説明

粒子状物質浄化材及びその製造方法

【課題】内燃機関の排ガス温度域において安定して溶融することでPMの捕集率を高めるとともにPMとの接触面積をさらに高め、特に自動車の排気系に安定して配置できる実用的な粒子状物質浄化材とする。
【解決手段】炭酸銀、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、希土類元素の炭酸塩、ハロゲン化銀、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物から選ばれる少なくとも一種及び/又はこれらから選ばれる複数種が複合化した複合塩を含み、固体担体に担持されたスート捕集成分と、
硝酸銀、アルカリ金属の硝酸塩、アルカリ土類金属の硝酸塩及び希土類元素の硝酸塩から選ばれる少なくとも一種及び/又はこれらから選ばれる複数種が複合化した複合硝酸塩を含み、固体担体に担持されたスート浄化成分と、から構成した。
PM中のスートはスート捕集成分2に捕集され、捕集されたスートは近傍に存在するスート浄化成分3によって効率良く酸化浄化されCO2 となって排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関などから排出され、粒子状物質(PM)を含む排ガス中のPMを除去する粒子状物質浄化材に関し、特にPM中のスート成分を効率よく除去できる粒子状物質浄化材に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関、特にディーゼルエンジンなどの圧縮着火式内燃機関からの排ガス中には、スート、 SOF(Soluble Organic Fraction)高分子有機化合物、硫酸ミストなどからなるPMが含まれ、大気汚染及び人体への悪影響の面からPMの排出を抑制しようとする動きが高まっている。PMの排出を抑制するには、フィルタによってPMを捕捉する方法と、PMを燃焼除去する方法とがあり、それぞれの、あるいは両方を組み合わせた技術開発が進められている。
【0003】
フィルタにてPMを捕捉する方法では、フィルタに堆積したPMが自然着火する場合があり、多量のPMが一気に燃焼することでフィルタの温度が上昇し、溶損や熱応力によるクラックなどが生じる場合があった。そこで近年では、PMの自然着火前に予めPMを酸化燃焼する手段を併用することが主流となっている。
【0004】
例えば特開平01−318715号公報には、貴金属を含む酸化触媒によって排ガス中のNOをNO2 へと酸化し、そのNO2 によってPMを酸化する方法が記載されている。また特公平07−106290号公報には、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)上に白金族貴金属及びアルカリ土類金属酸化物からなる触媒を担持し、PMを捕捉と同時にあるいは捕捉に連続して燃焼させる方法が記載されている。
【0005】
しかしこれらの技術では、低温域におけるPMの除去効率が低いために、十分な性能が得られない。またDPF上に触媒を担持する技術では、排ガスと触媒との接触が不十分であるために、触媒によるPM酸化能が十分ではない。また触媒の活性化温度以下ではPM特にスート成分の酸化が困難であり、活性化温度に到達した時点でそれまでに堆積していたスートを主成分とするPMが一気に酸化燃焼するために、DPFにクラックが生じる場合がある。
【0006】
そこで触媒を液相としてPMと接触させることが想起され、例えばAppl.Cat.B21(1999)35−49には、Cs2MoO4-V2O5,CsVO3-MoO3,Cs2SO4-V2O5 などの溶融塩型触媒について報告されている。このような溶融塩型触媒では、スートの酸化力が強いこと、触媒の蒸散が少ないこと、燃焼温度が低いことなどが好ましい条件であり、この文献にはCs2MoO4-V2O5及びCsVO3-MoO3が 620K( 347℃)以上で活性が高く、大気中で1025K( 752℃)まで安定であって、好ましい触媒であることが記載されている。
【0007】
また特開平09−144528号公報には、融点が 300〜 500℃であり、スートの酸化において触媒活性を有するCs2O・V2O5, K2O・V2O5などの共融組成物をモノリス体などのキャリアーに担持した触媒装置が開示されている。
【0008】
さらに国際公開WO00/43109号(PCT/JP00/00194)には、硝酸マグネシウムと炭酸マグネシウムを液溜に入れ、排ガスを約 185〜 270℃で接触させることによってPMを燃焼除去できることが記載されている。
【0009】
そして特開2003−210992号公報には、多孔質フィルタにアルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩もしくは酸化マグネシウムを配置し、排ガス中の窒素酸化物の酸化を促進することにより、白金触媒を不要としたガス処理装置が記載されている。
【0010】
溶融塩型触媒は、排ガス温度で溶融することで排ガス中のPMを捕捉するとともに、捕捉されたPMとの接触面積が高いために、PMの浄化に有効である。上記したように溶融塩型触媒についていくつかの技術が開示されているが、いずれの技術も実用的にPM中のスート成分を低温で効率良く酸化するという課題を解決するものではない。
【0011】
例えばAppl.Cat.B21(1999)35−49に記載の技術では、開示されている溶融塩型触媒のうち最も融点が低いもの(Cs2MoO4-V2O5)でも、その融点は 588K( 315℃)である。ところがディーゼル機関においては、排ガス温度がほとんど 300℃以下であることから、溶融塩型触媒の溶融が困難であり、PMとの接触が十分であるとはいえない。PMと触媒との接触が不十分であると、触媒の作用がPMに及ばずPMの堆積量が増大し、自然発火温度域となった時に大量のPMが一気に燃焼するため、担体基材に溶融、破損などの問題が生じる。また同文献にも記載されているように、Cs及びMoなどの成分が蒸発してしまうことから、活性が低下するという問題がある。
【0012】
特開平09−144528号公報には、Appl.Cat.B21(1999)35−49と同様にCs2O・V2O5, K2O・V2O5などCs、Vを含有する共融組成物が開示されている。しかしこれらの共融組成物も融点が 300℃以上であり、Csを含有するものもあるため、非特許文献1と同様の問題が生じる。
【0013】
国際公開WO00/43109号(PCT/JP00/00194)では、液溜という原始的な技術を用いているが、自動車に搭載するには、排気圧力が増大したり、走行時に震度などで液面が不安定になるなど、実用的ではない。
【0014】
特開2003−210992号公報に記載の技術は、溶融塩型触媒を積極的に用いるものではないので、Appl.Cat.B21(1999)35−49と同様にPMと触媒との接触が不十分であるという問題がある。また炭酸塩は比較的低温で溶融するため溶融塩型触媒とみなすことも可能であるが、開示されている炭酸塩のうち最も融点が低いもの(炭酸リチウム・炭酸ナトリウム・炭酸カリウムの複合塩)でも、その融点は 394℃であり、Appl.Cat.B21(1999)35−49と同様の問題が生じる。
【0015】
そこで本願出願人は、先に固体担体と、固体担体に担持される硝酸銀,アルカリ金属の硝酸塩,アルカリ土類金属の硝酸塩及び希土類元素の硝酸塩から選ばれる少なくとも一種を含む触媒成分と、からなる溶融塩型触媒を提案している(特開2002−210368号公報)。この触媒によれば、溶融塩を含む触媒成分が固体担体に担持されている。したがって溶融塩が液相となっても、固体担体との相互作用によって固体担体に付着した状態が維持され、下流側へ流されるような不具合が生じない。また触媒成分は常温では固体であるので、触媒の取り扱いも容易であり、排気流路への搭載も従来の三元触媒などと同様に行うことができる。
【0016】
そしてこの溶融塩型触媒は、自動車のディーゼルエンジンの排ガス温度で触媒成分が溶融して液相となるためPMとの接触確率が高まり、PMの燃焼反応が生じる。また液相であるためにPMが捕集されやすく、これによっても接触確率が高まる。したがってPMを効率よく燃焼除去することができる。そして硝酸リチウムなど特に低温で溶融する溶融塩を用いれば、低温域でPMと触媒との接触性が向上するため、低温域から高温域まで広い温度範囲でPMを燃焼除去することができる。さらに溶融塩として硝酸塩を用いているため、高温域で硝酸塩に分解が生じたとしても、排ガス中に含まれる窒素酸化物によって再び硝酸塩が生成する。これによって触媒が再生されるため耐久性に優れている。
【特許文献1】特開平01−318715号
【特許文献2】特公平07−106290号
【特許文献3】特開平09−144528号
【特許文献4】国際公開WO00/43109号(PCT/JP00/00194)
【特許文献5】特開2003−210992号
【特許文献6】特開2002−210368号
【非特許文献1】Appl.Cat.B21(1999)35−49
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、特開2002−210368号公報に記載されている技術をさらに改良し、内燃機関の排ガス温度域において安定して溶融することでPMの捕集率を高めるとともにPMとの接触面積をさらに高め、特に自動車の排気系に安定して配置できる実用的な粒子状物質浄化材とすることを、解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決する本発明の粒子状物質浄化材の特徴は、スートを含有する粒子状物質を含む排ガス中の粒子状物質を除去する粒子状物質浄化材であって、固体担体と、
炭酸銀、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、希土類元素の炭酸塩、ハロゲン化銀、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物から選ばれる少なくとも一種及び/又はこれらから選ばれる複数種が複合化した複合塩を含み、固体担体に担持されたスート捕集成分と、
硝酸銀、アルカリ金属の硝酸塩、アルカリ土類金属の硝酸塩及び希土類元素の硝酸塩から選ばれる少なくとも一種及び/又はこれらから選ばれる複数種が複合化した複合硝酸塩を含み、固体担体に担持されたスート浄化成分と、からなることにある。
【0019】
固体担体には、スート浄化成分を安定化する安定化成分がさらに担持されていることが望ましい。
【0020】
また、粒子状物質の浄化を促進する浄化促進成分をさらに含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の粒子状物質浄化材によれば、スートの捕集に連続してスートを酸化浄化できるため、排ガス中のPMを効率良く除去することができる。また安定化成分を含むことで、スート浄化成分が安定化されるため、耐久性が向上する。さらに浄化促進成分を含むことで、スートの酸化が促進されるとともに、 SOFの酸化も促進されるためスートが浄化され易くなるため、PMの浄化性能がさらに向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の粒子状物質浄化材は、図1に示すように固体担体1と、スート捕集成分2と、スート浄化成分3とから構成され、スート捕集成分2及びスート浄化成分3は、ともに同一の固体担体1に互いに近接して担持されている。そして図1に示すように、PM中のスートはスート捕集成分2に捕集され、捕集されたスートは近傍に存在するスート浄化成分3によって効率良く酸化浄化されCO2 となって排出される。
【0023】
固体担体としては、従来の三元触媒などに用いられているアルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、ゼオライト、マグネシアスピネル、アルカリ金属の酸化物、マグネシアなどのアルカリ土類金属の酸化物、ランタナ,ネオジアなどの希土類元素の酸化物などを用いることができる。中でも、マグネシアスピネル、アルカリ金属の酸化物、マグネシアなどのアルカリ土類金属の酸化物、ランタナ,ネオジアなどの希土類元素の酸化物などの塩基性担体が特に好ましい。塩基性担体を用いることで、スート捕集成分及びスート浄化成分などの触媒成分と固体担体との反応を抑制することができ、耐久性が向上する。
【0024】
スート捕集成分は、融点以上で溶融するなど、液状となってスートを捕集可能なものをいい、炭酸銀、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、希土類元素の炭酸塩、ハロゲン化銀、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物から選ばれる少なくとも一種及び/又はこれらから選ばれる複数種が複合化した複合塩を含むものである。
【0025】
アルカリ金属の炭酸塩としては、 K2CO3,Cs2CO3,Na2CO3,Li2CO3などが例示される。またアルカリ土類金属の炭酸塩としては、 BaCO3, SrCO3, CaCO3, MgCO3などが例示され、希土類元素の炭酸塩としては、Y2(CO3)3, La2(CO3)3, Nd2(CO3)3, Pr2(CO3)3などが例示される。
【0026】
ハロゲン化銀としては、AgCl,AgBrなどが例示される。アルカリ金属のハロゲン化物としては、LiCl,NaCl, KCl,PbCl,CsCl,LiBr,NaBr, KBr,RbBr,CsBrなどが例示され、アルカリ土類金属のハロゲン化物としては、 MgCl2, CaCl2, SrCl2, BaCl2, MgBr2, CaBr2, SrBr2, BaBr2などが例示される。このうち一種のみを用いてもよいし、複数種類が複合化した複合塩を担持することもできる。複合塩とすることにより、溶融温度が低下する場合が多い。この複合塩としては、 K2CO3-Li2CO3,Li2CO3-Na2CO3,K2CO3-Li2CO3-Na2CO3,KCl-ZrCl4,NaCl-MgCl2,KBr-LiBr,AgBr-KBr,AgBr-RbBr,KCl-MgCl2,AgCl-ZnCl2,CsCl-ZnCl2などが好ましい。
【0027】
例示した以外にも、一部が硝酸塩に置き換えられているものであってもよい。この場合は、スート捕集成分でありながらスート浄化成分の機能をもつことになる。
【0028】
スート捕集成分の担持量は、固体担体に対して1重量%以上とすることが望ましい。担持量がこれより少ないとPMの捕集が困難となる。またスート捕集成分の担持量が多くなるほどPMの捕集量が多くなる傾向にあるが、 120重量%以上担持すると担体上での安定性が不十分となり下流に流されて凝集する場合があるので 120重量%未満とすることが望ましい。
【0029】
スート浄化成分は、PM中の少なくともスートを酸化可能なものであり、硝酸銀、アルカリ金属の硝酸塩、アルカリ土類金属の硝酸塩及び希土類元素の硝酸塩から選ばれる少なくとも一種及び/又はこれらから選ばれる複数種が複合化した複合硝酸塩を含むものである。なお硝酸塩は、排ガス雰囲気中で一部が分解して亜硝酸塩となる場合がある。
【0030】
アルカリ金属の硝酸塩としては、KNO3, CsNO3, NaNO3, LiNO3などが例示される。またアルカリ土類金属の硝酸塩としては、Ba(NO3)2,Sr(NO3)2,Ca(NO3)2,Mg(NO3)2などが例示され、希土類元素の硝酸塩としては、 Y(NO3)3,La(NO3)3,Nd(NO3)3,Pr(NO3)3などが例示される。このうち一種のみを用いてもよいし、複数種類が複合化した複合塩を担持することもできる。複合塩とすることにより、溶融温度が低下する場合が多い。
【0031】
この複合硝酸塩としては、KNO3-NaNO3, KNO3-Ba(NO3)2, KNO3-Ca(NO3)2,LiNO3-Ca(NO3)2,RbNO3-Ca(NO3)2,RbNO3-Sr(NO3)2, RbNO3-AgNO3,LiNO3-KNO3, LiNO3-AgNO3,KNO3-AgNO3, KNO3-Mg(NO3)2, AgNO3-CsNO3,CsNO3-KNO3, CsNO3-NaNO3, CsNO3-LiNO3, LiNO3-NaNO3,NaNO3-Ca(NO3)2,NaNO3-Mg(NO3)2,AgNO3-KNO3-NaNO3,AgNO3-NaNO3-Ba(NO3)2,KNO3-LiNO3-NaNO3, KNO3-NaNO3-Mg(NO3)2,KNO3-Ba(NO3)2-Ca(NO3)2,KNO3-Ba(NO3)2-Sr(NO3)2,KNO3-Ca(NO3)2-Sr(NO3)2,LiNO3-NaNO3-Ca(NO3)2, NaNO3-Ca(NO3)2-Mg(NO3)2, NaNO3-Ca(NO3)2-Sr(NO3)2,KNO3-NaNO3-Ca(NO3)2-Mg(NO3)2などが好ましい。
【0032】
例示した以外にも、硝酸塩の一部が炭酸塩又はハロゲンに置き換えられているものであってもよい。この場合は、スート浄化成分でありながらスート捕集成分の機能をもつことになる。
【0033】
スート浄化成分としての硝酸塩は、溶融温度が低く分解温度が高いものが望ましい。これにより広い温度範囲及び広い空間速度の排ガス中でPMを効率良く酸化浄化することができる。例えば上記した硝酸塩の中では、硝酸銀又はアルカリ金属の硝酸塩を含むものが好ましく、アルカリ金属の硝酸塩としては例えば LiNO3が好ましい。
【0034】
スート浄化成分の担持量は、固体担体に対して1重量%以上とすることが望ましい。担持量がこれより少ないとPMの浄化が困難となる。またスート浄化成分の担持量が多くなるほどPMの燃焼温度が低くなる傾向にあるが、 120重量%以上担持すると担体上での安定性が不十分となり下流に流されて凝集する場合があるので 120重量%未満とすることが望ましい。
【0035】
なお、スート捕集成分がスート浄化能も備える場合があり、逆にスート浄化成分がスート捕集能も備える場合がある。またスート浄化成分とスート捕集成分とが複合化して複合塩となる場合もあり、この場合、複合塩はスート捕集能とスート浄化能の両方を併せ持つ。本発明は、これらの場合も全て含むものである。
【0036】
少なくともスート捕集成分は、排ガスの温度域に融点をもつものを含むことが望ましく、ディーゼルエンジンなどの圧縮着火式内燃機関からの排ガス中で用いる場合には、平均的な排ガス温度( 300℃)より低い融点をもつものを含むことが望ましい。これにより排ガス温度で確実に溶融し、PMを高効率で捕集することができる。スート浄化成分も排ガスの温度域に融点をもつものを含むことが望ましい。これによりスート浄化成分がスート捕集成分の機能をも兼ねることができる。
【0037】
PM中のスートは 600℃以上で自発酸化することから、少なくともスート捕集成分は、融点が 600℃以下であることが望ましい。このようなスート捕集成分としては、K2CO3-Li2CO3, Li2CO3-Na2CO3, K2CO3-Li2CO3-Na2CO3,AgCl,AgBr,LiBr, KCl-ZrCl4,NaCl-MgCl2,KBr-LiBr,AgBr-KBr, AgBr-RbBr, KCl-MgCl2,AgCl-ZnCl2及びCsCl-ZnCl2などが例示される。また融点が 300℃以下のスート捕集成分としては、 KCl-ZrCl4,AgBr-KBr, AgBr-RbBr,AgCl-ZnCl2及びCsCl-ZnCl2などが例示される。
【0038】
スート捕集成分の分解温度は、スート浄化成分の分解温度より高いことが望ましい。これにより、スート浄化成分が分解したとしても、浄化されなかったスートをスート捕集成分で捕集することが可能となる。そして捕集されたスートは、排ガス中の窒素酸化物と接触することによって酸化することができる。また分解したスート浄化成分は、排ガス中の窒素酸化物と反応することによって回復できるので、回復したスート浄化成分によって捕集されたスートを酸化浄化することも可能である。
【0039】
例えばスート浄化成分に AgNO3又はKNO3が含まれている場合には、これらは 400℃以上で分解することから、スート捕集成分の分解温度はそれ以上であることが望ましい。このようなスート捕集成分としては、 K2CO3,Cs2CO3,Na2CO3,Li2CO3, BaCO3, SrCO3, CaCO3, MgCO3,Y2(CO3)3, La2(CO3)3, Nd2(CO3)3, Pr2(CO3)3,AgCl,AgBr,LiCl,NaCl, KCl,RbCl,CsCl,LiBr,NaBr, KBr,RbBr,CsBr, MgCl2, CaCl2, SrCl2, BaCl2, MgBr2, CaBr2, SrBr2, BaBr2, K2CO3-Li2CO3,Li2CO3-Na2CO3,K2CO3-Li2CO3-Na2CO3,KCl-ZrCl4,NaCl-MgCl2,KBr-LiBr,AgBr-KBr,AgBr-RbBr,KCl-MgCl2,AgCl-ZnCl2,CsCl-ZnCl2などが例示される。
【0040】
また例えばスート浄化成分に LiNO3が含まれている場合には、これは 600℃以上で分解することから、スート捕集成分の分解温度はそれ以上であることが望ましい。このようなスート捕集成分としては、 K2CO3,Cs2CO3,Na2CO3,Li2CO3, BaCO3, SrCO3, CaCO3, MgCO3,Y2(CO3)3, La2(CO3)3, Nd2(CO3)3, Pr2(CO3)3,AgCl,AgBr, MgCl2, CaCl2, SrCl2, BaCl2, MgBr2, CaBr2, SrBr2, BaBr2,K2CO3-Li2CO3, Li2CO3-Na2CO3, K2CO3-Li2CO3-Na2CO3, KCl-ZrCl4,NaCl-MgCl2,KBr-LiBr,AgBr-KBr, AgBr-RbBr, KCl-MgCl2,AgCl-ZnCl2,CsCl-ZnCl2などが例示される。
【0041】
なお本願明細書において、スート浄化成分の分解とは、排ガス中のスート浄化率が10%以下となった状態をいう。またスート浄化成分の分解温度とは、排ガス中に新品の粒子状物質浄化材を30分間保持した場合にスート浄化率が10%以下となる温度をいう。そしてスート捕集成分の分解とは、スート捕集成分にスートが捕集されていない状態において、排ガス中のスートの捕集率が10%以下となった状態をいう。
【0042】
スート捕集成分は、スート浄化成分と複合塩を形成していることも好ましい。排ガス温度で複合塩を形成すれば、複合塩の融点は元のスート捕集成分及びスート浄化成分の融点より低下するので、さらに低温域からスートを捕集できるようになる。なお複合塩は、使用時の排ガス中で形成されてもよいし、本発明の粒子状物質浄化材の製造時に形成してもよい。
【0043】
スート捕集成分は、水に難溶であることが好ましい。このようにすれば、排ガス中の水蒸気によって溶解するのが抑制されるので、安定性が向上する。
【0044】
PM中のスートは 600℃以上で自発酸化することから、スート浄化成分も融点が 600℃以下であることが望ましく、ディーゼルエンジンなどの圧縮着火式内燃機関からの排ガス中で用いる場合には、平均的な排ガス温度( 300℃)より低い融点をもつものを含むことが望ましい。融点が 600℃以下のスート浄化成分としては、KNO3, CsNO3, NaNO3, LiNO3,Ba(NO3)2,Sr(NO3)2,Ca(NO3)2,Mg(NO3)2, AgNO3-CsNO3,CsNO3-KNO3, CsNO3-NaNO3, CsNO3-LiNO3, KNO3-Mg(NO3)2, LiNO3-NaNO3,NaNO3-Ca(NO3)2,NaNO3-Mg(NO3)2,AgNO3-KNO3-NaNO3,AgNO3-NaNO3-Ba(NO3)2,KNO3-LiNO3-NaNO3, KNO3-NaNO3-Mg(NO3)2,KNO3-Ba(NO3)2-Ca(NO3)2,KNO3-Ba(NO3)2-Sr(NO3)2,KNO3-Ca(NO3)2-Sr(NO3)2,LiNO3-NaNO3-Ca(NO3)2, NaNO3-Ca(NO3)2-Mg(NO3)2, NaNO3-Ca(NO3)2-Sr(NO3)2,KNO3-NaNO3-Ca(NO3)2-Mg(NO3)2,AgNO3-Ca(NO3)2,CsNO3-Ba(NO3)2,CsNO3-Ca(NO3)2,KNO3-NaNO3, KNO3-Ba(NO3)2, KNO3-Ca(NO3)2,LiNO3-Ca(NO3)2,RbNO3-Ca(NO3)2,RbNO3-Sr(NO3)2, RbNO3-AgNO3,LiNO3-KNO3, LiNO3-AgNO3,KNO3-AgNO3, KNO3-Mg(NO3)2, KNO3-Sr(NO3)2などが例示される。
【0045】
また融点が 300℃以下のスート浄化成分としては、 NaNO3, LiNO3, AgNO3-CsNO3,CsNO3-KNO3, CsNO3-NaNO3, CsNO3-LiNO3,KNO3-Mg(NO3)2,LiNO3-NaNO3,NaNO3-Ca(NO3)2,NaNO3-Mg(NO3)2,AgNO3-KNO3-NaNO3,AgNO3-NaNO3-Ba(NO3)2,KNO3-LiNO3-NaNO3, KNO3-NaNO3-Mg(NO3)2,KNO3-Ba(NO3)2-Ca(NO3)2,KNO3-Ba(NO3)2-Sr(NO3)2,KNO3-Ca(NO3)2-Sr(NO3)2,LiNO3-NaNO3-Ca(NO3)2, NaNO3-Ca(NO3)2-Mg(NO3)2, NaNO3-Ca(NO3)2-Sr(NO3)2,KNO3-NaNO3-Ca(NO3)2-Mg(NO3)2,AgNO3-Ca(NO3)2,CsNO3-Ca(NO3)2,KNO3-NaNO3, KNO3-Ba(NO3)2, KNO3-Ca(NO3)2,LINO3-Ca(NO3)2,RbNO3-Ca(NO3)2,RbNO3-Sr(NO3)2, RbNO3-AgNO3,LiNO3-KNO3, LiNO3-AgNO3,KNO3-AgNO3, KNO3-Mg(NO3)2, KNO3-Sr(NO3)2などが例示される。
【0046】
本発明の粒子状物質浄化材では、固体担体には、スート浄化成分を安定化する安定化成分がさらに担持されていることが望ましい。安定化成分の作用は、以下のように推定される。安定化成分の融点がスート浄化成分の融点より高い場合には、図2に示すように、安定化成分4が固体状態を維持することでスート浄化成分3の流動を抑制して安定化する。また安定化成分の融点がスート浄化成分の分解温度より低い場合には、図3に示すように安定化成分4がスート浄化成分3を覆って閉空間を形成することで、スート浄化成分3の分解を抑制する。
【0047】
この安定化成分とは、スート浄化成分の耐熱性、耐水性、耐硫黄被毒性、耐蒸発性などを高めるものをいい、各種炭酸塩、各種硫酸塩、各種酸化物、各種ハロゲン化物などがある。中でも、炭酸銀、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、希土類元素の炭酸塩、硫酸銀、アルカリ金属の硫酸塩、アルカリ土類金属の硫酸塩及び希土類元素の硫酸塩から選ばれる少なくとも一種を含むことが望ましい。炭酸塩及び硫酸塩は、一般の内燃機関における通常の排ガス温度に比べて高温まで安定であるからである。なお、スート捕集成分が安定化成分を兼ねる場合がある。また、排ガス中のCO2 、SO2 、SO3 などとスート浄化成分との反応物が安定化成分となる場合もある。
【0048】
この安定化成分としては、 K2CO3,Cs2CO3,Na2CO3,Li2CO3, BaCO3, SrCO3, CaCO3, MgCO3,Y2(CO3)3, La2(CO3)3, Nd2(CO3)3, Pr2(CO3)3,AgCl,AgBr,LiCl,NaCl, KCl,PbCl,CsCl,LiBr,NaBr, KBr,RbBr,CsBr, MgCl2, CaCl2, SrCl2, BaCl2, MgBr2, CaBr2, SrBr2, BaBr2, KCl-ZrCl4,NaCl-MgCl2,KBr-LiBr,AgBr-KBr, AgBr-RbBr, KCl-MgCl2,AgCl-ZnCl2,CsCl-ZnCl2, K2SO4,Cs2SO4,Na2SO4,Li2SO4, BaSO4, SrSO4, CaSO4, MgSO4,Y2(SO4)3, La2(SO4)3, Nd2(SO4)3, Pr2(SO4)3,K2CO3-Na2CO3, K2CO3-BaCO3, K2CO3-CaCO3,Li2CO3-CaCO3,Rb2CO3-CaCO3,Rb2CO3-SrCO3, Rb2CO3-Ag2CO3,Li2CO3-K2CO3, Li2CO3-Ag2CO3,K2CO3-Ag2CO3, K2CO3-MgCO3, K2CO3-SrCO3, Ag2CO3-Cs2CO3,Cs2CO3-K2CO3, Cs2CO3-Na2CO3, Cs2CO3-Li2CO3, K2CO3-MgCO3, Li2CO3-Na2CO3,Na2CO3-CaCO3,Na2CO3-MgCO3, Ag2CO3-K2CO3-Na2CO3, Ag2CO3-Na2CO3-BaCO3, K2CO3-Li2CO3-Na2CO3,K2CO3-Na2CO3-MgCO3, K2CO3-BaCO3-CaCO3, K2CO3-BaCO3-SrCO3, K2CO3-CaCO3-SrCO3, Li2CO3-Na2CO3-CaCO3,Na2CO3-CaCO3-MgCO3,Na2CO3-CaCO3-SrCO3,K2CO3-Na2CO3-CaCO3-MgCO3,K2SO4-Na2SO4, K2SO4-BaSO4, K2SO4-CaSO4,Li2SO4-CaSO4,Rb2SO4-CaSO4,Rb2SO4-SrSO4, Rb2SO4-Ag2SO4,Li2SO4-K2SO4, Li2SO4-Ag2SO4,K2SO4-Ag2SO4, K2SO4-MgSO4, K2SO4-SrSO4, Ag2SO4-Cs2SO4,Cs2SO4-K2SO4, Cs2SO4-Na2SO4, Cs2SO4-Li2SO4, K2SO4-MgSO4, Li2SO4-Na2SO4,Na2SO4-CaSO4,Na2SO4-MgSO4, Ag2SO4-K2SO4-Na2SO4, Ag2SO4-Na2SO4-BaSO4, K2SO4-Li2SO4-Na2SO4,K2SO4-Na2SO4-MgSO4, K2SO4-BaSO4-CaSO4, K2SO4-BaSO4-SrSO4, K2SO4-CaSO4-SrSO4, Li2SO4-Na2SO4-CaSO4,Na2SO4-CaSO4-MgSO4,Na2SO4-CaSO4-SrSO4,K2SO4-Na2SO4-CaSO4-MgSO4, Fe2O3,Fe3O4,FeO,TiO2,Fe−Ti複合酸化物などが例示される。
【0049】
例示した以外にも、炭酸塩又は硫酸塩の一部が硝酸塩に置き換えられているものであってもよい。この場合は、安定化成分でありながらスート浄化成分の機能をもつことになる。また炭酸塩の一部が硫酸塩に、あるいは硫酸塩の一部が炭酸塩に置き換えられたものでもよい。
【0050】
安定化成分の担持量は、固体担体に対して1重量%以上とすることが望ましい。担持量がこれより少ないと安定化が困難となる。また安定化成分の担持量が多くなるほど安定性が向上する傾向にあるが、 120重量%以上担持するとかえってスート浄化機能を阻害するので、 120重量%未満とすることが望ましい。
【0051】
安定化成分の融点は、スート浄化成分の融点より高いことが望ましい。スート浄化成分が溶融して液状化した場合でも安定化成分が固体状態を維持することで流動を抑制でき、安定性が向上する。
【0052】
例えばスート浄化成分に AgNO3が含まれる場合には、その融点は 212℃以下である。上記に例示した安定化成分は、全てこれより融点が高いので用いることが可能である。またスート浄化成分に K2CO3が含まれる場合には、その融点は 339℃以下となるので、上記に例示した安定化成分から、融点が 339℃以下である KCl-ZrCl4,KBr-LiBr,AgBr-KBr, AgBr-RbBr,AgCl-ZnCl2及びCsCl-ZnCl2を除いたものを用いることができる。さらにスート浄化成分に LiNO3が含まれる場合には、その融点は 261℃以下となるので、上記に例示した安定化成分から、融点が 261℃以下である AgBr-RbBr及びAgCl-ZnCl2を除いたものを用いることができる。
【0053】
また安定化成分の融点は、スート浄化成分の分解温度より低いことも好ましい。このようにすれば、スート浄化成分の分解前に安定化成分が溶融することで、スート浄化成分を膜状に覆ってスート浄化成分の周囲に閉空間を形成するため、スート浄化成分の分解を抑制することができる。
【0054】
例えばスート浄化成分に AgNO3又はKNO3が含まれる場合には、その分解温度は約 400℃であることから、融点が 400℃以下である K2CO3-Li2CO3-Na2CO3, KCl-ZrCl4,KBr-LiBr,AgBr-KBr, AgBr-RbBr,AgCl-ZnCl2,CsCl-ZnCl2などを用いることができる。またスート浄化成分に LiNO3が含まれる場合には、その分解温度は約 600℃であることから、融点が 600℃以下である K2CO3-Li2CO3-Na2CO3, KCl-ZrCl4,KBr-LiBr,AgBr-KBr, AgBr-RbBr,AgCl-ZnCl2,CsCl-ZnCl2,AgCl,AgBr,LiBrなどを用いることができる。
【0055】
安定化成分は、スート浄化成分と複合塩を形成していることも好ましい。排ガス温度で複合塩を形成すれば、複合塩の融点は元のスート浄化成分の融点より低下し、複合塩をスート捕集成分としても利用することが可能となるので、さらに低温域からスートを捕集できるようになる。なお複合塩は、使用時の排ガス中で形成されてもよいし、本発明の粒子状物質浄化材の製造時に形成してもよい。
【0056】
このようにスート浄化成分と複合塩を形成した安定化成分としては、K2CO3-Li2CO3, Li2CO3-Na2CO3, K2CO3-Li2CO3-Na2CO3,AgCl,AgBr,LiBr, KCl-ZrCl4,NaCl-MgCl2,KBr-LiBr,AgBr-KBr, AgBr-RbBr, KCl-MgCl2,AgCl-ZnCl2,CsCl-ZnCl2などが例示される。またK2SO4-Li2SO4, Li2SO4-Na2SO4, K2SO4-Li2SO4-Na2SO4などの硫酸塩は、排ガス雰囲気が高温の還元雰囲気となったときに炭酸塩又は硝酸塩に変化する場合があり、この時に複合塩を形成する場合もある。
【0057】
スート捕集成分と同様の理由により、安定化成分も水に難溶であることが好ましい。このような安定化成分としては、 BaSO4を含有する化合物が挙げられる。 BaSO4は水に難溶であるから、例えば固体担体に BaCO3として担持した後に 600℃付近でSO2 又はSO3 で処理することで硫酸塩として担持することができる。また固体担体と BaSO4を含有する化合物をよく混合すれば、安定化成分を含む固体担体とすることができる。
【0058】
排ガス中で粒子状物質浄化材を機能させるには、固体担体上に各成分を担持してペレット化したものを排ガス中に配置してもよいが、排ガスが流通するセル通路をもつ基材に固体担体からなるコート層が形成され、コート層に少なくともスート浄化成分及びスート捕集成分が担持されていることが望ましい。これによりペレットに比べて耐久性が向上する。なおコート層は、一つのあるいは複数のセル通路に形成することができるが、少なくとも最外周のセル通路に形成することが望ましい。スートは最外周のセル通路に堆積しやすいからである。
【0059】
基材は、ペレット、流動床を構成する粒子などとすることも可能であるが、ストレートフロー型ハニカム基材、フォーム基材及びウォールフロー型ハニカム基材から選ばれる一種を用いることが望ましい。これらの基材を用いれば、排気圧損の増大を抑制しつつ粒子状物質浄化材を機能させることができる。ストレートフロー型ハニカム基材は、六角形セル、四角形セル、三角形セルなどをもつものを用いることができ、コージェライト、 SiCなどのセラミックス製、金属箔製などのものを用いることができる。フォーム基材は発泡セラミックス、金属フォームなどを用いることができる。またウォールフロー型ハニカム基材は、従来のDPFを用いることができる。この基材は、熱容量及びコストの観点からはコージェライトなど、耐熱性の観点からは SiCなどの、耐熱性セラミックス製のものが特に好ましい。
【0060】
コート層は、基材容積1リットルあたり50〜 200gのコート量とすることが好ましい。50g未満では各成分の量が不足し、 200gを超えると排気圧損が増大するようになる。
【0061】
固体担体は、塩基性担体を含むことが好ましい。スート浄化成分は、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属などの塩基性成分を活性点としていることから、固体担体に塩基性担体を含むことで、スート浄化成分と固体担体との反応による劣化を抑制することができる。またスート捕集成分あるいは安定化成分としても塩基性成分を用いる場合があり、この場合にも固体担体との反応による劣化を抑制することができる。
【0062】
塩基性担体としては、マグネシアスピネルあるいはジルコニアが好ましい。中でも比表面積の大きなマグネシアスピネルが特に好ましい。
【0063】
本発明の粒子状物質浄化材は、粒子状物質の浄化を促進する浄化促進成分をさらに含むことが望ましい。この浄化促進成分とは、スート浄化成分によるスート酸化反応を直接的に促進し、あるいはPM中の SOF成分を酸化浄化するものをいう。PM中の SOF成分を浄化すれば、スート浄化成分によるスート酸化反応が間接的に促進されることになる。浄化促進成分としては、貴金属、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、又はこれらの複合塩を用いることができる。また前述の安定化成分が浄化促進成分を兼ねてもよく、固体担体の一部又は全部が浄化促進成分を兼ねる場合もある。
【0064】
浄化促進成分は、Pt、Rh、Pd、Irなどから選ばれる貴金属であることが望ましい。貴金属は、それ自体ではスート浄化能は有さないが、スート浄化成分と共存することでスート浄化成分の浄化活性を高める機能をもつ。また貴金属は SOFの酸化能に優れているので、PMから SOFが除去されることでスート浄化成分によるスートの酸化が促進される。
【0065】
また浄化促進成分は、酸化物とすることもできる。この酸化物としては、セリア−ジルコニア複合酸化物,酸化鉄,チタニア,酸化鉄−チタニア複合酸化物,などが例示される。このような酸化物は、それ自体ではスート浄化能は有さないが、スート浄化成分と共存してスート浄化成分の浄化活性を高める機能をもつ。またこれらの酸化物は SOFの酸化能を有しているので、PMから SOFが除去されることでスート浄化成分によるスートの酸化が促進される。例えばセリア−ジルコニア複合酸化物の場合は、酸素吸蔵放出能を有することで、スートや SOFの酸化が促進されると考えられる。
【0066】
また浄化促進成分として、 K2CO3,Cs2CO3,Na2CO3,Li2CO3, BaCO3, SrCO3, CaCO3, MgCO3,Y2(CO3)3, La2(CO3)3, Nd2(CO3)3, Pr2(CO3)3,K2CO3-Na2CO3, K2CO3-BaCO3, K2CO3-CaCO3,Li2CO3-CaCO3,Rb2CO3-CaCO3,Rb2CO3-SrCO3, Rb2CO3-Ag2CO3,Li2CO3-K2CO3, Li2CO3-Ag2CO3,K2CO3-Ag2CO3, K2CO3-MgCO3, K2CO3-SrCO3, Ag2CO3-Cs2CO3,Cs2CO3-K2CO3, Cs2CO3-Na2CO3, Cs2CO3-Li2CO3, K2CO3-MgCO3, Li2CO3-Na2CO3,Na2CO3-CaCO3,Na2CO3-MgCO3, Ag2CO3-K2CO3-Na2CO3, Ag2CO3-Na2CO3-BaCO3, K2CO3-Li2CO3-Na2CO3,K2CO3-Na2CO3-MgCO3, K2CO3-BaCO3-CaCO3, K2CO3-BaCO3-SrCO3, K2CO3-CaCO3-SrCO3, Li2CO3-Na2CO3-CaCO3,Na2CO3-CaCO3-MgCO3,Na2CO3-CaCO3-SrCO3,K2CO3-Na2CO3-CaCO3-MgCO3,などの炭酸塩、
K2SO4,Cs2SO4,Na2SO4,Li2SO4, BaSO4, SrSO4, CaSO4, MgSO4,Y2(SO4)3, La2(SO4)3, Nd2(SO4)3, Pr2(SO4)3,K2SO4-Na2SO4, K2SO4-BaSO4, K2SO4-CaSO4,Li2SO4-CaSO4,Rb2SO4-CaSO4,Rb2SO4-SrSO4, Rb2SO4-Ag2SO4,Li2SO4-K2SO4, Li2SO4-Ag2SO4,K2SO4-Ag2SO4, K2SO4-MgSO4, K2SO4-SrSO4, Ag2SO4-Cs2SO4,Cs2SO4-K2SO4, Cs2SO4-Na2SO4, Cs2SO4-Li2SO4, K2SO4-MgSO4, Li2SO4-Na2SO4,Na2SO4-CaSO4,Na2SO4-MgSO4, Ag2SO4-K2SO4-Na2SO4, Ag2SO4-Na2SO4-BaSO4, K2SO4-Li2SO4-Na2SO4,K2SO4-Na2SO4-MgSO4, K2SO4-BaSO4-CaSO4, K2SO4-BaSO4-SrSO4, K2SO4-CaSO4-SrSO4, Li2SO4-Na2SO4-CaSO4,Na2SO4-CaSO4-MgSO4,Na2SO4-CaSO4-SrSO4,K2SO4-Na2SO4-CaSO4-MgSO4などの硫酸塩を用いることもできる。
【0067】
例示した以外にも、炭酸塩の一部が硫酸塩に、あるいは硫酸塩の一部が炭酸塩に置き換えられたものでもよい。なお炭酸塩の場合には、浄化促進成分がスート捕集成分を兼ねる場合もある。
【0068】
貴金属は、固体担体に担持することが好ましい。このようにすることで貴金属が安定して存在し、固体担体及びスート浄化成分との相乗効果によってスートをより効率良く浄化することができる。
【0069】
酸化物の場合は、固体担体に担持してもよいし、固体担体の一部を構成することもできる。また、貴金属及び酸化物の両方を浄化促進成分として用いることも好ましい。この場合、貴金属を酸化物に担持すれば、両者の相乗効果によってスートをより効率良く浄化することができる。また酸化物がセリア−ジルコニア複合酸化物である場合には、担持された貴金属の安定性が向上するとともに、貴金属の担持によって酸素吸蔵放出能が向上するという効果も発現される。
【0070】
本発明の粒子状物質浄化材の製造方法では、スート浄化成分の水溶液とスート捕集成分の水溶液とを固体担体に含浸させ、その後水分を蒸発させている。この方法によれば、含浸担持法であるので、スート浄化成分及びスート捕集成分とが固体担体に均一に担持される。含浸担持法としては、例えば固体担体粉末をスート浄化成分及びスート捕集成分の水溶液と混合し蒸発乾固する方法、固体担体からなるコート層にスート浄化成分及びスート捕集成分の水溶液をコート層の吸水量に相当する分だけ吸水させ乾燥する方法などがある。1回の吸水操作だけでは担持量に不足する場合は、吸水と乾燥を複数回行うこともできる。
【0071】
なお本発明の製造方法において、水溶液として供給されるスート浄化成分及びスート捕集成分としては、排ガス中での使用時などにおける反応によってスート浄化成分あるいはスート捕集成分となる化合物の水溶液を用いることもできる。例えば硝酸塩として担持しても、乾燥時あるいは排ガス中では炭酸塩あるいは硫酸塩などになる場合があり、炭酸塩として担持しても反応によって硝酸塩、硫酸塩などになる場合があり、ハロゲン化物として担持しても反応によって炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩などになる場合がある。
【実施例】
【0072】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【0073】
(実施例1)
ストレートフロー形状のコージェライト製ハニカム基材を用意し、マグネシアスピネル粉末をウェットコートしてコート層を形成した。コート量はハニカム基材1リットルに対して 100gとした。次いで所定濃度の LiNO3水溶液の所定量をコート層に含浸させ、それを乾燥した。
【0074】
次いで所定濃度の酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウムの混合水溶液の所定量をコート層に含浸させ、それを乾燥した後炭酸ガスで処理して、本実施例の触媒を調製した。スート浄化成分であるLiNO3の担持量は基材1リットルに対して 0.3モルであり、スート捕集成分である複合塩 K2CO3-Li2CO3-Na2CO3の担持量は、基材1リットルに対して全アルカリ金属として 0.1モルである。なお複合塩 K2CO3-Li2CO3-Na2CO3中の組成割合は、モル比でK:Li:Na=7:7:6である。
【0075】
(実施例2)
スート捕集成分として、Li2CO3を基材1リットルに対してLiとして 0.1モル担持したこと以外は実施例1と同様である。
【0076】
(実施例3)
スート捕集成分として、AgBr-KBrを基材1リットルに対してAgとKの合計で 0.1モル担持したこと以外は実施例1と同様である。なおAgBr-KBrを担持するには、AgBr及び KBrの混合水溶液を用いて担持した後、乾燥処理することで行った。
【0077】
(実施例4)
スート捕集成分として、 AgBr-RbBrを基材1リットルに対してAgとRbの合計で 0.1モル担持したこと以外は実施例1と同様である。なお AgBr-RbBrを担持するには、AgBr及びRbBrの混合水溶液を用いて担持した後、乾燥処理することで行った。
【0078】
(実施例5)
スート浄化成分として、LiNO3-KNO3を基材1リットルに対してLiとKの合計で 0.3モル担持したこと、スート捕集成分として、Li2CO3を基材1リットルに対してLiとして 0.1モル担持したこと以外は実施例1と同様である。なおLiNO3-KNO3を担持するには、硝酸リチウムと硝酸カリウムの混合水溶液を用いた。
【0079】
(実施例6)
スート浄化成分として、 LiNO3-NaNO3を基材1リットルに対してLiとNaの合計で 0.3モル担持したこと以外は実施例1と同様である。なお LiNO3-NaNO3を担持するには、硝酸リチウムと硝酸ナトリウムの混合水溶液を用いた。
【0080】
(実施例7)
スート浄化成分として、 AgNO3を基材1リットルに対してAgとして 0.1モル担持したこと、スート捕集成分として、AgBr-KBrを基材1リットルに対してAgとKの合計で 0.1モル担持したこと以外は実施例1と同様である。なお AgNO3は硝酸銀水溶液を用いて担持し、AgBr-KBrを担持するには、AgBr及び KBrの混合水溶液を用いて担持した後、乾燥処理することで行った。
【0081】
(実施例8)
スート浄化成分として、 AgNO3を基材1リットルに対してAgとして 0.1モル担持したこと、スート捕集成分として、 AgBr-RbBrを基材1リットルに対してAgとRbの合計で 0.1モル担持したこと以外は実施例1と同様である。なお AgNO3は硝酸銀水溶液を用いて担持し、 AgBr-RbBrを担持するには、AgBr及びRbBrの混合水溶液を用いて担持した後、乾燥処理することで行った。
【0082】
(比較例1)
スート捕集成分を担持しなかったこと以外は実施例1と同様である。
【0083】
(比較例2)
スート浄化成分として、LiNO3-KNO3を基材1リットルに対してLiとKの合計で 0.3モル担持したこと、及びスート捕集成分を担持しなかったこと以外は実施例1と同様である。なおLiNO3-KNO3を担持するには、硝酸リチウムと硝酸カリウムの混合水溶液を用いた。
【0084】
(比較例3)
スート浄化成分として、 LiNO3-NaNO3を基材1リットルに対してLiとNaの合計で 0.3モル担持したこと、及びスート捕集成分を担持しなかったこと以外は実施例1と同様である。なお LiNO3-NaNO3を担持するには、硝酸リチウムと硝酸ナトリウムの混合水溶液を用いた。
【0085】
(比較例4)
スート浄化成分として、 AgNO3を基材1リットルに対してAgとして 0.1モル担持したこと、及びスート捕集成分を担持しなかったこと以外は実施例1と同様である。なお AgNO3は、硝酸銀水溶液を用いて担持した。
【0086】
<試験例1>
上記した各実施例及び各比較例の粒子状物質浄化材を、特願2004−020374号に記載の触媒評価装置にそれぞれ配置し、O2を10%含むドライエアを流量30L/分の条件で連続的に供給しながら、気流中にカーボンを約 0.2g/hrの割合で投入し、温度を20℃/分の速度で昇温した。そして粒子状物質浄化材からの出ガスを1050℃の定量炉に導入し、出ガス中のカーボンを燃焼させ、CO2 計でその濃度を測定することによって、粒子状物質浄化材にてカーボンが捕集され始める温度をそれぞれ測定した。結果をスート捕集開始温度として表1に示す。
【0087】
【表1】

【0088】
表1より、各実施例の粒子状物質浄化材は、対応する比較例の粒子状物質浄化材に比べて低温域からカーボンが捕集されていることがわかる。これは、スート浄化成分に加えてスート捕集成分をさらに担持した効果であることが明らかである。
【0089】
以下の実施例は、コート層を形成せず、粉末状の粒子状物質浄化材を用いている。
【0090】
(実施例9)
マグネシアスピネル粉末に対して、安定化成分としてLi2SO4を基材1リットルに対しLiとして 0.1モル担持したこと以外は実施例2と同様である。なおLi2SO4は、硫酸リチウム水溶液を用いて担持した。
【0091】
(実施例10)
マグネシアスピネル粉末に対して、安定化成分として BaSO4を基材1リットルに対しBaとして 0.1モル担持したこと以外は実施例2と同様である。なお BaSO4の担持は、 BaCO3水溶液を用いて担持した後、 SO2又は SO3処理することで行った。
【0092】
(実施例11)
マグネシアスピネル粉末に対して、安定化成分としてAgClを基材1リットルに対しAgとして 0.1モル担持したこと以外は実施例2と同様である。なおAgClの担持は、 AgNO3水溶液にマグネシアスピネル粉末を混合して撹拌しながら HClを加え、それを蒸発乾固することで行った。
【0093】
(実施例12)
マグネシアスピネル粉末に対して、安定化成分としてLi2CO3を基材1リットルに対しLiとして 0.1モル担持したこと以外は実施例1と同様である。なおLi2CO3の担持は、Li2CO3水溶液を用いて担持した後、乾燥処理することで行った。
【0094】
(実施例13)
マグネシアスピネル粉末に対して、安定化成分としてLi2SO4を基材1リットルに対しLiとして 0.1モル担持したこと以外は実施例1と同様である。なおLi2SO4は、硫酸リチウム水溶液を用いて担持した。
【0095】
(実施例14)
マグネシアスピネル粉末に対して、安定化成分として BaSO4を基材1リットルに対しBaとして 0.1モル担持したこと以外は実施例1と同様である。なお BaSO4の担持は、 BaCO3水溶液を用いて担持した後、 SO2又は SO3処理することで行った。
【0096】
(実施例15)
マグネシアスピネル粉末に対して、安定化成分としてAgClを基材1リットルに対しAgとして 0.1モル担持したこと以外は実施例1と同様である。なおAgClの担持は、 AgNO3水溶液にマグネシアスピネル粉末を混合して撹拌しながら HClを加え、それを蒸発乾固することで行った。
【0097】
<試験例2>
実施例9〜15及び同様に調製された実施例1〜2の粒子状物質浄化材粉末について、O2を10%と水蒸気とを含むエア中にて 400℃で5時間保持する耐久処理を行った。次に、耐久処理前後の各粉末にカーボンを重量比で10:1となるようにそれぞれ混合し、熱重量分析計に封入して20℃/分で昇温した。そしてカーボンの酸化によって生成するCO2 の生成パターンを測定し、耐久処理前後におけるCO2 生成ピーク温度の差をそれぞれ評価した。結果を表2に示す。
【0098】
【表2】

【0099】
CO2 生成ピーク温度は、耐久処理時における劣化(触媒成分の流動・凝集など)によって、耐久処理前より耐久処理後の方が高くなる。しかし表2より、実施例2及び実施例1に比べて対応する実施例9〜11、実施例12〜15の粒子状物質浄化材の方が温度差が10〜30℃小さくなっていることがわかり、安定化成分をさらに担持したことで触媒成分が安定化され劣化が抑制されたことが明らかである。また、水に難溶の安定化成分ほど温度差が高く、より安定化されていることもわかる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の粒子状物質浄化材は、ディーゼルエンジンなどの圧縮着火式内燃機関からの排ガスなど、スートを主とするPMを含む排ガスを浄化するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の粒子状物質浄化材の作用を示す模式的な説明図である。
【図2】安定化成分の作用を示す模式的な説明図である。
【図3】安定化成分の作用を示す模式的な説明図である。
【符号の説明】
【0102】
1:固体担体 2:スート捕集成分 3:スート浄化成分 4:安定化成分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スートを含有する粒子状物質を含む排ガス中の該粒子状物質を除去する粒子状物質浄化材であって、
固体担体と、
炭酸銀、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、希土類元素の炭酸塩、ハロゲン化銀、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物から選ばれる少なくとも一種及び/又はこれらから選ばれる複数種が複合化した複合塩を含み、該固体担体に担持されたスート捕集成分と、
硝酸銀、アルカリ金属の硝酸塩、アルカリ土類金属の硝酸塩及び希土類元素の硝酸塩から選ばれる少なくとも一種及び/又はこれらから選ばれる複数種が複合化した複合硝酸塩を含み、該固体担体に担持されたスート浄化成分と、からなることを特徴とする粒子状物質浄化材。
【請求項2】
少なくとも前記スート捕集成分は、前記排ガスの温度域に融点をもつものを含む請求項1に記載の粒子状物質浄化材。
【請求項3】
前記スート捕集成分の分解温度は、前記スート浄化成分の分解温度より高い請求項1又は請求項2に記載の粒子状物質浄化材。
【請求項4】
前記固体担体には、前記スート浄化成分を安定化する安定化成分がさらに担持されている請求項1〜3のいずれかに記載の粒子状物質浄化材。
【請求項5】
前記安定化成分の融点は前記スート浄化成分の融点より高い請求項4に記載の粒子状物質浄化材。
【請求項6】
前記安定化成分の融点は、前記スート浄化成分の分解温度より低い請求項4又は請求項5に記載の粒子状物質浄化材。
【請求項7】
前記安定化成分は水に難溶である請求項4〜6のいずれかに記載の粒子状物質浄化材。
【請求項8】
前記安定化成分は、炭酸銀、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、希土類元素の炭酸塩、硫酸銀、アルカリ金属の硫酸塩、アルカリ土類金属の硫酸塩及び希土類元素の硫酸塩から選ばれる少なくとも一種を含む請求項4に記載の粒子状物質浄化材。
【請求項9】
前記排ガスが流通するセル通路をもつ基材に前記固体担体からなるコート層が形成され、該コート層に少なくとも前記スート浄化成分及び前記スート捕集成分が担持されている請求項1〜8のいずれかに記載の粒子状物質浄化材。
【請求項10】
前記固体担体は塩基性担体を含む請求項1〜9のいずれかに記載の粒子状物質浄化材。
【請求項11】
前記塩基性担体はマグネシアスピネル又はジルコニアである請求項10に記載の粒子状物質浄化材。
【請求項12】
粒子状物質の浄化を促進する浄化促進成分をさらに含む請求項1〜12のいずれかに記載の粒子状物質浄化材。
【請求項13】
前記浄化促進成分は貴金属及び酸化物から選ばれる少なくとも一種である請求項12に記載の粒子状物質浄化材。
【請求項14】
請求項1〜13に記載の粒子状物質浄化材の製造方法であって、前記スート浄化成分の水溶液と前記スート捕集成分の水溶液とを前記固体担体に含浸させ、その後水分を蒸発させることを特徴とする粒子状物質浄化材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−21108(P2006−21108A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200852(P2004−200852)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】