説明

紙葉類取扱装置及びその保守システム

【課題】紙葉類を取り扱う装置においては、清掃が必要なローラや搬送ベルトの抽出が可能な判断手法を確立し、保守作業の効率向上や低コスト化を実現することが必要となっていた。
【解決手段】本発明ではあらかじめ定められた均一な評価用媒体を収納し繰出す手段と、該評価用媒体をあらかじめ定められた時期やタイミングで装置全体、あるいは装置の一部を搬送させる制御手段と、搬送される評価媒体の通過時間,通過タイミングなどの搬送状態を検出する検出手段と、該検出手段によって検出された搬送状態の信号データを基に、ゴムローラや搬送ベルトなどの搬送手段の特性劣化を判断する判断手段と、該判断手段により清掃などの保守作業が必要と判断された場合には保守作業が必要であることを係員や利用者に告知する告知手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類取扱装置及びその保守システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の紙葉類取扱装置としての現金自動取引装置は、集積された紙幣をゴムローラによって一枚ずつに分離して繰出し、これをゴム状の搬送ベルトやローラで挟持して搬送しながら処理を行っていた。この処理の際には、各々の紙幣は搬送部に設けられた通過センサによって搬送状態が検出され、この検出信号を元に搬送方向の切換制御や障害検出などが行われている。
【0003】
ところで、上記現金自動取引装置をはじめとする紙葉類取扱装置は、紙幣などの紙葉類の繰出しや搬送を長期間行うと、紙葉類を搬送するゴムローラやベルトの表面には紙粉や紙幣などのインクが付着し表面の状態が変化する。特に摩擦係数の低下は、紙葉類の正常なタイミングでの繰出しや搬送ができなくなるため、処理速度の低下や搬送不良によるリジェクト(不良紙幣)が多発するといった問題を生じる。
【0004】
このような問題を防ぐため、例えば特許文献1に記された画像形成装置のように、フィード部における搬送異常を診断するために、搬送路内に設けられた紙の通過時間信号を計測し、その通過時間が正常範囲に対するずれの度合いにより故障診断を行っている。
【0005】
また、現金自動取引装置や複写機では、保守員があらかじめ定められた期間毎にゴムローラや搬送ベルトを清掃して摩擦係数の値が所定の範囲内にあるかどうかを保守点検する作業を行っている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−206307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、現状の保守作業は、あらかじめ定められた期間毎に、定められたマニュアルに沿った作業が行われている。
これは、清掃が必要か否かの判断を行う手法が現状では確立されておらず、本来清掃が必要なローラや搬送ベルトの抽出ができないことによるものである。このため、期間中の取引量が少なく清掃の必要がないゴムローラや搬送ベルトの清掃も止む無く行わなければならず、保守作業の効率向上や低コスト化を阻害する要因となっていた。
【0008】
また、定期的な保守サービス体制が確立されていない場合では、本当に清掃作業が必要な場合のみ保守を行うことが要求されるが、上述した理由によりいまだこのような保守作業を行うことができていない。
【0009】
効率的で低コストな保守作業を行うためには、ゴムローラや搬送ベルトの汚れ度合いを正確に計測することが必要である。しかし、上記特許文献1にあるような特定のセンサを用いての故障診断手法は、その測定範囲が分布しやすいため正確な判断が難しい。また、搬送される紙葉類が現金自動取引装置における紙幣のように様々な折れくせや剛性があるような媒体では、単に紙葉類の搬送動作中の信号に基づいた診断方法では、搬送時の障害は発生しないが、折れくせや剛性,紙葉表面の摩擦係数などの相違によって搬送特性が変化するため何が正しい基準であるかが明確でなく正確な故障診断は不可能である。
【0010】
本発明の目的は、本当に清掃が必要なゴムローラや搬送ベルトを抽出することができ、保守作業の効率向上や低コスト化が可能な紙葉類取扱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述目的は、紙葉類をゴムローラやベルト等の搬送手段で搬送する紙葉類取扱装置において、前記搬送手段の汚れ状態を評価する評価媒体と、この評価媒体の収納繰出しを行う繰出し手段と、この繰出し手段から前記評価媒体の搬送を制御する制御手段と、前記評価媒体の搬送状態を検出する検出手段と、前記搬送状態から前記ゴムローラやベルト等の劣化を判断する判断手段と、この判断手段から前記ゴムローラやベルトの保守タイミングを告知する告知手段とを設けたことにより達成される。
【0012】
また、上記目的は、前記搬送状態は前記評価媒体の通過時間,通過タイミングなどを検出することにより達成される。
【0013】
また、上記目的は、前記搬送状態から前記紙葉類のジャム除去作業後の搬送特性を判断する判断手段と、この判断手段によりジャム除去作業などの再作業のタイミングを告知する告知手段を設けたことにより達成される。
【0014】
また、上記目的は、紙葉類をゴムローラやベルト等の搬送手段で搬送する紙葉類取扱装置において、前記搬送手段によって搬送される紙葉類の搬送状態を検出する通過センサと、この通過センサからの信号を入力として前記紙葉類の変動値を算出する制御部と、前記変動値から前記ゴムローラやベルト等の劣化を判断する判断手段と、この判断手段から前記ゴムローラやベルトの保守タイミングを告知する告知手段とを設けたことにより達成される。
【0015】
また、上記目的は、現金自動取引装置,複写装置などの紙葉類をゴムローラやベルトなどの手段で搬送して処理する紙葉類取扱装置の保守システムにおいて、前記ゴムローラやベルトの汚れ状態を評価するためにあらかじめ定められた均一な評価用媒体と、該評価媒体を収納し繰出す手段と、該評価用媒体をあらかじめ定められた時期やタイミングで装置全体、あるいは装置の一部を搬送させる制御手段と、搬送される評価媒体の通過時間,通過タイミングなどの搬送状態を検出する検出手段と、該検出手段によって検出された搬送状態の信号データを基に、ゴムローラや搬送ベルトなどの搬送手段の特性劣化を判断する判断手段と、該判断手段により清掃などの保守作業が必要と判断された場合には保守作業が必要であることを係員や利用者に告知する告知手段を設けたことにより達成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、本当に清掃が必要なゴムローラや搬送ベルトを抽出することができ、保守作業の効率向上や低コスト化が可能な紙葉類取扱装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
まず、一般的な還流式現金自動取引装置を図に従って説明する。
図1は、還流式現金自動取引装置における紙幣処理機構の構成図である。
なお、還流式の現金自動取引装置とは、ある利用者が入金した紙幣を他の利用者に出金紙幣として使用する現金自動取引装置であり、紙幣処理機構とは、利用者が入金した紙幣や出金する紙幣を処理するための機構である。
【0018】
図1において、紙幣処理機構2は、利用者が紙幣を預け入れたり出金された紙幣を受け取る入出金口3を備えている。4はこの入出金口3から一枚ずつ搬送されてくる紙幣の真偽判定や金種判定等を行う鑑別部である。5は入金された紙幣を一時的に収納しておくための一時スタッカである。6は入金された紙幣を金種ごとに収納しておくための還流庫である。7は入金された紙幣のうち出金紙幣として使用しない紙幣を収納しておくためのリジェクト庫である。8は紙幣処理機構2へ紙幣を装填したり回収したりするために用いられる装填回収庫である。9はこれらの各ユニット間で紙幣の搬送を行う搬送機構である。
【0019】
上記各ユニットや搬送機構では、紙幣が正常に搬送されたか否かを検出するための通過センサ10が設けられている。一般には通過センサとして光学式のセンサが用いられ、投光側から受光側への光の透過を紙幣が通過することで遮光し、この遮光の信号を検出して紙幣の通過を検出する。また上記紙幣処理機構2では、紙幣の入出金取引動作を行うために、上記紙幣処理機構における各ユニットや搬送機構の動作の制御を行う制御部11が設けられており、通過センサ10からの信号は信号線12を通じてこの制御部11へ送られる。
なお、200は後述するパイロット媒体収納機構である。
【0020】
さらに図2に示すように上記現金自動取引装置1では、紙幣処理機構2だけではなく通帳プリンタ1P,表示装置1D,カード処理機構1Cなどの現金自動取引装置内部に収納された他の装置の動作を制御するメイン制御装置13が設けられている。紙幣処理機構2の制御はメイン制御装置13から信号線12を通じて紙幣処理機構の制御部11へ伝達されることで行われる。
【0021】
次に、紙幣処理機能の動作を図3を用いて順に説明する。
【0022】
図3は、紙幣の流れを順に示した紙幣処理機構の断面図である。
図3において、紙幣処理機構2では、利用者が入金時に投入した紙幣は入出金口3で一枚ずつに分離されて繰出され鑑別部4へ搬送される。鑑別部4で真偽判定や金種判定がなされた紙幣は、一時スタッカ5へ集積される。鑑別部4で真偽の判定や金種の判定ができなかった紙幣は、入出金口3へそのまま搬送され利用者へ返却される。なお、搬送機構9の分岐部では、ゲートと呼ばれる紙幣の搬送方向を切り換えるガイド機構9G(図1に示す)が設けられている(以上、入金計数動作である)。
【0023】
鑑別部4で計数された金額が現金自動取引装置1の表示装置1D(図2に示す)で表示された後、利用者が確認ボタンを押すと取引が成立し一時スタッカ5に集積された紙幣は再び一枚ずつ繰出され、再度鑑別部4を通って金種ごとに還流庫6へ集積される。この時、還流されない金種の紙幣や紙幣状態がひどく出金紙幣として不適と判断された紙幣はリジェクト庫7(図1に示す)へ集積される(以上、入金収納動作である)。
【0024】
利用者が出金処理を行う場合には、利用者が指定した金額に対応した枚数の紙幣が還流庫6から一枚ずつ分離して繰出され、鑑別部5を通って入出金口3へ搬送され集積される(以上、出金動作である)。
【0025】
上述の入出金口3や還流庫6で紙幣を一枚ずつ分離して繰出す紙幣分離機構の一実施例を図4に示す。
図4は本発明の一実施例を備えた紙幣分離機能の部分断面図である。
図4において、図3に示した紙幣分離機構100では、集積された紙幣101の最上位の紙幣101Aに繰出し時に繰出し力を作用させる繰出し手段としてのピックアップローラ102と、繰出される紙幣に搬送力を付与する搬送手段としてのフィードローラ103と、複数枚の紙幣が同時に繰出されることを防ぐために紙幣に搬送抵抗力を付与する搬送抵抗手段としてのゲートローラ104と、一枚ずつ繰出された紙幣をさらに下流側へ搬送するための搬送ローラ105,集積された紙幣を積載する積載台106、そして分離時には紙幣101を前記ピックアップローラ102に押し付ける機能を有する押板107から構成される。
【0026】
ピックアップローラ102とフィードローラ103は、その外周の一部がゴム材料で構成される高摩擦部102A,103Aを有しており、これらの高摩擦部の位相は繰出しの際に紙幣が問題無く繰出されるように調整されている。また、ピックアップローラ102の外周部の周速度とフィードローラ103の外周部の周速度はほぼ同じとなるような寸法となっている。さらに、これらのピックアップローラ102とフィードローラ103は、図示されない駆動源から図示されないギアやベルト等から成る駆動機構によって駆動力が伝達され同期して回転運動するように構成されている。これらのピックアップローラ102とフィードローラ103は両方向に回転可能なように駆動される。回転方向の変更は、例えば駆動源がステッピングモータである場合、制御部によりステッピングモータの回転方向が指定されて決定される。またゲートローラ104も紙幣に搬送抵抗力を付与するためにその全周はゴム材料から構成されている。
【0027】
図5は、紙幣搬送機構の側面図である。
図5において、本実施例における紙幣搬送機構は、搬送ベルト9Bとこれにある巻き付き角度をもって接触対向している従動ローラ9R,搬送ベルト9Bへ駆動力を与える駆動ローラ9D,搬送ベルト9Bが掛けられる従動ローラ9F、および紙幣の搬送案内を行う搬送ガイド9Aから構成されている。搬送ベルト9Bは図示されない駆動源によって駆動される。この搬送機構9における紙幣の最大の搬送力は、ほぼ搬送ベルトの張力と巻き付き角度および搬送ベルトと紙幣間の摩擦係数の積で表される。
【0028】
紙幣処理機構では多数の紙幣の繰出し・集積・搬送を行うため、長期間の使用の間に例えば上述のピックアップローラ102やフィードローラ103の高摩擦部やゲートローラ、搬送機構9における搬送ベルト9Bや従動ローラ9Rの表面は紙幣のインクや紙粉などが付着して摩擦係数が低下する。これらローラやベルトの摩擦係数が低下すると、紙幣を搬送させるための力や紙幣に付与する搬送抵抗力が低下して所望の性能が得られなくなる。このため現在ではある所定の期間ごとに行われる保守作業時に係員がアルコールなどでゴム表面を清掃し所望の摩擦力が得られるようにしている。
【0029】
しかし、この清掃作業は紙幣の取引量とは無関係に行われるため、場合によっては清掃の必要がないにもかかわらず自動的に行うことがあり保守作業の効率向上や低コスト化を困難なものとしている。また、海外においては、保守のサービス網が充実しておらず、また保守員の技術が十分でないという問題もあり、本当に清掃作業が必要な場合になると何らかの作業指示の表示が欲しいといったニーズがある。
【0030】
本発明は、上述の問題を解決し、保守作業の効率向上や低コスト化および本当に清掃作業が必要な場合に作業指示を行うことが可能な取引装置を種々検討した結果、以下のような実施例を得たものである。
【実施例1】
【0031】
本実施例を図1で説明すると、本実施例では図1に示した紙幣処理機構2の内部に紙幣処理機構2の各モジュールや搬送機構をくまなく搬送される複数のパイロット媒体Pが内蔵されたパイロット媒体収納機構200を設けた。
【0032】
本実施例におけるパイロット媒体Pは、そのサイズや厚さ及び剛性をほぼ紙幣と同じ値にしてある(言わば模擬紙幣と言うべきであろう)。またパイロット媒体収納機構200内部のゴムローラや搬送ベルトとの間の摩擦計数の値もほぼ同じ材質である。パイロット媒体Pは、これが搬送される場合の環境や長時間の保管に対しても上記の各物性値が大きく変化しないような、例えばその母材がプラスチックシートの樹脂系のものが好ましい。仮に各物性値が大きく変化すると、例えば紙幣の通過時間,センサ間の到達時間,スキュー(傾き)などの値が変化するため後述する搬送評価する際のマハラノビス距離値(例えば、紙幣の通過時間,センサ間の到達時間,スキュー(傾き)などの値)が変化し、正確な評価を行うことができなくなる。
【0033】
本実施例では紙幣処理機構2の経時的な変化を求めるため、搬送に用いる媒体が同一のもので、かつ経時的な変化の少ないものを採用すべきである。
【0034】
本実施例の動作を説明すると、所定の動作時間が来るとパイロット媒体収納機構200からパイロット媒体Pが一枚ずつ繰出されてまず一時スタッカ5へ搬送される。その後、入金収納時と同じように一時スタッカ5から最下位の還流庫6Aへ搬送される。この動作は一般には紙幣処理機構2内に紙幣がない場合に行われることが望ましいが、紙幣が還流庫6に存在する場合であってもあらかじめ定められた所定の枚数のパイロット媒体が搬送されるため特に問題はない。この動作を行う最も適した時間は、朝、現金自動取引装置1を立ち上げ紙幣を装置内に装填する前か或いは午後現金自動取引装置1から紙幣を回収した後が良い。特に紙幣回収の後では、万一保守が必要となった場合でも装置の休止期間でも保守を行うことができるので利用者に不便をかけることがないからである。
【0035】
次にパイロット媒体Pは還流庫6から出金時と同じように入出金口3へ搬送される。入出金口3では取り忘れ回収の動作が行われ、パイロット媒体Pは入金部へ送られ、その後入金計数時と同じように再度一時スタッカ5へ搬送される。そして、次に先ほどの還流庫6Aと異なる還流庫6Bへ搬送される。
このように、パイロット媒体Pが紙幣処理機構2内部の各モジュールを搬送された後、再びパイロット媒体Pはパイロット媒体収納機構200へ搬送され収納される。
【0036】
図6は、本実施例を説明するためのパイロット媒体収納機構の側面図である。
図6において、このパイロット媒体収納機構200では、収納されたパイロット媒体Pの最上位の媒体201Aに繰出し時に繰出し力を作用させる繰出し手段としてのピックアップローラ202と、繰出されるパイロット媒体に搬送力を付与する搬送手段としてのフィードローラ203と、複数枚のパイロット媒体が同時に繰出されることを防ぐために媒体に搬送抵抗力を付与する搬送抵抗手段としてのゲートローラ204と、一枚ずつ繰出されたパイロット媒体をさらに下流側へ搬送するための搬送ローラ205、収納されるパイロット媒体を積載するとともに分離時には前記ピックアップローラ202に押し付ける機能を有する押板206、およびパイロット媒体の収納の際には媒体の搬送案内を行う機能を有するスタックガイド207から構成される。
【0037】
ピックアップローラ202とフィードローラ203は、その外周の一部がゴム材料で構成される高摩擦部202A,203Aを有しており、これらの高摩擦部の位相は繰出しの際にパイロット媒体が問題無く繰出されるように調整されている。また、ピックアップローラ202の外周部の周速度とフィードローラ203の外周部の周速度はほぼ同じとなるような寸法となっている。さらに、これらのピックアップローラ202とフィードローラ203は、図示されない駆動源から図示されないギアやベルト等から成る駆動機構によって駆動力が伝達され同期して回転運動するように構成されている。これらのピックアップローラ202とフィードローラ203は両方向に回転可能なように駆動される。回転方向の変更は、例えば駆動源がステッピングモータである場合、図示されない制御部により、ステッピングモータの回転方向が指定されて決定される。
【0038】
図7は本実施例を説明するためのパイロット媒体収納機構の側面図である。
図7において、スタックガイド207は、フィードローラ203の回転軸208を回転中心として揺動可能に構成されており、パイロット媒体の収納の際には媒体を集積空間に搬送案内し、パイロット媒体の繰出しの際には図6に示すように繰出しの妨げにならない位置まで退避可能な構成となっている。このスタックガイド207の退避動作は、例えばスタックガイド207に連結された図示されないリンク機構と駆動源により行われる。
【0039】
前述のゲートローラ204は、全周がゴム材質からなるローラである。このローラは軸208にワンウェイクラッチを介して取り付けられており、これにより媒体の繰出し方向には回転しないが媒体の収納方向には回転可動である。またゲートローラ204と同じ軸208には、パイロット媒体が収納される場合に媒体を叩いて集積空間を確保するシートローラ209が設けられている。このシートローラ209は、ある位相の部分にはシートがなく、またパイロット媒体の繰出しの際には繰出しの妨げにならない位置まで退避可能な構成となっている。
【0040】
上述したパイロット媒体Pの搬送の際、各ユニットや搬送機構に設けられ紙幣が正常に搬送されたか否かを検出するための通過センサ10(図1に示す)がパイロット媒体の通過を検出する。そして図1に示すように通過センサ10からの信号は信号線12を通じてこの制御部11へ送られ、ここで媒体の長さ,スキュー,搬送ピッチおよび各センサ間におけるこれらの値の変動値などが算出される。
【0041】
本実施例では、これら算出された値を用いてユニットごとにマハラノビス距離を算出し、清掃が必要かどうかの判断を行う。このマハラノビス距離の算出方法は市販の文献に記載されている。このパイロット媒体Pが搬送される最初の動作時に算出されたマハラノビス距離が基本となる。この時のマハラノビス距離の二乗の値は1である。
【0042】
紙幣が所定の期間搬送された後、パイロット媒体を搬送して算出したマハラノビス距離の値は次第に変化しその値は大きくなってゆく。これは、先に述べたように、長期間の使用の間に、例えば上述のピックアップローラ102やフィードローラ103の高摩擦部やゲートローラ、搬送機構9における搬送ベルト9Bや従動ローラ9Rの表面は、紙幣のインクや紙粉などが付着して摩擦係数が低下するためである。このローラやベルトの摩擦係数の低下によって紙幣を搬送させるための力や、紙幣に付与する搬送抵抗力が低下し、算出される媒体の長さ,スキュー,搬送ピッチ、および各センサ10間におけるこれらの変動値などが変化したりばらついたりする。
【0043】
この算出されるマハラノビス距離が、実際の紙幣処理が十分に行えなくなる場合の値をあらかじめ求めておく。これは、例えば長期間使用して問題が出るようになった現金自動取引装置を用いて、パイロット媒体Pを搬送しマハラノビス距離を算出することで求めることができる。そして上述したようなマハラノビス算出動作においてあらかじめ求められ、不具合が発生する寸前のマハラノビス距離の閾値になった場合、制御部11は清掃作業指示のための表示を行うための制御信号を発生する。そしてこの信号によりメイン制御装置13が表示装置1Dに清掃作業が必要であることを表示し作業者や係員に知らせる。図8は本実施例を纏めたフロー図である。
【0044】
図8において、ステップ101の装置初期稼動時または保守・清掃作業直後であって、ステップ102からパイロット媒体が所定枚数搬送されてステップ103でパイロット媒体の基準マハラノビス距離が算出される。ステップ104の紙葉処理機構所定期間稼動後であって、ステップ105でパイロット媒体が所定枚数搬送されてステップ106でマハラノビス距離が算出された後ステップ107で算出されたマハラノビス距離が閾値以上であるかを判断して閾値以下であればステップ104に戻る。閾値以上であればステップ
108で清掃作業指示のための制御信号が発せられる。
【0045】
どこのユニットの清掃や保守作業が必要かは、マハラノビス距離を算出するために用いた通過センサ10の位置から判断する。例えば、入金部3Aの各ローラの汚れを算出する場合には、入金部3Aのすぐ下流側に設けられた通過センサ10の値を用いればよい(複数個が望ましい)。また、マハラノビス距離を算出するため、基準空間となる最初の動作時においては搬送するパイロット媒体は100枚以上が望ましい。
【0046】
本実施例において、使用するパイロット媒体は紙幣と同じ物性のものが好ましいとしたが、物性が異なる複数種類のものを用いてもよい。ただし、これらのパイロット媒体は紙幣処理機構が初期の段階や清掃直後の段階での搬送では、各々のマハラノビス距離は同じであることが必要である。しかし、紙幣処理機構2の使用につれて、搬送性能が比較的容易に悪化するものP1,中程度のものP2、あまり搬送特性が悪化しないものP3といった三種類のパイロット媒体を用いてマハラノビス距離を算出すると、各モジュールの汚れの程度が比較的簡単な動特性による評価が可能である。
【0047】
この表示は、図9に示すように現金自動取引装置1と保守サービスセンタ15間を結ぶ回線16を介して保守サービスセンタ15で行われてもよい。保守サービスセンタ15でこの表示がなされると、保守員は該当する現金自動取引装置の場所へ出向き、清掃などの保守作業を行う。このような保守システムとすることで、本当に必要な場合に装置の清掃を行うことが可能となるため保守作業の効率向上や低コスト化が可能となる。
【実施例2】
【0048】
実施例1では、パイロット媒体Pはゴムローラや搬送ベルトの汚れ検出のために搬送される例を示したが、これは例えば紙幣処理機構においてジャムが発生し、この復旧作業を行った後に搬送することで、ジャム復旧作業完了の確認手段としても用いることができる。以下、この動作を示す。
【0049】
パイロット媒体Pはジャム除去作業終了後、所定のプログラムによってパイロット媒体収納機構200から一枚ずつ繰出され、ジャムが発生した箇所へ搬送される。一例として一時スタッカ5と鑑別部4の間で紙幣ジャムが発生して復旧作業が行われた後では、紙幣は一時スタッカ5へ搬送される。その後、一時スタッカ5からパイロット媒体収納機構
200へ搬送される。この動作は、ジャムを検出した際に発生するエラー情報に基づいて制御部11がどこに紙幣を搬送するかを判断して動作を制御する。
【0050】
上述したパイロット媒体Pの搬送の際、各ユニットや搬送機構に設けられ紙幣が正常に搬送されたか否かを検出するための通過センサ10が、パイロット媒体の通過を検出する。そして通過センサ10からの信号は信号線12を通じてこの制御部11へ送られ、ここで媒体の長さ,スキュー,搬送ピッチ、および各センサ間におけるこれらの値の変動値などが算出される。
【0051】
その後、これら算出された値を用いてユニットごとにマハラノビス距離を算出する。この時算出されたマハラノビス距離が、基準の値より大きく離れている場合には、制御部
11は復旧作業が不十分と判断されて再度復旧作業の確認を行う旨の情報を出す信号を発生する。復旧作業が不十分であるとは、ジャム紙幣の破片が残留していたり搬送機構の調整が不十分であったりすることをいう。復旧作業が不十分であった場合には同じ箇所でジャムが再発する可能性がある。本実施例によれば、復旧作業の確認が容易に行うことが可能となる。
【実施例3】
【0052】
実施例1においては、紙幣処理機構2内部にパイロット媒体収納機構200を用いた例を示したが、本実施例では保守員が定期的な保守作業時に持参したり別に保管されたパイロット媒体Pを用いてマハラノビス距離の算出作業を行うようにした例である。
【0053】
この場合、図1に示すようにまず入金動作と同じように入金部3Aからパイロット媒体Pを挿入して搬送し、一時スタッカ5へパイロット媒体Pを搬送する。その後、入金収納と同じようにパイロット媒体を還流庫6へ搬送する。さらにその後、出金と同じようにパイロット媒体を出金部3Bへ搬送する。これらの動作を還流庫ごとに行うことで、紙幣処理機構2の各ユニットや搬送機構のマハラノビス距離の算出を行うことができる。
【0054】
この場合では、保守サービスセンタ15から直接作業を行うことはできない。しかし、他の方法として、例えば銀行の係員が定期的に作業を行う装填回収時に、係員が現金自動取引装置1へ紙幣を装填したり回収したりするために用いる装填回収庫8にパイロット媒体Pをあらかじめセットしておき、紙幣の装填や回収作業を行う前に、パイロット媒体Pを搬送してマハラノビス距離を算出することも可能である。
【0055】
この場合、パイロット媒体は装填回収庫8から還流庫6へ搬送され、その後、出金口
3Bへ搬送といったように、実施例1で示したものと同じようにパイロット媒体を搬送しマハラノビス距離を算出する。もっとも作業として望ましいのは、現金自動取引装置1内部に紙幣が存在しない紙幣の装填前と考えられるが、紙幣を回収する直前であっても可能である。
【0056】
他の実施例としては、パイロット媒体Pを収納する機構を特別に設けず、一時スタッカ5内部にあらかじめセットしておく方法もある。この場合、一般の紙幣取引処理時にはパイロット媒体Pの搬送は行わない。マハラノビス距離を算出する作業を行う場合に、一時スタッカ5から還流庫6、さらには出金口3Bへといったように、実施例1に示した方法と同じようにパイロット媒体Pを搬送し、終了後に一時スタッカ5へ戻す。
【0057】
なお、上述の実施例1,2では、ゴムローラや搬送ベルトの汚れを調べる指標としてマハラノビス距離を用いて行った。この方法は、単一の通過センサからの信号と正常範囲からのずれだけではわかりにくい事象を複数の通過センサからの信号情報で高精度に把握することができる。
【実施例4】
【0058】
実施例1と実施例2では、パイロット媒体Pを用いたゴムローラや搬送ベルトの汚れ検出例を示したが、本実施例ではパイロット媒体を用いない方法について説明する。
【0059】
上述したように、搬送される紙葉類が現金自動取引装置における紙幣のように様々な折れくせや剛性があるような媒体では、単に紙葉類の搬送動作中の信号に基づいた診断では、折れくせや紙葉類の剛性,紙葉表面の摩擦係数などの相違によって搬送特性が変化するため何が正しい基準であるかが明確ではなく、正確な故障診断は不可能である。したがって、これらの影響を抑制するためには多数枚の搬送状態の検出信号に基づく信号情報が必要である。しかし、単に紙幣の搬送状態の検出信号に基づくゴムローラや搬送ベルトの汚れ検出では、その検出精度が問題となる。
【0060】
そこで本実施例では、検出対象のゴムローラや搬送ベルトの表面状態を検出する検出手段を設け、この検出手段からの情報とあわせてゴムローラや搬送ベルトの汚れ検出を行うものである。
【0061】
図10は他の実施例を備えた紙幣分離機構の側面図である。
図10において、100は入出金口3や還流庫6で紙幣を一枚ずつ分離して繰出す図4に示した紙幣分離機構である。ピックアップローラ102とフィードローラ103の表面状態を検出する反射型の光センサ301を設けた実施例を示す。反射型の光センサ301は、ピックアップローラ102とフィードローラ103の外周の一部に設けられたゴム材料で構成される高摩擦部102A,103Aの表面の状態の変化を反射光で検出する。通常ゴム材料表面にインクや紙粉が付着すると光の反射光が大きくなる。反射型光センサ
301からの検出信号は、図示されない信号線を介して制御部11へ送られる。
【0062】
制御部11は、あらかじめ定められたプログラムにしたがって所定の動作時になると、紙幣の装填回収庫8から紙幣を一枚ずつ繰出し、まず一時スタッカ5へ搬送する。その後、入金収納時と同じように一時スタッカ5から最下位の還流庫6Aへ搬送される。この動作は紙幣処理機構2内に紙幣がない場合に行うのが望ましいが、紙幣が還流庫6に存在する場合であっても、あらかじめ定められた所定の枚数の紙幣を搬送するのであれば特に問題はない。この動作を行う最も適した時間は、朝、現金自動取引装置1を立ち上げ紙幣を装置内に装填する前か、あるいは午後現金自動取引装置1から紙幣を回収した後である。特に紙幣回収の後では、万一保守が必要となった場合、装置の休止期間に保守を行うことができ、利用者に不便をかけないメリットがある。
【0063】
次に紙幣は還流庫6から出金時と同じように入出金口3へ搬送される。入出金口3では、取り忘れ回収の動作が行われ、紙幣は入金部へ送られ、その後入金計数時と同じように再度一時スタッカ5へ搬送される。そして、次に先ほどの装填回収庫8へ搬送される。
【0064】
上述した紙幣の搬送の際、各ユニットや搬送機構に設けられ紙幣が正常に搬送されたか否かを検出するための通過センサ10が、紙幣の通過を検出する。そして通過センサ10からの信号は信号線12を通じてこの制御部11へ送られ、ここで媒体の長さ,スキュー,搬送ピッチ、および各センサ間におけるこれらの値の変動値などが算出される。
【0065】
本実施例では、これら算出された値を用いて、ユニットごとにマハラノビス距離を算出し、清掃が必要かどうかの判断を行う。このマハラノビス距離の算出方法は市販の文献に記載されている。この紙幣が搬送される最初の動作時に算出されたマハラノビス距離が基本となる。この時のマハラノビス距離の二乗の値は1である。
【0066】
紙幣が所定の期間搬送された後、パイロット媒体を搬送して算出したマハラノビス距離の値は次第に変化しその値は大きくなってゆく。これは、先に述べたように、長期間の使用の間に、例えば上述のピックアップローラ102やフィードローラ103の高摩擦部やゲートローラ、搬送機構9における搬送ベルト9Bや従動ローラ9Rの表面は、紙幣のインクや紙粉などが付着して摩擦係数が低下するためである。このローラやベルトの摩擦係数の低下によって紙幣を搬送させるための力や、紙幣に付与する搬送抵抗力が低下し、算出される媒体の長さ,スキュー,搬送ピッチ、および各センサ10間におけるこれらの変動値などが変化したりばらついたりする。
【0067】
図11は、マハラノビス距離とセンサ信号の関係を説明する図である。
図11において、算出されるマハラノビス距離が、実際の紙幣処理が十分に行えなくなる場合の値をあらかじめ求めておく。これは、例えば長期間使用して問題が出るようになった現金自動取引装置を用いて、紙幣を搬送しマハラノビス距離を算出することで求めることができる。そして、上述したようなマハラノビス算出動作において、あらかじめ求められ、不具合が発生する寸前のマハラノビス距離の閾値Ls以上になった場合、制御部
11はフラグ信号を発生する。
【0068】
この場合に用いるマハラノビス距離は、搬送された紙幣全体のマハラノビス距離の平均値としている。もちろんこれが他の指標であってもよい。次に制御部11は、反射型光センサ301からの検出信号を読み取る。この光センサからの検出信号も、実際の紙幣処理が十分に行えない場合の値があらかじめ求められており、その閾値Vsが制御部11に記録されている。読み取られた反射型光センサ301からの検出信号が、この閾値Vsを超えている場合、制御部11は清掃作業指示のための表示を行うための制御信号を発生する。この時のマハラノビス距離と光センサからの検出信号の示す位置は図11に示す斜線の部分である。そしてこの信号により、メイン制御装置13が表示装置1Dに清掃作業が必要であることを表示し作業者や係員に知らせる。
【0069】
図12は上述の判断方法を纏めたフロー図である。
【0070】
なお、本実施例ではゴム材質の表面状態を検出する手段として反射型の光センサを用いた例を示したが、これが表面の摩擦係数を測定する手段など他の手段であってもよいことはもちろんである。
【0071】
本実施例によれば、特別なパイロット媒体を用いることなく検出精度の高い汚れ検出が可能である。
【0072】
本発明は以上のごとく、
1.紙葉類をゴムローラやベルト等の搬送手段で搬送する紙葉類取扱装置において、前記搬送手段の汚れ状態を評価する評価媒体と、この評価媒体の収納繰出しを行う繰出し手段と、この繰出し手段から前記評価媒体の搬送を制御する制御手段と、前記評価媒体の搬送状態を検出する検出手段と、前記搬送状態から前記ゴムローラやベルト等の劣化を判断する判断手段と、この判断手段から前記ゴムローラやベルトの保守タイミングを告知する告知手段とを設けたものである。
2.前記搬送状態は前記評価媒体の通過時間,通過タイミングなどを検出するようにしたものである。
3.前記搬送状態から前記紙葉類のジャム除去作業後の搬送特性を判断する判断手段と、この判断手段によりジャム除去作業などの再作業のタイミングを告知する告知手段を設けたものである。
4.紙葉類をゴムローラやベルト等の搬送手段で搬送する紙葉類取扱装置において、前記搬送手段によって搬送される紙葉類の搬送状態を検出する通過センサと、この通過センサからの信号を入力として前記紙葉類の変動値を算出する制御部と、前記変動値から前記ゴムローラやベルト等の劣化を判断する判断手段と、この判断手段から前記ゴムローラやベルトの保守タイミングを告知する告知手段とを設けたものである。
5.現金自動取引装置,複写装置などの紙葉類をゴムローラやベルトなどの手段で搬送して処理する紙葉類取扱装置の保守システムにおいて、前記ゴムローラやベルトの汚れ状態を評価するためにあらかじめ定められた均一な評価用媒体と、該評価媒体を収納し繰出す手段と、該評価用媒体をあらかじめ定められた時期やタイミングで装置全体、あるいは装置の一部を搬送させる制御手段と、搬送される評価媒体の通過時間,通過タイミングなどの搬送状態を検出する検出手段と、該検出手段によって検出された搬送状態の信号データを基に、ゴムローラや搬送ベルトなどの搬送手段の特性劣化を判断する判断手段と、該判断手段により清掃などの保守作業が必要と判断された場合には保守作業が必要であることを係員や利用者に告知する告知手段を設けたものである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施例としての紙幣処理機構の構成図である。
【図2】本発明の一実施例としての現金自動取引装置の構成図である。
【図3】紙幣処理機構における紙幣の流れの説明図である。
【図4】一実施例としての紙幣分離機構の説明図である。
【図5】一実施例としての紙幣搬送機構の説明図である。
【図6】一実施例としてのパイロット媒体収納機構の説明図(分離時)である。
【図7】一実施例としてのパイロット媒体収納機構の説明図(収納時)である。
【図8】清掃作業が必要かどうかの判断を行うためのフロー図である。
【図9】本発明の一実施例としての保守システムの説明図である。
【図10】一実施例としての紙幣分離機構説明図である。
【図11】マハラノビス距離とセンサ信号の関係を説明する図である。
【図12】清掃作業が必要かどうかの判断を行うためのフロー図である。
【符号の説明】
【0074】
1…現金自動取引装置、2…紙幣処理機構、3…入出金口、4…鑑別部、5…一時スタッカ、6…還流庫、7…リジェクト庫、8…装填回収庫、9…搬送機構、10…通過センサ、11…制御部、12…信号線、13…メイン制御装置、15…保守サービスセンタ、
16…回線、1D…表示装置、200…パイロット媒体収納機構、201…パイロット媒体、301…反射型光センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類をゴムローラやベルト等の搬送手段で搬送する紙葉類取扱装置において、
前記搬送手段の汚れ状態を評価する評価媒体と、この評価媒体の収納繰出しを行う繰出し手段と、この繰出し手段から前記評価媒体の搬送を制御する制御手段と、前記評価媒体の搬送状態を検出する検出手段と、前記搬送状態から前記ゴムローラやベルト等の劣化を判断する判断手段と、この判断手段から前記ゴムローラやベルトの保守タイミングを告知する告知手段とを設けたことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項2】
請求項1記載の紙葉類取扱装置において、
前記搬送状態は前記評価媒体の通過時間,通過タイミングなどを検出することを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項3】
請求項1記載の紙葉類取扱装置において、
前記搬送状態から前記紙葉類のジャム除去作業後の搬送特性を判断する判断手段と、この判断手段によりジャム除去作業などの再作業のタイミングを告知する告知手段を設けたことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項4】
紙葉類をゴムローラやベルト等の搬送手段で搬送する紙葉類取扱装置において、
前記搬送手段によって搬送される紙葉類の搬送状態を検出する通過センサと、この通過センサからの信号を入力として前記紙葉類の変動値を算出する制御部と、前記変動値から前記ゴムローラやベルト等の劣化を判断する判断手段と、この判断手段から前記ゴムローラやベルトの保守タイミングを告知する告知手段とを設けたことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項5】
現金自動取引装置,複写装置などの紙葉類をゴムローラやベルトなどの手段で搬送して処理する紙葉類取扱装置の保守システムにおいて、
前記ゴムローラやベルトの汚れ状態を評価するためにあらかじめ定められた均一な評価用媒体と、該評価媒体を収納し繰出す手段と、該評価用媒体をあらかじめ定められた時期やタイミングで装置全体、あるいは装置の一部を搬送させる制御手段と、搬送される評価媒体の通過時間,通過タイミングなどの搬送状態を検出する検出手段と、該検出手段によって検出された搬送状態の信号データを基に、ゴムローラや搬送ベルトなどの搬送手段の特性劣化を判断する判断手段と、該判断手段により清掃などの保守作業が必要と判断された場合には保守作業が必要であることを係員や利用者に告知する告知手段を設けたことを特徴とする紙葉類取扱装置の保守システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−210718(P2007−210718A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30388(P2006−30388)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】