に配設され、捕集ホッパー10の下部側から導入された粉粒体材料の円筒部11の上方開口側への移動を阻止するように設けられている。
なお、この分離部18の保持態様としては、蓋部材17と円筒部11の上端部とによって挟むようにして保持する態様としてもよく、その他、種々の保持態様の採用が可能である。
【0022】
また、捕集ホッパー10の上端部には、分離部18において分離された空気(またはこれに加えて粉塵)を排出する排出口(排気口)が設けられている。本実施形態では、蓋部材17に上下に貫通する排出口を設け、この排出口に連通する接続管19を蓋部材17に固定的に設けている。本実施形態では、捕集ホッパー10は、吸引輸送によって空気輸送される粉粒体材料を捕集する態様を例示しており、この接続管19には、吸引空気源(輸送空気源)としての輸送ブロワーに一端が接続される空気吸引管路4(図2も参照)の他端が接続される。
【0023】
なお、捕集ホッパー10への粉粒体材料の空気輸送態様としては、空気吸引管路4による吸引空気の作用(負圧作用)によって吸引輸送する態様に限られず、例えば、輸送元6側に、コンプレッサー等の圧縮機(輸送空気源)を接続し、材料輸送管路3に圧縮空気を供給して圧送する態様としてもよい。この場合は、接続管19等に、排出空気に含まれる粉塵を捕捉する集塵フィルターや捕捉物を収容するダストボックス等を備えた集塵ユニットを接続するようにしてもよい。この集塵ユニットの集塵手段としては、サイクロン式フィルターやバグフィルター等を採用するようにしてもよい。
【0024】
また、捕集ホッパー10への粉粒体材料の輸送制御や、捕集ホッパー10において粉粒体材料を流動させる時間制御等は、当該捕集装置1を制御する制御部としてのCPU等によって、予め設定されたプログラムに従ってなされるものとしてもよい。例えば、流動性等の観点等から捕集ホッパー10の容量の1/4〜1/2程度の粉粒体材料が捕集ホッパー10に空気輸送されるように、CPUによって輸送ブロワー(輸送空気源)や輸送元6の排出弁等を制御するようにしてもよい。つまり、所定の輸送時間が経過するまで輸送元6の排出弁を開放させて輸送ブロワーを駆動して粉粒体材料を捕集ホッパー10へ空気輸送する態様としてもよい。なお、この場合、材料輸送管路3に粉粒体材料が残留しないよう、輸送元6の排出弁を閉止させた後、所定の遅延時間が経過するまで輸送ブロワーの駆動を継続させる態様としてもよい。また、粉粒体材料を捕集ホッパー10へ空気輸送させた後、所定の流動時間が経過するまで輸送ブロワー(輸送空気源)の駆動を継続させるようにしてもよい。この流動時間としては、粉粒体材料の種類や、捕集する粉粒体材料が単一か複数種か等に応じて、粉塵等の除去や混合が可能なように適宜設定するようにしてもよい。
【0025】
また、本実施形態に係る捕集装置1は、図1(a)、(b)に示すように、捕集ホッパー10内に、当該捕集ホッパー10内の平面視における中心部から外方側に向けて放射状に突出するとともに略上下方向に延びる形状とされた導電性材料からなる複数(図例では、3つ)のフィン16を設けている。また、これら複数のフィン16は、接地(アース)されている。
本実施形態では、これら複数のフィン16を、捕集ホッパー10の上端部から下方側に向けて垂れ下がるように設けられた棒状支持部材14の外周に設けている。図例では、これら複数のフィン16を、周方向に沿って略均等間隔を隔てて棒状支持部材14の外周に放射状に設けた例を示している。
【0026】
また、本実施形態では、これらフィン16を、当該捕集ホッパー10内の上下方向の全長に亘って設けておらず、捕集ホッパー10内の上下方向の途中部位のみに設けており、図例では、捕集ホッパー10内の概ね下側部位にフィン16を設けた例を示している。これらフィン16の上下寸法は、当該捕集ホッパー10内の上下方向の概ね全長に亘って設けるようにしてもよいが、粉粒体材料の流動性を阻害しないように捕集ホッパー10内の上下の略中心よりも下側部位に設けるようにしてもよい。これによれば、これらフィン16の上方側空間において粉粒体材料をスムーズに流動させることができる。また、これらフィン16の上下寸法は、これらフィン16の上端が当該捕集ホッパー10内における粉粒体材料の貯留レベルと同程度となるように設定するようにしてもよく、または該貯留レベルよりも僅かに高い位置若しくは僅かに低い位置となるように設定するようにしてもよい。また、粉粒体材料の流動性及び排出性等の観点からは、これらフィン16の外側縁部と捕集ホッパー10の内壁面との間に少なくとも粉粒体材料の通過が可能な空隙を設けるようにしてもよい。
【0027】
これらフィン16は、本実施形態では、略同寸同形状とされており、厚さ方向を略水平方向(粉粒体材料の自重落下方向に略直交する方向)に沿わせた薄平板状とされている。
また、本実施形態では、これらフィン16は、それぞれの上側縁部16aが中心部側から外方側に向かうに従い下方側に傾斜するように形成される一方、それぞれの下側縁部16bが中心部側から外方側に向かうに従い上方側に向けて傾斜するように形成されている。図例では、フィン16の上側縁部16aと下側縁部16bとを交差させるようにして、フィン16の外方側端部を尖頭形状とし、該外方側端部の高さ位置を、捕集ホッパー10の上部側部位内壁面としての円筒部内壁面11aと下部側部位内壁面としてのコニカル部内壁面12aとの境界部の高さ位置に概ね一致させた例を示している。なお、このようにフィン16の外方側端部を尖頭形状とする態様に代えて、該外方側端部を水平方向外方側に向く端面を有した形状としてもよい。つまり、側面視(フィン16の厚さ方向に見た状態)におけるフィン16の外郭形状が略倒三角形状(略倒五角形状)とされたものに代えて、略倒台形状とされたものとしてもよい。
【0028】
また、本実施形態では、これらフィン16のそれぞれの下側縁部16bを、コニカル部内壁面12aとの間に空隙を隔ててコニカル部内壁面12aに対面するように配設している。図例では、フィン16の下側縁部16bとコニカル部内壁面12aとを略平行に対面配置した例を示している。また、本実施形態では、この下側縁部16bとコニカル部内壁面12aとの間の空隙の寸法を、粉粒体材料の通過が可能な寸法としている。この空隙の寸法としては、粉粒体材料が当該捕集ホッパー10内において水平方向にスムーズに移動可能となるように適宜、設定するようにしてもよい。
【0029】
また、本実施形態では、フィン16に、下方側及び棒状支持部材14側に向けて開口する切欠凹所16cを形成している。図例では、フィン16の形状を、側面視において略鉤状または略鎌状の形状とし、その上端側部位を棒状支持部材14の外周面に固定し、その下側部位と棒状支持部材14との間に空隙が形成されるように切欠凹所16cを形成した例を示している。この切欠凹所16cによって形成されるフィン16の下側部位と棒状支持部材14との間の空隙の寸法は、上記同様、粉粒体材料の通過が可能な寸法としている。
なお、これらフィン16は、棒状支持部材14の外周にねじやボルト等の止具によって固定するようにしてもよく、溶接によって固定するようにしてもよい。本実施形態では、棒状支持部材14を介して当該フィン16を接地しているため、フィン16と棒状支持部材14との導電性を阻害しない固定態様としている。
【0030】
また、本実施形態では、これらフィン16が設けられる棒状支持部材14を、上端部が材料輸送管路3に接続され、下端部に空気輸送される粉粒体材料を受け入れる導入口15を設けた材料導入筒14としている。
この材料導入筒14は、捕集ホッパー10内の平面視における中心部において上下に延びるように設けられている。この材料導入筒14の上端側部位は、捕集ホッパー10の上端部に設けられた分離部18及び蓋部材17に設けられた貫通孔に挿通され、捕集ホッパー10の外方側に延出している。この上端側部位に材料輸送管路3との接続部14aが設けられている。また、この材料導入筒14は、蓋部材17に固定的に設けられており、蓋部材17を捕集ホッパー10の円筒部11から取り外すことで、この材料導入筒14をフィン16とともに捕集ホッパー10から取り外し可能な構成とされている。
【0031】
また、材料導入筒14の下端部に設けられた導入口15は、下方側に向けて開口している。また、本実施形態では、材料導入筒14は、その下端部が捕集ホッパー10の下端部の略直管状の上記排出管内に位置するように設けられている。この材料導入筒14の下端部の外周面と捕集ホッパー10の内壁面(図例では、上記排出管の内壁面)との間には、粉粒体材料の通過を可能とする間隙が形成されている。図例では、材料導入筒14を、捕集ホッパー10の下端部(図例では、上記排出管)と略同心状に設け、この材料導入筒14の下端部の外周面と捕集ホッパー10の内壁面(図例では、上記排出管の内壁面)との間の間隙を周方向に沿って略均一幅とした例を示している。
このような構成により、材料導入筒14を介してその下端開口の導入口15から捕集ホッパー10内に導入された粉粒体材料は、輸送空気によって上記間隙を通過し、上方側に向けて移動可能とされている。
この材料導入筒14及びフィン16は、導電性材料から形成されており、導電性材料としては、例えば、鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、チタン等の導電性の高い(電気伝導率が比較的に高い)金属材料としてもよい。また、蓋部材17を含む捕集ホッパー10についても上記同様の導電性材料から形成するようにしてもよく、また、接地するようにしてもよい。
【0032】
また、フィン16は、上述のように材料導入筒14を介して接地(アース)されている。この材料導入筒14の接地態様としては、材料導入筒14を、アース線を介して接地する態様としてもよく、若しくは材料導入筒14を、接地された当該捕集装置1のフレーム等に当接させて接地するようにしてもよい。または、材料導入筒14と導電関係にある捕集ホッパー10の蓋部材17やその他の部位を当該捕集装置1のフレーム等に当接させたり、アース線で接続したりすることで接地する態様としてもよい。
なお、この材料導入筒14は、上述のように蓋部材17に固定的に設け、蓋部材17に支持させるようにしてもよいが、捕集ホッパー10の円筒部11にスポーク状の支持アームを設け、該支持アームに固定支持させるようにしてもよい。また、図例では、接続部14aを含む材料導入筒14を一体的に形成したように図示しているが、接続部14aや蓋部材17との接続部位、この接続部位よりも下側部位等の全てまたは一部を別体としてボルト等の止具や溶接等によって互いに連結固定する態様としてもよい。
【0033】
また、本実施形態に係る粉粒体材料の捕集装置1は、捕集ホッパー10に貯留された粉粒体材料の排出制御が可能な材料排出部22を捕集ホッパー10の下端部に設けている。図例では、材料排出部として、捕集ホッパー10の材料排出口13を開閉するスライドダンパー22を設けた例を示している。このスライドダンパー22は、材料排出口13を開閉する弁体22bと、この弁体22bをスライドさせる弁体駆動部22aとを備えている。この弁体駆動部22aとしては、エアシリンダーや、油圧式シリンダ、電動式シリンダ、電動式ネジ軸(ボールネジ等)などを採用するようにしてもよい。
【0034】
なお、材料排出部としては、図例のようなスライドダンパー22に限られず、当該捕集装置1を制御する制御部としてのCPU等に信号線等を介して接続されて排出制御(作動制御乃至は開閉制御)されるものであればどのようなものでもよく、例えば、プッシュダンパーやフラップダンパーなどの他の開閉手段を採用するようにしてもよく、さらには、ロータリーバルブやスクリューフィーダーなどの定量供給手段を材料排出部として採用するようにしてもよい。
さらには、供給先2の態様や供給先2においてなされる粉粒体材料の処理態様等によっては、このような材料排出部22を設けないようにしてもよい。つまり、材料排出口13から供給先2へ向けて言わば垂れ流し状に粉粒体材料を排出(供給)する態様としてもよい。
なお、図1(a)において、材料排出部22の下部側に設けられた符号23に示す部材は、供給先2と接続される接続管23である。
【0035】
また、本実施形態に係る粉粒体材料の捕集装置1は、捕集ホッパー10内の下端部にイオンを導入するイオン発生装置(イオナイザー)21を備えている。図例では、このイオナイザー21が接続される接続部20を捕集ホッパー10の下端部に設けている。この接続部20は、捕集ホッパー10の上記排出管と材料排出部22との間に設けられており、この接続部20には、上下に貫通し、捕集ホッパー10の上記排出管と材料排出部22とを連通させる開口部が形成されている。この開口部の内周側面には、イオナイザー21からのイオンを捕集ホッパー10内に導入させるイオン導入口20aが設けられている。なお、このイオン導入口20aは、イオナイザー21からのイオンが、上記開口部の内周側面に沿うように平面視して概ね接線方向に導入されるように設けるようにしてもよい。
【0036】
イオナイザー21は、本実施形態では、コロナ放電式の除電器を採用しており、接続部20に接続され、イオン導入口20aに連通するチューブ21cと、このチューブ21cに接続され、放電針(電極針)やノズル、高圧電源等を含むイオナイザー本体21aと、イオナイザー本体21aに圧縮空気を供給する中継器21bとを備えている。中継器21bには、コンプレッサー等の圧縮空気源に接続される管路やこの管路を開閉する開閉弁等が設けられている。このようなイオナイザー21においては、放電針に高電圧を印加することで、コロナ放電が発生し、これにより放電針周辺の空気が分解されてイオンが発生する。このイオンが中継器21bを介してイオナイザー本体21aのノズルに供給された圧縮空気とともにチューブ21cを介してイオン導入口20aから捕集ホッパー10内に導入される。この捕集ホッパー10内に導入されたイオンが粉粒体材料に接触することで、帯電した粉粒体材料の除電がなされる。
【0037】
なお、捕集ホッパー10へのイオンの導入態様としては、当該捕集装置1の稼働中は常時、導入する態様としてもよい。または、当該捕集装置1に粉粒体材料を空気輸送している間(輸送期間)、空気輸送された粉粒体材料を流動させている間(流動期間)、流動後に粉粒体材料を貯留している間(貯留期間)及び粉粒体材料を排出している間(排出期間)のうちの少なくともいずれか一つの期間に導入する態様としてもよい。
また、コロナ放電式とされたイオナイザー21の電圧印加方式としては、DC(直流)方式、AC(交流)方式、高周波AC方式、パルス方式等どのような印加方式としてもよいがイオンバランスの安定性等の観点等からは高周波AC方式を採用するようにしてもよい。また、イオナイザー21としては、コロナ放電式の除電器に限られず、電離放射線式等の他の除電器を採用するようにしてもよい。
【0038】
上記構成とされた本実施形態に係る粉粒体材料の捕集装置1によれば、捕集ホッパー10の内壁面への粉粒体材料の付着を抑制することができる。
つまり、捕集装置1は、捕集ホッパー10内に、導電性材料からなり、接地される複数のフィン16を設けている。従って、捕集ホッパー10内において貯留された粉粒体材料が輸送や流動によって帯電した場合にも、貯留中や排出中に粉粒体材料がこれら複数のフィン16に接触することで、接地されたフィン16を介して粉粒体材料の電荷を放出乃至は中和(中性化)させることができる。つまりは、粉粒体材料の帯電量を低減させることができ、捕集ホッパー10の内壁面への粉粒体材料の静電気による付着を抑制することができる。この結果、例えば、粉粒体材料に帯電防止剤等を添加したり、噴霧したりする必要性を低減させることもできる。また、複数種の粉粒体材料を捕集ホッパー10において混合する場合には、帯電量が粉粒体材料の種類によって異なる場合があり、この場合には帯電量の多い粉粒体材料が捕集ホッパーの内壁面に付着し易くなる傾向があり、供給先2に向けて供給される混合済みの粉粒体材料の配合割合の精度が悪くなることも考えられる。本実施形態に係る粉粒体材料の捕集装置1によれば、捕集ホッパー10の内壁面への粉粒体材料の付着を抑制することができるので、このような問題も抑制することができる。
また、これら複数のフィン16は、捕集ホッパー10内の平面視における中心部から外方側に向けて放射状に突出するとともに略上下方向に延びる形状とされているので、粉粒体材料を流動させる際や粉粒体材料を排出する際に、これら複数のフィン10が抵抗となり難い。従って、このような帯電した粉粒体材料の帯電量を低減させるためのフィン16を設けた場合にも、粉粒体材料の流動や排出の妨げを抑制できるとともに、これら複数のフィン16に、流動時に粉粒体材料が衝突することによって生じる粉粒体材料の帯電を抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態では、フィン16の上側縁部16aを、中心部側から外方側に向かうに従い下方側に傾斜するように形成しているので、フィン16の上側縁部16aへの粉粒体材料の付着や堆積等を抑制することができる。また、本実施形態では、フィンの下側縁部16bを、中心部側から外方側に向かうに従い上方側に傾斜するように形成し、かつ略逆円錐筒形状とされた捕集ホッパー10のコニカル部内壁面12aとの間に空隙を隔ててコニカル部内壁面12aに対面するように配設している。従って、例えば、フィン16の下側縁部16bを捕集ホッパー10の内壁面に接触させて設けた場合には、その接触部位において粉粒体材料の付着や堆積等が生じ易くなることが考えられるが、上記構成によれば、このような粉粒体材料の付着や堆積等を抑制することができる。また、本実施形態では、上記空隙を粉粒体材料が水平方向に移動可能な寸法としているので、捕集ホッパー10に貯留された粉粒体材料が下端部の材料排出口13から排出される際に、捕集ホッパー10の横断方向において粉粒体材料の流下度合いに偏り等が生じるようなことを抑制することができ、スムーズな排出が可能となる。
【0040】
なお、フィン16の形状や、捕集ホッパー10の形状は、上記した形状に限られず、他の形状としてもよい。例えば、フィン16の上側縁部16aを中心部側から外方側に向かうに従い下方側に傾斜する傾斜形状とする態様に代えて、中心部側から外方側に向かうに従い上方側に傾斜する傾斜形状としたり、略水平形状としたりしてもよい。また、フィン16の下側縁部16bを捕集ホッパー10の内壁面に近接または当接させるようにしてもよい。また、上記では、それぞれのフィン16を同寸同形状とした例を示しているが、異なる寸法や形状とされた複数のフィンを設ける態様としてもよい。
また、フィン16の枚数は、図例のような3枚に限られず、2枚以上とすればよく、例えば、2枚〜10枚程度としてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、フィン16を、捕集ホッパー10の上端部から下方側に向けて垂れ下がるように設けられた棒状支持部材14の外周に設けている。フィン16の支持構造としては、例えば、捕集ホッパー10内を横断する方向に架け渡されたアーム状の支持部材にフィン16を支持させる構造としてもよいが、この場合には、該支持部材に粉粒体材料の付着や堆積等が生じることが考えられ、また、該支持部材が粉粒体材料の流動や排出の妨げになることも考えられる。一方、本実施形態によれば、フィン16を支持する支持部材への粉粒体材料の付着や堆積等の発生を防止することができる。また、棒状支持部材14は、捕集ホッパー10内の平面視における中心部に上下方向に沿って設けられることとなるため、粉粒体材料の流動や排出の妨げになり難く、また、スムーズな排出を助長させる整流棒として機能させることも可能となる。
【0042】
さらに、本実施形態では、フィン16の上端側部位を棒状支持部材14の外周面に固定し、その下側部位と棒状支持部材14との間に、粉粒体材料の通過が可能な空隙が形成されるように切欠凹所16cを形成している。従って、上記同様、捕集ホッパー10に貯留された粉粒体材料が下端部の材料排出口13から排出される際に、捕集ホッパー10の横断方向において粉粒体材料の流下度合いに偏り等が生じるようなことをより効果的に抑制することができ、よりスムーズな排出が可能となる。なお、このような切欠凹所16cをフィン16に設けないようにしてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、棒状支持部材14を、上端部が粉粒体材料を空気輸送する管路3に接続され、下端部に導入口15を設けた材料導入筒14としている。従って、フィン16の支持部材と粉粒体材料を捕集ホッパー10内に導入する導入部材とを兼用させることができる。また、導入口15が、捕集ホッパー10内の平面視における中心部に設けられることとなるため、導入口15から捕集ホッパー10内に導入される粉粒体材料を、スムーズに捕集ホッパー10内の上部側に向けて拡散させることができる。また、本実施形態では、この材料導入筒14を、捕集ホッパー10の下端部(図例では、上記排出管)と略同心状に設け、この材料導入筒14の下端部の外周面と捕集ホッパー10の内壁面(図例では、上記排出管の内壁面)との間の間隙を周方向に沿って略均一幅としている。従って、材料導入筒14の下端開口の導入口15から材料導入筒14の外周の全周に亘って概ね均等に粉粒体材料を捕集ホッパー10内に導入させることができ、よりスムーズに捕集ホッパー10内の上部側に向けて拡散させることができる。
【0044】
なお、複数のフィン16を支持する棒状支持部材14を、下端に導入口15を設けた材料導入筒14とする態様に代えて、捕集ホッパー10の下部に粉粒体材料を導入する導入口を別途、設ける態様としてもよい。例えば、捕集ホッパー10のコニカル部12の下部や、上記排出管等に材料輸送管路3を接続する態様としてもよい。
また、複数のフィン16を支持する態様としては、棒状支持部材14に支持させる態様に限られず、例えば、捕集ホッパー10内を横断する方向に架け渡されたアーム状の支持部材にフィン16を支持させる構造としてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、捕集装置1は、捕集ホッパー10内の下端部にイオンを導入するイオン発生装置21を備えている。従って、帯電した粉粒体材料をより効果的に除電することができ、粉粒体材料の捕集ホッパー10の内壁面への付着をより抑制することができる。また、捕集ホッパー10内の下端部にイオンを導入することで、イオンと粉粒体材料との接触効率を向上させることができ、より効率的に帯電した粉粒体材料を除電することができる。つまり、下端部から導入されたイオンは、捕集ホッパー10の上端部に設けられた排気口に向けて移動することとなるため、捕集ホッパー10内の粉粒体材料と効率的に接触し、効率的な除電が可能となる。なお、捕集ホッパー10内の下端部にイオンを導入するイオン発生装置に加えて、捕集ホッパー10内の上下の略中間部や上側部位等にイオンを導入するイオン発生装置を更に設けるようにしてもよい。さらには、このようなイオン発生装置を設けないようにしてもよい。
【0046】
なお、本実施形態に係る粉粒体材料の捕集装置1に、粉粒体材料の貯留レベルを検出する材料センサーを設け、該材料センサーの材料要求信号(材料無し信号)に基づいて、上記した輸送ブロワー等の輸送空気源を起動させ、輸送元から粉粒体材料を空気輸送させるようにしてもよい。この材料センサーを設ける位置としては、当該捕集装置1の下段に設けられた一時貯留部等に設けるようにしてもよく、例えば、接続管23を一時貯留部として把握して接続管23に設けるようにしてもよい。または、当該捕集装置1の捕集ホッパー10を貯留部とし、供給先2からの材料要求信号に基づいて材料排出部22を作動制御して全量ではなく定量乃至は所定量を供給先2に供給するような態様としたものや、材料排出部22を設けずに供給先2に向けて垂れ流し状に供給する態様としたもの等では、上記排出管や接続管23を含む捕集ホッパー10の適所に材料センサーを設けるようにしてもよい。この場合は、導入口15の高さ位置と概ね同レベルの材料レベルを検出可能な材料センサーとしてもよく、または、導入口15よりも高い材料レベルを検出可能な材料センサーとしてもよい。
【0047】
次に、本実施形態に係る粉粒体材料の捕集装置の一変形例について図1(c)に基づいて説明する。
なお、上記した例と同様の構成については、同一符号を付して、その説明を省略または簡略に説明する。
本変形例に係る粉粒体材料の捕集装置1Aは、捕集ホッパー10A内に設けられた棒状支持部材(材料導入筒)14Aに支持された複数のフィン16Aが、上記した例とは主に異なる。
【0048】
本変形例では、複数のフィン16Aを、材料導入筒14Aに対して材料導入筒14Aの軸線廻り(つまりは水平面域方向)に回動自在に設けている。図例では、材料導入筒14Aの外周に、円筒形状のカラー状のフィン連結部材16dを回動自在に設け、このフィン連結部材16dの外周に複数のフィン16Aを固定的に設けた例を示している。
また、これら複数のフィン16Aは、スパイラル状に形成されており、下部の導入口15から導入された空気による気流及び該気流により流動する粉粒体材料の両方または一方によって、これら複数のフィン16Aが材料導入筒14Aの軸線廻りに回動するように形成されている。このようなフィン16Aの形状としては、フィン16A自体をスパイラル状にひねった形状としてもよく、フィン16Aの基端部を斜めにフィン連結部材16dに固定することでスパイラル状に形成するようにしてもよい。
【0049】
上記構成とされた本変形例に係る粉粒体材料の捕集装置1Aにおいても上記した例と概ね同様の効果を奏する。
また、本変形例においては、下部の導入口15から導入された粉粒体材料の捕集ホッパー10内における流動及び捕集ホッパー10内に導入された空気による気流の両方または一方によって、スパイラル状とされたフィン16Aが回動する。これにより、捕集ホッパー10内で流動する粉粒体材料を効率的に捕集ホッパー10内において攪拌・拡散させることができ、複数種の粉粒体材料を混合する場合には、効率的に混合することができる。
【0050】
次に、本実施形態に係る粉粒体材料の捕集装置1(1A)を備えた粉粒体材料の輸送システムAの一例について図2に基づいて説明する。なお、本例に係る輸送システムAには、上記した各例の捕集装置1(1A)の適用が可能であるが、以下では捕集装置1を適用した場合について説明する。
本例に係る輸送システムAは、輸送元としての材料タンク6と、この材料タンク6から空気輸送される粉粒体材料を捕集する捕集装置1と、この捕集装置1の供給先となり、また、捕集装置1において捕集した粉粒体材料を一時的に貯留する一時貯留部2と、材料タンク6から捕集装置1に粉粒体材料を空気輸送する空気輸送手段と、を備えている。
【0051】
一時貯留部2は、捕集装置1の下方側に設けられるとともに、射出成形機等の成形機2A上に配設されている。この一時貯留部2には、当該一時貯留部2における粉粒体材料の貯留レベルを検出する材料センサーが設けられている。
空気輸送手段は、材料タンク6と捕集装置1とを接続する材料輸送管路3と、捕集装置1に接続された空気吸引管路4と、この空気吸引管路4に接続された吸引輸送機8とを備えている。
吸引輸送機8は、輸送空気源としての輸送ブロワーや、この輸送ブロワーの羽根車を回転駆動する駆動モーター、輸送ブロワーの吸込み側に設けられた上記同様の集塵ユニット等を備えている。なお、この吸引輸送機8に、当該輸送システムAの各部を制御するCPU等からなる制御部等を備えた制御盤を設けるようにしてもよく、この制御盤に設けられた制御部等によって捕集装置1を制御する態様としてもよい。また、空気吸引管路4には、当該空気吸引管路4内の圧力を検出する圧力センサーや圧力ゲージ等の圧力計を設けるようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、吸引輸送機8の輸送ブロワーの吐出側と材料タンク6近傍の材料輸送管路3とを接続する循環管路5を設けている。
この循環管路5の材料タンク6側の端部には、輸送・循環切替弁7が配設されている。この輸送・循環切替弁7は、材料タンク6を材料輸送管路3に連通させる状態と循環管路5を材料輸送管路3に連通させる状態とに切り替え可能とされている。
また、循環管路5の輸送ブロワー側の端部には、排気・循環切替弁9が配設されている。この排気・循環切替弁9は、輸送ブロワーの吐出側を排気管5aに連通させる状態と輸送ブロワーの吐出側を循環管路5に連通させる状態とに切り替え可能とされている。なお、排気管5aには、排気音を抑制するサイレンサー等を設けるようにしてもよい。
【0053】
上記構成とされた輸送システムAにおいては、当該輸送システムAの各部を制御するCPU等からなる制御部によって、予め設定されたプログラムに従って以下のような動作が実行されるものとしてもよい。
成形機2Aにおいて粉粒体材料が消費(処理)されるに伴って、一時貯留部2の粉粒体材料の貯留レベルが低下し、この一時貯留部2に設けられた材料センサーから材料要求信号(材料無し信号)が出力される。この材料要求信号が出力されれば、捕集装置1の材料排出部22を制御し、捕集装置1の捕集ホッパー10に貯留された粉粒体材料を排出させて、一時貯留部2に投入する(図1(a)も参照)。本実施形態では、スライドダンパー22を所定の排出時間が経過するまで開放させ、該排出時間が経過すれば閉止させる。この排出時間は、捕集装置1の捕集ホッパー10に貯留された粉粒体材料の略全量が排出される時間とすればよい。これにより、捕集装置1の捕集ホッパー10に貯留された粉粒体材料の略全量が排出され、捕集ホッパー10への補給動作を実行させる。
【0054】
上記補給動作においては、図2(a)に示すように、輸送・循環切替弁7を、材料タンク6を材料輸送管路3に連通させる状態とし、排気・循環切替弁9を、輸送ブロワーの吐出側を排気管5aに連通させる状態とする。そして、吸引輸送機8の輸送ブロワーを所定の輸送時間が経過するまで駆動する。また、上記材料要求信号が出力された後、所定の遅延時間が経過した後に、輸送ブロワーを起動させるようにしてもよい。この遅延時間は、上記材料センサーの誤検知等を防ぐ観点等から設定するようにしてもよく、例えば、数秒程度としてもよい。また、輸送ブロワーを起動させた後、輸送ブロワーの駆動モーターの立ち上がり時間等を考慮して、所定の遅延時間が経過すれば、材料タンク6の排出弁を所定の開放時間が経過するまで開放させるようにしてもよい。この開放時間は、上記したように、捕集ホッパー10の容量の1/4〜1/2程度の粉粒体材料が捕集ホッパー10に空気輸送されるように適宜設定するようにしてもよい。また、上記した各遅延時間を設けない場合には、この開放時間を上記輸送時間として把握してもよい。
これにより、材料タンク6に貯留された粉粒体材料が、材料輸送管路3を介して捕集装置1の捕集ホッパー10に向けて吸引空気により輸送され、捕集ホッパー10において捕集される。
【0055】
上記開放時間が経過すれば、材料タンク6の排出弁を閉鎖し、また、図2(b)に示すように、輸送・循環切替弁7を、循環管路5を材料輸送管路3に連通させる状態とし、排気・循環切替弁9を、輸送ブロワーの吐出側を循環管路5に連通させる状態とする。この状態では、捕集装置1の捕集ホッパー10と吸引輸送機8の輸送ブロワーとが材料輸送管路3、空気吸引管路4及び循環管路5によって閉ループ状に接続され、略密閉された各管路及び捕集ホッパー10を空気が循環する閉ループ状態とされる。
この閉ループ状態において、所定の流動時間が経過するまで輸送ブロワーの駆動を継続させるようにしてもよい。この流動時間は、上記したように、粉粒体材料の種類や、捕集する粉粒体材料が単一か複数種か等に応じて、粉塵等の除去や混合が可能なように適宜設定するようにしてもよい。
【0056】
上記流動時間が経過すれば、吸引輸送機8の輸送ブロワーを停止させる。この状態では、材料輸送管路3を介して空気輸送された粉粒体材料が捕集ホッパー10に貯留された状態となり、供給先2からの材料要求信号が出力されるまで待機状態となる。上記したフィン16による帯電した粉粒体材料の除電作用は、主にはこの待機状態の間になされる。そのため、フィン16による粉粒体材料の帯電量の減衰が効果的になされるように、この待機状態が所定の静置時間に近づくまでまたは該静置時間以上、維持されるものとしてもよい。このような静置時間としては、粉粒体材料の種類等に応じて経験的または実験的に設定するようにしてもよい。また、一般的には、捕集ホッパー10に貯留された粉粒体材料が供給先2の材料要求信号に基づいて排出されるまでに、ある程度の時間があることが多いため、上記のような静置時間を設定しないようにしてもよい。
【0057】
そして、上記同様、供給先2の材料要求信号に基づいて、捕集装置1の材料排出部22を制御して粉粒体材料を排出させる排出動作、及び上記補給動作を繰り返し実行させる態様としてもよい。
なお、上記した輸送時間や各種の遅延時間、開放時間、流動時間等は、予め設定して、上記制御盤に設けられた記憶部等に格納させておくようにしてもよく、また、上記制御盤に設けられた表示操作部等から事前設定入力項目として設定入力させるようにしてもよい。また、これら各種の時間を変更可能なようにしてもよい。
【0058】
上記構成とされた本例に係る粉粒体材料の輸送システムAによれば、本実施形態に係る粉粒体材料の捕集装置1(1A)を備えているので、捕集ホッパー10(10A)から供給先2に向けて粉粒体材料をスムーズに排出(供給)させることができる。
また、上記した例では、捕集ホッパー10において捕集した粉粒体材料を流動させる際に、輸送ブロワーと捕集ホッパー10とを閉ループ状に接続して空気を循環させて流動させる態様としている。従って、略密閉された各管路及び捕集ホッパー10を空気が循環するので、排気量を比較的に少なくすることができ、または排気を略なくすことができ、騒音を低減させることができる。
【0059】
なお、上記した循環管路5や輸送・循環切替弁7、排気・循環切替弁9等を設けないようにしてもよい。
また、本実施形態に係る粉粒体材料の捕集装置1(1A)が組み込まれる粉粒体材料の輸送システムAとしては、上記した例に限られず、少なくとも本実施形態に係る粉粒体材料の捕集装置1(1A)と、輸送元6の粉粒体材料を捕集装置1(1A)の捕集ホッパー10(10A)に空気輸送する空気輸送手段と、この空気輸送手段を制御するCPU等からなる制御部とを備えた輸送システムAとしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1,1A 粉粒体材料の捕集装置
10,10A 捕集ホッパー
11 円筒部(上部側部位)
11a 円筒部内壁面
12 コニカル部(下部側部位)
12a コニカル部内壁面
13 排出口
14,14A 材料導入筒(棒状支持部材)
15 導入口
16,16A フィン
16a 上側縁部
16b 下側縁部
21 イオナイザー(イオン発生装置)
3 材料輸送管路(粉粒体材料を空気輸送する管路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部に空気輸送される粉粒体材料を受け入れる導入口を設け、上端部に輸送空気から粉粒体材料を分離させる分離部を設け、下端部に粉粒体材料を排出する排出口を設けた捕集ホッパーを備えた粉粒体材料の捕集装置であって、
前記捕集ホッパー内には、当該捕集ホッパー内の平面視における中心部から外方側に向けて放射状に突出するとともに略上下方向に延びる形状とされた導電性材料からなる複数のフィンが設けられ、かつこれら複数のフィンが接地されることを特徴とする粉粒体材料の捕集装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記捕集ホッパーは、上部側部位が略円筒形状とされ、下部側部位が略逆円錐筒形状とされており、
前記フィンは、上側縁部が中心部側から外方側に向かうに従い下方側に傾斜するように形成される一方、下側縁部が中心部側から外方側に向かうに従い上方側に傾斜するように形成されており、該下側縁部が前記下部側部位内壁面との間に空隙を隔てて該下部側部位内壁面に対面するように配設されていることを特徴とする粉粒体材料の捕集装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記フィンは、前記捕集ホッパーの上端部から下方側に向けて垂れ下がるように設けられた棒状支持部材の外周に設けられていることを特徴とする粉粒体材料の捕集装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記棒状支持部材は、上端部が粉粒体材料を空気輸送する管路に接続され、下端部に前記導入口を設けた材料導入筒であることを特徴とする粉粒体材料の捕集装置。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記フィンは、前記棒状支持部材に対して該棒状支持部材の軸線廻りに回動自在に設けられるとともに、スパイラル状に形成されていることを特徴とする粉粒体材料の捕集装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
前記捕集ホッパー内の下端部にイオンを導入するイオン発生装置を更に備えていることを特徴とする粉粒体材料の捕集装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−81917(P2013−81917A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224829(P2011−224829)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000146054)株式会社松井製作所 (70)
【Fターム(参考)】