説明

精油又は精油成分の抗菌性混合物を含むパーソナルケア組成物

天然に存在する風味成分若しくは香料成分又はかかる成分を含む精油の混合物を含む、口腔、喉及び皮膚のケアのための組成物を含むパーソナルケア組成物が開示され、この混合物は、優れた抗菌活性をもたらし、少なくとも2つの成分、シトラール、ネラール、ゲラニアール、ゲラニオール及びネロールから選択される第1の非環式成分と、ユーカリプトール、オイゲノール及びカルバクロールから選択される第2の環含有成分とを含む。好ましくは、この混合物は上記の成分の3、4、5個又はそれ以上を含む。より異なった成分が混合されるほど、抗菌効力において、より優れた相乗効果を得ることができる。本組成物は、歯垢、虫歯、結石、歯肉炎、歯周病及び悪臭を含む、望ましくない口腔状態をもたらすものを含む微生物の殺滅、成長抑制及び/又は代謝改変に有効である。所望により、混合物は追加的な抗菌成分及び/又は抗炎症成分を更に含み、好ましくは天然に存在するものがなおよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最終製品の消費者受容性を向上する、特有かつ心地良い風味又は香りを提供しつつ、抗菌活性をもたらす植物精油及び/又は植物精油成分の混合物を含有する、口腔ケア、喉ケア、鼻ケア及びスキンケアのための製品などのパーソナルケア組成物に関する。口腔ケア及び喉ケア製品において特に、味及び口あたりの特性は、有効性をもたせるために、これらの製品を口内で適切な長さの滞留時間で使用するため、消費者受容性だけでなく、コンプライアンスを高めるためにも重要である。
【背景技術】
【0002】
歯磨剤及び口内洗浄剤のような口腔ケア製品は、治療及び美容の双方において衛生上の利益を提供するために、口腔ケア衛生レジメンの一環として、消費者により日常的に使用されている。治療上の効果としては、様々なフッ化物塩の使用を通して典型的に供給される虫歯の予防、トリクロサン、フッ化第一スズ若しくは精油のような抗菌剤の使用による歯肉炎の予防又は塩化ストロンチウム、フッ化第一スズ若しくは硝酸カリウムのような成分の使用による知覚過敏症の抑制が挙げられる。口腔ケア製品により提供される衛生及び美容上の利益には、歯垢及び結石形成の抑制、歯の着色汚れの除去及び予防、歯の白色化、吐く息をきれいにすること、並びに口あたりの審美性として広く特徴付けることのできる口あたりについての印象を全体的に改善することが挙げられる。結石及び歯垢は、行動要因及び環境要因とともに、歯の審美的外観に著しく影響を与える歯の着色汚れの形成に繋がる。歯の着色傾向の原因となる行動及び環境要因としては、コーヒー、茶、コーラ又はたばこ製品の常用並びに更にクロルヘキシジン及び金属塩類のような、着色を助長する成分を含有する特定の口腔製品の使用が挙げられる。
【0003】
歯垢は、細菌、上皮細胞、白血球、マクロファージ及びその他口腔の滲出物の混合マトリクスである。細菌は、歯垢マトリクスのおよそ4分の3を構成する。いかなる歯垢の試料においても、400種類もの異なる微生物を含有する可能性がある。この混合物には、好気性及び嫌気性細菌の両方、真菌及び原生動物が包含される。ウイルスもまた歯垢の試料中に見出されている。有機体と口腔の滲出物のこのマトリクスは拡張を続け、近接する他の歯垢成長と合着する。細菌は、口腔内に見出される糖類からレバン類及びグルカン類を合成し、微生物にエネルギーを提供する。これらのグルカン類、レバン類及び微生物類は、歯垢の持続的増殖のための粘着性の骨格をバイオフィルムとも呼ばれるものに形成し、バイオフィルムは執拗に付着しまた除去が困難である。石化した歯垢バイオフィルムは、歯肉縁において歯表面に沈着し、結石又は歯石と呼ばれるまでに成熟する。成熟した結石が成長すると、それは何らかの外部からの剤により染色又は変色されない限り、色が目に見えて白く又は黄色っぽくなり、見苦しくなり審美上の観点から望ましくなくなる。
【0004】
歯垢の増殖を遅らせるか、停止させることができないと、口腔の健康に弊害がもたらされ、虫歯、歯肉炎、歯周病及び最終的には歯の欠損につながる。歯と歯肉組織が接する領域で成長する歯垢細菌は、「歯肉炎」と呼ばれる歯肉の炎症を引き起こすことが広く知られている。これは、発赤し容易に出血する、浮腫状に腫脹した歯肉(「ガム」)により特徴付けられる。歯垢が十分に除去されない場合、歯肉炎は、多くの個人において「歯周炎」又は歯周病に進行する恐れがある。歯周炎は、歯の周辺組織の慢性炎症により一般的に特徴付けられており、支持骨吸収をもたらす。歯周病は、成人における歯の損失の主な原因である。虫歯(歯腔)はまた、主な原因菌であると考えられているミュータンス連鎖球菌という細菌によって媒介される。
【0005】
歯垢の予防及び除去は、虫歯、結石、歯肉炎及び歯周病を防ぐという最終目標とともに、長く開発に力が注がれてきた。歯垢の除去は、特に研磨材組成物と併せた歯のブラッシングによる機械的手段により、ある程度は達成され得るが、ブラッシングだけでは、歯の表面に形成された歯垢のほぼ全てを効率的に除去する、又は歯垢の形成若しくは再生を防ぐのに十分ではない。歯垢制御の機械的手段を補足するために、抗菌剤を使用した化学的な方法が推奨されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多くの抗菌剤の中で、口腔に使用するのに有効であることが示されているものとしては、クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、トリクロサン、第一スズ、亜鉛及び銅のような金属イオン並びに精油が挙げられる。しかしながら、これらの口腔抗菌剤の多くは、使用中に、特に不快な味及び感覚並びに着色促進といった負の美観をもたらす不利点を有している。例えば、クロルヘキシジンは最も効果的な抗菌剤の1つであるが、著しく不快な味及び着色という局所的副作用があり、その受容性及び長期にわたる使用が制限されている。更に、クロロヘキシジン及びドキシサイクリン及びメトロニダゾールなどの同様の抗生物質活性物質は、より広範囲の有機体、即ち有害な細菌及び有益な細菌の両方を死滅させる可能性があるとともに、菌耐性において問題点を有する恐れがある。このような理由から、消費者は一般的に、純粋な合成化学薬品とは対照的に、天然又は天然に存在する成分を基にした製品を好むため、植物精油を由来とするような活性物質を基にした口腔ケア製品を開発するのは有利である。これらの精油活性成分の多くは、摂取しても安全であり、有益な口腔微生物叢を傷付けることなく抗菌活性を提供することが知られているGRAS物質である。
【0007】
1つの態様では、本発明は、抗菌活性物質として、植物精油中に天然に存在するものから選択された物質の混合物を含む、口腔、鼻、喉のケア製品を提供する。抗菌機能に加えて、本発明の特定の精油成分の混合物は、ミント油、メントール、果実油及び冷却液のような他の典型的な香味剤と組み合わせることが可能な特有の風味ベースを提供し、処方の使用におけるユーザーコンプライアンスを高める美味な製品を提供する。
【0008】
その他の態様では、皮膚、毛髪及び他の粘膜表面で使用するための抗菌性局所適用組成物は、本発明の精油材料の混合物を利用して提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、製薬上許容可能なキャリア中に、天然に存在する風味若しくは香料成分又はかかる成分を含有する精油の混合物を含有する口腔、喉及び皮膚のケアに対する組成物などのパーソナルケア組成物に関し、混合物は、優れた抗菌活性を示し、少なくとも2つの成分、シトラール、ネラール、ゲラニアール、ゲラニオール及びネロールを含む非環式構造から選択される第1の成分と、ユーカリプトール、オイゲノール及びカルバクロールを含む環状又は環含有構造から選択される第2の成分とを含む。本発明の組成物は、歯垢、虫歯、結石、歯肉炎、歯周病及び悪臭を含む、口腔において望ましくない状態をもたらす微生物などの殺滅、成長抑制及び/又は代謝改変に有効である。所望により、混合物は、他の抗菌有効成分及び/又は抗炎症成分を更に含むが、好ましくは天然に存在するものがなお良い。
【0010】
口腔、鼻及び喉のケア製品として、粉末、ペースト又は液体形態での製品が挙げられるが、これらは使用の際に、口腔若しくは鼻腔又は咽頭の表面及び内部粘膜と接触するのに十分な時間保持される。このような製品としては、例えば、うがい薬、歯科及び喉用トローチ剤、含嗽剤、チューインガム、歯磨剤又は練り歯磨き、喉スプレー、つま楊枝、歯科用タブレット及び粉末並びに歯の治療に適用される局所適用溶液、並びに咳止めシロップ、チュアブル制酸薬及び消化促進配合物が挙げられる。本発明の天然に存在する成分の抗菌性混合物は、ローション又はクリーム、スキンクレンザー、シャンプー及びコンディショナー、リップスティック及びファンデーションのような化粧品、拭取り布及びウェットティッシュ並びに生理用ナプキン及びタンポンのような女性用衛生製品を含む、皮膚、毛髪及び他の粘膜表面に局所適用される組成物にも組み込まれ得る。
【0011】
本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、次の「発明を実施するための形態」から当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書は、本発明を具体的に指摘しかつ明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、以下の明細書からよりよく理解されるものと考えられる。
【0013】
本明細書の以下で使用される全ての百分率及び比率は、特に指示がない限り、組成物全体の重量を基準とする。本明細書で言及される成分の全ての百分率、比率及び濃度は、特に指示がない限り成分の実際の量に基づき、市販製品として成分と組み合わされている場合がある溶媒、充填剤又はその他の物質を包含しない。
【0014】
本明細書で参照されている全ての測定は、特に指定がない限り、25℃で行なわれる。
【0015】
本明細書で、「含む」(comprising)とは、最終結果に影響を及ぼさない他の工程及び他の成分を追加し得ることを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」を網羅する。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「含む」(include)及びその変形は、挙げられた品目の詳細説明が、本発明の材料、組成物、装置及び方法でも有用である他の同様の品目を除外しないように、非限定的であることを意図する。
【0017】
本明細書で使用するとき、単語「好ましい」、「好ましくは」及びその変形は、特定の状況下において特定の効果をもたらす本発明の実施形態を指す。しかし、同一又は異なる状況下において、その他の実施形態が好ましい場合もある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを意味せず、本発明の範囲から他の実施形態を除外することを意図していない。
【0018】
「口腔ケア組成物」とは、通常の使用過程において、特定の治療剤を全身投与する目的で意図的に嚥下されるものではなく、むしろ、経口作用を目的として実質的に全ての歯の表面及び/又は口腔組織と接触させるのに十分な時間、口腔内に保持される製品を意味する。口腔ケア組成物は、練り歯磨き、歯磨剤、歯用ゲル、歯肉縁下用ゲル、口内洗浄剤、ムース、泡、義歯製品、口内スプレー、トローチ剤、咀しゃく錠又はチューインガムを含む様々な形態であってよい。口腔ケア組成物はまた、口腔表面へ直接適用する又は付着させるためのストリップ又はフィルム上に組み込まれてもよい。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「歯磨剤」は、特に指定のない限り、ペースト、ゲル、液体、粉末又は錠剤処方を含む。歯磨剤組成物は、単一相組成物であってもよく又は2つ以上の別々の歯磨剤組成物の組み合わせであってもよい。歯磨剤組成物は、ペーストを囲むゲルを有する、深い縞状、表面的な縞状、多層状又はこれらのいずれかの組み合わせのような、いずれの所望の形態であってもよい。2つ以上の別個の歯磨剤組成物を含む、歯磨剤中の各歯磨剤組成物は、ディスペンサーの物理的に分離された区画内に収容され、一緒に分配され得る。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「ディスペンサー」とは、歯磨剤のような組成物を分配するのに好適なあらゆるポンプ、チューブ又は容器を意味する。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「歯」とは、天然歯、並びに人工歯又は歯科補綴物を指す。
【0022】
用語「鼻及び喉ケア組成物」又は「呼吸組成物」は、呼吸器の症状を治療するのに使用するための組成物であり、本明細書においては、必要に応じて哺乳類に送達が可能な形態である組成物を指す。非限定的な例としては、液体組成物、鼻用組成物、飲料、補助水、丸薬、ソフトゲル、錠剤、カプセル、ゲル組成物、泡状組成物及びこれらの組み合わせが挙げられる。鼻用組成物、液体組成物、ゲル組成物は、鼻、口及び喉に直接送達することが可能な形態であることが可能である。これらの組成物及び/又は配合物は、点滴容器、ポンプ、噴霧器、液体点滴容器、カップ、瓶、液体充填ゲル、液体充填グミ、中心充填ガム、チュー(chews)、フィルム、中心充填トローチ剤、ガム充填トローチ剤、圧縮噴霧器、アトマイザー、空気吸入装置、液体入り圧縮錠、液体入りゼラチンカプセル、液体入りカプセル、並びに他の包装及び機器及びこれらの組み合わせから選択される供給装置により供給され得る。噴霧器、アトマイザー及び空気吸入装置は、電池又は電源とつなげることが可能である。例えば、呼吸組成物は、即時的又は要求に応じて人間の咳を和らげるのに使用することが可能である。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「即時的」及び/又は「要求に応じて」は、適用後20分以内、適用後15分以内、適用後10分以内、適用後5分以内、適用後2分以内、あるいは適用後1分以内に、治療され、予防され、緩和され、改善され、抑制され又は和らげられる1つ以上の症状の緩和をもたらす組成物を指す。
【0024】
用語「製薬上許容可能なキャリア」又は「口腔に許容可能なキャリア」は、パーソナルケア組成物に使用されるのに安全かつ有効な材料及び従来の添加物を指す。例えば、口腔ケア組成物に使用される材料としては、フッ化物イオン源、抗結石剤又は抗歯石剤、緩衝剤、シリカなどの研磨材、アルカリ金属重炭酸塩、増粘材料、湿潤剤、水、界面活性剤、二酸化チタン、風味系、甘味剤、キシリトール及び着色剤のうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「精油」は、植物から蒸留又は絞り出された油又は抽出物及びこれらの油の成分を指す。典型的な精油及びこれらの主な成分は、例えば、タイム(チモール、カルバクロール)、オレガノ(カルバクロール、テルペン)、レモン(リモネン、テルピネン、フェランドレン、ピネン、シトラール)、レモングラス(シトラール、メチルヘプテノン、シトロネラール、ゲラニオール)、オレンジフラワー(リナロール、β−ピネン、リモネン)、オレンジ(リモネン、シトラール)、アニス(アネトール、サフロール)、クローブ(オイゲノール、オイゲニルアセテート、カリオフィレン)、ローズ(ゲラニオール、シトロネロール)、ローズマリー(ボルネオール、ボルニルエステル、カンファー)、ゼラニウム(ゲラニオール、シトロネロール、リナロール)、ラベンダー(リナリルアセテート、リナロール)、シトロネラ(ゲラニオール、シトロネロール、シトロネラール、カンフェン)、ユーカリ(ユーカリプトール);ペパーミント(メントール、メンチルエステル)、スペアミント(カルボン、リモネン、ピネン);ウィンターグリーン油(サリチル酸メチル)、カンファー(サフロール、アセトアルデヒド、カンファー)、ベイ(オイゲノール、ミルセン、カビコール)、シナモン(シンナムアルデヒド、シンナミルアセテート、オイゲノール)、ティーツリー(テルピネン−4−オール、シネオール)及びシダーリーフ(α−ツジョン、β−ツジョン、フェンコン)から得られるものである。精油は、香水中及び香味剤、薬剤及び溶媒として広く使用されている。精油、これらの組成物及び製造は、カーク・オスマー(Kirk-Othmer)の「工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)」第4版及び「メルク・インデックス(The Merck Index)」第13版に詳細に記載されている。
【0026】
本明細書で有用な活性物質及び他の成分は、美容上及び/又は治療上の効果若しくはそれらの想定される作用機序又は機能により分類又は記述することができる。しかしながら、本明細書で有用な活性物質及び他の成分が、場合によっては、1つを超える美容上及び/又は治療上の効果若しくは機能をもたらすこと又は1つを超える作用機序を介して作用することもあることを理解すべきである。したがって、本明細書での分類は便宜上実施されるものであって、成分を特に規定した用途又は列挙した用途に制限しようとするものではない。
【0027】
本明細書において、用語「歯石」及び「結石」とは、互換的に用いられ、石化した歯垢バイオフィルムを指す。
【0028】
本組成物の必須及び任意成分を、以下の項に記載する。
【0029】
本発明の1つの態様では、口腔ケア組成物は、天然に存在する風味成分又はかかる風味成分を含有する精油(EO)の混合物を含んで提供され、この混合物は、優れた抗菌活性を示し、少なくとも2つの成分、シトラール、ネラール、ゲラニアール、ゲラニオール及びネロールを含む非環状構造から選択される第1の成分と、ユーカリプトール、オイゲノール及びカルバクロールを含む環含有構造から選択される第2の成分と、を含む。精油は、レモングラス、シトラス(オレンジ、レモン、ライム)、シトロネラ、ゼラニウム、ローズ、ユーカリプタス、オレガノ、ベイ及びクローブを含む上記の風味成分を提供するために使用され得る。しかしながら、風味成分は、組成物の他の成分に対して不安定であり得る他の成分を含有する又は所望の風味特性に相容れない風味の印象を取り込み、感覚刺激の見地から受け入れがたい製品をもたらす恐れがある天然油又は抽出物を、それらの源として添加することにより組成物に供給するのではなく、単一又は精製された化学物質として提供されることが好ましいであろう本明細書に使用するのに非常に好ましいのは、所望の成分を主に含有するように精製又は濃縮された天然油又は抽出物である。
【0030】
好ましくは、混合物は、上記の成分を3、4、5又はそれ以上含む。混合物が少なくとも1つの非環状構造及び1つの環状構造を含むのであれば、抗菌効力という観点で、より大きな相乗効果がより異なった成分を一緒に混合することで得られるであろう。好ましい混合物は、少なくとも2つの環状構造又は少なくとも2つの非環状構造を含む。例えば、2つの非環状構造(シトラールからのネラール及びゲラニアール)及び環状構造としてオイゲノールを含む混合物が、口腔細菌に対する有効性において非常に好ましい。その他の好ましい混合物は、3つの非環状構造(ゲラニオール、ネラール及びゲラニアール)及び2つの環状構造(オイゲノール及びユーカリプトール)を含む。
【0031】
所望により、混合物は追加的な抗菌有効成分及び/又は抗炎症成分を含むが、好ましくは天然に存在するものがなおよい。かかる他の抗菌有効成分及び/又は抗炎症成分は、o−シメン−5−オール、(イソプロピルメチルフェノール、IPMP)、ファルネソール、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、ヒノキチオール(イソプロピルトロポロン)、テルピネン−4−オール、ジンゲロン、アリルイソチオシアネート、クミンアルデヒド、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン、メントール、サリチル酸メチル、アネトール、カルボン、リモネン、オシメン、n−デシルアルコール、シトロネラール、シトロネロール、メチルアセテート、シトロネリルアセテート、メチルオイゲノール、リナロール、エチルリナロール、カンファー、サフロール、バニリン、クロロチモール、グアヤコール、フェノール、サリチル酸フェニル、シンナムアルデヒド、シンナム酸、グアヤコール、イソオイゲノール、ジヒドロオイゲノール、バニリルブチルエーテル、バニリン(4−ホルミル−グアヤコール)、5−プロペニルグアエトール、4−エチル−2−メトキシフェノール、4−アリル−2−メトキシフェノールアセテート及び4−メチルグアヤコールのような1つ以上の風味/香料化学物質を含む。抗炎症活性を有する、追加的な有用な成分としては、バイカレン、バイカリン、オウゴノシド、オウゴニン及びケルセチンなどのフラボノイド及びフラボン;カテキン、ガロカテキンガレート、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピガロカテキンガレート(EGCG)、エピカテキンガレート(ECG)、テアフラビン、テアルビジン、アントシアニジン/プロアントシアニジン及びアントシアニン(例えば、シアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニジン、ペオニジン、マルビジン及びペツニジン)などのフェノール類;タンニン酸;没食子酸;エラグ酸;エラジタンニン;ヘキサミジン;及びベルベリンが挙げられる。これらの化学物質の天然源は、スペアミント、ペパーミント、ウィンターグリーン、レモン、オレンジ、ライム、チェリー、セージ、ローズマリー、シナモン、カッシア、オレガノ、ジンジャー、バジル、コリアンダー、シラントロ、オールスパイスローズ、ティーツリー(メラレウカ)、ピメント、ローレル、アニス、フェンネル、クミン、ベイ、ベルガモット、ビターアーモンド、シトロネラ、コールタール、ラベンダー、マスタードフェンネル、パイン、パインニードル、シダーリーフ、サッサフラス、クベブ、スパイクラベンダー、クレオソート、ホースラディッシュ、ワサビ、ティー、クランベリー、ザクロ、オークバークなどの油、抽出物又はエッセンスなどに使用され得る。
【0032】
これらの風味成分は何百もの植物由来の油及び抽出物であり、それらから単離された成分及びそれらの合成形は市販されている。これらの精油又は単一の風味成分の多くは、抗菌活性を有していると報告されている。しかしながら、単一成分の活性は、他の抗菌剤と組み合わせるか、かなり高濃度で使用しない限り、実際に使用するには弱すぎる。本発明者は、シトラール、ネラール、ゲラニアール、ゲラニオール及びネロールから選択される少なくとも1つの第1の成分と、ユーカリプトール、オイゲノール及びカルバクロールから選択される少なくとも1つの第2の成分とを含む混合物が、歯磨剤、口内洗浄剤及び喉スプレーのような口腔及び喉ケア製品に組み込まれた際に、有効な抗菌作用、並びに許容可能な味を提供することが見出されている。有効性のために、口腔及び喉ケア製品が口内での非常に長い滞留時間を必要とするために、許容可能な味を有することは重要である。本発明の混合物は、混合物中のそれぞれの成分の量において、望ましい抗菌効力を提供しつつ、風味及び味において最大限に消費者にアピールできるように調節することが可能であるような、処方における柔軟性を提供する。本発明の混合物は、最終製品に望まれる全体的な風味感覚と相容れない可能性がある風味の印象を取り込む恐れがある任意の特定の成分が大量に存在する必要なしに、所望の抗菌活性を供給する。
【0033】
本発明の精油の混合物は、抗菌活性を提供するためにチモールを含まないが、チモールは特定の「印象」を全体の風味系に加えるために含まれてよいことには注目すべきである。チモールは、その抗菌活性において周知であり、治療に有益な効果を提供するために口腔ケア配合物中で十分な量で利用されている。例えば、チモールと3つの精油(メントール、ユーカリプトール及びサリチル酸メチル)との組み合わせは、リステリン(Listerine)(登録商標)の商標名で現在流通している口内洗浄剤において、抗歯垢/抗歯肉炎活性成分として挙げられている。しかしながら、チモールは治療に有益な効果を提供するが、不快、刺激が強い又は薬のような味として表現され得る風味の感覚をも消費者に提供する。そのため、消費者の製品の受容性を向上するために、タルワー(Talwar)らに対する米国特許4,945,087号において記載されるようなチモールを矯味する試みがなされている。チモールにおける効果的な矯味は、特定量の糖アルコール又は糖アルコール及びアネトールの混合物を利用することにより達成されることが報告されている。
【0034】
本発明の混合物に含むための精油又はその成分は、歯肉炎、歯周病及び口臭などの望ましくない口腔状態に関与することで知られている微生物であって、特に、ポルフィロモナス・ジンジバーリス及びフソバクテリウム・ヌクレアタム並びに、バクテロイデス・フォルシサス、アクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス、トレポネーマ・デンティコラ、トレポネーマ・ソクランスキー、プレボテラ・インターメディア、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・カゼイ、アクチノマイセス・ビスコーサス、ストレプトコッカス・ソブリナス、ストレプトコッカス・サンギス、緑色レンサ球菌及びストレプトコッカス・ミュータンスを含む他の口腔菌株のような細菌に対する活性の実証に基づいて選択される。
【0035】
歯周病は、以下の状態:歯肉の炎症、歯周ポケットの形成、歯周ポケットからの出血及び/又は排膿、歯槽骨の吸収、歯の緩み及び歯の喪失のうちの1つ以上を含むことがある。歯の表面上及び歯周ポケット内に形成する歯垢中に存在する細菌が、歯周病の発症及び進行の両方に寄与する。したがって、歯周病を予防又は治療するためには、これらの細菌を、単純な機械的洗浄以外の何らかの手段により抑制しなければならない。このような目的に向かって、これらの細菌を抑制するのに有効な治療用歯磨剤、うがい薬及び歯周病を治療する方法を開発することを照準とする多くの研究がある。しかしながら、歯周病は単に細菌感染に留まるものではない。重篤な歯周病は、歯周組織及び歯肉溝における細菌に対する宿主反応、特に歯肉及び歯周組織の炎症又は歯肉炎により媒介される間接的な作用が主要因である歯周組織の破壊を伴う。無検査のままでは、歯肉炎は歯周炎にまで進行する可能性があり、付着喪失、骨破壊及び歯喪失にまで至る場合がある。嫌気性細菌は一般に歯肉炎の惹起因子と見なされ、後続の進行及び疾患重症度は、複数の炎症促進因子が関与する非特異性の細胞及び生化学的プロセスである宿主免疫反応、即ち炎症により決定される。
【0036】
細菌代謝産物は白血球の化学走性を誘発し、それが細菌負荷部位における炎症性細胞の集積を引き起こす。更に細菌代謝物は、白血球細胞、特に単球により炎症性メディエータの産生を誘発する。これらの中には、アラキドン酸の代謝産物、例えば、ロイコトリエン、プロスタグランジン、トロンボキサン、などの局所疾患のメディエータがある。プロスタグランジンは、組織及び歯槽骨の代謝及び破壊に特に関与することが分かっている。実際、歯周組織内におけるプロスタグランジンの産生が、歯周組織内の歯槽骨喪失の重要なメディエータであることが分かっている。歯周が破壊された患者は、歯肉組織中、並びに歯肉溝滲出液中の両方でのプロスタグランジンE(PGE)濃度の上昇を示す。プロスタグランジン及びトロンボキサンは、酵素カスケードによりアラキドン酸から形成されるものであり、その第1の工程は、シクロオキシゲナーゼ(COX)と呼ばれる酵素によるシクロオキシゲン化である。シクロオキシゲナーゼの阻害は、プロスタグランジンの形成を阻害し、それによって歯槽骨の喪失を削減する。実際、特に、インドメタシン及びフルルビプロフェンなどの非ステロイド性の抗炎症薬剤である、特定のシクロオキシゲナーゼ阻害物質は、歯槽骨の再吸収を著しく減少させることが分かっている。
【0037】
一度炎症が始まると、原因物質、即ち細菌が除去される際であっても、プロセスは自己増殖する可能性がある。したがって、歯肉炎における有効な治療法には、抗菌剤と抗炎症剤との組み合わせを含むのが望ましいであろう。このような組み合わせは、例えば、米国特許出願公開第11/595,530号として発行された、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2007/0053849(A1)号に記載されている。本明細書で開示される好ましい活性物質は、抗菌活性及び抗炎症活性の両方を有するものである。
【0038】
本発明の精油の混合物における成分は、抗菌活性及び抗炎症活性を示すため、特に、歯肉炎のような細菌によって媒介される炎症性疾患に有効である。本発明の精油の活性は、上述で引用された米国特許出願公開第2007/0053849(A1)号に記載されるアッセイを使用して示され、ポルフィロモナス・ジンジバーリスなどの細菌を伴う1つ以上の細菌毒性及び/又は炎症要因に対して阻害活性を含む。
【0039】
ポルフィロモナス・ジンジバーリスは、人間及びコンパニオンアニマルにおける歯周病に関与するグラム陰性嫌気性生物である。ポルフィロモナス・ジンジバーリスは、歯肉溝に侵入し、ジンジパイン、METアーゼ及びシスタリシンのような細菌酵素を含む多くの毒性要因を生成する。ジンジパインは、キノゲン(kinogens)、補体因子、免疫グロブリン(immunoglobins)などのいくつかの免疫系分子に作用し、歯肉溝への流体流入、好中球動員及び出血を生じる。最終的な結果は、シクロオキシゲナーゼ(COX)誘導、メタロプロテアーゼ(MMP)、プロスタグランジン上昇及び活性酸素上昇により特徴付けられる宿主炎症反応を生じ、結果として組織損傷及び骨吸収を引き起こし、最終的に歯が脱離することになる。MMP(種々のサブタイプ、例えばMMP1、2、3、8、9、12、13など)は、組織破壊及び組織修復に寄与する宿主細胞外マトリックスプロテアーゼである。COX酵素は、アラキドン酸のプロスタグランジンへの変換を触媒し、血管拡張、発赤、腫れ及び痛みを生じる。
【0040】
免疫調節タンパク質におけるジンジパインのタンパク質分解作用の阻害は、炎症性宿主反応及びそれに続く組織破壊を減らすことになるはずである。例えば、METアーゼ及びシスタリシンのような他の細菌酵素は、悪臭又は口臭をもたらす硫化水素又はメルカプタンなどの揮発性硫化水素化合物(VSC’s)を生成する硫黄含有アミノ酸の劣化に関与している。したがって、METアーゼ及びシスタリシンの阻害は、口腔ケア剤において、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP’s)、シクロオキシゲナーゼ(COX)及びプロスタグランジン(PGE)を含む宿主炎症促進の鍵となる要因に対して阻害活性を有するものとして重要な役割を果たしている。
【0041】
本発明の混合物における単一成分の活性を示す分析結果は、以下の表1にまとめられている。データが報告されていない箇所は、化合物/活性物質が活性を有さないことを示しているのではなく、化合物について試験されなかったことを示す。
【表1】

+200μMの化合物、0.001%の油/抽出物において阻害%は<25%
++200μMの化合物、0.001%の油/抽出物において阻害%は≧25%
+++200μMの化合物、0.001%の油/抽出物において阻害%は≧50%
++++200μMの化合物、0.001%の油/抽出物において阻害%は≧75%
【0042】
本発明の精油混合物及び単一成分はまた、フソバクテリウム・ヌクレアタムを含有する口腔嫌気性細菌バイオフィルムの成長を阻害する抗菌剤候補の能力を向上するように設計されたインビトロモデルを使用して、微生物又は病原菌の致死効果を提供することが実証されてきた。その方法は、プラスチックコーティングされていない12ウェル組織培養板で細菌のバイオフィルムを形成する工程を含む。培養物質をウェルから取り除き、バイオフィルムを試験溶液又は適当なコントロールで通常30秒間処理する。続いて、バイオフィルムを無菌生理食塩水で2回洗浄し、次に、37℃で一晩培養したバイオフィルム上に新鮮な培地を載置する。翌日、それぞれのウェルの培養物を懸濁させ、バイオフィルムの成長を評価するために光学密度を測定した。精油における評価の結果を表2にまとめ、その後30秒間曝露したバイオフィルムの成長を完全に阻害する精油の最低濃度(即ち、最少阻害濃度(MIC))を示した。これらの結果は、本発明の精油成分がチモールに匹敵する病原菌の致死効果を有し、精油を組み合わせることによる相乗効果によって、MIC値が単一成分の5倍低くなることを実証した。例えば、3つの構成要素の組み合わせ(カルバクロール+ユーカリプトール+ゲラニオール)及び(カルバクロール+シトラール+ゲラニオール)は、250ppmという低い濃度の全油濃度でバイオフィルムの成長を完全に阻害した。
【表2】

【0043】
更なる研究において、口腔嫌気性菌に対する病原菌の致死有効性において、単一の精油化合物及び混合物を評価した。比較のために、塩化セチルピリジニウム溶液(350ppm)及び市販の精油入り口内洗浄剤(〜0.258%の精油濃度を有するリステリン(Listerine)(登録商標)クールミント(Cool Mint)を試験した。
【0044】
精油の量を0.15%で固定して水溶液(1%のポロキサマー407及び15%のエタノール)を調製した。これは、口内洗浄剤で使用される典型的な活性物質濃度であって、通常容量を供給するためには、歯磨剤においては約1.5%濃度に相当する。この試験溶液を本実験でそのまま使用した。プロクターアンドギャンブル研究所(Procter & Gamble laboratories)で開発されている歯垢チップ分析(PCA)法を使用して、精油化合物及び混合物を試験した。PCA法は、以下のパラメータ:抗菌効力(細菌又は病原菌の殺滅)、バイオフィルム分散効力/化学的除去(病原菌殺滅を行わない化学洗浄)、バイオフィルム予防及び/又は阻害効力(バイオフィルムの成長の予防)及び活性物質持続性(蓄積効力)、の組み合わせを測定するものである。
【0045】
PCA法は、口腔関連種を含有するバイオフィルムを、プラスチックチューブ(ヌンク(Nunc)(登録商標)クリオバイアル(Cryovial))のキャップに取り付けられたヒドロキシアパタイト(HA)ディスク(「チップ」)の表面で成長させるために、非処理の全唾液(複数の健康な人間ドナー)を使用する。典型的な口腔ケア製品の使用(歯磨剤、リンス、ゲル)を模倣するように設定した、1分間の処置及び再生サイクルを2日半にわたって5回HAチップに施した。それぞれの処置後に新鮮な唾液に交換し、使用される唾液に口腔関連細菌の接触原及びバイオフィルムの成長における栄養源の両方の働きをさせた。最終処置サイクルの16時間後、チップ上に残ったバイオフィルムを除去し、ETSA(富化トリプチケースソイ寒天)培地及びETSA−NV(ナリジクス酸及びバンコマイシンが追加された富化トリプチケースソイ寒天)培地上で標準寒天平板計数法によりその中に含まれる成長可能な細菌の数を測定した。全通性嫌気性菌(TFA)及びグラム陰性嫌気性菌(GNA)について、単位容量当たりのコロニー形成単位の数(cfu/mL)を測定した。結果を以下の表3にまとめ、試験製剤対コントロール(即ち、水又は基礎水溶液(1%のポロキサマー及び15%のエタノール))により提供される、TFA及びGNAコロニー形成単位における対数減少として報告した。TFA又はGNA細菌数対コントロールにおける減少によって、特に歯垢除去効力及び口臭削減といったインビボ効力を合理的に予測できる。本試験において、例えば、それぞれの成分を50:50の濃度で組み合わせるCIT+EUG及びGER+EUCで相乗効果が見られた。しかしながら、成分は、同じ濃度で存在する必要はない。例えば、50:50の比率と比べて、65:35の比率のGER+EUCの組み合わせにより更に優れた病原菌の殺滅がもたらされる。特に、3つ以上の成分を含有する混合物は、所望の風味特性を伴って、最も優れた病原菌の致死効力を提供するように、それぞれの成分の相対量を調整することが可能である。
【表3】

【0046】
シトラール、ネラール、ゲラニアール、ゲラニオール、ネロール、カルバクロール、ユーカリプトール及びオイゲノールから選択される成分を少なくとも2つ、好ましくは3つ、より好ましくは4つ以上含む本発明の抗菌性混合物は、最終口腔ケア製品中で、少なくとも約0.02%、典型的には約0.05%〜約5.00%の濃度で使用される。特定の実施形態では、混合物は、組成物の約0.05重量%〜約2.0重量%、約0.1重量%〜約1.5重量%、約0.3重量%〜約1.0重量%又は約0.5重量%〜約0.8重量%の濃度で存在する。
【0047】
抗菌性混合物は、それぞれの成分を少なくとも約0.5重量%、好ましくは少なくとも約1重量%、更により好ましくは約5重量%、最も好ましくは少なくとも約10重量%含む。2つの成分の混合物では、第1の成分と第2の成分との比率は、典型的には20:80〜80:20で変動する。例えば、2つの成分の混合物は、ゲラニオールとユーカリプトールとを65:35の比率で含有してよい。その他としては、シトラールとオイゲノールとを50:50の比率で含有してよいが、シトラール(天然源から)は、ゲラニアールとネラールの幾何異性体の約2:1の比率の混合物であるので、技術的には、この混合物は3つの成分を含有する。4成分の混合物は、オイゲノール、ユーカリプトール、ゲラニアール及びネラールを含有してよい。この場合も、シトラールはゲラニアール及びネラールを提供するのに使用され得る。5成分の混合物は、ゲラニオールを上述の4成分の混合物に加えてよい。更に他の実施形態では、混合物は、約1.5%〜約20%のシトラール(ネラール及びゲラニアールを提供する)、約10%〜約50%のゲラニオール、約10%〜約40%のユーカリプトール、約2%〜約25%のオイゲノール及び約2%〜約20%のカルバクロールである6成分を含む。
【0048】
他の実施形態では、混合物は、上述の1つ以上の精油活性成分に加えるか又は代わって、1つ以上の異なる抗菌有効性及び/又は抗炎症性成分を更に含む。好ましい他の抗菌有効性成分は、o−シメン−5−オール(イソプロピルメチルフェノール又はIPMP)、メントール、カルボン、シンナムアルデヒド、アネトール、テルピネン−4−オール、ジンゲロン、アリルイソチオシアネート、クミンアルデヒド、ヒノキチオール、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、グアヤコール又はペパーミント、スペアミント、シナモン、アニス、フェンネル、ティーツリー、ジンジャー、ホースラディッシュ、ワサビ、クミン、パイン、シダーリーフ、クベブ、チェリー、クレオソートなどの油又は抽出物を含む、これらの天然源から選択される。
【0049】
組成物は、風味系の一部として、ミント系油(スペアミント、ペパーミント、ウィンターグリーン)、果実油、スパイス油、冷却液及び甘味料のような追加成分を任意で含んでよい。
【0050】
好適な冷却剤又は冷却液として、メントール及びその誘導体のような様々な材料が挙げられる。合成冷却液の中で多くのものは、メントールの誘導体であるか、構造的に関連しており、つまりは、シクロヘキサン部分を含有しており、カルボキサミド、ケタール、エステル、エーテル及びアルコールなどの官能基で誘導体化されている。例としては、N−エチル−ρ−メンタン−3−カルボキサミド(「WS−3」及び、他にはWS−5、WS−11、WS−14及びWS−30などのシリーズとして商業的に既知である)のようなρ−メンタンカルボキサミド化合物が挙げられる。構造的にメントールと関連していない合成カルボキサミド冷却液の例には、「WS−23」として知られている、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミドがある。追加的な好適な冷却液としては、TK−10として知られている3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、イソプレゴール(商標名クールアクトP(Coolact P))及びρ−メンタン−3,8−ジオール(商標名クールアクト38D(Coolact 38D))(全て高砂(Takasago)から入手可能);MGAとして知られているメントングリセロールアセタール;メンチルアセテート、メンチルアセトアセテート、ハーマン・アンド・ライマー(Haarmann and Reimer)社から供給されるフレスコラト(Frescolat)(登録商標)として知られているメンチルラクテート及びヴェ・マン(V. Mane)社の商標名フィスクール(Physcool)であるコハク酸モノメンチルのようなメンチルエステルが挙げられる。本明細書で使用するとき、用語、「メントール」及び「メンチル」は、これらの化合物の右旋性及び左旋性の異性体並びにこれらのラセミ混合物を包含する。TK−10は、アマノ(Amano)らの米国特許第4,459,425号に記載され、WS−3及び他のカルボキサミド冷却剤は、例えば、米国特許第4,136,163号、同第4,150,052号、同第4,153,679号、同第4,157,384号、同第4,178,459号及び同第4,230,688号に記載されている。N−(4−シアノメンチルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−スルファモイルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−シアノフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−アセチルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド及びN−(3−ヒドロキシ−4−メントキシフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミドなどの追加的なN−置換ρ−メンタンカルボキサミドは、国際公開第2005/049553(A1)号に記載されている。
【0051】
好適な甘味剤としては、天然甘味剤及び人工甘味剤の両方が含まれる、当該技術分野において周知のものが挙げられる。いくつかの好適な水溶性甘味剤としては、キシロース、リボース、グルコース(ブドウ糖)、マンノース、ガラクトース、フルクトース(果糖)、ショ糖(砂糖)、マルトース、転化糖(フルクトースとショ糖由来のグルコースとの混合物)、部分的に加水分解したデンプン、固形コーンシロップ、ジヒドロカルコン、モネリン、ステビオシド、グリチルリチン、キシリトール及びエリスリトールなどの、単糖、二糖、多糖及び誘導体が挙げられる。好適な水溶性人工甘味剤としては、可溶性サッカリン塩、即ち、サッカリンナトリウム又はカルシウム塩、シクラメート塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム塩、アンモニウム塩又はカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのカリウム塩(アセスルファム−K)、サッカリンの遊離酸型などが挙げられる。他の好適な甘味剤としては、L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)及び米国特許第3,492,131号に記載された物質のようなL−アスパラギン酸由来の甘味剤、L−α−アスパルチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニンアミド水和物、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリン及びL−アスパルチル−L−2,5,ジヒドロフェニル−グリシンのメチルエステル、L−アスパルチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン、L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキシエン)−アラニン等のようなジペプチド系甘味剤が挙げられる。例えば、商品名スクラロースとして既知である通常の砂糖(ショ糖)の塩素化誘導体のような、天然素材の水溶性甘味剤由来の水溶性甘味剤、並びにタウマトコッカス・ダニエリ(thaumatoccous danielli)(タウマチンI及びII)のようなタンパク質系甘味剤が使用できる。組成物は、組成物の約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約1重量%の甘味剤を含有するのが好ましい。
【0052】
風味系は、唾液分泌剤、加温剤及び麻酔剤も含んでよい。これらの薬剤は組成物中に、組成物の約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約1重量%の濃度で存在する。好適な唾液分泌剤としては、高砂(Takasago)により製造されているジャンブ(Jambu)(登録商標)及びシムライズ(Symris)社のオプタフロウ(Optaflow)(登録商標)が挙げられる。加温剤の例としては、トウガラシ及びベンジルニコチン酸のようなニコチン酸エステルがある。好適な麻酔剤としては、ベンゾカイン、リドカイン、クローブ芽油及びエタノールが挙げられる。
【0053】
上述した成分に加え、本組成物は、以下の項で記載する、口腔に許容可能なキャリア物質と集合的に呼ばれる追加的な任意成分を含んでよい。
【0054】
口腔に許容可能なキャリア物質
口腔に許容可能なキャリア材料としては、局所的経口投与に好適な1つ以上の混和性のある固体若しくは液体賦形剤又は希釈剤が挙げられる。「適合性のある」とは、組成物の成分が、実質的に組成物の安定性及び/又は効果を低下させるような方法で相互作用することなく混合し得ることを意味する。
【0055】
本発明のキャリア又は賦形剤としては、以下でより詳細に記載するように、歯磨剤、非研磨ゲル、歯肉縁下用ゲル、うがい薬又は口内洗浄剤、口内スプレー、チューインガム、トローチ剤及び口臭予防用ミントの通常及び従来の成分を挙げることができる。
【0056】
使用されるキャリアの選択は、基本的に、組成物が口腔内に導入される方法により決定される。練り歯磨き、歯用ゲルなどのキャリア材料としては、米国特許第3,988,433号(ベネディクト(Benedict))で開示されているような、研磨材料、起泡剤、結合剤、保湿剤、香味剤及び甘味剤などが挙げられる。二相性の歯磨剤処方におけるキャリア材料は、米国特許第5,213,790号、同第5,145,666号及び同第5,281,410号(全てルカコビッチ(Lukacovic)ら)及び米国特許第4,849,213号及び同第4,528,180号に開示されている。うがい薬、口内洗浄剤又は口内スプレーキャリア材料には典型的に、例えば米国特許第3,988,433号(ベネディクト(Benedict))に開示されているように、水、香味剤及び甘味剤などが挙げられる。トローチ剤のキャリア材料としては、典型的にはキャンディーベースが挙げられ、チューインガムのキャリア材料としては、例えば米国特許第4,083,955号(グレーベンシュテッター(Grabenstetter)ら)に開示されるような、ガムベース、香味剤及び甘味剤が挙げられる。香粉(Sachet)のキャリア物質としては、典型的には、匂い袋(sachet bag)、香味剤及び甘味剤が挙げられる。歯周ポケットの中又は歯周ポケットの周りに活性物質を送達するために歯肉縁下用ゲルを使用する場合、例えば、米国特許第5,198,220号及び同第5,242,910号(ともにダマーニ(Damani))に開示されているように、「歯肉縁下用ゲルキャリア」が選択される。本発明の組成物の調製に好適なキャリアは、当該技術分野において周知である。それらの選択は、味、価格及び貯蔵安定性などのような二次的考察に依存する。
【0057】
本発明の組成物はまた、非研磨剤ゲル及び歯肉縁下用ゲルの形態であってよく、これは水性であっても非水性であってもよい。更に別の態様では、本発明は、本組成物を含浸させた歯科用器具を提供する。歯科用器具は、歯及び口腔内の他の組織に接触するための器具を含み、この器具には、本組成物が含浸されている。歯科用器具は、デンタルフロス又はテープ、チップ、ストリップ、フィルム及びポリマー繊維を包含する、含浸された繊維であることができる。
【0058】
1つの実施形態では、本発明の組成物は、練り歯磨き、歯用ゲル及び歯磨き粉のような歯磨剤の形態である。これらの練り歯磨き及び歯用ゲルの成分は一般に、歯の研磨剤(約6%〜約50%)、界面活性剤(約0.5%〜約10%)、増粘剤(約0.1%〜約5%)、保湿剤(約10%〜約55%)、香味剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)、着色剤(約0.01%〜約0.5%)及び水(約2%〜約45%)を1つ以上包含する。このような練り歯磨き又は歯用ゲルはまた、抗結石剤(フッ化物イオンとして約0.05%〜約0.3%)及び抗歯石剤(約0.1%〜約13%)の1種又はそれ以上を含んでもよい。歯磨き粉はもちろん、実質的に全ての非液体の成分を含有する。
【0059】
本発明の他の実施形態は液体製品であり、うがい薬又は口内洗浄剤、口内スプレー、歯科用溶液及び洗浄液が挙げられる。そのようなうがい薬及び口内スプレーの成分は、典型的には、水(約45%〜約95%)、エタノール(約0%〜約25%)、保湿剤(約0%〜約50%)、界面活性剤(約0.01%〜約7%)、香味剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)及び着色剤(約0.001%〜約0.5%)の1つ以上を包含する。このようなうがい薬及び口内スプレーはまた、抗結石剤(フッ化物イオンとして約0.05%〜約0.3%)及び抗歯石剤(約0.1%〜約3%)の1つ以上を含む。歯科用溶液の成分は一般的に、水(約90%〜約99%)、防腐剤(約0.01%〜約0.5%)、増粘剤(約0%〜約5%)、香味剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)及び界面活性剤(0%〜約5%)の1つ以上を含む。
【0060】
本発明の組成物に含まれてよい口腔に許容可能なキャリア又は賦形剤の種類については、具体的な非限定的な例とともに、次の項で論じる。
【0061】
他の活性剤
本発明の組成物は任意に、他の抗菌剤のような他の薬剤を包含してもよい。かかる剤に包含されるのは、ハロゲン化ジフェニルエーテル、フェノール及びその同族体を包含するフェノール化合物、モノアルキル及びポリアルキル並びに芳香族ハロフェノール、レゾルシノール及びその誘導体、ビスフェノール化合物及びハロゲン化サリチルアニリド、安息香酸エステル及びハロゲン化カルバニリドのような非水溶性非カチオン性抗微生物剤である。水溶性抗菌剤としては、四級アンモニウム塩及びビス−ビクアニド塩、並びにトリクロサンモノホスフェートが挙げられる。四級アンモニウム剤としては、四級窒素上の置換基のうちの1つ又は2つが炭素原子約8〜約20個、典型的には約10〜約18個の炭素鎖長(典型的にはアルキル基)を有する一方、残りの置換基(典型的にはアルキル基又はベンジル基)は、炭素原子約1〜約7個などの、より少ない炭素原子数、典型的にはメチル基又はエチル基を有するものが挙げられる。臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルピリジニウム、臭化ドミフェン、塩化N−テトラデシル−4−エチルピリジニウム、臭化ドデシルジメチル(2−フェノキシエチル)アンモニウム、塩化ベンジルジメチルステアリルアンモニウム、セチルピリジニウムクロライド、四級化5−アミノ−1,3−ビス(2−エチル−ヘキシル)−5−メチルヘキサヒドロピリミジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム及び塩化メチルベンゼトニウムは、典型的な四級アンモニウム抗細菌剤の代表例である。その他の化合物は、米国特許第4,206,215号(ベイリー(Bailey)に発行)に開示されているようなビス[4−(R−アミノ)−1−ピリジニウム]アルカンである。銅塩類、亜鉛塩類及び第一スズ類のような他の抗微生物剤もまた包含してよい。エンドグリコシダーゼ、パパイン、デキストラナーゼ、ムタナーゼ及びこれらの混合物を包含する酵素もまた有用である。こうした剤は、米国特許第2,946,725号(ノリス(Norris)ら)及び同第4,051,234号(ギースキー(Gieske)ら)に記載されている。好ましい抗菌剤としては、亜鉛塩類、第一スズ塩類、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、トリクロサン、トリクロサン一リン酸及び風味油が挙げられる。トリクロサン及びこの種の他の薬剤は、米国特許第5,015,466号及び同第4,894,220号(ナビ(Nabi)ら)に開示されている。これらの物質は抗歯垢効果を提供し、典型的には組成物の約0.01重量%〜約5.0重量%の濃度で存在する。
【0062】
本組成物に添加してよい別の任意の活性剤は、硝酸塩、塩化物、フッ化物、リン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩及び硫酸塩を含む、カリウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩及びスズ塩のような過敏性を制御する象牙質減感剤である。
【0063】
抗結石剤
本組成物は所望により、ピロホスフェートイオン源として、ピロホスフェート塩のような抗結石剤を含んでよい。本組成物に有用なピロホスフェート塩としては、ピロリン酸二アルカリ金属塩、ピロリン酸四アルカリ金属塩及びこれらの混合物が挙げられる。非水和形態、並びに水和形態のピロリン酸二水素二ナトリウム(Na)、ピロリン酸四ナトリウム(Na)及びピロリン酸四カリウム(K)が、好ましい種である。本発明の組成物では、ピロホスフェート塩は、主に溶解した形態、主に溶解していない形態又は溶解した形態と溶解していない形態のピロホスフェートの混合物、の3つの形態のうちの1つの形態で存在し得る。
【0064】
主に溶解したピロホスフェートを含む組成物とは、少なくとも1つのピロホスフェートイオン供給源が、少なくとも約1.0%の遊離ピロホスフェートイオンを提供するのに十分な量である組成物を指す。遊離ピロホスフェートイオンの量は、約1%〜約15%、1つの実施形態においては約1.5%〜約10%及び別の実施形態では約2%〜約6%であってよい。遊離ピロホスフェートイオンは、組成物のpHに依存して多様なプロトン化状態で存在し得る。
【0065】
主に溶解していないピロホスフェート塩を含む組成物とは、組成物中に溶解している約20%以下の合計ピロホスフェート塩、好ましくは組成物中に溶解している約10%未満の合計ピロホスフェートを含有する組成物を指す。ピロリン酸四ナトリウム塩は、これらの組成物中の好ましいピロリン酸塩である。ピロリン酸四ナトリウムは、無水塩型若しくは十水和物型又は歯磨剤組成物中において固形で安定な他の任意の種であってよい。塩はその固体粒子状形態であり、その結晶性及び/又は非晶性状態であってよく、塩の粒径は、好ましくは、感覚的に許容可能であり、使用中容易に溶解するのに十分に小さい。これらの組成物の製造に有用なピロホスフェート塩の量は、歯石防止に有効な任意の量であり、一般に、歯磨剤組成物の約1.5重量%〜約15重量%、好ましくは約2重量%〜約10重量%、最も好ましくは約3重量%〜約8重量%である。
【0066】
組成物はまた、溶解したピロホスフェート塩と溶解していないピロホスフェート塩との混合物を含んでもよい。前述のピロホスフェート塩のいずれを用いてもよい。
【0067】
ピロリン酸塩は「カーク・オスマー(Kirk-Othmer)の工業化学百科事典」(ワイリーインターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-Interscience Publishers)、1982年、第3版、第17巻)に、より詳細に記載されている。
【0068】
ピロホスフェート塩の代わりに又はピロホスフェート塩と組み合わせて用いられる任意の剤としては、合成アニオン性ポリマーとして既知の物質などが挙げられ、それには例えば米国特許第4,627,977号(ガファル(Gaffar)ら)に記載されている、ポリアクリレート及び無水マレイン酸又はマレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー(例えば、ガントレッツ(Gantrez))、並びに例えば、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、ジホスホネート(例えば、EHDP、AHP)、ポリペプチド(ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸など)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0069】
フッ化物供給源
組成物中にあるフッ化物イオン濃度をもたらすのに十分な量で、フッ化物化合物を歯磨剤及び他の口腔用組成物中に存在させることは一般的であり及び/又はそれが約0.0025重量%〜約5.0重量%、好ましくは0.005重量%〜約2.0重量%用いられるとき、抗結石効果を提供する。広範なフッ化物イオン生成物質を、本組成物中の可溶性フッ化物の供給源として使用することができる。好適なフッ化物イオン生成物質の例は、米国特許第3,535,421号(ブライナー(Briner)ら)及び同第3,678,154号(ウィダー(Widder)ら)に見られる。代表的なフッ化物イオン源としては、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化インジウム及び他の多くのものが挙げられる。
【0070】
研磨剤
本発明の組成物において有用な歯科用研磨剤は、多くの様々な物質を含む。選択される物質は、関心組成物中で混和性があり、象牙質を過度に削らないものでなければならない。好適な研磨剤としては、例えば、ゲル及び沈殿物を含むシリカ、不溶性のナトリウムポリメタホスフェート、水和アルミナ、炭酸カルシウム、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、トリカルシウムホスフェート、ポリメタリン酸カルシウム及び尿素とホルムアルデヒドとの粒子状縮合生成物のような樹脂性研磨剤物質が挙げられる。
【0071】
本組成物に使用するためのその他の部類の研磨剤は、米国特許第3,070,510号(クーリー(Cooley)及びグレーベンシュテッター(Grabenstetter)に発行)に記載されている粒子状熱硬化性重合樹脂である。好適な樹脂としては、例えば、メラミン、フェノール樹脂、尿素、メラミン−尿素、メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド、架橋エポキシド及び架橋ポリエステルが挙げられる。
【0072】
様々な種類のシリカ歯科用研磨剤は、歯のエナメル質又は象牙質を過度に削らない、優れた歯の洗浄及び研磨性能という独特の効果があるため好ましい。本明細書のシリカ砥粒研磨物質、並びに他の研磨剤は、一般に、約0.1マイクロメートル〜約30マイクロメートル、好ましくは約5マイクロメートル〜約15マイクロメートルの範囲の平均粒径を有する。研磨剤は、沈降シリカ又はシリカキセロゲルのようなシリカゲルであることができ、米国特許第3,538,230号(ペイダー(Pader)ら)及び同第3,862,307号(ディギュリオ(DiGiulio))に記載されている。例としては、商品名「シロイド(Syloid)」としてW.R.グレース・アンド・カンパニー(W.R. Grace & Company)のダビソン化学部門(Davison Chemical Division)により販売されているシリカキセロゲル、並びにJ.M.フーバーコーポレーション(J. M. Huber Corporation)から商品名ゼオデント(Zeodent)(登録商標)として市販されているもの、特に、ゼオデント(Zeodent)(登録商標)119、ゼオデント(Zeodent)(登録商標)118、ゼオデント(Zeodent)(登録商標)109及びゼオデント(Zeodent)(登録商標)129という名称のシリカのような沈殿シリカ物質が挙げられる。本発明の練り歯磨きに有用なシリカの歯科用研磨剤の種類は、ワソン(Wason)の米国特許第4,340,583号、本発明の譲受人に譲渡された同第5,603,920号、同第5,589,160号、同第5,658,553号、同第5,651,958号及び同第6,740,311号に詳細に記載されている。
【0073】
研磨剤の混合物は、上に列挙された様々な等級のゼオデント(Zeodent)(登録商標)シリカ研磨剤の混合物のように、用いることができる。本発明の歯磨剤組成物中の研磨剤の総量は、典型的には約6重量%〜約70重量%であり、練り歯磨きは、好ましくは組成物の約10%〜約50%の研磨剤を含有する。本発明の歯科用溶液、口内スプレー、うがい薬及び非研磨剤ゲル組成物は、典型的には、少量の研磨剤しか含有しないか又は研磨剤を全く含有しない。
【0074】
歯直接剤(Tooth Substantive Agent)
本発明は、高分子界面活性剤(PMSA)のような歯直接剤を含んでよく、これは高分子電解質であり、より具体的にはアニオン性ポリマーである。PMSAは、アニオン基、例えば、リン酸、ホスホン酸、カルボキシ又はこれらの混合物を含有し、したがって、カチオン性又は正に荷電した実体と相互作用する能力を有する。「無機質」記述子は、ポリマーの界面活性又は直接性がリン酸カルシウム無機質又は歯のような無機質表面に向かうことを伝えることを意図する。
【0075】
着色汚れ予防効果のために、PMSAは本組成物で有用である。PMSAは、その反応性又は直接性により、無機質表面に着色汚れ予防効果を提供し、望ましくない吸着外被タンパク質、具体的には、歯を着色する色素体(color body)の結合、結石の発達及び望ましくない微生物種の誘引と関連するものの一部を脱離させると考えられる。これらのPMSAの歯上への定着はまた、歯の表面上の色素体の結合部位を壊すため、着色汚れの発生を防止することもできる。
【0076】
PMSAの、第一スズイオン及びカチオン性抗微生物剤のような口腔ケア製品の着色汚れ促進成分に結合する能力もまた、有用であると考えられる。PMSAはまた、表面熱力学特性及び表面フィルム特性に望ましい影響を与える歯表面調節効果も提供し、これは口内洗浄又はブラッシング中及び最も重要なことに口内洗浄又はブラッシング後の両方に、改善された清浄な感触感覚を付与する。これらの高分子剤の多くもまた、口腔組成物に適用される際、歯石防止効果を提供する、したがって消費者に歯の外観及びそれらの触感の改善を提供することが既知でありまた期待されている。
【0077】
望ましい表面効果としては、1)処理直後、親水性歯表面を形成すること並びに2)ブラッシング後又は口内洗浄後及びより長い期間を含む、製品の使用後の長期間にわたって、表面調節効果及び外被フィルムの制御を維持することが挙げられる。親水性の増大した表面を形成することによる効果は、水の接触角の相対的な減少の点で測定できる。親水性表面は、重要なことに、製品使用後の長期間にわたって、歯の表面に保持される。
【0078】
ポリマー無機質界面活性剤としては、歯表面に強い親和性を有し、ポリマー層又はコーティングを歯表面に沈着させ、所望の表面改質効果を生み出す任意の物質が挙げられる。かかるポリマーの好適な例は、縮合リン酸化ポリマー;ポリホスホネート;ホスフェート−若しくはホスホネート−含有モノマー若しくはポリマーと、エチレン性不飽和モノマー及びアミノ酸のような他のモノマーとのコポリマー又はタンパク質、ポリペプチド、多糖類、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(エタクリレート)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリ(マレエート)、ポリ(アミド)、ポリ(エチレンアミン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアセテート)及びポリ(ビニルベンジルクロライド)のような他のポリマーとのコポリマー;ポリカルボキシレート及びカルボキシ置換ポリマー;並びにこれらの混合物のような高分子電解質である。好適なポリマー無機質界面活性剤としては、米国特許第5,292,501号、同第5,213,789号、同第5,093,170号、同第5,009,882号及び同第4,939,284号(全てデーゲンハート(Degenhardt)ら)に記載されるカルボキシ置換アルコールポリマー並びに米国特許第5,011,913号(ベネディクトら)のジホスホネート誘導体化されたポリマー;例えば米国特許第4,627,977号(ガファル(Gaffar)ら)に記載されるような、ポリアクリレート及び無水マレイン酸又はマレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマーを含む合成アニオン性ポリマー(例えば、ガントレッツ(Gantrez))が挙げられる。好ましいポリマーは、ジホスホネート変性ポリアクリル酸である。活性を有するポリマーは、薄膜タンパク質を脱着しかつエナメル質表面に結合したままにするのに十分な表面結合性を有しなければならない。歯の表面では、末端又は側鎖にホスフェート又はホスホネート官能基を有するポリマーが好ましいが、無機質結合活性を有する他のポリマーも吸着親和性に依存して有効であることを示す場合がある。
【0079】
ポリマー無機質界面活性剤を含有する好適なホスホネートの追加的な例としては、米国特許第4,877,603号(デーゲンハート(Degenhardt)ら)に抗歯石剤として開示されたジェム状ジホスホネートポリマー;同第4,749,758号(ダーシュ(Dursch)ら)及び英国特許第1,290,724号(両特許ともヘキスト社(Hoechst)に譲渡)に開示されている、洗剤及び洗浄組成物に使用するのに好適なコポリマー含有ホスホン酸基;並びに米国特許第5,980,776号(ザキクハニ(Zakikhani)ら)及び同第6,071,434号(デイヴィス(Davis)ら)におけるスケール及び腐食抑制、コーティング、セメント、イオン交換樹脂を含む応用に有用であるとして開示されたコポリマー及びコテロマーが挙げられる。追加的なポリマーとしては、英国特許第1,290,724号に開示されているビニルホスホン酸、アクリル酸及びこれらの塩の水溶性コポリマーが挙げられ、これらのコポリマーは約10重量%〜約90重量%のビニルホスホン酸及び約90重量%〜約10重量%のアクリル酸を含有し、より具体的にはこれらのコポリマーは、70%のビニルホスホン酸対30%のアクリル酸;50%のビニルホスホン酸対50%のアクリル酸;又は30%のビニルホスホン酸対70%のアクリル酸、のビニルホスホン酸対アクリル酸の重量比を有する。他の好適なポリマーとしては、1個以上の不飽和C=C結合を有するジホスホネート又はポリホスホネートモノマー(例えば、ビニリデン−1,1−ジホスホン酸及び2−(ヒドロキシホスフィノ)エチリデン−1,1−ジホスホン酸)と、不飽和C=C結合を有する少なくとも1種の更なる化合物(例えば、アクリレート及びメタクリレートモノマー)と、を共重合することにより調製される、ザキクハニ及びデイヴィス(Zakikhani and Davis)により開示された水溶性ポリマーが挙げられる。好適なポリマーとしては、ローディア(Rhodia)から表記ITC 1087(平均分子量3,000〜60,000)及びポリマー(Polymer)1154(平均分子量6,000〜55,000)として供給されているジホスホネート/アクリレートポリマーが挙げられる。
【0080】
好ましいPMSAは、イオン性フッ化物及び金属イオンのような口腔ケア組成物の他の成分に対して安定である。高含水製剤において加水分解が制限され、したがって単純な単一相歯磨剤又は口内洗浄剤製剤を可能にするポリマーもまた好ましい。PMSAがこれらの安定特性を有しない場合、1つの選択肢は、フッ化物又は他の不混和性成分から分離されたポリマー無機質界面活性剤を含む二相製剤である。別の選択肢は、非水性、実質的に非水性又は限定的な水分の組成物を配合し、PMSAと他の成分との間の反応を最低限に抑えることである。
【0081】
好ましいPMSAは、ポリホスフェートである。ポリホスフェートは一般に、主に線状構造に配置された2つ又はそれ以上のホスフェート分子からなると理解されているが、いくつかの環状誘導体が存在する場合がある。ピロホスフェート(n=2)は理論的にはポリホスフェートであるが、所望のポリホスフェートは、有効濃度での表面吸着により十分な非結合のホスフェート官能基を生成し、これがアニオン性表面電荷、並びに表面の親水性特徴を強化するように、およそ3以上のホスフェート基を有するものである。所望の無機ポリホスフェート塩としては、特に、トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート及びヘキサメタホスフェートが挙げられる。テトラポリホスフェートよりも大きいポリホスフェートは、通常、非昌質のガラス状物質として生じる。以下の式を有する直鎖ポリホスフェートが、本発明では好ましい。
【0082】
XO(XPO
式中、Xはナトリウム、カリウム又はアンモニウムであり、nの平均は約3〜約125である。好ましいポリホスフェートは、ソーダフォス(Sodaphos)(n≒6)、ヘキサフォス(n≒13)及びグラスH(Glass H)(n≒21)として商業的に既知であり、FMCコーポレーション(FMC Corporation)及びアスタリス(Astaris)により製造されるような、平均約6〜約21のnを有するものである。これらのポリリン酸は単独で又は組み合わせて用いてよい。ポリホスフェートは、酸性pH、具体的にはpH5未満で、高含水製剤中の加水分解の影響を受けやすい。したがって、長鎖ポリホスフェート、具体的には、平均鎖長約21のグラスHを使用することが好ましい。かかる長鎖ポリホスフェートは、加水分解を受けている際、依然として歯上に沈着し、着色汚れ予防効果を提供するのに有効な短鎖ポリホスフェートを生成すると考えられている。
【0083】
他のポリリン酸化化合物を、ポリホスフェート、具体的には、フィチン酸、ミオ−イノシトールペンタキス(二水素リン酸)、ミオ−イノシトールテトラキス(二水素リン酸)、ミオ−イノシトールトリキス(二水素リン酸)及びこれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩のような、ポリリン酸化イノシトール化合物に加えて又はその代わりに用いてよい。本明細書で好ましいのは、ミオ−イノシトール1,2,3,4,5,6−ヘキサキス(ジヒドロゲンホスフェート)としても既知であるフィチン酸又はイノシトール六リン酸及びそのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩である。本明細書では、用語「フィテート」とは、フィチン酸及びその塩、並びにその他のポリリン酸化イノシトール化合物を含む。
【0084】
歯直接剤の量は、典型的には、総口腔用組成物の約0.1重量%〜約35重量%である。歯磨剤製剤では、この量は好ましくは約2%〜約30%、より好ましくは約5%〜約25%、最も好ましくは約6%〜約20%である。口内洗浄剤組成物では、歯直接剤の量は好ましくは約0.1%〜5%、より好ましくは約0.5%〜約3%である。
【0085】
表面改質効果の作製に加えて、歯直接剤はまた不溶性塩を可溶化する機能も有する場合がある。例えば、グラスHは不溶性第一スズ塩類を可溶化することが見出されている。したがって、フッ化第一スズを含有する組成物では、例えばグラスHは第一スズの着色汚れ促進効果低下の一因となる。
【0086】
キレート剤
他の任意の薬剤は、グルコン酸、酒石酸、クエン酸及びこれらの製薬上許容可能な塩類のような、隔離剤とも呼ばれるキレート剤である。キレート剤は、細菌の細胞壁に見出されるカルシウムを錯化し得る。キレート剤はまた、このバイオマスが損なわれないように保持するのに役立つカルシウムの架橋からカルシウムを除去することにより歯垢を崩壊させることができる。しかしながら、カルシウムに対する親和性が高すぎるキレート剤を用いることは、結果として歯の脱ミネラル化(demineralization)をもたらす可能性があり、これは本発明の目的及び意図に反するために、望ましくない。好適なキレート化剤は、通常はカルシウム結合定数が約10〜10であり、歯垢及び結石の形成を減少させ、改善された洗浄を提供する。キレート剤はまた、金属イオンと錯体を形成する能力を有し、したがって、製品の安定性又は外観に対する悪影響を予防するのに役立つ。鉄又は銅のようなイオンのキレート化は、最終製品の酸化による変質の抑制に役立つ。
【0087】
好適なキレート剤の例は、グルコン酸ナトリウム又はグルコン酸カリウム及びクエン酸ナトリウム又はクエン酸カリウム、クエン酸/クエン酸アルカリ金属塩混合物、酒石酸二ナトリウム、酒石酸二カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、酒石酸水素ナトリウム、酒石酸水素カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム又はポリリン酸アンモニウム並びにこれらの混合物である。キレート化剤は、約0.1〜約2.5%、好ましくは約0.5%〜約2.5%及びより好ましくは約1.0%〜約2.5%で使用されてよい。
【0088】
本発明に使用するのに好適な、更なる他のキレート剤は、アニオン性高分子ポリカルボキシレートである。かかる物質は当該技術分野において周知であり、その遊離酸又は部分的に若しくは好ましくは完全に中和された水溶性アルカリ金属塩類(例えばカリウム、好ましくはナトリウム)若しくはアンモニウム塩類の形態で使用される。例としては、無水マレイン酸又はマレイン酸と、別の重合可能なエチレン性不飽和モノマー、好ましくは約30,000〜約1,000,000の分子量(M.W.)を有するメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)との1:4〜4:1のコポリマーである。これらのコポリマーは、例えば、GAFケミカルズ社(GAF Chemicals Corporation)のガンツレツ(Gantrez)AN 139(分子量500,000)、AN 119(分子量250,000)及びS−97医薬品等級(分子量70,000)として入手可能である。
【0089】
他の有効な高分子ポリカルボキシレートとしては、無水マレイン酸とエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン又はエチレンとの1:1コポリマーであって、後者は、例えばモンサント(Monsanto)EMA NO.1103、分子量10,000及びEMA等級61として入手可能であるもの及びアクリル酸とメチル若しくはヒドロキシエチルメタクリレート、メチル若しくはエチルアクリレート、イソブチルビニルエーテル又はN−ビニル−2−ピロリドンとの1:1コポリマー等が挙げられる。
【0090】
追加的な有効な高分子ポリカルボキシレートは、米国特許第4,138,477号(ガファル(Gaffar))及び同第4,183,914号(ガファル(Gaffar)ら)に開示されており、無水マレイン酸とスチレン、イソブチレン又はエチルビニルエーテルとのコポリマー、ポリアクリル酸、ポリイタコン酸及びポリマレイン酸並びにユニロイヤル(Uniroyal)ND−2として入手可能な、分子量が1,000ほどに低いスルホアクリルオリゴマー(sulfoacrylic oligomer)が挙げられる。
【0091】
界面活性剤
本組成物はまた、一般的に起泡剤と呼ばれる界面活性剤を含んでよい。好適な界面活性剤は、広いpH範囲にわたって適度に安定し、発泡性であるものである。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、両性、双性イオン性、カチオン性又はこれらの混合物であってよい。
【0092】
本明細書で有用なアニオン性界面活性剤としては、アルキルラジカルに8個〜20個の炭素原子を有するアルキルサルフェートの水溶性塩(例えば、アルキル硫酸ナトリウム)及び8個〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩が挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)及びココナツモノグリセリドスルホン酸ナトリウムは、この種類のアニオン性界面活性剤の例である。他の好適なアニオン性界面活性剤は、ラウロイルサルコシン酸ナトリウムのようなサルコシネート、タウレート、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。アニオン性界面活性剤の混合物を使用することもできる。多数の好適なアニオン性界面活性剤が、米国特許第3,959,458号(アグリコーラ(Agricola)ら)に開示されている。本発明の組成物は、典型的には、約0.025〜約9%、約0.05%〜約5%又は約0.1%〜約1%の濃度でアニオン性界面活性剤を含む。
【0093】
別の好適な界面活性剤は、サルコシネート界面活性剤、イセチオネート界面活性剤及びタウレート界面活性剤からなる群から選択されるものである。本明細書で使用するのに好ましいのは、サルコシン酸ラウロイル、サルコシン酸ミリストイル、サルコシン酸パルミトイル、サルコシン酸ステアロイル及びサルコシン酸オレオイルの、ナトリウム塩及びカリウム塩のような、これらの界面活性剤のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩類である。サルコシネート界面活性剤は、本組成物中に約0.1〜約2.5重量%、好ましくは約0.5〜約2.0重量%で存在してよい。
【0094】
本発明に有用なカチオン性界面活性剤としては、約8〜18個の炭素原子を含有する1つのアルキル長鎖を有する四級アンモニウム化合物の誘導体を包含し、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ココナツアルキルトリメチルアンモニウムニトレート、セチルピリジニウムフルオリド等などが挙げられる。好ましい化合物は四級アンモニウムフッ化物であり、米国特許第3,535,421号(ブライナー(Briner)ら)に記載されているが、ここで前述の四級アンモニウムフッ化物は、洗剤の特性を有する。特定のカチオン性界面活性剤はまた、本明細書に開示された組成物中で殺菌剤として作用する場合もある。クロルヘキシジンのようなカチオン性界面活性剤は、本発明に使用するのに好適であるが、口腔の硬組織を着色する可能性があるために好ましくない。当業者はこの可能性について承知しており、この制限を念頭においてカチオン性界面活性剤を組み込むべきである。
【0095】
本発明の組成物に用いることができる非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシド基(本質的には親水性)と、本質的に脂肪族又はアルキル芳香族であってよい有機疎水性化合物との縮合により生成される化合物が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤の例としては、プルロニック(Pluronic)、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、エチレンオキシドとプロピレンオキシド及びエチレンジアミンの反応生成物との縮合から得られる生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖三級アミンオキシド、長鎖三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシド及びかかる物質の混合物が挙げられる。
【0096】
本発明で有用な双性イオン性合成界面活性剤としては、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム及びスルホニウム化合物の誘導体が挙げられ、その脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であることができ、その際脂肪族置換基の1つは約8個〜約18個の炭素原子を含有し、1つは例えばカルボキシ、スルホネート、硫酸塩、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン性水溶性基を含有する。
【0097】
好適なベタイン界面活性剤は、米国特許第5,180,577号(ポールフカ(Polefka)ら)に開示されている。典型的なアルキルジメチルベタインとしては、デシルベタイン又は2−(N−デシル−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ココベタイン又は2−(N−ココ(coco)−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ミリスチルベタイン、パルミチルベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、セチルベタイン、ステアリルベタインなどが挙げられる。アミドベタインは、ココアミドエチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタインにより例示される。
【0098】
増粘剤
練り歯磨き又はゲルの調製では、組成物に望ましい稠度を提供する、使用時に望ましい能動的な放出特性を提供する、貯蔵安定性を提供する及び組成物の安定性を提供するなどのために、増粘剤を添加する。好適な増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、天然及び合成粘土(例えば、ビーガム及びラポナイト)並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムのようなセルロースエーテルの水溶性塩の1種又は組み合わせが挙げられる。カラヤゴム、キサンタンガム、アラビアゴム及びトラガカントゴムのような天然ゴムを使用することができる。更に質感を改善するために、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム又は超微粒子状シリカを増粘剤の一部として使用することができる。
【0099】
増粘剤又はゲル化剤として有用な、好適なカルボキシビニルポリマーとしては、ペンタエリスリトールのアルキルエーテル若しくはスクロースのアルキルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマーである、カルボマーが挙げられる。カルボマーは、B.F.グッドリッチ(B.F. Goodrich)から、カーボポール(Carbopol)934、940、941、956及びこれらの混合物を包含する、カーボポール(Carbopol)(登録商標)シリーズとして市販されている。
【0100】
全練り歯磨き又はゲル組成物の約0.1重量%〜約15重量%、好ましくは約2重量%〜約10重量%、より好ましくは約4重量%〜約8重量%の量で典型的に存在する増粘剤を使用することができる。チューインガム、トローチ剤及び口臭予防用ミント、香粉、非研磨ゲル及び歯肉縁下用ゲルには、より高濃度で使用してよい。
【0101】
保湿剤
本組成物の別の任意のキャリア物質は、保湿剤である。保湿剤は、練り歯磨き組成物が空気への曝露時に硬化するのを防ぎ、組成物に口への潤い感を付与し、特定の保湿剤では、練り歯磨き組成物に望ましい甘い風味を付与するのに役立つ。保湿剤は、純保湿剤を基準にすると、一般に本明細書の組成物の約0重量%〜約70重量%、好ましくは約5重量%〜約25重量%含まれる。本発明の組成物に使用するのに好適な保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール及びトリメチルグリシンのような食用多価アルコールが挙げられる。
【0102】
種々のキャリア物質
商業的に好適な口腔用組成物の調製に用いる水は、好ましくは、イオン含量が少なく、有機不純物を含まないでおくべきである。水は本明細書の水性組成物の約99重量%まで含まれてよい。この水の量は、添加される遊離水に加えて、ソルビトールのような他の物質とともに導入される水を包含する。
【0103】
本発明はまた、アルカリ金属重炭酸塩を包含してもよく、研磨、脱臭、緩衝及びpH調節を包含する多くの機能を提供し得る。アルカリ金属重炭酸塩類は水に可溶性であり、安定化されていない限り、水性系で二酸化炭素を放出する傾向がある。重炭酸ナトリウムは重曹としても知られ、一般に使用されるアルカリ金属重炭酸塩である。本組成物は、約0.5重量%〜約30重量%のアルカリ金属重炭酸塩を含有してよい。
【0104】
本発明の組成物のpHを、緩衝剤を用いて調整してよい。緩衝剤とは、本明細書で使用するとき、口内洗浄剤及び歯科用溶液のような水性組成物のpHを、好ましくは約pH4.0〜約pH8.0の範囲に調整するために用いることができる剤を指す。緩衝剤としては、重炭酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、クエン酸及びクエン酸ナトリウムが挙げられ、典型的には約0.5重量%〜約10重量%の濃度で含まれる。
【0105】
ポロキサマーを本組成物に使用してよい。ポロキサマーは、非イオン性界面活性剤に分類され、乳化剤、結合剤、安定剤及び他の関連する機能性剤としても機能し得る。ポロキサマーは、分子量が1,000〜15,000超の範囲である、一級ヒドロキシル基で終端をなす二官能性ブロックポリマーである。ポリキサマーは、BASFからプルロニックス(Pluronics)及びプルラフロ(Pluraflo)の商標名で、ポロキサマー(Poloxamer)407及びプルラフロ(Pluraflo)L4370などが販売されている。
【0106】
使用され得る他の乳化剤としては、B.F.グッドリッチ(B.F.Goodrich)から入手可能なペミュレン(Pemulen)(登録商標)シリーズのような高分子乳化剤が挙げられ、これは、主に、疎水性物質用の乳化剤として有用な高分子量のポリアクリル酸ポリマーである。
【0107】
二酸化チタンはまた、着色剤又は乳白剤として、典型的には約0.25重量%〜約5重量%の濃度で本組成物に加えられてよい。
【0108】
本組成物に使用され得る他の任意の薬剤としては、優れた歯の感触利益を提供するのを補助するものとして、C12〜C20のアルキルジメチコーンコポリオール及びこれらの混合物のようなアルキル−及びアルコキシ−ジメチコーンコポリオールから選択されるジメチコーンコポリールが挙げられる。極めて好ましいのは、アビル(Abil)EM90の商標名で市販されているセチルジメチコンコポリオールである。ジメチコーンコポリオールは一般に、約0.01重量%〜約25重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約1.5重量%で存在する。
【0109】
呼吸成分(Respiratory Ingredients)
鼻及び喉ケアにおけるパーソナルケア組成物は、幅広い呼吸成分を含むことができる。非限定的な例としては、鎮痛剤、抗コリン作用薬、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、解熱剤、鎮咳剤、抗ウィルス剤、鬱血除去剤、去痰剤、粘液溶解剤及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0110】
鬱血除去剤の例としては、オキシメタゾリン、フェニレフリン、キシロメタゾリン、ナファゾリン、l−デソキシエフェドリン、エフェドリン、プロピルヘキセドリン、偽エフェドリン及びフェニルプロパノールアミンが挙げられる。抗コリン作用薬の例としては、イプラトロピウム、クロルフェニラミン、ブロムフェニルアミン、ジフェンヒドラミン、ドキシルアミン、クレマスチン及びトリプロリジンが挙げられる。一般的な鎮痛剤、抗炎症剤及び解熱剤としては、イブプロフェン、ケトプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、アセトアミノフェン及びアスピリンが挙げられる。抗ウィルス剤の例としては、アマンチジン、リマンチジン、プレコナリル、ザナミビル及びオセルタミビルが挙げられる。鎮咳剤の例としては、コデイン、デキストロメトルファン、クロフェジアノール及びレボドロプロピジンが挙げられる。去痰剤の例としては、グアイフェネシンが挙げられる。粘液溶解剤としては、アンブロキソール及びN−アセチルシステインが挙げられる。抗ヒスタミン剤の例としては、ジフェンヒドラミン、ドキシルアミン、トリプロリジン、クレマスチン、フェニルアミン、クロルフェニラミン、ブロムフェニラミン、デクスブロムフェニラミン、ロラタジン、セチリジン及びフェキソフェナジン、アンレキサノクス、アルキルアミン誘導体、クロモリン、アクリバスチン、イブジラスト、バミピン、ケトチフェン、ネドクロミル、オマリズマブ、ジメチンデン、オキサトミド、ペミロラスト、ピロブタミン、ペンチゲチド、テナリジン、ピクマスト、トルプロパミン、ラマトロバン、トリプロリジン、レピリナスト、トシル酸スプラタストアミノアルキルエーテル、タザノラスト、ブロモジフェンヒドラミン、トラニラスト、カルビノキサミン、トラキサノクス、クロルフェノキサミン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、ドキシルアミン、エンブラミン、p−メチルジフェンヒドラミン、モキサスチン、オルフェナドリン、フェニルトロキサミン、セタスチン、エチレンジアミン誘導体、クロロピラミン、クロロセン、メタピリレン、ピリラミン、タラスチン、テニルジアミン、トンジルアミン塩酸塩、トリペネナミン、ピペラジン、クロルシクリジン、クロシニジン、ホモクロルシクリジン、ヒドロキシジン、トリサイクリックス、フェノチアジン、メキタジン、プロメタジン、メチル硫酸チアジナミウム、他のトリサイクリックス、アザタジン、シプロヘプタジン、デプトロピン、デスロラタジン、イソチペンジル、オロパタジン、ルパタジン、アンタゾリン、アステミゾール、アゼラスチン、ベポタスチン、クレミゾール、エバスチン、エメダスチン、エピナスチン、レボカバスチン、メブヒドロリン、ミゾラスチン、フェニンダミン、テルフェナジン、トリトクアリンが挙げられる。
【0111】
組成物は、組成物の約0重量%〜約15重量%、あるいは0.0001重量%〜約10重量%、あるいは約0.001重量%〜約7重量%及びあるいは約0.01重量%〜約5重量%の範囲の呼吸成分量を含んでよい。
【0112】
使用方法
本発明はまた、歯垢、虫歯、結石、歯肉炎、歯周病及び悪臭などの望ましくない状態をもたらす口腔における細菌活性を制御する方法に関する。これらの組成物の効果は、組成物を繰り返し使用すると、時間とともに増加する場合がある。
【0113】
本明細書の使用方法又は治療方法は、被験体の歯のエナメル質表面及び口内粘膜に、本発明による口腔用組成物を接触させる工程を含んでよい。方法は、歯磨剤を用いたブラッシング工程又は歯磨剤スラリー若しくは口内洗浄剤を用いるすすぎ工程を含んでよい。他の方法としては、局所用口腔ゲル、義歯製品、口内スプレー又は他の形態を、被験体の歯及び口腔粘膜に接触させることが挙げられる。対象者は、その歯の表面が口腔用組成物に接触する、いずれの人間又は他の動物であってもよい。「動物」とは、家庭用ペット若しくは他の家畜又は捕獲されている動物を含むことを意味する。
【0114】
例えば治療方法は、歯磨剤組成物の1つを用いて人間がイヌの歯をブラッシングすることを含むことができる。別の例としては、効果を確認するのに十分な時間、ネコの口を口腔用組成物ですすぐことが挙げられるであろう。チュー(chew)及びおもちゃのようなペットケア製品は、本口腔用組成物を含有するように配合することができる。組成物は、生皮、天然繊維又は合成繊維製のロープ及びナイロン、ポリエステル又は熱可塑性ポリウレタン製の高分子物品のような、比較的柔軟であるが強くて丈夫な材料に組み込まれてよい。動物が製品を噛み、なめ又はかじるときに、組み込まれた活性要素が動物の口腔内の唾液媒体内に放出され、効果的なブラッシング又はすすぎに匹敵する。
【0115】
他の使用方法は、本発明の精油材料の抗菌性混合物を含有する殺菌組成物又は拭取り布を使用して、手及び皮膚を洗浄及び消毒する工程を含む。あるいは、本発明の混合物を含有する喉スプレーを喉の感染症を治療するのに使用してもよい。
【0116】
組成物が呼吸組成物である場合、人間/哺乳類に対して、用語「経口投与する及び/又は投与する」は、1つ以上の本発明の呼吸組成物を人間/哺乳類が摂取する若しくは摂取するよう指示される、口内に摂取する、供給する、噛む、飲む又は載置することを意味する。人間/哺乳類は、例えば口及び/又は喉などの治療しようとする部位に人間/哺乳類が呼吸組成物を供給することを指示されてよい。人間/哺乳類は、組成物を口内に摂取する、供給する、噛む、飲む、噴射する又は載置することを指示されてよく、人間に組成物の使用法を指導及び/又は報告するといった、このような指示及び/又は供給により、呼吸器症状、例えば咳及び/又は咽頭炎を緩和(例えば、一時的又は永続的であっても症状軽減)させ得る、及び/又は緩和させるであろう。緩和は、即時的であるか、要求に応じてであってもよい。例えば、こうした指導は、口頭の指導(例えば、医者、薬剤師又は他の健康専門家からの口頭の指示を通じて)、ラジオ又はテレビ媒体(即ち、広告)、あるいは文書による指導(例えば、医者、薬剤師又は他の保健専門家からの文書による指導を通じて(例えば、スクリプト)、販売専門家又は組織(例えば、マーケティングカタログ、パンフレット又は他の教育的な用具を通じて)、文書による媒体(例えば、インターネット、電子メール又は他のコンピューター関連の媒体)、並びに/若しくは組成物に関連する包装(例えば、配合物を保持する供給装置に存在するラベル)であってよい。本明細書で使用するとき、「書面の」とは、言葉、絵、記号及び/又はその他の視覚的又は触覚的な記述子によることを意味する。こうした情報は、例えば「呼吸器の」、「症状」又は「哺乳類」といった、本明細書において使用される実際の単語を利用する必要はなく、むしろそれと同一又は類似の意味を伝達する単語、絵、記号、触覚手段及びその類の使用が本発明の範囲内で熟慮される。
【0117】
更なる実施形態において、呼吸組成物は、こうした治療が必要な哺乳類に、本明細書に記載されるような配合物を投与することを含み、必要に応じて咳の治療及び咳の緩和をもたらす方法を対象とする。更に本明細書に使用されるように、咳の緩和に対する「治療」及び/又は「緩和をもたらす」は、参照される呼吸配合物を投与することで、疾患における1つ以上の症状を予防、緩和、改善、抑制又は和らげることを意味する。
【0118】
本発明はまた、例えば、哺乳類が咳の症状が出やすいような場合に、哺乳類において、咳又はそれに関連する症状が起こるのを予防し、咳又はそれに関連する症状の徴候を予防及び/又は咳発作又はそれに関連する症状を軽減し、食い止め又は治癒することを含む、「予防」方法に関する。
【0119】
必要又は要求に応じて、例えば、月に1回、週に1回、例えば少なくとも1日に1回、1日に1回〜約6回、1日に約2回〜4回又は1日に3回など、1日に複数回を含む毎日、投与が行われてよい。投与される呼吸組成物の量は、哺乳類の健康の全般的な質、哺乳類の種類、年齢、性、体重又は症状の重篤度を包含する様々な要因に依存する可能性がある。
【実施例】
【0120】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に説明及び実証する。これらの実施例は単に例示することが目的であり、これらの多くの変更が発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく可能であるので、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0121】
実施例I.歯磨剤組成物
本発明による歯磨剤組成物(Ia〜Ik)を、以下に成分の量(重量%)とともに示す。これらの組成物を従来の方法を用いて作製する。消費者官能試験において、本発明による組成物は、心地良く、長続きし、天然で、軽いハーブ味を有し、典型的なヒリヒリする不快な後味がなく、口内を洗浄及びフレッシュニングするものとして評価された。
【表4】

【表5】

【0122】
実施例II.口内洗浄剤組成物
本発明による口内洗浄剤組成物(IIa〜IIj)を、以下に成分の量(重量%)とともに示す。これらの組成物を従来の方法を用いて作製する。
【表6】

【表7】

【0123】
実施例III.手の殺菌組成物
本発明の抗菌性混合物を含有する手の殺菌組成物(IIIa〜IIIh)を以下に成分の量(重量%)とともに示す。これらの組成物を従来の方法を用いて作製する。
【表8】

アロエベラゲル(アロエ・バルバデンシス抽出物)
ガーディアンラボラトリーズ(Guardian Laboratories)により供給されるプレキサジェル(Plexajel)ASCは、水、グリセリン、ポリクアテルニウム−4及びポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の混合物である。
【表9】

アロエベラゲル(アロエ・バルバデンシス抽出物)
ガーディアンラボラトリーズ(Guardian Laboratories)により供給されるプレキサジェル(Plexajel)ASCは、水、グリセリン、ポリクアテルニウム−4及びポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸の混合物である。
【0124】
実施例IV.呼吸組成物
呼吸組成物を以下に成分の量(重量%)とともに示す。実施例#1〜#8は、従来の方法を使用して作製され、例えば、喉スプレー又は含嗽剤として使用され得る液体組成物である。
【表10】

【表11】

【0125】
実施例#9〜#16は、第1に、水、クエン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリオキシ40ステアレート及び/又はポリエチレンオキシドを清潔な容器に加えることにより作製することができる。内容物をCMCが分散するまで攪拌した。第2の別の容器に、プロピレングリコール、グリセリン、スクロース、スクラロース、風味剤及び香味剤、唾液分泌剤及び安息香酸ナトリウムを加え、溶解するまで攪拌した。次に、この2つの混合物を均質になるまで合成・混合し、PET材料を含む供給装置内に載置した。
【表12】

シムライズ(Symrise)社により供給されるオプタフロウ(Optaflow)(登録商標)は、使用され得る唾液分泌剤の一例である。
【0126】
実施例#17〜#16は、第1に、水、クエン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びポリオサマー407を清潔な容器に加えることにより作製することができる。内容物を成分が分散するまで攪拌した。別の容器中で、キサンタンガム、グアーガム及びグリセリンを、ガムが溶解して分散するまで混合した。第3の別の清潔な容器に、プロピレングリコール、スクロース、スクラロース、風味剤、クエン酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウムを加え、溶解するまで攪拌した。次に、この3つの混合物を均質になるまで合成・混合し、PET材料を含む供給装置内に載置した。
【0127】
実施例#21〜#24は、第1に、水、クエン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウムを清潔な容器に加えることにより作製することができる。内容物をCMCが分散するまで攪拌した。別の清潔な容器に、高フルクトースコーンシロップ、プロピレングリコール、呼吸成分(マレイン酸クロルフェニラミン、グアイフェネシン、デキストロメトルファンHBr)、グリセリン、メントール、スクロース、スクラロース、風味剤、クエン酸ナトリウム及び安息香酸塩を加えて溶解するまで攪拌した。次に、この2つの混合物を均質になるまで合成・混合し、PET材料を含む供給装置内に載置した。
【表13】

【表14】

【0128】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0129】
いかなる相互参照若しくは関連特許又は関連出願を含む、本明細書に引用される全ての文献は、除外を明示されるか、ないしは別の方法で制限されない限り、参照としてその全てが本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、本明細書で開示又は請求されるいかなる発明又はその他の任意の参照、教示、提示又は開示を単独又は任意で組み合わせたものが先行技術であることを認めたものではない。本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた定義又は意味が適用されるものとする。
【0130】
本発明の特別な実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくその他の様々な変更及び修正を実施できることは当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シトラール、ネラール、ゲラニアール、ゲラニオール及びネロールから選択される第1の非環式成分と、ユーカリプトール、オイゲノール及びカルバクロールから選択される第2の環含有成分とを含む精油成分の混合物であって、有効な抗菌活性をもたらすために、少なくとも約0.02重量%、好ましくは0.02重量%〜5.0重量%の濃度でパーソナルケア組成物に使用される、精油成分の混合物。
【請求項2】
単一の又は精製された化学物質を混合することにより調製される、請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
少なくとも2つの前記非環式成分及び少なくとも2つの前記環含有成分、好ましくはシトラール、ゲラニオール、ユーカリプトール及びオイゲノール、を含み、それぞれの成分が混合物の少なくとも0.5重量%の濃度である、請求項1又は2に記載の混合物。
【請求項4】
シトラール、ゲラニオール、ユーカリプトール、オイゲノール及びカルバクロールを含み、それぞれの成分が混合物の少なくとも0.5重量%の濃度である、請求項1又は2に記載の混合物。
【請求項5】
0.02重量%〜5重量%の精油成分の抗菌性混合物を含む、皮膚、毛髪、口腔、鼻腔、喉及び他の粘膜表面に使用するためのパーソナルケア製品であって、前記混合物が、シトラール、ネラール、ゲラニアール、ゲラニオール及びネロールから選択される第1の非環式成分と、ユーカリプトール、オイゲノール及びカルバクロールから選択される第2の環含有成分とを含む、パーソナルケア製品。
【請求項6】
(a)必須の抗菌活性物質として、全組成物の少なくとも約0.02重量%、好ましくは0.02重量%〜5重量%の精油成分の混合物であって、前記混合物が、シトラール、ネラール、ゲラニアール、ゲラニオール及びネロールから選択される第1の非環式成分と、ユーカリプトール、オイゲノール及びカルバクロールから選択される第2の環含有成分とを含む混合物と、
(b)口腔に許容可能なキャリアと、
を含む口腔ケア組成物であって、
前記組成物が、歯垢、虫歯、結石、歯肉炎及び口臭から選択される、1つ以上の望ましくない口腔状態に関与する微生物に対して有効な抗菌活性をもたらす、口腔ケア組成物。
【請求項7】
前記抗菌性混合物が、単一又は精製された化学物質から調製される、請求項6に記載の口腔ケア組成物。
【請求項8】
更に追加的な抗菌活性物質、好ましくは、塩化セチルピリジニウム、亜鉛イオン源、第一スズイオン源、銅イオン源、過酸化物源、亜塩素酸塩源、クロルヘキシジン、トリクロサン、トリクロサン一リン酸、ο−シメン−5−オール、メントール、フェノール、カルボン、シンナムアルデヒド、アネトール、テルピネン−4−オール、ジンゲロン、アリルイソチオシアネート、クミンアルデヒド、ヒノキチオール、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、グアヤコール、これらの混合物及びこれらの天然源から選択される、を含む、請求項6又は7に記載の口腔ケア組成物。
【請求項9】
練り歯磨き、歯磨剤、歯用ゲル、歯肉縁下用ゲル、口内洗浄剤、ムース、泡、義歯製品、口内スプレー、トローチ剤、咀しゃく錠及びチューイングガムから選択される形態である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項10】
前記組成物が、呼吸成分を更に含む呼吸組成物である、請求項5に記載のパーソナルケア組成物。

【公表番号】特表2010−523551(P2010−523551A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501658(P2010−501658)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051444
【国際公開番号】WO2008/126057
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】