説明

精米設備

【課題】
プリペイドカードを決済手段として利用者の持参する玄米を精米処理する精米設備において、精白処理中にプリペイドカードの残高が無くなった時に適切な精米設備の停止が行なうことを課題とする。
【解決手段】
精白処理中に前記カードに入力された残高が無くなると、繰り出し手段(11)の駆動を停止した状態で搬送手段(9,10)や精米装置(2)に残留する穀粒の処理を行ない、残留する穀粒の処理を行った後に搬送手段(9,10)と精米装置(2)の駆動を停止する構成としたことで、精米設備内に穀粒が残留することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が持参した穀粒を有料で処理する精米設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プリペイドカードと料金を投入して持参した穀粒を精白処理する精米設備について記載されている。
【特許文献1】特開平4−209090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
カードで精白処理する場合にはコインを持参していない場合が想定され、その場合精白処理の途中でカードの残高が無くなってそのまま精米設備を停止させると精米設備内に穀粒が残留したままになり、利用者が持ち帰れる穀粒が目減りし、又は次の利用者の穀粒に混ざったりする不都合が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、利用者が持参する穀粒を投入する投入口(3a)と、該投入口(3a)に投入した穀粒を繰り出す繰り出し手段(11)と、該繰り出し手段(11)で繰り出された穀粒を搬送する搬送手段(9,10)と、該搬送手段(9,10)で搬送された穀粒を精白処理する精米装置(2)と、該精米装置(2)と前記搬送手段(9,10)と繰り出し手段(11)を駆動するための料金をカードで決済するカード決済手段とを設けた精米設備において、精白処理中に前記カードに入力された残高が無くなると、繰り出し手段(11)の駆動を停止した状態で搬送手段(9,10)や精米装置(2)に残留する穀粒の処理を行ない、該残留する穀粒の処理を行った後に搬送手段(9,10)と精米装置(2)の駆動を停止する構成としたことを特徴とする精米設備とする。
【0005】
また、請求項2記載の発明は、精米装置(2)と前記搬送手段(9、10)と繰り出し手段(11)を駆動するための料金をコインで決済するコイン決済手段を設け、精白処理中に投入したコインの残高が無くなると、精米装置(2)と搬送手段(9,10)に穀粒が残留している状態で繰り出し手段(11)と精米装置(12)と搬送手段(9,10)とを停止することを特徴とする請求項1記載の精米設備とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によると、決済手段がカードの場合は利用者が余分なカードやコインを持参していない場合が想定され、精白処理途中で停止すると精米設備内に穀粒が残留したままになり取り出せなくなってしまうため、残留する穀粒の処理を行なうことで、利用者が回収できる穀粒の目減りや次の利用者の持参した穀粒に残留米が混ざる等の不都合を回避することができる。
【0007】
請求項2記載の発明によると、決済手段がコインの場合は利用者が余分なコインを持参していると想定され、料金の不足分は追加料金を入れることで、精米設備が精白処理中に一旦停止しても、追加料金を投入することで精白処理を継続して行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
発明を実施するための最良の形態として玄米から無洗米に仕上げる精米設備について説明する。
建屋T内を仕切壁1で利用者が入場する客室Kと精米装置2や各種搬送装置を設ける機械室Hとに区切っている。
【0009】
客室K側には利用者が持参した穀粒を投入する投入ホッパ3の投入口3aと、利用者が所望の精白度を設定操作する操作部Yと、利用者がコインやプリペイドカードを投入する料金投入部Wと、精白処理した精白米を取り出す白米タンク12とを設けている。
【0010】
操作部Yには精白度を設定する精白度選択スイッチ5や料金表m等を設け、料金投入部Wにはプリペイドカードを挿入するカード挿入口pと、コインを投入するコイン投入口t、音声を発する音声出力装置rと、釣銭返却口nと投入料金表示灯gを設けている。
【0011】
機械室H側には石抜きをする石抜装置7と、穀粒を精白処理する精米装置2と、精米装置2の精白処理で発生した糠を貯留する糠貯留部8と、穀粒を揚穀する第一昇降機9、第二昇降機10等を設けている。
【0012】
次に図3のブロック図について説明する。
プリペイドカードの情報を読み取りあるいは書き込むカードリードライタ20、コインの情報を識別するコインメック21がそれぞれ精米設備の使用状況を印字するデータプリンタ22を介して制御部23に接続されている。
【0013】
次に作業工程図及びフローチャートに沿って精白処理工程を説明する。
利用者が持参した玄米を投入ホッパ3に投入し、投入ホッパ3の下部に設ける投入ホッパセンサ3bが玄米有りを検出し、料金となるコイン又はプリペイドカードを投入し、上白5a,標準5b,八分5c,無洗米5dいずれかの精白度選択スイッチ5を選択すると機械室H側の装置各部が適宜駆動を開始する。そして、投入コイン又はプリペイドカードの残高は投入料金表示灯gに表示され、精米設備の駆動時間毎(例えば3分毎百円)に順次減算表示される。
【0014】
投入ホッパ3内の玄米は繰り出し手段であるロータリバルブ11で第一昇降機9に繰り出され、第一昇降機9で石抜装置7の石抜選別盤7aに供給される。石抜装置7で石抜き除去がなされた玄米は玄米通路7dを経て第二昇降機10に供給される。
【0015】
第二昇降機10で揚穀された玄米は精米装置2の玄米タンク2aに貯留され、順次精米室2b内に供給され精白ロール(図示せず)で精白される。精白ロール(図示せず)で精白された精白米は順次白米タンク12に排出される。また、精米装置2で発生した糠は糠貯留部8に貯留される。
【0016】
ここでロータリバルブ11の駆動を開始して精米装置2まで玄米を搬送するまでの処理工程を精白初期処理工程と呼び、その後の精米装置2から精白米が継続して白米タンク12排出される工程を精白処理工程と呼ぶ。
【0017】
精白処理工程を経て投入ホッパセンサ3aが穀粒無しを検出すると残留玄米処理工程を行なう。まずロータリバルブ11が停止し、石抜装置7内の石抜選別盤7aに貯留された石を石貯留箱7bに排出し次いで石抜選別盤7a上の残留玄米を残留玄米通路7cから第二昇降機10を経て玄米タンク2aに供給する。
【0018】
そして、玄米タンク2a内の玄米の精米処理が進み、玄米タンク2aの下部に設ける玄米タンク下限センサsが穀粒無しを検出してから所定時間経過すると精米装置2が停止し精米設備の駆動が終了する。
【0019】
次に精白処理工程中、すなわち、投入ホッパセンサ3bが穀粒有りを検出している状態で精白処理作業がなされている途中で、投入したプリペイドカード又はコインの料金の残高がなくなる場合の処理工程について説明する。
【0020】
まずコインについて説明すると、コイン投入口tに投入したコインの残高が無くなる直前に「コインを追加投入してください」というアナウンスが音声出力装置r から流れる。利用者がコインを追加すると継続して精白処理工程は行なわれる。このとき追加の料金を投入しない場合には精米設備の装置各部は前述の残留玄米処理工程を行なうことなく停止するが、停止後に料金を追加投入すると精白処理工程が再開される。
【0021】
次に、プリペイドカードの場合には、プリペイドカードの残高がなくなると前述の残留玄米処理工程を行なう。そして、投入ホッパ3内に残った玄米は利用者が持ち帰りボタン6を押すとロータリバルブ11で繰り出された玄米は第一昇降機9から持ち帰り通路40を経て穀粒返却口41から返却されるのを袋に入れて持ち帰るようにする。
【0022】
決済手段がコインの場合は利用者が余分なコインを持参していると想定され、料金の不足分は追加料金を入れることで、精白処理工程を継続して行なうことができる。仮に追加料金を投入するタイミングが遅れて精米設備が精白処理工程中に一旦停止しても、追加料金を投入することで精白処理工程から再開する構成とする。
【0023】
つまり、残高が無くなったときに一旦残留玄米処理工程を行なうと、追加料金を入れて再度精白処理工程を行なうまで前述の精白初期処理工程を経なければならない、残留玄米処理工程と精白初期処理工程に要する時間の分精白処理工程が再開するまでに時間のロスが発生してしまう。本実施の形態は迅速に精白処理を行なうことができるものである。
【0024】
一方、決済手段がプリペイドカードの場合は利用者が余分なプリペイドカードやコインを持参していない場合が想定され、精白処理工程途中で停止すると精米設備内に玄米が残留したままになり取り出せなくなってしまうため、残留玄米処理工程を行なうことでその不都合を回避することができる。特にプリペイドカード専用の精米設備の場合に有効である。
【0025】
以下、本実施の形態の精米設備の他に特徴的な構成と効果について説明する。
本実施の形態の精米設備ではコイン投入口tに投入した金額情報をカードリードライタ20でプリペイドカードに書き込むことができる。その場合利用者が料金投入部Wにあるカード書き込みスイッチ30を押すことで行なわれる。この構成により同じプリペイドカードを何度も使用することができ、しかも、精米設備でカードの書き込みを行なうことができるので利用者にとって便利になる。
【0026】
また、カードとコインを両方を投入して、精白処理作業を行なって残金が出た場合に、残金を全てカードに書き込むようにする構成としても良い。この場合、釣銭の取り忘れを防止することができると共に、プリペイドカードの使い勝手を向上させることができる。
【0027】
また、精白処理工程中にプリペイドカードの残高が無くなった場合に、一単価分(三分)のみ継続して精白処理工程を行なうように構成しても良い。すなわち、投入ホッパ3内に残る玄米が少なくなった状態でプリペイドカードの残高がなくなることが想定される。この時、プリペイドカードの場合は一単価分継続して無料で精白処理する構成にすることで投入ホッパ3内の少なくなった玄米を全て精白処理することができるため、プリペイドカードのメリットを向上させることができ、プリペイドカード式の精米設備の普及につながる。
【0028】
あるいはプリペイドカードの残高が一単価(百円)分より低い金額(例えば五十円)が残った場合には、一単価の駆動時間より短いその残高に対応する時間(例えば九十秒)駆動する構成としても良い。この構成にすると、プリペイドカードを使い切ることができるのでプリペイドカードの利便性が向上する。
【0029】
また、精米設備の管理者がメンテナンスで精米設備を駆動させるときの運転記録について説明する。
精米設備の運転記録は図7に示すように運転時刻(ロ)と料金(ハ)と単価(二)と穀粒種別及び精白度(ホ)やその他エラー(へ)等の各種履歴が印字用紙45に記載されている。そして、試運転時の運転記録は運転時間だけ記録し、料金を記載しない構成(イ)としている。そのことにより試運転か利用者による運転かを区別することができる構成としている。
【0030】
また、紙幣を使用できる精米設備にする場合は紙幣を識別するビルバリデータ24を用いるが、図4のようにカードリードライタ20と共通のインターフェイス25を用いる構成としても良い
【産業上の利用可能性】
【0031】
本実施の形態のカードはプリペイドカードについて記載されているが、ICカードをカード読み取り機(図示せず)にかざしてカードの残高から差し引く構成にすることができる。あるいは携帯電話を携帯電話読み取り機(図示せず)にかざしてその情報を読み取ることで精米設備を使用するときの決済が可能である。
【0032】
なお、携帯電話で決済する場合に、前述の残留玄米処理工程が開始されたときに携帯電話に通報する構成としても良い。そうすることで精白処理工程中は例えば最寄の店で買い物をするなど精米設備から離れた場所で所用を行い、残留玄米処理工程の開始を知らされることで精米処理終了時に精米設備に戻って精白米を回収することができ、白米タンクに精白米が貯留されたままで放置して次の利用者に迷惑をかけることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】精米設備の工程図
【図2】精米設備の平面図
【図3】ブロック図
【図4】ブロック図
【図5】操作部を示す図
【図6】料金投入部を示す図
【図7】運転履歴の印字データ
【図8】精白処理作業のフローチャート
【符号の説明】
【0034】
3a 投入口
11 ロータリバルブ(繰り出し手段)
9 第一昇降機(搬送手段)
10 第二昇降機(搬送手段)
p プリペイドカード挿入口
t コイン投入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が持参する穀粒を投入する投入口(3a)と、該投入口(3a)に投入した穀粒を繰り出す繰り出し手段(11)と、該繰り出し手段(11)で繰り出された穀粒を搬送する搬送手段(9,10)と、該搬送手段(9,10)で搬送された穀粒を精白処理する精米装置(2)と、該精米装置(2)と前記搬送手段(9,10)と繰り出し手段(11)を駆動するための料金をカードで決済するカード決済手段とを設けた精米設備において、
精白処理中に前記カードに入力された残高が無くなると、繰り出し手段(11)の駆動を停止した状態で搬送手段(9,10)や精米装置(2)に残留する穀粒の処理を行ない、該残留する穀粒の処理を行った後に搬送手段(9,10)と精米装置(2)の駆動を停止する構成としたことを特徴とする精米設備。
【請求項2】
精米装置(2)と前記搬送手段(9、10)と繰り出し手段(11)を駆動するための料金をコインで決済するコイン決済手段を設け、精白処理中に投入したコインの残高が無くなると、精米装置(2)と搬送手段(9,10)に穀粒が残留している状態で繰り出し手段(11)と精米装置(12)と搬送手段(9,10)とを停止することを特徴とする請求項1記載の精米設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−9370(P2009−9370A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−170408(P2007−170408)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】