説明

粒子状物質検出装置

【課題】エンジンの運転状態や排気の温度によらず安定して濃度を検出できるPMセンサを提供すること。
【解決手段】PMセンサは、エンジンの排気管に設けられたセンサ電極部を有し、排気に含まれるPMが付着したセンサ電極部の電気的特性に基づいて、排気のPM濃度を検出する。PMセンサは、PMが付着したセンサ電極部の静電容量変化量ΔCを測定し(S8)、測定した静電容量変化量ΔCと、検出されたセンサ電極部の集塵後電極温度Tとに基づいて、排気のPM濃度Dを検出する(S9,10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状物質検出装置に関する。特に、内燃機関から排出された排気の粒子状物質の濃度を検出する粒子状物質検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の排気管には、排気の粒子状物質の濃度を検出するために粒子状物質検出装置が設けられている。この粒子状物質検出装置として、例えば特許文献1には、排気管内に電極部を設け、この電極部に排気に含まれる粒子状物質を付着させた後、粒子状物質が付着した電極部の電気的特性を測定することにより排気管内の排気の粒子状物質の濃度を検出するものが示されている。
【特許文献1】特開2008−139294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、粒子状物質は温度が変化するとその電気物性も変化するという特性がある。このため、上述のように、粒子状物質が付着した電極部の電気的特性の測定に基づいて粒子状物質の濃度を検出する粒子状物質検出装置では、内燃機関の運転状態や排気の温度の変動に応じて検出値も変動してしまうおそれがある。
【0004】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、粒子状物質の電気的特性の測定に基づいて排気の粒子状物質の濃度を検出する粒子状物質検出装置であって、内燃機関の運転状態や排気の温度によらず安定して濃度を検出できる粒子状物質検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、内燃機関の排気通路(EP)に設けられた電極部(2)を有し、排気に含まれる粒子状物質が付着した電極部の電気的特性に基づいて、排気の粒子状物質の濃度を検出する粒子状物質検出装置(1)であって、前記電極部に付着した粒子状物質の温度に相関のあるパラメータを検出するパラメータ検出手段(6,8)と、粒子状物質が付着した電極部の電気的特性を測定し、測定した電気的特性(ΔC)と、前記パラメータ検出手段により検出されたパラメータ(T)とに基づいて、排気の粒子状物質の濃度(D)を検出する濃度検出手段(6)と、を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の粒子状物質検出装置において、前記粒子状物質が付着した電極部の電気的特性と、前記粒子状物質の温度に相関のあるパラメータと、前記排気通路を流通する排気の粒子状物質の濃度と、の関係を示すデータが格納された記憶手段(6)を備え、前記濃度検出手段は、前記記憶手段に格納されたデータを用いて、前記測定された電気的特性(ΔC)及び前記パラメータ検出手段により検出されたパラメータ(T)に応じた排気の粒子状物質の濃度(D)を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、粒子状物質が付着した電極部の電気的特性を測定し、この測定した電気的特性と、電極部に付着した粒子状物質の温度に相関のあるパラメータとに基づいて、排気の粒子状物質の濃度を検出する。これにより、内燃機関の運転状態や排気の温度が変動し、電極部に付着した粒子状物質の電気物性が変動する場合であっても、この粒子状物質の電気物性の温度による影響を考慮しながら安定して粒子状物質の濃度を検出することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、電極部の電気的特性と、粒子状物質の温度に相関のあるパラメータと、排気の粒子状物質の濃度と、の関係を示すデータを記憶手段に格納しておき、このデータを用いて、測定された電気的特性及び検出されたパラメータに応じた排気の粒子状物質の濃度を検出する。これにより、さらに安定して粒子状物質の濃度を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る粒子状物質検出装置(以下、「PMセンサ」という)1の構成を示す模式図である。
【0010】
PMセンサ1は、エンジンの排気管EP内に設けられたセンサ電極部2と、このセンサ電極部2に接続された集塵用DC電源3、及びインピーダンス測定器4、センサ電極部2の温度を制御する温度制御装置5と、これらを制御する電子制御ユニット(以下「ECU」という)6と、を含んで構成される。以下、詳述するように、PMセンサ1は、排気管EP内を流通する排気に含まれる粒子状物質(以下、「PM(Particulate Matter)」という)が付着したセンサ電極部2の電気的特性を測定し、測定した電気的特性に基づいて、排気管EP内を流通する排気の粒子状物質の濃度(以下、「PM濃度」という)を検出する。
【0011】
図2は、センサ電極部2の構成を示す図である。より具体的には、図2(A)は、センサ電極部2の電極板25の構成を示す斜視図であり、図2(B)は、2枚の電極板25,25を含んで構成されたセンサ電極部2の構成を示す斜視図である。
【0012】
図2(A)に示すように、電極板25は、略矩形状のアルミナ基板251と、このアルミナ基板251の表面に形成されたタングステン導体層252と、を備える。このタングステン導体層252は、アルミナ基板251の略中央部において、略正方形状に形成された導体部と、この導体部からアルミナ基板251の一端側へかけて線状に延びる導線部と、を含んで構成される。また、アルミナ基板251の一端側には、このタングステン導体層252の導線部に積層して設けられたタングステン印刷部253が形成されている。
ここで、アルミナ基板251の厚みは、約1mmであり、タングステン導体層252の導体部の一辺の長さは、約10mmである。
【0013】
図2(B)に示すように、センサ電極部2は、一対の電極板25,25を、板状のスペーサ26,26を介装して組み合わせることにより構成される。これらスペーサ26,26は、各電極板25の両端側に設けられており、これにより、各電極板25のタングステン導体層252の導体部には、PMが集塵されるキャビティ27が形成される。
【0014】
図1に戻って、集塵用DC電源3及びインピーダンス測定器4は、切換スイッチSWを介してセンサ電極部2の電極板25,25に接続されている。
【0015】
集塵用DC電源3は、ECU6から送信された制御信号に基づいて動作し、センサ電極部2の電極板25,25間に所定の電圧を所定の時間に亘って印加する。これにより、排気管EP内を流通する排気に含まれるPMを、電極板25,25に付着させる。
【0016】
インピーダンス測定器4は、ECU6から送信された制御信号に基づいて動作し、所定の測定電圧及び測定周期の交流信号のもとでセンサ電極部24の電極板25,25間の静電容量を検出し、検出した静電容量値に略比例した検出信号をECU6に出力する。
【0017】
切換スイッチSWは、ECU6から送信された制御信号に基づいて動作し、電極板25に対する接続を、集塵用DC電源3とインピーダンス測定器4との間で選択的に切り換える。後に詳述するように、センサ電極部2のキャビティ27内にPMを集塵する場合には集塵用DC電源3と電極板25とを接続し、センサ電極部2の静電容量を測定する場合にはインピーダンス測定器4と電極板25とを接続する。
【0018】
温度制御装置5は、各電極板25,25に接して設けられたヒータ51,51と、これらヒータ51,51に電力を供給するヒータ用DC電源52と、を含んで構成される。
ヒータ用DC電源52は、ECU6から送信された制御信号に基づいて動作し、ヒータ51,51に所定の電流を通電する。ヒータ51,51は、ヒータ用DC電源52から電流が供給されると発熱し、電極板25,25を加熱する。また、電極板25,25を加熱し電極板25,25に付着したPMを燃焼除去することにより、センサ電極部2を再生することができる。
【0019】
この他、ECU6には、電極温度センサ8が接続されている。電極温度センサ8は、センサ電極部2に付着したPMの温度に相関のあるパラメータとして電極板25の温度を検出し、検出信号をECU6に出力する。
ここで、電極板25の温度と、この電極板25に付着したPMの温度との関係について説明する。電極板25の熱容量は、この電極板25に付着するPMの熱容量よりも十分に大きい。このため、電極板25の温度と異なる温度のPMが、この電極板25に付着しても、PMの温度は電極板25の温度とほぼ等しくなる。したがって以下では、電極板25の温度と、この電極板25に付着したPMの温度はほぼ等しいものとする。
【0020】
ECU6は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定のレベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換するなどの機能を有する入力回路と、中央演算処理ユニット(以下「CPU」という)とを備える。この他、ECU6は、CPUで実行される各種演算プログラム及び後述の図4〜図6に示す制御マップなどが格納された記憶回路と、集塵用DC電源3、インピーダンス測定器4、ヒータ用DC電源52、及び切換スイッチSWなどに制御信号を出力する出力回路とを備える。
【0021】
図3は、PMセンサ1により排気のPM濃度を検出する手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、エンジンの始動後、ECU6により実行される。
【0022】
ステップS1では、PMセンサの暖機、再生、及び校正を実行する。
ステップS2では、電極温度センサによりセンサ電極部の温度を検出し、検出した温度を初期電極温度Tとして記録する。また、このステップでは、センサ電極部の静電容量を測定し、測定した静電容量を初期静電容量Cとして記録する。
ステップS3では、上述のステップS1においてセンサ電極部を再生したことに応じて、センサ電極部に集塵されているPMの総量を示す総PM集塵量Yに「0」をセットする。
【0023】
ステップS4では、センサ電極部が正常な状態であるか否かを判別する。具体的には、このステップでは、先ず、PMが付着していない状態における正常なセンサ電極部の静電容量Cとその温度Tとを関係付ける図4に示すような制御マップC(T)に基づいて、センサ電極部の初期電極温度Tに応じたセンサ電極部の静電容量C(T)を算出する。さらにこの算出した静電容量C(T)と、測定した初期静電容量Cとがほぼ等しいか否かを判別することにより、センサ電極部が正常な状態であるか否かを判別する。この判別がYESの場合には、センサ電極部は正常な状態であると判定し、ステップS6に移る。この判別がNOの場合には、センサ電極部は正常な状態ではないと判定し、ステップS15に移る。なお、この図4に示す制御マップは、予め行った実験に基づいて作成され、ECUの記憶回路に格納される。
【0024】
ステップS15では、センサ電極部が正常な状態ではないと判定されたことに応じて、センサ電極部を再生し、さらにセンサ電極部が故障したか否かを確認する所定の故障確認処理を実行し、ステップS16に移る。
ステップS16では、センサ電極部の故障が確認されたか否かを判別する。センサ電極部の故障が確認された場合には、この処理を終了し、センサ電極部の故障が確認されなかった場合には、ステップS1に移る。
【0025】
ステップS6では、センサ電極部に所定の集塵時間tに亘って、所定の集塵電圧Vを印加することにより、センサ電極部にPMを集塵する。これにより、排気のPM濃度に応じた量のPMがセンサ電極部に付着する。
【0026】
ステップS7では、電極温度センサによりセンサ電極部の温度を検出し、検出した温度を集塵後電極温度Tとして記録する。
【0027】
ステップS8では、センサ電極部の電気的特性としての静電容量変化量ΔCを測定する。ここでは、先ず、PMを集塵した後におけるセンサ電極部の静電容量を測定し、これを集塵後静電容量Cとして記録する。次に、集塵前のセンサ電極部の静電容量、すなわち、上述の図4に示す制御マップを用いてC(T)を算出し、集塵後静電容量Cから集塵前の静電容量C(T)を減算したものを算出し、これを静電容量変化量ΔC(=C−C(T))として記録する。
【0028】
ステップS9では、センサ電極部に集塵されたPMの量を示すPM集塵量Xを算出する。より具体的には、静電容量変化量ΔCと集塵後電極温度TとPM集塵量Xとを関係付ける図5に示すような制御マップに基づいて、測定した静電容量変化量ΔCと集塵後電極温度Tとに応じたPM集塵量Xを算出する。
【0029】
図5は、静電容量変化量ΔCとPM集塵量Xとの関係を示す図であり、上述の制御マップの一例を示す図である。この図5には、集塵後電極温度TがTA1,TA2,TA3のときにおける静電容量変化量ΔCとPM集塵量Xとの相関関係のみを示す。
図5に示すように、PM集塵量Xが大きくなると、センサ電極部の静電容量変化量ΔCも大きくなる。また、このような静電容量変化量ΔCとPM集塵量Xとの相関関係は、集塵後電極温度Tに応じて変化する。なお、この図5に示す制御マップは、例えば、後述の静電容量の温度特性把握実験に基づいて作成され、ECUの記憶回路に格納される。
【0030】
図3に戻って、ステップS10では、排気のPM濃度Dを検出する。このステップでは、具体的には、PM集塵量Xと排気のPM濃度Dとを関係付ける図6に示すような制御マップに基づいて、算出したPM集塵量Xに応じた排気のPM濃度Dを算出する。
【0031】
図6は、排気のPM濃度とセンサ電極部のPM集塵量との関係を示す図である。
図6に示すように、PM集塵量Xが大きくなるに従い、排気のPM濃度Dも大きくなる。なお、この図6に示す制御マップは、予め行った実験に基づいて作成され、ECUの記憶回路に格納される。
【0032】
図3に戻って、ステップS11では、総PM集塵量Yを更新する。具体的には、算出したPM集塵量Xを加算することにより総PM集塵量Yを更新する。
【0033】
ステップS12では、総PM集塵量Yが所定の最大集塵量YMAX以上であるか否かを判別する。この判別がYESの場合にはステップS13に移り、NOの場合にはステップS14に移る。
ステップS13では、センサ電極部を再生するとともに総PM集塵量Yに「0」をセットし、ステップS14に移る。
ステップS14では、PM濃度の検出を終了するか否かを判別する。この判別がYESの場合にはこの処理を終了し、NOの場合にはステップS6に移る。
【0034】
[静電容量の温度特性把握実験]
次に、センサ電極部の静電容量の温度特性を把握するための静電容量の温度特性把握実験について説明する。
図7は、実験装置110の構成を示す図である。
実験装置110は、エンジン111と、このエンジン111の下流に設けられた正常DPF112及び破損DPF113と、エンジン111から排出された排気を正常DPF112及び破損DPF113とで切り換える切換弁114と、正常DPF112及び破損DPF113の下流側に設けられた試験用PMセンサ115と、を含んで構成される。
【0035】
正常DPF112は、エンジン111から排出された排気に含まれるPMを捕集するフィルタである。したがって、正常DPF112の下流側の排気のPM濃度は、ほぼ0である。破損DPF113は、正常DPF112を故意に破損したものである。したがって、破損DPF113の下流側には、所定のPM濃度の排気が流通する。
試験用PMセンサ115としては、上述の実施形態と同様の構成のセンサ電極部2を備えるものを準備した。
【0036】
この温度特性把握実験では、以上のように構成された実験装置110を用いて、センサ電極部の静電容量と、センサ電極部の温度との間の関係について、複数の条件の下で測定した。
図8は、本実験の結果を示す図である。図8において、横軸はセンサ電極部の温度を示し、縦軸はセンサ電極部の静電容量を示す。
【0037】
具体的には、先ず、切換弁114を正常DPF112側にセットし、エンジン111から排出された排気を正常DPF112に流入させながら、センサ電極部の静電容量を測定した。ここで、エンジン111の運転条件を連続的に変更することにより、センサ電極部の温度を変更しながらセンサ電極部の静電容量を測定した。これにより、PMが付着していない状態におけるセンサ電極部の静電容量の温度特性が測定される。この測定結果を、図8に実線8aで示す。
【0038】
次に、切換弁114を破損DPF113側にセットし、エンジン111から排出された排気を破損DPF113に流入させながらセンサ電極部に所定の集塵時間に亘り所定の集塵電圧を印加し、このセンサ電極部に排気のPMを集塵した。ここで、センサ電極部に排気のPMを集塵した後は、エンジン111の運転条件を連続的に変更することにより、センサ電極部の温度を変更しながらセンサ電極部の静電容量を測定した。
また、本実験では、破損DPF113の破損の度合いを変えることにより、複数の種類のPM濃度の下でセンサ電極部にPMを集塵し、異なるPM集塵量のセンサ電極部の静電容量の温度特性を測定した。これら測定結果を、図8にPM集塵量が少ないものから順に3つの破線8b,8c,8dで示す。
【0039】
図8に示すように、一定のセンサ電極部の温度の下では、センサ電極部のPM集塵量が多くなるに従い、センサ電極部の静電容量は大きくなる。また、センサ電極部の温度が高くなるに従い、センサ電極部の静電容量は大きくなる。また、PM集塵量が異なると、このセンサ電極部の静電容量の温度特性も変化する。
【0040】
ここで、以上のような測定結果と、上述の図4及び図5に示す制御マップとの関係について説明する。
【0041】
上述のように、図4は、PMが付着していない状態におけるセンサ電極部の静電容量Cとその温度Tとを関係付ける制御マップである。したがって、この図4に示す制御マップは、図8の実線8aで示す測定結果に基づいて作成される。
【0042】
また、図5は、静電容量変化量ΔCと集塵後電極温度TとPM集塵量Xとの関係を示す制御マップである。したがって、集塵後電極温度Tは、図8における横軸のセンサ電極部の温度に相当する。また、静電容量変化量ΔCは、図8における縦軸の静電容量から、実線8aに示すPMが付着していない状態におけるセンサ電極部の静電容量を減算したものに相当する。これにより、図8に示す測定結果から、図5に示す制御マップを作成することができる。
【0043】
本実施形態によれば、以下の効果がある。
(1)本実施形態によれば、PMが付着したセンサ電極部2の静電容量変化量ΔCを測定し、この測定した静電容量変化量ΔCと、センサ電極部2の集塵後電極温度Tとに基づいて、排気のPM濃度Dを検出する。これにより、エンジンの運転状態や排気の温度が変動し、センサ電極部2に付着したPMの電気物性が変動する場合であっても、このPMの電気物性の温度による影響を考慮しながら安定してPM濃度Dを検出することができる。
【0044】
(2)本実施形態によれば、センサ電極部2の静電容量変化量ΔCと、集塵後電極温度Tと、センサ電極部のPM集塵量Xと、排気のPM濃度Dと、の関係を示す図5及び図6に示す制御マップをECU6の記憶回路に格納しておく。さらにこれら制御マップを用いて、測定された静電容量変化量ΔC及び集塵後電極温度Tに応じた排気のPM濃度Dを検出する。これにより、さらに安定してPM濃度Dを検出することができる。
【0045】
本実施形態では、電極温度センサ8及びECU6がパラメータ検出手段を構成し、ECU6が濃度検出手段を構成し、ECU6が記憶手段を構成する。より具体的には、図3のステップS7の実行に係る手段がパラメータ検出手段を構成し、図3のステップS1〜S16の実行に係る手段が濃度検出手段を構成する。
【0046】
なお、本発明は上述した実施形態に限るものではなく、種々の変形が可能である。
上記実施形態では、センサ電極部2に付着したPMに相関のあるパラメータとして、電極板25の温度を電極温度センサ8で検出したが、これに限らない。センサ電極部2に付着したPMに相関のあるパラメータとして、排気の温度を検出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係るPMセンサの構成を示す模式図である。
【図2】上記実施形態に係るセンサ電極部の構成を示す斜視図である。
【図3】上記実施形態に係るPMセンサにより排気のPM濃度を検出する手順を示すフローチャートである。
【図4】上記実施形態に係る制御マップの一例を示す図である。
【図5】上記実施形態に係る制御マップの一例を示す図である。
【図6】上記実施形態に係る制御マップの一例を示す図である。
【図7】上記実施形態に係る温度特性把握実験の実験装置の構成を示す図である。
【図8】上記実験の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1…PMセンサ(粒子状物質検出装置)
2…センサ電極部(電極部)
25…電極板
3…集塵用DC電源
4…インピーダンス測定器
5…温度制御装置
6…ECU(パラメータ検出手段、濃度検出手段、記憶手段)
8…電極温度センサ(パラメータ検出手段)
EP…排気管(排気通路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に設けられた電極部を有し、排気に含まれる粒子状物質が付着した電極部の電気的特性に基づいて、排気の粒子状物質の濃度を検出する粒子状物質検出装置であって、
前記電極部に付着した粒子状物質の温度に相関のあるパラメータを検出するパラメータ検出手段と、
粒子状物質が付着した電極部の電気的特性を測定し、測定した電気的特性と、前記パラメータ検出手段により検出されたパラメータとに基づいて、排気の粒子状物質の濃度を検出する濃度検出手段と、を備えることを特徴とする粒子状物質検出装置。
【請求項2】
前記粒子状物質が付着した電極部の電気的特性と、前記粒子状物質の温度に相関のあるパラメータと、前記排気通路を流通する排気の粒子状物質の濃度と、の関係を示すデータが格納された記憶手段を備え、
前記濃度検出手段は、前記記憶手段に格納されたデータを用いて、前記測定された電気的特性及び前記パラメータ検出手段により検出されたパラメータに応じた排気の粒子状物質の濃度を検出することを特徴とする請求項1に記載の粒子状物質検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−151554(P2010−151554A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328812(P2008−328812)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】