説明

紙及びポリマーフィルムへの接着性に優れた剥離紙組成物

本発明は、紙及びポリマー基材への接着性に優れた硬化性アルケニル系シリコーン剥離コーティング組成物に関する。本発明はさらに、紙及びポリマー基材への接着性に優れたシリコーン剥離コーティングを製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙及びポリマー基材への接着性に優れた硬化性アルケニル系シリコーン剥離コーティング組成物に関する。本発明はまた、シリコーン剥離コーティング組成物の紙及びポリマー基材への接着性を改良する添加剤に関する。本発明はさらに、紙及びポリマー基材への接着性に優れたシリコーン剥離コーティングを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材上の接着性材料の剥離を容易にするために、硬化性シリコーン組成物を基材に塗工する。粘着剤を有する剥離コーティング紙又はポリマーフィルムと化粧層もしくはラベルとすることのできるシート材料とを有する積層体を使用する際には、剥離ライナーをはがし(剥離ライナーはすてる)、化粧層もしくはラベルを表面に貼付する。
【0003】
代表的には、これらの剥離組成物は、2つの硬化機構、即ち熱硬化又は光触媒硬化のいずれかで硬化する。熱硬化剥離システムは一般に下記の組成物、
(A)硬化性組成物の主成分、即ちベースポリマーである線状アルケニル置換ポリシロキサンポリマー、
(B)水素化物官能性架橋性シリコーン、代表的にはメチル水素シロキサンポリマー、コポリマーもしくはオリゴマー、
(C)付加硬化ヒドロシリル化触媒、代表的には白金もしくはロジウム系触媒、
(D)コーティング浴の有効寿命を延ばす硬化抑制用化合物もしくはその混合物
からなる。
【0004】
使用されている代表的なアルケニル官能性シリコーンポリマー剥離組成物は、下記の2つのカテゴリー:
1)次式の線状アルケニル末端ポリマー
ViVi (4)
(式中、MViはアルケニル末端用M基を示す)又は
2)次式の多官能性アルケニルコポリマー
ViViVi (5)
(式中、DViはアルケニル置換D基を示す)
のいずれかに属する。一般にアルケニル末端ポリマーMViViは多官能性コポリマーMViViViよりも早く硬化する。剥離複合材を離層する際に、線状アルケニル末端ポリマーに基づく組成物は、離層速度が速くなるにつれて、必要な離層力も著しく増加する。これに対して、多官能性アルケニルポリマーは硬化速度が比較的遅い傾向にあり、離層速度の増加に伴う離層力の増加は比例するほど大きいことはない。
【0005】
従来技術では線状ベースポリマー(A)を用いるのが普通であるが、無溶剤の高固形分組成物が報告されている。米国特許第4448815号(特許文献1)に記載されているように、線状アルケニルシロキサン系コポリマーは、以下の(1)と(2)のコポリマーである。
(1)RSi(4−c−d)/2 (1)
式中、Rは通常アルキル基を示し、Rはビニル又はアリルなどの低分子量オレフィン置換基、cは0〜2の値を有し、c+dの和は平均で0.8〜3である。
(2)RSiO(4−n)/2 (2)
式中、Rは通常アルキル基を示し、nは0.8〜2.5の値を有する。
特許文献1のベースコポリマーは、下記の線状構造を有するものが好ましい。
(HC=CH)RSi−O−(RSi−O−)−(RRSi−O−)−SiR(HC=CH)
式中、添字i及びjは整数である。
【0006】
米国特許第4774111号(特許文献2)には、式(2)のR基がアルキル及びアルケニル基から選択される、上記線状コポリマーの変種が記載されている。特許文献2のポリマーは、実質的に線状である、即ちT又はQ基を痕跡量しか含有しないと定義される。アルケニル官能性熱硬化性シリコーン剥離組成物にこの実質的に線状であることが必要な点は、米国特許第4772515号、同第4783552号及び同第5036117号でも繰り返されている。
【0007】
他方、枝分れアルケニルポリマーの可能性が、米国特許第4057596号(特許文献6)に記載の構造式で認められている。特許文献6の組成物は以下の成分(A′)〜(E′)を含む。
(A′)実質的に線状のビニル末端ポリマー、
(B′)線状メチル水素ポリマー、
(C′)1分子中に3個以上のビニル基を有するメチルビニルポリシロキサン、
(D′)1分子中に3個以上の水素化物水素原子を有するメチル水素ポリシロキサン及び(E′)白金ヒドロシリル化触媒
特許文献6には、成分(C′)は(HC=CH)(CH)SiO2/2(DVi)単位、(HC=CH)(CHSiO1/2(MVi)単位及び(HC=CH)SiO3/2(TVi)単位を単独で或いは(CHSiO2/2(D)、(CHSiO1/2(M)及び(CH)SiO3/2(T)と共に含むと記載されている。所望に応じてビニル置換T単位及びメチルT単位を導入することで、特許文献6の組成物が枝分れ構造をもつ。
【0008】
米国特許第4386135号(特許文献7)に、次式で表される末端不飽和シリコーンポリマーが記載されている。
【0009】
4−aSi((RSiO−)OSiR (3)
式中、aは2、3又は4である。a=4のとき、式はQ樹脂を表す。a=3のとき、T構造となり、この構造は単一の分岐点しかもたない。a=2のとき、式はアルケニル末端線状ポリマーとなる。
【0010】
米国特許第5468826号(特許文献8)に、SiO4/2単位、アルコキシ官能基、エポキシもしくはアクリロキシアルキル基及び水素化ケイ素官能性を有するオルガノシロキサンコポリマーからなる接着促進添加剤が記載されている。この添加剤には、低剥離力コーティングの実現を妨害する添加剤の樹脂的性質のため、離層過程の剥離力を増加するという欠点があることが、当業者に明らかである。
【0011】
米国特許第3873334号(特許文献9)に、さらに水素化ケイ素又はアルケニル官能性を有するアシロキシ官能性シランからなる接着促進添加剤が記載されている。しかし、遊離するアシロキシ基には、付加硬化を抑制し、したがって付加硬化プロセスを遅延する、また、コーティングプロセスで腐食性の悪臭のある加水分解物を遊離する欠点がある。さらに、剥離コーティングに残存するアシロキシ基は徐々に加水分解し、接着剤との望ましくない相互作用を生じ、そのため望ましくない離層時剥離特性となる。
【0012】
米国特許第5567764号(特許文献10)に、ポリマーフィルム上の剥離コーティング用の接着促進剤としてアルコキシ含有アルケニル官能性オルガノポリシロキサンが記載されている。
【0013】
欧州特許第057984A2号(特許文献11)に、ポリマーフィルム上の剥離コーティング用の接着促進剤としてメタ(アクリル)オキシ官能性アルコキシシランが記載されている。
【特許文献1】米国特許第4448815号
【特許文献2】米国特許第4774111号
【特許文献3】米国特許第4772515号
【特許文献4】米国特許第4783552号
【特許文献5】米国特許第5036117号
【特許文献6】米国特許第4057596号
【特許文献7】米国特許第4386135号
【特許文献8】米国特許第5468826号
【特許文献9】米国特許第3873334号
【特許文献10】米国特許第5567764号
【特許文献11】欧州特許第057984A2号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上掲の特許にもかかわらず、当工業においては、紙及びポリマーフィルムへの安定な接着の欠点に対処し、硬化に抑制作用を呈さず、腐食性の加水分解物を遊離せず、積層体構造の製造時に悪臭を発生せず、積層体構成に用いる接着剤と望ましくない相互作用をなす加水分解物を生成しない、剥離コーティング組成物、即ち接着促進添加剤、並びにその再現可能な低コストの製造方法が依然として必要とされている。
【0015】
本発明は、紙及びポリマーフィルムへの接着性を有し、付加硬化プロセスを妨害せず、腐食性の加水分解物を遊離せず、積層体構造の製造時に悪臭を発生せず、積層体構成に用いる接着剤と望ましくない相互作用をなす加水分解物を生成しない、剥離コーティング用の剥離コーティング添加剤を提供する。本発明はさらに、剥離コーティングに添加した場合に紙及びポリマーフィルムへの安定な接着性を示す添加剤を製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の剥離組成物は、次式で表される、剥離コーティングの密着性向上添加剤を含有する。
【0017】
(RSiO(4−a)/2
式中、nは3より大きい整数、aは1〜3の範囲の数、Rは炭素原子数1〜40の基を含有するオキシランもしくはエポキシド又はカルボン酸無水物、一価の炭化水素もしくはオキシ炭化水素基又は水素化物原子であり、分子内に1以上のオキシランもしくはエポキシド又はカルボン酸無水物及び水素化物が存在する。
【0018】
本発明の剥離組成物はさらに、次式の硬化性アルケニルシリコーンを含有する。
【0019】
Vi
式中、MVi=R3−pSiO1/2(式中、Rは炭素原子数1〜40の一価炭化水素基から選択され、Rは炭素原子数2〜40のオレフィン末端一価炭化水素基から選択され、pは1〜3の範囲の数である)、
T=RSiO3/2(式中、RはR及びRからなる群から選択される)、
D=RSiO2/2(式中、R及びRは各々独立にR及びRからなる群から選択される)、
M=RSiO1/2(式中、Rは上記で定義した基から独立に選択される)、
a及びbは約2〜約5の範囲の値を有し、cは約50〜約1000の範囲の整数、dは0〜0.5の範囲、好ましくは0.25〜約0.5の範囲、さらに好ましくは約0.35〜約0.5の範囲、特に好ましくは約0.4〜約0.5の範囲の値を有する。
【0020】
本組成物は、好ましくは、以下の化合物の群から選択される実質的に線状の水素シロキサンで架橋される。実質的に線状の水素シロキサンは、好ましくは、MDD′M、MD′M及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0021】
MDD′M、
MD′M、
MDD′M′、
M′DD′M′及び
M′DM′
式中、M=R′SiO1/2
M′=HR′3−gSiO1/2
D=R′R′SiO2/2及び
D′=R′HSiO2/2
M、M′、D及びD′中の各R′は独立に炭素原子数1〜40の一価炭化水素基から選択され、添字e及びfは0又は正数、e及びfの和は約10〜約100の範囲にあり、但しf及びgの和は2以上である。
【0022】
好ましくは、硬化性アルケニルシリコーンの置換基Rがメチル、トリフルオロプロピル又はフェニルであり、Rが炭素原子数2〜10のアルケニル基から選択される。
【0023】
さらに、実質的に線状の水素シロキサンにおいて、R′がメチル、トリフルオロプロピル又はフェニルであるのが好ましい。
【0024】
本発明の組成物は、無溶剤組成物、適当な溶剤で希釈した組成物又は水性エマルジョンとして利用することができ、特に紙及びポリマーフィルム用の剥離組成物に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
剥離コーティングは、剥離コーティングを基材に塗工した積層体の一部である。一般に剥離コーティング用に適当な基材は、紙、ポリマーフィルム、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエステルなどのフィルムからなる群から選択される。
【0026】
本発明の剥離組成物は、次式で表される、剥離コーティングの密着性向上添加剤を含有する。
【0027】
(RSiO(4−a)/2
式中、nは3より大きい整数、aは1〜3の範囲の数、Rは炭素原子数1〜40の基を含有するオキシランもしくはエポキシド又はカルボン酸無水物、一価の炭化水素もしくはオキシ炭化水素基又は水素化物原子であり、分子内に1以上のオキシランもしくはエポキシド又はカルボン酸無水物及び水素化物が存在する。
【0028】
本発明の組成物はさらに、次式の硬化性アルケニルシリコーンを含有する。
【0029】
Vi
式中、MVi=R3−pSiO1/2(式中、Rは炭素原子数1〜40の一価炭化水素基から選択され、Rは炭素原子数2〜40のオレフィン系一価炭化水素基から選択され、pは1〜3の範囲の数である)、
T=RSiO3/2(式中、RはR及びRからなる群から選択される)、
D=RSiO2/2(式中、R及びRは各々独立にR及びRからなる群から選択される)、
M=RSiO1/2(式中、Rは上記で定義した基から独立に選択される)、
添字a及びbは約2〜約5の範囲の値を有し、cは約50〜約1000の範囲の整数、dは0〜0.5の範囲、好ましくは0.25〜約0.5の範囲、さらに好ましくは約0.35〜約0.5の範囲、特に好ましくは約0.4〜約0.5の範囲の値を有する。本明細書で、用語「実質的に枝分れ」は(A)のアルケニルシリコーン1分子当たりのT枝分れ部位の平均数が2以上、好ましくは3であることを意味すると定義する。
【0030】
本発明の剥離組成物は、以下の成分(A)〜(E)を含む。
(A)次式で表される、剥離コーティングの密着性向上添加剤
(RSiO(4−a)/2
(式中、nは3より大きい整数、aは1〜3の範囲の数、Rは炭素原子数1〜40の基を含有するオキシランもしくはエポキシド又はカルボン酸無水物、一価の炭化水素もしくはオキシ炭化水素基又は水素化物原子であり、分子内に1以上のオキシランもしくはエポキシド又はカルボン酸無水物及び水素化物が存在する)、及び
(B)次式のアルケニルシリコーン
Vi
(添字a、b、c及びdは前記定義の通り)、
(C)以下の化合物の群から選択される水素シロキサン
MDD′M、
MD′M、
MDD′M′、
M′DD′M′及び
M′DM′
[式中、Mは前記定義の通り、
M′=HR′3−gSiO1/2
D=R′R′SiO2/2及び
D′=R′HSiO2/2
R′は各々独立に前記定義通りの基から選択され、添字e及びfは0又は正数、e及びfの和は約10〜約100の範囲にあり、但しf及びgの和は2以上である]、
(D)ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム及びオスミウムからなる群から選択される金属を含有するヒドロシリル化触媒、及び
(E)硬化抑制剤。
【0031】
本発明に用いる成分(A)の量は、約0.1〜5.0部、好ましくは0.5〜4.0部、さらに好ましくは約0.5〜3.0部である。
【0032】
本発明の組成物に用いる成分(B)及び(C)の量は、狭い範囲に限定されない。成分(B)及び(C)の量は、よく用いられているように、[成分(B)のケイ素結合水素原子の数]/[成分(A)のケイ素結合オレフィン系炭化水素基の数]の比で表して、この比が1/100〜100/1の値、通常1/20〜20/1の値、好ましくは1/2〜20/1の値をとるのに十分な量である。
【0033】
広義には、本発明の組成物の成分(D)は、成分(C)のケイ素結合水素原子と成分(B)のケイ素結合オレフィン系炭化水素基との反応を促進する触媒成分であり、白金含有触媒成分とすることができる。例えば、成分(D)は白金金属、白金金属を担持したシリカゲル又は木炭粉末のような支持体、又は白金金属の化合物もしくは錯体とすることができる。
【0034】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物中の代表的な白金含有触媒成分は、オルガノシロキサン系への分散が容易なので、任意の形態の塩化白金酸でよく、例えば簡単に入手できる六水和物形態又は無水形態のものである。特に有用な形態の塩化白金酸は、米国特許第3419593号(ここに先行技術として援用する)に開示されているように、塩化白金酸をジビニルテトラメチルジシロキサンなどの脂肪族不飽和有機ケイ素化合物と反応させて得られる組成物である。
【0035】
本発明の組成物に用いる白金含有触媒成分の量は、成分(C)のケイ素結合水素原子と成分(B)のケイ素結合オレフィン系炭化水素基との室温での反応を促進するのに十分な量があれば、狭い範囲に限定されない。前記触媒成分の正確な必要量は、特定の触媒に依存し、簡単には予測できない。しかし、塩化白金酸の場合、触媒量は有機ケイ素成分(B)+(C)の100万重量部当たり1重量部の白金のように少なくすることができる。触媒量が同基準で10重量部以上であるのが好ましい。
【0036】
本発明の組成物を本発明のコーティング方法に用いる場合、白金含有触媒成分の使用量は、オルガノポリシロキサン成分(B)+(C)の100万重量部当たり10〜500重量部の白金を与えるのに十分であるのが好ましい。
【0037】
ヒドロシリル化触媒は、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム及びオスミウムからなる群から選択される金属を含有する触媒や、米国特許第3159601号、同第3159662号、同第3419593号、同第3715334号、同第3775452号及び同第3814730号に記載されているような触媒から選択される。
【0038】
白金族金属触媒用の抑制剤である成分(E)は、有機ケイ素業界でよく知られている。種々の群のこのような金属触媒抑制剤の例として、エチレン系もしくは芳香族系不飽和アミドなどの不飽和有機化合物(米国特許第4337332号参照);アセチレン系化合物(米国特許第3445420号、同第4347346号及び同第5506289号参照);エチレン系不飽和イソシアネート(米国特許第3882083号参照);オレフィン系シロキサン(米国特許第3989667号参照);不飽和炭化水素ジエステル(米国特許第4256870号、同第4476166号及び同第4562096号参照);共役エニン(米国特許第4465818号及び米国特許第4472563号参照);ハイドロパーオキサイドなどの他の有機化合物(米国特許第4061609号参照);ケトン(米国特許第3418731号参照);スルホキシド、アミン、ホスフィン、ホスファイト、ニトリル(米国特許第3344111号参照);ジアジリジン(米国特許第4043977号参照);半エステル及び半アミド(米国特許第4533575号参照);種々の塩(米国特許第3461185号参照)がある。本発明の組成物はこれらの様々な群の抑制剤から選択される任意の抑制剤を含有することができると考えられる。
【0039】
抑制剤は、エチレン系不飽和アミド、芳香族系不飽和アミド、アセチレン系化合物、エチレン系不飽和イソシアネート、オレフィン系シロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、不飽和酸の不飽和炭化水素モノエステル、共役エニン、ハイドロパーオキサイド、ケトン、スルホキシド、アミン、ホスフィン、ホスファイト、ニトリル及びジアジリジンからなる群から選択し得る。
【0040】
本発明の組成物に用いる抑制剤としては、マレイン酸塩又はエステル及びアルキニルアルコールが好適である。
【0041】
本発明の組成物に用いる成分(E)の量は、特に限定されず、室温での上記白金触媒によるヒドロシリル化反応を遅延するが、中程度の高温、即ち室温より25〜50℃高い温度での該反応を防止しない量とすることができる。使用する特定の抑制剤の所望量は白金族金属含有触媒の濃度及び種類、成分(A)及び(B)の性質及び量に依存するので、室温で特定の浴寿命を実現するための抑制剤の具体的な量を指定することはできない。成分(E)の範囲は0.1〜10重量%、好ましくは0.15〜2重量%、特に好ましくは0.2〜1重量%とすることができる。
【0042】
本発明の組成物は、溶剤を含まない、即ち固形分100%の処方、混和性の有機溶剤で希釈した処方、又は水性エマルジョンとして使用することができる。本発明の処方を無溶剤コーティングとして用いる場合、アルケニルシリコーンの粘度が約100〜約10000センチポアズ(cp)、好ましくは約125〜約1000cp、さらに好ましくは約150〜約500cp、特に好ましくは約200〜約300cpの範囲であるのが好ましい。このような粘度は、式:
Vi
における末端M及びMVi基とT基との化学量論的添字の比を調節することにより、極めて簡単に達成できる。一般的な要件は、a+d>bである。この条件を満たさないと、アルケニルシリコーンが非常に粘稠になるおそれがある。これは、シリコーンの剥離コーティング材料としての使用を妨げるものではない。シリコーンを適当な溶剤に分散又は溶解すれば、塗工することができるからである。
【0043】
一般に、本発明の組成物に他の成分、例えば米国特許第5036117号及び同第5516558号に教示されているような浴寿命延長剤、剥離力を増加する剥離添加剤、充填剤、増量剤、反応性希釈剤、特定の基材への接着を改良する密着添加剤などを添加できる。
【0044】
エマルジョンとして用いる場合、本発明のシリコーンは通常非イオン性界面活性剤を添加し、水を添加し、次いでコロイドミルで加工することにより、エマルジョン化する。
【0045】
上で引用した米国特許はすべて本明細書に先行技術として援用する。
【実施例】
【0046】
以下の実施例で本発明を例示するが、本発明は実施例に具体化したものに限定されるものではない。
【0047】
実施例1
密着用添加剤の製造
アリルグリシジルエーテル(AGE)(Aldrich、2.886g、25.3mmol)とポリメチルヒドロシロキサン(2.97g、SiH=47.5mmol)の混合物をトルエン(50mL)で希釈し、0.61x10−4ppmの白金と共に室温で撹拌した。約10分後に弱い発熱作用が認められた。反応の進行をH−NMRで追跡したところ、1時間後にSi−H基の25%がSi−C結合に転換された。Si−H結合の転換を進めるために、混合物をさらに24時間撹拌した。トルエンを蒸発させ、残部の特性をNMR及び溶離剤としてCHClを用いるGPCで測定した(Mn=11100、Mw=39100、Mw/Mn=3.52)。精製した生成物(5.4g)を収率95%で得た。
H−NMR(CDCl):δ/ppm=0.1(s、OSi(CH、末端)、0.2(s、−OSi(CH)O−)、0.5(m、CH)、1.65(m、CH)、2.6及び2.8(m、CH)、3.1(m、CH)、3.45(m、CH)、3.4及び3.7(m、CH)、4.7(m、SiH)
29Si−NMR(CDCl):δ/ppm=−34〜−38(−OSiMeHO−)、−19〜−23(−SiMe(CH)O−)、10(−OSiMe
密着用添加剤を含有する剥離コーティング
以下の成分を混合して剥離コーティング配合物を製造した。
【0048】
SL6626 5.0g
SS4300c 0.16g
実施例1 0.1g
このコーティング配合物を、54dyn・cmにコロナ処理した142ゲージのポリエステルフィルム(PET)に塗工した。これらのサンプルを表1に示す時間及び温度にて硬化させた。サンプルを室温で1時間及び3日間経過後に、指で擦り落す(ラブオフ)方法により密着性について評価した。
【0049】
なお、SL6626及びSS4300cはGEシリコーン社製の無溶剤紙剥離製品、塗工はBlack Clawson Converting Machinery LLC(米国ニューヨーク州フルトン所在)の装置で行った。
【0050】
【表1】

【0051】
「ラブオフ」試験による密着効率の評価は下記の基準で行った。
【0052】
【表2】

【0053】
実施例2
密着用添加剤の製造
アリルグリシジルエーテル(AGE)(Aldrich、142.7g、1.25mol)とポリメチルヒドロシロキサン(150.0g、SiH=1.6重量%)の混合物を、1.2重量%のロジウムを含有するトリス(ジブチルスルフィド)ロジウム(III)トリクロリドのエタノール溶液を用いて、20ppmのロジウムと共に、170℃への発熱後、120〜130℃にて4時間。反応混合物を濾過し、120℃で真空ストリッピングし、0.52重量%の残留SiHを含有する、粘度450センチストークの反応生成物を得た。
【0054】
密着用添加剤を含有する剥離コーティング
以下の成分を混合して剥離コーティング配合物を製造した。
【0055】
SL6625 500.0g
SL6110−D1 500.0g
SS4300c 23.0g
実施例2の添加剤 30.0g
このコーティング配合物を、54dyn・cmにコロナ処理した142ゲージのポリエステルフィルム(PET)に塗工した。これらのサンプルを表2に示す時間及び温度にて硬化させた。サンプルを室温で1時間及び5日間経過後に、指で擦り落す方法により密着性について評価した。
【0056】
なお、SL6625、SL6110−D1及びSS4300cはGEシリコーン社製の無溶剤紙剥離製品、塗工はBlack Clawson Converting Machinery LLC(米国ニューヨーク州フルトン所在)の装置で行った。
【0057】
【表3】

【0058】
「ラブオフ」試験による密着効率の評価は下記の基準で行った。
【0059】
【表4】

【0060】
実施例3
密着用添加剤の製造
添加剤A
アリルグリシジルエーテル(AGE)(Aldrich、79.1g、0.69mol)とポリジメチルメチルヒドロシロキサン(200.0g、SiH=1.05重量%)の混合物を、1.2重量%のロジウムを含有するトリス(ジブチルスルフィド)ロジウム(III)トリクロリドのエタノール溶液を用いて、20ppmのロジウムと共に、95〜120℃で、次いで95〜120℃に1時間保持した。反応混合物を120℃で真空ストリッピングし、0.48重量%の残留SiHを含有する、粘度199センチストークの反応生成物を得た。
【0061】
添加剤B
アリルグリシジルエーテル(AGE)(Aldrich、89.8g、0.79mol)とポリジメチルメチルヒドロシロキサン(150.0g、SiH=1.05重量%)の混合物を、1.2重量%のロジウムを含有するトリス(ジブチルスルフィド)ロジウム(III)トリクロリドのエタノール溶液を用いて、20ppmのロジウムと共に、95〜120℃で、次いで95〜120℃に1時間保持した。反応混合物を120℃で真空ストリッピングし、0.24重量%の残留SiHを含有する、粘度476センチストークの反応生成物を得た。
【0062】
添加剤C
アリルグリシジルエーテル(AGE)(Aldrich、66.2g、0.58mol)とポリメチルヒドロシロキサン(145.0g、SiH=1.6重量%)とビニルトリメトキシシラン(86.0g、0.58mol)の混合物を、1.2重量%のロジウムを含有するトリス(ジブチルスルフィド)ロジウム(III)トリクロリドのエタノール溶液を用いて、20ppmのロジウムと共に、95〜145℃で、次いで95〜110℃に2時間保持した。反応混合物から、0.38重量%の残留SiHを含有する、粘度185センチストークの反応生成物を得た。
【0063】
密着用添加剤を含有する剥離コーティング
以下の成分を混合して剥離コーティング配合物を製造した。
【0064】
SL6625 500.0g
SL6110−D1 500.0g
SS4300c 23.0g
添加剤 30.0g
このコーティング配合物を、54dyn・cmにコロナ処理した142ゲージのポリエステルフィルム(PET)に塗工した。これらのサンプルを表3に示す時間及び温度にて硬化させた。サンプルを60℃で最高湿度に72時間露呈後に、指で擦り落す方法により密着性について評価した。
【0065】
なお、SL6625、SL6110−D1及びSS4300cはGEシリコーン社製の無溶剤紙剥離製品、塗工はBlack Clawson Converting Machinery LLC(米国ニューヨーク州フルトン所在)の装置で行った。
【0066】
【表5】

【0067】
「ラブオフ」試験による密着効率の評価は下記の基準で行った。
【0068】
【表6】

【0069】
実施例4
Carbic anhydride(3,6−エンドメチレン−Δ−テトラヒドロ無水フタル酸、13.1g、0.08mol)及びポリメチルヒドロシロキサン(100.0g、SiH=1.6重量%)、25ppmの白金(Karstdet触媒として)及び230.0gのトルエンの混合物を100〜107℃で5時間還流した。反応混合物を80℃で真空ストリッピングし、1.35重量%の残留SiHを含有し、カルボン酸無水物官能価約7モル%を有する反応生成物を得た。
【0070】
密着用添加剤を含有する剥離コーティング
以下の成分を混合して剥離コーティング配合物を製造した。
【0071】
SL6625 500.0g
SL6110−D1 500.0g
SS4300c 23.0g
添加剤 30.0g
このコーティング配合物を、54dyn・cmにコロナ処理した142ゲージのポリエステルフィルム(PET)に塗工した。これらのサンプルを表3に示す時間及び温度にて硬化させた。サンプルを60℃で最高湿度に72時間露呈後に、指で擦り落す方法により密着性について評価した。
【0072】
なお、SL6625、SL6110−D1及びSS4300cはGEシリコーン社製の無溶剤紙剥離製品、塗工はBlack Clawson Converting Machinery LLC(米国ニューヨーク州フルトン所在)の装置で行った。
【0073】
【表7】

【0074】
「ラブオフ」試験による密着効率の評価は下記の基準で行った。
【0075】
【表8】

【0076】
比較例1
比較添加剤
米国特許第3873334号にしたがって調製した、エポキシ官能性シランとビニルトリアセトキシシランからなる密着用添加剤を、実施例1と同様に1重量%及び3重量%で評価した。接着剤塗工及び非塗工PET上でいずれの添加剤レベルでも脱落が認められた。
【0077】
実施例5
実施例2の添加剤のUV硬化剥離コーティングでの評価
UV硬化性エポキシシリコーンコーティングの硬化及び密着に対する実施例2の添加剤の効果を調べる定性試験を、2ミルPET基材(Pilcher Hamilton)を用いて行った。この実験では、2つのUV硬化性コーティング配合物を、密着用添加剤の候補としての実施例2の組成物と共に使用した。
組成物A:UV9400エポキシシリコーン90部+ドデシルフェノール5部+UV9440Eジカルビノール末端シリコーン油5部+UV9385Cヨードニウム光触媒溶液1.5部の混合物
組成物B:ジメチルエポキシ末端線状(D22長)シリコーンポリマー100部+UV9380C増感ヨードニウム光触媒溶液2部の混合物
なお、UV9400、UV9440E、UV9385C及びUV9380CはGEシリコーン社製の無溶剤紙剥離製品
塗布量約1.2g/mのコーティングを手で2ミルPET基材に塗布し、次いでRPCモデル実験用UVプロセッサーに装着したHanovia製中圧水銀蒸気放電灯からの焦点合わせUV光を照射した。サンプルをキャリヤボードに固定し、コンベヤでランプの下を通過させた。コーティングが受けとる総UV光束量は、放電灯へのパワーとコンベヤの速度を変えることにより、約65mJ/cm又は約160mJ/cmとなるように調節した。コーティングをScotch(登録商標)610セロファン接着テープへのシリコーン移行について、またスミア及びラブオフ(軽い指触圧又は擦りによってコーティングが基材から簡単に脱落する傾向)について調べた。結果と観察知見を表5に示す。
【0078】
実施例2の添加剤は組成物A及びBとの混和性が不十分であるが、添加剤3部を100部のコーティング組成物とブレンドした場合、安定な曇った混合物を形成した。
【0079】
定性試験の結果を下表に示す。
【0080】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)及び(B)を含む剥離組成物。
(A)次式で表される、剥離コーティングの密着用添加剤
(RSiO(4−a)/2
(式中、nは3より大きい整数、aは約1〜約3の範囲の数、Rは炭素原子数1〜40の基を含有するオキシランもしくはエポキシド、一価の炭化水素もしくはオキシ炭化水素基又は水素化物原子であり、分子内に1以上のオキシランもしくはエポキシド及び水素化物が存在する)、及び
(B)次式の硬化性アルケニルシリコーン
Vi
[式中、MVi=R3−pSiO1/2(式中、Rは炭素原子数1〜40の一価炭化水素基から選択され、Rは炭素原子数2〜40のオレフィン末端一価炭化水素基から選択され、pは1〜3の範囲の数である)、
T=RSiO3/2(式中、RはR及びRからなる群から選択される)、
D=RSiO2/2(式中、R及びRは各々独立にR及びRからなる群から選択される)、
M=RSiO1/2(式中、Rは上記で定義した基から独立に選択される)、
a及びbは2〜5の範囲の値を有し、cは約50〜約1000の範囲の整数、dは0〜約0.5の範囲の値を有する]
【請求項2】
さらに、以下の化合物の群から選択される水素シロキサンを含有する、請求項1記載の組成物。
MDD′M、
MD′M、
MDD′M′、
M′DD′M′及び
M′DM′
式中、M=R′SiO1/2
M′=HR′3−gSiO1/2
D=R′R′SiO2/2及び
D′=R′HSiO2/2
M、M′、D及びD′中の各R′は独立に炭素原子数1〜40の一価炭化水素基から選択され、添字e及びfは0又は正数、e及びfの和は約10〜約100の範囲にあり、f及びgの和は2以上である。
【請求項3】
がメチル、トリフルオロプロピル又はフェニルであり、Rが炭素原子数2〜10のアルケニル基から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
R′がメチル、トリフルオロプロピル又はフェニルである、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
添字a、b及びdがa+d>bの関係を満足する、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
粘度が約100〜約10000cpの範囲にある、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
粘度が約125〜約1000cpの範囲にある、請求項5記載の組成物。
【請求項8】
請求項6記載の組成物を含有する水性エマルジョン。
【請求項9】
水素シロキサンがMDD′M、MD′M及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
以下の成分(A)及び(B)を含む剥離組成物。
(A)次式で表される、剥離コーティングの密着用添加剤
(RSiO(4−a)/2
(式中、nは3より大きい整数、aは1〜3の範囲の数、Rは炭素原子数1〜40の基を含有するカルボン酸無水物、一価の炭化水素もしくはオキシ炭化水素基又は水素化物原子であり、分子内に1以上のカルボン酸無水物及び水素化物が存在する)、及び
(B)次式の硬化性アルケニルシリコーン
Vi
[式中、MVi=R3−pSiO1/2(式中、Rは炭素原子数1〜40の一価炭化水素基から選択され、Rは炭素原子数2〜40のオレフィン末端一価炭化水素基から選択され、pは1〜3の範囲の数である)、
T=RSiO3/2(式中、RはR及びRからなる群から選択される)、
D=RSiO2/2(式中、R及びRは各々独立にR及びRからなる群から選択される)、
M=RSiO1/2(式中、Rは上記で定義した基から独立に選択される)、
a及びbは2〜5の範囲の値を有し、cは約50〜約1000の範囲の整数、dは0〜約0.5の範囲の値を有する]
【請求項11】
さらに、以下の化合物の群から選択される水素シロキサンを含有する、請求項10記載の組成物。
MDD′M、
MD′M、
MDD′M′、
M′DD′M′及び
M′DM′
式中、M=R′SiO1/2
M′=HR′3−gSiO1/2
D=R′R′SiO2/2及び
D′=R′HSiO2/2
M、M′、D及びD′中の各R′は独立に炭素原子数1〜40の一価炭化水素基から選択され、添字e及びfは0又は正数、e及びfの和は約10〜約100の範囲にあり、f及びgの和は2以上である。
【請求項12】
がメチル、トリフルオロプロピル又はフェニルであり、Rが炭素原子数2〜10のアルケニル基から選択される、請求項10記載の組成物。
【請求項13】
R′がメチル、トリフルオロプロピル又はフェニルである、請求項10記載の組成物。
【請求項14】
添字a、b及びdがa+d>bの関係を満足する、請求項10記載の組成物。
【請求項15】
粘度が約100〜約10000cpの範囲にある、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
粘度が約125〜約1000cpの範囲にある、請求項14記載の組成物。
【請求項17】
請求項15記載の組成物を含有する水性エマルジョン。
【請求項18】
水素シロキサンがMDD′M、MD′M及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
以下の成分(A)〜(E)を含む剥離組成物。
(A)次式で表される、剥離コーティングの密着用添加剤
(RSiO(4−a)/2
(式中、nは3より大きい整数、aは1〜3の範囲の数、Rは炭素原子数1〜40の基を含有するオキシランもしくはエポキシド、一価の炭化水素もしくはオキシ炭化水素基又は水素化物原子であり、分子内に1以上のオキシランもしくはエポキシド及び水素化物が存在する)、
(B)次式で表されるアルケニルシリコーン
Vi
[式中、MVi=R3−pSiO1/2(式中、Rは炭素原子数1〜40の一価炭化水素基から選択され、Rは炭素原子数2〜40のオレフィン系一価炭化水素基から選択され、pは1〜3の範囲の数である)、
T=RSiO3/2(式中、RはR及びRからなる群から選択される)、
D=RSiO2/2(式中、R及びRは各々独立にR及びRからなる群から選択される)、
M=RSiO1/2(式中、Rは上記で定義した基から独立に選択される)、
a及びbは2〜5の範囲の値を有し、cは約50〜約1000の範囲の整数、dは0〜約0.5の範囲の値を有する]、
(C)以下の化合物の群から選択される水素シロキサン
MDD′M、
MD′M、
MDD′M′、
M′DD′M′及び
M′DM′
[式中、M=R′SiO1/2
M′=HR′3−gSiO1/2
D=R′R′SiO2/2及び
D′=R′HSiO2/2
M、M′、D及びD′中の各R′は独立に炭素原子数1〜40の一価炭化水素基から選択され、添字e及びfは0又は正数、e及びfの和は約10〜約100の範囲にあり、f及びgの和は2以上である]、
(D)ヒドロシリル化触媒及び
(E)抑制剤。
【請求項20】
がメチル、トリフルオロプロピル又はフェニルであり、Rが炭素原子数2〜10のアルケニル基から選択される、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
R′がメチル、トリフルオロプロピル又はフェニルである、請求項19記載の組成物。
【請求項22】
添字a、b及びdがa+d>bの関係を満足する、請求項19記載の組成物。
【請求項23】
粘度が約100〜約10000cpの範囲にある、請求項23記載の組成物。
【請求項24】
粘度が約125〜約1000cpの範囲にある、請求項23記載の組成物。
【請求項25】
請求項23記載の組成物を含有する水性エマルジョン。
【請求項26】
水素シロキサンがMDD′M、MD′M及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項25記載の組成物。
【請求項27】
添字a、b及びdがa+d>bの関係を満足し、水素シロキサンがMDD′M、MD′M及びこれらの混合物からなる群から選択され、Rがメチル、トリフルオロプロピル又はフェニルであり、Rが炭素原子数2〜10のアルケニル基から選択され、R′がメチル、トリフルオロプロピル又はフェニルであり、粘度が約125〜約1000cpの範囲にある、請求項19記載の組成物。
【請求項28】
請求項27記載の組成物を含有する水性エマルジョン。
【請求項29】
以下の成分(A)〜(E)を含む剥離組成物。
(A)次式で表される、剥離コーティングの密着用添加剤
(RSiO(4−a)/2
(式中、nは3より大きい整数、aは1〜3の範囲の数、Rは炭素原子数1〜40の基を含有するカルボン酸無水物、一価の炭化水素もしくはオキシ炭化水素基又は水素化物原子であり、分子内に1以上のカルボン酸無水物及び水素化物が存在する)、
(B)次式で表されるアルケニルシリコーン
Vi
[式中、MVi=R3−pSiO1/2(式中、Rは炭素原子数1〜40の一価炭化水素基から選択され、Rは炭素原子数2〜40のオレフィン系一価炭化水素基から選択され、pは1〜3の範囲の数である)、
T=RSiO3/2(式中、RはR及びRからなる群から選択される)、
D=RSiO2/2(式中、R及びRは各々独立にR及びRからなる群から選択される)、
M=RSiO1/2(式中、Rは上記で定義した基から独立に選択される)、
a及びbは2〜5の範囲の値を有し、cは約50〜約1000の範囲の整数、dは0〜約0.5の範囲の値を有する]、
(C)以下の化合物の群から選択される水素シロキサン
MDD′M、
MD′M、
MDD′M′、
M′DD′M′及び
M′DM′
[式中、M=R′SiO1/2
M′=HR′3−gSiO1/2
D=R′R′SiO2/2及び
D′=R′HSiO2/2
M、M′、D及びD′中の各R′は独立に炭素原子数1〜40の一価炭化水素基から選択され、添字e及びfは0又は正数、e及びfの和は約10〜約100の範囲にあり、f及びgの和は2以上である]、
(D)ヒドロシリル化触媒及び
(E)抑制剤。
【請求項30】
がメチル、トリフルオロプロピル又はフェニルであり、Rが炭素原子数2〜10のアルケニル基から選択される、請求項29記載の組成物。
【請求項31】
R′がメチル、トリフルオロプロピル又はフェニルである、請求項29記載の組成物。
【請求項32】
添字a、b及びdがa+d>bの関係を満足する、請求項29記載の組成物。
【請求項33】
粘度が約100〜約10000cpの範囲にある、請求項32記載の組成物。
【請求項34】
粘度が約125〜約1000cpの範囲にある、請求項32記載の組成物。
【請求項35】
請求項33記載の組成物を含有する水性エマルジョン。
【請求項36】
水素シロキサンがMDD′M、MD′M及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項29記載の組成物。
【請求項37】
添字a、b及びdがa+d>bの関係を満足し、水素シロキサンがMDD′M、MD′M及びこれらの混合物からなる群から選択され、Rがメチル、トリフルオロプロピル又はフェニルであり、Rが炭素原子数2〜10のアルケニル基から選択され、R′がメチル、トリフルオロプロピル又はフェニルであり、粘度が約125〜約1000cpの範囲にある、請求項29記載の組成物。
【請求項38】
請求項37記載の組成物を含有する水性エマルジョン。
【請求項39】
基材及び請求項19記載の組成物からなるコーティングを有する積層体。
【請求項40】
基材及び請求項29記載の組成物からなるコーティングを有する積層体。
【請求項41】
前記基材がポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンクラフト、ポリプロピレンクラフトからなる群から選択される、請求項38記載の積層体。
【請求項42】
前記基材がポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンクラフト、ポリプロピレンクラフトからなる群から選択される、請求項39記載の積層体。

【公表番号】特表2006−519893(P2006−519893A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503324(P2006−503324)
【出願日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/003227
【国際公開番号】WO2004/071765
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】