説明

紙葉類処理装置、及び、紙葉類処理方法

【課題】 大量の紙幣を集積することができ、且つ、所望の紙幣を規定枚数ずつ区分することができる紙葉類処理装置、及び、紙葉類処理方法を提供する。
【解決手段】 紙葉類処理装置1は、紙葉類Pを券種毎に分類して集積する複数の集積庫を具備し、前記紙葉類Pが投入されると、前記投入部に投入された前記紙葉類Pを1枚ずつ取り込み、前記取り込んだ前記紙葉類Pの特徴を検知し、前記検知した特徴に基づいて前記紙葉類Pの券種を判別する。紙葉類処理装置1は、前記判別した券種に基づいて、前記紙葉類Pを外部から取り出し可能な状態で集積する第1の集積手段により券種に対応する前記集積庫に集積するか、前記第1の集積手段に比べて前記紙葉類Pを大量に集積可能な第2の集積手段により券種に対応する前記集積庫に集積するかを判定する。紙葉類処理装置1は、判定結果に基づいて前記紙葉類を分類して搬送するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複数の紙葉類を処理して券種ごとに集積する紙葉類処理装置、及び、紙葉類処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類処理装置は、投入部にセットされた紙幣などの紙葉類を1枚ずつ取込んで検知部に送る。検知部は、取り込んだ紙幣を検知して券種を判定し、判定結果を集計し、合計金額の情報(計数情報)を得ている。紙葉類処理装置で扱う紙幣は、判定した券種毎に個別に装置内部の集積庫へ集積される。
【0003】
従来、搬送される紙幣を一時的に一時集積庫に集積し、一時集積庫が満杯になった場合、紙葉類処理装置の搬送機構の動作を停止させ、一時集積庫に集積されている紙幣をカセットに押し込んで集積していた。しかし、この場合、搬送機構の再稼動に時間を要する為、紙葉類処理装置の全体のスループットが低下すると言う問題があった。
【0004】
そこで、搬送される紙幣を一時的に一時集積庫に集積し、一時集積庫が満杯になった場合、紙葉類処理装置の搬送機構の動作を停止させることなく、取り込み部の取り込みローラの動作のみを停止させ、一時集積庫に集積されている紙幣をカセットに押し込んで集積する紙葉類処理装置及び紙葉類処理方法が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−197510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した紙葉類処理装置は、集積庫に収納ポケット機構を採用しており、一時集積庫が満杯になった場合、紙葉類処理装置の取り込み部の取り込みローラの動作を停止して一時集積庫の紙幣をポケット(カセット)に押し込む。即ち、一時集積庫が満杯になった場合に新たに紙幣を取り込むことができない。この為、やはり紙葉類処理装置の全体のスループットが低下すると言う問題がある。また、券種によって、紙幣を規定枚数ずつ区分することが望まれている券種があるが、収納ポケット機構では、紙幣を規定枚数ずつ区分することができないという問題がある。
【0006】
集積庫として、集積部が開放されており、係員がいつでも集積部に集積された紙幣を取り出すことができる状態で紙幣を集積するオープンポケット機構がある。しかし、オープンポケット機構は、係員が集積部に集積された紙幣を取り出すことを可能にする為に紙幣を押し込む機構を備えていない。この為、収納ポケット機構に比べて集積可能な紙幣の数が少ない。即ち、オープンポケット機構を採用した場合、大量に処理する券種を集積する集積庫がすぐに満杯になってしまうという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、大量の紙幣を集積することができ、且つ、所望の紙幣を規定枚数ずつ区分することができる紙葉類処理装置、及び、紙葉類処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態としての紙葉類処理装置は、紙葉類を外部から取り出し可能な状態で集積する第1の集積手段と、前記第1の集積手段に比べて前記紙葉類を大量に集積する第2の集積手段とをそれぞれ具備する複数の集積庫と、前記紙葉類が投入される投入部と、前記投入部に投入された前記紙葉類を1枚ずつ取り込む取込手段と、前記取込手段により取り込んだ前記紙葉類の特徴を検知する検知手段と、前記検知手段により検知した前記紙葉類の特徴に基づいて前記紙葉類の券種を判別する判別手段と、前記判別手段により判別した券種に基づいて前記紙葉類を前記第1の集積手段と前記第2の集積手段とのどちらで前記判別手段により判別した券種に対応する前記集積庫に集積するかを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づく集積手段により前記紙葉類を前記集積庫に集積するように制御する制御手段とを具備する。
【0009】
また、本発明の一実施形態としての紙葉類処理方法は、紙葉類を集積する複数の集積庫を具備する紙葉類処理装置に用いる紙葉類処理方法であって、前記紙葉類を投入し、前記投入した前記紙葉類を1枚ずつ取り込み、前記取り込んだ前記紙葉類の特徴を検知し、前記検知した前記紙葉類の特徴に基づいて前記紙葉類の券種を判別し、前記紙葉類を外部から取り出し可能な状態と前記紙葉類を大量に集積可能な状態とのどちらで前記判別した券種に対応する前記集積庫に集積するかを前記判別した券種に基づいて判定し、前記判定した判定結果に基づく状態で前記紙葉類を前記集積庫に集積するように制御する。
【発明の効果】
【0010】
この発明の一形態によれば、大量の紙幣を集積することができ、且つ、所望の紙幣を規定枚数ずつ区分することができる紙葉類処理装置、及び、紙葉類処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る紙葉類処理装置、及び、紙葉類処理方法について詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る紙葉類処理装置の概略構成を示すものである。
この紙葉類処理装置は、紙葉類処理装置本体1と紙葉類処理装置本体1を操作するための制御装置2とから構成されている。制御装置2が制御する紙葉類処理装置本体1は、1台であっても、複数台であっても良い。
【0013】
紙葉類処理装置本体1は、紙葉類としての紙幣Pを種類あるいは状態に応じて区分し、区分した紙幣Pを種類あるいは状態ごとに集積する区分集積装置1Aと所定数毎に紙幣Pを施封する施封装置1Bとを有している。紙葉類処理装置本体1は、1つの区分集積装置1Aに対して任意の数の施封装置1Bが接続可能な構成となっている。
【0014】
区分集積装置1Aは、複数の種類からなる複数の紙幣Pが一括して投入される。区分集積装置1Aは、投入された各紙幣Pの種類及び状態に応じて分類する。区分集積装置1Aは、分類した紙幣Pを各集積庫あるいは施封装置1Bへ搬送する。施封装置1Bは、区分集積装置1Aから供給される紙幣Pを集積庫に集積し、所定数毎に紙帯で施封する。
【0015】
制御装置2は、紙葉類処理装置本体1の制御、紙葉類処理装置本体1に対する動作設定、あるいは紙葉類処理装置本体1による処理データの管理などを行う。制御装置2は、たとえば、パーソナルコンピュータにより構成される。制御装置2は、後述する表示部、操作部および記憶部などを有している。
【0016】
次に、紙葉類処理装置本体1の内部の構成について説明する。
【0017】
図1に示すように、紙葉類処理装置本体1は、区分集積装置1Aおよび施封装置1Bにより構成されている。
【0018】
区分集積装置1Aは、複数の紙幣Pが投入される投入部4を有している。投入部4には、複数の種類が混在する複数の紙幣Pが一括して投入される。投入部4に投入される紙幣Pは、それぞれ長手方向と幅方向とを有する。投入部4には、紙幣Pの長手方向の上端或いは下端が下を向く姿勢で投入される。
【0019】
投入部4は、ステージ5、バックアッププレート6、および、取込手段としての取出しローラ10を有している。ステージ5には、複数の紙幣Pがその上端或いは下端に当接して整位された状態で投入される。バックアッププレート6は、ステージ5に対して垂直方向に立設されている。バックアッププレート6は、ばね8によりステージ5に沿って取出しローラ10側(図中左方向)に移動するようになっている。取出しローラ10は、1対のローラにより構成される。取出しローラ10は、所定方向に回転することにより、ステージ5上の図中左端にある紙幣Pを順に取り出す。したがって、投入部4に投入された複数の紙幣Pは、バックアッププレート6によってステージ5に沿って図中左方向に移動され、取出しローラ10(取出し部)に押し付けられる。
【0020】
取出しローラの後段に、搬送路12が設けられている。搬送路12は、複数のローラ15と搬送ベルト14、16により構成されている。搬送路12では、複数のローラ15により駆動する搬送ベルト14、16により紙幣Pが搬送される。搬送路12には、取出しローラ10により取り出された紙幣Pが順に供給される。たとえば、取出しローラ10は、紙幣Pをその上端或いは下端を先頭にして幅方向に搬送路12に供給する。また、取出しローラ10により搬送路12上に供給される紙幣Pは、表裏がばらばらの状態となっている。図1に示す構成例では、投入部4から取出される紙幣Pの取出し方向は下向きとなっている。
【0021】
搬送路12上に、検知手段としての検知器30が設けられている。検知器30は、種々のセンサを有し、搬送路12を搬送される紙幣Pから種々の情報、例えば、紙幣Pの券種、表裏、天地、汚れや破損の有無等の特徴を読み取る。検知器30は、たとえば、紙幣Pの表面の画像を読み取るイメージセンサ、紙幣Pの厚さを検知するセンサ、紙幣Pに含まれる磁性体を検知するセンサなどを有している。検知器30の各センサにより読み取った情報に基づいて、後述する判別部は、上述したような紙幣Pの特徴を判別する。
【0022】
図1に示す区分集積装置1Aの投入部4に、表裏および天地がばらばらの状態の複数の紙幣Pが投入される。このため、検知器30を通過する各紙幣Pも、表裏および天地がばらばらな状態となっている。ここで、検知器30を通過する紙幣Pの表裏および天地に関する向きは4種類ある。以下の説明では、表面が上方を向いて搬送方向前方に対して上端を向けて取出された紙幣Pを表上(FF)券と称し、表面が上方を向いて搬送方向前方に対して下端を向けて取出された紙幣Pを表下(FR)券と称し、裏面が上方を向いて搬送方向前方に対して上端を向けて取出された紙幣Pを裏上(BF)券と称し、裏面が上方を向いて搬送方向前方に対して下端を向けて取出された紙幣Pを裏下(BR)券と称する。つまり、検知器30を通過して搬送される紙幣Pは、これら4種類の搬送姿勢のうちいずれかの姿勢で搬送されることになる。
【0023】
検知器30の後段に延設された搬送路12上に、検知器30における検知結果に基づいて紙幣Pの搬送方向を選択的に切換えるための複数のゲートG1〜G9が設けられている。
【0024】
まず、ゲートG1は、紙幣Pを後段の処理が可能なものとリジェクトするものとに振り分ける。たとえば、検知器30において、後段の処理が不可能であることが判定された紙幣Pは、ゲートG1を介してリジェクト箱32(図中右方向)へ搬送される。後段の処理が不可能な紙幣としては、たとえば、2枚取りが判定された紙幣、所定のレベルを超えて大きくスキューしたことが判定された紙幣、或いは再流通可能な正券と判定されなかった損券や偽券などの紙幣(紙幣とは限らない)などがある。リジェクト箱32には、紙葉類処理装置本体1の外部からアクセスが可能となっている。つまり、リジェクト箱32に集積された紙幣Pは、操作者が取り出すことができるようになっている。
【0025】
一方、検知器30において後段の処理が可能であると判定された紙幣Pは、ゲートG1を介してゲートG2(図中左方向)へ搬送される。ゲートG2は、表裏に応じて紙幣Pを振り分けるようになっている。ゲートG2の下流側の搬送路は、2方向に分岐されている。すなわち、ゲートG2は、表裏の状態に応じて紙幣Pの搬送方向を2方向に選択的に切換える。
【0026】
ゲートG2の下流側で分岐された一方の搬送路上に、紙幣Pの表裏を反転させるための表裏反転機構34(表裏反転部)が設けられている。また、ゲートG2の下流側で分岐された他方の搬送路36は、紙幣Pの表裏を変化させずに、単に紙幣Pを通過させる搬送パスとなっている。すなわち、ゲートG2の後段では、紙幣Pの表裏を取り揃えられるようになっている。
【0027】
表裏反転機構34は、2組の搬送ベルト33、35により構成される。搬送ベルト33および35は、その入口から出口に向けて中心軸の回りで180°回転されたねじり搬送路を形成している。したがって、ゲートG2により表裏反転機構34へ振り分けられた紙幣Pは、表裏反転される。たとえば、FF券は、表裏反転機構34により表裏反転され、裏面を上にしたBF券に反転される。
【0028】
表裏反転機構34を通過して表裏反転された紙幣P、および、表裏反転機構34を通過せずに搬送路(搬送パス)36を通過した紙幣Pは、いずれも合流部38を介してゲートG3に送り込まれる。
【0029】
ゲートG2から表裏反転機構34を介して合流部38に至る紙幣Pの処理時間(搬送時間)とゲートG2から搬送路36を介して合流部38に至る紙幣Pの搬送時間とが同じになるように設定されている。これにより、表裏反転機構34を介して搬送された紙幣Pと搬送路36を通過された紙幣Pとが同じタイミングで合流部38を通過する。その結果、全紙幣PがBF券に合わせられてゲートG3へ送られる。
【0030】
ゲートG3は、合流部38を通過した紙幣Pを振り分けるようになっている。ゲートG3の下流側の搬送路は、2方向に分岐されている。ゲートG3は、紙幣Pの種類(あるいは状態)に応じて紙幣Pの搬送方向を2方向に選択的に切換える。
【0031】
ゲートG3の下流側で分岐された一方の搬送路は、紙幣Pを施封装置1Bへ搬送するための搬送路である。また、ゲートG3の下流側で分岐された他方の搬送路(水平搬送路)40は、紙幣Pを区分集積装置1A内の各集積庫41〜46に集積するための搬送路であり、複数の集積庫41〜46の上方で略水平方向に延びた搬送路を形成している。水平搬送路40上には、紙幣Pを6つの集積庫41〜46のうちのいずれか1つに振り分けて集積するための5つのゲートG5〜G9が設けられている。各集積庫41〜46は、搬送されてくる紙幣を集積する。各集積庫41〜46には、それぞれ紙幣の有無を検知するセンサが設けられている。
【0032】
水平搬送路40の最も上流側にあるゲートG5によって選択的に振り分けられた紙幣Pは集積庫41に集積される。ゲートG6によって選択的に振り分けられた紙幣Pは集積庫42に集積される。ゲートG7によって選択的に振り分けられた紙幣Pは集積庫43に集積される。ゲートG8によって選択的に振り分けられた紙幣Pは集積庫44に集積される。ゲートG9によって選択的に振り分けられた紙幣Pは集積庫45或いは集積庫46に集積される。
【0033】
施封装置1Bは、図1に示すように、集積庫51、集積庫52、供給部53、施封機構54、印刷機構55、帯供給部56を有している。集積庫51、52は、それぞれゲートG4を介して送り込まれた紙幣Pを集積する。各集積庫51、52には、それぞれ紙幣の有無を検知するセンサが設けられている。
【0034】
供給部53は、集積庫51あるいは52に集積された所定枚数(たとえば100枚)の紙幣Pを施封機構54に供給する。施封機構54は、供給部53によって供給される集積庫51あるいは52に集積された所定枚数(たとえば100枚)の紙幣Pを紙帯で施封する施封機構である。印刷機構55は、施封機構54で使用する紙帯に所望の印刷データを印刷する。帯供給部56は、施封機構54で使用する紙帯を供給する。
【0035】
施封装置1Bに、区分集積装置1AのゲートG3により図中左方向に分岐された搬送路によって紙幣Pが供給される。区分集積装置1Aから供給された紙幣Pは、施封装置1B内においてゲートG4により搬送方向が2方向に選択的に切換えられる。ゲートG4によって分岐搬送される紙幣Pは、施封装置1B内の集積庫51あるいは集積庫52に選択的に集積される。
【0036】
ゲートG4を介していずれかの集積庫51あるいは52に集積された紙幣Pは、供給部53によって施封機構54へ送り込まれる。施封機構54は、帯供給部56から供給された紙帯によって供給部53により供給された所定枚数の紙幣Pを施封する。所定枚数毎に施封された紙幣Pの束は、図示しないコンベアを介して装置外へ搬出される。
【0037】
なお、区分集積装置1Aは、後述する設定に基づいて特定の券種を施封装置1Bへ供給するようになっている。したがって、施封装置1Bは、区分集積装置1Aから供給される特定の券種の紙幣を施封するようになっている。また、施封装置1Bにて施封すべき券種以外の券種の紙幣Pは、区分集積装置1A内の集積庫41〜46のいずれかに集積される。
【0038】
次に、紙葉類処理装置の制御系について説明する。
図2は、紙葉類処理装置の制御系のブロックを示す図である。
紙葉類処理装置本体1の区分集積装置1Aの制御系は、図2に示すように、制御部60、記憶部61、取出し制御部62、搬送制御部63、ゲート制御部64、および、判別部65などにより構成されている。
【0039】
制御部60は、制御手段として機能し、予め設定した動作プログラムに従って区分集積装置1Aの全体動作を制御する。記憶部61は、制御部60により実行される動作プログラムを記憶している。また、記憶部61は、データの記憶用に用いられる。たとえば、記憶部61は、各集積庫41〜46、および、施封装置1Bの集積庫51、52に集積される集積枚数を計数する計数データベースを記憶する。
【0040】
取出し制御部62は、制御部60の制御に基づいて取出しローラ10を駆動する。搬送制御部63は、制御部60の制御に基づいてローラ15を駆動する。ゲート制御部64は、制御部60の制御に基づいてゲートG1〜G3、G5〜G9を駆動する。
【0041】
判別部65は、判別手段として機能し、検知器30の検知結果に基づいて、紙幣Pの状態及び券種を判別する。判別部65は、各センサにより読み取った特徴と基準となる特徴とを比較することにより紙幣Pの券種を判別する。また、判別部65は、検知器30の検知結果に基づく紙幣Pの判別結果を制御部60に出力する。
【0042】
制御部60は、この判別結果に基づいて、紙幣Pを集積する集積庫を判定する。さらに制御部60は、この判別結果に基づいて、紙幣Pを集積する際の集積手段を後述する複数の集積手段から選択して判定する判定手段として機能する。
【0043】
また、判別部65は、当該紙幣Pの券種を判別するとともに、当該紙幣Pの表裏および天地を判別する。さらに、判別部65は、当該紙幣Pが正券か損券かを判別する。正券とは、再流通が可能な券であり、損券とは、再流通が不可な券である。つまり、正券か損券かは、紙幣Pの状態(質)の良し悪しにより判別される。判別部65は、紙幣Pの汚れ、破れ、折れ、紙質、テープ貼り等の度合いによって正券か損券かを判別する。
【0044】
紙葉類処理装置本体1の施封装置1Bの制御系は、図2に示すように、制御部70、記憶部71、搬送制御部72、ゲート制御部73、移動機構74、施封機構54、および、印刷機構55などにより構成されている。
制御部70は、予め設定した動作プログラムに従って施封装置1Bの全体動作を制御する。記憶部71は、制御部70により実行される動作プログラムを記憶する。搬送制御部72は、制御部70の制御に基づいて搬送ローラを駆動する。ゲート制御部73は、制御部60の制御に基づいてゲートG4の駆動を行う。移動機構74は、制御部70の制御に基づいて集積庫51あるいは52に集積された所定枚数の紙葉類を移動(搬送)する。
【0045】
制御装置2の制御系は、図2に示すように、制御部80、記憶部81、表示部82、および、操作部83などにより構成されている。
制御部80は、予め設定した動作プログラムに従って制御装置2全体の制御を司る。たとえば、制御部80は、操作者からの操作指示に基づいて区分集積装置1Aに対する各種の動作設定などを行う機能を有する。制御部80は、RAM80aを有している。RAM80aは、ワーキングメモリとして機能する揮発性のメモリである。また、RAM80aは、制御部80が処理中のデータなどを一時保管するバッファメモリとしても機能する。
【0046】
記憶部81は、制御部80により実行される動作プログラムを記憶する。動作プログラムは、表示部82に表示される種々の表示画面(表示データ)を含んでいる。また、記憶部81は、処理データの集計等に用いられる。たとえば、記憶部81は、各紙葉類処理装置1による処理結果を集計してデータベースを作成し記憶する。
【0047】
表示部82は、制御部80の表示制御に基づいて操作者に対する操作案内などを表示する。操作部83は、操作者が操作指示を入力するものである。表示部82は、ディスプレイ装置などにより構成されている。操作部83は、キーボードあるいはマウスなどの入力装置などにより構成されている。表示部82と操作部83とは、たとえば、タッチパネル内蔵のディスプレイ装置により構成しても良い。さらに、表示部82と操作部83とは、タッチパネル内蔵のディスプレイ装置とキーボード等の入力装置とを設けた構成としても良い。
【0048】
図3は、各集積庫41〜46毎にオープンポケットモードと収納ポケットモードとを切り替えた場合の紙葉類処理装置1の処理を説明するための説明図である。各集積庫41〜46は、それぞれ、集積手段として、オープンポケットモードと収納ポケットモードとを有している。ここでは、集積庫41がオープンポケットモード(オープンポケット機構)であり、集積庫42が収納ポケットモード(収納ポケット機構)である場合を想定して説明する。
【0049】
各集積庫41〜46は、一時集積庫に集積されている紙幣Pをカセット(ポケット)に押し込んで集積する図示しない押し込み機構をそれぞれ備えている。なお、オープンポケットモードと収納ポケットモードとは、押し込み機構を動作させるか否かにより切り替えることが出来る。即ち、押し込み機構を動作させる場合、集積庫は、収納ポケットモードで動作する。また、押し込み機構を動作させない場合、集積庫は、オープンポケットモードで動作する。
【0050】
なお、押し込み機構は、押し込み機構の駆動部に、例えば、金属板などを設けることにより、動作しない状態となる。また、押し込み機構の駆動部に設けられた金属板を除くことにより、再び押し込み機構を動作させることができる。制御部60は、紙葉類処理装置1の起動時に各集積庫41〜46のモードを判定して記憶する。なお、制御部60は、例えば、押し込み機構を動作させないようにするための金属板の有無などにより、集積庫のモードを判定する。もしくは、係員に制御装置2の操作部83を操作させることにより各集積庫41〜46のモードを示す情報を入力させて記憶するようにしてもよい。
【0051】
図3に示すように、オープンポケットモードで動作している集積庫41は、外部からアクセス可能な状態で紙幣を集積する一時集積庫411を備えている。
【0052】
上述したように、紙葉類処理装置1に取り込まれた紙幣Pは、券種毎に各集積庫に区分されて搬送される。集積庫41に搬送された紙幣Pは、一時集積庫411に集積される。集積庫41に設置された図示しないセンサは、一時集積庫411に集積されている紙幣Pの枚数を逐次検知する。ここで、一時集積庫411に集積されている紙幣Pの枚数が、予め区分集積装置1Aの制御部60により設定された規定値に達した場合、紙幣Pの枚数が規定値に達したことを、例えば、図示しないアラームを鳴らす、若しくは、図示しないランプを点灯させるなどして、紙葉類処理装置1の係員に報知する。
【0053】
同時に、制御部60は、これ以降に搬送されてくる紙幣Pを、集積庫41に搬送されていた紙幣Pと同じ券種の紙幣Pを集積する為に設けられている他のオープンポケットモードで動作している集積庫に搬送するように制御する。
【0054】
一時集積庫411に集積されている規定枚数の紙幣Pは、係員により取り除かれ、施封される。なお、一時集積庫411に規定枚数の紙幣Pが集積された場合、後続の紙幣Pを他のオープンポケットモードで動作している集積庫に搬送するとしたがこれに限定されない。例えば、一時集積庫411に規定枚数の紙幣Pが集積された場合に目印を挟み込むなどして、続けて集積してもよい。この場合、係員は、目印を参考にして規定枚数の紙幣Pを取り除き、施封する。
【0055】
また、図3に示すように、収納ポケットモードで動作している集積庫42は、一時集積庫421とカセット422とを備えている。紙葉類処理装置1に取り込まれた紙幣Pは、券種毎に各集積庫に区分されて搬送される。集積庫42に搬送された紙幣Pは、一時集積手段としての一時集積庫421に集積される。集積庫42に設置された図示しないセンサは、一時集積庫411に集積されている紙幣Pの枚数を逐次検知する。ここで、一時集積庫411が満杯になった場合、即ち、紙幣Pの枚数が一時集積庫411に集積可能な枚数に達した場合、制御部60は、押し込み機構を駆動し、一時集積庫411内の紙幣Pを集積手段としてのカセット422に押し込むように制御する。
【0056】
制御部60は、一時集積庫411内の紙幣Pをカセット422に押し込む場合、搬送制御部63及び取り出し制御部62を制御し、紙幣Pの搬送及び取り出しを停止させる。カセット422への押し込みが完了すると、制御部60は、搬送制御部63及び取り出し制御部62を制御し、紙幣Pの搬送及び取り出しを再開させる。
【0057】
図4は、各集積庫41〜46毎にオープンポケットモードと収納ポケットモードとを切り替えた場合の紙葉類処理装置1の処理を説明するためのフローチャートである。
【0058】
紙葉類処理装置1を動作させる前に、係員は、図1に示すように紙葉類処理装置1の投入部4に複数枚の紙幣Pを投入する。紙葉類処理装置1は、投入部4にセットされている紙幣Pを1枚ずつ装置内部に取り込む(ステップS11)。
紙葉類処理装置1の制御部60は、検知器30により取り込んだ紙幣Pを検知する(ステップS12)。ここでは、制御部60は、検知器30により紙幣Pの両面を撮像する、紙幣Pの厚さを検知するなどをする。判別部65は、検知した情報に基づいて、紙幣Pの券種、表裏、天地、汚れや破損の度合等の特徴を判定し、紙幣Pの券種を判別する(ステップS13)。
【0059】
判別部65により判別した紙幣Pの券種に基づいて、制御部60は、搬送制御部63及びゲート制御部64により搬送ローラ15及び各ゲートG1−G9を制御し、紙幣Pを金種ごとに対応する集積庫41〜46のいずれかへ搬送する(ステップS14)。
【0060】
制御部60は、紙幣Pの搬送先の集積庫のモードを判定する(ステップS15)。即ち、制御部60は、紙幣Pの搬送先の集積庫のモードが収納ポケットモードであるか、オープンポケットモードであるかを判定する。
【0061】
紙幣Pの搬送先の集積庫のモードが収納ポケットモードである場合、制御部60は、この集積庫の一時集積庫が満杯であるか否か判定する(ステップS16)。一時集積庫が満杯ではないと判定した場合(ステップS16、NO)、制御部60は、ステップS11にループし、次の紙幣Pの処理に移行する。
【0062】
一時集積庫が満杯であると判定した場合(ステップS16、YES)、制御部60は、搬送制御部63及び取り出し制御部62を制御し、紙幣Pの搬送及び取り出しを停止させる(ステップS17)。制御部60は、押し込み機構を駆動し、一時集積庫411内の紙幣Pをカセット422に押し込むように制御する(ステップS18)。制御部60は、搬送制御部63及び取り出し制御部62を制御し、紙幣Pの搬送及び取り出しを再開させる(ステップS19)。即ち、ステップS11にループし、次の紙幣Pの処理に移行する。
【0063】
紙幣Pの搬送先の集積庫のモードがオープンポケットモードである場合、制御部60は、この集積庫の一時集積庫に規定枚数の紙幣Pが集積されたか否か判定する(ステップS20)。集積された紙幣Pの枚数が規定枚数に達していないと判定した場合(ステップS20、NO)、制御部60は、ステップS11にループし、次の紙幣Pの処理に移行する。
【0064】
集積された紙幣Pの枚数が規定枚数に達していると判定した場合(ステップS20、YES)、制御部60は、紙幣Pの枚数が規定枚数に達していることを係員に報知手段を用いて報知する(ステップS21)。ここでは、制御部60は、報知手段として、図示しないアラーム、若しくは、図示しないランプなどを備えている。制御部60は、例えば、アラームを鳴らす、若しくは、ランプを点灯させるように各部を制御する。制御部60は、これ以降に搬送される紙幣Pを次の集積庫に搬送するように処理を移行する(ステップS22)。即ち、制御部60は、集積庫に規定枚数の紙幣Pが集積された場合、規定枚数に達した紙幣Pと同じ券種の紙幣Pを集積する為に設けられている他のオープンポケットモードで動作している集積庫に搬送するように制御する。
【0065】
上述したように、本発明の一実施形態によると、予め、紙葉類処理装置1の各集積庫41〜46に個別にオープンポケットモードと収納ポケットモードとを設定することができる。この為、例えば、規定枚数ずつ区分する券種の紙幣を集積する集積庫をオープンポケットモードに設定し、枚数で区分する必要のない券種の紙幣を集積する集積庫を収納ポケットモードに設定することにより、所望の券種の紙幣を規定枚数ずつ区分し、且つ、区分する必要のない紙幣を大量に集積することが出来る。
【0066】
また、券種に応じて集積庫のモードをオープンポケットモードと収納ポケットモードとを設定することにより、収納ポケットモードで動作している集積庫の一時集積庫が満杯になった場合に紙幣の搬送を停止させる回数を減らすことが出来る。即ち、紙葉類処理装置のスループットを向上させることが出来る。
【0067】
この結果として、大量の紙幣を集積することができ、且つ、所望の紙幣を規定枚数ずつ区分することができる紙葉類処理装置、及び、紙葉類処理方法を提供することができる。
【0068】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0069】
本実施形態では、集積庫の数を6つとして説明したがこれに限定されない。必要に応じて、集積庫の数を変更しても本発明の実施に影響はない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】一実施形態に係る紙葉類処理装置の内部の構成例を概略的に示す図。
【図2】図1に示す紙葉類処理装置の制御系を示すブロック図。
【図3】各集積庫毎にオープンポケットモードと収納ポケットモードとを切り替えた場合の紙葉類処理装置の処理を説明するための説明図。
【図4】各集積庫毎にオープンポケットモードと収納ポケットモードとを切り替えた場合の紙葉類処理装置の処理を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0071】
1…紙葉類処理装置本体、1A…区分集積装置、1B…施封装置、2…制御装置、4…投入部、10…ローラ、12…搬送路、15…搬送ローラ、30…検知器、41〜46…集積庫、60…制御部、61…記憶部、62…制御部、63…搬送制御部、64…ゲート制御部、65…判別部、80…制御部、81…記憶部、82…表示部、83…操作部、411…一時集積庫、421…一時集積庫、422…カセット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を外部から取り出し可能な状態で集積する第1の集積手段と、前記第1の集積手段に比べて前記紙葉類を大量に集積する第2の集積手段とをそれぞれ具備する複数の集積庫と、
前記紙葉類が投入される投入部と、
前記投入部に投入された前記紙葉類を1枚ずつ取り込む取込手段と、
前記取込手段により取り込んだ前記紙葉類の特徴を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知した前記紙葉類の特徴に基づいて前記紙葉類の券種を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別した券種に基づいて前記紙葉類を前記第1の集積手段と前記第2の集積手段とのどちらで前記判別手段により判別した券種に対応する前記集積庫に集積するかを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づく集積手段により前記紙葉類を前記集積庫に集積するように制御する制御手段と、
を具備する紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記第1の集積手段と前記第2の集積手段とを前記各集積庫毎に個別に切り替える手段をさらに具備する請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記各集積庫に用いられている集積手段が前記第1の集積手段と前記第2の集積手段とのどちらであるかを判定する手段をさらに具備する請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記第1の集積手段は、前記紙葉類を予め規定された枚数だけ集積する手段を具備する請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
前記第1の集積手段により集積された前記紙葉類が予め規定された枚数に達したことを報知する報知手段をさらに具備する請求項4に記載の紙葉類処理装置。
【請求項6】
前記第1の集積手段は、前記紙葉類の枚数を視覚的に認識できるように目印をつけて前記紙葉類を集積する手段を具備する請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項7】
前記第2の集積手段は、
搬送される前記紙葉類を一時的に集積する一時集積手段と、
前記紙葉類を前記一時集積手段に比べて大量に集積する第3の集積手段と、
前記一時集積手段に集積された前記紙葉類を前記第3の集積手段に押し込む押し込み機構と、
を具備する請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項8】
前記第2の集積手段は、
前記一時集積手段に集積している前記紙葉類の枚数が前記一時集積手段の前記紙葉類を集積可能な枚数に達しているか否かを判定する手段と、
前記一時集積手段に集積している前記紙葉類の枚数が前記一時集積手段の前記紙葉類を集積可能な枚数に達していると判定した場合に前記押し込み機構により前記一時集積手段に集積された前記紙葉類を前記第3の集積手段に押し込むように制御する手段と、
をさらに具備する請求項7に記載の紙葉類処理装置。
【請求項9】
紙葉類を集積する複数の集積庫を具備する紙葉類処理装置に用いる紙葉類処理方法であって、
前記紙葉類を投入し、
前記投入した前記紙葉類を1枚ずつ取り込み、
前記取り込んだ前記紙葉類の特徴を検知し、
前記検知した前記紙葉類の特徴に基づいて前記紙葉類の券種を判別し、
前記紙葉類を外部から取り出し可能な状態と前記紙葉類を大量に集積可能な状態とのどちらで前記判別した券種に対応する前記集積庫に集積するかを前記判別した券種に基づいて判定し、
前記判定した判定結果に基づく状態で前記紙葉類を前記集積庫に集積するように制御する紙葉類処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−72928(P2010−72928A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239446(P2008−239446)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】