説明

紙類繰り出し装置の寿命管理システム、寿命管理方法、寿命管理端末、及び紙類繰り出し装置

【課題】紙類繰り出し用ローラの寿命要因による紙幣繰り出し障害の発生を抑えるとともに、ローラの期間寿命を迎える以前にローラの枚数寿命を先に迎えることを抑える。
【解決手段】紙類繰り出し装置の寿命管理システムは、紙類繰り出し用ローラを有するカセットが装填される紙類繰り出し装置と、紙類繰り出し装置にネットワークを介して接続される寿命管理端末とを備える。寿命管理端末は、紙類繰り出し装置により送信されたカセット情報と紙類繰り出し装置情報とを蓄積し、これに基づいて、紙類繰り出し装置毎にカセットの期間余裕度及び枚数余裕度を計算し、両計算値に基づいて、カセット毎にどの紙類繰り出し装置に対してカセットの装填を行うことが最適となるのか、もしくはどのカセットがローラの交換が必要となるかの寿命時期を紙類繰り出し装置毎に順位を付けて判別し、その判別結果を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙類繰り出し装置の寿命管理システム、寿命管理方法、寿命管理端末、紙類繰り出し装置、これらの動作方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、現金自動預け払い機(以下、「ATM装置」と称す。)には、コンビニエンスストアーに設置されるタイプのATM装置に代表されるように、全国的に多台数設置され、24時間365日稼動するものが利用されている。このタイプのATM装置においては、人口集中地域である都市部とそれ以外の地方部との違いや、ビジネス街や駅前と郊外との違い等の設置場所の違いにより、稼動率に大きな違いが生ずるという現象が健在化している。このため、稼動率の高いATM装置においては、紙幣繰り出しローラの磨耗による寿命時期が想定以上に早い時期に到来し、紙幣繰り出し障害につながるようになった。この対策として、ATM装置の取引量管理及び取引量に応じて寿命部品を交換する対応が必要となってきた。
【0003】
一方、金融機関の店舗内に設置されるタイプのATM装置においては、紙幣切れによる現金の装填を金融機関の店舗内部にて実施していたため、予備の紙幣カセットは不要であった。これに対し、コンビニエンスストアーに設置されるタイプのATM装置においては、警備会社等の現金装填専門部門が予備の紙幣カセットを準備し、現金を詰めた紙幣カセットを交換する方式を採用している。この方式では、予備の紙幣カセットが存在するため、その予備の紙幣カセットを含めた複数種の紙幣カセットの個々の寿命管理が必要となってきた。
【0004】
上記に関連して、特許文献1には、シートを搬送する回転体(ローラ)が消耗により搬送不能となる寿命時期を予測する回転体寿命予測方法が記載されている。この方法では、回転体が消耗により搬送不能となる直前の限界消耗度を予め記憶し、回転体の消耗による搬送性能の低下を検出し、回転体の稼働期間を計測し、回転体の消耗度と、回転体の稼動期間と、限界消耗度とを利用し、回転体が消耗により搬送不能となる寿命時期を予測関数によって算出する。これによれば、精度良くローラの寿命時期を予測可能とされている。
【0005】
また、特許文献2には、紙葉類を取り込むローラに接離可能に配した清掃ローラを有する媒体処理装置において、清掃ローラにクリーニング液を付着可能な清掃機構を設けたものが記載されている。この清掃機構では、紙幣の搬送状態を検出するセンサの出力、紙幣繰り出し枚数のカウント、繰り出し時間、搬送時間の検出を行い、その検出結果に基づきクリーニングの要否を判定する。これによれば、ローラのクリーニングを効果的に行い、ゴミ等による滑りのために媒体取込み不良が発生することを抑制可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−261237号公報
【特許文献2】特開2006−347757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のATM装置において、紙幣カセット内に実装され、機能寿命を有する部品である紙幣繰り出し用ゴムローラは、その機能性に起因して到来する寿命時期に関して、2つの局面をもっている。1つは、使用開始から一定期間経過すると、ゴム材質が硬化し、これが要因で寿命(期間寿命)時期が到来することにある。もう1つは、紙幣繰り出し枚数が規定枚数を超過すると、ゴム材質が磨耗し、これが要因で寿命(枚数寿命)時期が到来することにある。
【0008】
上記のATM装置においては、紙幣カセット稼動開始日から一定期間経過した場合の期間寿命に対応した寿命管理のみが実現され、紙幣繰り出し枚数が規定枚数を超過した場合の枚数寿命に対応した寿命管理は実現できていなかった。このため、紙幣繰り出し量が多量となり、ゴムローラの期間寿命が到来する前に紙幣繰り出し量が規定量を超過し、ゴムローラの枚数寿命が到来してしまう紙幣カセットに対しては、適切に寿命管理を行うことができず、このことがゴムローラの寿命要因による紙幣繰り出し障害の増加する要因となっていた。
【0009】
上記のATM装置において、紙幣繰り出し枚数が規定枚数を超過した場合の枚数寿命に対応した寿命管理が実現できていなかった理由は、次のとおりである。すなわち、ATM装置に装填され紙幣を繰り出す紙幣カセットは、紙幣カセット内の繰り出し紙幣が空になった場合に、紙幣が装填された別の紙幣カセットをATM装置に装填する方式を採用している。このため、ATM装置と紙幣カセットが常に1対1で一致した構成とはならず、複数のATM装置間を行き来して入れ替わる複数種の紙幣カセットに対して、ATM装置毎に寿命期間の日数管理を実現する手段がなかった。
【0010】
また、紙幣カセットは、ATM装置内部に装填されるとともに、装填された紙幣が空になるまでの一定期間ATM装置内部に装填されたまま稼動するために、ATM装置内部に紙幣カセットが装填された状態のままでゴムローラの期間寿命期を超過し、このことがゴムローラの寿命要因による紙幣繰り出し障害を誘引するという問題もあった。
【0011】
また、上記の特許文献1は、複数台稼動する装置間を移動しないローラの磨耗管理として、ローラの期間管理と、センサによる磨耗度管理とを併用するものであり、上記のように複数のATM装置間を行き来して入れ替わる複数種の紙幣カセットに対して、ATM装置毎に寿命期間の日数管理を実現することを意図したものではない。
【0012】
さらに、上記の特許文献2は、取り込んだ紙葉類の枚数、稼働した累計時間、取り込み時間が基準値を超えたかどうかを判定するもので、上記のように複数のATM装置間を行き来して入れ替わる複数種の紙幣カセットに対して、ATM装置毎に寿命期間の日数管理を実現することを意図したものではない。
【0013】
したがって、上記の特許文献1、2は、上記のような問題を解決するものではない。
【0014】
上記の問題は、紙幣繰り出し用ローラを有する紙幣カセットが装填されるATM装置に限らず、券売機等、紙類繰り出し用ローラを有するカセット(又はカートリッジ)が装填される紙類繰り出し装置の寿命管理を行う場合も同様である。
【0015】
本発明の目的は、上記課題を解決し、紙類繰り出し用ローラの寿命要因による紙幣繰り出し障害の発生を抑えるとともに、紙類繰り出し用ローラの期間寿命を迎える以前に紙類繰り出し用ローラの枚数寿命を先に迎えることを抑え、紙類繰り出し用ローラの寿命が発生したカセットの数量を削減することができる紙類繰り出し装置の寿命管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係る紙類繰り出し装置の寿命管理システムは、紙類繰り出し用ローラを有するカセットが装填される紙類繰り出し装置と、前記紙類繰り出し装置にネットワークを介して通信可能に接続される寿命管理端末とを備え、前記紙類繰り出し装置は、装填されたカセットに関するカセット識別情報、期間余裕度情報、枚数余裕度情報を有するカセット情報を管理するカセット情報部と、自機の紙類繰り出し装置番号、単位期間当たりの紙類繰り出し枚数、カセット交換期間を有する紙類繰り出し装置情報を管理する紙類繰り出し装置情報部と、前記カセット情報と前記紙類繰り出し装置情報とを寿命管理端末に送信する送信部と、を有し、前記寿命管理端末は、前記紙類繰り出し装置から送信されたカセット情報と紙類繰り出し装置情報とを蓄積するデータベースと、蓄積されたカセット情報と紙類繰り出し装置情報とに基づいて、紙類繰り出し装置毎にカセットの期間余裕度及び枚数余裕度を計算し、両計算値に基づいて、カセット毎にどの紙類繰り出し装置に対してカセットの装填を行うことが最適となるのか、もしくはどのカセットが紙類繰り出し用ローラの交換が必要となるかの寿命時期を紙類繰り出し装置毎に順位を付けて判別する処理部と、その判別結果をカセット寿命情報として通知する通知部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、寿命となるカセットを事前に確認し、寿命期に対して未然に寿命部品の交換を行うことが可能となる。これにより、寿命要因障害の発生を抑えることができるとともに、期間寿命を迎える以前に枚数寿命を先に迎えることを抑え、寿命発生カセット数量の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係るATM装置用紙幣カセットの寿命管理システムの全体構成を示す概略ブロック図である。
【図2】図1に示す紙幣カセットの内部構成を示す概略ブロック図である。
【図3】図1に示すATM装置の内部構成を示す概略ブロック図である。
【図4】図1に示す寿命管理端末の内部構成を示す概略ブロック図である。
【図5】図1に示す寿命通知受信端末の内部構成を示す概略ブロック図である。
【図6】図1に示す紙幣カセットとATM装置の処理を説明する概略フローチャートである。
【図7】図6の処理によりATM装置からワーニング値ワーバー通知が発信されたときの寿命管理端末と寿命通知受信端末の処理を説明する概略フローチャートである。
【図8】図6の処理によりATM装置からATM装置情報と紙幣カセット情報が発信されたときの寿命管理端末の処理を説明する概略フローチャートである。
【図9】図1に示す寿命管理端末の処理部の内部の処理を説明する概略フローチャートである。
【図10】(a)及び(b)は、寿命管理端末に受信され、データサーバに蓄積されるATM装置情報のデータ形式と紙幣カセット情報のデータ形式とを示す図である。
【図11】(a)及び(b)は、寿命管理端末の処理部にて加工編集されたATM装置情報のデータ形式と紙幣カセット情報のデータ形式とを示す図である。
【図12】寿命管理端末の処理部による判別結果のデータ形式に対応し、寿命通知受信端末の表示部で表示するデータ形式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る紙類繰り出し装置の寿命管理システム、寿命管理方法、寿命管理端末、紙類繰り出し装置、これらの動作方法及びプログラムの実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
本実施の形態は、全国各金融機関に納入され、預貯金の引き出し等現金の引き出しを行うためのATM装置(紙類繰り出し装置)の構成部品であり現金(紙幣)の繰り出し機能を有する紙幣カセットの寿命管理システム及び方法に適用したものである。
【0021】
図1は、本実施の形態に係るATM装置用紙幣カセットの寿命管理システムの全体構成を示す。図1に示すように、本実施の形態は、ネットワークシステムを用いた遠隔システムを適用したもので、複数台数の紙幣カセット10と、紙幣カセット10が装填されるATM装置20と、ATM装置20の設置場所とは異なる場所に設置された遠隔端末である寿命管理端末30と、寿命管理端末30とは異なる場所に配置された寿命通知受信端末40とを有している。このうち、ATM装置20と寿命管理端末30とは、ネットワーク500で通信可能に接続されている。また、寿命管理端末30と寿命通知受信端末40とは、ネットワーク600で通信可能に接続されている。
【0022】
上記構成において、紙幣カセット10の情報(紙幣カセット情報)及びATM装置20からの情報(ATM装置情報)は、ネットワーク500を介して、寿命管理端末30に通知される。寿命管理端末30は、通知された紙幣カセット情報及びATM装置情報をデータベース(後述参照)に蓄積し、編集加工する。編集加工された情報は、紙幣カセット10の寿命情報(紙幣カセット寿命情報)として、寿命管理端末30からネットワーク600を介して遠隔地にある寿命通知受信端末40へ電子メール手段等の通信手段にて送信される。この紙幣カセット寿命情報を受信すると、寿命通知受信端末40は、その通知された情報を表示する。この情報をもとに、作業者により、紙幣カセット10内の寿命部品である紙幣繰り出し用ローラを構成するゴムローラの交換作業が実施される。
【0023】
図2は、図1に示す紙幣カセット10の構成図である。図2に示すように、紙幣カセット10は、紙幣繰り出し用ローラ110、固定データ部120、紙幣繰り出しデータ部130、日付管理部140、紙幣残量管理部150、データ送信部160、及び制御部170を有している。
【0024】
紙幣繰り出し用ローラ110は、ATM装置20の紙幣カセットセット検知部210に格納され、紙幣を繰り出すための機構部である。固定データ部120は、紙幣カセット10の固体毎の識別を行うためのID番号を保持するとともに紙幣カセット10の寿命までの残期間日数を管理する。紙幣繰り出しデータ部130は、紙幣繰り出し残限度枚数カウンタを有し、紙幣繰り出し枚数の寿命値に値する紙幣繰り出し限度残枚数値を管理する。日付管理部140は、紙幣カセット10の期間寿命日数を管理するための元データ(日付)を管理する。紙幣残量管理部150は、紙幣カセット10の紙幣残量を管理し、紙幣残量切れによるカセット交換を判断する。データ送信部160は、紙幣カセット10とATM装置20との間のデータ通信を行う。制御部170は、紙幣カセット10内部の各機能部の動作を制御する。
【0025】
図3は、図1に示すATM装置20の構成図である。図3に示すように、ATM装置20は、紙幣カセットセット検知部210、紙幣カセット情報部220、ATM情報部230、ワーニングデータ部240、データ送信部250、及び制御部260を有している。
【0026】
紙幣カセットセット検知部210は、その内部に紙幣カセット10を格納し、紙幣の繰り出しを行うとともに、紙幣カセット10と寿命管理端末30との間のデータ通信をネットワーク500を介して行うための機構部であり、紙幣カセット10がセットされたことを検知する。紙幣カセット情報部220は、紙幣カセット10の紙幣カセットID番号、寿命期間までの残日数、残枚数情報を記録する。ATM情報部230は、ATM装置20の固体を識別するためのATM装置番号、顧客名、ATM設置店舗名、一日あたりの紙幣繰り出し枚数、紙幣カセット交換間隔を記録する。ワーニングデータ部240は、紙幣繰り出し枚数と紙幣繰り出し可能残日数のワーニング値(規定値)を保持し、紙幣カセット10の寿命期間到来の予兆管理(寿命までの残存期間管理)を行う。データ送信部250は、紙幣カセット10と寿命管理端末30の間のデータ通信を行う。制御部260は、紙幣カセット繰り出し命令を行うとともにATM装置20内の各部との間で通信を行って各部の動作を制御する。
【0027】
寿命管理端末30は、ネットワーク500を介してATM装置20より発信されたデータを受信してデータサーバ(後述参照)に蓄積し、そのデータに基づいて紙幣カセット10の寿命が超過しているかどうかを判断する寿命超過管理を行う機能を有する。また、寿命管理端末30は、次の紙幣カセット装填時に寿命残期間情報、寿命残枚数情報から、どのATM装置20に紙幣カセット10を装填すべきかを判断する機能と、寿命通知受信端末40へ発信する機能とを有する。寿命管理端末30は、これらの機能により、期間日数の管理と、紙幣繰り出し枚数の管理とを併用した寿命管理を可能とする。
【0028】
図4は、図1に示す寿命管理端末30の構成図である。図4に示すように、寿命管理端末30は、受信部310、データサーバ(データベース)320、処理部330、データ通信部340、及び制御部350を有している。受信部310は、ネットワーク500を介し、ATM装置20からの情報を受信する。データサーバ320は、受信したデータを蓄積する。処理部330は、蓄積したデータを加工編集し、そのデータに基づいて紙幣カセット10の寿命到来管理を行う。データ通信部340は、処理部330にて処理した寿命情報と紙幣カセット装填情報をネットワーク600を介して寿命通知受信端末40に対して通知する。制御部350は、寿命管理端末30内の各部との間で通信を行って各部の動作を制御する。
【0029】
寿命通知受信端末40は、寿命管理端末30より通知された寿命情報と紙幣カセット装填情報を受信し、その受信結果を表示する機能と、表示された結果に基づいて、紙幣カセット10の寿命時期が到来する場合は、紙幣カセット10の紙幣繰り出し用ローラ110の交換指示を行い、紙幣カセット10の寿命時期が未到来の場合は、次に装填するATM装置20に対する最適なる紙幣カセット10の交換ガイダンスを行う機能とを有する。
【0030】
図5は、図1に示す寿命通知受信端末40の構成図である。図5に示すように、寿命通知受信端末40は、寿命管理端末30より通知された情報を受信する受信部410と、受信したデータを表示する表示部420と、寿命通知受信端末40内の各部との間で通信を行って各部の動作を制御する制御部430とを有している。
【0031】
次に、図1から図12を用いて、本実施の形態の動作を説明する。
【0032】
(1)最初に、紙幣カセット10及びATM装置20にて、紙幣カセット10が交換される動作及びATM装置20内部の紙幣を繰り出す動作について説明する。この例では、紙幣カセット10の寿命状態及びATM装置20の動作状態を認識し、それに対応するデータをネットワーク500及びネットワーク600を介して寿命管理端末30及び寿命通知受信端末40に伝達するまでの動作を説明する。
【0033】
図6は、紙幣カセット10及びATM装置20の動作フローを示す。これは、装填された紙幣カセット10の紙幣繰り出し限度枚数、残期間日数が規定値(ワーニング値)を超えていることを寿命管理端末30に通知し、寿命通知受信端末40に表示するまでの処理フローである。
【0034】
図6において、紙幣カセット10がATM装置20の紙幣カセットセット検知部210へ装填される(ステップA1)と、ATM装置20は、紙幣カセットセット検知部210により、紙幣カセット10がセットされたことを検知し(ステップA2)、その検知信号を紙幣カセット10に送る。そうすると、紙幣カセット10は、固定データ部120から紙幣カセット10のID番号を読み取り(ステップA3)、その紙幣カセットのID(識別)番号をATM装置20に送る。ATM装置20は、紙幣カセット情報部210に現在セットされている紙幣カセット10のID番号を読み取り(ステップA4)、紙幣カセット10の固定データ部120から読み取られた紙幣カセット10のID番号と比較する(ステップA5)。
【0035】
その結果、固定データ部120で保持する紙幣カセット10のID番号とATM情報部220で保持する紙幣カセット10のID番号とが同一の場合(ステップA5:YES)は、異なる紙幣カセット10への交換が無く同一紙幣カセット10の装填し直しと判断し、紙幣カセット10の中の固定データ部120と紙幣繰り出しデータ部130の読み取りは行わず、制御部260にて紙幣繰り出し許可を行う(ステップA9)。これにより、ATM装置20は、制御部260より、紙幣繰り出し命令を紙幣カセット10に与える(ステップA10)。
【0036】
一方、固定データ部120で保持する紙幣カセット10のID番号とATM情報部220で保持する紙幣カセット10のID番号とが異なる場合(ステップA5:NO)は、異なる紙幣カセット10が装填されたと判断し、紙幣カセット10は、固定データ部120から紙幣カセット10の残期間日数を読み取るとともに、紙幣繰り出しデータ部130から紙幣カセット10の紙幣繰り出し残限度枚数を読み取り(ステップA6)、ATM装置20に送る。すると、ATM装置20は、読み取られた紙幣繰り出し限度枚数と、残期間日数とが、ワーニング管理部240にて規定されている残繰り出し限度枚数と、残期間との規定値(ワーニング値)を超えていないか否か判断する(ステップA7)。
【0037】
その結果、ワーニング管理部240に設定される規定値を超えている場合(ステップS7:YES)には、ATM装置20は、制御部260からネットワーク500を経由して、寿命管理端末30に規定値を超えていることを示すワーニング値オーバー通知(紙幣カセットID番号、紙幣繰り出し限度枚数、紙幣繰り出し限度期間)を送信する。寿命管理端末30は、そのワーニング値オーバー通知を受信部310により受けると、受信部310から処理部330を経由し、通知部340より、ネットワーク600を介して寿命通知受信端末40に送る。すると、寿命通知受信端末40は、受信部410を経由して表示部420により所定のワーニング表示を行い、作業者に対し、対象となる紙幣カセット10の交換を促す。
【0038】
一方、ワーニング管理部240の規定値を超過していない場合(ステップS7:NO)は、ATM装置20は、制御部260にて紙幣カセット情報のセット完了と判断し、紙幣カセット情報部220及びATM情報部230より紙幣カセット情報(紙幣カセットID(識別)情報、期間余裕度情報、枚数余裕度情報)とATM装置情報(ATM装置番号、顧客番号、ATM装置店舗名、単位期間(一日)当たりの紙幣繰り出し枚数/日、平均カセット交換間隔(日))をネットワーク500を介して寿命管理端末30に送る。
【0039】
これにより、寿命管理端末30は、紙幣カセット情報とATM装置情報とを受信部310で受けると、受信部310を経由し、データサーバ320へ記録する(ステップA8)。続いて、ATM装置20は、制御部260にて紙幣繰り出し許可を行う(ステップA9)。これにより、ATM装置20は、制御部260より、紙幣繰り出し命令を紙幣カセット10に与える(ステップA10)。
【0040】
上記紙幣繰り出し命令を受けると、紙幣カセット10は、指定された枚数の紙幣を繰り出し(ステップA11)、その繰り出した紙幣枚数を紙幣繰り出しデータ部130に保持される紙幣繰り出し残限度枚数カウンタより減算し、記録する(ステップA12)。紙幣カセット10は、日付管理部140にて保有している現在日付と、紙幣カセット10をセットした日付との差分の日数を確認し(ステップA13)、その差分の日数を固定データ部120の残日数情報に書き込み(ステップA14)、ATM装置20に送る。これにより、ATM装置20は、紙幣カセット情報部220の残期間情報に対して残限度枚数と残期間情報を書き込み(ステップA15)、紙幣カセット10に送る。
【0041】
そうすると、紙幣カセット10は、紙幣残量管理部150により、紙幣カセット10が空の状態か否かを判断する(ステップA16)。その結果、紙幣残量管理部150により紙幣カセット10が空の状態でないと判断された場合(NO)は、ATM装置20により紙幣繰り出し許可状態を判断するステップA9へ戻り、同様の処理を繰り返す。一方、紙幣残量管理部150により紙幣カセット10が空の状態であると判断された場合(YES)は、紙幣が装填された別の紙幣カセット10への交換が必要と判断し、紙幣カセット10が抜き取られ(ステップA17)、紙幣が装填された別の紙幣カセット10が準備され(ステップA18)、ステップA1へ戻る。これにより、紙幣が装填された紙幣カセット10への交換が行われ、上記と同様の処理が継続される。
【0042】
(2)次に、上記ステップA7によりATM装置20からワーニング値オーバー通知を受信したときの寿命管理端末30の動作について、図7に基づいて説明する。この動作は、紙幣カセット10の寿命の予兆管理を行う方法と、次の動作としてどのATM装置20に対してどの紙幣カセット10を装填することが最適となるかの処理方法とに関するものである。
【0043】
図7は、寿命管理端末30の動作フローを示す。この動作は、装填された紙幣カセット10がワーニング値を超えていることを寿命管理端末30に通知し、寿命通知受信端末40に表示するまでのフローである。
【0044】
図7において、寿命管理端末30は、ATM装置20のワーニング管理部240からの紙幣カセット10交換時のワーニング値オーバー通知(紙幣カセットID番号、紙幣繰り出し限度枚数、紙幣繰り出し限度期間)を、データ送信部250から、ネットワーク500を経由して、受信部310にて受信する(ステップA19)。すると、寿命管理端末30は、受信部310、制御部350、通知部340を介して、ネットワーク600を経由して、寿命情報受信端末40に対してワーニング通知を行う(ステップA20)。そうすると、寿命通知受信端末40は、受信部410、制御部430を介して、表示部420に対してワーニング通知を行う(ステップA21)。これにより、作業者により、対象となる紙幣カセット10がATM装置20より回収され、寿命部品である紙幣繰り出しローラ110の交換が実施される(ステップA22)。
【0045】
(3)次に、上記ステップA8によりATM装置20から紙幣カセット情報とATM装置情報を受信したときの寿命管理端末30の動作について、図8〜図12に基づいて説明する。
【0046】
この動作は、紙幣カセット10の紙幣切れ等により交換された旧紙幣カセット10の紙幣繰り出し限度枚数情報、期間限度情報をATM装置20より受信し、該当する紙幣カセットID毎に、回収された時点にて寿命部品交換を実施すべきか、もしくは引き続きATM装置20に対して装填して使用可能なのかの判断を行い、使用可能な場合においても、複数台稼動するATM装置20のうちどのATM装置20に対しての装填が最適であり、期間寿命期到来以前にて枚数寿命超過到来を削減可能となるのかを判別する動作に関するものである。
【0047】
図8は、寿命管理端末30の動作フローを示す。これは、ATM装置20より発信されたATM装置情報と紙幣カセット情報を蓄積及び編集加工し、寿命通知受信端末40に表示するまでのフローである。
【0048】
図9は、寿命管理端末30の処理部330による処理フローを示す。
【0049】
図8において、寿命管理端末30は、ATM装置20のATM情報部230からのATM装置情報(ATM装置番号、顧客番号、ATM装置店舗名、紙幣繰り出し枚数/日、平均カセット交換間隔)を、ネットワーク500を介して、受信部310にて受信する(ステップA23)。同様に、寿命管理端末30は、紙幣カセット情報部220からの紙幣カセット情報(紙幣カセットID情報、期間余裕度情報、枚数余裕度情報)を、受信部310にて受信する(ステップA24)。
【0050】
寿命管理端末30は、受信部310にて受信したATM装置情報と紙幣カセット情報の各データを、データサーバ320に記録する(ステップA25)。図10は、データサーバ320に蓄積されるデータのATM装置情報のデータ形式(図10(a)参照)と紙幣カセット情報のデータ形式(図10(b)参照)を示す。
【0051】
図10(a)に示すATM装置情報のデータ形式は、データ名がATM1〜5、データ種がATM内部データ、項目名が「ATM装置番号」、「顧客名」、「店舗名」、「紙幣繰り出し枚数/日」、「平均カセット交換間隔(日)」に区分されている。図10(a)では、ATM装置番号が90001〜90032の32台のATM装置20に関するATM装置情報が例示されている。
【0052】
図10(b)に示す紙幣カセット情報のデータ形式は、データ名がCASTE1〜3、データ種がカセット内部データ、項目名が「紙幣カセットID」、「期日余裕度」、「紙幣繰り出し枚数余裕度」に区分されている。図10(b)では、紙幣カセットIDが1025、1009、667、1026、1027の5台の紙幣カセット10に関する紙幣カセット情報が例示されている。
【0053】
次いで、寿命管理端末30は、データサーバ320に記録されたデータを、処理部330にて活用可能な情報(紙幣カセット寿命情報)として編集加工し(ステップA26)、その情報を通知部340からネットワーク600を経由して寿命通知受信端末40へ通知し(ステップA27)、その表示部420へ表示させる(ステップA28)。
【0054】
(4)ここで、上記ステップA26の寿命管理端末30の処理部330による編集加工により、寿命通知受信端末40の表示部420で表示する紙幣カセット寿命情報を生成する処理手順を図9により説明する。
【0055】
図9において、交換された紙幣カセット10がある場合、寿命管理端末30は、処理部330により、データサーバ320に記録されたATM装置情報と紙幣カセット情報とを参照し(ステップA29)、ATM装置情報の項目(紙幣繰り出し枚数/日、平均カセット交換間隔(日))から、紙幣カセット10の交換期間(平均カセット交換間隔(日))内での紙幣繰り出し枚数を計算し(紙幣繰り出し枚数/日×平均カセット交換間隔(日))、その計算値(同一カセットでの繰り出し枚数)をデータサーバ320に記録する(ステップA30)。図11は、寿命管理端末30の処理部330にて編集加工されたデータのATM装置情報のデータ形式(図11(a)参照)と紙幣カセット情報のデータ形式(図11(b)参照)を示す。
【0056】
図11(a)に示すATM装置情報のデータ形式は、データ名がATM1〜6、データ種がATM内部データ、計算値、項目名が「ATM装置番号」、「顧客名」、「店舗名」、「紙幣繰り出し枚数/日」、「平均カセット交換間隔(日)」、「同一カセットでの繰り出し枚数」に区分されている。図11(a)では、ATM装置番号が90001〜90032の32台のATM装置20に関するATM装置情報が例示されている。同一カセットでの繰り出し枚数は、紙幣繰り出し枚数/日×平均カセット交換間隔(日)の計算で求められる計算値である。
【0057】
図11(b)に示す紙幣カセット情報のデータ形式は、データ名がCASTE1〜3、データ種がカセット内部データ、項目名が「紙幣カセットID」、「期日余裕度」、「紙幣繰り出し枚数余裕度」に区分されている。図11(b)では、紙幣カセットIDが1025、1009、667、1026、1027の5台の紙幣カセット10に関する紙幣カセット情報が例示されている。
【0058】
次に、寿命管理端末30は、処理部330により、紙幣カセット情報の項目(「紙幣繰り出し枚数余裕度」)とATM装置情報の項目(「同一カセットでの繰り出し枚数」)を参照して、その差(「紙幣繰り出し枚数余裕度」−「同一カセットでの繰り出し枚数」)を判別し、その判別結果である紙幣カセット10の繰り出し「枚数余裕度」を基準にして、「枚数余裕度」の数値の低い又は高い順にATM装置情報を並べ替える(ステップA31)。
【0059】
さらに、寿命管理端末30は、処理部330により、紙幣カセット情報の項目(期日余裕度)とATM装置情報の項目(平均カセット交換間隔(日))を参照して、紙幣カセット10の寿命期間(「期日余裕度」)とATM装置20のカセット交換期間(平均カセット交換間隔(日))とを比較し(ステップA32)、その差(「期日余裕度」−「平均カセット交換間隔(日)」)を判別し、その判別結果である紙幣カセット10の「期日余裕度」を基準にして、「期日余裕度」の数値の低い又は高い順にATM装置情報を並べ替える(ステップA33)。
【0060】
図12は、寿命管理端末30の処理部330による判別結果のデータ形式に対応し、寿命通知受信端末40の表示部420で表示するデータ形式を示す。図12に示す判別結果及びその表示のデータ形式は、ATM装置情報、紙幣カセット情報、判別結果に区分されている。
【0061】
このうち、ATM装置情報は、データ名がATM1〜6、データ種がATM内部データ、計算値、項目名が「ATM装置番号」、「顧客名」、「店舗名」、「紙幣繰り出し枚数/日」、「平均カセット交換間隔(日)」、「同一カセットでの繰り出し枚数」に区分されている。図12では、ATM装置番号が90001〜90032の32台のATM装置20に関するATM装置情報が例示されている。
【0062】
また、紙幣カセット情報は、データ名がCASTE1〜3、データ種がカセット内部データ、項目名が「紙幣カセットID」、「期日余裕度」、「紙幣繰り出し枚数余裕度」に区分されている。図12では、紙幣カセットIDが1001、1009、1017、1025の4台の紙幣カセット10に関する紙幣カセット情報が例示されている。
【0063】
さらに、判別結果は、項目名が「期日余裕度」、「枚数余裕度」、「判定と順位」に区分されている。「期日余裕度」は、紙幣カセット情報の「期日余裕度」からATM装置情報の「平均カセット交換間隔(日)を減算して求められる。「枚数余裕度」は、紙幣カセット情報の「紙幣繰り出し枚数余裕度」からATM装置情報の「同一カセットでの繰り出し枚数」を減算して求められる。「判定と順位」は、同一紙幣カセットIDをもつ紙幣カセット10毎に、「期日余裕度」と「枚数余裕度」の両数値を基準に判定が行われ、数値の高い(余裕度の大きい)順に「1」番から順位が付けられ、その順にATM装置情報の並び替えが行われる。「期日余裕度」と「枚数余裕度」の両数値のいずれか一方がマイナスのものは、順位は付けられず、「×」とされる。図12の例は、同一紙幣カセットIDをもつ紙幣カセット10毎に、「期日余裕度」と「枚数余裕度」の両数値の高い(余裕度の大きい)順にATM装置情報を並び替えた場合を示しているが、その逆に数値の低い(余裕度の小さい)順にATM装置情報を並び替えてもよい。
【0064】
次に、寿命管理端末30は、処理部330により、上記の判別結果の「期日余裕度」と「枚数余裕度」の両数値から得られる「判定と順位」に基づいて、紙幣カセット10に対し、その装填対象となるATM装置20を選定する(ステップA33)。寿命管理端末30は、選定されたATM装置20を含む判別結果の情報を、紙幣カセット寿命情報として、ネットワーク600を経由して、寿命通知受信端末40に通知する。寿命通知受信端末40は、その紙幣カセット寿命情報を受信部で受信すると、表示部420にて所定の形式で表示する。
【0065】
以上のように、本実施の形態では、ネットワークシステムを用いた遠隔システムを利用し、ATM装置20の設置場所とは異なる場所に設置された遠隔端末である管理寿命端末30の処理により、ATM装置20から発信された紙幣寿命情報と、ATM装置20毎の紙幣繰り出し量・紙幣カセット交換期間情報を蓄積し、編集加工する。そして、管理寿命端末30の処理により、紙幣カセット10毎に、寿命時期余裕度判断のもとに、どのATM装置20に対して紙幣カセット10の装填を行うことが最適となるのか、もしくはどの紙幣カセット10が寿命部品の交換が必要となるかを自動的に判断する。
【0066】
これにより、本実施の形態では、異なるATM装置20間を入れ替わり、ATM装置20の台数を越えた予備紙幣カセットを含む全ての紙幣カセット10に対し、紙幣カセット10の寿命予兆判断のもとに、最適なる紙幣カセット10の交換運用を実現し、寿命時期到来以前の未然のゴムローラ交換を実施することができる。
【0067】
また、本実施の形態では、現状の紙幣カセット10においても内部情報として保持している紙幣カセット固有のID番号と、紙幣カセット稼動開始日と、紙幣繰り出し枚数ログ情報を活用することで、紙幣カセット10の内部に紙幣カセット10毎固有に経過期日による寿命管理と繰り出し枚数管理による寿命管理を実施することができる。
【0068】
さらに、本実施の形態では、ATM装置20に対してもATM20毎固有のATM番号、取引枚数管理、紙幣カセット交換履歴管理を行うことで、紙幣カセット10とATM装置20の相互間にて動作量管理、紙幣カセット交換履歴管理を実現することができる。これにより、紙幣カセット10が期間寿命、紙幣繰り出し枚数寿命ともに到来する以前に事前に寿命情報を管理することができる。
【0069】
従って、本実施の形態では、紙幣カセット10内の有寿命部品であるゴムローラの寿命予兆管理実施により寿命起因障害発生を防止させるとともに、期間寿命期と紙幣繰り出し枚数寿命時期を相互管理する。こうすることで、期間寿命到来以前に枚数寿命期到来により寿命部品交換が必要となる件数の削減を実現することができる。
【0070】
また、本実施の形態では、従来は紙幣カセット稼動開始日からの稼動期間のみ且つリモートシステム等によらずローカル方式にて寿命管理されていたため寿命期日到来以降にて交換していた寿命部品交換を、ネットワークシステムを用いた遠隔システムを利用することで予兆管理を行い、寿命期以前でのゴムローラ交換管理を実現することができる。
【0071】
以上説明したように、本実施の形態によれば、寿命となる紙幣カセット10を事前に確認し、寿命期に対して未然に寿命部品の交換を行うことが可能となることで、寿命要因障害の発生を抑えることができるとともに、期間寿命を迎える以前に枚数寿命を先に迎えることを抑える仕組みの実現により寿命発生カセット数量の削減を図ることができる。
【0072】
また、本実施の形態では、寿命管理端末における寿命予兆(寿命までの残存期間管理)と、期間寿命と枚数寿命の相互を最適値に到達させるための管理の仕組みを構築したため、複数台のATM装置間を行き来する紙幣カセットを紙幣カセット番号毎に管理することで寿命期間到来時期を事前管理(予兆管理)するとともに、期間寿命と枚数寿命という2つの実績値が大きく乖離することがないようにするといった効果も得られる。これにより、例えば枚数寿命余裕度を大きく残したままで期間寿命を迎えることを抑制したり、この逆に期間寿命余裕度を大きく残したままで枚数寿命期を迎えることを抑制したりできるといった効果が得られる。
【0073】
これにより、本実施の形態では、全体として複数台の紙幣カセットが存在する状況の中においては期間寿命満了且つ枚数寿命満了を同時に迎えることが、交換するローラ数の削減に繋がるとともに、寿命期到来によりATM装置から紙幣カセットを回収してくる件数や工数を大幅に削減することができる。
【0074】
さらに、本実施の形態では、複数のATM装置間を行き来する紙幣カセット(ATM装置の内蔵物)についてリモートシステムを用いて所在管理するとともに、所在場所が異なった場合においても紙幣カセット毎固有のカセット番号にて管理することを可能としている。これにより、ネットワークを介して、ネットワークの先の管理端末にて紙幣カセット個々の状態管理と、適正となる次の装填先ATMの指定まで行うことで枚数寿命と期間寿命の2つの条件を最適管理することが可能となる。
【0075】
また、本実施の形態では、ATM装置用紙幣カセットの寿命管理システム及び方法に適用しているが、本発明は必ずしもこれに限定されない。例えば、ATM装置に限らず、券売機等の紙類繰り出し用ローラ(紙幣繰り出し用ローラに対応する。)を備えたカセット又はカートリッジ(紙幣カセットに対応する。)に紙類を収めた紙類繰り出し装置(ATM装置に対応する。)の寿命管理システム及び方法にも適用可能である。この場合、繰り出しの為のローラの劣化により交換する際、カセット内に紙類が残っている状態でローラ交換時期が来る事を避けるためにローラの寿命を予測し、寿命を迎える前にカセット内を空にするようにローラ交換指示を出す寿命管理端末を備えることが望ましい。これによれば、ローラ寿命が過ぎているのにカセット内には紙類が残り、その後の繰り出しでは障害が発生し易くなるという問題を事前に回避することができる。
【0076】
なお、上記実施の形態に係るATM装置用紙幣カセット寿命管理システムは、上述した構成要素の各処理(機能)を実現可能なものであれば、その装置の物理的構成、その装置内部のハードウェア(回路)及びソフトウェア(プログラム)構成については、特に限定されるものではない。例えば、独立して個別の回路やユニット或いはプログラム部品(プログラムモジュール等)を構成したり、1つの回路やユニット内に一体的に構成したりする等、いずれの形態のものでも適用可能である。これらの形態は、実際に使用する装置の機能や用途等の事情に応じて適宜選択、変更、変形等して実施してもよい。
【0077】
また、上述した構成要素の各機能に対応して、これらと同様の処理を行う各処理ステップを有するATM装置用紙幣カセットの寿命管理方法、寿命管理端末の動作方法、ATM装置の動作方法も、本発明の範疇に含まれる。
【0078】
さらに、上述した構成要素の各機能の内の少なくとも一部の処理は、CPU(Central Processing Unit)を有するマイクロプロセッサ等の処理装置で構成されるコンピュータによるソフトウェア処理で実現してもよい。この場合、コンピュータを機能させるためのプログラム(寿命管理端末の動作プログラム、ATM装置の動作プログラム)は、本発明の範疇に含まれる。
【0079】
このプログラムは、CPUにより直接実行可能な形式のプログラムに限らず、ソース形式のプログラムや、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等、種々形態のプログラムを含む。また、このプログラムは、装置全体の制御を行うOS(Operating System)やファームウェア等の制御プログラムと連携して動作し、或いはその一部に組み込まれて一体的に動作するアプリケーションプログラムやそれを構成するソフトウェア部品(ソフトウェアモジュール)等、いずれの形態でも提供可能である。さらに、このプログラムは、無線又は有線回線を介して外部装置と通信する通信機能を有する装置に実装して使用する場合、例えば回線上に接続されたサーバ等の外部ノードからダウンロードして自装置内の記録媒体にインストールして使用することもできる。これらの形態は、実際に使用する装置の機能や用途等の事情に応じて適宜選択、変更、変形等して実施してもよい。
【0080】
また、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に含まれる。この場合、記録媒体は、ROM(Read Only Memory)等のメモリ等、装置内に固定して使用されるものや、利用者により持ち運びが可能な可搬型のもの等、いずれの形態のものでも適用可能である。
【0081】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、現金の繰り出し機能を有するATM装置用紙幣カセットの寿命管理システム及び寿命管理方法等の用途に利用できる。
【符号の説明】
【0083】
10 紙幣カセット
20 ATM装置
30 管理寿命端末
40 寿命通知受信端末
110 紙幣繰り出し用ローラ
120 固定データ部
130 紙幣繰り出しデータ部
140 日付管理部
150 紙幣残量管理部
160 データ送信部
170 制御部
210 紙幣カセットセット検知部
220 紙幣カセット情報部
230 ATM情報部
240 ワーニング管理部
250 データ送信部
260 制御部
310 受信部
320 データサーバ(データベース)
330 処理部
340 通知部
350 制御部
410 受信部
420 表示部
430 制御部
500、600 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙類繰り出し用ローラを有するカセットが装填される紙類繰り出し装置と、
前記紙類繰り出し装置にネットワークを介して通信可能に接続される寿命管理端末とを備え、
前記紙類繰り出し装置は、
装填されたカセットに関するカセット識別情報、期間余裕度情報、枚数余裕度情報を有するカセット情報を管理するカセット情報部と、
自機の紙類繰り出し装置番号、単位期間当たりの紙類繰り出し枚数、カセット交換期間を有する紙類繰り出し装置情報を管理する紙類繰り出し装置情報部と、
前記カセット情報と前記紙類繰り出し装置情報とを寿命管理端末に送信する送信部と、
を有し、
前記寿命管理端末は、
前記紙類繰り出し装置から送信されたカセット情報と紙類繰り出し装置情報とを蓄積するデータベースと、
蓄積されたカセット情報と紙類繰り出し装置情報とに基づいて、紙類繰り出し装置毎にカセットの期間余裕度及び枚数余裕度を計算し、両計算値に基づいて、カセット毎にどの紙類繰り出し装置に対してカセットの装填を行うことが最適となるのか、もしくはどのカセットが紙類繰り出し用ローラの交換が必要となるかの寿命時期を紙類繰り出し装置毎に順位を付けて判別する処理部と、
その判別結果をカセット寿命情報として通知する通知部と、
を有することを特徴とする紙類繰り出し装置の寿命管理システム。
【請求項2】
前記処理部は、前記カセット毎に期間余裕度及び枚数余裕度の両計算値の順に前記装置情報を並び替えることを特徴とする請求項1に記載の紙類繰り出し装置の寿命管理システム。
【請求項3】
前記寿命管理端末にネットワークを介して通信可能に接続される寿命通知受信端末をさらに備え、
前記寿命通知受信端末は、前記寿命管理端末から通知されたカセット寿命情報を受信して所定の形式で表示することを特徴とする請求項1に記載の紙類繰り出し装置の寿命管理システム。
【請求項4】
紙類繰り出し用ローラを有するカセットが装填される紙類繰り出し装置が、
装填されたカセットに関するカセット識別情報、期間余裕度情報、枚数余裕度情報を有するカセット情報を管理し、
自機の紙類繰り出し装置番号、単位期間当たりの紙類繰り出し枚数、カセット交換期間を有する紙類繰り出し装置情報を管理し、
前記カセット情報と前記紙類繰り出し装置情報とをネットワークを介して寿命管理端末に送信し、
前記寿命管理端末が、
前記紙類繰り出し装置から送信されたカセット情報と紙類繰り出し装置情報とを蓄積し、
蓄積されたカセット情報と紙類繰り出し装置情報とに基づいて、紙類繰り出し装置毎にカセットの期間余裕度及び枚数余裕度を計算し、その両計算値に基づいて、カセット毎にどの紙類繰り出し装置に対してカセットの装填を行うことが最適となるのか、もしくはどのカセットが紙類繰り出し用ローラの交換が必要となるかの寿命時期を紙類繰り出し装置毎に順位を付けて判別し、
その判別結果をカセット寿命情報として通知することを特徴とする紙類繰り出し装置の寿命管理方法。
【請求項5】
紙類繰り出し用ローラを有するカセットが装填される紙類繰り出し装置にネットワークを介して通信可能に接続される寿命管理端末であって、
前記紙類繰り出し装置から送信された、装填されたカセットに関するカセット識別情報、期間余裕度情報、枚数余裕度情報を有するカセット情報と、自機の紙類繰り出し装置番号、単位期間当たりの紙類繰り出し枚数、カセット交換期間を有する紙類繰り出し装置情報とを蓄積するデータベースと、
蓄積されたカセット情報と紙類繰り出し装置情報とに基づいて、紙類繰り出し装置毎にカセットの期間余裕度及び枚数余裕度を計算し、その両計算値に基づいて、カセット毎にどの紙類繰り出し装置に対してカセットの装填を行うことが最適となるのか、もしくはどのカセットが紙類繰り出し用ローラの交換が必要となるかの寿命時期を紙類繰り出し装置毎に順位を付けて判別する処理部と、
その判別結果をカセット寿命情報として通知する通知部と、
を有することを特徴とする寿命管理端末。
【請求項6】
紙類繰り出し用ローラを有するカセットが装填される紙類繰り出し装置であって、
装填されたカセットに関するカセット識別情報、期間余裕度情報、枚数余裕度情報を有するカセット情報を管理するカセット情報部と、
自機の紙類繰り出し装置番号、単位期間当たりの紙類繰り出し枚数、カセット交換期間を有する紙類繰り出し装置情報を管理する紙類繰り出し装置情報部と、
前記カセット情報と前記紙類繰り出し装置情報とをネットワークを介して寿命管理端末に送信する送信部と、
を有することを特徴とする紙類繰り出し装置。
【請求項7】
紙類繰り出し用ローラを有するカセットが装填される紙類繰り出し装置にネットワークを介して通信可能に接続される寿命管理端末の動作方法であって、
前記紙類繰り出し装置から発信された、装填されたカセットに関するカセット識別情報、期間余裕度情報、枚数余裕度情報を有するカセット情報と、自機の紙類繰り出し装置番号、単位期間当たりの紙類繰り出し枚数、カセット交換期間を有する紙類繰り出し装置情報とを蓄積し、
蓄積されたカセット情報と紙類繰り出し装置情報とに基づいて、紙類繰り出し装置毎にカセットの期間余裕度及び枚数余裕度を計算し、
その両計算値に基づいて、カセット毎にどの紙類繰り出し装置に対してカセットの装填を行うことが最適となるのか、もしくはどのカセットが紙類繰り出し用ローラの交換が必要となるかの寿命時期を紙類繰り出し装置毎に順位を付けて判別し、
その判別結果をカセット寿命情報として通知することを特徴とする寿命管理端末の動作方法。
【請求項8】
紙類繰り出し用ローラを有するカセットが装填される紙類繰り出し装置の動作方法であって、
装填されたカセットに関するカセット識別情報、期間余裕度情報、枚数余裕度情報を有するカセット情報を管理し、
自機の紙類繰り出し装置番号、単位期間当たりの紙類繰り出し枚数、カセット交換期間を有する紙類繰り出し装置情報を管理し、
前記カセット情報と前記紙類繰り出し装置情報とをネットワークを介して寿命管理端末に送信することを特徴とする紙類繰り出し装置の動作方法。
【請求項9】
紙類繰り出し用ローラを有するカセットが装填される紙類繰り出し装置にネットワークを介して通信可能に接続される寿命管理端末の動作プログラムであって、
コンピュータに、
前記紙類繰り出し装置から発信された、装填されたカセットに関するカセット識別情報、期間余裕度情報、枚数余裕度情報を有するカセット情報と、自機の紙類繰り出し装置番号、単位期間当たりの紙類繰り出し枚数、カセット交換期間を有する紙類繰り出し装置情報をデータベースに蓄積する処理と、
蓄積されたカセット情報と紙類繰り出し装置情報とに基づいて、紙類繰り出し装置毎にカセットの期間余裕度及び枚数余裕度を計算する処理と、
その両計算値に基づいて、カセット毎にどの紙類繰り出し装置に対してカセットの装填を行うことが最適となるのか、もしくはどのカセットが紙類繰り出し用ローラの交換が必要となるかの寿命時期を紙類繰り出し装置毎に順位を付けて判別する処理と、
その判別結果をカセット寿命情報として通知する処理と、
を実行させることを特徴とする寿命管理端末の動作プログラム。
【請求項10】
紙類繰り出し用ローラを有するカセットが装填される紙類繰り出し装置の動作プログラムであって、
コンピュータに、
装填されたカセットに関するカセット識別情報、期間余裕度情報、枚数余裕度情報を有するカセット情報を管理する処理と、
自機の紙類繰り出し装置番号、単位期間当たりの紙類繰り出し枚数、カセット交換期間を有する紙類繰り出し装置情報を管理する処理と、
前記カセット情報と前記紙類繰り出し装置情報とをネットワークを介して寿命管理端末に送信する処理と、
を実行させることを特徴とする紙類繰り出し装置の動作プログラム。
【請求項11】
紙幣繰り出し用ローラを有する紙幣カセットが装填される現金自動預け払い機と、
前記現金自動預け払い機にネットワークを介して通信可能に接続される寿命管理端末とを備え、
前記現金自動預け払い機は、
装填された紙幣カセットに関する紙幣カセット識別情報、期間余裕度情報、枚数余裕度情報を有する紙幣カセット情報を管理する紙幣カセット情報部と、
自機のATM装置番号、単位期間当たりの紙幣繰り出し枚数、カセット交換期間を有するATM装置情報を管理するATM情報部と、
前記紙幣カセット情報と前記ATM装置情報とを寿命管理端末に送信する送信部と、
を有し、
前記寿命管理端末は、
前記複数の現金自動預け払い機から送信された紙幣カセット情報とATM装置情報とを蓄積するデータベースと、
蓄積された紙幣カセット情報とATM装置情報とに基づいて、現金自動預け払い機毎に紙幣カセットの期間余裕度及び枚数余裕度を計算し、両計算値に基づいて、紙幣カセット毎にどの現金自動預け払い機に対して紙幣カセットの装填を行うことが最適となるのか、もしくはどの紙幣カセットが紙幣繰り出し用ローラの交換が必要となるかの寿命時期を現金自動預け払い機毎に順位を付けて判別する処理部と、
その判別結果を紙幣カセット寿命情報として通知する通知部と、
を有することを特徴とする現金自動預け払い機用紙幣カセットの寿命管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−159107(P2010−159107A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1526(P2009−1526)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)
【Fターム(参考)】