説明

紙管の製造方法及び製造装置

【課題】紙管の一連の製造工程中で、ICタグを紙管に設けることができる、紙管の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】マンドレル31の表面に紙テープP1をスパイラル状に巻き付けていくことにより紙管P2を形成する、紙管の製造方法において、上記マンドレル31に巻き付けられる前の、重なり合わされた複数の紙テープP1のうち、二枚の紙テープ間にICタグTaを挟むことにより、形成された紙管P2の層間にICタグを配置するものであって、上記マンドレル31の表面に形成された紙管P2の長さ方向に一定の間隔LICでICタグTaを配置させるように、上記間隔LICに対応する一定の時間間隔ΔTICをおいて、上記二枚の紙テープ間にICタグTaを挟んでいく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ICタグを備えた紙管の製造方法及び製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2008−24504号公報
【特許文献2】特開2006−232449号公報
【0003】
従来から、紙、フィルム、糸、布などを巻き付けるための芯として用いられる紙管につき、被巻き付け物の種類、製造履歴、巻き付け残量などの、被巻き付け物に関する情報を記録するために、ICタグを備えたものが存在する。
【0004】
例えば、特許文献1に示すような、紙管端部に嵌合する内筒などを設け、この紙管と内筒などの間にICタグを取り付けたものがある。また、特許文献2に示すような、紙管の端部にスリットを形成し、そのスリットにICタグを入れ込んだものもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すような紙管では、内筒のような別部材が必要となる。また、引用文献2に示すような紙管では、ICタグを入れるためのスリットを紙管の製造工程とは別の工程で形成しなければならない。
【0006】
本願発明はこのことに鑑み、紙管の一連の製造工程中で、ICタグを紙管に設けることができる、紙管の製造方法及び製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明は、マンドレル31の表面に紙テープP1をスパイラル状に巻き付けていくことにより紙管P2を形成する、紙管の製造方法において、上記マンドレル31に巻き付けられる前の、重なり合わされた複数の紙テープP1のうち、二枚の紙テープ間にICタグTaを挟むことにより、形成された紙管P2の層間にICタグを配置するものであって、上記マンドレル31の表面に形成された紙管P2の長さ方向に一定の間隔(LIC)でICタグTaを配置させるように、上記間隔(LIC)に対応する一定の時間間隔(ΔTIC)をおいて、上記二枚の紙テープ間にICタグTaを挟んでいくことを特徴とする、紙管の製造方法を提供する。
【0008】
なお、上記「一定の時間間隔ΔTICをおいて」とは、結果として、二枚の紙テープ間にICタグTaを挟んでいくのが一定の時間間隔ΔTICになることを指している。この一定の時間間隔ΔTICとするための手段が、例えば時間の測定によること等に限定されるものではない。例えば、紙テープP1の速度あるいは送り長さ、紙管P2の速度あるいは送り長さ、紙管の製造装置を構成するローラ、ベルト、歯車の回転速度あるいは移動速度など、紙管の製造工程において取得できる種々の情報により、一定の時間間隔ΔTICでICタグTaを挟むようにすることも、上記「一定の時間間隔ΔTICをおいて」の概念に含まれる。
【0009】
また、本願の請求項2に記載の発明は、上記マンドレル31の表面に形成された紙管P2にて、ICタグTaの配置された、長さ方向における間隔(LIC)と、上記の、マンドレル31に巻き付けられる前の紙テープP1にICタグTaを挟んでいく時間間隔(ΔTIC)との関係が、マンドレル31の表面に巻き付けられた紙テープの重なり寸法であるピッチ(p)と、上記の各ピッチ当たりに必要な紙テープの長さ(a)と、紙テープの長さ方向における送り速度(Vt)とにより、
(ΔTIC)=(LIC)×a/p×Vt
と表されることを特徴とする、請求項1に記載の、紙管の製造方法を提供する。
【0010】
また、本願の請求項3に記載の発明は、上記のように二枚の紙テープ間にICタグTaを挟む際に、ICタグTaを紙テープP1の送り方向に対して角度θ2を持たせて配置するものであり、上記角度θ2を、マンドレル31の表面に形成された紙管P2の進行方向に対する紙テープP1の送り方向の角度θ1と一致させるか、あるいは90°ずらせたことを特徴とする、請求項1または2に記載の、紙管の製造方法を提供する。
【0011】
また、本願の請求項4に記載の発明は、上記のようにしてICタグTaが配置された紙管P2におけるICタグTaの位置を電磁誘導により検知し、上記検知されたICタグTaの位置情報をもとに、紙管P2の表面にマーキングMを行うか、あるいは、紙管P2の切断を行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の、紙管の製造方法を提供する。
【0012】
また、本願の請求項5に記載の発明は、RFIDアンテナ61により、紙管P2,P3に配置されたICタグTaが正常動作するかを確認することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の、紙管の製造方法を提供する。
【0013】
また、本願の請求項6に記載の発明は、上記ICタグTaを、紙管P2,P3の内面から、管厚Pd1を基準として20%〜40%の距離Pdtに配置することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の、紙管の製造方法を提供する。
【0014】
また、本願の請求項7に記載の発明は、上記ICタグTaを挟む二枚の紙テープP1のうち少なくとも一枚につき、紙管P2,P3を構成する他の紙テープと比較して弾性の高いものを用いたことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の、紙管の製造方法を提供する。
【0015】
また、本願の請求項8に記載の発明は、形成された紙管P2を切断する際に、最初に行われる切断が、上記のように二枚の紙テープ間にICタグTaが挟まれてから、下記の式で表される時間T1+T2が経過した後になされることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の、紙管の製造方法を提供する。
1=a×L1/p×Vt
2=L2/Vt
p:マンドレル31の表面に巻き付けられた紙テープの重なり寸法であるピッチ、
a:上記の各ピッチ当たりに必要な紙テープP1の長さ、
t:紙テープP1の長さ方向における送り速度、
1:紙テープP1のマンドレル31への巻き付け開始点Xと形成された紙管P2の切断点Yまでの距離、
2:紙テープ間にICタグTaが挟まれる点Zと紙テープP1のマンドレル31への巻き付け開始点Xとの距離
【0016】
また、本願の請求項9に記載の発明は、複数の紙テープP1をロールから引き出し、各々を重なり合わせていく紙テープ供給部1と、上記複数の紙テープP1のうち二枚の紙テープ間にICタグTaを挟んでいくICタグ配置部2と、上記各紙テープP1をマンドレル31の表面にスパイラル状に巻き付け、前方に送ることにより、紙管P2を形成していく紙管形成部3と、上記のようにICタグTaが配置された紙管P2におけるICタグTaの位置を電磁誘導により検知するICタグ検知部4と、上記のように送られる紙管P2を切断するカッター部5とを備えたことを特徴とする、紙管の製造装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本願発明は、マンドレル31に巻き付けられる前の、重なり合わされた複数の紙テープP1のうち、二枚の紙テープ間にICタグTaを挟むことにより、形成された紙管P2の層間にICタグTaを配置するものであることから、紙管の一連の製造工程中で、ICタグTaを紙管に設けることができる。そして、一定の時間間隔ΔTICをおいて、上記二枚の紙テープ間にICタグTaを挟んでいくことにより、形成された紙管P2に一定の間隔でICタグTaを配置させていくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態の一例をとりあげて説明する。図1は、本例の製造装置による紙管の製造工程を示す概略図である。図2はICタグの配置角度を説明する概略図である。図3は製造された紙管を示す斜視の概略図である。図4は紙管中のICタグの位置を示す概略図である。図5は形成された紙管を切断する際に、最初に行われる切断について説明する概略図である。図6は紙管の二次切断について説明する概略図である。
【0019】
本願発明に係る紙管の製造方法は、基本的には従来から存在していたものと同様である。つまり、マンドレル31の表面に紙テープ(原紙)P1をスパイラル状に巻き付けていくことにより、紙テープの層を作り、図3に示す紙管(スパイラル紙管)P2を形成するものである。この製造方法を実施するための製造装置を図1に例示し、以下において説明する。この製造装置は、紙テープ供給部1、ICタグ配置部2、紙管形成部3、ICタグ検知部4、カッター部5を備えている。
【0020】
紙テープ供給部1は、複数の紙テープP1をロール(図示しない)から引き出し、接着剤を塗布して、各々を重なり合わせていくものである。この紙テープ供給部1には、紙テープの供給速度を測定するエンコーダー11が設けられている。本例においてはロータリーエンコーダーが用いられており、このエンコーダー11が備える回転ローラーを、移動する紙テープP1に接触させて回転ローラーの回転数を検出している。なお、エンコーダー11は本例のロータリーエンコーダーに限られず、リニアエンコーダーを用いても良い。つまり、ロールからマンドレル31に至る紙テープP1の供給速度や変位を検出するものであれば種々の形式のエンコーダーを用いて良い。
【0021】
ICタグ配置部2は、上記複数の紙テープP1のうち二枚の紙テープ間にICタグTaを挟んでいく部分である。これにより、マンドレル31の表面に形成された紙管P2の層間にICタグTaを配置することができる。上記のようにエンコーダー11で測定された紙テープP1の供給速度をコントロールユニット(図示しない)にて計算し、ICタグTaを挟むタイミングがコントロールされている。
【0022】
ICタグTaとしては種々のものを用いることができるが、シート状のものが、紙管P2の断面形状に影響を及ぼしにくいために望ましい。本例においては、UPMラフラタック社のICタグ(商品名「ドッグボーン」)を用いている。ちなみにこのICタグは周波数が950MHz帯(UHF帯)のものであって通信可能な距離が広く、ICタグから10mまでの通信が可能である。
【0023】
このICタグTaは、メーカーからの購入時において剥離紙上に貼り付けられた状態とされているが、本例においては、この剥離紙ごと二枚の紙テープ間に挟むものとしている。この剥離紙は、ICタグが水分に弱いものであることから、紙テープに塗布された接着剤がICタグTaに直接触れないようにする役割を果たすことができる。
【0024】
また、このICタグTaを挟む二枚の紙テープP1のうち少なくとも一枚については、紙管P2を構成する他の紙テープと比較して弾性の高いものを用いている。この弾性の高い紙テープとしては、低密度紙及びクッションペーパーからなるものが例示できる。このように、弾性の高い紙テープをICタグTaに接するようにすることにより、ICタグTaに高い負荷がかかり、破壊されることを防ぐことができる。そして、挟まれたICタグTaの厚みをこの弾性の高い紙テープによって吸収できるため、紙管P2の断面形状がいびつになってしまい、紙管P2の品質が低下することを防ぐことができる。
【0025】
ICタグTaの挟み込みタイミングの、上記コントロールユニットによるコントロールは、マンドレル31の表面に形成された紙管P2にて、この紙管P2の長さ方向に一定の間隔(LIC)でICタグTaを配置させるように、この間隔(LIC)に対応する一定の時間間隔(ΔTIC)をおいて、上記二枚の紙テープ間にICタグTaを挟んでいくようになされる。上記の間隔(LIC)は任意に設定が可能であり、これに応じて、上記タイミングのコントロールがなされる。
【0026】
具体的には、マンドレル31の表面に形成された紙管P2にて、ICタグTaの配置された、長さ方向における間隔(LIC)と、マンドレル31に巻き付けられる前の紙テープP1にICタグTaを挟んでいく時間間隔(ΔTIC)とが、
マンドレル31の表面に巻き付けられた紙テープの重なり寸法であるピッチ(p)と、
上記の各ピッチ当たりに必要な紙テープの長さ(a)と、
紙テープの長さ方向における送り速度(Vt)とにより、
ΔTIC=LIC×a/(p×Vt
と表される関係とされている。
【0027】
本例では上記のように、ICタグTaの挟み込みタイミングを時間間隔で規定しているが、本願発明はこれに限定されるものではない。例えば、紙テープP1の速度あるいは送り長さ、紙管P2の速度あるいは送り長さ、紙管の製造装置を構成するローラ、ベルト、歯車の回転速度あるいは移動速度など、紙管の製造工程において取得できる種々の情報を基にして、ICタグTaの挟み込みタイミングを規定して良い。
【0028】
そして、上記のように二枚の紙テープ間にICタグTaを挟む際に、ICタグTaを紙テープP1の送り方向に対して角度θ2を持たせて配置する。この角度θ2は、マンドレル31の表面に形成された紙管P2の進行方向に対する紙テープP1の送り方向の角度θ1と一致するか、あるいは90°ずれたものである。
【0029】
つまり、図2に示したように、紙管P2の進行方向に対して紙テープP1の送り方向が左方向に75°(θ1=75°)の関係にある場合を例に挙げると、紙テープP1の送り方向に対するICタグTaの角度を右方向75°とする(θ2=75°)。こうすると、ICタグTaは紙管P2の進行方向に対して平行に配置される。一方、紙テープP1の送り方向に対するICタグTaの角度を左方向15°(θ2=90−75°=15°)とすると、ICタグTaは紙管P2の進行方向に対して直角に配置される。
【0030】
紙テープP1の送り方向に対するICタグTaの角度を決めるためのICタグTaの方向は、例えば、ICタグTaの平面形状が多角形である場合、一つの辺の方向を基準として決める。円形や楕円形など、直線状の辺が存在しない形状においては、ICタグの中心(図心)を通る、任意の一つの方向により決める。なお厳密には、ICタグ上のアンテナの方向を基準としてICタグTaの方向を決める方が望ましいが、ICタグの平面形状はアンテナの形状から大きく外れたものとはなっていないため、ここではICタグの平面形状にて判断するものとした。
【0031】
上記のようにすることで、形成された紙管P2の長さ方向に対し、ICタグTaを直角あるいは平行に配置することができ、下記のICタグ検知部4によるICタグTaの位置情報を取得する際の精度を上げることができる。また、紙管P2を切断する際に誤ってICタグTaを切断してしまうことも無くせる。
【0032】
紙管形成部3は、紙テープ供給部1にて接着剤が塗布された紙テープP1をマンドレル31の表面にスパイラル状に巻き付け、前方に送ることにより、紙管P2を形成していく部分である。この部分は基本的には従来と同じであって、巻き付けられる紙テープP1にICタグTaが挟まれている点で相違している。
【0033】
ICタグTaは、紙管P2の層間のいずれの位置に挟まれたものとしても良いが、紙管P2の内面からすぐ近い位置であると、完成後の紙管に挿入されたシャフトやチャックに圧迫されてICタグTaが破壊されてしまう可能性があるため好ましくない。よって、図4に示すように、ICタグTaを、紙管P2の内面から、管厚Pd1を基準として20%〜40%の距離Pdtに配置することが望ましい。これは、管厚Pd1が15mmの場合、5層目(内面から3〜4mm)から7層目(内面から5〜6mm)の距離が相当する。
【0034】
ICタグ検知部4は、上記のようにICタグTaが配置された紙管P2におけるICタグTaの位置を検知する部分である。本例では、通信距離が広いUHF帯のICタグTaを用いているため、後述のRFIDアンテナのような無線を用いたアンテナでは、紙管P2におけるICタグTaの位置を検知することはできない。そのため、ここでは電磁誘導により検知を行う。本例のICタグTaでは、電磁誘導では通信距離が5cmとなるため、位置の検知が可能である。
【0035】
カッター部5では、上記ICタグ検知部4にて紙管P2におけるICタグTaの位置を電磁誘導により検知し、検知されたICタグTaの位置情報をもとに、紙管P2の表面にマーキングMを行うか、あるいは、マーキングMをすることなく直接、紙管の切断を行う。そのため本例では、上記紙管形成部3にて形成された紙管P2を切断して、切断紙管P3とする円板状のカッター刃51が備えられている。また、これと共に、紙管P2の表面にマーキングMをできる、ペンなどのマーキング装置52が備えられている。
【0036】
上記のようにして紙管P2,P3の表面に記されたマーキングは、種々の目的で利用される。例えば、このマーキングを基準として紙管P2,P3の切断を行うことができる。また、糸、布、紙、フィルムなどを紙管(切断紙管)P3に巻き付ける際、ICタグTaが紙管P3のどこに存在しているかの目安とすることができる。また、例えばマーキングの色を変えることで、紙管P2,P3に配置されたICタグTaの種類を識別できるようにすることもできる。
【0037】
本例では、上記のカッター部5よりも紙管の進行方向における下流側にRFIDアンテナ61が設けられている。このRFIDアンテナ61により紙管(切断紙管)P3に電波を当てて通信試験を行い、紙管P3に配置されたICタグTaが正常動作するかを確認する。本例では、合格・不合格が表示器62のランプ点灯により表示されるようになされており、これにより不良品を除外する判断ができる。
【0038】
カッター部5における紙管P2の切断は、紙管製造工程での最初に行われる切断が、上記のように二枚の紙テープ間にICタグTaが挟まれてから、下記の式で表される時間T1+T2が経過した後になされる(図5参照)。
1=a×L1/(p×Vt
2=L2/Vt
(p:マンドレル31の表面に巻き付けられた紙テープの重なり寸法であるピッチ、
a:上記の各ピッチ当たりに必要な紙テープP1の長さ、
t:紙テープP1の長さ方向における送り速度、
1:紙テープP1のマンドレル31への巻き付け開始点Xと形成された紙管P2の切断点Yまでの距離、
2:紙テープ間にICタグTaが挟まれる点Zと紙テープP1のマンドレル31への巻き付け開始点Xとの距離)
【0039】
その後については、紙管P2は設定された長さに切断され、切断紙管P3とされる。この切断に当たっては、上記のICタグ検知部4で検知したICタグTaの位置情報をもとに切断するものとしても良いし、別途、紙管P2の移動距離をエンコーダー等によって直接測定して切断するものとしても良い。
【0040】
切断後の紙管(切断紙管)P3には、ICタグTaが一つだけ配置されたものであっても良いし、複数が配置されたものであっても良い。ICタグTaが複数配置された紙管とは、例えば一次切断を行って、まずは長さ2〜3mとした紙管である。この紙管につき、その後二次切断を行い、ICタグTaが一つだけ配置された細かい紙管とする。
【0041】
ここで、上記の二次切断の例を示す。図6に示す装置は、図1に示した紙管製造装置とは異なる、切断専用の装置であるが、上記の紙管製造装置と一体の装置であっても良い。ここでは、ICタグTaが複数配置された紙管P3を、紙管P3と平行に移動するカッター台7に設けられたカッター71で切断する。このカッター台7には、上記の紙管製造装置と同様にICタグ検知部72が設けられており、これによって検知したICタグTaの位置情報を基に切断を行う。
【0042】
以下に紙管の切断についての設定例を示す。設定内容は、一次切断の切断寸法、二次切断における耳ロスの寸法及び製品寸法、切断本数である。なお、「耳ロス」とは、一次切断にて切断された紙管の両端を切り揃える際に捨てられる部分のことである。切断本数は一次切断の切断本数である。
(例1)切断寸法1200mm
耳ロス100mm×2(両端部分)、製品500mm×1本、300mm×1本、200mm×1本、切断本数100本
(例2)切断寸法1700mm
耳ロス100mm×2(両端部分)、製品500mm×3本、切断本数50本
(例3)切断寸法2200mm
耳ロス100mm×2(両端部分)、製品1000mm×1本、600mm×1本、400mm×1本、切断本数50本
【0043】
このようにして形成された紙管には、紙、フィルム、糸、布などを巻き付けることができる。そして、紙管に設けられたICタグに、被巻き付け物の種類、製造履歴、巻き付け残量などの、被巻き付け物に関する情報を記録・読み出しできる。この記録・読み出しはICタグの通信可能な距離(本例では10m)において、リーダー・ライターを用いて非接触でできるため、在庫管理の容易化、棚卸しの時間短縮が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本例の製造装置による紙管の製造工程を示す概略図である。
【図2】ICタグの配置角度を説明する概略図である。
【図3】製造された紙管を示す斜視の概略図である。
【図4】紙管中のICタグの位置を示す概略図である。
【図5】形成された紙管を切断する際に、最初に行われる切断について説明する概略図である。
【図6】紙管の二次切断について説明する概略図である。
【符号の説明】
【0045】
1 紙テープ供給部
2 ICタグ配置部
3 紙管形成部
4 ICタグ検知部
5 カッター部
31 マンドレル
61 RFIDアンテナ
P1 紙テープ
P2 紙管(切断前)
P3 紙管(切断後)
Ta ICタグ
IC 紙管におけるICタグの間隔
ΔTIC 紙テープ間にICタグを挟む時間間隔
θ1 紙管の進行方向に対する紙テープの送り方向の角度
θ2 紙テープの送り方向に対するICタグの角度
M マーキング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンドレル(31)の表面に紙テープ(P1)をスパイラル状に巻き付けていくことにより紙管(P2)を形成する、紙管の製造方法において、
上記マンドレル(31)に巻き付けられる前の、重なり合わされた複数の紙テープ(P1)のうち、二枚の紙テープ間にICタグ(Ta)を挟むことにより、形成された紙管(P2)の層間にICタグを配置するものであって、
上記マンドレル(31)の表面に形成された紙管(P2)の長さ方向に一定の間隔(LIC)でICタグ(Ta)を配置させるように、
上記間隔(LIC)に対応する一定の時間間隔(ΔTIC)をおいて、上記二枚の紙テープ間にICタグ(Ta)を挟んでいくことを特徴とする、紙管の製造方法。
【請求項2】
上記マンドレル(31)の表面に形成された紙管(P2)にて、ICタグ(Ta)の配置された、長さ方向における間隔(LIC)と、
上記の、マンドレル(31)に巻き付けられる前の紙テープ(P1)にICタグ(Ta)を挟んでいく時間間隔(ΔTIC)との関係が、
マンドレル(31)の表面に巻き付けられた紙テープの重なり寸法であるピッチ(p)と、
上記の各ピッチ当たりに必要な紙テープの長さ(a)と、
紙テープの長さ方向における送り速度(Vt)とにより、
ΔTIC=LIC×a/(p×Vt
と表されることを特徴とする、請求項1に記載の、紙管の製造方法。
【請求項3】
上記のように二枚の紙テープ間にICタグ(Ta)を挟む際に、
ICタグ(Ta)を紙テープ(P1)の送り方向に対して角度(θ2)を持たせて配置するものであり、
上記角度(θ2)を、マンドレル(31)の表面に形成された紙管(P2)の進行方向に対する紙テープ(P1)の送り方向の角度(θ1)と一致させるか、あるいは90°ずらせたことを特徴とする、請求項1または2に記載の、紙管の製造方法。
【請求項4】
上記のようにしてICタグ(Ta)が配置された紙管(P2)におけるICタグ(Ta)の位置を電磁誘導により検知し、
上記検知されたICタグ(Ta)の位置情報をもとに、紙管(P2)の表面にマーキング(M)を行うか、あるいは、紙管(P2)の切断を行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の、紙管の製造方法。
【請求項5】
RFIDアンテナ(61)により、紙管(P2,P3)に配置されたICタグ(Ta)が正常動作するかを確認することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の、紙管の製造方法。
【請求項6】
上記ICタグ(Ta)を、紙管(P2,P3)の内面から、管厚(Pd1)を基準として20%〜40%の距離(Pdt)に配置することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の、紙管の製造方法。
【請求項7】
上記ICタグ(Ta)を挟む二枚の紙テープ(P1)のうち少なくとも一枚につき、紙管(P2,P3)を構成する他の紙テープと比較して弾性の高いものを用いたことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の、紙管の製造方法。
【請求項8】
形成された紙管(P2)を切断する際に、最初に行われる切断が、
上記のように二枚の紙テープ間にICタグ(Ta)が挟まれてから、下記の式で表される時間T1+T2が経過した後になされることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の、紙管の製造方法。
1=a×L1/(p×Vt
2=L2/Vt
(p:マンドレル(31)の表面に巻き付けられた紙テープの重なり寸法であるピッチ、
a:上記の各ピッチ当たりに必要な紙テープ(P1)の長さ、
t:紙テープ(P1)の長さ方向における送り速度、
1:紙テープ(P1)のマンドレル(31)への巻き付け開始点(X)と形成された紙管(P2)の切断点(Y)までの距離、
2:紙テープ間にICタグ(Ta)が挟まれる点(Z)と紙テープ(P1)のマンドレル(31)への巻き付け開始点(X)との距離)
【請求項9】
複数の紙テープ(P1)をロールから引き出し、各々を重なり合わせていく紙テープ供給部(1)と、
上記複数の紙テープ(P1)のうち二枚の紙テープ間にICタグ(Ta)を挟んでいくICタグ配置部(2)と、
上記各紙テープ(P1)をマンドレル(31)の表面にスパイラル状に巻き付け、前方に送ることにより、紙管(P2)を形成していく紙管形成部(3)と、
上記のようにICタグ(Ta)が配置された紙管(P2)におけるICタグ(Ta)の位置を電磁誘導により検知するICタグ検知部(4)と、
上記のように送られる紙管(P2)を切断するカッター部(5)とを備えたことを特徴とする、紙管の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−149474(P2010−149474A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332770(P2008−332770)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(391050101)日本紙管工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】