説明

粒子分級・濃度計測装置

【課題】1台の装置でもって、貫通孔内の非圧縮性繊維による粒子分級捕集と、捕集した粒子の濃度計測とを行うことができること。
【解決手段】本発明装置1は、粒子分級装置部3と、濃度計測装置部5と、を含み、粒子分級装置部は、流体通過路と、この流体通過路上に配置された、内部に非圧縮性繊維を充填してなる慣性フィルタと、を具備し、濃度計測装置部は、上記慣性フィルタ内濃度と上記慣性フィルタにおける吸光度との関係からなる検量線データを記憶する記憶部と、上記慣性フィルタに対する吸光度を測定する測定部と、記憶部が記憶する検量線データと、測定部が測定した吸光度と、慣性フィルタ内濃度を演算する演算部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通孔内を通過する溶媒が含む粒子を当該貫通孔内に充填した非圧縮性繊維により捕集する慣性フィルタを用いて、粒子の分級と計測とを行う粒子分級・濃度計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粒子分級装置の中でカスケードインパクタ型粒子分級装置は、インパクタを上下方向複数段で直列に連ねてなる装置である(特許文献1の図1参照)。このカスケードインパクタ型粒子分級装置においては、下段側インパクタほど気流通過ノズル径を小さくすることで、順次に気流速度を高め、これにより各段のインパクタにより慣性質量が大きい粒径大の粒子から順次に捕集分級することができるようになっている。インパクタは、気流の向きを変えた際に慣性力によりその気流の向き変化に追随できない慣性質量を持つ粒子を捕集プレートに衝突させて捕集する装置であり、このようなインパクタを複数段連ねることで、粒径の大きい順に粒子を分級できるようになっている。
【0003】
このような粒子分級装置では、ポンプ吸引により、装置内圧を下げて装置外圧との間で生成する気圧差で装置内部に上記粒子を分級させる気流を発生させるようになっているが、粒径が微小な粒子では、ノズル径を高精度に制作することが困難化し、分級は困難であった。
【0004】
特許文献1には、上記カスケードインパクタ型粒子分級装置を上段側に配置して粒径の大きい粒子の分級を行う一方、下段側に特許文献1発明にかかる慣性フィルタ(特許文献1の図2参照)を配置し、粒径が小さい粒子の分級を可能としたことが開示されている。
【0005】
この慣性フィルタは、気体が通過する貫通孔を持つフィルタサポート部と、この貫通孔内に当該貫通孔を塞ぐように配置した通気性多孔質部材であるSUS繊維(従来慣性フィルタ)とを含むものである。このSUS繊維は非圧縮性繊維として貫通孔内に充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−70222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の慣性フィルタを用いた粒子分級装置においては、主として貫通孔内の非圧縮性繊維に対する衝突慣性効果により粒子捕集するようになっている。このような粒子分級装置で捕集した粒子の捕集量を計測するには、粒子分級装置とは別途の濃度計測装置により計測することが必要となっている。
【0008】
しかしながら、従来では、粒子分級装置と粒子分級計測装置とを個別に購入して配置するなどが必要であり、低コストで粒子捕集とその捕集量計測とを短時間で簡易かつ効果的に行うことができなかった。
【0009】
そこで、本発明においては、1台の装置でもって、貫通孔内の非圧縮性繊維による粒子分級捕集と同時に捕集した粒子の量を計測できる粒子分級計測装置を提供することにより、上記した課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明装置は、粒子分級装置部と、濃度計測装置部と、を含み、粒子分級装置部は、流体通過路と、この流体通過路上に配置された、内部に非圧縮性繊維を充填してなる慣性フィルタと、を具備し、濃度計測装置部は、上記慣性フィルタ内濃度と上記慣性フィルタにおける吸光度との関係からなる検量線データを記憶する記憶部と、上記慣性フィルタに対する吸光度を測定する測定部と、記憶部が記憶する検量線データと、測定部が測定した吸光度と、慣性フィルタ内濃度を演算する演算部と、を具備したことを特徴とする。
【0011】
本発明では、1台の装置に粒子の分級を行う分級装置部と、粒子の濃度計測を行う濃度計測装置部とを内蔵させたから、これらにより慣性フィルタによる粒子分級捕集と、この分級捕集による当該慣性フィルタ内の濃度計測とを実施することができるようになり、個別に、粒子分級装置と、濃度計測装置とを備えて粒子の分級捕集と、濃度計測とを個別に行う場合と比較して安価かつ簡易にそれらを実施することができる。
【0012】
本発明において、好ましい態様は、上記吸光度(A)が、ランベルト・ベールの法則によりA=εcd(ただし、Aは吸光度、εは吸光係数、cは慣性フィルタ内濃度、dは慣性フィルタ内光路長さ)の式で表されるものである。
【0013】
本発明において、好ましい態様は、上記粒子分級装置部は、流体通過上流側と下流側それぞれに少なくとも2つの第1、第2慣性フィルタを直列に連結配置し、当該両慣性フィルタはそれぞれ、非圧縮性繊維を充填した貫通孔を具備すると共に、第1慣性フィルタの貫通孔内での非圧縮性繊維の繊維径を、第2慣性フィルタの貫通孔内での非圧縮性繊維の繊維径より大きくして、第1慣性フィルタでは予め一定粒径以上の粒子除去用とし、第2慣性フィルタでは第1慣性フィルタで除去されずに通過してきた一定粒径以下の粒子の分級用とした、ことである。
【0014】
この態様においては、流体上流側配置の第1慣性フィルタの貫通孔に充填される非圧縮性繊維の繊維径を流体下流側配置の第2慣性フィルタのそれよりも大きくしたことで、第1慣性フィルタでは繊維径が大きい非圧縮性繊維の充填量を調整してその圧損を可能な限り小さく抑制すると共に、粒径が大きい粒子の捕集を効率的に行えると共に、第2慣性フィルタでは繊維径が小さい非圧縮性繊維の充填量を調整することで圧損を可能な限り小さく抑制すると共に、粒径が小さい粒子の捕集を効率的に行えるので、これに両第1、第2慣性フィルタにより、小型軽量、低吸引流量のポンプを用いても、圧損を可能な限り小さく抑制して、粒径が大きい粒子から粒径が小さい粒子まで分離捕集できる。
【0015】
本発明において、好ましい態様は、上記非圧縮性繊維をステンレス繊維とすることである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、1台の装置でもって、貫通孔内に非圧縮性繊維を充填した慣性フィルタによる粒子分級捕集と、この慣性フィルタ内の濃度計測とを行うことができるので、粒子分級装置と濃度計測装置とを個別に購入するよりも、低コストで粒子捕集と濃度計測とを短時間で簡易かつ効果的に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の実施の形態にかかる粒子分級・濃度計測装置の概念構成を示す図である。
【図2】図2は図1装置内の粒子分級装置部における慣性フィルタを拡大して示す図であり、その一部を円内にさらに拡大して示している図である。
【図3】図3は検量線データを示す図である。
【図4】図4は実施の形態の粒子分級・濃度計測装置を具体化した構成を示す図である。
【図5】図5(a)および図5(b)は同装置内の粒子分級部において、第1慣性フィルタおよび第2慣性フィルタをそれぞれ拡大して示す図である。
【図6】図6(a)および図6(b)は、それぞれ、第1慣性フィルタと第2慣性フィルタそれぞれにおける、横軸が粒径(μm)、縦軸が粒子捕集効率(%)とする粒径(μm)対捕集効率(%)の関係を示す図である。
【図7】図7は粒子分級装置部における慣性フィルタの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る粒子分級・濃度計測装置を説明する。なお、実施の形態において粒子は溶媒の一例として気体中に浮遊する粒子を想定するが、気体中に浮遊する粒子に限定されず、他の溶媒例えば液中やその他を浮遊する粒子を含むことができる。
【0019】
図1および図2を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態にかかる粒子分級・濃度計測装置の概念構成を示す図、図2は図1装置内の粒子分級装置部における慣性フィルタを拡大して示す図であり、その一部を円内にさらに拡大して示している図である。これらの図に示す実施の形態の粒子分級・濃度計測装置1は、粒子分級装置部3と、濃度計測装置部5と、を有する。
【0020】
粒子分級装置部3は、内部に流体である気流通過路を備えて、両端が開口した円筒型セル7と、このセル7に対して上部開口から溶媒である気体を吸引し、下部開口から溶媒を排気させるポンプ機構9と、セル7内に配置された慣性フィルタ11とを具備する。
【0021】
慣性フィルタ11は、中央に貫通孔13を備えた円柱形のフィルタサポート15と、この貫通孔13内に充填された非圧縮性繊維17とを含む。貫通孔13は、気流上流側から気流下流側に向けて漸次内径が拡径する拡径貫通孔13aと、この拡径貫通孔13aに連成され内径が一定の定径貫通孔13bとを含む。
【0022】
非圧縮性繊維17はこの定径貫通孔13bに充填される。この非圧縮性繊維17は、高速気流が通過しても体積変化が殆どない非圧縮性の繊維として好ましくは金属繊維、より好ましくはSUS(ステンレス)繊維が緻密に絡まった状態で充填されている。金属繊維としてはSUS繊維に限定するものではなく、アルミ繊維、銅繊維、その他の金属繊維から選ばれる1種以上の金属繊維でもよい。また、非圧縮性で高速気流が通過しても体積変化が殆どない繊維であれば、金属繊維に限定しない。
【0023】
慣性フィルタ11の拡径貫通孔13aは気流下流側方向へ直径が漸次に小径になっていくので、気流は拡径貫通孔13a内で徐々に加速した後、定径貫通孔13b内を一定速度で通過し、この通過の際に非圧縮性繊維17により粒子19を捕集することができる。この捕集の原理はさらに後述する。
【0024】
濃度計測装置部5は、セル7上方に配置されたレーザ光源21と、セル7下方に配置された受光素子23と、これらを制御する装置本体25とを含む。
【0025】
レーザ光源21は、装置本体25により制御されて、セル7上方から慣性フィルタ11内の非圧縮性繊維17を入射光強度Ioの入射光27で照射する。なお、レーザ光源21で直接、非圧縮性繊維17を照射することに代えて、図示略の光ファイバ先端からレーザー光を照射することでもよい。
【0026】
受光素子23は、非圧縮性繊維17を透過した透過光29を受光し、その受光出力を装置本体25に出力する。受光素子23の受光出力は、透過光29の強度Iのデータを含む。この入射光強度Ioと透過光強度Iとから、吸光度(A)をAとすると、次式(1)の吸光度(A)を得ることができる。なお、受光素子23で直接、透過光29を受光することに代えて、図示略の光ファイバ先端に透過光29を導入し、この光ファイバ他端側に受光素子を配置した構成とすることもできる。
【0027】
A=−log(I/Io)…(1)
また、貫通孔13内の吸光係数をε、貫通孔13内の光通過距離をd、貫通孔13内濃度をcとすると、これらの間では、ランベルト・ベールの法則により、次式(2)を得ることができる。ここで、貫通孔13内の濃度は、主として、非圧縮性繊維17と非圧縮性繊維17により捕集された粒子19とにより定まる。すなわち、捕集された粒子19の量が増加すると、濃度が大きくなる。
【0028】
A=εcd…(2)
装置本体25は、計測操作入力を行う操作部31と、濃度計測全体を制御する制御部33と、制御部33により制御されてレーザ光源21と受光素子23とを駆動する駆動部35と、貫通孔内濃度(c)と、貫通孔内吸光度(A)との検量線データを記憶する記憶部37と、制御部33からの演算指令に応答して、上記貫通孔内吸光度(A)を演算すると共に、この吸光度(A)と記憶部37が記憶する検量線データとから貫通孔内濃度(c)を演算する演算部39と、計測結果を表示する表示部41と、を具備する。
【0029】
操作部31は、計測に必要なデータを入力したりする。
【0030】
駆動部35は、セル7上方から慣性フィルタ11内の非圧縮性繊維17を入射光強度Ioで照射するようレーザ光源21を駆動すると共に、受光素子23を受光可能に駆動するようになっている。
【0031】
記憶部37は、図3に示す検量線データを記憶する。図3において横軸は貫通孔13内濃度(c)、また、縦軸は貫通孔13内吸光度(A)を示す。この検量線43は、図1で示す粒子分級装置部3において、セル7内に溶媒を吸引し、セル7内に配置した慣性フィルタ11により、溶媒中の粒子19を非圧縮性繊維17により捕集し、この捕集の結果データを図3の横軸と、縦軸とにプロットし、各プロットを線で結んでいくことで得ることができる。このような検量線データは予め記憶部37に記憶している。
【0032】
制御部33は、駆動部35を制御してレーザ光源21から強度Ioの入射光27を慣性フィルタ11に入射させる一方で、受光素子23から透過光29の強度Iのデータを得る。そして、制御部33は、これらデータと、記憶部37から図3で示す検量線データとを演算部39に渡す。
【0033】
演算部39は、制御部33から入射光27の強度Ioのデータと、透過光29の強度Iのデータと、図3の検量線データとを得るので、これらデータから、まず上記式(1)に従い吸光度(A)を演算する。この吸光度(A)の値を仮にA1とする。そして、図3の検量線43において、縦軸の吸光度(A)の値A1に対応する濃度(c)をc1として求める。
【0034】
以上から本実施の形態では、1台の濃度計測装置1において、粒子分級装置部3と、濃度計測装置部5とを内蔵させたから、これらにより粒子の分級捕集と、捕集した粒子の濃度計測とを個別に行う場合と比較して安価かつ簡易にそれらを実施することができる。
【0035】
図4、図5(a)および図5(b)を参照して他の実施の形態を説明する。図4は実施の形態の粒子分級・濃度計測装置を具体化した構成を示す図、図5(a)および図5(b)は同装置内の粒子分級装置部において、第1慣性フィルタおよび第2慣性フィルタをそれぞれ拡大して示す図である。
【0036】
この実施の形態の装置1では、粒子分級装置部3におけるセル7の内部に慣性フィルタ11を第1慣性フィルタとし、これに加えて、もう1つ慣性フィルタ14を第2慣性フィルタとして配置した。第1慣性フィルタ11は気流上流側、第2慣性フィルタ14は気流下流側に配置する。第1慣性フィルタ11は、プレ慣性フィルタとして粒径が大きい粒子除去用フィルタであり、第2慣性フィルタ14は、粒径が小さい粒子分級用フィルタである。
【0037】
第2慣性フィルタ14も第1慣性フィルタ11と同様、フィルタサポート18と、貫通孔16とを含むと共に、この貫通孔16内に非圧縮性繊維20を配置している。貫通孔16は、上側から下側へかけて内径が下方へ漸次拡径する拡径貫通孔16aと、拡径貫通孔16aの下端に連続し内径が一定である定径貫通孔16bと、から構成される。この定径貫通孔16bには非圧縮性繊維20を充填する。これら非圧縮性繊維20は、高速気流が通過しても体積変化が殆どない非圧縮性の繊維であり、好ましくは、金属繊維、より好ましくはSUS(ステンレス)繊維が緻密に絡まった状態で充填されている。なお、金属繊維としてはSUS繊維に限定するものではなく、アルミ繊維、銅繊維、その他の金属繊維から選ばれる1種以上の金属繊維でもよい。また、非圧縮性で高速気流が通過しても体積変化が殆どない繊維であれば、金属繊維に限定しない。
【0038】
以上の構成において、気流上流側の第1慣性フィルタ11から気流下流側へかけて気流が矢印43,45,47で示すように流れると共に各フィルタ11,14を通過する際に各粒径の粒子が除去ないし分級ないし捕集される。この場合、第1慣性フィルタ11の定径貫通孔13b内の非圧縮性繊維17の繊維径(μm)をd1、第2慣性フィルタ14の定径貫通孔16b内の非圧縮性繊維20の繊維径(μm)をd2とすると、これらにはd1>d2の関係がある。
【0039】
以上の構成においては、各慣性フィルタ11,14の定径貫通孔13b,16bは非圧縮性繊維17,20が層状になったフィルタ構造になっているので、気体の流速、繊維径の選択に用いることができるストークス数Stkと、ペクレ数Peと、を適用することができる。ストークス数Stkは、非圧縮性繊維構造のフィルタ内での、気体の流れに対する粒子の追従性を表す無次元の値である。その式は省略する。ストークス数Stkは、流速、粒子密度に比例し、粒径の2乗に比例し、繊維径に反比例する。
【0040】
ストークス数Stkの式によると、気体の流速が大きくなるに従い、粒径が大きい粒子から順に気体の運動に追従できなくなり、気体の流路から外れて非圧縮性繊維と衝突するようになる。このストークス数Stkを参考にしつつ、気体の流速を制御することと、繊維径を選択することとにより、捕集目的の粒子の粒径を選択することができる。実施の形態では非圧縮性繊維の繊維径は極めて小さいので、インパクタほど流速を大きくする必要がない。また、非圧縮性繊維は、粒子の慣性だけではなく、さえぎり、重力、静電気力、拡散などの捕集機構によっても粒子を捕集することができる。
【0041】
ペクレ数Peは、気流により粒子が運ばれる効果と、拡散によって粒子が運ばれる効果との比率を表す数であり、流速、繊維径に比例し、拡散係数に反比例する。拡散の影響を少なくするには、ペクレ数Peを大きくする必要がある。粒径が小さいほど、拡散係数が大きくなり、繊維径は小さい値が選択されているので、流速を高めることが粒径の選択性を高めることに好ましいことがわかる。以上から、流速、繊維径等を選択することで、目的とする粒子を非圧縮性繊維により捕集ないし分級することができる。
【0042】
図6(a)および図6(b)それぞれに第1慣性フィルタ11と、第2慣性フィルタ14とにおける、横軸が粒径(μm)、縦軸が粒子捕集効率(%)とする粒径(μm)対捕集効率(%)の関係を示す。ただし、第1慣性フィルタ11と、第2慣性フィルタ14それぞれの定径貫通孔13b,16bでの孔径D1,D2はそれぞれ6mm,3mm、孔長さL1,L2はそれぞれ5mm,4.5mm、非圧縮性繊維17,20それぞれの繊維径d1,d2はそれぞれ12μm、8μmとする。また、気流吸引ポンプにより吸引されることにより、発生する気流の流量Q1,Q2は共に同じ毎分6リットルの小流量とする。
【0043】
図6(a)で示すように第1慣性フィルタ11では0.5μm前後を粒子分離径とすることができ、また、図6(b)で示すように第2慣性フィルタ14では約190nmを粒子分離径とすることができる。
【0044】
なお、第1慣性フィルタ11と第2慣性フィルタ14とを図7で示すように構成することもできる。図7は図1と対応する部分に同一符号を付して示している。図7では、第1慣性フィルタ貫通孔13bと第2慣性フィルタ貫通孔16bとを連続させた形態となっている。この図7で示す構造も図1と同様の作用を有する。
【0045】
以上説明したように本実施の形態では、1台の装置1に粒子の分級を行う粒子分級装置部3と、粒子の濃度計測を行う濃度計測装置部5とを内蔵させたから、これらにより粒子の分級捕集と、捕集した粒子の濃度計測とを実施することができるようになり、個別に、粒子分級装置と、濃度計測装置とを備えて粒子の分級捕集と、濃度計測とを個別に行う場合と比較して安価かつ簡易にそれらを実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 粒子分級・濃度計測装置
3 粒子分級装置部
5 濃度計測装置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子分級装置部と、
濃度計測装置部と、
を含み、
粒子分級装置部は、流体通過路と、この流体通過路上に配置された、内部に非圧縮性繊維を充填してなる慣性フィルタと、を具備し、
濃度計測装置部は、上記慣性フィルタ内濃度と上記慣性フィルタにおける吸光度との関係からなる検量線データを記憶する記憶部と、上記慣性フィルタに対する吸光度を測定する測定部と、記憶部が記憶する検量線データと、測定部が測定した吸光度と、慣性フィルタ内濃度を演算する演算部と、
を具備したことを特徴とする濃度計測装置。
【請求項2】
上記吸光度(A)が、ランベルト・ベールの法則によりA=εcd(ただし、Aは吸光度、εは吸光係数、cは慣性フィルタ内濃度、dは慣性フィルタ内光路長さ)の式で表されるものである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記粒子分級装置部は、流体通過上流側と下流側それぞれに少なくとも2つの第1、第2慣性フィルタを直列に連結配置し、当該両慣性フィルタはそれぞれ、非圧縮性繊維を充填した貫通孔を具備すると共に、第1慣性フィルタの貫通孔内での非圧縮性繊維の繊維径を、第2慣性フィルタの貫通孔内での非圧縮性繊維の繊維径より大きくして、第1慣性フィルタでは予め一定粒径以上の粒子除去用とし、第2慣性フィルタでは第1慣性フィルタで除去されずに通過してきた一定粒径以下の粒子の分級用とした、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
上記非圧縮性繊維をステンレス繊維とした、請求項1ないし3のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−12976(P2011−12976A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154803(P2009−154803)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】