説明

精神病性障害を管理する方法および組成物

ジプラシドン、オランザピン、およびリスペリドンからなる群から選択される少なくとも1種の抗精神病剤を含む第1の成分と、ゾニサミドおよびトピラメートからなる群から選択される少なくとも1種の抗痙攣剤を含む第2の成分とを含む、精神病性障害の治療のための組成物を提供すること。ジプラシドン、オランザピン、およびリスペリドンからなる群から選択される少なくとも1種の抗精神病剤を含む第1の成分と、ゾニサミドおよびトピラメートからなる群から選択される少なくとも1種の抗痙攣剤を含む第2の成分とを投与することを含む、精神病性障害、精神病性障害に関連する症状、および抗精神病剤に関連する副作用の治療方法を提供すること。該組成物および該方法の第2の成分は、抗うつ剤をさらに含むことができる。様々な実施形態では、抗精神病剤および抗痙攣剤は、精神病性障害とそれらの治療に関連する症状および/または副作用を緩和するように相乗的に働く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2005年5月31日出願の米国仮特許出願第60/686,128号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、精神病性障害の治療のための改善された薬剤組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
精神病は、妄想(誤った信念)および/または幻覚(感覚による誤った知覚)を特徴とする病態を指す。アメリカ精神医学会の精神障害の診断と統計マニュアル(DSM-IVTR)によって認識されているこれらのより一般的な障害には、双極性障害および統合失調症が含まれる。躁うつ病としても知られる双極性障害は、躁病/軽躁病、抑うつ、またはその両方の組合せ(混合エピソード)の再発エピソードによって現れる。これらの段階のそれぞれは、精神病として現れることがあり、または精神病の出現リスクを上昇させ得る。統合失調症は、精神病的発現、しばしば抑うつ的要素と、個人の人格構造の基本的要素の崩壊とからなる。この症候群は、一般に、双極性障害の従来の周期(再発)よりも長期間にわたって継続する。他の精神病性障害には、境界性人格、妄想性障害、短期反応性精神病、分裂感情障害、統合失調様障害、精神病性大うつ病、薬物乱用による精神病、および諸病状に関連する精神病、例えば認知症、せん妄等が含まれる。
【0004】
過去10年間に、精神疾患を管理するための多数の新しい治療選択肢が出現しているものの、それらの治療には、医師にとって極度に困難な作業が残っている。従来の抗精神病剤(例えば、ハロペリドール)は、中程度に効果的ではあるが、気分の変化などの関連症状の多くを緩和することができない。実際、このような薬剤は、患者の抑うつレベルを増大するおそれがある。最近の「非定型」抗精神病剤は、わずかに効果が高い(統合失調症または急性躁病において)が、治療を受ける大多数の患者において、未だ完全な寛解(重篤な徴候および症状の除去)を実現できていない。さらに、これらの薬剤は、抑うつ気分の核である撹乱を治療することができない。逆に、抗うつ剤には、双極性の患者の気分を抑うつから躁へと切り替える潜在能力があるために、抗うつ剤で気分の減衰(大うつ病など)を治療する間は、かなり注意して使用しなければならない。統合失調症においては、抗うつ剤は、その病気の最も顕著な様相を治療することができない。つまり抗うつ剤は、単独使用される場合、精神病的症状に効果的ではない。これらの制限の下で、医師は、時にリチウム、バルプロエート、またはカルバマゼピンなどの気分安定剤を試みる必要があることを見出した。オランザピンも、統合失調症、急性躁病、および双極性の管理に用いられているように、一般的な選択肢となっている。しかし、オランザピンは、一般的な精神病または抑うつに対して認可されていない。最後に、前述の薬剤の多くには、慢性的に使用される場合、安全性への懸念が伴う。このような一例には体重増加があり、治療中に著しく増加することがある。このような患者群における満たされていない医療ニーズの範囲が反映されてのことであろうが、一般の患者は、3〜4種の薬剤を常に投与されているということが市場調査によって明らかとなっている。したがって、精神病的症状および気分症状両方の範囲にわたって、体重増加などの長期的副作用のリスクを抑えながら相乗的有効性を付与する、より良好な治療選択肢の同定が益々必要とされている。
【0005】
ゾニサミドは、最初に日本で開発された新規な抗痙攣剤である。ゾニサミドは、精神病および憂うつを含めた幾つかの精神症状に関与しているとされてきた、中心的なインドールアミン神経伝達物質としてのセロトニンと構造的に類似している。さらに、セロトニンは、ナトリウムおよびカルシウムチャンネル拮抗作用などの幾つかの薬理学的作用を有する。ゾニサミドは、数種の気分安定剤の薬理学的特性と非常に類似した薬理学的特性を有する。したがって、Kanbaおよびその同僚によって、24名の「精神病」患者(双極性躁症状15名、統合失調症性躁症状6名、統合失調症性興奮3名)でゾニサミドの効果が調査された(1994年)。全患者の約25%および双極性躁病患者の約33%は、ゾニサミドの添加によって著しい全般的改善を示した。全患者の約71%および双極性群の約80%には、中程度以上の全般的改善があった。より最近では、ゾニサミドは、双極性うつ病を有する一部の患者にとって有用な補助治療になることが報告されている(Baldassonoら、2004年)。
【0006】
Gaddeらは、ゾニサミドが肥満の個体における体重減少に関連していると報告した(Gadde等、JAMA、2003年)。最近になって、McElroyおよびその同僚は、気分障害と肥満との重複を示すデータが、同時発生することがあると共に、先の2つの症状が関係していることを示すらしいと報告した(2005年)。注目すべきことに、彼らは、補助的ゾニサミドが、双極性障害を有する一部の患者の気分および体重への有益な効果に関連しているものの、気分症状の悪化による高い中断率にも関連することを見出した。米国特許出願第2005/0181070A1号には、体重増加を防止するための抗痙攣剤および精神治療薬の組成物が開示されている。米国特許出願第2005/0181070A1号には、オランザピン、ゾニサミド、バルプロエート、およびブプロピオンの患者への同時投与と、リスペリドン、ゾニサミド、およびパロキセチンの、別の患者への同時投与も開示されている。
【0007】
米国特許第6,323,235号には、衝動調節障害の治療のための、トピラメートなどのスルファミン酸誘導体の使用が開示されている。米国特許出願第2005/0181070A1号には、哺乳動物において治療困難な不安障害、精神病性障害もしくは精神病性症状、または気分障害の治療に使用するための、(i)非定型抗精神病剤である第1の治療薬と、(ii)GABA調節因子、抗痙攣剤、およびベンゾジアゼピンからなる群から選択される第2の治療薬との組合せが開示されている。米国特許出願公開第2004/0002462A1号には、交感神経様作用薬と抗痙攣剤であるスルファミン酸誘導体との組合せを用いて対象を治療することが関与する、体重減少をもたらす併用療法が開示されている。
【0008】
精神病性障害に関連する症状を効果的に治療すると共に、体重増加などの望ましくない副作用を回避する新規な併用療法が必要とされている。
【特許文献1】2005年5月31日出願の米国仮特許出願第60/686,128号
【特許文献2】米国特許出願第2005/0181070A1号
【特許文献3】米国特許第6,323,235号
【特許文献4】米国特許出願公開第2004/0002462A1号
【特許文献5】米国特許第4,172,896号
【特許文献6】米国特許第4,513,006号
【特許文献7】米国特許第3,819,706号
【特許文献8】米国特許第3,885,046号
【特許文献9】Morgan等の2001年8月14日発行の米国特許第6,274,579号
【非特許文献1】GreeneおよびWuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999年
【非特許文献2】Hashiguti等、J Neural Transm Gen Sect. 1993年;93:213〜223頁
【非特許文献3】Okada等、Epilepsy Res. 1992年;13:113〜119頁
【非特許文献4】Okada等、Epilepsy Res. 1995年;22:193〜205頁
【非特許文献5】Allison等、Am. J. Psych. 156:1686〜1696頁(1999年)
【非特許文献6】Wirshing等、J. Clin. Psych. 60:358〜363頁(1999年)
【非特許文献7】Weiden等、J. Clin. Psych. 57:S53-S60頁(1996年)
【非特許文献8】Beasley等、J. Clin. Psych. 60:767〜770頁(1997年)
【非特許文献9】Osser等、J. Clin. Psych. 60:767〜770頁(1998年)
【非特許文献10】Sheitman等、Am. J. Psych. 156:1471〜1472頁(1999年)
【非特許文献11】Ebenbichler等、J. Clin. Psych. 64:1436〜1439頁(2003年)
【非特許文献12】Hedenmalm等、Drug Saf. 25:1107〜1116頁(2002年)
【非特許文献13】Sernyak等、Am. J. Psych. 159:561〜566頁(2002年)
【非特許文献14】Cash等、Percep. Motor Skills 90:453〜456頁(2000年)、
【非特許文献15】Deshmukh等、Cleveland Clinic J. Med. 70:614〜618頁(2003年)
【非特許文献16】Gadde等、JAMA 289:1820〜1825頁(2003年)
【非特許文献17】「Remington's Pharmaceutical Sciences」Mack Publishing Co., Easton, PA, 18巻, 1990年
【非特許文献18】Fingl等、1975年「The Pharmacological Basis of Therapeutics」1章、1頁
【非特許文献19】Huang, T., R.等(1994年) New SepStik Microbore Columns for Liquid Chromatography. Current Separations 12(4): 191〜195頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に開示する実施形態は、精神病性障害の治療のための薬剤組成物および方法に関する。幾つかの実施形態では、薬剤組成物は、ジプラシドン、オランザピン、およびリスペリドンから選択される抗精神病剤を含む第1の成分と、ゾニサミドおよびトピラメートから選択される抗痙攣剤を含む第2の成分とを含む。幾つかの実施形態では、薬剤組成物は、オランザピン、ゾニサミド、バルプロエート、およびブプロピオンの組合せを含まない。幾つかの実施形態では、薬剤組成物は、リスペリドン、ゾニサミド、およびパロキセチンの組合せを含まない。
【0010】
好ましい実施形態では、抗精神病剤はジプラシドンであり、抗痙攣剤はゾニサミドであり得る。他の好ましい実施形態では、抗精神病剤はジプラシドンであり、抗痙攣剤はトピラメートであり得る。さらに他の好ましい実施形態では、抗精神病剤はオランザピンであり、抗痙攣剤はゾニサミドであり得る。さらに他の好ましい実施形態では、抗精神病剤はオランザピンであり、抗痙攣剤はトピラメートであり得る。さらに他の好ましい実施形態では、抗精神病剤はリスペリドンであり、抗痙攣剤はゾニサミドであり得る。さらに他の好ましい実施形態では、抗精神病剤はリスペリドンであり、抗痙攣剤はトピラメートであり得る。
【0011】
幾つかの実施形態では、薬剤組成物は、抗うつ剤を含むこともできる。例えば、好ましい実施形態では、抗うつ剤は、選択的セロトニン再取込み阻害剤であってよい。他の好ましい実施形態では、抗うつ剤は、三環系抗うつ剤であってよい。さらに他の好ましい実施形態では、抗うつ剤は、MAO阻害剤であってよい。さらに他の好ましい実施形態では、抗うつ剤は、ノルエピネフリンおよび/またはドーパミンの活性を高める化合物であってよい。
【0012】
幾つかの実施形態は、ジプラシドン、オランザピン、およびリスペリドンから選択される少なくとも1種の抗精神病剤を含む有効量の第1の成分と、ゾニサミドおよびトピラメートから選択される少なくとも1種の抗痙攣剤を含む有効量の第2の成分とを、治療を必要とする患者に投与することを含む、精神病性障害の治療方法に関する。幾つかの実施形態では、オランザピン、ゾニサミド、バルプロエート、およびブプロピオンは、患者に同時には投与されない。幾つかの実施形態では、リスペリドン、ゾニサミド、およびパロキセチンは、患者に同時には投与されない。
【0013】
好ましい実施形態では、該方法は、ジプラシドン、オランザピン、およびリスペリドンから選択される抗精神病剤を用いた継続的治療を受けている患者を同定することをさらに含む。他の好ましい実施形態では、該方法は、1種または複数の症状に関連する精神病性障害に罹患しており、治療を必要とする患者を同定することをさらに含む。さらに他の好ましい実施形態では、該方法は、精神病性障害に罹患しており、気分の安定を必要とする患者を同定することを含む。
【0014】
本明細書に記載の方法の幾つかの実施形態では、精神病性障害は、双極性障害、統合失調症、境界性人格、分裂病質/分裂病型/妄想性人格障害、妄想性障害、短期反応性精神病、分裂感情障害、統合失調様障害、精神病性大うつ病、薬物乱用による精神病、発達障害に関連する精神病、および諸病状に関連する精神病から選択される。例として、病状に関連する精神病は、認知症、せん妄、精神遅滞等であり得る。
【0015】
本明細書では、精神病性障害の治療のために、ジプラシドン、オランザピン、およびリスペリドンから選択される抗精神病剤を含む第1の成分と、ゾニサミドおよびトピラメートから選択される抗痙攣剤を含む第2の成分とを含む組合せを使用することに関し、第1の成分および第2の成分が、それを必要とする個体に投与される実施形態を提供する。好ましくは、オランザピンおよびゾニサミドは、バルプロエートおよびブプロピオンと併用されず、リスペリドンおよびゾニサミドは、パロキセチンと併用されない。幾つかの実施形態では、第1の成分および第2の成分は、同時投与することができる。他の実施形態では、第1の成分および第2の成分は、逐次投与することができる。
【0016】
幾つかの実施形態では、第1および第2の成分を使用して、1種または複数の症状と関連する精神病性障害に罹患しており、治療を必要とする個体を治療することができる。幾つかの実施形態では、第1および第2の成分を使用して、精神病性障害に罹患しており、気分の安定を要する個体を治療することができる。
【0017】
幾つかの実施形態では、第1および第2の成分を使用して、双極性障害、統合失調症、境界性人格、分裂病質/分裂病型/妄想性人格障害、妄想性障害、短期反応性精神病、分裂感情障害、統合失調症様障害、精神病性大うつ病、薬物乱用による精神病、発達障害に関連する精神病、および諸病状に関連する精神病などの精神病性障害を治療することができる。例えば、第1および第2の成分を使用して、認知症、せん妄、および精神遅滞などの諸病状に関連する精神病を治療することができる。
【0018】
本明細書ではまた、精神病性障害を治療するための医薬品の調製において、本明細書に記載の実施形態の薬剤組成物を使用することに関する実施形態が提供される。幾つかの実施形態では、該医薬品を使用して、ジプラシドン、オランザピン、およびリスペリドンから選択される少なくとも1種の抗精神病剤を用いた継続的治療を受けている個体を治療することができる。
【0019】
幾つかの実施形態では、該医薬品を使用して、1種または複数の症状に関連する精神病性障害に罹患しており、治療を必要とする個体を治療することができる。
【0020】
幾つかの実施形態では、該医薬品を使用して、精神病性障害に罹患しており、気分の安定を必要とする個体を治療することができる。
【0021】
幾つかの実施形態では、該医薬品を使用して、双極性障害、統合失調症、境界性人格、分裂病質/分裂病型/妄想性人格障害、妄想性障害、短期反応性精神病、分裂感情障害、統合失調症様障害、精神病性大うつ病、薬物乱用による精神病、発達障害に関連する精神病、および諸病状に関連する精神病などの精神病性障害を治療することができる。例えば、該医薬品を使用して、認知症、せん妄、および精神遅滞を治療することができる。
【0022】
上記その他の実施形態は、以下にさらに詳細に記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下の用語およびそれらの文法的同義語は、本明細書で使用される場合、それらの通常の意味および慣習的意味に加えて、以下に与えられる定義を有する。
【0024】
「治療」という用語またはその文法的同義語は、必ずしも完全な治癒を意味しない。疾患の望ましくない任意の徴候または症状をある程度緩和すること、あるいは疾患の進行を遅らせることは、治療とみなすことができる。さらに、治療は、患者の全体的幸福感または外見を悪化することがある行為を含み得る。また治療には、症状が緩和されず、疾患の症状が改善されず、または患者の全体的幸福感が向上しない場合にも、患者の生命を延長することが含まれ得る。
【0025】
「薬剤として許容される塩」という用語は、投与を受ける有機体に著しい炎症を起こさず、化合物の生物活性および特徴を無効にしない、化合物の配合物を指す。薬剤塩は、本明細書に開示する化合物を、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などの無機酸と反応させることによって得ることができる。薬剤塩は、本明細書に開示する化合物を塩基と反応させて、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩またはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩またはマグネシウム塩、有機塩基の塩、例えばジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ならびにアルギニン、リシンなどのアミノ酸とのそれらの塩などの塩を形成することによって得ることもできる。
【0026】
「エステル」という用語は、式-(R)n-COOR'を有する化学部分を指し、RおよびR'は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)、およびヘテロ脂環式(環炭素を介して結合)からなる群から独立に選択され、nは0または1である。
【0027】
「アミド」は、-(R)n-C(O)NHR'または-(R)n-HC(O)R'を有する化学部分であり、RおよびR'は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)、およびヘテロ脂環式(環炭素を介して結合)からなる群から独立に選択され、nは0または1である。アミドは、本明細書に開示する分子に結合することによってプロドラッグを形成するアミノ酸またはペプチド分子であり得る。
【0028】
上記化合物の代謝物、エステル、またはアミド上の任意のアミン、ヒドロキシ、またはカルボキシル側鎖は、エステル化またはアミド化することができる。この目的を達成するために使用される手順および特定の基は、当業者には知られており、その全体が本明細書に組み込まれるGreeneおよびWutsのProtective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999年などの参照元に容易に見出すことができる。
【0029】
「代謝物」という用語は、本明細書に開示する実施形態の活性化合物が、哺乳動物の細胞内で変換される化合物を指す。本明細書に開示する薬物組成物は、本明細書に記載の化合物の1種または複数の代謝物を含む。本明細書に開示する実施形態の方法の範囲には、本明細書に開示する化合物が患者に投与されるものの、該化合物の代謝物が生物活性をもつ実体であるという場合が含まれる。
【0030】
「プロドラッグ」は、in vivoで親薬物に変換される薬剤を指す。プロドラッグは、幾つかの場合において親薬物よりも容易に投与することができるために、しばしば有用である。プロドラッグは、例えば経口投与によって生体利用可能であるが、親はそうではない。またプロドラッグは、親薬物と比較して薬剤組成物への可溶性が改善されており、あるいは嗜好性が向上し、またはより配合しやすい。プロドラッグの一例として、それに限定するものではないが、細胞膜全体の伝達を容易にするためにエステル(「プロドラッグ」)として投与される本明細書に開示する化合物が挙げられる。細胞膜では水溶性が可動性にとって有害となるが、該化合物が、投与後に細胞内で一旦活性のある実体としてのカルボン酸に代謝的に加水分解されると、水溶性は有益となる。プロドラッグのさらなる例は、ペプチドが代謝して活性部分を生成する酸基に結合された短鎖ペプチド(ポリアミノ酸)であってよい。
【0031】
本開示を通して、特定の化合物が、例えばブプロピオンとういう名称で呼ばれる場合、本開示の範囲には、命名された化合物の薬剤として許容される塩、エステル、アミド、代謝物、またはプロドラッグが包含されると理解されよう。また、命名された化合物がキラル中心を含む場合、本開示の範囲には、2つの鏡像異性体のラセミ混合物を含む組成物、ならびに両方の鏡像異性体を個々に含み他の鏡像異性体を実質的に含まない組成物も含まれる。したがって、本明細書では、例えば、S鏡像異性体を含みR鏡像異性体を実質的に含まない組成物、またはR鏡像異性体を含みS鏡像異性体を実質的に含まない組成物が企図される。「実質的に含まない」とは、組成物が、10%未満、または8%未満、または5%未満、または3%未満、または1%未満という少数の鏡像異性体を含むことを意味する。命名された化合物が複数のキラル中心を含む場合、本開示の範囲は、様々なジアステレオマーの混合物を含む組成物、ならびに各ジアステレオマーを含み他のジアステレオマーを実質的に含まない組成物も含まれる。したがって、例えば、市販のブプロピオンは、2つの別々の鏡像異性体を含むラセミ混合物である。本開示を通して、「ブプロピオン」の詳説には、ブプロピオンのラセミ混合物を含む組成物、(+)鏡像異性体を含み(-)鏡像異性体を実質的に含まない組成物、および(-)鏡像異性体を含み(+)鏡像異性体を実質的に含まない組成物が含まれる。
【0032】
「薬剤組成物」という用語は、本明細書に開示する化合物と、希釈剤または担体などの他の化学成分との混合物を指す。薬剤組成物は、有機体への化合物の投与を容易にする。それらには限定されないが、当技術分野には、経口、注入、エアロゾル、非経口、および局所投与を含めて、化合物を投与する多数の技術が存在する。薬剤組成物は、化合物を、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などの無機または有機酸と反応させることによって得ることもできる。
【0033】
「担体」という用語は、細胞または組織への化合物の取込みを容易にする化学的化合物を定義する。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、有機体の細胞または組織への多くの有機化合物の取込みを容易にするものとして一般に利用されている担体である。
【0034】
「希釈剤」という用語は、対象となる化合物を溶解し、化合物の生物学的に活性な形態を安定にする、水で希釈した化学的化合物を定義する。緩衝液に溶解した塩は、当技術分野では希釈剤として利用される。一般に使用される1つの緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水である。というのは、それがヒト血液の塩状態を模倣しているからである。緩衝塩は、溶液のpHを低濃度に制御することができ、緩衝した希釈剤は、化合物の生物活性を変質することは殆どない。
【0035】
「生理学的に許容される」という用語は、化合物の生物活性および特徴を無効にしない担体または希釈剤を定義する。
【0036】
本明細書の一態様では、少なくとも1種の抗精神病剤を含む第1の成分と、少なくとも1種の抗痙攣剤を含む第2の成分とを含む、精神病性障害の治療のための組成物が提供される。様々な実施形態では、第1の成分と第2の成分との組合せは、精神病性障害および/または精神病性障害に関連する1種もしくは複数の症状の治療に高い有効性を有することができる。幾つかの実施形態では、精神病性障害および/または精神病性障害に関連する1種もしくは複数の症状の治療に関して、第1の成分は、第2の成分との相乗効果を発揮することができる。
【0037】
幾つかの態様では、本明細書に開示する組成物は、精神病性障害の治療のための自己投与型医薬品における患者の服薬遵守(compliance)を向上させることができる。さらなる実施形態では、本明細書に開示する組成物は、気分安定効果を有することができる。
【0038】
幾つかの実施形態では、抗精神病剤は、「定型抗精神病剤」である。定型抗精神病剤の例には、それに限定されるものではないが、クロルプロマジン、フルフェナジン、ハロペリドール、モリンドン、チオチキセン、チオリダジン、トリフロペラジン、ペルフェナジン、およびロキサピンが含まれる。
【0039】
他の実施形態では、抗精神病剤は、「非定型抗精神病剤」である。非定型抗精神病剤は、従来の抗精神病剤と比較して、パーキンソン症状、遅発性ジスキネジー、およびアカシジアなどの神経学的副作用に関連する可能性が低い新世代の抗精神病剤である。したがって、非定型抗精神病剤は、本明細書に開示する実施形態において使用するのに好ましい。最近の市販の非定型抗精神病剤には、それに限定されるものではないが、オランザピン(例えば、Zyprexa(登録商標))、リスペリドン(例えば、Risperdal(登録商標))、クエチアピン(例えば、Seroquel(登録商標))、ジプラシドン(例えば、Geodon(登録商標))、アリピプラゾール(例えば、Abilify(登録商標))、およびセルチンドール(例えば、Serdolect(登録商標))であり、オランザピンおよびリスペリドンが特に好ましい。Clozapine(例えば、Clozaril(登録商標))も、非定型抗精神病剤としてみなされるが、無顆粒球症の高発生率に関連しているために、第一選択治療にはなっていない。
【0040】
好ましい実施形態では、抗精神病剤はジプラシドンである。ジプラシドンは、以下の化学構造を有する。
【0041】
【化1】

【0042】
ジプラシドンは、ドーパミン、セロトニン、およびαアドレナリン受容体に対して親和性が高く、ヒスタミン受容体に対して中程度の親和性を有する。ジプラシドンはまた、セロトニンおよびノルエピネフリンのシナプス再取込みをいくらか阻害する。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、ジプラシドンの抗精神病活性は、主に、ドーパミン受容体(特にドーパミンD2受容体)の拮抗作用、ならびにそのセロトニン拮抗薬としての活性によって媒介されると考えられている。
【0043】
他の好ましい実施形態では、抗精神病剤はオランザピンである。
【0044】
オランザピンは、以下の化学構造を有する。
【0045】
【化2】

【0046】
オランザピンは、チエノベンゾジアゼピンとして分類されている。オランザピンは、ドーパミンおよびセロトニン受容体に対して親和性が高く、ヒスタミン受容体、ムスカリン性コリン受容体、およびαアドレナリン受容体に対して親和性が低い。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、オランザピンの抗精神病活性は、主にドーパミン受容体(特にドーパミンD2受容体)の拮抗作用、およびそのセロトニン拮抗薬としての活性によって媒介されると考えられている。
【0047】
幾つかの実施形態では、第1の成分は、それに限定されるものではないが、リチウム、バルプロ酸、バルプロエート、ジバルプロエックス、カルバマゼピン、オキシカルバマゼピン、ラモトリジン、チアガビン、およびベンゾジアゼピンを含めた抗双極性薬を含むこともできる。
【0048】
幾つかの実施形態では、ナトリウムチャンネル遮断活性を有する抗痙攣剤は、構造式(I)の化合物またはそのアルカリ金属塩である。
【0049】
【化3】

【0050】
式中、R1は水素またはハロゲン原子であり、R2およびR3は同じまたは異なっており、それぞれ水素または1〜3個の炭素原子を有するアルキルであり、基-CH2SO2NR2R3が、XおよびYいずれかの炭素原子と結合している場合、XおよびYの一方は炭素原子であり、他方は窒素原子である。
【0051】
幾つかの実施形態では、構造式(I)の化合物はゾニサミドである。ゾニサミドは、部分発作起始を有する成人に対する補助療法として用いられている市販の抗痙攣剤である。抗てんかん作用の機構は、1)ナトリウムチャンネルの遮断、および/または2)内部T-型カルシウム電流の低減に関係すると考えられている。その抗てんかん作用に加えて、本発明者らは、ゾニサミドと抗精神病医薬品との組合せが、精神病性障害およびそれらに関連する症状の治療に非常に有効であることを発見した。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、ゾニサミドの精神治療効果は、セロトニン作動性およびドーパミン作動性の神経伝達を容易にするゾニサミドの能力に関係し得る。例えば、ゾニサミドが、セロトニンおよびドーパミンの合成速度を高める証拠がある(共に、それら全体が参照によって本明細書に組み込まれるHashiguti等、J Neural Transm Gen Sect. 1993年;93:213〜223頁、Okada等、Epilepsy Res. 1992年;13:113〜119頁参照)。ゾニサミドが、ドーパミンD2受容体を刺激することを示唆する証拠もある(その全体が参照によって本明細書に組み込まれるOkada等、Epilepsy Res. 1995年;22:193〜205頁参照)。さらにゾニサミドは、塩化物フラックスに変化をもたらすことなくGABA/ベンゾジアゼピン受容体複合体に結合し、炭酸脱水酵素に対して弱い阻害効果を有する。ゾニサミドの薬物動態に関して、その腎排泄、および肝ミクロゾーム酵素の阻害または誘導の最小限の潜在能は、抗精神病剤との併用に対して好ましい質となっている。ゾニサミドは認容性であり、プラシーボ治療と比較して頻繁に生ずる疲労が唯一の副作用である。
【0052】
幾つかの実施形態では、ナトリウムチャンネル遮断活性を有する抗痙攣剤は、構造式(II)の化合物である。
【0053】
【化4】

【0054】
式中、XはCH2または酸素であり、R4は水素またはC1〜6アルキルであり、R5、R6、R7、およびR8は、独立に、水素、C1〜4アルキルまたはC1〜4アルコキシであり、XがCH2である場合、R7およびR8は、ベンゼン環を形成するために結合したアルケン基であってよく、Xが酸素である場合、R5とR6および/またはR7とR8は、共に次式(III)のメチレンジオキシ基であってよく、
【0055】
【化5】

【0056】
式中、R9およびR10は、同じまたは異なっており、それぞれ独立に、水素、C1〜4アルキル、またはC6〜10アラルキルである。R9およびR10は結合して、シクロペンチルまたはシクロヘキシル環を形成してもよい。
【0057】
幾つかの実施形態では、構造式IIの抗痙攣剤はトピラメートである。その抗てんかん作用/ナトリウムチャンネル遮断活性に加えて、本発明者らは、トピラメートと抗精神病医薬品との組合せが、精神病性障害およびそれらに関連する症状の治療に非常に有効であることを発見した。
【0058】
幾つかの実施形態では、抗痙攣剤は、本明細書に記載の式(I)の化合物、ゾニサミド、本明細書に記載の式(II)の化合物、トピラメート、ネンブタール、ロラゼパム、クロナゼパム、クロラゼペート、チアガビン、ガバペンチン、フォスフェニトイン、フェニトイン、カルバマゼピン、バルプロエート、フェルバメート、レベチラセタム、オクスカルバゼピン、ラモトリジン、メトスクシミド、エトスクシミド、および他の減量促進抗痙攣剤(カイニン酸/AMPA(D,L-α-アミノ-3ヒドロキシ-5-メチル-イソオキサゾールプロピオン酸)サブタイプグルタミン酸受容体を遮断する薬剤を含む)からなる群から選択することができる。
【0059】
さらなる実施形態では、ゾニサミドおよびトピラメートに加えて、他のメタン-スルホンアミド誘導体、例えばその全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4,172,896号に記載のもの、または他のスルファミン酸塩(スルファミン酸置換単糖類を含む)、例えばその全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4,513,006号に記載のものが、減量促進抗痙攣剤として使用される。
【0060】
本発明者らは、抗精神病剤と抗痙攣剤との組合せが、抗精神病剤の有効性を相乗的に高めることができることを発見した。これらの組合せを用いて治療される患者は、抗精神病剤だけを用いて治療された患者では観察されない程度の、精神病的症状における顕著な改善を示すことができる。本明細書に記載の薬剤組成物の使用によって得られたより良好な結果は、患者に治療の続行を促し、したがって患者の服薬遵守が向上する。
【0061】
幾つかの実施形態では、第2の成分は、第1の成分の抗精神病剤(複数可)の投与に関連する1つまたは複数の副作用を緩和することによって、精神病性障害の治療における本明細書に開示する組成物の有効性を高める。例えば、多数の抗精神病剤の投与は、副作用として著しい体重増加を招く。多くの非定型抗精神病剤に関連する体重増加のリスクは、特に長期治療を必要とする患者にとって重要な問題である(Allison等、Am. J. Psych. 156:1686〜1696頁(1999年))。体重増加は、オランザピンで治療される患者において最も問題のある副作用として報告されており、この問題は、用量依存的ではないように思われる(Wirshing等、J. Clin. Psych. 60:358〜363頁(1999年))。ある研究では、オランザピン治療を受けた患者の1年間の平均体重増加は12kgであり、様々な期間の4つの研究分析によって、体重増加は、ハロペリドールを投与された患者では12%、プラシーボ群では3%であったのに対して、オランザピン治療を受けた患者40%のうち7%以上であったことが示された。(Weiden等、J. Clin. Psych. 57:S53-S60頁(1996年)、Beasley等、J. Clin. Psych. 60:767〜770頁(1997年))。オランザピンによって誘発される体重増加は、治療の最初の1カ月で顕著となり、約9カ月でピークとなる。オランザピン治療を受けた患者におけるトリグリセリドレベルの増加も報告されている(Osser等、J. Clin. Psych. 60:767〜770頁(1998年)、Sheitman等、Am. J. Psych. 156:1471〜1472頁(1999年))。体重増加は、リスペリドンおよびクエチアピンを用いた治療にも関連している。さらなる問題は、非定型抗精神病剤を用いて治療された患者において、II型糖尿病などの体重増加に関連する症状の罹患率に増加が認められていることである(Ebenbichler等、J. Clin. Psych. 64:1436〜1439頁(2003年)、Hedenmalm等、Drug Saf. 25:1107〜1116頁(2002年)、Sernyak等、Am. J. Psych. 159:561〜566頁(2002年))。
【0062】
したがって、抗精神病剤を用いた治療に関連する体重増加および他の望ましくない副作用は、著しく大きく、かなりの割合の患者に起こり得、治療を中断した後でさえ元に戻すことが困難である。このような副作用は、精神治療の服薬不履行の主な理由となり得る(例えば、Cash等、Percep. Motor Skills 90:453〜456頁(2000年)、Deshmukh等、Cleveland Clinic J. Med. 70:614〜618頁(2003年)参照)。
【0063】
幾つかの実施形態では、ナトリウムチャンネル遮断活性を有する抗痙攣剤は、減量促進効果を有する。幾つかの実施形態では、ナトリウムチャンネル遮断活性を有する抗痙攣剤は、哺乳動物の減量の促進に効果的である。哺乳動物は、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、霊長類、例えば小型のサル(monkey)、チンパンジー、および大型のサル(ape)、ならびにヒトからなる群から選択することができる。幾つかの実施形態では、ナトリウムチャンネル遮断活性を有する減量促進抗痙攣剤は、本明細書に記載の薬剤組成物の抗精神病剤の投与に関連する体重増加を緩和し、例えば、本明細書に開示する組成物の自己投与に関して、患者の服薬遵守を向上させる。さらなる実施形態では、ナトリウムチャンネル遮断活性を有する減量促進抗痙攣剤は、精神病性障害に罹患している体重超過または肥満の個体(例えば、25、30、35、または40を超える肥満度指数(BMI)を有する個体)をより効果的に治療することを可能にする。
【0064】
幾つかの実施形態では、ナトリウムチャンネル遮断活性を有する減量促進抗痙攣剤はゾニサミドである。上記のゾニサミドの抗痙攣および精神治療効果に加えて、ゾニサミドは、一次性肥満の患者において著しい減量を生じることも示されている(市販の減量用医薬品に相当する)(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Gadde等、JAMA 289:1820〜1825頁(2003年)参照)。幾つかの他の実施形態では、減量促進抗痙攣剤はトピラメートであり、これも抗肥満剤として有効であることが示されている。有利には、ゾニサミドまたはトピラメートを抗精神病医薬品と組み合わせて投与することによって、抗精神病医薬品に関連する望ましくない体重増加および/または別の副作用を予防または低減し、本明細書に開示する組成物の投与が関与する治療への患者の服薬遵守が向上する。好ましくは、オランザピン、ゾニサミド、バルプロエート、およびブプロピオンは、患者に同時には投与されない。好ましくは、リスペリドン、ゾニサミド、およびパロキセチンは、患者に同時には投与されない。
【0065】
体重減少などの様々な副作用を生じる上に、最近市販されている抗精神病剤は、気分障害および抑うつなどの多くの心理的症状の治療において有効性に限界がある。したがって、幾つかの実施形態では、第1および第2の成分の一方または両方は、抗うつ剤を含む。例えば、一実施形態では、第2の成分は、ナトリウムチャンネル遮断活性を有する抗痙攣剤と抗うつ剤との組合せを含む。有利には、抗うつ剤と、ナトリウムチャンネル遮断活性を有する抗痙攣剤および抗精神病剤との組合せは、精神病性障害およびそれらの症状の治療における本明細書に開示する組成物の有効性を高める。幾つかの実施形態では、抗うつ剤と、ナトリウムチャンネル遮断活性を有する抗痙攣剤および抗精神病剤との組合せは、精神病性障害に罹患している患者における気分障害および/または抑うつを緩和する。さらなる実施形態では、気分障害および/または抑うつは、精神病性障害の病因の一部であり、他の実施形態では、それらは治療を要するさらなる症状を含む。さらに別の態様では、気分障害および/または抑うつは、1種または複数の抗精神病剤の投与による副作用となっている。
【0066】
幾つかの実施形態では、抗うつ剤と、ナトリウムチャンネル遮断活性を有する抗痙攣剤および抗精神病剤との組合せは、精神病性障害に罹患している患者に対して気分安定効果を有する。幾つかの態様では、気分安定効果は、精神病性障害の症状を直接治療し、幾つかの態様では、気分安定効果は、患者の服薬遵守を向上させることによって治療の有効性を間接的に高める。
【0067】
いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、本発明者らは、ナトリウムチャンネル遮断活性を有する抗痙攣剤を、抗うつ剤または抗精神病剤治療に加えることは、生理学的および生化学的な幾つかの利点を有すると考えている。例えば、ゾニサミドまたはトピラメートなどの抗痙攣剤を、抗うつ剤治療に加えることは、非定型抗精神病剤に関連する幾つかのセロトニン作動活性を高める効果を有する。さらに、抗痙攣剤の添加は、5-HT2C拮抗作用に関連する体重増加を軽減する。さらに、ナトリウムチャンネル遮断活性を有する抗痙攣剤と抗精神病剤との組合せは、イオンチャンネル調節/細胞内事象を介して、第2/第3レベルの細胞内メッセンジャー系(例えばcAMP、cGMP等)で、相乗効果を引き出し、それによって栄養素の遺伝子媒介性タンパク質合成/生成の発現、細胞へのイオン流入および流出等に影響を及ぼす。
【0068】
幾つかの実施形態では、本組成物に有用な抗うつ剤には、それに限定されるものではないが、選択的セロトニン再取込み阻害剤(例えば、フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、パロキセチン、シタロプラム、およびエスシタロプラム)、三環系抗うつ剤(例えば、イミプラミン、デシプラミン、トリミプラミン、ノルトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、アミトリプチリン、マプロチリン、プロトリプチリン、ドチアペン(dothiapen)、およびマプロチリン)、MAO阻害剤(例えば、フェネルジン(例えば、Nardil(登録商標))、トラニルシプロミン(例えば、Parnate(登録商標))、イソカルボキサジド(例えば、Marplan(登録商標))、およびモクロベミド(例えば、Aurorix(登録商標)))、ノルエピネフリン再取込み阻害剤(例えば、アトモキセチン、ブプロピオン、チオニソキセチン、およびレボキセチン)、ドーパミン/ノルエピネフリン再取込み混合阻害剤(例えば、ブプロピオン)、ネファゾドン、マレイン酸セチプチリン、ビカリン、トラゾドン、シアノプラミン、およびセロトニン/ノルエピネフリン取込み混合阻害剤、デュロキセチン(例えば、Cymbalta(登録商標))、ベンラファキシン(例えば、Effexor(登録商標))、ならびに/あるいはミルタザピンが含まれる。本明細書に開示する組成物に有用なさらなる抗うつ剤は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第3,819,706号および同第3,885,046号に開示されている。
【0069】
好ましい一態様では、ナトリウムチャンネル遮断活性を有する少なくとも1種の抗痙攣剤と共に第2の成分を含む抗うつ剤は、ブプロピオンである。ブプロピオンは、その抗うつ効果を、ノルエピネフリンおよびドーパミン再取込み阻害の二重機構を介して発揮する。ブプロピオンは、セロトニンまたは直接的には後シナプス受容体に影響を与えないという点で、最近市販されている他の抗うつ剤と比較して独特の薬理学的特性を有している。ブプロピオンの独特の薬理学的特徴によって、他の一般処方の抗うつ剤の使用によって広く認められている性的機能不全、体重増加、および鎮静状態などの副作用を最小限に抑えながら、抑うつおよび他の気分障害の治療にブプロピオンを使用することが可能となる。さらに本発明者らは、肥満の治療において、ブプロピオンがゾニサミドおよびトピラメート両方との相乗効果を有することを示した。したがって、ブプロピオンと、本明細書に記載の組成物のナトリウムチャンネル遮断活性を有する抗痙攣剤および抗精神病剤との組合せは、体重超過または肥満の患者(例えば、25を超えるBMIを有する)の精神病性障害の治療に特に有効である。ブプロピオンの使用も好ましいが、米国特許第3,819,706号および同第3,885,046号に開示されている化合物を使用することができ、取込み阻害または他の機構を介してノルエピネフリンおよび/またはドーパミンの活性を高める他の化合物(例えば、アトモキセチン(登録商標)またはレボキセチン(登録商標))も同様に使用できる。
【0070】
幾つかの実施形態では、取込み阻害または他の機構を介してノルエピネフリンおよび/またはドーパミンの活性を高める化合物は、ブプロピオンの代謝物である。本明細書に開示する組成物および方法が含むのに適したブプロピオンの代謝物には、ブプロピオンのエリスロ-およびトレオ-アミノアルコール、ブプロピオンのエリスロ-アミノジオール、およびブプロピオンのモルホリノール代謝物が含まれる。幾つかの実施形態では、ブプロピオンの代謝物は、(±)-(2R*,3R*)-2-(3-クロロフェニル)-3,5,5-トリメチル-2-モルホリノールである。幾つかの実施形態では、代謝物は、(-)-(2R*,3R*)-2-(3-クロロフェニル)-3,5,5-トリメチル-2-モルホリノールであり、他の実施形態では、代謝物は、(+)-(2S,3S)-2-(3-クロロフェニル)-3,5,5-トリメチル-2-モルホリノールである。好ましくは、ブプロピオンの代謝物は、ラダファキシンの一般名で知られている(+)-(2S,3S)-2-(3-クロロフェニル)-3,5,5-トリメチル-2-モルホリノールである。
【0071】
幾つかの実施形態では、ブプロピオンの代謝物は、(+)-(2S、3S)-2-(3-クロロフェニル)-3,5,5-トリメチル-2-モルホリノール塩酸塩である。この代謝物は、任意の図を含めてその全てが参照によって本明細書に組み込まれる、Morgan等の2001年8月14日発行の米国特許第6,274,579号に記載されている。
【0072】
別の態様において本明細書では、本明細書に開示する組成物が、生理学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤、あるいはそれらの組合せをさらに含む薬剤組成物が提供される。幾つかの実施形態では、第1の成分および/または第2の成分は、共有結合などの化学的結合によって一緒になって結合する1種または複数の化合物を含み、その結果、第1および第2の成分を含む複数の化合物は、同じ分子の別々の部分を形成する。化学結合は、好ましくは、体内に入った後にその結合が酵素作用、酸加水分解、塩基加水分解等によって切断され、その後2つの別々の化合物が形成されるように選択される。
【0073】
本明細書に記載の薬剤組成物は、それ自体ヒトの患者に投与することができ、あるいはそれらを併用療法として他の活性成分と混合し、または適切な担体もしくは賦形剤(複数可)と混合した薬剤組成物として投与することができる。本出願の配合および化合物投与の技術については、「Remington's Pharmaceutical Sciences」Mack Publishing Co., Easton, PA, 18巻, 1990年に見出すことができる。幾つかの実施形態では、薬剤組成物は、オランザピン、ゾニサミド、バルプロエート、およびブプロピオンの組合せを含まない。他の実施形態では、薬剤組成物は、リスペリドン、ゾニサミド、およびパロキセチンの組合せを含まない。
【0074】
適切な投与経路は、例えば、経口、直腸、経粘膜、または経腸投与、筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、ならびに髄腔内、直接脳室内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注射を含めた非経口投与が含まれる。
【0075】
あるいは、全身性方式ではなく局所方式で、例えば腎臓または心臓領域に、しばしばデポーまたは叙法配合物として化合物を直接注入することによって化合物を投与することができる。さらに、標的とする薬剤送達系として、例えば組織特異的な抗体で被覆したリポソームとして薬物を投与することができる。リポソームは、臓器によって選択的に標的とされ、取り込まれることになる。
【0076】
本明細書に開示する薬剤組成物は、それ自体知られている方法で、例えば、通常の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、湿式粉砕、乳化、カプセル化、封入、または打錠プロセスによって製造することができる。
【0077】
したがって、本明細書に開示する実施形態に従って使用する薬剤組成物は、薬剤として使用できる調製物に活性化合物を容易に加工するための賦形剤および助剤を含む、1種または複数の生理学的に許容される担体を使用する通常の方法で配合することができる。適切な配合は、投与経路の選択に依存する。周知の技術、担体、および賦形剤のいずれも適するものとして、当技術分野において、例えば先のRemington's Pharmaceutical Sciencesで理解されているものとして使用することができる。
【0078】
注入に関して、本明細書に開示する組成物の薬剤は、水溶液または脂肪乳剤として、好ましくはハンクス溶液、リンガー溶液、または緩衝生理食塩水などの生理学的に相溶性のある緩衝液として配合することができる。経粘膜投与については、浸透の防御に適切な浸透剤が配合物に使用される。このような浸透剤は、当技術分野で一般に知られている。
【0079】
経口投与に関して、化合物は、活性化合物と当技術分野で周知の薬剤として許容される担体とを組み合わせることによって、容易に配合することができる。このような担体によって、本明細書に開示する化合物は、治療を受ける患者が経口摂取できるように、錠剤、ピル剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤等として配合することができる。経口使用のための薬剤調製物は、1種または複数の固体賦形剤を、本明細書に記載の薬剤としての組合せと混合して得ることができ、場合によっては得られた混合物を粉砕し、所望ならば適切な助剤を添加した後に顆粒の混合物に加工して、錠剤または糖衣錠のコアを得ることができる。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、ショ糖、マンニトール、またはソルビトールなどの糖類、セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などを含めた充填剤である。所望ならば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤を添加することができる。
【0080】
糖衣錠のコアには、適切なコーティングが施される。この目的では、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合物を場合によっては含有してもよい糖類の濃縮溶液を使用することができる。活性化合物の用量の識別のために、またはその異なる組合せを特徴付けるために、染料または顔料を、錠剤または糖衣錠のコーティングに添加することができる。
【0081】
経口使用できる薬剤調製物には、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチン製の封入式軟性カプセル、およびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤が含まれる。プッシュフィットカプセルは、有効成分を、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、場合によっては安定剤と混合して含有することができる。軟性カプセルでは、活性化合物を、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体に溶解または懸濁させることができる。さらに、安定剤を添加することができる。さらに、本明細書に開示する実施形態の配合物は、腸溶ポリマーで被覆することができる。経口投与用の全ての配合物は、このような投与に適した投与量とされるべきである。
【0082】
口腔投与に関して、組成物は、通常の方法で配合される錠剤またはロゼンジの形態をとることができる。
【0083】
吸入投与に関して、本明細書に開示する実施形態に使用される化合物は、加圧式パックまたはネブライザーから提供されるエアロゾルスプレーの形態で、適切な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフリオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切なガスを使用して、好都合に送達することができる。加圧式エアロゾルの場合、単位用量は、定量を送達するためのバルブを準備することによって測定することができる。吸入器(inhaler)または吸入器(insufflator)内で使用するために、化合物の粉末ミックスおよびラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末ベースを入れた、例えばゼラチン製のカプセルおよびカートリッジを配合することができる。
【0084】
化合物は、注入による、例えばボーラス注入または持続注入による非経口投与用に配合することができる。注入用の配合物は、単位剤形として、例えば追加の保存剤と共にアンプルまたは多回用量容器に入れて提供することができる。組成物は、油性または水性賦形剤中の懸濁液、溶液、または乳液などの形をとることができ、懸濁剤、安定剤、および/または分散剤などの配合剤を含有することができる。
【0085】
非経口投与用の薬剤配合物には、水溶性型活性化合物の水溶液が含まれる。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な注入用の油性懸濁剤として調製することができる。適切な親油性溶媒または賦形剤には、ごま油などの脂肪油、または合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルもしくはトリグリセリド、またはリポソームが含まれる。注入用の水性懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁剤の粘度を増大する物質を含有することができる。場合によっては、懸濁剤は、適切な安定剤または化合物の可溶性を増大する薬剤を含有することができ、高濃度溶液の調製物を可能にする。
【0086】
あるいは有効成分は、使用前に、適切な賦形剤、例えば発熱物質を含まない滅菌水と共に構成するための粉末形態であってもよい。
【0087】
化合物は、例えば、カカオバターまたは他のグリセリドなどの通常の座剤の基材を含有する座剤または停留浣腸などの直腸用組成物として配合することもできる。
【0088】
先に記載した配合物に加えて、デポー調製物として化合物を配合することもできる。このような長時間作用性の配合物は、移植によって(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉内注入によって投与することができる。したがって配合物は、例えば適切なポリマー性材料または疎水性材料(例えば、許容できる油中乳液として)またはイオン交換樹脂と共に、あるいは難溶性誘導体、例えば難溶性の塩として配合することができる。
【0089】
本明細書に開示する疎水性化合物のための薬剤担体は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー、および水相を含む共溶媒系であってもよい。使用される一般的な共溶媒系は、VPD共溶媒系であり、これは、ベンジルアルコールが3%w/v、非極性界面活性剤Polysorbate84(商標)が8%w/v、およびポリエチレングリコール300が65%w/vの体積構成の無水エタノール中溶液である。必然的に、共溶媒系の割合は、その可溶性および毒性を損なわずに大幅に変更することができる。さらに、共溶媒成分のアイデンティティーを変えることができ、例えば、POLYSORBATE80(商標)の代わりに他の低毒性の非極性界面活性剤を使用することができ、ポリエチレングリコールの画分サイズを変更することができ、ポリエチレングリコールを他の生体適合性ポリマーで、例えばポリビニルピロリドンで置き換えることができ、デキストロースを、他の糖類または多糖類で置き換えることができる。
【0090】
あるいは、疎水性の薬剤化合物用の他の送達系を使用することができる。リポソームおよび乳液は、疎水性薬物の送達用賦形剤または担体の周知の例である。ジメチルスルホキシドなどの特定の有機溶媒を使用することもできるが、通常その代償として、毒性が高くなる。さらに、化合物は、治療薬を含有する固体の疎水性ポリマー製半透性マトリックスなどの持続放出系を使用して送達することができる。様々な持続放出用の材料が確立されており、当技術分野で周知である。持続放出カプセルは、その化学的性質に依存して、数週間、最大で100日かけて、化合物を放出することができる。治療用薬剤の化学的性質および生物学的安定性に依存して、タンパク質安定化のための別の戦略を用いることができる。
【0091】
本明細書に開示する薬剤組成物に使用される化合物の多くは、薬剤として適合する対イオンとの塩として提供することができる。薬剤として適合する塩は、それに限定されるものではないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等を含めた多数の酸を用いて形成することができる。水性溶媒または他のプロトン性溶媒にさらに溶けやすい傾向のある塩は、対応する酸または塩基の遊離形態である。
【0092】
本明細書に開示する実施形態に使用するのに適した薬剤組成物には、所期の目的を達するのに有効な量で有効成分を含有する組成物が含まれる。より詳細には、治療有効量とは、疾患症状を予防、緩和、または改善し、あるいは治療を受ける対象を延命するのに有効な化合物の量を意味する。治療有効量の決定は、特に本明細書に記載した詳細な開示に照らせば、当業者には十分可能である。
【0093】
本明細書に開示する薬剤組成物の正確な配合、投与経路、および用量は、患者の症状を考慮して各医師によって選択され得る。(例えば、Fingl等、1975年「The Pharmacological Basis of Therapeutics」1章、1頁参照)。一般に、患者に投与される組成物の用量範囲は、患者の体重1kgにつき約0.5〜1000mgとすることができる。用量は、患者の必要に応じて、1日または数日間に与えられる1回分または一連の複数回分とすることができる。本開示で述べる特定の化合物の殆ど全てに関して、少なくともある症状の治療に対するヒトの用量は確立されている。したがって、殆どの場合、本明細書に開示する実施形態は、確立されたヒトの用量と同じ用量か、その約0.1%〜500%、より好ましくは約25%〜250%となる用量を使用する。新しく見出された薬剤化合物の場合のようにヒトの用量が確立されていない場合、ヒトの適切な用量は、動物の毒性試験および有効性試験によって定量化されるED50またはID50値、あるいはin vitroまたはin vivo試験から得られる他の適切な値から推量することができる。
【0094】
正確な容量は、薬物別(drug-by-drug)ベースによって決定されるが、殆どの場合、その用量に関しては、ある程度一般化することができる。成人のヒトの患者に対する1日あたりの用量レジメンは、例えば、経口用量では、本明細書に開示する薬剤組成物または遊離塩基として算出される薬剤として許容されるその塩の0.1mg〜500mg、好ましくは1mg〜250mg、例えば5〜200mgとし、あるいは静脈内、皮下、または筋肉内用量では、本明細書に開示する薬剤組成物または遊離塩基として算出される薬剤として許容されるその塩の0.01mg〜100mg、好ましくは0.1mg〜60mg、例えば1〜40mgとすることができ、該組成物は、1日あたり1〜4回投与される。あるいは、本明細書に開示する組成物は、持続静脈注射によって、好ましくは1日あたり最大400mgの用量で投与することができる。したがって、経口投与による1日あたりの総用量は、1〜2000mgの範囲となり、非経口投与による1日あたりの総用量は、0.1〜400mgの範囲となるはずである。適切には、化合物は、持続的療法のある期間、例えば1週間もしくは数週間、または数カ月間もしくは数年間投与されることになろう。
【0095】
例えば、幾つかの実施形態では、経口用量についてのゾニサミドの用量範囲は、1日あたり約25〜約800mgの範囲である。好ましくは、その用量は、1日あたり約100mg〜600mg、より好ましくは1日あたり約200mg〜400mgである。さらに別の実施形態では、その用量は、1日あたり25mg、1日あたり50mg、または1日あたり100mgである。トピラメートの1日の用量範囲は、約25mg〜1600mg、好ましくは約50mg〜600mg、より好ましくは約100mg〜400mgとすることができる。ブプロピオンの1日の用量範囲は、約25mg〜600mg、好ましくは約50mg、または約150mg〜450mgとすることができる。上記の用量は、一般に、1日につき1回または多回用量に分割して(例えば均等に)投与される。ゾニサミドまたはトピラメートをブプロピオンと併用する場合、ゾニサミドまたはトピラメートとブプロピオンとの比は、例えば約2:1〜1:2の範囲とすることができる。上記の範囲は、非限定的な例として与えられるものであり、幾つかの実施形態では、記載の範囲外の用量を使用する必要があり得る。
【0096】
他の例では、成人のヒトの患者に対する抗精神病剤リスペリドンの1日当たりの用量レジメンは、例えば経口用量では、本明細書に開示する薬剤組成物または遊離塩基として算出される薬剤として許容されるその塩の0.1mg〜10mg、好ましくは1mg〜5mgとすることができ、該組成物は、1日あたり1〜4回投与される(例えば、等分割された用量で)。適切には、リスペリドンは、持続的療法のある期間、例えば数週間、または数カ月間もしくは数年間投与される。さらに別の実施例では、成人のヒトの患者に対する抗精神病剤オランザピンの1日当たりの用量レジメンは、例えば経口用量では、本明細書に開示する薬剤組成物または遊離塩基として算出される薬剤として許容されるその塩の1mg〜100mg、好ましくは2.5mg〜50mgとすることができ、該組成物は、1日あたり1〜4回投与される(例えば、等分割された用量で)。オランザピンは、2.5mg、5mg、10mg、15mg、または20mg以上の用量で投与することができる。適切には、オランザピンは、持続的療法のある期間、例えば数週間、または数カ月間もしくは数年間投与される。上記の範囲は、非限定的な例として与えられるものであり、幾つかの実施形態では、記載の範囲外の用量を使用する必要があり得る。
【0097】
別の一実施例として、オランザピンが、ゾニサミドと共に投与される場合、好ましい剤形は、オランザピン5mg/ゾニサミド60mg、オランザピン10mg/ゾニサミド120mgであり、オランザピン/ゾニサミドの比は、一般に1:12である。リスペリドンおよびゾニサミドの混合物については、好ましい剤形は、リスペリドン0.5mg/ゾニサミド30mg、リスペリドン1mg/ゾニサミド60mg、リスペリドン2mg/ゾニサミド120mgであり、リスペリドン/ゾニサミドの比は、1:60である。さらに別の例として、経口用量についてジプラシドンの1日当たりの用量範囲は、1日あたり約20mg〜約100mgの範囲である。幾つかの実施形態では、ジプラシドンがゾニサミドと共に投与される場合、好ましい剤形は、ジプラシドン20mg/ゾニサミド60mg、ジプラシドン40mg/ゾニサミド120mgである。但し、上記の範囲は、非限定的な例として与えられるものであり、幾つかの実施形態では、記載の範囲外の用量を使用する必要があり得る。
【0098】
本明細書に開示する組成物の用量および投与間隔は、調節作用または最小有効濃度(MEC)を維持するのに十分な活性部分の血漿レベルを実現するために、それぞれ調節することができる。MECは、各化合物に対して変わるものであるが、in vitroデータから推測することができる。MECを達成するために必要な用量は、投与の個々の性質および経路に依存するであろう。しかし、血漿濃度を決定するために、HPLCアッセイまたはバイオアッセイを使用することができる。
【0099】
投与間隔は、MEC値を使用して決定することもできる。組成物は、その期間の10〜90%、好ましくは30〜90%、最も好ましくは50〜90%の間、血漿レベルをMEC超に維持するレジメンを使用して投与されるべきである。
【0100】
局所投与または選択的取込みの場合、薬物の有効な局所濃度は、血漿濃度に関連付けることができない。
【0101】
投与される組成物の量は、当然のことながら、治療を受ける対象、対象の体重、病気の重篤度、投与方法、および処方する医師の判断に依存して決まる。
【0102】
組成物は、所望ならば、有効成分を含有する1種または複数の単位剤形を含むことができるパックまたはディスペンサー装置で提供することができる。パックは、例えば、金属箔またはブリスターパックなどのプラスチック箔を含む。パックまたはディスペンサー装置には、投与指示が伴い得る。また、パックまたはディスペンサー装置には、医薬品の製造、使用、または販売を制御する行政機関による、処方形態の容器に付随する表示が伴い、その表示は、ヒトまたは動物への投与のための薬物型についての機関による認可を示すものである。このような表示は、例えば、処方薬について連邦食品医薬品局によって認可された標識、または認可製品の添付書であってもよい。また、相溶性のある薬剤担体に本明細書に開示する配合済み化合物を含む組成物を、記載の症状の治療のために調製し、適切な容器に入れ、標識を付けることができる。
【0103】
本明細書において、別の態様では、精神病性障害に罹患している患者を同定し、上記の第1の成分および第2の成分を該患者に投与することを含む、精神病性障害の治療方法が提供される。上記のように、第1および第2の成分の組合せは、精神病性障害および/またはそれらに関連する症状の治療に高い有効性を有する。幾つかの実施形態では、第1の成分は、精神病性障害および/または精神病性障害に関係する症状の治療に関して、第2の成分との相乗効果を発揮する。
【0104】
本明細書において、別の態様では、少なくとも1種の抗精神病剤を用いた継続的治療を受けている患者を同定し、既存の治療過程に加えて、上記の第2の成分を該患者に投与することを含む、1種または複数の抗精神病剤を用いた既存の治療過程の有効性を高める方法が提供される。
【0105】
本明細書において、別の態様では、25を超えるBMIを有する患者を同定し、上記の第1の成分および第2の成分を該患者に投与することを含む、体重超過または肥満の患者の精神病性障害を治療する方法が提供される。他の実施形態では、個体は、30を超えるBMIを有する。さらに別の実施形態では、個体は、40を超えるBMIを有する。他の態様では、該方法には、肥満度指数に関わらず精神病性障害に罹患している個体の治療が関与する。
【0106】
本明細書において、別の態様では、1種または複数の症状に関連する精神病性障害に罹患しており、治療を必要とする患者を同定し、上記の第1の成分および第2の成分を該患者に投与することを含む、精神病性障害に関連する1種または複数の症状を治療する方法が提供される。
【0107】
本明細書において、別の態様では、精神病性障害に罹患しており、気分の安定を必要とする患者を同定し、上記の第1の成分および第2の成分を該患者に投与することを含む、精神病性障害に罹患している患者の気分を安定にする方法が提供される。
【0108】
様々な実施形態では、上記の方法の精神病性障害は、双極性障害、統合失調症、境界性人格、分裂病質/分裂病型/妄想性人格障害、妄想性障害、短期反応性精神病、分裂感情障害、統合失調様障害、精神病性大うつ病、薬物乱用による精神病、発達障害に関連する精神病、および諸病状に関連する精神病、例えば、認知症、せん妄、精神遅滞等からなる群から選択される。
【0109】
本発明のさらなる一態様では、全般的な健康上のアウトカムを改善し、罹患率を低下させ(例えば、精神病、気分障害、またはその両方の相互作用にしばしば関連するアウトカムである自殺傾向を低減することによって)、あるいは精神病性障害、精神病性障害に関連する症状、および/または精神病性障害の治療に関連する副作用に罹患している患者における死亡率を低下させる方法が提供される。全般的な健康上のアウトカムは、当技術分野における様々な手段によって決定される。全般的な健康上のアウトカムが決定されるときには、例えば、罹患率および/または死亡率の改善、患者の全般的な気分の改善、生活の質の改善、終末期の安楽度の向上等が考慮される。死亡率は、ある期間、特定の治療を受けながら死亡する患者数を、同じ期間、同じか類似の治療を受けている総患者数と比較したものである。罹患率は、入院頻度、入院期間、診療所への訪問頻度、投与された医薬品の用量などの様々な基準を用いて決定される。
【0110】
様々な実施形態では、第1の成分および第2の成分は少なくとも同時に投与される。他の実施形態では、第1の成分は、第2の成分の前に投与される。さらに別の実施形態では、第1の成分は、第2の成分の後に投与される。幾つかの実施形態では、第1の成分および第2の成分は、個別に投与される。幾つかの実施形態では、第1の成分および第2の成分は、別々に投与可能な組成物に含まれるが、患者は、その別々の組成物をほぼ同時に摂取するように指示される。即ち、一方のピルを他方の直後に摂取し、または一方の化合物の注入を、別の化合物の注入直後に行う等である。他の実施形態では、投与工程は、第1の成分または第2の成分のいずれかを最初に投与し、次いで第1の成分または第2の成分のいずれかの他方を投与することを含む。これらの実施形態では、患者は、成分の1種を含む組成物を投与され、しばらくして、例えば数分または数時間後に、成分の他の1種を含む別の組成物を投与され得る。これらの実施形態には、患者が、成分の1種を含む組成物を日常的または継続的に投与されると共に、他の成分を含む組成物を時折投与されるといったものも含まれる。さらなる実施形態では、患者は、静脈ラインを介する化合物の持続注入のように日常的または継続的に両方の成分を投与され得る。
【0111】
他の実施形態では、第1の成分および第2の成分は、投与可能な同一組成物、即ち、両方の化合物を含有する単一の錠剤、ピル、もしくはカプセル、または静脈注射用の単一溶剤、または飲料用の単一溶剤、または単一の糖衣錠配合物もしくはパッチに含まれる。幾つかの実施形態では、第1の成分および第2の成分は、互いに共有結合して、単一の化学物質を形成する。その後、単一の化学物質は、消化され、酵素作用、酸加水分解、塩基加水分解などによって代謝され、一方が第1の成分であり、他方が第2の成分である、生理学的に活性な2つの別々の化学物質になる。有利には、投与可能な同一組成物中の第1の成分および第2の成分の組合せは、患者の服薬遵守を向上させることによって、本明細書に開示する組成物および方法の有効性を高める。
【0112】
幾つかの実施形態では、患者は哺乳動物であってよい。哺乳動物は、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、霊長類、例えば小型のサル、チンパンジー、および大型のサル、ならびにヒトからなる群から選択することができる。幾つかの実施形態では、患者はヒトである。
【0113】
本明細書に開示する組成物および方法は、それらに限定されるものではないが、統合失調症、分裂感情障害、統合失調様障害、境界性人格障害、妄想性障害、短期反応性精神病、双極性障害、臨床的抑うつ、精神病性大うつ病、薬物乱用による精神病、および諸病状に関連する精神病、例えば、老年性認知症、アルツハイマー認知症、せん妄等を含めた任意の治療できる精神病性障害に適用される。
【0114】
本発明の幾つかの実施形態は以下の通りである。
【0115】
第1の実施形態では、本発明は、少なくとも1種の抗精神病剤を含む第1の成分と、少なくとも1種の抗痙攣剤を含む第2の成分とを含む、精神病性障害を治療するための組成物に関する。好ましくは、該組成物は、オランザピン、ゾニサミド、バルプロエート、およびブプロピオンの組合せを含まない。好ましくは、該組成物は、リスペリドン、ゾニサミド、およびパロキセチンの組合せを含まない。
【0116】
第2の実施形態では、本発明は、少なくとも1種の抗精神病剤が、クロルプロマジン、フルフェナジン、ハロペリドール、モリンドン、チオチキセン、チオリダジン、トリフロペラジン、およびロキサピンからなる群から選択される、第1の実施形態の組成物に関する。
【0117】
第3の実施形態では、本発明は、少なくとも1種の抗精神病剤が、オランザピン(例えば、Zyprexa(登録商標))、リスペリドン(例えば、Risperdal(登録商標))、クエチアピン(例えば、Seroquel(登録商標))、ジプラシドン(例えば、Geodon(登録商標))、アリピプラゾール(例えば、Abilify(登録商標))、およびセルチンドール(例えば、Serdolect(登録商標))からなる群から選択される、第1の実施形態の組成物に関する。
【0118】
第4の実施形態では、本発明は、少なくとも1種の抗精神病剤がリスペリドンである、第1の実施形態の組成物に関する。
【0119】
第5の実施形態では、本発明は、少なくとも1種の抗精神病剤がオランザピンである、第1の実施形態の組成物に関する。
【0120】
第6の実施形態では、本発明は、少なくとも1種の抗精神病剤が、リチウム、バルプロエート、カルバマゼピン、オキシカルバマゼピン、ラモトリジン、チアガビン、およびベンゾジアゼピンからなる群から選択される、第1の実施形態の組成物に関する。
【0121】
第7の実施形態では、本発明は、少なくとも1種の抗痙攣剤が上記の構造式(I)の化合物を含む、第1の実施形態の組成物に関する。
【0122】
第8の実施形態では、本発明は、構造式(I)の化合物がゾニサミドである、第7の実施形態の組成物に関する。
【0123】
第9の実施形態では、本発明は、少なくとも1種の抗痙攣剤が、上記の構造式(II)の化合物を含む、第1の実施形態の組成物に関する。
【0124】
第10の実施形態では、本発明は、構造式(II)の化合物がトピラメートである、第9の実施形態の組成物に関する。
【0125】
第11の実施形態では、本発明は、少なくとも1種の抗痙攣剤が、ゾニサミド、トピラメート、ネンブタール、ロラゼパム、クロナゼパム、クロラゼパート、チアガビン、ガバペンチン、フォスフェニトイン、フェニトイン、カルバマゼピン、バルプロエート、フェルバメート、レベチラセタム、オクスカルバゼピン、ラモトリジン、メトスクシミド、およびエトスクシミドからなる群から選択される、第1の実施形態の組成物に関する。
【0126】
第12の実施形態では、本発明は、少なくとも1種の抗痙攣剤が、構造式(I)の化合物、ゾニサミド、構造式(II)の化合物、トピラメート、ネンブタール、ロラゼパム、クロナゼパム、クロラゼパート、チアガビン、ガバペンチン、フォスフェニトイン、フェニトイン、カルバマゼピン、バルプロエート、フェルバメート、レベチラセタム、オクスカルバゼピン、ラモトリジン、メトスクシミド、およびエトスクシミドからなる群から選択される減量促進抗痙攣剤である、第1の実施形態の組成物に関する。
【0127】
第13の実施形態では、本発明は、第2の成分が抗うつ剤をさらに含む、第1の実施形態の組成物に関する。
【0128】
第14の実施形態では、本発明は、抗うつ剤が選択的セロトニン再取込み阻害剤である、第13の実施形態の組成物に関する。
【0129】
第15の実施形態では、本発明は、選択的セロトニン再取込み阻害剤が、フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、パロキセチン、シタロプラム、およびエスシタロプラムからなる群から選択される、第14の実施形態の組成物に関する。
【0130】
第16の実施形態では、本発明は、抗うつ剤が三環系抗うつ剤である、第13の実施形態の組成物に関する。
【0131】
第17の実施形態では、本発明は、三環系抗うつ剤が、イミプラミン、デシプラミン、トリミプラミン、ノルトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、アミトリプチリン、マプロチリン、プロトリプチリン、ドチアペン、およびマプロチリンからなる群から選択される、第16の実施形態の組成物に関する。
【0132】
第18の実施形態では、本発明は、抗うつ剤がMAO阻害剤である、第13の実施形態の組成物に関する。
【0133】
第19の実施形態では、本発明は、MAO阻害剤が、フェネルジン(例えば、Nardil(登録商標))、トラニルシプロミン(例えば、Parnate(登録商標))、イソカルボキサジド(例えば、Marplan(登録商標))、およびモクロベミド(例えば、Aurorix(登録商標))からなる群から選択される、第18の実施形態の組成物に関する。
【0134】
第20の実施形態では、本発明は、抗うつ剤が、デュロキセチン、ベンラファキシン、ネファゾドン、マレイン酸セチプチリン、ビカリンテトラゾン、シアノプラミン、およびミルタザピンからなる群から選択される、第13の実施形態の組成物に関する。
【0135】
第21の実施形態では、本発明は、抗うつ剤が、ノルエピネフリンおよび/またはドーパミンの活性を高める化合物である、第13の実施形態の組成物に関する。
【0136】
第22の実施形態では、本発明は、ノルエピネフリンおよび/またはドーパミンの活性を高める化合物が、アトモキセチン、ブプロピオン、チオニソキセチン、およびレボキセチンからなる群から選択される、第21の実施形態の組成物に関する。
【0137】
第23の実施形態では、本発明は、ノルエピネフリンおよび/またはドーパミンの活性を高める化合物がブプロピオンである、第22の実施形態の組成物に関する。
【0138】
第24の実施形態では、本発明は、第1の成分がリスペリドンであり、第2の成分がゾニサミドである、第1の実施形態の組成物に関する。
【0139】
第25の実施形態では、本発明は、第1の成分がリスペリドンであり、第2の成分がトピラメートである、第1の実施形態の組成物に関する。
【0140】
第26の実施形態では、本発明は、第1の成分がオランザピンであり、第2の成分がゾニサミドである、第1の実施形態の組成物に関する。
【0141】
第27の実施形態では、本発明は、第1の成分がオランザピンであり、第2の成分がトピラメートである、第1の実施形態の組成物に関する。
【0142】
第28の実施形態では、本発明は、第1の成分がリスペリドンであり、第2の成分がゾニサミドであり、抗うつ剤がブプロピオンである、第13の実施形態の組成物に関する。
【0143】
第29の実施形態では、本発明は、第1の成分がリスペリドンであり、第2の成分がトピラメートであり、抗うつ剤がブプロピオンである、第13の実施形態の組成物に関する。
【0144】
第30の実施形態では、本発明は、第1の成分がオランザピンであり、第2の成分がゾニサミドであり、抗うつ剤がブプロピオンである、第13の実施形態の組成物に関する。
【0145】
第31の実施形態では、本発明は、第1の成分がオランザピンであり、第2の成分がトピラメートであり、抗うつ剤がブプロピオンである、第13の実施形態の組成物に関する。
【0146】
第32の実施形態では、本発明は、治療を必要とする患者に、少なくとも1種の抗精神病剤を含む第1の成分と、少なくとも1種の抗痙攣剤を含む第2の成分とを投与することを含む、精神病性障害の治療方法に関する。好ましくは、オランザピン、ゾニサミド、バルプロエート、およびブプロピオンは、患者に同時には投与されない。好ましくは、リスペリドン、ゾニサミド、およびパロキセチンは、患者に同時には投与されない。
【0147】
第33の実施形態では、本発明は、治療を必要とする患者に、少なくとも1種の抗精神病剤を含む第1の成分と、少なくとも1種の抗痙攣剤を含む第2の成分とを投与することを含む、精神病性障害を治療するための抗精神病剤の投与に関連する1種または複数の副作用を最小限に抑える方法に関する。好ましくは、オランザピン、ゾニサミド、バルプロエート、およびプロピオンは、患者に同時には投与されない。好ましくは、リスペリドン、ゾニサミド、およびパロキセチンは、患者に同時には投与されない。
【0148】
第34の実施形態では、本発明は、精神病性障害に罹患しており、気分の安定を必要とする患者を同定し、該患者に、少なくとも1種の抗精神病剤を含む第1の成分と、少なくとも1種の抗痙攣剤を含む第2の成分とを投与することを含む、精神病性障害に罹患している患者の気分を安定にする方法に関する。好ましくは、オランザピン、ゾニサミド、バルプロエート、およびプロピオンは、患者に同時には投与されない。好ましくは、リスペリドン、ゾニサミド、およびパロキセチンは、患者に同時には投与されない。
【0149】
第35の実施形態では、本発明は、抗精神病剤を用いた継続的治療を受けている患者を同定し、該患者に、継続的に投与されている抗精神病剤に加えて、少なくとも1種の抗精神病剤を含む第1の成分と、少なくとも1種の抗痙攣剤を含む第2の成分を含む抗精神病剤を投与することを含む、抗精神病剤を用いた既存の治療過程の有効性を高める方法に関する。好ましくは、オランザピン、ゾニサミド、バルプロエート、およびプロピオンは、患者に同時には投与されない。好ましくは、リスペリドン、ゾニサミド、およびパロキセチンは、患者に同時には投与されない。
【0150】
第36の実施形態では、本発明は、治療を必要とする患者に、少なくとも1種の抗精神病剤を含む第1の成分と、少なくとも1種の抗痙攣剤を含む第2の成分とを投与することを含む、精神病性障害に関連する1種または複数の症状を治療する方法に関する。好ましくは、オランザピン、ゾニサミド、バルプロエート、およびプロピオンは、患者に同時には投与されない。好ましくは、リスペリドン、ゾニサミド、およびパロキセチンは、患者に同時には投与されない。
【0151】
第37の実施形態では、本発明は、精神病性障害に関連する1種または複数の症状が、幻覚、妄想、躁病、軽躁病、攻撃、パラノイア、聴覚または視覚の機能障害、混乱、運動失調(ataxis)、気分障害、自殺傾向、および抑うつからなる群から選択される、第36の実施形態の方法に関する。
【0152】
第38の実施形態では、本発明は、精神病性障害が、統合失調症、分裂感情障害、統合失調様障害、境界性人格障害、妄想性障害、短期反応性精神病、双極性障害、臨床的抑うつ、精神病性大うつ病、薬物乱用による精神病、および諸病状に関連する精神病(例えば、老年性認知症、アルツハイマー認知症、およびせん妄)からなる群から選択される、第32から第37の実施形態のいずれかの方法のどれかに関する。
【0153】
第39の実施形態では、本発明は、患者が25を超えるBMIを有する、第32から第38の実施形態のいずれかの方法に関する。
【0154】
第40の実施形態では、本発明は、患者が30を超えるBMIを有する、第32から第38の実施形態のいずれかの方法に関する。
【0155】
第41の実施形態では、本発明は、第1の成分および第2の成分が実質的に同時に投与される、第32から第40の実施形態のいずれかの方法に関する。
【0156】
第42の実施形態では、本発明は、第1の成分が第2の成分の前に投与される、第32から第40の実施形態のいずれかの方法に関する。
【0157】
第43の実施形態では、本発明は、第2の成分が第1の成分の前に投与される、第32から第40の実施形態のいずれかの方法に関する。
【0158】
第44の実施形態では、本発明は、第1の成分および第2の成分が、第1から第31の実施形態のいずれかとして投与される、第32から第41の実施形態のいずれかの方法に関する。
【0159】
第45の実施形態では、本発明は、第1の成分が、第2から第6の実施形態のいずれかの組成物として定義される、第32から第43の実施形態のいずれかの方法に関する。
【0160】
第46の実施形態では、本発明は、第2の成分が、第7から第23の実施形態のいずれかの組成物として定義される、第32から第43の実施形態のいずれかの方法に関する。
【0161】
第47の実施形態では、本発明は、第1および第2の成分が、第24から第31の実施形態のいずれかの組成物として定義される、第32から第43の実施形態のいずれかの方法に関する。
【0162】
第48の実施形態では、本発明は、第1および第2の成分の血漿濃度レベルが、類似の時間プロファイルに従う、第32から第47の実施形態のいずれかの方法に関する。
【実施例】
【0163】
以下の実施例は、非限定的であり、本発明の様々な態様を単に例示するためのものである。
【0164】
脳の前頭前野は、統合失調症および双極性障害を含めた心理的障害に関与している。同様に、視床下部は、気分障害に関与している。モノアミン化合物には、ドーパミン、セロトニン、およびノルエピネフリンが含まれ、ドーパミンは、覚醒、感情、および認知において、重要な役割を担うと考えられている。モノアミンの合成および放出速度を改変する薬物、ならびに標的組織に対するそれらの効果は、不安、抑うつ、および統合失調症などの精神疾患を治療するために用いられる。一例として、オランザピンなどの非定型抗精神病剤は、ドーパミンおよびノルエピネフリンの放出を増加し、心理的障害の治療にプラス効果を有する。セロトニン拮抗作用は、非定型抗精神病剤のもう1つの特性である。モノアミンの脳内濃度を効果的に増大する、セロトニン再取込み阻害剤およびモノアミン酸化酵素阻害剤などの他の薬物は、心理的障害へのプラス効果に相関性がある(例えば、気分高揚、認識能力の向上、衝動性の低減)。
【0165】
以下の実施例1〜4は、抗精神病剤および抗痙攣剤の様々な組合せを用いた治療後の、内側前頭前野および視床下部の両方におけるモノアミン(セロトニン(5HT-2)、ドーパミン(DA)、およびノルエピネフリン(NE))のin vivo濃度を、治療レジメンの有効性の指標として決定するための実験を記載している。実施例5〜8は、抗精神病剤および抗痙攣剤の様々な組合せの使用に関するプロトコールを記載している。実施例9は、実施例5〜8に例示するプロトコールのいずれかを用いた、肥満個体の治療を記載している。
【0166】
以下の実施例1は、げっ歯類に、脳のガイドカニューレおよび/または微小透析プローブを埋め込んで、微小透析実験を実施する手順を記載している。
【0167】
(実施例1)
成熟雄性マウスへのガイドカニューレおよび/または脳の微小透析プローブの埋込み
体重300〜350gのSprague-Dawley系成熟雄性マウス(Harland、Indianapolis)62匹を、以下の研究で使用した。マウスを、群飼で少なくとも5日間隔離した。隔離手順後、マウスを個別のケージに維持した。脳内ガイドを用いる外科的埋込みのために、視床下部(HT)(マウス31匹)または内側前頭前野(mPFC)(マウス31匹)の真上にガイドを挿入した。以下に示した定位座標(Paxinos and Watson、1986)を用いて、ガイドカニューレおよび/またはプローブの位置を合わせた。
【0168】
【表1】

【0169】
標準の手順を使用して、動物を麻酔した。各動物の頭部を、両目の正面から頭蓋後部まで剃毛した。剃毛した部分を殺菌し、その動物を定位フレームのイヤーバーに配置した。動物を、切歯バーに合わせた。15番の鋭利性外科用メスの刃を用いて、動物の頭皮を切った。骨が出血し始めた場合には、切開部に骨ろうを塗布した。骨膜組織を、頭蓋から外側隆線まで消毒綿を用いて洗浄し、鉗子でその皮膚を引っ張って邪魔にならないようにした。微小透析プローブの角度を付けた排出カニューレが、動物の尾に向かう角度になるように、プローブまたはガイドを鉗子の中に配置した。標的座標を計算し、この点を頭蓋に印付けた。
【0170】
骨の固定用ネジとネジのために、頭蓋骨の両側に2つの穴をドリルで開けた。先の尖った物で硬膜を引き剥がした。背/腹のゼロ点に、ガイドカニューレを配置した。ガイドカニューレを脳内に入れ、背/腹点からそれに関係する背/腹プローブ標的まで定位的に下げた。歯科用アクリルを使用して、カニューレを骨の固定用ネジにセメント固定した。そのセメントを硬化させ、げっ歯類を定位フレームから取り出した。切開部の頭蓋面および尾側面を縫合した。
【0171】
動物を、3〜5日間で回復させた。研究前夜に、ガイド内のスタイレットを透析プローブで置き換えて動物を順応させ、血液脳関門の完全性を回復させた。マウスは、以下の実施例における研究で受け入れられるには、術前の体重の7%の範囲にあり、臨床疾患の徴候を示さず、水および食餌について通常の消費を示さなければならなかった。術前、微小透析時まで術後1〜2日ごと、および死後にマウスを秤量した。
【0172】
以下の実施例は、実施例3および4に記載の研究で使用した微小透析プロトコールを詳説している。
【0173】
(実施例2)
微小透析研究
まず、以下に記載の実験で使用した微小透析プローブを、標準のリンゲル灌流媒体に30分間浸漬させた。フランジ付きコネクタを使用して、注入および排出チューブを各プローブに接続した。排出チューブをフラクションコレクターに接続し、注入チューブをEmprisシリンジドライブに接続した。プローブを新しいリンゲル溶液に浸し、リンゲル灌流媒体を用いて、速度2μl/分で1時間フラッシュした。次いで、マウスの頭蓋の脳内ガイドにプローブを移した。
【0174】
以下に記載の微小透析実験における投与に合わせて、以下の配合物を使用した。
【0175】
オランザピンを、最終濃度1mg/kgでマウスに腹腔内投与した。水2.1mlを、ZYPREXA(登録商標)(粉末形態のオランザピン11.0mgを含有する)の単一バイアルに添加し、そのバイアルを、内容物が溶解するまで回転した。水を添加して、最終濃度0.3mg/mlを得た。
【0176】
ジプラシドンを、最終濃度3mg/kgでマウスに腹腔内投与した。水1.2mlを、GEODON(登録商標)(スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンナトリウム294mgで可溶化したジプラシドン20mgおよびメタンスルホン酸4.7mgを含有する)の単一バイアルに添加した。水を添加して、最終濃度3mg/mlのジプラシドンを得た。
【0177】
ゾニサミドを、EtOH13.4%、プロピレングリコール20.1%、生理食塩水66.5%の媒体中、最終濃度25mg/kgでマウスに腹腔内投与した。ゾニサミドを、DMSOに溶かした。溶解したゾニサミドを、最終濃度10%で60℃〜90℃に加熱した媒体溶液と混合した。ゾニサミドの最終濃度は7.5mg/mlであった。薬物の溶液を、注入前に37℃に維持した。
【0178】
マウスを、10の試験群に分けた。各試験につき、5匹のマウスを分析した。試験群は以下の通りである。
【0179】
1.ゾニサミドIP(腹腔内)単回投与;視床下部からの透析液回収(n=5)
【0180】
2.ゾニサミドIP単回投与;mPFCからの透析液回収(n=5)
【0181】
3.オランザピンIP単回投与、1mg/kg;視床下部からの透析液回収(n=5)
【0182】
4.オランザピンIP単回投与、1mg/kg;mPFCからの透析液回収(n=5)
【0183】
5.ジプラシドンIP単回投与、3mg/kg;視床下部からの透析液回収(n=5)
【0184】
6.ジプラシドンIP単回投与、3mg/kg;mPFCからの透析液回収(n=5)
【0185】
7.ゾニサミドおよびオランザピンの組合せのIP単回投与、1mg/kg;視床下部からの透析液回収(n=5)
【0186】
8.ゾニサミドおよびオランザピンの組合せのIP単回投与、1mg/kg;mPFCからの透析液回収(n=5)
【0187】
9.ゾニサミドおよびジプラシドンの組合せのIP単回投与、3mg/kg;視床下部からの透析液回収(n=5)
【0188】
10.ゾニサミドおよびジプラシドンの組合せのIP単回投与、3mg/kg; mPFCからの透析液回収(n=5)
【0189】
微小透析実験では、灌流は、20分間隔で、標準の滅菌リンゲル溶液を2μl/分で送液して行った。最終的に回収した体積は、40μlであった。サンプル30μlを、各分析物DA、NE、5HTについて分析した。投与前のサンプル12個および投与後のサンプル12個を、投与前4時間および投与後4時間の両方で、20分ごとに回収した。投与前および投与後の回収物から、6つのサンプルを、ノルエピネフリンについて分析した。投与前および投与後の回収物から、残りの6つのサンプルを、ドーパミンおよびセロトニンの両方について分析した。
【0190】
サンプルを、回収直後に-80℃まで冷却した。通常の技術を使用して、電気化学検出を伴う液体クロマトグラフィーを使用してサンプルを分析した。例えば、Huang, T., R.等(1994年) New SepStik Microbore Columns for Liquid Chromatography. Current Separations 12(4): 191〜195頁参照。
【0191】
以下の実施例は、ゾニサミドおよびジプラシドンの組合せが、ドーパミン、ノルエピネフリン、およびセロトニンの脳内濃度に相乗的に影響を及ぼすことを示している。
【0192】
(実施例3)
ジプラシドンおよびゾニサミドの組合せは、脳内のモノアミンの予想外の増加をもたらす。
実施例2に記載の研究群1、2、5、6、9、および10を使用して、ジプラシドンとゾニサミドとの組合せの有効性を評価した。各化合物の濃度は、%を基準として表す。基準数値は、試験物質の添加(t=0)前の3つの時点で、モノアミン化合物(即ち、5-HT2、DA、NE)の濃度を平均化することによって求めた。実験からのデータを、以下の表1〜6に示す。各データ点は、研究群の5匹の動物から得た値の平均を表す。
【0193】
【表2】

【0194】
【表3】

【0195】
【表4】

【0196】
【表5】

【0197】
【表6】

【0198】
【表7】

【0199】
上のデータは、ゾニサミドおよびジプラシドンの組合せが、化合物いずれか単独と比較して、視床下部および内側前頭前野におけるセロトニンおよびドーパミン濃度に相乗的な増加をもたらすことを示す。さらに、ゾニサミドおよびジプラシドンの組合せは、化合物いずれか単独と比較して、内側前頭前野におけるノルエピネフリン濃度に相乗的な増加を引き起こした。データは、図1〜6のグラフの形態でも示される。
【0200】
以下の実施例は、ゾニサミドおよびオランザピンの組合せが、ドーパミン、ノルエピネフリン、およびセロトニンの脳内濃度に、相乗的に影響を及ぼすことを示している。
【0201】
(実施例4)
オランザピンおよびゾニサミドの組合せは、脳内でのモノアミンの予想外の増加をもたらす。
実施例2に記載の研究群1、2、3、4、9、および10を使用して、オランザピンとゾニサミドとの組合せの有効性を評価した。各化合物の濃度は、実施例3に記載のように%を基準として表す。実験からのデータを、以下の表7〜12に示す。各データ点は、研究群の5匹の動物から得た値の平均を表す。
【0202】
【表8】

【0203】
【表9】

【0204】
【表10】

【0205】
【表11】

【0206】
【表12】

【0207】
【表13】

【0208】
上のデータは、ゾニサミドおよびオランザピンの組合せが、化合物いずれか単独と比較して、視床下部および内側前頭前野におけるセロトニン濃度に相乗的な増加をもたらすことを示す。さらに、ゾニサミドおよびジプラシドンの組合せは、化合物いずれか単独と比較して、視床下部におけるドーパミンおよびノルエピネフリン濃度に相乗的な増加を引き起こした。データは、図1〜6のグラフの形態でも示される。
【0209】
以下の実施例は、個体の治療のための、抗精神病剤および抗痙攣剤の様々な組合せの使用を記載している。
【0210】
(実施例5)
ゾニサミドとリスペリドンまたはオランザピンとの使用
リスペリドンまたはオランザピンを摂取している個体、あるいはリスペリドンまたはオランザピンを摂取しようとしている個体、抗精神病剤を使用した結果として、体重増加、抑うつ、または他の気分障害などの副作用を経験した個体、あるいは抗精神病剤を使用した結果として、このような副作用を受けやすい個体を同定する。各個体は、抗精神病剤治療に加えて、ゾニサミドの錠剤25mgを1粒、毎日摂取するように指示される。
【0211】
個体は、数カ月間、根本的な精神病性障害および関連する副作用の治療の有効性の示度となる症状を測定することによって観察される。投与量は、精神病性障害および副作用の症状を最小に抑えるように調節される。体重が増加した場合には、投与量は、患者が6カ月ごとに当初の体重の10%の率で減量するように一般に調節される。しかし、各個体の減量率は、個体の具体的な必要性に基づいて、治療にあたる医師によって調節され得る。
【0212】
ゾニサミドの投与量は、1日あたり約25mg〜約800mgとし、一般に、1日あたり1回または多回用量に分割して(例えば、均等に)投与することができる。好ましくは、その用量は、1日あたり約100mg〜約600mg、より好ましくはその用量は、1日あたり約200mg〜約400mgである。ゾニサミドの錠剤は、通常、25mg、50mg、および100mgの用量で製造され、市販されている。リスペリドンは、1日あたり約0.1mg〜10mg、好ましくは1mg〜5mgの投与量で投与され、一般に、1日あたり1回または多回用量に分割して(例えば、均等に)投与される。リスペリドンは、一般に、0.25mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、および4mgの経口単位用量で入手可能である。オランザピンは、1日あたり約5mg〜30mg、好ましくは5mg〜15mgの投与量で投与され、一般に、1日あたり1回または多回用量に分割して(例えば、均等に)投与される。オランザピンは、一般に、2.5mg、5mg、10mg、15mg、または20mgの用量で入手可能である。所望の投薬を実現するために、個々の錠剤または錠剤の組合せを使用することができる。場合によっては、これらの範囲外の投与量を使用する必要があり得る。
【0213】
(実施例6)
トピラメートとリスペリドンまたはオランザピンとの使用
リスペリドンまたはオランザピンを摂取している個体、あるいはリスペリドンまたはオランザピンを摂取しようとしている個体、抗精神病剤を使用した結果として、体重増加、抑うつ、または他の気分障害などの副作用を経験した個体、あるいは抗精神病剤を使用した結果として、このような副作用を受けやすい個体を同定する。各個体は、抗精神病剤治療に加えて、トピラメートの錠剤25mgを1粒、毎日摂取するように指示される。
【0214】
個体は、数カ月間、根本的な精神病性障害および関連する副作用の治療の有効性の示度となる症状を測定することによって観察される。投与量は、精神病性障害および副作用の症状を最小に抑えるように調節される。体重が増加した場合には、投与量は、患者が6カ月ごとに当初の体重の10%の率で減量するように一般に調節される。しかし、各個体の減量率は、個体の具体的な必要性に基づいて、治療にあたる医師によって調節され得る。
【0215】
トピラメートの投与量は、約25mg〜約1600mg、好ましくは約50mg〜約600mg、より好ましくは、約100mg〜約400mgであってよい。リスペリドンは、1日あたり約0.1mg〜10mg、好ましくは1mg〜5mg投与量で投与され、一般に、1日あたり1回または多回用量に分割して(例えば、均等に)投与される。リスペリドンは、一般に、0.25mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、および4mgの経口単位用量で入手可能である。オランザピンは、たいていの場合、1日あたり約5mg〜30mg、好ましくは5mg〜15mgの投与量で投与され、一般に、1日あたり1回または多回用量に分割して(例えば、均等に)投与される。オランザピンは、一般に、2.5mg、5mg、10mg、15mg、または20mgの用量で入手可能である。所望の投薬を実現するために、個々の錠剤または錠剤の組合せを使用することができる。場合によっては、これらの範囲外の投与量を使用する必要があり得る。
【0216】
(実施例7)
ゾニサミドまたはトピラメートおよびブプロピオンとリスペリドンまたはオランザピンとの組合せ
リスペリドンまたはオランザピンを摂取している個体、あるいはリスペリドンまたはオランザピンを摂取しようとしている個体、抗精神病剤を使用した結果として、体重増加、抑うつ、または他の気分障害などの副作用を経験した個体、あるいは抗精神病剤を使用した結果として、このような副作用を受けやすい個体を同定する。各個体は、抗精神病剤治療に加えて、トピラメートまたはゾニサミドの錠剤25mgを1粒、ブプロピオン200mgと共に毎日摂取するように指示される。
【0217】
個体は、数カ月間、根本的な精神病性障害および関連する副作用の治療の有効性の示度となる症状を測定することによって観察される。投与量は、精神病性障害および副作用の症状を最小に抑えるように調節される。体重が増加した場合には、投与量は、患者が6カ月ごとに当初の体重の10%の率で減量するように一般に調節される。しかし、各個体の減量率は、個体の具体的な必要性に基づいて、治療にあたる医師によって調節され得る。
【0218】
トピラメートの投与量は、約25mg〜約1600mg、好ましくは約50mg〜約600mg、より好ましくは約100mg〜約400mgであってよい。リスペリドンは、1日あたり約0.1mg〜10mg、好ましくは1mg〜5mgの投与量で投与され、一般に、1日あたり1回または多回用量に分割して(例えば、均等に)投与される。リスペリドンは、一般に、0.25mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、および4mgの経口単位用量で入手可能である。オランザピンは、1日あたり約5mg〜30mg、好ましくは5mg〜15mgの投与量で投与され、一般に、1日あたり1回または多回用量に分割して(例えば、均等に)投与される。オランザピンは、一般に、2.5mg、5mg、10mg、15mg、または20mgの用量で入手可能である。ブプロピオンの1日あたりの投与量は、約25mg〜600mg、好ましくは約50mg〜450mgであってよい。所望の投薬を実現するために、個々の錠剤または錠剤の組合せを使用することができる。場合によっては、これらの範囲外の投与量を使用する必要があり得る。
【0219】
(実施例8)
ゾニサミドとジプラシドンとの組合せ
ジプラシドンを摂取している個体、あるいはジプラシドンを摂取しようとしている個体、抗精神病剤を使用した結果として、体重増加、抑うつ、または他の気分障害などの副作用を経験した個体、あるいは抗精神病剤を使用した結果として、このような副作用を受けやすい個体を同定する。各個体は、抗精神病剤治療に加えて、ゾニサミドの錠剤25mgを1粒、毎日摂取するように指示される。
【0220】
個体は、数カ月間、根本的な精神病性障害および関連する副作用の治療の有効性の示度となる症状を測定することによって観察される。投与量は、精神病性障害および副作用の症状を最小に抑えるように調節される。体重が増加した場合には、投与量は、患者が6カ月ごとに当初の体重の10%の率で減量するように一般に調節される。しかし、各個体の減量率は、個体の具体的な必要性に基づいて、治療にあたる医師によって調節され得る。
【0221】
ゾニサミドの投与量は、1日あたり約25mg〜約800mgであってよく、一般に、1日あたり1回または多回用量に分割して(例えば、均等に)投与される。好ましくは、その用量は、1日あたり約100mg〜約600mgであり、より好ましくはその用量は、1日あたり約200mg〜約400mgである。ゾニサミドの錠剤は、通常、25mg、50mg、および100mgの用量で製造され、市販されている。ジプラシドンは、1日あたり約100〜400mgの投与量で投与され、一般に1日あたり1回または2回投与される。所望の投薬を実現するために、個々の錠剤または錠剤の組合せを使用することができる。場合によっては、これらの範囲外の投与量を使用する必要があり得る。
【0222】
(実施例9)
肥満個体の治療
精神病性障害に罹患しており、BMIが25を超える個体を同定する。あるいは、BMIが30を超える個体を同定する。減量および高血圧、高血糖などの減量に関連する症状を観察することに重点を置いて、各個体を、実施例5〜8のプロトコールのいずれかを使用して上記のように治療し、観察する。投与量は、患者が6カ月ごとに当初の体重の10%の率で減量するように一般に調節される。しかし、各個体の減量率は、個体の具体的な必要性に基づいて、治療にあたる医師によって調節され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジプラシドン、オランザピン、およびリスペリドンからなる群から選択される抗精神病剤を含む第1の成分と、ゾニサミドおよびトピラメートからなる群から選択される抗痙攣剤を含む第2の成分とを含む、精神病性障害を治療するための薬剤組成物。
【請求項2】
前記抗精神病剤がジプラシドンである、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項3】
前記抗精神病剤がオランザピンである、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項4】
前記抗精神病剤がリスペリドンである、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項5】
前記抗痙攣剤がゾニサミドである、請求項2に記載の薬剤組成物。
【請求項6】
前記抗痙攣剤がトピラメートである、請求項2に記載の薬剤組成物。
【請求項7】
前記抗痙攣剤がゾニサミドである、請求項3に記載の薬剤組成物。
【請求項8】
前記抗痙攣剤がトピラメートである、請求項3に記載の薬剤組成物。
【請求項9】
前記抗痙攣剤がゾニサミドである、請求項4に記載の薬剤組成物。
【請求項10】
前記抗痙攣剤がトピラメートである、請求項4に記載の薬剤組成物。
【請求項11】
抗うつ剤をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項12】
前記抗うつ剤が選択的セロトニン再取込み阻害剤である、請求項11に記載の薬剤組成物。
【請求項13】
前記抗うつ剤が三環系抗うつ剤である、請求項11に記載の薬剤組成物。
【請求項14】
前記抗うつ剤がMAO阻害剤である、請求項11に記載の薬剤組成物。
【請求項15】
前記抗うつ剤が、ノルエピネフリンおよびドーパミンの少なくとも一方の活性を高める化合物である、請求項11に記載の薬剤組成物。
【請求項16】
生理学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、またはそれらの組合せをさらに含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項17】
ジプラシドン、オランザピン、およびリスペリドンからなる群から選択される少なくとも1種の抗精神病剤を含む有効量の第1の成分と、ゾニサミドおよびトピラメートからなる群から選択される少なくとも1種の抗痙攣剤を含む有効量の第2の成分とを、治療を必要とする患者に投与する工程を含み、但し、オランザピン、ゾニサミド、バルプロエート、およびブプロピオンを患者に同時には投与せず、リスペリドン、ゾニサミド、およびパロキセチンを患者に同時には投与しない、精神病性障害の治療方法。
【請求項18】
ジプラシドン、オランザピン、およびリスペリドンからなる群から選択される少なくとも1種の抗精神病剤を用いた継続的治療を受けている患者を同定する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
1種または複数の症状に関連する精神病性障害に罹患しており、治療を必要とする患者を同定する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
精神病性障害に罹患しており、気分の安定を必要とする患者を同定する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記精神病性障害が、双極性障害、統合失調症、境界性人格、分裂病質/分裂病型/妄想性人格障害、妄想性障害、短期反応性精神病、分裂感情障害、統合失調症様障害、精神病性大うつ病、薬物乱用による精神病、発達障害に関連する精神病、および諸病状に関連する精神病からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
諸病状に関連する前記精神病が、認知症、せん妄、および精神遅滞からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の成分および前記第2の成分を、患者に実質的に同時に投与する工程をさらに含む、請求項17から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の成分および前記第2の成分を含む薬剤組成物を患者に投与する工程をさらに含む、請求項17から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
ジプラシドン、オランザピン、およびリスペリドンからなる群から選択される抗精神病剤を含む第1の成分と、ゾニサミドおよびトピラメートからなる群から選択される抗痙攣剤を含む第2の成分とを含む組合せの、精神病性障害を治療するための使用であって、前記第1の成分および前記第2の成分を、それを必要とする個体に投与し、但し、オランザピンおよびゾニサミドをバルプロエートおよびブプロピオンと併用せず、リスペリドンおよびゾニサミドをパロキセチンと併用しない使用。
【請求項26】
前記第1の成分および前記第2の成分を同時投与する、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
前記第1の成分および前記第2の成分を逐次投与する、請求項25に記載の使用。
【請求項28】
前記第1の成分および前記第2の成分を使用して、1種または複数の症状に関連する精神病性障害に罹患しており、治療を必要とする個体を治療する、請求項25から27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
前記第1の成分および前記第2の成分を使用して、精神病性障害に罹患しており、気分の安定を必要とする個体を治療する、請求項25から27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
前記精神病性障害が、双極性障害、統合失調症、境界性人格、分裂病質/分裂病型/妄想性人格障害、妄想性障害、短期反応性精神病、分裂感情障害、統合失調様障害、精神病性大うつ病、薬物乱用による精神病、発達障害に関連する精神病、および諸病状に関連する精神病からなる群から選択される、請求項25から27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
諸病状に関連する前記精神病が、認知症、せん妄、および精神遅滞からなる群から選択される、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
精神病性障害の治療のための医薬品の調製における、請求項1から16のいずれか一項に記載の薬剤組成物の使用。
【請求項33】
前記医薬品を使用して、ジプラシドン、オランザピン、およびリスペリドンからなる群から選択される少なくとも1種の抗精神病剤を用いた継続的治療を受けている個体を治療する、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記医薬品を使用して、1種または複数の症状に関連する精神病性障害に罹患しており、治療を必要とする個体を治療する、請求項32または請求項33に記載の使用。
【請求項35】
前記医薬品を使用して、精神病性障害に罹患しており、気分の安定を必要とする個体を治療する、請求項32から34のいずれか一項に記載の使用。
【請求項36】
前記精神病性障害が、双極性障害、統合失調症、境界性人格、分裂病質/分裂病型/妄想性人格障害、妄想性障害、短期反応性精神病、分裂感情障害、統合失調様障害、精神病性大うつ病、薬物乱用による精神病、発達障害に関連する精神病、および諸病状に関連する精神病からなる群から選択される、請求項32に記載の使用。
【請求項37】
諸病状に関連する前記精神病が、認知症、せん妄、および精神遅滞からなる群から選択される、請求項36に記載の使用。

【公表番号】特表2008−542378(P2008−542378A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514730(P2008−514730)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/020616
【国際公開番号】WO2006/130522
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(505401698)オレキシジェン・セラピューティクス・インコーポレーテッド (13)
【Fターム(参考)】