説明

糖尿病性神経障害を処置するためのジアリールウレア

本発明は、糖尿病性神経障害を処置するための、少なくとも1種のジアリールウレア化合物を、場合により少なくとも1種のさらなる治療剤と組み合わせて含む、医薬組成物に関する。有用な組合せには、例えば、ジアリールウレア化合物としてのBAY43−9006が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病性神経障害を処置するための、少なくとも1種のジアリールウレア化合物を、場合により少なくとも1種のさらなる治療剤と組み合わせて含む、医薬組成物に関する。有用な組合せには、例えば、ジアリールウレア化合物としてのBAY43−9006が含まれる。
【背景技術】
【0002】
BAY43−9006は、4{4−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)−ウレイド]−フェノキシ}−ピリジン−2−カルボン酸メチルアミドを意味し、VEGFR、PDGFR、raf、p38および/またはflt−3キナーゼシグナル伝達分子に対する阻害活性を含む様々な活性を有する強力な抗癌および抗血管新生剤である、ジアリールウレア化合物の1種である。例えば、WO2004/113274およびWO2005/000284参照。
【0003】
有痛性糖尿病性神経障害とも呼ばれる糖尿病性神経障害は、一般的な糖尿病関連現象である。神経障害の症候群としての疼痛は、全糖尿病患者の3分の1ほどに見られ得る。神経障害性疼痛は、管理が難しく、利用可能な処置選択肢は、完全な救済を殆どもたらさない(C.F. Corbett, The Diabetes Educator, Vol. 31, 2005, 4, 523-540)。その原因は不明であり、それは、伝統的な疼痛治療に良好に応答しない(R.A. Malik (2003) Treat. Endocrinol. 2(6), 339-400)。
【0004】
神経障害性疼痛の診断における最近の進歩には、神経障害性疼痛と非神経障害性疼痛とを区別できる方法が含まれる。処置の不在下で、疼痛が減少している間に、神経の損傷は進行し得る。症状管理処置は利用可能であり、鎮痛剤(NSAID)、抗鬱剤(例えば選択的セロトニン取込阻害剤、三環式抗鬱剤)、抗痙攣剤、カプサイシン局所用クリーム、ネキシレチン(nexiletine)、並びに、電気的刺激、鍼治療、磁気治療またはポリウレタンフィルムの局所使用などの物理または機械的治療の使用を含む。
【0005】
最近立証された通り (S.A Price et al. (2004) Diabetes, 53, 1851-1856)、SB239063、フィダレスタットまたはインシュリンによる糖尿病の動物の処置は、運動および感覚神経の両方の伝達速度の低下を防止する。低下した神経伝達速度(NCV)は、糖尿病性神経障害の確立された特徴である。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、少なくとも1種の式Iの化合物および場合により少なくとも1種のさらなる治療剤を含む、糖尿病性神経障害の処置用の医薬組成物を提供する。
【0007】
本発明は、現行の治療と比較してより効果的に患者の神経障害性疼痛を低減する治療方法を提供するのみならず、神経機能の再構築のための治療方法も提供する。本発明による治療方法は、現行の治療よりも優れている。従って、本発明は、例えば、式Iのジアリールウレア化合物および場合によりさらなる治療剤、それらの医薬的に許容し得る塩、およびそれらの誘導体などを投与することにより、使用できる。
【0008】
式(I)の構造を有する化合物、その医薬的に許容し得る塩、多形、溶媒和物、水和物、代謝物およびプロドラッグは、ジアステレオマー形(単離された立体異性体および立体異性体の混合物の両方)を含めて、集合的に本明細書において「式Iの化合物」と呼ぶ。
【0009】
式(I)は、以下の通りである:
【化1】

[式中、
Qは、−C(O)Rであり、
は、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシまたはNRであり、
およびRは、独立して:
a)水素;
b)C1−4アルキル
{これは、
−ヒドロキシ、
−C1−4アルコキシ、
−ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、ベンゾオキサゾール、イソキノリン、キノリンおよびイミダゾピリミジンから選択されるヘテロアリール基
−テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピペリジノン、テトラヒドロピリミドン、ペンタメチレンスルフィド、テトラメチレンスルフィド、ジヒドロピラン、ジヒドロフランおよびジヒドロチオフェンから選択される複素環式基
−アミノ、−NH(これは、1個または2個のC1−4アルキル基により置換されていることもある)、または、
−フェニル
により置換されていることもある}、
c)フェニル
{これは、
−ハロゲン、または、
−アミノ、−NH(これは、1個または2個のC1−4アルキルにより置換されていることもある)
により置換されていることもある}、
または、
d)ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、ベンゾオキサゾール、イソキノリン、キノリンおよびイミダゾピリミジンから選択されるヘテロアリール基
であり、
Aは、置換されていることもあるフェニル、ピリジニル、ナフチル、ベンゾオキサゾール、イソキノリン、キノリンまたはイミダゾピリミジンであり;
Bは、置換されていることもあるフェニルまたはナフチルであり:
Lは、−S−または−O−である架橋基であり;
mは、0、1、2または3であり、そして、
各Rは、独立して、C1−5アルキル、C1−5ハロアルキル、C1−3アルコキシ、N−オキソまたはN−ヒドロキシである]。
【0010】
特に関心の高い式(I)のAの置換されていることもあるフェニル部分の構造には、式1xxの構造が含まれる:
【化2】

【0011】
特に関心の高い式(I)のAの置換されていることもあるピリジニル部分の構造には、式1xの構造が含まれる:
【化3】

【0012】
特に関心の高い式(I)のAの置換されていることもあるナフチル部分の構造には、式1yの構造が含まれる:
【化4】

【0013】
構造1yは、置換基Rが、置換基としての水素原子で充足される結合価を有する、環中のどの炭素原子上にあってもよいことを表す。ウレア基への結合も、置換基としての水素原子で充足される結合価を有する、環中のどの炭素原子によるものであってもよい。
【0014】
Bは、置換されていることもあるフェニルまたはナフチルである。特に関心の高い式(I)のBの置換されていることもあるフェニルまたはナフチル部分の構造には、構造2aおよび2bが含まれる:
【化5】

【0015】
構造2aおよび2bは、置換基Rが、置換基としての水素原子で充足される結合価を有する、環中のどの炭素原子にあってもよく、ウレア基への結合が、置換基としての水素原子で充足される結合価を有する、環中のどの炭素原子によるものであってもよいことを表す。
【0016】
本発明の実施態様のあるクラスでは、Bは、少なくとも1個のハロゲン置換基で置換されている。実施態様の他のクラスでは、Rは、NRであり、RおよびRは、独立して、水素またはヒドロキシにより置換されていることもあるC1−4アルキルであり、Lは、−S−または−O−である架橋基である。
【0017】
変数pは、0、1、2、3または4、典型的には0または1である。変数nは、0、1、2、3、4、5または6、典型的には0、1、2、3または4である。変数mは、0、1、2または3、典型的には0である。
【0018】
各Rは、独立して:ハロゲン、C1−5ハロアルキル、NO、C(O)NR、C1−6アルキル、C1−6ジアルキルアミン、C1−3アルキルアミン、CN、アミノ、ヒドロキシまたはC1−3アルコキシである。存在する場合、Rは、より一般的にはハロゲンであり、ハロゲンの中では典型的には塩素またはフッ素、より一般的にはフッ素である。
【0019】
各Rは、独立して:C1−5アルキル、C1−5ハロアルキル、C1−3アルコキシ、N−オキソまたはN−ヒドロキシである。存在するならば、Rは、典型的にはメチルまたはトリフルオロメチルである。
【0020】
各Rは、独立して、ハロゲン、R、OR、S(O)R、C(O)R、C(O)NR、オキソ、シアノまたはニトロ(NO)である。
【0021】
およびRは、独立して、水素、C1−6アルキル、および、ペル−ハロゲン化までのC1−6アルキルである。
【0022】
Aの他の例には、3−tertブチルフェニル、5−tertブチル−2−メトキシフェニル、5−(トリフルオロメチル)−2フェニル、3−(トリフルオロメチル)−4クロロフェニル、3−(トリフルオロメチル)−4−ブロモフェニルおよび5−(トリフルオロメチル)−4−クロロ−2メトキシフェニルが含まれる。
【0023】
他のBの例には、
【化6】

が含まれる。
【0024】
好ましくは、ウレア基−NH−C(O)−NH−および架橋基Lは、Bの隣接する環の炭素に結合しておらず、むしろ、それらを隔てる1個または2個の炭素原子がある。
【0025】
基の例には、フッ素、塩素、臭素、メチル、NO、C(O)NH、メトキシ、SCH、トリフルオロメチルおよびメタンスルホニルが含まれる。
基の例には、メチル、エチル、プロピル、酸素およびシアノが含まれる。
基の例には、トリフルオロメチル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、tert−ブチル、塩素、フッ素、臭素、シアノ、メトキシ、アセチル、トリフルオロメタンスルホニル、トリフルオロメトキシおよびトリフルオロメチルチオが含まれる。
【0026】
【化7】

[式中、RaおよびRbは、独立して水素およびC1−4アルキルであり、
式IIのBは、
【化8】

であり、
ここで、ウレア基、−NH−C(O)−NH−、および酸素架橋基は、Bの隣接する環の炭素原子に結合しておらず、むしろ、それらを隔てる1個または2個の環の炭素があり、
そして、式(II)のAは、
【化9】

(式中、変数nは、0、1、2、3または4であり、
は、トリフルオロメチル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、tert−ブチル、塩素、フッ素、臭素、シアノ、メトキシ、アセチル、トリフルオロメタンスルホニル、トリフルオロメトキシまたはトリフルオロメチルチオである)
である]。
【0027】
そのような化合物のサブクラスでは、式IIのA上の各R置換基は、塩素、トリフルオロメチル、tert−ブチルまたはメトキシから選択される。
【0028】
そのような化合物の他のサブクラスでは、式IIのAは、
【化10】

であり、式IIのBは、フェニレン、フルオロ置換フェニレンまたはジフルオロ置換フェニレンである。
【0029】
関心の高い化合物の他のクラスには、下記式Xの構造を有する化合物が含まれ、ここで、フェニル環「B」は、1個のハロゲン置換基を有することもある。
【化11】

【0030】
式Xの化合物について、R、mおよびAは、上記式Iに定義の通りである。変数「m」は、好ましくは0であり、C(O)NHCHをピリジニル部分上の唯一の置換基とする。Aに好ましい値は、少なくとも1個の置換基Rを有する置換フェニルである。Rは、好ましくは、ハロゲン、好ましくはClまたはF、トリフルオロメチルおよび/またはメトキシである。
【0031】
関心の高い化合物のサブクラスには、下記式Z1およびZ2の構造を有する化合物が含まれる:
【化12】

【化13】

【0032】
好ましくは、本発明の式Iの化合物として使用されるのは、4{4−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)−ウレイド]−フェノキシ}−ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド(BAY43−9006)または4{4−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)−ウレイド]−フェノキシ}−ピリジン−2−カルボン酸メチルアミドのp−トルエンスルホン酸塩(化合物(I)のトシル酸塩)である。より好ましくは、4{4−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)−ウレイド]−フェノキシ}−ピリジン−2−カルボン酸メチルアミドのp−トルエンスルホン酸塩は、少なくとも80%について、安定な多形Iで存在する。最も好ましくは、4{4−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)−ウレイド]−フェノキシ}−ピリジン−2−カルボン酸メチルアミドp−トルエンスルホン酸塩は、少なくとも80%について、安定な多形Iで、かつ、微粉化形態で存在する。
【0033】
微粉化は、標準的な粉砕方法により、好ましくは、当業者に知られているエアチャット粉砕(air chat milling)により、達成できる。微粉化形態は、0.5ないし10μm、好ましくは1ないし6μm、より好ましくは1ないし3μmの平均粒径を有し得る。示した粒径は、当業者に知られているレーザー回折により測定した粒径分布の平均である(測定装置:HELOS, Sympatec)。
【0034】
4{4−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−フェノキシ}−ピリジン−2−カルボン酸メチルアミドのp−トルエンスルホン酸塩およびその安定な多形Iの製造方法は、特許出願EP04023131.8およびEP04023130.0に記載されている。
【0035】
任意の部分が「置換されている」とき、それは、最高数までの示した置換基を有することができ、各置換基はその部分上の任意の利用可能な位置にあってよく、そして、その置換基上の任意の利用可能な原子を介して結合していてよい。「任意の利用可能な位置」は、当分野で知られているか、または本明細書で教示される手段により化学的に接近可能であり、かつ、不安定な分子、例えばヒトに投与できないものを創成しない、その部分上の任意の位置を意味する。2個またはそれ以上の置換基が任意の部分上にある場合、各置換基は、他の置換基から独立して定義され、従って、同一であっても異なっていてもよい。
【0036】
用語「置換されていることもある」は、そのように修飾される部分が、非置換であっても、定められた置換基で置換されていてもよいことを意味する。
【0037】
ピリジン置換基としての用語「ヒドロキシ」には、2−、3−および4−ヒドロキシピリジンが含まれ、当分野で1−オキソ−ピリジン、1−ヒドロキシ−ピリジンまたはピリジンN−オキシドと呼ばれる構造も含まれることが理解される。
【0038】
化合物、塩などの単語の複数形が本明細書において使用される場合、これは、単一の化合物、塩なども意味すると解される。
【0039】
用語C1−6アルキルは、断りの無い限り、1個ないし6個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖または環状のアルキル基を意味し、それは、環状、直鎖状または単一もしくは複数の分枝を有する分枝状であり得る。そのような基には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチルなどが含まれる。
【0040】
用語C1−6ハロアルキルは、断りの無い限り、少なくとも1個のハロゲン原子によりペルハロまで置換されている、6個までの炭素原子を有する飽和炭化水素ラジカルを意味する。そのラジカルは、環状、直鎖状または単一もしくは複数の分枝を有する分枝状であり得る。ハロ置換基には、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードが含まれる。フルオロ、クロロおよびブロモが好ましく、フルオロおよびクロロがより好ましい。ハロゲン置換基は、任意の利用可能な炭素上に位置し得る。この部分上に1個より多いハロゲン置換基が存在する場合、それらは、同一であっても異なっていてもよい。そのようなハロゲン化アルキル置換基の例には、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチルおよび1,1,2,2−テトラフルオロエチルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
用語C1−6アルコキシは、断りの無い限り、環状、直鎖状または単一もしくは複数の分枝を有する分枝状であり得る1個ないし6個の飽和炭素原子を有する、環状、直鎖または分枝鎖のアルコキシ基を意味し、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペントキシなどの基を含む。それは、また、2,2−ジクロロエトキシ、トリフルオロメトキシなどのハロゲン化された基を含む。
【0042】
ハロまたはハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。フルオロ、クロロおよびブロモが好ましく、フルオロおよびクロロがより好ましい。
【0043】
1−3アルキルアミンは、断りの無い限り、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノまたはイソプロピルアミノを意味する。
【0044】
1−6ジアルキルアミンの例には、ジエチルアミノ、エチル−イソプロピルアミノ、メチル−イソブチルアミノおよびジヘキシルアミノが含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
用語ヘテロアリールは、単環式と二環式の両方のヘテロアリール環を表す。単環式ヘテロアリールは、5個ないし6個の環の原子およびN、OおよびSから選択される1−4個のヘテロ原子を有し、残りの原子は炭素である芳香族性単環式環を意味する。1個より多いヘテロ原子がその部分に存在する場合、それらは、同一であっても異なっていてもよいように、他のものから独立して選択される。単環式ヘテロアリール環には、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジンおよびトリアジンが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
二環式ヘテロアリールは、環の一方が上記の単環式ヘテロアリール環から選択され、第2の環がベンゼンまたは上記の他の単環式ヘテロアリール環である、縮合二環式部分を意味する。二環式部分の両方の環がヘテロアリール環であるとき、それらは、当分野で知られている手段により化学的に接近可能である限り、同一であっても異なっていてもよい。二環式ヘテロアリール環には、例えば、限定ではないが、ベンゾオキサゾール(縮合したフェニルおよびオキサゾール)、キノリン(縮合したフェニルおよびピリジン)、イミダゾピリミジン(縮合したイミダゾールおよびピリミジン)などを含む合成的に接近可能な5−5、5−6または6−6縮合二環式芳香族構造が含まれる。
【0047】
指示される場合、二環式ヘテロアリール部分は、部分飽和であり得る。部分飽和の場合、上記の単環式ヘテロアリール環のいずれかが完全または部分飽和であり、上記の第2の環が完全または部分飽和であるか、または、両方の環が部分飽和である。
【0048】
用語「酸素、窒素および硫黄から選択される少なくとも1個の原子を含有する、飽和、部分飽和または芳香族性である5または6員の複素環式環」には、非限定的に、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピペリジノン、テトラヒドロピリミドン、ペンタメチレンスルフィド、テトラメチレンスルフィド、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン、ジヒドロチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジンなどが含まれる。
【0049】
用語「C1−3アルキル−フェニル」には、例えば、2−メチルフェニル、イソプロピルフェニル、3−フェニルプロピルまたは2−フェニル−1−メチルエチルが含まれる。置換された例には、2−[2−クロロフェニル]エチル、3,4−ジメチルフェニルメチルなどが含まれる。
【0050】
断りまたは指示のない限り、用語「アリール」には、0、1、2、3、4、5または6個の置換基を有する6−12員の単環式または二環式芳香族性炭化水素基(例えば、フェニル、ナフタレン、アズレン、インデン基)が含まれる。
【0051】
式(I)の化合物は、所望の様々な置換基の位置および性質に応じて、1個またはそれ以上の不斉中心を含有し得る。不斉炭素原子は、(R)もしくは(S)配置または(R,S)配置で存在し得る。ある例では、不斉は、所定の結合、例えば、特定された化合物の2個の置換芳香環を連結する中心の結合についての、限定された回転に起因して存在することもある。環上の置換基は、cisまたはtrans形のいずれかで存在することもある。全てのそのような配置(エナンチオマーおよびジアステレオマーを含む)が、本発明の範囲に含まれることを意図している。好ましい化合物は、より望ましい生物学的活性をもたらす式(I)の化合物の絶対配置を有するものである。本発明の化合物の、分離された、純粋な、または、部分的に精製された異性体またはラセミ混合物も、本発明の範囲に含まれる。当該異性体の精製および当該異性体混合物の分離は、当分野で知られている標準的な技法により達成できる。
【0052】
常套の方法に従うラセミ混合物の分割により、例えば、光学的に活性な酸または塩基を使用するジアステレオマー塩の形成、または、共有結合したジアステレオマーの形成により、光学異性体を得ることができる。適当な酸の例は、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびカンファースルホン酸である。ジアステレオマーの混合物を、それらの物理および/または化学的差異に基づき、当分野で知られている方法により、例えば、クロマトグラフィーまたは分別再結晶により、それらの個々のジアステレオマーに分離できる。次いで、光学的に活性な塩基または酸を、分離したジアステレオマー塩から遊離させる。光学異性体の異なる分離方法には、エナンチオマーの分離を最大化するために最適に選択された、常套の修飾を伴う、または伴わない、キラルクロマトグラフィー(例えば、キラルHPLCカラム)の使用が含まれる。適するキラルHPLCカラムは、Diacel により製造され、例えば、とりわけ、Chiracel OD および Chiracel OJ であり、全て日常的に選択できる。誘導体化を伴う、または伴わない、酵素的分離も有用である。式Iの光学活性化合物は、同様に、光学的に活性な出発物質を利用して、キラル合成により得ることができる。
【0053】
本発明は、また、本明細書に開示の化合物の有用な形態、例えば医薬的に許容し得る塩、代謝物およびプロドラッグなどにも関する。用語「医薬的に許容し得る塩」は、本発明の化合物の、比較的非毒性な無機または有機酸付加塩を表す。例えば、S. M. Berge, et al. "Pharmaceutical Salts," J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19 参照。医薬的に許容し得る塩には、塩基として機能する主要な化合物を、無機または有機酸と反応させて、塩、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸およびクエン酸の塩を形成させることにより得られるものが含まれる。医薬的に許容し得る塩には、また、主要な化合物が酸として機能し、適当な塩基と反応して、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびコリン塩を形成するものも含まれる。当業者は、特許請求される化合物の酸付加塩は、化合物を適当な無機または有機酸と、数々の既知方法のいずれかで反応させることにより製造し得ることを、さらに認識するであろう。あるいは、アルカリおよびアルカリ土類金属塩を、本発明の化合物を適当な塩基と様々な既知方法で反応させることにより製造する。
【0054】
本発明の化合物の代表的な塩には、例えば、無機または有機の酸または塩基から、当分野で周知の手段により形成される、常套の非毒性の塩および第4級アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、桂皮酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコへプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、イタコン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸、プロピオン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩が含まれる。
【0055】
塩基塩には、カリウムおよびナトリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミンおよびN−メチル−D−グルカミンなどの有機塩基とのアンモニウム塩が含まれる。さらに、塩基性窒素含有基は、低級ハロゲン化アルキル、例えばメチル、エチル、プロピルおよびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物;硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル、ジエチルおよびジブチル;および、硫酸ジアミル、長鎖ハロゲン化物、例えばデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物、ハロゲン化アリールまたはアラルキル、例えば臭化ベンジルおよびフェネチル、および、他の一置換ハロゲン化アラルキル、または、多置換ハロゲン化アラルキルなどの物質で四級化し得る。
【0056】
本発明の目的上、溶媒和物は、溶媒分子が固体状態で錯体を形成している化合物の形態であり、例えば、エタノールおよびメタノールが含まれるがこれらに限定されない。水和物は、溶媒分子が水である、溶媒和物の特別な形態である。
【0057】
ある種の薬理的に活性な物質は、不安定な官能基でさらに改変でき、それは、インビボ投与後に切り取られて親の活性物質と医薬的に不活性な誘導体化基をもたらす。一般的にプロドラッグと呼ばれるこれらの誘導体を使用して、例えば、活性物質の物理化学的特性を変更し、活性物質を特定の組織に標的化し、活性物質の薬物動態学的および薬力学的特性を変更し、そして、望まれない副作用を低減することができる。本発明のプロドラッグには、例えば、良好に耐容され、医薬的に許容し得るエステルである本発明の適当な化合物のエステル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルまたはペンチルエステルを含むアルキルエステルが含まれる。フェニル−C−Cアルキルなどのさらなるエステルを使用し得るが、メチルエステルが好ましい。
【0058】
他のプロドラッグを合成するのに使用できる方法は、この主題に関する以下の総説に記載されており、これらの合成方法の説明について、これらを出典明示により本明細書の一部とする:
・Higuchi, T.; Stella, V. eds. Prodrugs As Novel Drug Delivery Systems. ACS Symposium Series. American Chemical Society: Washington, DC (1975).
・Roche, E. B. Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs. American Pharmaceutical Association: Washington, DC (1977).
・Sinkula, A. A.; Yalkowsky, S. H. J Pharm Sci. 1975, 64, 181-210.
・Stella, V. J.; Charman, W. N. Naringrekar, V. H. Drugs 1985, 29, 455-473.
・Bundgaard, H., ed. Design of Prodrugs. Elsevier: New York (1985).
・Stella, V. J.; Himmelstein, K. J. J. Med. Chem. 1980, 23, 1275-1282.
・Han, H-K; Amidon, G. L. AAPS Pharmsci 2000, 2, 1- 11.
・Denny, W. A. Eur. J. Med. Chem. 2001, 36, 577-595.
・Wermuth, C. G. in Wermuth, C. G. ed. The Practice of Medicinal Chemistry Academic Press: San Diego (1996), 697-715.
・Balant, L. P.; Doelker, E. in Wolff, M. E. ed. Burgers Medicinal Chemistry And Drug Discovery John Wiley & Sons: New York (1997), 949-982.
【0059】
本発明の化合物の代謝物には、1個またはそれ以上の窒素がヒドロキシ基で置換されている式I、II、X、Z1およびZ2の化合物の酸化誘導体が含まれる;それには、当分野で1−オキソ−ピリジンと呼ばれる、ピリジン基の窒素原子がオキシド形態である誘導体、または、当分野で1−ヒドロキシ−ピリジンと呼ばれる、ヒドロキシ置換基を有する誘導体が含まれる。
【0060】
一般的製造方法
本発明のこの実施態様で使用される化合物の製造で利用されるべき特定の方法は、所望の特定の化合物によって決まる。特定の置換基の選択などの要因は、本発明の特定の化合物の製造において辿るべき経路において役割を果たす。これらの要因は、当業者に容易に認識される。
【0061】
本発明の化合物は、以下の公表された国際出願WO00/42012、WO03/047579、WO2005/009961、WO2004/078747およびWO05/000284、並びに欧州特許出願EP04023131.8およびEP04023130.0に記載の既知の化学反応および方法を使用して製造し得る。
【0062】
本発明の化合物は、常套の化学的方法に従い、かつ/または、下記に開示する通り、購入できるか、日常的な常套の化学的方法により製造できる出発物質から、製造できる。化合物の製造の一般的方法は、後述する。
【0063】
式(I)のウレアの製造は、ホスゲン、ジ−ホスゲン、トリ−ホスゲン、カルボニルジイミダゾール、または等価物の存在下、出発物質のいずれとも反応しない溶媒中、これらの刊行物の1つまたはそれ以上に記載の通りに、2個のアリールアミンフラグメントの縮合から製造できる。あるいは、式(I)の化合物は、上記の公表された国際出願の1つまたはそれ以上に記載の通りに、アミノ化合物を、イソシアネート化合物と反応させることにより、合成できる。
【0064】
イソシアネート類は、購入できるか、または、複素環式アミンから、当業者に一般的に知られている方法に従い合成できる[例えば、アミンを、ホスゲンまたはホスゲン等価物、例えばトリクロロメチルクロロホルメート(ジホスゲン)、ビス(トリクロロメチル)カーボネート(トリホスゲン)、または、N,N'−カルボニルジイミダゾール(CDI)で処理することから;あるいは、アミド、またはカルボン酸誘導体、例えば、エステル、酸ハロゲン化物または無水物のクルチウス(Curtius)型転位により]。
【0065】
式のアリールアミンは、購入できるか、または、当業者に一般的に知られている方法に従い合成できる。アリールアミンは、一般的に、Ni、PdまたはPtなどの金属触媒およびHまたはヒドリド移送剤(hydride transfer agent)、例えばホルメート、シクロヘキサジエンまたはボロヒドリドを使用するニトロアリールの還元により合成される(Rylander. Hydrogenation Methods; Academic Press: London, UK (1985))。ニトロアリール類は、また、LiAlHなどの強い水素化物供給源を使用して(Seyden-Penne. Reductions by the Alumino- and borohydrides in Organic Synthesis; VCH Publishers: New York (1991))、または、Fe、SnまたはCaなどの原子価0の金属を、しばしば酸性媒体中で使用して、直接還元され得る。ニトロアリール類の合成に、多くの方法が存在する(March. Advanced Organic Chemistry, 3rd Ed.; John Wiley: New York (1985). Larock. Comprehensive Organic Transformations; VCH Publishers: New York (1989))。ニトロアリールは、一般的に、HNOまたは代替的NO供給源を使用する求電子的芳香族ニトロ化により形成される。
【0066】
ピリジン環がヒドロキシ置換基をその窒素原子上に有し、A、B、Lが上記の通りに幅広く定義される式(I)のピリジン−1−オキシドは、対応するピリジンから、当分野で知られている酸化条件を使用して製造できる。いくつかの例は、以下の通りである:
・ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロホルムなどの塩素化溶媒中の、メタクロロ過安息香酸などの過酸(Markgraf et al., Tetrahedron 1991, 47, 183);
・触媒量の過レニウム酸の存在下、ジクロロメタンなどの塩素化溶媒中の(MeSiO)(Coperet et al., Terahedron Lett. 1998, 39, 761);
・ハロゲン化溶媒のいくつかの組合せ中のペルフルオロ−cis−2−ブチル−3−プロピルオキシアジリジン (Amone et al., Tetrahedron 1998, 54, 7831);
・クロロホルム中の次亜フッ素酸(Hypofluoric acid)−アセトニトリル錯体 (Dayan et al., Synthesis 1999, 1427);
・KOHなどの塩基の存在下、水中のオキソン (Robker et al., J. Chem. Res., Synop. 1993, 10, 412);
・氷酢酸の存在下のモノペルオキシフタル酸マグネシウム (Klemm et al., J. Heterocylic Chem. 1990, 6, 1537);
・水および酢酸の存在下の過酸化水素(Lin A.J., Org. Prep. Proced. Int. 1991, 23(1), 114);
・アセトン中のジメチルジオキシラン(Boyd et al., J. Chem. Soc, Perkin Trans. 1991, 9, 2189)。
【0067】
加えて、ジアリールウレアおよび中間体化合物を製造するための特定の方法は、既に特許文献の他の箇所で記載され、本発明の化合物に適合させることができる。例えば、Miller S. et al, "Inhibition of p38 Kinase using Symmetrical and Unsymmetrical Diphenyl Ureas" PCT 国際出願 WO 99 32463, Miller, S et al. "Inhibition of raf Kinase using Symmetrical and Unsymmetrical Substituted Diphenyl Ureas" PCT 国際出願, WO 99 32436, Dumas, J. et al., "Inhibition of p38 Kinase Activity using Substituted Heterocyclic Ureas" PCT Int. Appl, WO 99 32111, Dumas, J. et al., "Method for the Treatment of Neoplasm by Inhibition of raf Kinase using N-Heteroaryl-N'-(hetero)arylureas" PCT 国際出願, WO 99 32106, Dumas, J. et al., "Inhibition of p38 Kinase Activity using Aryl- and Heteroaryl- Substituted Heterocyclic Ureas" PCT 国際出願, WO 99 32110, Dumas, J., et al., "Inhibition of raf Kinase using Aryl- and Heteroaryl- Substituted Heterocyclic Ureas" PCT 国際出願, WO 99 32455, Riedl, B., et al., "O-Carboxy Aryl Substituted Diphenyl Ureas as raf Kinase Inhibitors" PCT 国際出願, WO 00 42012, Riedl, B., et al., "O-Carboxy Aryl Substituted Diphenyl Ureas as p38 Kinase Inhibitors" PCT 国際出願, WO 00 41698, Dumas, J. et al. "Heteroaryl ureas containing nitrogen hetero-atoms as p38 kinase inhibitors" 米国特許出願公開, US 20020065296, Dumas, J. et al. "Preparation of N-aryl-N'-[(acylphenoxy) phenyl]ureas as raf kinase inhibitors" PCT 国際出願, WO 02 62763, Dumas, J. et al. "Inhibition of raf kinase using quinolyl, isoquinolyl or pyridyl ureas" PCT 国際出願, WO 02 85857, Dumas, J. et al. "Preparation of quinolyl, isoquinolyl or pyridyl-ureas as inhibitors of raf kinase for the treatment of tumors and/or cancerous cell growth" 米国特許出願公開, US 20020165394。上記の全ての特許出願を、出典明示により本明細書の一部とする。
【0068】
式(I)の化合物の合成および式(I)の化合物の合成に関与する中間体の合成で用い得る合成的変換は、当業者に知られているか、利用可能である。合成的変換の収集物は、以下のような編集物中に見出し得る:
・J. March. Advanced Organic Chemistry, 4th ed.; John Wiley: New York (1992);
・R.C. Larock. Comprehensive Organic Transformations, 2nd ed.; Wiley-VCH: New York (1999);
・F.A. Carey; R.J. Sundberg. Advanced Organic Chemistry, 2nd ed.; Plenum Press: New York (1984);
・T.W. Greene; P.G.M. Wuts. Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd ed.; John Wiley: New York (1999);
・L.S. Hegedus. Transition Metals in the Synthesis of Complex Organic Molecules, 2nd ed.; University Science Books: Mill Valley, CA (1994);
・L. A. Paquette, Ed. The Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis; John Wiley: New York (1994);
・A.R. Katritzky; O. Meth-Cohn; CW. Rees, Eds. Comprehensive Organic Functional Group Transformations; Pergamon Press: Oxford, UK (1995);
・G. Wilkinson; F.G A. Stone; E.W. Abel, Eds. Comprehensive Organometallic Chemistry; Pergamon Press: Oxford, UK (1982);
・B.M. Trost; I. Fleming. Comprehensive Organic Synthesis; Pergamon Press: Oxford, UK (1991);
・A.R. Katritzky; C.W. Rees Eds. Comprehensive Heterocylic Chemistry; Pergamon Press: Oxford, UK (1984);
・A.R. Katritzky; C.W. Rees; E.F.V. Scriven, Eds. Comprehensive Heterocylic Chemistry II; Pergamon Press: Oxford, UK (1996); および
・C. Hansen; P.G. Sammes; J.B. Taylor, Eds. Comprehensive Medicinal Chemistry: Pergamon Press: Oxford, UK (1990)。
【0069】
加えて、合成方法論および関連する主題について頻繁に引用される総説には、Organic Reactions; John Wiley: New York; Organic Syntheses; John Wiley: New York; Reagents for Organic Synthesis: John Wiley: New York; The Total Synthesis of Natural Products; John Wiley: New York; The Organic Chemistry of Drug Synthesis; John Wiley: New York; Annual Reports in Organic Synthesis; Academic Press: San Diego CA; および Methoden der Organischen Chemie (Houben-Weyl); Thieme: Stuttgart, Germany が含まれる。さらに、合成的変換のデータベースには、CAS OnLine または SciFinder を使用して検索し得る Chemical Abstracts、SpotFire を使用して検索し得る Handbuch der Organischen Chemie (Beilstein) および REACCS が含まれる。
【0070】
さらなる治療剤
本発明による式Iの化合物は、鎮痛剤、抗鬱剤、抗糖尿病剤、グルコース制御剤、神経保護剤、抗痙攣剤、麻酔剤、抗炎症剤またはカプサイシンなどのさらなる治療剤と組み合わせることができる。
【0071】
鎮痛剤の例には、NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)、COX−1−またはCOX−2−阻害剤などが含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
NSAIDの例には、例えば、アセクロフェナク、アセトアミノフェン、o−アセチルサリチル酸、アルクロフェナク、アルミノプロフェン、アンフェナク、アンピロキシカム、アムトルメチングアシル(amtolmetinguacil)、アニロラク(anirolac)、アントラフェニン(antrafenin)、アザプロパゾン、ベノリラート、ベルモプロフェン(bermoprofen)、ビンダリト(bindarit)、ブロムフェナク、ブクロキシン酸(bucloxsaeure)、ブコローム、ブフェキサマク、ブマジゾン、ブチブフェン(butibufen)、ブチキシラト(butixirat)、カルバサラートカルシウム、カルプロフェン(carprofen)、シンメタシン(cinmetacin)、シンノキシカム(cinnoxicam)、クリダナク、クロブザリト(clobuzarit)、デボキサメト(deboxamet)、デクスイブプロフェン、デクスケトプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エルテナク(eltenac)、エンフェナム酸(enfenamsaeure)、エテルサラト(etersalat)、エトドラク、エトフェナメート、フェクロブゾン(feclobuzon)、フェルビナク、フェンチアザク、フェプラジノール(fepradinol)、フロブフェン(flobufen)、フロクタフェニン、フルフェナム酸(flufenam acid)、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、フルプフェナク(furpfenac)、フルプロフェン(furprofen)、グルカメタシン(glucametacin)、イブフェナク、イブプロフェン、インドブフェン、インドメタシン、インドメタジンフラネシル(indometazine franesil)、インドプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロベンザリット、ロナゾラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メフェナム酸(mefenam acid)、メロキシカム、メサラジン、モフェゾラク、ナブメトン、ナプロキセン、ニフルミク(niflumic)、オルサラジン、オキサプロジン、ペルビプロフェン(pelubiprofen)、フェニルブタゾン、ピメプロフェン(pimeprofen)、ピラゾラク(pirazolac)、ピロキシカム、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プリフェロン(prifelon)、プリノミド(prinomid)、プログルメタシン、プロカゾン、プロチジン酸(protizin acid)、ロマザリト(romazarit)、サリチルアミド、サリチル酸、サルミステイン(salmistein)、サルナセジン(salnacedin)、サルサラート、スリンダク、スプロフェン、タルニフルマト(talniflumat)、テニダップ、テノサル(tenosal)、テノキシカム、テポキサリン(tepoxalin)、チアプロフェン酸(tiaprofensaeure)、チアラミド、チルノプロフェンアルバメル(tilnoprofen arbamel)、チメガジン(timegadin)、チノリジン、トルフェナム酸、トルメチン、ウフェナマート、キシモプロフェン(ximoprofen)、ザルトプロフェンおよびゾリプロフェン(zoliprofen)が含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
好ましいのは、アセトアミノフェン、o−アセチルサリチル酸、クリダナク、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェンおよびスリンダクからなる群から選択されるNSAIDである。より好ましくは、o−アセチルサリチル酸をNSAIDとして使用する。
【0074】
麻酔剤の例には、例えば、メリキセチン(melixetine)、リドカインおよびベンゾカインが含まれるが、これらに限定されない。好ましいのは、メリキセチンである。
【0075】
抗鬱剤の例には、選択的セロトニン取込阻害剤または三環式抗鬱剤、例えばデュロキセチン、トラゾドンおよびベンラファキシンが含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
抗痙攣剤の例には、例えば、ガバペンチン、ラモトリジン、アミトリプチリンおよびプレガバリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0077】
抗糖尿病剤の例には、例えば、インシュリン、CB−1アンタゴニスト、例えばリモナバンまたはSLV−319、5HT取込阻害剤、例えばシブトラミン、リパーゼ阻害剤、例えばオーリスタットまたはALT−962、CNTFアゴニスト、例えばアキソキン(axokine)、DGAT阻害剤、例えばBAY74−4113、DPP IV阻害剤、例えばビルダグリプチン、シタグリプチン、サキサグリプチン(saxagliptin)、LAF−237、MK−0431またはBMS−477118、GLP−1類似体、例えばエクセナチド、ベタトロピン(betatropin)、BIM−51077、CJC−1131またはリラグルチド、PPARαγアゴニスト、例えばBAY62−9069、BAY68−2959、テサグリタザル、ムラグリタザル(muraglitazar)、ONO−5129、LY−510929、LY−519818、GW−677954、TAK−559、ナバグリタザル(naveglitazar)またはAVE−0847、PPARγアゴニスト、例えばピオグリタゾン、ロシグリタゾン、R−483、バラグリタゾン(balaglitazone)、リボグリタゾン(rivoglitazone)またはTAK−654が含まれるが、これらに限定されない。好ましいのは、BAY74−4113、BAY62−9069、BAY68−2959、リモナバン、SLV−319、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、オーリスタット、テサグリタザル、ムラグリタザルおよびエクセナチドである。
【0078】
適応症
本発明による化合物および組合せは、糖尿病性神経障害の処置用の医薬の製造に使用できる。また、本発明は、有効量の本発明による少なくとも1種の式Iの化合物および場合により少なくとも1種のさらなる治療剤を投与することを含む、糖尿病性神経障害の処置方法を提供する。「有効量」は、所望の結果を達成するために、例えば、疾患または症状を処置するために有用である、化合物の量である。糖尿病性神経障害は、有痛性糖尿病性神経障害としても知られている。
【0079】
投与
本発明の化合物または薬物の組合せは、例えば、経口で、非経腸で、経腸で、静脈内に、腹腔内に、局所に、経皮(例えば、任意の標準的パッチを使用する)で、眼に、鼻腔に、局所で、非経口で、例えばエアロゾルで、吸入で、皮下に、筋肉内に、頬側に、舌下に、直腸に、膣に、動脈内に、そして、くも膜下腔内になどを含む、任意の有効な経路により、任意の形態で投与できる。それらは、単独で、または、活性または不活性な任意の成分と組み合わせて、投与できる。
好ましいのは、経口投与である。
【0080】
本発明の化合物または薬物の組合せは、既知の方法で、通常の製剤に変換でき、これらは、液体または固体製剤、例えば、限定ではないが、通常および腸溶性被覆錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、固体および液体エアロゾル並びに乳剤であり得る。
【0081】
本発明の組合せは、任意の時間および任意の有効な形態で投与できる。例えば、化合物は、同時に、例えば、単一の組成物または投薬単位(例えば、両方の組成物を含有する丸剤または液剤)として、投与できるか、または、それらは、分離した組成物として、しかし同時に、投与できる(例えば、一方の薬物を静脈内に投与し、他方を経口または筋肉内に投与する)。連続的に異なる時間に薬物を投与することもできる。物質を従来法で製剤化し、例えば、12時間、24時間の延長された期間にわたり所望の放出速度を達成できる。これは、適する代謝半減期を有する物質および/またはそれらの誘導体を使用することにより、かつ/または、制御放出製剤を使用することにより、達成できる。
【0082】
薬物の組合せは、例えば、薬物の協同的作用が、組み合わされた効果がそれらの個々の効果の代数的合計よりも大きいものである場合、相乗的であり得る。従って、少ない量の薬物を投与して、例えば、毒性または他の有害もしくは望まれない作用を低減し、かつ/または、物質が単独で投与される場合に使用されるのと同じ量を使用するが、より大きい効力を達成することができる。
【0083】
本発明の化合物または薬物の組合せは、さらに、任意の他の適する添加物または医薬的に許容し得る担体と組み合わせることができる。そのような添加物には、既に言及された物質のいずれも、並びに、常套に使用されるもののいずれも、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (Gennaro and Gennaro, eds, 20th edition, Lippincott Williams & Wilkins, 2000); Theory and Practice of Industrial Pharmacy (Lachman et al., eds., 3rd edition, Lippincott Williams & Wilkins, 1986); Encyclopedia of Pharmaceutical Technology (Swarbrick and Boylan, eds., 2nd edition, Marcel Dekker, 2002)に記載のものが含まれる。これらは、本明細書において、それらが活性薬物と組み合わせられ、治療目的で安全に対象に投与され得ることを示すために、「医薬的に許容し得る担体」と呼ばれ得る。
【0084】
加えて、本発明の化合物または薬物の組合せは、上述の疾患および/または症状のいずれかの処置に利用される他の活性物質または他の治療剤と共に投与できる。
【0085】
本発明による他の治療には、電気的刺激、鍼治療、磁気治療またはポリウレタンフィルムの局所使用などの物理または機械的治療が含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
本発明は、また、疾患または障害の処置に有用な、少なくとも1種の式Iの化合物と少なくとも1種の上記の他の治療剤の組合せも提供する。本発明の目的上、「組合せ」には、以下のものが含まれる:
−少なくとも1種の式Iの化合物および少なくとも1種の上述の他の治療剤を含有する単一の組成物または投与形;
−同時または連続的に投与されるべき少なくとも1種の式Iの化合物および少なくとも1種の上述の他の治療剤を含有する組合せパック;
−単位用量または独立単位用量として相互に分離して包装された少なくとも1種の式Iの化合物および少なくとも1種の上述の他の治療剤を含み、それらが同時または連続的に投与されるとの指示書を含むか、または含まない、キット;および、
−同時または連続的に投与されると、協同して治療効果、例えば、同じ疾患の処置、を達成する、少なくとも1種の式Iの化合物および少なくとも1種の上述の他の治療剤の分離した独立の投与形。
【0087】
組合せの各物質の投与量は、所望の治療活性を提供するために、他の疾患および/または疾患のタイプおよび/または疾患の状態を参照して選択できる。例えば、組合せ中の活性物質は、固定された組合せで存在および投与できる。「固定された組合せ」は、本明細書で、成分が所望の効力を提供する固定された比率で存在する医薬形を意味すると企図している。これらの量は、特定の患者のために日常的に決定でき、ここで、適当な投与量を選択するために様々なパラメーター(例えば、疾患のタイプ、患者の年齢、疾患の状態、患者の健康、体重など)が利用されるか、または、量は比較的標準的であり得る。
【0088】
投与する有効成分の量は、用いる特定の化合物および投与単位、投与の様式および時間、処置期間、年齢、性別、および処置される患者の全般的状態、処置される症状の性質および程度、薬物代謝および排出の速度、起こり得る薬物の組合せおよび薬物−薬物相互作用などの考慮事項によって、幅広く変動し得る。
【0089】
好ましいのは、20ないし2000mg、好ましくは40ないし800mg、より好ましくは50ないし600mgの式Iの化合物の量である。
【0090】
特に好ましいのは、医薬組成物中に、27ないし2740mg、好ましくは54ないし1096、より好ましくは68ないし822mgの4{4−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)−ウレイド]−フェノキシ}−ピリジン−2−カルボン酸メチルアミドのp−トルエンスルホン酸塩の量である。
【0091】
本発明の他の実施態様では、式Iの化合物を、少なくとも1種のさらなる治療剤と、当業者が彼らの職業的判断により決定できる量で、組み合わせて投与する。
【0092】
本発明による医薬組成物は、1日に1回またはそれ以上、好ましくは3回まで、より好ましくは2回まで投与する。好ましいのは、経口経路による投与である。各投与において、同時に摂取される錠剤またはカプセル剤の数は、2個を超えるべきではない。
【0093】
それにも拘わらず、体重、有効成分に対する個体の挙動、製剤のタイプおよび投与を行う時間または間隔に応じて、特定された量から逸脱することが有利な場合があり得る。例えば、上述の最小量より少なくても十分な場合があり得、一方、特定された上限を超えなければならない場合もある。比較的大量に投与する場合、これらをその日にわたる数回の個別投与に分割するのが望ましいことがある。
【0094】
組合せは、有効量の少なくとも1種の式Iの化合物および少なくとも1種の上述の他の治療剤を含むことができ、それは、いずれかの化合物が単独で使用されるときよりも大きい治療効力を達成する。組合せは、各物質を単独で使用すると治療効果が観察されない場合に、または、組合せを投与すると効果の増強が観察される場合に、糖尿病性神経障害の処置に有用であり得る。
【0095】
組合せ中の各化合物の相対比は、それらの各々の作用メカニズムおよび疾患の生物学に基づいて選択することもできる。各化合物の相対比は、幅広く変動でき、本発明は、式Iの化合物および他の治療剤の量を、一方がより多い量で存在するように日常的に調節できる、糖尿病性神経障害を処置するための組合せを含む。
【0096】
組合せの1種またはそれ以上の物質の放出は、必要に応じて、単一の投与形、組合せパック、キット中にあるとき、または、分離した独立の投与形にあるとき、所望の治療活性を提供するために制御することもできる。
【0097】
好ましいのは、少なくとも1種の式Iの化合物および少なくとも1種のNSAIDを含む組合せである。より好ましくは、4{4−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)−ウレイド]−フェノキシ}−ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド(BAY43−9006)または4{4−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)−ウレイド]−フェノキシ}−ピリジン−2−カルボン酸メチルアミドのp−トルエンスルホン酸塩および少なくとも1種のNSAIDを含む組合せを使用する。最も好ましくは、4{4−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)−ウレイド]−フェノキシ}−ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド(BAY43−9006)または4{4−[3−(4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニル)−ウレイド]−フェノキシ}−ピリジン−2−カルボン酸メチルアミドのp−トルエンスルホン酸塩およびo−アセチルサリチル酸の組合せを使用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖尿病性神経障害の処置用の医薬を製造するための、式Iの化合物またはその医薬的に許容し得る塩、多形、溶媒和物、水和物、代謝物、プロドラッグもしくはジアステレオ異性体の使用であって、該式Iの化合物が、
【化1】

[式中、
Qは、−C(O)Rであり、
は、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシまたはNRであり、
およびRは、独立して:
a)水素;
b)C1−4アルキル
{これは、
−ヒドロキシ、
−C1−4アルコキシ、
−ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、ベンゾオキサゾール、イソキノリン、キノリンおよびイミダゾピリミジンから選択されるヘテロアリール基
−テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピペリジノン、テトラヒドロピリミドン、ペンタメチレンスルフィド、テトラメチレンスルフィド、ジヒドロピラン、ジヒドロフランおよびジヒドロチオフェンから選択される複素環式基
−アミノ、−NH(これは、1個または2個のC1−4アルキル基により置換されていることもある)、または、
−フェニル
により置換されていることもある}、
c)フェニル
{これは、
−ハロゲン、または、
−アミノ、−NH(これは、1個または2個のC1−4アルキルにより置換されていることもある)
により置換されていることもある}、
または、
d)ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、ベンゾオキサゾール、イソキノリン、キノリンおよびイミダゾピリミジンから選択されるヘテロアリール基
であり、
Aは、式1xx
【化2】

の置換されていることもあるフェニル基、
式1x
【化3】

の置換されていることもあるピリジニル基、
または、式1y
【化4】

の置換されていることもあるナフチル部分であり、
Bは、式2aおよび2b
【化5】

の置換されていることもあるフェニルまたはナフチルであり、
Lは、−S−または−O−である架橋基であり、
pは、0、1、2、3または4であり、
nは、0、1、2、3、4、5または6であり、
mは、0、1、2または3であり、
各Rは、独立して:ハロゲン、C1−5ハロアルキル、NO、C(O)NR、C1−6アルキル、C1−6ジアルキルアミン、C1−3アルキルアミン、CN、アミノ、ヒドロキシまたはC1−3アルコキシであり、
各Rは、独立して:C1−5アルキル、C1−5ハロアルキル、C1−3アルコキシ、N−オキソまたはN−ヒドロキシであり、
各Rは、独立して:ハロゲン、R、OR、S(O)R、C(O)R、C(O)NR、オキソ、シアノまたはニトロ(NO)であり、そして、
およびRは、独立して、水素、C1−6アルキル、または、ペル−ハロゲン化までのC1−6アルキルである]
である、使用。
【請求項2】
式中、
Aが、3−tertブチルフェニル、5−tertブチル−2−メトキシフェニル、5−(トリフルオロメチル)−2フェニル、3−(トリフルオロメチル)−4クロロフェニル、3−(トリフルオロメチル)−4−ブロモフェニルまたは5−(トリフルオロメチル)−4−クロロ−2メトキシフェニルであり、
Bが、
【化6】

であり、
が、フッ素、塩素、臭素、メチル、NO、C(O)NH、メトキシ、SCH、トリフルオロメチルまたはメタンスルホニルであり、
が、メチル、エチル、プロピル、酸素またはシアノであり、
が、トリフルオロメチル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、tert−ブチル、塩素、フッ素、臭素、シアノ、メトキシ、アセチル、トリフルオロメタンスルホニル、トリフルオロメトキシまたはトリフルオロメチルチオである、
請求項1に記載の使用。
【請求項3】
式Iの化合物が、下記式IIの化合物またはその塩、多形、溶媒和物、水和物、代謝物、プロドラッグもしくはジアステレオ異性体でもある、請求項1または請求項2に記載の使用:
【化7】

[式中、RaおよびRbは、独立して水素およびC1−4アルキルであり、
式IIのBは、
【化8】

(ここで、ウレア基、−NH−C(O)−NH−、および酸素架橋基は、Bの隣接する環の炭素に結合しておらず、むしろ、それらを隔てる1個または2個の環の炭素がある)
であり、
そして、式(II)のAは、
【化9】

または
【化10】

(式中、変数nは、0、1、2、3または4であり、そして、
は、トリフルオロメチル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、tert−ブチル、塩素、フッ素、臭素、シアノ、メトキシ、アセチル、トリフルオロメタンスルホニル、トリフルオロメトキシまたはトリフルオロメチルチオである)
である]。
【請求項4】
式中、
各R置換基が、塩素、トリフルオロメチル、tert−ブチルまたはメトキシであり、
式IIのAが、
【化11】

であり、
そして、
式IIのBが、フェニレン、フルオロ置換フェニレンまたはジフルオロ置換フェニレンである、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
式Iの化合物が、下記式Xの化合物またはその塩、多形、溶媒和物、水和物、代謝物、プロドラッグもしくはジアステレオ異性体でもある、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の使用:
【化12】

[式中、
フェニル環「B」は、1個のハロゲン置換基を有することもあり、
Aは、式1xx
【化13】

の置換されていることもあるフェニル基、
式1x
【化14】

の置換されていることもあるピリジニル基、
または、式1y
【化15】

の置換されていることもあるナフチル部分であり、
nは、0、1、2、3、4、5または6であり、
mは、0、1、2または3であり、
各Rは、独立して:C1−5アルキル、C1−5ハロアルキル、C1−3アルコキシ、N−オキソまたはN−ヒドロキシであり、
各Rは、独立して:ハロゲン、R、OR、S(O)R、C(O)R、C(O)NR、オキソ、シアノまたはニトロ(NO)であり、そして、
およびRは、独立して、水素、C1−6アルキル、または、ペル−ハロゲン化までのC1−6アルキルである]。
【請求項6】
mが0であり、Aが少なくとも1個の置換基Rで置換されているフェニルである、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
が、ハロゲン、トリフルオロメチルおよび/またはメトキシである、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
式Iの化合物が、下記式Z1またはZ2のいずれかの構造を有する化合物、または、その塩、多形、溶媒和物、水和物、代謝物、プロドラッグもしくはジアステレオ異性体でもある、請求項1に記載の使用:
【化16】

または
【化17】


【請求項9】
式Iの化合物が、式Z1の化合物のトシレート塩である、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
少なくとも1種の請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の式Iの化合物、並びに、鎮痛剤、抗鬱剤、抗糖尿病剤、グルコース制御剤、神経保護剤、抗痙攣剤、麻酔剤、抗炎症剤およびカプサイシンからなる群から選択される少なくとも1種の治療剤を含む、組合せ。
【請求項11】
さらなる治療剤がNSAIDまたは抗糖尿病剤である、請求項10に記載の組合せ。
【請求項12】
さらなる治療剤が、o−アセチルサリチル酸である、請求項10に記載の組合せ。
【請求項13】
糖尿病性神経障害の処置用の医薬を製造するための、請求項10ないし請求項12のいずれかの組合せの使用。
【請求項14】
請求項10ないし請求項12のいずれかに記載の組合せを含む医薬組成物。
【請求項15】
糖尿病性神経障害の処置用の請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
糖尿病性神経障害の処置を必要としている対象において、糖尿病性神経障害を処置する方法であって、有効量の少なくとも1種の式Iの化合物またはその医薬的に許容し得る塩、多形、溶媒和物、水和物、代謝物、プロドラッグもしくはジアステレオ異性体を投与することを含み、該式Iの化合物が、
【化18】

[式中、
Qは、−C(O)Rであり、
は、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシまたはNRであり、
およびRは、独立して:
a)水素;
b)C1−4アルキル
{これは、
−ヒドロキシ、
−C1−4アルコキシ、
−ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、ベンゾオキサゾール、イソキノリン、キノリンおよびイミダゾピリミジンから選択されるヘテロアリール基
−テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピペリジノン、テトラヒドロピリミドン、ペンタメチレンスルフィド、テトラメチレンスルフィド、ジヒドロピラン、ジヒドロフランおよびジヒドロチオフェンから選択される複素環式基
−アミノ、−NH(これは、1個または2個のC1−4アルキル基により置換されていることもある)、または、
−フェニル
により置換されていることもある}、
c)フェニル
{これは、
−ハロゲン、または、
−アミノ、−NH(これは、1個または2個のC1−4アルキルにより置換されていることもある)
により置換されていることもある}、
または、
d)ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、ベンゾオキサゾール、イソキノリン、キノリンおよびイミダゾピリミジンから選択されるヘテロアリール基
であり、
Aは、式1xx
【化19】

の置換されていることもあるフェニル基、
式1x
【化20】

の置換されていることもあるピリジニル基、
または、式1y
【化21】

の置換されていることもあるナフチル部分であり、
Bは、式2aおよび2b
【化22】

の置換されていることもあるフェニルまたはナフチルであり、
Lは、−S−または−O−である架橋基であり、
pは、0、1、2、3または4であり、
nは、0、1、2、3、4、5または6であり、
mは、0、1、2または3であり、
各Rは、独立して:ハロゲン、C1−5ハロアルキル、NO、C(O)NR、C1−6アルキル、C1−6ジアルキルアミン、C1−3アルキルアミン、CN、アミノ、ヒドロキシまたはC1−3アルコキシであり、
各Rは、独立して:C1−5アルキル、C1−5ハロアルキル、C1−3アルコキシ、N−オキソまたはN−ヒドロキシであり、
各Rは、独立して:ハロゲン、R、OR、S(O)R、C(O)R、C(O)NR、オキソ、シアノまたはニトロ(NO)であり、そして、
およびRは、独立して、水素、C1−6アルキル、または、ペル−ハロゲン化までのC1−6アルキルである]
である、方法。
【請求項17】
式Iの化合物が、鎮痛剤、抗鬱剤、抗糖尿病剤、グルコース制御剤、神経保護剤、抗痙攣剤、麻酔剤、抗炎症剤およびカプサイシンからなる群から選択される少なくとも1種の治療剤と組み合わせられる、請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2009−514920(P2009−514920A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539335(P2008−539335)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010746
【国際公開番号】WO2007/054302
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】