説明

精密計量装置

第1のチャンバ及び第2のチャンバと、第1のチャンバ内に配置されて第1のチャンバを混合部と駆動部とに区分するピストンと、第2のチャンバ内に配置され第2のチャンバ内の濃縮部を画定する第2のピストンとを備える装置を含む、精密計量装置が提供される。第2のチャンバの濃縮部は第1のチャンバの混合部と液体的に連通している。この提供される計量装置を利用した、濃縮物を溶媒に加える方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は広くは、溶液に精密量の濃縮物を加えるために用いられる計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1つの流体の特定の量を他の流体又は溶液に量的比例関係で加えるために、産業全体にわたって計量装置が用いられている。例えば、飲料業界でソーダにシロップを加えるため、散水システムに肥料を加えるため、また解毒又は除染目的で水に添加剤を加えるためなどに、計量装置が用いられてきた。一般に計量システムは、混合ヘッドなどの混合装置を介して規定量の濃縮物を溶液の液体流中に投入する。濃縮物は通常、液体計量器によって液体流中の電磁弁に供給される信号の関数として、液体流中に計量投入される。このような計量システムは電子制御装置と機械弁とに依存するが、機械弁はやや精密性に劣ることがあり、また相当量のエネルギーを消費し得る。様々な液体用のピストンを受容するためのチャンバを備える単一の一体シリンダーを採用した、他の計量装置も知られており、これらの液体は装置下流において相互に加えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
精密量の濃縮物を溶液に非常に高い希釈度で加えることができる装置が必要とされている。例えば、容積比で約1:1〜約1:10,000、約1:10〜約1:5,000又は更に約1:50〜約1:1000の範囲の希釈率で濃縮物を溶液に供給することが可能な装置が必要とされている。最新の装置でもこのような希釈率を達成することは困難である。追加的な電気エネルギーを要しない完全機械式の計量装置もまた、必要とされている。最後に、必要な溶液量とは独立に精密量の希釈溶液を常に供給する計量装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、第1の容積を有する第1のチャンバ及び第2の容積を有する第2のチャンバと、第1のチャンバ内に摺動可能に配置されて第1のチャンバを混合部と駆動部とに密閉可能に区分する第1のピストンと、第1のピストンに結合され、第2のチャンバ内に摺動可能に配置されて第2のチャンバ内の濃縮部を密閉可能に画定する第2のピストンとを含み、第1のチャンバ及び第2のチャンバの各々が少なくとも1つの外壁を有し、濃縮部が混合部と流体的に連通している装置が提供される。追加的な濃縮部を有する追加的なチャンバもまた、本開示の一部として想定される。
【0005】
別の態様では、上述した装置を用意する工程と、第1のピストンを、第1のチャンバの混合部の容積が拡大しかつ第2のチャンバの濃縮部の容積が縮小する方向に付勢し、溶媒を1つ以上の溶媒源から第1のチャンバの混合部内へと流入させ、かつ濃縮物を第2のチャンバの濃縮部から濃縮物導管を通して混合チャンバ内へと流入させる工程と、混合部の容積が増大するにつれて濃縮物と溶媒とを混合して溶媒/濃縮物混合物を生成する工程と、濃縮物導管内の複数の弁であって第1のチャンバの内部又は近傍に配置された少なくとも1つの弁及び第2のチャンバの内部又は近傍に配置された少なくとも1つの弁を閉じ、かつ、第1のチャンバの混合部とも流体的に連通している出力導管と流体的に連通している、少なくとも1つの弁を開ける工程と、ピストンを反対方向に付勢して第2のチャンバ内の弁を開け、濃縮物を1つ以上の濃縮物源から濃縮物導管を通して第2のチャンバの濃縮部内へと流入させ、かつ溶媒/濃縮物混合物を出力導管を通して排出する工程と、を含む、濃縮物を溶媒に加える方法が提供される。上記の装置について説明したと同様に第3のチャンバ及び第3のピストンも本開示によって具現される。
【0006】
本開示では、
「軸方向に整列」は2つ以上の部品が対称軸又は平行な対称軸を共有することを指す。
【0007】
「袋」は変形可能な容器を指す。
【0008】
「導管」は流体通路を指す。
【0009】
「流体」は液体又は気体を指す。
【0010】
「流体的に連通」は2つの装置又は装置の部品が相互に流体を直接伝達する状況を指すが、他の流量調整装置が流体連通システム内に含まれることもあると理解される。
【0011】
「リンク」は運動の伝達に用いられる要素のシステムを指し、このリンクは直接的な機械的リンクであってもよいし、後に機械的運動に変換されるエネルギー伝達媒体、例えば電磁弁に対する電気信号を介した、間接的なリンクであってもよい。
【0012】
「機械的結合」はリンクを有する2つ以上の部品を指す。
【0013】
「比例的」は所定の一定比率によることを指すが、予測可能な方法で変化する比率によることを意味するとも解釈され得る。
【0014】
「溶媒」は濃縮物が加えられる任意の溶液を指し、純溶媒であるか溶液であるかを問わない。
【0015】
提供される装置及び方法によれば、少量の濃縮物の精密計量が可能となり、必要な溶液量とは独立に精密量の希釈溶液を常に供給することが可能である。提供される装置及び方法は、例えば化学反応に触媒を加えたり、製品混合物に酸化防止剤、熱及び光安定剤、染料溶液、又はその他の液体添加剤を加えたりするのに有用であり得る。加えて、提供される装置及び方法は、飲用水に精密量の添加剤を投入するのにも有用であり得る。
【0016】
上記の概要は、本発明の全ての実施の開示された各実施形態を記述することを意図したものではない。図面の簡単な説明及び後に続く発明を実施するための形態は、説明に役立つ実施形態をより詳しく例示する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】提供される精密計量装置の一実施形態の概略図。
【図2】1つの濃縮物源を含む、提供される精密計量装置の別の実施形態の概略図。
【図3】2つの濃縮物源を含む、提供される精密計量装置の更に別の実施形態の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明において、本明細書の説明の一部を構成し、いくつかの特定の実施形態が例として示される添付の一連の図面を参照する。本発明の範囲又は趣旨を逸脱せずに、その他の実施形態が考えられ、実施され得ることを理解すべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定する意味で理解すべきではない。
【0019】
他に指示がない限り、本明細書及び添付の「特許請求の範囲」で使用される特徴寸法、量、物理特性を表わす数字は全て、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。それ故に、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の「特許請求の範囲」で示される数値パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。終点による数の範囲の使用は、その範囲内(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)の全ての数及びその範囲内の任意の範囲を含む。
【0020】
提供される精密計量装置は、本明細書において、図をもって更に説明される。図1に、提供される装置の一実施形態を示す。装置100は、第1のチャンバ110、第2のチャンバ120、第1のピストン112、第2のピストン122、リンク130、及び濃縮物導管140を含む。提供される装置では、第1のチャンバは典型的には、第2のチャンバの一定の容積より大きい、一定の容積を有する。第1のチャンバ110は2つの部分に区分される。すなわち、混合部114(第1のピストン112より上方の容積)及び駆動部116(第1のピストン112より下方の容積)である。混合部114の容積及び駆動部116の容積は第1のチャンバ110内の第1のピストン112の位置の関数として変化する。例えば、第1のピストン112が完全に進出した(図1に示すようにその上限位置にある)状態では、混合部114の容積は最小となり、したがって駆動部116の容積は最大となる。第2のピストン122は濃縮部126を画定する。
【0021】
第1のチャンバは第2のチャンバと軸方向に整列してよい。例えば、第1のチャンバは共通軸を介して第2のチャンバと直接整列することができる。あるいは第2のチャンバは、第1の軸に平行な別の軸上にあって整列することもできる。あるいはまた、第2のチャンバは第1のチャンバが整列する軸に対して特定の角度のある軸を有することもできる。例えば、第2のチャンバを第1のチャンバに対して実質的に垂直にすることができるねじ歯車を用いることが可能である。適切な歯車によって、他の任意の角度とすることもまた、可能である。
【0022】
第1のチャンバ又は第2のチャンバが回転対称にある必要はない。例えば、第1のピストンと第2のピストンとの間のリンクは一方又は他方のピストンの中心からずれていてもよい。
【0023】
リンク130は、第1のピストン112と第2のピストン122との間における機械的運動の伝達を可能にするものであれば、任意のシステムであってよい。図1では、リンクは一般リンク要素である130によって表されている。リンク130は、例えば第1のピストン112及び第2のピストン122に機械的に連結される固体棒であってもよいし、又は実施形態によっては、棒要素の各先端に第1のピストン112及び第2のピストン122を備える棒要素である。したがって、一実施形態では、第1のピストン112、リンク130(棒要素)、及び第2のピストン122は全て1つの部品をなす。別の実施形態では、リンク130は例えば連結棒、半径方向リンク、軸方向リンク、シフトリンク、クラッチリンク、回転リンク、ぜん動リンク、ばね若しくはばねシステム、歯車若しくは歯車システム、油圧システム、伸縮システム、磁気結合システム、又は機械的運動を比例的に第1のピストン112から第2のピストン122へと伝達することができるその他のシステムであってよい。加えて、リンクは、電気信号などの信号がピストン間の結合リンクの一部であり得るという意味において間接的であってもよい。例えば、1つのピストンが電気信号を、この信号を電磁弁を介して機械的運動に変換することが可能な別のピストンに送ってもよい。
【0024】
第1のチャンバ110及び第2のチャンバ120は、流体を収容することが可能な任意の容積要素の形状であってよい。例えば、第1のチャンバ110、第2のチャンバ120又はその両方は、円筒形であってもよい。しかしながら、第1のチャンバ110及び第2のチャンバ120について、別の容積要素形状もまた想定される。例えば、第1のチャンバ110、第2のチャンバ120、又はその両方が、三角形からより多くの辺を有する多角形まで、任意の種類の多角形である断面を有する斜方体形状であってもよい。第1のピストン112は、この第1のピストン112の縁が第1のチャンバ110の外壁全体に接触して第1のチャンバ110を上述したような2つの部分に区分する封を形成するように、第1のチャンバ110内に配置される。同様に、第2のピストン122は、この第2のピストン122の縁が第2のチャンバ120の外壁全体に接触して濃縮部を画定する封を形成するように、第2のチャンバ120内に配置される。両チャンバ内において、封は、流体がチャンバの一方の部分から同チャンバの他方の部分へと実質的に移動するのを防ぐように意図されている。第1のチャンバは第1のチャンバに通じる複数の開口部を備えてよく、第2のチャンバは第2のチャンバに通じる複数の開口部を備えてよい。これらの開口部は典型的には導管に接続される。
【0025】
具現された装置では、第2のチャンバ120の濃縮部126は第1のチャンバ110の混合部114と流体的に連通している。図1では、流体連通は濃縮物導管140を介する。濃縮物導管140はチューブ、パイプ、チャネル、ホース、通路、ダクト、トンネル、トラフ、又は第2のチャンバ120の濃縮部126から第1のチャンバ110の混合部114内へと流体を流すことができる部品の任意の組み合せであってよい。濃縮物導管140は他のアイテム、例えば濾過器、計量器、絞り、圧力変換器、逆流防止弁、又は第2のチャンバ120から第1のチャンバ110への流体の流れの速さ、圧力、及び方向を変更することができる他の任意のアイテムを含んでもよい。随意選択的な逆流防止弁が図1に示されているが、これらは単に例示を目的とするものである。逆流防止弁144は、第2のピストン122の進出により濃縮物が第1のチャンバ110の濃縮部126から押し出された後にこの濃縮物が逆流するのを防ぐ。逆流防止弁142は、第1のピストン112の進出中における濃縮物の逆流を防止する。第1のピストンと機械的結合状態にある追加的なピストンを備えた追加的な濃縮物チャンバがあってもよく、そのような追加的な濃縮物チャンバもまた第1の円筒の混合部と流体的に連通していてよいことが、想定される。
【0026】
典型的には、有用な濃縮物としては例えば、酸化防止剤、熱及び光安定剤、化学線吸収剤、染料、並びに分散色素などの製剤補助剤、触媒、薬剤、アジュバント、共溶剤、香味料、ビタミン、ミネラル、殺菌剤、消臭剤、防汚剤、並びに清かん剤などが挙げられる。
【0027】
溶媒に濃縮物を加える方法は、やはり図1を参照することにより最もよく説明され得る。図1は垂直方向に示されるが、これは限定するためではなく、提供される方法を説明するためにのみ、本明細書において用いられるものである。溶媒導管152を介して第1のチャンバ110の混合部114と流体的に連通している溶媒源150が設けられている。同様に、濃縮物導管162を介して第2のチャンバ120の濃縮部126と流体的に連通している濃縮物源160が設けられている。濃縮物源160は濃縮物を有する容器であってよい。容器は例えばタンク、ビン、箱、又は袋であってよい。図1に示した実施形態では、溶媒の逆流を防ぐために溶媒導管152内に逆流防止弁154が設けられ、濃縮物の逆流を防ぐために濃縮物導管162内に逆流防止弁164が設けられている。
【0028】
第1のピストン112が、第1のチャンバ110の混合部114の容積を増大するように(図1では下向きに)付勢される。第1のピストン112のこの運動により、溶媒が溶媒源150から導管152及び逆流防止弁154を通して混合部114内へと引き込まれる。同時に、第2のピストン122が第1のピストン112の運動に対して比例的に動いて第2のチャンバ120の濃縮部126の容積を縮小し、濃縮物を逆流防止弁144を通して濃縮物導管140内へ、更に逆流防止弁142を通して第1のチャンバ110の混合部114内へ、と送り込む。このようにして、計量された量の濃縮物及び溶媒が同時に混合部114を満たし、混合部114は同混合部の容積にかかわらず、同じ濃度の濃縮物及び溶媒を有する。混合は静的に行われてもよいし、又は、混合部114と連通する追加的な混合要素があってもよく、この要素を利用することによって混合が行われてもよい。このように第1のピストン112を付勢する間、図1に例示した実施形態では、逆流防止弁142、144及び154は開位置にあって、矢印で示される方向の流れを可能にするとともに、逆流防止弁156及び164は閉位置にあって矢印で示される方向の流れに抗する。
【0029】
混合部114がその最大容積(これは第1のピストン112の行程長により決定される任意の容積であり得る)に達した後、逆流防止弁142、144、及び154が閉められ、逆流防止弁156及び164が開けられる。逆流防止弁は、単に流れの方向に反応することによって受動的にその状態を変化させるものであってもよいし、外部の制御システムによって油圧又は電子的に操作されるものとしてもよい。第1のピストン112はその後、混合部114の容積を縮小するように(図1では上向きに)付勢される。この運動により、溶媒と濃縮物との混合物が逆流防止弁156を通して、また溶媒/濃縮物混合物導管158を通して、最終用途又は保存容器(図示せず)へと送り出される。同時に第2のピストン122が、第2のチャンバ120の濃縮部126の容積を増大するように比例的に動く。この運動により、濃縮物が濃縮物源160から濃縮物導管162及び逆流防止弁164を通して流れ、濃縮部126内の濃縮物を補充する。
【0030】
随意選択的な逆流防止弁176を備える流体入力導管172及び逆流防止弁178を備える流体出力導管174が、図1の一部として例示されている。入力導管172は流体を第1のチャンバ110の駆動部116内へと導く手段となる。有用な流体には液体又は気体が挙げられる。流体は第1のピストン112に油圧的揚力を与えることができる。この流体は任意の液体又は気体であってよく、ポンプによって駆動部116内へと送り込まれてもよい。第1のピストン112が反対方向に付勢されると、流体は駆動部116から出力導管174を通して流出し、例えば容器へと戻ることができる。
【0031】
図2は提供される精密計量装置の一実施形態の例である。この実施形態では装置200は、第1のチャンバ210、第2のチャンバ220、第1のピストン212、第2のピストン222、及び濃縮物導管240を含む。第1のチャンバ210は2つの部分に区分される。すなわち、混合部214(第1のピストン212より上方の容積)及び駆動部216(第1のピストン212より下方の容積)である。混合部214の容積及び駆動部216の容積は、図1に示した実施形態について上述したと同じように、第1のチャンバ210の第1のピストン212の位置の関数として変化する。図2に示した実施形態では、第1のピストン212及び第2のピストン222は、相互間のリンクとして固体棒を有する。この実施形態では、第1のピストン212及び第2のピストン222は実際には一体である。第1のピストン212及び第2のピストン222は軸方向に整列していることから、第1のピストン212が混合部214の容積を増大するように付勢されるとき、第2のピストン222は共通軸に沿って等しい距離だけ動いて濃縮部226内の容積を縮小する。
【0032】
図2はまた、(逆流防止弁254を備える)溶媒導管252を通して第1のチャンバ210の混合部214と流体的に連通している溶媒源250、(逆流防止弁264を備える)導管262を通して第2のチャンバ220の濃縮部226と流体的に連通している濃縮物源260、(逆流防止弁256を備える)溶媒/濃縮物混合物導管258、濃縮物導管240を通る濃縮物の流れを制御するための逆流防止弁242及び244、並びに随意選択的なものとして、逆流防止弁276を備える流体入力導管272及び逆流防止弁278を備える流体出力導管274を示している。
【0033】
図3は、提供される装置の別の実施形態を例示する。図3は、第1のチャンバ310、第2のチャンバ320A、及び第3のチャンバ320Bを含む、装置300を示している。溶媒源350は溶媒導管352及び逆流防止弁354を通して第1のチャンバ310の混合部314と流体的に連通している。第1の濃縮物源360Aは濃縮物導管362A及び逆流防止弁364Aを介して第2のチャンバ320Aの濃縮部316Aと流体的に連通しており、第2の濃縮物源360Bは濃縮物導管362B及び逆流防止弁364Bを介して第3のチャンバ320Bの濃縮部316Bと流体的に連通している。更に、濃縮部316Aは、逆流防止弁342A及び344Aを備える流体導管340Aを通して第1のチャンバ310の混合部314と流体的に連通しており、濃縮部316Bは、逆流防止弁342B及び344Bを備える流体導管340Bを通して第1のチャンバ310の混合部314と流体的に連通している。第1のピストン312が第1のチャンバ310を混合部314と駆動部318とに区分する。駆動部318は逆流防止弁376を含む流体入力導管372及び逆流防止弁378を含む流体出力導管374と流体的に連通している。第1のピストン312は第2のピストン322A及び第3のピストン322Bの両方と機械的結合状態にある。第2のチャンバ320Aは第3のチャンバ320Bと寸法、容積、及び形状が異なってよい。同様に、第2のピストン322Aは第3のピストン322Bと寸法及び形状が異なってよい。第1のチャンバ310の混合部314もまた、(逆流防止弁356を備える)溶媒/混合物導管358と流体的に連通している。図3には示されないが、第2のピストン及び第3のピストンは、第1のピストン312に対してそれぞれ独立に異なる種類のリンクを有することができると想定される。
【0034】
図示した実施形態は、第1のチャンバと、濃縮物を含む1つ又は2つの第2のチャンバとを備える。また、追加的な濃縮物を収容する、第1のチャンバの混合部と流体的に連通している追加的なチャンバを設けてもよいことも、想定される。
【0035】
提供される装置及び方法は、濃縮物を精密計量して溶媒中に加えるのに有用である。提供される装置を用い、第1のチャンバの混合部内において濃縮物の比例的な量を溶媒中に加えることにより、混合部内の溶媒/濃縮物混合物が、混合部の容積(第1のピストンの位置)にかかわらず同じ比率を有することが可能となる。適切な歯車を用いることによって、この比率は1:1(溶媒/濃縮物容積比)から極めて高い希釈率までの範囲にわたり得る。例えば濃縮物は、容積比で1:1、1:20、1:50、1:100、1:500、1:1000、1:10,000又はより高い比率で希釈することが可能である。操作モードによっては、第1のピストン、第2のピストン、又はその両方が、第1のチャンバ又は第2のチャンバの一定容積全体を変化させなくてもよいこともまた、想定される。濃縮物導管を通して第1のチャンバの混合チャンバ内へと押し出される濃縮物の量が機械的又は電気的なストップによって制限され得ることもまた、想定される。
【0036】
リンクは様々であり、かつ/又は機械的若しくは電気的制御システムを用いて調整可能であり得ることもまた、想定される。例えばリンクは制御システムにより、装置の操作中に調整可能及び変更可能であり得る。
【0037】
提供される装置及び方法は、例えば反応混合物に触媒を加えたり、液体製品流若しくは液体製品に添加剤を加えたり、薬剤を製剤したり、又は食品若しくは飲料に添加剤を加えたりするのに有用であり得る。提供される装置及び方法は、希釈率が極めて重要で製品の容積が小さい場合に非常に有用である。提供される装置及び方法により、バッチ製剤に代り、要求に応じて大量又は少量の溶媒/濃縮物混合物を供給することの可能な、信頼性の高い精密計量システムが実現できる。
【0038】
実施形態によっては、提供される装置は独自の電源を用いる必要がない。例えばシステムは、第1のチャンバの駆動部内へと流入して第1のピストンを一方向に付勢する廃水流と、対抗力として作用してピストンを反対方向に付勢し得る溶媒源とによって駆動されることも可能である。
【0039】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する「特許請求の範囲」によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。本開示に引用された全ての参照文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の容積を有する第1のチャンバ及び第2の容積を有する第2のチャンバと、
前記第1のチャンバ内に摺動可能に配置されて前記第1のチャンバを混合部と駆動部とに密閉可能に区分する第1のピストンと、
前記第1のピストンに結合され、前記第2のチャンバ内に摺動可能に配置されて前記第2のチャンバ内の濃縮部を密閉可能に画定する第2のピストンと、を含み、
前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバの各々が少なくとも1つの外壁を有し、前記濃縮部が前記混合部と流体的に連通している、装置。
【請求項2】
前記第1の容積及び前記第2の容積が一定である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のチャンバの一定の容積が前記第2のチャンバの一定の容積より大きい、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のチャンバが前記第2のチャンバと軸方向に整列している、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のピストン及び前記第2のピストンがリンクによって結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記リンクが連結棒、ばね、磁石、歯車、油圧システムの1つ、又はこれらの組み合せである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2のピストンが変化させる容積は前記第1のピストンとは異なる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
1つ以上の溶媒導管が前記第1のチャンバの前記混合部及び1つ以上の溶媒源の両方と流体的に連通している、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第2のチャンバの前記濃縮部が1つ以上の濃縮物源と流体的に連通している、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
1つ以上の濃縮物源が袋内に収容される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置と、濃縮物を有する濃縮物源と、溶媒を有する溶媒源とを用意する工程と、
前記第1のピストンを、前記第1のチャンバの前記混合部の容積が拡大しかつ前記第2のチャンバの前記濃縮部の容積が縮小する方向に付勢し、溶媒を1つ以上の溶媒源から前記第1のチャンバの前記混合部内へと流入させ、かつ濃縮物を前記第2のチャンバの前記濃縮部から濃縮物導管を通して前記混合チャンバ内へと流入させる工程と、
前記混合部の前記容積が増大するにつれて前記濃縮物と前記溶媒とを混合して溶媒/濃縮物混合物を生成する工程と、
前記濃縮物導管内の複数の弁であって前記第1のチャンバの内部又は近傍に配置された少なくとも1つの弁及び前記第2のチャンバの内部又は近傍に配置された少なくとも1つの弁を閉じ、かつ、前記第1のチャンバの前記混合部とも流体的に連通している出力導管と流体的に連通している、少なくとも1つの弁を開ける工程と、
前記ピストンを反対方向に付勢して前記第2のチャンバ内の弁を開け、濃縮物を1つ以上の濃縮物源から前記濃縮物導管を通して前記第2のチャンバの前記濃縮部内へと流入させ、かつ前記溶媒/濃縮物混合物を出力導管を通して排出する工程と、を含む、濃縮物を溶媒に加える方法。
【請求項12】
前記第1のチャンバが前記第2のチャンバと軸方向に整列している、請求項11に記載の濃縮物を溶媒に加える方法。
【請求項13】
前記第1のチャンバが、前記第2のチャンバの一定の容積よりも大きい一定の容積を有する、請求項11に記載の濃縮物を溶媒に加える方法。
【請求項14】
機械的結合がリンクを有する、請求項11に記載の濃縮物を溶媒に加える方法。
【請求項15】
前記リンクが連結棒、ばね、歯車、油圧システム、及びこれらの組み合せから選択される、請求項14に記載の濃縮物を溶媒に加える方法。
【請求項16】
前記第2のピストンが変化させる容積は前記第1のピストンとは異なる、請求項11に記載の濃縮物を溶媒に加える方法。
【請求項17】
1つ以上の溶媒導管が前記第1のチャンバの前記混合部及び1つ以上の溶媒源の両方と流体的に連通している、請求項11に記載の濃縮物を溶媒に加える方法。
【請求項18】
前記第2のチャンバの前記濃縮部が1つ以上の濃縮物源と流体的に連通している、請求項11に記載の濃縮物を溶媒に加える方法。
【請求項19】
1つ以上の濃縮物源が袋内に収容される、請求項18に記載の濃縮物を溶媒に加える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−515607(P2013−515607A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547133(P2012−547133)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/061426
【国際公開番号】WO2011/090652
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】