説明

糞便試料の調製方法、その調製方法を用いた核酸又はタンパク質の抽出方法、その抽出方法を用いた核酸又はタンパク質の検出方法、その検出方法における糞便試料を用いたがん又は感染症の検出方法、並びに、糞便試料の調製容器

【課題】糞便試料中の核酸の分解やタンパク質の変性等を防止でき、保存安定性や取り扱い性に優れ、糞便試料から効率よく汚染や感染の危険性を極力減らして安全に抽出し、高精度且つ高感度に検出可能な糞便試料の調製方法、その調製方法を用いた核酸又はタンパク質の抽出方法等、並びに、糞便試料の調製容器を提供する。
【解決手段】糞便試料の調製方法は、採取した糞便を、厚さ0.5〜5mmの板状、直径0.5〜5mmの太さの糸状、直径1〜10mmの粒状など、凍結状態のときに粉砕容易な形状に成型し、その後に凍結させる。糞便試料の調製容器は、側面11aに弾性変形可能な糞便採取用の凹部11a1を複数備えた筒状部材11と、筒状部材11の凹部11aに採取された糞便のうち余分な糞便Eを除去する除去手段12と、筒状部材11の内側から挿入して凹部11a1を押圧変形可能な押出し部材13とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成型して冷凍処理をする糞便試料の調製方法、その調製方法を用いた核酸又はタンパク質の抽出方法、その抽出方法を用いた核酸又はタンパク質の検出方法、その検出方法における糞便試料を用いたがん又は感染症の検出方法、並びに、糞便試料の調製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
悪性腫瘍や感染症では、早期発見が非常に重要である。特に、大腸に発生する悪性腫瘍である大腸がんは、他のがんとは異なり、発症の初期に治療することにより100%近く治癒可能ながんである。大腸がんの早期発見のために、注入X線検査、大腸内視鏡検査等の多くの検査方法による検査が行われてきている。注入X線検査とは、大腸にバリウムを注入し、X線造影によって、大腸の表面を観察する検査方法である。また、大腸内視鏡検査とは、内視鏡により直接大腸内部を観察する検査方法である。
【0003】
食生活の欧米化に伴い、日本においても、欧米と同様に、大腸がんの発症率が増加し、がん死亡率の上位を占めるようになってきており、定期健診等による大腸がんの早期発見の重要性がますます高まっている。しかしながら、注入X線検査には、X線被爆や腸閉塞の危険性がある。また、大腸内視鏡検査は、感度や特異性が高く、ポリープや早期がんの切除も可能であるが、侵襲的である上、内視鏡操作には熟練を要する、という問題がある。このため、注入X線検査等とは異なる、定期健診等にも適した、非侵襲的で簡便な大腸がん等の早期発見方法の開発が強く望まれている。
【0004】
近年、非侵襲的で簡便な検査方法として、糞便を用いた検査方法の研究・開発が盛んに行われている。既に一般的に用いられている検査方法として、例えば、便潜血検査がある。便潜血検査は、糞便中に含まれる赤血球由来のヘモグロビンの有無を調べる検査であり、消化管からの出血の有無により、大腸がんの存在を予測するものである。
【0005】
その他、感染症の早期発見及び原因特定のために、ウイルスや細菌由来の遺伝子の有無を調べる遺伝子検査や、ウイルス等の病原菌から排出された毒素等を検出する検査等がある。例えば、激しい下痢・嘔吐を含む胃腸炎や発熱を引き起こす腸管出血性大腸炎の病原菌の一つである大腸菌O−157は、糞便からの核酸増幅法によって検出することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、糞便から抽出された核酸を用いてヒト由来遺伝子を検出することにより、大腸癌診断への応用が期待されている(例えば、特許文献2及び非特許文献1参照)。これらの文献中の方法では、糞便の遺伝子検査を安定的に行うため、糞便を検査に供するまで凍結して保存し、糞便中の核酸を抽出して、がん細胞由来の遺伝子の有無を調べる。
【特許文献1】特開2001−95576号公報
【特許文献2】特表平11−511982号公報
【非特許文献1】R. J. Alexander and R. F. Raicht , Digestive Disease and Sciences, 1998, 43, 12, 2652
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2、非特許文献1に記載の方法においては、凍結させた糞便試料は、検査前に抽出用試薬に融解しなければならない。糞便試料中の核酸の分解やタンパク質の変性等を可能な限り防止するためには、この融解操作は短時間であることが好ましい。このため、凍結させた糞便試料は、例えばホモジナイザーなどの強力な攪拌力により粉砕しながら、抽出液に溶解させる必要がある。
しかしながら、従来の方法は、糞便をスバーテル等で0.6〜1.0g目分量で採取し、液体窒素で凍らせた後、乳鉢を用いて粉砕する必要がある。この方法では、採取した糞便試料は粘性があるため、一断片のかたまりとなって、凍結後は容易にはすりつぶすことができず、抽出液に溶解し難かった(非特許文献1)。ホモジナイザーを用いても、糞便試料が凍結した一塊の状態で保存容器にこびり付いてしまった場合には、ホモジナイザーの歯を塊の一側面にしか当てることが出来ず、容易には抽出液と混合できなかった。その結果、抽出液に溶解させるのに時間を要し、糞便試料中の核酸の分解やタンパク質の変性等が生じて、検出感度や精度が低下するおそれがあった。また、糞便試料がブロック状や丸い形状で凍結すると非常に硬くなり、抽出液に溶解するのに非常に強い力が必要となる。そのため、凍結片を含む溶液が飛び散り、汚染や感染の危険性が高くなるという問題もある。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、糞便試料中の核酸の分解やタンパク質の変性等を防止し、且つ、保存安定性や取り扱い性に優れ、糞便試料から核酸又はタンパク質を効率よく汚染や感染の危険性を極力減らして安全に抽出し、糞便の採取量を一定にすることで高精度且つ高感度に検出することの可能な糞便試料の調製方法、その調製方法を用いた核酸又はタンパク質の抽出方法、その抽出方法を用いた核酸又はタンパク質の検出方法、その検出方法における糞便試料を用いたがん又は感染症の検出方法、並びに、糞便試料の調製容器を提供することを目的とする。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明による糞便試料の調製方法は、採取した糞便を、凍結状態のときに粉砕容易な形状に成型し、その後に凍結させることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の糞便試料の調製方法においては、前記粉砕容易な形状が、板状であるのが好ましい。
【0011】
また、本発明の糞便試料の調製方法においては、前記糞便を厚さ0.5〜5mmの板状に成型するのが好ましい。
【0012】
また、本発明の糞便試料の調製方法においては、前記糞便を厚さ1〜2mmの板状に成型するのが好ましい。
【0013】
また、本発明の糞便試料の調製方法においては、前記粉砕容易な形状が、糸状であるのが好ましい。
【0014】
また、本発明の糞便試料の調製方法においては、前記糞便を直径0.5〜5mmの太さの糸状に成型するのが好ましい。
【0015】
また、本発明の糞便試料の調製方法においては、前記糞便を直径1〜2mmの太さの糸状に成型するのが好ましい。
【0016】
また、本発明の糞便試料の調製方法においては、前記粉砕容易な形状が、粒状であるのが好ましい。
【0017】
また、本発明の糞便試料の調製方法においては、前記糞便を直径1〜10mmの粒状に成型するのが好ましい。
【0018】
また、本発明の糞便試料の調製方法においては、前記糞便を直径3〜5mmの粒状に成型するのが好ましい。
【0019】
また、本発明による核酸又はタンパク質の抽出方法は、上記本発明のいずれかの糞便試料の調製方法において調製された糞便試料から核酸又はタンパク質を抽出することを特徴としている。
【0020】
また、本発明による核酸又はタンパク質の検出方法は、上記本発明のいずれかの糞便試料の調製方法又は本発明の核酸若しくはタンパク質の抽出方法において調製された糞便試料から核酸又はタンパク質を検出することを特徴としている。
【0021】
また、本発明の核酸又はタンパク質の検出方法は、抗原抗体反応を用いる方法であるのが好ましい。
【0022】
また、本発明によるがん又は感染症の検出方法は、上記本発明の核酸又はタンパク質の検出方法において調製された糞便試料を用いることを特徴としている。
【0023】
また、本発明による糞便試料の調製容器は、側面に弾性変形可能な糞便採取用の凹部を複数備えた筒状部材と、前記筒状部材の前記凹部に採取された糞便のうち余分な糞便を除去する除去手段と、前記筒状部材の内側から挿入して前記凹部を押圧変形可能な押出し部材とを有することを特徴としている。
【0024】
また、本発明による糞便試料の調製容器は、側面に弾性変形可能な糞便採取用の凹部を複数備えた筒状部材と、前記筒状部材の前記側面を摺接させながら通過させることの可能な開口部を備えた挿入部と、前記挿入部に接続するとともに前記開口部を通過した前記筒状部材の側面をその内部で非接触状態に収容可能な収容部とを有する筒状部材収容容器と、前記筒状部材の内側から挿入して前記凹部を押圧変形可能な押出し部材とを有することを特徴としている。
【0025】
また、本発明による糞便試料の調製容器は、その先端に開口部を備えた糞便採取用のシリンジと、その先端に所定形状の開口部を備えるとともに、前記糞便採取用のシリンジを該シリンジのピストンが押圧可能な状態に収容する糞便採取用シリンジ収容シリンダとを有することを特徴としている。
【0026】
また、本発明の糞便試料の調製容器においては、さらに、前記糞便採取用シリンジ収容シリンダの側面をその内部で収容可能な収容容器を有するのが好ましい。
【0027】
また、本発明の糞便試料の調製容器においては、前記糞便採取用シリンジ収容シリンダに備わる開口部が矩形状に形成されているのが好ましい。
【0028】
また、本発明の糞便試料の調製容器においては、前記糞便採取用シリンジ収容シリンダに備わる開口部が線状に形成されているのが好ましい。
【0029】
また、本発明の糞便試料の調製容器においては、前記糞便採取用シリンジ収容シリンダに備わる開口部が円状に形成されているのが好ましい。
【0030】
また、本発明の糞便試料の調製容器においては、前記糞便採取用シリンジ収容シリンダに備わる開口部が複数個であるのが好ましい。
【0031】
また、本発明による糞便試料の調製容器は、その先端に開口部を備えた糞便採取用のシリンジと、糞便収容部材とを有し、前記糞便収容部材が、前記糞便採取用のシリンジの先端を収容するシリンジ先端収容部と、前記シリンジ先端収容部に接続する板状空間形成部とを有し、前記板状空間形成部の一部が、可動であることを特徴としている。
【0032】
また、本発明による糞便試料の調製容器は、薄板状の糞便採取用の凹部を有し、前記薄板状の糞便採取用の凹部の一部が可動であることを特徴としている。
【0033】
また、本発明による糞便試料の調製容器は、その先端に糞便採取用の開口部を備えた板状部材と、前記板状部材の板面に沿ってスライドし、前記開口部を介して採取された糞便のうち該開口部の開口面からはみ出た糞便を摺りきるための摺りきり部材とを有することを特徴としている。
【0034】
また、本発明の糞便試料の調製容器においては、前記開口部が、コの字型の切欠部で構成され、前記摺りきり部材が、前記板状部材の板面に対して押圧接触するとともに、該板状部材における前記切欠部の先端に位置したときに該切欠部と相俟って板状に包囲する先端部を有するスライド可能なL字型の板バネで構成されているのが好ましい。
【0035】
また、本発明の糞便試料の調製容器においては、前記開口部が、ロの字型の溝で構成されているのが好ましい。
【0036】
また、本発明の糞便試料の調製容器においては、前記板状部材の両面に前記開口部を備え、前記摺りきり部材が、前記両面の開口部を介して採取された糞便のうち該両面の開口部の開口面からはみ出た糞便を摺りきり可能に構成されているのが好ましい。
【0037】
また、本発明による糞便試料の調製容器は、同じ大きさの2枚の平板と、前記2枚の平板の一辺に設けられた、該2枚の平板を開閉可能に連結する連結手段と、前記2枚の平板を閉じ状態で固定可能な固定部材とを有することを特徴としている。
【0038】
また、本発明による糞便試料の調製容器は、糞便を収容するための筒状の糞便収容容器と、前記筒状の糞便収容容器の内側の面と形状が同じであって大きさが少し小さい形状に形成された成型部材とを有することを特徴としている。
【0039】
また、本発明の糞便試料の調製容器においては、前記筒状の糞便収容容器が、シリンダで構成され、前記成型部材が、ピストンで構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、糞便試料中の核酸の分解やタンパク質の変性等を防止し、且つ、保存安定性や取り扱い性に優れ、糞便試料から核酸又はタンパク質を効率よく汚染や感染の危険性を極力減らして安全に抽出し、糞便の採取量を一定にして高精度且つ高感度に検出することの可能な糞便試料の調製方法、その調製方法を用いた核酸又はタンパク質の抽出方法、その抽出方法を用いた核酸又はタンパク質の検出方法、その検出方法における糞便試料を用いたがん又は感染症の検出方法、並びに、糞便試料の調製容器が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
実施形態の説明に先立ち、本発明の作用効果について説明する。
本発明の糞便試料の調製方法では、採取した一定量の糞便を、凍結状態のときに粉砕容易な形状に成型し、その後に凍結させる。
このようにすれば、従来のような、採取した糞便を成型しないで塊のまま凍結させた方法に比べて、糞便を短時間で粉砕して融解させることができる。その結果、糞便試料中の核酸の分解やタンパク質の変性等を極力防止でき、拡散やタンパク質の検出感度や精度が格段に向上する。また、糞便の粉砕に強い力を必要としないため、凍結片が飛び散り難くなり、汚染や感染の危険性を低減することができる。
【0042】
なお、凍結状態のときに粉砕容易な形状としては、例えば、板状、糸状、又は粒状が好ましい。
例えば、糞便を厚さ0.5〜5mmの板状に成型するのが好ましい。その場合、糞便を厚さ1〜2mmの板状に成型するのがより好ましい。
また、例えば、糞便を直径0.5〜5mmの太さの糸状に成型するのが好ましい。その場合、糞便を直径1〜2mmの太さの糸状に成型するのがより好ましい。
また、例えば、糞便を直径1〜10mmの粒状に成型するのが好ましい。その場合、糞便を直径3〜5mmの粒状に成型するのがより好ましい。
【0043】
そして、本発明の糞便試料の調製方法により調製された糞便を用いることで、例えば、抗原抗体反応を用いた、核酸又はタンパク質の抽出や検出における糞便試料中の核酸の分解やタンパク質の変性等を極力防止でき、検出感度や精度が格段に向上する。
【0044】
次に、本発明の糞便試料の調製方法に好適な調製容器の実施形態を図面を用いて説明する。
第一実施形態
図1は本発明の第一実施形態にかかる糞便試料の調製容器の構成を示す説明図で、(a)は糞便を成型する状態を示す図、(b)は糞便を成型したまま凍結する状態を示す図、(c)は凍結した糞便を取り出す状態を示す図である。
第一実施形態の糞便試料の調製容器は、筒状部材11と、筒状部材収容容器12と、押出し部材13を有している。
筒状部材11は、例えば、ゴムなど弾性変形可能な材料で構成されている。筒状部材11の側面11aには、糞便採取用の凹部11a1が複数備えられている。凹部11a1は、半球状に形成されている。なお、凹部11a1は、枡状に形成してもよい。
筒状部材収容容器12は、例えば、プラスチックなど糞便の収容や保存に適した材料で構成され、挿入部12aと収容部12bを有している。挿入部12aは、すり鉢状に形成されていて、その先端に開口部12a1を備えている。開口部12a1は、筒状部材11の側面11aを摺接させながら通過させることができる形状及び大きさに形成されている。収容部12bは、挿入部12aに接続するとともに開口部12a1を通過した筒状部材11の側面11aをその内部で非接触状態に収容可能に構成されている。また、挿入部12aは、収容部12bに固定されている。なお、挿入部12aは、収容部12bの端部に着脱可能に構成してもよい。
押出し部材13は、例えば柱体状など、筒状部材11の内側から挿入して凹部11a1を押圧し変形させることが可能な形状に形成されている。
【0045】
このように構成された第一実施形態の糞便試料の調製容器を用いた糞便試料の調製は次のようにして行う。
まず、糞便(図示省略)に筒状部材11を突き刺す、あるいは、筒状部材11の側面を押し付けることにより、糞便(図示省略)を糞便採取用の凹部11a1で採取する。
次に、図1(b)に示すように、筒状部材11の側面11aを筒状部材収容容器12の収容部12bに収容する。このとき、側面11aが開口部12a1に摺接しながら開口部12a1を通過するので、凹部11a1で採取された糞便Eのうち、側面11aよりも飛び出た余分な糞便Eが開口部12a1で摺りきられる。これにより、凹部11a1で採取された糞便Eが粒状に成型される。
次に、成型された糞便Eを筒状部材11の側面11aが筒状部材収容容器12の収容部12bに収容された状態のまま凍結させる。
糞便が凍結した後に、押出し部材13を筒状部材11の内側から挿入し、凹部11a1を押圧して弾性変形させる。これにより、凹部11a1から粒状の糞便Eが押し出されて、収容部12bに収容される。
従って、第一実施形態の糞便試料の調製容器によれば、本発明の糞便試料の調製方法による調製を行うことができる。
その後、筒状部材11を筒状部材収容容器12から抜き取り、ホモジナイザーを介して、収容部12bに収容されている凍結した糞便を粉砕する。このとき、凍結した糞便は、第一実施形態の糞便試料の調製容器を介して、粉砕容易な複数の粒状に成型されているので、糞便を短時間で粉砕して融解させることができる。その結果、糞便試料中の核酸の分解やタンパク質の変性等を極力防止でき、拡散やタンパク質の検出感度や精度が格段に向上する。また、糞便の粉砕に強い力を必要としないため、凍結片が飛び散り難くなり、汚染や感染の危険性を低減することができる。
【0046】
なお、図1の実施形態の糞便試料の調製容器を用いて、0.1g程度の糞便試料を調製する場合は、筒状部材11の側面11aに直径4mmの半球状に構成した凹部11a1を6個設けると、糞便を粉砕が容易な形状に成型することができる。
また、図1の例では、筒状部材収容容器12の開口部12a1を介して筒状部材11の凹部11a1で採取された糞便のうち余分な糞便を摺りきるとともに、収容部12bを介して糞便が成型された筒状部材11を収容するようにしたが、開口部12a1を設けないで、別途、ヘラ等の摺りきり部材を用いて凹部11a1で採取された糞便のうち余分な糞便を除去するとともに、筒状部材11を筒状部材収容容器12とは別の所定の収容容器に収容して凍結させ、糞便が凍結後にその所定の収容容器に糞便を押し出すようにしてもよい。
【0047】
第二実施形態
図2は本発明の第二実施形態にかかる糞便試料の調製容器の構成を示す説明図で、(a)は糞便採取用のシリンジ及び糞便を採取するときの態様を示す斜視図、(b)は(a)に示す糞便採取用のシリンジを収容するための糞便採取用シリンジ収容シリンダの斜視図、(c)は(a)に示す糞便採取用のシリンジで採取した糞便を(b)に示す糞便採取用シリンジ収容シリンダに収容するときの態様を示す斜視図、(d)は(c)に示す態様から、さらに糞便採取用のシリンジのピストンを押して糞便を押し出したときの態様を示す斜視図、(e)は(b)の一変形例にかかる糞便採取用シリンジ収容シリンダの斜視図、(f)は(e)に示す糞便採取用シリンジ収容シリンダを用いて(a)に示す糞便採取用のシリンジを収容しピストンを押して糞便を押し出したときの態様を示す斜視図である。図3は図2(b)の他の変形例にかかる糞便採取用シリンジ収容シリンダの斜視図である。
【0048】
第二実施形態の糞便試料の調製容器は、糞便採取用のシリンジ21と、糞便採取用のシリンジ21を収容する糞便採取用シリンジ収容シリンダ22とで構成されている。
糞便採取用のシリンジ21は、図2(a)に示すように、シリンダ21aとピストン21bとで構成されている。シリンダ21aの先端には、開口部21a1が設けられている。シリンダ21aの他端には、襞21a2が形成されている。
糞便採取用シリンジ収容シリンダ22は、内径が糞便採取用シリンジ21のシリンダ21aの外径よりも一回り大きい、筒状部材で構成されている。
糞便採取用シリンジ収容シリンダ22の先端には、図2(b)に示すように、線状の開口部22aが先端面の中心Oから放射状に複数個設けられている。
また、糞便採取用シリンジ収容シリンダ22の他端には、糞便採取用のシリンジ21のシリンダ21aの襞21a2と当接可能な襞22bが設けられている。そして、糞便採取用シリンジ収容シリンダ22は、糞便採取用シリンジ21を収容時に22bがシリンダ21aの襞21a2に当接することによって、糞便採取用のシリンジ21のピストン21bが押圧可能な状態にすることができるようになっている。
なお、第二実施形態の糞便試料の調製容器は、糞便採取用シリンジ収容シリンダ22の側面をその内部で収容可能な収容容器(図示省略)を有して構成してもよい。
【0049】
このように構成された第二実施形態の糞便試料の調製容器を用いた糞便試料の調製は次のようにして行う。
まず、図2(a)に示す糞便採取用のシリンジ21を用いて、一定量の糞便(図示省略)を採取する。
次に、図2(c)に示すように、糞便を採取した糞便採取用のシリンジ21を糞便採取用シリンジ収容シリンダ22に収容する。
次に、糞便を採取した糞便採取用のシリンジ21が収容されている糞便採取用シリンジ収容シリンダ22の側面を、その内部で収容可能な所定の収容容器(図示省略)に収容する。
次に、図2(d)に示すように、糞便採取用シリンジ収容シリンダ22に収容された糞便採取用のシリンジ21のピストン21bを押してシリンダ21a内部の糞便(図示省略)を押す。すると、糞便(図示省略)は、シリンダ21aの開口部21a1から出て、糞便採取用シリンジ収容シリンダ22の開口部22aを通ることによって複数の板状に成型されて、収容容器(図示省略)に収容される。
次に、糞便採取用のシリンジ21が収容されている糞便採取用シリンジ収容シリンダ22を収容容器(図示省略)から取り出し、成型された糞便(図示省略)を収容容器(図示省略)に収容された状態のまま凍結させる。
従って、第二実施形態の糞便試料の調製容器によれば、本発明の糞便試料の調製方法による調製を行うことができる。
なお、収容容器(図示省略)に収容されている凍結した糞便は、ホモジナイザーを介して粉砕する。このとき、凍結した糞便は、第二実施形態の糞便試料の調製容器を介して、粉砕容易な複数の板状に成型されているので、糞便を短時間で粉砕して融解させることができる。その結果、糞便試料中の核酸の分解やタンパク質の変性等を極力防止でき、拡散やタンパク質の検出感度や精度が格段に向上する。また、糞便の粉砕に強い力を必要としないため、凍結片が飛び散り難くなり、汚染や感染の危険性を低減することができる。
【0050】
なお、図2(a)〜(d)に示した例では、糞便採取用シリンジ収容シリンダ22の先端には、線状の開口部22aを複数設けたが、図2(e)に示すように、糞便採取用シリンジ収容シリンダ22の先端には、矩形状の開口部22a’を一つ設けてもよい。この場合には、図2(f)に示すように、糞便採取用シリンジ収容シリンダ22に収容された糞便採取用のシリンジ21のピストン21bを押してシリンダ21a内部の糞便(図示省略)を押すと、糞便(図示省略)は、シリンダ21aの開口部21a1から出て、糞便採取用シリンジ収容シリンダ22の開口部22a’を通ることによって一つの板状に成型される。
さらに、図3に示すように、糞便採取用シリンジ収容シリンダ22の先端には、円状の開口部22a”を先端面の中心Oから放射状に複数個設けてもよい。この場合には、糞便採取用シリンジ収容シリンダ22に収容された図2(a)に示す糞便採取用のシリンジ21のピストン21bを押してシリンダ21a内部の糞便(図示省略)を押すと、糞便(図示省略)は、シリンダ21aの開口部21a1から出て、糞便採取用シリンジ収容シリンダ22の開口部22a”を通ることによって複数の糸状に成型される。
【0051】
第三実施形態
図4(a)〜(f)は本発明の第三実施形態にかかる糞便試料の調製容器の一構成例を示す説明図で、(a)は糞便採取用のシリンジ及び糞便を採取するときの態様を示す斜視図、(b)は糞便収容部材の一態様を示す斜視図、(c)は(b)に示す糞便収容部材の他の態様を示す図、(d)は(a)に示す糞便採取用のシリンジで採取した糞便を(b)に示す糞便収容部材に嵌合させ、糞便採取用のシリンジのピストンを押して糞便を板状空間形成部に押出したときの態様を示す斜視図、(e)は糞便収容部材の板状空間形成部に押出された状態で糞便と凍結するときの態様を示す斜視図、(f)は糞便を凍結後に糞便収容部材を開いた状態を示す図、(g)〜(i)は他の構成例にかかる糞便試料の調製容器の説明図で、(g)は調製容器の斜視図、(h)は(g)の調製容器を用いて糞便を採取するときの状態を示す図、(i)は(a)の調製容器に糞便を採取、成型、凍結後に調製容器の一部を折り曲げた状態を示す図である。
【0052】
第三実施形態にかかる糞便試料の調製容器は、糞便を採取、成型、凍結後に調製容器の一部が開くことによって成型された糞便を取り出すことができるように構成されている。
詳しくは、図4(a)〜(f)に示す糞便試料の調製容器は、糞便採取用のシリンジ31と、糞便収容部材32とで構成されている。
糞便採取用のシリンジ31は、図2(a)に示した糞便採取用のシリンジ21と同様に構成されている。
糞便収容部材32は、図4(b)に示すように、シリンジ先端収容部32aと、板状空間形成部32bを有している。
シリンジ先端収容部32aは、糞便採取用のシリンジ31の先端を収容するように、内径が糞便採取用シリンジ31のシリンダ31aの外径よりも一回り大きい筒状に形成されている。
板状空間形成部32bは、シリンジ先端収容部32aに接続され、板状空間Vを形成するように構成されている。
また、糞便収容部材32は、図4(c)に示すように、シリンジ先端収容部32aと板状空間形成部32bとが、図示省略したヒンジ等の開閉部材を介して開閉可能に構成されている。
なお、好ましくは、図4(e)に示すように、糞便収容部材32を閉じた状態において、シリンジ先端収容部32aの上端と嵌合する蓋33をさらに備えるのがよい。
【0053】
このように構成された第三実施形態の図4(a)〜(f)に示す糞便試料の調製容器を用いた糞便試料の調製は次のようにして行う。
まず、図4(a)に示す糞便採取用のシリンジ31を用いて、一定量の糞便Eを採取する。
次に、図4(d)に示すように、糞便を採取した糞便採取用のシリンジ31の先端を糞便収容部材32のシリンジ先端収容部32aに収容する。
次に、シリンジ先端収容部32aに収容された糞便採取用のシリンジ31のピストン31bを押してシリンダ31a内部の糞便Eを押す。すると、糞便Eは、シリンダ31aの開口部31a1から出て、板状空間形成部32bの板状空間Vに押し込まれる。これにより、糞便は板状に成型される。
次に、糞便採取用のシリンジ31をシリンジ先端収容部32aから抜き取る。次いで、図4(e)に示すように、シリンジ先端収容部32aの上端に蓋33を嵌めて糞便収容部材32を密封する。次いで、糞便収容部材32の板状空間形成部32bを介して板状に成型された状態のまま糞便を凍結させる。
糞便が凍結した後に、蓋33を取り外し、図4(f)に示すように、糞便収容部材32を構成するシリンジ先端収容部32a及び板状空間形成部32bを2つに開く。これにより、凍結した板状の糞便が得られる。凍結した板状の糞便は、所定の収容容器(図示省略)に収容する。
従って、第三実施形態の図4(a)〜(f)に示す糞便試料の調製容器によれば、本発明の糞便試料の調製方法による調製を行うことができる。
なお、収容容器(図示省略)に収容されている凍結した糞便は、ホモジナイザーを介して粉砕する。このとき、凍結した糞便は、第三実施形態の図4(a)〜(f)に示す糞便試料の調製容器を介して、粉砕容易な板状に成型されているので、糞便を短時間で粉砕して融解させることができる。その結果、糞便試料中の核酸の分解やタンパク質の変性等を極力防止でき、拡散やタンパク質の検出感度や精度が格段に向上する。また、糞便の粉砕に強い力を必要としないため、凍結片が飛び散り難くなり、汚染や感染の危険性を低減することができる。
【0054】
一方、図4(g)〜(i)に示す糞便試料の調製容器は、薄板状の糞便採取用の凹部41を有する。また、凹部41は、図示省略したヒンジ等の開閉部材を介して一部411を他部412に対して折れ曲げ可能に構成されている。
【0055】
このように構成された第三実施形態の図4(g)〜(i)に示す糞便試料の調製容器を用いた糞便試料の調製は次のようにして行う。
まず、図4(h)に示すように、薄板状の糞便採取用の凹部41を介して糞便Eを採取する。
次に、図示省略したヘラ等の摺りきり部材を用いて凹部41で採取された糞便Eのうち余分な糞便を除去する。これにより、薄板状の糞便採取用の凹部41を介して採取された糞便Eが薄板状に成型される。
余分な糞便を除去して薄板状に成型された糞便Eを薄板状の糞便採取用の凹部41に収容されたままの状態で凍結する。
糞便Eが凍結後に、図4(i)に示すように、薄板状の糞便採取用の凹部41の一部411を他部412に対して折れ曲げる。これにより、凍結した糞便Eを取り出すことができる。凍結した板状の糞便Eは、所定の収容容器(図示省略)に収容する。
従って、第三実施形態の図4(g)〜(i)に示す糞便試料の調製容器によれば、本発明の糞便試料の調製方法による調製を行うことができる。
なお、所定の収容容器(図示省略)に収容されている凍結した糞便は、ホモジナイザーを介して粉砕する。このとき、凍結した糞便は、第三実施形態の図4(g)〜(i)に示す糞便試料の調製容器を介して、粉砕容易な板状に成型されているので、糞便を短時間で粉砕して融解させることができる。その結果、糞便試料中の核酸の分解やタンパク質の変性等を極力防止でき、拡散やタンパク質の検出感度や精度が格段に向上する。また、糞便の粉砕に強い力を必要としないため、凍結片が飛び散り難くなり、汚染や感染の危険性を低減することができる。
なお、図4(g)〜(i)に示した糞便試料の調製容器は、次のような使い方もできる。すなわち、糞便採取用の凹部41へ図示省略したヘラ等の採取部材を用いて糞便を入れ、余分な糞便を図示省略したヘラ等の摺りきり部材で除去して、糞便を薄板状に成型することも可能である。
【0056】
第四実施形態
図5は本発明の第四実施形態にかかる糞便試料の調製容器の構成を示す説明図で、(a)は一構成例を示す斜視図、(b)は(a)に示す糞便試料の調製容器を用いて糞便を採取、成型するときの態様を示す図、(c)は他の構成例を示す斜視図、(d)はさらに他の構成例を示す斜視図である。
第四実施形態の一構成例にかかる糞便試料の調製容器は、図5(a)に示すように、糞便採取用の開口部51aを備えた板状部材51と、摺りきり部材52とを有している。
開口部51aは、板状部材51の先端に設けられた、ロの字型の溝で構成されている。
摺りきり部材52は、図示省略したガイド等を介して板状部材51の板面に沿ってスライド可能に構成されており、開口部51aを介して採取された糞便のうち開口部51aの開口面からはみ出た糞便を摺りきることができるようになっている。
【0057】
このように構成された第四実施形態の一構成例にかかる糞便試料の調製容器を用いた糞便試料の調製は次のようにして行う。
まず、開口部51aが見えるように摺りきり部材52を退避させ、板状部材51を図示省略した糞便Eに突き刺して、開口部51aで糞便を採取する。
次に、図5(b)に示すように、摺りきり部材52を板面に沿って開口部51aが隠れるようにスライドさせる。すると、開口部51aを介して採取された糞便Eのうち開口部51aの開口面からはみ出た糞便が摺りきられる。これにより、採取した糞便Eが、開口部51a及び摺りきり部材52を介して包囲されて薄板状に成型される。
次に、成型された糞便Eを開口部51aに収容され、開口部51a及び摺りきり部材52を介して包囲された状態のまま凍結させる。
糞便が凍結した後に、開口部51aに収納された糞便が見えるように摺りきり部材52を退避させ、開口部51aから凍結した糞便を取り出す。これにより、凍結した板状の糞便が得られる。凍結した板状の糞便は、所定の収容容器(図示省略)に収容する。
従って、第四実施形態の一構成例にかかる糞便試料の調製容器によれば、糞便試料の調製方法による調製を行うことができる。
なお、所定の収容容器(図示省略)に収容されている凍結した糞便は、ホモジナイザーを介して粉砕する。このとき、凍結した糞便は、第四実施形態の一構成例にかかる糞便試料の調製容器を介して、粉砕容易な板状に成型されているので、糞便を短時間で粉砕して融解させることができる。その結果、糞便試料中の核酸の分解やタンパク質の変性等を極力防止でき、拡散やタンパク質の検出感度や精度が格段に向上する。また、糞便の粉砕に強い力を必要としないため、凍結片が飛び散り難くなり、汚染や感染の危険性を低減することができる。
【0058】
また、第四実施形態の他の構成例にかかる糞便試料の調製容器は、図5(c)に示すように、糞便採取用の開口部51a’を備えた板状部材51’と、摺りきり部材52’とを有している。
開口部51a’は、板状部材51’の先端に設けられた、コの字型の切欠溝で構成されている。
摺りきり部材52’は、図示省略したガイド等を介して板状部材51’の板面に沿ってスライド可能に構成されている。また、摺りきり部材52’は、板状部材51’の板面に対して押圧接触するとともに、板状部材51’における切欠部の先端に位置したときに切欠部と相俟って板状に包囲する先端部52a’を有するL字型の板バネで構成されている。
【0059】
このように構成された第四実施形態の他の構成例にかかる糞便試料の調製容器を用いた糞便試料の調製は次のようにして行う。
まず、開口部51a’が見えるように摺りきり部材52’を退避させ、板状部材51’を図示省略した糞便(図示省略)に突き刺して、開口部51a’をスプーンのボウル部のように用いて糞便を掬い取る。
次に、摺りきり部材52’を板面に沿って開口部51a’が隠れるようにスライドさせる。すると、L字型の板バネの先端部52a’の縁部によって、開口部51a’を介して採取された糞便のうち開口部51a’の開口面からはみ出た糞便の一部が摺りきられる。また、L字型の板バネの先端部52a’の内側面が、板状部材51’における切欠部の先端に位置したときに、切欠部と相俟って板状に包囲する。これにより、採取された糞便のうち開口部51a’の開口面からはみ出た糞便の残部が摺りきられ、糞便が、薄板状に成型される。
次に、成型された糞便を開口部51a’に収容され、開口部51a’及び摺りきり部材52’を介して包囲された状態のまま凍結させる。
糞便が凍結した後に、開口部51a’に収納された糞便が見えるように摺りきり部材52’を退避させ、開口部51a’から凍結した糞便を取り出す。これにより、凍結した板状の糞便が得られる。凍結した板状の糞便は、所定の収容容器(図示省略)に収容する。
従って、第四実施形態の他の構成例にかかる糞便試料の調製容器によれば、糞便試料の調製方法による調製を行うことができる。
なお、所定の収容容器(図示省略)に収容されている凍結した糞便は、ホモジナイザーを介して粉砕する。このとき、凍結した糞便は、第四実施形態の他の構成例にかかる糞便試料の調製容器を介して、粉砕容易な板状に成型されているので、糞便を短時間で粉砕して融解させることができる。その結果、糞便試料中の核酸の分解やタンパク質の変性等を極力防止でき、拡散やタンパク質の検出感度や精度が格段に向上する。また、糞便の粉砕に強い力を必要としないため、凍結片が飛び散り難くなり、汚染や感染の危険性を低減することができる。
【0060】
また、第四実施形態のさらに他の構成例にかかる糞便試料の調製容器は、図5(c)に示した糞便試料の調製容器の変形例であって、図5(d)に示すように、糞便採取用の開口部51a”を備えた板状部材51”と、摺りきり部材52”とを有している。
開口部51a”は、板状部材51”の先端の両面に夫々設けられた、コの字型の切欠溝で構成されている。
摺りきり部材52”は、図示省略したガイド等を介して板状部材51”の板面に沿ってスライド可能に構成されている。また、摺りきり部材52”は、板状部材51”の板面に対して押圧接触するとともに、板状部材51”における切欠部の先端に位置したときに切欠部と相俟って板状に包囲する先端部52a”を有する2枚のL字型の板バネで構成されている。
【0061】
このように構成された第四実施形態のさらに他の構成例にかかる糞便試料の調製容器を用いた糞便試料の調製は図5(c)に示した糞便試料の調製容器に用いた糞便試料の調製とほぼ同じである。
従って、第四実施形態のさらに他の構成例にかかる糞便試料の調製容器によっても、糞便試料の調製方法による調製を行うことができる。
【0062】
さらに、図5(a),(b)に示した糞便試料の調製容器においても、開口部51aを板状部材51の両面に備え、摺りきり部材52を両面の開口部51aを介して採取された糞便のうち両面の開口面からはみ出た糞便を摺りきり可能に構成してもよい。
【0063】
第五実施形態
図6は本発明の第五実施形態にかかる糞便試料の調製容器の構成を示す説明図で、(a)は一構成例にかかる糞便試料の調製容器の開き状態の斜視図であって、採取した糞便を載せた状態を示す図、(b)は(a)に示す糞便試料の調製容器の閉じ状態を示す図、(c)は(b)に示す糞便試料の調製容器の閉じ状態を固定した状態を示す図、(d)は他の構成例にかかる糞便試料の調製容器の分解図であって、採取した糞便を収容した状態を示す図、(e)は(d)に示す糞便試料の調製容器で糞便を成型した状態を示す図、(f)は(e)に示す状態で糞便を成型、凍結後に調製容器による成型を解除した状態を示す図である。
【0064】
第五実施形態の糞便試料の調製容器は、採取した糞便を、凍結状態のときに粉砕可能な形状として、不定形の薄板状、又は薄肉の容器形状に成型するように構成されている。
詳しくは、一構成例にかかる糞便試料の調製容器は、図6(a)〜(c)に示すように、同じ大きさの2枚の平板61,62と、2枚の平板61,62の一辺に設けられた、2枚の平板61,62を開閉可能に連結する連結手段63と、2枚の平板61,62を閉じ状態で固定可能な固定部材64とを有している。2枚の平板は、例えば、透明なプラスチック板で構成されている。連結手段63は、例えば、ヒンジ等、2枚の平板61,62を開閉可能に連結することができれば、どのような構成でもよい。固定部材64は、例えば、クリップやフック及びピン等、平板61,62を閉じた状態で固定することが可能な部材で構成されている。図6(a)〜(c)の例では、固定部材64は、クリップで構成され、平板61における、連結手段63が設けられている辺と対向する辺に設けられている。なお、固定部材64は、固定部材64が設けられている辺以外の三辺に設けてもよい。また、図6(a)〜(c)の例では、固定部材64を平板61に設けたが、平板62に設けてもよく、さらには、固定部材64をクリップで構成する場合、平板61,62が開き状態のときには平板61,62から分離し、固定時に閉じ状態の平板61,62を挟むように用いてもよい。
【0065】
このように構成された第五実施形態の一構成例にかかる糞便試料の調製容器を用いた糞便試料の調製は次のようにして行う。
まず、図2(a)や図3(a)に示した糞便採取用のシリンジで一定量の糞便を採取する。
次に、糞便採取用のシリンジのピストンを押してシリンダ内部の糞便を押出し、図6(a)に示すように、開き状態となっている平板61,62の一方の平板62の上に載せる。
次に、連結手段63を介して平板61を閉じ方向に移動して平板61,62を閉じ状態にする。
次に、固定部材64を介して平板61,62の閉じ状態を固定する。これにより、糞便Eは薄板状に成型される。
次に、薄板状に成型された糞便Eを平板61,62で閉じられ固定部材64で固定されたままの状態で凍結する。
糞便が凍結後に、固定部材64による閉じ状態の固定を解除し、連結部材63を介して平板61,62を開き状態にする。これにより、凍結した糞便を取り出すことができる。凍結した薄板状の糞便は、所定の収容容器(図示省略)に収容する。
従って、第五実施形態の一構成例にかかる糞便試料の調製容器によれば、本発明の糞便試料の調製方法による調製を行うことができる。
なお、収容容器(図示省略)に収容されている凍結した糞便は、ホモジナイザーを介して粉砕する。このとき、凍結した糞便は、第五実施形態の一構成例にかかる糞便試料の調製容器を介して、粉砕容易な薄板状に成型されているので、糞便を短時間で粉砕して融解させることができる。その結果、糞便試料中の核酸の分解やタンパク質の変性等を極力防止でき、拡散やタンパク質の検出感度や精度が格段に向上する。また、糞便の粉砕に強い力を必要としないため、凍結片が飛び散り難くなり、汚染や感染の危険性を低減することができる。
【0066】
また、第五実施形態の他の構成例にかかる糞便試料の調製容器は、図6(d)〜(f)に示すように、糞便を収容するための筒状の糞便収容容器61’と、成型部材62’とを有している。
筒状の糞便収容容器61’は、シリンダで構成されている。また、成型部材62’は、筒状の糞便収容容器61’の内側の面と形状が同じであって大きさが少し小さい形状に形成されたピストンで構成されている。
【0067】
このように構成された第五実施形態の他の構成例にかかる糞便試料の調製容器を用いた糞便試料の調製は次のようにして行う。
まず、図2(a)や図3(a)に示した糞便採取用のシリンジで一定量の糞便を採取する。
次に、糞便採取用のシリンジのピストンを押してシリンダ内部の糞便を押出し、糞便収容容器61’に収容する。
次に、図6(d)に示す成型部材62’を糞便収容容器61’の中に挿入し、糞便収容容器61’に収容されている糞便Eを図6(e)に示すように薄肉の容器形状に成型する。
次に、薄肉の容器形状に成型された糞便Eを糞便収容容器61’の中に成型部材62’が挿入されたままの状態で凍結させる。
糞便の凍結後に、図6(f)に示すように、成型部材62’を糞便収容容器61’から抜き取る。これにより、凍結した薄肉の容器形状の糞便Eが得られる。
従って、第五実施形態の他の構成例にかかる糞便試料の調製容器によれば、本発明の糞便試料の調製方法による調製を行うことができる。
なお、糞便収容容器61’に収容されている凍結された糞便は、ホモジナイザーを介して粉砕する。このとき、凍結した糞便は、第五実施形態の他の構成例にかかる糞便試料の調製容器を介して、粉砕容易な薄肉の容器形状に成型されているので、糞便を短時間で粉砕して融解させることができる。その結果、糞便試料中の核酸の分解やタンパク質の変性等を極力防止でき、拡散やタンパク質の検出感度や精度が格段に向上する。また、糞便の粉砕に強い力を必要としないため、凍結片が飛び散り難くなり、汚染や感染の危険性を低減することができる。
【0068】
次に、上述した実施形態の糞便試料の調製容器を用いた糞便試料の調製方法の実施例について説明する。
(実施例1)ノロウイルス感染症罹患の有無の検出
予めノロウイルス感染症に罹患していることがわかっている3人の患者から、それぞれ糞便を図1に示した糞便試料の調製容器を用いて、筒状部材11に1g以上を採取後、合計1g程度の粒状になるよう成型して凍らせたものを実施例1の糞便試料とした。糞便試料は直径5mmの半球状の粒30個となった。他方、同じ患者より採取した糞便を、従来の方法を用いて成型しないで目分量で約1gの一塊を凍結させたものを比較例1の糞便試料とした。
それぞれの糞便試料に、0.1gあたり3mLのPBS(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4)を添加し、乳棒と乳鉢で十分に粉砕・攪拌した。実施例1の糞便試料は約4分で攪拌し終えたが、比較例1の糞便試料では10分以上の時間を要した。その後、12,000×gで10分間遠心処理を行った。この遠心処理により得た上清を新しい2mLのポリプロピレンチューブに採取した。
この上清1μLをテンプレートとして、Superscript III one step
RT−PCR System(Invitrogen社製)を用いて、RT−PCRを行った。ノロウイルス遺伝子の検出を、このRT−PCR産物をテンプレートとして、配列番号1の塩基配列を有するフォワードプライマー(Norovirus−F primer)と、配列番号2の塩基配列を有するリバースプライマー(Norovirus−R primer)とを用いたPCRにより行った。
塩基配列1 GTCTAAGGACGCTACACCAA
塩基配列2 TGCAGTTAGGACCTCATTT
【0069】
具体的には、0.2mLのPCRチューブに、12μLの超純水と2μLの10×バッファー(Applied Biosystems社製)を添加し、さらに、各1μLの該RT−PCR産物、該フォワードプライマー、該リバースプライマー、塩化マグネシウム、dNTP、及びDNAポリミラーゼ(Applied Biosystems社製)をそれぞれ添加して混合し、PCR反応溶液を調製した。このPCRチューブを、95℃で10秒間の変性、次に95℃で30秒間、62℃で30秒間、72℃で30秒間を30サイクル、からなる反応条件によりPCRを行った。得られたPCR産物の分析は、BIOANALYZER(Agilent Technology社製)を用いて、電気泳動法により解析した。
【0070】
BIOANALYZERによる解析によって得られたバンドパターンを図7に示す。(a)は実施例1の糞便試料の解析結果であり、(b)は比較例1の糞便試料の解析結果である。(a)と(b)とで同一のレーン番号には、同一の患者から採取された糞便試料由来のPCR産物が泳動されており、Mはマーカーが泳動されている。矢印アが、100bpのバンドであり、ノロウイルス遺伝子由来の増幅されたPCR産物を示している。
【0071】
実施例1の糞便試料では、全てのノロウイルス遺伝子を検出することができた。一方、成型しなかった比較例1の糞便試料では、同じ糞便を用いたにもかかわらず、100bpのバンドが薄いものが多かった。つまり、比較例1の糞便試料では、ウイルス感染陽性率が下がり、ノロウイルス感染症に罹患しているにもかかわらず、感染していないと判断されかねない。
図7の結果から、本発明の調製方法により調製された糞便試料は、従来の調製方法により調製された糞便試料に比べて、ウイルス感染の検出精度が優れていることが明らかである。
【0072】
(実施例2)大腸がん発症の有無の検出
8人の健常人からのそれぞれの糞便に対し、直ちにMKN45を添加して混合し、図4(a)〜(f)に示した糞便試料の調製容器を用いて、シリンダ31に糞便を2g以上量り取り、最終的には2gになるよう成型後、−80℃で凍結させた。その結果、厚さ3mm、縦横4×1.5cmの板状となった。MKN45は糞便試料2g中に3×106個含むように調製した。MKN45細胞は胃がん由来であるが、大腸癌細胞同様、COX2遺伝子を高発現するため、大腸癌細胞のモデルとして用いた。その後、この糞便試料を粉砕し、15mLのPBSを添加してホモジナイザーで充分に混合したものを実施例2の糞便試料とした。8人の健常人からのそれぞれ同一の糞便を、従来の方法を用いて、成型せずに目分量で約2g凍らせ、15mLのPBSを添加し、同様にホモジナイザーで充分に混合したものを比較例2の糞便試料とした。実施例2の糞便試料は板状のため砕きやすく、2分程度で混合できたが、比較例2の糞便試料は容器にこびり付いたまま凍結していたため、ホモジナイザーを糞便試料の一側面にしか当てることができず、混ぜ終えるまでに約8分かかった。
ホモジナイザーにより混合された実施例2、比較例2における夫々の糞便試料に対して、12,000×gで10分間遠心処理を行った。この遠心処理により得た上清を新しい2mLポリプロピレンチューブに採取した。
この上清から、Qiamp DNA stool mini kit(Qiagen社製)を用いて、DNAを抽出した。がんマーカーの1つであるCOX2(Cyclooxygenase−2)遺伝子の検出を、抽出されたDNAをテンプレートとして、配列番号3の塩基配列を有するフォワードプライマー(COX2−F1 primer)と、配列番号4の塩基配列を有するリバースプライマー(COX2−R1 primer)とを用いたPCRにより行った。
配列番号3 CACTACATACTTACCCACTTCA
配列番号4 AGGAGAGGTTAGAGAAGGCT
【0073】
具体的には、0.2mLのPCRチューブに、12μLの超純水と2μLの10×バッファーを添加し、さらに、各1μLの該抽出されたDNA、該フォワードプライマー、該リバースプライマー、塩化マグネシウム、dNTP、及びDNAポリミラーゼをそれぞれ添加して混合し、PCR反応溶液を調製した。このPCRチューブを、95℃で10秒間の変性、次に95℃で30秒間、65℃で30秒間、72℃で1分間を30サイクル、からなる反応条件によりPCRを行った。
【0074】
図8は得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動した後、エチジウムブロマイドで染色した結果、得られたバンドパターンを示した写真であり、(a)は実施例2の糞便試料の解析結果、(b)は比較例2の糞便試料の解析結果である。(a)と(b)とで同一のレーン番号には、同一の患者から採取された糞便試料由来のPCR産物が泳動されており、Mはマーカーが泳動されている。矢印アが、175bpのバンドであり、COX2遺伝子由来の増幅されたPCR産物を示している。
【0075】
実施例2の糞便試料では、全ての糞便からCOX2遺伝子を検出することができた。一方、成型しなかった比較例2の糞便試料では、同一の糞便を用いたにもかかわらず、175bpのバンドが薄く、実施例2の糞便試料では観察されなかったラダー状の染色が観察され、抽出されたDNAの質が悪いことがわかった。これは、ホモジナイザーで混合する際、成型をしなかった比較例2では、糞便試料の粉砕に多くの時間を要したためDNAの質に影響を及ぼしたものと考えられる。
図8の結果から、本発明の調製方法により調製された糞便試料は、従来の調製方法により調製された糞便試料に比べて、抽出される核酸の質が良好であり、また、糞便中に含有されている核酸にコードされている遺伝子の検出感度が顕著に優れていることが明らかである。このため、本発明の調製方法により調製された糞便試料は、がんの早期発見に有用であることが期待できる。
【0076】
(実施例3)抽出された核酸の定量
図5(a)に示した糞便試料の調製容器を用いて、1g以上の糞便を1gとなるよう成型し、−80℃の超低温冷凍庫へ移し凍結したものを実施例3の糞便試料とした。実施例3の糞便試料は厚さ3mm、縦横2×1.5cmの板状である。一方、目分量で同じ糞便を約1g採取し、成型しないでそのままの状態で凍結したものを比較例3の糞便試料とした。各試料を10サンプルずつ作成した。表1は、実施例3と比較例3で得られた糞便試料の重さを測定した結果である。表1より、図5(a)に示した糞便試料の調製容器を用いた実施例3は、目分量で採取した比較例3に比べて、糞便試料を一定量に採取できていることが分かる。
凍結後、該糞便試料に1mLのフェノール混合物(Trizol、Invitorogen社製)を添加し、ホモジナイザーで粉砕した。実施例3の糞便試料は1分強で混合できたが、比較例3の糞便試料は5分程度時間を要した。その後、2,000×gで10分間遠心処理を行った。該遠心処理により得た上清を新しい96ウェルマイクロプレートにそれぞれ分取した。GAPDH(glyceraldehyde−3−phosphate dehydrogenase)遺伝子の検出を、該上清をテンプレートとして、配列番号5の塩基配列を有するフォワードプライマー(GAPDH−F1 primer)と、配列番号6の塩基配列を有するリバースプライマー(GAPDH−R1 primer)とを用いたリアルタイムPCRにより行った。
塩基配列5 AAGGTGAAGGTCGGAGTCAA
塩基配列6 TAGTCCCCAGAAACAGGAGG
【0077】
具体的には、新たな96ウェルマイクロプレートに、6μLの超純水と、2μLの該上清と、各1μLの該フォワードプライマー、該リバースプライマー、及び、CYBR Green試薬(インビトロジェン社製)の500倍希釈液をそれぞれ加えた後、さらに、10μLの核酸増幅試薬(Geneamp PCR Master Mix、Applied biosystems社製)を添加して混合した後、リアルタイムに蛍光濃度を計測しながらPCR増幅を行った。該蛍光濃度の計測結果を分析して、該上清中のGAPDH遺伝子量を算出した。各ウェル由来の1試料当たり独立して3回データを取り、それぞれの平均値を求めた。
【0078】
表2は実施例3と比較例3における糞便試料1gあたりの核酸の抽出量を示したものである。
実施例3の糞便試料由来の上清中のGAPDH遺伝子量は、10サンプルの平均値が約131.4μg/gであった。一方、比較例3の糞便試料由来の上清中のGAPDH遺伝子量は、10サンプルの平均値が62.1μg/gであった。
従って、実施例3の糞便試料、すなわち本発明の調製方法により成型処理を行った糞便試料を用いた場合には、比較例3の糞便試料、すなわち成型処理を行わなかった糞便試料を用いた場合に比べて、核酸を多く得ることができた。これは、糞便を成型しないで凍結した比較例3の糞便試料では、糞便試料を粉砕するのに時間を要し、RNaseが活性化して核酸の分解が進んだためと考えられる。
【0079】
表1

表2

【0080】
従来は、例えば、凍結した一塊の糞便試料1gをホモジナイザー(ポリトロン PT2100S)で粉砕するのに5分以上の時間を要していた。しかし、本発明の糞便試料を用いると、弱い力でも1分程度の短時間で粉砕が可能となり、従来の5分の1まで粉砕に要する時間を短縮化することができた。これにより、粉砕時の糞便試料の核酸の分解やタンパク質の変性等を防ぐことができ、検出感度や精度が大きく向上した。
また、ホモジナイズに要する力が低減できる結果、粉砕時に凍結片が飛び散ることにより汚染や感染を引き起こす危険性が減った。
さらに、便を成型して凍らせることで、糞便試料の凍結に要する時間を短縮することができる。その結果、従来の手法によって得られるものに比べて、核酸やタンパク質を良好な状態を維持して保存できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の糞便試料の調製方法、その調製方法を用いた核酸又はタンパク質の抽出方法、その抽出方法を用いた核酸又はタンパク質の検出方法、その検出方法における糞便試料を用いたがん又は感染症の検出方法、並びに、糞便試料の調製容器は、糞便中の物質を検査する医療、医学、生物学の分野に有用である。

SEQUENCE LISTING

<110> OLYMPUS CORPORATION
<120> A method of preparing a sample of excrements, a method of sampling nucleic acid or protein which is prepared by using the preparing method, a method of detecting nucleic acid or protein which is sampled by using the sampling method, a method of detecting a cancer or an infection in which the sample of excrements used in the method of detecting nucleic acid or protein is used, and a receptacle for preparing a sample of excrements.
<130> 07P02610
<160> 6

<210> 1
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Primer
<400> 1
gtctaaggac gctacaccaa 20

<210> 2
<211> 19
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Primer
<400> 2
tgcagttagg acctcattt 19

<210> 3
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Primer
<400> 3
cactacatac ttacccactt ca 22

<210> 4
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Primer
<400> 4
aggagaggtt agagaaggct 20

<210> 5
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Primer
<400> 5
aaggtgaagg tcggagtcaa 20

<210> 6
<211> 20
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Primer
<400> 6
tagtccccag aaacaggagg 20
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる糞便試料の調製容器の構成を示す説明図で、(a)は糞便を成型する状態を示す図、(b)は糞便を成型したまま凍結する状態を示す図、(c)は凍結した糞便を取り出す状態を示す図である。
【図2】本発明の第二実施形態にかかる糞便試料の調製容器の構成を示す説明図で、(a)は糞便採取用のシリンジ及び糞便を採取するときの態様を示す斜視図、(b)は(a)に示す糞便採取用のシリンジを収容するための糞便採取用シリンジ収容シリンダの斜視図、(c)は(a)に示す糞便採取用のシリンジで採取した糞便を(b)に示す糞便採取用シリンジ収容シリンダに収容するときの態様を示す斜視図、(d)は(c)に示す態様からさらに糞便採取用のシリンジのピストンを押して糞便を押し出したときの態様を示す斜視図、(e)は(b)の一変形例にかかる糞便採取用シリンジ収容シリンダの斜視図、(f)は(e)に示す糞便採取用シリンジ収容シリンダを用いて(a)に示す糞便採取用のシリンジを収容しピストンを押して糞便を押し出したときの態様を示す斜視図である。
【図3】図2(b)の他の変形例にかかる糞便採取用シリンジ収容シリンダの斜視図である。
【図4】(a)〜(f)は本発明の第三実施形態にかかる糞便試料の調製容器の一構成例を示す説明図で、(a)は糞便採取用のシリンジ及び糞便を採取するときの態様を示す斜視図、(b)は糞便収容部材の一態様を示す斜視図、(c)は(c)に示す糞便収容部材の他の態様を示す図、(d)は(a)に示す糞便採取用のシリンジで採取した糞便を(b)に示す糞便収容部材に嵌合させ、糞便採取用のシリンジのピストンを押して糞便を板状空間形成部に押出したときの態様を示す斜視図、(e)は糞便収容部材の板状空間形成部に押出された状態で糞便と凍結するときの態様を示す斜視図、(f)は糞便を凍結後に糞便収容部材を開いた状態を示す図、(g)〜(i)は(a)〜(f)に示した糞便試料の調製容器とは他の構成例にかかる糞便試料の調製容器の説明図で、(g)は調製容器の斜視図、(h)は(g)の調製容器を用いて糞便を採取するときの状態を示す図、(i)は(a)の調製容器に糞便を採取、成型、凍結後に調製容器の一部を折り曲げた状態を示す図である。
【図5】本発明の第四実施形態にかかる糞便試料の調製容器の構成を示す説明図で、(a)は一構成例を示す斜視図、(b)は(a)に示す糞便試料の調製容器を用いて糞便を採取、成型するときの態様を示す図、(c)は他の構成例を示す斜視図、(d)はさらに他の構成例を示す斜視図である。
【図6】本発明の第五実施形態にかかる糞便試料の調製容器の構成を示す説明図で、(a)は一構成例にかかる糞便試料の調製容器の開き状態の斜視図であって、採取した糞便を載せた状態を示す図、(b)は(a)に示す糞便試料の調製容器の閉じ状態を示す図、(c)は(b)に示す糞便試料の調製容器の閉じ状態を固定した状態を示す図、(d)は他の構成例にかかる糞便試料の調製容器の分解図であって、採取した糞便を収容した状態を示す図、(e)は(d)に示す糞便試料の調製容器で糞便を成型した状態を示す図、(f)は(e)に示す状態で糞便を成型、凍結後に調製容器による成型を解除した状態を示す図である。
【図7】BIOANALYZERによる解析によって得られたバンドパターンを示す図であり、(a)は実施例1の糞便試料の解析結果、(b)は比較例1の糞便試料の解析結果である。
【図8】得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動した後、エチジウムブロマイドで染色した結果、得られたバンドパターンを示した写真であり、(a)は実施例2の糞便試料の解析結果、(b)は比較例2の糞便試料の解析結果である。
【符号の説明】
【0083】
11 筒状部材
11a 側面
11a1 凹部
12 筒状部材収容容器
12a 挿入部
12a1 開口部
12b 収容部
13 押出し部材
21,31 糞便採取用のシリンジ
21a,31a シリンダ
21a1,31a1 開口部
21a2,31a2 襞
21b,31b ピストン
22 糞便採取用シリンジ収容シリンダ
22a 線状の開口部
22a’ 矩形状の開口部
22a” 円状の開口部
22b 襞
32 糞便収容部材
32a シリンジ先端収容部
32b 板状空間形成部
33 蓋
41 薄板状の糞便採取用の凹部
411 薄板状の糞便採取用の凹部の一部
412 薄板状の糞便採取用の凹部の他部
51,51’,51” 板状部材
51a,51a’,51a” 糞便採取用の開口部
52,52’,52” 摺りきり部材
52a’,52a” 先端部
61,62 平板
63 連結手段
64 固定部材
O 先端面の中心
V 板状空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
採取した糞便を、凍結状態のときに粉砕容易な形状に成型し、その後に凍結させることを特徴とする糞便試料の調製方法。
【請求項2】
前記粉砕容易な形状が、板状であることを特徴とする請求項1に記載の糞便試料の調製方法。
【請求項3】
前記糞便を厚さ0.5〜5mmの板状に成型することを特徴とする請求項2に記載の糞便試料の調製方法。
【請求項4】
前記糞便を厚さ1〜2mmの板状に成型することを特徴とする請求項2に記載の糞便試料の調製方法。
【請求項5】
前記粉砕容易な形状が、糸状であることを特徴とする請求項1に記載の糞便試料の調製方法。
【請求項6】
前記糞便を直径0.5〜5mmの太さの糸状に成型することを特徴とする請求項5に記載の糞便試料の調製方法。
【請求項7】
前記糞便を直径1〜2mmの太さの糸状に成型することを特徴とする請求項5に記載の糞便試料の調製方法。
【請求項8】
前記粉砕容易な形状が、粒状であることを特徴とする請求項1に記載の糞便試料の調製方法。
【請求項9】
前記糞便を直径1〜10mmの粒状に成型することを特徴とする請求項8に記載の糞便試料の調製方法。
【請求項10】
前記糞便を直径3〜5mmの粒状に成型することを特徴とする請求項8に記載の糞便試料の調製方法。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれかに記載の糞便試料の調製方法を介して調製された糞便試料から核酸又はタンパク質を抽出することを特徴とする核酸又はタンパク質の抽出方法。
【請求項12】
請求項1〜請求項10のいずれかに記載の糞便試料の調製方法又は請求項11に記載の核酸若しくはタンパク質の抽出方法において調製された糞便試料から核酸又はタンパク質を検出することを特徴とする核酸又はタンパク質の検出方法。
【請求項13】
前記核酸又はタンパク質の検出方法が、抗原抗体反応を用いる方法である、請求項12に記載の核酸又はタンパク質の検出方法。
【請求項14】
請求項12又は請求項13に記載の核酸又はタンパク質の検出方法において調製された糞便試料を用いた、がん又は感染症の検出方法。
【請求項15】
側面に弾性変形可能な糞便採取用の凹部を複数備えた筒状部材と、
前記筒状部材の前記凹部に採取された糞便のうち余分な糞便を除去する除去手段と、
前記筒状部材の内側から挿入して前記凹部を押圧変形可能な押出し部材とを有することを特徴とする糞便試料の調製容器。
【請求項16】
側面に弾性変形可能な糞便採取用の凹部を複数備えた筒状部材と、
前記筒状部材の前記側面を摺接させながら通過させることの可能な開口部を備えた挿入部と、前記挿入部に接続するとともに前記開口部を通過した前記筒状部材の側面をその内部で非接触状態に収容可能な収容部とを有する筒状部材収容容器と、
前記筒状部材の内側から挿入して前記凹部を押圧変形可能な押出し部材とを有することを特徴とする糞便試料の調製容器。
【請求項17】
その先端に開口部を備えた糞便採取用のシリンジと、
その先端に所定形状の開口部を備えるとともに、前記糞便採取用のシリンジを該シリンジのピストンが押圧可能な状態に収容する糞便採取用シリンジ収容シリンダとを有することを特徴とする糞便試料の調製容器。
【請求項18】
さらに、前記糞便採取用シリンジ収容シリンダの側面をその内部で収容可能な収容容器を有することを特徴とする請求項17に記載の糞便試料の調製容器。
【請求項19】
前記糞便採取用シリンジ収容シリンダに備わる開口部が矩形状に形成されていることを特徴とする請求項17又は18に記載の糞便試料の調製容器。
【請求項20】
前記糞便採取用シリンジ収容シリンダに備わる開口部が線状に形成されていることを特徴とする請求項17又は18に記載の糞便試料の調製容器。
【請求項21】
前記糞便採取用シリンジ収容シリンダに備わる開口部が円状に形成されていることを特徴とする請求項17又は18に記載の糞便試料の調製容器。
【請求項22】
前記糞便採取用シリンジ収容シリンダに備わる開口部が複数個であることを特徴とする請求項17〜21のいずれかに記載の糞便試料の調製容器。
【請求項23】
その先端に開口部を備えた糞便採取用のシリンジと、
糞便収容部材とを有し、
前記糞便収容部材が、前記糞便採取用のシリンジの先端を収容するシリンジ先端収容部と、前記シリンジ先端収容部に接続する板状空間形成部とを有し、
前記板状空間形成部の一部が、可動であることを特徴とする糞便試料の調製容器。
【請求項24】
薄板状の糞便採取用の凹部を有し、
前記薄板状の糞便採取用の凹部の一部が可動であることを特徴とする糞便試料の調製容器。
【請求項25】
その先端に糞便採取用の開口部を備えた板状部材と、
前記板状部材の板面に沿ってスライドし、前記開口部を介して採取された糞便のうち該開口部の開口面からはみ出た糞便を摺りきるための摺りきり部材とを有することを特徴とする糞便試料の調製容器。
【請求項26】
前記開口部が、コの字型の切欠部で構成され、
前記摺りきり部材が、前記板状部材の板面に対して押圧接触するとともに、該板状部材における前記切欠部の先端に位置したときに該切欠部と相俟って板状に包囲する先端部を有するスライド可能なL字型の板バネで構成されていることを特徴とする請求項25に記載の糞便試料の調製容器。
【請求項27】
前記開口部が、ロの字型の溝で構成されていることを特徴とする請求項25に記載の糞便試料の調製容器。
【請求項28】
前記板状部材の両面に前記開口部を備え、
前記摺りきり部材が、前記両面の開口部を介して採取された糞便のうち該両面の開口部の開口面からはみ出た糞便を摺りきり可能に構成されていることを特徴とする請求項25〜27のいずれかに記載の糞便試料の調製容器。
【請求項29】
同じ大きさの2枚の平板と、
前記2枚の平板の一辺に設けられた、該2枚の平板を開閉可能に連結する連結手段と、
前記2枚の平板を閉じ状態で固定可能な固定部材とを有することを特徴とする糞便試料の調製容器。
【請求項30】
糞便を収容するための筒状の糞便収容容器と、
前記筒状の糞便収容容器の内側の面と形状が同じであって大きさが少し小さい形状に形成された成型部材とを有することを特徴とする糞便試料の調製容器。
【請求項31】
前記筒状の糞便収容容器が、シリンダで構成され、
前記成型部材が、ピストンで構成されていることを特徴とする請求項30に記載の糞便試料の調製容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−115658(P2009−115658A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289895(P2007−289895)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】