説明

紙資料電子化データの管理方法及び管理システム

【課題】 紙資料と該紙資料の印刷元となる電子化データとを自動的に関連付けるとともに、その再利用及び管理の作業性を向上させる。
【解決手段】 使用済み紙資料(P’)には、改ざん検出のためにモルフォロジー演算が予め施されている。紙資料(P’)は電子化データ(I’f)として読み込まれ、電子化データ(I’f)から印刷元となる電子化データ(141)の保存場所情報を含むファイル情報(D1)が抽出されるとともに電子化データ(I’f)に対して再度モルフォロジー演算が施される。このように、モルフォロジー演算のべき等性を利用することで、印刷元となる電子化データの取得が可能になるとともに、改ざん情報との一元管理が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、会議等の改ざん可能環境下において使用される紙資料と該紙資料の編集可能な元データ(原紙電子化ファイル)とを関連付けるとともに、該改ざん可能環境下において付加された種々の改ざん情報を一元管理するための紙資料電子化データの管理方法及び管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィス等における文書の電子化及びその共有化が浸透してきている。そのため、会議等の改ざん可能環境下で配布される紙資料の電子化データを、会議管理システム等に添付文書として登録することが一般に行われている。また、紙資料の電子化の際、省力化の試みとして、バーコードなどを利用した電子化データの管理技術などが、例えば特許文献1などに提案されている。
【特許文献1】特開2007−13935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明者らは、上述のような従来の会議管理システム等における電子化データの管理技術について検討した結果、以下のような課題を発見した。
【0004】
すなわち、改ざん可能環境の一つである会議などで一旦使用された紙資料は、紙資料の印刷元となる原紙電子化ファイルを取り出す方法がないため、この紙資料がスキャナ等で電子化されると編集のできないイメージデータになってしまうという課題があった。
【0005】
また、会議などで一旦使用された紙資料であっても、全ての紙資料に改ざん情報が付加されているとは限らない。しかしながら、紙資料にメモ書きされているかどうかを自動で特定する方法がないため、メモ書きされた紙資料だけスキャニングしたい状況下では、目視で対象となる紙資料を選定しなければならない。一方で、紙資料をスキャニングすると、紙資料の資料名を自動で特定する方法がないため、スキャニングされた電子化データには無意味なファイル名がつけられる。この場合、ファイル名をマニュアルで指定又は変更する必要がある。さらに、紙資料のカテゴリなど、整理情報を自動的に特定する方法がないため、スキャニングされた電子化データ(画像ファイル)を自動的に保存・整理することができない(保存先をマニュアルで指定する必要がある)等、種々の課題があった。
【0006】
この発明は上述のような課題を解決するためになされたものであり、実際に使用された紙資料と該紙資料の印刷元となる原紙電子化ファイルとの関連付けを可能にするとともに、紙資料の利用者にとって、紙資料電子化データの再利用及び管理の作業性を向上させるための構造を備えた紙資料電子化データの管理方法及び管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る紙資料電子化データの管理方法は、会議等の改ざん可能環境下で使用される紙資料を電子化データとして保管・管理する方法に関し、特に、実際に使用された紙資料と該紙資料の印刷元となる原紙電子化データとの関連づけを可能にするとともに、該改ざん環境下で付加された改ざん情報と原紙電子化データを一元管理する。このような管理を可能にするため、当該紙資料電子化データの管理方法では、改ざん可能環境から回収された紙資料の電子化に先立ち、該改ざん可能環境で使用される紙資料の印刷前に予め改ざん検出処理のための演算が行われる。なお、改ざん可能環境は、例えば会議など、紙資料が利用される環境が含まれる。また、改ざん可能環境における改ざんには、印刷された紙資料に対して会議参加者が直接書き込む情報の他、会議中に新たに追加された紙資料(出所不明の紙資料)も含まれる。
【0008】
具体的に、この発明に係る紙資料電子化データの管理方法において、改ざん可能環境から回収された使用済み紙資料は、予め保存されていた原紙電子化ファイルの印刷イメージ(画像情報)に対して第1回目のモルフォロジー演算が施された後に印刷された紙資料である。また、この第1回目のモルフォロジー演算の前段階又は後段階において、原紙電子化ファイル又は印刷イメージには、原紙電子化ファイルの保存場所の情報を少なくとも含むファイル情報が付加されている。ここで、原紙電子化ファイルとは、パーソナルコンピュータ等の電子情報処理機器により編集可能な電子化データであって、文書ファイル、電子書類が含まれるが、それらの2値化画像、静止画像、動画像を構成する各フレーム画像も含まれる。なお、モルフォロジー演算が施される領域は、原紙電子化ファイルの全体である必要はなく、例えば情報が書き込まれた原紙電子化ファイルの有効領域であっても、原紙電子化ファイルの一部(メモ欄など)であってもよい。また、モルフォロジー演算が施される領域は、原紙電子化ファイルにおける複数箇所であってもよい。
【0009】
さらに、当該管理方法では、この紙資料がイメージデータ(紙資料電子化データ)として読み込まれる(回収された紙資料の電子化)。この作業は、会議等の参加者が提供された紙資料の編集作業等を希望する場合にその都度行われる。読み込まれた電子化データには、第2回目のモルフォロジー演算が施されることで、新たに比較用電子化データが生成される。なお、印刷されるべき電子化データ(原紙電子化ファイル又は印刷イメージ)に対し、第2回目のモルフォロジー演算の前段階又は後段階において予め付加された可視又は不可視のファイル情報が抽出される。このようにファイル情報を抽出しておくことにより、原紙電子化ファイルデータベース(D/B)(印刷された紙資料の印刷元となる編集可能な原紙電子化ファイルが保存されているD/B)から、ネットワーク等の伝送手段を介して該原紙電子化ファイルの取得が可能になる(紙資料と原紙電子化ファイルの関連づけ)。そして、生成された比較用電子化データと紙資料電子化データとを差分演算することで、改ざん可能環境において紙資料に対して付加された改ざん情報が抽出される。抽出された改ざん情報は、画像データとして、紙資料の原紙電子化ファイルに関連付けられた状態で、一元管理するために用意されたカテゴリーごとに管理データベース(D/B)に保存される。
【0010】
このように改ざん情報と原紙電子化ファイルが互いに対応付けられた状態で、紙資料の回収元(例えば、会議参加者)ごとに管理されることにより、透明性の高いデータ管理が可能になるとともに、回収元は必要な電子化データを任意に選択することが可能になる。
【0011】
改ざん検出処理の1つとして当該管理方法に適用されるモルフォロジー演算(Morphology Operation)は、そのべき等性(Idempotent)を利用して画像(文書ファイルの印刷イメージ、ディジタル画像等を含む)の真正性を証明する情報セキュリティ技術であり、より少ない計算量(高速化)で従来の電子透かし技術と同等以上の効果が得られる。この発明に係る紙資料電子化データの管理方法及び管理システムは、このようなモルフォロジー演算を改ざん情報の抽出に応用することで、原紙電子化ファイルと改ざん可能環境下で付加された改ざん情報とをそれぞれ独立に管理することを可能にする。ここで、モルフォロジー演算のべき等性とは、画像(紙資料の印刷イメージ)Iに対して構造要素eを用いてモルフォロジー演算fが施されることにより得られるモルフォロジー画像Iに対して、同じ構造要素eを用いてモルフォロジー演算fが再度施されても(モルフォロジー画像Iffが得られる)、演算前後における画像間の同一性(I=Iff)は維持されるという性質をいう。
【0012】
この発明に係る紙資料電子化データの管理方法において、第1回目のモルフォロジー演算の対象である原紙電子化ファイルの印刷イメージ又は原紙電子化ファイルには、該原紙電子化ファイルの保存場所の情報を少なくとも含むファイル情報が付加されるのが好ましい。このファイル情報は、バーコード、IPアドレスのような可視情報であっても原紙電子化ファイルの印刷イメージに埋め込まれる不可視情報のいずれでもよい。また、ファイル情報は、印刷イメージを生成する前に原紙電子化ファイルに結合されても、印刷イメージに可視又は不可視情報として埋め込まれても、さらには、モルフォロジー演算終了後の印刷イメージに可視又は不可視情報として付加されてもよい。なお、第1回目のモルフォロジー演算の後段階において付加されるファイル情報は、改ざん情報として抽出され得る。
【0013】
このように、印刷される紙資料にファイル情報を付加しておくことにより、紙資料の電子化データとなった原紙電子化ファイルの所在、使用目的(会議IDなど)等が補助情報として得られる他、改ざん可能環境から回収された紙資料のうち新たに追加された紙資料を明確に区別することが可能になる。
【0014】
さらに、この発明に係る紙資料電子化データの管理方法において、改ざん可能環境から回収された紙資料の電子化に先立ち、紙資料の回収元の認証を行うのが好ましい。紙資料管理におけるセキュリティレベルを向上させることができるからである。
【0015】
上述のように構成された、この発明に係る紙資料電子化データの管理方法を実現するシステムは、所定のネットワーク環境下、又はパーソナルコンピュータ単体によっても構築可能である。この発明に係る紙資料電子化データの管理システムは、上述の紙資料電子化データの管理方法を実現するため、外部記録装置、入出力部、電子化手段、及び制御部を備える。
【0016】
外部記録装置は、パーソナルコンピュータのハードディスクでもよく、また、ネットワーク上で管理される複数のファイルサーバで構成されてもよい。この外部記録装置には、少なくとも管理データベース(D/B)やセキュリティレベル強化のため、会議参加者の操作権限を管理する個人情報テーブルなどが含まれる。また、原紙電子化ファイルデータベース(D/B)や、会議のスケジューリングを行うための予約テーブルなどは、改ざん可能環境で使用される紙資料の印刷システム(会議管理システム)などが管理しているのが一般的であり、当該管理システムは所定の伝送手段を介してこれら電子データの取得が可能である。なお、原紙電子化ファイルD/Bには、印刷されるべき紙資料の印刷元となる原紙電子化ファイルが保管されている。管理D/Bには、紙資料の回収元ごとに、回収された紙資料の原紙電子化ファイルとともに、抽出された改ざん情報が該原紙電子化ファイルに関連づけられた状態で保存されている。
【0017】
入出力部は、紙資料の印刷を行う、例えばネットワーク接続された印刷システム等とのデータ授受を可能にする通信インターフェースを含む。電子化手段は、改ざん可能環境から回収された紙資料をイメージデータとして取り込むスキャナ等が含まれる。また、制御部は、原紙電子化ファイル及び電子化手段により電子化された紙資料電子化データに対してディジタル演算処理(例えば、改ざん検出処理のためのモルフォロジー演算等)を行う。
【0018】
なお、この発明に係る各実施例は、以下の詳細な説明及び添付図面によりさらに十分に理解可能となる。これら実施例は単に例示のために示されるものであって、この発明を限定するものと考えるべきではない。
【0019】
また、この発明のさらなる応用範囲は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、詳細な説明及び特定の事例はこの発明の好適な実施例を示すものではあるが、例示のためにのみ示されているものであって、この発明の範囲における様々な変形および改良はこの詳細な説明から当業者には自明であることは明らかである。
【発明の効果】
【0020】
以上のようにこの発明によれば、セキュリティ技術の向上に有効なモルフォロジー演算を情報抽出技術に応用することで、改ざん可能環境下で使用される紙資料と該紙資料の印刷元となる電子化データとの関連づけを可能にするとともに、種々のカテゴリー、例えば情報源(例えば回収元)ごと、情報要素(原紙電子化ファイルと改ざん情報のみを含むイメージデータ)ごとに個別に管理することが可能になる。これにより、紙資料の利用者にとって、紙資料電子化データの再利用及び管理の作業性が著しく向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明に係る紙資料電子化データの管理方法及び管理システムの各実施形態を、図1〜7を参照しながら詳細に説明する。なお、図面の説明において同一部位、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0022】
図1は、紙資料の印刷システム(会議管理システム)とともに、この発明に係る紙資料電子化データの管理システムの概略構成を示す図である。図1に示されたように、改ざん可能環境400に提供される紙資料Pは、会議管理システム等の印刷システム100により印刷される。印刷システム100は、制御部110と、プリンタ120と、ネットワーク300(伝送手段に含まれる)を介して他のシステムとのデータ授受を可能にする通信インターフェースである入出力部130(I/O)と、外部記録装置を備える。この印刷システム100における外部記録装置は、紙資料Pの印刷元となる編集可能な電子化データ(原紙電子化ファイル141)が保管された原紙電子化ファイルD/B140と、スケジュール等を管理するための予約テーブル150を少なくとも含む。一方、当該紙資料電子化データの管理システム200は、印刷システム100とネットワーク300を介してデータ授受可能なシステムであって、制御部210と、通信インターフェースである入出力部(I/O)230と、スキャナ220(電子化手段)と、外部記録装置を備える。この管理システム200における外部記録装置は、紙資料の印刷元となった原紙電子化ファイルとともに改ざん情報等を一元管理するための管理D/B240と、セキュリティのための個人情報テーブル250を含む。なお、管理D/B240には、紙資料の回収元ごとに複数種類のファイルを一元管理するため、個人フォルダ241が保管されている。なお、当該管理システムは、所定のネットワーク環境下(有線、無線を問わない)、又はパーソナルコンピュータ単体によっても構築可能である。また、原紙電子化ファイルD/B140は所定の伝送手段を介してファイルサーバーで管理されていてもよい。
【0023】
印刷システム100や管理システム200における外部記録装置は、パーソナルコンピュータのハードディスクでもよく、また、ネットワーク上で管理されるファイルサーバであってもよい。特に、図1に示された実施形態において、印刷システム100における外部記録装置には、原紙電子化ファイルD/B140の他、会議のスケジューリングを行うための予約テーブル150(図6参照)が含まれる。一方、管理システム200における外部記録装置には、管理D/B240の他、セキュリティレベル強化のため、会議参加者の操作権限を管理する個人情報テーブル250(図6参照)が含まれる。原紙電子化ファイルD/B140には、紙資料の印刷元となる原紙電子化ファイル(印刷されるべき紙資料の編集可能な文書データ等)141が記録されている(図2参照)。管理D/B240には、紙資料の回収元(会議参加者)ごとに、回収された紙資料から抽出されたファイル情報に基づいて取得された原紙電子化ファイル141とともに、抽出された改ざん情報が該原紙電子化ファイル141に関連づけられた状態で、個人フォルダ241として保存されている。具体的に、個人フォルダ241は、紙資料の回収元である会議参加者の個人IDと開催された会議を特定するための会議IDにより特定されたフォルダであって、個人情報テーブル250に登録されている人物ごと、また会議ごとに順次生成される。
【0024】
印刷システム100及び管理システム200それぞれにおけるI/O130、230は、各システム間でのネットワーク300を介したデータ授受を可能にする通信インターフェースである。また、印刷システム100のプリンタ120(ネットワーク接続されたプリンタを含む)により印刷された紙資料Pが会議などの改ざん可能環境400で使用される。一方、管理システム200におけるスキャナ220は、改ざん可能環境400から回収された紙資料P‘をイメージデータ(紙資料電子化データ)として取り込む。このようにスキャナ220により読み込まれた紙資料電子化データが当該管理システム200の管理対象となる。
【0025】
印刷システム100における制御部110は、原紙電子化ファイル141の印刷イメージに対してディジタル演算処理、例えば、改ざん検出処理のためのモルフォロジー演算を行う。一方、管理システム200における制御部210も、スキャナ220により電子化された紙資料電子化データに対してモルフォロジー演算などのディジタル演算処理を行う。
【0026】
図2は、図1に示された印刷システム100における改ざん検出処理の前処理工程を具体的に説明するための工程図である。ここで、以下の改ざん可能環境400は、紙資料Pが利用される環境、例えば会議などが含まれる。また、改ざん可能環境400における改ざんには、印刷された紙資料Pに対して会議参加者が直接書き込む情報の他、会議中に新たに追加された紙資料(出所不明の紙資料)も含まれる。
【0027】
図2に示されたように、印刷システム100では、プリンタ120による紙資料Pの印刷に先立ち、まず、原紙電子化ファイルD/B140から印刷されるべき紙資料Pの原紙電子化ファイル141(文書電子化データD)が読出され、原紙電子化ファイル141の所在情報等を含むファイル情報Dが結合され(ステップST1)、原画像(印刷イメージ)Iが得られる。なお、原紙電子化ファイル141である文書電子化データDには、パーソナルコンピュータ等の電子情報処理機器により編集可能な電子化データであって、文書ファイル、電子書類が含まれるが、それらの2値化画像、静止画像、動画像を構成する各フレーム画像も含まれる。
【0028】
このように編集可能な電子化データDとファイル情報Dとを結合した後に生成された印刷イメージIに対して、構造要素eを用いて第1回目のモルフォロジー演算が施される(ステップST2)。この第1回目のモルフォロジー演算が施された第1モルフォロジー画像Iがプリンタ120によって印刷される(ステップST3)。なお、印刷に際しては、会議のスケジュール等を一括管理している予約テーブル150を参照することにより、参加人数に相当する部数だけ会議用紙資料Pが印刷される。また、ファイル情報Dは、例えばバーコード、IPアドレスのような可視情報であっても原紙電子化ファイルの印刷イメージIに埋め込まれる不可視情報のいずれでもよい。この実施形態では印刷イメージIの生成前にファイル情報Dが原紙電子化ファイル141の電子化データDに付加されているが、このファイル情報Dは印刷までの種々の工程において付加可能である。すなわち、ファイル情報Dは、印刷イメージIを生成する前に原紙電子化ファイル141に結合されても、印刷イメージIに可視又は不可視情報として埋め込まれても、さらには、モルフォロジー演算終了後の印刷イメージIに可視又は不可視情報として付加されてもよい。なお、第1回目のモルフォロジー演算の後段階において付加されるファイル情報は、改ざん情報として抽出され得る。
【0029】
印刷された紙資料Pには、会議等の改ざん可能環境400下において、会議参加者によりメモ書きされる場合がある。また、新たに別の紙資料が追加される場合もあり得る。このような状況において、原紙電子化ファイル141の所在を示すファイル情報Dの有無を確認することにより、会議中に新たに追加された紙資料か否かの判断も容易に行える。
【0030】
一方、図3は、この発明に係る紙資料電子化データの管理方法(管理システム)における改ざん検出処理を説明するための工程図である。
【0031】
会議などの改ざん可能環境400から回収された紙資料P’は、一元管理を可能にするため一旦スキャナ220により電子化される(ステップST4)。この回収された紙資料P’の電子化は、スキャナ220などの電子化手段により行われる。その際、紙資料P’の回収元の操作権限が、個人情報テーブル250により確認される。このように、回収された紙資料P’の電子化に際して回収元の操作権限を確認することにより、当該管理方法を実現する管理システム200のセキュリティレベルを向上させることが可能になる。
【0032】
一旦スキャナ220により読み込まれた紙資料画像Iは、改ざん可能環境において何らかの改ざん情報が付加された可能性がある。そのため、第1回目のモルフォロジー演算における構造要素と同じ構造要素eを用いて第2回目のモルフォロジー演算が行われ(ステップST4)、係る改ざん情報の有無が確認される。そして、この第2回目のモルフォロジー演算により得られた第2モルフォロジー画像Iff(比較用電子化データ)と、紙資料画像Iに基づいて改ざん判定が行われる(ステップST6)。なお、この改ざん判定は、単にスキャナ220により読み込まれた紙資料画像Iの真偽判定を行うのみならず、紙資料P’に付加されている改ざん情報及びファイル情報Dの抽出も行われる。
【0033】
まず、紙資料P‘に付加されたファイル情報Dが抽出されると、このファイル情報Dに基づいて、原紙電子化ファイルD/B140に保管されている対応する原紙電子化ファイル141が、ネットワーク300を介して取得される。一方、改ざん判定処理(ステップST6)において紙資料P’へ付加された改ざん情報が抽出されると、この抽出された改ざん情報(画像データ)も紙資料Pの印刷元となった原紙電子化ファイル141とともに互いに関連付けられた状態で管理D/B240に保管される。なお、その際、会議のために用意された紙資料P以外の紙資料も一緒に関連付けられた状態で管理D/B240に保管される。
【0034】
以上のように改ざん情報と原紙電子化ファイル141が互いに対応付けられた状態で、紙資料の回収元(例えば、会議参加者)ごとに管理D/B240に保管されることにより、透明性の高いデータ管理が可能になるとともに、回収元は必要な電子化データを任意に選択することが可能になる。
【0035】
なお、上述のように、第1回目のモルフォロジー演算(ステップST2)の対象となる原画像Iは、原紙電子化ファイル141である電子化データDと、該電子化データDの保存場所の情報を少なくとも含むファイル情報Dが結合された印刷用イメージである。このファイル情報Dは、バーコードのような可視情報又は電子化データIに埋め込まれる不可視情報のいずれでもよい。ファイル情報Iを可視情報として利用する場合は、第1回目のモルフォロジー演算(ステップST2)が施された第1モルフォロジー画像(電子化データ)を紙媒体へ印刷する際に同時に印刷するのが好ましい。一方、ファイル情報Iを不可視情報として利用する場合、第1回目のモルフォロジー演算(ステップST2)の前段階又は後段階のいずれの段階でも付加可能である。なお、第1回目のモルフォロジー演算(ステップST2)の後段階において付加されるファイル情報Iは、改ざん情報として抽出される。
【0036】
このように、印刷される紙資料Pにファイル情報Dを付加しておくことにより、紙資料の印刷元となる原紙電子化ファイル141の所在、使用目的(会議IDなど)等が補助情報として得られる他、改ざん可能環境から回収された紙資料P’のうち新たに追加された紙資料を明確に区別することが可能になる。
【0037】
次に、この発明に係る画像加工方法及び画像検査方法に適用されるモルフォロジー演算の原理について、図4及び図5を参照しながら詳述する。
【0038】
モルフォロジー演算fは、構造要素e(Structuring Element)と呼ばれる画像を移動させる要素と、ミンコフスキー(Minkowski)和及びミンコフスキー差と呼ばれる演算から成り立っている。すなわち、モルフォロジー演算では、ミンコフスキー和を計算する収縮(Erosion)とミンコフスキー差を計算する膨張(Dilation)の組み合わせにより行われ、特に、収縮、膨張の順に行われるモルフォロジー演算をオープニング(Opening)といい、また、膨張、収縮の順に行われるモルフォロジー演算をクロージング(Closing)という。オープニングのべき等性及びクロージングのべき等性はいずれも維持されることが確認されており、モルフォロジー演算として、オープニング、クロージングのいずれが行われてもよい。なお、べき等性とは、原画像Iに対して構造要素eを用いてモルフォロジー演算fが施されることにより得られるモルフォロジー画像Iに対して、同じ構造要素eを用いてモルフォロジー演算fが再度施されても(モルフォロジー画像Iffが得られる)、演算前後における画像間の同一性(I=Iff)は維持されるという、モルフォロジー演算の一性質をいう。
【0039】
例えば、構造要素eとして、図4の領域(a)に示された構造要素が適用される場合について説明する。なお、図4の領域(a)に示された構造要素eは、原画像Iを中心としてA〜Dの各方向に該原画像Iを移動させる構造要素である。また、図4の領域(b)には、原画像Iが示されており、この領域(b)において、I100は仮想画像空間を示し、I200の実線は原画像フレームを示す。
【0040】
構造要素e(図4の領域(a))を用いて、原画像I(図4の領域(b)のフレームI200に一致)に対してモルフォロジー演算(オープニング及びクロージングのいずれでもよい)が行われる場合、まず、仮想画像空間I100内において、構造要素eによって指示される方向に原画像Iを移動させたシフト画像A〜Dを得る(図4の領域(c))。
【0041】
図5には、収縮処理及び膨張処理による画像生成工程の概念図が示されている。すなわち、このように得られたシフト画像A〜Dのミンコフスキー差を計算することで(収縮)、収縮画像Iが得られる。一方、シフト画像A〜Dのミンコフスキー和を計算することで(膨張)、膨張画像Iが得られる。なお、モルフォロジー演算では、オープニングが原画像に対して施される場合、仮想画像空間I100内において原画像を構造要素が指示する方向に移動させることにより複数のシフト画像を得、これらシフト画像に対して収縮が行われた後に膨張が行われる。また、クロージングが原画像に対して施される場合、構造要素eを用いて得られた複数のシフト画像に対して膨張が行われた後に収縮が行われる。
【0042】
なお、図6は、図1に示された印刷システム100が管理している予約テーブル150と管理システム200(この発明に係る紙資料電子化データの管理システム)が管理している個人情報テーブル150の論理構造の一例を示す図である。なお、予約テーブル150及び個人テーブル250のそれぞれは、印刷システム100や管理システム200が管理する必要はなく、ネットワーク300上の任意のファイルサーバー等で管理されてもよい。
【0043】
図6(a)に示されたように、個人情報テーブル250には、会議参加者それぞれを特定するための個人ID(Pa、Pb、Pc、Pd、…)ごとに、権限項目P−1、P−2、P−3、P−4、…それぞれについての権限有無が記録されている。一方、図6の領域(b)に示されたように、予約テーブル150には、開催される会議を特定するための会議ID(Da、Db、Dc、Dd、…:開催日時及び場所情報を含む)ごとに、会議参加者の個人IDが記録されている。
【0044】
図7は、この発明に係る紙資料電子化データの管理方法におけるデータ保存工程をより詳細に説明するための工程図である。
【0045】
会議などの改ざん可能環境400から回収された紙資料P’は、一元管理を可能にするため、紙資料P‘からのデータリンクを希望する当該管理システム200の利用者(紙資料Pを受け取った会議参加者)の操作権限を確認後、一旦電子化され(ステップST4)、構造要素eを用いた第2回目のモルフォロジー演算が施された後(ステップST5)、改ざん判定(ステップST6)及びデータの保管・管理が行われる(ステップST7)。
【0046】
具体的に、ステップST6で行われる改ざん判定では、まず、第2モルフォロジー演算が施された第2モルフォロジー画像Iffにファイル情報Dが含まれているか否かの確認が行われる(ステップST61)。ファイル情報Dには、紙資料P‘の印刷元となる原紙電子化ファイル141の所在、使用目的(会議IDなど)等が補助情報として得られる他、改ざん可能環境400から回収された紙資料P‘のうち新たに追加された紙資料を明確に区別することが可能になる。したがって、得られた第2モルフォロジー画像Iffからファイル情報Dが検出できない場合には、改ざん可能環境400において新たに追加された紙資料のイメージデータが、対応する個人フォルダ241(個人IDと会議IDにより識別される管理ファイル)を構成するデータの一部として、管理D/B240に保管される(ステップST74)。
【0047】
一方、第2モルフォロジー画像Iffにファイル情報Dが含まれている場合、改ざん可能環境400から回収された紙資料P’のイメージデータである紙資料画像I(第1モルフォロジー画像Iに改ざん情報が付加された可能性のある画像)と第2モルフォロジー画像Iffとの差分演算を行い、この差分情報に基づいて改ざんの有無が判定される(ステップST62)。このステップST62の改ざん判定において、改ざんがなかったと判定された場合、ファイル情報Dに基づいて、原紙電子化ファイルD/B140から対応する原紙電子化ファイル141である編集可能な電子化データDがネットワーク300を介して取得され(ステップST71)、対応する個人フォルダ241(個人IDと会議IDにより識別される管理ファイル)を構成するデータの一部として、管理D/B240に保管される(ステップST72)。逆に、このステップST62の改ざん判定において、改ざんがあったと判定された場合、ファイル情報Dに基づいて原紙電子化ファイルD/B140から対応する原紙電子化ファイル141である電子化データDがネットワーク300を介して取得されるとともに(ステップST71)、差分情報I(=Iff−I:紙資料P’に含まれる改ざん情報のみを含むイメージデータ)と取得された電子化データDが、対応する個人フォルダ241(個人IDと会議IDにより識別される管理ファイル)を構成するデータの一部として、管理D/B240に保管される(ステップST72、ST73)。なお、取得された電子データDは、利用者が編集作業を行うため、管理D/B240以外の外部記録装置で管理してもよい。
【0048】
以上のように、原紙電子化ファイル141の電子化データD、差分情報I、回収された紙資料P’の紙資料電子化データIのそれぞれが、対応付けられた状態で管理D/B240に保管されることになる。当該管理システム200の利用者は、自己の目的に応じて必要な電子化データを取り出し、利用することが可能になる。
【0049】
次に、この発明に係る紙資料電子化データの管理システム200の具体的な運用の際して直面する種々の作業を、紙資料の印刷システム100の運用とともに具体的に説明する。
【実施例1】
【0050】
この実施例1は、印刷された紙資料Pに埋め込まれたファイル情報Dから、原紙電子化ファイル141に関連する情報を取り出す動作に関する。
【0051】
実施例1において、原紙電子化ファイル141である電子化データDが印刷される際、ファイル情報D(ファイル保存先、ファイル名、作成者など)も合わせて印刷される。ファイル情報Dは、モルフォロジー演算fなどによって不可視情報として印刷される場合と、バーコード、IPアドレスなどによる可視情報として印刷される場合がある。特に、ファイル情報Dは、可視情報として印刷される場合、印刷された紙資料Pの閲覧の邪魔にならないように、紙周辺部(紙資料Pの有効領域を取り囲む領域)や裏面などに印刷される。なお、原紙電子化ファイル141は、編集可能な文書データ、プレゼン資料データ、メモ書きのための台紙ファイルなどが想定される。
【0052】
印刷された紙資料Pは、打ち合わせの会議において参加者に配布される。会議参加者は、配布された紙資料Pの印刷元となる電子化データDが欲しい場合、紙資料P’(改ざん可能環境から回収された紙資料P’)がスキャナ220で読み込まれる。
【0053】
その際、スキャナ220で読み込まれた紙資料P’の電子化データ(紙資料電子化データI)から、印刷時に埋め込まれたファイル情報Dが抽出される。そして、抽出されたファイル情報Dから原紙電子化ファイル141の保管場所が特定され、該原紙電子化ファイル141の電子化データDが参加者指定の個人フォルダ241に保存される。なお、得られた電子化データDは電子メールなどで参加者に送付されてもよい。
【実施例2】
【0054】
次に、実施例2は、印刷された紙資料Pに埋め込まれたファイル情報Dと個人IDを特定することにより、会議参加者の取り出し権限を管理する動作に関する。
【0055】
実施例2では、スキャナ220を利用する際にICカードなどによって当該スキャナ220の利用者を特定し、紙資料Pの印刷元となる原紙電子化ファイル141の保管場所へのアクセス権限があるかどうかが、個人情報テーブル250を参照することで確認される。そして、回収された印刷物P’に埋め込まれたファイル情報Dにアクセス管理情報を含め、新たなファイル情報Dにより特定された利用者のための処理方法が決定される。例えば、アクセス管理情報として、原紙電子化ファイル141の読出しが不可になっていれば、該原紙電子化ファイル141の読出しを許可しない等の、処理が行われる。
【実施例3】
【0056】
実施例3は、印刷された紙資料Pに施された改ざん検出処理によって、回収された紙資料P’にメモ書きがされているかどうかを自動検出する動作に関する。
【0057】
実施例3では、原紙電子化ファイル141の電子化データDとファイル情報Dが結合された印刷イメージIの印刷に先立ち、該印刷イメージIに対して改ざん検出処理の一つであるモルフォロジー演算(構造要素eを利用)が施される。このように、構造要素eを用いたモルフォロジー演算が施された印刷イメージIが印刷される。印刷された紙資料Pは、打ち合わせなどの会議(改ざん可能環境400)の参加者に配布され、参加者により紙資料Pの一部領域にメモ内容が書き込まれる。
【0058】
参加者は、メモを残したい場合、メモ書きされた紙資料P’のイメージデータIをスキャナ220に読み込ませる(紙資料P’の電子化)。そして、このように読み込まれた紙資料電子化データIは、再度構造要素eを用いたモルフォロジー演算が施される(改ざん検出処理)。なお、改ざんが行われている紙資料P’(メモ書きがされているページ)のイメージデータ(スキャナ220により読み込まれた紙資料電子化データI)が管理D/B240に保存される。一方、改ざんが行われていない紙資料P’は管理D/B240には保存されない(電子化データDが別途取得されるため)。
【実施例4】
【0059】
実施例4は、印刷された紙資料Pに埋め込まれたファイル情報Dによって、スキャナ220で読み込まれた紙資料電子化データIの保存先を自動決定する動作に関する。
【0060】
実施例4では、改ざん可能環境400から回収された紙資料P’(メモ書きされた紙資料を含む)がイメージデータ(紙資料電子化データI)として保存される際、紙資料P’に埋め込まれたファイル情報Dに基づいて、保存先とファイル名が決定される。
【実施例5】
【0061】
実施例5は、打ち合わせの予約情報(予約テーブル150)を元に、紙資料電子化データIの保存先を自動決定する動作に関する。
【0062】
実施例5では、使用される会議室が予め会議予約システム(図1の印刷システム100に含まれる)などで予約される。その際、打ち合わせ内容、打ち合わせ日時、参加者など管理情報が会議予約システムに登録される。会議室には入出力部としてスキャナ220が設置されており、スキャナ200の利用時にICカードなどによって当該スキャナ200の利用者(会議参加者)が個人情報テーブル250から特定される。特定された利用者情報、日時情報によって、会議予約システムの予約情報(予約テーブル150)と照合され、会議情報が取り出される。
【0063】
会議参加者が、紙資料P’(改ざん可能環境400から回収された紙資料)をスキャナ200に読みとらせると、ICカードなどの情報から取り出された会議情報を元に、保存先のフォルダ名、ファイル名が自動決定されて、スキャナ220で読み込まれた紙資料電子化データIが決定されたファイル名で管理D/B240に保存される。例えば、管理D/B240には、「利用者名」+「打ち合わせ内容」の文字組み合わせや「打ち合わせ内容」+「メモ」+「日付」の文字組み合わせなどをフォルダ名としたフォルダが用意される。なお、会議情報が特定できなかった場合(会議IDが不明な場合)は、「会議室名」+「開催時」の文字組み合わせなどを利用してフォルダ名、ファイル名が生成される。
【0064】
以上の本発明の説明から、本発明を様々に変形しうることは明らかである。そのような変形は、本発明の思想および範囲から逸脱するものとは認めることはできず、すべての当業者にとって自明である改良は、以下の請求の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明に係る紙資料データの管理方法及び管理システムは、代表的な例として、改ざん可能環境である会議等で配布される紙資料を電子化データ(紙資料電子化データ)として保管・管理する会議管理システム等への適用が可能であり、膨大な紙資料を電子化データとして管理している一般的な情報処理システムへの適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明に係る紙資料電子化データの管理システムの概略構成(印刷システムを含む)を示す図である。
【図2】図1に示された印刷システムにおける改ざん検出処理の前処理工程を具体的に説明するための工程図である。
【図3】この発明に係る紙資料電子化データの管理方法(管理システム)における改ざん検出処理を説明するための工程図である。
【図4】この発明に係る紙資料電子化データの管理方法に適用されるモルフォロジー演算の原理を説明するための概念図である(その1)。
【図5】この発明に係る紙資料電子化データの管理方法に適用されるモルフォロジー演算の原理を説明するための概念図である(その2)。
【図6】この発明に係る紙資料電子化データの管理システム及び印刷システムそれぞれで管理される個人情報テーブル及び予約テーブルの論理構造の一例を示す図である。
【図7】この発明に係る紙資料電子化データの管理方法におけるデータ保存工程をより詳細に説明するための工程図である。
【符号の説明】
【0067】
100…印刷システム(会議管理システム)、110、210…制御部、120…プリンタ、130、230…入出力部(I/O)、140…原紙電子化ファイルD/B、141…原紙電子化ファイル、150…予約テーブル、220…スキャナ(電子化手段)、240…管理D/B、241…個人フォルダ、300…ネットワーク(伝送手段)、400…改ざん可能環境。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
改ざん可能環境から回収された使用済み紙資料であって、予め保存されていた原紙電子化ファイルの印刷イメージに対して第1回目のモルフォロジー演算が施されるとともに、前記第1回目のモルフォロジー演算の前段階又は後段階において、前記原紙電子化ファイル又は前記印刷イメージに対して該原紙電子化ファイルの保存場所の情報を少なくとも含むファイル情報が付加された後に印刷された紙資料を、イメージデータとして読み込み、
読み込まれた前記イメージデータである紙資料電子化データに対して第2回目のモルフォロジー演算を施すことで比較用電子化データを生成し、
前記第2回目のモルフォロジー演算の前段階又は後段階において前記紙資料電子化データから前記ファイル情報を抽出し、
生成された前記比較用電子化データと前記紙資料電子化データとを差分演算することで、前記改ざん可能環境において前記紙資料に対して付加された改ざん情報を抽出し、
抽出された前記ファイル情報に基づいて前記原紙電子化ファイルを取得する一方、改ざん情報が抽出された際、少なくとも抽出された前記改ざん情報を、取得された前記原紙電子化ファイルとともに関連づけられた状態で保存する紙資料電子化データの管理方法。
【請求項2】
読み込まれた前記紙資料電子化データのうち、前記ファイル情報が付加されていない紙資料電子化データを、取得された前記原紙電子化ファイル及び抽出された前記改ざん情報に関連付けた状態で保存することを特徴とする請求項1記載の紙資料電子化データの管理方法。
【請求項3】
改ざん可能環境から回収された前記紙資料の電子化に先立ち、前記紙資料の回収元の認証を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の紙資料電子化データの管理方法。
【請求項4】
改ざん可能環境から回収された使用済み紙資料であって、予め保存されていた原紙電子化ファイルに対して改ざん検出処理のための演算処理が施されるとともに、前記演算処理の前段階又は後段階において、前記原紙電子化ファイルに対して該原紙電子化ファイルの保存場所の情報を少なくとも含むファイル情報が付加された後に印刷された紙資料を、イメージデータとして読み込み、
読み込まれた前記イメージデータである紙資料電子化データから前記ファイル情報を抽出するとともに、該紙資料電子化データに対して前記改ざん検出処理を施すことで前記改ざん可能環境において前記紙資料に対して付加された改ざん情報を抽出し、そして、
抽出された前記ファイル情報に基づいて前記原紙電子化ファイルを取得する一方、改ざん情報が抽出された際、少なくとも抽出された前記改ざん情報を、取得された前記原紙電子化ファイルに関連づけられた状態で保存する紙資料電子化データの管理方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載の紙資料電子化データの管理方法を実現する管理システムであって、
紙資料として印刷されるべき原紙電子化ファイルを保管する原紙電子化ファイルデータベースとのデータ授受を所定の伝送手段を介して行うための入出力部と、
改ざん可能環境から回収された紙資料を、イメージデータとして読む込むための電子化手段と、
前記紙資料電子化データから前記ファイル情報を抽出するとともに改ざん検出処理を行う制御部であって、抽出された前記ファイル情報に基づいて前記原紙電子化ファイルデータベースから対応する原紙電子化ファイルを取得する制御部と、
少なくとも、取得された前記原紙電子化ファイルに関連付けた状態で前記改ざん処理により得られた改ざん情報を保存する管理データベースとを備えた紙資料電子化データの管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−278176(P2009−278176A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124909(P2008−124909)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】