説明

粒子分散液、粒子、粒子分散液カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法

【課題】分散液中における疎水性粒子の分散性に優れる粒子分散液、並びに、分散液に分散させた際の分散性に優れる粒子を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル系樹脂を含む疎水性粒子と、前記疎水性粒子に吸着したアセチレングリコール系界面活性剤と、水と、を少なくとも含有し、前記アセチレングリコール系界面活性剤が吸着した前記疎水性粒子の、水を飽和状態にまで吸収して膨潤した状態における粒子径が、乾燥状態における粒子径の1.1倍以上2倍以下である粒子分散液、並びに、(メタ)アクリル系樹脂と、アセチレングリコール系界面活性剤と、を少なくとも含有し、水を飽和状態にまで吸収して膨潤した状態における粒子径が、乾燥状態における粒子径の1.1倍以上2倍以下である粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子分散液、粒子、粒子分散液カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁性体を利用した画像形成方法として、表面に磁性体を有する磁気記録媒体に磁気ヘッドを操作して磁気潜像を形成し、この磁気潜像を磁性トナーで現像後、被転写媒体に加熱あるいは静電的に転写し、定着して印刷するいわゆるマグネトグラフィーがあり、この技術に磁性トナーを用いる技術が報告されている(例えば、特許文献1または2参照)。
【0003】
また、液体マグネトグラフィー用現像剤として、カルボン酸系高分子界面活性剤とアセチレングリコール系界面活性剤とを含む現像剤(例えば、特許文献3参照)、高分子界面活性剤(PVA)とアセチレングリコール系界面活性剤とを含む現像剤(例えば、特許文献4参照)が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−29961号公報
【特許文献2】特開平3−59678号公報
【特許文献3】特開2008−45063号公報
【特許文献4】特開2008−63552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、本構成を有しない場合に比べ、分散液中における疎水性粒子の分散性に優れる粒子分散液、および、本構成を有しない場合に比べ、分散液に分散させた際の分散性に優れる粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により達成される。即ち
請求項1に係る発明は、
(メタ)アクリル系樹脂を含む疎水性粒子と、
前記疎水性粒子に吸着したアセチレングリコール系界面活性剤と、
水と、を少なくとも含有し、
前記アセチレングリコール系界面活性剤が吸着した前記疎水性粒子の、水を飽和状態にまで吸収して膨潤した状態における粒子径が、乾燥状態における粒子径の1.1倍以上2倍以下である粒子分散液である。
【0007】
請求項2に係る発明は、
前記アセチレングリコール系界面活性剤を0.1質量%以上5質量%以下含有する請求項1に記載の粒子分散液である。
【0008】
請求項3に係る発明は、
前記アセチレングリコール系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルである請求項1または請求項2に記載の粒子分散液である。
【0009】
請求項4に係る発明は、
前記(メタ)アクリル系樹脂が、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂およびエチレン−(メタ)アクリル系樹脂から選択される少なくとも一種である請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の粒子分散液である。
【0010】
請求項5に係る発明は、
前記疎水性粒子が更に顔料を含有する請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の粒子分散液である。
【0011】
請求項6に係る発明は、
前記顔料がシアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーおよびブラックの顔料から選択される少なくとも一種である請求項5に記載の粒子分散液である。
【0012】
請求項7に係る発明は、
前記疎水性粒子が更に磁性体を含有する請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の粒子分散液である。
【0013】
請求項8に係る発明は、
前記磁性体がマグネタイト、ニッケル、イットリウム−鉄−ガーネット(YIG)、鉄粉、γ−酸化鉄、Ni−Zn系フェライト、Mg−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライトおよびLi−Zn系フェライトから選択される少なくとも一種である請求項7に記載の粒子分散液である。
【0014】
請求項9に係る発明は、
(メタ)アクリル系樹脂と、アセチレングリコール系界面活性剤と、を少なくとも含有し、
水を飽和状態にまで吸収して膨潤した状態における粒子径が、乾燥状態における粒子径の1.1倍以上2倍以下である粒子である。
【0015】
請求項10に係る発明は、
前記アセチレングリコール系界面活性剤を0.01質量%以上20質量%以下含有する請求項9に記載の粒子である。
【0016】
請求項11に係る発明は、
前記アセチレングリコール系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルである請求項9または請求項10に記載の粒子である。
【0017】
請求項12に係る発明は、
前記(メタ)アクリル系樹脂が、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂およびエチレン−(メタ)アクリル系樹脂から選択される少なくとも一種である請求項9〜請求項11の何れか1項に記載の粒子である。
【0018】
請求項13に係る発明は、
前記疎水性粒子が更に顔料を含有する請求項9〜請求項12の何れか1項に記載の粒子である。
【0019】
請求項14に係る発明は、
前記顔料がシアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーおよびブラックの顔料から選択される少なくとも一種である請求項13に記載の粒子である。
【0020】
請求項15に係る発明は、
前記疎水性粒子が更に磁性体を含有する請求項9〜請求項14の何れか1項に記載の粒子である。
【0021】
請求項16に係る発明は、
前記磁性体がマグネタイト、ニッケル、イットリウム−鉄−ガーネット(YIG)、鉄粉、γ−酸化鉄、Ni−Zn系フェライト、Mg−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライトおよびLi−Zn系フェライトから選択される少なくとも一種である請求項15に記載の粒子である。
【0022】
請求項17に係る発明は、
請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の粒子分散液を貯留する粒子分散液カートリッジである。
【0023】
請求項18に係る発明は、
磁気潜像保持体と、
現像剤としての請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の粒子分散液を貯留する現像剤貯留装置と、
磁気潜像が形成された前記磁気潜像保持体に前記現像剤を供給する現像剤供給装置と、
を有するプロセスカートリッジである。
【0024】
請求項19に係る発明は、
磁気潜像保持体と、
前記磁気潜像保持体上に磁気潜像を形成する磁気潜像形成装置と、
現像剤としての請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の粒子分散液を貯留する現像剤貯留装置と、
前記磁気潜像が形成された前記磁気潜像保持体に前記現像剤を供給しトナー像として顕像化する現像剤供給装置と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
前記磁気潜像保持体上の前記磁気潜像を消磁する消磁装置と、
を有する画像形成装置である。
【0025】
請求項20に係る発明は、
磁気潜像保持体上に磁気潜像を形成する磁気潜像形成工程と、
前記磁気潜像が形成された前記磁気潜像保持体に現像剤としての請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の粒子分散液を供給しトナー像として顕像化する現像剤供給工程と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記磁気潜像保持体上の前記磁気潜像を消磁する消磁工程と、
を有する画像形成方法。
【発明の効果】
【0026】
請求項1に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、分散液中における疎水性粒子の分散性に優れる。
【0027】
請求項2に係る発明によれば、アセチレングリコール系界面活性剤の含有量を考慮しない場合に比べ、分散液中における疎水性粒子の分散性に優れる。
【0028】
請求項3に係る発明によれば、アセチレングリコール系界面活性剤の種類を考慮しない場合に比べ、分散液中における疎水性粒子の分散性に優れる。
【0029】
請求項4に係る発明によれば、(メタ)アクリル系樹脂の種類を考慮しない場合に比べ、分散液中における疎水性粒子の分散性に優れる。
【0030】
請求項5に係る発明によれば、顔料を含有しない場合に比べ、画像形成用の現像剤として好適に用いられる。
【0031】
請求項6に係る発明によれば、顔料の種類を考慮しない場合に比べ、得られる画像の色再現域が拡大される。
【0032】
請求項7に係る発明によれば、磁性体を含有しない場合に比べ、液体マグネトグラフィー用の現像剤として好適に用いられる。
【0033】
請求項8に係る発明によれば、磁性体の種類を考慮しない場合に比べ、良好な現像性が得られ、高画質な画像が得られる。
【0034】
請求項9に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、分散液に分散させた際の分散性に優れる。
【0035】
請求項10に係る発明によれば、アセチレングリコール系界面活性剤の含有量を考慮しない場合に比べ、分散液に分散させた際の分散性に優れる。
【0036】
請求項11に係る発明によれば、アセチレングリコール系界面活性剤の種類を考慮しない場合に比べ、分散液に分散させた際の分散性に優れる。
【0037】
請求項12に係る発明によれば、(メタ)アクリル系樹脂の種類を考慮しない場合に比べ、分散液に分散させた際の分散性に優れる。
【0038】
請求項13に係る発明によれば、顔料を含有しない場合に比べ、画像形成用の現像剤として好適に用いられる。
【0039】
請求項14に係る発明によれば、顔料の種類を考慮しない場合に比べ、得られる画像の色再現域が拡大される。。
【0040】
請求項15に係る発明によれば、磁性体を含有しない場合に比べ、液体マグネトグラフィー用の現像剤におけるトナーとして好適に用いられる。
【0041】
請求項16に係る発明によれば、磁性体の種類を考慮しない場合に比べ、良好な現像性が得られ、高画質な画像が得られる。
【0042】
請求項17に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、分散液中における疎水性粒子の分散性に優れた粒子分散液の取扱い性に優れる。
【0043】
請求項18に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、分散液中における疎水性粒子の分散性に優れた粒子分散液の取扱い性に優れる。
【0044】
請求項19に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、画像が低いエネルギーで定着される。
【0045】
請求項20に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、画像が低いエネルギーで定着される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の一例における現像領域の拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0048】
本実施形態に係る粒子分散液は、(メタ)アクリル系樹脂を含む疎水性粒子と、前記疎水性粒子に吸着したアセチレングリコール系界面活性剤と、水と、を少なくとも含有し、前記アセチレングリコール系界面活性剤が吸着した前記疎水性粒子の、水を飽和状態にまで吸収して膨潤した状態における粒子径が、乾燥状態における粒子径の1.1倍以上2倍以下であることを特徴とする。
【0049】
また、本実施形態に係る粒子は、(メタ)アクリル系樹脂と、アセチレングリコール系界面活性剤と、を少なくとも含有し、水を飽和状態にまで吸収して膨潤した状態における粒子径が、乾燥状態における粒子径の1.1倍以上2倍以下であることを特徴とする。
【0050】
本実施形態に係る粒子分散液は、前述の通り、疎水性粒子を界面活性剤を含有する分散媒(少なくとも水を含む分散媒)中で膨潤させたものであって、該粒子分散液に含まれる界面活性剤としてアセチレングリコール系界面活性剤を含む。
また上記粒子分散液における分散媒の水を乾燥させた場合、上記界面活性剤は蒸発しないことから、内部および/または表面に前記アセチレングリコール系界面活性剤が含まれて複合粒子が構成される。この複合粒子(本実施形態に係る粒子)は水を含んで膨潤する性質を有し、水を飽和状態にまで吸収して膨潤した状態における粒子径が、乾燥状態における粒子径に対して1.1倍以上2倍以下である。
上記粒子は、水を取り込んで膨潤するため、水を含む分散媒中における上記粒子の分散性が向上する。
【0051】
上記粒子が膨潤するメカニズムは定かではないが、アセチレングリコール系界面活性剤の疎水部分が前記疎水性粒子の高分子鎖に強固に吸着し、高分子鎖の軟化と親水化が起こることから、粒子中に水を取り込んで膨潤するのではないかと考えられる。
【0052】
また、上記本実施形態に係る粒子分散液は、画像形成用の現像剤として好適に用いられる。
一般に(メタ)アクリル系樹脂を含む重合粒子は、加熱溶融させ溶解させることによって記録媒体(用紙)上に定着させて用いるため、その定着の際に高いエネルギーが必要となる。しかし、本実施形態に係る粒子分散液では粒子が水を吸収して膨潤していることから、従来に比べてより低いエネルギーで定着される。尚、定着のメカニズムは定かではないが、膨潤した粒子の粒子内での分散媒(水)の介在によって分子間相互作用が弱くなり、見かけ上の軟化点が低くなることから、より低いエネルギーでも容易に粒子が破壊して記録媒体上に定着されるものと考えられる。
【0053】
上記本実施形態に係る粒子分散液は、前記疎水性粒子中に磁性体を含ませることにより、液体マグネトグラフィー用現像剤として好適に用いられる。液体マグネトグラフィーは磁性粒子を含む画像表示用粒子(トナー)を磁気潜像に現像する画像形成方法である。
また、上記本実施形態に係る粒子を、少なくとも水を含む分散媒中に分散させることによって本実施形態に係る粒子分散液が得られ、上記のごとく液体マグネトグラフィー等の画像形成用の現像剤として好適に用いられる。
【0054】
−膨潤状態と乾燥状態とにおける粒子径の比−
尚、前記の通り、本実施形態に係る粒子分散液において、アセチレングリコール系界面活性剤が吸着した前記疎水性粒子の、水を飽和状態にまで吸収して膨潤した状態における粒子径は、乾燥状態における粒子径の1.1倍以上2倍以下である。この比が1.1倍未満であると膨潤状態が十分でないため低いエネルギーでの定着が難しくなり、一方この比が2倍を超える場合、粒子の強度が十分に得られないため溶液中で微粉化してしまうことがある。
【0055】
ここで、前記膨潤状態と乾燥状態とにおける粒子径の比は以下の方法にて算出されるものであり、本明細書に記載の数値は該方法にて算出した。尚、上記粒子径とは膨潤状態と乾燥状態の何れにおいても一次粒子径を表す。
[乾燥状態における粒子径の測定方法/顕微鏡法]
まず、本実施形態に係る粒子分散液の場合には、水を含む分散媒を蒸発させて含水率が5質量%以下となった状態で測定を行う。また、本実施形態に係る粒子の場合にも、同じく含水率が5質量%以下となった状態で測定を行う。
乾燥させた粒子を、走査型電子顕微鏡(SEM)で写真撮影し、その中から無作為に選んだ100個の粒子の粒子径を各々測定し、それらの合計を個数で除して、個数平均一次粒子径を測定する。
【0056】
[膨潤状態における粒子径の測定方法/コールター法]
まず、本実施形態に係る粒子分散液の場合には、そのままの状態で測定を行う。一方、本実施形態に係る粒子の場合には、水中に分散させて水を飽和状態にまで吸収した状態で測定を行う。
膨潤粒子を含む分散液を0.1ml取り、測定液アイソトンII(ベックマン・コールター(株)製)約100mlに分散し、コールターカウンター マルチサイザー3(ベックマン・コールター(株)製)を用いて個数平均一次粒子径を測定する。
尚、アパーチャー径が50μmのアパーチャーを用い、粒径が1μm以上30μm以下の範囲の粒子の粒度分布を測定し、測定する粒子数は10000である。測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個数について小径側から累積分布を描き、個数で累積50%となる粒径を個数平均一次粒子径D50pと定義する。
【0057】
次いで、乾燥状態における個数平均一次粒子径で、膨潤状態における個数平均一次粒子径を除して膨潤率を算出する。
【0058】
以下、実施形態に係る粒子分散液および粒子について、その構成について具体的に説明する。
【0059】
<粒子分散液>
(疎水性粒子)
本実施形態に係る粒子分散液に含まれる疎水性粒子は、少なくとも高分子化合物として(メタ)アクリル系樹脂を含有し、また更に磁性体や着色剤を含有して構成される。なお、疎水性粒子には、外添剤粒子が外添(つまり、外添剤粒子が疎水性粒子に付着)されていてもよい。
【0060】
−高分子化合物−
高分子化合物としては、少なくとも(メタ)アクリレートモノマーを重合した(メタ)アクリル系樹脂が用いられる。具体的には、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体樹脂(スチレン−(メタ)アクリル系樹脂)、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルと他のビニル系モノマーとの多元共重合体樹脂、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体樹脂(エチレン−(メタ)アクリル系樹脂)、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂の単体またはこれらの混合体などが用いられる。
【0061】
(メタ)アクリレートモノマーにおいては、(メタ)アクリル酸エステルのアルコール残基が、炭素数1以上18以下の置換または無置換のアルキル基であることが好ましく、該アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられる。また上記アルコール残基は、アルキル基の他に、ベンジル基、ヒドロキシエチル基、水酸基をジヒドロピラン等の疎水性保護基で保護したヒドロキシエチル基、ポリオキシエチレン基等であってもよい。
疎水性粒子の分散媒への分散性を考慮すると、前記高分子化合物としてはヒドロキシエチルメタアクリレートを含む重合体を用いたり、前記(メタ)アクリレートの重合体にさらに(ポリ)エチレングリコールで修飾させたりすることが望ましい。
【0062】
前記スチレン系モノマーとしては、炭素数6以上12以下の置換または無置換のアリール基を有するビニル基含有モノマーが望ましく、該アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、p−n−オクチルオキシフェニル基等が挙げられるが、フェニル基が望ましい。
【0063】
なお、前記(メタ)アクリレートモノマーのアルキル基、スチレン系モノマーのアリール基における置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基等が挙げられる。
前記アルキル基としては、前述のアルキル基で例示したものに準じて挙げられる。前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、これらの中ではメトキシ基、エトキシ基が好ましい。また、前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、フッ素原子、塩素原子が好ましい。前記アリール基としては、前述のアリール基で例示したものに準じて挙げられる。
【0064】
モノマーとして(メタ)アクリレートモノマーおよびスチレン系モノマーの双方を用いる場合には、混合物中の(メタ)アクリレートとスチレン系モノマーとの含有量の比は、モル比((メタ)アクリレートモノマー/スチレン系モノマー)で95/10乃至5/95の範囲が望ましく、90/10乃至10/90の範囲がさらに好適である。
【0065】
高分子化合物は、水酸基、カルボキシル基およびそのアルキルエステル基から選択される少なくとも1種を有することが望ましい。高分子化合物が前記官能基を有するためには、前記高分子化合物を構成する単量体を選択することにより行われる。
【0066】
水酸基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,6−ビス(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−ヘキシルエーテル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸エステル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
尚ここで、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを表す表現であり、以下においてこれに準ずる。
【0067】
カルボキシル基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリロイルオキシエチルモノフタレート、メタクリロイルオキシエチルモノヘキサヒドロフタレート、メタクリロイルオキシエチルモノマレエートおよびメタクリロイルオキシエチルモノスクシネートなどが挙げられる。
【0068】
なお、上記各官能基の存在は、疎水性粒子について赤外吸収スペクトルを測定することにより確認し得るが、磁性体等の影響を受けるため、下記の方法により行うことが望ましい
すなわち、前記疎水性粒子における水酸基、カルボキシル基は、磁性体によって異なるので、高分子化合物の水酸基等は、磁性体を除いた重合体成分の水酸基量、カルボキシ基量として求めることにより確認することが望ましい。
【0069】
この場合、前記高分子化合物が前記のうち水酸基のみを有するときは、水酸基量は0.1mmol/g以上5.0mmol/g以下の範囲であることが望ましく、0.2mmol/g以上4.0mmol/g以下の範囲であることがより望ましく、0.3mmol/g以上3.0mmol/g以下の範囲であることが特に好適である。
【0070】
一方、高分子化合物がカルボキシル基を有する場合には、カルボキシル基量が0.005mmol/g以上0.5mmol/g以下の範囲であることが望ましく、0.008mmol/g以上0.3mmol/g以下の範囲がより望ましく、0.01mmol/g以上0.1mmol/g以下の範囲であることがさらに好適である。なおこの場合、水酸基も有するときは、水酸基量は、0.2mmol/g以上4.0mmol/g以下の範囲であることがより望ましく、0.3mmol/g以上3.0mmol/g以下の範囲であることがさらに好適である。
【0071】
上記水酸基量は、一般的な滴定法により求められる。例えば、上記高分子化合物に無水酢酸のピリジン溶液等の試薬を加え、加熱して、水を加えて加水分解し、遠心分離機により粒子と上澄みとに分け、該上澄みをフェノールフタレイン等の指示薬を用いて、エタノール性水酸化カリウム溶液等で滴定することにより、その水酸基量が求められる。
【0072】
一方、カルボキシル基量も一般的な滴定法により求められる。例えば、上記高分子化合物をN,N’−ジメチルホルムアミド中に分散させ、フェノールフタレイン等の指示薬を用いてエタノール性水酸化カリウムで滴定することにより、そのカルボキシル基量が求められる。
また、カルボキシル基が後述する塩構造(−COO−Y:ここでYはアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオン、もしくはアンモニウムなどの有機カチオンを示す)を形成している場合は、塩酸等の酸で塩をカルボン酸に変換した後、上述の滴定を行いカルボキシル基量が求められる。
すなわち、ここで、カルボキシル基量とは、カルボキシル基が塩構造を形成している場合には、該塩構造に寄与しているカルボキシル基を含めたカルボキシル基量をいう。
【0073】
高分子化合物は、必要に応じて架橋性を有する単量体(架橋剤)をさらに共重合させたものであってもかまわない。具体的には、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−([1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(メタ)アクリレート等の架橋剤が挙げられ、重合の際に架橋構造とするか、重合によるポリマー粒子化した後に架橋させてもよい。
また、モノマー混合物中の架橋剤の含有量は、(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはスチレン系モノマー合計量100質量部に対して0.05から20質量部の範囲が望ましく、0.5から10質量部の範囲がより好適である。
【0074】
さらに、高分子化合物には非架橋樹脂を含有させてもよい。非架橋樹脂としては、熱、紫外線、電子線等の外部エネルギー、あるいは溶剤蒸気、重合体からの溶剤揮発等で紙、フィルム等の被定着媒体に粒子を定着させる重合体であれば特に制限されない。
【0075】
具体的には、例えばスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;などの単独重合体または共重合体が挙げられる。
【0076】
高分子化合物が非架橋重合体を含む場合、該非架橋重合体の分子量(数平均分子量)は、5000以上1000000以下の範囲が望ましく、10000以上500000以下の範囲がより好適である。
なお、上記数平均分子量は、高分子化合物をTHFに溶解させ、溶解分として分離した成分について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定される。
【0077】
−磁性体−
本実施形態で用いる磁性体としては、磁性を示すMO・FeまたはM・Feの一般式で表されるマグネタイト、フェライト等が好ましく用いられる。また、イットリウム・鉄・ガーネット(YIG)も好適に用いられる。
ここで、Mは2価あるいは1価の金属イオン(Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Mg、Zn、Cd、Li等)であり、Mとしては単独あるいは複数の金属が用いられる。例えばマグネタイト、γ酸化鉄、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Li系フェライト、Cu−Zn系フェライトの如き鉄系酸化物が挙げられる。中でも安価なマグネタイトが、より好ましく用いられる。
【0078】
また、他の金属酸化物として、Mg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、Sn、Ba、Pb等の金属を単独あるいは複数用いた非磁性の金属酸化物および上記磁性を示す金属酸化物が使用される。例えば非磁性の金属酸化物として、Al、SiO、CaO、TiO、V、CrO、MnO、Fe、CoO、NiO、CuO、ZnO、SrO、Y、ZrO系等が使用される。
【0079】
上記に例示した磁性体の中でも、マグネタイト、ニッケル、イットリウム−鉄−ガーネット(YIG)、鉄粉、γ−酸化鉄、Ni−Zn系フェライト、Mg−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Li−Zn系フェライトが特に好適に用いられる。
【0080】
ここで、上記イットリウム−鉄−ガーネット(YIG)について説明する。
YIG粒子の500Oeの磁場における磁化は、10emu/g以上であることが望ましく、より望ましくは15emu/g以上であり、さらに望ましくは20emu/g以上ある。
磁気特性の測定は、振動試料型磁気測定装置VSMP10−15(東英工業社製)を用いて行う。測定試料は内径7mm、高さ5mmのセルに詰めて前記装置にセットする。測定は印加磁場を加え、最大500Oe(エルステッド)まで掃引し、ついで、印加磁場を減少させ、ヒステリシスカーブを得る。このヒステリシスカーブより500Oe(エルステッド)における磁化を求める。
【0081】
YIG粒子はその表面が疎水化処理されていてもよい。疎水化処理の方法としては特に制限されず、各種カップリング剤、シリコーンオイル、樹脂などの疎水化剤を磁性粉の表面に被覆処理すること等により行われるが、これらの中ではカップリング剤により表面被覆処理することが好ましい。
YIG粒子の表面は基本的に親水性であるため、疎水化処理を行うことにより高分子化合物の疎水性単量体に対する親和性が高められる。
【0082】
YIG粒子の含有量は、本実施形態における疎水性粒子中での含有量が13質量%以下であることが望ましく、より望ましくは10質量%以下であり、さらに望ましくは8質量%以下である。一方で、YIG粒子の含有量は、疎水性粒子中での含有量が1.4質量%以上であることが望ましく、より望ましくは2質量%以上であり、さらに望ましくは3質量%以上である。
【0083】
次に、YIG粒子の製造方法につき説明する。YIG粒子の製造方法としては、共沈法などのボトムアップ的な手法で粒子を作製する方法や、粉砕法などのトップダウン的な手法で粒子を作製する方法があげられる。
【0084】
但し、YIG粒子を、製造する際、上記X線回折特性を満たすためには、例えば、以下の手法を採用することが好ましい。
1)ボトムアップ的な手法およびトップダウン的な手法のいずれの場合においても、磁化低下の原因となるYIG粒子のアモルファス化を抑制し、結晶化を促進する目的で、後処理としてアニール処理を施す手法。このアニール処理の処理温度は、例えば700℃以上1500℃以下が望ましく、より望ましくは800℃以上1200℃以下が適当である。
2)トップダウン的な手法の場合、原料YIG粒子への力学的負担を低減し、YIG粒子のアモルファス化を抑制する目的で、湿式により実施する手法。この湿式に使用する液体としては、水、アルコール(例えばイソプロピルアルコール、エタノール等)アセトン、ヘキサン等挙げられる。また、この液体の使用量は、粒子2gに対して1g以上である。
【0085】
ボトムアップ的な手法に代表される共沈法は、共沈現象を利用した方法であり、単独では沈殿しない物質を沈殿する物質と共存させることで、沈殿させるという方法である。具体的には、イットリウム金属塩水溶液と、三価の鉄塩水溶液との混合溶液を、アルカリ水溶液に混合させることよって共沈物を生じさせる。
【0086】
なお、アルカリ水溶液としては、例えば、NaOH水溶液が好適に挙げられる。アルカリ水溶液としては、例えば、NH4OH、(NH42CO3、Na2CO3、NaHCO3、等の水溶液も挙げられる。アルカリ水溶液のアルカリ濃度は、共沈反応時のpHを考慮しつつ設定すればよい。
イットリウム金属塩としては、例えば、ハロゲン化物[塩化物(YCl)、臭化物(YBr)]、硝酸塩[Y(NO]、塩等が挙げられる。
三価の鉄塩としては、例えば、ハロゲン化物[塩化物(FeCl)、臭化物(FeBr)等]、硫酸塩[Fe(SO]、硝酸塩[Fe(NO]等を挙げられる。
【0087】
また、アルカリ水溶液の中にイットリウム金属塩水溶液と前記三価の鉄塩の水溶液とを滴下させつつ共沈反応を進行させて共沈物を生成させて、YIG粒子を作製する際、例えば、得られるYIG粒子の平均一次粒子径を1nm以上500nm以下とするには、上記共沈反応において、アルカリ水溶液への両金属塩水溶液の滴下速度は、10ml/分以上100ml/分以下にすることが好ましく、より好ましくは、20以上60ml/分以下である。
滴下中および滴下後の攪拌時間は、10分以上60分以下とすることが好ましく、30分以上60分以下とすることがより好ましい。
共沈反応時の反応水溶液の最終的なpH値は、12以上が好ましく、更には12.5以上13.8以下が好ましく、より好ましくは13以上13.5以下である。
共沈物を乾固する場合には、50℃以上200℃以下で加熱することが好ましく、100℃以上200℃以下で加熱することがより好ましい。
【0088】
一方、トップダウン的な手法に代表される粉砕は、各種粉砕機を用いて実施される。採用する粉砕法としては、例えば、ジェットミル、振動ミル、ボールミル、遊星ボールミル、ビーズミル、ディスクミルなどの粉砕法が挙げられる。これらの中でも、YIG粒子への力学的な負担が少ない、ビーズミル法、特に湿式のビーズミル法が好ましい。
【0089】
なお、粉砕する原料として用いるYIG粒子は、上記共沈法により得られるYIG粒子であってもよいし、市販品のYIG粒子であってもよい。例えば、市販品のYIG粒子としては、Yttrium Iron Oxide,nanopowder(アルドリッチ社製)、イットリウム−鉄−ガーネットYFe12(高純度化学社製)等が挙げられる。
【0090】
本実施形態に用いられる磁性体の平均一次粒子径は、0.02μm以上2.0μm以下の範囲であることが好ましい。
また、本実施形態における疎水性粒子中の磁性体の含有率は、2.5質量%以上50質量%以下の範囲であることが好ましく、3.0質量%以上40質量%以下の範囲であることがより好ましく、4.0質量%以上30質量%以下の範囲であることがさらに好ましい。
【0091】
[磁性体の防錆処理]
疎水性粒子における磁性体の錆を防止する観点から、上記磁性体に防錆処理を施してもよい。尚、防錆処理とは、磁性体における酸化の発生を防止し得る処理を指す。
上記防錆処理の具体例としては、例えば、カップリング処理、酸化皮膜処理、樹脂皮膜処理または金属皮膜処理等が挙げられる。
【0092】
以下、上記の各処理について説明する。
上記カップリング処理は、溶媒中に溶解させたシランカップリング剤中に磁性体を分散させ、溶媒を蒸発乾固させた後、熱処理することによって防錆処理が施される。
前記シランカップ剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好ましく用いられるのはシランカップリング剤であり、下記一般式(1)で示される構造のシラン化合物が特に好ましい。
【0093】
一般式(1) : RSiY
(上記式(1)中、Rはアルコオキシ基を示し、mは1から3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1から3の整数を示す。)
【0094】
上記シランカップリング剤の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピリトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0095】
上記酸化処理皮膜は、磁性体表面のみ選択的に酸化させ粒子表面を酸化皮膜によって覆うことによって防錆処理が施される。
上記樹脂皮膜処理は、溶媒中に溶解させた樹脂中に磁性体を分散させ、溶媒を蒸発乾固させた後、熱処理することによって防錆処理が施される。
上記金属皮膜処理は、粒子表面に金,白金等の酸化しにくい金属をスパッタ法等で蒸着させ金属皮膜を形成することによって防錆処理が施される。
【0096】
−着色剤−
本実施形態に係る疎水性粒子には、高分子化合物の着色を目的として、更に顔料、カーボンブラック、染料などの着色剤を含んでもよい。その場合には、疎水性粒子の製造工程において、磁性体が分散された単量体等の混合物に前記各添加剤を含ませてもよいし、磁性体および前記単量体等とともにあらかじめ混合し、磁性体の分散処理と前記各添加剤の分散処理とを共に行ってもよい。
【0097】
前記着色剤としては、例えば、ベンガラ、紺青、酸化チタン、酸化クロム等の無機顔料;ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン、ニトロソグリーン等のアゾ顔料;銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン顔料;フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット、等の縮合多環系顔料;などが挙げられる。
【0098】
本実施形態に係る疎水性粒子は、マゼンタ、イエロー、シアン、レッド、グリーンなどの着色用の顔料等が好適に用いられる。
より具体的には、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントイエローFGL、パーマネントオレンジGTR、ピラロゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、デュポンオイルレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、PVファストブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート、クロムグリーン、ビリジアン、エメラルドグリーン、ヘリオジェングリーン、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイグリーン、ファナルイエローグリーン、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、114、120、128、129、151、154、175,180,181,194、C.I.Pigment Red 5、7、9、11、12、48、48:1、57、57:1、81、97、112、122、123、146、149、168、177,180、 184、192、202、209、213、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、264、270、272、C.I.Pigment Green 7、36、8、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16などの種々の顔料などを例示することができ、これらを1種または2種以上を併せて使用される。
これらの中でも特に好ましい顔料としては、疎水性粒子が水を吸収して膨潤していても、溶出して顔料濃度が低下しにくいとの観点から、C.I.Pigment Yellow 17,74,180、C.I.Pigment Red57:1,122,C.I.Pigment Green 7,36,8、C.I.Pigment Blue15:1,15:2,15:3,15:4が挙げられる。
【0099】
本実施形態に係る疎水性粒子において、前記着色剤の含有量としては、高分子化合物100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましいが、また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。前記色材の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、レッドトナー、グリーントナー等が得られる。
【0100】
−その他の成分−
本実施形態に係る疎水性粒子には、更に目的に応じて、離型剤、無機粒体、滑剤、研磨材などの成分を含有させてもよい。ここで用いる離型剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類; 加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の長鎖脂肪族アルコール類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;およびそれらの変性物などが挙げられる。
【0101】
−疎水性粒子の製造方法−
疎水性粒子を得るには、公知の方法が利用され、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法、シード重合法、混練粉砕法等が好適に用いられる。さらに、膜乳化法として知られる乳化方法を使って懸濁重合してもよい。
具体的に、例えば前記懸濁重合法により疎水性粒子を作製する場合には、まず前記高分子化合物を構成するモノマー、磁性体、着色剤、さらに架橋剤、重合開始剤等を加えた混合物を調製する。
【0102】
架橋剤としては、公知の架橋剤を選択して用いることができ、好適なものとしては、例えばジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸2−([1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル等が挙げられる。これらの中でも、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートがより望ましく、更には、ジビニルベンゼンが特に好適である。また、重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、過酸化物系開始剤等が好適なものとして挙げられるが、中でも油溶性開始剤が望ましい。
【0103】
以上の各単量体等を含む混合物の作製方法としては、例えば、まず前記単量体、重合開始剤およびその他の必要な成分とを混合して単量体等の混合液を作製する。混合の方法は特に制限されない。
次いで、これに磁性体を分散させる。上記混合液への磁性体の分散には公知の方法が適用される。すなわち、例えばボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル等の分散機が使用される。なお、あらかじめ単量体成分を別途重合し、得られた重合体に磁性体を分散させる場合には、ロールミル、ニーダー、バンバリーミキサー、エクストルーダー等の混練機が使用される。
なお、混合物の作製方法としては、上記に限られず、例えば前記混合液作製の際に磁性体を混合したものを用いて、この段階で磁性体を含有させてもよいし、前記単量体、磁性体等を一度に混合して混合物としてもよい。
【0104】
次に、前記モノマー等を含む混合物の水性媒体への懸濁を行う。懸濁は、例えば以下のようにして行われる。
すなわち、無機塩類などの塩を溶解し且つ分散安定剤を存在させた水性媒体中に、前記混合物を投入し、懸濁させる。懸濁の方法としては、公知の懸濁方法が利用される。例えば、ミキサーのごとく、特殊な攪拌羽根を高速で回転させ水性媒体中に単量体等を懸濁させる方法、ホモジナイザーとして知られるローター・ステーターの剪断力で懸濁する方法、超音波によって懸濁する方法等の機械的な懸濁方法が挙げられる。
【0105】
次いで、前記懸濁させた単量体および磁性体等を含む粒子を懸濁重合させることにより疎水性粒子を得る。重合反応は、大気下だけでなく、加圧下においても行われるが、これらその他の反応条件は、必要に応じて適用されるもので、特に限定されるものではない。
反応条件としては、例えば、大気圧下で、前記懸濁粒子が分散した懸濁液を攪拌しながら、40℃以上100℃以下の反応温度で1時間以上24時間以下反応させることが、80%以上の収率で重合体粒子を得る等の観点から好適である。
【0106】
本実施形態に係る粒子分散液中における上記疎水性粒子の濃度は0.5質量%以上40質量%以下の範囲とすることが望ましく、1質量%以上20質量%以下の範囲とすることがより好適である。
【0107】
−アセチレングリコール系界面活性剤−
本実施形態にかかる粒子分散液は、アセチレングリコール系界面活性剤を含有する。該アセチレングリコール系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテル(市販品としてはサーフィノール465:日信化学工業社製、ダイノール604:日信化学工業社製)等が挙げられる。
【0108】
前述の通り、アセチレングリコール系界面活性剤が、アクリル系樹脂を含む前記疎水性粒子に吸着することにより、該粒子が水を取り込んで膨潤する。
【0109】
本実施形態に係る粒子分散液における前記アセチレングリコール系界面活性剤の含有量は、0.1質量%以上5質量%以下であることが望ましく、更には0.2質量%以上4質量%以下であることがより望ましく、0.5質量%以上2質量%以下であることが特に望ましい。
0.1質量%以上であることにより粒子が効率的に膨潤し、一方5質量%以下であることにより粒子分散液中において残渣として残る界面活性剤を効果的が低減される。
【0110】
また、上記アセチレングリコール系界面活性剤のほかに、更に他の界面活性剤を併用してもよい。他の界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等、いずれの公知の界面活性剤も使用される。
【0111】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩およびスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、高級アルキルリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0112】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド等が挙げられる。
【0113】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。
【0114】
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン等が挙げられる。
【0115】
他の界面活性剤としては、前述のほか、例えば、ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント;等も挙げられる。
【0116】
−水(水性媒体)−
本実施形態に係る粒子分散液には、少なくとも水を含んだ水性媒体が含有される。水としては、蒸留水、イオン交換水、超純水等、精製した水が挙げられる。水性媒体には、必要に応じて、疎水性粒子の分散性の維持等を目的とした分散剤、蒸発性制御や界面特性制御等を目的とした水溶性有機溶媒、その他の添加剤等を含んでもよい。
【0117】
−分散剤−
分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体であれば有効に用いられる。例えば、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられ、これら共重合体は、ランダム、ブロックおよびグラフト共重合体等いずれの構造でもあってもよい。
【0118】
また、これらの重合体は、分散性や水溶性等を向上させるために、ポリオキシエチレン基、水酸基を有するモノマー、カチオン性の官能基を有するモノマーを共重合してもよく、親水基が酸性基である重合体においては塩基性の化合物との塩構造であってもよい。
【0119】
−水溶性有機溶媒−
水溶性有機溶媒は、水に添加したときに2相に分離しない有機溶剤のことを言い、具体的には、例えば、一価もしくは多価のアルコール類、含窒素溶媒、含硫黄溶媒、その他その誘導体等が挙げられる。
【0120】
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられる。
多価アルコール誘導体としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
一価のアルコール類としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0121】
含窒素溶媒としては、例えば、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
硫黄溶媒としては、例えば、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
水溶性有機溶媒として、上記に挙げられるもの他に、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等が挙げられる。
水溶性有機溶媒を添加する場合の添加量は、分散媒全体に対し30質量%以下が望ましく、10質量%以下がより好適である。
【0122】
−その他の添加剤−
水性媒体は、導電率、インクのpHの調整等を目的として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物;水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の含窒素化合物;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属類の化合物;硫酸、塩酸、硝酸等の酸;硫酸アンモニウム等の強酸と弱アルカリの塩;等を添加してもよい。
【0123】
また、その他に、必要に応じて、防カビ、防腐、防錆等を目的として安息香酸、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、ソルビン酸等を添加してもよい。また、酸化防止剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、キレート化剤等を添加してもよい。
【0124】
(粒子分散液の製造方法)
本実施形態に係る粒子分散液の製造は、以下の手順により行われるが、これに限られるものではない。
まず、主溶媒の水と、アセチレングリコール系界面活性剤と、その他必要に応じて前記各添加剤等と、を含む分散媒をマグネチックスターラー等により調製し、これに前記アクリル系樹脂を含む疎水性粒子を分散させる。
分散には公知の方法が適用される。すなわち、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル等の分散機が使用される。また、ミキサーのごとく、特殊な攪拌羽根を高速で回転させ分散させる方法、ホモジナイザーとして知られるローター・ステーターの剪断力で分散する方法、超音波によって分散する方法等が挙げられる。
【0125】
液中で疎水性粒子同士が単独の分散状態になったことを分取した分散液の顕微鏡観察等により確認し、その後、防腐剤等の添加物を加えて完全に溶解していることを確認した後、得られた分散液を、例えば孔径100μmのメッシュを用いて濾過し、ゴミおよび粗大粒子を除去することにより画像形成用記録液が得られる。
【0126】
(粒子分散液の特性)
−膨潤状態と乾燥状態とにおける粒子径の比−
前述の通り、本実施形態に係る粒子分散液において、アセチレングリコール系界面活性剤が吸着した前記疎水性粒子の、水を飽和状態にまで吸収して膨潤した状態における粒子径は、乾燥状態における粒子径の1.1倍以上2倍以下である。この比が1.1倍未満であると膨潤状態が十分でないため低いエネルギーでの定着が難しくなり、一方この比が2倍を超える場合、粒子の強度が十分に得られないため溶液中で微粉化してしまうことがある。
また、上記比は、更に1.1倍以上1.8倍以下であることがより好ましく、1.1倍以上1.5倍以下であることが特に好ましい。
【0127】
−粒子分散液の表面張力−
粒子分散液の表面張力は、特に液体マグネトグラフィー等の画像形成用の現像剤として用いる場合には、15mN/m以上42mN/m以下が望ましく、18mN/m以上41mN/m以下がより望ましく、19mN/m以上39mN/m以下が特に望ましい。
【0128】
−粒子分散液の粘度−
また粒子分散液の粘度は、特に液体マグネトグラフィー等の画像形成用の現像剤として用いる場合には、0.9mPa・s以上10.0mPa・s以下が望ましく、0.9mPa・s以上5mPa・s以下がより望ましく、0.9mPa・s以上4mPa・s以下が特に望ましい。
【0129】
<粒子>
本実施形態に係る粒子は、前述の通り、(メタ)アクリル系樹脂と、アセチレングリコール系界面活性剤と、を少なくとも含有し、また顔料等の着色剤、磁性体等を含有する。また、水を飽和状態にまで吸収して膨潤した状態における粒子径が、乾燥状態における粒子径の1.1倍以上2倍以下であることを特徴とする。
本実施形態に係る粒子に含有される(メタ)アクリル系樹脂、アセチレングリコール系界面活性剤、着色剤および磁性体等の組成物としては、前記本実施形態に係る粒子分散液の説明において列挙されたものがそのまま用いられる。
【0130】
尚、本実施形態に係る粒子における前記アセチレングリコール系界面活性剤の含有量は、0.01質量%以上20質量%以下であることが望ましく、更には0.1質量%以上10質量%以下であることがより望ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることが特に望ましい。
0.01質量%以上であることにより粒子が効率的に膨潤し、一方20質量%以下であることにより粒子分散液中において残渣として残る界面活性剤を効果的が低減される。
【0131】
(粒子の製造方法)
本実施形態に係る粒子は、前記本実施形態に係る粒子分散液を乾燥し水を含む水性媒体を蒸発させることによって製造される。尚、該粒子分散液の製造方法は前述の通りである。
【0132】
また、その他にも、以下の方法によっても本実施形態に係る粒子が得られる。
・混練粉砕法
前述の疎水性粒子の製造方法において、疎水性粒子を混練粉砕法によって製造する場合に、粉砕前にオイル状のアセチレングリコール系界面活性剤を練り込み、その後粉砕を行うことにより本実施形態に係る粒子が得られる。
【0133】
(粒子の特性)
−膨潤状態と乾燥状態とにおける粒子径の比−
前述の通り、本実施形態に係る粒子は、水を飽和状態にまで吸収して膨潤した状態における粒子径が、乾燥状態における粒子径の1.1倍以上2倍以下である。この比が1.1倍未満であると膨潤状態が十分でないため低いエネルギーでの定着が難しくなり、一方この比が2倍を超える場合、粒子の強度が十分に得られないため溶液中で微粉化してしまうことがある。
また、上記比は、更に1.1倍以上1.8倍以下であることがより好ましく、1.1倍以上1.5倍以下であることが特に好ましい。
【0134】
<プロセスカートリッジ、画像形成装置>
前述の通り、本実施形態に係る粒子分散液および粒子は画像形成用の現像剤として好適に用いられ、特に液体マグネトグラフィー用の液体現像剤として好適に用いられる。
【0135】
ここで、本実施形態の画像形成装置として、液体マグネトグラフィー方式の画像形成装置について説明する。ここで、液体マグネトグラフィー方式とは、文字や画像などのパターン状の磁気潜像を形成し、それを液体中に磁性トナー(前述の本実施形態における疎水性粒子)を分散した液体現像剤によって可視化しハードコピーを得る方式である。
【0136】
本実施形態の画像形成装置は、具体的には、磁気潜像保持体(以下、「像保持体」という場合がある)と、前記磁気潜像保持体上に磁気潜像を形成する磁気潜像形成装置と、現像剤(粒子分散液)を貯留する現像剤貯留装置と、前記磁気潜像が形成された前記磁気潜像保持体に前記現像剤を供給しトナー像として顕像化する現像剤供給装置と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記磁気潜像保持体上の前記磁気潜像を消磁する消磁装置と、を有することを特徴とする。
【0137】
本実施形態では、像保持体の表面が撥水性を有することが望ましい。本実施形態で用いられる現像剤は、上記の通り、水を含む分散媒を用いる。よって、像保持体の表面が撥水性を有することにより、現像の際に現像剤が像保持体と接触しても分散媒が像保持体に転移しにくく、分散媒を像保持体上に残さない状態でトナー像が記録媒体に転写される。したがって、像保持体上の残留溶媒を除去するためのスクイズローラ等が不要であり、トナー像が転写された記録媒体もほとんど乾燥させる必要がない。
【0138】
さらに、現像剤が上記構成を有するため、現像の際には、分散媒が像保持体表面に濡れ広がることはなく、磁性トナー(前述の本実施形態における疎水性粒子)は、像保持体との接触により磁気潜像領域のみに磁気力で転移するため、画像かぶりの発生しにくい現像環境がつくり出される。
【0139】
図1は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。画像形成装置100は、磁気ドラム(磁気潜像保持体)10、磁気ヘッド(磁気潜像形成装置)12、現像装置(現像剤貯留装置および現像剤供給装置)14、中間転写体(転写装置)16、クリーナ18、消磁装置20、転写定着ローラ(転写装置)28を含んで構成される。磁気ドラム10は円柱形状を有し、該磁気ドラム10の外周に磁気ヘッド12、現像装置14、中間転写体16、クリーナ18および消磁装置20が順次に設けられている。
以下、この画像形成装置100の動作について簡単に説明する。
【0140】
まず、磁気ヘッド12が、例えば図示しない情報機器と接続され、該情報機器から送られた2値化された画像データを受ける。磁気ヘッド12は、磁気ドラム10の側面上を走査しながら磁力線を放出することによって、磁気ドラム10に磁気潜像22を形成する。なお、図1では磁気潜像22は磁気ドラム10における斜線を付した部分で示される。
現像装置14は、現像ローラ(現像剤供給装置)14aと現像剤貯蔵容器(現像剤貯留装置)14bとを含んで構成される。現像ローラ14aは、現像剤貯蔵容器14bに貯蔵される液体現像剤(現像剤)24に一部が浸るようにして設けられる。
【0141】
現像ローラ14aに供給された液体現像剤24は、後述する規制部材によって一定の供給量に制限された状態で磁気ドラム10に搬送され、現像ローラ14aと磁気ドラム10とが近接(あるいは接触)する位置で磁気潜像22に供給される。これによって磁気潜像22は顕像化されてトナー像26となる。
【0142】
上記現像されたトナー像26は、図の矢印B方向に回転する磁気ドラム10に搬送され用紙(記録媒体)30に転写されるが、本実施形態では、用紙30に転写する前に、磁気ドラム10からのトナー像の剥離効率を含めた記録媒体への転写効率を向上させ、さらに記録媒体への転写と同時に定着を行うため、一旦中間転写体16にトナー像を転写する。なお、本実施形態は中間転写体16を用いる形態であるが、中間転写体16を用いず、磁気ドラム10から直接トナー像を用紙30に転写する形態でもよい。
【0143】
中間転写体16への転写は、磁性トナー(前述の本実施形態における疎水性粒子)が電荷をほとんど有していないため、シアリング転写(非電界転写)により行うことが好適である。具体的には、矢印B方向に回転する磁気ドラム10と矢印C方向に回転する中間転写体16とを一定の接触部(移動方向の接触幅を有する接触面)を持って接触させ、トナー像26に対して磁気ドラム10との磁気力以上の吸着力により中間転写体上にトナー像26を移行させる。このとき、磁気ドラム10および中間転写体16間に周速差を設けてもよい。
【0144】
次いで、中間転写体16により矢印C方向に搬送されたトナー像26は、中間転写体16と転写定着ローラ28との接触位置において用紙30に転写され、同時に定着される。具体的には、転写定着ローラ28および中間転写体16によって用紙30を挟み、中間転写体16上のトナー像26を用紙30に密着させることにより、転写されると同時に定着される。
トナー像の定着は、トナーの特性により加圧によってのみ行ってもよいし、転写定着ローラ28に発熱体を設けて加圧および加熱により行ってもよい。
【0145】
一方、中間転写体16にトナー像26を転写した磁気ドラム10では、転写残トナーがクリーナ18との接触位置まで運ばれ、クリーナ18によって回収される。クリーニング後、磁気潜像22を保持したまま磁気ドラム10は消磁位置まで回転移動する。
消磁装置20は、磁気ドラム10に形成された磁気潜像22を消去する。前記クリーナ18と消磁装置20とによって磁気ドラム10は画像形成前の磁性層の帯磁状態にばらつきがない状態に戻される。以上の動作を繰返すことによって、前記情報機器から次々に送られてくる画像を連続的に短時間で形成する。なお、上記画像形成装置100に備えられる磁気ヘッド12、現像装置14、中間転写体16、転写定着ローラ28、クリーナ18および消磁装置20は、すべて磁気ドラム10の回転速度と同期をとって動作されている。
【0146】
次に、本実施形態の画像形成装置の各構成を順次説明する。
【0147】
(磁気潜像保持体)
磁気ドラム(磁気潜像保持体)10の構成は、例えばアルミニウムなどの金属でできたドラム上に、Ni、Ni−Pなどの下地層をおよそ1μm以上30μm以下の厚さで形成し、この上にCo−Ni、Co−P、Co−Ni−P、Co−Zn−P、Co−Ni−Zn−Pなどの磁気記録層を0.1μm以上10μm以下程度の厚さで形成し、更にNi、Ni−Pなどの保護層を0.1μm以上5μm以下程度の厚さで形成する。下地層のメッキにピンホールなどの欠陥があると、磁気記録層にも欠陥ができてしまうので細密でむらのないメッキを行うことが好適である。メッキ以外にも、スパッタや蒸着などの方法もある。更に、下地層および保護層については、非磁性であることが望ましい。各層の表面はテープ研磨などで表面精度を保つことが、磁気潜像を形成する磁気ヘッド12との間隙が精度良く維持する上で好適である。
【0148】
磁気記録層の膜厚は0.1μm以上10μm以下の範囲とすることが望ましく、磁気記録層の磁気特性は、保磁力が16000A/m以上80000A/m以下(200エルステッド以上1000エルステッド(Oe)以下)程度、残留磁束密度を100mT以上200mT以下(1000ガウス以上2000ガウス(G)以下)程度とすることが好適である。
以上は、水平磁気記録式の場合の磁気ドラム10の構成であるが、垂直磁気記録式の場合には、非磁性層の上にCo−Ni−Pなどの記録層を設けた構成としたり、該記録層の下に透磁率の高い軟磁性層を設けた構成としてもよく、いずれかに限定されるものではない。また磁気潜像保持体としては、本実施形態におけるドラム状のものに限られず、ベルト状に形成されたものでもよい。
【0149】
本実施形態では、撥水性を有する磁気ドラム10を用いることが望ましい。ここで撥水性とは水をはじく性質のことを意味し、具体的には純水との接触角が70度以上であることをいう。
また、本実施形態では磁気ドラム10の純水に対する接触角が、70度以上であることが望ましく、100度以上であることがより望ましい。接触角が70度に満たないと、後述する水性媒体を使用した液体現像剤により現像を行っても、現像後に磁気ドラム上に液体が残存したり画像かぶりが発生したりする場合がある。
【0150】
なお、上記磁気ドラム10表面の接触角は、接触角計(協和界面科学(株)製:CA−X)を用い、25℃、50%RHの環境下で、純水を磁気ドラムの表面に3.1μl滴下し、15秒後の接触角を求めた。なお、測定は端部、中央部で周方向に4点測定し、これらの平均値を接触角とした。
【0151】
磁気ドラム10の表面を上記好適な接触角を有する表面とするには、前記のようにして構成される磁気ドラム表面に表面コートを行うことが望ましい。
上記表面コートとしては、フッ素潤滑めっき、フッ素原子やシリコン原子を含有するポリマーを用いたコーティング等が挙げられる。フッ素潤滑メッキとは、無電解ニッケルめっきにフッ素樹脂(ポリ四弗化エチレン:PTFE)を複合・共析させた機能めっきであり、形成される皮膜中にはPTFE粒子が析出しており無電解ニッケルめっきとPTFE樹脂の両特性を兼ね備える。
また、前記フッ素原子やシリコン原子を含有するポリマーを使用したコーティングとしては、例えば、含フッ素環状構造を有するポリマー、フルオロオレフィンとビニルエーテルとの共重合体、光重合型フッ素樹脂組成物等を前記保護層表面に塗布してもよいし、該保護層表面にフッ素原子含有ポリマーをスパッタリングし全面を被覆してもよい。
【0152】
これらのうちでは、下層のめっき層との密着性や耐久性等の観点から、フッ素潤滑めっきが好適である。なお、上記フッ素潤滑めっきやフッ素樹脂コーティングは、前記保護層を形成した上に行ってもよいし、フッ素潤滑めっき等により形成した層をそのまま保護層としてもよい。
表面コートにより形成される表面層の膜厚は0.1μm以上5μm以下とすることが望ましく、0.3μm以上3μm以下とすることがより望ましい。
【0153】
(磁気潜像形成装置)
磁気潜像形成装置(磁気潜像形成装置)は、基本的には磁気ヘッド12とその駆動回路から成る。磁気ヘッド12には、おもにフルライン型磁気ヘッドとマルチチャンネル型磁気ヘッドがあり、フルライン型磁気ヘッドの場合には磁気ヘッド12を走査する必要はないが、マルチチャンネル型磁気ヘッドの場合には磁気ドラム10に対して磁気ヘッド12を走査する必要がある。走査の方法にはシリアル走査とヘリカル走査とがあり、ヘリカル走査の方は潜像形成工程だけ特別に磁気ドラム12の回転速度を変更してやれば記録速度を速くし得る。
【0154】
一方、フルライン型磁気ヘッドの場合としては、例えば解像度600dpiとするとA4サイズの紙の幅方向の記録幅をカバーするためには500チャネル程度のヘッドが必要である。それらを並べてフルライン化すればヘッドを走査する必要がなく極めて高速で記録される。また上記フルライン化するためには、ヘッドコアとヘッドコアとの重ね合わせが必要になるが、高解像度になるにしたがいトラックピッチも狭くなるためヘッドコアに挿入されるコイルも可能な限り薄いもの、例えば平面状のシートコイルが用いられる。
【0155】
磁気ヘッド12の各チャンネルのコイルに電流を流すことにより磁極先端部から漏洩磁束が生じ、これにより磁気記録媒体を磁化することによって磁気潜像を形成する。磁気ヘッド12からの出力は、磁気ドラム10における磁気記録層の保磁力の2から3倍必要である。ここで形成した磁気潜像は消磁装置20で消去しない限り消えることはなく、現像、転写、定着、クリーニングの各工程を繰り返せば多数枚のコピー機能を有する。また、磁気潜像は湿度の影響を受けにくいため、静電式に比べ環境安定性に優れている。
【0156】
(現像剤貯留装置、現像剤供給装置)
図2に、図1における現像領域を拡大した模式図を示す。
現像装置(現像剤供給装置)14は、現像剤貯蔵容器14bと、現像剤貯蔵容器14b内に貯留された液体現像剤24をトナー供給領域(以下、「供給領域」という場合がある)において磁気ドラム10へ供給する現像ローラ14aとを具備する。図2に示すように、現像ローラ14aはその周面上に層状の液体現像剤24を保持し、磁気ドラム10に対し離間位置に配置されている(例えば、この磁気ドラムおよび現像装置によりプロセスカートリッジが構成される)。また供給領域の上流位置に液体現像剤24の層厚を定められたの厚さに維持する規制部材13が配置されている。規制部材13は現像ローラ14aの軸線方向へ全幅にわたって延びる板状の部材であり、その一縁部が所望のトナー層厚に対応した定められた距離だけ現像ローラ14aの周面から離間するよう配置されている。
【0157】
現像装置14では、トナー粒子(疎水性粒子)26aと水性媒体(分散媒)とを含む液体現像剤24が現像剤貯蔵容器14bに貯留されている。現像ローラ14aには液体現像剤24が供給される。また、必要に応じて、例えば、現像剤貯蔵容器14b内に撹拌部材を設け、定められた回転速度で撹拌し続けてもよい。
なお、図2には示してないが、上記液体現像剤の現像ローラ14aへの供給のために、現像ローラ14aに接触あるいは近接して回転する供給ローラを具備してもよい。
【0158】
現像ローラ14aは、例えばその内部にS極の磁極とN極の磁極とを含む複数の磁極を周方向へ備え、これら磁極は現像ローラ14aと共に回転しないよう固定されている。これら磁極の一つは特に規制部材13および前記供給領域間に配設されている。したがって、現像ローラ14aに保持された磁性トナーを含む液体現像剤24は、これらの磁極の磁力線(現像磁場)によって保持され磁気ドラム10方向へ搬送される。
なお、現像ローラ14aとしては、ローラ表面そのものに液体現像剤の搬送力があれば、磁性ローラである必要はなく、例えばアニロックスローラやスポンジローラなども使用される。
【0159】
規制部材13は、前記のように現像ローラ14aが現像剤貯蔵容器14bの液体現像剤24を保持してから、磁気ドラム10に供給するまでの位置に設けられる。規制部材13と現像ローラ14aとによって形成される間隙で磁気潜像22に供給される液体現像剤24の量が決定される。材質としては、ゴムやりん青銅などが好適である。規制部材13によって一定の供給量に制限された液体現像剤24が磁気ドラム10に搬送され、磁気潜像22に供給される。これによって磁気潜像22は顕像化されトナー像26となる。
【0160】
また前記現像に際しては、トナー粒子が磁性トナーであるため、現像ローラ14aに磁場を印加しなくても現像が行われるが、より効率的な現像を行うために現像ローラ14aに磁場を印加してもよい。
【0161】
(転写装置、定着装置)
現像装置14で顕像化されたトナー像は、転写装置によって用紙30に転写される。前述のように、本実施形態では磁気ドラム10から直接用紙上にトナー像を転写するのではなく、中間転写体16に一旦転写した後、用紙30に転写定着する方式を用いている。まず、中間転写体16への転写について説明する。
【0162】
中間転写体16は、磁気ドラム10に接触してトナー像を転写する。転写方式としては、一般に静電転写方式、圧力転写方式、これらを併用した静電圧力方式などがあるが、前記のように、本実施形態ではトナー粒子が電荷を有していないため、静電転写方式や静電圧力方式は使用できない。一方、前記圧力転写方式は、通常は磁気ドラム10および転写媒体間の圧力により、トナー像を塑性変形させながら転写媒体の表面に付着させ転写するものであり、シアリング転写と併用してもよい。
【0163】
本実施形態では、前記のように磁気ドラム10上のトナー像26に対して、磁気ドラム10との磁気力以上の吸着力により中間転写体上にトナー像26を移行させるため、中間転写体16に粘着性を持たせて粘着転写を行うことが好適である。このため、中間転写体16の表面には例えば低硬度シリコーンゴム層を形成することが望ましい。
【0164】
次いで、中間転写体16に転写されたトナー像26は用紙に転写される。
図1における中間転写体16を挟んで磁気ドラム10の反対側には、転写定着ローラ28が中間転写体16に対して接触部を形成するように配置されており、中間転写体16上のトナー像26にタイミングを合わせて、用紙30が中間転写体16および転写定着ローラ28間の接触部へ送給される。転写定着ローラ28は、例えば、ステンレス基体、シリコーンゴム層、フッ素ゴム層により構成されており、接触部を通過する用紙30を中間転写体16に押圧することにより、中間転写体16上のトナー像が用紙30に転写される。
【0165】
本実施形態では、上記中間転写体16から用紙30にトナー像26が転写されると同時に、該トナー像26が用紙30に定着される構成となっている。具体的には、中間転写体16が図1に示すようにローラ形状であれば、転写定着ローラ28とローラ対を構成するため、中間転写体16、転写定着ローラ28が各々定着装置における定着ローラ、押圧ローラに準じた構成となって定着機能が発揮される。すなわち、用紙30が前記接触部を通過する際、トナー像26が転写されると同時に転写定着ローラ28により中間転写体16に対して押圧され、これにより、トナー像26を構成するトナー粒子が軟化すると共に用紙30の繊維中に浸潤して定着像29が形成される。
【0166】
なお、上記の通り、例えば転写定着ローラ28に発熱体を設け、前記発熱体によりトナー像を加熱することにより、トナー像が溶融し用紙30の繊維の中まで入り込み固着して定着像29が形成されてもよい。この状態では、用紙30を折り曲げたり、粘着テープを貼った後剥しても定着像29が剥がれることはない。
【0167】
なお、本実施形態では用紙30への転写と同時に定着を行っているが、転写工程と定着工程とを別々として、転写を行った後に定着を行ってもよい。この場合には、磁気ドラム10からトナー像を転写する転写ローラが、前記中間転写体16に準じた機能を有することとなる。
【0168】
(クリーナ)
一方、前記磁気ドラム10から中間転写体16へのトナー像の転写効率が100%に至らない場合には、転写後の磁気ドラム10上にトナー像26の一部分が残留することになる。これを除去するのがクリーナ18であり、基本的に、ゴムなどのクリーニングブレードと残留磁性トナーの容器とから構成される。
なお、転写効率が100%に近く、残留トナーが問題とならない場合は、クリーナ18は設ける必要がない。
【0169】
(消磁装置)
再度新しい画像形成を行なう場合には、磁気ヘッド12で磁気潜像を形成する前に磁気潜像を消去する必要がある。消磁装置20には、永久磁石式と電磁石式との2通りがある。永久磁石式の場合には、磁気ドラム10の円周方向に磁化して局所的に磁束が漏洩しないようにするもので、電力等のエネルギーが不要で安価である。ただし、磁気潜像を消去しない場合には、消磁装置20を磁気ドラム10に対して移動させ磁気的な距離を大きくして消去磁界を弱くする必要がある。これに対して電磁石式は、ヨークとコイルとから成り電流を流す必要があるが、磁気潜像を消去する必要がない場合には電流を切ることにより消去磁界がゼロになるため制御が比較的自由である。
本実施形態では、前記永久磁石式および電磁石式のいずれも用いられる。
【実施例】
【0170】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは説明のための例示であり、本発明は下記実施例によって何等制限されるものではない。なお、実施例中に示した「部」および「%」は、特に断りのない限りそれぞれ「質量部」および「質量%」を表す。
【0171】
〔実施例1〕
以下のようにして磁性体含有粒子(以下磁性トナーと称する)、および粒子分散液(以下液体現像剤と称する)を作製した。
【0172】
(磁性体粒子の作製)
磁性体粒子として、高純度化学製 イットリウム・鉄・ガーネットYFe12(平均一次粒径2.0μm)400gを純水400gに分散してビーズミル(アシザワファインテック社製LMZ06)を用い、ビーズ径0.3mm、粉砕時間45分により、粉砕処理を行った。ビーズミルより取り出した磁性体粒子をデカンテーションと遠心分離を組み合わせて微粉および粗粉を取り除き、凍結乾燥して磁性体粒子の乾燥体を得た。
【0173】
(磁性体含有粒子の製造/懸濁重合法)
n−ブチルメタクリレート(和光純薬(株)製)36部、スチレン単量体(和光純薬(株)製)38部およびスチレン−アクリル樹脂(エスレックP−SE−0020、積水化学(株)製)11部を混合した後、これに、前記磁性体粒子4.3部およびマゼンタ顔料C.I.ピグメントレッド185(クラリアントジャパン(株)製)10部を加え、ボールミルで24時間分散した。この磁性体を含む混合液90部に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬(株)製)5部を加えて、単量体、磁性体粒子および顔料を含む混合物を作製した。
【0174】
塩化ナトリウム(和光純薬(株)製)28部をイオン交換水160部に溶解させた水溶液に、分散安定剤として炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、ルミナス)30部、カルボキシメチルセルロース(第一工業製薬(株)製、セロゲン)3.5部を加え、ボールミルで24時間分散して分散媒体とした。
この分散媒体200部に前記混合物を投入して、乳化装置(エスエムテー社製、HIGH−FLEX HOMOGENIZER)にて8000rpmで3分間乳化し乳化液を得た。
【0175】
一方、攪拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を備えたセパラブルフラスコに窒素導入管より窒素を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気にした。ここに上記乳化液を入れ、65℃で3時間反応させ、更に70℃で10時間加熱して冷却した。反応液は良好な分散液となっており、目視では重合中に凝集塊は確認できなかった。
反応液に10%塩酸水溶液を加えて炭酸カルシウムを分解した後、遠心分離によって固液分離を行った。得られた粒子を1Lのイオン交換水で3回繰り返して洗浄を行った後、マグネットセパレーターMS0((株)ノリタケカンパニー製)を使用して、処理スピード4.4l/minの条件で磁性粉の入っていない粒子と、磁性粉の入りすぎている粒子を除去した。得られた粒子を40℃で真空乾燥した後、風力分級機(エルボージェット)で粗粉と微粉とをカットし磁性体含有粒子(磁性トナー)を得た。
【0176】
(粒子分散液の作製)
前記磁性トナー5部、アセチレングリコール系界面活性剤(サーフィノール465、日信化学工業社製、化学構造名:ポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテル)1部(1質量%)にイオン交換水96部を加え、ボールミルで3時間攪拌分散して、粒子分散液(液体現像剤)を得た。
(尚、該粒子分散液のイオン交換水を蒸発させた乾燥状態の粒子における、前記アセチレングリコール系界面活性剤の含有量は1質量%である)
【0177】
(膨潤状態と乾燥状態とにおける粒子径の比)
前述の方法により、膨潤状態における個数平均一次粒子径と乾燥状態における個数平均一次粒子径とを測定し、その比を求めた。算出結果を表1に示す。
【0178】
(評価)
−分散性の評価−
以下の方法により、液体現像剤中における磁性トナーの分散性を評価した。
作製した液体現像剤を容量16mLのねじ口付試験管に10mL封入し、1日静置したのち、試験管振とう機にセットして低速モードで攪拌し、静置し、その状態から目視で分散性を評価した。
尚、評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
良好:粒子が速やかに分散し、沈降速度が遅い。光学顕微鏡で観察して粒子の形態が維持されている。
やや悪い:粒子の分散に1分以上の攪拌が必要である。
粒子破壊:粒子は速やかに分散するが、光学顕微鏡で観察した場合、粒子の形状がちぎれたり欠けたりするものが見受けられる。
【0179】
−定着温度の評価−
図1に示した構成の画像形成装置100を用意し、現像剤として前記液体現像剤を用いた。
磁気ドラム10としては、アルミドラム上に、下地層としてNi−Pを膜厚15μm、磁気記録層としてCo−Ni−Pを膜厚0.8μmとなるようにめっきし、さらにその表面に、Ni−P−PTFE粒子によるフッ素潤滑めっきを行い膜厚1.5μmの保護層を形成した。なお、前記磁気記録層の保持力は400Oe、残留磁束密度は7000Gであった。この磁気ドラム10表面に対する、25℃、50%RHにおける純水の接触角は110度であった。
【0180】
磁気ヘッド12としては、Mn−Znフェライトからなる600dpi(dpi:1インチ当たりのドット数)相当の画素を形成する4チャネルのフルライン型磁気ヘッドを用意した。
【0181】
現像装置14としては、現像ローラ14aとしてアルミニウム製の非磁性スリーブ中に円筒状の永久磁石が同心円状に配置されたマグネットロールを備え、現像剤貯蔵容器14bに内部で液体現像剤を攪拌する攪拌羽を設けた現像装置14を用いた。この現像剤貯蔵容器14bに前記液体現像剤を投入し、非磁性スリーブ表面と磁気ドラム10表面とのギャップが50μmとなるように現像装置14を配置した。
【0182】
中間転写体16としては、表面に厚さが7.5mmのシリコーンゴム層を有し、磁気ドラム10と同一周速で回転するアルミニウム製の中間転写ドラムを用いた。
【0183】
転写定着ローラ28としては、ステンレス製の芯材の外周にシリコーンゴム層、フッ素ゴム層をこの順に被覆してなる弾性ロールを用い、さらにこの弾性ロールは発熱体により表面温度が可変となるように加熱する構成とした。
【0184】
以上の構成の画像形成装置100により印字条件を下記のように設定した。
・磁気ドラム線速:100mm/秒
・現像ローラ周速/磁気ドラム周速比:1.2
・転写条件(中間転写):中間転写体の磁気ドラムへの押圧力を1.5kgf/cmに設定
・転写定着条件:中間転写体に対する転写定着ローラの押圧力を3.0kgf/cmに設定
【0185】
以上の条件により、磁気ヘッド12により磁気ドラム10上に磁気潜像を形成し、これに前記現像ローラにより液体現像剤を接触させて現像を行った。そして、現像されたトナー像を中間転写体16に転写後、記録用紙に転写し、定着温度:H・R温度/P・R温度を(80℃/50℃),(100℃/70℃),(170℃/140℃)と3通り変化させて定着を行い、定着可能な条件を確認した。
結果を表1に示す。
【0186】
−画像の耐水性評価−
上記のようにして画像(パッチ)を形成した記録用紙を、ビーカーに入れた純水に浸漬し10分間放置した後に、画像の乱れの発生を目視により確認した。尚、評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
○:画像の乱れは確認されなかった
×:画像の乱れが確認された
【0187】
〔実施例2〕
実施例1において、(磁性体含有粒子の製造)の工程における炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、ルミナス)の量を20部に、乳化装置(エスエムテー社製、HIGH−FLEX HOMOGENIZER)の回転数を6000rpmに、時間を3分間にして乳化するよう変更し、且つ(粒子分散液の作製)の工程を以下のごとく変更した以外は実施例1に記載の方法により液体現像剤を得た。
【0188】
(粒子分散液の作製)
前記磁性トナー5部、アセチレングリコール系界面活性剤(サーフィノール465、日信化学工業社製、化学構造名:ポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテル)1部(1質量%)、界面活性剤(TritonX100、和光純薬社製)1部(1質量%)にイオン交換水93部を加え、ボールミルで3時間攪拌分散して、粒子分散液(液体現像剤)を得た。
(尚、該粒子分散液のイオン交換水を蒸発させた乾燥状態の粒子における、前記アセチレングリコール系界面活性剤の含有量は1質量%である)
【0189】
〔実施例3〕
実施例1において、(磁性体含有粒子の製造)の工程における炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、ルミナス)の量を35部に、乳化装置(エスエムテー社製、HIGH−FLEX HOMOGENIZER)の回転数を10000rpmに、時間を3分間にして乳化するよう変更し、且つ(粒子分散液の作製)の工程を以下のごとく変更した以外は実施例1に記載の方法により液体現像剤を得た。
【0190】
(粒子分散液の作製)
前記磁性トナー5部、アセチレングリコール系界面活性剤(ダイノール604、日信化学工業社製、化学構造名:ポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテル)0.5部(0.5質量%)、界面活性剤(TritonX100、和光純薬 社製)1部(1質量%)にイオン交換水93.5部を加え、ボールミルで3時間攪拌分散して、粒子分散液(液体現像剤)を得た。
(尚、該粒子分散液のイオン交換水を蒸発させた乾燥状態の粒子における、前記アセチレングリコール系界面活性剤の含有量は1質量%である)
【0191】
〔実施例4〕
実施例1において、(磁性体含有粒子の製造)の工程を以下のごとく懸濁重合法から混練粉砕法に変更した以外は実施例1に記載の方法により液体現像剤を得た。
【0192】
(磁性体含有粒子の製造/混練粉砕法)
実施例1で作製した磁性体粒子50部、マゼンタ顔料C.I.ピグメントレッド185(クラリアントジャパン(株)製)100部、およびスチレン−アクリル樹脂(エスレックP−SE−0020、積水化学(株)社製)850部を加え、加圧ニーダーで混練したのち、衝突式粉砕機ジェットミル(AFG、ホソカワミクロン社製)を用いて粉砕、風力分級機(エルボージェット)で粗粉と微粉とをカットし磁性体含有粒子(磁性トナー)を得た。
【0193】
〔比較例1〕
実施例1において、(粒子分散液の作製)の工程を以下のごとく変更した以外は実施例1に記載の方法により液体現像剤を得た。
【0194】
(粒子分散液の作製)
前記磁性トナー5部、界面活性剤(TritonX100、和光純薬社製)1部(1質量%)にイオン交換水94部を加え、ボールミルで3時間攪拌分散して、粒子分散液(液体現像剤)を得た。
【0195】
〔比較例2〕
比較例1において、(磁性体含有粒子の製造)の工程において用いた樹脂を以下のごとくスチレン−アクリル系樹脂からスチレン系樹脂に変更した以外は比較例1に記載の方法により液体現像剤を得た。
【0196】
(磁性体含有粒子の製造/スチレン系樹脂使用)
スチレン単量体(和光純薬(株)製)74部およびスチレン−アクリル樹脂(エスレックP−SE−0020、積水化学(株)製)11部を混合した後、これに、実施例1で作製した磁性体粒子4.3部およびマゼンタ顔料C.I.ピグメントレッド185(クラリアントジャパン(株)製)10部を加え、ボールミルで24時間分散した。この磁性体を含む混合液90部に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬(株)製)5部を加えて、単量体、磁性体粒子および顔料を含む混合物を作製した。
この混合物を用いたこと以外、実施例1に記載の方法により磁性体含有粒子(磁性トナー)を得た。
【0197】
〔比較例3〕
実施例1において、(粒子分散液の作製)の工程を以下のごとく変更した以外は実施例1に記載の方法により液体現像剤を得た。
【0198】
(粒子分散液の作製)
前記磁性トナー5部、アセチレングリコール系界面活性剤(サーフィノール465、日信化学社製、化学構造名:ポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテル)1部(1.0質量%)、界面活性剤(デモールEP、花王社製)1部(1質量%)にイオン交換水93部を加え、ボールミルで3時間攪拌分散して、粒子分散液(液体現像剤)を得た。
(尚、該粒子分散液のイオン交換水を蒸発させた乾燥状態の粒子における、前記アセチレングリコール系界面活性剤の含有量は1質量%である)
【0199】
〔比較例4〕
実施例1において、(粒子分散液の作製)の工程を以下のごとく変更した以外は実施例1に記載の方法により液体現像剤を得た。
【0200】
(粒子分散液の作製)
前記磁性トナー5部、アセチレングリコール系界面活性剤(サーフィノール465、日信化学社製、化学構造名:ポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテル)0.05部(0.05質量%)にイオン交換水95部を加え、ボールミルで3時間攪拌分散して、粒子分散液(液体現像剤)を得た。
(尚、該粒子分散液のイオン交換水を蒸発させた乾燥状態の粒子における、前記アセチレングリコール系界面活性剤の含有量は0.06質量%である)
【0201】
〔比較例5〕
実施例1において、(磁性体含有粒子の製造)の工程において製造する粒子を以下のごとく疎水性から親水性に変更し、また(粒子分散液の作製)の工程を以下のごとく変更した以外は実施例1に記載の方法により液体現像剤を得た。
【0202】
(磁性体含有粒子の製造/親水性粒子製造)
n−ブチルメタクリレート(和光純薬(株)製)30部、スチレン単量体(和光純薬(株)製)38部、ヒドロキシエチルメタクリレート6部およびスチレン−アクリル樹脂(エスレックP−SE−0020、積水化学(株)製)11部を混合した後、これに、実施例1で作製した磁性体粒子4.3部およびマゼンタ顔料C.I.ピグメントレッド185(クラリアントジャパン(株)製)10部を加え、ボールミルで24時間分散した。この磁性体を含む混合液90部に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬(株)製)5部を加えて、単量体、磁性体粒子および顔料を含む混合物を作製した。
この混合物を用いたこと以外、実施例1に記載の方法により磁性体含有粒子(磁性ト
ナー)を得た。
【0203】
(粒子分散液の作製)
前記磁性トナー5部、アセチレングリコール系界面活性剤(サーフィノール465、日信化学社製、化学構造名:ポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテル)10部(10.0質量%)にイオン交換水85部を加え、ボールミルで3時間攪拌分散して、粒子分散液(液体現像剤)を得た。
(尚、該粒子分散液のイオン交換水を蒸発させた乾燥状態の粒子における、前記アセチレングリコール系界面活性剤の含有量は7質量%である)
【0204】
【表1】

【符号の説明】
【0205】
10 磁気ドラム(磁気潜像保持体)
12 磁気ヘッド(磁気潜像形成装置)
13 規制部材
14 現像装置(現像剤供給装置)
16 中間転写体
18 クリーナ
20 消磁装置(消磁装置)
22 磁気潜像
24 液体現像剤(現像剤)
26 トナー像
26a トナー粒子(磁性重合体粒子)
28 転写定着ローラ(転写装置)
29 定着像
30 用紙(記録媒体)
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル系樹脂を含む疎水性粒子と、
前記疎水性粒子に吸着したアセチレングリコール系界面活性剤と、
水と、を少なくとも含有し、
前記アセチレングリコール系界面活性剤が吸着した前記疎水性粒子の、水を飽和状態にまで吸収して膨潤した状態における粒子径が、乾燥状態における粒子径の1.1倍以上2倍以下である粒子分散液。
【請求項2】
前記アセチレングリコール系界面活性剤を0.1質量%以上5質量%以下含有する請求項1に記載の粒子分散液。
【請求項3】
前記アセチレングリコール系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルである請求項1または請求項2に記載の粒子分散液。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル系樹脂が、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂およびエチレン−(メタ)アクリル系樹脂から選択される少なくとも一種である請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の粒子分散液。
【請求項5】
前記疎水性粒子が更に顔料を含有する請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の粒子分散液。
【請求項6】
前記顔料がシアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーおよびブラックの顔料から選択される少なくとも一種である請求項5に記載の粒子分散液。
【請求項7】
前記疎水性粒子が更に磁性体を含有する請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の粒子分散液。
【請求項8】
前記磁性体がマグネタイト、ニッケル、イットリウム−鉄−ガーネット(YIG)、鉄粉、γ−酸化鉄、Ni−Zn系フェライト、Mg−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライトおよびLi−Zn系フェライトから選択される少なくとも一種である請求項7に記載の粒子分散液。
【請求項9】
(メタ)アクリル系樹脂と、アセチレングリコール系界面活性剤と、を少なくとも含有し、
水を飽和状態にまで吸収して膨潤した状態における粒子径が、乾燥状態における粒子径の1.1倍以上2倍以下である粒子。
【請求項10】
前記アセチレングリコール系界面活性剤を0.01質量%以上20質量%以下含有する請求項9に記載の粒子。
【請求項11】
前記アセチレングリコール系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアセチレングリコールエーテルである請求項9または請求項10に記載の粒子。
【請求項12】
前記(メタ)アクリル系樹脂が、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂およびエチレン−(メタ)アクリル系樹脂から選択される少なくとも一種である請求項9〜請求項11の何れか1項に記載の粒子。
【請求項13】
前記疎水性粒子が更に顔料を含有する請求項9〜請求項12の何れか1項に記載の粒子。
【請求項14】
前記顔料がシアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーおよびブラックの顔料から選択される少なくとも一種である請求項13に記載の粒子。
【請求項15】
前記疎水性粒子が更に磁性体を含有する請求項9〜請求項14の何れか1項に記載の粒子。
【請求項16】
前記磁性体がマグネタイト、ニッケル、イットリウム−鉄−ガーネット(YIG)、鉄粉、γ−酸化鉄、Ni−Zn系フェライト、Mg−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライトおよびLi−Zn系フェライトから選択される少なくとも一種である請求項15に記載の粒子。
【請求項17】
請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の粒子分散液を貯留する粒子分散液カートリッジ。
【請求項18】
磁気潜像保持体と、
現像剤としての請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の粒子分散液を貯留する現像剤貯留装置と、
磁気潜像が形成された前記磁気潜像保持体に前記現像剤を供給する現像剤供給装置と、
を有するプロセスカートリッジ。
【請求項19】
磁気潜像保持体と、
前記磁気潜像保持体上に磁気潜像を形成する磁気潜像形成装置と、
現像剤としての請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の粒子分散液を貯留する現像剤貯留装置と、
前記磁気潜像が形成された前記磁気潜像保持体に前記現像剤を供給しトナー像として顕像化する現像剤供給装置と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
前記磁気潜像保持体上の前記磁気潜像を消磁する消磁装置と、
を有する画像形成装置。
【請求項20】
磁気潜像保持体上に磁気潜像を形成する磁気潜像形成工程と、
前記磁気潜像が形成された前記磁気潜像保持体に現像剤としての請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の粒子分散液を供給しトナー像として顕像化する現像剤供給工程と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、
前記磁気潜像保持体上の前記磁気潜像を消磁する消磁工程と、
を有する画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−229331(P2010−229331A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79728(P2009−79728)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】