説明

粉粒状体給送装置

【課題】ホッパー体内に移動部材をホッパー体の内壁面に沿って往復移動自在に設け、移動部材を移動させる往復移動機構を設けているから、移動部材の往復移動によって粉粒状体に振動刺激を与えることにより、粉粒状体がスクリュウ体の上方で停留してスクリュウ体の近傍が空洞化する現象、所謂ブリッジ現象を崩し、ブリッジ現象の発生を阻止することができ、スクリュウ体により粉粒状体の給送を円滑に行うことができる。
【解決手段】粉粒状体Wを収納可能なホッパー体1と、ホッパー体の底部に回転自在に横設され、粉粒状体を回転移送可能なスクリュウ体2とからなり、ホッパー体内に移動部材5をホッパー体の内壁面に沿って往復移動自在に設け、移動部材を移動させる往復移動機構8を設けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば各種の薬剤やチップ材等の粉粒状体の給送に用いられる粉粒状体給送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の粉粒状体給送装置として、粉粒状体を収納可能なホッパー体と、ホッパー体の底部に回転自在に横設され、該粉粒状体を回転移送可能なスクリュウ体とからなる構造のものが知られている。
【特許文献1】実公昭59−35467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながらこれら従来構造の場合、ホッパー体内の粉粒状体がスクリュウ体の回転により移送されるに際し、粉粒状体がスクリュウ体の上方で停留してスクリュウ体の近傍が空洞化する現象、所謂ブリッジ現象が生じ、スクリュウ体により粉粒状体の給送が円滑に行われないことがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、粉粒状体を収納可能なホッパー体と、該ホッパー体の底部に回転自在に横設され、該粉粒状体を回転移送可能なスクリュウ体とからなり、上記ホッパー体内に移動部材を該ホッパー体の内壁面に沿って往復移動自在に設け、該移動部材を移動させる往復移動機構を設けてなることを特徴とする粉粒状体給送装置にある。
【0005】
又、請求項2記載の発明は、上記往復移動機構として、上記ホッパー体内に回転軸を架設し、該回転軸に駆動部材を設け、上記移動部材に該駆動部材に係合離反可能な係合部材を設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記回転軸に上記ホッパー体内の粉粒状体を攪拌可能な攪拌部材を設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項4記載の発明は、上記回転軸と上記スクリュウ体との間に回転伝導機構を設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項5記載の発明は、上記移動部材を強制移動可能なバネ機構を設けてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、ホッパー体内に移動部材をホッパー体の内壁面に沿って往復移動自在に設け、移動部材を移動させる往復移動機構を設けているから、移動部材の往復移動によって粉粒状体に振動刺激を与えることにより、粉粒状体がスクリュウ体の上方で停留してスクリュウ体の近傍が空洞化する現象、所謂ブリッジ現象を崩し、ブリッジ現象の発生を阻止することができ、スクリュウ体により粉粒状体の給送を円滑に行うことができる。
【0007】
又、請求項2記載の発明にあっては、、上記往復移動機構として、上記ホッパー体内に回転軸を架設し、回転軸に駆動部材を設け、上記移動部材に駆動部材に係合離反可能な係合部材を設けてなるから、回転軸の回転の途中で駆動部材が係合部材に係合し、この係合により移動部材は移動し、更なる回転軸の回転により駆動部材は係合部材から離反し、この離反により移動部材は戻動し、回転軸の回転によりこれを繰り返して移動部材は往復移動することになり、往復移動機構の構造を簡素化することができ、装置の保守保全を容易に行うことができると共に製作コストの低減を図ることができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記回転軸に上記ホッパー体内の粉粒状体を攪拌可能な攪拌部材を設けてなるから、攪拌部材により粉粒状体を攪拌することができ、一層、スクリュウ体により粉粒状体の給送を円滑に行うことができ、又、請求項4記載の発明にあっては、上記回転軸と上記スクリュウ体との間に回転伝導機構を設けてなるから、スクリュウ体の駆動源により往復移動機構を駆動することができ、一層構造を簡素化することができ、又、請求項5記載の発明にあっては、上記移動部材を強制移動可能なバネ機構を設けているから、バネ機構により移動部材を強制的に移動することができ、一層ブリッジ現象の発生を阻止することができ、スクリュウ体により粉粒状体の給送を円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1乃至図7は本発明の実施の形態例を示し、図1乃至図6は実施の第一形態例、図7は実施の第二形態例である。
【0009】
図1乃至図6は実施の第一形態例において、1はホッパー体であって、この場合、粉粒状体を収納可能な四個の側壁1a・・・からなる漏斗状の四角錐状に形成され、このホッパー体1の底部にスクリュウ体2を回転自在に横設し、このスクリュウ体2はスクリュウ軸2a及びスクリュウ羽根2bからなり、このスクリュウ体2のスクリュウ軸2aをモータ3により伝導機構4を介して回転し、スクリュウ体2の回転により粉粒状体Wを回転移送可能に設けて構成している。
【0010】
5は移動部材であって、この場合、板状に形成され、ホッパー体1の垂直な側壁1aの内壁面1bに沿ってガイド部材6により上下往復移動自在に設け、移動部材5の上部にガイド部材6の上面に当接可能なストッパー材7を設け、この移動部材5を上下動作させる往復移動機構8を設けて構成している。
【0011】
この場合、上記往復移動機構8として、上記ホッパー体1内に回転軸9を架設し、回転軸9にアーム状の駆動部材10を突設し、上記移動部材5に駆動部材10に係合離反可能な係合部材11を設け、かつ、回転軸9に上記ホッパー体1内の粉粒状体Wを攪拌可能な攪拌部材12を突設し、回転軸9とスクリュウ体2との間にベルト式の回転伝導機構13を設けて構成している。
【0012】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、ホッパー体1に粉粒状体Wを投入収納し、ホッパー体1の底部に回転自在に横設されたスクリュウ体2の回転により粉粒状体Wは回転移送されて排出口部Fより順次排出されることになり、この際、上記ホッパー体1内に移動部材5をホッパー体1の内壁面1bに沿って往復移動自在に設け、移動部材5を移動させる往復移動機構8を設けているから、移動部材5の往復移動によって粉粒状体Wに振動刺激を与えることにより、粉粒状体Wがスクリュウ体2の上方で停留してスクリュウ体2の近傍が空洞化する現象、所謂ブリッジ現象を崩し、ブリッジ現象の発生を阻止することができ、スクリュウ体2により粉粒状体Wの給送を円滑に行うことができる。
【0013】
この場合、上記移動部材5は上下往復移動動作するので、移動部材5により粉粒状体Wはスクリュウ体2に向かって押し出されることになり、スクリュウ体2により粉粒状体Wの給送を一層円滑に行うことができる。
【0014】
又、この場合、上記往復移動機構8として、上記ホッパー体1内に回転軸9を架設し、回転軸9に駆動部材10を設け、上記移動部材5に駆動部材10に係合離反可能な係合部材11を設けてなるから、図5及び図6の如く、回転軸9の回転の途中で駆動部材10が係合部材11に係合し、この係合により移動部材5は上昇移動し、更なる回転軸9の回転により駆動部材10は係合部材11から離反し、この離反により移動部材5はガイド部材6の上面にストッパー材7が当接するまで自重によって下降戻動し、回転軸9の回転によりこの上昇下降を繰り返して移動部材5は往復移動することになり、往復移動機構8の構造を簡素化することができ、装置の保守保全を容易に行うことができると共に製作コストの低減を図ることができ、又、この場合、上記回転軸9に上記ホッパー体1内の粉粒状体Wを攪拌可能な攪拌部材12を設けてなるから、攪拌部材12により粉粒状体Wを攪拌することができ、一層、スクリュウ体2により粉粒状体Wの給送を円滑に行うことができ、又、この場合、上記回転軸9と上記スクリュウ体2との間に回転伝導機構13を設けてなるから、スクリュウ体2の駆動源により往復移動機構8を駆動することができ、一層構造を簡素化することができる。
【0015】
図7の第二形態例は別例構造を示し、この場合、上記移動部材5を下向きに強制移動可能なバネ機構14を設けてなり、即ち、上記ホッパー体1の側壁1aにバネ掛けピン14aを突設し、移動部材5に他のバネ掛けピン14bを突設し、このバネ掛けピン14aとバネ掛けピン14bとの間にバネ部材14cを掛架して構成している。尚、回転軸9を逆に回転させ、駆動部材10により移動部材5を下方に押圧する構造とした場合には、上記移動部材5を上向きに強制移動可能なバネ機構14として構成することもできる。
【0016】
この第二形態例にあっては、上記第一形態例と同様な作用効果を得ることができると共にこの場合上記移動部材5を下向きに強制移動可能なバネ機構14を設けているから、移動部材5の自重に加えてバネ機構14により移動部材を強制的に移動することができ、一層ブリッジ現象の発生を阻止することができ、スクリュウ体2により粉粒状体Wの給送を円滑に行うことができる。
【0017】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られものではなく、ホッパー体1、スクリュウ体2、移動部材5、往復移動機構8等の構造は適宜適宜設計して変更されるものである。
【0018】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の第一形態例の全体側断面図である。
【図2】本発明の実施の第一形態例の全体平断面図である。
【図3】本発明の実施の第一形態例の部分斜視図図である。
【図4】本発明の実施の第一形態例の全体斜視図である。
【図5】本発明の実施の第一形態例の部分断面図である。
【図6】本発明の実施の第一形態例の部分断面図である。
【図7】本発明の実施の第二形態例の部分断面図である。
【符号の説明】
【0020】
W 粉粒状体
1 ホッパー体
2 スクリュウ体
5 移動部材
8 往復移動機構
10 駆動部材
11 係合部材
12 攪拌部材
13 回転伝導機構
14 バネ機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒状体を収納可能なホッパー体と、該ホッパー体の底部に回転自在に横設され、該粉粒状体を回転移送可能なスクリュウ体とからなり、上記ホッパー体内に移動部材を該ホッパー体の内壁面に沿って往復移動自在に設け、該移動部材を移動させる往復移動機構を設けてなることを特徴とする粉粒状体給送装置。
【請求項2】
上記往復移動機構として、上記ホッパー体内に回転軸を架設し、該回転軸に駆動部材を設け、上記移動部材に該駆動部材に係合離反可能な係合部材を設けてなることを特徴とする請求項1記載の粉粒状体給送装置。
【請求項3】
上記回転軸に上記ホッパー体内の粉粒状体を攪拌可能な攪拌部材を設けてなることを特徴とする請求項1又は2記載の粉粒状体給送装置。
【請求項4】
上記回転軸と上記スクリュウ体との間に回転伝導機構を設けてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉粒状体給送装置。
【請求項5】
上記移動部材を強制移動可能なバネ機構を設けてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉粒状体給送装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−89175(P2006−89175A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−274376(P2004−274376)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(304044070)株式会社タグメック (1)
【Fターム(参考)】