説明

粘着シート

【課題】生産性の高い方法で剥離剤層表面に凹凸形状を施して得られたセパレータを粘着剤層面に貼着した粘着シートであって、該セパレータを剥離することによる静電気の発生を抑制する剥離帯電防止性を継続的に発揮することができる粘着シートを提供する。
【解決手段】イオン液体及びベースポリマーとしてガラス転移温度(Tg)が0℃以下のポリマーを含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層の少なくとも片面側に、セパレータ基材の少なくとも片面側に水滴を形成させた後、該セパレータ基材の水滴を形成させた面上に剥離剤を含有する有機溶剤溶液を塗布し、続いて、有機溶剤及び水滴2を除去し、剥離剤を乾燥及び/又は硬化させて表面に凹凸形状が施された剥離剤層を形成したセパレータが、前記凹凸形状が施された剥離剤層が前記粘着剤層側となるようにして貼り合わされている粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離剤層表面に凹凸形状(凹凸構造)を有するセパレータを粘着剤層面に貼着した粘着シートであって、該セパレータを剥離することによる静電気の発生を抑制することができる粘着シートに関する。本発明の粘着シートは、静電気が発生しやすいプラスチック製製品、静電気を嫌う電子機器、静電気により埃等が付着することを嫌う場面等において好適に使用される。
【背景技術】
【0002】
粘着シートは、常温で短時間、わずかな圧力を加えるだけで接着することができるため、各種物品の接合において様々な用途で用いられている。例えば、光学用途において液晶ディスプレイのパネルは液晶セルに粘着剤を介して偏光板や波長板等の光学部材を貼り合せることにより形成されている。さらにまた、粘着シートは適度に接着する反面、硬い平滑面から再剥離することもでき、表面保護フィルムとしても利用されている。より具体的な使用態様としては、機能性フィルム、導電性フィルム、表面保護フィルム、支持体の両面に粘着剤を塗布した両面粘着シート、支持体を持たない基材レスの両面粘着シート等粘着加工した粘着加工品形態等が挙げられる。
【0003】
そして、これらの多くの場合、粘着剤層を保護する目的でセパレータ等が用いられている。セパレータは、紙、プラスチックフィルム、プラスチックラミネート紙等の基材の少なくとも片面に、シリコーン等の剥離剤を塗布し、乾燥及び/又は硬化させて剥離剤層を設けたものであり、粘着シート、粘着テープ、ラベル等の粘着剤層表面を保護するために該粘着剤層表面に貼着して用いられ、光学部材等の被着体に貼り合わせる際に剥離して除去される。
【0004】
一般に、セパレータや光学部材はプラスチック材料で構成されているため電気絶縁性が高く、摩擦や剥離により静電気を発生しやすい。そして、セパレータを偏光板等の光学部材や粘着シート、表面保護フィルムから剥離することにより静電気(剥離帯電)が発生し、静電気が残ったままの状態で液晶に電圧を印加すると、液晶分子の配向が損失したりパネルの欠損が生じてしまうといった問題、ならびに、かかる静電気により粘着面にゴミや埃が付着し、光学部材を汚染してしまうといった問題が生じたりする。そこで、このような不具合を防止するために各種帯電防止処理が施されている。しかしながら、従来の帯電防止処理では、帯電防止効果が経時的に低下するなどの問題があった。
【0005】
一方、剥離剤層表面に微細凹凸形状を有するセパレータとしては、粘着シート(例えば、粘着シート、ラベル等のシート状やテープ状の形態としたもの)を貼り付ける際に被着体との間に気泡が生じるのを防止したり、貼り直しや貼付位置の修正を容易にしたりするために、粘着シートの粘着剤層表面に微細構造化面(微細構造が施された面)を形成することが提案されており、これらの微細構造を形成するための鋳型としてセパレータの微細凹凸形状が使用されることが知られている(特許文献1〜3参照)。また、剥離力を調節するために微細凹凸構造を有するセパレータが使用される場合もある(特許文献4参照)。
【0006】
セパレータの剥離剤層表面に微細凹凸形状を付与する方法としては、いくつかの方法が知られているが、従来の方法では以下のような問題があった。すなわち、表面に凹凸形状を付与した基材に剥離剤を塗布する方法では、剥離剤を均一な厚さで塗布するのが困難であり剥離剤層の厚さにムラが生じやすいため、安定した剥離力を得ることが困難であった。また、基材に剥離剤層を設けたセパレータに後工程で凹凸形状を付与する方法では、剥離剤層を設ける工程と凹凸形状を形成する工程が別々に必要になることや、凹凸形状を形成する工程は加熱したロールによる形状転写が一般的であり、速度が遅く生産性の点で問題があった。さらに、シリコーンを二度塗工して凹凸形状を付与する方法もまた、塗工工程が2回必要となり、生産性が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−145660号公報
【特許文献2】特表2004−506777号公報
【特許文献3】特開2006−070273号公報
【特許文献4】特開2005−171030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、生産性に優れ、安定した剥離力を有するセパレータを粘着剤層面に貼着した粘着シートであって、該セパレータを剥離することによる静電気の発生を抑制する剥離帯電防止性を継続的に発揮することができる粘着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、セパレータ基材の少なくとも一方の面に水滴を形成した後、該セパレータ基材の水滴形成面上に剥離剤の有機溶剤溶液を塗布し、続いて、有機溶剤及び水滴を除去し、剥離剤を乾燥及び/又は硬化させることでセパレータの剥離剤層表面に効率よく凹凸形状を形成することができ、安定した剥離力を発揮することができるセパレータを得ることができることを見いだした。さらに、イオン液体及び特定のガラス転移温度を有するポリマーを含む粘着剤層を有する粘着シートは帯電防止性及び粘着力に優れ、該粘着シートの粘着剤層に上記セパレータを貼着すると、被着体に粘着シートを貼り合わせる際にセパレータを剥離しても、静電気が発生することを防止できること、及びイオン液体は不揮発性であるため経時的に帯電防止性が消失することがないことを見いだし、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、イオン液体及びベースポリマーとしてガラス転移温度(Tg)が0℃以下のポリマーを含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層の少なくとも片面側に、セパレータ基材の少なくとも片面側に水滴を形成させた後、該セパレータ基材の水滴を形成させた面上に剥離剤を含有する有機溶剤溶液を塗布し、続いて、有機溶剤及び水滴を除去し、剥離剤を乾燥及び/又は硬化させて表面に凹凸形状が施された剥離剤層を形成したセパレータが、前記凹凸形状が施された剥離剤層が前記粘着剤層側となるようにして貼り合わされている粘着シートを提供する。
【0011】
前記粘着シートにおいて、水滴を形成させる方法としては、加湿により基材表面を結露させる方法、又は水を噴霧する方法の何れかであることが好ましい。
【0012】
剥離剤としては、熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤が好ましい。
【0013】
イオン液体としては、含窒素オニウム塩、含硫黄オニウム塩、又は含リンオニウム塩から選択される1以上であることが好ましく、なかでも、下記式(A)〜(D)で表されるカチオンから選択される1以上を含むことが好ましい。
【化1】

[式(A)中、Raは、炭素数4から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいても良く、Rb及びRcは、同一又は異なって、水素又は炭素数1から16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいても良い。但し、窒素原子が2重結合を含む場合、Rcはない。
式(B)中、Rdは、炭素数2から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいても良く、Re、Rf及びRgは、同一又は異なって、水素又は炭素数1から16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいても良い。
式(C)中、Rhは、炭素数2から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいても良く、Ri、Rj及びRkは、同一又は異なって、水素又は炭素数1から16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいても良い。
式(D)中、Zは、窒素、硫黄、リン原子を表し、Rl、Rm、Rn、及びRoは、同一又は異なって、炭素数1から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいても良い。但し、Zが硫黄原子の場合、Roはない]
【0014】
ガラス転移温度(Tg)が0℃以下のポリマーとしては、炭素数1〜14のアルキル基を有す(メタ)アクリレートを主成分とするアクリル系ポリマーが好ましい。
【0015】
本発明の粘着シートは、表面保護フィルムとして使用することができる。
【0016】
本発明は、また、イオン液体及びベースポリマーとしてガラス転移温度(Tg)が0℃以下のポリマーを含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層の少なくとも片面側に、セパレータ基材の少なくとも片面側に水滴を形成させた後、該セパレータ基材の水滴を形成させた面上に剥離剤を含有する有機溶剤溶液を塗布し、続いて、有機溶剤及び水滴を除去し、剥離剤を乾燥及び/又は硬化させて表面に凹凸形状が施された剥離剤層を形成したセパレータを、前記凹凸形状が施された剥離剤層が前記粘着剤層側となるようにして貼り合わせることを特徴とする粘着シートの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の粘着シートは、剥離剤層表面に凹凸形状を有するセパレータを使用する。該セパレータは剥離剤を乾燥及び/又は硬化させる工程中で剥離剤層表面に凹凸形状を付与する方法で製造されるため効率よく生産することができ、また、その製造方法により均一な剥離剤層を形成することができ、安定した剥離性を発揮することができる。また、粘着剤層に、ベースポリマーとしてガラス転移温度(Tg)が0℃以下のポリマーを含有するため、優れた粘着力で被着体を保持することができ、また、不揮発性のイオン液体を含有するため、セパレータの剥離により発生した電荷の偏りを中和することができ、優れた帯電防止性を継続して発揮することができる。従って、前記のセパレータを粘着剤層に貼り合わせた本発明にかかる粘着シートは、生産性に優れ、被着体に貼り合わせる際にセパレータを剥離しても、静電気の発生を防止することができる。本発明にかかる粘着シートは、埃を嫌う光学用途、例えば液晶ディスプレイのパネルにおいて液晶セルを偏光板や波長板等の光学部材と貼り合せる用途や表面保護フィルム等に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】セパレータ基材の少なくとも一方の面に水滴を形成させる工程終了後の状態の一例を示す概略断面図である。
【図2】水滴形成面に剥離剤溶液を塗布して剥離剤塗布層を形成する工程終了後の状態の一例を示す概略断面図である。
【図3】有機溶剤及び水滴を除去し、剥離剤を乾燥及び/又は硬化させ、表面に凹凸形状を有する剥離剤処理層を形成する工程の乾燥前期の状態の一例を示す概略断面図である。
【図4】本発明のパレータの一例を示す概略断面図である。
【図5】セパレータ(1)の剥離剤処理層表面における2D画像を示すレーザー顕微鏡写真である。
【図6】セパレータ(1)の剥離剤処理層表面における3D画像を示すレーザー顕微鏡写真である。
【図7】セパレータ(2)の剥離剤処理層表面における2D画像を示すレーザー顕微鏡写真である。
【図8】セパレータ(2)の剥離剤処理層表面における3D画像を示すレーザー顕微鏡写真である。
【図9】セパレータ(3)の剥離剤処理層表面における2D画像を示すレーザー顕微鏡写真である。
【図10】セパレータ(3)の剥離剤処理層表面における3D画像を示すレーザー顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明にかかる粘着シートは、イオン液体及びベースポリマーとしてガラス転移温度(Tg)が0℃以下のポリマーを含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層の少なくとも片面側に、セパレータ基材の少なくとも片面側に水滴を形成させた後、該セパレータ基材の水滴を形成させた面上に剥離剤を含有する有機溶剤溶液を塗布し、続いて、有機溶剤及び水滴を除去し、剥離剤を乾燥及び/又は硬化させて表面に凹凸形状を有する剥離剤層を形成したセパレータを有する。上記粘着シートは、片面のみが粘着面となっている片面粘着シートであってもよく、両面が粘着面となっている両面粘着シートであってもよい。また、粘着剤層のみからなる基材レスタイプの粘着シートであってもよく、基材の少なくとも片面側に粘着剤層を有する基材付きタイプの粘着シートであってもよい。
【0020】
[粘着剤組成物]
本発明の粘着剤組成物は、イオン液体及びベースポリマーとしてガラス転移温度(Tg)が0℃以下のポリマーを含有する。
【0021】
(イオン液体)
イオン液体とは、25℃で液状を呈する溶融塩(イオン性化合物)をいう。イオン液体を用いることにより優れた帯電防止性が得られる理由の詳細は明らかでないが、次のように推測される。すなわち、イオン液体は液状であるため、一般に使用される界面活性剤と比べ分子運動が容易であり、電荷の偏りが発生した際に分子の再配列が起き易い。従って、イオン液体を用いた場合には分子再配列による電荷中和機構が働くため、優れた帯電防止効果が得られると考えられる。また、イオン液体は室温で液状を呈するため、固体の塩と比べ粘着剤への添加及び分散又は溶解が容易に行える。さらに、イオン液体は蒸気圧がない(不揮発性)のため、経時で消失することもなく、帯電防止性が継続して得られる特徴を有する。
【0022】
本発明のイオン液体としては、なかでも含窒素オニウム塩、含硫黄オニウム塩、含リンオニウム塩が好ましく、特に優れた帯電防止能が得られる理由から上記一般式(A)〜(D)で表される有機カチオン成分とアニオン成分からなる塩が好ましく用いられる。
【0023】
式(A)で表されるカチオンとしては、例えば、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有すカチオン、ピロール骨格を有すカチオン等が挙げられる。具体例としては、例えば、1−エチルピリジニウムカチオン、1−ブチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムカチオン等のピリジニウムカチオン;1−プロピルピぺリジニウムカチオン、1−ペンチルピぺリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピぺリジニウムカチオン、1−メチル−1−エチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピぺリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピぺリジニウムカチオン、1−メチル−1−ペンチルピぺリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘキシルピぺリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘプチルピぺリジニウムカチオン、1−エチル−1−プロピルピぺリジニウムカチオン、1−エチル−1−ブチルピぺリジニウムカチオン、1−エチル−1−ペンチルピぺリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘキシルピぺリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘプチルピぺリジニウムカチオン、1,1−ジプロピルピぺリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ブチルピぺリジニウムカチオン、1,1−ジブチルピぺリジニウムカチオン等のピペリジニウムカチオン;1,1−ジメチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−エチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘキシルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘプチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘキシルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘプチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジプロピルピロリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジブチルピロリジニウムカチオン等のピロリジニウムカチオン;2−メチル−1−ピロリンカチオン、1−エチル−2−フェニルインドールカチオン、1,2−ジメチルインドールカチオン、1−エチルカルバゾールカチオン等が挙げられる。
【0024】
式(B)で表されるカチオンとしては、例えば、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン等が挙げられる。具体例としては、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムカチオン;1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン等のテトラヒドロピリミジニウムカチオン;1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン等のジヒドロピリミジニウムカチオン等が挙げられる。
【0025】
式(C)で表されるカチオンとしては、例えば、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン等が挙げられる。具体例としては、例えば、1−メチルピラゾリウムカチオン、3−メチルピラゾリウムカチオン、1−エチル−2−メチルピラゾリニウムカチオン等が挙げられる。
【0026】
式(D)で表されるカチオンとしては、例えば、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンや、上記アルキル基の一部がアルケニル基やアルコキシル基、さらにはエポキシ基に置換されたもの等が挙げられる。具体例としては、例えば、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、トリメチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリエチルプロピルアンモニウムカチオン、トリエチルペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N―メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン等のテトラアルキルアンモニウムカチオン;トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン等のトリアルキルスルホニウムカチオン;テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオン等のテトラアルキルホスホニウムカチオン等が挙げられる。
【0027】
本発明においては、上記カチオン成分のなかでも、式(A)で表されるカチオン(特に、1−エチルピリジニウムカチオン、1−ブチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムカチオン等のピリジニウムカチオン)、式(D)で表されるカチオン(特に、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオン等の非対称のテトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンやN,N−ジエチル−N―メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオン等)などが特に優れた帯電防止能が得られる点で好ましく用いられる。
【0028】
一方、アニオン成分としては、上記カチオン成分と共にイオン液体を形成することができるものであればよく、例えば、Cl-、Br-、I-、AlCl4-、Al2Cl7-、BF4-、PF6-、ClO4-、NO3-、CH3COO-、CF3COO-、CH3SO3-、CF3SO3-、(CF3SO22-、(CF3SO23-、AsF6-、SbF6-、NbF6-、TaF6-、F(HF)n-、(CN)2-、C49SO3-、(C25SO22-、C37COO-、(CF3SO2)(CF3CO)N-等が挙げられる。なかでも、フッ素原子を含むアニオン成分は、低融点のイオン性化合物が得られることから好ましく用いられる。
【0029】
本発明におけるイオン液体は、上記カチオン成分とアニオン成分の組み合わせから適宜選択して用いられ、例えば、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ヘキシルピリジニウムテトラフルオロボレート、1,1−ジメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘプチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘキシルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘプチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ペンチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘプチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘキシルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘプチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピぺリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘプチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘキシルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘプチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ペンチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘプチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘキシルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ヘプチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピぺリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、2−メチル−1−ピロリンテトラフルオロボレート、1−エチル−2−フェニルインドールテトラフルオロボレート、1,2−ジメチルインドールテトラフルオロボレート、1−エチルカルバゾールテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、3−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−
N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、テトラヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、ジアリルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N―メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチル−N―メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、N,N−ジエチル−N―メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N―メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルビス(ペンタフルオロエタンタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
【0030】
イオン液体の合成方法としては、目的とするイオン液体を得ることができれば特に限定されないが、一般的には、文献「イオン液体 −開発の最前線と未来−」[(株)シーエムシー出版発行]に記載されているような、ハロゲン化物法、水酸化物法、酸エステル法、錯形成法、及び中和法等が用いられる。下記にハロゲン化物法、水酸化物法、酸エステル法、錯形成法、及び中和法について含窒素オニウム塩を例にその合成方法について示すが、含硫黄オニウム塩、含リンオニウム塩等その他のイオン液体についても同様の手法により得ることができる。
【0031】
ハロゲン化物法は、下記式(1)〜(3)に示すような反応によって行われる。
まず、3級アミン(R3N)とハロゲン化アルキル(RX:Xはハロゲン原子を示し、例えば、塩素、臭素、ヨウ素が用いられる)と反応させてハロゲン化物(R4NX)を得る(式(1))。
得られたハロゲン化物を、目的とするイオン液体のアニオン構造(A-)を有する酸(HA)あるいは塩(MA:Mはアンモニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム等、目的とするアニオンと塩を形成するカチオン)と反応させて目的とするイオン液体(R4NA)が得られる(式(2)、(3))。
3N+RX→R4NX (X:Cl,Br,I) (1)
4NX+HA→R4NA+HX (2)
4NX+MA→R4NA+MX (M:NH4,Li,Na,K,Ag等) (3)
【0032】
水酸化物法は、下記式(4)〜(8)に示すような反応によって行われる。
まず、ハロゲン化物(R4NX)をイオン交換膜法電解(式(4))、OH型イオン交換樹脂法(式(5))又は酸化銀(Ag2O)との反応(反応式(6))で水酸化物(R4NOH)を得る。
得られた水酸化物を上記ハロゲン化法と同様に反応式(7)、(8)の反応の用いて目的とするイオン液体(R4NA)が得られる。
4NX+H2O→R4NOH+1/2H2+1/2X2 (X:Cl,Br,I) (4)
4NX+P−OH→R4NOH+P−X (P−OH:OH型イオン交換樹脂) (5)
4NX+1/2Ag2O+1/2H2O→R4NOH+AgX (6)
4NOH+HA→R4NA+H2O (7)
4NOH+MA→R4NA+MOH (M:NH4,Li,Na,K,Ag等) (8)
【0033】
酸エステル法は、下記式(9)〜(11)に示すような反応によって行われる。
まず、3級アミン(R3N)を酸エステル(ROY)と反応させて酸エステル物(R4NOY)を得る(式(9))。酸エステルとしては、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、炭酸等の無機酸のエステルやメタンスルホン酸、メチルホスホン酸、蟻酸等の有機酸のエステル等が用いられる。
得られた酸エステル物(R4NOY)を上記ハロゲン化法と同様に反応式(10)、(11)の反応の用いて目的とするイオン液体(R4NA)が得られる。また、酸エステルとしてメチルトリフルオロメタンスルホネート、メチルトリフルオロアセテート等を用いることにより、直接イオン液体を得ることもできる。
3N+ROY→R4NOY (9)
【化2】

4NOY+HA→R4NA+HOY (OY:O(C=O)ORの場合には、R4NO(C=O)OR+HA→R4NA+CO2+ROH) (10)
4NOY+MA→R4NA+MOY (M:NH4,Li,Na,K,Ag等) (11)
【0034】
錯形成法は、下記式(12)〜(15)に示すような反応によって行われる。
まず、4級アンモニウムのハロゲン化物(R4NX)、4級アンモニウムの水酸化物(R4NOH)、4級アンモニウムの炭酸エステル化物(R4NOCO2CH3)等をフッ化水素(HF)やフッ化アンモニウム(NH4F)と反応させてフッ化4級アンモニウム塩を得る(式(12)〜(14))。
得られたフッ化4級アンモニウム塩をBF3,AlF3,PF5,ASF5,SbF5,NbF5,TaF5等のフッ化物と錯形成反応により、イオン液体を得ることができる(式(15))。
4NX+HF→R4NF+HX (X:Cl,Br,I) (12)
4NY+HF→R4NF+HY (Y:OH,OCO2CH3) (13)
4NY+NH4F→R4NF+NH3+HY (Y:OH,OCO2CH3) (14)
4NF+MFn-1→R4NMFn (MFn-1:BF3,AlF3,PF5,ASF5,SbF5,NbF5,TaF5等) (15)
【0035】
中和法は、下記式(16)に示すような反応によって行われる。
3級アミンとHBF4,HPF6,CH3COOH,CF3COOH,CF3SO3H,(CF3SO22NH,(CF3SO23CH,(C25SO22NH等の有機酸とを反応させることにより得ることができる。
3N+HZ→R3HN+Z− [HZ:HBF4,HPF6,CH3COOH,CF3COOH,CF3SO3H,(CF3SO22NH,(CF3SO23CH,(C25SO22NH等の有機酸] (16)
【0036】
なお、上記式(1)〜(16)中のRは、水素原子又は炭素数1から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいても良い。
【0037】
イオン液体の配合量としては、使用するポリマーとイオン液体の相溶性により適宜調整することができ、例えば、ポリマー100重量部に対して、0.01〜40重量部が好ましく、0.05〜20重量部がより好ましく、0.1〜10重量部がさらに好ましく、0.2〜4重量部が最も好ましい。イオン液体の配合量が0.01重量部未満であると十分な帯電防止特性が得られにくくなる傾向があり、一方、イオン液体の配合量が40重量部を超えると被着体への汚染が増加する傾向がある。
【0038】
(ベースポリマー)
本発明では、ベースポリマーとしてガラス転移温度(Tg)が0℃以下のポリマーが用いられるが、なかでもガラス転移温度(Tg)が−100℃〜−5℃が好ましく、特に−80℃〜−10℃が好ましい。ガラス転移温度(Tg)が0℃を超えると、イオン液体を含有する場合でも、十分な粘着力を得ることが困難となる。
【0039】
ガラス転移温度(Tg)が0℃以下のポリマーとしては、炭素数1〜14のアルキル基を有すアクリレート及び/又はメタクリレート(以下、(メタ)アクリレートと称す場合がある)の1種又は2種以上を主成分とするアクリル系ポリマー、天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SISブロック共重合体)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBSブロック共重合体)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBSブロック共重合体)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム等の一般的に粘着剤のポリマーとして使用されるポリマーが挙げられる。
【0040】
これらのなかでもイオン液体との相溶性のバランス及び優れた粘着特性が得られることから、炭素数1〜14のアルキル基を有す(メタ)アクリレートの1種又は2種以上を主成分とするアクリル系ポリマーが好ましく、特に、炭素数1〜14のアルキル基を有す(メタ)アクリレートの1種又は2種以上を50〜100重量%含有する単量体を主成分とする、重量平均分子量が10万以上のアクリル系ポリマーが好ましい。
【0041】
炭素数1〜14のアルキル基を有す(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0042】
本発明の粘着シートを表面保護フィルムに用いる場合には、アクリル系ポリマーとしてヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート等の炭素数6〜14のアルキル基を有す(メタ)アクリレートからなるアクリル系ポリマーが好適に用いられる。これらの炭素数6〜14のアルキル基を有す(メタ)アクリレートからなるアクリル系ポリマーを用いることにより、被着体への粘着力を低く制御することが容易となり、再剥離性に優れたものとなる。
【0043】
その他の成分としては、粘着性能のバランスが取りやすい理由から、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下(通常−100℃以上)になる範囲で、適宜スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物等の凝集力・耐熱性向上成分や、カルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテル類、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等の接着力向上や架橋化基点として働く官能基を有す成分を用いることができる。その他の成分は1種又は2種以上併用して用いることができる。
【0044】
但し、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸官能基を有す(メタ)アクリレートを用いる場合は、アクリル系ポリマーの酸価が39以下(特に、酸価が30未満)になるように調整する方が好ましい。アクリル系ポリマーの酸価が39を超えると、帯電防止特性が悪くなる傾向にある。
【0045】
酸価は、酸官能基を有す(メタ)アクリレートの配合量により調整することができ、例えばカルボキシル基を有すアクリル系ポリマーとして2−エチルヘキシルアクリレートとアクリル酸を共重合したアクリル系ポリマーが挙げられるが、この場合、2−エチルヘキシルアクリレートとアクリル酸の合計量100重量部に対して、アクリル酸は5・0重量部以下に調整することで上記酸価の値を満足することができる。また、表面保護フィルムに用いる場合には、アクリル系ポリマーの酸価が1以下になるように調整する方が好ましい。アクリル系ポリマーの酸価を1以下にすることで被着体からの易剥離性に優れた表面保護フィルムを得ることができる。
【0046】
スルホン酸基含有モノマーとしては、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
【0047】
リン酸基含有モノマーとしては2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートが挙げられる。シアノ基含有モノマーとしてはアクリロニトリルが挙げられる。ビニルエステル類としては酢酸ビニルが挙げられる。芳香族ビニル化合物としてはスチレンが挙げられる。カルボキシル基含有モノマーとしては(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。酸無水物基含有モノマーとしては無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
【0048】
ヒドロキシル基含有モノマーとしては2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
【0049】
アミド基含有モノマーとしては(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0050】
アミノ基含有モノマーとしてはN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。エポキシ基含有モノマーとしてはグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0051】
ビニルエーテル類としてはビニルエチルエーテルが挙げられる。
【0052】
本発明のアクリル系ポリマーとしては、さらに優れた低汚染性を発現させるためにアルキレングリコール含有アクリレートやアルキレンオキシド基含有反応性界面活性剤等のエーテル基含有モノマー成分を共重合成分として用いることができる。エーテル基含有モノマー成分を共重合することによりかかる特性を発現する理由の詳細は明らかではないが、エーテル基にイオン液体が配位することでイオン液体がブリードしにくくなり、優れた帯電防止性と低汚染性を両立して実現していると推測される。
【0053】
アルキレングリコール含有アクリレートとしては、オキシアルキレン単位として炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基を有するアクリレートが好ましい。アルキレン基の具体例としては、例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられる。(メタ)アクリートへのオキシアルキレン単位の付加モル数としては、イオン液体が配位する観点から1〜50程度、なかでも2〜30がより好ましい。オキシアルキレン鎖の末端は、水酸基のままであってもよく、アルキル基、フェニル基等で置換されていてもよい。
【0054】
アルキレングリコール基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、メトキシ―ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ―トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のメトキシ―ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型;エトキシ―ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ―トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のエトキシ―ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型;ブトキシ―ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシ―トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のブトキシ―ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型;フェノキシ―ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ―トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のフェノキシ―ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型;メトキシ―ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のメトキシ―ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート型等が挙げられる。
【0055】
上記アルキレングリコール基含有(メタ)アクリレートは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、(メタ)アクリル系ポリマーの単量体成分中、50重量%未満であることが好ましく、0.05〜30重量%がより好ましい。アルキレングリコール基含有(メタ)アクリレートを上記範囲含有すると、低汚染性に優れると共に優れた帯電防止効果を発揮することができる。
【0056】
アルキレンオキシド基含有反応性界面活性剤とは、反応性不飽和結合を有しているアルキレンオキシド基含有化合物をいう。具体例としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基又はアリル基を有するアニオン型反応性界面活性剤、ノニオン型反応性界面活性剤、カチオン型反応性界面活性剤が挙げられる。なかでも、エチレンオキシド基を有すアクリロイル基、メタクリロイル基又はアリル基を有するアニオン型反応性界面活性剤、ノニオン型反応性界面活性剤、カチオン型反応性界面活性剤等が好適に用いられる。
【0057】
アニオン型反応性界面活性剤としては、下記式(A1)〜(A13)で表せられるもの等が挙げられる。
【化3】

[式(A1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1から30の炭化水素基又はアシル基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム基、炭素数1から4のヒドロキシアルキルアンモニウム基を表し、R3及びR4は同一又は異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、nは0〜50、mは0〜20の数を表す]
【化4】

[式(A2)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1から30の炭化水素基又はアシル基を表し、R3及びR4は同一又は異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、M1及びM2は同一又は異なって、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム、炭素数1から4のヒドロキシアルキルアンモニウム基を表し、nは0〜50、mは0〜20の数を表す]
【化5】

[式(A3)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2及びR7は同一又は異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、R3及びR5は同一又は異なって、水素又はアルキル基を表し、R4及びR6は同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ベンジル基又はスチレン基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム基を表し、n及びmは1〜50の数を表す]
【化6】

[式(A4)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1から6のアルキレン基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム基を表し、nは2〜50の数を表す。]
【化7】

[式(A5)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1から30の炭化水素基又はアシル基を表し、R3及びR4は同一又は異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキルアンモニウム基を表し、nは0〜50、mは0〜20の数を表す]
【化8】

[式(A6)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1から30の炭化水素基又はアシル基を表し、R3及びR4は同一又は異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、M1及びM2は同一又は異なって、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は炭素数1から4のヒドロキシアルキルアンモニウム基を表し、nは0〜50、mは0〜20の数を表す]
【化9】

[式(A7)中、R1は炭化水素基、アミノ基、カルボン酸残基を表し、R2は炭素数1から6のアルキレン基を表し、nは0〜50の数を表す]
【化10】

[式(A8)中、R1は炭素数1から30の炭化水素基、R2は水素原子又は炭素数1から30の炭化水素基を表し、R3は水素原子又はプロペニル基を表し、R4は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基又はアルカノールアミン残基を表し、nは1〜50の数を表す]
【化11】

[式(A9)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2及びR4は同一又は異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、R3は炭素数1から30の炭化水素基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基又はアルカノールアンモニウム基を表し、n及びmは1〜50の数を表す]
【化12】

[式(A10)中、R1及びR5は同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表し、R2及びR4は同一又は異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、R3は炭素数1から30の炭化水素基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基又はアルカノールアンモニウム基を表し、n及びmは1〜50の整数を表す]
【化13】

[式(A11)中、R1は炭素数1から6のアルキレン基を表し、R2は炭素数1から30の炭化水素基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基又はアミン基を表し、nは1〜50の整数を表す]
【化14】

[式(A12)中、R1、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表し、R4は炭素数0から30のアルキレン基(炭素数0の場合はR4がないことを示す)、R5及びR6は同一又は異なって炭素数1から30のアルキレン基を表す。mは0〜50の数を表し、nは0〜100の数を表し、(m+n)は1〜150の数を表す。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基又はアルカノールアンモニウム基を表す]
【化15】

[式(A13)中、R1、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表し、R4は炭素数0から30のアルキレン基(炭素数0の場合はR4がないことを示す)、R5及びR6は同一又は異なって炭素数1から30のアルキレン基を表す。mは0〜50の数を表し、nは0〜100の数を表し、(m+n)は1〜150の数を表す。M1及びM2は同一又は異なって、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基又はアルカノールアンモニウム基を表す]
【0058】
ノニオン型反応性界面活性剤としては、式(N1)〜(N6)で表せられるもの等が挙げられる。
【化16】

[式(N1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1から30の炭化水素基又はアシル基を表し、R3及びR4は同一又は異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、n及びmは0〜50の数を表す]
【化17】

[式(N2)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1から30の炭化水素基又はアシル基を表し、R3及びR4は同一又は異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、n及びmは0〜50の数を表す]
【化18】

[式(N3)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2及びR3は同一又は異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、R4は炭素数1〜30の炭化水素基又はアシル基を表し、n及びmは0〜50の数を表す]
【化19】

[式(N4)中、R1及びR2は同一又は異なって、炭素数1から30の炭化水素基を表し、R3は水素原子又はプロペニル基を表し、R4は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、nは1〜50の数を表す]
【化20】

[式(N5)中、R1、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子又はメチル基を表し、R4は炭素数0から30のアルキレン基(炭素数0の場合はR4がないことを示す)、R5及びR6は同一又は異なって炭素数1から30のアルキレン基を表す。mは0〜50の数を表し、nは0〜100の数を表し、(m+n)は1〜150の数を表す]
【化21】

[式(N6)中、R1及びR3は同一又は異なって炭素数1から6のアルキレン基を表し、R2及びR4は同一又は異なって水素原子、炭素数1から30の炭化水素基又はアシル基を表し、n及びmは、0〜50であって、(n+m)が3〜50となる数を表す]
【0059】
カチオン型反応性界面活性剤としては、式(C1)と(C2)で表せられるもの等が挙げられる。
【化22】

[式(C1)中、R1及びR2は同一又は異なって炭素数1から30のアルキル基を表し、R3は炭素数1から30の炭化水素基を表し、Xは塩素又は臭素を表す]
【化23】

[式(C2)中、Rは炭素数1から30の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいてもよい]
【0060】
上記反応性界面活性剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。反応性界面活性剤の使用量としては、(メタ)アクリル系ポリマーの単量体成分中20重量%以下であることが好ましく、0.05〜10重量%がより好ましく、0.1〜5重量%が特に好ましい。反応性界面活性剤を上記範囲含有するイオン液体は、優れたブリード抑制効果、及び、被着体の汚染低減効果を発揮することができる。
【0061】
上記アクリル系ポリマーは、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等アクリル系ポリマーの合成手法として一般的に用いられる重合方法によって得られる。
【0062】
本発明においては、ベースポリマー(特に、アクリル系ポリマー)を適宜架橋することにより、更に耐熱性に優れた粘着シートを得ることができる。架橋方法の具体的手段としては、イソシアネ−ト化合物、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、アジリジン誘導体等の一般的な架橋剤を添加して、ベースポリマー中の架橋化基点であるカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基等と反応させる方法がある。
【0063】
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0064】
ポリイソシアネ−ト化合物としては、例えばブチレンジイソシアネ−ト、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト等の低級脂肪族ポリイソシアネ−ト類;シクロペンチレンジイソシアネ−ト、シクロヘキシレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト等の脂環族イソシアネ−ト類;2,4−トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト等の芳香族ジイソシアネ−ト類;トリメチロ−ルプロパン/トリレンジイソシアネ−ト3量体付加物(商品名「コロネ−トL」、日本ポリウレタン工業(株)製),トリメチロ−ルプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネ−ト3量体付加物(商品名「コロネ−トHL」、日本ポリウレタン工業(株)製)、ヘキサメチレンジイソシアネ−トのイソシアヌレート体(商品名「コロネ−トHX」、日本ポリウレタン工業(株)製)等のイソシアネ−ト付加物等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0065】
エポキシ化合物としてはN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名「TETRAD−X」、三菱瓦斯化学(株)製)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(商品名「TETRAD−C」、三菱瓦斯化学(株)製)等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0066】
メラミン系樹脂としてはヘキサメチロールメラミン等が挙げられる。アジリジン誘導体としては、例えば、商品名「HDU」(相互薬工社製)、商品名「TAZM」(相互薬工社製)、商品名「TAZO」(相互薬工社製)等の市販品が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0067】
これらの架橋剤のなかでも、適度な凝集力を得る観点から、イソシアネ−ト化合物やエポキシ化合物が好適に使用される。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0068】
架橋剤の使用量は、架橋すべきアクリル系ポリマーとのバランスにより、さらには、粘着シートの用途によって適宜調整される。アクリル系粘着剤の凝集力により充分な耐熱性を得るには、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.01〜15重量部含有されていることが好ましく、0.5〜10重量部含有されていることがより好ましく、0.5〜5重量部含有されていることがさらに好ましく、1〜3重量部含有されていることが最も好ましい。含有量が0.01重量部を下回ると、架橋剤による架橋形成が不十分となり、粘着剤組成物の凝集力が小さくなって、十分な耐熱性が得られない場合があり、また、糊残りの原因となる傾向がある。一方、含有量が15重量部を上回ると、ポリマーの凝集力が大きくなりすぎ、流動性が低下し、被着体への濡れが不十分となって、はがれの原因となる傾向がある。
【0069】
また、実質的な架橋剤として活性エネルギー線反応性不飽和結合を2個以上有す多官能モノマーを添加し、活性エネルギー線等で架橋させることもできる。
【0070】
活性エネルギー線反応性不飽和結合を2個以上有す多官能モノマーとしては、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルベンジル基等の活性エネルギー線の照射により架橋構造を形成しうる1種又は2種以上の活性エネルギー線反応性基を2個以上有す多官能モノマー成分が用いられる。なお、一般的には活性エネルギー線反応性不飽和結合が10個以下のものが好適に用いられる。多官能モノマーは2種以上を併用することも可能である。多官能モノマーの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド等挙げられる。
【0071】
多官能モノマーの使用量は、架橋すべきアクリル系ポリマーとのバランスにより、さらには、粘着シートの用途によって適宜調整される。アクリル系粘着剤の凝集力により充分な耐熱性を得るには、アクリル系ポリマー100重量部に対して0.1〜30重量部配合するのが好ましい。また柔軟性、接着性の点からアクリル系ポリマー100重量部に対して、10重量部以下(例えば、0.1〜10重量部)、好ましくは5重量部以下(例えば、0.1〜5重量部)、さらに3重量部以下(例えば、0.1〜3重量部)配合するのがより好ましい。
【0072】
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、レーザー線、α線、β線、γ線、x線、電子線等が挙げられるが、制御性及び取り扱い性の良さ、及びコストの点から紫外線(好ましくは、波長200〜400nmの紫外線)が用いられる。紫外線は、高圧水銀灯、マイクロ波励起型ランプ、ケミカルランプ等の適宜光源を用いて照射することができる。また、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合にはアクリル系粘着剤に光重合開始剤を添加することが好ましい。
【0073】
光重合開始剤としては、活性エネルギー線反応性成分の種類に応じ、その重合反応の引金となり得る適当な波長の紫外線を照射することによりラジカルもしくはカチオンを生成する物質であればよい。
【0074】
光ラジカル重合開始剤として例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、o−ベンゾイル安息香酸メチル−p−ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン等のベンゾイン類;ベンジルジメチルケタール、トリクロルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4’−イソプロピル−2−メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、p−クロルベンゾフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−クロルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(エトキシ)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;ベンジル、ジベンゾスベロン、α−アシルオキシムエステル等が挙げられる。
【0075】
光カチオン重合開始剤として例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩;鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体等の有機金属錯体類;ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナート等が挙げられる。
【0076】
光重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。光重合開始剤の使用量としては、例えば、アクリル系ポリマー100重量部に対し、通常0.1〜10重量部程度、好ましくは0.2〜7重量部程度である。
【0077】
さらにアミン類等の光重合開始剤の開始助剤を併用することも可能である。前記開始助剤としては、例えば、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。開始助剤の使用量としては、例えば、アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.05〜10重量部程度、好ましくは0.1〜7重量部程度である。
【0078】
さらに本発明の粘着剤組成物には、従来公知の各種の粘着付与剤や表面潤滑剤、レべリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリンング剤、無機又は有機の充填剤、金属粉、顔料等の粉末状、粒子状、箔状等の添加剤を用途に応じて適宜添加することができる。
【0079】
さらにまた、本発明の粘着剤組成物には、適宜エーテル基含有化合物を添加することができる。エーテル基含有化合物を粘着剤組成物に添加することにより、理由は定かではないが、さらに帯電防止性を向上させることができる。また、エーテル基含有化合物を添加することでフッ素等の非極性の材料に対して濡れ性が向上し、イオン液体の被着体への転写を効率よく行うことができる。
【0080】
エーテル基含有化合物としては、エーテル基を有す化合物であれば特に限定されず、周知慣用のエーテル基含有化合物が用いられる。エーテル基含有化合物としては、例えば、ポリエーテルポリオール化合物やアルキレンオキシド基含有化合物等が挙げられる。なかでも、ポリエーテルポリオール化合物、アルキレングリコール基含有(メタ)アクリレートポリマー、及びエーテル型界面活性剤がベースポリマーとの相溶性のバランスがとり易い点で、好適に使用される。
【0081】
ポリエーテルポリオール化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(ジオール型)、ポリプロピレングリコール(トリオール型)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、及び上記誘導体やポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールのブロック共重合体、ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールのブロック共重合体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールのブロック共重合体、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのランダム共重合体やブロック共重合体等が挙げられる。グリコール鎖の末端は、水酸基のままや、アルキル基、フェニル基等で置換されていてもよい。
【0082】
アルキレングリコール基含有(メタ)アクリレートポリマーとしては、アルキレングリコール基含有(メタ)アクリレートを必須成分とするアクリル系ポリマーが用いられる。(メタ)アクリートのオキシアルキレン単位としては、炭素数1〜6のアルキレン基を有するものが挙げられ、例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられる。(メタ)アクリートへのオキシアルキレン単位の付加モル数としては、イオン液体が配位する観点から1〜50程度、なかでも2〜30程度がより好ましい。オキシアルキレン鎖の末端は、水酸基のままでもよく、アルキル基やフェニル基等で置換されていてもよい。
【0083】
アルキレングリコール基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、メトキシ―ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ―トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のメトキシ―ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型;エトキシ―ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ―トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のエトキシ―ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型;ブトキシ―ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシ―トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のブトキシ―ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型;フェノキシ―ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ―トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のフェノキシ―ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型;メトキシ―ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のメトキシ―ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート型等が挙げられる。
【0084】
また、上記成分以外にメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜14のアルキル基を有す(メタ)アクリレートを共重合成分として用いてもよい。
【0085】
さらには、リン酸基含有(メタ)アクリレート、シアノ基含有(メタ)アクリレート、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物、酸無水物基含有(メタ)アクリレート、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、アミド基含有(メタ)アクリレート、アミノ基含有(メタ)アクリレート、エポキシ基含有(メタ)アクリレート、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテル類を共重合成分として用いてもよい。
【0086】
アルキレングリコール基含有(メタ)アクリレートポリマー中に含まれるアルキレングリコール基含有(メタ)アクリレートの比率としては10〜70重量%が好ましい。アルキレングリコール基含有(メタ)アクリレートの比率が10重量%を下回ると、イオン液体との相溶性が悪くなり、十分な帯電特性が得られにくくなる傾向がある。一方、アルキレングリコール基含有(メタ)アクリレートの比率が70重量%を上回ると、ベースポリマーであるアクリル系ポリマーとの相溶性が低下して、十分な帯電特性が得られにくくなる傾向がある。アルキレングリコール基含有(メタ)アクリレートは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0087】
エーテル型界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン脂肪酸エステル類等の非イオン性界面活性剤;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;アルキレンオキシド基を有するカチオン性界面活性剤;両イオン性界面活性剤が挙げられる。また、エーテル型界面活性剤は、分子中に(メタ)アクリロイル基、アリル基等の反応性置換基を有していてもよい。
【0088】
これらのなかでも、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル類等のエチレンオキシド基を有する非イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類等のエチレンオキシド基を有するアニオン性界面活性剤;エチレンオキシド基を有するカチオン性界面活性剤や両イオン性界面活性剤が好ましく用いられる。また、分子中に(メタ)アクリロイル基、アリル基等の反応性置換基を有していてもよい。
【0089】
アルキレンオキシド基を有する界面活性剤のオキシアルキレン単位の付加モル数としては、イオン液体との相互作用の観点から、例えば、1〜50程度が好ましく、なかでも2〜40程度がより好ましい。オキシアルキレン単位の付加モル数が1未満の場合、イオン液体及びベースポリマーとの相溶性のバランスがとりにくく、被着体へのブリードが増加する傾向がある。一方、オキシアルキレン単位の付加モル数が50を超える場合、イオン液体がエチレンオキシド基によって拘束され、帯電防止特性が低下する傾向がある。
【0090】
エーテル型界面活性剤の具体例としては、(株)ADEKA製の商品名「アデカリアソープNE−10」、「アデカリアソープSE−10N」、「アデカリアソープSE−20N」、「アデカリアソープER−10」、「アデカリアソープSR−10」、「アデカリアソープSR−20」や、花王(株)製の商品名「エマルゲン120」、第一工業製薬(株)製の商品名「ノイゲンEA130T」等が挙げられる。
【0091】
エーテル基含有化合物の分子量としては、数平均分子量が10000以下のもの、好ましくは、200〜5000のものが好適に用いられる。数平均分子量が10000を上回ると、被着体への汚染性が悪化する傾向がある。なお、数平均分子量はGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得られたものをいう。エーテル基含有化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合してもよい。
【0092】
エーテル基含有化合物の配合量としては、例えば、ベースポリマー100重量部に対して0.01〜10重量部程度、好ましくは0.05重量部〜5重量部程度である。エーテル基含有化合物の配合量が0.01重量部を下回ると、十分な帯電特性が得られにくくなる傾向がある。一方、エーテル基含有化合物の配合量が10重量部を上回ると、被着体への汚染が増加する傾向がある。
【0093】
また、本発明の粘着剤組成物には、ケト−エノール互変異性を生じる化合物を添加することができる。本化合物を添加することにより粘着剤組成物のゲル化を抑制することができ、粘着剤組成物のポットライフを延ばす効果が得られる。
【0094】
ケト−エノール互変異性を生じる化合物としては、例えば、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2−メチルヘキサン−3,5−ジオン、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸tert−ブチル等のアセト酢酸エステル;プロピオニル酢酸メチル、プロピオニル酢酸エチル、プロピオニル酢酸イソプロピル、プロピオニル酢酸−tert−ブチル等のプロピオニル酢酸エステル;イソブチリル酢酸メチル、イソブチリル酢酸エチル、イソブチリル酢酸イソプロピル、イソブチリル酢酸−tert−ブチル等のイソブチリル酢酸エステル;及びマロン酸エステル等が挙げられる。なかでも、アセチルアセトンやアセト酢酸エステルが好ましく用いられる。
【0095】
(基材)
基材付き粘着シートにおいて使用する基材としては、例えば、紙、不織布等の多孔質材料からなる基材やポリエステルフィルム等のプラスチック基材、ゴムシート等のゴム基材、発泡シート等の発泡基材等が挙げられる。
【0096】
特に、粘着シートを表面保護フィルムとして使用する場合には、基材としてプラスチック基材が好適に用いられる。プラスチック基材としては、シート状やフィルム状に形成できるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のポレオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロン6、ナイロン66、部分芳香族ポリアミド等のポリアミドフィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。
【0097】
粘着シートを部材の貼り合わせに使用する場合には、基材の厚みは、通常1〜2000μm、好ましくは5〜1000μm、より好ましくは5〜500μm、さらに好ましくは5〜300μm、最も好ましくは10〜100μmである。粘着シートを表面保護フィルムとして使用する場合には、基材の厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。
【0098】
プラスチック基材には、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系若しくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型及び防汚処理や酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等の易接着処理、塗布型、練り込み型、蒸着型等の静電防止処理を施すこともできる。また、表面保護フィルムに使用するプラスチック基材には、帯電防止処理が施されることが好ましい。
【0099】
プラスチック基材に施される帯電防止処理としては特に限定されないが、例えば、基材の少なくとも片面に帯電防止層を設ける方法やプラスチック基材に練り込み型帯電防止剤を練り込む方法が用いられる。
【0100】
帯電防止層を設ける方法としては、帯電防止剤と樹脂成分から成る帯電防止性樹脂や導電性ポリマー、導電性物質を含有する導電性樹脂を有機溶剤もしくは水等の溶媒で希釈し、この塗液をプラスチック基材に塗布、乾燥することで形成する方法や導電性物質を蒸着あるいはメッキする方法が挙げられる。
【0101】
帯電防止性樹脂に含有される帯電防止剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1、第2、第3アミノ基等のカチオン性官能基を有すカチオン型帯電防止剤、スルホン酸塩や硫酸エステル塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン性官能基を有するアニオン型帯電防止剤、アルキルベタイン及びその誘導体、イミダゾリン及びその誘導体、アラニン及びその誘導体等の両性型帯電防止剤、アミノアルコール及びその誘導体、グリセリン及びその誘導体、ポリエチレングリコール及びその誘導体等のノニオン型帯電防止剤、更には、上記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基を有する単量体を重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体が挙げられる。
【0102】
カチオン型の帯電防止剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アシロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、アルキルベンジルメチルアンモニウム塩、アシル塩化コリン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート等の4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム基を有するスチレン共重合体、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム基を有するジアリルアミン共重合体等が挙げられる。
【0103】
アニオン型の帯電防止剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエトキシ硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、スルホン酸基含有スチレン共重合体が挙げられる。
【0104】
両性イオン型の帯電防止剤としては、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン、カルボベタイングラフト共重合が挙げられる。
【0105】
ノニオン型の帯電防止剤としては、脂肪酸アルキロールアミド、ジ−(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸グリセリンエステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジアミン、ポリエーテルとポリエステルとポリアミドから成る共重合体、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0106】
導電性ポリマーとしては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等が挙げられる。
【0107】
導電性物質としては、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化亜鉛、インジウム、錫、アンチモン、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、ヨウ化銅、及びそれらの合金又は混合物が挙げられる。
【0108】
帯電防止性樹脂及び導電性樹脂に用いられる樹脂成分としては、ポリエステル、アクリル、ポリビニル、ウレタン、メラミン、エポキシ等の汎用樹脂が用いられる。なお、高分子型帯電防止剤を使用する場合には樹脂成分を含有させなくてもよい。また、帯電防止樹脂成分に、架橋剤としてメチロール化あるいはアルキロール化したメラミン系、尿素系、グリオキザール系、アクリルアミド系等の化合物、エポキシ化合物、イソシアネート系化合物を含有させることも可能である。
【0109】
有機溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。これらは単独で、もしくは複数を組み合わせて使用することができる。塗布方法については公知の塗布方法が用いられ、具体的には、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート、含浸及びカーテンコート法が挙げられる。
【0110】
前記帯電防止性樹脂、導電性ポリマー及び導電性樹脂により形成した帯電防止層の厚みとしては通常0.01〜5μm、好ましくは0.03〜1μm程度である。
【0111】
導電性物質の蒸着あるいはメッキの方法としては、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、化学蒸着、スプレー熱分解、化学メッキ、電気メッキ法等が挙げられる。導電性物質層の厚みとしては、通常20〜10000Åであり、好ましくは50〜5000Åである。
【0112】
練り込み型帯電防止剤としては、上記帯電防止剤が適宜用いられる。練り込み型帯電防止剤の配合量としては、プラスチック基材の総重量に対して20重量%以下、好ましくは0.05〜10重量%の範囲で用いられる。練り込み方法としては、前記帯電防止剤がプラスチック基材として用いられる樹脂に均一に混合できる方法であれば特に限定されず、一般的には加熱ロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、二軸混練機等が用いられる。
【0113】
プラスチック基材の片面には、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系若しくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型及び防汚処理や酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等の易接着処理をすることもできる。
【0114】
(粘着剤層)
粘着剤層は、例えば、上記イオン液体及び粘着剤組成物を含むコーティング剤を、適当なセパレータ(剥離紙など)上に塗布、乾燥することにより、所望の厚み、面積を有するフィルム状の粘着剤層を簡便に得ることができる。基材付き粘着シートの場合はセパレータの代わりに基材上に塗布、乾燥して粘着剤層を形成してもよい。粘着剤組成物を含むコーティング剤の塗布方法としては粘着シートの製造に用いられる公知の方法が用いられ、具体的にはロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法等が挙げられる。粘着剤層は単層、複層の何れであってもよい。
【0115】
上記粘着剤層の厚みは特に限定されず、例えば3〜100μm程度、好ましくは5〜50μm程度である。
【0116】
[セパレータ]
本発明におけるセパレータは、セパレータ基材の少なくとも片面側に水滴を形成させた後、該セパレータ基材の水滴を形成させた面上に剥離剤を含有する有機溶剤溶液を塗布し、続いて、有機溶剤及び水滴を除去し、剥離剤を乾燥及び/又は硬化させて表面に凹凸形状が施された剥離剤層を形成したものである。
【0117】
剥離剤層表面に凹凸形状(凹凸構造)が形成されるのは、セパレータ基材の少なくとも一方の面に水滴を形成させた後、剥離剤を含有する有機溶剤溶液を塗布し、この水滴を維持しながら有機溶剤を蒸発除去し、さらに凹凸形状を維持した状態で、水滴を除去し、剥離剤を乾燥及び/又は硬化するためである。
【0118】
このような製造方法により得られるセパレータは、セパレータ基材の片面に剥離剤層が設けられ、該剥離剤層表面に凹凸形状が施されていてもよく、セパレータ基剤の両面に剥離剤層が設けられ、両面に設けられた剥離剤層の双方の表面に凹凸形状が施されていてもよく、さらには、セパレータ基剤の両面に設けられた剥離剤層の内、一方の剥離剤層表面にのみ凹凸形状が施されていてもよい。
【0119】
(剥離剤)
本発明で用いられる剥離剤としては、塗布されるセパレータ基材上に被膜(例えば、硬化被膜や乾燥塗膜等)を形成することができ、その上、該被膜が用途に応じた適度な剥離性を発揮することができ、且つ、粘着剤層への悪影響を及ぼすことのないものであれば特に制限されることがなく、例えば、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤、ポリオレフィン系剥離剤等を用いることができる。また、粘着ハンドブック第3版(粘着シート工業会編)の103頁〜130頁に記載されているものを用いることもできる。なお、剥離剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0120】
また、剥離剤としては、粘着シートの粘着剤層面に対して優れた剥離特性(軽剥離性)を発揮させる観点から、剥離力が0〜25N/50mm程度、好ましくは0.1〜10N/50mm程度、さらに好ましくは0.1〜5N/50mm程度、最も好ましくは0.1〜1N/50mm程度となる被膜を形成できるものが好ましい。
【0121】
本発明の剥離剤としては、溶剤型であるために有機溶剤に溶解しやすく、剥離剤溶液を調製しやすい点、及び、剥離特性に優れる点で、シリコーン系剥離剤が好適に使用される。
【0122】
シリコーン系剥離剤のなかでも、特に軽剥離性を発揮することができる点で、熱による付加反応型の架橋(硬化反応)により硬化して剥離性被膜を形成し、有用な剥離特性を発現することが可能な熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤(熱硬化性付加型ポリシロキサン系剥離剤)が好ましい。熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤は、分子中に官能基としてのアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサン(アルケニル基含有シリコーン)、及び分子中に官能基としてのヒドロシリル基を含有するポリオルガノシロキサンを必須の構成成分とする。
【0123】
上記分子中に官能基としてアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサンとしては、なかでも、分子中にアルケニル基を2個以上有しているポリオルガノシロキサンが好ましい。上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2−プロペニル基)、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられ、なかでも、ビニル基、ヘキセニル基が好ましい。なお、上記アルケニル基は、通常、主鎖又は骨格を形成しているポリオルガノシロキサンのケイ素原子(例えば、末端のケイ素原子や、主鎖内部のケイ素原子等)に結合している。
【0124】
また、上記主鎖又は骨格を形成しているポリオルガノシロキサンとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン等のポリアルキルアルキルシロキサンやポリアルキルアリールシロキサンの他、ケイ素原子含有モノマー成分が複数種用いられている共重合体[例えば、ポリ(ジメチルシロキサン−ジエチルシロキサン)等]等が挙げられる。なかでも、安定した剥離性が得られる点で、ポリジメチルシロキサンが好適である。分子中に官能基としてアルケニル基を含有するポリオルガノシロキサンとしては、具体的には、ビニル基を官能基として有するポリジメチルシロキサン、ヘキセニル基を官能基として有するポリジメチルシロキサン及びこれらの混合物が好ましく例示される。
【0125】
上記分子中に官能基としてヒドロシリル基を含有するポリオルガノシロキサンは、分子中にケイ素原子に結合している水素原子(特に、Si−H結合を有するケイ素原子)を有しているポリオルガノシロキサンであり、特に分子中にSi−H結合を有するケイ素原子を2個以上有しているポリオルガノシロキサンが好ましい。上記Si−H結合を有するケイ素原子としては、主鎖中のケイ素原子、側鎖中のケイ素原子のいずれであってもよく、すなわち、主鎖の構成単位として含まれていてもよく、側鎖の構成単位として含まれていてもよい。なお、Si−H結合のケイ素原子の数は、2個以上であれば特に制限されない。上記分子中に官能基としてヒドロシリル基を含有するポリオルガノシロキサンとしては、具体的には、ポリメチルハイドロジェンシロキサンやポリ(ジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン)等が好適である。
【0126】
また、本発明では、剥離剤は、有機溶剤が蒸発した段階で、水滴により形成された凹凸形状を一時的に保持する必要があるので、常温で固体[粘弾性体(ゴム状物質)を含む]であることが好ましい。硬化性の剥離剤であれば硬化前に液体であってもよいが、水滴により形成された凹凸形状を一時的に保持できる程度に高粘度(10[Pa・s]以上、23℃)であることが好ましい。短時間の加熱で硬化できるような剥離剤であれば、比較的低粘度(10[Pa・s]未満、23℃)であっても水滴により形成された凹凸形状を保持できるが、0.1[Pa・s]未満(23℃)の粘度では凹凸形状の保持はほとんど困難となる。
【0127】
なお、粘度は、JIS Z 8803に準拠して、以下の条件で測定する。
回転粘度計 : BM型
ローターNo. : No.4
回転数 : 30rpm
測定温度 : 25.0±0.5℃
【0128】
本発明の剥離剤には、室温における保存安定性を付与するために反応抑制剤が添加されていてもよい。例えば、剥離剤として熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤が用いられる場合、反応抑制剤として、例えば、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等が挙げられる。
【0129】
また、剥離剤には、上記反応抑制剤の他にも必要に応じて、剥離コントロール剤等が添加されていてもよい。例えば、剥離剤として熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤が用いられる場合、具体的には、MQレジン等の剥離コントロール剤、アルケニル基又はヒドロシリル基を有しないポリオルガノシロキサン(トリメチルシロキシ基末端封鎖ポリジメチルシロキサン等)等が添加されていてもよい。
【0130】
熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤に対する上記反応抑制剤及び剥離コントロール剤等その他の成分の含有量は、特に限定されないが、例えば1〜30重量%程度が好ましい。
【0131】
本発明では、さらに、熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤の触媒として一般的に用いられる白金系触媒(なかでも、塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、塩化白金酸のオレフィン錯体から選ばれた少なくとも1つの白金系触媒)を添加することが好ましい。熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤に白金系触媒を添加することにより、剥離剤の硬化速度を促進することができる。
【0132】
さらにまた、剥離剤には、必要に応じて各種添加成分(添加剤)が用いられてもよい。添加成分としては、特に限定されないが、例えば、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤(染料や顔料等)等が例示される。
【0133】
(有機溶剤)
上記剥離剤を溶解する有機溶剤としては、剥離剤を均一に溶解できるものであれば特に制限されることがなく、例えば、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。有機溶剤は、単独で使用してもよく、2種以上を混合した混合溶剤として使用してもよい。
【0134】
本発明においては、水よりも蒸発しにくい有機溶剤を使用すると、有機溶剤が蒸発するより先に水滴のほうが蒸発してしまい、水滴による凹部の成形性が悪化することから、酢酸n−ブチルを1.0とする相対蒸発速度において、水の相対蒸発速度(0.38)よりも大きな相対蒸発速度を有するもの、なかでも相対蒸発速度が1.0以上のものが好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)等が挙げられる。
【0135】
なお、相対蒸発速度は、ASTM−D3539に準拠して測定される蒸発速度であって、具体的には、25℃、乾燥空気下における酢酸n−ブチルの蒸発時間と各テスト溶剤の蒸発時間との比で表される。各種有機系溶剤の相対蒸発速度は、「最新コーティング技術」(1983年(株)総合技術センター発行)17〜19ページ記載の表5等に記載されている。
【0136】
(剥離剤溶液)
本発明の剥離剤溶液は剥離剤が有機溶剤に溶解された溶液であり、上記剥離剤を有機溶剤に溶解することにより調製される。剥離剤溶液の粘度は、高すぎると剥離剤溶液を塗布した時に水滴の形状が乱される場合があることから、3[Pa・s]以下、なかでも1[Pa・s]以下、特に0.5[Pa・s]以下であることが好ましい。一方、剥離剤溶液の粘度が低すぎると、剥離剤溶液塗膜がセパレータ基材上で流れやすくなり、セパレータ基材への塗工が困難となるため、5[mPa・s]以上、なかでも10[mPa・s]以上、特に20[mPa・s]以上であることが好ましい。
【0137】
剥離剤溶液における剥離剤の濃度は、高すぎると水滴により凹部が形成される前に有機溶剤が蒸発してしまう場合があることから、0.1〜30[重量%]、なかでも、1〜20[重量%]の範囲が好ましい。なお、剥離剤溶液における剥離剤の濃度は、通常剥離剤溶液における剥離剤の濃度が上昇すると粘度も上昇するので、粘度が上記の範囲内となるように制御することが重要である。
【0138】
(セパレータ基材)
本発明のセパレータを構成する基材(セパレータ基材)としては、特に限定されず、従来セパレータにおいて基材として慣用されているものの中から、適宜選択して用いることができる。このような基材としては、例えば、グラシン紙、コート紙、キャストコート紙等の紙基材、これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、プラスチックフィルム(熱可塑性樹脂フィルム)等のプラスチック基材等を挙げることができる。
【0139】
セパレータ基材として紙基材を使用する場合は、剥離剤溶液(塗工液)のしみ込み防止のためポリエチレン等のプラスチックをラミネートしたり、下塗り剤を塗布して目止め処理をすることが好ましい。また、セパレータ表面の凹凸形状は、紙基材の凹凸により影響を受け易い。そこで、本発明におけるセパレータ基材としては、プラスチックフィルム(プラスチック基材)が好ましい。
【0140】
上記プラスチックフィルムの素材(熱可塑性樹脂)としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が挙げられる。これらの素材は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、PETやPEN等のポリエステルフィルム、PPやPMP等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ酢酸ビニルフィルム等が好ましく、特に、強度、耐熱性、コスト等の点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)が好ましい。
【0141】
セパレータ基材の厚さは、特に限定されることがなく用途や使用目的等に応じて適宜選択できるが、例えば、5〜250μm程度、好ましくは10〜100μm程度である。セパレータ基材は単層の形態を有していてもよく、積層された形態を有していてもよい。
【0142】
(セパレータの製造方法)
凹凸形状が付与された剥離剤層がセパレータ基材の少なくとも一方の面に設けられた本発明のセパレータは、下記(i)〜(iii)の工程を経て製造することができる。すなわち、
(i)セパレータ基材の少なくとも一方の面に水滴を形成させる工程(セパレータ基材上に水滴形成面を得る工程)
(ii)前記水滴形成面に剥離剤溶液(塗工液)を塗布して剥離剤層を形成する工程(前記水滴形成面に剥離剤溶液を塗布して、剥離剤溶液塗布面を形成する工程)
(iii)有機溶剤および水滴を除去し、剥離剤を乾燥及び/又は硬化させ、表面に凹凸形状を有する剥離剤層を形成する工程
【0143】
(i)の工程は、セパレータ基材上に、剥離剤層表面上の凹凸形状を形成する鋳型となる微細な水滴を形成する工程である。水滴が凹凸形状を形成するのは、水が剥離剤を有機溶剤に溶解させた溶液である剥離剤溶液と馴染まないためと推測される。(i)の工程で、セパレータ基材の少なくとも一方の面に水滴を形成させる方法としては、例えば加湿により結露させる方法や水を噴霧する方法等が挙げられる。
【0144】
加湿により結露させる方法としては、特に限定されないが、例えば、周りを囲った加湿可能な雰囲気内に、スチームアイロン等にて発生させたスチームを導入し加湿する方法や加湿器から発生した水蒸気を雰囲気内に導入する方法等が挙げられる。連続的に生産する場合には、加湿した空気を送風する方法等が使用できる。このような方法は、少量のセパレータを製造する場合に有効に用いることができる。
【0145】
水を噴霧する方法としては、特に制限されないが、例えば、噴霧器等で発生させた霧を直接セパレータ基材表面上に噴霧する方法等が挙げられる。水を噴霧する方法を用いれば、より簡便に、より大きな凹凸形状を形成することができる。また、この方法では水滴の大きさのばらつきが大きいため、水滴により形成される凹部の大きさもばらつきが大きくなる傾向があるが、上記加湿により塗布面を結露させる方法に比べ、短時間でセパレータ基材表面上に水滴を形成できるため、生産速度を上げたいときには有効な方法である。
【0146】
図1は、上記(i)の工程終了後の状態の一例を示す概略断面図であり、1はセパレータ基材、2は水滴を示す。
【0147】
(ii)の工程は、結露したセパレータ基材表面に剥離剤溶液を塗布し、水滴がセパレータ基材と接したまま剥離剤溶液が周りを取り囲んでいる状態(剥離剤層表面に水滴が露出していない状態)や、水滴がセパレータ基材と接したまま水滴の頭部やその付近が剥離剤層から飛び出している状態等を形成する工程である。
【0148】
(ii)の工程で用いられる剥離剤溶液の塗布方法(塗工方法)としては、任意の塗布方法が利用できる。小面積のセパレータを作る場合には、ベーカー式アプリケータやドクターブレード、バーコーターなどを使用して手塗りすることができる。また、塗工機で連続して塗工する場合は、塗布量に応じて塗工機を適宜選択して利用することが可能であり、例えばリバースコーター、ダイレクトグラビアコーター、ダイレクトバーコーター、リバースバーコーター、ダイコーターなどの塗工機を利用することができる。
【0149】
(ii)の工程において、剥離剤溶液を塗布することにより得られる剥離剤層の厚さ(剥離剤溶液の塗布厚さ)としては、水滴を形成させずに乾燥及び/又は硬化した場合の厚さにおいて、例えば、1〜100μm程度(好ましくは2〜50μm程度)である。剥離剤層の厚さを薄く(例えば、5μm以下)すると、比較的小さな凹凸形状が形成される。そして、剥離剤層の厚さを厚くするに従い、形成される凹凸形状も大きくなる傾向がある。なお、剥離剤層の厚さは、上記範囲には限定されず、目的に応じて調整することで、望ましいサイズの凹凸形状を有する剥離剤層を得ることが可能である。
【0150】
(ii)の工程では、セパレータ基材上に水滴を形成後、直ちに該セパレータ基材の水滴形成面上に剥離剤溶液を塗布することが重要である。連続的に生産する場合には、(i)の工程(水滴形成工程)と(ii)の工程(剥離剤溶液塗布工程)がインラインで順次行われることが好ましい。水滴が蒸発してしまう前に剥離剤溶液を塗布しないと、水滴に起因する凹凸形状を形成することが困難となるためである。
【0151】
図2は、上記(ii)の工程終了後の状態の一例を示す概略断面図であり、1はセパレータ基材、2は水滴、3は剥離剤層を示す。なお、図2では水滴全体が剥離剤層により覆われているが、本発明では、(ii)の工程終了後、水滴の頭部や該頭部付近は剥離剤層から露出していてもよい。
【0152】
(iii)の工程では、乾燥(例えば、高温加熱)による有機溶剤及び水滴の除去と剥離剤の乾燥(及び、必要に応じて硬化)が行われ、(ii)の工程で得られた剥離剤層(硬化前の剥離剤層)は、表面に凹凸形状を有する剥離剤層(硬化被膜)となる。(iii)の工程で剥離剤層表面に凹凸形状が形成されるのは、剥離剤層で覆われている水滴を除去することにより、層中に空洞のようなものが発生し、剥離剤が該空洞に陥没することや、頭部や該頭部付近が層外に飛びだしている状態で剥離剤層により覆われている水滴を除去することにより、凹部としての貫通孔が形成されること等によると考えられる。
【0153】
(iii)の工程では、水(水滴)を蒸発させる必要があるため、100℃以上の温度で乾燥することが好ましい。剥離剤として熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤を使用する場合は、シリコーンの硬化性の観点からも、100℃以上の温度で加熱するのが好ましい。ただし、セパレータ基材の耐熱性が低い場合は、加熱温度を上げすぎないようにすることが必要である。例えば、セパレータ基材としてポリエチレンテレフタレート基材を使用する場合、140℃以下(なかでも、130℃以下)が好ましい。加熱温度が140℃を超えると、熱収縮によるシワの発生が大きくなる傾向がある。なお、加熱時間は、剥離剤の種類、水滴の量、加熱温度などの条件に応じて適宜調整することができる。
【0154】
図3は、上記(iii)の工程の乾燥前期の状態の一例を示す概略断面図であり、蒸発しやすい有機溶剤が先に蒸発し、水滴はまだ残っている状態を示す。図3において、1はセパレータ基材、2は水滴、31は有機溶剤が蒸発した剥離剤層を示す。
【0155】
(iii)の工程では、(ii)の工程終了後においては剥離剤層に覆われていた水滴が、乾燥が進むにつれ、蒸発しやすい有機溶剤が先に蒸発することにより、その頭部や該頭部付近が露出するようになってもよい。また、(iii)の工程では、加熱乾燥時に水滴が浮き上がり、剥離剤層を構成する剥離剤溶液が水滴とセパレータ基材との間に入り込んでもよい。
【0156】
本発明では、セパレータの剥離剤層表面の凹凸形状の凹部の径は、上記(i)の工程において形成する水滴の大きさにより制御することができるので、広い範囲の径の凹凸形成が可能である。
【0157】
例えば、(i)の工程で加湿によりセパレータ基材表面を結露させる方法により水滴を形成する場合、比較的小さい凹部が形成可能であり、小さいものでは約0.1μm、大きいものでは約100μm程度の大きさまで可能である。また、(i)の工程で水を噴霧する方法により水滴を形成する場合、比較的大きい凹部が形成可能であり、小さいものでは約10μm、大きいものでは約3mm程度の大きさが可能である。
【0158】
本発明のセパレータは、剥離剤を乾燥及び/又は硬化させる工程中で剥離剤層表面に凹凸形状を付与することができるので、生産性に優れている。また、本発明のセパレータは、剥離剤層表面に凹凸形状を有するので、凹凸形状を付与していないセパレータに比べ剥離性に優れている。その上、上記方法で製造するため、凹凸形状を有する、均一な剥離剤層を形成することができ、安定した剥離性が得られる。なお、剥離剤層表面の凹部は、剥離剤層を貫通する孔であってもよい。図4は、本発明で得られたセパレータの一例を示す概略断面図である。図4において、1はセパレータ基材、4は水滴が蒸発した剥離剤層、5はセパレータを示す。
【0159】
[粘着シートの製造方法]
本発明のセパレータ付き粘着シートの製造方法は、イオン液体及びベースポリマーとしてガラス転移温度(Tg)が0℃以下のポリマーを含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層の少なくとも片面側に、セパレータ基材の少なくとも片面側に水滴を形成させた後、該セパレータ基材の水滴を形成させた面上に剥離剤を含有する有機溶剤溶液を塗布し、続いて、有機溶剤及び水滴を除去し、剥離剤を乾燥及び/又は硬化させて表面に凹凸形状を有する剥離剤層を形成したセパレータを貼り合わせることを特徴とする。
【0160】
上記の様にセパレータを簡便な方法で効率よく製造し、得られたセパレータを粘着シートの粘着剤層表面に貼り合わせて製造するため、本発明のセパレータ付き粘着シートは生産性に優れている。
【0161】
このような方法で製造された本発明の粘着シートは、粘着剤層に不揮発性のイオン液体を含有するために、剥離により生じた電荷の偏りを中和することができ、その効果は経時的に衰えることがない。そのため、セパレータを偏光板等の光学部材から剥離する際や、セパレータを粘着シートや表面保護フィルムから剥離する際にも静電気が発生するのを防止することができ、埃を嫌う光学用途、例えば液晶ディスプレイのパネルにおいて液晶セルを偏光板や波長板等の光学部材と貼り合せる用途や表面保護フィルム等に好適に使用することができる。
【0162】
さらにまた、本発明の粘着シートにおける、セパレータで保護された粘着剤層面には、セパレータの剥離剤層表面の凹凸形状によって凸構造(突起構造)が形成される。そのため、本発明の粘着シートはエア抜け性に優れており、貼り付け時に被着体との間に気泡が生じても、生じた気泡(エア)をきれいに抜くことができるため、貼り直しをする必要がない。また、被着体と接する面積が粘着剤層表面の凸構造により低減されているため、貼り直しや貼付位置の修正を容易に行うことができる。
【0163】
本発明のセパレータ付き粘着シートは、周知慣用の粘着シートの用途に用いることができ、例えば、両面粘着シート、表面保護用粘着シート、電子部品用粘着シート等として好適に使用される。
【実施例】
【0164】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0165】
[酸価]
酸価は、自動滴定装置(商品名「COM−550」、平沼産業株式会社製)を用いて測定を行い、下記式より求めた。
A={(Y−X)×f×5.611}/M
[A;酸価、Y;サンプル溶液の滴定量(ml)、X;混合溶媒50gのみの溶液の滴定量(ml)、f;滴定溶液のファクター、M;ポリマーサンプルの重量(g)]
測定条件は下記の通りである。
サンプル溶液:ポリマーサンプル約0.5gを混合溶媒[トルエン/2−プロパノール/蒸留水=50/49.5/0.5(重量比)]50gに溶解してサンプル溶液とした。
滴定溶液:0.1N、2−プロパノール性水酸化カリウム溶液(和光純薬工業(株)社製、石油製品中和価試験用)
電極:ガラス電極;GE−101、比較電極;RE−201
測定モード:石油製品中和価試験1
【0166】
[分子量]
分子量は、GPC装置(商品名「HLC−8220GPC」、東ソー株式会社製)を用いて測定を行い、ポリスチレン換算値にて求めた。
測定条件は下記の通りである。
サンプル濃度:0.2wt%(THF溶液)
サンプル注入量:10μl
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
測定温度:40℃
カラム:サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ−H 1本+TSKgel SuperHZM−H 2本
リファレンスカラム;TSKgel SuperH−RC 1本
検出器:示差屈折計
【0167】
[ガラス転移温度の測定]
製造例1〜4で得られたアクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)(℃)については、下記の手順で動的粘弾性測定により決定した。
厚さ20μmのアクリル系ポリマーのシートを積層して約2mmの厚さとし、これをφ7.9mmに打ち抜き、円柱状のペレットを作製してガラス転移温度(Tg)測定用サンプルとした。
上記測定用サンプルを用い、φ7.9mmパラレルプレートの治具に上記測定用サンプルを固定し、動的粘弾性測定装置(商品名「ARES」、レオメトリックス社製)により、損失弾性率G”の温度依存性を測定し、得られたG”カーブが極大となる温度をガラス転移温度(Tg)(℃)とした。
測定条件は下記の通りである。
測定:せん断モード
温度範囲:−70℃〜150℃
昇温範囲:5℃/min
周波数:1Hz
【0168】
[NMR]
NMR測定は、核磁気共鳴装置(商品名「EX−400」、日本電子株式会社製)を用いて測定を行った。
測定条件は下記の通りである。
観測周波数:400MHz(1H)、100MHz(13C)
測定溶媒:acetone−d6
測定温度:23℃
【0169】
[XRF]
XRF測定は、蛍光X線分析装置(商品名「ZSX−100e」、理学電機株式会社製)を用いて測定を行った。
測定条件は下記の通りである。
測定方法:ろ紙法
X線源:Rh
【0170】
[FT−IR]
FT−IR測定は、フーリエ変換赤外分光光度計(商品名「Magna−560」、Nicolet社製)を用いて測定を行った。
測定条件は下記の通りである。
測定方法:ATR法
検出器:DTGS
分解能:4.0cm-1
積算回数:64回
【0171】
[アクリル系ポリマーの調製]
製造例1:アクリル系ポリマー(A)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた四つ口フラスコに2−エチルヘキシルアクリレート200重量部、2―ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル312重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(A)の溶液(40重量%)を調製した。このアクリル系ポリマー(A)は、ガラス転移温度(Tg):−10℃以下、重量平均分子量:50万、酸価:0であった。
【0172】
製造例2:アクリル系ポリマー(B)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた四つ口フラスコに2−エチルヘキシルアクリレート200重量部、アクリル酸8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル312重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(B)の溶液(40重量%)を調製した。このアクリル系ポリマー(B)は、ガラス転移温度(Tg):−10℃以下、重量平均分子量:54万、酸価:30であった。
【0173】
製造例3:アクリル系ポリマー(C)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた四つ口フラスコに2−エチルヘキシルアクリレート180重量部、エトキシ−ジエチレングリコールアクリレート20重量部、2―ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、トルエン47重量部、酢酸エチル265重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(C)の溶液(40重量%)を調製した。このアクリル系ポリマー(C)は、ガラス転移温度(Tg):−10℃以下、重量平均分子量:51万、酸価:0であった。
【0174】
製造例4:アクリル系ポリマー(D)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた四つ口フラスコに2−エチルヘキシルアクリレート195重量部、ノニオン型反応性界面活性剤(商品名「アデカリアソープER−10」、(株)ADEKA製)5重量部、2―ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル312重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(D)の溶液(40重量%)を調製した。このアクリル系ポリマー(D)は、ガラス転移温度(Tg):−10℃以下、重量平均分子量:68万、酸価:0であった。
【0175】
[イオン液体の調製]
製造例5:イオン液体(1)
撹拌羽根、温度計、冷却器を備えた四つ口フラスコに1−ブチル−3−メチルピリジニウムクロライド[和光純薬工業(株)社製]10重量部の20重量%水溶液を添加した後、攪拌羽根を回しながらリチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド[キシダ化学(株)社製]19重量部の20重量%水溶液を徐々に添加した。添加後、常温下(25℃)で2時間攪拌を続けたのち、12時間静置し、上澄み液を除去し、25℃雰囲気下で液状の生成物を得た。得られた液状生成物を200重量部の蒸留水にて3回洗浄し、110℃の温度で2時間乾燥させてイオン液体(1)を20重量部得た。得られたイオン液体(1)のNMR(1H、13C)測定、FT−IR測定、XRf測定を行い、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドであることを確認した。
【0176】
製造例6:イオン液体(2)
撹拌羽根、温度計、冷却器を備えた四つ口フラスコにジアリルジメチルアンモニウムクロライド60wt%水溶液(東京化成工業社製)10重量部を添加した後、攪拌羽根を回しながらリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(キシダ化学社製)13重量部の50重量%水溶液を徐々に添加した。添加後、25℃で2時間攪拌を続けた後、12時間静置し、上澄み液を除去し、25℃雰囲気下で液状の生成物を得た。得られた液状生成物を200重量部の蒸留水にて3回洗浄し、110℃の環境下で2時間乾燥させて25℃で液状のイオン液体(2)を13重量部得た。得られたイオン液体(2)のNMR(1H、13C)測定、FT−IR測定、XRf測定をおこない、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドであることを確認した。
【0177】
製造例7:帯電防止剤溶液(a)
撹拌羽根、温度計、冷却器を備えた四つ口フラスコにイオン液体(1)5重量部、ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体(数平均分子量:2,000、エチレングリコール比率:50wt%)5重量部、酢酸エチル90重量部を仕込み、フラスコ内の液温を25℃付近に保って約30分間混合撹拌を行い、帯電防止剤溶液(a)(10重量%)を調製した。
【0178】
[セパレータの作製]
製造例8:セパレータ(1)
剥離剤溶液は以下の配合で調製した。
(i)熱硬化性付加型シリコーン(商品名「KS−847T」、信越化学工業社製)30重量%トルエン溶液
(ii)白金触媒(商品名「PL−50T」、信越化学工業社製)トルエン溶液
(iii)有機溶剤:n−ヘキサン
配合比 (i)/(ii)/(iii)=100/1/200(重量比)
なお、剥離剤溶液の粘度は77[mPa・s]であった。
【0179】
アングル材で組んだ箱の周りをポリエチレンテレフタレートシートで囲むことにより作製した加湿箱(縦:30cm×横:45cm×高さ:30cm)に、基材(厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)を入れ、スチーム発生器で1分間、加湿箱内を加湿することにより、基材上に水滴を形成した。雰囲気温度は23℃で行った。
【0180】
上記剥離剤溶液をべーカー式アプリケータを用いて、基材の水滴を形成した面に、水滴を形成しないで塗布・乾燥させた時の剥離剤層の厚さが10μmになるような厚さで塗布した。
【0181】
塗布後、熱風オーブンを用いて120℃で1分間加熱することにより高温乾燥して、基材の一方の面に剥離剤処理層を有するセパレータ(1)を得た。
【0182】
製造例9:セパレータ(2)
23℃の雰囲気下、基材上に霧吹きを用いて水滴を形成したこと以外は、セパレータ(1)と同様にして、基材の一方の面に剥離剤処理層を有するセパレータ(2)を得た。
【0183】
製造例10:セパレータ(3)
基材上に水滴を形成する工程を行わなかったこと以外は、セパレータ(1)と同様にして、基材の一方の面に剥離剤処理層を有するセパレータ(3)を得た。
【0184】
実施例1
(粘着剤組成物の調製)
アクリル系ポリマー(A)の溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部にイオン液体(1)を0.1重量部、ヘキサメチレンジイソシアネ−トのイソシアヌレート体(商品名「コロネ−トHX」、日本ポリウレタン工業(株)社製)0.8重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、アクリル系粘着剤溶液(1)を調製した。
(粘着シートの作製)
得られたアクリル系粘着剤溶液(1)を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に塗布し、110℃で3分間加熱して、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。次いで、粘着剤層に上記セパレータ(1)の剥離剤処理面を貼合せて粘着シート1を作製した。
【0185】
実施例2
(粘着シートの作製)
アクリル系粘着剤溶液(1)を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に塗布し、110℃で3分間加熱して、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。次いで、粘着剤層に上記セパレータ(2)の剥離剤処理面を貼合せて粘着シート2を作製した。
【0186】
実施例3
(粘着剤組成物の調製)
アクリルポリマーBの溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部にイオン液体(2)を2.0重量部、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(商品名「TETRAD−C」、三菱瓦斯化学(株)製)0.7重量部、トリメチロ−ルプロパン/トリレンジイソシアネ−ト3量体付加物(商品名「コロネ−トL」、日本ポリウレタン工業(株)社製)0.3重量部を加えて、アクリル系粘着剤溶液(2)を調製した。
(粘着シートの作製)
アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、アクリル系粘着剤溶液(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着シート3を作製した。
【0187】
実施例4
(粘着剤組成物の調製)
アクリル系ポリマー(C)の溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部にイオン液体(1)を0.2重量部、ヘキサメチレンジイソシアネ−トのイソシアヌレート体(商品名「コロネ−トHX」、日本ポリウレタン工業(株)社製)0.4重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、アクリル系粘着剤溶液(3)を調製した。
(粘着シートの作製)
アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、アクリル系粘着剤溶液(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シート4を作製した。
【0188】
実施例5
(粘着剤組成物の調製)
アクリル系ポリマー(C)溶液(40重量%)に代えて、上記アクリル系ポリマー(D)溶液(40重量%)を用いた以外は、実施例4と同様の方法によりアクリル系粘着剤溶液(4)を調製した。
(粘着シートの作製)
アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、アクリル系粘着剤溶液(4)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シート5を作製した。
【0189】
実施例6
(粘着剤組成物の調製)
アクリル系ポリマー(A)の溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に帯電防止剤溶液(a)(10重量%)を2重量部、ヘキサメチレンジイソシアネ−トのイソシアヌレート体(商品名「コロネ−トHX」、日本ポリウレタン工業(株)社製)0.8重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、アクリル系粘着剤溶液(5)を調製した。
(粘着シートの作製)
アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、アクリル系粘着剤溶液(5)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シート6を作製した。
【0190】
比較例1
(粘着シートの作製)
アクリル系粘着剤溶液(1)を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に塗布し、110℃で3分間加熱して、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。次いで、前記粘着剤層に上記セパレータ(3)の剥離剤処理面を貼合せて粘着シート7を作製した。
【0191】
比較例2
(粘着剤組成物の調製)
イオン液体を添加しないこと以外は実施例1と同様にしてアクリル系粘着剤溶液(6)を調製した。
(粘着シートの作製)
アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、アクリル系粘着剤溶液(6)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シート8を作製した。
【0192】
比較例3
(粘着剤組成物の調製)
イオン液体を添加しないこと以外は実施例3と同様にしてアクリル系粘着剤溶液(7)を調製した。
(粘着シートの作製)
アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、アクリル系粘着剤溶液(7)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シート9を作製した。
【0193】
比較例4
(粘着剤組成物の調製)
イオン液体を添加しないこと以外は実施例4と同様にしてアクリル系粘着剤溶液(8)を調製した。
(粘着シートの作製)
アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、アクリル系粘着剤溶液(8)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シート10を作製した。
【0194】
比較例5
(粘着剤組成物の調製)
イオン液体を添加しないこと以外は実施例5と同様にしてアクリル系粘着剤溶液(9)を調製した。
(粘着シートの作製)
アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、アクリル系粘着剤溶液(9)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着シート11を作製した。
【0195】
上記実施例、比較例等で得られた粘着シート1〜11について、以下の要領で、剥離帯電圧、粘着力、剥離力及びセパレータの剥離剤層表面の形状を評価した。
【0196】
[剥離帯電圧]
実施例及び比較例で得られた粘着シートを幅70mm×長さ100mmのサイズにカットし、サンプル固定台に設置した。粘着シートにおけるセパレータの一方の端部を自動巻取り機に固定し、剥離角度150°、剥離速度10m/minとなるように長さ方向に剥離し、粘着剤層表面の電位を所定の位置(粘着剤層表面から100mmの高さ)に固定してある電位測定機(商品名「KSD−0103」、春日電機(株)社製)を使用して測定した。なお、測定は、23℃、50%RHの環境下で行った。
【0197】
[粘着力測定]
厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルム(商品名「フジタック」、富士写真フィルム(株)製)を幅70mm×長さ100mmにカットし、60℃の水酸化ナトリウム水溶液(10重量%)に1分間浸漬した後、蒸留水にて洗浄して被着体を作製した。得られた被着体を23℃、50%RHの環境下で1日放置した後、粘着力評価用被着体とした。
実施例及び比較例で得られた粘着シートを幅25mm×長さ80mmのサイズにカットし、0.25MPaの圧力で上記粘着力評価用被着体にラミネートして、評価サンプルを作製した。
ラミネート後30分間放置した後、万能引張試験機(商品名「高速剥離試験機」、テスター産業社製)を使用して、粘着シートを引張り速度30m/分、剥離角度180°で剥離したときの粘着力を測定した。なお、測定は23℃×50%RHの環境下で行った。
【0198】
[剥離力の測定法]
実施例及び比較例で得られた粘着シートを幅50mm×長さ150mmにカットし評価サンプルを作製した。
100℃環境下で、評価用サンプルを、サンプル面積(幅:50mm×長さ:150mm)に対して1kgの荷重をかけて押圧し、1時間放置した。
放置後、23℃で1時間冷却してから、万能引張試験機(商品名「TG−1kN」、ミネベア社製)を用い、セパレータを引張り速度300mm/分、剥離角度180°で剥離したときの剥離力を測定した。測定は23℃×50%RHの環境で行った。
【0199】
[セパレータの剥離剤層表面の形状]
共焦点レーザー顕微鏡(商品名「走査型レーザー顕微鏡 LEXT−OLS3000」、オリンパス株式会社製)を用いて、セパレータの剥離剤層表面の形状を観察した。その結果を図5〜図10に示した。測定条件は下記表1に示した。
【表1】

【0200】
上記評価結果を表2にまとめて示す。
【表2】

【0201】
上記表2より、本発明に係る粘着シートの場合(実施例1〜6)、全実施例においてセパレータの剥離性に優れ、セパレータ剥離時の剥離帯電圧が抑制されることが明らかとなった。これに対して剥離剤表面に凹凸形状が付与されていないセパレータを用いた粘着シートの場合(比較例1)は、セパレータの剥離性が実施例で得られた粘着シートと比べて劣ることがわかった。また、粘着剤組成物にイオン液体を使用しない粘着シート(比較例2〜5)では、剥離帯電圧が高く、静電気の発生を防止できなかった。
【符号の説明】
【0202】
1 セパレータ基材
2 水滴
3 剥離剤層
31 有機溶剤が蒸発した剥離剤層
4 水滴が蒸発した剥離剤層
5 セパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン液体及びベースポリマーとしてガラス転移温度(Tg)が0℃以下のポリマーを含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層の少なくとも片面側に、セパレータ基材の少なくとも片面側に水滴を形成させた後、該セパレータ基材の水滴を形成させた面上に剥離剤を含有する有機溶剤溶液を塗布し、続いて、有機溶剤及び水滴を除去し、剥離剤を乾燥及び/又は硬化させて表面に凹凸形状が施された剥離剤層を形成したセパレータが、前記凹凸形状が施された剥離剤層が前記粘着剤層側となるようにして貼り合わされている粘着シート。
【請求項2】
水滴を形成させる方法が、加湿により基材表面を結露させる方法、又は水を噴霧する方法の何れかである請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
剥離剤が、熱硬化性付加型シリコーン系剥離剤である請求項1又は2に記載の粘着シート。
【請求項4】
イオン液体が含窒素オニウム塩、含硫黄オニウム塩、又は含リンオニウム塩から選択される1以上である請求項1〜3の何れかの項に記載の粘着シート。
【請求項5】
イオン液体が下記式(A)〜(D)で表されるカチオンから選択される1以上を含む請求項1〜4の何れかの項に記載の粘着シート。
【化1】

[式(A)中、Raは、炭素数4から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいても良く、Rb及びRcは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1から16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいても良い。但し、窒素原子が2重結合を含む場合、Rcはない。
式(B)中、Rdは、炭素数2から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいても良く、Re、Rf及びRgは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1から16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいても良い。
式(C)中、Rhは、炭素数2から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいても良く、Ri、Rj及びRkは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1から16の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいても良い。
式(D)中、Zは、窒素、硫黄、リン原子を表し、Rl、Rm、Rn、及びRoは、同一又は異なって、炭素数1から20の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでいても良い。但し、Zが硫黄原子の場合、Roはない]
【請求項6】
ガラス転移温度(Tg)が0℃以下のポリマーが、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを主成分とするアクリル系ポリマーである請求項1〜5の何れかの項に記載の粘着シート。
【請求項7】
表面保護フィルムとして使用する請求項1〜6の何れかの項に記載の粘着シート。
【請求項8】
イオン液体及びベースポリマーとしてガラス転移温度(Tg)が0℃以下のポリマーを含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層の少なくとも片面側に、セパレータ基材の少なくとも片面側に水滴を形成させた後、該セパレータ基材の水滴を形成させた面上に剥離剤を含有する有機溶剤溶液を塗布し、続いて、有機溶剤及び水滴を除去し、剥離剤を乾燥及び/又は硬化させて表面に凹凸形状が施された剥離剤層を形成したセパレータを、前記凹凸形状が施された剥離剤層が前記粘着剤層側となるようにして貼り合わせることを特徴とする粘着シートの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−209190(P2010−209190A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55753(P2009−55753)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】