説明

粒子の形成

【課題】粒子の形成を提供する。
【解決手段】物質の粒子の製造方法が記載されるが、ここで溶媒中の物質の溶液が超臨界流体中に少なくとも1回のショットで供給される。前記超臨界流体は、前記物質にとって非溶媒であり且つ前記溶媒と混和性である。前記溶媒と前記超臨界流体の混合物中に分散された前記物質の粒子が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小粒子の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬化合物の粒子径を減少させることの利点はよく知られている。一般に微細化として言及される、医薬品化合物の粒子径における減少は、溶解プロファイルにおける改善並びに送達のより簡便な方法をもたらす。濃密ガス(DG)技術を用いる医薬品化合物の微細化のより一般的な技術は、超臨界急速膨張(RESS)法、貧溶媒添加(GAS)法、エアロゾル溶媒抽出システム(ASES)法及びより最近では、超臨界膨張流体有機溶媒減圧(Depressurization of an Expanded Liquid
Organic Solvent)(DELOS)法を含む。その膨大な存在量及び適用性の容易さにより、二酸化炭素(CO2)が一般的にDGとして使用されている。RE
SS及びDELOS法は、医薬品化合物加工のための溶媒及び/又は共溶媒として濃縮又は超臨界CO2を利用するが、GAS及びASES法は、医薬品化合物を含む有機溶媒中
での濃縮されたCO2の貧溶媒効果を活用する。
【0003】
これらの方法の主要な特徴を以下に概略する。
GAS:溶解した医薬品化合物(類)を含む溶液又は使用液の体積量を大気圧で密封容器中に導入する。貧溶媒がその後、スパージャーを介して底から容器中に導入される。この使用液が膨張され、事前に溶解した化合物の沈殿が生じる。沈殿物は容器の先端からの二酸化炭素(CO2)の通過により洗浄される。
【0004】
ASES:ASESはまた、超臨界貧溶媒システム(SAS)としても知られている。ASES法に技術的に類似した別の方法は、超臨界流体による溶液の促進分散法(SEDS)である。ASESにおいて、使用液は、毛細管ノズル(ミクロンのサイズ範囲)を介して貧溶媒を含む容器中に一定の流速で物理的に注ぎ込まれる。使用液の流速は、典型的には、0.1ないし4mL/分の範囲である。異なるノズル形態は、使用液が貧溶媒に並流して導入される場合に存在し、該ノズルは超音波等で活性化される。SEDSを用いて、使用液は貧溶媒と共に同軸上に導入され、2者間のより良い混合をもたらす。使用液の供給、例えば、散布の後、沈殿物は残存する溶媒を除去するためにCO2で洗浄される。
【0005】
DELOS:使用液は、密封容器中に導入され、次に、GAS法と類似であるが沈殿を生じることなく、CO2を用いて部分膨張される。膨張した溶液はその後、等圧条件下で別
の容器中へバルブを介してゆっくり減圧される。CO2フラッシュのような、膨張した使
用液の臨界冷却の結果として、減圧にともなって沈殿が生じる。沈殿物は、低圧で通過するCO2又は窒素により洗浄される。
【0006】
RESS:RESSは、上述の方法とは技術的に異なっている。RESSは医薬品化合物を溶解するための主溶媒として超臨界流体を使用する。有機溶媒は、超臨界二酸化炭素中の医薬品化合物の溶解性を変性/増加するために、極小量で(たとえあったとしても)添加される。そのため、医薬品化合物は、容器の外へ固体医薬品化合物が同時に動くのを防ぐために、出口にフリットを備えた密封容器中に装填される。容器は、医薬品化合物の溶解を可能にする操作条件で超臨界流体で加圧される。必要であれば、有機溶液(共溶媒)が超臨界相内への医薬品化合物の溶解性を変性及び増加するために添加され得る。医薬品化合物で超臨界二酸化炭素を飽和させた後、該超臨界流体は毛細管ノズルを介して別の容器中へ減圧されて大幅に低い圧力となる。超臨界流体の減圧は、その溶解力の劇的な低下を引き起こし、事前に溶解した医薬品化合物の沈殿がもたらされる。沈殿物は第二容器中
に、典型的にはフィルターを用いて保有される。
【0007】
SEDS及びSASのような、幾つかの結晶化技術は、沈殿のための使用液を霧化するために、毛細管ノズル及び低い流速(0.1ないし4mL/分)を使用する。そのような低い使用液の供給速度は、非常に長時間で退屈な操作を生じる。現存するSCF(超臨界流体)再結晶技術は、貧溶媒を使用液に導入するか又は反対に、徐々に溶出量中に導入して濃度勾配の形成をもたらす。結果として、局在化した濃度に依存して、異なる速度で第二の核形成及び結晶成長が生じる。このことは、幅広い粒度分布及び一貫性のない結果を導き得る。
【0008】
先行技術の方法は、ノズル、流速等のスケール因子により、実験室規模から製造規模へのスケールアップがしばしば困難である。正確な使用液/貧溶媒の比率もまた、例え規定することが不可能でなかったとしても、しばしば難しい。上記方法の幾つかは、極めて複雑な装置を必要とし、結果として更なる装置費用が生じる。現存する方法は、増加された使用液の流速の機能としての毛細管ノズル噴霧パターンが予測困難であるため、一般的にスケールアップが困難であることが分る(ASES/SAS)。同様に、これらの方法は、超臨界装置の複雑な設計、例えば、SEDSでのノズル設計の幾何学的外挿を必要とする。現存する方法において使用される毛細管ノズルは、使用液の霧化を妨げるノズルチップにおける沈殿物の形成及び沈殿物による目詰まりを起こす傾向にある。加えて、現存する方法は、沈殿チャンバー内に存在する濃度勾配で作動する。これらの方法のスケールアップ装置は、これらの濃度勾配の位置及び性質を変更することが考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的
本発明の目的は、上記不都合を実質的に克服するか又は上記不都合の少なくとも1つ以上を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
本発明の第一観点において、
・溶媒中の物質の溶液を超臨界流体中に少なくとも1回のショットで供給する工程であって、前記超臨界流体は、前記物質にとって非溶媒であり且つ前記溶媒と混和性であるところの工程、及び
・前記物質の粒子を形成する工程であって、前記粒子は、前記溶媒と前記超臨界流体の混合物中に分散されるところの工程
を含む物質の粒子の製造方法が提供される。
【0011】
本方法は、霧化をもたらすために毛細管ノズル又は開口部を使用することなく行い得る。
供給の工程は溶液の単回ボーラス供給として行われ得る。それは、溶液を超臨界流体中に1回のショットで供給(例えば、注入)することを含み得る。それは、超臨界流体中への溶液の流速が少なくとも約1L/s、又は、約1ないし約100L/sで行われ得る。供給は瞬時又は瞬時に近く又は迅速であり得る。それは約0.1ないし500msの間隔内で起こり得る。溶液を供給する工程は、前記供給のための時間が粒子の形成のための時間よりも短いほど、十分に迅速であり得る。供給の速度は溶液の液滴が、粒子を形成する前に超臨界流体全体に亘って分散されるほど、十分に迅速であり得る。供給の速度は溶液の液滴が、粒子を形成する前に超臨界流体全体に亘って分散されるほど、十分に活性化され得る。それは、溶液が、前記供給に続いて超臨界流体全体に亘って分散されるほど、十分に迅速であり得、及び/又は活性化され得る。それは、溶液の液滴が、前記供給に続い
て超臨界流体全体に亘って実質的に均一に又は均一に分散されるほど、十分に迅速であり得、及び/又は活性化され得る。
【0012】
1回を超えるショットが使用される場合、該ショットは、同一又は異なる沈殿チャンバーの中へ行なわれ得る。1回を超えるショットが使用され且つ同一の沈殿チャンバーの中へ行なわれる場合、それらは実質的に同時又は同時であるべきである。ショット(複数回)が異なる沈殿チャンバー内に入れられる場合、それらは同時であり得るか又は同時であり得ない。
【0013】
これに関連して、用語“実質的に同時”とは本方法によって形成された粒子の粒子径が1回のショットから得られるものと同じか又はそれより小さいぐらい十分に隙間がない事象のことを指している。ショット(複数回)は約500ms未満又は約100若しくは10ms未満で、或いは約0ないし約500msの間、約0ないし約100msの間又は約0ないし10msの間で分離され得る。
【0014】
供給の工程において、溶媒と超臨界流体の量の比率は、前記比率における溶媒と超臨界流体の混合物において、物質が低い溶解性を有するようなものであり得る。この比率は例えば、体積に基づいて、質量に基づいて又はモルに基づいて、約1:10未満であり得る。この比率は、前記供給の工程における、1回のショットでの溶媒の量と、又はショット(複数回)での溶媒の総量と関係がある。粒子形成の工程の間及びその後直ちに、沈殿チャンバーにおける条件(温度及び圧力)を超臨界流体と溶媒の混合物がその超臨界状態となるようにするべきである。一般に、この工程の間、混合物の温度は供給工程の前の超臨界流体の温度とおおよそ同じ(例えば、約摂氏5度以内)となり、混合物の圧力は、供給工程の前の超臨界流体の圧力よりも僅かに高くなる(例えば、約1ないし20バール高い)。
【0015】
本方法は、超臨界流体中に溶液を供給する前に、超臨界流体の圧力よりも高い圧力にガスで溶液を加圧する工程であって、該ガスは溶液に低い溶解性を有するか、又は実質的に溶液に溶解しないところの工程を更に含み得る。
【0016】
本方法は、超臨界流体中に溶液を供給する前に、超臨界流体の圧力より少なくとも約20バール高い圧力に前記溶液を加圧する工程を更に含み得る。
供給工程は、溶液が超臨界流体と混合することを可能とするために、注入バルブを開口することを含み得る。注入バルブは、例えば、ボールバルブ又は迅速に開口することが可能な他のバルブであり得る。
【0017】
形成工程は、溶液と超臨界流体との混合物の全体に亘って粒子を形成することからなり得る。形成工程は、溶液と超臨界流体との混合物の全体に亘って、均一に又は実質的に均一に、粒子を形成することからなり得る。
【0018】
本方法は、溶液と超臨界流体との混合物から粒子を分離することを更に含み得る。分離工程は、混合物がその超臨界状態を維持している間に行われ得る。本方法は、超臨界流体で粒子を洗浄することを更に含み得る。
本方法は、前記分離後に周囲圧力まで粒子を減圧するすることを更に含み得る。
【0019】
超臨界流体は超臨界二酸化炭素を含み得る。溶媒は極性溶媒であり得る。それは、非水溶媒又は水性溶媒であり得る。物質は医薬的に活性な物質であり得るか又は医薬的に活性な物質を含み得る。物質は治療効果を有し得る。物質は、例えば、インスリン、ヒドロキシプロピル化β−シクロデキストリン、ブデソニド(Budesonide)又はオイドラギット(Eudragit)S100、或いはそれらの組合せであり得る。インスリン
は、天然インスリン、合成インスリン、インスリン類似体、インスリン誘導体又はそれらのあらゆる組合せであり得る。物質はキャリアであり得るか又は、医薬的に又は獣医薬的に活性な物質との組合せにおいて、医薬的に又は獣医薬的に許容可能なキャリアであり得る。物質は、ペプチド、タンパク質若しくはそれらの類似体、核酸、有機薬品又は抗生物質(例えば、ゲンタマイシン)であり得る。物質は、乾燥粉末ワクチン、気管支拡張薬、ヒト成長ホルモン、ヒト成長ホルモン類似体、ヒト成長ホルモン誘導体、ヘパリン、エリスロポエチン、エポエチン、第VIII因子、G−CSF、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン−2、アクティミューン(If γ)、アクチバーゼ(TPA)、ベネフィックス(F IX)、ベタセロン(If β)、ヒューマリン、リスプロ、インスリン アスパルト、グラルギン、ペガデマーゼ(AD)、エポジェン、レグラネクス(PDGF)、ノボセブン(F VIIa)、イントロン−A、ニューポジェン、パルモザイム、インファージェン、抗体、モノクローナル抗体、酵素又は炭水化物、或いは、安全食品認定(GRAS)賦形剤、ポリエチレングリコール(PEG)又はポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコールオリゴマー、ポリエチレンオキシドオリゴマー或いはそれらのあらゆる組合せであり得るか、又は例えば、上記のいずれか1種以上と薬的又は獣医薬的に許容可能なキャリアとの組合せを含み得る。
【0020】
溶液は懸濁した粒子を含み得る。この場合、本方法は、懸濁した粒子を前記物質で少なくとも部分的にコートするための方法であり得る。それは、粒子の製造方法であって、各粒子が前記物質で少なくとも部分的にコートされたコア粒子を含む方法であり得る。そのため、溶液はコア粒子を含み得、それにより、本方法により製造される物質の粒子は、該物質で少なくとも部分的にコートされたコア粒子を含む。
【0021】
本方法は、更に以下の工程:
・第二溶媒中の第二物質の溶液を超臨界流体中に少なくとも1回のショットで供給する工程であって、前記超臨界流体は、前記第二物質にとって非溶媒であり且つ前記第二溶媒と混和性であるところの工程、及び
・前記第二物質により少なくとも部分的にコートされた前記物質の粒子を含む少なくとも部分的にコートされた粒子を形成する工程であって、前記少なくとも部分的にコートされた粒子は、前記溶媒、前記第二溶媒及び前記超臨界流体の混合物中に分散されるところの工程
を含み得る。
適当であれば、上記選択肢の1つ以上の何れもが、本発明の特定の態様において組合わされ得る。
【0022】
本発明の態様において、
・溶媒中の物質の溶液を超臨界流体中に1回のショットで供給する工程であって、前記超臨界流体は、前記物質にとって非溶媒であり且つ前記溶媒と混和性であるところの工程、及び
・前記物質の粒子を形成する工程であって、前記粒子は、前記溶媒と前記超臨界流体の混合物中に分散されるところの工程
を含む物質の粒子の製造方法が提供される。
【0023】
本発明の別の態様において、
・極性溶媒中の物質の溶液をガスで加圧する工程であって、前記ガスは前記溶液において低い、所望により極僅かな溶解性を有するところの工程;
・前記溶液を超臨界流体中に1回のショットで供給する工程であって、前記超臨界流体は、前記物質にとって非溶媒であり且つ前記溶媒と混和性であり、前記超臨界流体は、加圧工程の後及び供給工程の前に、前記溶液の圧力より少なくとも約20バール低い圧力にあ
るところの工程、
・前記物質の粒子を形成する工程であって、前記粒子は、前記溶媒と前記超臨界流体の混合物中に分散されるところの工程、
・前記溶媒と前記超臨界流体の混合物がその超臨界状態を維持している間に、前記溶媒と前記超臨界流体の混合物から前記粒子を分離する工程、及び
・前記超臨界流体で前記粒子を洗浄する工程
を含む物質の粒子の製造方法であって、前記溶媒と前記超臨界流体の量の比率は、前記比率における前記溶媒と前記超臨界流体の混合物において、物質が低い溶解性を有するようなものであるところの方法が提供される。
【0024】
本発明の別の態様において、
・極性溶媒中の物質の溶液を窒素で約140ないし約200バールの間で加圧する工程;・前記溶液を超臨界二酸化炭素中へ、約1ないし約500ms、又は1ないし100msの期間内に供給する工程であって、前記超臨界二酸化炭素は、加圧工程の後及び供給工程の前に、前記溶液の圧力より約20バールないし約100バール低い範囲内の圧力にあるところの工程、
・前記物質の粒子を形成する工程であって、前記粒子は前記溶媒と前記超臨界流体の混合物中に分散されるところの工程、
・前記溶媒と前記超臨界二酸化炭素の混合物がその超臨界状態を維持している間に、前記溶媒と前記超臨界二酸化炭素の混合物から前記粒子を分離する工程、及び
・前記超臨界流体で前記粒子を洗浄する工程
を含む物質の粒子の製造方法であって、前記溶媒と前記超臨界二酸化炭素の量の比率(体積:体積、モル:モル又は質量:質量)が、約1:10ないし約1:50の間であるところの方法が提供される。
【0025】
本発明の別の態様において、
・極性溶媒中の物質の溶液を窒素で約140ないし約200バールの間で加圧する工程;・前記溶液を超臨界二酸化炭素中へ供給する工程であって、前記超臨界二酸化炭素は、加圧工程の後及び供給工程の前に、前記溶液の圧力より約20バールないし約100バール低い範囲内の圧力にあるところの工程、
・前記物質の粒子を形成する工程であって、前記粒子は前記溶媒と前記超臨界流体の混合物中に分散されるところの工程、
・前記溶媒と前記超臨界二酸化炭素の混合物がその超臨界状態を維持している間に、前記溶媒と前記超臨界二酸化炭素の混合物から前記粒子を分離する工程、及び
・前記超臨界流体で前記粒子を洗浄する工程
を含む物質の粒子の製造方法であって、前記溶媒と前記超臨界二酸化炭素の量の比率(体積:体積、モル:モル又は質量:質量)が、約1:10ないし約1:50であり、前記供給は、前記粒子が約10ないし約200nmの間又は約10ないし100nmの間の平均粒子径を有し、及び/又は約1ないし50mg/mLを超えるかさ密度を有し、及び/又は約10m2/gを超える比表面積を有して、前記粒子が形成されるに十分な速度である
ところの方法が提供される。
この速度は、約0.01ないし100L/s、又は約1ないし100L/s又は約10ないし100L/sであり得る。
【0026】
本発明の別の態様において、
a)第一溶媒中に溶解した物質を含む第一溶液を超臨界流体中に1回のショットで供給する工程であって、前記超臨界流体は、前記物質にとって非溶媒であり且つ前記第一溶媒と混和性であるところの工程、
b)前記物質の粒子を形成する工程であって、前記粒子は前記溶媒と前記超臨界流体の混合物中に分散されるところの工程、
c)第二溶媒中に溶解したカプセル化剤を含む第二溶液を、全体に亘って分散された前記粒子を有する超臨界流体中に1回のショットで供給する工程であって、前記超臨界流体は、前記カプセル化剤にとって非溶媒であり且つ前記第二溶媒と混和性であるところの工程、及び
d)前記物質の粒子の少なくとも幾つかの上に前記カプセル化剤のコーティングを形成する工程
を含む物質のカプセル化粒子の製造方法が提供される。
【0027】
工程c)は、工程a)の後、好ましくは工程b)の後に行われるべきである。カプセル化剤は、カプセル化粒子が設置されるところの環境から物質を保護するための保護材料であり得るか又はカプセル化粒子の経口摂取中における物質の味をマスクするための味−マスキング材料であり得る。カプセル化剤は、人体において生体適合性及び/又は生物分解性であり得る。生体内でカプセル化剤がゆっくりと分解している間に、コーティングされた素材が、継続して又はゆっくりと体内へ放出されていくことが実現され得る。カプセル化剤は、1種類以上の、脂質、ポリエチレングリコール又は他の安全食品認定賦形剤或いはこれらのいずれか2種の又は全ての又はこういった組合せを含み得る。第一溶媒は第二溶媒と同一であり得るか又は異なり得る。この態様の変形を用い、更なる層がまた、工程c)及びd)を1回以上(例えば、1、2、3、4回又は4回を超える)繰り返すことにより粒子上に形成され得ることが理解され得る。これらの工程が繰り返される場合、各繰り返しにおける溶媒とカプセル化剤は、別の繰り返しのそれぞれの溶媒とカプセル化剤と同一であり得るか又は異なり得る。ここに記載された方法により製造された時、本発明は層状粒子を提供する。この粒子は、1、2、3、4、5層又は5を超える層を有し得る。それぞれの回で工程c)は、溶媒の量及び性質が、超臨界流体と溶媒の混合物が単相、好ましくは単超臨界相であり且つ粒子及びカプセル化粒子にとって非溶媒であるようにして行われる。従って、工程d)で形成される各コーティングは、粒子上の完全なコーテイングあり得るか又は粒子上の部分的なコーテイング(例えば、少なくとも約、50、60、70、80、90又は95%コーティング)であり得る。
【0028】
コートされる固体粒子は、溶媒における懸濁液として製造され得、ここで溶媒は溶解されたカプセル化剤を含む。この懸濁液はその後、超臨界流体中に供給され得る。前記供給の後、カプセル化剤は、少なくともある程度の固体粒子上にコーティングを形成し得る。そのようなコーティング技術のために好適な固体粒子は、限定されるものでないが、酸化鉄磁性体粒子、固体医薬品成分及びそれらの誘導体及びそれらの誘導体、移植可能なマイクロカプセル及びバイオデバイス、エリスロポエチン、エポエチンのような治療剤、ヒト幹細胞、ヌクレオチド及び他の共同因子、生体内造影剤及び環境被害からの保護を必要とする生物剤を含む。
【0029】
そのため、別の態様において、粒子の製造方法であって、前記粒子はカプセル化剤により少なくとも部分的にカプセル化されたコア粒子を含み、前記方法は以下の工程:
・溶媒中のコア粒子の分散液を超臨界流体中に少なくとも1回のショットで供給する工程であって、前記分散液は溶液中にカプセル化剤を含み、前記超臨界流体は、前記コア粒子にとって非溶媒であり且つ前記溶媒と混和性であるところの工程、及び
・粒子を形成する工程であって、前記粒子は前記溶媒と前記超臨界流体の混合物中に分散されるところの工程
を含む方法が提供される。
本発明の別の態様において、前記物質は、1種を超える化合物、例えば、2、3、4、5種又は5種を超える化合物を含む。該溶液を超臨界流体中へ供給する工程の間、これらの全てが溶媒中の溶液中に存在し得るか又はそれらの1種以上が懸濁液状態であり得るか、さもなくば溶媒中に分散され得る。溶液状態にない化合物は、超臨界流体への溶液の供給を実質的に妨げないように、十分に微細に分割され且つ溶媒中で十分に低い濃度とされ
るべきである。この態様において、1種以上の化合物が超臨界流体中で共沈殿され得る。本方法は、それぞれの前記化合物を含むそれぞれの粒子を又は大部分の粒子を形成し得る。ある例では、1種の化合物が、1種以上の活性物質(例えば、医薬的又は獣医薬的活性物質)にとってキャリアであり得る。別の例では、化合物(複数)は相乗的に作用する2種以上の医薬品化合物を含む。
【0030】
・溶媒中の物質の溶液を超臨界流体中に1回を超えるショットで供給する工程であって、前記超臨界流体は、前記物質にとって非溶媒であり且つ前記溶媒と混和性であるところの工程、及び
・前記物質の粒子を形成する工程であって、前記粒子は、前記溶媒と前記超臨界流体の混合物中に分散されるところの工程
を含む物質の粒子の製造方法がまた提供される。
超臨界流体は1つ以上の沈殿チャンバー内に配置され得る。ショットは同一又は異なる沈殿チャンバーの中へ行なわれ内得る。ショットが同一の沈殿チャンバーの中へ行なわれる場合、それらは同時に又は実質的に同時(例えば、約0ないし約500ms内)に供給されるべきである。この場合には、十分に大きく、沈殿チャンバー内の超臨界流体へ溶液を供給するための供給点が十分な間隔を有する沈殿を用いることが好ましくあり得、それにより、本方法により形成された粒子の粒子径は、1回のショットから得られたもと同じであるか又はそれより小さくなる。ショットが異なる沈殿チャンバー内へ行なわれる場合、それらは同時であり得るか又は同時であり得ない。
【0031】
本発明の第二観点において、物質の粒子を製造するための装置であって、該装置は:
・溶媒中の物質の溶液を収納することができる加圧可能な注入チャンバー;
・超臨界流体の超臨界状態を維持することができる沈殿チャンバーであって、前記超臨界流体は前記物質にとって非溶媒であり且つ前記溶媒と混和性であり、前記沈殿チャンバーは、前記超臨界流体をそこへ収容するための入口が備えられている;
・注入チャンバーと沈殿チャンバーを接続する導管であって、該導管は、注入バルブが開放状態の場合、前記注入チャンバーは前記沈殿チャンバーと通じ、注入バルブが閉鎖状態の場合、前記注入チャンバーは前記沈殿チャンバーから離間するように配置される注入バルブを含む;
・前記超臨界流体と前記溶媒の混合物が前記沈殿チャンバーから出ることを可能とするための前記沈殿チャンバーと通じる出口
を含むところの装置が供給される。
【0032】
使用において、注入チャンバーは、沈殿チャンバー内の圧力よりも大きな圧力に加圧されるべきである。注入チャンバーと沈殿チャンバー間の圧力の差異は、注入バルブが開口状態にあるとき、注入チャンバー内の物質の溶液のショットの沈殿チャンバー内への迅速供給が生じるような大きさであり得る。
【0033】
本容器は霧化をもたらすための毛細管ノズル又は開口部を有し得ない。装置は更に、混合物がその超臨界状態を維持している間に、溶媒と超臨界流体の混合物から粒子を分離するための分離装置を更に含み得る。分離装置はフィルター、例えば、フリットを含み得る。それは、沈殿チャンバーからの出口に位置し得るか又は沈殿チャンバーから分離されたラインに位置し得る。
【0034】
装置は注入チャンバーを加圧するための加圧装置を含み得る。加圧装置は、超臨界流体の超臨界状態を維持するために必要な圧力よりも大きな圧力に、注入チャンバーを加圧することが可能であり得る。
導管は沈殿チャンバーに及び得る。導管の最小内径は、超臨界流体への溶液の一回のショットでの供給を可能とするのに十分に大きいものであり得る。それは、超臨界流体への
溶液の1回のショット、例えば、迅速な、同時又は同時に近い供給を可能とするのに十分に大きいものであり得る。導管はノズル内で終わり得るが、前記ノズルは沈殿チャンバー内に位置する。該ノズルは、非−毛細管ノズルであり得る。それは、チョーク流れ無しにノズルを介した溶液の供給が生じ得るほど、十分に大きな直径を有し得る。導管は、毛細管ノズルや開口部を含まないようなものであり得る。
沈殿チャンバーの体積は、注入チャンバーの体積の少なくとも約10倍であり得る。
適当であれば、上記選択肢のいずれか1つ以上が本発明の特定の態様と組合せられ得る。
【0035】
本発明の第三観点において、粒子状物質であって、該粒子状物質の前記粒子は以下:
・溶媒中の物質の溶液を超臨界流体中に少なくとも1回で供給する工程であって、前記超臨界流体は、前記物質にとって非溶媒であり且つ前記溶媒と混和性であるところの工程、及び
・前記物質の粒子を形成する工程であって、前記粒子は、前記溶媒と前記超臨界流体の混合物中に分散されるところの工程
を含む工程により製造される。
溶媒と超臨界流体の量の比率は、前記比率における溶媒と超臨界流体の混合物において、物質が低い溶解性を有するようなものにすべきである。
【0036】
粒子状物質は、所望により上記のそれらの任意の特徴のいずれか1つ以上を伴って、本発明の第一観点の方法によって製造し得る。
粒子状物質の粒子は約100nm未満の平均粒子径を有し得る。粒子状物質は、少なくとも約10m2/g又は少なくとも約20m2/gの比表面積を有し得、約10m2/gな
いし約100m2/gの範囲であり得る。粒子はゆるく結合した凝集物へ凝集し得る。ゆ
るい凝集物は平均直径において約20ミクロン未満の、又は約1ないし約20ミクロンの間の平均直径を有し得る。
【0037】
本発明の第四観点において、約10ないし約200nmの間の平均粒子径を有する粒子状物質であって、前記粒子状物質は肺送達のための薬物を含むところの粒子状物質が提供される。粒子状物質は、約1ないし約50mg/mLの間の又は約5ないし約20mg/mLの間のかさ密度を有する。粒子状物質は、約10m2/gを超えるか又は約10ない
し約100m2/gの間の比表面積を有する。それは、約20ミクロン未満の、又は約1
ないし約20ミクロンの間の平均直径を有するゆるい凝集物の形態であり得る。
【0038】
本発明の第五観点において、患者の症状を治療する方法であって、前記方法は、前記患者へ本発明の第三又は第四観点に従う粒子状物質を投与することを含み、前記物質は前記症状の治療を意図したものであるところの治療方法が提供される。投与は、肺投与であり得る。それは、吸入によるものであり得る。それは経鼻吸入によるか又は経口吸入によるものであり得る。粒子状物質は治療有効量又は獣医学的有効量で投与され得る。投与は自己投与であり得る。
【0039】
本発明の第六観点において、粒子状物質の空力的特性が粒子状物質の大きさよりも(即ち、粒子状物質の粒子の大きさよりも)そのかさ密度に大きく依存するほど、粒子状物質のかさ密度が十分に低い粒子状物質が提供される。このことは、レーザー解析及びカスケードインパクション(cascade impaction)から得られる異なる粒度分布により証明され得る。粒子状物質のかさ密度は、その空力的特性が粒子状物質のかさ密度よりも、粒子状物質の平均幾何学的粒子径(mean geometric particle diameter)に、より少なく依存するほど、十分に低いものであり得る。粒子状物質は、約10ないし約200nmの間の平均幾何学的粒子径を有し得る。粒子状物質は、肺送達のための薬剤を含み得る。粒子状物質は、約1ないし約50mg/mL
の間の又は約5ないし約20mg/mLの間のかさ密度を有し得る。粒子状物質は、約10m2/gを超えるか又は約10ないし約100m2/gの間の比表面積を有し得る。それは、約20ミクロン未満の又は約1ないし約20ミクロンの間の平均直径を有するゆるい凝集物の形態にあり得る。粒子状物質は、単純な吸入装置を用いて患者の肺における粒子状物質の部位特異的沈着を可能とする、かさ密度に設計され得る。粒子状物質は、本発明の方法により製造され得る。肺送達のための薬剤を詰めた吸入装置であって、前記薬剤が本発明の第三、第四又は第六観点に記載したような粒子状物質の形態であるところの装置もまた提供される。
【0040】
本発明の方法は、粒子状物質が、喉頭の、気管の、気管支の又は抹消の沈着或いはそれらのあらゆる組合せへの特異的なそれらの吸入をともなって供給されることを可能にする性質(例えば、かさ密度、平均粒子径、粒度分布)を有する粒子状物質を発生するために使用され得る。このことは、喉頭損傷及び声帯リハビリテーションのような局所性障害、慢性閉塞性肺疾患(COPD)管理、同種移植の拒絶反応抑制の何れかの治療的処理のために、或いは体循環への医薬品の導入を介する障害の治療のために有用であり得る。
【0041】
物質が適応される症状の治療のための薬剤を製造するための、本発明の第三、第四又は第六観点に従う粒子状物質の使用もまた提供される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明の好ましい態様が今、添付の図面を参照して、例証のみにより記載されるが、ここで:
【図1】図1は、本発明の方法を実施するための装置の図表示であり;
【図2】図2は、本発明の方法を用いて製造されたインスリン粒子のSEM(走査電子顕微鏡)写真を示し;
【図3】図3は、1.0mmのI.D.ノズルの概略図であり;
【図4】図4は、0.762mmのI.D.ノズルの概略図であり;
【図5】図5は、実施例で使用された注入チャンバーの概略図を示し;
【図6】図6は、実施例で使用された沈殿チャンバーの概略図を示し;
【図7】図7は、インスリンの写真(左)及び本発明により製造されたインスリン粒子の写真(右)を示し;
【図8】図8は、本発明の方法により製造された粒子状物質の電子顕微鏡写真を示し;
【図9a】図9aは、本発明の方法により製造されたインスリン粒子の粒子径分析レポートを示し;
【図9b】図9bは、本発明の方法により製造されたインスリン粒子の粒子径分析レポートを示し;
【図10】図10は、本発明の方法により製造されたインスリン粒子の生体内吸入可能性試験の計算結果を示し;
【図11】図11は、本発明の方法により製造されたインスリン粒子のインビトロ(生体外)吸入可能性試験の結果を提示するグラフを示し;
【図12】図12は、本発明の方法により粒子を形成する前及び後のヒドロキシプロピル化β−シクロデキストリン(HPβCD)の写真を示し;
【図13】図13は、本発明の方法により粒子を形成する前及び後のオイドラギット(Eudragit)S100の写真を示し;
【図14】図14は、(前)混合された酸化鉄(Fe34)及びヒドロキシプロピル化β−シクロデキストリン(HPβCD)の写真;及び(後)HPβCDでカプセル化された酸化鉄の写真を示し;及び
【図15】図15は、カプセル化された鉄粒子の磁気特性を説明するために、ビンの上端に磁石が適用された図14のカプセル化された鉄粒子の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明は、極端に低いかさ密度及び空力的性能が強化された細粒子を形成するための方法に関する。本発明の方法は、単一物質の粒子又は2種以上の物質の均一混合物を含む粒子を製造するために使用され得る。本方法はまた、懸濁液を加工するために及びコーティング用途を達成するためにも使用され得る。本発明の方法における毛細管ノズルを用いないことは、沈殿チャンバー中への懸濁液の注入及びそれに続くコートされた粒子の形成を可能にする。先行技術の方法は、毛細管ノズルの使用が、懸濁液中の粒子と一緒になってノズルの目詰まりを誘引するので、これを達成する困難性を有する。
【0044】
本発明は、溶媒中の物質の溶液(即ち、使用液)を超臨界流体中に1回のショットで供給する工程を含む物質の粒子の製造方法に関する。供給は単回ボーラス注入の形態をとり得る。供給は、使用液の全体積が超臨界流体中へ非常に短い時間内に、又はほぼ同時に、又は単回ボーラスにおいて供給されるようであり得る。超臨界流体は、物質にとって非溶媒であり且つ溶媒と混和性である。供給に続いて、物質の粒子が形成されるが、前記粒子は溶媒と超臨界流体の混合物中に分散される。この方法は、ARISE(溶媒抽出のための噴霧急速注入(Atomised Rapid Injection for Solvent Extraction))として言及される。
【0045】
本発明において、貧溶媒を伴う使用液の均一混合物を達成するために、使用液の全体積が貧溶媒(超臨界流体)中にほぼ同時に導入されるため、沈殿の体積は、先行技術を用いて得られるものより均一な生成物を導く、形成速度と同様となるはずであると考えられる。本発明の関連で、用語“貧溶媒”及び“非溶媒”は交換可能であるとみなされ得る。過剰の体積が再結晶を起こすために、核生成密度は低下され得るが、大きな空間体積に亘って生じる沈殿形成を導く。低い核生成密度は、以前に得られた生成物よりも低いかさ密度を有する生成物の形成を可能とし得る。本発明は、好ましくは、噴霧がノズル(開口部)の隙間の機能を有さないか、又は少なくとも噴霧におけるノズルの隙間の効果が他の要因に比してより小くなるように機能する。このことは、ノズルサイズが超臨界流体への使用流体の供給速度の制御因子ではないところの範囲でノズルサイズを使用することにより達成され得る。これは、装置の設計の単純化を可能とし、毛細管ノズルの使用を取り除く。注入は単数ノズル(開口部)を介して又は複数ノズル(開口部)を介して起こり得るが、それらの各々は上述に従う。
【0046】
1回を越えるショットが使用される場合、及びショット(複数)が同じ沈殿チャンバー内へ行なわれる場合、それらは実質的に同時又は同時であるべきである。それらは、前ショットにおいて供給された溶液からの粒子形成に続くショットが行われないほど、互いに十分に近接して起こり得る。ショットは約500ms未満の期間内に起こり得、又は約400、300、200、100、50、20又は10ms未満の、或いは約5ないし約500msの間の又は約10ないし500、20ないし500、50ないし500、100ないし500、200ないし500、5ないし200、5ないし100、5ないし50、5ないし20、20ないし50、50ないし100、100ないし200、200ないし300、300ないし400、10ないし100、10ないし50又は20ないし50msの間の、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450又は500msの期間内に起こり得る。前記の又は各々のショットの供給の速度は、溶液の液滴が粒子の形成の前に、超臨界流体全体に亘って分散されるほど、十分に迅速であり得る。前記の又は各々のショットの供給の速度は、溶液の液滴が粒子の形成の前に、超臨界流体全体に亘って分散されるほど、十分に活性化され得る。前記の又は各々のショットの供給の速度は、溶液が前記供給に続いて超臨界流体全体に亘って分散されるほど、十分に迅速であり得る及び/又は活性化され得る。前記の又は各々のショットの供給の速
度は、溶液の液滴が前記供給に続いて超臨界流体全体に亘って実質的に均一に又は均一に分散されるほど、十分に迅速であり得る及び/又は活性化され得る。1回を越えるショットが供給される場合、ショットは同じ注入チャンバー又は異なる注入チャンバーから供給され得る。それらは、同じ導管又は異なる導管を介してなされ得る。それらは同じノズルを介して又は異なるノズルを介して沈殿チャンバーに入れられ得る。粒子を製造するための装置は、溶液の供給のタイミングを制御するための制御装置を含み得る。制御装置はプログラム可能な制御装置であり得、沈殿チャンバーへの溶液の供給を制御する装置のバルブの1つ以上で電子的に接続されるべきである。制御装置はまた、装置における他のバルブ、例えば、所望により粒子を伴う超臨界流体を沈殿チャンバーから抜き出すことを介するものも制御し得る。
【0047】
本発明は、特大の沈殿チャンバーを使用することによる沈殿チャンバー内の濃度勾配の発生を最小にすることを目的とする。沈殿チャンバーを特大にすることはまた、単純に導入される使用液の体積を増加させることにより、加工処理量の増加を可能とする。このことは、理想的とはいえないような限界まで(即ち、貧溶媒における使用液の飽和レベルが超過する点まで)近付き過ぎずに作用することを付加的に達成することになり得る。
【0048】
一つの観点において、本発明は、貧溶媒である超臨界流体を含む沈殿チャンバー内へ、溶媒中の物質の溶液を導入する工程を含み、超臨界流体が溶液から溶媒を抽出して物質の粒子を形成することを可能とする、粒子状形態の物質の製造方法を提供する。沈殿チャンバーにおける圧力及び温度は、それぞれ超臨界流体の臨界圧力及び臨界温度を超えるべきである。溶液は1回のショットで又は1回を超えるショットで又は1回のボーラス供給で、又は1回を越えるボーラス供給で導入されるべきである。
【0049】
ここで使用される“ショット”は、単回ボーラス供給における溶液の供給を、又は単一体積内への2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又はそれを超えるショット数における溶液の供給又はボーラス供給を言及し得る。単一体積は、1回のショットの体積の3ないし100倍の間であり得る。そのため、溶液ののショットの供給は、溶液の液滴からの粒子の形成に先立ってショット全体が供給されるほど、十分迅速に溶液が供給され得る。1回のショットは、約0.2ないし約20cm3の間の体積、約0.2ないし
10、0.2ないし5、0.2ないし2、0.2ないし1、0.5ないし20、0.5ないし10、0.5ないし5、1ないし20、50ないし20、10ないし20、1ないし5、5ないし10、5ないし20、10ないし20、5ないし15又は8ないし12cm3の間、例えば、約、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.
9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20cm3を含み得る。これ
らが1回を越えるボーラス供給の場合、単一体積内への各ショット又はボーラスの体積は、約[(0.2ないし約20cm3)/ショットの総数]の間であり得る。
【0050】
供給は、好ましくは、溶液が、例えば、噴霧されるなど、超臨界流体中へ十分に迅速であるべきであり、それ故に溶液の液滴は、粒子の形成の前に分散される。このようにして、粒子形成は、好ましくは、沈殿チャンバー全体に亘って、及びそれ自体は超臨界流体全体に亘って起こる。それは、溶液の溶媒が、その組合せが粒子にとって貧溶媒となる程度まで超臨界流体により希釈される方法により起こると考えられる。
【0051】
供給は、沈殿チャンバー中の液滴の凝集を回避又は最小化する沈殿チャンバーにおける条件下であり得る。それは沈殿チャンバーにおける流体の液滴の中において核生成を促進する条件(圧力、速度)下であり得る。供給は沈殿チャンバーにおける条件下であり得るが、それにより粒子は凝集された液滴からは形成されない。注入チャンバーから沈殿チャンバーへの供給に先立って、溶液はその中に粒子を有し得ない。代案として、それは、そ
の中の粒子を持ち得、供給された粒子は、溶媒中に懸濁され、それらが導管又はノズルに詰らないか又は部分的に詰る、十分に小さな直径及び十分に低い濃度である。供給は、少なくとも物質の沈殿物の幾らかが、即ち、粒子に形成されるようにすべきである。それは、物質の沈殿物の少なくとも約80、85、90、95、96、97、98、99又は100%であり得るか又は80ないし100、80ないし99、80ないし98、80ないし97、80ないし96、80ないし95、80ないし90、85ないし100、90ないし100、95ないし100、96ないし100、97ないし100、98ないし100又は99ないし100%の間であり得る。供給は、レーザー光散乱装置を用いて測定した時、2峰性分布を有する粒子状物質を形成するようであり得る。2峰性分布は、2つの峰の小さい方が、約10ないし200nm又は約20ないし200、50ないし200、100ないし200、10ないし150、10ないし100、10ないし50、10ないし40、20ないし100、20ないし50又は20ないし40nmの間、例えば、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は200nmにピークを有し、2つの峰の大きい方が、約20ミクロン未満に又は約10、5、2若しくは1ミクロン未満に、或いは約1ないし約20ミクロンに又は約1ないし10、1ないし5、5ないし20、10ないし20、2ないし10又は2ないし5ミクロンに、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20ミクロンにピークを有するようであり得る。2峰性は、ゆるい凝集物を形成するための、物質の粒子のある程度の凝集に起因し得る。
【0052】
供給は、少なくとも約0.01L/s、又は少なくとも約0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15又は20L/s、或いは約0.01ないし100、0.1ないし100、0.01ないし50、0.01ないし10、0.01ないし5、0.01ないし1、0.01ないし0.1、0.1ないし10、0.1ないし1、1ないし100、1ないし50、1ないし25、1ないし10、1ないし5、5ないし100、20ないし100、50ないし100、5ないし50、10ないし50、25ないし50、5ないし20又は5ないし15L/sの間、例えば、約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90又は100L/sの速度であり得る。ある状況においては、流速はこれを越える、例えば、約150、200、250、300、350、400、450又は500L/sであり得る。供給は、少なくとも約20バールの圧力低下、又は少なくとも約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100バール、或いは20ないし100バール、又は20ないし60、20ないし50、20ないし30、30ないし100、50ないし100、30ないし70又は40ないし60バール大きい、例えば、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100バールであり得る。流速は、ノズルに沿った圧力低下が約10バール未満、又は約5、2、1、0.5又は0.1バール未満、或いは約0.01ないし約10バール、又は約0.01ないし5、0.01ないし2、0.01ないし1、0.01ないし0.5、0.1ないし10、0.1ないし5、0.1ないし2、0.1ないし1、1ないし10、1ないし5又は5ないし10バールの間、例えば、約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、又は10バールなどであり得る。供給は、迅速、瞬間的又はほぼ瞬間的であり得る。それは、約0.1ないし500ms、又は約0.1ないし200、0.1ないし100、0.1ないし50、0.1ないし10、0.1ないし5、0.1ないし2、0.1ないし1、1ないし100、10ないし100、50ないし100、0.5ないし10、0.5ないし5、0.5ないし2、1ないし50、100ないし500、200ないし500、50ないし200、10ないし200又は1な
いし10msの間、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450又は500msの間隔内に起き得る。超臨界流体への溶液の供給のための時間は、溶液の性質(特に粘度)、超臨界流体の性質(特に粘度)、供給直前の溶液と超臨界流体間との圧力の差異及び他の因子に依存し得る。供給は、溶液が前記供給に続いて超臨界流体の全体に亘って分散されるように十分に迅速であり得る。ノズルを介する溶液の線流速は、約10ないし500m/s、又は約10ないし200、10ないし100、10ないし50、50ないし500、100ないし500、200ないし500、50ないし200又は100ないし200m/sの間、例えば、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450又は500m/sであり得るか、又は約10未満であり得るか又は約100m/sを超え得る。
【0053】
供給の間、溶液の各ショットは、超臨界流体の体積へ溶液の体積の少なくとも約10倍に、又は体積の約15、20、25、30、35又は40倍に、又は溶液の体積の約、10、15、20、25、30、35、40、45又は50倍に、或いは溶液の体積の約10ないし50、20ないし50、30ないし50、10ないし40、10ないし30、20ないし40又は25ないし35倍の間に膨張し得る。
本発明は、1回の迅速な行動で使用液の全体積の供給を達成するための、特別な態様を目的とする。このことは、現存する方法においては一般的である、低い流速で使用液を供給する必要性を排除することにより加工時間の短縮を可能とする。使用液の放出は、出来るだけ高く活性化されるべきである。それゆえ、本発明で実施されるように、比較的大きな装置のノズルを介する非常に高い流速での使用液の供給は、噴霧に発展する。使用液が全沈殿チャンバーに亘って十分エネルギー的に分散される場合、濃度勾配は小さいか、極僅かであるか又は欠如しそうであると考えられる。本発明の迅速供給技術は、一般に1回の活性化工程、即ち、1回のショットで沈殿チャンバー内へ使用液を導入するために、圧縮ガスを使用する。
【0054】
溶媒と超臨界流体の量の比率は、前記比率における溶媒と超臨界流体の混合物において、物質が低い溶解度を有するようなものであり得る。該比率は、超臨界流体中への溶液の供給に続く、沈殿チャンバーに関する条件下で、前記比率における溶媒と超臨界流体の混合物が超臨界状態にあるようであり得る。それゆえ溶媒と超臨界流体の混合物は、それらの形成に続いて、混合物にとって、臨界温度より大きく及び臨界圧力より大きいものであり得る。従って供給工程に先立って、混合物が供給の間及び直後にその超臨界状態に形成されるほど、超臨界流体は好ましくはその臨界状態から十分に離れている。混合物は最初は、均一であるか又は単相混合物であるべきである。混合物中における物質の溶解度は、溶液中に存在する物質の少なくとも約80%が沈殿されるか又は少なくとも約85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5又は99.9%が沈殿されるか或いは、約80ないし100%の間で沈殿されるか又は80ないし95、80ないし90、80ないし85、85ないし100、90ないし100、95ないし100、96ないし100、97ないし100、98ないし100、99ないし100、85ないし95又は90ないし95%が沈殿されるほど、十分低い。混合物における物質の溶解度は、供給後の温度及び圧力で、約200mg/L未満、又は約150、100、80、60、40、30、20、10、5、2又は1mg/L未満、或いは約0.1ないし約200mg/L又は0.1ないし100、0.1ないし50、0.1ないし20、0.1ないし10、0.1ないし5、0.1ないし2、0.1ないし1、1ないし200、10ないし200、50ないし200、100ないし200、1ないし50、1ないし20、1ないし10、1ないし5又は5ないし50mg/Lの間であり得、また、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5
、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、440、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は200mg/Lであり得る。溶解度は約1mM未満、又は約0.5、0.1、0.05、0.01、0.005又は0.001mM未満、或いは約0.001ないし1mM、又は約0.001ないし0.1、0.001ないし0.01、0.01ないし1、0.1ないし1、0.01ないし0.1又は0.005ないし0.05の間、例えば、約0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5又は1mMであり得る。
【0055】
物質は超臨界流体中において低い、極僅か又はゼロの溶解度であり得る。それは約200mg/L未満、又は約150、100、80、60、50、40、30、20、10、5、2又は1mg/L未満、或いは約0.1ないし約200mg/L、又は約0.1ないし100、0.1ないし50、0.1ないし20、0.1ないし10、0.1ないし5、0.1ないし2、0.1ないし1、1ないし200、10ないし200、50ないし200、100ないし200、1ないし50、1ないし20、1ないし10、1ないし5又は5ないし50mg/Lの間の溶解度を有し得、また、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、440、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は200mg/Lであり得る。溶解度は、約1mM未満、又は約0.5、0.1、0.05、0.01、0.005又は0.001mM未満であり得るか又は約0.001ないし1mMの間又は約0.001ないし0.1、0.001ないし0.01、0.01ないし1、0.1ないし1、0.01ないし0.1又は0.005ないし0.05の間、例えば、約0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5又は1mMであり得る。物質が成分の混合物である場合、成分の各々は、独立して、上述のような溶解度を有する。超臨界流体に対する溶媒の比率は、例えば、体積ベース、質量ベース又はモルベースで約1:10未満、又は約1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45又は1:50未満、例えば、約1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45又は1:50、或いは約1:10ないし約1:50又は約1:10ないし1:40、1:10ないし1:30、1:10ないし1:20、1:20ないし1:50、1:30ないし1:50、1:20ないし1:40又は1:10ないし1:30の間、例えば、約1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45又は1:50、例えば、約1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:40、1:45又は1:50であり得る。超臨界流体は、体積ベース、質量又はモルベースで、溶媒を超えて過剰に存在し得る。このコンテクストで、比率は、超臨界流体中へ供給する前に、溶液中の溶媒の体積を決定し、さらにそれを供給前に超臨界流体の体積と比較することにより、決定されるべきである。
【0056】
本方法は、更に、溶液を超臨界流体内へ供給する前に、超臨界流体の圧力よりも高い圧力に、ガスで溶液を加圧する工程を含み得る。ガスは溶液中に低いか又はごく僅かな溶解性を有すべきであるか又は実質的にその中に不溶性であり得、それにより、溶液はガスに起因する加圧の間、実質的な膨張を受けない。溶液を加圧するために好適なガスは、窒素、ヘリウム、ネオン又はアルゴンを含む極性溶媒を含む。このコンテクスト中の“実質的に不溶性”は、約10%v/v未満の溶解度、又は約5、2、1、0.5又は0.1%未満の溶解度、或いは約10ないし0.01%、5ないし0.01、1ないし0.01、0.5ないし0.01、0.1ないし0.01、0.05ないし0.01又は1ないし0.1%の間、例えば、約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10%v/vの溶解度を含み得る。溶液の膨張は、約10%未満の体積膨張、又は約5、2、1、0.5、又は0.1%未満であり得る。ある状況下では、膨張はこれよりも大きくあり得、
例えば、約10ないし50%又は約10ないし20%の間であり得る。膨張は、約0ないし約20%、又は約0ないし10、0ないし5、0ないし2、0ないし1、0ないし0.5又は0ないし0.2%の間、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20%であり得る。加圧のために使用されるガスは、背圧チャンバー内に含まれ得るが、該背圧チャンバーは注入チャンバーと通じている。背圧チャンバーはガスの供給源、例えば、ガスシリンダーに接続し得る。さもなくば、加圧として幾つかの他の手段を利用し得る。例えば、溶液はピストンを用いて加圧され得る。それゆえ注入チャンバーは、そこに取り付けられたピストンを有するシリンダーの形態であり得る。溶液はその後、ピストンへの圧力(例えば、水圧又は機械的圧力)の適用により加圧され得る。ピストンとシリンダーの間に、シールが存在し得、該シールは、漏出することなしに注入チャンバー内で使用される最大圧力に耐えることを可能とする。シールは、注入チャンバー内で使用される溶液に耐性を有するべきである。
【0057】
加圧は、溶液を超臨界流体中へ供給する前に、超臨界流体の圧力より少なくとも20バール高いか又は少なくとも約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100バール高いか或いは約20ないし100バール高いか又は約20ないし60、20ないし50、20ないし30、30ないし100、50ないし100、30ないし70又は40ないし60バールの間で高い、例えば、約、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100バール高い圧力であり得る。加圧は、約100ないし約250バール、又は約120ないし250、150ないし250、200ないし250、100ないし200、100ないし150、100ないし130、120ないし200、150ないし200、120ないし150又は140ないし170バールの間、例えば、約100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240又は250バールの圧力であり得る。供給前の超臨界流体の圧力は、約50ないし200バールの間、又は約50ないし150、50ないし100、100ないし200、150ないし200又は100ないし150バールの間、例えば、約50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は200バールであり得る。一般に、本工程中の注入チャンバー及び沈殿チャンバー内の圧力は、約±10バール、又は±9、8、7、6、5、4、3、2又は1バールの許容範囲で制御される。超臨界流体の温度は、物質が分解しないものであり得、流体が超臨界であるものであり得る。従って、それは物質の性質、超臨界流体の圧力及び性質に依存する。一般に、温度は、約10ないし約60℃の間、又は約20ないし60、40ないし60、10ないし40、10ないし20、20ないし50又は30ないし50℃の間、例えば、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55又は60℃であり得る。本発明の装置は、所望の温度を維持するための機器を含み得る。これは、例えば、浴、例えば、水浴であり、浴は温度制御装置を伴って提供されるべきである。浴(又は温度維持のための他の機器)はその温度を、摂氏約2度、又は摂氏約1.5、1、0.5、0.2又は0.1度の範囲内に維持し得る。
【0058】
好都合なことに、供給の工程は注入バルブの開口を含み得、それにより溶液が超臨界流体と結合されることを可能とする。注入バルブは溶液の迅速な供給を促進するために迅速に開口されることを可能とすべきである。それは、例えば、ボールバルブ、電磁バルブ又は迅速な作動が可能な他のバルブであり得る。それゆえ、溶液と超臨界流体間の圧力勾配下で、微細な液滴が超臨界流体全体に亘って分散されるように、溶液が超臨界流体中へ迅速に推進される。粒子がこれらの液滴から形成されるため、粒子は溶媒と超臨界流体の混合物の全体に亘って形成される。このことは、比較的狭い粒度分布を伴って、非常に微細な粒子の形成を導き得る。粒子は約100nm未満の平均直径、又は約90、80、70
、60、50、40、30又は20nm、或いは約20ないし100、40ないし100、60ないし100、20ないし80、20ないし60、20ないし40、20ないし60又は30ないし50nmの間であり得るか又は約20、30、40、50、60、60、80、90又は100nmの平均直径であり得る。それらは、約5未満、又は約4、3、2.5、2、1.5、1.4、1.3又は1.2未満の多分散性(数平均粒子径で割られた重量平均粒子径により定義される)を有し得る。粒子はまとまって、凝集物を形成し得る。この凝集物はゆるく結合した凝集物であり得る。凝集物は平均直径において約20ミクロン未満、又は約15、10、5、2又は1ミクロン、或いは約1ないし20、1ないし10、1ないし5、5ないし20、10ないし20、1ないし2、2ないし5又は5ないし10ミクロンであり得、直径において約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20ミクロンであり得る。それらは、約1.1ないし10、又は約1.5ないし10、2ないし10、5ないし10、1.1ないし2、1.1ないし1.5又は1.2ないし1.5の間、例えば約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9又は10或いは所望により10より大きい光散乱により測定されるように、d(0.9)ないしd(0.5)の比率を有し得る。
【0059】
溶液は最初、超臨界流体よりも高い圧力であるため、供給の間、注入チャンバー内の圧力は増加する。圧力増加は、注入チャンバーと沈殿チャンバー間の圧力の差異と相対体積に依存し得る。増加は約1ないし10バール又は約1ないし5、1ないし2、2ないし10、5ないし10、2ないし8又は2ないし5バールの間、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10バールであり得る。
【0060】
本方法は更に、溶媒と超臨界流体の混合物から粒子を分離することを含み得る。分離は、沈殿、遠心分離、濾過又は分離のための幾つかの他の方法を含み得る。分離の工程は好ましくは、超臨界流体がその超臨界状態を維持している間に行われる。これは、溶媒の粒子から溶媒の分離を促進し、それにより、粒子が周囲圧力まで減圧されたとき、粒子は実質的に溶媒を含まない。これは、粒子の再分解を抑え、粒子における溶媒の存在に伴い得るあらゆる毒性効果を阻害する。本方法は更に、粒子を減圧する前に、粒子を超臨界流体で洗浄することを含み得る。それゆえに、超臨界流体から粒子を分離した後に、更なる超臨界流体が沈殿チャンバーに注入され、粒子と接触する。それは、上述のように、その後粒子から分離され得る。この方法は粒子状に残存する微量の溶媒を除去するために供され得る。分離の工程は、好ましくは濾過を含む。これは、フリット又は沈殿チャンバーの出口に適した又は沈殿チャンバーの出口から導かれるラインに適した同様のフィルターを用いて達成され得る。それゆえフリット又はフィルターはインラインフィルターであり得る。フリット又はフィルターは超臨界流体に対して及び好ましくは溶媒に対して不活性で且つ不溶であるべきである。それは例えば、焼結ガラス又は金属フリットを含み得る。それは、形成された凝集物のサイズに依存して、約5ミクロン未満、又は約4、3、2、1、0.5又は0.1ミクロン未満或いは約0.1ないし5、0.5ないし5、1ないし5、2ないし5、0.5ないし5、1ないし5又は2ないし5の間、例えば、約0.1、0.2、0.45、0.5、0.7、1、2、3、4又は5ミクロンの粒子径カットオフを有し得る。それらは、フィルター又はフリットにおける超臨界状態を維持する間にフィルター又はフリットを通って貫流することを可能にするために、バルブ、例えば、ニードルバルブ、フィルター又はフリットからのダウンストリームであり得る。
【0061】
本方法は更に、前記分離の後に粒子を周囲圧力に減圧することを含み得る。
ここで使用される用語“超臨界流体”は、同時にその臨界圧力Pc及び臨界温度Tcにある上記の流体を言及する。超臨界流体は、約1.01ないし10倍の間のPc又は1.1
ないし10、1.2ないし10、1.3ないし10、1.4ないし10、1.5ないし10、1.6ないし10、1.7ないし10、1.8ないし10、1.9ないし10、2な
いし10、3ないし10、4ないし10、5ないし10、1.01ないし5、1.01ないし2、1.01ないし1.5、1.01ないし1.1、1.01ないし1.05、1.1ないし1又は1.1ないし1.5倍のPc、例えば、約1.01、1.02、1.03
、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5、6、7、8、9又は10倍のPcの圧力で維持され得る
。それは、約1.01ないし4倍の間のTc(ここでTcはケルビンで測定される)、又は約1.1ないし4、2ないし4、3ないし4、1.01ないし3、1.01ないし2、1.01ないし1.5、1.01ないし1.1、1.01ないし1.05、1.1ないし1又は1.1ないし1.5倍の間のTc、例えば、約1.01、1.02、1.03、1.
04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3又は4倍のTcの温度で維持され得る。超臨界流体は、超臨界二酸化炭素
又は超臨界二酸化炭素とアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール又はこれらの1種より多く)の混合物を含み得る。混合物が使用される場合、該混合物が超臨界混合物を形成するような比率内であるべきである。二酸化炭素におけるアルコール(又は他の変生物)のモル分量は、約0.4未満、又は約0.3、0.2、0.1又は0.05未満、或いは約0ないし約0.4又は約0ないし0.3、0ないし0.2、0ないし0.1、0.1ないし0.4、0.2ないし0.4又は0.1ないし0.3の間であり得、約0、0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35又は0.4であり得る。使用され得る他の超臨界流体は、超臨界の、窒素、亜酸化窒素、六フッ化硫黄、キセノン、エタン、エチレン、クロロトリフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジクロロメタン、トリフルオロメタン、ヘリウム、ネオン又はこれらの2種以上の混合物、或いは二酸化炭素とこれらの何れかとの超臨界混合物を含む。超臨界流体は、本発明で使用される条件下で流体が超臨界である好適な比率で変性剤を含み得る。変性剤は、例えば、有機液体、例えば、アルコール及びエーテル、エステル又は幾つかの他の有機液体であり得る。本発明における超臨界流体の使用の利点は、それらが低い粘度を有するという事実を含む。このことは、粒子形成の間の溶媒と超臨界流体の非常に迅速な混合を可能とする。このことは液滴凝集の可能性を減少し、小さくて比較的均一な粒子径に導くと考えられる。超臨界流体の粘度は、約0.1cP未満、又は約0.05、0.02、0.01又は0.005cP未満、又は約0.001ないし約0.1cP又は約0.001ないし0.01、0.01ないし0.1、0.005ないし0.05、0.05ないし0.01又は0.01ないし0.05の間であり得、また、約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.015、0.02、0.025、0.03、0.035、0.04、0.045、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09又は0.1cPであり得る。例えば超臨界二酸化炭素の粘度は、約0.004cPであり得、超臨界二酸化炭素は、約0.04cpの約0.3モル分量のエタノールを有する。超臨界流体の使用の更なる利点は、周囲圧力への圧力の低下において、それらはガス状態へ変換され得、それにより固体粒子から容易に分離される。超臨界流体は、そこから粒子が製造される物質にとって非溶媒であるべきである。殆どの物質が溶媒中に有限な溶解度をもつことは理解されているだろう。このコンテクストにおいて、用語“非溶媒”は超臨界流体中の物質の溶解性が非常に低いことを意味すると理解すべきである。それは、例えば、約10mg/L未満、又は約9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5又は0.1mg/L未満であり得、また、約0.1ないし約10mg/L、又は約0.01ないし5、0.01ないし1、0.01ないし5、0.5ないし10、1ないし10、1ないし5又は0.5ないし5、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10mg/Lであり得る。それは、物質の粒子が、粒子の実質的な量の損失無しに(即ち、その約10%より大きな、又はその約5、2、1、0.5、0.2又は0.1%未満の損失無
しに)超臨界流体で洗浄し得るほど、十分に低いものであり得る。
【0062】
溶媒は極性溶媒であり得る。それは、非水性溶媒であり得る。それは双極性非プロトン性溶媒であり得る。それは例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、、プロピレンカーボネート、ジクロロメタン又は幾つかの他の溶媒であり得、またはこれらのあらゆる2種以上の混合物であり得る。溶媒は、そこから粒子が製造される物質を溶解することができるものであるべきである。溶媒及び超臨界流体は、1回のショット又は1回を超えるショットのどちらかで、注入チャンバーへの溶液の供給後に、それらが存在する比率において混和性であり得る。それらは、全ての比率において混和性であり得るか又は全ての比率において必ずしも混和性であるわけではない(即ち、それらは、幾つかの比率においてのみ混和性であり得る)。
【0063】
物質は、結晶又は非晶質又は部分結晶であり得る。それは、物質の混合物であり得るか又は純粋な物質であり得る。それは、有機の、有機金属の、ポリマーの、オリゴマーの又はモノマーの、親水性の、疎水性の又は両親媒性のものであり得る。物質は、医薬活性物質又は獣医薬活性物質であり得るか又はそれらを含み得る。それは薬剤であり得る。それはタンパク質、ペプチド、多糖類、酵素、抗体、抗体断片又はある他の種類の物質であり得る。物質は、例えば、インスリン又はその類似体、エリスロポエチン又はその類似体、エポエチン又はその類似体、ヒドロキシプロピル化β−シクロデキストリン、ブデソニド(Bodesonide)又はオイドラギット(Eudragit)S100であり得る。物質は患者の症状の治療のために使用され得るか、又は使用されることが可能であり、前記治療は粒子状物質の吸入を含み、前記物質が症状の治療に適応される。患者は、例えばヒト患者であり得る。患者は、哺乳類の患者であり得る。患者は、非ヒト哺乳類の患者、例えば、犬、猫、馬、雌牛、雄牛等であり得る。症状は、例えば、糖尿病、喘息又は粒子状物質の吸入により治療可能である他の症状であり得る。物質は吸入により、例えば、鼻孔吸入により投与され得る。鼻孔吸入のための物質は、一般に、腸管を介して投与される物質のために一般に必要である胃耐性(gastroresistant properties)を必要としない。鼻孔吸入のための物質は、一般に、粘膜毛様体クリアランスを減少するために及び経鼻的に投与された物質の再現性ある生物学的利用率を達成するために、約5ミクロン未満の粒子径を必要とする。本発明は、投与されるべき特定の物質の何れかに限定されるものではない。物質は治療剤であり得る。治療剤は、あらゆる薬剤、生物学的に活性なペプチド(モノペプチド、ジペプチド、オリゴペプチド又はポリペプチド、例えば、テストステロン、ナンドロレン、メノトロピン、プロゲステロン、インスリン及びウロフォリトロピン、エリスロポエチン及びエポエチンのようなホルモン、リンホカイン、例えば、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−1、インターロイキン−2、インターロイキン−4及びインターロイキン−8、グロブリン、例えば、α−グロブリン、β−グロブリン、γ−グロブリン及び免疫グロブリン、例えば、多価IgG又は特異IgG、IgA及びIgM、例えば、抗破傷風抗体、アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン及びオボアルブミン)、ワクチン(例えば、ペプチド抗原及び弱毒化された細菌及びウイルス、例えば、腸管毒素原生大腸菌の易熱性エンテロトキシンのBサブユニット、コレラ毒素のBサブユニット、腸内病原菌の莢膜抗原、腸内病原菌の房状へり又は線毛、HIV表面抗原、ダストアレルゲン及びダニアレルゲン)、又はあらゆる他の薬剤部分であり得る。本発明において使用され得る薬物の例は、心血管系に作用する薬物(例えば、リドカイン、アデノシン、ドブタミン、ドーパミン、エピネフリン、ノルエピネフリン、フェントラミン)、中枢神経系に作用する薬物(例えば、ドキサプラム、アルフェンタニル、デゾシン、ナルブフィン、ブプレノルフィン、ナロキソン、ケトロラク、ミダゾラム、プロポフォール、メタクリン、ミバクリウム、スクシニルコリン)、抗腫瘍薬(例えば、シタラビン、マイトマイシン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン)及び抗生物質(例えば、メチシリン、メ
ズロシリン、ピペラシリン、セフォキシチン、セフォニシド、セフメタゾール及びアズトレオナム)を含む。治療剤がインスリンである場合、本発明の粒子状物質は糖尿病の治療にとって有用であり得る。患者に投与される物質の量は、粒子状物質、治療される疾患又は症状、並びに治療される対象者の年齢、体重及び性に依存して変わり得る。
【0064】
物質は、ある態様において、除草剤、殺虫剤、殺鼠剤、殺菌剤又は幾つかの他の物質であり得る。
本発明の方法は、コートされた粒子を形成するために使用され得る。粒子は部分的にコートされ得る。それらは完全にコートされ得る。それらはカプセル化剤でコートされ得る。それらはカプセル化剤で少なくとも部分的にカプセル化され得る。そのような粒子は、本発明の異なる態様により製造され得る。
一つの態様において、本方法は、溶媒中におけるコア粒子の分散液を超臨界流体中へ供給する工程であって、前記分散液は溶液中にカプセル化剤を含み、前記超臨界流体はコア粒子及びカプセル化剤にとって非溶媒であり且つ溶媒と混和性であるところの工程を含む。そのようにして形成された粒子は、溶媒と超臨界流体の混合物中に分散される。それゆえ、分散液が超臨界流体に注入されたときに、カプセル化剤は、コア粒子を取り囲んで、コーティング又は部分コーティングを形成する。分散液は懸濁液であり得る。それは、コロイド分散液であり得る。分散液中のコア粒子とカプセル化剤間の比率は、質量又はモルに基づき、約1:20ないし約20:1の間であり得る。それは約1:10ないし10:1、1:5ないし5:1、1:2ないし2:1、1:20ないし1:1、1:1ないし20:1、1:5ないし1:1又は1:1ないし5:1の間であり得、例えば、約20:1、10:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1.5:1、1:1、1:1.5、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10又は1:20であり得るか又は、幾つかの他の所望による比率であり得る。この態様は、好適な溶媒中に溶解させるのが困難であるコア粒子にとって有用である。これらのコア粒子は、塩、金属、例えば、酸化鉄、鉄等のような無機粒子を含む。このような場合、カプセル化剤はポリマー材料であり得るか又は前述の物質のために記載された、本発明に従って粒子にされ得るものであり得る。
【0065】
別の態様において、コア粒子は本発明の方法を用いて製造される。それゆえ、好適な方法は、第一溶媒中に溶解された物質を含む第一溶液を超臨界流体中へ供給する工程であって、前記超臨界流体は、物質にとって非溶媒であり且つ第一溶媒と混和性であるところの工程を含む。これは、結果として物質のコア粒子の形成を生じ、前記粒子は溶媒と超臨界流体の混合物中に分散される。第二溶媒中に溶解されたカプセル化剤を含む第二溶液が、その後、それを通して分散された粒子を有する超臨界流体中へ供給されるが、前記超臨界流体はカプセル化剤にとって非溶媒であり且つ第二溶媒と混和性である。これはその後、結果として、物質の粒子の少なくとも幾らか上で、カプセル化剤のコーティング(部分的又は完全な)の形成を生じる。それゆえこの態様において、コア粒子は本発明の方法を用いて、その場で形成され、本方法はその後、カプセル化剤のコーティングを形成するために再び用いられる。物質とカプセル化剤の比率は、コートされた粒子を形成するため前述した態様のために記載されたものと同様である。この態様は、コア粒子が好適な溶媒中に容易に溶解し得る物質を含むコートされた粒子を製造するのに好適である。それは、例えば、薬剤の粒子上へのコーテイングを、持続放出又は制御放出に適用するために使用され得る。この場合において、好適なコーティングは、コア粒子の物質の制御放出が可能であるポリマーであり得る。
【0066】
上記方法を用いて、物質の粒子を製造するための好適な装置は、加圧可能な注入チャンバーと沈殿チャンバーを含む。導管は注入チャンバーと沈殿チャンバーを接続し、バルブが開口である場合、注入チャンバーは沈殿チャンバーと通じ、バルブが閉鎖の場合、注入チャンバーは沈殿チャンバーから離間するような注入バルブが取り付けられる。沈殿チャンバーは、超臨界流体が超臨界状態(温度及び圧力)を維持できるようにすべきである。
それゆえ、沈殿チャンバーは温度制御装置を有し得る。これは、電子制御装置であり得るか又は沈殿チャンバーが少なくとも部分的に漬かり得る加熱浴(例えば、水浴)を含み得る。沈殿チャンバーは、超臨界流体の供給源に接続され得る入口、及び超臨界流体の放出を可能とするための出口部を有するべきである。
【0067】
導管はチューブ又はパイプであり得る。それは、注入バルブが開口である場合、液体は導管を通過し得、注入バルブが閉鎖の場合、液体は導管を通過し得ないような、注入バルブを含む。
それゆえ、注入チャンバーに溶液が入れられ、バルブを閉鎖して沈殿チャンバーよりも高い圧力に加圧された場合、バルブを開口すると、注入チャンバーから沈殿チャンバー内への非常に迅速な溶液の放出を導き、それにより、沈殿チャンバー全体に亘って溶液の微細な噴霧が形成される。
【0068】
本発明において、沈殿物析出の視覚化及び、そこからの使用液の噴霧様式の視覚化を可能とするために、比較的広いアクセスネック(access neck)を有する沈殿チャンバーを用いるのが都合が良い。幅広のアクセスネックは沈殿の回収を促進する。
ある態様において、沈殿チャンバーは、超臨界流体の導入のためのポート、使用液の導入のためのポート(即ち、導管)、圧力監視のための部分及びチャンバーからの超臨界流体の放出のためのポートを含む。
【0069】
注入チャンバーは、本方法で使用される条件及び材料に対して物理的及び化学的な耐性を有するあらゆる好適な材料から構成され得る。好適な材料は、12.57mmO.D.のステンレス鋼の管である。管の長さは使用液の望ましい体積、例えば、10mLを含むように選択され得る。
注入チャンバーの内面は、チャンバー面の側面に沿って使用液の残留を最小とするために、好ましくは平滑であり、それにより、沈殿チャンバー内への溶液の最大量の供給を容易にする。それゆえ、注入チャンバーの内面は、高鏡面仕上げ(high mirror
finish)に研磨され得る。
注入チャンバー及び沈殿チャンバーは、急激な圧力変化に耐え得るべきであり、そして、それに沿って、構成されるべきである。好適には、300mLのボルト締結容器が圧力衝撃に耐えることができ、沈殿チャンバーとして使用され得る。
必要とされる背圧ガスの恒量において、より少ない含有体積はより高い圧力を暗示するため、使用液を加圧するために使用するガスの体積を増加させることは、その活性化された供給のために必要な圧力を減少することがわかっている。同様に、ガスの体積を最大化することにより、背圧チャンバー内の圧力を制御する必要性が少なくなる。本発明の一つの実施態様において、150mLの背圧チャンバー(ホワイティ(Whitey)150mL試料シリンダー)が注入チャンバーに直接結合される。
【0070】
背圧ガスは要求される操作圧力内(例えば、25℃ないし40℃で約1ないし約200バールの範囲内)で液化しないのが好ましい。同様に、背圧ガスは使用液と相互作用するべきでなく、使用液(特に溶媒)はガス中へ過剰に蒸発しないようにすべきである。窒素は、多くの有機溶液の液相において低い溶解度を有し、圧力が増加するにつれて、窒素(蒸発)中の有機蒸気の溶解度は減少する。従って、注入チャンバーで使用される高い圧力での窒素ガス中への溶媒の蒸発は、必要に応じて低くなると期待される。従って、窒素は、本発明における使用のための好適な背圧ガスである。
【0071】
本装置は更に、超臨界流体をその超臨界状態に維持する間に、溶媒と超臨界流体の混合物から粒子を分離するための分離装置を含み得る。上記のように、これは、粒子を濾過するためにフィルター、例えば、フリットを含み得る。それはまた、該流体にとって超臨界状態下で分離を起こすことを可能とするために、適切なバルブ及び/又は圧力制御装置も
含むべきである。本装置は、粒子の回収が超臨界流体から濾過されて行なわれるよう、フィルターが利用しやすいように設計されるべきである。これは、ねじ込み継ぎ手又は類似の手段であり得る。
【0072】
本装置は、注入チャンバーを加圧するための加圧装置を含み得る。これは、例えば、溶媒において低い溶解性のガスの高圧源を含み得る。注入チャンバーはまた、そこへ溶液を収容するための手段も有するべきである。これは、例えば、開閉可能な挿入ポートであり得るか又は再密封可能なセプタムポートであり得るか或いはあらゆる他の好適な手段であり得る。
【0073】
導管は沈殿チャンバー内へ延長し得る。それはチャンバー内へ約5ないし50mmの間で延長し得るが、しかし、この距離は臨界的であるとは思われない。それはチャンバー内へ約5ないし30、5ないし20、5ないし10、10ないし50、20ないし50、30ないし50又は20ないし40mmの間、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50mm延長し得る。導管の最小内径は、超臨界流体中への溶液の1回のショットでの供給を可能とするために十分に大きいものであり得る。それは、超臨界流体中への溶液の、迅速な、瞬間の又は殆ど瞬間の供給を可能とするために十分に大きいものであり得る。一般に、直径は、直径約0.5ないし2mm、又は約0.5ないし1.5、0.5ないし1、1ないし2又は1ないし1.5mmの間、例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9又は2mmであり得る。直径は、前述のように沈殿チャンバー内への溶液の迅速な放出を可能とするために十分大きいものであるべきである。本発明の利点は、使用液の霧化が毛細管ノズルを使用することなく起こり得ることである(幾つかの現存する装置を使用するが)。典型的に毛細管ノズルチップで生じる高い核生成密度は、高いかさ密度の生成物を導き得る。加えて、毛細管ノズルの不在は、プロセス強化中、ノズル噴霧の影響を除くことにより方法の拡張性を改善する(即ち、最適化、スケールアップ)。本発明の幾つかの態様において、注入チャンバーは、沈殿チャンバーの上端に直接結合され、ボールバルブによって、そこに連結される。この配置は導管における屈曲を最小にするが、それは、さもなくば結果として、注入チャンバーから沈殿チャンバーへ流れるので使用液の流れのエネルギーにおいて損失を生じる。それゆえ、導管は真っすぐな又は実質的に真っすぐな導管であり得る。それは、その中に屈曲を有し得ない。
【0074】
沈殿チャンバーの体積は、注入チャンバーの体積の少なくとも約10倍であり得る。注入チャンバーと沈殿チャンバーの体積間の比率は、約10ないし約50、又は10ないし40、10ないし30、10ないし20、20ないし50、30ないし50又は20ないし40であり得、また、約10、15、20、25、30、35、40、45又は50であり得る。幾つかの態様において注入チャンバーは、約2ないし約20cm3の体積、又
は約2ないし10、2ないし5、5ないし20、10ないし20、5ないし15又は8ないし12cm3の間、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、
13、14、15、16、17、18、19又は20cm3である。沈殿チャンバーの体
積は、約200ないし500cm2、又は約200ないし400、200ないし300、
300ないし500、400ないし500、250ないし400又は250ないし350cm3の間、例えば、約200、250、300、350、400、450又は500c
3であり得る。
【0075】
本装置をより大きな製造体積にスケールアップするために、上述の装置は、多くの回数反復し得る。それゆえ、因子xにより製造速度を増大するために、上述の装置はx回反復され得る。さもなくば、上述の注入チャンバーの複数個(即ち、x)が、複数個(即ち、x)の導管により1個の沈殿チャンバーに連結されるが、そこでは沈殿チャンバーは、1個の注入チャンバーで使用されるものの約x倍大きな体積を有する。別の代替物として、
1個の沈殿チャンバーで使用されるものの約x倍大きな体積を有する1個の注入チャンバーが、複数個(即ち、x)の導管を使用して、複数個の沈殿チャンバーに連結され得る。この場合には、xは所望のあらゆる複数であり得る。それは、望ましい製造速度に依存して、2ないし1000又はそれより大きいものであり得る。それは、2ないし500、2ないし100、2ないし50、2ないし20、10ないし1000、100ないし1000、500ないし1000、100ないし500又は100ないし200、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900又は1000であり得る。
【0076】
本発明の粒子状物質は、約10ないし200nm、又は約20ないし200、50ないし200、100ないし200、10ないし150、10ないし100、10ないし50、10ないし40、20ないし100、20ないし50又は20ないし40nmの間、例えば、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は200nmの平均粒子径であり得る。本粒子状物質は、2峰性の粒度分布を有し得る。2つの峰の小さい方は、平均粒子径のために上記されたものと同様であり得る。2つの峰の大きい方は、凝集物のために下記されたものと同様であり得る。本粒子状物質は肺送達のための薬物を含み得る。本粒子状物質は約1ないし約50mg/mL又は約5ないし20、1ないし30、1ないし20、1ないし10、1ないし5、5ないし50、10ないし50、20ないし50、5ないし30又は5ないし10mg/mLの間、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45又は50mg/mLのかさ密度を有し得る。本粒子状物質は、約10m2/gより
大きい比表面積又は、約15、20、25、30、35又は40m2/gを超えるか或い
は約10ないし100m2/g又は約10ないし約50m2/g又は約10ないし40、10ないし30、20ないし50、30ないし50、20ないし40、50ないし100又は25ないし35m2/g、例えば、約10、15、20、25、30、35、40、4
5、50、60、70、80、90又は100m2/gの比表面積を有し得る。それは、
約20ミクロン未満、又は約10、5、2又は1ミクロン未満、或いは約1ないし約20ミクロン又は約1ないし10、1ないし5、5ないし20、10ないし20、2ないし10又は2ないし5ミクロンの間、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20ミクロンの平均直径を有するゆるい凝集物の形態にあり得る。
【0077】
粒子状物質の粒子は、球形、多面体(約6ないし約50の間の面を有する)、不整形、卵形、針状、血小板形、偏球又は幾つかの他の形であり得る。
本発明は、高圧下で濃密ガスを操作することに関連する特有の利点を提供する。本発明の方法を使用して沈殿された生成物は、本方法において使用された高圧力の結果として、その場で殺菌され得る。生成物の沈殿の間の酸素の不在は、粒子の酸化的分解反応を阻害、減少又は除去するために役に立ち得る。それゆえ、本方法は、実質的に無酸素状態下で行われ得る。半固体材料の発泡もまた、粒子形成に続く圧力放出の間に行われ得るが、この時濃密ガスは気相に戻る。
【0078】
本発明の方法の主な特徴は以下を含む:
・圧力差を使用し、溶解した医薬品化合物(類)を含む使用液の体積が、貧溶媒を含む密閉容器中に完全に供給され;
・溶液の供給は無制御であり、供給の期間は瞬時と言えずとも殆ど瞬時に近く;
・圧力差が、供給の間に使用液をエネルギー的に霧化するために使用されて、毛細管ノズルの使用を除外し;
・使用液の迅速な供給は、作業時間の削減を可能にし;
・使用液が、供給の前に、実質的に予備膨張されず;
・貧溶媒の過剰体積が使用され−使用液が供給された時、それは貧溶媒を含む容器全体に分散され、容器中に、非常に低くなった使用液の濃度を有する使用液と貧溶媒の均一な混合物を達成し;
・容器中のこの低い使用液濃度は、非常に低くなったかさ密度を有する沈殿の形成を可能にし;
・使用液の全体積の殆ど瞬時の供給を伴って、溶媒抽出の局在化効果が最小化され、使用液の全量が溶媒抽出のレベルと同じになり、より均一な特性(より狭い粒度分布)を有する生成物可能とし;
・毛細管のノズルの不在及びその結果として、毛細管のノズルを介する異なる流速に起因する噴霧様式の変化の影響の不在が、より高度な方法の拡張性に貢献する。
【0079】
GAS及びASES法と同様に、本方法はCO2のような超臨界非溶媒の貧溶媒能力を
利用して、溶媒から事前に溶解した化合物の沈殿をもたらす。本発明の方法の貧溶媒周囲媒体への溶液の活性化された迅速な放出は、しかしながら、他の加工基盤(processing platforms)に優る基本的な利点を提示する。上述の方法の操作特性を第1表中で簡潔に比較した。
【表1】

【実施例】
【0080】
材料及び手法
該実施例で使用された装置の概略図を図1に示した。図1において、窒素シリンダー1及び二酸化炭素シリンダー2が装置へガスを供給するために準備された。注射器ポンプ3及び3´がそれぞれ窒素及び二酸化炭素を加圧するために準備された。シリンダー1は、注射器ポンプ3からシリンダー1を隔離することを可能とする、ボールバルブV1により注射器ポンプ3に連結される。同様に、シリンダー2が、注射器ポンプ3´からシリンダー21を隔離することを可能とする、ボールバルブV3により注射器ポンプ3´に連結される。加熱コイル4が加圧された二酸化炭素を加熱して、使用に際する所望の温度にするために備えられた。バルブV4及び逆止めバルブV4´が、ポンプ3´とコイル4の間の連結を開口又は閉鎖するために、及び注射器ポンプ3´中への二酸化炭素の逆流を防止するために、ポンプ3´とコイル4の間に準備された。背圧チャンバー5が、供給前に使用
液を加圧するための圧縮窒素の貯蔵容器として準備された。バルブV2と逆止めバルブV2´が、ポンプ3とチャンバー5の間の連結を開口又は閉鎖するために、及び注射器ポンプ3中への二酸化炭素の逆流を防止するために、注射器ポンプ3と背圧チャンバー5の間に準備された。注入チャンバー6が背圧チャンバー5に連結され、チャンバー5内の圧力を決定するための圧力変換器P1及び注入チャンバー6に使用液を収容するために及び大気から背圧チャンバー5及び注入チャンバー6を閉鎖するためにバルブV5が取り付けられた。沈殿チャンバー7は、チャンバー7へ超臨界二酸化炭素を収容するために、コイル4に連結されたポート7´を有する。チャンバー6は、チャンバー7内に延長されるノズル8に連結されるボールバルブV6を介してチャンバー7と通じる。チャンバー7はまた、チャンバー7内の圧力を決定するための圧力変換器V2が取り付けられる。チャンバー7に対する出口7´´は、インラインフィルター9を介して沈殿させられた生成物を集めるために備えられたニードルバルブNVに連結される。フィルター9は、本装置内で製造される生成物を取り出すために開閉可能及び再密封可能である。ニードルバルブNVは、インラインフィルター9における圧力が生成物を濾過して取り除く間、超臨界状態でチャンバー7からの混合物を維持するのに十分であることを確実にするために準備される。溶媒捕獲器10は、超臨界流体と溶媒の混合物が非−超臨界状態に戻った場合に、液体状態に戻った溶媒を捕獲するために、ニードルバルブNVに連結される。捕獲器10からの出口は、廃棄するために放出される。温水器11及び水浴12が、所望の温度で本装置の臨界成分を維持するために準備される。それゆえ、操作において、超臨界流体を含むことが必要な装置の部分は、正確な超臨界温度を維持することを確実にするために、水浴12中に漬けられる。
【0081】
浸水部分は全てグレード316(Grade 316)のステンレス鋼構造であった。300mLのボルト締結容器(オートクレーブ エンジニアーズ(Autoclave Engineers))が沈殿チャンバー7として使用されたが、注入チャンバー6は、長さ12.7mmの管で造られた。注入チャンバー6の内容積は、約10mLであった。150mLのサンプルシリンダー5(ホワイティ(Whitey))は、溶液供給の間、背圧を提供するために、6.4mm管で注入チャンバー6に直接連結された。注入チャンバー6及び沈殿チャンバー7は、約1mmの内径を有する3.2mm管で連結された。3.2mmインチ管が、沈殿チャンバー7の上端を越えて約30mm延長されたが、溶液供給の間、ノズル(8)として機能する。両チャンバーの内容物はボールバルブV6で分離された。注入チャンバー6及び沈殿チャンバー7の内圧は、それぞれ2つの圧力変換器(ドラック(Druck))P1及びP2により別々に監視された。本方法の臨界化合物は、40℃に保持された温度制御された水浴12中に漬けられた。
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

背圧チャンバー及び注入チャンバー回路の体積:182.0±0.6mL
沈殿容器回路の体積:355.3±1.3mL
【0082】
溶液調製
− 化合物の秤量された量を清潔な50mLガラスバイアル瓶中に取り込み;
− 溶媒の計量された量を50mLガラスバイアル瓶中に添加し;
− 必要であれば、ガラスバイアル瓶を15分間超音波浴に漬けて、化合物を完全に溶解し;
− 透明な溶液が得られたとき、化合物が完全に溶解されたことが確認される。
酸性化された脱イオン水中のインスリン溶液の調製
− インスリンの秤量された量を清潔な50mLガラスバイアル瓶中に取り込み;
− 脱イオン水5mLを50mガラスバイアル瓶中に添加し;
− 水中のインスリンの溶解度を上げるために、50mLバイアル瓶を攪拌しながら、0
.1N HCl 14滴を添加して、溶液を酸性化し;
− 透明溶液が得られた後、攪拌しながら1.0N NaOH 2滴を50mLバイアル瓶中へ導入して約5のpHを有する溶液を得た。
二酸化炭素膨張エタノール貧溶媒システムの調製
− 沈殿チャンバーが組み立てられる直前に、貧溶媒を調製するために必要なエタノールの量を沈殿チャンバー内に添加し;
− 50バールで二酸化炭素が装置内に添加され、装置から周囲空気を除くために、続いて装置を上端から減圧し;
− 次に二酸化炭素が沈殿チャンバーの底部から添加され、エタノール相に凝集するようにエタノールが膨張される。実験のために選択された操作圧力及び温度は、全て単相系、即ち、沈殿チャンバー内における液相及び気相の不在、の達成に相当し;
− 更なる二酸化炭素が必要に応じて、沈殿チャンバー内に添加され、系を一晩(過剰な期間)放置して、平衡に到達させ;
一般法
− 実験条件を保障するために沈殿チャンバー7をCO2で充填し、その後CO2と一緒の系を除き且つ漏れがないかどうか系を確認するために減圧し;
− ARISE法における貧溶媒システムを調製するために、沈殿チャンバーは以下で充填される:
○決められた実験条件を達成するために二酸化炭素か;又は
○前述されたようなエタノールで変性された二酸化炭素。
− 貧溶媒システムは、CO2のために30分及びエタノール変性CO2のために一晩、平衡に到達するために時間が与えられ;
− 前述したように調製された使用液は、注入チャンバー6中に注射器で導入され;
− 窒素が背圧チャンバー5及び注入チャンバー6中へ添加され、沈殿チャンバー7を超過した圧力に、典型的には50バール超過した圧力にして;
− 背圧チャンバー5及び注入チャンバー6は、一定圧力に到達するために5分与えられ;
− V6は5秒の期間、パタパタと開口され;
− 全過程は圧力を安定化するために10分間放置され;
− CO2の決められた体積は次に、残留溶媒の残る容器を洗い流すために、等圧及び等
温条件下一定の流速で沈殿チャンバー7を通過させ;
− 沈殿物は、0.5ミクロンのステンレス鋼フィルターを備えた沈殿チャンバー内の基底部に維持され;
− 沈殿チャンバー7は系から分断され及び沈殿物を回収するために分解された。分解の間、容器は注意深く取り扱われ及び沈殿チャンバー7内の沈殿物堆積のかく乱を最小にするために反転させず;
− 注入チャンバー6は系から分断され及びいくらかの残留した使用液を検査するために分解され;非常に少量(〜0.05mL)が極まれな場合に残留した。
特別方法
この例において、インスリン200mg(ウシ膵臓−シグマ−アルドリッチ又はヒト組み換えインスリンバイオコンリミテッド(Biocon Limited))をジメチルスルホキシド(DMSO 99.5%−AJAXファインケム(Finechem))10mL中に溶解して使用液を形成した。沈殿チャンバー7の空気をCO2(99.5%−
リンデ(Linde))で一掃した後、CO2がらせん状の加熱コイル4を介して注射器
ポンプ3(ISCO500D)で沈殿チャンバー7内へ所望の使用圧力まで導入して;チャンバー7をその後密封した。この研究で選択された使用圧力は、CO2/DMSO系の
飽和圧力を上回った。沈殿チャンバー7は平衡を達成するために30分間置いた。使用液は次に、V5を介して注射器で注入チャンバー6中へ導入された。注入チャンバー6及び
背圧容器5はその後、沈殿容器7より50バール超過する圧力まで窒素(99.999%−リンデ(Linde))が充填され密封された。窒素は、供給前に起こる望ましくない
膨張及び沈殿を回避するために、使用液でのその低い溶解度に起因する圧力差を達成するよう使用された。
【0083】
5秒間のV6の迅速な開口により、使用液は、3.2mm管8を介して沈殿チャンバー
7内へエネルギー的に供給された。V6を開きながら、注入チャンバー6は、その内容物
が殆ど瞬時に沈殿容器7中に流入するような急激な減圧に付された。沈殿チャンバー7の圧力は、同時に増加した。沈殿チャンバー7の内容物はその後、安定した圧力を達成するために10分間休ませた。CO2は次に、等圧及び等温条件下で沈殿チャンバーを通過し
、DMSOで系を洗い流した。沈殿物は、抽出された溶媒及び貧溶媒が沈殿チャンバー7から出る間に、0.5ミクロンのフリットを用いて沈殿チャンバー内の基底部に維持された。
【0084】
結果及び議論
五つのARISE実験の実験条件及び粒度分布を第2表に纏めた。粉末の粒度分布は、分散剤としてエタノールを使用した光散乱(マルバーン マスターサイザー(Malvern Mastersizer)2000)から得た。全ての実施例は、インスリン200mgを含む使用液10mL及び50バール過剰となる注入チャンバーの初期圧力を使用し、40℃で行った。
【表6】

五つのARISE実験は、インスリンのミクロン及び同等のサブミクロンサイズの粒子を沈殿させるための方法の可能性を提示する。ケース2、3及び4で得られた類似の粒度分布は、本方法の再現性を実証する。ケース1、2及び5の間の比較条件はまた、本方法−生成物特性の調節可能な性質が、単に沈殿チャンバーの初期圧力を変化させることにより容易に変更されることも説明する。
ケース4からの生成物の電子顕微鏡写真(日立(Hitachi)S900)は、ARISE加工から回収されたインスリンが、高度に凝集されたサブミクロン個別粒子からなることを示している。。
五つのケース全てから得られた粉末は、かさ密度における劇的な減少を受けることが観察された。生成物の低いかさ密度は、沈殿チャンバーの全体積の中で沈殿が生じた結果であり、ASES及びそこから派生したプラットフォームで経験したような局在化した接触面で生じた結果によるものではないと考えられた。供給中、使用液の高エネルギー放出を伴って、使用液は沈殿チャンバー全体に亘って、常に分散された。
【0085】
結論
新規に開発されたARISE法を用いて、インスリンの微粉化が成功裏に実証された。本ARISE法は、毛細管ノズルを使用することなく、貧溶媒中へ使用液をエネルギー的に霧化する圧力差及び迅速な供給技術を開発することにおいて、現存する方法とは基本的に異なる。使用液の慣性を、混合を強化するために活用することにより、沈殿は沈殿チャ
ンバーの全体積内で発生される。これが、ARISE法を用いて加工された粉末に、特徴的な低いかさ密度を付与するものであると考えられる。
提供された図は、実施例又は関連する方法において記載された方法、装置及び生成物の種々の観点を示す。図2は、本発明の方法を用いて製造された粒子状インスリンの電子顕微鏡写真を示す。倍率の異なる3枚の顕微鏡写真は、本方法により製造された粒子のゆるい凝集物を示し、高倍率において、一次粒子が比較的狭い粒度分布を有することが示されていることが判る。
図3ないし6は、使用された装置の部分の概略図を示す。それゆえ、図3は、図1のノズル8として使用するための1.0mmIDノズルを示す。ノズルの末端は、沈殿チャンバーへの溶液の円滑な供給を促進するために、バリを無くし及び研磨された。図4は、0.762mmI.D.ノズルの概略図を示す。この場合、図3に示されるような1.0mmノズルは、径違い連結器(径違い継ぎ手 スワゲロク(登録商標:Swagelok)SS−200−6−1)の手段により0.762mmID管(部分締結具 スワゲロク(登録商標:Swagelok)SS−101−PC)に結合される。図5は、実施例において使用される注入チャンバーの概略図を示す。図5において、注入チャンバーの胴体は、ステンレス鋼管50、I.D.9.56mm、壁厚12.7mm、長さ150mmである。これは、チャンバー5に連結された径違い連結器51が取り付けられる(図1)。管50の他の末端は、図4で示されるノズルを収容するために適合された、出口直径3.175mmである径違い連結器52(径違い継ぎ手 スワゲロク(登録商標:Swagelok)SS−810−6−2)が取り付けられる。図6は、本実施例で使用された沈殿チャンバーの概略図を示す。沈殿チャンバー60は、ステンレス鋼で作製された300mLのボルト締結容器である。それは、互いに密封可能にボルトで締められ得る、蓋62及び胴体64を含む。蓋62は、チャンバー60の内部まで約20mm延長されたノズル8(図1参照)が取り付けられる。蓋62はまた、二酸化炭素を収容するポート7´(図1参照)及び圧力変換器P2(図1)を受け入れるために適合されたポート66も有する。チャンバー60が閉められる場合、蓋62と胴体64の間を密閉するためにステンレス鋼ガスケットが備えられる。胴体64は、チャンバー60に材料(生成物、流体、溶媒)を残すことを可能とするために、底部に出口ポート7´´が備えられる。チャンバー60の内部の総高は、700mmであり、直径は46mmである。
図7は、ウシインスリンの写真を示す。左側の写真は加工前の写真を示し、右側の写真は、本発明に従う粒子に形成した後のインスリンの同量を示す。バイアル瓶の直径は約38mmである。本発明の方法により製造された生成物のかさ密度は、それが製造された材料のかさ密度よりも遥かに低い。図8は、本発明の方法により製造された粒子状物質の電子顕微鏡写真を示す。異なる倍率で、凝集物の開いた、ゆるい性質及び凝集物を含む粒子の均一な性質が見られ得る。
図9は本発明の方法により製造されたインスリン粒子の粒子径解析報告を示す。2つの分離された種が見られ得、一つは約0.1ないし0.2ミクロンに中心があり、もう一つは約1ないし2ミクロンに中心がある。前者は、本方法で製造された一次粒子を示し、一方、後者は一次粒子のゆるい凝集物を示す。
図10は、本発明の方法により製造されたインスリン粒子のインビトロ吸入可能性試験の計算結果を示す。このグラフはヒトの肺における生成物の模擬分散を表す。NMADは、“空気動力学的中央粒子径”であり、生成物の空気力学的特徴に関係する。棒は、右側の棒が肺深部における沈着を表して、ヒトの肺中の模擬沈着を表す。一緒に対になった棒は、2つの別の解析の結果を表す。図11は、本発明の方法により製造されたインスリン粒子の、機器を用いるか又は用いない吸入可能性試験の結果を示すグラフを表す。両方のケースにおいて、粒子の大部分が0.4ミクロン未満のEDCを有したが、これは薬物が吸入の間、肺へ効果的に送達されたであろうことを表す。ECDは、試験の間、生成物の空気力学的特徴を反映する有効カットオフ直径(Effective Cutoff Diameter)である。空気力学的特徴が幾何学的直径とは全く異なり得ることは、注意すべきである。
【0086】
上記の事項に基づく手順を使用して、以下の実施例を行った:
1)ヒドロキシプロピル化β−シクロデキストリン(HPβCD)(図12)
HPβCD量:2000mg
メタノール体積:10mL
温度:40℃
沈殿容器供給前圧力:120バール
沈殿容器供給後圧力:136.8バール

この実施例において、HPβCD2000mgがメタノール10mL中に溶解されて使用液が形成された。沈殿チャンバーから空気をCO2(99.5%−リンデ(Linde
))で一掃した後に、CO2が、注射器ポンプ3(イスコ(ISCO)500D)を用い
、らせん状の加熱コイル4を介して沈殿チャンバー7中に、所望の使用圧力まで導入され;その後チャンバー7は密閉された。この研究において選択された使用圧力は、CO2
メタノール系の飽和圧力を上回った。沈殿チャンバー7は、平衡に到達するのに30分かかった。使用液は次に、注射器を用いV5を介して注入チャンバー6中へ導入された。注
入チャンバー6及び背圧容器5は、その後、沈殿容器7を50バール超える圧力まで窒素(99.999%−リンデ(Linde))で充填されて密閉された。窒素は、供給前に起こる望ましくない膨張及び沈殿を回避するために、使用液でのその低い溶解度に起因する圧力差を達成するよう使用された。
5秒間のV6の迅速な開口により、使用液は、3.2mm管8を介して沈殿チャンバー
7内へエネルギー的に供給された。V6を開きながら、注入チャンバー6は、その内容物
が殆ど瞬時に沈殿容器7中に流入するような急激な減圧に付された。沈殿チャンバー7の圧力は、同時に増加した。沈殿チャンバー7の内容物はその後、安定した圧力を達成するために10分間休ませた。CO2は次に、等圧及び等温条件下で沈殿チャンバーを通過し
、メタノールで系を洗い流した。沈殿物は、抽出された溶媒及び貧溶媒が沈殿チャンバー7から出る間に、0.5ミクロンのフリットを用いて沈殿チャンバー内の基底部に維持された。
【0087】
2)オイドラギット(Eudragit)S100(図13)
オイドラギット(Eudragit)S100量:200mg
アセトン体積:10mL
温度:40℃
沈殿容器供給前圧力:120バール
沈殿容器供給後圧力:128.8バール

この実施例において、オイドラギットS100 200mgがアセトン10mL中に溶解された。沈殿チャンバーから空気をCO2(99.5%−リンデ(Linde))で一
掃した後に、CO2が、注射器ポンプ3(イスコ(ISCO)500D)を用い、らせん
状の加熱コイル4を介して沈殿チャンバー7中に、所望の使用圧力まで導入され;その後チャンバー7は密閉された。この研究において選択された使用圧力は、CO2/アセトン
系の飽和圧力を上回った。沈殿チャンバー7は、平衡に到達するのに30分かかった。使用液は次に、注射器を用いV5を介して注入チャンバー6中へ導入された。注入チャンバ
ー6及び背圧容器5は、その後、沈殿容器7を50バール超える圧力まで窒素(99.999%−リンデ(Linde))で充填されて密閉された。窒素は、供給前に起こる望ましくない膨張及び沈殿を回避するために、使用液でのその低い溶解度に起因する圧力差を達成するよう使用された。
5秒間のV6の迅速な開口により、使用液は、3.2mm管8を介して沈殿チャンバー
7内へエネルギー的に供給された。V6を開きながら、注入チャンバー6は、その内容物
が殆ど瞬時に沈殿容器7中に流入するような急激な減圧に付された。沈殿チャンバー7の
圧力は、同時に増加した。沈殿チャンバー7の内容物はその後、安定した圧力を達成するために10分間休ませた。CO2は次に、等圧及び等温条件下で沈殿チャンバーを通過し
、アセトンで系を洗い流した。沈殿物は、抽出された溶媒及び貧溶媒が沈殿チャンバー7から出る間に、0.5ミクロンのフリットを用いて沈殿チャンバー内の基底部に維持された。
【0088】
3)ヒドロキシプロピル化β−シクロデキストリン(HPβCD)でカプセル化された酸化鉄(Fe34)(図14及び15)
HPβCD量:1000mg
Fe34量:60mg
メタノール体積:10mL
温度:40℃
沈殿容器供給前圧力:120バール
沈殿容器供給後圧力:138.7バール

この実施例において、Fe34 60mgがHPβCD 1000mgに添加され、メタノール10mLが次にこの粉末混合物に添加された。HPβCDがメタノール中に溶解され、一方Fe34は、不溶のままであった。沈殿チャンバー7から空気をCO2(99
.5%−リンデ(Linde))で一掃した後に、CO2が、注射器ポンプ3(イスコ(
ISCO)500D)を用い、らせん状の加熱コイル4を介して沈殿チャンバー7中に、所望の使用圧力まで導入され;その後チャンバー7は密閉された。この研究において選択された使用圧力は、CO2/メタノール系の飽和圧力を上回った。沈殿チャンバー7は、
平衡に到達するのに30分かかった。メタノール中に溶解したHPβCDと懸濁にあるFe34を含む使用懸濁液は次に、注射器を用いV5を介して注入チャンバー6中へ導入さ
れた。注入チャンバー6及び背圧容器5は、その後、沈殿容器7を50バール超える圧力まで窒素(99.999%−リンデ(Linde))で充填されて密閉された。窒素は、供給前に起こる望ましくない膨張及び沈殿を回避するために、使用液でのその低い溶解度に起因する圧力差を達成するよう使用された。
5秒間のV6の迅速な開口により、使用液は、3.2mm管8を介して沈殿チャンバー
7内へエネルギー的に供給された。V6を開きながら、注入チャンバー6は、その内容物
が殆ど瞬時に沈殿容器7中に流入するような急激な減圧に付された。沈殿チャンバー7の圧力は、同時に増加した。沈殿チャンバー7の内容物はその後、安定した圧力を達成するために10分間休ませた。CO2は次に、等圧及び等温条件下で沈殿チャンバーを通過さ
れ、メタノールで系を洗い流した。沈殿物は、抽出された溶媒及び貧溶媒が沈殿チャンバー7から抜き出される間に、0.5ミクロンのフリットを用いて沈殿チャンバー中基底部に維持された。
【0089】
図12ないし14から、本発明の方法が、各ケースにおいて、その前駆体物質のかさ密度(“前”)よりも遥かに低いかさ密度(“後”)を有する、より軽い、よりフワフワした材料を提供することが判り得る。図15は、前駆体として磁気物質を用いて製造された粒子の磁気特性を説明している。それゆえ、図15において、磁気コアを有する粒子が容器の上端の磁石に引き寄せられるが、これは、磁気コア粒子が実際にカプセル化されたことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・溶媒中の物質の溶液を超臨界流体中に少なくとも1回のショットで供給する工程であって、前記超臨界流体は、前記物質にとって非溶媒であり且つ前記溶媒と混和性であるところの工程、及び
・前記物質の粒子を形成する工程であって、前記粒子は、前記溶媒と前記超臨界流体の混合物中に分散されるところの工程
を含む物質の粒子の製造方法。
【請求項2】
前記供給工程は、前記溶液を前記超臨界流体中に1回のショットで供給することを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記供給工程は、前記溶液を前記超臨界流体中に1回を超えるショットで同時に供給することを含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記供給工程は、前記供給に続いて、該溶液が前記超臨界流体全体に亘って前記溶液を分散するように、十分迅速に行われる請求項1ないし3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記供給工程は、前記超臨界流体中への前記溶液の流速が少なくとも約1L/s、又は、約1ないし約100L/s間の流速で行われる請求項1ないし4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記超臨界流体中に前記溶液を供給する前に、ガスで溶液を前記超臨界流体の圧力よりも高い圧力に加圧する工程であって、前記ガスは前記溶液中で低い溶解性を有するところの工程を更に含む請求項1ないし5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記超臨界流体中に前記溶液を供給する前に、前記超臨界流体の圧力より少なくとも約20バール高い圧力に前記溶液を加圧する工程を含む請求項1ないし6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記供給工程は、前記溶液が前記超臨界流体と混合することを可能とするために、注入バルブを開口することを含む請求項1ないし7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記形成工程は、前記溶液と前記超臨界流体との混合物全体に亘って粒子を形成することからなる請求項1ないし8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記溶液と前記超臨界流体との混合物から粒子を分離することを更に含む請求項1ないし9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記分離は、前記混合物がその超臨界状態を維持している間に行われる請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記超臨界流体で前記粒子を洗浄することを更に含む請求項10又は11記載の方法。
【請求項13】
前記分離後に周囲圧力まで前記粒子を減圧するすることを更に含む請求項10ないし12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記超臨界流体が超臨界二酸化炭素を含む請求項1ないし13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記物質が医薬的に活性な物質である請求項1ないし14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記物質が、インスリン、ヒドロキシプロピル化β−シクロデキストリン、ブデソニド(Budesonide)、オイドラギット(Eudragit)S100、リドカイン、アデノシン、ドブタミン、ドーパミン、エピネフリン、ノルエピネフリン、フェントラミン、ドキサプラム、アルフェンタニル、デゾシン、ナルブフィン、ブプレノルフィン、ナロキソン、ケトロラク、ミダゾラム、プロポフォール、メタクリン、ミバクリウム、スクシニルコリン、メチシリン、メズロシリン、ピペラシリン、セフォキシチン、セフォニシド、セフメタゾール及びアズトレオナム或いはこれらのあらゆる組合せからなる群より選択される請求項1ないし15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記溶液がコア粒子を含み、それにより前記物質の粒子は、前記物質で少なくとも部分的にコートされたコア粒子を含む請求項1記載の方法。
【請求項18】
更に以下の工程:
・第二溶媒中の第二物質の溶液を超臨界流体中に少なくとも1回のショットで供給する工程であって、前記超臨界流体は、前記第二物質にとって非溶媒であり且つ前記第二溶媒と混和性であるところの工程、及び
・前記第二物質により少なくとも部分的にコートされた前記物質の粒子を含む少なくとも部分的にコートされた粒子を形成する工程であって、前記少なくとも部分的にコートされた粒子は、前記溶媒、前記第二溶媒及び前記超臨界流体の混合物中に分散されるところの工程
を含む請求項1記載の方法。
【請求項19】
物質の粒子を製造するための装置であって、該装置は:
・溶媒中の物質の溶液を収納することができる加圧可能な注入チャンバー;
・超臨界流体の超臨界状態を維持することができる沈殿チャンバーであって、前記超臨界流体は前記物質にとって非溶媒であり且つ前記溶媒と混和性であり、前記沈殿チャンバーは、前記超臨界流体をそこへ収容するための入口が備えられている;
・注入チャンバーと沈殿チャンバーを接続する導管であって、該導管は、注入バルブが開放状態の場合、前記注入チャンバーは前記沈殿チャンバーと通じ、注入バルブが閉鎖状態の場合、前記注入チャンバーは前記沈殿チャンバーから離間するように配置される注入バルブを含む;
・前記超臨界流体と前記溶媒の混合物が前記沈殿チャンバーから出ることを可能とするための前記沈殿チャンバーと通じる出口
を含む。
【請求項20】
前記溶媒と前記超臨界流体の混合物から、該混合物が超臨界状態にある間に、前記粒子を分離するための分離装置を更に含む請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記注入チャンバーを加圧するための加圧装置を含む請求項19又は20記載の装置。
【請求項22】
前記加圧装置は、前記超臨界流体の超臨界状態を維持するために必要な圧力を超える圧力に、前記注入チャンバーを加圧することができる請求項21記載の装置。
【請求項23】
前記導管が前記沈殿チャンバーまで続く請求項19ないし22の何れか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記導管の最小内径は、前記超臨界流体への前記溶液の迅速供給を可能とするのに十分に大きい請求項19ないし23の何れか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記沈殿チャンバーの体積は、前記注入チャンバーの体積の少なくとも約10倍である請求項19ないし24の何れか一項に記載の装置。
【請求項26】
粒子状物質であって、該粒子状物質の前記粒子は以下:
・溶媒中の物質の溶液を超臨界流体中に少なくとも1回のショットで供給する工程であって、前記超臨界流体は、前記物質にとって非溶媒であり且つ前記溶媒と混和性であるところの工程、及び
・前記物質の粒子を形成する工程であって、前記粒子は、前記溶媒と前記超臨界流体の混合物中に分散されるところの工程
を含む工程により製造される粒子状物質。
【請求項27】
前記粒子は約200nm未満の平均粒子径を有する請求項26記載の粒子状物質。
【請求項28】
約10ないし約200nmの間の平均粒子径及び約1ないし約50mg/mLの間のかさ密度を有する粒子状物質であって、該粒子状物質は肺送達のための薬物を含むところの粒子状物質。
【請求項29】
約10ないし約200nmの間の平均粒子径及び約10m2/gを超える比表面積を有す
る粒子状物質であって、該粒子状物質は肺送達のための薬物を含むところの粒子状物質。
【請求項30】
約10ないし約50nmの平均粒子径を有する請求項26ないし29の何れか一項に記載の粒子状物質。
【請求項31】
患者の症状を治療する方法であって、前記方法は、請求項26ないし30の何れか一項に記載された患者による粒子状物質の吸入を含み、前記物質は前記症状の治療を意図したものであるところの方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−505605(P2010−505605A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530738(P2009−530738)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【国際出願番号】PCT/AU2007/001515
【国際公開番号】WO2008/040094
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(506093452)ニューサウス イノベーションズ ピーティーワイ リミテッド (4)
【Fターム(参考)】