説明

紙葉類の剛性2次元分布による真偽判別方法及びその装置

【課題】 紙葉類の剛性(腰の強さ)検知信号を取得し、取得した剛性検知信号から剛性2次元分布を作製し、作製した剛性2次元分布から真偽判別を行う方法及び装置に関する。
【解決手段】 柔軟性を有したローラに紙葉類を巻き付けて駆動ローラを回転させ、検知ローラが駆動ローラの上を移動することによって駆動ローラに巻き付けた紙葉類の上を走査する。走査することで検知ローラに取り付けられている剛性検知装置で剛性検知信号を取得すると同時に位置検知信号を取得し、取得した剛性検知信号と位置検知信号を適合させることで剛性2次元分布を作製し、剛性2次元分布から紙葉類の真偽判別を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類の剛性(腰の強さ)信号を取得し、取得した剛性検知信号から剛性2次元分布を作製し、作製した剛性2次元分布から真偽判別を行う方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動販売機、ATMや銀行において、紙幣(銀行券)、諸証券、株券や切手等の紙葉類の取引の自動化が進んできており、同時に、それら紙葉類の真偽判別を自動的に行って、取引を処理することが多くなってきている。
【0003】
真偽判別を自動的に行う代表的な方法として、磁気パターンを読み取る方法、形状検知による方法、可視光や赤外光を照射した際の反射や透過を検出する方法や紫外線照射による蛍光発光検知による判別方法等が挙げられる。
【0004】
一方、紙葉類の自動取引を行うための機械装置においては、損耗が少ない状態での通紙が好ましく、損耗した紙葉類については回収することが必要となる。
【0005】
紙葉類の損耗を評価する代表的な方法として、ローラ等の物体と紙葉類が接触した時に発生する音をマイクで収集し、その音響(周波数)に基づき紙葉類の剛性を評価する方法、回転数の異なる2組の(計4個で構成される)ローラ間に挟持・搬送された時に発生する紙葉類のたわみ量に基づき紙葉類の剛性を評価する方法、紙葉類にゴムローラで押し当てた時のローラに作用する反力により紙葉類の剛性を評価する方法が挙げられる。
【0006】
音響に基づき紙葉類の剛性を評価する装置として、紙葉類に対して周期的にロールを接触させることで振動を引き起こし、その振動によって生じた音響から、紙葉類の剛性を決定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
ローラの反力により紙幣の剛性を評価する装置として、搬送路を通過する紙幣の張力に対する反力を受けるセンサローラが、センサレバーの一端に回転自在に軸支されており、そのセンサレバーにひずみゲージが取り付けられている、といった装置が提案されている。これは、挟持搬送路を通過する紙幣の張力に対する反力をセンサローラが受けたときにセンサレバーにひずみが生じ、これがひずみゲージによって検出され、このひずみ量を検出することで紙幣の剛性を計測するものである(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
また、ローラの反力により搬送されている紙葉類について紙葉類の搬送方向及び紙葉類の搬送方向に対して直角方向等を含む全方向の統合された剛性を測定する装置として、搬送されている紙葉類に対して搬送方向(MD方向)の剛性を測定するMD用紙質測定センサと、MD用紙質測定センサの前後にそれぞれ配置される円筒形のガイドローラ及び円筒形の副ガイドローラと、搬送されている紙葉類に対して搬送方向に対して直角方向(CD方向)の剛性を測定するCD用紙質測定センサを備えた装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
また、環境の温度や湿度の影響を受けることなく紙葉類の質感を検出できる装置として、紙幣を挟持して搬送する駆動ローラ及び検出ローラと、検出ローラを介して紙幣の表面から伝達される力を測定して紙幣の質感を検出する圧電素子と、装置本体内の温度及び湿度の少なくとも一方を測定する温度センサ及び湿度センサと、この温度センサ及び湿度センサによって測定された測定値を補正値として圧電素子によって検出された検出値に加算して検出値を補正するCPUによって、精度の良い質感が検出できる装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0010】
【特許文献1】特表2001−506740号公報
【特許文献2】WO99/50797号公報
【特許文献3】特開2001−349824号公報
【特許文献4】特開2002−139392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、WO99/50797号公報の場合、紙幣全体をセンサローラが走査するものではなく、ローラが走査されていない箇所は検知対象に入らないため紙幣の真偽判別を行うには適当でない。つまり、図16に示すようにセンサローラ(23)が紙幣(銀行券)の中心を通る場合はOVD貼付箇所の剛性値は測定できず、OVD貼付の有無が判定できないといった問題がある。
【0012】
また、特開2001−349824号公報に関しては、紙葉類の幅よりも長いローラによって紙葉類の表面を走査し、センサによって紙葉類全体の剛性を検知しているが、紙幣全体の剛性2次元分布を得ることはできず真偽判別を行うには適当でない。
【0013】
さらに、いずれの技術も、紙葉類(紙幣等)にゴムローラで押し当てた際のゴムローラに作用する反力により剛性値を得て、得た剛性値に基づいて紙幣の老朽化を検知して再流通の可否を判断するものであり、紙自体の品質管理を主な目的とするものである。したがって、紙葉類が偽造されたものであるかどうかの真偽を判別するには至らない。
【0014】
本発明は、上記課題の解決を目的とするものであり、具体的には、柔軟性を有したローラに紙葉類を巻き付け、ローラの回転と同時に紙葉類の上で検知ローラを走査させることによって剛性検知信号を取得し、取得した剛性検知信号から剛性2次元分布を作製し真偽判別を行う方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の紙葉類の剛性2次元分布による真偽判別方法は、紙葉類を測定するための測定条件である駆動ローラの回転速度及び検知ローラの走査ピッチをあらかじめ設定し、紙葉類を駆動ローラに巻き付け、設定した駆動ローラの回転速度に基づき駆動ローラを回転させ、設定した検知ローラの走査ピッチに基づき、検知ローラが駆動ローラの上を移動することによって、駆動ローラに巻き付けた紙葉類の上を走査し、検知ローラの支持部に取り付けられている剛性検知装置から紙葉類の剛性検知信号と紙葉類の位置検知信号を取得し、取得した剛性検知信号と位置検知信号とを適合させ配置することによって剛性2次元分布を作製し、あらかじめ設定した手法により、剛性2次元分布とあらかじめ作製した基準剛性2次元分布とを照合することによって真偽判別を行うことを特徴とする。
【0016】
本発明の紙葉類の剛性2次元分布による真偽判別方法は、紙葉類を測定するための測定条件である駆動ローラの回転速度及び検知ローラの走査ピッチをあらかじめ設定し、紙葉類を駆動ローラに巻き付け、設定した駆動ローラの回転速度に基づき駆動ローラを回転させ、設定した検知ローラの走査ピッチに基づき、検知ローラと、検知ローラと連動する厚み検知装置が、駆動ローラの上を移動することによって、駆動ローラに巻き付けた紙葉類の上を走査し、検知ローラの支持部に取り付けられている剛性検知装置から紙葉類の剛性検知信号と紙葉類の位置検知信号を取得し、厚み検知装置から紙葉類の厚み検知信号を取得し、取得した剛性検知信号と位置検知信号とを適合させ配置することによって剛性2次元分布を作製するとともに、取得した厚み検知信号と位置検知信号とを適合させることによって厚み2次元分布を作製し、あらかじめ設定した手法により、剛性2次元分布とあらかじめ作製した基準剛性2次元分布、及び厚み2次元分布とあらかじめ作製した基準厚み2次元分布を照合することによって真偽判別を行うことを特徴とする。
【0017】
本発明の紙葉類の剛性2次元分布による真偽判別方法は、紙葉類を測定するための測定条件である駆動ローラの回転速度及び検知ローラの走査ピッチをあらかじめ設定し、紙葉類を駆動ローラに巻き付け、設定した駆動ローラの回転速度に基づき駆動ローラを回転させ、設定した検知ローラの走査ピッチに基づき、検知ローラと、検知ローラと連動する厚み検知装置が、駆動ローラの上を移動することによって、駆動ローラに巻き付けた紙葉類の上を走査し、検知ローラの支持部に取り付けられている剛性検知装置から紙葉類の剛性検知信号と紙葉類の位置検知信号を取得し、厚み検知装置から紙葉類の厚み検知信号を取得し、取得した剛性検知信号と位置検知信号とを適合させ配置することによって剛性2次元分布を作製するとともに、取得した厚み検知信号と位置検知信号とを適合させ配置することによって厚み2次元分布を作製し、作製した剛性2次元分布と厚み2次元分布を複合させることによって複合2次元分布を作製し、あらかじめ設定した手法により、複合2次元分布とあらかじめ作製した基準複合2次元分布を照合することによって真偽判別を行うことを特徴とする。
【0018】
本発明の紙葉類の剛性2次元分布評価装置は、紙葉類を回転させる駆動部と、紙葉類の剛性を検知する検知部と、紙葉類の剛性2次元分布を評価する評価部とから構成されており、駆動部は、紙葉類を巻き付ける駆動ローラと、駆動ローラを回転制御するモータとを有しており、検知部は、紙葉類を介して駆動ローラの駆動回転に対して従動回転を行う検知ローラと、検知ローラで紙葉類の上をらせん状に走査することにより紙葉類の剛性を検知する剛性検知装置と、紙葉類の上を剛性検知装置で走査するための走査装置を有していることを特徴とする。
【0019】
本発明の紙葉類の剛性2次元分布評価装置は、紙葉類を回転させる駆動部と、紙葉類の剛性を検知する検知部と、紙葉類の剛性2次元分布を評価する評価部とから構成されており、駆動部は、紙葉類を巻き付ける駆動ローラと、駆動ローラを回転制御するモータとを有しており、検知部は、紙葉類を介して駆動ローラの駆動回転に対して従動回転を行う検知ローラと、検知ローラで紙葉類の上をらせん状に走査することにより紙葉類の剛性を検知する剛性検知装置と、検知ローラと連動し紙葉類の厚みを検知する厚み検知装置と、紙葉類の上を剛性検知装置及び厚み検知装置で走査するための走査装置を有していることを特徴とする。
【0020】
本発明の剛性検知装置における駆動ローラは、剛体シャフトに柔軟材料が被覆されてなり、検知ローラは、駆動ローラの表面材質よりも高硬度材料で被覆されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、紙幣など紙葉類の柔軟媒体の剛性2次元分布を計測・評価することが可能である。
【0022】
紙幣(銀行券)に搭載された凹版印刷、すき入れ、OVD等の偽造防止素子個々の剛性が分かるため、鑑定等の真偽判別処理において、真正データと比較させることによりカラーコピー等による偽造を排除することができる。
【0023】
紙葉類製造現場において、剛性2次元分布の品質管理にも利用できる。このとき、正券データと比較することにより正損判別が可能である。
【0024】
1個のセンサで検知対象エリア全域を検知することが可能であるため、複数のセンサを配置して剛性2次元分布を作製した場合に懸念されるセンサ間の個体差による影響がない。
【0025】
得られたデータは紙葉類の老朽度の指標としても利用できるため、紙葉類再流通の基準に用いることができる。
【0026】
また、変位センサ等の媒体の高さ(厚み)が測定可能なセンサを設置し、剛性値と同時に厚み2次元分布を測定することにより、厚みに対する剛性値が分かるので、金属/非金属といった材質の違いによる区別がしやすくなり、更に高度な真偽判別処理が実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明における紙葉類の剛性2次元分布評価装置の概要を示す図である。図2(a)は、本発明における紙葉類と装置との位置構成を示す図であり、(b)は、(a)の位置構成をローラの軸方向から見た構成を示す図であり、(c)は、(b)における一点破線部の断面図を示す図である。図3(a)は、本発明における剛性検知装置に複数のひずみゲージを用いた場合の構成を示す図であり、(b)は、剛性検知装置に荷重センサを用いた場合の構成を示す図であり、(c)は、剛性検知装置に非接触式変位センサを用いた場合の構成を示す図であり、(d)は、剛性検知装置に接触式変位センサを用いた場合の構成を示す図である。図4(a)は、本発明における紙葉類と装置との位置構成を示す図であり、(b)は、(a)の位置構成をローラの軸方向から見た構成を示す図であり、(c)は、(b)における一点破線部の断面図を示す図である。図5は、本発明における真偽判別の剛性2次元分布評価フローを示す図である。図6は、本発明における剛性2次元分布評価処理の際の検知信号の流れを示す図である。図7は、本発明における基準となる剛性2次元分布のデータ作製処理を示す図である。図8は、本発明における剛性2次元分布の作製原理を示す図である。図9は、本発明における紙葉類の剛性2次元分布評価装置の概要を示す図である。図10(a)は、本発明における紙葉類と装置との位置構成を示す図であり、(b)は、(a)の位置構成をローラの軸方向から見た構成を示す図であり、(c)は、(b)における一点破線部の断面図を示す図である。図11は、本発明における真偽判別の剛性2次元分布評価フローを示す図である。図12は、本発明における剛性2次元分布評価処理の際の検知信号の流れを示す図である。図13は、本発明における剛性2次元分布の作製原理を示す図である。
【0028】
図1乃至図8を用いて、位置検知信号と剛性検知信号から剛性2次元分布を行い評価する装置及び方法について説明し、図9乃至図13を用いて、位置検知信号と剛性検出信号と厚み検出信号から剛性2次元分布を行い評価する装置及び方法について説明する。
【0029】
まず、位置検知信号と剛性検知信号から剛性2次元分布を行い評価する装置及び方法について図1乃至図8を用いて説明する。図1は、紙葉類の剛性2次元分布評価装置(1)の概要を示している。図1の剛性2次元分布評価装置(1)は、駆動部(2)と、検知部(3)と、評価部(4)とを有している。
【0030】
駆動部(2)は、紙葉類(15)を回転させる手段である。駆動部(2)は、駆動モータ(5)と、駆動ローラ(6)とを有している。
【0031】
駆動モータ(5)は、サーボモータ等の回転速度が制御可能なモータで構成され、入力条件に応じて適切な回転速度やトルクで回転駆動する。
【0032】
駆動ローラ(6)は、剛体シャフトと柔軟な材料で構成され、剛体シャフトに柔軟な材料が被覆されている。また、駆動ローラの設置領域は、検知対象物(紙葉類)が設置できる大きさ以上であることが条件である。駆動ローラの外周については、外周が小さすぎると紙葉類の固定が難しくなり、逆に外周が大きい場合、紙葉類の固定はしやすくなるが、装置が大型化するだけでなく、検知ローラ(7)と駆動ローラ(6)のニップ量が大きくなり、検知精度に影響を及ぼす可能性がある。したがって、駆動ローラの外周径は、これらのことを考慮して、紙葉類が巻き付けやすい、紙葉類に適した外周にすることが望ましく、さらに、硬度は10Hs以下であることが望ましい。
【0033】
検知部(3)は、紙葉類の剛性を検出する手段である。検知部(3)は、検知ローラ(7)、剛性検知装置(8)及び走査装置(10)を有しており、駆動ローラ(6)の回転中に、駆動部(2)の軸方向に所定のピッチで走査しながら紙葉類(15)の走査を行う。
【0034】
検知ローラ(7)は、駆動ローラ(6)の表面材質より高い硬度の材料で被覆されており、剛性値測定時には紙葉類(15)を介して駆動ローラ(6)と接触し、駆動ローラ(6)の駆動回転に対して従動回転を行う。検知ローラの直径及び幅に関しては、希望する検知精度や検知時間により決定される。精度よく検知する必要があるほど検知ローラの直径、幅とも小さくし、駆動ローラ(6)と検知ローラ(7)のニップ量を小さくすることが望ましい。
【0035】
検知ローラ(7)の硬度は50Hs以上であることが望ましく、紙葉類の剛性を反映させやすくするため、駆動ローラ(6)の硬度と検知ローラ(7)の硬度の差が大きい方がより望ましい。
【0036】
検知ローラ(7)の駆動ローラ(6)への押圧力は、検知対象物(紙葉類)、駆動ローラ(6)の硬度、検知ローラの硬度(7)に依存する。紙葉類を設置しない状態で、0N/mm(接触しているだけの状態)でも構わないが、S/Nを向上させることを目的に検出信号成分を増加するには、0N/mmよりも少し押圧するのが望ましい。逆に、押圧力が強すぎると紙葉類の剛性(反力)の差を検知できない可能性がある。
【0037】
剛性検知装置(8)は検知ローラ(7)の支持部に取り付けられており、検知方式としては、ひずみゲージやロードセルを用いる方法や、ローラの上下移動量を変位センサで計測することによる方法がある。また、圧電素子を利用して検知ローラ(7)内部に組み込んだ形態でもよい。
【0038】
通常の紙葉類の剛性を検知し評価する場合は、剛性検知装置(8)により剛性検知信号と位置検知信号を同時に取得することが可能であり、位置検知信号のタイミングを剛性検知信号と適合させることで剛性2次元分布を作製する。それに対し、検知対象の紙葉類が非常に薄く反力が弱い場合は、剛性検知装置(8)から位置検知信号が取得できない可能性がある。そういった場合は、紙葉類の色と駆動ローラ(6)の色との違い等から紙葉類の検知開始箇所と検知終了箇所の位置を明確にし、位置検知信号を取得する必要がある。その位置検知信号を取得する手段として、位置検知装置(9)を剛性検知装置(8)と同期するように備える方法がある。
【0039】
位置検知装置(9)は、検知ローラ(7)の移動と同期して紙葉類(15)の上を走査し、位置検知信号を取得する。位置検知装置(9)により、紙葉類(15)の走査部位が正確に特定することができ、例えば、エンコーダや、光電センサ、画像センサを用いる方式がある。
【0040】
走査装置(10)は、検知ローラ(7)と剛性検知装置(8)とを走査させる装置であり、入力条件に従って稼動し、適切な速度で検知ローラ(7)と剛性検知装置(8)とを走査させる。例えば、リニアサーボ機構による走査制御方式がある。
【0041】
また、紙葉類(15)の剛性検知信号は、検知ローラ(7)が駆動ローラ(6)の上をらせん状に移動することによって駆動ローラ(6)に巻き付けた紙葉類(15)の上を走査し、検知ローラ(7)の支持部に取り付けられている剛性検知装置(8)によって取得する。しかし、紙葉類(15)を駆動ローラ(6)の回転方向に平行に巻き付けた場合、駆動ローラ(6)の上を検知ローラ(7)がらせん状に移動するため、測定対象の紙葉類(15)の上も検知ローラ(7)がらせん状に走査されることとなる。そこで、紙葉類に対して平行に検知ローラ(7)を走査する方法として、検知ローラ(7)の走査ピッチと駆動ローラ(6)の回転速度に従い、紙葉類(15)を駆動ローラ(6)に斜めに巻き付ける方法や、さらには、紙葉類が駆動ローラ(6)に巻き付いている箇所において検知ローラ(7)が紙葉類の上を平行に走査し、紙葉類が巻き付いていない箇所において次に紙葉類の上を走査する走査開始箇所まで検知ローラ(7)を斜めに移動させながら、繰り返し走査させる方法があり、後者の方法が最も望ましい方法である。
【0042】
評価部(4)は、紙葉類の剛性2次元分布を評価する手段であり、制御装置(11)と操作設定装置(12)と記憶装置(13)と出力装置(14)とを有している。
【0043】
記憶装置(13)は、装置制御に必要なプログラム、パラメータ等や、評価アルゴリズムを記憶し、さらに、測定条件、真偽判別条件、剛性検知信号、剛性検知信号から作製した剛性2次元分布、剛性2次元分布の評価結果等の保存を行う部分である。
【0044】
制御装置(11)は、剛性2次元分布評価装置(1)における各種制御や、検知部(3)において取り込んだ信号に対し、所定の評価アルゴリズムに従い、剛性2次元分布作製処理さらに紙葉類の剛性評価及び真偽判別を行う手段である。
【0045】
操作設定装置(12)は、装置全体の操作設定を行う部位であり、駆動ローラ(6)の回転速度や検知ローラ(7)の走査ピッチ等の測定条件の設定、さらに判別処理をする際の判別条件の設定を行う手段である。
【0046】
出力装置(14)は、制御装置(11)により得られた紙葉類の剛性2次元分布並びにその評価結果、さらには判別結果を出力する手段である。
【0047】
剛性2次元分布評価装置(1)と紙葉類(15)は、図2に示すような位置関係となり、図2(a)のように紙葉類(15)は駆動ローラ(6)に設置され、駆動ローラ(6)の回転と検知ローラ(7)の走査は同期しており、検知ローラ(7)が駆動ローラ(6)の上をらせん状に移動することによって、紙葉類(15)を走査する。
【0048】
図2(b)は図2(a)を軸方向から見た図である。検知ローラ(7)は、比較的剛性の高い材料で構成される検知ローラ支持部に支持されており、この検知ローラ支持部に剛性検知装置(8)が取り付けられている。剛性検知装置(8)としてひずみゲージ(16)を用い、紙葉類(15)から受ける検知ローラ(7)への反力により引張ひずみが発生する位置に貼付する。
【0049】
剛性検知装置(8)としてのひずみゲージ(16)を図2のように引張ひずみ方向のみに用いるだけでなく、図3(a)のように検知ローラ支持部の上下にひずみゲージ(16)を貼付し、引張ひずみと圧縮ひずみの両方を検知し剛性を評価してもよい。こうすることにより、曲げひずみに対する出力は2倍にすることができる。また、ひずみゲージ以外でも、図3(b)のようなロードセル等の荷重センサ(17)を用い、検知ローラ(7)に作用する負荷を測定する方式でもよい。
【0050】
さらに、検知ローラ(7)が紙葉類(15)より受ける反力により発生する検知ローラ支持部の位置変動量を計測することにより評価してもよく、図3(c)のような非接触式変位センサ(18)や図3(d)のような接触式変位センサ(19)を利用しても構わない。また、その他の方式でも紙葉類の剛性を反映した信号が検出可能な方法等があれば、ここで述べた方式に限定されることはない。
【0051】
図2(c)は、図2(b)における一点破線部の断面図であり、検知ローラ(7)と紙葉類(15)の接触部の拡大図である。このように、紙葉類(15)の剛性に応じて検知ローラ(7)による紙葉類(15)への押込み量が変化し、その結果、検知ローラ支持部に発生するひずみ量を検知する。この駆動ローラ(6)表面の硬度は十分小さく、検知ローラ(7)や紙葉類(15)よりも柔軟性に富んでいる材質であることが好ましい。
【0052】
駆動ローラ(6)の構成としては、極めて柔軟な材質を一様に被覆したものを使用してもよいが、検知ローラ(7)の接触により対象物の剛性に応じて反力が検出できれば他の構成でもかまわない。例えば、図4のような駆動ローラ(6)表面に検知ローラ(7)の進行方向に沿ったらせん状の溝を設け、その箇所の反力を検出するようなローラでもよい。図4(a)はこの場合の外観、図4(b)は検知部を軸方向から眺めた図であり、図4(c)は図4(b)の一転破線箇所の断面を示したものである。この場合、検知エリア計測中は、検知ローラ(7)と駆動ローラ(6)とは基本的に接することがないため、図2のときより駆動ローラ(6)の表面材質の影響を受けにくい特徴がある。
【0053】
次に、剛性2次元分布評価処理フローを図5に、そのときの検知信号の流れを図6に示す。これらに従って説明する。
【0054】
図5は、図1の装置を用いた評価方法の一例である。まず、検知対象の紙葉類が真正券であるか偽造券であるかの真偽判別を行う前に、測定条件の設定を行う(STEP01)。この設定項目は、駆動ローラの回転速度、検知ローラの走査ピッチ(走査速度:駆動ローラ1回転当たりの走査ピッチ量)である。真偽判別開始時に決定した設定で行うことが望ましいため、紙葉類の種類が同じである限り基本的に最初に設定したパラメータを変更しなくてよい。
【0055】
その後、真正券によるデータから真偽判別条件を設定する(STEP02)。これは、真偽判別を行うための手法の設定、真正券基準剛性2次元分布データの設定、真偽判別に対する閾値や許容値等の設定を行う。
【0056】
なお、真正券基準剛性2次元分布の設定については1枚以上の真正券を用いて行う。この際、真正券基準剛性2次元分布の信頼性、有効性を向上させるため、複数回(複数枚)分のデータを用いて真正券基準剛性2次元分布を作製することが望ましく、例えば、図7に示すような方法がある。なお、測定条件の設定と真偽判別条件の設定の順序は逆でもよい。
【0057】
測定条件及び真偽判別条件が設定入力された後、測定条件に従い駆動部(2)と検知部(3)が剛性値検知スタンバイ状態になり、駆動ローラ(6)と走査装置(10)が稼動し始める(STEP03)。このときの、駆動ローラ(6)と走査装置(10)は、測定条件で設定したパラメータに従って稼動する。
【0058】
駆動ローラ(6)の回転と検知ローラ(7)の走査は同期して行われ、検知ローラ(7)の支持部に取り付けられたひずみゲージ(16)により紙葉類の剛性検知が開始される(STEP04)。
【0059】
この剛性検知は紙葉類全領域が走査されるまで繰り返し行われる(STEP05)。検知終了タイミングは、剛性検知信号に対して閾値を設け、所定の閾値以下になったとき、対象物の走査が終了と判断する。
【0060】
全域検知完了と判断後、駆動モータ(5)を停止させるとともに、検知部による走査を終了する(STEP06)。
【0061】
その後、図8の作製方法により紙葉類の剛性2次元分布が作製される(STEP07)。ここでは、図8(a)に示す、透かし(21)とストライプ型OVD(22)が施された紙葉類を例にして説明する。図8(b)は各走査の際に検知ローラが通過する箇所を示しており、この図では点線で囲まれた領域が各走査の際に通過する位置である。各走査ラインにおける剛性検知信号が図8(c)であり、位置検知で得られた紙葉類位置検知信号により信号取込タイミングを図り、剛性検知信号と紙葉類との位置を適合させる。こうして得られた複数の反力検知データを、図8(d)のように配置することにより紙葉類の剛性2次元分布が作製される。
【0062】
次に、作製された剛性2次元分布と、あらかじめ設定した真正券基準剛性2次元分布により、あらかじめ設定した手法(評価アルゴリズム)で紙葉類の剛性2次元分布の評価を行う(STEP08)。この評価アルゴリズムは、紙葉類の剛性2次元分布の絶対評価や、基準剛性2次元分布に対しての相対評価等がある。これにはパターンマッチングや相関関数を利用した方法や、類似度を算出する方法等があるが、特定箇所を重み付けして評価する方法でもよい。
【0063】
剛性2次元分布の評価結果に対して、上記で設定した真偽判別条件に従い、真正券であるか偽造券であるかの真偽判別を行う(STEP09)。また、検知したニつ以上の測定対象媒体同士の比較や類似性の判定をすることも可能である。
【0064】
これらの結果については、保存を行う(STEP10)とともに、モニタによる表示や、プリンタによる印刷等で出力する(STEP11)ことにより、測定者に結果を報知する。
【0065】
次に、位置検知信号と剛性検知信号と厚み検知信号から剛性2次元分布を行い評価する装置及び方法について図9乃至図13を用いて説明する。図9は、紙葉類の剛性2次元分布評価装置(1)の作製を示している。図9の剛性2次元分布評価装置(1)は、駆動部(2)と、検知部(3)と、評価部(4)とを有している。
【0066】
駆動部(2)は、紙葉類(15)を回転させる手段である。駆動部(2)は、駆動モータ(5)と、駆動ローラ(6)とを有している。
【0067】
駆動モータ(5)は、サーボモータ等の回転速度が制御可能なモータで構成され、入力条件に応じて適切な回転速度やトルクで回転駆動する。
【0068】
駆動ローラ(6)は、剛体シャフトと柔軟な材料で構成され、剛体シャフトに柔軟な材料が被覆されている。また、駆動ローラの設置領域は、検知対象物(紙葉類)が設置できる大きさ以上であることが条件である。駆動ローラの外周については外周が小さすぎると紙葉類の固定が難しくなり、逆に外周が大きい場合、紙葉類の固定はしやすくなるが、装置が大型化するだけでなく、検知ローラ(7)と駆動ローラ(6)のニップ量が大きくなり、検知精度に影響を及ぼす可能性がある。従って、駆動ローラの外周径は、これらのことを考慮して、紙葉類が巻き付けやすい、紙葉類に適した外周にすることが望ましく、さらに、硬度は10Hs以下であることが好ましい。
【0069】
検知部(3)は、紙葉類の剛性と厚みを検出する手段である。検知部(3)は、検知ローラ(7)、剛性検知装置(8)、位置検知装置(9)、厚み検知装置(20)及び走査装置(10)を有しており、駆動ローラ(6)の回転中に、駆動部(2)の軸方向に所定のピッチで走査しながら、紙葉類(15)の走査を行う。
【0070】
検知ローラ(7)は、駆動ローラ(6)の表面材質より高い硬度の材料で被覆されており、剛性値測定時には紙葉類(15)を介して駆動ローラ(6)と接触し、駆動ローラ(6)の駆動回転に対して従動回転を行う。検知ローラの直径及び幅に関しては、希望する検知精度や検知時間により決定される。精度よく検知する必要性があるほど検知ローラの直径、幅とも小さくし、駆動ローラ(6)と検知ローラ(7)のニップ量を小さくすることが望ましい。
【0071】
検知ローラ(7)の硬度は50Hs以上であることが望ましく、紙葉類の剛性を反映させやすくするため、駆動ローラ(6)の硬度と検知ローラ(7)の硬度の差が大きい方がより望ましい。
【0072】
検知ローラ(7)の駆動ローラ(6)への押圧力は、検知対象物(紙葉類)、駆動ローラ(6)の硬度、検知ローラの硬度(7)に依存する。紙葉類を設置しない状態で、0N/mm(接触しているだけの状態)でも構わないが、S/Nを向上させることを目的に検出信号成分を増加するには、0N/mmよりも少し押圧するのが望ましい。逆に、押圧力が強すぎると紙葉類の剛性(反力)の差を検知できない可能性がある。
【0073】
剛性検知装置(8)は検知ローラ(7)の支持部に取り付けられており、検知方式としては、ひずみゲージやロードセルを用いる方法や、ローラの上下走査量を変位センサで計測することによる方法がある。また、圧電素子を利用して検知ローラ(7)内部に組み込んだ形態でもよい。
【0074】
厚み検知装置(20)は、紙葉類の厚みを検知する装置である。検知方式としては、駆動ローラと紙葉類の密着度が高い場合は、厚み検出時の紙葉類の変形を回避するため、非接触型変位センサを用いることができる。しかし、紙葉類が駆動ローラと完全に密着していない場合でも、センサ接触部の紙葉類への接触圧が十分小さく、検知時の紙葉類の変形が発生しないのであれば接触式のセンサが用いることができる。
【0075】
通常の紙葉類の剛性を検知し評価する場合は、剛性検知装置(8)により剛性検知信号と位置検知信号を同時に取得することが可能であり、位置検知信号のタイミングを剛性検知信号と適合させることで剛性2次元分布を作製する。それに対し、検知対象の紙葉類が非常に薄く反力が弱い場合は、剛性検知装置(8)から位置検知信号が取得できない可能性がある。そういった場合は、紙葉類の色と駆動ローラ(6)の色との違い等から紙葉類の検知開始箇所と検知終了箇所の位置を明確にし、位置検知信号を取得する必要がある。その位置検知信号を取得する手段として、位置検知装置(9)を剛性検知装置(8)と同期するように備える方法がある。
【0076】
位置検知装置(9)は、検知ローラ(7)の移動と同期して紙葉類(15)の上を走査し、位置検知信号を取得する。位置検知装置(9)により、紙葉類(15)走査部位が正確に特定することができ、例えば、エンコーダや、光電センサ、画像センサを用いる方式がある。
【0077】
走査装置(10)は、検知ローラ(7)、剛性検知装置(8)及び厚み検知装置(20)を走査させる装置であり、入力条件に従って稼動し、適切な速度で検知ローラ(7)と剛性検知装置(8)と厚み検知装置(20)を走査させる。例えば、リニアサーボ機構による走査制御方式がある。
【0078】
また、紙葉類(15)の剛性検知信号は、検知ローラ(7)が駆動ローラ(6)の上をらせん状に移動することによって駆動ローラ(6)に巻き付けた紙葉類(15)の上を走査し、検知ローラ(7)の支持部に取り付けられている剛性検知装置(8)によって取得する。しかし、紙葉類(15)を駆動ローラ(6)の回転方向に平行に巻き付けた場合、駆動ローラ(6)の上を検知ローラ(7)がらせん状に移動するため、測定対象の紙葉類(15)の上も検知ローラ(7)がらせん状に走査されることとなる。そこで、紙葉類に対して平行に検知ローラ(7)を走査する方法として、検知ローラ(7)の走査ピッチと駆動ローラ(6)の回転速度に従い、紙葉類(15)を駆動ローラ(6)に斜めに巻き付ける方法や、さらには、紙葉類が駆動ローラ(6)に巻き付いている箇所において検知ローラ(7)が紙葉類の上を平行に走査し、紙葉類が巻き付いていない箇所において次に紙葉類の上を走査する走査開始箇所まで検知ローラ(7)を斜めに移動させながら、繰り返し走査させる方法があり、後者の方法が最も望ましい方法である。
【0079】
評価部(4)は、紙葉類の剛性2次元分布及び厚み2次元分布を評価する手段であり、制御装置(11)と操作設定装置(12)と記憶装置(13)と出力装置(14)とを有している。
【0080】
記憶装置(13)は、装置制御に必要なプログラム、パラメータ等や、評価アルゴリズムを記憶し、さらに、測定条件、真偽判別条件、剛性検知信号、剛性検知信号から作製した剛性2次元分布、厚み検知信号、厚み検知信号から作製した厚み2次元分布、剛性2次元分布及び厚み2次元分布の評価結果等の保存を行う部分である。
【0081】
制御装置(11)は、剛性2次元分布評価装置(1)における各種制御や、検知部(3)において取り込んだ信号に対し、所定の評価アルゴリズムに従い、剛性2次元分布作製処理及び厚み2次元分布作製処理、さらに紙葉類の剛性評価及び厚み評価を行う手段である。
【0082】
操作設定装置(12)は、装置全体の操作設定を行う部位であり、駆動ローラ(6)の回転速度や検知ローラ(7)の走査ピッチ、厚み検知装置(20)の走査ピッチ等、測定条件の設定、さらに判別処理をする際の判別条件の設定を行う手段である。
【0083】
出力装置(14)は、制御装置(11)により得られた紙葉類の剛性2次元分布並びにその評価結果、さらには判別結果を出力する手段である。
【0084】
剛性2次元分布評価装置(1)と紙葉類(15)は、図10に示すような位置関係となり、図10(a)のように、紙葉類(15)は駆動ローラ(6)に設置され、駆動ローラ(6)の回転と検知ローラ(7)と厚み検知装置(20)の走査は同期しており、検知ローラ(7)が駆動ローラ(6)の上をらせん状に移動することによって紙葉類(15)を走査する。
【0085】
図10(b)は軸方向から見た図である。検知ローラ(7)は、比較的剛性の高い材料で構成される検知ローラ支持部に支持されており、この検知ローラ支持部に剛性検知装置(8)が取り付けられている。剛性検知装置(8)としてひずみゲージ(16)を用い、紙葉類(15)から受ける検知ローラ(7)への反力により引張ひずみが発生する位置に貼付する。
【0086】
次に、剛性2次元分布評価処理フローを図11に、そのときの検知信号の流れを図12に示す。これらに従って説明する。
【0087】
図11は、図9の装置を用いた評価方法の一例である。まず、検知対象の紙葉類が真正券であるか偽造券であるかの真偽判別を行う前に、測定条件の設定を行う(STEP12)。この設定項目は、駆動ローラの回転速度、検知ローラの走査ピッチ(走査速度:駆動ローラ1回転当たりの走査ピッチ量)、厚み検知装置(20)の走査ピッチである。真偽判別開始時に決定した設定で行うことが望ましいため、紙葉類の種類が同じである限り、基本的に最初に設定したパラメータを変更しなくてよい。
【0088】
その後、真正券によるデータから真偽判別条件を設定する(STEP13)。真偽判別条件は、真偽判別を行うための手法の設定、真正券基準剛性2次元分布の設定、真正券基準厚み2次元分布の設定、真偽判別に対する真正券基準剛性2次元分布及び真正券基準厚み2次元分布の閾値や許容値等の設定を行う。
【0089】
なお、真正券基準剛性2次元分布の設定及び真正券基準厚み2次元分布については1枚以上の真正券を用いて行う。この際、真正券基準剛性2次元分布及び真正券基準厚み2次元分布の信頼性、有効性を向上させるため、複数回(複数枚)分のデータを用いて真正券基準剛性2次元分布及び真正券基準厚み2次元分布を作製することが望ましく、例えば、図7に示すような方法がある。なお、測定条件の設定と真偽判別条件の設定の順序は逆でもよい。
【0090】
測定条件及び真偽判別条件が設定入力された後、測定条件に従い駆動部(2)と、検知部(3)が剛性値検知スタンバイ状態になり、駆動ローラ(6)と走査装置部(10)が稼動し始める(STEP14)。このときの、駆動ローラ(6)と走査装置(10)は、測定条件で設定したパラメータに従って稼動する。
【0091】
駆動ローラ(6)の回転と検知ローラ(7)の走査、厚み検知装置(20)の走査は同期して行われ、検知ローラ(7)支持部に取り付けられたひずみゲージ(16)により紙葉類の剛性検知が開始され(STEP15)、同時に検知ローラ(7)近傍に設けた厚み検知装置(20)により紙葉類の厚み検知が開始される(STEP16)。厚み検知装置(20)は検知ローラ(7)の近傍に設けるのが通常であるが、剛性検知信号と厚み検知信号を位置的に適合できる範囲であれば、離れていても構わない。
【0092】
この剛性検知と厚み検知は紙葉類全領域が走査されるまで繰り返し行われる(STEP17)。検知終了タイミングは、剛性検知信号、若しくは厚み検知信号に対して閾値を設け、所定の閾値以下になったとき、対象物の走査が終了と判断する。また、位置検知センサ(9)に光電センサに用いた場合、紙幣を検出しなくなったときに走査終了の判断をしてもよい。
【0093】
全域検知完了と判断後、駆動モータ(5)を停止させるとともに、検知部による走査を終了する(STEP18)。
【0094】
その後、図13の作製方法により紙葉類の剛性2次元分布が作製される(STEP19)。ここでは、図13(a)に示す、透かし(21)とストライプ型OVD(22)が施された紙葉類を例にして説明する。図13(b)は各走査の際に検知ローラが通過する箇所を示しており、この図では点線で囲まれた領域が各走査の際に通過する位置である。各走査ラインにおける剛性検知信号が図13(c)である。位置検知で得られた紙葉類検知信号により信号取込タイミングを図り、剛性検知信号と紙葉類との位置を適合させる。こうして得られた複数の反力検知データは図13(d)のように、配置することにより紙葉類の剛性2次元分布が作製される。
【0095】
同様に、紙葉類の厚み2次元分布が作製される(STEP20)。図13(b)は各走査の際に厚み検知センサが通過する箇所を示しており、この図では点線で囲まれた領域が各走査の際に通過する位置である。各走査ラインにおける厚み検知信号が図13(e)である。位置検知装置で得られた紙葉類検知信号により信号取込タイミングを図り、厚み検知信号と紙葉類との位置を適合させる。こうして得られた複数の複数の厚み検知データは図13(f)のように配置することにより紙葉類の厚み2次元分布が作製される。
【0096】
次に、作製された剛性2次元分布及び厚み2次元分布を用いて、あらかじめ設定した手法(評価アルゴリズム)により紙葉類の評価を行う(STEP21)。この評価アルゴリズムは、紙葉類の剛性2次元分布及び厚み2次元分布の絶対評価や、基準剛性2次元分布に対しての相対評価等がある。これにはパターンマッチングや相関関数を利用した方法や、類似度を算出する方法等がある。また、紙葉類の特定の箇所のみを抽出し、抽出した箇所の重み付けをして評価する方法でもよい。
【0097】
さらに、別の方法として、測定対象である紙葉類の剛性2次元分布と厚み2次元分布とを演算処理して複合2次元分布を作製し、作製した複合2次元分布によってパターンマッチング等の評価を行う方法である。これは、まず、真正券より作製した基準剛性2次元分布と基準厚み2次元分布とを演算処理し複合することによって、あらかじめ基準複合2次元分布を作製する。作製した基準複合2次元分布と、測定対象から作製した複合2次元分布とを所定の評価アルゴリズムにより紙葉類の評価を行う。この評価方法は、紙葉類の複合2次元分布の絶対評価や、基準複合2次元分布に対しての相対評価等がある。これにはパターンマッチングや相関関数を利用した方法や、類似度を算出する方法等がある。
【0098】
剛性2次元分布又は複合2次元分布の評価結果に対して、上記で設定した真偽判別条件に従い、真正券であるか偽造券であるかの真偽判別を行う(STEP22)。また、検出したニつ以上の測定対象媒体同士の比較や類似性の判定することも可能である。さらに、剛性2次元分布、厚み2次元分布及び複合2次元分布の結果を総合的に評価することも可能である。
【0099】
これらの結果については、保存を行う(STEP23)とともに、モニタによる表示や、プリンタによる印刷等で出力する(STEP24)ことにより、測定者に結果を報知する。
【実施例1】
【0100】
まず、本発明の一実施例を説明する。この実施例は、位置検知信号と剛性検知信号から剛性2次元分布を行い評価する紙幣の真偽判別に実施した例を示す。
【0101】
駆動ローラは、外周が60cm、幅が20cm、表面材質は硬度が5Hsの黒色系ウレタンで構成される。検知ローラについては、直径が8mm、幅が2mm、硬度が70Hsのウレタンで構成され、駆動ローラとの間の押圧力が0.1N/mmで接触している。測定条件は駆動ローラの回転数は120回転/分、走査装置による検知部の走査速度が4mm/秒である。
【0102】
剛性検知センサとして、ここでは検知精度、簡便性等の理由から図3(a)に示すニつのひずみゲージを利用した方式で行い、この2つのひずみゲージをステンレスで構成される検知ローラ支持部の両面に貼付する。位置検知センサとして、ここでは光電センサを用いており、背景色である駆動ローラと紙幣との反射光量の差を利用して紙幣端を検出することで、剛性検知タイミング及び検出対象領域であることを認識させている。
【0103】
真偽判別処理を行う前に、真正紙幣を用いて真正基準剛性2次元分布データの作製を行う。図14を用いて作製方法を説明する。図14(a)は各走査の際に検知ローラが通過する箇所を示しており、この図では点線で囲まれた領域が各走査の際に通過する位置である。各走査ラインにおける剛性検知信号が図14(b)であり、位置検知装置で得られた紙幣検知信号により信号取込タイミングを図り、剛性検知信号と紙幣との位置を適合させる。こうして得られた複数の反力検知データを、図14(c)のように配置することにより紙幣の剛性2次元分布が作製される。
【0104】
ここでは、真正紙幣100枚に対して上記の処理により得られたデータを用いて図7に従って真正基準剛性2次元分布データを設定する。その後、作製した真正剛性2次元分布データを基準にして真偽判別基準としては真正券信号に対する真偽判別の閾値や許容値等の設定を行う。
【0105】
測定条件及び真偽判別条件が設定入力され、駆動部(2)と、検知部(3)が剛性値検知スタンバイ状態になる。準備完了後、測定条件で設定したパラメータに従って、駆動ローラ(6)と走査装置(10)が稼動し、検知ローラ(7)支持部に取り付けたひずみゲージ(16)により紙葉類の剛性検知が開始される。
【0106】
この剛性検知は紙葉類全領域が走査されるまで繰り返し行われる。検知終了のタイミングは、位置検知センサである光電センサが紙葉類を検出しなくなったときである。
【0107】
検知終了後、駆動モータと検知部は稼動を停止する。これにより剛性検知信号取得は終了となる。その後、図14で説明した作製方法により検知対象となる紙葉類の剛性2次元分布が作製される。
【0108】
次に、得られた剛性2次元分布を用いて剛性評価を行う。剛性評価方法は、パターンマッチング手法を利用した方法であり、真正券基準剛性2次元分布と測定により得られた剛性2次元分布とをパターンマッチングする。パターンマッチングした結果を、あらかじめ設定した真偽判別条件の一つである許容値に基づき類似度による真偽判別を行う。
【0109】
これらの比較評価結果及び真偽判別結果については、操作モニタによる表示されるとともに、ハードディスク等の記憶装置への保存が行われる。また必要に応じて、プリンタによる印刷、ブザー、パトライト等で出力及びオペレータに結果を報知する。
【0110】
ここでの実施例では、紙幣を対象にして例を示したが、基材が紙以外の柔軟媒体印刷物でも同様の処理により判別が実行できる。
【実施例2】
【0111】
次に、本発明の一実施例を説明する。この実施例は、位置検知信号と剛性検出信号と厚み検出信号から剛性2次元分布を行い評価する紙幣の真偽判別に実施した例を示す。
【0112】
駆動ローラは、外周が60cm、幅が20cm、表面材質は硬度が5Hsの黒色系ウレタンで構成される。検知ローラについては、直径が8mm、幅が2mm、硬度が70Hsのウレタンで構成され、駆動ローラとの間の押圧力が0.1N/mmで接触している。測定条件は駆動ローラの回転数は120回転/分、走査装置による検知部の走査速度が4mm/秒である。
【0113】
剛性検知センサとしてはここでは、検知精度、簡便性等の理由から図3(a)に示す2つのひずみゲージを利用した方式で行い、この2つのひずみゲージをステンレスで構成される検知ローラ支持部の両面に貼付する。位置検知センサとして、ここでは光電センサを用いており、背景色である駆動ローラと紙幣との反射光量の差を利用して紙幣端を検出することで、剛性検知タイミング及び検出対象領域であることを認識させている。
【0114】
厚み検知センサとしては、駆動ローラに紙幣が完全に全領域が密着していないことによる影響を回避するため、ここでは紙幣に変形を与えない程度の押圧力により厚みを測定可能な接触式変位センサを用いた方式とする。
【0115】
真偽判別処理を行う前に、真正紙幣を用いて真正基準剛性2次元分布データ及び厚み2次元分布データの作製を行う。図15を用いて作製方法を説明する。図15(a)は各走査の際に検知ローラ及び厚み検知センサが通過する箇所を示しており、この図では点線で囲まれた領域が各走査の際に通過する位置である。各走査ラインにおける剛性検知信号が図15(b)であり、位置検知装置で得られた紙幣検知信号により信号取込タイミングを図り、剛性検知信号と紙幣との位置を適合させる。こうして得られた複数の反力検知データを、図15(c)のように配置することにより紙幣の剛性2次元分布が作製される。
【0116】
同様に、各走査ラインにおける厚み検知信号が図15(d)であり、位置検知装置で得られた紙幣検知信号により信号取込タイミングを図り、厚み検知信号と紙幣との位置を適合させる。こうして得られた複数の反力検知データを、図15(e)のように配置することにより紙幣の厚み2次元分布が作製される。
【0117】
ここでは、真正紙幣100枚に対して上記の処理により得られたデータを用いて図7に従って真正基準剛性2次元分布データ及び厚み2次元分布データを設定する。その後、作製した真正剛性2次元分布データ及び厚み2次元分布データを基準にして真偽判別基準としては真正券信号に対する真偽判別の閾値や許容値等の設定を行う。
【0118】
測定条件及び真偽判別条件が設定入力され、駆動部(2)と、検知部(3)が剛性値検知スタンバイ状態になる。準備完了後、測定条件で設定したパラメータに従って、駆動ローラ(6)と走査装置(10)が稼動し、検知ローラ(7)支持部に取り付けたひずみゲージ(16)及び変位センサ(20)により紙葉類の剛性検知及び厚み検知が開始される。
【0119】
この剛性検知及び厚み検知は紙葉類全領域が走査されるまで繰り返し行われる。検知終了のタイミングは、位置検知センサである光電センサが紙葉類を検出しなくなったときである。
【0120】
検知終了後、駆動モータと検知部は稼動を停止する。これにより剛性検知信号及び厚み検知信号の取得は終了となる。その後、図14で説明した作製方法により検知対象となる紙葉類の剛性2次元分布及び厚み2次元分布が作製される。
【0121】
次に、得られた剛性2次元分布を用いて剛性評価を行う。剛性評価方法は、パターンマッチング手法を利用した方法であり、真正券基準剛性2次元分布と測定により得られた剛性2次元分布とをパターンマッチングする。同様に、得られた厚み2次元分布に対してもパターンマッチングを行う。パターンマッチングした結果を、あらかじめ設定した真偽判別条件の一つである許容値に基づき類似度による真偽判別を行う。
【0122】
この実施方法であれば、厚み成分を考慮した真偽判別ができるため、紙葉類を構成している材質の違いが把握でき、OVDといった金属要素の有無を確認しやすくなる。
【0123】
これらの結果については、操作モニタにより表示されるとともに、ハードディスク等の記憶装置への保存が行われる。また必要に応じて、プリンタによる印刷、ブザー、パトライト等で出力及びオペレータに結果を報知する。
【0124】
ここでの実施例では、紙幣を対象にして例を示したが、基材が紙以外の柔軟媒体印刷物でも同様の処理により判別が実行できる。
【0125】
なお、検知対象物が、紙等の環境変動に対して変化しやすい柔軟媒体である場合、厳密な評価を実行するために、温湿度補正機能を保有していてもよい。この場合、装置内部に設置した温度センサと湿度センサにより、計測された温湿度に対して、あらかじめ作製しておいた補正係数により、剛性値補正処理を行うことで温湿度の影響を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明における紙葉類の剛性2次元分布評価装置の概要を示す図である。
【図2】(a)は、本発明における紙葉類と装置との位置構成を示す図であり、(b)は、(a)の位置構成をローラの軸方向から見た構成を示す図であり、(c)は、(b)における一点破線部の断面図を示す図である。
【図3】(a)は、本発明における剛性検知装置に複数のひずみゲージを用いた場合の構成を示す図であり、(b)は、剛性検知装置に荷重センサを用いた場合の構成を示す図であり、(c)は、剛性検知装置に非接触式変位センサを用いた場合の構成を示す図であり、(d)は、剛性検知装置に接触式変位センサを用いた場合の構成を示す図である。
【図4】(a)は、本発明における紙葉類と装置との位置構成を示す図であり、(b)は、(a)の位置構成をローラの軸方向から見た構成を示す図であり、(c)は、(b)における一点破線部の断面図を示す図である。
【図5】本発明における真偽判別の剛性2次元分布評価フローを示す図である。
【図6】本発明における剛性2次元分布評価処理の際の検知信号の流れを示す図である。
【図7】本発明における基準となる剛性2次元分布のデータ作製処理を示す図である。
【図8】本発明における剛性2次元分布の作製原理を示す図である。
【図9】本発明における紙葉類の剛性2次元分布評価装置の概要を示す図である。
【図10】(a)は、本発明における紙葉類と装置との位置構成を示す図であり、(b)は、(a)の位置構成をローラの軸方向から見た構成を示す図である。
【図11】本発明における真偽判別の剛性2次元分布評価フローを示す図である。
【図12】本発明における剛性2次元分布評価処理の際の検知信号の流れを示す図である。
【図13】本発明における剛性2次元分布の作製原理を示す図である。
【図14】本発明の一実施例における剛性2次元分布の作製原理を示す図である。
【図15】本発明の一実施例における剛性2次元分布の作製原理を示す図である。
【図16】従来の紙葉類における走査方法を示す図である。
【符号の説明】
【0127】
1 剛性2次元分布評価装置
2 駆動部
3 検知部
4 評価部
5 駆動モータ
6 駆動ローラ
7 検知ローラ
8 剛性検知装置
9 位置検知装置
10 走査装置
11 制御装置
12 操作設定装置
13 記憶装置
14 出力装置
15 紙葉類
16 ひずみゲージ
17 荷重センサ
18 非接触式変位センサ
19 接触式変位センサ
20 厚み変位センサ
21 透かし
22 ストライプ型OVD
23 センサローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を測定するための測定条件である駆動ローラの回転速度及び検知ローラの走査ピッチをあらかじめ設定し、
前記紙葉類を前記駆動ローラに巻き付け、設定した前記駆動ローラの回転速度に基づき前記駆動ローラを回転させ、設定した前記検知ローラの走査ピッチに基づき、前記検知ローラが前記駆動ローラの上を移動することによって、前記駆動ローラに巻き付けた前記紙葉類の上を走査し、前記検知ローラの支持部に取り付けられている剛性検知装置から前記紙葉類の剛性検知信号と前記紙葉類の位置検知信号を取得し、
取得した前記剛性検知信号と前記位置検知信号とを適合させ配置することによって剛性2次元分布を作製し、あらかじめ設定した手法により、前記剛性2次元分布とあらかじめ作製した基準剛性2次元分布とを照合することによって真偽判別を行うことを特徴とする紙葉類の剛性2次元分布による真偽判別方法。
【請求項2】
紙葉類を測定するための測定条件である駆動ローラの回転速度及び検知ローラの走査ピッチをあらかじめ設定し、
前記紙葉類を前記駆動ローラに巻き付け、設定した前記駆動ローラの回転速度に基づき前記駆動ローラを回転させ、設定した前記検知ローラの走査ピッチに基づき、前記検知ローラと、前記検知ローラと連動する厚み検知装置が、前記駆動ローラの上を移動することによって、前記駆動ローラに巻き付けた前記紙葉類の上を走査し、前記検知ローラの支持部に取り付けられている剛性検知装置から前記紙葉類の剛性検知信号と前記紙葉類の位置検知信号を取得し、前記厚み検知装置から前記紙葉類の厚み検知信号を取得し、
取得した前記剛性検知信号と前記位置検知信号とを適合させ配置することによって剛性2次元分布を作製するとともに、取得した前記厚み検知信号と前記位置検知信号とを適合させることによって厚み2次元分布を作製し、あらかじめ設定した手法により、前記剛性2次元分布とあらかじめ作製した基準剛性2次元分布、及び前記厚み2次元分布とあらかじめ作製した基準厚み2次元分布を照合することによって真偽判別を行うことを特徴とする紙葉類の剛性2次元分布による真偽判別方法。
【請求項3】
紙葉類を測定するための測定条件である駆動ローラの回転速度及び検知ローラの走査ピッチをあらかじめ設定し、
前記紙葉類を前記駆動ローラに巻き付け、設定した前記駆動ローラの回転速度に基づき前記駆動ローラを回転させ、設定した前記検知ローラの走査ピッチに基づき、前記検知ローラと、前記検知ローラと連動する厚み検知装置が、前記駆動ローラの上を移動することによって、前記駆動ローラに巻き付けた前記紙葉類の上を走査し、前記検知ローラの支持部に取り付けられている剛性検知装置から前記紙葉類の剛性検知信号と前記紙葉類の位置検知信号を取得し、前記厚み検知装置から前記紙葉類の厚み検知信号を取得し、
取得した前記剛性検知信号と前記位置検知信号とを適合させ配置することによって剛性2次元分布を作製するとともに、取得した前記厚み検知信号と前記位置検知信号とを適合させ配置することによって厚み2次元分布を作製し、作製した前記剛性2次元分布と作製した前記厚み2次元分布を複合させることによって複合2次元分布を作製し、あらかじめ設定した手法により、前記複合2次元分布とあらかじめ作製した基準複合2次元分布を照合することによって真偽判別を行うことを特徴とする紙葉類の剛性2次元分布による真偽判別方法。
【請求項4】
紙葉類の剛性2次元分布評価装置は、前記紙葉類を回転させる駆動部と、前記紙葉類の剛性を検知する検知部と、前記紙葉類の剛性2次元分布を評価する評価部とから構成されており、
前記駆動部は、前記紙葉類を巻き付ける駆動ローラと、前記駆動ローラを回転制御するモータとを有しており、
前記検知部は、前記紙葉類を介して前記駆動ローラの駆動回転に対して従動回転を行う検知ローラと、前記検知ローラの支持部に取り付けられ、前記検知ローラで前記紙葉類の上を走査することにより前記紙葉類の剛性を検知する剛性検知装置と、前記紙葉類の上を前記剛性検知装置で走査するための走査装置を有していることを特徴とする紙葉類の剛性2次元分布評価装置。
【請求項5】
紙葉類の剛性2次元分布評価装置は、前記紙葉類を回転させる駆動部と、前記紙葉類の剛性を検知する検知部と、前記紙葉類の剛性2次元分布を評価する評価部とから構成されており、
前記駆動部は、前記紙葉類を巻き付ける駆動ローラと、前記駆動ローラを回転制御するモータとを有しており、
前記検知部は、前記紙葉類を介して前記駆動ローラの駆動回転に対して従動回転を行う検知ローラと、前記検知ローラの支持部に取り付けられ、前記検知ローラで前記紙葉類の上を走査することにより前記紙葉類の剛性を検知する剛性検知装置と、前記検知ローラと連動し前記紙葉類の厚みを検知する厚み検知装置と、前記紙葉類の上を前記剛性検知装置及び前記厚み検知装置で走査するための走査装置を有していることを特徴とする紙葉類の剛性2次元分布評価装置。
【請求項6】
前記駆動ローラは、剛体シャフトに柔軟材料が被覆されてなり、前記検知ローラは、前記駆動ローラの表面材質よりも高硬度材料で被覆されてなることを特徴とする請求項4記載の剛性2次元分布評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−25920(P2007−25920A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−205023(P2005−205023)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】