説明

粒子生成用の連続式乳化凝集プロセス

【課題】乳化剤凝集法により粒子を連続的に製造するプロセス及びシステムを提供する。
【解決手段】内部に回転翼撹拌機を有する複数の撹拌タンク反応器を直列に接続した連続式撹拌タンク反応器システム100において、トナー原料を含む乳化物を第1の反応器10に供給し、第1の反応器及び第2の反応器20で凝集プロセスを行い、第3の反応器30で外殻付加プロセスを行い、第4の反応器40で凍結プロセスを行い、第5の反応器50でキレート化プロセスを行い、第6の反応器60で昇温プロセスを行い、第7の反応器で癒合プロセスを行うことにより、製品トナー粒子のスラリーを製造する、粒子の連続的製造プロセス及びシステム。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
連続式乳化剤凝集プロセスとシステムは、原材料用の原料タンクと、凝集工程を進める第1の反応器と第2の反応器と、外殻追加工程を進める第3の反応器と、冷凍工程を進める第4の反応器と、キレート化を進める第5の反応器と、昇温工程を進める第6の反応器と、癒合工程を進める第7の反応器とを含む。第1と第2と第3と第4と第5と第6と第7の反応器は、直列構成において逐次組み立てられ、各反応器は機械式撹拌機を用いて稼働させる。
【0002】
本開示の様々な実施形態を、図面を参照してここで下記に説明することにする。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1】本開示の第1実施形態になる7個の反応器を有する連続乳化凝集(EA)システムの概略を示す図である。
【図2A】図2Aは図1の複数のEA工程で得られる定常状態の粒子寸法分布を概略示する。
【図2B】図2Bは図1の複数のEA工程で得られる定常状態の粒子寸法分布を概略示する。
【図2C】図2Cは図1の複数のEA工程で得られる定常状態の粒子寸法分布を概略示する。
【図2D】図2Dは図1の複数のEA工程で得られる定常状態の粒子寸法分布を概略示する。
【図2E】図2Eは図1の複数のEA工程で得られる定常状態の粒子寸法分布を概略示する。
【図2F】図2Fは図1の複数のEA工程で得られる定常状態の粒子寸法分布を概略示する。
【図2G】図2Gは図1の複数のEA工程で得られる定常状態の粒子寸法分布を概略示する。
【図2H】図2Hは本開示の第1の実施形態によるEAの比較用バッチ版での最終的な粒子寸法分布である。
【図3】本開示の第2の実施形態に従い5個の反応器を有する連続式乳化剤凝集(EA)システムの概略を示す図である。
【図4A】図4Aは図3の複数のEA工程で得られる定常状態の粒子寸法分布を概略示する。
【図4B】図4Bは図3の複数のEA工程で得られる定常状態の粒子寸法分布を概略示する。
【図4C】図4Cは図3の複数のEA工程で得られる定常状態の粒子寸法分布を概略示する。
【図4D】図4Dは図3の複数のEA工程で得られる定常状態の粒子寸法分布を概略示する。
【図4E】図4Eは図3の複数のEA工程で得られる定常状態の粒子寸法分布を概略示する。
【図4F】図4Fは本開示の第2の実施形態によるEAの比較用バッチ版についての最終的な粒子寸法分布である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
乳化剤凝集(EA)トナー粒子の連続的な製造用のプロセス、処方、機械式機器構成は、0.1g/L/時〜500g/L/時、0.2g/L/時〜400g/L/時、160g/L/時の空時収量を有する。空時収量は、総反応器容積内での総滞留時間ごとの使用する総反応器容積ごとに形成された製品Pの量を表わす。空時収量の割り出しには、下記の公式が適用される。σ=m/Vt、ただしmは乾燥トナー(製品)の質量であり、Vは反応器総計容積であり、tは反応器総計滞留時間である。この空時収量は、9g/L/時の空時収量を有する現行のEAプロセスに対し約1800%の改善である。後継EAプラント設計には、市販の現行のものよりも実質小型の反応器を持たせることができる。本プロセスは、そのより小型の規模に起因し、その運転にずっと低い労力が必要であり、かくしてEAトナー粒子の製造に関連する間接費を低減することになる。このことは、最終的にはトナー経費の低減につながる。
【0005】
一連の連続式撹拌タンク反応器(CSTR)は、EAプロセスの様々な工程を請け負うものである。各反応器は特定の条件集合下で稼働させるよう設定し、粒子寸法と粒子寸法分布と円形度とこれらのトナー粒子の獲得に関連するこの種の他の要因に対し所望の効果を達成する。高処理能力EAにおける最近の進歩にこの設定を組み合わせ、塩基に代えて苛性緩衝剤を使用する等、EAプロセスの速度を増大させるようにした。
【0006】
250mL〜500mLの丸底フラスコを含むCSTRシステムを配設し、ここではそれぞれに頂部撹拌機と回転翼とホットプレート式槽温度制御を装備させた。個別反応器として機能するこれら個別のフラスコは、それぞれ20分から下は1分までの各反応器における滞留時間でもって癒合最終トナースラリーの10グラム/分〜200グラム/分を連続的に作成することが可能である。下記は、最終的なトナー目標を達成するのに必要なEAトナー工程の全てを達成した例示的な実施形態である。両実施例は、40g/分のトナースラリーを生成し、反応器ごとに5分または10分の滞留時間を有する。実施形態における反応器の大きさは、実験期間中に必要とされる原材料の量を低減するよう選択し、一方で本開示の標本採取と実証を可能にするよう十分大型としてある。必要な液体混合特性と温度範囲が粒子の成長と粒子寸法分布に所望されるものに近づけて維持できる限り、より大型の反応器を用いることができる。このプロセスは、混合および温度要件に合致する限り、大きさを制限されることはない。
【0007】
第1の実施形態では、それぞれ半月形回転翼を有する頂部撹拌機を装備した7個の丸底フラスコ反応器を直列接続し、図1に示すCSTRシステムを形成している。CSTRシステム100は、第1の反応器10と、第2の反応器20と、第3の反応器30と、第4の反応器40と、第5の反応器50と、第6の反応器60と、第7の反応器70とを有する。第1の反応器10内に給送される材料に対し、均質化プロセス12を行なう。材料14は、少なくとも、表面活性剤と顔料とワックスと着色剤とを有する中核乳化剤とすることができる。
【0008】
第1の反応器10と第2の反応器20は、凝集プロセスを行なう。第3の反応器30は、外殻付加プロセスを行なう。第4の反応器40は、冷凍プロセスを行なう。第5の反応器50は、キレート化プロセスを行なう。第6の反応器60は昇温プロセスを行ない、対して第7の反応器70は凝結プロセスを行なう。各反応器10〜70間にマルチチャネル蠕動ポンプ102を用い、トレイン100を介して材料14とスラリーを流す。
【0009】
第3の反応器30内に外殻乳化剤22を連続的あるいは定期的にポンプ給送し、第4の反応器40内に塩基32を連続的あるいは定期的にポンプ給送し、第5の反応器50内にキレート剤42を連続的あるいは定期的にポンプ給送し、第7の反応器内に緩衝剤62を連続的あるいは定期的にポンプ給送する。このプロセスの結果とし、トナー粒子80が第7の反応器70から放出される。
【0010】
各反応器10〜70は温度制御槽内に浸漬させ、反応器10〜70内でのトナースラリーの温度を制御する。二重壁反応器や抵抗性加熱もまた、所望温度を達成する加熱と冷却用に用いることができる。反応器10〜70内のスラリーは、複数チャネル蠕動ポンプを用いて反応器10〜70内外にポンプ給送する。外殻乳化剤22は蠕動ポンプを用いて反応器30内にポンプ給送するのに対し、塩基32やキレート剤42や緩衝剤62は様々なEAプロセス工程を達成すべく必要に応じて個々の反応器内にポンプ給送する。
【0011】
第1の反応器10と第2の反応器20には、180グラムの均質化スラリーを装填することができる。第3の反応器30には、240グラムの均質化スラリーを充填することができる。第4の反応器40と第5の反応器50は空から始まり、連続的な原料がこれを一度充填することで充填される。第6の反応器60には180グラムのDIWを充填することができ、第7の反応器70には240グラムのDIWを充填することができる。加えて、均質化スラリーであろうとDIWであろうと材料を事前に充填した反応器は、pH調整の有無によらず、毛房状塊とは無縁のスラリーを充填することもできる。第6の反応器60と第7の反応器70は共に外部浴槽により加熱され、所望の反応器温度を獲得する。残留する均質化スラリーは、頂部撹拌機と3枚の回転翼を用いて室温にて連続的に混合する。スラリーは、連続的な原料スラリーとして使用する。
【0012】
第1の反応器10と第2の反応器20と第3の反応器30は、所望の反応器温度に加熱する。これら反応器10、20、30のそれぞれにおいて安定な粒子寸法が達成されると、CSTRシステム100内に均質化スラリーを連続的にポンプ給送する。
【0013】
凝集工程(第1の反応器10と第2の反応器20における)後に得られる粒子寸法の追尾記録は、図2(a)(210)と図2(b)(220)に示すように、それぞれ5分後と10分後に定常状態に達する。外殻付加(第3の反応器30内)後に得られる粒子寸法の追尾記録は、図2(c)(230)に示すように20分後に定常状態に達する。
【0014】
第4の反応器40が充填されると、第4の反応器40内に塩基32を連続的にポンプ給送する。第5の反応器50が充填されると、キレート剤42を第5の反応器50内に連続的にポンプ給送する。図2(d)(240)と図2e(250)に示すように、粒子は10分で凍結させることができる。
【0015】
プロセスは第6の反応器60に進み、ここで反応器60内のスラリーは反応器温度が70℃に保たれているために瞬時温度上昇にさらされる。第6の反応器60からの粒子寸法分布が、図2(f)(260)に示されている。第7の反応器70が充填されると、緩衝剤62を第7の反応器70内に連続的にポンプ給送する。第7の反応器70では、粒子をそこで85℃の反応器温度で癒合させる。
【0016】
第7の反応器70から得られるトナー製品は、DIW角氷を充填されたビーカー内で製品を撹拌することで急冷される。45分後、CSTRシステム100の終端で得られる粒子寸法分布は、図2(g)(270)に示すように、定常状態に達する。これは、その工程についての時刻ゼロを示す。これは、プロセスがその連続的な定常状態の性能に移行した時点である。図2(g)(270)と図2(h)(280)に示すように、EAプロセス完了後の定常状態の粒子寸法分布と円形度はバッチプロセスで達成されるものに比肩しうる。
【0017】
トナー粒子寸法の分布は、7個の反応器10〜70全てにおいて監視される。粒子寸法分布は、CSTRシステム100へのスラリーのポンプ給送開始後それぞれ5分、10分、20分、25分、30分、35分、45分で反応器10〜70内で定常状態に達する。プロセスの終端で得られる定常状態の粒子寸法分布が、図2A〜図2G(200〜280)に示してある。スラリーのpHは、第4と第5と第6と第7の反応器(40〜70)内で監視される。かくして、このプロセスを用いることで、トナースラリーは40mL/分で連続的に生成される。
【0018】
図3に示す第2の実施形態では、それぞれ半月形回転翼を有する頂部撹拌機を備える5個の丸底フラスコ反応器が直列接続され、第1の反応器310と第2の反応器320と第3の反応器330と第4の反応器340と第5の反応器350とを有するCSTRシステム300を形成している。第1の反応器310内に供給される材料316について、均質化プロセス314を行なう。材料316は、少なくとも、表面活性剤と顔料とワックスと着色剤等を有する中核乳化剤とすることができる。
【0019】
第1の反応器310は、凝集プロセスを行なう。第2の反応器320は、外殻付加プロセスを行なう。第3の反応器330は、凍結およびキレート化プロセスを行なう。第4の反応器340は昇温プロセスを行ない、これに対し第5の反応器350は癒合プロセスを行なう。各反応器310〜350間にマルチチャネル蠕動ポンプ302を用い、トレイン300を介して材料316とスラリーとをポンプ給送する。
【0020】
各反応器310〜350は、外部流体ジャケットあるいは電気加熱器のいずれかを介して加熱する。別の選択肢として、外板と管式熱交換器を介して段間加熱を行なうことができる。反応器310〜350内のスラリーは、マルチチャネル蠕動ポンプ302を用いて反応器310〜350内外に給送する。外殻乳化剤312は蠕動ポンプを用いて第2の反応器320内にポンプ給送するのに対し、キレート剤322と緩衝剤342は様々なEAプロセス工程を達成すべく必要に応じて容積移送式ポンプを用いて個々の反応器内にポンプ給送する。
【0021】
このプロセスは、前記した第1の実施形態と同じ処方とプロセスに従いスラリーの均質化314により開始される。第1の反応器310は、180グラムの均質化スラリーを充填することができる。第2の反応器320は、240グラムの均質化スラリーを充填することができる。第3の反応器330は空で始まり、連続的な原料が一度これを充填することで充填される。第4の反応器340は、180グラムのDIWを充填することができ、第5の反応器350は240グラムのDIWを充填することができる。
【0022】
第1の反応器310と第2の反応器320は、共に所望の反応器温度まで加熱する。第2の反応器320には、外殻乳化剤312を連続的にポンプ給送する。第1の反応器310と第2の反応器320内で安定な粒子寸法が達成されると、少なくとも1個の反応器内の均質化スラリーがCSTRシステム300内に連続的にポンプ給送される。凝集工程(第1の反応器310内)後に得られる粒子寸法分布は、図4(a)(410)に示すように、5分後に定常状態に達する。外殻付加(第2の反応器320内)後に得られる粒子寸法分布は、図4(b)(420)に示すように15分後に定常状態に達する。
【0023】
外殻付加工程に続き、粒子凝集には第3の反応器330での凍結およびキレート化工程が続く。第3の反応器330は、所望の反応器温度まで加熱する。第3の反応器330が充填されると、この第3の反応器330内にキレート剤322を連続的にポンプ給送する。図4(c)(430)に見てとれるように、粒子は5分で凍結する。
【0024】
プロセスはそこで第4の反応器340に進み、ここでスラリーは外部浴槽により瞬時加熱される。図4(d)(440)は、第4の反応器340から得られる定常状態の粒子寸法分布を示す。
【0025】
第5の反応器350が充填されると、この第5の反応器350内に緩衝剤342を連続的にポンプ給送する。第5の反応器350では、粒子はそこで85℃の反応器温度で癒合され、一方でpHは緩衝剤342の添加でもって6未満に維持される。第5の反応器350内の流出圧送管路からトナー製品が得られ、DIW角氷でもって充たされたビーカー内で製品を撹拌することで急冷される。
【0026】
その結果、35分後に、CSTRシステム300の終端で得られる粒子寸法の追尾記録は図4(e)(450)に示すように定常状態に達する。前述の第1の実施形態と同様、これはプロセスがその連続的な定常状態運転に移行した時点を表わす。
【0027】
図4(e)(450)と図4(f)(460)に示すように、EAプロセス完了後の定常状態粒子寸法分布と円形度はパッチプロセスにて達成されるものに比肩するものである。かくして、再度、癒合トナー粒子は40mL/分でこの連続的なプロセスを用いて生成される。
【0028】
粒子寸法の分布は、各反応器310〜350内で監視される。粒子寸法分布は、CSTRシステム300内にスラリーをポンプ給送開始した後、5分、15分、20分、25分、35分で反応器310〜350内で定常状態を達成する。プロセスの終端で得られる定常状態の粒子寸法分布が、図4A〜図4E(410〜460)に示してある。第1の反応器310と第2の反応器320内での混合速度は、スラリーがCSTRシステム300内にポンプ給送を開始した後は増大させないが、図4A〜図4E(410〜460)に示すように、トナー粒子360内への原料スラリーの組み入れに対し著しい悪影響を示すものではない。
【0029】
スラリーのpHは、第3と第4と第5の反応器330〜350内で監視される。トナー製品の円形度は、図4(e)(450)に示すように監視される。CSTRシステム300内へのスラリーのポンプ給送開始後90分で、原料スラリーと外殻乳化剤312とキレート剤322の全消費のためにプロセスは停止する。
【0030】
従って、凝集工程は1個の反応器内によって5分で達成され、凍結工程とキレート工程は粒子寸法分布に負の影響を及ぼすことなく1個の反応器内で複合される。第2の実施形態は、連続的な構成は7−CSTRシステム100(図1参照)から5−CSTRシステム300(図3参照)に簡略化できることを示す。
【0031】
下記は、第1の実施形態と第2の実施形態との間の差異である。
【0032】
凝集工程:第1の実施形態はこの工程用に2個の反応器(10、20)を用いるのに対し、第2の実施形態はこの工程用に1個の反応器(310)しか用いなかった。
【0033】
凍結およびキレート化工程:第1の実施形態では凍結およびキレート化工程は2個の別々の反応器(40、50)で達成されるのに対し、第2の実施形態ではこの2工程は1個の反応器(330)内で達成された。
【0034】
CSTRシステム内への原料スラリーのポンプ給送後に、凝集および外殻付加反応器用の混合速度を増大させる。第1の実施形態では、CSTRシステム内100への原料スラリーのポンプ給送後、反応器10〜30についての混合速度を増大させた。反応器310、320についての混合速度は、CSTRシステム300内への原料スラリーのポンプ給送後、第2の実施形態では増大させなかった。
【0035】
癒合工程:第1の実施形態において、pH≦7を目標としたのに対し、第2の実施形態では、pH≦6を目標とした。
【0036】
(1)160グラムのトナー粒子/L/時の空時収量で、これは9g/L/時の現行のあるいは従来の空時収量に対する1800%の増加となる。
【0037】
(2)EAプロセスを加速し、これにより材料滞留時間は16.7時間から1時間未満に低減される。
【0038】
(3)EAトナー粒子を連続的に製造する。
【0039】
(4)現行のバッチ工程と比べたときに所与の製造レートの達成に必要な機器寸法を低減する。
【0040】
(5)EAトナー粒子製造の間接費を大幅に低減する。
【0041】
(6)トナー製造費における大幅な低減につながる。
【0042】
無論、当業者は、上記工程を入れ替えたり、反応器の大きさを変えたり、各反応器の温度を変えたり、かつ/または滞留時間を変更して前述の実施形態の結果を達成する直列構成での複数の反応器の使用を熟考することができる。
【0043】
本開示の乳化剤混濁液の形成には、任意の樹脂を用いることができる。樹脂は、非晶質樹脂や結晶樹脂および/またはその組み合わせとすることができる。
【0044】
前記したように、非飽和非晶質ポリエステル樹脂を乳化剤樹脂として用いることができる。
【0045】
トナー組成の形成に用いる着色剤やワックスや他の添加剤は、表面活性剤を含む分散状態とすることができる。さらに、トナー粒子は乳化剤凝集方法により形成することができ、ここではトナーの樹脂や他の成分を1以上の表面活性剤中に配置し、乳化剤を形成し、トナー粒子を凝集させ、癒合させ、随意選択的に洗浄して乾燥させ、回収した。
【0046】
着色剤を添加したため、染料や顔料や染料混合物や顔料混合物、染料と顔料の混合物等の様々な公知の着色剤をトナー内に含めることができる。
【0047】
乳化剤と着色剤に加え、本開示のトナーにはまた随意選択的にワックスが含まれ、このワックスは単一種のワックスあるいは2以上の異なるワックスの混合物のいずれかとすることができる。
【0048】
緩衝剤システムは、溶剤として脱イオン化水を有する溶液内の酸類と塩類と塩基類と有機化合物とそれらの組み合わせのうちの少なくとも2つを含むことができる。
【0049】
緩衝剤システムを形成するのに用いることのできる好適な酸類には、酢酸やクエン酸や塩酸やホウ酸や蟻酸やシュウ酸やフタール酸やサリチル酸やそれらの組み合わせ等の有機および/または無機酸類が含まれる。
【0050】
緩衝剤システムの形成に用いることのできる好適な塩類や塩基類には、水酸化ナトリウム(NaOH)や四ホウ酸ナトリウムや酢酸カリウムや酢酸亜鉛やリン酸二水素ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムや蟻酸カリウムや水酸化カリウムやシュウ酸ナトリウムやフタール酸ナトリウムやサリチル酸カリウムやそれらの組み合わせ等の脂肪酸の金属塩や芳香族酸や塩基類が含まれる。
【0051】
緩衝剤システムの形成に用いることのできる好適な有機化合物には、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)やトリシンやバイシンやグリシンやHEPESや塩酸トリエトラミンや3−(N−モルホリノ)硫化プロパン酸(MOPS)やそれらの組み合わせが含まれる。
【0052】
好適な緩衝剤システムには、TRISや塩化水素酸等の酸と有機化合物との組み合わせを含ませることができる。
【0053】
緩衝剤システムの形成に用いる酸と有機化合物の量と、また緩衝剤溶液の形成に用いる脱イオン化水も、使用する酸と使用する有機化合物とトナー粒子の組成とに応じて変えることができる。前記のように、緩衝剤システムは酸と有機化合物の両方を含むことができる。この種の事例では、緩衝剤システム内の酸の量は緩衝剤システムの重量比で1%〜40%あるいは2%〜30%とすることができる。隍羝緩衝剤システム内の有機化合物の量は、緩衝剤システムの重量比で10%〜50%あるいは30%〜40%とすることができる。
【0054】
緩衝剤システム内の酸および/または有機混合物の量は、緩衝剤システムのpHが7〜12や7〜9や8〜9あるいは9となるような量とすることができる。
【0055】
緩衝剤システムを上記のようにトナースラリーに付加し、最終的なトナースラリーのpHを6〜9あるいは7〜9とすることができる。
【0056】
粒子の凝集期間中に、トナー混合物にキレート剤を添加することができる。好適なキレート剤の例には、キレートを母材とするアンモニアやジアミンやトリアミンやテトラアミンが含まれる。
【0057】
トナーは、1500rpm〜7000rpmや3000毎分回転数(rpm)〜4500rpmの速度で、2分〜30分や5分〜15分の時間期間で、20℃〜50℃や22℃〜35℃の温度で混合することができる。
【0058】
緩衝剤システムの形成に用いることのできる好適な酸類には、酢酸やクエン酸や蟻酸やシュウ酸やフタール酸やサリチル酸やそれらの組み合わせ等の脂肪酸や芳香族酸が含まれる。緩衝剤システムの形成に用いることのできる好適な塩類には、酢酸ナトリウムや酢酸ナトリウム三水和物や酢酸カリウムや酢酸亜鉛やリン酸水素ナトリウムや蟻酸カリウムやシュウ酸ナトリウムやフタール酸ナトリウムやサリチル酸カリウムやそれらの組み合わせ等の脂肪酸あるいは芳香族酸の金属塩が含まれる。
【0059】
好適な緩衝材システムは、酸類と塩類の組み合わせを含むことができる。例えば、緩衝材システムは酢酸ナトリウムや酢酸を含むことができる。
【0060】
本開示の緩衝材システムは、溶剤として脱イオン化水を有する溶液であることができる。
【0061】
緩衝剤システムの形成に用いる酸類と塩類と加えて緩衝剤溶液の形成に用いる脱イオン水もまた含めた量は、使用する酸類と使用する塩類とトナー粒子の組成とに応じて変えることができる。上記のように、緩衝剤システムは酸類と塩類の両方を含むができる。この種の事例では、緩衝剤システム内の酸の量は緩衝剤システムの重量比で1%〜40%、2%〜30%であることができる。緩衝剤システムの塩類の量は、緩衝剤システムの重量比で10%〜50%、30%〜40%であることができる。
【0062】
緩衝剤システム内の酸類および/または塩類の量は、緩衝剤システムのpHが3〜7、4〜6となるような量であることができる。上記のように、緩衝剤システムをトナースラリーに添加し、トナースラリーのpHが4〜7あるいは5.8〜6.5であるようにできる。
【0063】
トナー粒子の癒合には、撹拌と加熱を含めることができる。
【0064】
混合物のpHをそこで低下させ、例えば酸あるいは酸緩衝剤を癒合させてトナーを凝集させる。好適な酸類には、混合物の重量比で4〜30%の硝酸や硫酸や塩酸やクエン酸や酢酸が含まれる。
【0065】
癒合後、その混合物は20℃〜25℃等の室温まで冷却することができる。この冷却は、急速もしくは緩速であってよい。好適な冷却方法は、反応器周囲のジャケットや熱交換器に冷水を導入して急冷することを含むことができる。冷却後、トナー粒子を随意選択的に水で洗浄し、続いて乾燥させる。
【0066】
本開示のトナーを作成する乳化剤凝集プロセスは、少なくとも一価の金属凝固剤や二価の金属凝固剤やポリイオン凝固剤等の凝固剤を用いるものである。
【0067】
本開示のCSTRシステムを用いて製造するトナー粒子は、1〜20ミクロン、2ミクロン〜15ミクロン、3ミクロン〜7ミクロンの大きさを有する。
【0068】
本開示に従うトナーは、印刷機や複写機等を含む様々な作像装置に用いることができる。
【0069】
現像剤組成は、本願明細書に開示されたプロセスを用いて得られたトナーに鋼や鉄等の被覆担体を含む公知の担体粒子を混合することで調製することができる。担体は、トナー重量比で2〜8%あるいは4〜6%を呈することがある。担体粒子はまた、導電性カーボンブラック等の導電性成分をその中に分散させたポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のポリマー被覆をその上に有するコアを含む。
【0070】
作像方法もまた、本願明細書に開示したトナーを想定している。作像プロセスは、電子印刷磁気画像文字認識装置における画像の生成と、その後の本開示のトナー組成を用いた画像の現像が含む。静電手段による光導電性材料表面の画像の形成ならびに現像はよく知られている。
実施例1
【0071】
7個の丸底フラスコ反応器(例えば、大きさが250mL〜500mL)は、半月形回転翼を有する頂部撹拌機を備えており、直列接続して図1に示すようにCSTRシステムを形成した。
【0072】
第1の反応器10と第2の反応器20は、凝集プロセスを行なった。第3の反応器30は、外殻付加プロセスを行なった。第4の反応器40は、凍結プロセスを行なった。第5の反応器50は、キレート化プロセスを行なった。第6の反応器は昇温プロセスを行なったのに対し、第7の反応器70は癒合プロセスを行なった。マルチチャネル蠕動ポンプ102を各反応器10〜70間に用い、トレイン100を介して材料14とスラリーを流した。
【0073】
第3の反応器30内に外殻乳化剤22を連続的あるいは定期的にポンプ給送し、第4の反応器40内に水酸化ナトリウム(NaOH)等の塩基(32)を連続的あるいは定期的にポンプ給送し、第5の反応器50内に(Dow Chemical Company社からVERSENE−100として市販されている)エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート剤(42)を連続的あるいは定期的にポンプ給送し、第7の反応器70内に酢酸塩−酢酸緩衝剤等の緩衝剤(62)を連続的あるいは定期的にポンプ給送した。このプロセスの結果、1時間未満後に第7の反応器70からトナー粒子80が取り出された。
【0074】
各反応器10〜70は温度制御槽内に浸漬させ、反応器10〜70内のトナースラリーの温度を制御した。反応器10〜70内のスラリーは、マルチチャネル蠕動モータを用いて反応器10〜70の内外にポンプ給送した。外殻乳化剤22は蠕動ポンプを用いて第3の反応器30にポンプ給送したのに対し、塩基(32)とキレート剤(42)と緩衝剤(62)は様々なEAプロセスを達成すべく必要に応じて個々の反応器内にポンプ給送した。
【0075】
ビーカー内で、823グラムの非晶質中核乳化剤と140グラムの結晶中核乳化剤と、2259グラムの脱イオン化水(DIW)と、3.2グラムの表面活性剤(DOWFAX(商標)2A1、Dow Chemical Company社製のアルキルジフェニル酸化物二スルホン酸塩)と、208グラムのSUNシアン顔料と、179グラムのポリエチレンワックス(IGI社製)とを混合した。トナースラリーは続いて、126グラムの0.3M硝酸(HNO)を用いて4.2までpH調整した。続いて、141グラムの硫酸アルミニウム溶液(10.6グラムの硫酸アルミニウムと131グラムのDI水を含む)をスラリー混合物に滴下して添加し、その間3000〜4000rpmの均質化を10〜15分の期間にわたり行なった。
【0076】
第1の反応器10と第2の反応器20(例えば、250mLフラスコで開始)には、180グラムの均質化スラリーを充填した。第4の反応器30(例えば、500mLフラスコで開始)には、240グラムの均質化スラリーを充填した。第4の反応器40と第5の反応器50は空から始め、これに連続的に原料を充填することで充填した。第6の反応器60(例えば、250mLフラスコで開始)は180グラムのDIWを充填し、第7の反応器70(例えば、500mLフラスコで開始)は240グラムのDIWを充填した。加えて、均質化スラリーであろうとDIWであろうと材料を事前に充填した反応器には、pH調整の有無によらず、毛房状塊とは無縁のスラリーを充填した。第6の反応器60と第7の反応器70は共に外部浴槽により加熱し、共に毎分150回転(rpm)での混合を用いて70℃と85℃の反応器温度を達成した。残留する均質化スラリーは、頂部撹拌機と500rpmの3枚回転翼を用いて室温で連続的に混合した。スラリーは、連続的な原料スラリーとして用いた。
【0077】
第1の反応器10と第2の反応器20と第3の反応器30は、例えばそれぞれ290、320、320rpmでの混合を用い、32℃と40℃と40℃の反応器温度に加熱した。これらの各反応器10、20、30内で安定した粒子寸法が達成されると、均質化スラリーを40グラム/分でCSTRシステム100内に連続的にポンプ給送し、第1の反応器10内のrpmを350rpmまで増大させ、第2の反応器20と第3の反応器30では、混合速度を380rpmまで増大させた。反応器ごとのおおよその滞留時間は、5分であった。外殻乳化剤は、5.75グラム/分で第3の反応器20内に連続的にポンプ給送した。
【0078】
凝集工程(第1の反応器10と第2の反応器20における)後に得られる粒子寸法の追尾記録は、図2(a)(210)と図2(b)(220)に示すように、それぞれ5分後と10分後に定常状態に達した。外殻付加(第3の反応器30内)後に得られる粒子寸法の追尾記録は、図2(c)(230)に示すように20分後に定常状態に達した。
【0079】
第7の反応器40が充填される(スラリーのCSTRシステム100へのポンプ給送開始後5分)と、塩基(32)を0.51グラム/分で第4の反応器に連続的にポンプ給送し、ここで反応器温度は41℃で、pHは6〜7に維持した。
【0080】
第5の反応器50が充填される(スラリーのCSTRシステム100へのポンプ給送開始後5分)と、キレート剤EDTA(VERSENE−100)(42)を1.65グラム/分で第5の反応器50に連続的にポンプ給送し、ここで反応器温度は47℃で、pHは7〜8.3に維持した。図2(d)(240)と図2(e)(250)に示すように、粒子は10分で凍結させた(第4の反応器40と第5の反応器50内での滞留時間は10分であった)。
【0081】
プロセスは第6の反応器60に進み、ここで反応器60内のスラリーは反応器温度が70℃に保たれているため瞬時昇温にさらされる。この第6の反応器60からの粒子寸法分布が、図2(f)(260)に示してある。
【0082】
第7の反応器70が充填される(スラリーのCSTRシステム100へのポンプ給送開始後25分)と、3M酢酸ナトリウム−酢酸緩衝剤(62)を0.65グラム/分で第7の反応器に連続的にポンプ給送した。第7の反応器70では、反応器温度85℃で粒子を癒合させ、3M酢酸ナトリウム−酢酸緩衝剤(62)の添加でもって7未満のpHに保った。
【0083】
第7の反応器70から得られるトナー製品は、DIW角氷を充填されたビーカー内で製品を撹拌することで急冷した。約45分(全CSTRシステム100内の滞留時間は約45分であったことに留意)後、CSTRシステム100の終端で得られる粒子寸法分布は図2(g)(270)に示すように定常状態に達した。これが、プロセスに関する時刻0を表わす。これが、プロセスがその連続的な定常状態運転に移行した時点であった。図2(g)(270)と図2(h)(280)に示すように、EAプロセス完了後の定常状態の粒子寸法分布と円形度は、バッチプロセスにて得られるものに匹敵するものであった。
【0084】
トナー粒子寸法分布は、7個の反応器10〜70の全てで監視した。粒子寸法分布は、CSTRシステム100へのスラリーのポンプ給送開始後それぞれ5分、10分、20分、25分、30分、35分、45分で反応器10〜70内で定常状態に達した。プロセスの終端で得られた定常状態の粒子寸法分布(スラリーのCSTRシステム100内へのポンプ給送開始後90分での)が、図2A〜図2G(200〜280)に示してある。スラリーのpHは、第4と第5と第6と第7の反応器(40〜70)で監視した。反応器40〜70は、それぞれ6〜7、7〜8.3、7〜8.3、7未満のpHレベルに保った。かくして、このプロセスを用いることで、トナースラリーを40mL/分で連続的に生成した。
実施例2
【0085】
5個の丸底フラスコ反応器(例えば、大きさが250mL〜500mL)は、半月形回転翼を有する頂部撹拌機をそれぞれ備えており、直列接続してCSTRシステム300を形成した。
【0086】
第1の反応器310は、凝集プロセスを行なった。第2の反応器320は、外殻付加プロセスを行なった。第3の反応器330は、凍結プロセスとキレート化プロセスを行なった。第4の反応器340が昇温プロセスを行なったのに対し、第5の反応器350は癒合プロセスを行なった。マルチチャネル蠕動ポンプ302を各反応器310〜350間に用い、トレイン300を介して材料316とスラリーをポンプ給送した。
【0087】
第2の反応器320内には外殻乳化剤312を連続的あるいは定期的にポンプ給送し、第3の反応器330内にはトリス塩酸等の苛性緩衝剤やEDTA(VERSENE−100)(322)等のキレート剤を連続的あるいは定期的にポンプ給送し、第5の反応器350内には酢酸塩−酢酸緩衝剤(342)等の酸性緩衝剤(62)を連続的あるいは定期的にポンプ給送した。このプロセスの結果、1時間未満経過後に第5の反応器350からトナー粒子360が取り出された。
【0088】
各反応器310〜350は、いずれも外部液体ジャケットを介して加熱した。反応器310〜350内のスラリーは、マルチチャネル蠕動ポンプ302を用いて反応器310〜350の内外にポンプ給送した。外殻乳化剤312は蠕動ポンプを用いて第2の反応器320内に給送したのに対し、1Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝剤(322)やキレート剤EDTA(VERSENE−100)(322)や3M酢酸ナトリウム−酢酸緩衝剤(342)は、様々なEAプロセス工程を達成すべく必要に応じて容積移送式ポンプを用いてその個々の反応器内にポンプ給送した。
【0089】
このプロセスは、前記第1の実施例と同じ処方とプロセスに従うスラリーの均質化314により開始した。第1の反応器310(例えば、250mLフラスコで開始)には、180グラムの均質化スラリーを充填した。第2の反応器320(例えば、500mLフラスコで開始)には、240グラムの均質化スラリーを充填した。第3の反応器320(例えば、250mLフラスコで開始)は、空から始め、これに連続的な原料を充填することで充填した。第4の反応器340(例えば、250mLフラスコで開始)は、180グラムのDIWを充填し、第5の反応器350は240グラムのDIWを充填した。
【0090】
第1の反応器310と第2の反応器320は、共に反応器温度43℃に加熱し、320rpmで混合した。第2の反応器320には、5.75グラム/分で外殻乳化剤312を連続的にポンプ給送した。第1の反応器310と第2の反応器320内で安定な粒子寸法が達成されると、少なくとも1個の反応器内の均質化スラリーを40グラム/分でCSTRシステム300内に連続的にポンプ給送した。反応器ごとのおおよその滞留時間は、5分および/または10分であった。凝集工程後に得られる粒子寸法分布(第1の反応器310内)は、図4(a)(410)に示すように5分後に定常状態に達した。外殻付加後に得られる粒子寸法分布(第2の反応器320内)は、図4(b)(420)に示すように15分後に定常状態に達した。
【0091】
外殻添加工程に続き、粒子凝集に第3の反応器330における凍結およびキレート化工程を続けた。第3の反応器330は、46℃の反応器温度まで加熱し、150rpmで混合した。第3の反応器330が充填される(スラリーのポンプ給送開始後5分)と、1Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−塩酸緩衝剤(322)とEDTA(VERSENE−100)(322)の両方をそれぞれ0.40グラム/分〜1.65グラム/分で第3の反応器330内に連続的にポンプ給送し、7〜8.3のpHに保った。図4(c)(430)に見てとれるように、粒子は5分で凍結させた(第3の反応器330での滞留時間は5分であった)。
【0092】
プロセスはそこで第4の反応器340に進み、ここでスラリーを外部浴槽により瞬時加熱し、150rpmで混合した。図4(d)(440)は、第4の反応器340から得られる定常状態の粒子寸法分布を示す。
【0093】
第5の反応器350が充填される(スラリーのポンプ給送開始後20分)と、3M酢酸ナトリウム−酢酸緩衝剤(342)を0.45グラム/分で第5の反応器350内に連続的にポンプ給送した。第5の反応器350において、反応器温度85℃で粒子を癒合させ、3M酢酸ナトリウム−酢酸緩衝剤(342)の添加でもって6未満のpHに保った。トナー製品は第5の反応器350内の流出ポンプ管路から得られ、DIW角氷を充填したビーカー内で製品を撹拌することで急冷した。
【0094】
その結果、35分後(全CSTRシステム300内での滞留時間は35分であった)、CSTRシステム300の終端で得られた粒子寸法の追尾記録は、図4(e)(450)に示すように定常状態に達した。前記の第1の実施例同様、これはプロセスがその連続的な定常状態運転に移行する時刻を表わすものであった。
【0095】
図4(e)(450)と図4(f)(460)に示すように、EAプロセス完了後の定常状態の粒子寸法分布と円形度は、バッチプロセスで達成されたものに比肩するものであった。かくして、再度、この連続プロセスを用いて40mL/分で癒合トナー粒子を生成し、それには35分が必要であった。
【0096】
トナー粒子寸法分布を、各反応器310〜350内で監視した。粒子寸法分布は、スラリーのCSTRシステム300内へのポンプ給送開始後5分、15分、20分、25分で反応器310〜350内において定常状態を達成した。プロセスの終端(スラリーのCSTRシステム300内へのポンプ給送開始後90分)で得られた定常状態の粒子寸法分布が、図4A〜図4E(410〜460)に示してある。第1の反応器310と第2の反応器320内の混合速度は、スラリーのCSTRシステム300内へのポンプ給送開始後に増大はさせなかったが、図4A〜図4E(410〜460)に示すように原料スラリーのトナー粒子360への組み入れに著しい悪影響を示すことはなかった。
【0097】
スラリーのpHを、第3と第4と第5の反応器330〜350内で監視した。反応器330〜350内のpHレベルは、それぞれ7〜8.3と7〜8.3と6未満であった。トナー製品の円形度を、図4(e)(450)に示すように監視した。0.960を上回る円形度が、時刻0後に維持された。CSTRシステム300内へのスラリーのポンプ給送開始後90分で、原料スラリーと外殻乳化剤312とEDTA(VERSENE−100)(322)の全消費のためにプロセスを停止させた。
【0098】
かくして、第2の実施例では、凝集工程は1個の反応器内で5分(第1の反応器310内の滞留時間は5分であった)で達成され、凍結工程とキレート化工程は1個の反応器内で粒子寸法分布に負の影響を及ぼすことなく複合された。第2の実施例は、連続式の装置構成が7−CSTRシステム100(図1参照)から5−CSTRシステム300(図3参照)に簡略化できることを立証した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳化剤凝集により粒子を製造する連続式撹拌タンク反応器システムであって、
少なくとも1個の原材料供給タンクと、
凝集プロセスを進める少なくとも1個の反応器と、
外殻材料添加プロセスを進める随意選択的な少なくとも1個の反応器と、
凍結プロセスを進める少なくとも1個の反応器と、
キレート化プロセスを進める少なくとも1個の反応器と、
昇温プロセスを進める少なくとも1個の反応器と、
癒合プロセスを進める少なくとも1個の反応器と、を備え、
反応器を直列構成にて逐次組み立て、各反応器を機械式の撹拌機を用いて稼働させる、連続式撹拌タンク反応器システム。
【請求項2】
前記プロセスの空時収量は、10g粒子/L/時〜500g粒子/L/時とする、請求項1に記載の連続式撹拌タンク反応器システム。
【請求項3】
各前記反応器は、外部から施される冷却と加熱により温度制御する、請求項1に記載の連続式撹拌タンク反応器システム。
【請求項4】
随意選択的に、導管を介して材料を1個の反応器から次の反応器へ流し、
随意選択的に、液体を1個の反応器から次の反応器へ連続的にポンプ給送する、請求項1に記載の連続式撹拌タンク反応器システム。
【請求項5】
外殻乳化剤を連続的あるいは定期的に前記プロセス内にポンプ給送し、
塩基あるいは塩基性緩衝剤を前記プロセス内に連続的あるいは定期的にポンプ給送し、
キレート剤を連続的あるいは定期的に前記プロセス内にポンプ給送し、
緩衝剤を前記プロセス内に連続的あるいは定期的にポンプ給送する、請求項1に記載の連続式撹拌タンク反応器システム。
【請求項6】
随意選択的に、粒子寸法と粒子寸法分布を制御すべく、前記材料を反応器ごとに独立したレートで材料を混合し、随意選択的に、反応器温度を材料流の方向に段々に昇温させる、請求項1に記載の連続式撹拌タンク反応器システム。
【請求項7】
各反応器への苛性溶液あるいは酸性溶液の供給速度を変えることで、各反応器内でpHを制御する、請求項1に記載の連続式撹拌タンク反応器システム。
【請求項8】
前記撹拌機の毎分回転速度と回転翼は、反応器ごとに狭い幅の粒子寸法分布を提供するよう選択する、請求項1に記載の連続式撹拌タンク反応器システム。
【請求項9】
トナー粒子を製造する連続式乳化剤凝集方法であって、
直列構成で逐次組み立てた複数の反応器を配設するステップと、
前記トナー粒子用原材料を連続撹拌タンク反応器システム内に導入するステップと、
第1の反応器と第2の反応器を介して凝集プロセスを進めるステップと、
第3の反応器を介して外殻材料付加プロセスを随意選択的に進めるステップと、
第4の反応器を介して凍結プロセスを進めるステップと、
第5の反応器を介してキレート化プロセスを進めるステップと、
第6の反応器を介して昇温プロセスを進めるステップと、
第7の反応器を介して癒合プロセスを進めるステップと、を含む、方法。
【請求項10】
反応器温度は、材料の流動方向に段々と大きくし、
各反応器内の材料の滞留時間は、0.5分〜60分であり、
pHは、各反応器に対する苛性溶液あるいは酸性溶液の給送速度を変更することで、各反応器において制御する、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【公開番号】特開2012−148274(P2012−148274A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−3345(P2012−3345)
【出願日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】