説明

粘着シート、表面保護層付き静電容量式タッチパネルおよび表示装置

【課題】静電容量式タッチパネルにおいて検出感度の低下を抑制することができる静電容量式タッチパネル用の粘着シートを提供する。
【解決手段】静電容量式タッチパネルと表面保護層との間に配置される粘着シートであって、比誘電率が5.0以上であることを特徴とする粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式タッチパネルと表面保護層の密着に用いられる粘着シート、この粘着シートを用いた表面保護層付き静電容量式タッチパネル、および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話・スマートフォン、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、券売機などの電子機器において、タッチパネルを搭載したタイプが増加している。主なタッチパネルの動作方式としては、抵抗膜式、静電容量式、光学式、超音波式、電磁誘導式などが挙げられる。なかでも、抵抗膜式は製造コストの観点から広く採用されている。近年、静電容量式タッチパネルはスマートフォンやタブレット型パーソナルコンピュータ用途で広く使用されており、これらの市場拡大につれて需要が拡大している。
【0003】
一般に、タッチパネルの表面にはガラス板等の表面保護層が設けられるケースが多く、表面保護層は空気層(空隙)を介して、あるいは粘着剤(粘着シート)を介してタッチパネルに装着されている。例えば、粘着剤を介して表面保護層をタッチパネルに装着することは、特許文献1〜3に開示されている。
【0004】
上記特許文献1〜3は、表面保護層とタッチパネルとをアクリル系粘着剤あるいはシリコーン系粘着剤で密着一体化することを提案するものである。
【0005】
一方、表面保護層の材料としてガラス板が一般的に用いられているが、タブレット型パーソナルコンピュータのような比較的表示画面の大きい表示装置が普及するにつれて、表示装置の軽量化が要求されている。表示装置の軽量化の1つの手段として、表面保護層をアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の比較的軽量の樹脂板や樹脂フィルムに変更することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−120675号公報
【特許文献2】特開2010−163591号公報
【特許文献3】特開2011−74308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
静電容量式タッチパネルでは、指で入力するときの指とタッチパネル電極との間に、前述したように表面保護層、空気層、あるいは粘着剤等の絶縁体が介在すると静電容量が小さくなり、入力時の検出感度が低下し、操作性が低下することがあった。
【0008】
また、表面保護層をガラス板からアクリル樹脂板やポリカーボネート樹脂板等の樹脂板に変更すると、さらに検出感度が低下し、操作性が低下するという問題があった。
【0009】
従って、本発明の目的は、上記課題に鑑み、静電容量式タッチパネルにおいて検出感度の低下を抑制することができる静電容量式タッチパネル用の粘着シートを提供することにある。また、本発明の他の目的は、本発明の粘着シートを用いて静電容量式タッチパネルと表面保護層とが密着された表面保護層付き静電容量式タッチパネルおよびこれを用いた表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
1)静電容量式タッチパネルと表面保護層との間に配置される粘着シートであって、比誘電率が5.0以上であることを特徴とする粘着シート。
2)前記粘着シートがウレタン系粘着剤からなる粘着剤層を含む、前記1)の粘着シート。
3)前記ウレタン系粘着剤が活性エネルギー線硬化型粘着剤である、前記2)の粘着シート。
4)厚みが50〜1000μmである、前記1)〜3)のいずれかの粘着シート。
5)静電容量式タッチパネルと表面保護層とが前記1)〜4)のいずれかの粘着シートを介して密着されてなる、表面保護層付きタッチパネル。
6)前記5)の表面保護層付きタッチパネルを備えた表示装置。
【発明の効果】
【0011】
静電容量式タッチパネルと表面保護層との間に本発明の粘着シートを配置することによって、入力時の検出感度の低下を抑制することができる。特に、表面保護層付きタッチパネルやこのタッチパネルを用いた表示装置の軽量化を図るために、表面保護層をガラス板から樹脂板や樹脂フィルム等に変更するときに生じる検出感度の低下は、本発明の粘着シートを用いることによって抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の粘着シートを用いた表面保護層付き静電容量式タッチパネルの一例を示す模式断面図。
【図2】本発明の表面保護層付き静電容量式タッチパネルを備えた表示装置の一例を示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の粘着シートは、静電容量式タッチパネルと表面保護層との間に配置される粘着シートである。さらに本発明の粘着シートは静電容量式タッチパネルと表面保護層とを密着させるために用いられることが好ましい。つまり、静電容量式タッチパネルと表面保護層との間に空気層が介在しないように、本発明の粘着シートを用いて両者を密着することが好ましい。以下の説明において、静電容量式タッチパネルを単にタッチパネルと言うことがある。
【0014】
図1は、本発明の粘着シートを用いた表面保護層付き静電容量式タッチパネルの一例を示す模式断面図である。表面保護層付き静電容量式タッチパネル10は、タッチパネル1と表面保護層3とが本発明の粘着シート2を介して密着された構成になっている。表面保護層3のタッチパネル1側の面の外周周縁には画像表示領域を縁取りするための加飾層(黒色印刷層)4が設けられている。
図2は、図1に示す本発明の表面保護層付き静電容量式タッチパネルを備えた表示装置の一例を示す模式断面図である。表示装置20は、表示パネル5上に表面保護層付き静電容量式タッチパネル10が粘着シート6を介して装着されている。粘着シート6は特に限定されず、本発明の粘着シートを用いてもよいし、本発明以外の粘着シートを用いてもよいが、本発明の粘着シートを用いることが好ましい。
【0015】
静電容量式タッチパネルは、入力操作において指とタッチパネルを構成する透明導電膜との間の静電容量の変化を読み取ることで、入力位置を検出するものである。静電容量式タッチパネルは、その動作方式によって表面型と投影型に大きく分類される。
【0016】
表面型の静電容量式タッチパネルは、基材上に設けられた透明導電膜によって均一な電界を形成しており、指で触れると、基板の四隅の電極と指との距離に応じて容量変化が発生し、これによって入力位置を判別する方式である。投影型の静電容量式タッチパネルは、ガラス基板や樹脂基板上にX電極とY電極を設け、指で触れることによる静電容量の変化をX電極、Y電極各々から読み取り、位置を検出する方式である。
【0017】
上記した静電容量式タッチパネルはその最表面に表面保護層が配置される場合が多く、本発明の粘着シートはタッチパネルと表面保護層との間に配置されるものであり、特にタッチパネルと表面保護層とを密着するために用いるのに好適である。本発明の粘着シートは特に投影型の静電容量式タッチパネルに好ましく適用される。
【0018】
本発明にかかる表面保護層としては、ガラス板、プラスチック樹脂板(例えばアクリル樹脂板、ポリカーボネート樹脂板、ポリエステル樹脂板等)、プラスチック樹脂フィルム(ポリエステル樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、セルロース樹脂フィルム、ポリオレフィン樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム等)、有機・無機ハイブリッド製の板やフィルム(例えば新日鐵化学(株)の「シルプラス」、グンゼ(株)の「HDフィルム」等)などを使用することができる。
【0019】
上記表面保護層を構成する材料の中でも、表面保護層付きタッチパネルおよび表示装置の軽量化を図るという観点から、プラスチック樹脂板、プラスチック樹脂フィルム、有機・無機ハイブリッド製の板やフィルムが好ましい。
【0020】
表面保護層の厚みは、0.05〜3mm程度が一般的であり、0.1〜2.5μmの範囲が好ましく、0.3〜2mmの範囲がより好ましく、特に0.5〜1.5mmの範囲が好ましい。表面保護層の厚みが薄すぎると、保護層としての機能が十分に発揮できないことがあり、一方厚すぎると入力位置の検出感度が低下し、タッチパネルの操作性が悪化することがある。
【0021】
また、表面保護層には加飾層が設けられていることが好ましい。加飾層は、例えば、表示パネルの画像表示領域に相当する領域を縁取りするための着色層であり、表面保護層の外周に印刷等によって直接設けることができる。あるいは、加飾層を設けたフィルム等を表面保護層に密着させてもよい。
【0022】
さらに、表面保護層には、反射防止層やハードコート層などの機能層を設けてもよい。これらの機能層は、表面保護層に直接積層しても良いし、機能層を設けたフィルム等を表面保護層に積層させてもよい。
【0023】
本発明にかかる表示装置を構成する表示パネルとしては、液晶表示パネル、有機EL表示パネル、プラズマ表示パネル等が挙げられる。
【0024】
上述したように、タッチパネル上に表面保護層、空気層、あるいは粘着シートのような絶縁体を配置するとタッチパネルの検出感度が低下する。そのため、従来、タッチパネル自体の検出感度を高く設計する必要があり、タッチパネルの構成の複雑化や製造コストアップに影響を与えていた。タッチパネルの検出感度に左右する要素として、例えばタッチパネルを構成する電極の配置やパターン、電極を構成する透明導電層の電気特性、あるいはICコントローラーの性能等が挙げられる。
【0025】
タッチパネル上に空気層を介して表面保護層を配置する構成は、空気層の存在によって光の散乱が起こるためコントラストや輝度が低下するなどの問題がある。
【0026】
従って、粘着シートを介して表面保護層をタッチパネルに密着させる構成において、検出感度の低下を抑制することが重要である。本発明は上記課題を解決すべく検討した結果、比誘電率が5.0以上の粘着シートを用いることによって検出感度の低下が抑制されることを見いだした。
【0027】
また、表面保護層として従来から一般的に用いられているガラス板から、樹脂板、樹脂フィルムあるいは有機・無機ハイブリッド製の板やフィルムに変更するとさらに検出感度が低下するが、本発明の粘着シートを用いることによって検出感度の低下を抑制することができる。
【0028】
つまり本発明の粘着シートを用いることにより、検出感度を低下させずに表面保護層として樹脂板、樹脂フィルムあるいは有機・無機ハイブリッド製の板やフィルムを用いることが可能となり、この結果表面保護層付きタッチパネルや表示装置の軽量化を図ることができる。
【0029】
以下、本発明の粘着シートについて詳細に説明する。
【0030】
本発明の粘着シートは、比誘電率が5.0以上の粘着シートである。本発明の粘着シートは、比誘電率が5.5以上であることが好ましく、比誘電率が6.0以上であることがより好ましく、特に比誘電率が6.5以上であることが好ましい。本発明の粘着シートにおける比誘電率の上限は12.0以下が好ましく、11.0以下がより好ましく、特に10.0以下が好ましい。粘着シートの比誘電率が大きくなりすぎると誤作動を招くことがある。
【0031】
従来から一般的に用いられているアクリル系粘着剤からなる粘着シートは比誘電率が3〜4程度であり、タッチパネルの検出感度の低下を十分に抑制することはできない。また、シリコーン系粘着剤の比誘電率も一般的は3〜4程度であり、タッチパネルの検出感度の低下を十分に抑制することができない。
【0032】
本発明の粘着シートは、(イ)単一の粘着剤層で構成されていてもよいし、(ロ)複数の粘着剤層が積層された構成であってもよいし、あるいは(ハ)1枚の基材の両面にそれぞれ粘着剤層を積層した構成(いわゆる、両面粘着シート)であってもよい。
【0033】
本発明の粘着シートが、(イ)単一の粘着剤層で構成される場合は、粘着剤層の比誘電率がそのまま粘着シートの比誘電率となるので、比誘電率が5.0以上の粘着剤層を用いることが必須である。
【0034】
本発明の粘着シートが、(ロ)複数の粘着剤層が積層された構成の場合は、粘着シートの比誘電率を5.0以上とするには、少なくとも1つの粘着剤層の比誘電率が5.0以上であることが必須である。
【0035】
また、本発明の粘着シートが、(ハ)1枚の基材の両面にそれぞれ粘着剤層を積層した構成の場合は、粘着シートの比誘電率を5.0以上とするには、少なくとも1つの粘着剤層あるいは基材の比誘電率が5.0以上であることが必須である。
【0036】
本発明の粘着シートは、少なくとも比誘電率が5.0以上の粘着剤層を含むことが好ましく、特に比誘電率が5.0以上の単一の粘着剤層で構成されていることが好ましい。
【0037】
本発明に用いられる比誘電率が5.0以上の粘着剤としては特に限定されない。例えば、比誘電率は3〜4程度のアクリル系粘着剤に比誘電率が大きい物質、例えば尿素樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ウレタン樹脂、二酸化チタン等の物質を混合することにより、比誘電率を5.0以上とした粘着剤を用いることが可能である。しかしながら、アクリル系粘着剤に上記のような比誘電率の大きい物質を混合すると、相溶性の問題、密着力変化の問題、耐候性の問題(黄変等)、透明度低下の問題等が生じる場合があるので十分に精査する必要がある。
【0038】
従って、上記したような問題点に鑑みて、本発明の粘着シートは、少なくとも比誘電率が5.0以上のウレタン系粘着剤からなる粘着剤層を含むことが好ましい。特に、比誘電率が5.0以上のウレタン系粘着剤からなる粘着剤層のみの単一層で構成された粘着シートであることが好ましい。以下、本発明の粘着シートに好ましく用いられるウレタン系粘着剤について詳細に説明する。
【0039】
ウレタン系粘着剤とは、ウレタン樹脂をウレタン系粘着剤の固形分総量100質量%に対して50質量%以上含むことを意味する。好ましくはウレタン樹脂をウレタン系粘着剤の固形分総量100質量%に対して60質量%以上含むことであり、より好ましくはウレタン樹脂をウレタン系粘着剤の固形分総量100質量%に対して70質量%以上含むことである。上限は98質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。
【0040】
ウレタン系粘着剤は、熱硬化型粘着剤あるいは活性エネルギー線硬化型粘着剤であることが好ましく、特に活性エネルギー線硬化型粘着剤であることが好ましい。本発明の粘着シートは、後述するように厚みが比較的大きいことが好ましく、厚みが比較的大きい粘着シートを均一に生産性よく製造することができるという観点から活性エネルギー線硬化型粘着剤が好ましい。
【0041】
活性エネルギー線硬化型粘着剤は、電子線や紫外線等の活性エネルギー線によって硬化されて形成された粘着剤である。以下、本発明に好ましく用いられる活性エネルギー線硬化型ウレタン系粘着剤について、詳細に説明する。
【0042】
かかる活性エネルギー線硬化型ウレタン系粘着剤は、少なくともウレタンポリマーを含有する活性エネルギー線硬化性組成物を硬化せしめることによって得られたものであることが好ましい。
【0043】
活性エネルギー線硬化性組成物に含有するウレタンポリマーとしては、重合性ウレタンポリマーを少なくとも含むことが好ましい。かかる重合性ウレタンポリマーとしては、分子中にエチレン性不飽和基を有するものが好ましい。ここでエチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基等が挙げられる。
【0044】
重合性ウレタンポリマーの重量平均分子量は、粘着シートの初期密着力を大きくするという観点から、20000以上が好ましく、30000以上がより好ましく、特に35000以上が好ましい。ウレタンポリマーの重量平均分子量の上限は、活性エネルギー線硬化性組成物の粘度上昇を抑制して良好な塗工性を確保するという観点から60000以下が好ましく、55000以下がより好ましく、特に50000以下が好ましい。
【0045】
重合性ウレタンポリマーとしては、少なくとも分子の一方の末端にエチレン性不飽和基を有するウレタンプレポリマーが好ましく用いられる。特に下記の重合性ウレタンポリマー(A)あるいは重合性ウレタンポリマー(B)が好ましく用いられる。
【0046】
重合性ウレタンポリマー(A)は、分子の両末端にエチレン性不飽和基を有するウレタンポリマーである。
【0047】
重合性ウレタンポリマー(B)は、分子の一方の末端にヒドロキシル基を有しかつ他方の末端にエチレン性不飽和基を有するウレタンポリマーである。
【0048】
重合性ウレタンポリマー(A)および重合性ウレタンポリマー(B)は、いずれも分子に側鎖にはエチレン性不飽和基を有していないことが好ましい。
【0049】
重合性ウレタンポリマー(B)は、分子の一方の末端に1個のヒドロキシル基を有しかつ他方の末端に1個のエチレン性不飽和基を有するウレタンポリマーであることが好ましい。
【0050】
活性エネルギー線硬化性組成物は、重合性ウレタンポリマー(A)と重合性ウレタンポリマー(B)の両方を含んでいることが好ましい。重合性ウレタンポリマー(A)と重合性ウレタンポリマー(B)の含有比率(モル比)は、1:9〜9:1の範囲が好ましく、2:8〜8:2の範囲がより好ましく、さらに3:7〜7:3の範囲が好ましい。
【0051】
また、重合性ウレタンポリマー(A)は、分子の両末端にそれぞれ1個のエチレン性不飽和基を有する重合性ウレタンポリマー(A1)と、分子の一方の末端に1個エチレン性不飽和基を有しかつ他方の末端に2個のエチレン性不飽和基を有する重合性ウレタンポリマー(A2)とを併せて含むことが好ましい。重合性ウレタンポリマー(A1)と重合性ウレタンポリマー(A2)の含有比率(モル比)は、1:9〜9:1の範囲が好ましく、2:8〜8:2の範囲がより好ましく、さらに3:7〜7:3の範囲が好ましい。
【0052】
活性エネルギー線硬化性組成物は、ウレタンポリマーとして重合性ウレタンポリマー(A)および重合性ウレタンポリマー(B)以外の他のウレタンポリマーを含むことができる。この場合、他のウレタンポリマーの含有比率は、ウレタンポリマー総量100質量%に対して30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、特に10質量%以下が好ましい。
【0053】
また、活性エネルギー線硬化性組成物は、ウレタンポリマー以外のポリマー、例えばアクリル系ポリマー、エステル系ポリマー、シリコン系ポリマー等を含有することができる。上記のウレタンポリマー以外のポリマーの含有量は、ウレタンポリマー100質量部に対して30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、特に10質量部以下であることが好ましい。
【0054】
重合性ウレタンポリマー(A)は、例えば、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)と、イソシアネート基と反応しうる官能基とエチレン性不飽和基を有する化合物(b)とを反応させることによって得ることができる。
【0055】
重合性ウレタンポリマー(B)は、例えば、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)と、イソシアネート基と反応しうる官能基とエチレン性不飽和基を有する化合物(b)およびイソシアネート基と反応しうる官能基とヒドロキシル基を有する化合物(c)とを反応させることによって得ることができる。
【0056】
上記の化合物(b)および化合物(c)におけるイソシアネート基と反応しうる官能基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、これらの中でも特にヒドロキシル基が好ましい。
【0057】
また、上記重合性ウレタンポリマー(B)の合成において、上記化合物(b)と上記化合物(c)の仕込み比率を調整することによって、あるいは仕込み順序や仕込み時間を調整することによって、重合性ウレタンポリマー(B)と重合性ウレタンポリマー(A)を同時に合成することができる。
【0058】
つまり、上記合成方法は、1つの合成プロセスで重合性ウレタンポリマー(A)と重合性ウレタンポリマー(B)とを同時に製造することができる合成方法であり、本発明に使用する重合性ウレタンポリマーの合成には、上記合成方法が好ましく用いられる。この合成方法で得られた重合性ウレタンポリマーの全分子の全末端は、エチレン性不飽和基もしくはヒドロキシル基で置換されており、エチレン性不飽和基で置換された末端の比率(以下、アクリレート末端比率という)は、重合性ウレタンポリマー全分子の全末端に対して60〜90%であるのが好ましい。
【0059】
上記のアクリレート末端比率は、重合性ウレタンポリマーのヒドロキシル基価を滴定法等で求め、得られたヒドロキシル基価と分子量から算出することができる。
【0060】
上記の合成方法で得られた重合性ウレタンポリマーのアクリレート末端比率が、例えば60%の場合、重合性ウレタンポリマー(A)と重合性ウレタンポリマー(B)の含有比率はモル比で20:80となる。同様にアクリレート末端比率が70%の場合は40:60の比率となり、同様にアクリレート末端比率が80%の場合は60:40の比率となり、同様にアクリレート末端比率90%の場合は80:20の比率となる。
【0061】
上記重合性ウレタンポリマー(A)および重合性ウレタンポリマー(B)の合成に使用する化合物について以下に説明する。
【0062】
分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a)は、ポリオールとイソシアネート化合物とを反応させて合成することができる。ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられるが、これらの中でもポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびポリカプロラクトンポリオールが好ましい。
【0063】
上記ポリエステルポリオールは、多価カルボン酸と多価アルコールをエステル化反応させて得ることができる。かかる多価カルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、乳酸、ダイマー酸等が挙げられ、中でもアジピン酸、セバシン酸、ピロリメット酸、ダイマー酸が好ましい。
【0064】
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等を用いることができ、中でもエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の2官能アルコールが好ましい。
【0065】
上記ポリエーテルポリオールは多価アルコールをエーテル化反応させて得ることができる。ここで用いる多価アルコールとしては、上記ポリエステルポリオールの製造に用いる多価アルコールと同様のものを用いることができる。
【0066】
上記ポリカプロラクトンポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール,1,9−ノナンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド,もしくはプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等公知慣用の多価アルコールのε−カプロラクトン付加物等が挙げられる。
【0067】
上記ポリカーボネートポリオールとしては、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる多価アルコールとホスゲンとの脱塩酸反応、あるいは前記多価アルコールとジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
【0068】
分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレプレポリマー(a)の合成に用いられるイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物が好ましく用いられる。
【0069】
ウレタンプレポリマー(a)としては、分子の両末端にイソシアネート基を有するものが好ましい。
【0070】
次に、重合性ウレタンポリマー(A)および重合性ウレタンポリマー(B)を合成するために上記ウレタンプレポリマー(a)と反応させる化合物(b)について説明する。化合物(b)はイソシアネート基と反応しうる官能基とエチレン性不飽和基を有する化合物である。
【0071】
化合物(b)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキブチル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、特にヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物が好ましく用いられる。
【0072】
また、重合性ウレタンポリマー(A2)(分子の一方の末端に1個エチレン性不飽和基を有しかつ他方の末端に2個のエチレン性不飽和基を有する重合性ウレタンポリマー)は、上記化合物(b)に加えて、イソシアネート基と反応しうる官能基と2個のエチレン性不飽和基を有する化合物(d)を用いることによって合成することができる。
【0073】
かかる化合物(d)としては、例えば、2−ヒドロキエチルジ(メタ)アクリレート、1−ヒドロキプロピルジ(メタ)アクリレート、1−ヒドロキブチルジ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキブチルジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキペンチルジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有の2官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
【0074】
次に、重合性ウレタンポリマー(B)を合成するために上記ウレタンプレポリマー(a)と反応させる化合物(c)について説明する。化合物(c)としては、例えば、オキシカルボン酸、多価アルコールが挙げられるが、多価アルコールが好ましい。
【0075】
上記の多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールを好ましく用いることができる。中でも、他の成分との相溶性や吸水安定性の面から1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール等のジオールが特に好ましい。
【0076】
活性エネルギー線硬化性組成物は、さらに重合性モノマー含有することが好ましい。かかる重合性モノマーとしては、反応性希釈剤として知られているものを用いることができる。例えば、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の1官能のビニルモノマーや(メタ)アクリルモノマー、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリルモノマー等が挙げられる。これらの中でも1官能の重合性モノマーが好ましく用いられる。
【0077】
本発明では、粘着シートに比較的大きい密着力を付与するという観点から、特に下記の重合性モノマーが好ましく用いられる。
イ)ヒドロキシル基を有する重合性モノマー、ロ)酸素原子含有複素環を有する重合性モノマー、ハ)フェニルオキシ基を有する重合性モノマーが好ましく用いられる。
【0078】
上記のイ)ヒドロキシル基を含有する重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,2−ジメチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0079】
上記のロ)酸素原子含有複素環を有する重合性モノマーとしては、フルフリル、モルホリン、カプロラクタン等の酸素原子含有複素環を有するモノマーが挙げられ、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)クリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタム等が挙げられる。
【0080】
上記のハ)フェニルオキシ基を有する重合性モノマーとしては、例えば、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0081】
活性エネルギー線硬化性組成物における重合性モノマーの合計含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して、1〜50質量%の範囲が好ましく、2〜40質量%の範囲がより好ましく、特に5〜30質量%の範囲が好ましい。
【0082】
活性エネルギー線硬化性組成物には、さらに重合開始剤を含有させることが好ましい。かかる重合開始剤としては市販のものを広く使用することができるが、以下に示すような重合開始剤が好ましく用いられる。例えば、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等のアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル等のベンゾフェノン系、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等のヒドロキシアルキルフェノン系、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン等のチオキサントン系、トリエタノールアミン、4−ジメチル安息香酸エチル等のアミン系が挙げられる。
【0083】
重合開始剤の使用量は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して、0.05〜5質量%の範囲が適当であり、0.1〜3質量%の範囲が好ましい。
【0084】
本発明の活性エネルギー線硬化剤組成物を硬化せしめてなる本発明の粘着シートは、カルボキシル基を有する成分を実質的に含まないことが好ましい。粘着シートがカルボキシル基を有する成分を含むと、タッチパネルを構成する透明導電層が腐食するという問題が発生することがある。
【0085】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化せしめてなる本発明の粘着シートが、カルボキシル基を有する成分を実質的に含まないとは、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を構成する、前述のウレタンポリマーや必要に応じて用いられる他のポリマー等の樹脂成分、および重合性モノマーは分子中にカルボキシル基を有していないことを意味する。
【0086】
活性エネルギー線硬化性組成物は、実質的に有機溶剤を含まない、いわゆる、無溶剤型であることが好ましい。ここで、活性エネルギー線硬化性組成物が実質的に有機溶剤を含まないとは、活性エネルギー線硬化性組成物100質量%に含まれる有機溶剤の量が5質量%以下であることを意味し、好ましくは有機溶剤量が3質量%以下であり、より好ましくは有機溶剤量が1質量%以下であり、特に好ましくは有機溶剤を全く含まないことである。
【0087】
上記有機溶剤は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸ブチル、エタノール、メタノールなどの揮発性の高い有機溶剤を対象とし、特に、沸点が130℃以下の有機溶剤を対象とする。上記有機溶剤には、液状の重合性モノマー(例えば反応性希釈剤として用いられるような低分子の(メタ)アクリレートモノマー等)は含まれない。
【0088】
前述の活性エネルギー線硬化性組成物を無溶剤型とすることで、製造工程における安全性や環境性が改善され、また、得られた粘着剤の残存溶剤の大幅な低減が図られる。また、無溶剤型とすることで、粘着シート作製時の乾燥工程を省略することができるので、生産プロセスが短縮されるので好ましい。また、無溶剤型とすることで比較的厚みの大きい粘着シートを生産効率よくの製造できるという利点がある。
【0089】
活性エネルギー線硬化性組成物には、この活性エネルギー線硬化製組成物を硬化することにより得られる粘着剤の黄変防止のために、酸化防止剤や光安定剤を含有させることが好ましい。
【0090】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が好ましく用いられる。光安定剤としては、立体障害ピペリジル基とエチレン性不飽和基とを有する単量体が好ましく用いられる。
【0091】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、エチレンビス(オキシエチレン)ビス〔3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート〕、ヘキサメチレン−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス〔2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド〕、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、N,N’−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン、ジエチル〔(3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル〕ホスフェート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(4−sec−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(4−ネオペンチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル)イソシアヌル酸、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、p−クロロメチルスチレンとp−クレゾールの重縮合物、p−クロロメチルスチレンとジビニルベンゼンの重縮合物、p−クレゾールとジビニルベンゼン重縮合物のイソブチレン反応物、などが挙げられる。
【0092】
上記化合物の中でも、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、エチレンビス(オキシエチレン)ビス〔3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート〕、ヘキサメチレン−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のプロピオネート化合物が好ましく用いられる。
【0093】
リン系酸化防止剤としては、例えばトリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンフォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスホナイト、ジ−t−ブチル−m−クレジル−ホスホナイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−ペンタエリスリールジホスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリールジホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジトリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライル(オクタデシルホスファイト)、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、水添ビスフェノールAホスファイトポリマー、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイトなどが挙げられる。
【0094】
これらの中でも、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト等のトリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、モノフェニルジアルキルホスファイトが好ましく用いられる。
【0095】
本発明に用いることができる、立体障害ピペリジル基とエチレン性不飽和基とを有する単量体について説明する。係る単量体における立体障害ピペリジル基とは、ピペリジル基の2位と6位にそれぞれ1乃至2個のアルキル基を有するものであり、エチレン性不飽和基とは、アクリル基(アクリロイル基)、メタクリル基(メタクリロイル基)、ビニル基、アリル基等であり、エチレン性不飽和基が立体障害ピペリジル基の1位および/または4位に、直接もしくは酸素原子やイミノ基等の連結基を介して結合した化合物である。
【0096】
本発明に好ましく用いられる立体障害ピペリジル基とエチレン性不飽和基とを有する単量体は、下記一般式(1)および(2)で表すことができる。
【0097】
【化1】

【0098】
(式中、R は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは水素原子またはシアノ基を表し、R、Rはそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子またはイミノ基を表す。)
【0099】
【化2】

【0100】
(式中、R12〜R15はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を表し、R16は水素原子またはシアノ基を表し、R17〜R20はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子またはイミノ基を表す。)。
【0101】
前記一般式(1)で表される化合物としては、例えば4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。
【0102】
前記一般式(2)で表される化合物としては、例えば1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。
【0103】
上記した化合物の中でも、一般式(1)で表される化合物が好ましく、特に4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンが好ましく用いられる。
【0104】
上記したヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、および立体障害ピペリジル基とエチレン性不飽和基とを有する単量体の、それぞれの含有比率は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して0.05〜5質量%の範囲が好ましく、0.1〜3質量%の範囲がより好ましい。
【0105】
活性エネルギー線硬化性組成物には、さらに可塑剤を含有させることができる。かかる可塑剤としては、安息香酸ベンジル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチルベンジル、フタル酸ジオクチル、ブチルフタリルブチルグリコレートなどのフタル酸系化合物、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブトキシエチルなどのアジピン酸系化合物、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのセバシン酸系化合物、リン酸トリエチレン、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシレニル、リン酸クレジルフェニルなどのリン酸化合物、ジオクチルセバケート、メチルアセチルリシノレートなどの脂肪酸系化合物、ジイソデシル−4,5−エポキシテトラヒドロフタレートなどのエポキシ系化合物、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリn−オクチル、トリメリット酸トリイソデシルなどのトリメリット酸系化合物、その他オレイン酸ブチル、塩素化パラフィン、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリブテン、ポリイソブチレンなどが挙げられる。
【0106】
上記可塑剤の使用量は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して、1〜20質量%の範囲が好ましい。
【0107】
活性エネルギー線硬化性組成物には、さらに重合禁止剤を含有させることができる。かかる重合禁止剤としてはハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、p−t−ブチルカテコール、2,6−ジブチル−4−メチルフェノール等を用いることができる。
【0108】
また、活性エネルギー線硬化性組成物には、必要に応じて上記以外の各種添加剤、例えば、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、顔料等を含有させることができる。
【0109】
活性エネルギー線硬化型粘着剤からなる粘着剤層は、上記した活性エネルギー線硬化性組成物を所定の厚みに成形もしくは塗工した後、活性エネルギー線を照射して硬化せしめることによって製造することができる。具体的には、離型PETフィルム等の離型処理した基材フィルム上に、上記した活性エネルギー線硬化性組成物を所定の厚みに塗工した後、活性エネルギー線を照射して硬化せしめることによって製造することができる。上記の離型フィルムはタッチパネルに適用される時には剥離除去されるものである。
【0110】
上記活性エネルギー線としては、紫外線、電子線および放射線(α線、β線、γ線など)などが挙げられるが、実用的には、紫外線が簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯などを用いることができる。また、活性エネルギー線を照射するときに、低酸素濃度下で照射を行なうと、効率よく硬化させることができるので好ましい。
【0111】
本発明の粘着シートの厚みは、本発明の粘着シートが用いられる静電容量式タッチパネルの設計仕様に合わせて適宜設定されるが、一般的には50〜1000μmの範囲である。
【0112】
静電容量式タッチパネルには一般的にフレキシブルプリント基板(FPC)およびコントローラーICが必要であり、これらの部材はタッチパネルと表面保護層の間に配置される場合がある。このような仕様において、タッチペネルと表面保護層との間隔は上記部材より大きくなるように設計されるので、タッチパネルと表面保護層を密着するために用いられる本発明の粘着シートの厚みも、それに応じて比較的大きく設計される。
【0113】
また、前述したように一般的に表面保護層には加飾層が設けられており、加飾層の段差を十分に埋めるためにも、粘着シートの厚みはさらに大き目に設計されることが好ましい。
【0114】
上記観点から、本発明の粘着シートの厚みは50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、さらに120μm以上であることが好ましく、特に150μm以上であることが好ましい。厚みの上限は1000μm程度である。粘着シートの厚みが小さすぎる場合は、タッチパネルと表面保護層の空隙を十分に埋めることができずに空気層が存在するという問題、あるいは表面保護層の加飾層の段差が十分に埋めることができずに段差部に気泡が発生するという問題が生じることがある。一方、粘着シートの厚みが大きすぎる場合は、タッチパネルの検出感度が低下したり、最終製品の総厚みが厚くなるなどの不都合が生じる場合がある。
【0115】
上記したように、タッチパネルと表面保護層との間隔が比較的大きくなると、タッチパネルの検出感度が低下するが、本発明の粘着シートを用いることによって検出感度の低下を抑制することが可能となる。
【0116】
本発明の粘着シートは、初期密着力が8N/25mm以上であることが好ましい。タッチパネルと表面保護層を粘着シートで密着するときに、表面保護層に設けられた加飾層の段差部に気泡が発生しやすいという問題があるが、粘着シートの初期密着力を8N/25mm以上とすることにより上記気泡の発生が抑制される。一般的に粘着シートは貼り合わせ後の時間経過とともに密着力は上昇する傾向にあるが、上記の気泡発生の抑制には初期密着力が重要である。
【0117】
粘着シートの初期密着力は、10N/25mm以上がより好ましく、特に11N/25mm以上が好ましい。上限は50N/25mm程度である。ここで、初期密着力とは、粘着シートをソーダガラス板に貼り合わせてから5分後の密着力である。
【0118】
本発明の粘着シートを構成する粘着剤層は、アスカーC硬度が15以上であることが好ましく、18以上がより好ましく、さらに20以上が好ましい。上限は50以下が好ましく、45以下がより好ましく、さらに40以下が好ましく、特に35以下が好ましい。粘着シートを構成する粘着剤層のアスカーC硬度を10N/25mm以上とすることによって、打ち抜き加工性が良好となる。
【0119】
本発明にかかる粘着シートは、タッチパネルあるいは表示装置の画面サイズに合わせて枚葉に打ち抜き加工されることが多く、打ち抜き加工性が良好であることが好ましい。打ち抜き加工性が悪い場合、切断部が打ち抜き刃に再付着して分離できないという問題、打ち抜き刃に粘着剤が付着するという問題、打ち抜きされた枚葉粘着シートの端部が変形し平面性が悪化するという問題が起こる。上記の平面性の悪化は、タッチパネルと表面保護層を密着するときに気泡が発生するという不都合を招くことがある。
【0120】
本発明の粘着シートは、前述したように以下の構成を採用することができる。
(イ)単一の粘着剤層で構成
(ロ)複数の粘着剤層が積層された構成
(ハ)1枚の基材の両面にそれぞれ粘着剤層を積層した構成(いわゆる、両面粘着シート)。
【0121】
本発明の粘着シートが上記(イ)の構成の場合は、粘着剤層の比誘電率がそのまま粘着シートの比誘電率となるので、比誘電率が5.0以上の粘着剤層を用いることが必須である。
【0122】
本発明の粘着シートが上記(ロ)の構成の場合は、粘着シートの比誘電率を5.0以上とするには、少なくとも1つの粘着剤層の比誘電率が5以上であることが必須である。(ロ)の構成において、1つの粘着剤層の比誘電率が5.0以上であっても、もう一方の粘着剤層の比誘電率が5.0未満である場合は、粘着シートの比誘電率が5.0未満となることがあるので、比誘電率が5.0以上の粘着剤層の厚みを比較的大きくし、比誘電率が5未満の粘着剤層と厚みを比較的小さくする必要がある。
【0123】
本発明の粘着シートが上記(ハ)の構成の場合は、粘着シートの比誘電率を5.0以上とするには、少なくとも1つの粘着剤層あるいは基材の比誘電率が5.0以上であることが必須である。(ハ)の構成においても、上記したように比誘電率が5未満の構成部材を含む場合は粘着シートの比誘電率が5.0未満となることがあるので、構成部材の厚みを調整する必要がある。
【0124】
本発明の粘着シートが上記(ハ)の構成の場合は、少なくとも一方の粘着剤層の誘電率が5.0以上で、かつ基材の誘電率が5.0以上であることが好ましい。
【0125】
上記(ロ)および(ハ)のように粘着シートが複数の層(部材)で構成される場合、粘着シートの概略の比誘電率は積層される複数の粘着剤層(あるいは基材)の比誘電率と厚みとから計算で求めることが可能であり、積層タイプの粘着シートの設計の参考とすることができる。
【0126】
粘着シートが、例えば、粘着剤層1と粘着剤層2の積層タイプの場合、この粘着シートを電極間に介在させたときの静電容量C12は、粘着剤層1の静電容量Cと粘着剤層2の静電容量Cを直列接続させたときの合成となり、下記式(1)で表される
1/C12=1/C+1/C ・・・ 式(1)。
【0127】
ここで、コンデンサーの一般式は下記式(2)で表される。
【0128】
C=εrε0A/d ・・・ 式(2)
式2中、Cは静電容量、εrは比誘電率、ε0は真空の誘電率(=8.854×10−12(F/m))、Aは電極面積、dは電極間距離を表す。
【0129】
上記式(1)および(2)より、粘着剤層1と粘着剤層2からなる粘着シートの比誘電率は、下記式(3)から算出できる
εr12=εr1εr2(d+d)/(εr1+εr2) ・・・ 式(3)
式(3)中、εr1は粘着剤層1の比誘電率、εr2は粘着剤層2の比誘電率、dは粘着剤層1の厚み、dは粘着剤層2の厚み、εr12は粘着シートの比誘電率を表す。
【0130】
投影型静電容量式タッチパネルではX電極とY電極の二つの透明導電膜が必要となる。X電極とY電極の二つの透明導電膜は、一枚の基板の両面にそれぞれ積層されるタイプ、一枚の基板の同じ面に順次積層されるタイプ、あるいはX電極が形成された基板とY電極が形成された基板とが積層されるタイプがある。上記のX電極が形成された基板とY電極が形成された基板とが積層されるタイプにおいて、2つの基板を積層密着するのに本発明の粘着シートを用いることが好ましい。この場合の粘着シートの厚みは5〜50μmの範囲が適当である。
【実施例】
【0131】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、本実施例における測定方法と評価方法を以下に示す。
【0132】
1)比誘電率の測定
本実施例で作製した粘着シートについて、Agilent Technologies製のLCRメーターを用いて、平板接触法で100kHzで容量(Cp)を測定し、下記の式から測定試料の比誘電率を算出した。なお、測定時の環境は23±2℃、50±5%RHである。
εr=(ta×Cp)/(A×ε0
εr:測定試料の比誘電率
a:測定試料の厚み(m)
p:容量(F)
A:主電極の面積(m2
ε0:真空の比誘電率(=8.854×10−12(F/m))。
【0133】
2)タッチパネルの検出感度の官能評価
<評価サンプルの作製>
タッチパネルとしてApple製iPhone3Gを用いた。まず、iPhone3Gの既製の表面保護層(強化ガラス)を取り外し、その代わりにアクリル樹脂板(厚み0.8mm)を表面保護層として用いた。タッチパネル表面とアクリル樹脂板とを本実施例で作製した粘着シートで密着して、評価用サンプルを作製した。なお、上記アクリル樹脂板の外周周縁には、画像表示領域を縁取りするための加飾層(黒色印刷層)が設けられている。
なお、実施例5、6および比較例2で作製した積層タイプの粘着シートについては、ウレタン系粘着剤層が表面保護層側となるように配置した。
<評価>
アクリル樹脂板を粘着シートを介在させずにタッチパネルに装着したものをブランクとした。評価者10人にブランクと評価用サンプルをそれぞれ指で操作させて、入力時の操作性の観点からタッチパネルの検出感度を下記5段階で評価させた。10人の評価点の平均点をタッチパネルの検出感度の評価結果とした。
5;ブランクに比べて操作性が非常に良好であると感じた。
4;ブランクに比べて操作性が良好であることをはっきり感じた。
3;ブランクに比べて操作性が僅かに良好であると感じた。
2;ブランクと同程度であると感じた。
1;ブランクより操作性が悪いと感じた。
【0134】
3)初期密着力の測定
本実施例で作製した粘着シートを幅25mmに切断し、一方の離型PETフィルムを剥離した後、厚み100μmポリエチレンテレフタレートフィルムに貼り合わせて24時間経過したものを測定用試料とした。
上記測定用試料のもう一方の離型PETフィルムを剥離して、厚み1.8mmのソーダガラス板上にポリエチレンテレフタレートフィルムに保持された粘着シートを貼り付け、重量が2kgのゴムローラを1往復させて圧着した。圧着して5分間経過後に、テンシロンRTM−100(オリエンテック社製)を用いて剥離速度300mm/分で180度剥離試験を行った。測定は5回行い、最大値と最小値を除いた3回の測定データを平均した。
なお、上記の一連の作業は、23±2℃、50±5%RHの環境下で行った。また上記ガラス板は、メチルエチルケトンで洗浄後、さらにエチルアルコールで洗浄したものを使用した。
また、実施例5、6で作製した積層タイプの粘着シートについては、ウレタン系粘着剤層側をソーダガラス板に貼り付けて測定した。
【0135】
4)アスカーC硬度の測定
合計厚みが約6mmとなるように粘着シートを積層して測定試料を作製した。測定は、SRIS0101(日本ゴム協会標準規格)に準じて、アスカーC硬度計(高分子計測器(株)のデジタルゴム硬度計DD2−C型)を用いて行った。測定は5回行い、最大値と最小値を除いた3回の測定データを平均した。なお、上記の一連の作業は、23±2℃、50±5%RHの環境下で行った。
【0136】
5)重量平均分子量の測定方法
ウレタンプレポリマーの重量平均分子量をGPCにより測定した。測定にはWALTERS GPC−150CPlus(日本WALTERS社製)を用い下記条件にて測定した。
・検出器:WALTERS 2410
・溶媒:テトラヒドロフラン
・カラム:HR4 2本、HR4E 1本(7.5mm×300mm)
・温度:40℃
・濃度:0.2%
・注入量:100μl
・流速:1.0m/m
・n数:3。
【0137】
6)重合性ウレタンポリマーのアクリレート末端比率の測定方法
重合性ウレタンポリマーのアクリレート末端比率は、JISK−1557に準拠し、樹脂をクロロホルム中に溶解させ、無水酢酸を添加しKOHで滴定することにより水酸基価を算出し、水酸基価と重量平均分子量からアクリレート末端比率を算出した。
【0138】
<重合性ウレタンポリマー1の合成>
撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素導入管を装備したフラスコに、ポリプロピレングリコール(旭硝子ウレタン(株)製「エクセノール3020」、数平均分子量3200)97.98質量部、ジラウリル酸ジブチルすず0.11質量部を仕込んだ。次に窒素ガスを吹き込みながら系内を70℃まで昇温し、均一に溶解した後、イソホロンジイソシアネート7.38質量部を加え、3時間攪拌しながら保温した。こうして分子の両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a1)を合成した。引き続き、酸素ガス、窒素ガスを吹き込みながら、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.551質量部、グリセリンジアクリレート0.153質量部、1,3−ブタンジオール0.047質量部を順次加えて、3時間攪拌しながら保温して30分ごとの分子量測定の結果、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5で一定であることを確認し反応を終了し、重合性ウレタンポリマー1(重量平均分子量41500)を得た。この重合性ウレタンポリマー1は、分子の両末端にそれぞれ1個のエチレン性不飽和基を有する重合性ウレタンポリマー(A1)と、分子の一方の末端に1個のエチレン性不飽和基を有しかつ他方の末端に2個のエチレン性不飽和基を有する重合性ウレタンポリマー(A2)と、分子の一方の末端にヒドロキシル基を有しかつ他方の末端に1個のエチレン性不飽和基を有する重合性ウレタンポリマー(B)とを、50:30:20(モル比)の割合で含む。
【0139】
<重合性ウレタンポリマー2の合成>
撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素導入管を装備したフラスコに、ポリプロピレングリコール(旭硝子ウレタン(株)製「エクセノール3020」、数平均分子量3200)97.98質量部、ジラウリル酸ジブチルすず0.11質量部を仕込んだ。次に窒素ガスを吹き込みながら系内を70℃まで昇温し、均一に溶解した後、イソホロンジイソシアネート7.38質量部を加え、3時間攪拌しながら保温した。こうして分子の両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a1)を合成した。引き続き、酸素ガス、窒素ガスを吹き込みながら、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.415質量部を加え、次いで1,3−ブタンジオール0.15質量部を加えて、3時間攪拌しながら保温して30分ごとの分子量測定の結果、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5で一定であることを確認し反応を終了し、重合性ウレタンポリマー2(重量平均分子量41500)を得た。この重合性ウレタンポリマー2のアクリレート末端比率は70%であり、分子の両末端に1個のエチレン性不飽和基を有する重合性ウレタンポリマー(A1)と、分子の一方の末端に1個のヒドロキシル基を有しかつ他方の末端に1個のエチレン性不飽和基を有する重合性ウレタンポリマー(B)とを40:60(モル比)で含む。
【0140】
<重合性ウレタンポリマー3の合成>
撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素導入管を装備したフラスコに、「クラレポリオールP−3010」[クラレ(株)製のポリエステルポリオール(ジオールタイプ、数平均分子量3000)]91.86質量部、ジラウリル酸ジブチルすず0.11質量部を仕込んだ。次に窒素ガスを吹き込みながら系内を70℃まで昇温し、均一に溶解した後、イソホロンジイソシアネート8.65質量部を加え、3時間攪拌しながら保温した。こうして分子の両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a2)を合成した。引き続き、酸素ガス、窒素ガスを吹き込みながら、2−ヒドロキシエチルアクリレート1.27質量部と、1,3−ブタンジオール0.42質量部を順次加え、3時間攪拌しながら保温して30分ごとの分子量測定の結果、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5で一定であることを確認し反応を終了し、重合性ウレタンポリマー3(重量平均分子量22000)を得た。この重合性ウレタンポリマー3のアクリレート末端比率は70%であり、分子の両末端にそれぞれ1個のエチレン性不飽和基を有する重合性ウレタンポリマー(A1)と、分子の一方の末端に1個のヒドロキシル基を有しかつ他方の末端に1個のエチレン性不飽和基を有する重合性ウレタンポリマー(B)とを、40:60(モル比)の割合で含む。
【0141】
<重合性ウレタンポリマー4の合成>
撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素導入管を装備したフラスコに、「エクセノ−ル3020」[旭硝子ウレタン(株)製のポリプロピレングリコール(数平均分子量3200)]97.98質量部、ジラウリル酸ジブチルすず0.11質量部を仕込んだ。次に窒素ガスを吹き込みながら系内を70℃まで昇温し、均一に溶解した後、イソホロンジイソシアネート8.65質量部を加え、3時間攪拌しながら保温した。こうして分子の両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a3)を合成した。引き続き、酸素ガス、窒素ガスを吹き込みながら、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.9質量部と、1,3−ブタンジオール0.7質量部を順次加え、3時間攪拌しながら保温して30分ごとの分子量測定の結果、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5で一定であることを確認し反応を終了し、重合性ウレタンポリマー4(重量平均分子量24000)を得た。この重合性ウレタンポリマー4は、分子の一方の末端に1個のヒドロキシル基を有しかつ他方の末端に1個のエチレン性不飽和基を有する重合性ウレタンポリマー(B)である。
【0142】
(実施例1)
以下の要領で粘着シートを作製した。
<無溶剤型の活性エネルギー線硬化型組成物の調製>
前記重合性ウレタンポリマー1を90質量部、重合性モノマーとして4−ヒドロキシブチルアクリレートを14質量部、フェノキシエチルアクリレートを10質量部、重合開始剤としてヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ(株)「イルガキュアー184」)を0.7質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を1質量部、リン系酸化防止剤としてトリフェニルホスファイトを0.5質量部、立体障害ピペリジル基とエチレン性不飽和基とを有する単量体として4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを0.5質量部加えて均一に混合することにより、無溶剤型の活性エネルギー線硬化性組成物(紫外線硬化性組成物)を調製した。
<粘着シートの作製>
上記の活性エネルギー線硬化型組成物を、離型PETフィルム(東レフィルム加工(株)製のセラピール(登録商標))上に、スリットダイコーターで塗工した後、窒素ガスの吹き付けによって酸素濃度が300ppmの状態で、メタルハライドランプを用いて紫外線照射(積算光量1500mJ/cm)して粘着剤層を形成し、さらに粘着剤層上に離型PETフィルム(東レフィルム加工(株)製のセラピール(登録商標))を積層して粘着シートを作製した。得られた粘着シートの厚みは175μm(離型PETフィルムは含まない)であった。
【0143】
(実施例2)
<無溶剤型活性エネルギー線硬化性組成物の調製>
実施例1の重合性ウレタンポリマー1を重合性ウレタンポリマー2に変更する以外は、実施例1と同様にして無溶剤型活性エネルギー線硬化性組成物(紫外線硬化性組成物)を調製した。
<粘着シートの作製>
上記の無溶剤型活性エネルギー線硬化性組成物を用いる以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0144】
(実施例3)
<無溶剤型活性エネルギー線硬化性組成物の調製>
重合性ウレタンポリマー3を82質量部、重合性モノマーとして2−エチルヘキシルアクリレートを13質量部、重合開始剤としてヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ(株)「イルガキュアー184」)を1質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を1質量部、リン系酸化防止剤としてトリフェニルホスファイトを0.5質量部、立体障害ピペリジル基とエチレン性不飽和基とを有する単量体として4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを0.5質量部加えて均一に混合することにより、無溶剤型の活性エネルギー線硬化性組成物(紫外線硬化性組成物)を調製した。
<粘着シートの作製>
上記の無溶剤型活性エネルギー線硬化性組成物を用いる以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0145】
(実施例4)
<無溶剤型活性エネルギー線硬化性組成物の調製>
実施例3の無溶剤型活性エネルギー線硬化性組成物の調製において、重合性ウレタンポリマー3を重合性ウレタンポリマー4に変更する以外は、実施例3と同様にして無溶剤型の活性エネルギー線硬化性組成物(紫外線硬化性組成物)を調製した。
<粘着シートの作製>
上記の無溶剤型活性エネルギー線硬化性組成物を用いる以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0146】
(実施例5)
溶剤系の熱硬化型アクリル系粘着剤(東洋インキ製造(株)製、商品名「BPS6271」)100質量部と、イソシアネート系架橋剤(東洋インキ製造(株)製、商品名「BXX6105」)1.5質量部を混合して粘着剤組成物を調製した。
この粘着剤組成物を乾燥厚みが50μmとなるように、離型PETフィルム(東レフィルム加工(株)製のセラピール(登録商標))上にスロットダイコーターで塗工し、乾燥して粘着剤層を形成し、40℃で2日間エージングした。
次に、上記で得られた粘着剤層の上に、実施例1の無溶剤型の活性エネルギー線硬化性組成物(紫外線硬化性組成物)を、硬化後の厚みが125μmとなるようにスリットダイコーターで塗工した後、窒素ガスの吹き付けによって酸素濃度が300ppmの状態で、メタルハライドランプを用いて紫外線照射(積算光量1500mJ/cm)して粘着剤層を積層した。さらに粘着剤層上に離型PETフィルム(東レフィルム加工(株)製のセラピール(登録商標))を積層して粘着シートを作製した。
このようにして得られた粘着シートは、アクリル系粘着剤層(厚み50μm)とウレタン系粘着剤層(厚み125μm)との積層構成の粘着シートである。
【0147】
(実施例6)
実施例5において、アクリル系粘着剤層の厚みを25μm、ウレタン系粘着剤層の厚みを150μmに変更する以外は、実施例5と同様にして積層構成の粘着シートを作製した。
【0148】
(比較例1)
アクリル系粘着剤からなる粘着シートとして、3M社製の「OCA(OpticallyClear Adhesive)8187」(厚み175μm)を用いた。
【0149】
(比較例2)
実施例5において、アクリル系粘着剤層の厚みを88μm、ウレタン系粘着剤層の厚みを88μmに変更する以外は、実施例5と同様にして積層構成の粘着シートを作製した。
<評価>
上記で作製した実施例と比較例の粘着シートについて検出感度を評価した。その結果を表1に示す。
【0150】
【表1】

【0151】
本発明の実施例1〜6は、比誘電率が5.0以上の粘着シートを用いているので、タッチパネルの検出感度がいずれも良好であった。一方、比較例1および比較例2は、誘電率が5.0未満の粘着シートを用いているので検出感度が劣っていた。
【0152】
次に、実施例1〜6について初期密着力とアスカーC硬度を測定した結果を表2に示す。
【0153】
【表2】

【0154】
初期密着力が8N/25mm以上である実施例1、2、4、5、6は、表面保護層に設けられた加飾層(黒色印刷層)の段差部での気泡の発生がなかった。実施例3は、初期密着力が8N/25mm未満であり、気泡の発生が僅かに認められた。
【0155】
アスカーC硬度が15以上である実施例1、3、5、6は、打ち抜き加工時に切断部が打ち抜き刃に再付着して分離できないという問題や打ち抜き刃に粘着剤が付着するという問題はなく、打ち抜き加工性が良好であった。実施例2、4は、アスカーC硬度が15未満であり、打ち抜き加工時に切断部が打ち抜き刃に再付着して分離できないということがしばしば起こった。
【符号の説明】
【0156】
1 静電容量式タッチパネル
2 本発明の粘着シート
3 表面保護層
4 加飾層
5 表示パネル
6 粘着シート
10 表面保護層付き静電容量式タッチパネル
20 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量式タッチパネルと表面保護層との間に配置される粘着シートであって、比誘電率が5.0以上であることを特徴とする粘着シート。
【請求項2】
前記粘着シートがウレタン系粘着剤からなる粘着剤層を含む、請求項1の粘着シート。
【請求項3】
前記ウレタン系粘着剤が活性エネルギー線硬化型粘着剤である、請求項2の粘着シート。
【請求項4】
厚みが50〜1000μmである、請求項1〜3のいずれかの粘着シート。
【請求項5】
静電容量式タッチパネルと表面保護層とが請求項1〜4のいずれかの粘着シートを介して密着されてなる、表面保護層付きタッチパネル。
【請求項6】
請求項5の表面保護層付きタッチパネルを備えた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−251030(P2012−251030A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123034(P2011−123034)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000222462)東レフィルム加工株式会社 (142)
【Fターム(参考)】