紙葉類取扱装置及び方法
【課題】
所定の場合、折れ紙幣を利用者に返却せずに装置に取り込むことで、利用者の手間を軽減する。
【解決手段】
紙幣の厚みを検知する厚みセンサ401と、紙幣の形状及び表面の画像を取得する光センサ405,406と、厚みセンサ及び光センサによって得られた信号を用いて紙幣の折れの場所と向きを判定する判別部と、判別部による判定の結果、紙幣に在る折れの場所と向きが、その紙幣の前又は後に在る紙幣との関係において搬送途上に重送を発生しないと判断した場合、その紙幣を利用者に返却しないで装置内に取り込むように制御する制御部と、を有する。
所定の場合、折れ紙幣を利用者に返却せずに装置に取り込むことで、利用者の手間を軽減する。
【解決手段】
紙幣の厚みを検知する厚みセンサ401と、紙幣の形状及び表面の画像を取得する光センサ405,406と、厚みセンサ及び光センサによって得られた信号を用いて紙幣の折れの場所と向きを判定する判別部と、判別部による判定の結果、紙幣に在る折れの場所と向きが、その紙幣の前又は後に在る紙幣との関係において搬送途上に重送を発生しないと判断した場合、その紙幣を利用者に返却しないで装置内に取り込むように制御する制御部と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙葉類取扱装置及び方法に係り、特に現金自動取引装置(ATMという)で取り扱われる、一部に折れがある紙幣の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
ATMが処理する大量の紙幣の中に、折れが在る紙幣(折れ紙幣)が含まれている場合、その折れた部分が他の紙幣をひっかけて、紙幣の重送を発生させ、紙幣の搬送を不安定にする。折れ紙幣はATMの安定的な稼動を妨げる原因となる。そこで、利用者が入金した紙幣に折れ紙幣が検知されると、一般的に折れ紙幣は装置内に取り込まずに、利用者に返却している。
【0003】
折れ紙幣の取扱いに関して、例えば、特許文献1には、紙幣の角折れ判別において確認された角折れが次回の紙幣繰り出し時に、角折れが原因で重送繰り出しが発生しない部位にあるときには、その紙幣をそのまま再使用収納部に収納する紙幣処理装置が開示されている。
また、特許文献2には、利用者が入金した紙幣に折れがあると判定した場合に、折れ紙幣を利用者に返却して折れ修正させた後に再投入させることで、折れ修正処理を行う装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特許第4053539号公報(PCTWO2004/22465)
【特許文献2】特開2007−18170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ATMの入金取引において、折れ紙幣と判定された紙幣が返却されると、利用者は紙幣の折れ部分を一々修正する必要があり手間がかかる。更に、折れを修正した紙幣を再び入金するとなるとATMの操作時間も増える。そのため、紙幣の折れが検知されたからといって、全ての折れ紙幣を返却することは利用者の利便性を損ない、引いてはATMの稼働率を低下させることになる。
【0006】
本発明の目的は、所定の場合に折れ紙幣を利用者に返却しないで装置内に取り込み、利用者の手間を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による紙葉類取扱装置は、好ましくは、利用者に使用される複数枚の紙葉類を取り扱う紙葉類取扱装置であって、該紙葉類の厚みを検知する第1のセンサと、紙葉類の形状及び表面の画像を取得する第2のセンサと、該第1及び第2のセンサによって得られた情報を用いて紙葉類の折れの場所と向きを判定する判別部と、該判別部による判定の結果、該紙葉類に在る折れの場所と向きが、該紙葉類の前又は後に在る紙葉類との関係において所定の状態にある場合、該紙葉類を利用者に返却しないで、装置内に取り込むように制御する制御部と、を有することを特徴とする紙葉類取扱装置として構成される。
【0008】
好ましい例では、該紙葉類取扱装置は、利用者によって入金された紙幣を一時保管する一時保管庫と、該一時保管庫と搬送路を介して接続される、出金用として利用可能な紙幣を保管する金種別の複数の収納庫を有し、
前記判別部は、入金された紙幣の中に折れの在る紙幣(折れ紙幣という)の折れの場所と向きが、該折れ紙幣の前又は後に在る紙幣との関係において、該一時保管庫から該収納庫への紙幣の搬送途上で重送が発生するおそれがあると判断した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を利用者に返却するように搬送し、重送が発生しないと判断した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を該一時保管庫に搬送する。
【0009】
また、好ましくは、該紙葉類取扱装置は紙幣の高さが異なる複数種の紙幣を取り扱うものであり、前記判別部は、該第1のセンサによって得られた信号を用いて折れ紙幣と判定した場合であっても、該折れ紙幣の折れの場所と折れの向き、及び該折れ紙幣の高さと該折れ紙幣の前又は後に搬送される紙幣の高さとの関係において、重送が発生するおそれがあると判定した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を利用者に返却するように搬送し、重送が発生しないと判定した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を該一時保管庫に搬送する。
【0010】
また、好ましくは、該判別部によって判定された、複数枚の紙幣の折れの場所、折れの向き、及び紙幣の高さに関する情報を、紙幣ごとに順に記憶する記憶部と、を有する。
また、好ましくは、該紙葉類取扱装置は、出金用に供しない紙幣を収納するリジェクト庫を更に有し、該一時保管庫に収納された紙幣を該収納庫に搬送して収納するとき、前記判別部が、該一時保管庫から搬送される紙幣を折れ紙幣と判断した場合、該制御部は該折れ紙幣を該リジェクト庫へ搬送するように制御し、該制御部は、該判別部が折れ紙幣と判断しない紙幣を、いずれかの保管庫へ搬送するように制御する。
【0011】
本発明による紙葉類処理方法は、好ましくは、利用者に使用される複数枚の紙葉類を取り扱う紙葉類取扱装置における紙葉類処理方法であって、紙葉類を搬送する搬送路に配置された第1のセンサで該紙葉類の厚みを検知するステップと、該搬送路に配置された第2のセンサで該紙葉類の形状及び表面の画像を取得するステップと、該第1及び第2のセンサによって得られた情報を用いて紙葉類の折れの場所と向きを判定するステップと、該判定の結果、該紙葉類に在る折れの場所と向きが、該紙葉類の前又は後に在る紙葉類との関係において所定の状態にある場合、該紙葉類を利用者に返却しないで、装置内に取り込むように制御するステップと、を有することを特徴とする紙葉類処理方法として構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、折れ紙幣と判定された場合、その折れ紙幣の前又は後に在る紙幣との関係が所定の状態にあるとき、その折れ紙弊を利用者に返却しないで、装置内に取り込むことで、利用者による折れ紙幣の折れの修正や再度入金処理に要する手間を省くことができる。これによりATMの待ち時間を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は一実施形態によるATMに適用された紙幣取扱装置を示す。この図において、1は入出金部、2は装置内の関係する部位に紙幣を搬送する搬送路、3は紙幣の金種、真偽、種類、厚みを判別し、更に、厚みと光学センサで読み取った情報から、角折れの向きを判定するための判別部、4は入金又は出金する紙幣を一時的に保管する一時保管庫、5は再利用しない紙幣(リジェクト紙幣という)を収納するためのリジェクト庫、6は搬送路2の各所に設置された、紙幣の通過を検知する通過センサ、7は紙幣の搬送方向を切り換えるゲート、8、9はそれぞれ金種の異なる紙幣を収納する収納庫である。紙幣を出金するときは収納庫8又は9から紙幣を送り出す。10は入出金部1に配置された、入金時等に利用者が紙幣をセットするホッパ、11は主にリジェクトされた紙幣を利用者に返却するリジェクトスタッカである。
【0014】
この紙幣取扱装置における紙幣の入金取引の動作について概略説明する。
入金取引において、利用者は入出金部1のホッパ10に紙幣を投入する。紙幣はホッパ10から1枚ずつ分離して搬送路2に送り出される。判別部3は紙幣の金種、真偽、折れ等の状態を判定し、紙幣の収納先を決定する。真と判別された紙幣は一時保管庫4に送られ、そこに一時的に保管される。折れ紙幣であって一定の条件を満たすものは一時保管庫4に保持される(この条件については後述する)。それ以外の紙幣、例えば金種が不明な紙幣や寸法が異常な紙幣はリジェクト紙幣として、入出金部1のリジェクトスタッカ11に戻されて、利用者に返却される。
【0015】
利用者の操作入力によって入金確認が行なわれると、一時保管庫4に一時保管された紙幣は搬送路2に繰り出される。搬送路2に搬送される紙幣の状態は通過センサ6で監視され、判別部3で再度判定される。判別部3による金種の判別結果に従って、収納先となる収納庫に対応するゲート7を切り替えて、収納庫8又は9に収納される。また、折れや汚れや破れがあって再利用できない紙幣はリジェクト券と判定されて、リジェクト庫5に収納される。
【0016】
図2はATMの制御ブロックを示す。
ATM100は、紙幣を処理する紙幣取扱装置104、通帳を取り扱う通帳取扱部109、取引明細票を発行する明細票発行部110、取引用のキャッシュカードを取り扱うカード取扱部111、利用者や係員に操作の案内や取引情報を表示する案内画面及び操作用パネルを有する操作部113、プログラムや取引されるデータ等を記憶する本体メモリ113、及びATM内の各ユニットを制御する本体制御部114、を有して構成される。このATM100は、ネットワークを介して、利用者の取引情報を管理するホストコンピュータ(図示せず)に接続される。本体制御部114は、各ユニットの制御及びホストコンピュータとのデータの送受信を制御するためのプログラムを実行するプロセッサ(図示せず)を有している。
【0017】
紙幣取扱装置104は、所定のプログラムの実行によって、紙幣の搬送を含む紙幣の処理全般の制御を行なうプロセッサ105と判別部106を有する。プロセッサ105は紙幣の処理を行う制御部として機能する。
判別部106は、固有の判別部プロセッサ107と判別部メモリ108を有する。判別部プロセッサ107は、所定のプログラムの実行によって、紙幣の金種、真偽、種類、状態を判別し、紙幣の折れの場所、折れ向き、紙幣の高さ(紙幣の幅)を判定する。判別部メモリ108は、光センサ405,406(図4)によって取得される紙幣の画像情報を記憶する他に、紙幣の折れの場所、折れ向き、紙幣の高さ、搬送先などを記憶する。なお、紙幣の判定結果の記憶については図11を参照して後述する。また、入金紙幣の処理及び折れ紙幣の処理については、図12〜図14を参照して後述する。
【0018】
図3は判別部3の構成を示す。(A)は平面図、(B)は側面図である。
判別部3において、紙幣300は矢印の方向(紙幣の幅方向)へ搬送される。搬送路2には、紙幣の搬送を案内する複数のローラ401、402、403、404が配置される。ローラ402−404の少なくとも1つは紙幣に搬送の駆動力を与える。ローラ401は紙幣の厚みを検知するセンサの機能を有する厚み検知ローラである。厚み検知ローラ401は、例えばコイルが内臓された多数個のローラが、搬送される紙幣の長さ方向に配列され、かつ搬送路2の上下に1対のローラ組が100μm程度の間隔で配置される。紙幣の通過に伴って発生する起電力を検知することで、紙幣の厚みを検知する。紙幣の端部に折れが在ると、その折れに対応したローラの起電力が変化するので、折れを厚みとして検知する。
【0019】
図示のように、折れのある紙幣300が搬送されると、ローラ401(複数のローラの対応する部分のローラ)は折れている部分Xを紙幣2枚分の厚さと検知され、折れ部分X以外の部分は1枚分の厚さと検知する。ローラ401に接触しない紙幣の部分は、その厚みが検知されない。
【0020】
搬送路2の上側及び下側には、紙幣の画像を検知する反射式の光学センサ405、406が配置される。光学センサ405,406は紙幣の長さ方向の画像を読み取る、多数のセンサ素子から成るイメージセンサであり、光学センサ405は紙幣の上面の画像を読み取り、センサ406は紙幣の下面の画像を読み取る。
なお、搬送路2の上下の隙間407は間隔dを保ち、搬送ローラ402、403、404で押しつぶされた紙幣の折れ部分は、光学センサ405,406の位置(隙間407の場所)で開く。この開いた折れ部分の画像も光学センサによって検知される。
【0021】
図4は判別部3内を通過する折れ紙幣の状態を示す。
搬送路2の隙間407に折れ紙幣が入って(A)搬送ローラ404に達すると、紙幣の折れ部分Xはローラにつぶされる(B)。折れ部分Xが搬送ローラ404を越えると、折れ部分Xは再び開いて、その折れ部分Xが搬送路2の上面を押し、紙幣の下面が光学センサ406に近くなる(C)。その後、紙幣が搬送ローラ403に達すると、折れ部分Xは再びつぶされ、紙幣は光学センサ406から遠ざかる(D)。
【0022】
紙幣の先端がローラ403を越えると、紙幣の折れ部分Xが開いて、その折れ部分Xが搬送路2の上面を押し、折れ部分Xは光学センサ405に近づく。一方、折れ部分で無い部分は光学センサ405から遠くなる(E)。紙幣の先端が搬送ローラ402に達すると、折れ部分Xはローラにつぶされ(F)、折れ部分Xが無い部分の紙幣は光学センサ405との距離が近くなる(G)。
【0023】
図5は光学センサで検知される紙幣の画像データを示す。
(A)のように、紙幣が光学センサ406を通過するときに、折れ部分Xは光学センサ406に近づくため、部分601及び602は光学センサの反射光が強くなり、センサの出力は高くなる。
【0024】
(B)のように、光学センサ405を紙幣の折れ部分が通過するとき、折れ部分Xは搬送路の上面に当たり、折れ部分は光学センサ405に近づくため、光学センサの反射光は強くなり、部分603のセンサ出力は高くなる。一方、折れ部分Xの周辺604は光学センサ405から距離が遠くなるので、部分604付近は、部分603よりセンサの出力は低くなる。これら部分601〜604の光学センサの出力と、厚み検知ローラ401のセンサ出力とを利用することにより、折れ部分が紙幣の表裏の何れに在るか、折れ部分が紙幣の何れの角に在るか(折れの場所),及び紙幣の搬送方向と折れの場所から折れ部分が紙幣の搬送方向に対して何れを向いているか(折れの向き)を検知することができる。
【0025】
図6は一時保管庫4に保管される紙幣の状態を示す。
図6(A)示すように、紙幣の入金時には、一時保管庫4の搬送ローラ501は矢印Q方向へ回転して、紙幣を一時保管庫4に取り込む。一時保管庫の入り口に配置されたシートローラ502は、回転軸の周りにやわらかいシート状の羽が着いており、その羽で一時保管庫4に入ってきた紙幣を1枚ずつ押し板503に押し付ける。複数の紙幣(301〜302)が押し板503に順次押し付けられながら、押し板503は後方(矢印R方向)へ移動し、一時保管庫4内に多数枚の紙幣が保管されていく。
【0026】
一時保管庫4から紙幣が繰り出される時には、搬送ローラ501とシートローラ502が逆転して、押し板503を前方(矢印Rと逆方向)に移動させる。図示の例では、1枚目紙幣301、2枚目紙幣302、3枚目紙幣303の順に一時保管庫4に入れられた後、繰り出し時には逆に、3枚目紙幣303から先に、2枚目紙幣302、1枚目紙幣301の順に、一時保管庫4から繰り出される。
【0027】
ここで、図6(B)に示すように、紙幣の高さ(幅方向の長さ)をhとし、折れの向きについては、それぞれ(1)後ろ向き、(2)前向き、と規定する。図示の例では、折れは紙幣の上部にある。日本の紙幣の高さhは、紙幣の金額の違いによって差はないが、ユーロ紙幣の高さhは金額によって差がある。
【0028】
図7は紙幣の上側に折れ部分がある入金紙幣が一時保管庫4に入る時の状態を示す。いずれの場合も2枚目紙幣の上部に下向きの折れがある。例えば、紙幣高さhが大きい紙幣は500ユーロ紙幣、hが小さい紙幣は50ユーロ紙幣である。
(A)は、1枚目紙幣301の高さhが2枚目紙幣302の折れ部分より低く、2枚目紙幣302の折れ部分Xが一時保管庫4の奥に向いている(後向き)場合である。この場合、一時保管庫4から紙幣を繰り出す時に、2枚目紙幣302から先に繰り出すので、紙幣302の折れ部分Xが1枚目紙幣301にひっかかり、重送が発生するおそれがある。そのため、2枚目紙幣302は一時保管庫4に保管すべきでは無く、利用者へ返却される。
【0029】
(B)は、2枚目紙幣302の折れ部分Xが、(A)と同様に、一時保管庫4の奥に向いているが、2枚目紙幣302の折れ部分Xの高さは1枚目紙幣301の高さhより低い場合である。この場合、2枚目紙幣302から順に一時保管庫4から繰り出しても、2枚目紙幣の折れ部分Xが1枚目紙幣301に引っかかることがないので、重送は発生しない。そこで、この場合には、2枚目紙幣302を利用者に返却しないで、一時保管庫4に取り込む。
【0030】
(C)は、2枚目紙幣302が一時保管庫4の前を向いている(前向き)場合である。この場合、一時保管庫4から、3枚目紙幣303が先に繰り出されるので、折れ部分Xがひっかかることがない。この場合も同様に一時保管庫4に取り込む。
(D)のように、3枚目紙幣303の高さが低い場合、3枚目紙幣303から先に繰り出されるので、2枚目紙幣302の折れ部分Xにひっかかることがない。この場合も同様に一時保管庫4に取り込む。
【0031】
上記のことから、紙幣の上部に折れがある紙幣を一時保管庫4に入れた場合、(A)の状態にならなければ、折れ紙幣を一時保管庫4に取り込んでも良いことになる。これらの状態をテーブルに示すと、図8のようになる。即ち、前の紙幣よりも後の紙幣の高さが高い場合であって後の紙幣の折れが後ろ向きの場合(A状態)には、その折れ紙幣をリジェクトスタッカ11に搬送して利用者に戻すが、それ以外は、一時保管庫4に取り込むのが好ましい。
【0032】
このように、折れ紙幣が検知されても、その紙幣の前後にある紙幣の高さと折れの向きとの関係で、状態(A)の折れ紙幣は返却し、他の状態の紙幣は保管庫に取り込むように搬送制御することができる。これによって、折れ紙幣に起因する紙幣の重送を防止でき、かつ保管庫に収納した折れ紙幣はその後出金のために再利用することできる。
【0033】
次に、図9を参照して、紙幣の下側に折れ部分がある入金紙幣が一時保管庫4に入る時の状態について説明する。いずれの場合も2枚目紙幣の下部に折れがある。
(A)(B)の場合、一時保管庫4から2枚目紙幣302が先に繰り出されるので、1枚目の紙幣に引っかかることはない。
(C)(D)の場合、一時保管庫4から3枚目紙幣303が繰り出されても、2枚目紙幣302に引っかかることはない。
【0034】
上記から、紙幣の下部に折れ部分Xがある紙幣は一時保管庫4に取り込んでも良いことになる。これらの状態をテーブルに示すと、図10のようになる。
しかし、(D)のように、3枚目紙幣303の高さが極端に低い場合、一時保管庫4内での挙動が不安定なことが考えられるので、2枚目紙幣302の折れ部分Xに、3枚目紙幣303が乗るおそれを考慮して、紙幣の下部に折れ部分Xがあり、かつ折れの向きが一時保管庫4の前向きの場合、その折れ紙幣を利用者に返却してもよい。
【0035】
更に、他の例として、図9(C)(D)の場合、3枚目紙幣の上側に後向きの折れがある場合、例え3枚目紙幣を先に繰り出しても、3枚目紙幣の折れと2枚目紙幣の折れが引っかかって重送が発生するおそれがある。この場合、3枚目紙幣は一時保管庫4に取り込まないで、利用者へ返却するのがよい。2枚目紙幣は重送を発生させないので、一時保管庫4に取り込む。この場合、2枚目紙幣と3枚目紙幣の高さには関係なく、双方の紙幣の折れの位置と向きに従って、後の紙幣(3枚目紙幣)を一時保管庫4に取り込むか否かを判断することになる。
【0036】
図11は判別部3内の判別部メモリ108の記憶形式を示す。
入金された紙幣が判別部3を通過する度に、光学センサ及び厚み検知ローラによって取得された情報を用いて、折れの場所、折れの向き、紙幣高さを判定して、紙幣の搬送先を、判別部メモリ108に記憶する。折れの場所は厚み検知ローラ401と光センサ405,406の情報から、折れの向き及び紙幣高さは光センサの情報から、それぞれ判定される。
紙幣の搬送先として、重送が発生する状態にある紙幣はリジェクトスタッカ11へ搬送して利用者に返却し、重送のおそれの無い状態にある紙幣は一時保管庫4に取り込む。
【0037】
次に、図12〜図14を参照して、紙幣の処理について説明する。
まず、図12を参照して、入金時における紙幣の処理について説明する。
利用者が操作部203を操作して入金取引を選択すると(S1001)、本体制御部114は入金処理動作をするように紙幣取扱装置104のプロセッサ105に対して指示を出す。プロセッサ105は、判別部3のプロセッサ107に対して判別部メモリ108を初期化するよう指示する(S1002)。本体制御部114は紙幣取扱装置104のプロセッサ105に対して、利用者がホッパ10にセットした紙幣を入出金部1から搬送路2へ繰り出すよう指示を出す(S1003)。すると、プロセッサ105の制御の下、紙幣は入出金部1から1枚ずつ、搬送路2へ繰り出される。
【0038】
紙幣は搬送路2を搬送されて判別部3を通過する。そこで、厚み検知ローラ401によって厚みが検知され、光学センサ405,406によって紙幣の画像が読み取られる(S1004)。判別部3は、厚みローラ及び各光センサで取得された情報を用いて、金種、真偽、損券の判別する(S1005)。判別処理の結果、紙幣が搬送途上でスキュー異常(傾き異常)、シフト異常、重送異常(重なり)と判定された場合、その紙幣はリジェクトスタッカ11に送られ、利用者に返却される(S1006、S1011)。また、真券でない紙幣や金種が判別できないと判定された紙幣もリジェクトスタッカ11に送られ、利用者に返却される(S1007、S1011)。
【0039】
次に、真券であると判別された紙幣については折れ判定処理を行う。その判定結果は判別部メモリ108に折れの場所、折れ向き、紙幣高さを記憶する(図11参照)(S1008)。折れがある紙幣については、図8、図10に示す条件に従って搬送先を決定し、判別部メモリ108に当該折れ紙幣の搬送先を記憶する。折れ判定処理の結果、その紙幣の搬送先が一時保管庫4の場合、その紙幣を一時保管庫4へ搬送して保管する(S1010)。また、紙幣の搬送先がリジェクトスタッカ11の場合、その紙幣をリジェクトスタッカ11へ搬送して利用者に返却する(S1011)。なお、折れ紙幣の処理については、図14を参照して後述する。
以上の処理(S1003からS1011)をホッパ10内の入金紙幣が無くなるまで繰り返す(S1012)。
【0040】
次に、図13を参照して、一時保管庫4に保管された紙幣を収納庫8又は9へ搬送する場合の動作について説明する。
利用者が操作部203を操作して確認入力すると、入金取引が確定する。そして、一時保管庫4内の紙幣を、金種別の収納庫へ収納する動作が開始する(S2001)。本体制御部114は一時保管庫4の紙幣を収納庫8又は9に収納するように、紙幣取扱装置104のプロセッサ105に指示を出す。すると、プロセッサ105は、判別部3のプロセッサ107に対して、判別部メモリ108を初期化するように指示する(S2002)。この指示に従い、図8のテーブルの内容は消去される。テーブルは次の利用者による入金取引に備えてスタンバイ状態となる。
【0041】
一時保管庫4内の紙幣は1枚ずつ搬送路2に繰り出される(S2003)。搬送路2を搬送される紙幣は判別部3を通過し、そこで厚み検知ローラ401によって厚みが検知され、光学センサ405,406によって紙幣の画像が読み取られる(S2004)。判別部3は、ローラ401及び光センサ405,406によって取得された情報を用いて、紙幣の金種、真偽、損券を判別処理する(S2005)。判別処理の結果、紙幣が搬送途上でスキュー異常(傾き異常)、シフト異常、重送異常と判定された場合、その紙幣はリジェクト庫5に搬送してそこに収納される(S2006、S2011)。真券でない紙幣や金種が判別できない紙幣も同様にしてリジェクト庫5に収納される(S2007、S2010)。
【0042】
次に、真券と判別された紙幣については折れ判定を行う。その判定結果は入金時の処理と同様に、判別部メモリ108に折れの有無、折れ向き、紙幣の高さ、搬送先を記憶する(S2008)。しかし、紙幣の収納時は判別部メモリ108に記憶した搬送先の情報は使わず、紙幣に折れがあった場合、折れの向きに関係なくリジェクト庫5に入れ、次の取引から利用者の手に渡らないようにする(S2009)。これにより、折れ紙幣が流通する機会が減り、その後の入金取引において紙幣の重送が発生する可能性を減らすことができる。
真券で折れが無いと判定した紙幣は収納庫8又は9に収納され、その後の取引で出金用紙幣として利用される(S2010)。
以上の処理(S2003からS2011)を一時保管庫4内の紙幣が無くなるまで繰り返す(S2012)。
【0043】
次に、図14を参照して、折れ判定処理について説明する。
厚み検知ローラ401で取得された紙幣全面の厚さ情報から、紙幣の一部に厚い部分が在るかを調べる。厚い部分が検出されない場合は、判別部メモリ108に紙幣の搬送先を一時保管庫4と記憶して判定処理を終了する(S2101)。
厚み検知ローラ401で検知された厚さ情報によって紙幣の一部に厚い部分があると検知された場合(S2101Y)、更に光学センサ405、406で取得された紙幣の画像から、紙幣の形状を調べて、紙幣の角に厚い部分が無いか調べる(S2102)。角に厚い部分があると判断した場合であっても、角の折れではなくて紙幣に付着物が着いていて厚いと判断したときには、判別部メモリ108に紙幣の搬送先を一時保管庫4と記憶して判定処理を終了する(S2102)。
【0044】
折れ紙幣が一時保管庫4に入ったとき、折れ部分Xが下になる場合は図10のように、判別部メモリ108に紙幣の搬送先を一時保管庫4と記憶して判定処理を終了する(S2103)。厚い部分の周辺604付近の光センサの出力が、紙幣が折れていない時の出力よりも低い場合、折れ部分Xが搬送路の上面を押して、光学センサからの距離が遠くなったと考えられる。また、厚い部分の周辺604付近の光センサの出力が、紙幣が折れていない時のセンサ出力よりも高い場合、折れ部分Xが搬送路の下面を押して、光学センサからの距離が近くなったと考えられる(S2104)。
【0045】
また、604付近の裏側にあたる601、602付近のセンサ出力が、紙幣が折れていない時のセンサ出力より高い場合、折れ部分Xが搬送路の上面を押して、光学センサからの距離が近くなったと考えられる。601、602付近のセンサ出力が、紙幣が折れていない時のセンサ出力と同じか低い場合、折れている向きを充分に確認できないので、安全のために紙幣の搬送先をリジェクトスタッカ11とする(S2105)。
処理S2104とS2105の条件を共に満たした場合、折れ向きは搬送路の上向きと判断でき、紙幣の搬送先を一時保管庫4として判別部メモリ108に記憶し、判定処理を終了する(S2106)。
【0046】
次に、604付近のセンサ出力が低くないとき、604の裏側にあたる602付近のセンサ出力をチェックし、602付近のセンサ出力が、紙幣が折れていない時のセンサ出力より低い場合、折れている場所が搬送路下面を押して、光学センサからの距離が遠くなったと考えられる。604付近も602付近もセンサの出力が低くない場合、折れている向きを充分に確認できないので、安全のために紙幣の搬送先をリジェクトスタッカ11とする(S2107)。
【0047】
602付近の裏側にあたる603、604付近のセンサ出力が、紙幣が折れていない時のセンサ出力より高い場合、折れ部分Xが搬送路の下面を押して、光学センサからの距離が近くなったと考えられる。603、604付近のセンサ出力が、紙幣が折れていない時のセンサ出力と同じか低い場合、折れている向きを充分に確認できないので、安全のために紙幣の搬送先をリジェクトスタッカ11とする(S2108)。
【0048】
S2107とS2108の条件を共に満たした場合、折れ向きは搬送路の下向きと判断できる(S2109)。折れ向きが搬送路下向きの場合、一時保管庫4では折れ後向きとなり、1枚前の紙幣の高さによっては、一時保管庫4に入れられない。当該紙幣の前に紙幣が一時保管庫4に入っていなければ、折れ後向きの紙幣は重送が発生しないので、紙幣の搬送先を一時保管庫4として判別部メモリ108に記憶して、判定処理を終了する(S2110)。
一時保管庫4に紙幣が入っている場合は、判別部メモリ108の当該紙幣の紙幣高さ情報と、1枚前の紙幣の紙幣高さ情報を比較して、1枚前の紙幣の高さが当該紙幣より低いときは重送を発生させるおそれがあるので、当該紙幣の搬送先をリジェクトスタッカ11として判別部メモリ108に記憶する(S2113)。1枚前の紙幣の高さが当該紙幣より高い場合は重送が発生しないので、当該紙幣の搬送先を一時保管庫4として判別部メモリ108に記憶する(S2112)。
【0049】
以上のようにして、紙幣の角が折れていて一般的には返却するような紙幣であっても、折れの場所及び向きが、1枚前に搬送した紙幣の大きさとの関係において重送を発生しないと判断した場合、その紙幣を利用者に返却せずに装置内に取り込むことで、ATMの稼働率を向上させることができる。当該折れ紙幣を利用者へ返却しないので、利用者による折れ紙幣の折れの修正や再度の入金処理のための時間を省略することができる。
【0050】
なお、本発明に係る紙葉類取扱装置は、上記実施例に限定されずに種々変形、応用して実施することができる。
例えば、上記実施例は、紙幣の入出金機能を有するATMに適用した例であるが、本発明は、紙幣の取扱いに限らず、例えば、小切手や宝くじ等の有価証券の出し入れ時における折れ有価証券の処理等にも適用可能である。
また、上記実施例では、判別部メモリ内に保持される図11のテーブルの内容は、紙幣が一時保管庫4から収納庫8又は9に搬送される時に消去されるとした。しかし、このテーブルの内容は消去せずに、その後一定期間保持するようにしてもよい。
また、図11のテーブルの形式は一例であって、種々変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】一実施形態による紙幣取扱装置の構成を示す図。
【図2】ATMの制御ブロックを示す図。
【図3】判別部3の構成を示す図。
【図4】判別部3を通過する折れ紙幣の状態を示す図。
【図5】光学センサで検知される紙幣の画像データを示す図。
【図6】一時保管庫4における紙幣の取り扱いを示す図。
【図7】一時保管庫4に保管される紙幣の状態(例1)を示す図。
【図8】図7の折れ紙幣の搬送先を示すテーブル図。
【図9】一時保管庫4に保管される紙幣の状態(例2)を示す図。
【図10】図9の折れ紙幣の搬送先を示すテーブル図。
【図11】判別部メモリ108の記憶形式を示す図。
【図12】入金時における紙幣の処理フローを示す図。
【図13】一時保管庫4から収納庫へ紙幣を収納するときの処理フローを示す図。
【図14】紙幣の折れ判定処理のフローを示す図。
【符号の説明】
【0052】
1:入出金部 2:搬送路 3:判別部 4:一時保管庫 5:リジェクト庫 6:通過センサ 7:ゲート 8、9:収納庫 10:ホッパ 11:リジェクトスタッカ
100:ATM 104:紙幣取扱装置 106:判別部 108:判別部メモリ 401:厚み検知ローラ 402〜404:搬送ローラ
405、406:光学センサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は紙葉類取扱装置及び方法に係り、特に現金自動取引装置(ATMという)で取り扱われる、一部に折れがある紙幣の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
ATMが処理する大量の紙幣の中に、折れが在る紙幣(折れ紙幣)が含まれている場合、その折れた部分が他の紙幣をひっかけて、紙幣の重送を発生させ、紙幣の搬送を不安定にする。折れ紙幣はATMの安定的な稼動を妨げる原因となる。そこで、利用者が入金した紙幣に折れ紙幣が検知されると、一般的に折れ紙幣は装置内に取り込まずに、利用者に返却している。
【0003】
折れ紙幣の取扱いに関して、例えば、特許文献1には、紙幣の角折れ判別において確認された角折れが次回の紙幣繰り出し時に、角折れが原因で重送繰り出しが発生しない部位にあるときには、その紙幣をそのまま再使用収納部に収納する紙幣処理装置が開示されている。
また、特許文献2には、利用者が入金した紙幣に折れがあると判定した場合に、折れ紙幣を利用者に返却して折れ修正させた後に再投入させることで、折れ修正処理を行う装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特許第4053539号公報(PCTWO2004/22465)
【特許文献2】特開2007−18170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ATMの入金取引において、折れ紙幣と判定された紙幣が返却されると、利用者は紙幣の折れ部分を一々修正する必要があり手間がかかる。更に、折れを修正した紙幣を再び入金するとなるとATMの操作時間も増える。そのため、紙幣の折れが検知されたからといって、全ての折れ紙幣を返却することは利用者の利便性を損ない、引いてはATMの稼働率を低下させることになる。
【0006】
本発明の目的は、所定の場合に折れ紙幣を利用者に返却しないで装置内に取り込み、利用者の手間を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による紙葉類取扱装置は、好ましくは、利用者に使用される複数枚の紙葉類を取り扱う紙葉類取扱装置であって、該紙葉類の厚みを検知する第1のセンサと、紙葉類の形状及び表面の画像を取得する第2のセンサと、該第1及び第2のセンサによって得られた情報を用いて紙葉類の折れの場所と向きを判定する判別部と、該判別部による判定の結果、該紙葉類に在る折れの場所と向きが、該紙葉類の前又は後に在る紙葉類との関係において所定の状態にある場合、該紙葉類を利用者に返却しないで、装置内に取り込むように制御する制御部と、を有することを特徴とする紙葉類取扱装置として構成される。
【0008】
好ましい例では、該紙葉類取扱装置は、利用者によって入金された紙幣を一時保管する一時保管庫と、該一時保管庫と搬送路を介して接続される、出金用として利用可能な紙幣を保管する金種別の複数の収納庫を有し、
前記判別部は、入金された紙幣の中に折れの在る紙幣(折れ紙幣という)の折れの場所と向きが、該折れ紙幣の前又は後に在る紙幣との関係において、該一時保管庫から該収納庫への紙幣の搬送途上で重送が発生するおそれがあると判断した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を利用者に返却するように搬送し、重送が発生しないと判断した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を該一時保管庫に搬送する。
【0009】
また、好ましくは、該紙葉類取扱装置は紙幣の高さが異なる複数種の紙幣を取り扱うものであり、前記判別部は、該第1のセンサによって得られた信号を用いて折れ紙幣と判定した場合であっても、該折れ紙幣の折れの場所と折れの向き、及び該折れ紙幣の高さと該折れ紙幣の前又は後に搬送される紙幣の高さとの関係において、重送が発生するおそれがあると判定した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を利用者に返却するように搬送し、重送が発生しないと判定した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を該一時保管庫に搬送する。
【0010】
また、好ましくは、該判別部によって判定された、複数枚の紙幣の折れの場所、折れの向き、及び紙幣の高さに関する情報を、紙幣ごとに順に記憶する記憶部と、を有する。
また、好ましくは、該紙葉類取扱装置は、出金用に供しない紙幣を収納するリジェクト庫を更に有し、該一時保管庫に収納された紙幣を該収納庫に搬送して収納するとき、前記判別部が、該一時保管庫から搬送される紙幣を折れ紙幣と判断した場合、該制御部は該折れ紙幣を該リジェクト庫へ搬送するように制御し、該制御部は、該判別部が折れ紙幣と判断しない紙幣を、いずれかの保管庫へ搬送するように制御する。
【0011】
本発明による紙葉類処理方法は、好ましくは、利用者に使用される複数枚の紙葉類を取り扱う紙葉類取扱装置における紙葉類処理方法であって、紙葉類を搬送する搬送路に配置された第1のセンサで該紙葉類の厚みを検知するステップと、該搬送路に配置された第2のセンサで該紙葉類の形状及び表面の画像を取得するステップと、該第1及び第2のセンサによって得られた情報を用いて紙葉類の折れの場所と向きを判定するステップと、該判定の結果、該紙葉類に在る折れの場所と向きが、該紙葉類の前又は後に在る紙葉類との関係において所定の状態にある場合、該紙葉類を利用者に返却しないで、装置内に取り込むように制御するステップと、を有することを特徴とする紙葉類処理方法として構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、折れ紙幣と判定された場合、その折れ紙幣の前又は後に在る紙幣との関係が所定の状態にあるとき、その折れ紙弊を利用者に返却しないで、装置内に取り込むことで、利用者による折れ紙幣の折れの修正や再度入金処理に要する手間を省くことができる。これによりATMの待ち時間を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は一実施形態によるATMに適用された紙幣取扱装置を示す。この図において、1は入出金部、2は装置内の関係する部位に紙幣を搬送する搬送路、3は紙幣の金種、真偽、種類、厚みを判別し、更に、厚みと光学センサで読み取った情報から、角折れの向きを判定するための判別部、4は入金又は出金する紙幣を一時的に保管する一時保管庫、5は再利用しない紙幣(リジェクト紙幣という)を収納するためのリジェクト庫、6は搬送路2の各所に設置された、紙幣の通過を検知する通過センサ、7は紙幣の搬送方向を切り換えるゲート、8、9はそれぞれ金種の異なる紙幣を収納する収納庫である。紙幣を出金するときは収納庫8又は9から紙幣を送り出す。10は入出金部1に配置された、入金時等に利用者が紙幣をセットするホッパ、11は主にリジェクトされた紙幣を利用者に返却するリジェクトスタッカである。
【0014】
この紙幣取扱装置における紙幣の入金取引の動作について概略説明する。
入金取引において、利用者は入出金部1のホッパ10に紙幣を投入する。紙幣はホッパ10から1枚ずつ分離して搬送路2に送り出される。判別部3は紙幣の金種、真偽、折れ等の状態を判定し、紙幣の収納先を決定する。真と判別された紙幣は一時保管庫4に送られ、そこに一時的に保管される。折れ紙幣であって一定の条件を満たすものは一時保管庫4に保持される(この条件については後述する)。それ以外の紙幣、例えば金種が不明な紙幣や寸法が異常な紙幣はリジェクト紙幣として、入出金部1のリジェクトスタッカ11に戻されて、利用者に返却される。
【0015】
利用者の操作入力によって入金確認が行なわれると、一時保管庫4に一時保管された紙幣は搬送路2に繰り出される。搬送路2に搬送される紙幣の状態は通過センサ6で監視され、判別部3で再度判定される。判別部3による金種の判別結果に従って、収納先となる収納庫に対応するゲート7を切り替えて、収納庫8又は9に収納される。また、折れや汚れや破れがあって再利用できない紙幣はリジェクト券と判定されて、リジェクト庫5に収納される。
【0016】
図2はATMの制御ブロックを示す。
ATM100は、紙幣を処理する紙幣取扱装置104、通帳を取り扱う通帳取扱部109、取引明細票を発行する明細票発行部110、取引用のキャッシュカードを取り扱うカード取扱部111、利用者や係員に操作の案内や取引情報を表示する案内画面及び操作用パネルを有する操作部113、プログラムや取引されるデータ等を記憶する本体メモリ113、及びATM内の各ユニットを制御する本体制御部114、を有して構成される。このATM100は、ネットワークを介して、利用者の取引情報を管理するホストコンピュータ(図示せず)に接続される。本体制御部114は、各ユニットの制御及びホストコンピュータとのデータの送受信を制御するためのプログラムを実行するプロセッサ(図示せず)を有している。
【0017】
紙幣取扱装置104は、所定のプログラムの実行によって、紙幣の搬送を含む紙幣の処理全般の制御を行なうプロセッサ105と判別部106を有する。プロセッサ105は紙幣の処理を行う制御部として機能する。
判別部106は、固有の判別部プロセッサ107と判別部メモリ108を有する。判別部プロセッサ107は、所定のプログラムの実行によって、紙幣の金種、真偽、種類、状態を判別し、紙幣の折れの場所、折れ向き、紙幣の高さ(紙幣の幅)を判定する。判別部メモリ108は、光センサ405,406(図4)によって取得される紙幣の画像情報を記憶する他に、紙幣の折れの場所、折れ向き、紙幣の高さ、搬送先などを記憶する。なお、紙幣の判定結果の記憶については図11を参照して後述する。また、入金紙幣の処理及び折れ紙幣の処理については、図12〜図14を参照して後述する。
【0018】
図3は判別部3の構成を示す。(A)は平面図、(B)は側面図である。
判別部3において、紙幣300は矢印の方向(紙幣の幅方向)へ搬送される。搬送路2には、紙幣の搬送を案内する複数のローラ401、402、403、404が配置される。ローラ402−404の少なくとも1つは紙幣に搬送の駆動力を与える。ローラ401は紙幣の厚みを検知するセンサの機能を有する厚み検知ローラである。厚み検知ローラ401は、例えばコイルが内臓された多数個のローラが、搬送される紙幣の長さ方向に配列され、かつ搬送路2の上下に1対のローラ組が100μm程度の間隔で配置される。紙幣の通過に伴って発生する起電力を検知することで、紙幣の厚みを検知する。紙幣の端部に折れが在ると、その折れに対応したローラの起電力が変化するので、折れを厚みとして検知する。
【0019】
図示のように、折れのある紙幣300が搬送されると、ローラ401(複数のローラの対応する部分のローラ)は折れている部分Xを紙幣2枚分の厚さと検知され、折れ部分X以外の部分は1枚分の厚さと検知する。ローラ401に接触しない紙幣の部分は、その厚みが検知されない。
【0020】
搬送路2の上側及び下側には、紙幣の画像を検知する反射式の光学センサ405、406が配置される。光学センサ405,406は紙幣の長さ方向の画像を読み取る、多数のセンサ素子から成るイメージセンサであり、光学センサ405は紙幣の上面の画像を読み取り、センサ406は紙幣の下面の画像を読み取る。
なお、搬送路2の上下の隙間407は間隔dを保ち、搬送ローラ402、403、404で押しつぶされた紙幣の折れ部分は、光学センサ405,406の位置(隙間407の場所)で開く。この開いた折れ部分の画像も光学センサによって検知される。
【0021】
図4は判別部3内を通過する折れ紙幣の状態を示す。
搬送路2の隙間407に折れ紙幣が入って(A)搬送ローラ404に達すると、紙幣の折れ部分Xはローラにつぶされる(B)。折れ部分Xが搬送ローラ404を越えると、折れ部分Xは再び開いて、その折れ部分Xが搬送路2の上面を押し、紙幣の下面が光学センサ406に近くなる(C)。その後、紙幣が搬送ローラ403に達すると、折れ部分Xは再びつぶされ、紙幣は光学センサ406から遠ざかる(D)。
【0022】
紙幣の先端がローラ403を越えると、紙幣の折れ部分Xが開いて、その折れ部分Xが搬送路2の上面を押し、折れ部分Xは光学センサ405に近づく。一方、折れ部分で無い部分は光学センサ405から遠くなる(E)。紙幣の先端が搬送ローラ402に達すると、折れ部分Xはローラにつぶされ(F)、折れ部分Xが無い部分の紙幣は光学センサ405との距離が近くなる(G)。
【0023】
図5は光学センサで検知される紙幣の画像データを示す。
(A)のように、紙幣が光学センサ406を通過するときに、折れ部分Xは光学センサ406に近づくため、部分601及び602は光学センサの反射光が強くなり、センサの出力は高くなる。
【0024】
(B)のように、光学センサ405を紙幣の折れ部分が通過するとき、折れ部分Xは搬送路の上面に当たり、折れ部分は光学センサ405に近づくため、光学センサの反射光は強くなり、部分603のセンサ出力は高くなる。一方、折れ部分Xの周辺604は光学センサ405から距離が遠くなるので、部分604付近は、部分603よりセンサの出力は低くなる。これら部分601〜604の光学センサの出力と、厚み検知ローラ401のセンサ出力とを利用することにより、折れ部分が紙幣の表裏の何れに在るか、折れ部分が紙幣の何れの角に在るか(折れの場所),及び紙幣の搬送方向と折れの場所から折れ部分が紙幣の搬送方向に対して何れを向いているか(折れの向き)を検知することができる。
【0025】
図6は一時保管庫4に保管される紙幣の状態を示す。
図6(A)示すように、紙幣の入金時には、一時保管庫4の搬送ローラ501は矢印Q方向へ回転して、紙幣を一時保管庫4に取り込む。一時保管庫の入り口に配置されたシートローラ502は、回転軸の周りにやわらかいシート状の羽が着いており、その羽で一時保管庫4に入ってきた紙幣を1枚ずつ押し板503に押し付ける。複数の紙幣(301〜302)が押し板503に順次押し付けられながら、押し板503は後方(矢印R方向)へ移動し、一時保管庫4内に多数枚の紙幣が保管されていく。
【0026】
一時保管庫4から紙幣が繰り出される時には、搬送ローラ501とシートローラ502が逆転して、押し板503を前方(矢印Rと逆方向)に移動させる。図示の例では、1枚目紙幣301、2枚目紙幣302、3枚目紙幣303の順に一時保管庫4に入れられた後、繰り出し時には逆に、3枚目紙幣303から先に、2枚目紙幣302、1枚目紙幣301の順に、一時保管庫4から繰り出される。
【0027】
ここで、図6(B)に示すように、紙幣の高さ(幅方向の長さ)をhとし、折れの向きについては、それぞれ(1)後ろ向き、(2)前向き、と規定する。図示の例では、折れは紙幣の上部にある。日本の紙幣の高さhは、紙幣の金額の違いによって差はないが、ユーロ紙幣の高さhは金額によって差がある。
【0028】
図7は紙幣の上側に折れ部分がある入金紙幣が一時保管庫4に入る時の状態を示す。いずれの場合も2枚目紙幣の上部に下向きの折れがある。例えば、紙幣高さhが大きい紙幣は500ユーロ紙幣、hが小さい紙幣は50ユーロ紙幣である。
(A)は、1枚目紙幣301の高さhが2枚目紙幣302の折れ部分より低く、2枚目紙幣302の折れ部分Xが一時保管庫4の奥に向いている(後向き)場合である。この場合、一時保管庫4から紙幣を繰り出す時に、2枚目紙幣302から先に繰り出すので、紙幣302の折れ部分Xが1枚目紙幣301にひっかかり、重送が発生するおそれがある。そのため、2枚目紙幣302は一時保管庫4に保管すべきでは無く、利用者へ返却される。
【0029】
(B)は、2枚目紙幣302の折れ部分Xが、(A)と同様に、一時保管庫4の奥に向いているが、2枚目紙幣302の折れ部分Xの高さは1枚目紙幣301の高さhより低い場合である。この場合、2枚目紙幣302から順に一時保管庫4から繰り出しても、2枚目紙幣の折れ部分Xが1枚目紙幣301に引っかかることがないので、重送は発生しない。そこで、この場合には、2枚目紙幣302を利用者に返却しないで、一時保管庫4に取り込む。
【0030】
(C)は、2枚目紙幣302が一時保管庫4の前を向いている(前向き)場合である。この場合、一時保管庫4から、3枚目紙幣303が先に繰り出されるので、折れ部分Xがひっかかることがない。この場合も同様に一時保管庫4に取り込む。
(D)のように、3枚目紙幣303の高さが低い場合、3枚目紙幣303から先に繰り出されるので、2枚目紙幣302の折れ部分Xにひっかかることがない。この場合も同様に一時保管庫4に取り込む。
【0031】
上記のことから、紙幣の上部に折れがある紙幣を一時保管庫4に入れた場合、(A)の状態にならなければ、折れ紙幣を一時保管庫4に取り込んでも良いことになる。これらの状態をテーブルに示すと、図8のようになる。即ち、前の紙幣よりも後の紙幣の高さが高い場合であって後の紙幣の折れが後ろ向きの場合(A状態)には、その折れ紙幣をリジェクトスタッカ11に搬送して利用者に戻すが、それ以外は、一時保管庫4に取り込むのが好ましい。
【0032】
このように、折れ紙幣が検知されても、その紙幣の前後にある紙幣の高さと折れの向きとの関係で、状態(A)の折れ紙幣は返却し、他の状態の紙幣は保管庫に取り込むように搬送制御することができる。これによって、折れ紙幣に起因する紙幣の重送を防止でき、かつ保管庫に収納した折れ紙幣はその後出金のために再利用することできる。
【0033】
次に、図9を参照して、紙幣の下側に折れ部分がある入金紙幣が一時保管庫4に入る時の状態について説明する。いずれの場合も2枚目紙幣の下部に折れがある。
(A)(B)の場合、一時保管庫4から2枚目紙幣302が先に繰り出されるので、1枚目の紙幣に引っかかることはない。
(C)(D)の場合、一時保管庫4から3枚目紙幣303が繰り出されても、2枚目紙幣302に引っかかることはない。
【0034】
上記から、紙幣の下部に折れ部分Xがある紙幣は一時保管庫4に取り込んでも良いことになる。これらの状態をテーブルに示すと、図10のようになる。
しかし、(D)のように、3枚目紙幣303の高さが極端に低い場合、一時保管庫4内での挙動が不安定なことが考えられるので、2枚目紙幣302の折れ部分Xに、3枚目紙幣303が乗るおそれを考慮して、紙幣の下部に折れ部分Xがあり、かつ折れの向きが一時保管庫4の前向きの場合、その折れ紙幣を利用者に返却してもよい。
【0035】
更に、他の例として、図9(C)(D)の場合、3枚目紙幣の上側に後向きの折れがある場合、例え3枚目紙幣を先に繰り出しても、3枚目紙幣の折れと2枚目紙幣の折れが引っかかって重送が発生するおそれがある。この場合、3枚目紙幣は一時保管庫4に取り込まないで、利用者へ返却するのがよい。2枚目紙幣は重送を発生させないので、一時保管庫4に取り込む。この場合、2枚目紙幣と3枚目紙幣の高さには関係なく、双方の紙幣の折れの位置と向きに従って、後の紙幣(3枚目紙幣)を一時保管庫4に取り込むか否かを判断することになる。
【0036】
図11は判別部3内の判別部メモリ108の記憶形式を示す。
入金された紙幣が判別部3を通過する度に、光学センサ及び厚み検知ローラによって取得された情報を用いて、折れの場所、折れの向き、紙幣高さを判定して、紙幣の搬送先を、判別部メモリ108に記憶する。折れの場所は厚み検知ローラ401と光センサ405,406の情報から、折れの向き及び紙幣高さは光センサの情報から、それぞれ判定される。
紙幣の搬送先として、重送が発生する状態にある紙幣はリジェクトスタッカ11へ搬送して利用者に返却し、重送のおそれの無い状態にある紙幣は一時保管庫4に取り込む。
【0037】
次に、図12〜図14を参照して、紙幣の処理について説明する。
まず、図12を参照して、入金時における紙幣の処理について説明する。
利用者が操作部203を操作して入金取引を選択すると(S1001)、本体制御部114は入金処理動作をするように紙幣取扱装置104のプロセッサ105に対して指示を出す。プロセッサ105は、判別部3のプロセッサ107に対して判別部メモリ108を初期化するよう指示する(S1002)。本体制御部114は紙幣取扱装置104のプロセッサ105に対して、利用者がホッパ10にセットした紙幣を入出金部1から搬送路2へ繰り出すよう指示を出す(S1003)。すると、プロセッサ105の制御の下、紙幣は入出金部1から1枚ずつ、搬送路2へ繰り出される。
【0038】
紙幣は搬送路2を搬送されて判別部3を通過する。そこで、厚み検知ローラ401によって厚みが検知され、光学センサ405,406によって紙幣の画像が読み取られる(S1004)。判別部3は、厚みローラ及び各光センサで取得された情報を用いて、金種、真偽、損券の判別する(S1005)。判別処理の結果、紙幣が搬送途上でスキュー異常(傾き異常)、シフト異常、重送異常(重なり)と判定された場合、その紙幣はリジェクトスタッカ11に送られ、利用者に返却される(S1006、S1011)。また、真券でない紙幣や金種が判別できないと判定された紙幣もリジェクトスタッカ11に送られ、利用者に返却される(S1007、S1011)。
【0039】
次に、真券であると判別された紙幣については折れ判定処理を行う。その判定結果は判別部メモリ108に折れの場所、折れ向き、紙幣高さを記憶する(図11参照)(S1008)。折れがある紙幣については、図8、図10に示す条件に従って搬送先を決定し、判別部メモリ108に当該折れ紙幣の搬送先を記憶する。折れ判定処理の結果、その紙幣の搬送先が一時保管庫4の場合、その紙幣を一時保管庫4へ搬送して保管する(S1010)。また、紙幣の搬送先がリジェクトスタッカ11の場合、その紙幣をリジェクトスタッカ11へ搬送して利用者に返却する(S1011)。なお、折れ紙幣の処理については、図14を参照して後述する。
以上の処理(S1003からS1011)をホッパ10内の入金紙幣が無くなるまで繰り返す(S1012)。
【0040】
次に、図13を参照して、一時保管庫4に保管された紙幣を収納庫8又は9へ搬送する場合の動作について説明する。
利用者が操作部203を操作して確認入力すると、入金取引が確定する。そして、一時保管庫4内の紙幣を、金種別の収納庫へ収納する動作が開始する(S2001)。本体制御部114は一時保管庫4の紙幣を収納庫8又は9に収納するように、紙幣取扱装置104のプロセッサ105に指示を出す。すると、プロセッサ105は、判別部3のプロセッサ107に対して、判別部メモリ108を初期化するように指示する(S2002)。この指示に従い、図8のテーブルの内容は消去される。テーブルは次の利用者による入金取引に備えてスタンバイ状態となる。
【0041】
一時保管庫4内の紙幣は1枚ずつ搬送路2に繰り出される(S2003)。搬送路2を搬送される紙幣は判別部3を通過し、そこで厚み検知ローラ401によって厚みが検知され、光学センサ405,406によって紙幣の画像が読み取られる(S2004)。判別部3は、ローラ401及び光センサ405,406によって取得された情報を用いて、紙幣の金種、真偽、損券を判別処理する(S2005)。判別処理の結果、紙幣が搬送途上でスキュー異常(傾き異常)、シフト異常、重送異常と判定された場合、その紙幣はリジェクト庫5に搬送してそこに収納される(S2006、S2011)。真券でない紙幣や金種が判別できない紙幣も同様にしてリジェクト庫5に収納される(S2007、S2010)。
【0042】
次に、真券と判別された紙幣については折れ判定を行う。その判定結果は入金時の処理と同様に、判別部メモリ108に折れの有無、折れ向き、紙幣の高さ、搬送先を記憶する(S2008)。しかし、紙幣の収納時は判別部メモリ108に記憶した搬送先の情報は使わず、紙幣に折れがあった場合、折れの向きに関係なくリジェクト庫5に入れ、次の取引から利用者の手に渡らないようにする(S2009)。これにより、折れ紙幣が流通する機会が減り、その後の入金取引において紙幣の重送が発生する可能性を減らすことができる。
真券で折れが無いと判定した紙幣は収納庫8又は9に収納され、その後の取引で出金用紙幣として利用される(S2010)。
以上の処理(S2003からS2011)を一時保管庫4内の紙幣が無くなるまで繰り返す(S2012)。
【0043】
次に、図14を参照して、折れ判定処理について説明する。
厚み検知ローラ401で取得された紙幣全面の厚さ情報から、紙幣の一部に厚い部分が在るかを調べる。厚い部分が検出されない場合は、判別部メモリ108に紙幣の搬送先を一時保管庫4と記憶して判定処理を終了する(S2101)。
厚み検知ローラ401で検知された厚さ情報によって紙幣の一部に厚い部分があると検知された場合(S2101Y)、更に光学センサ405、406で取得された紙幣の画像から、紙幣の形状を調べて、紙幣の角に厚い部分が無いか調べる(S2102)。角に厚い部分があると判断した場合であっても、角の折れではなくて紙幣に付着物が着いていて厚いと判断したときには、判別部メモリ108に紙幣の搬送先を一時保管庫4と記憶して判定処理を終了する(S2102)。
【0044】
折れ紙幣が一時保管庫4に入ったとき、折れ部分Xが下になる場合は図10のように、判別部メモリ108に紙幣の搬送先を一時保管庫4と記憶して判定処理を終了する(S2103)。厚い部分の周辺604付近の光センサの出力が、紙幣が折れていない時の出力よりも低い場合、折れ部分Xが搬送路の上面を押して、光学センサからの距離が遠くなったと考えられる。また、厚い部分の周辺604付近の光センサの出力が、紙幣が折れていない時のセンサ出力よりも高い場合、折れ部分Xが搬送路の下面を押して、光学センサからの距離が近くなったと考えられる(S2104)。
【0045】
また、604付近の裏側にあたる601、602付近のセンサ出力が、紙幣が折れていない時のセンサ出力より高い場合、折れ部分Xが搬送路の上面を押して、光学センサからの距離が近くなったと考えられる。601、602付近のセンサ出力が、紙幣が折れていない時のセンサ出力と同じか低い場合、折れている向きを充分に確認できないので、安全のために紙幣の搬送先をリジェクトスタッカ11とする(S2105)。
処理S2104とS2105の条件を共に満たした場合、折れ向きは搬送路の上向きと判断でき、紙幣の搬送先を一時保管庫4として判別部メモリ108に記憶し、判定処理を終了する(S2106)。
【0046】
次に、604付近のセンサ出力が低くないとき、604の裏側にあたる602付近のセンサ出力をチェックし、602付近のセンサ出力が、紙幣が折れていない時のセンサ出力より低い場合、折れている場所が搬送路下面を押して、光学センサからの距離が遠くなったと考えられる。604付近も602付近もセンサの出力が低くない場合、折れている向きを充分に確認できないので、安全のために紙幣の搬送先をリジェクトスタッカ11とする(S2107)。
【0047】
602付近の裏側にあたる603、604付近のセンサ出力が、紙幣が折れていない時のセンサ出力より高い場合、折れ部分Xが搬送路の下面を押して、光学センサからの距離が近くなったと考えられる。603、604付近のセンサ出力が、紙幣が折れていない時のセンサ出力と同じか低い場合、折れている向きを充分に確認できないので、安全のために紙幣の搬送先をリジェクトスタッカ11とする(S2108)。
【0048】
S2107とS2108の条件を共に満たした場合、折れ向きは搬送路の下向きと判断できる(S2109)。折れ向きが搬送路下向きの場合、一時保管庫4では折れ後向きとなり、1枚前の紙幣の高さによっては、一時保管庫4に入れられない。当該紙幣の前に紙幣が一時保管庫4に入っていなければ、折れ後向きの紙幣は重送が発生しないので、紙幣の搬送先を一時保管庫4として判別部メモリ108に記憶して、判定処理を終了する(S2110)。
一時保管庫4に紙幣が入っている場合は、判別部メモリ108の当該紙幣の紙幣高さ情報と、1枚前の紙幣の紙幣高さ情報を比較して、1枚前の紙幣の高さが当該紙幣より低いときは重送を発生させるおそれがあるので、当該紙幣の搬送先をリジェクトスタッカ11として判別部メモリ108に記憶する(S2113)。1枚前の紙幣の高さが当該紙幣より高い場合は重送が発生しないので、当該紙幣の搬送先を一時保管庫4として判別部メモリ108に記憶する(S2112)。
【0049】
以上のようにして、紙幣の角が折れていて一般的には返却するような紙幣であっても、折れの場所及び向きが、1枚前に搬送した紙幣の大きさとの関係において重送を発生しないと判断した場合、その紙幣を利用者に返却せずに装置内に取り込むことで、ATMの稼働率を向上させることができる。当該折れ紙幣を利用者へ返却しないので、利用者による折れ紙幣の折れの修正や再度の入金処理のための時間を省略することができる。
【0050】
なお、本発明に係る紙葉類取扱装置は、上記実施例に限定されずに種々変形、応用して実施することができる。
例えば、上記実施例は、紙幣の入出金機能を有するATMに適用した例であるが、本発明は、紙幣の取扱いに限らず、例えば、小切手や宝くじ等の有価証券の出し入れ時における折れ有価証券の処理等にも適用可能である。
また、上記実施例では、判別部メモリ内に保持される図11のテーブルの内容は、紙幣が一時保管庫4から収納庫8又は9に搬送される時に消去されるとした。しかし、このテーブルの内容は消去せずに、その後一定期間保持するようにしてもよい。
また、図11のテーブルの形式は一例であって、種々変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】一実施形態による紙幣取扱装置の構成を示す図。
【図2】ATMの制御ブロックを示す図。
【図3】判別部3の構成を示す図。
【図4】判別部3を通過する折れ紙幣の状態を示す図。
【図5】光学センサで検知される紙幣の画像データを示す図。
【図6】一時保管庫4における紙幣の取り扱いを示す図。
【図7】一時保管庫4に保管される紙幣の状態(例1)を示す図。
【図8】図7の折れ紙幣の搬送先を示すテーブル図。
【図9】一時保管庫4に保管される紙幣の状態(例2)を示す図。
【図10】図9の折れ紙幣の搬送先を示すテーブル図。
【図11】判別部メモリ108の記憶形式を示す図。
【図12】入金時における紙幣の処理フローを示す図。
【図13】一時保管庫4から収納庫へ紙幣を収納するときの処理フローを示す図。
【図14】紙幣の折れ判定処理のフローを示す図。
【符号の説明】
【0052】
1:入出金部 2:搬送路 3:判別部 4:一時保管庫 5:リジェクト庫 6:通過センサ 7:ゲート 8、9:収納庫 10:ホッパ 11:リジェクトスタッカ
100:ATM 104:紙幣取扱装置 106:判別部 108:判別部メモリ 401:厚み検知ローラ 402〜404:搬送ローラ
405、406:光学センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に使用される複数枚の紙葉類を取り扱う紙葉類取扱装置であって、
該紙葉類の厚みを検知する第1のセンサと、紙葉類の形状及び表面の画像を取得する第2のセンサと、該第1及び第2のセンサによって得られた情報を用いて紙葉類の折れの場所と向きを判定する判別部と、該判別部による判定の結果、該紙葉類に在る折れの場所と向きが、該紙葉類の前又は後に在る紙葉類との関係において所定の状態にある場合、該紙葉類を利用者に返却しないで、装置内に取り込むように制御する制御部と、を有することを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項2】
該紙葉類取扱装置は、利用者によって入金された紙幣を一時保管する一時保管庫と、該一時保管庫と搬送路を介して接続される、出金用として利用可能な紙幣を保管する金種別の複数の収納庫を有し、
前記判別部は、入金された紙幣の中に折れの在る紙幣(折れ紙幣という)の折れの場所と向きが、該折れ紙幣の前又は後に在る紙幣との関係において、該一時保管庫から該収納庫への紙幣の搬送途上で重送が発生するおそれがあると判断した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を利用者に返却するように搬送し、重送が発生しないと判断した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を該一時保管庫に搬送することを特徴とする請求項1の紙葉類取扱装置。
【請求項3】
該紙葉類取扱装置は紙幣の高さが異なる複数種の紙幣を取り扱うものであり、
前記判別部は、該第1のセンサによって得られた信号を用いて折れ紙幣と判定した場合であっても、該折れ紙幣の折れの場所と折れの向き、及び該折れ紙幣の高さと該折れ紙幣の前又は後に搬送される紙幣の高さとの関係において、重送が発生するおそれがあると判定した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を利用者に返却するように搬送し、重送が発生しないと判定した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を該一時保管庫に搬送することを特徴とする請求項1又は2の紙葉類取扱装置。
【請求項4】
該判別部によって判定された、複数枚の紙幣の折れの場所、折れの向き、及び紙幣の高さに関する情報を、紙幣ごとに順に記憶する記憶部と、を有することを特徴とする請求項1又は2の紙葉類取扱装置。
【請求項5】
該紙葉類取扱装置は、出金用に供しない紙幣を収納するリジェクト庫を更に有し、
該一時保管庫に収納された紙幣を該収納庫に搬送して収納するとき、前記判別部が、該一時保管庫から搬送される紙幣を折れ紙幣と判断した場合、該制御部は該折れ紙幣を該リジェクト庫へ搬送するように制御し、
該制御部は、該判別部が折れ紙幣と判断しない紙幣を、いずれかの保管庫へ搬送するように制御することを特徴とする請求項2の紙葉類取扱装置。
【請求項6】
前記判別部は、入金される全ての紙幣について、該第1のセンサによって取得された情報から紙幣の角に厚みが在るかを判定し、該第2のセンサによって取得された紙幣の画像情報から、該紙幣の折れの場所と折れの向き、該紙幣の高さを判定し、
判定された紙幣の折れの場所、向き、紙幣の高さに関する情報を、紙幣ごとにテーブル形式で該記憶部に記憶することを特徴とする請求項4の紙葉類取扱装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された、該紙幣の折れの場所、折れの向き及び高さに関する情報を参照して、該紙幣の前又は後に在る該紙幣との関係から、
紙幣の搬送途上で重送が発生するおそれがあると判断した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を利用者に返却するように搬送し、重送が発生しないと判断した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を装置内に取り込むように搬送することを特徴とする請求項4又は6の紙葉類取扱装置。
【請求項8】
利用者に使用される複数枚の紙葉類を取り扱う紙葉類取扱装置における紙葉類処理方法であって、
紙葉類を搬送する搬送路に配置された第1のセンサで該紙葉類の厚みを検知するステップと、該搬送路に配置された第2のセンサで該紙葉類の形状及び表面の画像を取得するステップと、該第1及び第2のセンサによって得られた情報を用いて紙葉類の折れの場所と向きを判定するステップと、該判定の結果、該紙葉類に在る折れの場所と向きが、該紙葉類の前又は後に在る紙葉類との関係において所定の状態にある場合、該紙葉類を利用者に返却しないで、装置内に取り込むように制御するステップと、を有することを特徴とする紙葉類処理方法。
【請求項9】
判定された紙幣の折れの場所、折れの向き、及び紙幣の高さに関する情報を、紙幣ごとに順に記憶部に記憶し、
紙葉類の搬送を制御する制御部は、該記憶部に記憶された、該紙幣の折れの場所、折れの向き及び高さに関する情報を参照して、該紙幣の前又は後に在る該紙幣との関係から、紙幣の搬送途上で重送が発生するおそれがあると判断した場合、入金された該折れ紙幣を利用者に返却するように搬送し、重送が発生しないと判断した場合、入金された該折れ紙幣を装置内に取り込むように搬送することを特徴とする請求項8の紙葉類処理方法。
【請求項1】
利用者に使用される複数枚の紙葉類を取り扱う紙葉類取扱装置であって、
該紙葉類の厚みを検知する第1のセンサと、紙葉類の形状及び表面の画像を取得する第2のセンサと、該第1及び第2のセンサによって得られた情報を用いて紙葉類の折れの場所と向きを判定する判別部と、該判別部による判定の結果、該紙葉類に在る折れの場所と向きが、該紙葉類の前又は後に在る紙葉類との関係において所定の状態にある場合、該紙葉類を利用者に返却しないで、装置内に取り込むように制御する制御部と、を有することを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項2】
該紙葉類取扱装置は、利用者によって入金された紙幣を一時保管する一時保管庫と、該一時保管庫と搬送路を介して接続される、出金用として利用可能な紙幣を保管する金種別の複数の収納庫を有し、
前記判別部は、入金された紙幣の中に折れの在る紙幣(折れ紙幣という)の折れの場所と向きが、該折れ紙幣の前又は後に在る紙幣との関係において、該一時保管庫から該収納庫への紙幣の搬送途上で重送が発生するおそれがあると判断した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を利用者に返却するように搬送し、重送が発生しないと判断した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を該一時保管庫に搬送することを特徴とする請求項1の紙葉類取扱装置。
【請求項3】
該紙葉類取扱装置は紙幣の高さが異なる複数種の紙幣を取り扱うものであり、
前記判別部は、該第1のセンサによって得られた信号を用いて折れ紙幣と判定した場合であっても、該折れ紙幣の折れの場所と折れの向き、及び該折れ紙幣の高さと該折れ紙幣の前又は後に搬送される紙幣の高さとの関係において、重送が発生するおそれがあると判定した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を利用者に返却するように搬送し、重送が発生しないと判定した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を該一時保管庫に搬送することを特徴とする請求項1又は2の紙葉類取扱装置。
【請求項4】
該判別部によって判定された、複数枚の紙幣の折れの場所、折れの向き、及び紙幣の高さに関する情報を、紙幣ごとに順に記憶する記憶部と、を有することを特徴とする請求項1又は2の紙葉類取扱装置。
【請求項5】
該紙葉類取扱装置は、出金用に供しない紙幣を収納するリジェクト庫を更に有し、
該一時保管庫に収納された紙幣を該収納庫に搬送して収納するとき、前記判別部が、該一時保管庫から搬送される紙幣を折れ紙幣と判断した場合、該制御部は該折れ紙幣を該リジェクト庫へ搬送するように制御し、
該制御部は、該判別部が折れ紙幣と判断しない紙幣を、いずれかの保管庫へ搬送するように制御することを特徴とする請求項2の紙葉類取扱装置。
【請求項6】
前記判別部は、入金される全ての紙幣について、該第1のセンサによって取得された情報から紙幣の角に厚みが在るかを判定し、該第2のセンサによって取得された紙幣の画像情報から、該紙幣の折れの場所と折れの向き、該紙幣の高さを判定し、
判定された紙幣の折れの場所、向き、紙幣の高さに関する情報を、紙幣ごとにテーブル形式で該記憶部に記憶することを特徴とする請求項4の紙葉類取扱装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された、該紙幣の折れの場所、折れの向き及び高さに関する情報を参照して、該紙幣の前又は後に在る該紙幣との関係から、
紙幣の搬送途上で重送が発生するおそれがあると判断した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を利用者に返却するように搬送し、重送が発生しないと判断した場合、該制御部は入金された該折れ紙幣を装置内に取り込むように搬送することを特徴とする請求項4又は6の紙葉類取扱装置。
【請求項8】
利用者に使用される複数枚の紙葉類を取り扱う紙葉類取扱装置における紙葉類処理方法であって、
紙葉類を搬送する搬送路に配置された第1のセンサで該紙葉類の厚みを検知するステップと、該搬送路に配置された第2のセンサで該紙葉類の形状及び表面の画像を取得するステップと、該第1及び第2のセンサによって得られた情報を用いて紙葉類の折れの場所と向きを判定するステップと、該判定の結果、該紙葉類に在る折れの場所と向きが、該紙葉類の前又は後に在る紙葉類との関係において所定の状態にある場合、該紙葉類を利用者に返却しないで、装置内に取り込むように制御するステップと、を有することを特徴とする紙葉類処理方法。
【請求項9】
判定された紙幣の折れの場所、折れの向き、及び紙幣の高さに関する情報を、紙幣ごとに順に記憶部に記憶し、
紙葉類の搬送を制御する制御部は、該記憶部に記憶された、該紙幣の折れの場所、折れの向き及び高さに関する情報を参照して、該紙幣の前又は後に在る該紙幣との関係から、紙幣の搬送途上で重送が発生するおそれがあると判断した場合、入金された該折れ紙幣を利用者に返却するように搬送し、重送が発生しないと判断した場合、入金された該折れ紙幣を装置内に取り込むように搬送することを特徴とする請求項8の紙葉類処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−294914(P2009−294914A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148077(P2008−148077)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]