説明

紙幣処理装置

【課題】後から搬送されてきた紙幣を順次、先に収納積層されている紙幣の後方に積層され、搬送障害を回避することができ、特別な構造を採る必要もない紙幣処理装置を提供する。
【解決手段】紙幣取り込機構1により、紙幣搬送側筐体に取り込まれた紙幣を方向転換して搬送する巻き込み搬送機構2と、紙幣を水平搬送機構に送り込む紙送り機構3と、紙幣を収納待機部まで搬送する水平搬送機構4と、前記各機構に巻架された巻き込みベルト24とを備えるとともに、前記紙送り機構と巻き込みベルトの接触面と前記水平搬送機構の水平ベルト43の前面との紙幣押出方向での間隔に対して、スタッカー6の紙幣押出面を、その間隔の略中間に配置することにより、前記紙送り機構から送りされた紙幣がスタッカーの紙幣押出面の延長面上を交差して、前記水平搬送機構の水平ベルト上に送り込むようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起立状態で搬送された紙幣をその状態で収納する紙幣処理装置、特に、パチンコ玉貸機、メタル貸機などの遊技媒体貸機に内設された紙幣識別装置、又は、それらの遊技媒体貸機に近設された紙幣搬送装置に取り付けられた紙幣識別装置などに起立状態で投入された紙幣を起立状態のまま紙幣収納部に積層収納する紙幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機、スロットマシンなどの遊技機を設置して、遊技者に遊技を提供する遊技店では、隣設する遊技機間に遊技媒体貸機を配設して、それらを複数並設して遊技機島を構築することが一般的である。そして、この遊技機島には、遊技者が、投入した紙幣を識別する複数の紙幣識別装置と、識別された紙幣を搬送する紙幣搬送装置と、搬送された紙幣を収納する紙幣処理装置が配設されている。そして、前述の紙幣識別装置は、概ね、遊技媒体貸機に内設されたり、あるいは紙幣搬送装置に取り付けられたりしている。このため、複数の遊技者が同時、あるいは短時間に紙幣を各々の紙幣識別装置に投入する場合がある。この場合に、紙幣搬送装置や紙幣識別装置に、複数の紙幣が送り込まれて、紙幣が紙幣搬送装置内部で重なったり、近接したりたりした場合に、紙幣の搬送を阻害しないような工夫が成されている。例えば、一台の紙幣識別装置に紙幣が投入された時に、その紙幣識別装置から紙幣搬送装置へ送り込まれる位置の近くに、紙幣搬送装置によって他の紙幣が搬送されて来ていると、一旦、紙幣識別装置から紙幣搬送装置への搬送が中断され、他の紙幣が通過した後に、その搬送が再開されるように構成されている。一方、紙幣処理装置側に於いても、何らかの事情で紙幣搬送装置から紙幣が連続して送り込まれて来た場合に、後から送り込まれた紙幣が、先の紙幣に衝突して、その搬送進路が阻害され、紙幣処理装置内で紙幣詰まりが発生したりしないようにした構成が採られている。
【0003】
たとえば、特許第3278318号公報では、起立して搬送されてきた紙幣類を紙幣類移送部と紙幣類後端回避機構の動作によって紙幣類待機部に導き、紙幣類待機部に一時待機させた後に、待機した紙幣類を出入自在の紙幣類押出部の押出動作により押出て、紙幣類収納部に順次起立積層状態で収納させる構成を具備した紙幣類収納装置が開示されている。そして、この先行技術には、待機した紙幣類の後端に、後から搬送されてきた紙幣類が衝突して、紙幣類が詰まらないような構成が紙幣類後端回避機構に設けられている。この紙幣類後端回避機構に設けられた構成は、前記の紙幣類移送部に連接して設けられた回避軸と前記回避軸の上下端2ヶ所に設けられた回避ローラから成り、前記回避ローラには外周面に複数のU字型湾曲形状の案内部が形成され、前記紙幣類待機部内に一時待機させた紙幣類を長手方向の姿勢状態で維持させると共に、前記回避ローラが搬送方向と同方向に回動することにより待機した紙幣類の後端のみを前記U字型湾曲形状の案内部と面接触させて湾曲姿勢と成し、次位の紙幣類を挿入案内し、順次起立積層していくというものである。
【0004】
しかしながら、このような従来技術では、紙幣類後端回避機構5(呼称と符号は、先行技術の明細書中の記載を用いた)を、搬送ガイドローラ42と押さえプーリ24a、24bの間で、かつ、紙幣類待機部20で待機した紙幣類Sの後端が当接する位置に設けている。ところが、一般的に、遊技者が投入する紙幣の上下端縁が、必ずしも、紙幣類搬送装置70に対して、搬送方向に沿って水平に投入されるものではなく、傾斜状態で投入されたりする場合が多い。しかも、投入される紙幣類も新しい状態のものばかりではなく、皺があったり、損傷したりしたものも多く見受けられる。更に、搬送ガイドローラ42や押さえプーリ24a、24bならびに紙幣類後端回避機構5は、常に回動しているものである。しかし、搬送される紙幣類が一定の間隔で紙幣処理装置内に搬送されてくるとは限らない。これらの事情を鑑みると、紙幣類Sの後端が紙幣類待機部20の内部で、常に紙幣類後端回避機構5に当接するように紙幣類を待機させて置くのは実際上困難であった。
【0005】
このため、後から搬送されてきた紙幣類が、紙幣類待機部20の内部に待機している紙幣類の端部に衝突し、紙幣類待機部20の内部に起立積層状態に整列されず、目詰まりを生ずる恐れがあった。しかも、紙幣類後端回避機構5には、紙幣類待機部20の内部に待機している紙幣類の端部を持ち上げるための新規な構造(U字型湾曲形状の案内部)を採る必要があり、構成が複雑でコストアップの要因にもなっている。
【0006】
この出願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【特許文献1】特許第3278318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の従来の技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、後から搬送されてきた紙幣が先に収納待機部に収納積層されている紙幣の端部に衝突することなく、順次、先に収納積層されている紙幣の後方に積層され、紙幣の目詰まりによる搬送障害を回避することができ、しかも、そのために、特別な構造を採る必要もない紙幣処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明においては、紙幣搬送装置により起立状態で搬送された紙幣を取り込む為の紙幣取り込機構と、前記紙幣取り込機構を介して取り込まれた紙幣を収納待機部まで搬送する紙幣搬送手段と、前記収納待機部に待機されている紙幣を紙幣収納部に押し出すスタッカーと、前記紙幣取り込機構と紙幣搬送手段とスタッカーを収納するとともに、前記収納待機部を画成した紙幣搬送側筐体と、前記前記スタッカーにより押し出された紙幣を積層収納する紙幣収納部を画成した収納部側筐体と、前記紙幣搬送側筐体と収納部側筐体とを連通接続する開口枠を有する紙幣処理装置であって、前記紙幣搬送手段は、前記紙幣取り込機構により、紙幣搬送側筐体に取り込まれた紙幣を方向転換して搬送する巻き込み搬送機構と、前記巻き込み搬送機構により方向転換された紙幣を水平搬送機構に送り込む紙送り機構と、紙送り機構から送られた紙幣を収納待機部まで搬送する水平搬送機構と、前記巻き込み搬送機構と送り込む紙送り機構ならびに水平搬送機構に巻架された巻き込みベルトとを備えるとともに、前記スタッカーの紙幣押出面を、前記紙送り機構と巻き込みベルトの接触面と前記水平搬送機構の水平ベルトの前面との紙幣押出方向での間隔に対して、その略中間に配置することにより、前記紙送り機構から送りされた紙幣をスタッカーの紙幣押出面の延長面上を交差して、前記水平搬送機構の水平ベルト上に送り込むものである。
【0009】
上記のように構成することにより、紙幣取り込機構から取り込まれ、巻き込み搬送機構によって方向転換された紙幣は、前述の巻き込み搬送機構と水平搬送機構との間で、前記紙送り機構により前記スタッカーの紙幣押出面の延長面上を挟んで後方に押圧され、かつ、水平搬送機構により同延長面上より前方に押圧されている。このため、紙幣には、常時、前方方向への応力が加わっている。従って、紙幣が水平搬送機構により水平ベルトの回転方向に搬送され、その結果、紙幣の後端部が前記紙送り機構から離間すると、紙幣は、前述の応力により速やかに開口枠方向に移動する。この移動によって、紙幣と水平ベルトとの間に隙間が形成され、その隙間に後から搬送されてきた紙幣が入り込み、順次、収納待機部内に積層されている紙幣の後方に積層される。このために、後から搬送されてきた紙幣が収納待機部内に積層されている紙幣の後端に衝突して、紙幣が詰まり、搬送障害を起すようなこともなく、しかも、搬送手段に特別な構成を施すこともない簡単な構成で安価な紙幣処理装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、紙幣搬送装置により起立状態で搬送された紙幣を取り込む為の紙幣取り込機構と、前記紙幣取り込機構を介して取り込まれた紙幣を収納待機部まで搬送する紙幣搬送手段と、前記収納待機部に待機されている紙幣を紙幣収納部に押し出すスタッカーと、前記紙幣取り込機構と紙幣搬送手段とスタッカーを収納するとともに、前記収納待機部を画成した紙幣搬送側筐体と、前記前記スタッカーにより押し出された紙幣を積層収納する紙幣収納部を画成した収納部側筐体と、前記紙幣搬送側筐体と収納部側筐体とを連通接続する開口枠を有する紙幣処理装置であって、前記紙幣搬送手段は、前記紙幣取り込機構により、紙幣搬送側筐体に取り込まれた紙幣を方向転換して搬送する巻き込み搬送機構と、前記巻き込み搬送機構により方向転換された紙幣を水平搬送機構に送り込む紙送り機構と、紙送り機構から送られた紙幣を収納待機部まで搬送する水平搬送機構と、前記巻き込み搬送機構と送り込む紙送り機構ならびに水平搬送機構に巻架された巻き込みベルトとを備えるとともに、前記スタッカーの紙幣押出面を、前記紙送り機構と巻き込みベルトの接触面と前記水平搬送機構の水平ベルトの前面との紙幣押出方向での間隔に対して、その略中間に配置することにより、前記紙送り機構から送りされた紙幣をスタッカーの紙幣押出面の延長面上を交差して、前記水平搬送機構の水平ベルト上に送り込むことによって、後から搬送されてきた紙幣が先に収納待機部に収納積層されている紙幣の端部に衝突することなく、順次、先に収納積層されている紙幣の後方に積層され、紙幣の目詰まりによる搬送障害を回避することができ、しかも、特別な構造を採る必要もない紙幣処理装置を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の紙幣処理装置の正面図、図2は、本発明の上面図、図3は、要部拡大説明図、図4は、本発明の紙幣処理装置の取付け状態を示した概略説明図である。
【0012】
本発明の紙幣処理装置100は、図4に示すように、遊技機島9の端部に配設されている。この遊技機島9は、複数の遊技機91と、この遊技機91に並設された遊技媒体貸機92と、それらの遊技機91,91と遊技媒体貸機92の上方に架設されている紙幣搬送装置93とで構成されている。そして、紙幣Mは、遊技媒体貸機92に内設された、あるいは紙幣搬送装置93に配設されている紙幣識別装置94(または、ビルバリなど)から起立状態で投入されてから紙幣搬送装置93で搬送され、遊技機島9の端部に配設された本発明の紙幣処理装置100の内部に積層収納される。また、この紙幣処理装置100は、一般的には、遊技機島の端部に配設されたカバー95の内部に収納されている。
【0013】
この紙幣処理装置100は、大きくは、2個の筐体、即ち、紙幣搬送側筐体Aと収納部側筐体Bならびに各々の筐体に配設された手段、機構類および紙幣搬送側筐体Aと収納部側筐体Bの接続部に形成された開口枠5とで構成されている。
【0014】
紙幣搬送側筐体Aは、全体として左右方向に横長の矩形の箱形状に構成されている。(尚、前後、左右とは、図2の紙面に対して、上方向を後方、下方向を前方、左右は、紙面に向かってそれぞれ左、右とする。また、上下とは、図1に向かってそれぞれ上、下とする。)そして、この紙幣搬送側筐体Aの内部には、紙幣取り込機構1と紙幣搬送手段である巻き込み搬送機構2と紙送り機構3ならびに水平搬送機構4およびスタッカー6が配設されている。更に、水平搬送機構4と紙幣搬送側筐体Aと収納部側筐体Bとの接続部には、開口枠5が設けられている。そして、水平搬送機構4と開口枠5との間には、収納待機部7が画成されている。
【0015】
以下、各構成部分について詳述する。紙幣取り込機構1は、紙幣搬送側筐体Aの後部左側部分に配設されていて、紙幣の取入口11と、紙幣Mを引き込むための引き込みローラ12と、この引き込みローラ12を固着した枢支軸13と、紙幣の取入口11から起立した状態で搬送された紙幣Mを引き込みガイドするところの、紙幣取込みガイド14ならびに紙幣ガイド15とで構成されている。また、この紙幣ガイド15には、前述の引き込みローラ12と対向する位置にガイドローラ16が配設されている。尚、紙幣の取入口11は、起立して搬送されてきた紙幣を取り込めるように縦長に開口している。
【0016】
また、紙幣搬送手段は、巻き込み搬送機構2と紙送り機構3ならびに水平搬送機構4とで構成されている。前述の巻き込み搬送機構2は、紙幣搬送装置9から起立した状態で紙幣の取入口11に引き込まれた紙幣Mを水平搬送機構4と平行な方向に変換させてから水平搬送機構4に送り込むもので、駆動伝達軸21と該駆動伝達軸21の下端に駆動モータ(図示しない)にベルトで連結されたモータプーリ22を固着するとともに、駆動伝達軸21の中間に駆動伝達プーリ23を固着している。
【0017】
紙送り機構3は、紙幣送り軸31と、該紙幣送り軸31の中央に固着された紙送りローラ32と、該紙幣送り軸31の上下両端部に固着された紙送りガイドローラ33とを備えている。
【0018】
水平搬送機構4は、紙送り機構3側に設けられた駆動側軸41と、駆動側軸41に対して紙幣の搬送方向に離間して設けられた従動側軸42と、駆動側軸41と従動側軸42の間に巻架された水平ベルト43より構成されている。そして、前述の駆動側軸41には、上下の両端に駆動側軸プーリ41aが固着され、中央に駆動ベルトプーリ41bが取り付けられている。一方、従動側軸42の上下両端にも、従動側軸プーリ42aが固着されている。そして、これらの駆動側軸41と従動側軸42とは、開口枠5に対して、後方に離間するとともに該開口枠5の両側端と対向する位置に配設されている。また、前述の水平ベルト43は、各駆動側軸41と従動側軸42の上下端部に固着されている駆動側軸プーリ41aと従動側軸プーリ42aに上下各1本、合計2本巻架されている。この上下に巻架された水平ベルト43の間を後述するスタッカー6のスタッカープレート61が出入する。
【0019】
これらの各軸、即ち、紙幣取り込機構1の枢支軸13、巻き込み搬送機構2の駆動伝達軸21、紙送り機構3の紙幣送り軸31ならびに水平搬送機構4の駆動側軸41と従動側軸42はいずれも紙幣搬送側筐体Aの上下の壁板に回転可能に軸止されている。この内、枢支軸13と駆動伝達軸21ならびに駆動側軸41は、取入口11の近傍に軸止されている枢支軸13を頂点とする三角形の各頂点に配設されている。そして、各軸に固着されている引き込みローラ12、駆動伝達プーリ23ならびに駆動ベルトプーリ41bの間に巻き込みベルト24が巻架されている。
【0020】
紙送り機構3は、枢支軸13を頂点とする三角形の各頂点に配設されているところの駆動伝達軸21と駆動側軸41との中間近傍に配設されていて、常時、引き込みローラ12、駆動伝達プーリ23ならびに駆動ベルトプーリ41bに巻架されている巻き込みベルト24の内、駆動伝達プーリ23ならびに駆動ベルトプーリ41bの間の部分を、この紙送り機構3の紙送りローラ32で後方(取入口11方向)に押し込むように配設されている。
【0021】
収納待機部7は、水平搬送機構4と、紙幣搬送側筐体Aと収納部側筐体Bとの接続部に形成された開口枠5との間に画成されている。この収納待機部7を画成している水平搬送機構4と開口枠5との間隔は、紙幣が一定数重なることができる程度、例えば、10〜20枚程度待機できる間隔に設定されている。なぜなら、紙幣が連続して搬送されたり、重なって搬送されたりしたときにはスタッカーを作動させると不具合を起す恐れがあるので、
次の紙幣Mと間隔ができたときにスタッカー6を作動させることができるように、一旦、紙幣Mを収納待機部7の内部に収納するものである。紙幣Mの搬送時間、間隔とスタッカー6の作動間隔が対応したときにスタッカー6を作動させて、収納されている紙幣を一括して紙幣収納部8に押し込む。
【0022】
また、この収納待機部7の先端側(水平搬送機構4の従動側軸42側)端部には、ストッパーガイド71が取り付けられている。このストッパーガイド71は、水平搬送機構4で搬送されてきた紙幣Mが従動側軸42に連れ周りしないように従動側軸42の上下端に固着されている従動側軸プーリ42a間の軸部をカバーしている。また、ストッパーガイド71は、搬送されてきた紙幣Mを開口枠5方向に導く働きしている。
【0023】
開口枠5は、前述したように、紙幣搬送側筐体Aと収納部側筐体Bとの接続部に形成され、スターカー6のスタッカープレート61が出入できるような開口を画成している。紙幣Mは、この開口を形成している開口枠5の上下の縁に形成された上部支持片51と下部支持片52に接触して収納待機部7の内部、あるいは、紙幣収納部8の内部に支持される。
【0024】
スタッカー6は、紙幣Mを紙幣収納部7に押し込むためのスタッカープレート61と、該スタッカープレート61を出入可能に操作するリンク機構62と、リンク機構62を駆動するモータ63と、スタッカープレート61とリンク機構62とを接続する接続プレート64とを備えている。そして、このスタッカープレート61は、紙幣押圧部61aと紙送り機構3側の搬入ガイド61bと従動側軸42側の端末ガイド61cで構成されている。また、搬入ガイド61bには、駆動ベルトプーリ41bを配設するための空間61dが形成されている。
【0025】
次に、図3を参照して、本発明の要旨である紙幣詰まり防止機能について説明する。即ち、巻き込み搬送機構2と、紙送り機構3ならびに水平搬送機構4の駆動側軸41と、スタッカー6のスタッカープレート61の前面(特に、断りの無い限り、スタッカー6が閉じた状態における紙幣押圧部61aの前面ならびにその延長線上の面を指す)との位置関係について説明する。
【0026】
まず、水平搬送機構4の駆動側軸41と従動側軸42との間に巻架されている水平ベルト43は、スタッカープレート61よりL分前面(紙幣収納部8側)に位置している。従って、理論的には、水平搬送機構4で搬送される紙幣Mは、直接スタッカープレート61とは、接触しないが、実際は、紙幣Mの紙折れ、皺などで必ずしも接触しないとは言えない。
【0027】
次に、駆動側軸41に固着されている駆動ベルトプーリ41bに巻架されている巻き込みベルト24と同軸上で固着されている駆動側軸プーリ41aに巻架されている水平ベルト43との位置関係について説明する。駆動ベルトプーリ41bに巻架されている巻き込みベルト24は、駆動ベルトプーリ41bに形成された溝(図示しない)に表面が露出しないように巻架されている。これは、紙幣Mが水平ベルト43に移行するときに巻き込みベルト24から容易に離れるようにするためである。いわゆる紙離れを良くする。従って、実際は、駆動ベルトプーリ41bの外周と水平ベルト43との位置関係となるが、これも水平ベルト43の方が前面(紙幣収納部8側)に位置するように配置されている。
【0028】
これらのことから、駆動側軸41の位置も、巻き込み搬送機構2の駆動伝達軸21に対して前面(紙幣収納部8側)に位置している。
【0029】
紙送り機構3は、巻き込み搬送機構2の駆動伝達プーリ23と紙送り機構3の紙送りローラ32および水平搬送機構4の駆動ベルトプーリ41bに巻架されている巻き込みベルト24に対して、前述の駆動伝達プーリ23と駆動ベルトプーリ41bとの中間で、かつ、巻き込みベルト24を挟んで前述の各軸と反対側に配設されている。更に、紙送りローラ32によって、巻き込みベルト24が後方(各軸に巻架されている巻き込みベルト24の内側)に撓むように配設されている。この撓み量は、スタッカープレート61より巻き込みベルト24の外周が後方(各軸に巻架されている巻き込みベルト24の内側)になる位置に配設する。
【0030】
上記したような駆動伝達プーリ23と駆動ベルトプーリ41bならびに紙送りローラ32の関係によれば、紙幣取り込機構1から取り込まれた紙幣Mは、駆動伝達プーリ23で水平搬送機構4の紙幣搬送方向に方向変換されて、紙送りローラ32に送り込まれる。例えば、紙幣MがM1〜M2へ搬送された状態で説明する。紙幣M1の状況は、紙幣Mが駆動伝達プーリ23から送りだされ紙送りローラ32を経由して駆動側軸プーリ41aに巻架されている水平ベルト43に接触するまでを示している。この状況では、紙幣M1は、紙幣ガイド15と駆動伝達プーリ23との間に巻き込まれ、駆動伝達プーリ23の前面から紙幣ガイド15の平行面に沿って紙送りローラ32方向に搬送される。そこで、紙幣M1の先端が紙送りローラ32ならびに同軸の紙送りガイドローラ33に衝突し、後方(巻き込みベルト24方向)に巻き上げられて、巻き込みベルト24の外周と紙送りローラ32ならびに同軸の紙送りガイドローラ33との間に挟持されるまでを示している。
【0031】
紙幣Mを挟持している巻き込みベルト24の外周と、紙送りローラ32ならびに同軸の紙送りガイドローラ33との接触面(ポイントP1)は、スタッカープレート61の前面より後方に位置している。そして、このポイントP1で挟持された紙幣M1は、巻き込みベルト24の回転に伴って、搬送され水平ベルト43に衝突する。この衝突により、紙幣M1の搬送は、紙送りローラ32ならびに同軸の紙送りガイドローラ33の押出力と水平ベルト43の引張力の協業で収納待機部7方向に送り出される。この状態では、紙幣M1の中程がポイントP1で常時、挟持されているため、紙幣M1の先端側には、巻き込みベルト24を押圧しようとする力F1が作用している。
【0032】
更に、紙幣M1が搬送されるとやがて紙幣M1の先端がスタッカープレート61の前面の延長面PLを鋭角に交差して開口枠5の上部支持片51と下部支持片52に衝突(ポイントP2)する。そして、開口枠5の上部支持片51と下部支持片52の表面を滑りながら収納待機部7の中を先に進む。この状態では、紙幣M1の先端は、若干後方へ湾曲している。このとき、紙幣M1には、水平ベルト43の前方への押圧力F2とポイントP2を支点とする前方への応力F3が加わっている。
【0033】
さらに、紙幣M1の搬送が進んで紙幣M2の状態、即ち、紙幣M1が挟持されているポイントP1を離脱したときには、巻き込みベルト24を押圧する力F1が解除され、水平ベルト43の前方への押圧力F2とポイントP2を支点とする前方への応力F3が加わることになる。このとき、紙幣M2自体が真っすぐになろうとする力も加わり、これらの応力の作用で紙幣Mは、挟持されているポイントP1を離脱すると、直ちに開口枠5の表面方向に移動して、開口枠5の上部支持片51と下部支持片52に接触して支持されるので、紙幣M2と水平ベルト43との間に隙間が形成される。従って、後方から搬送されてくる紙幣Mは、この隙間から収納待機部7の待機されている紙幣の後側に積層されるので、紙幣Mが、前の紙幣Mの後端に衝突して紙幣Mが詰まるようなことが無い。
【0034】
次に、収納部側筐体B側の構成について図1〜図2を参照して説明する。この収納部側筐体Bは、大別して、機構収納部筐体B1と収納部筐体B2より構成され、機構収納部筐体B1の上面後部に、前述した紙幣搬送側筐体Aを載置するとともにその前方に収納部筐体B2を載置している。即ち、収納部筐体B2は、この収納部筐体B2に形成されている開口を、紙幣搬送側筐体Aの横長の矩形箱形状をなしている前部の一部分(長手方向3/4ほど)を後方側に落とし込んで形成した収納部側筐体Bとの接続部(開口枠5)に一致させるようにして配置されている。
【0035】
機構収納部筐体B1は、略矩形状の箱状に形成されている。そして、前述したように、上面後部に紙幣搬送側筐体Aを載置するとともに該紙幣搬送側筐体Aの前方に収納部筐体B2を載置している。そして、この機構収納部筐体B1の内部に、紙幣収納部8に収納された紙幣の収納量を調節するための収納量調整機構81と、紙幣搬送側筐体Aに配設された紙幣取り込機構1などを駆動するためのモータ(図示しない)などが配設されている。
【0036】
収納量調整機構81は、紙幣収納部8の内部を前後に可動する可動支持片81aと、この可動支持片81aを固着支持するスライダー81bと、このスライダー81bを摺動可能に軸止する一対の摺動竿81cと、前述した可動支持片81aを常に後方に付勢している渦巻ばね(ぜんまい)81dと、紙幣収納部8に収納された紙幣の量(満杯)を検出するセンサ81eとを備えている。
【0037】
可動支持片81aは、紙幣収納部8の内部に配置された本体部分81fと取付部81gとより構成されている。この取付部81gは、機構収納部筐体B1と収納部筐体B2との載置部分に前後方向に形成された長溝82から機構収納部筐体B1の内部に突出され、機構収納部筐体B1内のスライダー81bに固着されている。また、スライダー81bは、機構収納部筐体B1の前後に軸止されている摺動竿81cに摺動可能に取り付けられている。更に、可動支持片81aの取付部81gは、機構収納部筐体B1内で前述したスタッカー6のリンク機構62の下方に配設された渦巻ばね(ぜんまい)81dと連結されていて、可動支持片81aと可動支持片81aを支持しているスライダー81bを常に後方に付勢している。尚、センサ81eは、摺動竿81cの先端側の側方に配設され、スライダー81bがその位置に到達したとき作動する。このときが紙幣収納部7に収納された紙幣が収納量の限界に達したときである。
【0038】
一方、巻き込み搬送機構2に設けられた紙幣送り軸22の近傍には、紙幣Mの通過を確認するセンサ25が配設されている。このセンサ25は、紙幣Mが紙幣送り軸31を通過したか否かを確認するもので、紙幣Mの枚数、機構の作動状態などを検出した結果を外部に知らせる装置である。そして、通過後一定時間経過した時にスタッカー6を作動させるように設定してある。
【0039】
次に、本発明の紙幣処理装置100内に取り込まれた紙幣Mの流れについて説明する。まず、紙幣搬送装置9が作動すると、機構収納部筐体B1に配設されている駆動機構(図示しない)が作動して巻き込み搬送機構2のモータプーリ22を回転させる。この回転に伴って、駆動伝達軸21に固着されている駆動伝達プーリ23を回転させる。この回転に伴って、巻き込みベルト24が回転して、紙送りローラ32ならびに紙送りガイドローラ33、駆動ベルトプーリ41bならびに駆動側軸プーリ41a、引き込みローラ12を回転させる。同時に、駆動側軸プーリ41aと水平ベルト43で連結されている従動側軸プーリ42aも回転する。
【0040】
これらの機構部品の回転よって、紙幣搬送装置9で搬送され、紙幣取り込機構1の紙幣取入口11から取り込まれた紙幣Mは、まず、紙幣取り込ガイド14上を滑降して、巻き込みベルト24に接蝕しながらガイドローラ16と巻き込みベルト24の間に取り込まれる。取り込まれた紙幣Mは、紙幣ガイド15と巻き込みベルト24とに挟持されながら紙幣送り軸31方向に搬送される。そして、段落番号0030から0033に説明したようにして、収納待機部7に収納される。
【0041】
このとき、収納待機部7に収納される紙幣Mが、適当な間隔で搬送されてくる状態では、センサ25の信号によって、スタッカー6がその都度作動し、紙幣Mを紙幣収納部8の内部に積層収納する。
【0042】
また、紙幣Mが連続して搬送されてきた場合、重なって搬送されてきた場合などで、収納待機部7の内部に複数枚、積層待機された紙幣Mは、センサ25で紙幣Mが連続して搬送されてこない状態、即ち、スタッカー6が作動しても無理が生じない状態になると、センサ25で検出された信号をリンク機構62側に送信して、リンク機構62を作動させ、スタッカー6を前方に押出して収納待機部7の内部に複数枚積層待機されている紙幣Mを紙幣収納部8に押し込む。
【0043】
紙幣収納部8内の押し込まれた紙幣Mは、収納量調整機構81の可動支持片81aと、開口枠5との間に挟持される。この動作を繰り返すことによって、紙幣Mが順次、可動支持片81aと開口枠5のとの間に積層されていく。このとき、可動支持片81aを付勢しているばねが渦巻ばね(ぜんまい)81dで構成されているため紙幣Mの積層量が増加しても付勢力に変化が生じないので、紙幣Mが満杯となり店員が取り出す場合には容易に取り出すことができる。また、紙幣Mが満杯になったときには、センサ81eでその状態を検出し、次に搬送されてくる紙幣Mを収納待機部7の内部に待機させる。この待機される紙幣は、概ね10〜20枚程度である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の紙幣処理装置を示した正面図である。
【図2】本発明の紙幣処理装置を示した上面図である。
【図3】本発明の要部を示した説明図である。
【図4】本発明の紙幣処理装置の取付け状態を示した概略説明図である。
【符号の説明】
【0045】
100 紙幣処理装置
1 紙幣取り込機構
11 取入口
12 引き込みローラ
13 枢支軸
14 紙幣取込みガイド(引き込みローラ側)
15 紙幣ガイド
16 ガイドローラ
(紙幣搬送手段)
2 巻き込み搬送機構
21 駆動伝達軸
22 モータプーリ
23 駆動伝達プーリ
24 巻き込みベルト
25 センサ
3 紙送り機構
31 紙幣送り軸
32 紙送りローラ
33 紙送りガイドローラ
4 水平搬送機構
41 駆動側軸
41a 駆動側軸プーリ
41b 駆動ベルトプーリ
42 従動側軸
42a 従動側軸プーリ
43 水平ベルト
5 開口枠
51 上部支持片
52 下部支持片
6 スタッカー
61 スタッカープレート
61a 紙幣押圧部
61b 搬入ガイド
61c 端末ガイド
61d 空間
62 リンク機構
63 モータ
64 接続プレート
7 収納待機部
71 ストッパーガイド
8 紙幣収納部
81 収納量調整機構
81a 可動支持片
81b スライダー
81c 摺動竿
81d 渦巻ばね(ぜんまい)
81e センサ
81f 本体部分
81g 取付部
82 長溝
9 遊技機島
91 遊技機
92 遊技媒体貸機
93 紙幣搬送装置
94 紙幣識別装置
95 カバー
A 紙幣搬送側筐体
B 収納部側筐体
B1 機構収納部筐体
B2 収納部筐体
P1 (接触面)ポイント
P2 (紙幣が開口枠に衝突した)ポイント
F1 水平ベルト43を押圧する力
F2 水平ベルト43の前方への押圧力
F3 ポイントP2を支点とする前方への応力
M(M1、M2) 紙幣
L スタッカープレートから水平ベルトが突出している量
PL スタッカープレートの紙幣押圧部前面とその延長面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣搬送装置により起立状態で搬送された紙幣を取り込む為の紙幣取り込機構と、前記紙幣取り込機構を介して取り込まれた紙幣を収納待機部まで搬送する紙幣搬送手段と、前記収納待機部に待機されている紙幣を紙幣収納部に押し出すスタッカーと、前記紙幣取り込機構と紙幣搬送手段とスタッカーを収納するとともに、前記収納待機部を画成した紙幣搬送側筐体と、前記前記スタッカーにより押し出された紙幣を積層収納する紙幣収納部を画成した収納部側筐体と、前記紙幣搬送側筐体と収納部側筐体とを連通接続する開口枠を有する紙幣処理装置であって、
前記紙幣搬送手段は、前記紙幣取り込機構により、紙幣搬送側筐体に取り込まれた紙幣を方向転換して搬送する巻き込み搬送機構と、前記巻き込み搬送機構により方向転換された紙幣を水平搬送機構に送り込む紙送り機構と、紙送り機構から送られた紙幣を収納待機部まで搬送する水平搬送機構と、前記巻き込み搬送機構と送り込む紙送り機構ならびに水平搬送機構に巻架された巻き込みベルトとを備えるとともに、前記スタッカーの紙幣押出面を、前記紙送り機構と巻き込みベルトの接触面と前記水平搬送機構の水平ベルトの前面との紙幣押出方向での間隔に対して、その略中間に配置することにより、前記紙送り機構から送りされた紙幣をスタッカーの紙幣押出面の延長面上を交差して、前記水平搬送機構の水平ベルト上に送り込むことを特徴とする紙幣処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−125697(P2008−125697A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312554(P2006−312554)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(000128485)株式会社オーイズミ (191)
【Fターム(参考)】