精製および治療方法のためのTGF−βスーパーファミリータンパク質およびペプチドの使用
TGF−βスーパーファミリーメンバーおよびメンバータンパク質に基づくペプチド断片が、メンバータンパク質含有溶液を精製するために、または治療剤として使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2006年6月2日に出願した米国仮特許出願第60/810,798号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、TGF−βスーパーファミリーのペプチドおよびタンパク質ならびにそれらの変異体の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞の増殖、分化および機能の天然の制御因子は、重要な医薬品、臨床および実験ツール、ならびに治療介入の標的を提供している。種々のこうした制御因子は、基本的な細胞の分化および発達経路に重大な影響を与えることが示されている。トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF−β)スーパーファミリーは、細胞の増殖、移動、分化およびアポトーシスを含む種々の細胞機能を制御する多機能タンパク質の大きなファミリーである。創始メンバーであるTGF−βは、胚のパターン形成から成体組織における細胞増殖制御まで種々の役割を果たすことが示されている。TGF−βは、一連の特定の遺伝子の発現を最終的に活性化および/または抑制するシグナル伝達カスケードにより、生物学的機能を発揮する。他のTGF−βスーパーファミリーメンバーには、TGF−βファミリー、増殖分化因子(GDF)、アクチビン、インヒビン、骨形成タンパク質(BMP)、および他の関連するリガンドが含まれる。BMPが媒介するシグナル伝達は、骨成長を含む種々の正常なプロセス、ならびに神経系、眼および腎臓などの器官の機能にとって重要である。BMPは、軟骨、骨および結合組織の誘導、ならびに腎臓、歯、腸、皮膚および毛の発達における役割を含む、異なる生物学的背景において多様な生物活性を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
BMPは、実験室で生成することができるが、この物質の精製に便利な手順はほとんどなく、精製方法の開発は、その場限りで時間がかかる場合が多く、精製過程は開発するのに最大6カ月を要することもある。したがって、BMPおよびTGF−βスーパーファミリーの他のメンバーを精製するためのより効率的な方法を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が特に明確に指示しない限り複数の参照を含む。したがって、例えば、「細胞(a cell)」とは、複数のこのような細胞(cells)を含み、「抗体(an antibody)」とは、1つまたは複数の抗体(antibodies)および当業者に既知のこの同等物を指す、などとなる。
【0006】
用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、および「オリゴヌクレオチド」とは、DNAおよびRNA中の一連のヌクレオチド塩基(「ヌクレオチド」とも呼ばれる)を指し、2つ以上のヌクレオチドの任意の鎖を意味する。ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖のキメラ混合物もしくは誘導体またはこれらの修飾版であり得る。オリゴヌクレオチドは、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーションパラメータなどを改善するため、塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格で修飾され得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルキュエオシン(galactosylqueosine)、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−メチルアデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルキュエオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、プソイドウラシル、キュエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、および2,6−ジアミノプリンを含むがこれらに限定されない群から選択される、修飾塩基部分を含み得る。ヌクレオチド配列は典型的には、タンパク質および酵素を作るための細胞機構に使用される情報を含む遺伝情報を保有する。これらの用語には、二本または一本鎖ゲノムおよびcDNA、RNA、任意の合成および遺伝子操作ポリヌクレオチド、ならびにセンスおよびアンチセンスポリヌクレオチドの両方が含まれる。これには、一本鎖および二本鎖分子、すなわち、DNA−DNA、DNA−RNAおよびRNA−RNAハイブリッド、ならびにアミノ酸骨格との結合塩基により形成される「タンパク質核酸(PNA)」が含まれる。これには、修飾塩基、例えば、チオ−ウラシル、チオ−グアニン、およびフルオロ−ウラシルを含有する、または炭水化物、もしくは脂質を含有する核酸が含まれる。
【0007】
本発明の実施形態で使用するためのポリヌクレオチドは、当技術分野で既知の標準的方法により、例えば、自動DNA合成装置(Biosearch社、Applied Biosystems社などから市販されているものなど)を使用して合成することができる。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Steinら、Nucl.Acids Res.16、3209頁、(1988年)の方法により合成することができ、メチルホスホン酸オリゴヌクレオチドは、制御多孔質ガラス支持担体(Sarinら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85、7448〜7451頁、(1988年))などの使用により調製することができる。アンチセンスDNAまたはRNAを細胞にデリバリーするにはいくつかの方法が開発されている。例えば、アンチセンス分子は、組織部位に直接注入することができ、または所望の細胞を標的にするよう設計された修飾アンチセンス分子(標的細胞表面で発現した受容体または抗原に特異的に結合するペプチドまたは抗体と結合したアンチセンス)は、全身投与することができる。あるいは、RNA分子は、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列のインビトロおよびインビボ転写により生成することができる。こうしたDNA配列は、T7またSP6ポリメラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターを組み込む多種多様なベクターに組み込むことができる。あるいは、使用されるプロモーターに応じて、アンチセンスRNAを構成的にまたは誘導的に合成するアンチセンスcDNA構築物は、細胞系に安定に導入することができる。しかし、内在性mRNAの転写を抑制するのに十分なアンチセンス細胞内濃度を達成することは難しい場合が多い。したがって、好ましいアプローチは、アンチセンスオリゴヌクレオチドが強力なプロモーターの制御下に置かれる組換えDNA構築物を利用する。患者での標的細胞をトランスフェクトするような構築物の使用は、内在性の標的遺伝子転写物に相補的な塩基対を形成する一本鎖RNAの十分な量の転写をもたらし、これにより標的遺伝子mRNAの翻訳を妨げる。例えば、ベクターは、細胞に取り込まれ、アンチセンスRNAの転写を導くようにインビボで導入することができる。このようなベクターは、所望のアンチセンスRNAを生成するように転写され得る限り、エピソームとして残存し得る、または染色体に組み込まれるようになり得る。このようなベクターは、当技術分野で標準的な組換えDNA技術方法により構築することができる。ベクターは、プラスミド、ウイルス、または哺乳動物細胞での複製および発現に使用される、当技術分野で既知の他のものであってよい。アンチセンスRNAコード配列の発現は、哺乳動物、好ましくはヒト細胞において作用する当技術分野で既知の任意のプロモーターによるものであり得る。このようなプロモーターは、誘導的または構成的であり得る。このようなプロモーターには、SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon、Nature、290、304〜310頁、(1981年))、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復に含有されたプロモーター、Yamamotoら、Cell、22、787〜797頁、(1980年)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター、Wagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 78、1441〜1445頁、(1981年)、メタロチオネイン遺伝子の制御配列、Brinsterら、Nature 296、39〜42頁、(1982年)などが含まれるが、これらに限定されない。いずれの種類のプラスミド、コスミド、酵母人工染色体またはウイルスベクターも、組織部位に直接導入することができる組換えDNA構築物を調製するのに使用することができる。あるいは、所望の組織を選択的に感染させるウイルスベクターを使用することができ、この場合、投与は別の経路(例えば、全身)で実現され得る。
【0008】
ポリヌクレオチドは、天然の制御(発現制御)配列に隣接され得、またはプロモーター、内部リボソーム侵入部位(IRES)および他のリボソーム結合部位配列を含む異種配列、エンハンサー、応答エレメント、サプレッサー、シグナル配列、ポリアデニル化配列、イントロン、5’および3’非コード領域などを伴い得る。核酸もまた、当技術分野で既知の多くの手段により修飾され得る。このような修飾の非限定例には、メチル化、「キャップ」、類似体との1つまたは複数の天然に存在するヌクレオチドの置換、ならびに例えば、非電荷結合(例えば、ホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート、カルバミン酸塩など)および電荷結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を有するものなどヌクレオチド間修飾が含まれる。ポリヌクレオチドは、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、鉄、酸化金属など)、およびアルキル化剤など、1つまたは複数の別の共有結合部分を含有し得る。ポリヌクレオチドは、メチルもしくはエチルホスホトリエステルまたはアルキルホスホルアミド結合の形成により誘導体化され得る。さらに、本明細書ではポリヌクレオチドは、検出可能なシグナルを直接的または間接的に提供できる標識で修飾することもできる。例示的標識には、放射性同位元素、蛍光分子、ビオチンなどが含まれる。
【0009】
当技術分野で周知の通り、「同一性」または「類似性」は、配列比較により判定された、2つ以上のポリペプチド配列または2つ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当技術分野では、同一性は、このような配列の鎖間の一致により判定した、ポリペプチド配列間の配列関連性の程度も意味する。同一性および類似性はいずれも、以下に記載されたもののような既知の方法により容易に算出することができる:Computational Molecular Biology、Lesk,A.M.編、Oxford University Press、ニューヨーク、1988年;Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith,D.W.編、Academic Press、ニューヨーク、1993年;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje,G.、Academic Press、1987年;Computer Analysis of Sequence Data、Part I、Griffin,A.M.、およびGriffin,H.G.編、Humana Press、ニュージャージー、1994年;およびSequence Analysis Primer、Gribskov,M.およびDevereux,J.編、M Stockton Press、ニューヨーク、1991年。配列間の同一性または類似性を判定するのに一般に使用される方法には、Carillo,H.、およびLipman,D.、SIAM J Applied Math.、48:1073頁(1988年)に開示されたものが含まれるが、これに限定されない。同一性および類似性の判定方法は、公的に利用可能なコンピュータプログラムに盛り込まれている。2つの配列間の同一性および類似性を判定する好ましいコンピュータプログラム方法には、GCGプログラムパッケージ、Devereux,J.ら、Nucleic Acids Research、12(1)、387頁(1984年)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA Atschul,S.F.ら、J Molec.Biol.、215、403頁(1990年)が含まれるが、これらに限定されない。
【0010】
「相同の(homologous)」とは、2つのポリマー(すなわち、ポリペプチド分子または核酸分子)間の配列類似性の程度を指す。本明細書で引用される相同性パーセンテージ値は、2つのポリマー間で起こり得る最大相同性、すなわち、2つのポリマーが、一致する(相同な)位置を最大数有するように配列された場合のパーセント相同性を反映する。
【0011】
用語「パーセント相同性」とは、ポリペプチド間のアミノ酸配列同一性の程度を指す。任意の2つのポリペプチド間の相同性は、どちらかの配列における特定の位置で一致するアミノ酸総数の一次関数であり、例えば、どちらかの配列におけるアミノ酸総数の半分が同じの場合、2つの配列は50%相同性を示すと言われる。
【0012】
ポリペプチドを指す場合の用語「断片」、「類似体」、および「誘導体」とは、元のポリペプチドと同じ生物学的機能または活性を本質的に保持し得るポリペプチドを指す。したがって、類似体には、前駆体タンパク質部分の切断により活性化され活性な成熟ポリペプチドを生成することができる前駆体タンパク質が含まれ得る。ポリペプチドの断片、類似体、または誘導体は、1つまたは複数のアミノ酸が保存的または非保存的アミノ酸残基で置換されたものであり得、このようなアミノ酸残基は、遺伝情報にコードされたもの、または1つもしくは複数のアミノ酸残基が置換基を含むもの、またはポリペプチドの半減期を増加させるためポリペプチドがポリエチレングリコールなどの化合物と融合されたもの、または別のアミノ酸が、シグナルペプチドなどのポリペプチドまたはポリペプチドもしくは前駆体タンパク質の精製に使用されるポリヒスチジンタグなどの配列に融合されたものである場合またはない場合がある。このような断片、類似体、または誘導体は、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0013】
用語「ポリペプチド」とは、ポリマーの長さに関係なくアミノ酸のポリマーを指す。したがって、「ペプチド」、「オリゴペプチド」、および「タンパク質」は、ポリペプチドの定義内に含まれ、本明細書では互換的に使用される。この用語はまた、本発明のポリペプチドの化学または発現後修飾を特定または除外しないが、これらのポリペプチドの化学または発現後修飾は、特定の実施形態として含まれるまたは除外される場合がある。したがって、例えば、グリコシル基、アセチル基、リン酸基、脂質基などの共有結合を含むポリペプチドに対する修飾は、用語ポリペプチドにより明白に包含される。さらに、これらの修飾を有するポリペプチドは、本発明に含まれるまたは除外される個々の種として特定され得る。上記例に挙げられたものなど、天然または他の化学修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノまたはカルボキシル末端を含むポリペプチドのどこにでも生じ得る。同じ種類の修飾は、特定のポリペプチドにおけるいくつかの部位で同程度または種々の程度に存在し得ることを理解されたい。また、特定のポリペプチドは、多くの種類の修飾も含有し得る。ポリペプチドは、例えば、ユビキチン化の結果分岐され得、およびポリペプチドは、分岐の有無に関わらず環状であり得る。修飾には、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋形成、システイン形成、ピログルタミン酸形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化など転移RNAに媒介されたタンパク質へのアミノ酸付加、およびユビキチン化が含まれる。(例えば、proteins−−structure and molecular properties、第2版、T.E.Creighton、W.H.Freeman and Company、ニューヨーク(1993年);posttranlational covalent modification of proteins、b.c.Johnson編、Academic Press、ニューヨーク、1〜12頁、1983年;Seifterら、Meth Enzymol 182:626〜646頁、1990年;Rattanら、Ann NY Acad Sci 663:48〜62頁、1992年参照)。また、1つまたは複数のアミノ酸類似体(例えば、天然に存在しないアミノ酸、無関係の生物系でのみ天然に存在するアミノ酸、哺乳動物系由来の修飾アミノ酸、種々のアミノ酸の立体異性体などを含む)を含有するポリペプチド、置換結合を有するポリペプチド、ならびに当技術分野で知られている、天然に存在する他の修飾と天然に存在しない他の修飾の両方が、定義内に含まれる。用語「ポリペプチド」はまた、用語「タンパク質」または「ペプチド」と互換的に使用される場合もある。
【0014】
用語「フィンガー1ペプチド類似体」とは、TGF−ベータスーパーファミリーメンバーのフィンガー1領域の一部と少なくとも75%相同であるオリゴペプチドを指す。いくつかの実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は、野生型配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%相同である。特定の実施形態では、オリゴペプチドは、少なくとも8アミノ酸残基、少なくとも16アミノ酸残基、または少なくとも24アミノ酸残基を含む。フィンガー1ペプチド類似体は、1つまたは複数のアミノ酸が改変または欠失された変異体であり得、非天然または修飾されたアミノ酸残基を含み得る。
【0015】
用語「ペプチド」とは、2つ以上のアミノ酸の任意のポリマーを指し、各アミノ酸は、隣接するアミノ酸のNH2基とCOOH基との間で形成されるペプチド結合(−−CONH−−)を介して1つまたは2つの他のアミノ酸に結合される。1つの実施形態では、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸、特にL−エナンチオマー型アルファ−アミノ酸である。しかし、他のアミノ酸、エナンチオマー型、およびアミノ酸誘導体は、ペプチドに含まれ得る。ペプチドには、加水分解で2つを超えるアミノ酸を生じる「ポリペプチド」が含まれる。ポリペプチドには、典型的には50個以上のアミノ酸を含むタンパク質が含まれる。
【0016】
本発明の実施形態によるポリペプチドは、単離型で提供され得、均質になるまで精製され得る。特定の例でのポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、少なくとも90%純粋、少なくとも95%純粋、少なくとも98%純粋、または少なくとも99%純粋である。
【0017】
用語「ポリペプチド」とは、ポリマーの長さに関係なくアミノ酸のポリマーを指す。したがって、「ペプチド」、「オリゴペプチド」、および「タンパク質」は、ポリペプチドの定義内に含まれ、本明細書では互換的に使用される。この用語はまた、本発明のポリペプチドの化学または発現後修飾を特定または除外しないが、これらのポリペプチドの化学または発現後修飾は、特定の実施形態として含まれるまたは除外される場合がある。したがって、例えば、グリコシル基、アセチル基、リン酸基、脂質基などの共有結合を含むポリペプチドに対する修飾は、用語ポリペプチドにより明白に包含される。さらに、これらの修飾を有するポリペプチドは、本発明に含まれるまたは除外される個々の種として特定され得る。上記例に挙げられたものなど、天然または他の化学修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノまたはカルボキシル末端を含むポリペプチドのどこにでも生じ得る。同じ種類の修飾は、特定のポリペプチドにおけるいくつかの部位で同程度または種々の程度に存在し得ることを理解されたい。また、特定のポリペプチドは、多くの種類の修飾も含有し得る。ポリペプチドは、例えば、ユビキチン化の結果分岐され得、およびポリペプチドは、分岐の有無に関わらず環状であり得る。修飾には、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋形成、システイン形成、ピログルタミン酸形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化など転移RNAに媒介されたタンパク質へのアミノ酸付加、およびユビキチン化が含まれる。(例えば、proteins−−structure and molecular properties、第2版、T.E.Creighton、W.H.Freeman and Company、ニューヨーク(1993年);posttranlational covalent modification of proteins、b.c.Johnson編、Academic Press、ニューヨーク、1〜12頁、1983年;Seifterら、Meth Enzymol 182:626〜646頁、1990年;Rattanら、Ann NY Acad Sci 663:48〜62頁、1992年参照)。また、1つまたは複数のアミノ酸類似体(例えば、天然に存在しないアミノ酸、無関係の生物系でのみ天然に存在するアミノ酸、哺乳動物系由来の修飾アミノ酸などを含む)を含有するポリペプチド、置換結合を有するポリペプチド、ならびに当技術分野で知られている、天然に存在する他の修飾と天然に存在しない他の修飾の両方が、定義内に含まれる。用語「ポリペプチド」はまた、用語「タンパク質」または「ペプチド」と互換的に使用される場合もある。
【0018】
用語「ペプチド」とは、2つ以上のアミノ酸の任意のポリマーを指し、各アミノ酸は、隣接するアミノ酸のNH2基とCOOH基との間で形成されるペプチド結合(−−CONH−−)を介して1つまたは2つの他のアミノ酸に結合される。好ましくは、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸、特にL−エナンチオマー型アルファ−アミノ酸である。しかし、他のアミノ酸、エナンチオマー型、およびアミノ酸誘導体は、ペプチドに含まれ得る。ペプチドには、加水分解で2つを超えるアミノ酸を生じる「ポリペプチド」が含まれる。ポリペプチドには、典型的には50個以上のアミノ酸を含むタンパク質が含まれる。
【0019】
用語「単離された(isolated)」は、物質が、この元のまたは天然の(native)環境(例えば、物質が天然に存在する場合の自然の(natural)環境)から除去されることを意味する。したがって、生きた動物に存在する、天然に存在するポリペプチドが単離されるのではなく、自然系における共存物質のいくつかまたはすべてからヒトの介入により分離された、同じポリペプチドが単離される。ポリペプチドは、組成物の一部となり得、およびこのようなベクターまたは組成物は、本来見い出される環境の一部ではないという点で、依然として単離され得る。同様に、用語「実質的に精製された」とは、物質が本来発生する直接の化学環境から、ヒトの介入を介して、分離されたまたはさもなければ除去された物質を指す。実質的に精製されたポリペプチドは、当技術分野で一般に周知の任意のいくつかの方法および手順により得るまたは生成することができる。
【0020】
用語「精製」とは、試料中の1つの特定のポリペプチドまたは複数のポリペプチドの特定の活性または濃度を増加させることを指す。1つの実施形態では、特定の活性は、試料中の標的ポリペプチド活性と総ポリペプチド濃度との間の比で表される。別の実施形態では、特定の活性は、標的ポリペプチド濃度と総ポリペプチド濃度との間の非で表される。精製方法には、当業者にはよく知られた手順である、透析、遠心分離、およびカラムクロマトグラフィー法が含まれるがこれらに限定されない。例えば、Youngら、1997年、「Production of biopharmaceutical proteins in the milk of transgenic dairy animals」、BioPharm 10(6):34〜38頁参照。
【0021】
「結合している(associated with)」:本明細書に記載の通り2つの実体(entity)が互いに「結合している」場合、これらは直接または間接の共有または非共有結合相互作用により連結されている。好ましくは、結合は共有結合性である。望ましい非共有結合相互作用には、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁気相互作用、静電相互作用などが含まれる。
【0022】
用語「単離された(isolated)」は、物質が、この元のまたは天然の環境(例えば、物質が天然に存在する場合の自然の環境)から除去されることを意味する。したがって、生きた動物に存在する、天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドが単離されるのではなく、自然系における共存物質のいくつかまたはすべてからヒトの介入により分離された、同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドが単離される。例えば、「単離された核酸断片」は、所望により合成、非天然または改変ヌクレオチド塩基を含有する、一本鎖または二本鎖のRNAまたはDNAポリマーである。DNAポリマーの形で単離された核酸断片は、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの1つまたは複数のセグメントからなり得、炭水化物、脂質、タンパク質または他の物質と結合され得る。このようなポリヌクレオチドは、ベクターの一部となり得、および/またはこのようなポリヌクレオチドもしくはポリペプチドは、組成物の一部となり得、ならびにこのようなベクターまたは組成物は、本来見い出される環境の一部ではないという点で、依然として単離され得る。同様に、用語「実質的に精製された」とは、物質が本来発生する直接の化学環境から、ヒトの介入を介して、分離されたまたはさもなければ除去された物質を指す。実質的に精製されたポリペプチドまたは核酸は、当技術分野で一般に周知の任意のいくつかの方法および手順により得るまたは生成することができる。
【0023】
用語「実質的に純粋」および「単離された」は、本来ポリペプチドとは関連がない物質とのポリペプチドの混合物を除外するものではない。
【0024】
哺乳動物細胞系により生成された外来タンパク質を発現および回収する一般的な方法は、例えば、Etcheverry、「Expression of Engineered Proteins in Mammalian Cell Culture」、Protein Engineering:Principles and Practice、Clelandら(編)、163頁(Wiley−Liss,Inc.1996年)により提供される。細菌系により生成されたタンパク質を回収する標準的方法は、例えば、Grisshammerら、「Purification of over−produced proteins from E.coli cells」、DNA Cloning 2:Expression Systems、第2版、Gloverら(編)、59〜92頁(Oxford University Press 1995年)により提供される。昆虫細胞の形質転換およびこれにおける外来ポリペプチドの生成は、Guarinoら、米国特許第5162222号およびWIPO公開WO94/06463により開示される。バキュロウイルス系由来の組換えタンパク質の単離方法も、Richardson(編)、「Baculovirus Expression Protocols」(The Humana Press,Inc.1995年)により記載されている。1つの実施形態では、本発明のポリペプチドは、バキュロウイルス発現系を用いて発現することができる(それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Luckowら、Bio/Technology、1988年、6、47頁、「Baculovirus Expression Vectors:a Laboratory Manual」、O’Riellyら(編)、W.H.Freeman and Company、ニューヨーク、1992年、米国特許第4,879,236号参照)。さらに、MAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen社)は、例えば、昆虫細胞での生成に使用することができる。
【0025】
本発明の種々の実施形態によるポリペプチドは、特定の特性を活用して単離することもできる。例えば、固定化金属イオン吸着(IMAC)クロマトグラフィーは、ポリヒスチジンタグを含むタンパク質を含む、ヒスチジンリッチタンパク質の精製に使用することができる。簡単には、ゲルを最初に二価金属イオンで荷電してキレートを形成する(Sulkowski、Trends in Biochem.3:1頁(1985年))。ヒスチジンリッチタンパク質は、使用する金属イオンによりアフィニティーの異なるこのマトリックスに吸着され、競合的溶出、pH低下、または強力なキレート剤の使用により溶出される。他の精製方法には、レクチンアフィニティークロマトグラフィーおよびイオン交換クロマトグラフィーによるグリコシル化タンパク質精製が含まれる(M.Deutsher、(編)、Meth.Enzymol.182:529頁(1990年))。本発明のさらなる実施形態内では、目的とするポリペプチドおよびアフィニティータグの融合(例えば、免疫グロブリンドメインである、マルトース結合タンパク質)が、精製を促進するのに構築され得る。
【0026】
用語「インビトロ」とは、人工環境および人工環境内で生じる反応または過程を指す。インビトロ環境には、試験管および細胞培養が含まれるが、これらに限定されない。用語「インビボ」とは、自然環境(例えば、動物または細胞)および自然環境内で生じる過程または反応を指す。
【0027】
用語「表現型」とは、細胞または生物の観察可能な特性を指す。このような観察可能な特性は、外見の他、細胞または生物に存在する特定の生理学的組成物のレベルを含むことができる。
【0028】
用語「シグナル伝達経路」とは、細胞膜を介して細胞外シグナルを伝播し細胞内シグナルとなる分子を指す。このシグナルは、次いで細胞応答を刺激することができる。シグナル伝達過程に関与するポリペプチド分子は、受容体および非受容体タンパク質チロシンキナーゼであり得る。
【0029】
「受容体」とは、一般に特定の物質の選択的結合を特徴とする、細胞内または細胞表面の分子構造を指す。
【0030】
用語「化合物」または「薬剤」は、本明細書では互換的に使用され、1つもしくは複数の化合物、または対象(ヒトまたは動物)に投与された場合、局所および/もしくは全身作用により所望の薬理学的および/もしくは生理学的効果を誘発する組成物を指す。
【0031】
用語「対象」とは、ヒト、またはヒト以外の対象を含む、任意の哺乳動物を指す。ヒト以外の対象には、実験、試験、農業、エンターテインメントまたはコンパニオン動物を含めることができる。対象は、ヒトであってよい。対象は、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタなどの家畜であってよい。対象は、マウス、ラット、ウサギ、サルなどの実験動物であってよい。
【0032】
本明細書では、用語「小分子」は、天然に存在しようと(例えば、化学合成を介して)人工的に作製されようと、比較的低い分子量を有する分子を指すのに使用される。多くの実施形態では、小分子は単量体であり、約1500g/mol未満の分子量を有する。好ましい小分子は、これが、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトにおいて局所または全身効果を生むという点で生物学的に活性である。特定の好ましい実施形態では、小分子は薬剤である。必ずしもではないが、好ましくは薬剤は、適切な政府機関または団体により使用が安全および有効であると既にみなされているものである。例えば、参照により本明細書に組み込まれた、21 C.F.R.§§330.5、331から361、および440から460下にFDAにより列挙されたヒトへの使用のための薬剤、21 C.F.R.§§500から589下にFDAにより列挙された獣医学的使用のための薬剤は、すべて本発明による使用に許容可能であると考えられる。
【0033】
発明の要点
一態様では、本発明は、TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質の一部と少なくとも75%相同なペプチドで誘導体化されたクロマトグラフィー樹脂を含むクロマトグラフィー媒体である。メンバーは、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンであってよい。ペプチドは、該タンパク質の実質的に完全な分子であってよい。ペプチドは、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%相同であってよい。
【0034】
別の態様では、本発明は、TGF−βスーパーファミリーメンバーである増殖因子を含む試料を精製する方法である。その方法は、TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質の一部と少なくとも75%相同なペプチドで誘導体化されたクロマトグラフィー樹脂を含有するクロマトグラフィーカラムを提供することと、増殖因子が凝集する傾向がある条件下でカラムに試料を添加することと、増殖因子が溶解する傾向がある条件下でカラムから増殖因子を溶出することとを含む。ペプチドが増殖因子の一部である必要はない。
【0035】
別の態様では、本発明は、TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同なペプチドで誘導体化されたクロマトグラフィー樹脂を含むクロマトグラフィー媒体である。
【0036】
別の態様では、本発明は、溶媒中の骨形成タンパク質溶液であって、所定濃度の所定の骨形成タンパク質、およびTGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同な所定濃度のペプチドを含む溶液である。TGF−βスーパーファミリーメンバーは、所定の骨形成タンパク質であってよいが、所定の骨形成タンパク質である必要はない。
【0037】
別の態様では、本発明は、骨形成タンパク質溶液を安定化する方法である。その方法は、TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同な所定濃度のペプチドを、骨形成タンパク質溶液に添加することを含む。
【0038】
別の態様では、本発明は、骨形成タンパク質溶液に対し、TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同なペプチドおよび担体を含む組成物である。担体は、ゲル、ポリマー、脱塩骨、縫合糸、外科用メッシュ、セラミック、ミセル、または上記の任意の組合せであってよい。例えば、担体は、緩衝溶液、コラーゲン、コラーゲンスポンジ、またはセルロースベースの物質を含んでよい。あるいは、またはさらには、担体は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースを含めた、1つまたは複数の(ヒドロキシアルキルセルロースを含めた)アルキルセルロースを含んでよい。いくつかの実施形態では、担体は、ポリグリコネート、ヒアルロン酸、ポリ乳酸、ポリ(エチレングリコール)、アルギン酸ナトリウム、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレンオキシド、カルボキシビニルポリマー、およびポリ(ビニルアルコール)を含んでよい。ペプチドは、1つまたは複数の結合ポリ(プロピレングリコール)、結合シアリル基、結合ポリシアリル鎖、修飾アミノ酸の取り込み、非天然アミノ酸の取り込み、鎖間共有結合、鎖内共有結合、鎖間非共有結合、鎖間非共有結合、および提示(presentation)エンハンサーにより安定化され得る。
【0039】
別の態様では、本発明は、TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同なペプチドに細胞集団を接触させることと、ペプチドが存在する場合対ペプチドが存在しない場合の細胞特性の変化を検出することとを含むアッセイ方法である。特性は、細胞周期における時期、遺伝子またはタンパク質の発現、目に見えるまたは測定可能な表現型特性、遺伝子またはタンパク質の発現レベル、および受容体からのシグナル伝達から選択され得る。方法は、TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質に細胞を接触させることをさらに含み得る。ペプチドは、特定の高次構造に束縛され得る。
【0040】
別の態様では、本発明は、TGF−βスーパーファミリーメンバーの一部のフィンガー1ペプチドと少なくとも75%相同なペプチドの既知量に細胞集団を接触させることと、受容体に結合しないペプチド量の変化を検出することとを含むアッセイ方法である。受容体は、TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質に接触され得る。
【0041】
別の態様では、本発明は、TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同なペプチドと、動物からの除去に関してペプチドのインビボ安定性を高める薬剤とを含む組成物である。
【0042】
別の態様では、本発明は、TGF−βスーパーファミリーメンバーの一部のフィンガー1ペプチドと少なくとも75%相同なペプチドおよび小分子の既知量に受容体集団を接触させることと、小分子が存在する場合対小分子が存在しない場合の、受容体に結合しないペプチド量の変化を検出することとを含むアッセイ方法である。
【0043】
本発明を、以下の図面のいくつかの図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】フィンガー領域および種々のヘリックスおよびβシートを示す、BMP−2の概略図である(出典、Scheuflerら、J.Mol.Bio.(1999年)、287:103〜115頁)。
【図2】本発明の例示的な実施形態によるアフィニティークロマトグラフィー方法の概略図である。
【図3】固定化されたBMP−12を使用したカラムからのBMP−3の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図4】固定化されたBMP−2を使用したカラムからのBMP−3の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図5】固定化されたBMP−12を使用したカラムからのBMP−12の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図6】固定化されたBMP−2を使用したカラムからのBMP−12の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図7】固定化されたBMPを使用した逆相HPLCカラムからの種々のBMPの溶出を示す、SECゲルの写真の組(A:非還元、B:還元)である。
【図8】固定化されたBMP−2変異体断片を使用したカラムからのBMP−3の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図9】固定化されたBMP−12野生型断片を使用したカラムからのBMP−3の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図10】固定化されたBMP−2変異体断片を使用したカラムからのBMP−12の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図11】固定化されたBMP−2変異体断片を使用したカラムからのBMP−12の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図12】固定化されたBMP−2変異体断片を使用したカラムからのGDF−9の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図13】NaClおよび2−メチル−2,4−ペンタンジオール(50mMトリス中、pH8)の濃度に対する0.5mg/mL BMP−12溶液の濁度を示すグラフである。
【図14】BMP−フィンガーペプチドと結合させ、種々の条件下でBMP−12を添加した樹脂からの溶出液のSEC後のゲルの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
特定の実施形態では、BMPの第1フィンガーペプチドの一部が、アフィニティークロマトグラフィーを実施するのに使用される。TGF−βスーパーファミリーメンバーの二次構造は、βシートの鎖にほぼ垂直な4つのターンアルファ−ヘリックスにより分けられた2つの逆平行βシートを特徴とする。2つのβシートの2番目は、ねじれたクロスオーバー高次構造を有する。該構造は、システイン残基対が鎖内ジスルフィド結合を形成するために形成されるシステインノットにより安定化される場合が多い。TGF−βスーパーファミリーのいくつかのメンバーは、二量体またはより高次の多量体の形成によりさらに安定化される。図1は、例示的なBMPである、BMP−2におけるフィンガー領域および種々のヘリックスおよびβシートを示す。TGF−βスーパーファミリーの多くのメンバーでは、βシートは9つのβ鎖に分けることができる。アルファ−2へリックスおよびβ5a鎖などのBMP−2の他の特徴は、TGF−βスーパーファミリーの全メンバーに見い出されるわけではない。このうちいくつかは、BMP−2では見い出されない別のへリックスおよびβ鎖を示す場合がある(Scheuflerら、J.Mol.Bio.(1999年)、287:103〜115頁)。
【0046】
TGF−βスーパーファミリーの例示的メンバーには、BMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8A、BMP8B/OP2、BMP9/GDF2、BMP10、BMP11/GDF11、BMP12/GDF7、BMP13/GDF6、BMP15、BMP16/ノーダル、BMP17/レフティーB、BMP18/レフティー2/TGF β4、αインヒビン、インヒビンβA、インヒビンβB、インヒビンβC、インヒビンβE/BMP14/GDF12、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、GDF1、GDF3/Vgr−2、GDF5、GDF8、GDF8、GDF9、GDF10/BMP3B、GDF15、アルテミン(artemin)、GDNF(グリア由来神経栄養因子)、ミュラー管抑制物質、ノルトリン(neuturin)、およびペルセフィン(persephin)が含まれるがこれらに限定されない。以下の考察はBMPを中心としたものであるが、この教示はTGF−βスーパーファミリーのいずれのメンバーにも適用され得る。
【0047】
BMPは、生理的pHで凝集および沈殿する傾向がある(Ruppertら、1996年、Eur J Biochem.1996年、237(1):295〜302頁)。いくつかの実施形態では、この傾向は、全BMPまたはこの第1フィンガードメイン由来のフィンガー1ペプチド類似体を、アフィニティークロマトグラフィー樹脂を生成するためのセファロースビーズ結合リガンドとして連結することにより活用された。
【0048】
クロマトグラフィー
図2は、本発明の特定の実施形態によるアフィニティー精製の原則を図示する。BMPまたはフィンガー1ペプチド類似体は、クロマトグラフィー媒体に固定化される。例示的媒体には、アガロース(例えば、セファロース(商標))、ポリスチレン、シリカ、デキストラン、およびアクリルアミドが含まれる。媒体は、次いで当業者に周知の方法によりカラムの中にスラリーにされる。カラムは、BMPの沈殿を支持する条件下でBMP含有溶液を添加される。1つの実施形態では、BMPは、硫酸デキストランまたはヘパリンのいずれかを、例えば、生理的pHで100マイクログラム/ミリリットル含有するCHO馴化培地からカラムに添加される。いくつかの実施形態では、溶液は、1.2M NaClも含んでよい。他の不純物は、BMPがカラムに依然として凝集している間にカラムから洗い流すことができる。BMPは、次いで溶媒和を促進する条件下でカラムから洗い流される。当業者は、添加用溶媒のイオン強度およびpHが、固定化フィンガー1ペプチド類似体および精製物質の種々の組合せに対し最適化され得ることを認識されよう。
【0049】
いくつかの実施形態では、添加剤は、精製物質の可溶性または不溶性を最適化するのに使用され得る。例えば、硫酸デキストランまたはヘパリンは、細胞により発現され分泌されている間にBMPの可溶化を支持するため培養培地へ添加され得る。カラムに添加する前に、馴化培地は、クロマトグラフィー過程の間、効率的な捕捉および/または凝集を促進するため高イオン強度に調節され得る。
【0050】
例示的なBMP可溶化剤は、当業者に周知であり、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、アルコール、アセトニトリル、プロピレングリコール、グリコール、トゥイーン80、CHAPS(3−((3−コルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)−1−プロパンスルホン酸)、L−アルギニン、6M尿素、および6Mグアニジン HClを含むがこれらに限定されない。当業者は、これらの溶媒は、BMPの可溶化に関し攻撃性が異なることを認識されよう。特定の実施形態では、BMPは、500mMアルギニン溶液または50mM酢酸で溶出される。
【0051】
例示的なBMP沈殿物は、当業者に周知であり、約5を超えるpHを有する溶媒、例えば、塩化ナトリウムを含む食塩水、リン酸塩、アンモニウムおよびナトリウムの硫酸塩、ならびにクエン酸を含むがこれらに限定されない。沈殿を促進する塩化ナトリウム濃度は、溶液のpHに依存する。いくつかのTGF−βタンパク質は、高塩濃度および低pH、またはこの逆の溶液で沈殿する。当業者は、特定のタンパク質に関する所望の沈殿特性を得るための塩濃度およびpHの最適化方法を認識されよう。
【0052】
BMPフィンガーペプチド断片は、フィンガー領域全体の代わりに使用され得る。クロマトグラフィーまたは下記の適用に使用される特定の配列は、少なくとも8、少なくとも16、または少なくとも24個のアミノ酸残基を有し得る。配列は、天然タンパク質の対応する領域と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%相同であり得る。いくつかの実施形態では、変異体は、天然配列におけるシステイン残基の代わりにセリン残基により形成され得る。これは、BMP凝集体の核形成を妨げる可能性のある、セファロースビーズ上のペプチド鎖間の架橋を減少することができる。
【0053】
ペプチド配列に対する修飾はまた、基質へのペプチドの結合を増加するために行われ得る。例えば、リジン終端ペプチドは、アミド結合形成を介してクロマトグラフィービーズに容易に結合される。所望のペプチドの天然配列が、まだリジン終端されていない場合、天然配列はリジン残基を結合するように修飾され得る。あるいは、またはさらには、ペプチドの1つの末端のみが基質ビーズに確実に結合されるように、ペプチドのN末端はアミド化され得、C末端はアセチル化され得る。別の実施形態では、ペプチドと基質ビーズとの間にスペーサーが挿入され得る。スペーサーは、ペプチドに別の高次構造的柔軟性を提供し、ペプチド凝集体の核形成に最適な二次構造を実現するためペプチドをより自由にする。スペーサーは、単純な有機鎖であってよく、または非結合アミノ酸配列であってよい。配列は、1つもしくは2つのアミノ酸オリゴマーであってよく、またはTGFβスーパーファミリーメンバーであるタンパク質もしくはいくつかの他のタンパク質の非結合部分と少なくとも部分的相同性を示してよい。あるいは、またはさらには、スペーサーは、TGFβスーパーファミリーメンバーであるタンパク質の一部と部分的相同性を示す部分および示さない部分を有してよい。いくつかの実施形態では、結合したペプチドの有効性は、自由末端がC末端であるかN末端であるかにより異なる場合がある。個々のアミノ酸はまた、除去され得、本明細書に記載の通りもしくは当業者に周知の他の方法により修飾され得、または置換され得る。
【0054】
BMP溶液安定剤
いくつかの実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は、種々の医薬的に許容可能な担体におけるBMP溶液を安定化するのに使用され得る。いくつかの実施形態では、BMPは、特定濃度のフィンガー1ペプチド類似体含有溶液で溶解される。いくつかの実施形態では、濃度比は1:1であるが、これは少なくても多くてもよい。任意の特定の理論に縛られず、フィンガー1ペプチド類似体は、該タンパク質の第1フィンガー領域と競合し、単量体BMPまたは二量体化BMPの多量体化を防ぐと考えられる。この結果、タンパク質より高いペプチド濃度、例えば、2:1、5:1、10:1、20:1、または30:1を有することが望ましい場合がある。
【0055】
いくつかの実施形態では、デリバリーされるタンパク質濃度は、担体1ccまたは1mlあたり約0.01から約4mg、例えば、1ccあたり約0.05mgから約1.5mgの範囲にある。BMPの例示的な担体には、治療組成物に関し以下で考察される物質、ヒドロゲル形成物質および他のポリマーならびに米国特許第6,620,406号に開示されたもの(この内容は参照により本明細書に組み込まれる)などの担体が含まれる。
【0056】
アッセイ
別の実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は生物学的アッセイで使用される。例えば、フィンガー1ペプチド類似体は、BMP受容体と相互作用することができ、BMP関連生物学的反応、例えば、シグナル伝達を誘発することができる。アッセイはまた、細胞周期の変化、特定の遺伝子もしくはタンパク質の発現、表現型の目に見えるもしくは測定可能な変化、タンパク質レベルもしくはタンパク質の修飾状態の変化、または他の細胞特性などの反応も判定することができる。この反応は、市販のアッセイまたはスクリーニング試験キットを用いて測定することができる。フィンガー1ペプチド類似体は、特定の細胞を試験してこれらがBMPに反応するかどうかを単純に判定する、または細胞が多かれ少なかれ反応する特定のBMPを同定するのに使用することができる。例えば、代謝活性の修飾により、例えば、特定のタンパク質、ポリヌクレオチド、代謝産物、または他の細胞成分の産生を増加または減少させて、フィンガー1ペプチド類似体に反応する細胞を同定することができる。別の実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は、BMPの競合者として使用される。この実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は、細胞受容体と結合するため完全なBMPタンパク質と競合する。例えば、癌細胞、細菌、および疾患に関与する他の細胞を、特定のBMP受容体、またはフィンガー1ペプチド類似体との結合が細胞の特定の機能を阻害する他の受容体の存在についてアッセイすることができる。あるいは、またはさらには、アッセイは、細胞よりむしろ単離受容体により実施してもよい。いくつかの実施形態では、既知の受容体を用いるハイスループットスクリーニング方法を、受容体−ペプチド相互作用のアッセイに使用することができる。
【0057】
第1フィンガーペプチド類似体が、BMPアゴニストとして使用され得る例示的な実施形態には、骨粗鬆症を治療し、骨折を修復または再生し、軟骨再生するためのBMP−2第1フィンガーペプチド類似体、腱修復のためのBMP−12第1フィンガーペプチド類似体、コリン作動性神経分化の誘発のためのBMP−9第1フィンガーペプチド類似体、心不全治療のためのGDF−19第1フィンガーペプチド類似体の使用が含まれるがこれらに限定されない。第1フィンガーペプチド類似体が、BMPアンタゴニストとして使用され得る例示的な実施形態には、骨粗鬆症、骨折、および骨疾患を治療するためのBMP3、避妊のためのBMP15およびGDF9、2型糖尿病、肥満、および代謝症候群を治療するためのGDF3、CNSもしくは末梢神経組織を修復もしくは再生するためのBMP4、種々の癌および腫瘍を治療するためのTGF−β、または筋ジストロフィー、サルコペニア、弱さ(frailty)、もしくは神経障害を治療するためのGDF8の第1フィンガーペプチド類似体の使用が含まれるがこれらに限定されない。この実施形態では、第1フィンガーペプチド断片は、受容体と結合するため完全なタンパク質と競合するが、次いで、他の場合では該タンパク質が促進する細胞または組織応答を妨げる。
【0058】
ペプチド結合は、試料中の標識ペプチドが、特定の細胞もしくは受容体との結合のため非標識BMPと競合する、またはこの逆であるラジオレセプターアッセイを用いて、より直接的に測定またはアッセイすることができる。標識は、125I、35S、32P、または他の適切な放射性同位元素により行うことができる。フィンガー1ペプチド類似体の結合が増加するにつれて、結合することができるBMPの量を低下させる。受容体−BMP複合体は、次いで、例えば洗浄(接着細胞の場合)、迅速濾過または遠心分離(個体担体に結合した非接着細胞系または受容体の場合)、または抗体、ポリエチレングリコール、もしくは他の沈殿剤による受容体−リガンド複合体の沈殿、これに続く濾過もしくは遠心分離(可溶性受容体の場合)により、遊離リガンドから単離される。既知の濃度の標識リガンドで作製された標準曲線との比較は、試料中のペプチドまたはタンパク質濃度の正確な定量を可能にする。複合体中の標識リガンド量は、次いで、典型的にはガンマ計測により定量され、既知の基準と比較される。これらの方法は、他の受容体を用いた文献に記載されており(M.Williams、Med.Res.Rev.、11:147〜184頁(1991年);M.HiguchiおよびB.B.Aggarwal、Anal Biochem.、204:53〜58頁(1992年);M.J.Cain、R.K.GarlickおよびP.M.Sweetman、J.Cardiovasc.Pharm.、17:S150〜S151頁(1991年);それぞれは参照により本明細書に組み込まれる)、本システムに容易に適応される。ペプチドまたはBMPの他の定量方法には、4,857,456に記載の通り、ラジオイムノアッセイおよびELISAが含まれる。
【0059】
あるいは、またはさらには、特定のフィンガー1ペプチド類似体が一度同定されると、特定の二次構造を安定化し、鎖間シス−シス結合形成を防止し、または細胞受容体とのより良い適合をもたらすため、個々のアミノ酸を置換してこれをさらに最適化することができる。このような変異は、コンピュータモデルを用いてまたは生物学的方法を用いて同定することができる。例えば、タンパク質突然変異誘発の例示的方法は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual.、第2版(Cold Spring Harbor、N.Y.:Cold Spring Harbor Laboratory Press)(1990年)に見い出すことができる。このような実施形態では、BMP模倣剤としての治療剤としてペプチドまたは最適化ペプチドを使用することが望ましい場合がある。他の実施形態では、個々のアミノ酸残基またはペプチドは、例えば、グリコシル化またはポリ(エチレングリコール)による誘導体化により、化学修飾することができる。
【0060】
別の実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は、完全なBMPタンパク質と直接相互作用する。例えば、フィンガー1ペプチド類似体は、タンパク質のホモまたはヘテロ二量体化を防いでBMPタンパク質をアッセイするのに使用することができる。この実施形態では、二量体化がしばしば生じる細胞によりフィンガー1ペプチド類似体が内部に取り込まれるように、フィンガー1ペプチド類似体を修飾することが望ましい場合がある。あるいは、またはさらには、ペプチドは、BMPタンパク質の二量体化を積極的に調節するのに使用することができる。フィンガー1ペプチド類似体およびBMPタンパク質の相互作用は、上述された任意の方法を用いてアッセイすることができる。さらに、タンパク質サイズに関するアッセイ、例えば、天然ゲル電気泳動、質量分析、またはゲル濾過クロマトグラフィーは、フィンガー1ペプチド類似体の効果を特徴付けるのに使用することができる。いくつかの実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は、適正なBMP機能を妨げることでBMPアンタゴニストとして作用する治療剤として使用することができる。
【0061】
別の実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は、物質、例えば、BMP−BMPまたはBMP−受容体相互作用を積極的にまたは消極的に調節する小分子を同定するスクリーニングとして使用することができる。例示的な受容体には、例えば、ACVR1/ALK2、ACVR1B/ALK4、ACVR1C/ALK7、ACVR2/ACTRII、ACVR2B/ACTRIIB、ACVRL1/ALK1、BMPR1A/ALK3、BMPR1B/ALK6、BMPR2/T−ALK、TGFβR1/ALK5、およびTGFβR2などのセリン/スレオニンキナーゼ受容体、ならびにRGMa、RGMb/DRAGON、RGMc/HFE2、TGFβR3、クリプト(Cripto)、クリプティック(Cryptic)、およびエンドグリンなどの共受容体が含まれるがこれらに限定されない。例えば、ハイスループットアッセイは、BMPの小分子阻害剤を同定するのに使用することができる。無細胞アッセイは、スクリーニングがBMP−ペプチド相互作用の破壊を検出するFRETアッセイと同様に行うことができる。例えば、BMPまたはフィンガー1ペプチド類似体のいずれかが、ドナー分子で修飾され得るのに対し、一方はアクセプター分子で修飾される。
【0062】
別の実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は、特定の二次構造を保持するため特定の高次構造に束縛されるように修飾することができる。例えば、フィンガー1ペプチド類似体における特定のアミノ酸は、ジスルフィド結合を形成しおよび特定の高次構造を安定化させるシステインと置換することができる。あるいは、またはさらには、システインは、ペプチドを束縛または特定の高次構造を安定化させるため、フィンガー1ペプチド類似体のNおよびC末端に結合することができる。いくつかの実施形態では、野生型または変異体フィンガー1ペプチド類似体をアンフォールディングし、別の高次構造でリフォールディングできるようにすることが望ましい場合がある。例えば、フィンガー1ペプチド類似体は、カオトロピック剤を用いて可溶化および変性させることができる。カオトロピック剤からのフィンガー1ペプチド類似体の分離は、熱力学的に有利な高次構造においてフィンガー1ペプチド類似体がリフォールディングできるようにする。システイン残基が、該タンパク質の一次アミノ酸配列に存在する場合、ジスルフィド結合の正しい形成を可能にする環境(例えば、酸化還元系)においてリフォールディングを実現することが望ましい場合がある。一般的なリフォールディング方法は、Kohno、Meth.Enzym.、185:187〜195頁(1990年)に開示されている。シャペロニンもフォールディングを媒介するのに使用することができる。
【0063】
治療組成物
治療可能性を有することが同定されたフィンガー1ペプチド類似体は、緩衝液の形で組織に適用することができる。例示的な緩衝液は、該ペプチドに加え、約1.0から約10.0%(w/v)グリシン、約0.1から約5.0%(w/v)の糖(例えば、スクロース)、約1から約20mMグルタミン酸塩酸塩、および所望により約0.01から約0.1%の非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80またはトゥイーンなど)を含む組成物である。例示的な溶液は、約1%から約20%w/vのセルロース担体/緩衝液である。所望する場合、塩が添加されてよい。
【0064】
より粘性のある物質も、担体として使用することができる。このような物質は、フィンガー1ペプチド類似体と結合した場合、組織部位に対する適切な取扱適性を有する組成物を形成するように、粘性および極性を有する医薬的に許容可能な物質を含むことができる。例えば、骨折よりも歯周部位で使用するため比較的低い粘性(だがそれでも流れやすくはない)を有することが望ましい。ペプチドへの担体の添加は、フィンガー1ペプチド類似体が種々の代謝活性をアップレギュレートまたはダウンレギュレートして局所細部で作用できるようにするのに十分な時間、疾患または病変部位にフィンガー1ペプチド類似体が留まることを可能にする。担体は、フィンガー1ペプチド類似体がある時間間隔で病変、欠損または疾患部位から放出されることを可能にする。
【0065】
ペプチド投与用担体の例示的なファミリーは、米国特許第5,171,579号に詳述され、この全開示が参照により本明細書に組み込まれる、多孔質粒子ポリマーである。本発明に有用な別の担体は、骨形成タンパク質製剤、多孔質粒子ポリマー、およびセルロース系物質など別の封鎖剤または担体剤である。担体または封鎖剤として使用できる他の物質には、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレンオキシド、カルボキシビニルポリマーおよびポリ(ビニルアルコール)が含まれる。これらの組成物は、公開PCT出願WO93/00050に記載されており、この全開示が参照により本明細書に組み込まれる。封鎖剤は、約1から約10%(w/vインプラント)濃度で存在してよい。多孔質粒子ポリマーが担体として使用される場合、多孔質粒子ポリマー/セルロース封鎖剤は、所望により、例えば、封鎖剤/液体溶液:多孔質粒子ポリマーの例示的な比が、約0.1から約0.9(v/v)となる約10から約80%(v/v)濃度で、希釈剤である水性グリセロールにさらに結合することができる。
【0066】
担体の別の例示的なファミリーは、コラーゲン物質である。適切なコラーゲン物質には、Collastat(商標)およびHelistat(商標)コラーゲンスポンジ(Integra LifeSciences Corp.社、プレインズボロ、N.J.)が含まれる。本発明の使用に適切であり得る他のコラーゲン物質は、米国特許第5,206,028号;米国特許第5,024,841号;米国特許第5,256,418号に記載される。コラーゲン担体は、スポンジ形態であってよい。コラーゲンスポンジは、適切な期間所望のペプチド容量および濃度でスポンジを浸すことで、投与前にペプチドを添加することができる。コラーゲンスポンジは、約10%から約150%v/v[mlタンパク質/cc乾燥スポンジ]、例えば、約10から約60%v/vの範囲でペプチドを添加することができる。あるいは、ペプチドは、生成の間コラーゲンスポンジに吸着することができる。この場合、ペプチドは、生成の間コラーゲンスポンジに添加し、および凍結乾燥して単一の産物を形成することができる。ペプチドは、約10から約150%v/vの比で、例えば、約60から約80%v/vの範囲で添加することができる。
【0067】
担体の別の例示的なファミリーは、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)のカチオン塩を含む、アルキルセルロース(ヒドロキシアルキルセルロースを含む)などのセルロースベースの物質である。これらの物質および本明細書に記載された任意の他のポリマー担体の架橋量および分子量は、封入ペプチドのデリバリー比を調節し、インビボでペプチドを安定化させるように修飾することができる。
【0068】
セルロース担体の場合、担体は水和セルロース粘性ゲルの形態であってよい。セルロース物質の粘性は、適切な期間の高撹拌、これに続く加圧滅菌など、機械的手段により増大させることができる。ペプチドおよびセルロース担体は、適切な緩衝溶液中にあってよい。例示的な緩衝溶液は、約1.0から約10.0%(w/v)グリシン、約0.1から約5.0%(w/v)の糖(好ましくは、スクロース)、約1から約20mMグルタミン酸塩酸塩、および所望により約0.01から約0.1%の非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80など)を含む組成物である。例示的な溶液は、約1%から約20%w/vのセルロース担体/緩衝液である。所望する場合、塩が添加されてよい。粘性ゲル担体との結合ペプチド量は、必要とされるインプラント物質1立方センチメートルあたり約0.05から約1.5mg、例えば、約0.1から約1.0mgの範囲であってよい。
【0069】
種々の実施形態によるフィンガー1ペプチド類似体用の担体として使用するのに適切であり得る他の物質には、脱塩骨、ポリグリコネート、ヒアルロン酸、外科用メッシュまたは縫合糸、温度感受性ポリマー、ならびにリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイトなどのミネラルおよびセラミック、ならびにこれらの組合せが含まれるがこれらに限定されない。他の潜在的な担体には、BMP注射製剤用の担体が含まれる。注射製剤に適した担体には、例えば、可溶性コラーゲン、ヒアルロン酸、ポリ乳酸/ポリエチレングリコール、およびポリマーが含まれる。
【0070】
この実施形態で使用するためのフィンガー1ペプチド類似体は、担体および完全なタンパク質と単純に結合することができ、または担体に固定化することができる。例えば、アミン終端ペプチドは、標準的なポリマー化学の技術を用いてカルボキシル化担体に結合することができる。別の実施形態では、ペプチドは、カルボキシ−NHSで終端しアミノ化ポリマーに結合することができる。あるいは、またはさらには、ペプチドは、ビオチニル化し、ストレプトアビジンで機能化された担体と配位結合することができる。
【0071】
フィンガー1ペプチド類似体の別の担体には、ミセルが含まれる。例えば、Grefら、Science、1994年、263:1600〜1603頁に記載された方法などの両面乳剤方法は、ミセルに治療組成物を封入するのに使用することができ、ミセルは次いで、本明細書に記載された任意の方法または当業者に周知の任意の他のデリバリー方法を用いて対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、ミセル表面は、標的薬剤を含んでよい。標的薬剤は、ミセルと共有結合することができ、またはリガンド−受容体相互作用(例えば、ビオチン−ストレプトアビジン)もしくは静電相互作用を用いて保持することができる。例示的な標的薬剤には、抗体および抗体断片、核酸リガンド(例えば、アプタマー)、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、多糖類、低密度リポタンパク質(LDL)、葉酸、トランスフェリン、アシアリコタンパク質(asialycoprotein)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のgp120エンベロープタンパク質、炭水化物、多糖類、酵素受容体リガンド、シアル酸、糖タンパク質、脂質、小分子、生物活性剤、生体分子、Fab、Fab’、またはF(ab’)2断片などの免疫反応性断片などが含まれる。
【0072】
治療剤として使用するためのペプチドは、循環時間を増加させ生体からの消失率を低下しつつ、インビボ安定性を高めるように修飾することができる。例えば、ペプチドは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)またはポリ(プロピレングリコール)(PPG)などのポリ(アルキレングリコール)鎖で機能化するまたはこれらと結合することができる。このようなポリマー鎖の最適分子量は、当業者に周知の方法を用いて最適化することができる。あるいは、またはさらには、ペプチドは、シアリル基またはポリシアリル鎖を結合することができる。ペプチドは、メチル、硫酸などのより小さな化学基でアミノ酸残基を化学的に修飾して修飾することができる。個々のアミノ酸残基は、D−立体異性体またはベータ−残基などの非天然アミノ酸と置換することもできる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、鎖間または鎖内共有結合または非共有結合により安定化することができる。これらの結合は、適切なアミノ酸残基をペプチドに添加して、またはチオール、水素結合ドナーおよびアクセプターなど、適切な化学基でペプチドにおけるアミノ酸を修飾して促進することができる。ペプチドは、提示エンハンサーとして作用する完全長または断片の天然または合成タンパク質と、関連するまたは融合する(例えば、NもしくはC末端でまたは内部で)こともできる。例示的なタンパク質は、当業者に知られており、ウシ血清アルブミンを含む。
【0073】
適切な緩衝液中の、または上述された担体など適切な担体と結合したフィンガー1ペプチド類似体は、組織および/または組織の修復を必要とする部位に直接適用することができる。例えば、ペプチドは、噴霧もしくは浸漬により、またはブラシもしくは注入用注射器など、他の適切な塗布器を用いて、組織に物理的に適用することができる。あるいは、またはさらに、ペプチドは、組織の修復を必要とする部位に直接適用することができる。
【0074】
いくつの実施形態では、本発明の実施形態による治療組成物は、対象に投与することができ、または非経口(例えば、静脈内)、皮内、皮下、経口、鼻、気管支、眼、経皮(局所)、経粘膜、直腸、および膣経路を含むが、これらに限定されない任意の利用可能な経路によるデリバリーのため最初に調製することができる。発明の医薬組成物は、哺乳動物細胞系から発現された精製ポリペプチドまたはタンパク質およびデリバリー剤(すなわち、上述されたような、カチオン性ポリマー、ペプチド分子トランスポーター、界面活性剤など)を、医薬的に許容可能な担体と組み合わせて含むことができる。本明細書では、用語「医薬的に許容可能な担体」は、医薬投与に適合する、溶媒、分散媒体、被覆剤、抗菌および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。補助活性化合物も、組成物に組み込むことができる。
【0075】
医薬組成物は、この意図された投与経路に適合するように調製される。非経口、皮内、または皮下適用に使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含むことができる。注入用の水など滅菌希釈剤、食塩溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤、エチレンジアミンテトラ酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸またはリン酸などの緩衝液および塩化ナトリウムまたはデキストランなどの等張性調節剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなど、酸または塩基により調節することができる。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチックでできたアンプル、使い捨てシリンジまたは反復投与バイアルに封入することができる。
【0076】
注入可能な使用に適した医薬組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散剤および滅菌注入溶液もしくは分散剤の即時調製用滅菌粉末を含む場合が多い。静脈内投与では、適切な担体には、生理食塩水、静菌水、クレモフォールEL(商標)(BASF社、パーシッパニー、NJ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。すべての場合において、組成物は無菌であるべきであり、容易な注射可能性(syringability)が存在する程度に流動的であるべきである。例示的な医薬製剤は、製造および保存の条件下で安定であり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護される。一般に、関連する担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびこれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒体であり得る。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用により、分散物の場合では必要とされる粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により維持することができる。微生物作用の保護は、種々の抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成することができる。多くの場合、例えば、糖、ポリアルコール(マンニトール、ソルビトールなど)、または塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物中に含むことが望ましい。注入可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅らさせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含むことによりもたらすことができる。
【0077】
滅菌注入溶液は、必要に応じて、上記に挙げた成分の1つまたは組合せを有する適切な溶媒に、精製ポリペプチドまたはタンパク質を必要量で組み込むことにより調製し、続いて滅菌濾過することができる。一般に、分散剤は、哺乳動物細胞系から発現された精製ポリペプチドまたはタンパク質を、基本的な分散媒体および上記に挙げた成分からの必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことにより調製される。滅菌注入溶液を調製するための滅菌粉末の場合、例示的な調製方法は、予め滅菌濾過されたこの溶液から活性成分プラス任意の別の所望成分の粉末を得る、真空乾燥および凍結乾燥である。
【0078】
経口組成物は、不活性希釈剤または食用担体を含み得る。経口治療投与の目的のため、精製ポリペプチドまたはタンパク質は、賦形剤に組み込まれ得、錠剤、トローチ、またはカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)の形で使用され得る。経口組成物は、マウスウォッシュとして使用する液体担体を用いて調製することもできる。医薬的に許容可能な結合剤、および/またはアジュバント物質を、組成物の一部として含めることができる。錠剤、ピル、カプセル、トローチなどは、任意の以下の成分、または類似の性質の化合物を含有することができる:微結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンなどの結合剤;デンプンまたはラクトースなどの賦形剤;アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、またはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロート(Sterote)などの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;ショ糖またはサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ香料などの着香剤。経口デリバリー製剤は、有利には胃腸管内での安定性を改善するおよび/または吸収を高める薬剤を組み込み得る。
【0079】
吸入による投与では、哺乳動物細胞系から発現された精製ポリペプチドまたはタンパク質およびデリバリー剤を含む発明組成物は、好ましくは、適切な高圧ガス、例えば、二酸化炭素などのガス、または噴霧器を含有する加圧容器またはディスペンサーからエアロゾールスプレーの形でデリバリーされる。本発明は、鼻腔用スプレー、吸入器、または上および/または下気道への他の直接デリバリーを用いる組成物のデリバリーを企図する。インフルエンザウイルスに対するDNAワクチンの鼻腔内投与は、CD8 T細胞応答を誘導することが示されており、これは、気道の少なくとも一部の細胞は、この経路でデリバリーされた場合DNAを取り込むことができること、および本発明のデリバリー剤は、細胞取り込みを高めることを示唆する。本発明の特定の実施形態により、哺乳動物細胞系から発現された精製ポリペプチドおよびデリバリー剤を含む組成物は、エアロゾール投与用の大きな多孔質粒子として調製される。本発明の実施形態による組成物の経上皮吸収は、米国特許出願第20030235536号(この内容は参照により本明細書に組み込まれる)に開示された方法を用いて高めることができる。
【0080】
全身投与は、経粘膜的または経皮的手段により行うこともできる。経粘膜的または経皮的な投与では、透過するバリアに対する適切な浸透剤が製剤で使用される。このような浸透剤は、一般に当技術分野で周知であり、例えば、経粘膜投与では、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻腔用スプレーまたは座剤の使用により実現することができる。経皮投与では、精製ポリペプチドまたはタンパク質およびデリバリー剤は、当技術分野で一般に周知の通り軟膏、塗擦剤、ゲル、またはクリーム中に処方される。
【0081】
組成物は、座剤(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドなどの従来の座剤ベースを有する)または直腸デリバリーでは停留浣腸の形で調製することもできる。
【0082】
1つの実施形態では、組成物は、インプラントおよびマイクロカプセル化デリバリー系を含む制御放出製剤など、生体からの迅速除去に対してポリペプチドまたはタンパク質を保護する薬剤と結合される。薬剤は、組成物用の担体となることもできる。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーが使用され得る。このような製剤の調製方法は、当業者には明らかであろう。材料は、Alza Corporation and Nova Pharmaceuticals,Inc.社から商業的に入手することもできる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体による感染細胞を標的にするリポソームを含む)は、医薬的に許容可能な担体として使用することができる。これらは、当業者に周知の方法により、例えば、米国特許第4,522,811号に記載された通りに調製することができる。
【0083】
投与の容易さおよび用量均一性のため、単位剤形で経口または非経口組成物を処方することが有利である。本明細書では単位剤形とは、治療する対象にとって単一用量として適切な物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要とされる医薬担体と関連して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性ポリペプチドまたはタンパク質を含有する。
【0084】
本発明の実施形態によるポリペプチドまたはタンパク質は、種々の間隔でおよび必要に応じた異なる期間で投与することができる。疾患または障害の重症度、過去の治療、対象の全般的健康および/または年齢、ならびに他の既存疾患を含むがこれらに限定されない特定の要因が、対象の効果的治療に要求される用量およびタイミングに影響し得ることを、当業者は理解するであろう。一般に、本明細書に記載されたようなポリペプチドまたはタンパク質による対象の治療は、単回治療を含むことができ、または多くの場合、一連の治療を含むことができる。適切な用量が、ポリペプチドまたはタンパク質の効力に依存し得、所望により、例えば、予め選択された所望の反応が得られるまで増加する用量の投与により、特定のレシピエントに適合できることがさらに理解される。任意の特定の動物対象に特異的な用量レベルは、使用する特定のポリペプチドまたはタンパク質の活性、対象の年齢、体重、全般的健康、性別、および食習慣、投与時間、投与経路、排泄率、任意の薬剤の組合せ、ならびに調節される発現または活性程度を含む種々の要因に依存し得ることが理解される。
【0085】
本発明は、ヒト以外の動物を治療するための発明組成物の使用を含む。したがって、投与量および投与方法は、獣医薬理学および獣医学の既知の原則に従い選択することができる。手引きは、例えば、Adams,R.(編)、Veterinary Pharmacology and Therapeutics、第8版、Iowa State University Press;ISBN:0813817439;2001年に見い出される。
【0086】
発明に係る医薬組成物は、投与指示書と共に容器、パック、またはディスペンサーに含めることができる。
実施例
【実施例1】
【0087】
BMP−12を、NHS活性化セファロース(商標)ビーズに約20mg:4mLの比で固定化し、得られた培地と水または中性の生理食塩水緩衝液を混合してカラムを調製した。1.2M NaClを増加したCHO馴化培地を、カラムに添加した。いくつかの例では、培地は、添加前にBMPに関して予め濃縮した。カラムを、40mM Na2HPO4(pH7.2)の1.2M NaCl 15CV(カラム容量)、続いて20mM トリス(pH7.5)(15CV)の0.5M アルギニン/0.5M NaCl、および低塩洗浄(50mM酢酸アンモニウム、pH7、15CV)で洗浄した。カラムを、50mM酢酸(pH3)に対する5CVの勾配、続いて15CVのチェイス(chase)により、酢酸でさらに溶出した。最後に、カラムを、6Mグアニジン塩酸塩(GuHCl)を有する5CVの酢酸溶液で溶出した。
【0088】
BMP−3を、クロマトグラフィー媒体で効率的に捕捉し、酢酸で溶出した(図3A)。溶出液をHPLCにより分析した。図3Bに見られる通り、プロペプチド断片を成熟タンパク質と一緒に共精製し、微量の成熟BMP−3をグアニジンピークでも観察した。
【実施例2】
【0089】
BMP−2を、実施例1の通りセファロースビーズに固定化し、BMP−3の添加および溶出を試験するのに使用した。図4に示された通り、BMP−3を、高イオン強度溶液で効率的に捕捉し、酢酸で溶出した。BMP−12カラムに関する限り、プロペプチド断片を成熟タンパク質と一緒に共精製し、微量の成熟BMP−3をグアニジンピークでも観察した。
【実施例3】
【0090】
BMP−12を添加し、実施例1の通りBMP−12アフィニティーカラムから溶出した。BMP−12を、高塩溶液を用いてカラムにより効率的に捕捉し、酢酸およびグアニジンで溶出した(図5)。BMP−12の単量体および二量体型の両方を捕捉した。
【実施例4】
【0091】
BMP−12を添加し、実施例1および2の通りBMP2アフィニティーカラムから溶出した。BMP−12を、高イオン強度溶液を用いてカラムにより効率的に捕捉し、酢酸およびグアニジンで溶出した(図6)。
【実施例5】
【0092】
BMP−12およびBMP−2を用いたBMPアフィニティー樹脂を、実施例1および2に記載の通りに調製し、HPLCカラムを調製するのに使用した。このカラムは、BMP−3およびBMP−12を添加して使用した。図7に示されている通り、BMP−12およびBMP−2は逆相HPLCのアフィニティーリガンドとして等しく有効であった。いくつかの例では、サイズ排除または逆相クロマトグラフィー方法を使用して精製を増強した。
【実施例6】
【0093】
BMP−2フィンガー1ペプチド変異体(SDVGWNDWIVAPPGYHAFYCHGEK)を、5mgペプチド/mL樹脂の比でC末端リジンを介してセファロースビーズに結合させた。得られた樹脂(1.6×2.0cm)4mLを使用してカラムを調製した。カラムにBMP−3を添加し、実施例1の通り溶出した。図8に示された通り、BMP−3を、高塩溶液を用いてカラムにより効率的に捕捉し、酢酸でプロペプチド断片と一緒に溶出した。一般に、固定化されたペプチドによるクロマトグラフィーは、タンパク質全体より高い純度の産物をもたらした。
【実施例7】
【0094】
野生型BMP−12フィンガー1ペプチド(KELGWDDWIIAPLDYEAYHCEGLC)を使用して、実施例1の通りBMP−3を精製した。図9に示された通り、BMP−3を、高塩溶液を用いてカラムにより効率的に捕捉し、酢酸で溶出した。実施例6よりも溶出されたプロペプチド断片は少なかった。一般に、固定化されたBMP−12は、BMP−2変異体より効果が低かった。SDS−PAGEは、固定化されたBMP−12ペプチドが、恐らく遊離システイン残基によりオリゴマー化されたことを示す。
【実施例8】
【0095】
BMP−12を、実施例6に記載されたBMP−2変異体ペプチドで調製したカラムを用いて精製した。図10に示された通り、BMP−12を、高塩溶液を用いてカラムにより効率的に捕捉し、酢酸で溶出した。少量のBMP−12が、6M GuHClで溶出された。
【実施例9】
【0096】
BMP−12を、実施例7に記載されたBMP−12野生型ペプチドで調製したカラムを用いて精製した。図11に示された通り、BMP−12を、高イオン強度溶液を用いてカラムにより効率的に捕捉し、酢酸で溶出した。少量のBMP−12が、6M GuHClで溶出された。
【実施例10】
【0097】
GDF−9を、実施例6に記載されたBMP−2第1フィンガー変異体ペプチドで調製したカラムを用いて精製した。図12に示された通り、GDF−9を、高塩溶液を用いてカラムにより効率的に捕捉し、500mMアルギニンおよび酢酸で溶出した。より低分子量の汚染物質も存在した。
【実施例11】
【0098】
残りのペプチド変異体について理論実験例(prophetic examples)で示す。
【0099】
【表1】
【実施例12】
【0100】
BMP可溶性スクリーニング−Tecan液体操作ロボットを使用して試薬マスタープレート、800μL×1.25濃度(各溶液;表2および3参照)、それぞれ50mMトリス緩衝液、pH8を混合した。8チャネルピペッターを使用して物質80μLをマスタープレートから半分の面積のUVマイクロプレートに移し、各試料からA320を判定してブランクを定めた。反復ピペッターを使用して20μLの2.5mg/mL BMP−12を0.1%TFAに添加し、0.5mg/mL溶液を作製し、次いで1400rpmで撹拌した。UV吸収(A320)を判定し、ブランク吸収を差し引いて可溶性を決定した。この手順を、より幅広い範囲の2−メチル−2,4−ペンタンジオール(MPD)濃度およびより細かなセットの塩濃度で繰り返した(表4)。BMP−12溶液の濁度を、NaClおよびMPD濃度に関して比較したグラフを、図13に示す。
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【実施例13】
【0104】
アフィニティー樹脂を、表5に挙げたペプチドと結合させた。結合樹脂、プラス、対照として使用する非結合樹脂を、16%エタノール、150mM NaCl、および20mMトリス緩衝液、pH7.5、25%v/v比(例えば、25%エタノール、75%トリス緩衝液)で懸濁した。Tecan液体操作ロボットを使用して200μLの各スラリーを、96ウェルポリスチレンフィルタープレート(0.45μm親水性フィルター、Whatman社カタログ番号770−1806)の8列の1つに分注した。1200gで3分間回転し液相を除去し、50μLの湿性樹脂をフィルター上に残した。樹脂を、次いで表6に挙げた添加用緩衝液で平衡化した(Kは、特定の緩衝液の特定の樹脂に結合しているタンパク質の強度を特徴付ける係数)。40μLの低分子量サイズ排除クロマトグラフィー(LMW SEC)溶液(0.1%TFAで透析し、3.76mg/mLに濃縮したBEP)を、96ウェルプレートの各添加用緩衝液260μLに添加してBMP−12添加用プレートを調製し、各ウェルに0.48mg/mLを得た。添加用プレートから150μLをフィルタープレートに移し、次いで震盪プラットフォームで20分間インキュベートして結合を促進することにより樹脂を添加した。フィルタープレートを遠沈し、濾液を96ウェルUVプレートで回収した。濾液、またはフロースルー中のタンパク質濃度を、(A280−A320)/1.3として算出した。次いで、フィルタープレートを、150μLの100mM酢酸、続いて150μLの4Mグアニジン−HClおよび50mM酢酸ナトリウム、pH4.0で洗浄した。タンパク質濃度を、上述した通り新しいフィルターで測定した。表6に示された通り、添加用緩衝液1〜5において高い親和性を有するペプチド747、747、748および749結合BMP12に樹脂を結合させた。しかし、ペプチド750および751では、結合は25mM MES、pH6で強力であったが、0.1M NaCl、pH3.0を有する50mM 酢酸では弱く、カオトロピック剤または有機試薬を必要とせずに、効率的な結合−溶出過程を可能にすることができる。カラム4のプレート由来のフロースルーおよび酢酸溶出試料(MESを添加 pH6)をゲル上で分析した(図14)。
【0105】
【表5】
【0106】
【表6−1】
【0107】
【表6−2】
【0108】
【表6−3】
【0109】
本発明の他の実施形態は、本明細書で開示された本発明の明細書または実施を考慮することから当業者に明らかであろう。明細書および例は、例示にすぎないとみなされるものであり、本発明の真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲により示される。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2006年6月2日に出願した米国仮特許出願第60/810,798号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、TGF−βスーパーファミリーのペプチドおよびタンパク質ならびにそれらの変異体の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞の増殖、分化および機能の天然の制御因子は、重要な医薬品、臨床および実験ツール、ならびに治療介入の標的を提供している。種々のこうした制御因子は、基本的な細胞の分化および発達経路に重大な影響を与えることが示されている。トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF−β)スーパーファミリーは、細胞の増殖、移動、分化およびアポトーシスを含む種々の細胞機能を制御する多機能タンパク質の大きなファミリーである。創始メンバーであるTGF−βは、胚のパターン形成から成体組織における細胞増殖制御まで種々の役割を果たすことが示されている。TGF−βは、一連の特定の遺伝子の発現を最終的に活性化および/または抑制するシグナル伝達カスケードにより、生物学的機能を発揮する。他のTGF−βスーパーファミリーメンバーには、TGF−βファミリー、増殖分化因子(GDF)、アクチビン、インヒビン、骨形成タンパク質(BMP)、および他の関連するリガンドが含まれる。BMPが媒介するシグナル伝達は、骨成長を含む種々の正常なプロセス、ならびに神経系、眼および腎臓などの器官の機能にとって重要である。BMPは、軟骨、骨および結合組織の誘導、ならびに腎臓、歯、腸、皮膚および毛の発達における役割を含む、異なる生物学的背景において多様な生物活性を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
BMPは、実験室で生成することができるが、この物質の精製に便利な手順はほとんどなく、精製方法の開発は、その場限りで時間がかかる場合が多く、精製過程は開発するのに最大6カ月を要することもある。したがって、BMPおよびTGF−βスーパーファミリーの他のメンバーを精製するためのより効率的な方法を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲では、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が特に明確に指示しない限り複数の参照を含む。したがって、例えば、「細胞(a cell)」とは、複数のこのような細胞(cells)を含み、「抗体(an antibody)」とは、1つまたは複数の抗体(antibodies)および当業者に既知のこの同等物を指す、などとなる。
【0006】
用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、および「オリゴヌクレオチド」とは、DNAおよびRNA中の一連のヌクレオチド塩基(「ヌクレオチド」とも呼ばれる)を指し、2つ以上のヌクレオチドの任意の鎖を意味する。ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖のキメラ混合物もしくは誘導体またはこれらの修飾版であり得る。オリゴヌクレオチドは、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーションパラメータなどを改善するため、塩基部分、糖部分、またはリン酸骨格で修飾され得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルキュエオシン(galactosylqueosine)、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−メチルアデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルキュエオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、プソイドウラシル、キュエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、および2,6−ジアミノプリンを含むがこれらに限定されない群から選択される、修飾塩基部分を含み得る。ヌクレオチド配列は典型的には、タンパク質および酵素を作るための細胞機構に使用される情報を含む遺伝情報を保有する。これらの用語には、二本または一本鎖ゲノムおよびcDNA、RNA、任意の合成および遺伝子操作ポリヌクレオチド、ならびにセンスおよびアンチセンスポリヌクレオチドの両方が含まれる。これには、一本鎖および二本鎖分子、すなわち、DNA−DNA、DNA−RNAおよびRNA−RNAハイブリッド、ならびにアミノ酸骨格との結合塩基により形成される「タンパク質核酸(PNA)」が含まれる。これには、修飾塩基、例えば、チオ−ウラシル、チオ−グアニン、およびフルオロ−ウラシルを含有する、または炭水化物、もしくは脂質を含有する核酸が含まれる。
【0007】
本発明の実施形態で使用するためのポリヌクレオチドは、当技術分野で既知の標準的方法により、例えば、自動DNA合成装置(Biosearch社、Applied Biosystems社などから市販されているものなど)を使用して合成することができる。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Steinら、Nucl.Acids Res.16、3209頁、(1988年)の方法により合成することができ、メチルホスホン酸オリゴヌクレオチドは、制御多孔質ガラス支持担体(Sarinら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85、7448〜7451頁、(1988年))などの使用により調製することができる。アンチセンスDNAまたはRNAを細胞にデリバリーするにはいくつかの方法が開発されている。例えば、アンチセンス分子は、組織部位に直接注入することができ、または所望の細胞を標的にするよう設計された修飾アンチセンス分子(標的細胞表面で発現した受容体または抗原に特異的に結合するペプチドまたは抗体と結合したアンチセンス)は、全身投与することができる。あるいは、RNA分子は、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列のインビトロおよびインビボ転写により生成することができる。こうしたDNA配列は、T7またSP6ポリメラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターを組み込む多種多様なベクターに組み込むことができる。あるいは、使用されるプロモーターに応じて、アンチセンスRNAを構成的にまたは誘導的に合成するアンチセンスcDNA構築物は、細胞系に安定に導入することができる。しかし、内在性mRNAの転写を抑制するのに十分なアンチセンス細胞内濃度を達成することは難しい場合が多い。したがって、好ましいアプローチは、アンチセンスオリゴヌクレオチドが強力なプロモーターの制御下に置かれる組換えDNA構築物を利用する。患者での標的細胞をトランスフェクトするような構築物の使用は、内在性の標的遺伝子転写物に相補的な塩基対を形成する一本鎖RNAの十分な量の転写をもたらし、これにより標的遺伝子mRNAの翻訳を妨げる。例えば、ベクターは、細胞に取り込まれ、アンチセンスRNAの転写を導くようにインビボで導入することができる。このようなベクターは、所望のアンチセンスRNAを生成するように転写され得る限り、エピソームとして残存し得る、または染色体に組み込まれるようになり得る。このようなベクターは、当技術分野で標準的な組換えDNA技術方法により構築することができる。ベクターは、プラスミド、ウイルス、または哺乳動物細胞での複製および発現に使用される、当技術分野で既知の他のものであってよい。アンチセンスRNAコード配列の発現は、哺乳動物、好ましくはヒト細胞において作用する当技術分野で既知の任意のプロモーターによるものであり得る。このようなプロモーターは、誘導的または構成的であり得る。このようなプロモーターには、SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon、Nature、290、304〜310頁、(1981年))、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復に含有されたプロモーター、Yamamotoら、Cell、22、787〜797頁、(1980年)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター、Wagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 78、1441〜1445頁、(1981年)、メタロチオネイン遺伝子の制御配列、Brinsterら、Nature 296、39〜42頁、(1982年)などが含まれるが、これらに限定されない。いずれの種類のプラスミド、コスミド、酵母人工染色体またはウイルスベクターも、組織部位に直接導入することができる組換えDNA構築物を調製するのに使用することができる。あるいは、所望の組織を選択的に感染させるウイルスベクターを使用することができ、この場合、投与は別の経路(例えば、全身)で実現され得る。
【0008】
ポリヌクレオチドは、天然の制御(発現制御)配列に隣接され得、またはプロモーター、内部リボソーム侵入部位(IRES)および他のリボソーム結合部位配列を含む異種配列、エンハンサー、応答エレメント、サプレッサー、シグナル配列、ポリアデニル化配列、イントロン、5’および3’非コード領域などを伴い得る。核酸もまた、当技術分野で既知の多くの手段により修飾され得る。このような修飾の非限定例には、メチル化、「キャップ」、類似体との1つまたは複数の天然に存在するヌクレオチドの置換、ならびに例えば、非電荷結合(例えば、ホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート、カルバミン酸塩など)および電荷結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を有するものなどヌクレオチド間修飾が含まれる。ポリヌクレオチドは、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、鉄、酸化金属など)、およびアルキル化剤など、1つまたは複数の別の共有結合部分を含有し得る。ポリヌクレオチドは、メチルもしくはエチルホスホトリエステルまたはアルキルホスホルアミド結合の形成により誘導体化され得る。さらに、本明細書ではポリヌクレオチドは、検出可能なシグナルを直接的または間接的に提供できる標識で修飾することもできる。例示的標識には、放射性同位元素、蛍光分子、ビオチンなどが含まれる。
【0009】
当技術分野で周知の通り、「同一性」または「類似性」は、配列比較により判定された、2つ以上のポリペプチド配列または2つ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当技術分野では、同一性は、このような配列の鎖間の一致により判定した、ポリペプチド配列間の配列関連性の程度も意味する。同一性および類似性はいずれも、以下に記載されたもののような既知の方法により容易に算出することができる:Computational Molecular Biology、Lesk,A.M.編、Oxford University Press、ニューヨーク、1988年;Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith,D.W.編、Academic Press、ニューヨーク、1993年;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje,G.、Academic Press、1987年;Computer Analysis of Sequence Data、Part I、Griffin,A.M.、およびGriffin,H.G.編、Humana Press、ニュージャージー、1994年;およびSequence Analysis Primer、Gribskov,M.およびDevereux,J.編、M Stockton Press、ニューヨーク、1991年。配列間の同一性または類似性を判定するのに一般に使用される方法には、Carillo,H.、およびLipman,D.、SIAM J Applied Math.、48:1073頁(1988年)に開示されたものが含まれるが、これに限定されない。同一性および類似性の判定方法は、公的に利用可能なコンピュータプログラムに盛り込まれている。2つの配列間の同一性および類似性を判定する好ましいコンピュータプログラム方法には、GCGプログラムパッケージ、Devereux,J.ら、Nucleic Acids Research、12(1)、387頁(1984年)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA Atschul,S.F.ら、J Molec.Biol.、215、403頁(1990年)が含まれるが、これらに限定されない。
【0010】
「相同の(homologous)」とは、2つのポリマー(すなわち、ポリペプチド分子または核酸分子)間の配列類似性の程度を指す。本明細書で引用される相同性パーセンテージ値は、2つのポリマー間で起こり得る最大相同性、すなわち、2つのポリマーが、一致する(相同な)位置を最大数有するように配列された場合のパーセント相同性を反映する。
【0011】
用語「パーセント相同性」とは、ポリペプチド間のアミノ酸配列同一性の程度を指す。任意の2つのポリペプチド間の相同性は、どちらかの配列における特定の位置で一致するアミノ酸総数の一次関数であり、例えば、どちらかの配列におけるアミノ酸総数の半分が同じの場合、2つの配列は50%相同性を示すと言われる。
【0012】
ポリペプチドを指す場合の用語「断片」、「類似体」、および「誘導体」とは、元のポリペプチドと同じ生物学的機能または活性を本質的に保持し得るポリペプチドを指す。したがって、類似体には、前駆体タンパク質部分の切断により活性化され活性な成熟ポリペプチドを生成することができる前駆体タンパク質が含まれ得る。ポリペプチドの断片、類似体、または誘導体は、1つまたは複数のアミノ酸が保存的または非保存的アミノ酸残基で置換されたものであり得、このようなアミノ酸残基は、遺伝情報にコードされたもの、または1つもしくは複数のアミノ酸残基が置換基を含むもの、またはポリペプチドの半減期を増加させるためポリペプチドがポリエチレングリコールなどの化合物と融合されたもの、または別のアミノ酸が、シグナルペプチドなどのポリペプチドまたはポリペプチドもしくは前駆体タンパク質の精製に使用されるポリヒスチジンタグなどの配列に融合されたものである場合またはない場合がある。このような断片、類似体、または誘導体は、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0013】
用語「ポリペプチド」とは、ポリマーの長さに関係なくアミノ酸のポリマーを指す。したがって、「ペプチド」、「オリゴペプチド」、および「タンパク質」は、ポリペプチドの定義内に含まれ、本明細書では互換的に使用される。この用語はまた、本発明のポリペプチドの化学または発現後修飾を特定または除外しないが、これらのポリペプチドの化学または発現後修飾は、特定の実施形態として含まれるまたは除外される場合がある。したがって、例えば、グリコシル基、アセチル基、リン酸基、脂質基などの共有結合を含むポリペプチドに対する修飾は、用語ポリペプチドにより明白に包含される。さらに、これらの修飾を有するポリペプチドは、本発明に含まれるまたは除外される個々の種として特定され得る。上記例に挙げられたものなど、天然または他の化学修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノまたはカルボキシル末端を含むポリペプチドのどこにでも生じ得る。同じ種類の修飾は、特定のポリペプチドにおけるいくつかの部位で同程度または種々の程度に存在し得ることを理解されたい。また、特定のポリペプチドは、多くの種類の修飾も含有し得る。ポリペプチドは、例えば、ユビキチン化の結果分岐され得、およびポリペプチドは、分岐の有無に関わらず環状であり得る。修飾には、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋形成、システイン形成、ピログルタミン酸形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化など転移RNAに媒介されたタンパク質へのアミノ酸付加、およびユビキチン化が含まれる。(例えば、proteins−−structure and molecular properties、第2版、T.E.Creighton、W.H.Freeman and Company、ニューヨーク(1993年);posttranlational covalent modification of proteins、b.c.Johnson編、Academic Press、ニューヨーク、1〜12頁、1983年;Seifterら、Meth Enzymol 182:626〜646頁、1990年;Rattanら、Ann NY Acad Sci 663:48〜62頁、1992年参照)。また、1つまたは複数のアミノ酸類似体(例えば、天然に存在しないアミノ酸、無関係の生物系でのみ天然に存在するアミノ酸、哺乳動物系由来の修飾アミノ酸、種々のアミノ酸の立体異性体などを含む)を含有するポリペプチド、置換結合を有するポリペプチド、ならびに当技術分野で知られている、天然に存在する他の修飾と天然に存在しない他の修飾の両方が、定義内に含まれる。用語「ポリペプチド」はまた、用語「タンパク質」または「ペプチド」と互換的に使用される場合もある。
【0014】
用語「フィンガー1ペプチド類似体」とは、TGF−ベータスーパーファミリーメンバーのフィンガー1領域の一部と少なくとも75%相同であるオリゴペプチドを指す。いくつかの実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は、野生型配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%相同である。特定の実施形態では、オリゴペプチドは、少なくとも8アミノ酸残基、少なくとも16アミノ酸残基、または少なくとも24アミノ酸残基を含む。フィンガー1ペプチド類似体は、1つまたは複数のアミノ酸が改変または欠失された変異体であり得、非天然または修飾されたアミノ酸残基を含み得る。
【0015】
用語「ペプチド」とは、2つ以上のアミノ酸の任意のポリマーを指し、各アミノ酸は、隣接するアミノ酸のNH2基とCOOH基との間で形成されるペプチド結合(−−CONH−−)を介して1つまたは2つの他のアミノ酸に結合される。1つの実施形態では、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸、特にL−エナンチオマー型アルファ−アミノ酸である。しかし、他のアミノ酸、エナンチオマー型、およびアミノ酸誘導体は、ペプチドに含まれ得る。ペプチドには、加水分解で2つを超えるアミノ酸を生じる「ポリペプチド」が含まれる。ポリペプチドには、典型的には50個以上のアミノ酸を含むタンパク質が含まれる。
【0016】
本発明の実施形態によるポリペプチドは、単離型で提供され得、均質になるまで精製され得る。特定の例でのポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、少なくとも90%純粋、少なくとも95%純粋、少なくとも98%純粋、または少なくとも99%純粋である。
【0017】
用語「ポリペプチド」とは、ポリマーの長さに関係なくアミノ酸のポリマーを指す。したがって、「ペプチド」、「オリゴペプチド」、および「タンパク質」は、ポリペプチドの定義内に含まれ、本明細書では互換的に使用される。この用語はまた、本発明のポリペプチドの化学または発現後修飾を特定または除外しないが、これらのポリペプチドの化学または発現後修飾は、特定の実施形態として含まれるまたは除外される場合がある。したがって、例えば、グリコシル基、アセチル基、リン酸基、脂質基などの共有結合を含むポリペプチドに対する修飾は、用語ポリペプチドにより明白に包含される。さらに、これらの修飾を有するポリペプチドは、本発明に含まれるまたは除外される個々の種として特定され得る。上記例に挙げられたものなど、天然または他の化学修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノまたはカルボキシル末端を含むポリペプチドのどこにでも生じ得る。同じ種類の修飾は、特定のポリペプチドにおけるいくつかの部位で同程度または種々の程度に存在し得ることを理解されたい。また、特定のポリペプチドは、多くの種類の修飾も含有し得る。ポリペプチドは、例えば、ユビキチン化の結果分岐され得、およびポリペプチドは、分岐の有無に関わらず環状であり得る。修飾には、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋形成、システイン形成、ピログルタミン酸形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化など転移RNAに媒介されたタンパク質へのアミノ酸付加、およびユビキチン化が含まれる。(例えば、proteins−−structure and molecular properties、第2版、T.E.Creighton、W.H.Freeman and Company、ニューヨーク(1993年);posttranlational covalent modification of proteins、b.c.Johnson編、Academic Press、ニューヨーク、1〜12頁、1983年;Seifterら、Meth Enzymol 182:626〜646頁、1990年;Rattanら、Ann NY Acad Sci 663:48〜62頁、1992年参照)。また、1つまたは複数のアミノ酸類似体(例えば、天然に存在しないアミノ酸、無関係の生物系でのみ天然に存在するアミノ酸、哺乳動物系由来の修飾アミノ酸などを含む)を含有するポリペプチド、置換結合を有するポリペプチド、ならびに当技術分野で知られている、天然に存在する他の修飾と天然に存在しない他の修飾の両方が、定義内に含まれる。用語「ポリペプチド」はまた、用語「タンパク質」または「ペプチド」と互換的に使用される場合もある。
【0018】
用語「ペプチド」とは、2つ以上のアミノ酸の任意のポリマーを指し、各アミノ酸は、隣接するアミノ酸のNH2基とCOOH基との間で形成されるペプチド結合(−−CONH−−)を介して1つまたは2つの他のアミノ酸に結合される。好ましくは、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸、特にL−エナンチオマー型アルファ−アミノ酸である。しかし、他のアミノ酸、エナンチオマー型、およびアミノ酸誘導体は、ペプチドに含まれ得る。ペプチドには、加水分解で2つを超えるアミノ酸を生じる「ポリペプチド」が含まれる。ポリペプチドには、典型的には50個以上のアミノ酸を含むタンパク質が含まれる。
【0019】
用語「単離された(isolated)」は、物質が、この元のまたは天然の(native)環境(例えば、物質が天然に存在する場合の自然の(natural)環境)から除去されることを意味する。したがって、生きた動物に存在する、天然に存在するポリペプチドが単離されるのではなく、自然系における共存物質のいくつかまたはすべてからヒトの介入により分離された、同じポリペプチドが単離される。ポリペプチドは、組成物の一部となり得、およびこのようなベクターまたは組成物は、本来見い出される環境の一部ではないという点で、依然として単離され得る。同様に、用語「実質的に精製された」とは、物質が本来発生する直接の化学環境から、ヒトの介入を介して、分離されたまたはさもなければ除去された物質を指す。実質的に精製されたポリペプチドは、当技術分野で一般に周知の任意のいくつかの方法および手順により得るまたは生成することができる。
【0020】
用語「精製」とは、試料中の1つの特定のポリペプチドまたは複数のポリペプチドの特定の活性または濃度を増加させることを指す。1つの実施形態では、特定の活性は、試料中の標的ポリペプチド活性と総ポリペプチド濃度との間の比で表される。別の実施形態では、特定の活性は、標的ポリペプチド濃度と総ポリペプチド濃度との間の非で表される。精製方法には、当業者にはよく知られた手順である、透析、遠心分離、およびカラムクロマトグラフィー法が含まれるがこれらに限定されない。例えば、Youngら、1997年、「Production of biopharmaceutical proteins in the milk of transgenic dairy animals」、BioPharm 10(6):34〜38頁参照。
【0021】
「結合している(associated with)」:本明細書に記載の通り2つの実体(entity)が互いに「結合している」場合、これらは直接または間接の共有または非共有結合相互作用により連結されている。好ましくは、結合は共有結合性である。望ましい非共有結合相互作用には、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁気相互作用、静電相互作用などが含まれる。
【0022】
用語「単離された(isolated)」は、物質が、この元のまたは天然の環境(例えば、物質が天然に存在する場合の自然の環境)から除去されることを意味する。したがって、生きた動物に存在する、天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドが単離されるのではなく、自然系における共存物質のいくつかまたはすべてからヒトの介入により分離された、同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドが単離される。例えば、「単離された核酸断片」は、所望により合成、非天然または改変ヌクレオチド塩基を含有する、一本鎖または二本鎖のRNAまたはDNAポリマーである。DNAポリマーの形で単離された核酸断片は、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの1つまたは複数のセグメントからなり得、炭水化物、脂質、タンパク質または他の物質と結合され得る。このようなポリヌクレオチドは、ベクターの一部となり得、および/またはこのようなポリヌクレオチドもしくはポリペプチドは、組成物の一部となり得、ならびにこのようなベクターまたは組成物は、本来見い出される環境の一部ではないという点で、依然として単離され得る。同様に、用語「実質的に精製された」とは、物質が本来発生する直接の化学環境から、ヒトの介入を介して、分離されたまたはさもなければ除去された物質を指す。実質的に精製されたポリペプチドまたは核酸は、当技術分野で一般に周知の任意のいくつかの方法および手順により得るまたは生成することができる。
【0023】
用語「実質的に純粋」および「単離された」は、本来ポリペプチドとは関連がない物質とのポリペプチドの混合物を除外するものではない。
【0024】
哺乳動物細胞系により生成された外来タンパク質を発現および回収する一般的な方法は、例えば、Etcheverry、「Expression of Engineered Proteins in Mammalian Cell Culture」、Protein Engineering:Principles and Practice、Clelandら(編)、163頁(Wiley−Liss,Inc.1996年)により提供される。細菌系により生成されたタンパク質を回収する標準的方法は、例えば、Grisshammerら、「Purification of over−produced proteins from E.coli cells」、DNA Cloning 2:Expression Systems、第2版、Gloverら(編)、59〜92頁(Oxford University Press 1995年)により提供される。昆虫細胞の形質転換およびこれにおける外来ポリペプチドの生成は、Guarinoら、米国特許第5162222号およびWIPO公開WO94/06463により開示される。バキュロウイルス系由来の組換えタンパク質の単離方法も、Richardson(編)、「Baculovirus Expression Protocols」(The Humana Press,Inc.1995年)により記載されている。1つの実施形態では、本発明のポリペプチドは、バキュロウイルス発現系を用いて発現することができる(それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Luckowら、Bio/Technology、1988年、6、47頁、「Baculovirus Expression Vectors:a Laboratory Manual」、O’Riellyら(編)、W.H.Freeman and Company、ニューヨーク、1992年、米国特許第4,879,236号参照)。さらに、MAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen社)は、例えば、昆虫細胞での生成に使用することができる。
【0025】
本発明の種々の実施形態によるポリペプチドは、特定の特性を活用して単離することもできる。例えば、固定化金属イオン吸着(IMAC)クロマトグラフィーは、ポリヒスチジンタグを含むタンパク質を含む、ヒスチジンリッチタンパク質の精製に使用することができる。簡単には、ゲルを最初に二価金属イオンで荷電してキレートを形成する(Sulkowski、Trends in Biochem.3:1頁(1985年))。ヒスチジンリッチタンパク質は、使用する金属イオンによりアフィニティーの異なるこのマトリックスに吸着され、競合的溶出、pH低下、または強力なキレート剤の使用により溶出される。他の精製方法には、レクチンアフィニティークロマトグラフィーおよびイオン交換クロマトグラフィーによるグリコシル化タンパク質精製が含まれる(M.Deutsher、(編)、Meth.Enzymol.182:529頁(1990年))。本発明のさらなる実施形態内では、目的とするポリペプチドおよびアフィニティータグの融合(例えば、免疫グロブリンドメインである、マルトース結合タンパク質)が、精製を促進するのに構築され得る。
【0026】
用語「インビトロ」とは、人工環境および人工環境内で生じる反応または過程を指す。インビトロ環境には、試験管および細胞培養が含まれるが、これらに限定されない。用語「インビボ」とは、自然環境(例えば、動物または細胞)および自然環境内で生じる過程または反応を指す。
【0027】
用語「表現型」とは、細胞または生物の観察可能な特性を指す。このような観察可能な特性は、外見の他、細胞または生物に存在する特定の生理学的組成物のレベルを含むことができる。
【0028】
用語「シグナル伝達経路」とは、細胞膜を介して細胞外シグナルを伝播し細胞内シグナルとなる分子を指す。このシグナルは、次いで細胞応答を刺激することができる。シグナル伝達過程に関与するポリペプチド分子は、受容体および非受容体タンパク質チロシンキナーゼであり得る。
【0029】
「受容体」とは、一般に特定の物質の選択的結合を特徴とする、細胞内または細胞表面の分子構造を指す。
【0030】
用語「化合物」または「薬剤」は、本明細書では互換的に使用され、1つもしくは複数の化合物、または対象(ヒトまたは動物)に投与された場合、局所および/もしくは全身作用により所望の薬理学的および/もしくは生理学的効果を誘発する組成物を指す。
【0031】
用語「対象」とは、ヒト、またはヒト以外の対象を含む、任意の哺乳動物を指す。ヒト以外の対象には、実験、試験、農業、エンターテインメントまたはコンパニオン動物を含めることができる。対象は、ヒトであってよい。対象は、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタなどの家畜であってよい。対象は、マウス、ラット、ウサギ、サルなどの実験動物であってよい。
【0032】
本明細書では、用語「小分子」は、天然に存在しようと(例えば、化学合成を介して)人工的に作製されようと、比較的低い分子量を有する分子を指すのに使用される。多くの実施形態では、小分子は単量体であり、約1500g/mol未満の分子量を有する。好ましい小分子は、これが、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトにおいて局所または全身効果を生むという点で生物学的に活性である。特定の好ましい実施形態では、小分子は薬剤である。必ずしもではないが、好ましくは薬剤は、適切な政府機関または団体により使用が安全および有効であると既にみなされているものである。例えば、参照により本明細書に組み込まれた、21 C.F.R.§§330.5、331から361、および440から460下にFDAにより列挙されたヒトへの使用のための薬剤、21 C.F.R.§§500から589下にFDAにより列挙された獣医学的使用のための薬剤は、すべて本発明による使用に許容可能であると考えられる。
【0033】
発明の要点
一態様では、本発明は、TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質の一部と少なくとも75%相同なペプチドで誘導体化されたクロマトグラフィー樹脂を含むクロマトグラフィー媒体である。メンバーは、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンであってよい。ペプチドは、該タンパク質の実質的に完全な分子であってよい。ペプチドは、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%相同であってよい。
【0034】
別の態様では、本発明は、TGF−βスーパーファミリーメンバーである増殖因子を含む試料を精製する方法である。その方法は、TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質の一部と少なくとも75%相同なペプチドで誘導体化されたクロマトグラフィー樹脂を含有するクロマトグラフィーカラムを提供することと、増殖因子が凝集する傾向がある条件下でカラムに試料を添加することと、増殖因子が溶解する傾向がある条件下でカラムから増殖因子を溶出することとを含む。ペプチドが増殖因子の一部である必要はない。
【0035】
別の態様では、本発明は、TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同なペプチドで誘導体化されたクロマトグラフィー樹脂を含むクロマトグラフィー媒体である。
【0036】
別の態様では、本発明は、溶媒中の骨形成タンパク質溶液であって、所定濃度の所定の骨形成タンパク質、およびTGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同な所定濃度のペプチドを含む溶液である。TGF−βスーパーファミリーメンバーは、所定の骨形成タンパク質であってよいが、所定の骨形成タンパク質である必要はない。
【0037】
別の態様では、本発明は、骨形成タンパク質溶液を安定化する方法である。その方法は、TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同な所定濃度のペプチドを、骨形成タンパク質溶液に添加することを含む。
【0038】
別の態様では、本発明は、骨形成タンパク質溶液に対し、TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同なペプチドおよび担体を含む組成物である。担体は、ゲル、ポリマー、脱塩骨、縫合糸、外科用メッシュ、セラミック、ミセル、または上記の任意の組合せであってよい。例えば、担体は、緩衝溶液、コラーゲン、コラーゲンスポンジ、またはセルロースベースの物質を含んでよい。あるいは、またはさらには、担体は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースを含めた、1つまたは複数の(ヒドロキシアルキルセルロースを含めた)アルキルセルロースを含んでよい。いくつかの実施形態では、担体は、ポリグリコネート、ヒアルロン酸、ポリ乳酸、ポリ(エチレングリコール)、アルギン酸ナトリウム、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレンオキシド、カルボキシビニルポリマー、およびポリ(ビニルアルコール)を含んでよい。ペプチドは、1つまたは複数の結合ポリ(プロピレングリコール)、結合シアリル基、結合ポリシアリル鎖、修飾アミノ酸の取り込み、非天然アミノ酸の取り込み、鎖間共有結合、鎖内共有結合、鎖間非共有結合、鎖間非共有結合、および提示(presentation)エンハンサーにより安定化され得る。
【0039】
別の態様では、本発明は、TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同なペプチドに細胞集団を接触させることと、ペプチドが存在する場合対ペプチドが存在しない場合の細胞特性の変化を検出することとを含むアッセイ方法である。特性は、細胞周期における時期、遺伝子またはタンパク質の発現、目に見えるまたは測定可能な表現型特性、遺伝子またはタンパク質の発現レベル、および受容体からのシグナル伝達から選択され得る。方法は、TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質に細胞を接触させることをさらに含み得る。ペプチドは、特定の高次構造に束縛され得る。
【0040】
別の態様では、本発明は、TGF−βスーパーファミリーメンバーの一部のフィンガー1ペプチドと少なくとも75%相同なペプチドの既知量に細胞集団を接触させることと、受容体に結合しないペプチド量の変化を検出することとを含むアッセイ方法である。受容体は、TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質に接触され得る。
【0041】
別の態様では、本発明は、TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同なペプチドと、動物からの除去に関してペプチドのインビボ安定性を高める薬剤とを含む組成物である。
【0042】
別の態様では、本発明は、TGF−βスーパーファミリーメンバーの一部のフィンガー1ペプチドと少なくとも75%相同なペプチドおよび小分子の既知量に受容体集団を接触させることと、小分子が存在する場合対小分子が存在しない場合の、受容体に結合しないペプチド量の変化を検出することとを含むアッセイ方法である。
【0043】
本発明を、以下の図面のいくつかの図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】フィンガー領域および種々のヘリックスおよびβシートを示す、BMP−2の概略図である(出典、Scheuflerら、J.Mol.Bio.(1999年)、287:103〜115頁)。
【図2】本発明の例示的な実施形態によるアフィニティークロマトグラフィー方法の概略図である。
【図3】固定化されたBMP−12を使用したカラムからのBMP−3の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図4】固定化されたBMP−2を使用したカラムからのBMP−3の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図5】固定化されたBMP−12を使用したカラムからのBMP−12の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図6】固定化されたBMP−2を使用したカラムからのBMP−12の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図7】固定化されたBMPを使用した逆相HPLCカラムからの種々のBMPの溶出を示す、SECゲルの写真の組(A:非還元、B:還元)である。
【図8】固定化されたBMP−2変異体断片を使用したカラムからのBMP−3の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図9】固定化されたBMP−12野生型断片を使用したカラムからのBMP−3の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図10】固定化されたBMP−2変異体断片を使用したカラムからのBMP−12の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図11】固定化されたBMP−2変異体断片を使用したカラムからのBMP−12の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図12】固定化されたBMP−2変異体断片を使用したカラムからのGDF−9の溶出を示す、クロマトグラム(A)およびSECゲルの写真(B)である。
【図13】NaClおよび2−メチル−2,4−ペンタンジオール(50mMトリス中、pH8)の濃度に対する0.5mg/mL BMP−12溶液の濁度を示すグラフである。
【図14】BMP−フィンガーペプチドと結合させ、種々の条件下でBMP−12を添加した樹脂からの溶出液のSEC後のゲルの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
特定の実施形態では、BMPの第1フィンガーペプチドの一部が、アフィニティークロマトグラフィーを実施するのに使用される。TGF−βスーパーファミリーメンバーの二次構造は、βシートの鎖にほぼ垂直な4つのターンアルファ−ヘリックスにより分けられた2つの逆平行βシートを特徴とする。2つのβシートの2番目は、ねじれたクロスオーバー高次構造を有する。該構造は、システイン残基対が鎖内ジスルフィド結合を形成するために形成されるシステインノットにより安定化される場合が多い。TGF−βスーパーファミリーのいくつかのメンバーは、二量体またはより高次の多量体の形成によりさらに安定化される。図1は、例示的なBMPである、BMP−2におけるフィンガー領域および種々のヘリックスおよびβシートを示す。TGF−βスーパーファミリーの多くのメンバーでは、βシートは9つのβ鎖に分けることができる。アルファ−2へリックスおよびβ5a鎖などのBMP−2の他の特徴は、TGF−βスーパーファミリーの全メンバーに見い出されるわけではない。このうちいくつかは、BMP−2では見い出されない別のへリックスおよびβ鎖を示す場合がある(Scheuflerら、J.Mol.Bio.(1999年)、287:103〜115頁)。
【0046】
TGF−βスーパーファミリーの例示的メンバーには、BMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6、BMP7、BMP8A、BMP8B/OP2、BMP9/GDF2、BMP10、BMP11/GDF11、BMP12/GDF7、BMP13/GDF6、BMP15、BMP16/ノーダル、BMP17/レフティーB、BMP18/レフティー2/TGF β4、αインヒビン、インヒビンβA、インヒビンβB、インヒビンβC、インヒビンβE/BMP14/GDF12、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、GDF1、GDF3/Vgr−2、GDF5、GDF8、GDF8、GDF9、GDF10/BMP3B、GDF15、アルテミン(artemin)、GDNF(グリア由来神経栄養因子)、ミュラー管抑制物質、ノルトリン(neuturin)、およびペルセフィン(persephin)が含まれるがこれらに限定されない。以下の考察はBMPを中心としたものであるが、この教示はTGF−βスーパーファミリーのいずれのメンバーにも適用され得る。
【0047】
BMPは、生理的pHで凝集および沈殿する傾向がある(Ruppertら、1996年、Eur J Biochem.1996年、237(1):295〜302頁)。いくつかの実施形態では、この傾向は、全BMPまたはこの第1フィンガードメイン由来のフィンガー1ペプチド類似体を、アフィニティークロマトグラフィー樹脂を生成するためのセファロースビーズ結合リガンドとして連結することにより活用された。
【0048】
クロマトグラフィー
図2は、本発明の特定の実施形態によるアフィニティー精製の原則を図示する。BMPまたはフィンガー1ペプチド類似体は、クロマトグラフィー媒体に固定化される。例示的媒体には、アガロース(例えば、セファロース(商標))、ポリスチレン、シリカ、デキストラン、およびアクリルアミドが含まれる。媒体は、次いで当業者に周知の方法によりカラムの中にスラリーにされる。カラムは、BMPの沈殿を支持する条件下でBMP含有溶液を添加される。1つの実施形態では、BMPは、硫酸デキストランまたはヘパリンのいずれかを、例えば、生理的pHで100マイクログラム/ミリリットル含有するCHO馴化培地からカラムに添加される。いくつかの実施形態では、溶液は、1.2M NaClも含んでよい。他の不純物は、BMPがカラムに依然として凝集している間にカラムから洗い流すことができる。BMPは、次いで溶媒和を促進する条件下でカラムから洗い流される。当業者は、添加用溶媒のイオン強度およびpHが、固定化フィンガー1ペプチド類似体および精製物質の種々の組合せに対し最適化され得ることを認識されよう。
【0049】
いくつかの実施形態では、添加剤は、精製物質の可溶性または不溶性を最適化するのに使用され得る。例えば、硫酸デキストランまたはヘパリンは、細胞により発現され分泌されている間にBMPの可溶化を支持するため培養培地へ添加され得る。カラムに添加する前に、馴化培地は、クロマトグラフィー過程の間、効率的な捕捉および/または凝集を促進するため高イオン強度に調節され得る。
【0050】
例示的なBMP可溶化剤は、当業者に周知であり、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、アルコール、アセトニトリル、プロピレングリコール、グリコール、トゥイーン80、CHAPS(3−((3−コルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)−1−プロパンスルホン酸)、L−アルギニン、6M尿素、および6Mグアニジン HClを含むがこれらに限定されない。当業者は、これらの溶媒は、BMPの可溶化に関し攻撃性が異なることを認識されよう。特定の実施形態では、BMPは、500mMアルギニン溶液または50mM酢酸で溶出される。
【0051】
例示的なBMP沈殿物は、当業者に周知であり、約5を超えるpHを有する溶媒、例えば、塩化ナトリウムを含む食塩水、リン酸塩、アンモニウムおよびナトリウムの硫酸塩、ならびにクエン酸を含むがこれらに限定されない。沈殿を促進する塩化ナトリウム濃度は、溶液のpHに依存する。いくつかのTGF−βタンパク質は、高塩濃度および低pH、またはこの逆の溶液で沈殿する。当業者は、特定のタンパク質に関する所望の沈殿特性を得るための塩濃度およびpHの最適化方法を認識されよう。
【0052】
BMPフィンガーペプチド断片は、フィンガー領域全体の代わりに使用され得る。クロマトグラフィーまたは下記の適用に使用される特定の配列は、少なくとも8、少なくとも16、または少なくとも24個のアミノ酸残基を有し得る。配列は、天然タンパク質の対応する領域と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%相同であり得る。いくつかの実施形態では、変異体は、天然配列におけるシステイン残基の代わりにセリン残基により形成され得る。これは、BMP凝集体の核形成を妨げる可能性のある、セファロースビーズ上のペプチド鎖間の架橋を減少することができる。
【0053】
ペプチド配列に対する修飾はまた、基質へのペプチドの結合を増加するために行われ得る。例えば、リジン終端ペプチドは、アミド結合形成を介してクロマトグラフィービーズに容易に結合される。所望のペプチドの天然配列が、まだリジン終端されていない場合、天然配列はリジン残基を結合するように修飾され得る。あるいは、またはさらには、ペプチドの1つの末端のみが基質ビーズに確実に結合されるように、ペプチドのN末端はアミド化され得、C末端はアセチル化され得る。別の実施形態では、ペプチドと基質ビーズとの間にスペーサーが挿入され得る。スペーサーは、ペプチドに別の高次構造的柔軟性を提供し、ペプチド凝集体の核形成に最適な二次構造を実現するためペプチドをより自由にする。スペーサーは、単純な有機鎖であってよく、または非結合アミノ酸配列であってよい。配列は、1つもしくは2つのアミノ酸オリゴマーであってよく、またはTGFβスーパーファミリーメンバーであるタンパク質もしくはいくつかの他のタンパク質の非結合部分と少なくとも部分的相同性を示してよい。あるいは、またはさらには、スペーサーは、TGFβスーパーファミリーメンバーであるタンパク質の一部と部分的相同性を示す部分および示さない部分を有してよい。いくつかの実施形態では、結合したペプチドの有効性は、自由末端がC末端であるかN末端であるかにより異なる場合がある。個々のアミノ酸はまた、除去され得、本明細書に記載の通りもしくは当業者に周知の他の方法により修飾され得、または置換され得る。
【0054】
BMP溶液安定剤
いくつかの実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は、種々の医薬的に許容可能な担体におけるBMP溶液を安定化するのに使用され得る。いくつかの実施形態では、BMPは、特定濃度のフィンガー1ペプチド類似体含有溶液で溶解される。いくつかの実施形態では、濃度比は1:1であるが、これは少なくても多くてもよい。任意の特定の理論に縛られず、フィンガー1ペプチド類似体は、該タンパク質の第1フィンガー領域と競合し、単量体BMPまたは二量体化BMPの多量体化を防ぐと考えられる。この結果、タンパク質より高いペプチド濃度、例えば、2:1、5:1、10:1、20:1、または30:1を有することが望ましい場合がある。
【0055】
いくつかの実施形態では、デリバリーされるタンパク質濃度は、担体1ccまたは1mlあたり約0.01から約4mg、例えば、1ccあたり約0.05mgから約1.5mgの範囲にある。BMPの例示的な担体には、治療組成物に関し以下で考察される物質、ヒドロゲル形成物質および他のポリマーならびに米国特許第6,620,406号に開示されたもの(この内容は参照により本明細書に組み込まれる)などの担体が含まれる。
【0056】
アッセイ
別の実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は生物学的アッセイで使用される。例えば、フィンガー1ペプチド類似体は、BMP受容体と相互作用することができ、BMP関連生物学的反応、例えば、シグナル伝達を誘発することができる。アッセイはまた、細胞周期の変化、特定の遺伝子もしくはタンパク質の発現、表現型の目に見えるもしくは測定可能な変化、タンパク質レベルもしくはタンパク質の修飾状態の変化、または他の細胞特性などの反応も判定することができる。この反応は、市販のアッセイまたはスクリーニング試験キットを用いて測定することができる。フィンガー1ペプチド類似体は、特定の細胞を試験してこれらがBMPに反応するかどうかを単純に判定する、または細胞が多かれ少なかれ反応する特定のBMPを同定するのに使用することができる。例えば、代謝活性の修飾により、例えば、特定のタンパク質、ポリヌクレオチド、代謝産物、または他の細胞成分の産生を増加または減少させて、フィンガー1ペプチド類似体に反応する細胞を同定することができる。別の実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は、BMPの競合者として使用される。この実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は、細胞受容体と結合するため完全なBMPタンパク質と競合する。例えば、癌細胞、細菌、および疾患に関与する他の細胞を、特定のBMP受容体、またはフィンガー1ペプチド類似体との結合が細胞の特定の機能を阻害する他の受容体の存在についてアッセイすることができる。あるいは、またはさらには、アッセイは、細胞よりむしろ単離受容体により実施してもよい。いくつかの実施形態では、既知の受容体を用いるハイスループットスクリーニング方法を、受容体−ペプチド相互作用のアッセイに使用することができる。
【0057】
第1フィンガーペプチド類似体が、BMPアゴニストとして使用され得る例示的な実施形態には、骨粗鬆症を治療し、骨折を修復または再生し、軟骨再生するためのBMP−2第1フィンガーペプチド類似体、腱修復のためのBMP−12第1フィンガーペプチド類似体、コリン作動性神経分化の誘発のためのBMP−9第1フィンガーペプチド類似体、心不全治療のためのGDF−19第1フィンガーペプチド類似体の使用が含まれるがこれらに限定されない。第1フィンガーペプチド類似体が、BMPアンタゴニストとして使用され得る例示的な実施形態には、骨粗鬆症、骨折、および骨疾患を治療するためのBMP3、避妊のためのBMP15およびGDF9、2型糖尿病、肥満、および代謝症候群を治療するためのGDF3、CNSもしくは末梢神経組織を修復もしくは再生するためのBMP4、種々の癌および腫瘍を治療するためのTGF−β、または筋ジストロフィー、サルコペニア、弱さ(frailty)、もしくは神経障害を治療するためのGDF8の第1フィンガーペプチド類似体の使用が含まれるがこれらに限定されない。この実施形態では、第1フィンガーペプチド断片は、受容体と結合するため完全なタンパク質と競合するが、次いで、他の場合では該タンパク質が促進する細胞または組織応答を妨げる。
【0058】
ペプチド結合は、試料中の標識ペプチドが、特定の細胞もしくは受容体との結合のため非標識BMPと競合する、またはこの逆であるラジオレセプターアッセイを用いて、より直接的に測定またはアッセイすることができる。標識は、125I、35S、32P、または他の適切な放射性同位元素により行うことができる。フィンガー1ペプチド類似体の結合が増加するにつれて、結合することができるBMPの量を低下させる。受容体−BMP複合体は、次いで、例えば洗浄(接着細胞の場合)、迅速濾過または遠心分離(個体担体に結合した非接着細胞系または受容体の場合)、または抗体、ポリエチレングリコール、もしくは他の沈殿剤による受容体−リガンド複合体の沈殿、これに続く濾過もしくは遠心分離(可溶性受容体の場合)により、遊離リガンドから単離される。既知の濃度の標識リガンドで作製された標準曲線との比較は、試料中のペプチドまたはタンパク質濃度の正確な定量を可能にする。複合体中の標識リガンド量は、次いで、典型的にはガンマ計測により定量され、既知の基準と比較される。これらの方法は、他の受容体を用いた文献に記載されており(M.Williams、Med.Res.Rev.、11:147〜184頁(1991年);M.HiguchiおよびB.B.Aggarwal、Anal Biochem.、204:53〜58頁(1992年);M.J.Cain、R.K.GarlickおよびP.M.Sweetman、J.Cardiovasc.Pharm.、17:S150〜S151頁(1991年);それぞれは参照により本明細書に組み込まれる)、本システムに容易に適応される。ペプチドまたはBMPの他の定量方法には、4,857,456に記載の通り、ラジオイムノアッセイおよびELISAが含まれる。
【0059】
あるいは、またはさらには、特定のフィンガー1ペプチド類似体が一度同定されると、特定の二次構造を安定化し、鎖間シス−シス結合形成を防止し、または細胞受容体とのより良い適合をもたらすため、個々のアミノ酸を置換してこれをさらに最適化することができる。このような変異は、コンピュータモデルを用いてまたは生物学的方法を用いて同定することができる。例えば、タンパク質突然変異誘発の例示的方法は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual.、第2版(Cold Spring Harbor、N.Y.:Cold Spring Harbor Laboratory Press)(1990年)に見い出すことができる。このような実施形態では、BMP模倣剤としての治療剤としてペプチドまたは最適化ペプチドを使用することが望ましい場合がある。他の実施形態では、個々のアミノ酸残基またはペプチドは、例えば、グリコシル化またはポリ(エチレングリコール)による誘導体化により、化学修飾することができる。
【0060】
別の実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は、完全なBMPタンパク質と直接相互作用する。例えば、フィンガー1ペプチド類似体は、タンパク質のホモまたはヘテロ二量体化を防いでBMPタンパク質をアッセイするのに使用することができる。この実施形態では、二量体化がしばしば生じる細胞によりフィンガー1ペプチド類似体が内部に取り込まれるように、フィンガー1ペプチド類似体を修飾することが望ましい場合がある。あるいは、またはさらには、ペプチドは、BMPタンパク質の二量体化を積極的に調節するのに使用することができる。フィンガー1ペプチド類似体およびBMPタンパク質の相互作用は、上述された任意の方法を用いてアッセイすることができる。さらに、タンパク質サイズに関するアッセイ、例えば、天然ゲル電気泳動、質量分析、またはゲル濾過クロマトグラフィーは、フィンガー1ペプチド類似体の効果を特徴付けるのに使用することができる。いくつかの実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は、適正なBMP機能を妨げることでBMPアンタゴニストとして作用する治療剤として使用することができる。
【0061】
別の実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は、物質、例えば、BMP−BMPまたはBMP−受容体相互作用を積極的にまたは消極的に調節する小分子を同定するスクリーニングとして使用することができる。例示的な受容体には、例えば、ACVR1/ALK2、ACVR1B/ALK4、ACVR1C/ALK7、ACVR2/ACTRII、ACVR2B/ACTRIIB、ACVRL1/ALK1、BMPR1A/ALK3、BMPR1B/ALK6、BMPR2/T−ALK、TGFβR1/ALK5、およびTGFβR2などのセリン/スレオニンキナーゼ受容体、ならびにRGMa、RGMb/DRAGON、RGMc/HFE2、TGFβR3、クリプト(Cripto)、クリプティック(Cryptic)、およびエンドグリンなどの共受容体が含まれるがこれらに限定されない。例えば、ハイスループットアッセイは、BMPの小分子阻害剤を同定するのに使用することができる。無細胞アッセイは、スクリーニングがBMP−ペプチド相互作用の破壊を検出するFRETアッセイと同様に行うことができる。例えば、BMPまたはフィンガー1ペプチド類似体のいずれかが、ドナー分子で修飾され得るのに対し、一方はアクセプター分子で修飾される。
【0062】
別の実施形態では、フィンガー1ペプチド類似体は、特定の二次構造を保持するため特定の高次構造に束縛されるように修飾することができる。例えば、フィンガー1ペプチド類似体における特定のアミノ酸は、ジスルフィド結合を形成しおよび特定の高次構造を安定化させるシステインと置換することができる。あるいは、またはさらには、システインは、ペプチドを束縛または特定の高次構造を安定化させるため、フィンガー1ペプチド類似体のNおよびC末端に結合することができる。いくつかの実施形態では、野生型または変異体フィンガー1ペプチド類似体をアンフォールディングし、別の高次構造でリフォールディングできるようにすることが望ましい場合がある。例えば、フィンガー1ペプチド類似体は、カオトロピック剤を用いて可溶化および変性させることができる。カオトロピック剤からのフィンガー1ペプチド類似体の分離は、熱力学的に有利な高次構造においてフィンガー1ペプチド類似体がリフォールディングできるようにする。システイン残基が、該タンパク質の一次アミノ酸配列に存在する場合、ジスルフィド結合の正しい形成を可能にする環境(例えば、酸化還元系)においてリフォールディングを実現することが望ましい場合がある。一般的なリフォールディング方法は、Kohno、Meth.Enzym.、185:187〜195頁(1990年)に開示されている。シャペロニンもフォールディングを媒介するのに使用することができる。
【0063】
治療組成物
治療可能性を有することが同定されたフィンガー1ペプチド類似体は、緩衝液の形で組織に適用することができる。例示的な緩衝液は、該ペプチドに加え、約1.0から約10.0%(w/v)グリシン、約0.1から約5.0%(w/v)の糖(例えば、スクロース)、約1から約20mMグルタミン酸塩酸塩、および所望により約0.01から約0.1%の非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80またはトゥイーンなど)を含む組成物である。例示的な溶液は、約1%から約20%w/vのセルロース担体/緩衝液である。所望する場合、塩が添加されてよい。
【0064】
より粘性のある物質も、担体として使用することができる。このような物質は、フィンガー1ペプチド類似体と結合した場合、組織部位に対する適切な取扱適性を有する組成物を形成するように、粘性および極性を有する医薬的に許容可能な物質を含むことができる。例えば、骨折よりも歯周部位で使用するため比較的低い粘性(だがそれでも流れやすくはない)を有することが望ましい。ペプチドへの担体の添加は、フィンガー1ペプチド類似体が種々の代謝活性をアップレギュレートまたはダウンレギュレートして局所細部で作用できるようにするのに十分な時間、疾患または病変部位にフィンガー1ペプチド類似体が留まることを可能にする。担体は、フィンガー1ペプチド類似体がある時間間隔で病変、欠損または疾患部位から放出されることを可能にする。
【0065】
ペプチド投与用担体の例示的なファミリーは、米国特許第5,171,579号に詳述され、この全開示が参照により本明細書に組み込まれる、多孔質粒子ポリマーである。本発明に有用な別の担体は、骨形成タンパク質製剤、多孔質粒子ポリマー、およびセルロース系物質など別の封鎖剤または担体剤である。担体または封鎖剤として使用できる他の物質には、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレンオキシド、カルボキシビニルポリマーおよびポリ(ビニルアルコール)が含まれる。これらの組成物は、公開PCT出願WO93/00050に記載されており、この全開示が参照により本明細書に組み込まれる。封鎖剤は、約1から約10%(w/vインプラント)濃度で存在してよい。多孔質粒子ポリマーが担体として使用される場合、多孔質粒子ポリマー/セルロース封鎖剤は、所望により、例えば、封鎖剤/液体溶液:多孔質粒子ポリマーの例示的な比が、約0.1から約0.9(v/v)となる約10から約80%(v/v)濃度で、希釈剤である水性グリセロールにさらに結合することができる。
【0066】
担体の別の例示的なファミリーは、コラーゲン物質である。適切なコラーゲン物質には、Collastat(商標)およびHelistat(商標)コラーゲンスポンジ(Integra LifeSciences Corp.社、プレインズボロ、N.J.)が含まれる。本発明の使用に適切であり得る他のコラーゲン物質は、米国特許第5,206,028号;米国特許第5,024,841号;米国特許第5,256,418号に記載される。コラーゲン担体は、スポンジ形態であってよい。コラーゲンスポンジは、適切な期間所望のペプチド容量および濃度でスポンジを浸すことで、投与前にペプチドを添加することができる。コラーゲンスポンジは、約10%から約150%v/v[mlタンパク質/cc乾燥スポンジ]、例えば、約10から約60%v/vの範囲でペプチドを添加することができる。あるいは、ペプチドは、生成の間コラーゲンスポンジに吸着することができる。この場合、ペプチドは、生成の間コラーゲンスポンジに添加し、および凍結乾燥して単一の産物を形成することができる。ペプチドは、約10から約150%v/vの比で、例えば、約60から約80%v/vの範囲で添加することができる。
【0067】
担体の別の例示的なファミリーは、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)のカチオン塩を含む、アルキルセルロース(ヒドロキシアルキルセルロースを含む)などのセルロースベースの物質である。これらの物質および本明細書に記載された任意の他のポリマー担体の架橋量および分子量は、封入ペプチドのデリバリー比を調節し、インビボでペプチドを安定化させるように修飾することができる。
【0068】
セルロース担体の場合、担体は水和セルロース粘性ゲルの形態であってよい。セルロース物質の粘性は、適切な期間の高撹拌、これに続く加圧滅菌など、機械的手段により増大させることができる。ペプチドおよびセルロース担体は、適切な緩衝溶液中にあってよい。例示的な緩衝溶液は、約1.0から約10.0%(w/v)グリシン、約0.1から約5.0%(w/v)の糖(好ましくは、スクロース)、約1から約20mMグルタミン酸塩酸塩、および所望により約0.01から約0.1%の非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80など)を含む組成物である。例示的な溶液は、約1%から約20%w/vのセルロース担体/緩衝液である。所望する場合、塩が添加されてよい。粘性ゲル担体との結合ペプチド量は、必要とされるインプラント物質1立方センチメートルあたり約0.05から約1.5mg、例えば、約0.1から約1.0mgの範囲であってよい。
【0069】
種々の実施形態によるフィンガー1ペプチド類似体用の担体として使用するのに適切であり得る他の物質には、脱塩骨、ポリグリコネート、ヒアルロン酸、外科用メッシュまたは縫合糸、温度感受性ポリマー、ならびにリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイトなどのミネラルおよびセラミック、ならびにこれらの組合せが含まれるがこれらに限定されない。他の潜在的な担体には、BMP注射製剤用の担体が含まれる。注射製剤に適した担体には、例えば、可溶性コラーゲン、ヒアルロン酸、ポリ乳酸/ポリエチレングリコール、およびポリマーが含まれる。
【0070】
この実施形態で使用するためのフィンガー1ペプチド類似体は、担体および完全なタンパク質と単純に結合することができ、または担体に固定化することができる。例えば、アミン終端ペプチドは、標準的なポリマー化学の技術を用いてカルボキシル化担体に結合することができる。別の実施形態では、ペプチドは、カルボキシ−NHSで終端しアミノ化ポリマーに結合することができる。あるいは、またはさらには、ペプチドは、ビオチニル化し、ストレプトアビジンで機能化された担体と配位結合することができる。
【0071】
フィンガー1ペプチド類似体の別の担体には、ミセルが含まれる。例えば、Grefら、Science、1994年、263:1600〜1603頁に記載された方法などの両面乳剤方法は、ミセルに治療組成物を封入するのに使用することができ、ミセルは次いで、本明細書に記載された任意の方法または当業者に周知の任意の他のデリバリー方法を用いて対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、ミセル表面は、標的薬剤を含んでよい。標的薬剤は、ミセルと共有結合することができ、またはリガンド−受容体相互作用(例えば、ビオチン−ストレプトアビジン)もしくは静電相互作用を用いて保持することができる。例示的な標的薬剤には、抗体および抗体断片、核酸リガンド(例えば、アプタマー)、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、多糖類、低密度リポタンパク質(LDL)、葉酸、トランスフェリン、アシアリコタンパク質(asialycoprotein)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のgp120エンベロープタンパク質、炭水化物、多糖類、酵素受容体リガンド、シアル酸、糖タンパク質、脂質、小分子、生物活性剤、生体分子、Fab、Fab’、またはF(ab’)2断片などの免疫反応性断片などが含まれる。
【0072】
治療剤として使用するためのペプチドは、循環時間を増加させ生体からの消失率を低下しつつ、インビボ安定性を高めるように修飾することができる。例えば、ペプチドは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)またはポリ(プロピレングリコール)(PPG)などのポリ(アルキレングリコール)鎖で機能化するまたはこれらと結合することができる。このようなポリマー鎖の最適分子量は、当業者に周知の方法を用いて最適化することができる。あるいは、またはさらには、ペプチドは、シアリル基またはポリシアリル鎖を結合することができる。ペプチドは、メチル、硫酸などのより小さな化学基でアミノ酸残基を化学的に修飾して修飾することができる。個々のアミノ酸残基は、D−立体異性体またはベータ−残基などの非天然アミノ酸と置換することもできる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、鎖間または鎖内共有結合または非共有結合により安定化することができる。これらの結合は、適切なアミノ酸残基をペプチドに添加して、またはチオール、水素結合ドナーおよびアクセプターなど、適切な化学基でペプチドにおけるアミノ酸を修飾して促進することができる。ペプチドは、提示エンハンサーとして作用する完全長または断片の天然または合成タンパク質と、関連するまたは融合する(例えば、NもしくはC末端でまたは内部で)こともできる。例示的なタンパク質は、当業者に知られており、ウシ血清アルブミンを含む。
【0073】
適切な緩衝液中の、または上述された担体など適切な担体と結合したフィンガー1ペプチド類似体は、組織および/または組織の修復を必要とする部位に直接適用することができる。例えば、ペプチドは、噴霧もしくは浸漬により、またはブラシもしくは注入用注射器など、他の適切な塗布器を用いて、組織に物理的に適用することができる。あるいは、またはさらに、ペプチドは、組織の修復を必要とする部位に直接適用することができる。
【0074】
いくつの実施形態では、本発明の実施形態による治療組成物は、対象に投与することができ、または非経口(例えば、静脈内)、皮内、皮下、経口、鼻、気管支、眼、経皮(局所)、経粘膜、直腸、および膣経路を含むが、これらに限定されない任意の利用可能な経路によるデリバリーのため最初に調製することができる。発明の医薬組成物は、哺乳動物細胞系から発現された精製ポリペプチドまたはタンパク質およびデリバリー剤(すなわち、上述されたような、カチオン性ポリマー、ペプチド分子トランスポーター、界面活性剤など)を、医薬的に許容可能な担体と組み合わせて含むことができる。本明細書では、用語「医薬的に許容可能な担体」は、医薬投与に適合する、溶媒、分散媒体、被覆剤、抗菌および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。補助活性化合物も、組成物に組み込むことができる。
【0075】
医薬組成物は、この意図された投与経路に適合するように調製される。非経口、皮内、または皮下適用に使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含むことができる。注入用の水など滅菌希釈剤、食塩溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤、エチレンジアミンテトラ酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸またはリン酸などの緩衝液および塩化ナトリウムまたはデキストランなどの等張性調節剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなど、酸または塩基により調節することができる。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチックでできたアンプル、使い捨てシリンジまたは反復投与バイアルに封入することができる。
【0076】
注入可能な使用に適した医薬組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散剤および滅菌注入溶液もしくは分散剤の即時調製用滅菌粉末を含む場合が多い。静脈内投与では、適切な担体には、生理食塩水、静菌水、クレモフォールEL(商標)(BASF社、パーシッパニー、NJ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。すべての場合において、組成物は無菌であるべきであり、容易な注射可能性(syringability)が存在する程度に流動的であるべきである。例示的な医薬製剤は、製造および保存の条件下で安定であり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護される。一般に、関連する担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびこれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒体であり得る。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用により、分散物の場合では必要とされる粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により維持することができる。微生物作用の保護は、種々の抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成することができる。多くの場合、例えば、糖、ポリアルコール(マンニトール、ソルビトールなど)、または塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物中に含むことが望ましい。注入可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅らさせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に含むことによりもたらすことができる。
【0077】
滅菌注入溶液は、必要に応じて、上記に挙げた成分の1つまたは組合せを有する適切な溶媒に、精製ポリペプチドまたはタンパク質を必要量で組み込むことにより調製し、続いて滅菌濾過することができる。一般に、分散剤は、哺乳動物細胞系から発現された精製ポリペプチドまたはタンパク質を、基本的な分散媒体および上記に挙げた成分からの必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことにより調製される。滅菌注入溶液を調製するための滅菌粉末の場合、例示的な調製方法は、予め滅菌濾過されたこの溶液から活性成分プラス任意の別の所望成分の粉末を得る、真空乾燥および凍結乾燥である。
【0078】
経口組成物は、不活性希釈剤または食用担体を含み得る。経口治療投与の目的のため、精製ポリペプチドまたはタンパク質は、賦形剤に組み込まれ得、錠剤、トローチ、またはカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)の形で使用され得る。経口組成物は、マウスウォッシュとして使用する液体担体を用いて調製することもできる。医薬的に許容可能な結合剤、および/またはアジュバント物質を、組成物の一部として含めることができる。錠剤、ピル、カプセル、トローチなどは、任意の以下の成分、または類似の性質の化合物を含有することができる:微結晶セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンなどの結合剤;デンプンまたはラクトースなどの賦形剤;アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、またはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロート(Sterote)などの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;ショ糖またはサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ香料などの着香剤。経口デリバリー製剤は、有利には胃腸管内での安定性を改善するおよび/または吸収を高める薬剤を組み込み得る。
【0079】
吸入による投与では、哺乳動物細胞系から発現された精製ポリペプチドまたはタンパク質およびデリバリー剤を含む発明組成物は、好ましくは、適切な高圧ガス、例えば、二酸化炭素などのガス、または噴霧器を含有する加圧容器またはディスペンサーからエアロゾールスプレーの形でデリバリーされる。本発明は、鼻腔用スプレー、吸入器、または上および/または下気道への他の直接デリバリーを用いる組成物のデリバリーを企図する。インフルエンザウイルスに対するDNAワクチンの鼻腔内投与は、CD8 T細胞応答を誘導することが示されており、これは、気道の少なくとも一部の細胞は、この経路でデリバリーされた場合DNAを取り込むことができること、および本発明のデリバリー剤は、細胞取り込みを高めることを示唆する。本発明の特定の実施形態により、哺乳動物細胞系から発現された精製ポリペプチドおよびデリバリー剤を含む組成物は、エアロゾール投与用の大きな多孔質粒子として調製される。本発明の実施形態による組成物の経上皮吸収は、米国特許出願第20030235536号(この内容は参照により本明細書に組み込まれる)に開示された方法を用いて高めることができる。
【0080】
全身投与は、経粘膜的または経皮的手段により行うこともできる。経粘膜的または経皮的な投与では、透過するバリアに対する適切な浸透剤が製剤で使用される。このような浸透剤は、一般に当技術分野で周知であり、例えば、経粘膜投与では、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻腔用スプレーまたは座剤の使用により実現することができる。経皮投与では、精製ポリペプチドまたはタンパク質およびデリバリー剤は、当技術分野で一般に周知の通り軟膏、塗擦剤、ゲル、またはクリーム中に処方される。
【0081】
組成物は、座剤(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドなどの従来の座剤ベースを有する)または直腸デリバリーでは停留浣腸の形で調製することもできる。
【0082】
1つの実施形態では、組成物は、インプラントおよびマイクロカプセル化デリバリー系を含む制御放出製剤など、生体からの迅速除去に対してポリペプチドまたはタンパク質を保護する薬剤と結合される。薬剤は、組成物用の担体となることもできる。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーが使用され得る。このような製剤の調製方法は、当業者には明らかであろう。材料は、Alza Corporation and Nova Pharmaceuticals,Inc.社から商業的に入手することもできる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体による感染細胞を標的にするリポソームを含む)は、医薬的に許容可能な担体として使用することができる。これらは、当業者に周知の方法により、例えば、米国特許第4,522,811号に記載された通りに調製することができる。
【0083】
投与の容易さおよび用量均一性のため、単位剤形で経口または非経口組成物を処方することが有利である。本明細書では単位剤形とは、治療する対象にとって単一用量として適切な物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要とされる医薬担体と関連して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性ポリペプチドまたはタンパク質を含有する。
【0084】
本発明の実施形態によるポリペプチドまたはタンパク質は、種々の間隔でおよび必要に応じた異なる期間で投与することができる。疾患または障害の重症度、過去の治療、対象の全般的健康および/または年齢、ならびに他の既存疾患を含むがこれらに限定されない特定の要因が、対象の効果的治療に要求される用量およびタイミングに影響し得ることを、当業者は理解するであろう。一般に、本明細書に記載されたようなポリペプチドまたはタンパク質による対象の治療は、単回治療を含むことができ、または多くの場合、一連の治療を含むことができる。適切な用量が、ポリペプチドまたはタンパク質の効力に依存し得、所望により、例えば、予め選択された所望の反応が得られるまで増加する用量の投与により、特定のレシピエントに適合できることがさらに理解される。任意の特定の動物対象に特異的な用量レベルは、使用する特定のポリペプチドまたはタンパク質の活性、対象の年齢、体重、全般的健康、性別、および食習慣、投与時間、投与経路、排泄率、任意の薬剤の組合せ、ならびに調節される発現または活性程度を含む種々の要因に依存し得ることが理解される。
【0085】
本発明は、ヒト以外の動物を治療するための発明組成物の使用を含む。したがって、投与量および投与方法は、獣医薬理学および獣医学の既知の原則に従い選択することができる。手引きは、例えば、Adams,R.(編)、Veterinary Pharmacology and Therapeutics、第8版、Iowa State University Press;ISBN:0813817439;2001年に見い出される。
【0086】
発明に係る医薬組成物は、投与指示書と共に容器、パック、またはディスペンサーに含めることができる。
実施例
【実施例1】
【0087】
BMP−12を、NHS活性化セファロース(商標)ビーズに約20mg:4mLの比で固定化し、得られた培地と水または中性の生理食塩水緩衝液を混合してカラムを調製した。1.2M NaClを増加したCHO馴化培地を、カラムに添加した。いくつかの例では、培地は、添加前にBMPに関して予め濃縮した。カラムを、40mM Na2HPO4(pH7.2)の1.2M NaCl 15CV(カラム容量)、続いて20mM トリス(pH7.5)(15CV)の0.5M アルギニン/0.5M NaCl、および低塩洗浄(50mM酢酸アンモニウム、pH7、15CV)で洗浄した。カラムを、50mM酢酸(pH3)に対する5CVの勾配、続いて15CVのチェイス(chase)により、酢酸でさらに溶出した。最後に、カラムを、6Mグアニジン塩酸塩(GuHCl)を有する5CVの酢酸溶液で溶出した。
【0088】
BMP−3を、クロマトグラフィー媒体で効率的に捕捉し、酢酸で溶出した(図3A)。溶出液をHPLCにより分析した。図3Bに見られる通り、プロペプチド断片を成熟タンパク質と一緒に共精製し、微量の成熟BMP−3をグアニジンピークでも観察した。
【実施例2】
【0089】
BMP−2を、実施例1の通りセファロースビーズに固定化し、BMP−3の添加および溶出を試験するのに使用した。図4に示された通り、BMP−3を、高イオン強度溶液で効率的に捕捉し、酢酸で溶出した。BMP−12カラムに関する限り、プロペプチド断片を成熟タンパク質と一緒に共精製し、微量の成熟BMP−3をグアニジンピークでも観察した。
【実施例3】
【0090】
BMP−12を添加し、実施例1の通りBMP−12アフィニティーカラムから溶出した。BMP−12を、高塩溶液を用いてカラムにより効率的に捕捉し、酢酸およびグアニジンで溶出した(図5)。BMP−12の単量体および二量体型の両方を捕捉した。
【実施例4】
【0091】
BMP−12を添加し、実施例1および2の通りBMP2アフィニティーカラムから溶出した。BMP−12を、高イオン強度溶液を用いてカラムにより効率的に捕捉し、酢酸およびグアニジンで溶出した(図6)。
【実施例5】
【0092】
BMP−12およびBMP−2を用いたBMPアフィニティー樹脂を、実施例1および2に記載の通りに調製し、HPLCカラムを調製するのに使用した。このカラムは、BMP−3およびBMP−12を添加して使用した。図7に示されている通り、BMP−12およびBMP−2は逆相HPLCのアフィニティーリガンドとして等しく有効であった。いくつかの例では、サイズ排除または逆相クロマトグラフィー方法を使用して精製を増強した。
【実施例6】
【0093】
BMP−2フィンガー1ペプチド変異体(SDVGWNDWIVAPPGYHAFYCHGEK)を、5mgペプチド/mL樹脂の比でC末端リジンを介してセファロースビーズに結合させた。得られた樹脂(1.6×2.0cm)4mLを使用してカラムを調製した。カラムにBMP−3を添加し、実施例1の通り溶出した。図8に示された通り、BMP−3を、高塩溶液を用いてカラムにより効率的に捕捉し、酢酸でプロペプチド断片と一緒に溶出した。一般に、固定化されたペプチドによるクロマトグラフィーは、タンパク質全体より高い純度の産物をもたらした。
【実施例7】
【0094】
野生型BMP−12フィンガー1ペプチド(KELGWDDWIIAPLDYEAYHCEGLC)を使用して、実施例1の通りBMP−3を精製した。図9に示された通り、BMP−3を、高塩溶液を用いてカラムにより効率的に捕捉し、酢酸で溶出した。実施例6よりも溶出されたプロペプチド断片は少なかった。一般に、固定化されたBMP−12は、BMP−2変異体より効果が低かった。SDS−PAGEは、固定化されたBMP−12ペプチドが、恐らく遊離システイン残基によりオリゴマー化されたことを示す。
【実施例8】
【0095】
BMP−12を、実施例6に記載されたBMP−2変異体ペプチドで調製したカラムを用いて精製した。図10に示された通り、BMP−12を、高塩溶液を用いてカラムにより効率的に捕捉し、酢酸で溶出した。少量のBMP−12が、6M GuHClで溶出された。
【実施例9】
【0096】
BMP−12を、実施例7に記載されたBMP−12野生型ペプチドで調製したカラムを用いて精製した。図11に示された通り、BMP−12を、高イオン強度溶液を用いてカラムにより効率的に捕捉し、酢酸で溶出した。少量のBMP−12が、6M GuHClで溶出された。
【実施例10】
【0097】
GDF−9を、実施例6に記載されたBMP−2第1フィンガー変異体ペプチドで調製したカラムを用いて精製した。図12に示された通り、GDF−9を、高塩溶液を用いてカラムにより効率的に捕捉し、500mMアルギニンおよび酢酸で溶出した。より低分子量の汚染物質も存在した。
【実施例11】
【0098】
残りのペプチド変異体について理論実験例(prophetic examples)で示す。
【0099】
【表1】
【実施例12】
【0100】
BMP可溶性スクリーニング−Tecan液体操作ロボットを使用して試薬マスタープレート、800μL×1.25濃度(各溶液;表2および3参照)、それぞれ50mMトリス緩衝液、pH8を混合した。8チャネルピペッターを使用して物質80μLをマスタープレートから半分の面積のUVマイクロプレートに移し、各試料からA320を判定してブランクを定めた。反復ピペッターを使用して20μLの2.5mg/mL BMP−12を0.1%TFAに添加し、0.5mg/mL溶液を作製し、次いで1400rpmで撹拌した。UV吸収(A320)を判定し、ブランク吸収を差し引いて可溶性を決定した。この手順を、より幅広い範囲の2−メチル−2,4−ペンタンジオール(MPD)濃度およびより細かなセットの塩濃度で繰り返した(表4)。BMP−12溶液の濁度を、NaClおよびMPD濃度に関して比較したグラフを、図13に示す。
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【実施例13】
【0104】
アフィニティー樹脂を、表5に挙げたペプチドと結合させた。結合樹脂、プラス、対照として使用する非結合樹脂を、16%エタノール、150mM NaCl、および20mMトリス緩衝液、pH7.5、25%v/v比(例えば、25%エタノール、75%トリス緩衝液)で懸濁した。Tecan液体操作ロボットを使用して200μLの各スラリーを、96ウェルポリスチレンフィルタープレート(0.45μm親水性フィルター、Whatman社カタログ番号770−1806)の8列の1つに分注した。1200gで3分間回転し液相を除去し、50μLの湿性樹脂をフィルター上に残した。樹脂を、次いで表6に挙げた添加用緩衝液で平衡化した(Kは、特定の緩衝液の特定の樹脂に結合しているタンパク質の強度を特徴付ける係数)。40μLの低分子量サイズ排除クロマトグラフィー(LMW SEC)溶液(0.1%TFAで透析し、3.76mg/mLに濃縮したBEP)を、96ウェルプレートの各添加用緩衝液260μLに添加してBMP−12添加用プレートを調製し、各ウェルに0.48mg/mLを得た。添加用プレートから150μLをフィルタープレートに移し、次いで震盪プラットフォームで20分間インキュベートして結合を促進することにより樹脂を添加した。フィルタープレートを遠沈し、濾液を96ウェルUVプレートで回収した。濾液、またはフロースルー中のタンパク質濃度を、(A280−A320)/1.3として算出した。次いで、フィルタープレートを、150μLの100mM酢酸、続いて150μLの4Mグアニジン−HClおよび50mM酢酸ナトリウム、pH4.0で洗浄した。タンパク質濃度を、上述した通り新しいフィルターで測定した。表6に示された通り、添加用緩衝液1〜5において高い親和性を有するペプチド747、747、748および749結合BMP12に樹脂を結合させた。しかし、ペプチド750および751では、結合は25mM MES、pH6で強力であったが、0.1M NaCl、pH3.0を有する50mM 酢酸では弱く、カオトロピック剤または有機試薬を必要とせずに、効率的な結合−溶出過程を可能にすることができる。カラム4のプレート由来のフロースルーおよび酢酸溶出試料(MESを添加 pH6)をゲル上で分析した(図14)。
【0105】
【表5】
【0106】
【表6−1】
【0107】
【表6−2】
【0108】
【表6−3】
【0109】
本発明の他の実施形態は、本明細書で開示された本発明の明細書または実施を考慮することから当業者に明らかであろう。明細書および例は、例示にすぎないとみなされるものであり、本発明の真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲により示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質の一部と少なくとも75%相同なペプチドで誘導体化されたクロマトグラフィー樹脂
を含むクロマトグラフィー媒体。
【請求項2】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項1に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項3】
ペプチドが、タンパク質の実質的に完全な分子である、請求項1に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項4】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同である、請求項1に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項5】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項1に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項6】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項1に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項7】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項1に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項8】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項1に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項9】
TGF−βスーパーファミリーメンバーである増殖因子を含む試料を精製する方法であって、
TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質の一部と少なくとも75%相同なペプチドで誘導体化されたクロマトグラフィー樹脂を含有するクロマトグラフィーカラムを提供することと、
増殖因子が凝集する傾向がある条件下でカラムに試料を添加することと、
増殖因子が溶解する傾向がある条件下でカラムから増殖因子を溶出することと
を含む方法。
【請求項10】
ペプチドが増殖因子の一部ではない、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ペプチドが、タンパク質の実質的に完全な分子である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同なペプチドで誘導体化されたクロマトグラフィー樹脂
を含むクロマトグラフィー媒体。
【請求項19】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項18に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項20】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項18に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項21】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項18に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項22】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項18に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項23】
溶媒中の骨形成タンパク質溶液であって、
所定濃度の所定の骨形成タンパク質と、
TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同な所定濃度のペプチドと
を含む溶液。
【請求項24】
TGF−βスーパーファミリーメンバーが、所定の骨形成タンパク質ではない、請求項23に記載の溶液。
【請求項25】
TGF−βスーパーファミリーメンバーが、所定の骨形成タンパク質である、請求項23に記載の溶液。
【請求項26】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項23に記載の溶液。
【請求項27】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項23に記載の溶液。
【請求項28】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項23に記載の溶液。
【請求項29】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項23に記載の溶液。
【請求項30】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項23に記載の溶液。
【請求項31】
骨形成タンパク質溶液を安定化する方法であって、
TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同な所定濃度のペプチドを、骨形成タンパク質溶液に添加すること
を含む方法。
【請求項32】
TGF−βスーパーファミリーメンバーが、所定の骨形成タンパク質ではない、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
TGF−βスーパーファミリーメンバーが、所定の骨形成タンパク質である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同なペプチドと、
担体と
を含む組成物。
【請求項40】
担体が、溶媒、ゲル、ポリマー、脱塩骨、縫合糸、外科用メッシュ、セラミック、ミセル、または上記の任意の組合せである、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
担体が緩衝溶液である、請求項39に記載の組成物。
【請求項42】
担体がコラーゲンを含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項43】
担体がコラーゲンスポンジである、請求項39に記載の組成物。
【請求項44】
担体がセルロースベースの物質である、請求項39に記載の組成物。
【請求項45】
担体が、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースを含めた、1つまたは複数の(ヒドロキシアルキルセルロースを含めた)アルキルセルロースを含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項46】
担体が、ポリグリコネート、ヒアルロン酸、ポリ乳酸、ポリ(エチレングリコール)、アルギン酸ナトリウム、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレンオキシド、カルボキシビニルポリマー、およびポリ(ビニルアルコール)を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項47】
ペプチドが、1つまたは複数の結合ポリ(プロピレングリコール)、結合シアリル基、結合ポリシアリル鎖、修飾アミノ酸の組み込み、非天然アミノ酸の組み込み、鎖間共有結合、鎖内共有結合、鎖間非共有結合、鎖間非共有結合、および提示エンハンサーにより安定化される、請求項39に記載の組成物。
【請求項48】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項39に記載の組成物。
【請求項49】
メンバーが、BMP−2、BMP−12、BMP−9、GDF−19、BMP−3、BMP−15、GDF−9、GDF−3、BMP−4、TGF−β、またはGDF−8である、請求項39に記載の組成物。
【請求項50】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項39に記載の組成物。
【請求項51】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項39に記載の組成物。
【請求項52】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項39に記載の組成物。
【請求項53】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項39に記載の組成物。
【請求項54】
TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同なペプチドと、
動物からの除去に関してペプチドのインビボ安定性を高める薬剤と
を含む組成物。
【請求項55】
薬剤が、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸を含む、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
薬剤が、マイクロカプセル化デリバリー系またはリポソーム懸濁液である、請求項54に記載の組成物。
【請求項57】
薬剤がポリ(アルキレングリコール)である、請求項54に記載の組成物。
【請求項58】
薬剤が、ペプチドと共有または非共有結合しており、薬剤が、ポリ(アルキレングリコール)、シアリル基、ポリ(シアリル)鎖、メチル、硫酸、非天然アミノ酸、β−残基、提示エンハンサー、またはチオール基、水素結合アクセプター、もしくは水素結合ドナーを有するアミノ酸残基から選択される、請求項54に記載の組成物。
【請求項59】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項54に記載の組成物。
【請求項60】
メンバーが、BMP−2、BMP−12、BMP−9、GDF−19、BMP−3、BMP−15、GDF−9、GDF−3、BMP−4、TGF−β、またはGDF−8である、請求項54に記載の組成物。
【請求項61】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項54に記載の組成物。
【請求項62】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項54に記載の組成物。
【請求項63】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項54に記載の組成物。
【請求項64】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項54に記載の組成物。
【請求項65】
TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同なペプチドに細胞集団を接触させることと、
ペプチドが存在する場合対ペプチドが存在しない場合の細胞特性の変化を検出することと
を含むアッセイ方法。
【請求項66】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項65に記載のアッセイ方法。
【請求項67】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項65に記載のアッセイ方法。
【請求項68】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項65に記載のアッセイ方法。
【請求項69】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項65に記載のアッセイ方法。
【請求項70】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項65に記載のアッセイ方法。
【請求項71】
特性が、細胞周期における時期、遺伝子またはタンパク質の発現、目に見えるまたは測定可能な表現型特性、遺伝子またはタンパク質の発現レベル、および受容体からのシグナル伝達から選択される、請求項65に記載のアッセイ方法。
【請求項72】
TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質に細胞を接触させることをさらに含む、請求項65に記載のアッセイ方法。
【請求項73】
ペプチドが、特定の高次構造に束縛される、請求項65に記載のアッセイ方法。
【請求項74】
TGF−βスーパーファミリーメンバーの一部のフィンガー1ペプチドと少なくとも75%相同なペプチドの既知量に細胞集団を接触させることと、
受容体に結合しないペプチド量の変化を検出することと
を含むアッセイ方法。
【請求項75】
ペプチドが、特定の高次構造に束縛される、請求項74に記載のアッセイ方法。
【請求項76】
TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質に受容体を接触させることをさらに含む、請求項74に記載のアッセイ方法。
【請求項77】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項74に記載のアッセイ方法。
【請求項78】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項74に記載のアッセイ方法。
【請求項79】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項74に記載のアッセイ方法。
【請求項80】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項74に記載のアッセイ方法。
【請求項81】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項74に記載のアッセイ方法。
【請求項82】
TGF−βスーパーファミリーメンバーの一部のフィンガー1ペプチドと少なくとも75%相同なペプチドおよび小分子の既知量に受容体集団を接触させることと、
小分子が存在する場合対小分子が存在しない場合の、受容体に結合しないペプチド量の変化を検出することと
を含むアッセイ方法。
【請求項83】
ペプチドが、特定の高次構造に束縛される、請求項82に記載のアッセイ方法。
【請求項84】
TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質に受容体を接触させることをさらに含む、請求項82に記載のアッセイ方法。
【請求項85】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項82に記載のアッセイ方法。
【請求項86】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項82に記載のアッセイ方法。
【請求項87】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項82に記載のアッセイ方法。
【請求項88】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項82に記載のアッセイ方法。
【請求項89】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項82に記載のアッセイ方法。
【請求項1】
TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質の一部と少なくとも75%相同なペプチドで誘導体化されたクロマトグラフィー樹脂
を含むクロマトグラフィー媒体。
【請求項2】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項1に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項3】
ペプチドが、タンパク質の実質的に完全な分子である、請求項1に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項4】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同である、請求項1に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項5】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項1に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項6】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項1に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項7】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項1に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項8】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項1に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項9】
TGF−βスーパーファミリーメンバーである増殖因子を含む試料を精製する方法であって、
TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質の一部と少なくとも75%相同なペプチドで誘導体化されたクロマトグラフィー樹脂を含有するクロマトグラフィーカラムを提供することと、
増殖因子が凝集する傾向がある条件下でカラムに試料を添加することと、
増殖因子が溶解する傾向がある条件下でカラムから増殖因子を溶出することと
を含む方法。
【請求項10】
ペプチドが増殖因子の一部ではない、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ペプチドが、タンパク質の実質的に完全な分子である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
ペプチドが、メンバー由来のフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同なペプチドで誘導体化されたクロマトグラフィー樹脂
を含むクロマトグラフィー媒体。
【請求項19】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項18に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項20】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項18に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項21】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項18に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項22】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項18に記載のクロマトグラフィー媒体。
【請求項23】
溶媒中の骨形成タンパク質溶液であって、
所定濃度の所定の骨形成タンパク質と、
TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同な所定濃度のペプチドと
を含む溶液。
【請求項24】
TGF−βスーパーファミリーメンバーが、所定の骨形成タンパク質ではない、請求項23に記載の溶液。
【請求項25】
TGF−βスーパーファミリーメンバーが、所定の骨形成タンパク質である、請求項23に記載の溶液。
【請求項26】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項23に記載の溶液。
【請求項27】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項23に記載の溶液。
【請求項28】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項23に記載の溶液。
【請求項29】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項23に記載の溶液。
【請求項30】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項23に記載の溶液。
【請求項31】
骨形成タンパク質溶液を安定化する方法であって、
TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同な所定濃度のペプチドを、骨形成タンパク質溶液に添加すること
を含む方法。
【請求項32】
TGF−βスーパーファミリーメンバーが、所定の骨形成タンパク質ではない、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
TGF−βスーパーファミリーメンバーが、所定の骨形成タンパク質である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同なペプチドと、
担体と
を含む組成物。
【請求項40】
担体が、溶媒、ゲル、ポリマー、脱塩骨、縫合糸、外科用メッシュ、セラミック、ミセル、または上記の任意の組合せである、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
担体が緩衝溶液である、請求項39に記載の組成物。
【請求項42】
担体がコラーゲンを含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項43】
担体がコラーゲンスポンジである、請求項39に記載の組成物。
【請求項44】
担体がセルロースベースの物質である、請求項39に記載の組成物。
【請求項45】
担体が、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースを含めた、1つまたは複数の(ヒドロキシアルキルセルロースを含めた)アルキルセルロースを含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項46】
担体が、ポリグリコネート、ヒアルロン酸、ポリ乳酸、ポリ(エチレングリコール)、アルギン酸ナトリウム、ポリ(エチレングリコール)、ポリオキシエチレンオキシド、カルボキシビニルポリマー、およびポリ(ビニルアルコール)を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項47】
ペプチドが、1つまたは複数の結合ポリ(プロピレングリコール)、結合シアリル基、結合ポリシアリル鎖、修飾アミノ酸の組み込み、非天然アミノ酸の組み込み、鎖間共有結合、鎖内共有結合、鎖間非共有結合、鎖間非共有結合、および提示エンハンサーにより安定化される、請求項39に記載の組成物。
【請求項48】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項39に記載の組成物。
【請求項49】
メンバーが、BMP−2、BMP−12、BMP−9、GDF−19、BMP−3、BMP−15、GDF−9、GDF−3、BMP−4、TGF−β、またはGDF−8である、請求項39に記載の組成物。
【請求項50】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項39に記載の組成物。
【請求項51】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項39に記載の組成物。
【請求項52】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項39に記載の組成物。
【請求項53】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項39に記載の組成物。
【請求項54】
TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同なペプチドと、
動物からの除去に関してペプチドのインビボ安定性を高める薬剤と
を含む組成物。
【請求項55】
薬剤が、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸を含む、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
薬剤が、マイクロカプセル化デリバリー系またはリポソーム懸濁液である、請求項54に記載の組成物。
【請求項57】
薬剤がポリ(アルキレングリコール)である、請求項54に記載の組成物。
【請求項58】
薬剤が、ペプチドと共有または非共有結合しており、薬剤が、ポリ(アルキレングリコール)、シアリル基、ポリ(シアリル)鎖、メチル、硫酸、非天然アミノ酸、β−残基、提示エンハンサー、またはチオール基、水素結合アクセプター、もしくは水素結合ドナーを有するアミノ酸残基から選択される、請求項54に記載の組成物。
【請求項59】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項54に記載の組成物。
【請求項60】
メンバーが、BMP−2、BMP−12、BMP−9、GDF−19、BMP−3、BMP−15、GDF−9、GDF−3、BMP−4、TGF−β、またはGDF−8である、請求項54に記載の組成物。
【請求項61】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項54に記載の組成物。
【請求項62】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項54に記載の組成物。
【請求項63】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項54に記載の組成物。
【請求項64】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項54に記載の組成物。
【請求項65】
TGF−βスーパーファミリーメンバーのフィンガー1ペプチドの一部と少なくとも75%相同なペプチドに細胞集団を接触させることと、
ペプチドが存在する場合対ペプチドが存在しない場合の細胞特性の変化を検出することと
を含むアッセイ方法。
【請求項66】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項65に記載のアッセイ方法。
【請求項67】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項65に記載のアッセイ方法。
【請求項68】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項65に記載のアッセイ方法。
【請求項69】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項65に記載のアッセイ方法。
【請求項70】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項65に記載のアッセイ方法。
【請求項71】
特性が、細胞周期における時期、遺伝子またはタンパク質の発現、目に見えるまたは測定可能な表現型特性、遺伝子またはタンパク質の発現レベル、および受容体からのシグナル伝達から選択される、請求項65に記載のアッセイ方法。
【請求項72】
TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質に細胞を接触させることをさらに含む、請求項65に記載のアッセイ方法。
【請求項73】
ペプチドが、特定の高次構造に束縛される、請求項65に記載のアッセイ方法。
【請求項74】
TGF−βスーパーファミリーメンバーの一部のフィンガー1ペプチドと少なくとも75%相同なペプチドの既知量に細胞集団を接触させることと、
受容体に結合しないペプチド量の変化を検出することと
を含むアッセイ方法。
【請求項75】
ペプチドが、特定の高次構造に束縛される、請求項74に記載のアッセイ方法。
【請求項76】
TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質に受容体を接触させることをさらに含む、請求項74に記載のアッセイ方法。
【請求項77】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項74に記載のアッセイ方法。
【請求項78】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項74に記載のアッセイ方法。
【請求項79】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項74に記載のアッセイ方法。
【請求項80】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項74に記載のアッセイ方法。
【請求項81】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項74に記載のアッセイ方法。
【請求項82】
TGF−βスーパーファミリーメンバーの一部のフィンガー1ペプチドと少なくとも75%相同なペプチドおよび小分子の既知量に受容体集団を接触させることと、
小分子が存在する場合対小分子が存在しない場合の、受容体に結合しないペプチド量の変化を検出することと
を含むアッセイ方法。
【請求項83】
ペプチドが、特定の高次構造に束縛される、請求項82に記載のアッセイ方法。
【請求項84】
TGF−βスーパーファミリーメンバーであるタンパク質に受容体を接触させることをさらに含む、請求項82に記載のアッセイ方法。
【請求項85】
メンバーが、TGF−β、増殖分化因子(GDF)、骨形成タンパク質、アクチビン、またはインヒビンである、請求項82に記載のアッセイ方法。
【請求項86】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも80%相同である、請求項82に記載のアッセイ方法。
【請求項87】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも85%相同である、請求項82に記載のアッセイ方法。
【請求項88】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも90%相同である、請求項82に記載のアッセイ方法。
【請求項89】
ペプチドが、フィンガー1ペプチドの一部と少なくとも95%相同である、請求項82に記載のアッセイ方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−539767(P2009−539767A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513321(P2009−513321)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/013053
【国際公開番号】WO2007/143161
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/013053
【国際公開番号】WO2007/143161
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】
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