説明

素子部品搭載装置

【課題】 素子部品の搭載を容易にする。
【解決手段】 金属膜が設けられた素子部品が収納されたパレットに、素子部品が搭載される位置に導電性接着剤が設けられたウェハを重ねて、素子部品を前記位置に搭載する素子部品搭載装置であって、ウェハを吸引する吸引部とウェハを反転させる反転部とパレットの方向へ移動するZ方向移動部とを備える吸引移動反転手段と、素子部品が搭載される2つの所定の位置とパレットに設けられた凹部の2つの所定の位置とをカメラを用いて認識し位置データを生成する位置認識手段と、X方向及びY方向のズレ量を算出してズレ量データを生成する制御手段と、ズレ量データで示された距離を移動するXY方向移動ステージと、制御手段が、
XY方向移動ステージが移動した場合に、吸引移動反転手段の吸引部を移動させて素子搭載部材ウェハをパレットに重ねることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の素子部品を素子搭載部材ウェハに搭載する素子部品搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子機器には電子部品を搭載した電子基板が用いられている。この電子基板には、金属膜からなる導通パターンが形成されており、この導通パターンに半田等でコンデンサ等の素子部品を接合することで電子基板に電子部品を搭載している。
また、電子部品は、素子部品の他に、凹部を有する素子搭載部材に各種素子部品を搭載して凹部を封止した構造の電子部品が含まれる。この電子部品に用いられる素子搭載部材は、ウェハの状態で複数個設けられており、ウェハの状態(以下、「素子搭載部材ウェハ」という。)で素子搭載部材となる部分に設けられた各凹部にそれぞれ各種素子部品が搭載される。
【0003】
例えば、電子部品が水晶振動子の場合、セラミックスからなる素子搭載部材に水晶振動素子を搭載している。この素子搭載部材には金属膜からなる外部端子、搭載パッド、導通パターンが形成されている。この導通パターンが外部端子と搭載パッドとを電気的に接続して、外部端子と搭載パッドとを導通パターンの一部となるように構成されている。
この素子搭載部材に水晶振動素子を搭載する場合、搭載パッドに導電性接着剤を塗布した後に水晶振動素子をこの導電性接着剤につけて接合が行われる。なお、水晶振動素子が導電性接着剤に付いた後に加熱処理をして導電性接着剤を硬化させる。
この導電性接着剤は、ディスペンサーを用いて導通パターンの一部として形成されている搭載パッドに付着して行われる場合と(例えば、特許文献1参照)、転写にて行われる場合とがある(例えば、特許文献2参照)。
導電性接着剤には、エポキシ系とシリコン系が使われている。特に、シリコン系は硬化後も一定の弾性力があり、水晶振動素子が起こす振動に与える影響を少なくすることができる。これにより、特性の安定度が向上するので、携帯通信デバイスのリファレンス用振動子や発振器に用いられる。
【0004】
このような水晶振動子には、材質がセラミックスからなる素子搭載部材が用いられることが多い。セラミックスで素子搭載部材を製造する場合、シート状に形成したセラミックスを幾層に積層させながら複数の凹部を形成して素子搭載部材となる複数の部分が形成された素子搭載部材ウェハを設ける。ここで、各層のセラミックスには、導通パターンが形成されており、シート状に形成したセラミックスを積層することで、複雑な内部配線を可能にしつつ露出する表面に外部端子や搭載パッドを構成することができる。この状態で焼成することで、導通パターンを有した強固な素子搭載部材とすることができる。この素子搭載部材ウェハに設けられた搭載パッドに導電性接着剤を付着させ、
その上に圧電振動素子をつけて搭載する。
【0005】
この素子搭載部材となる部分に設けられている凹部内に圧電振動素子を搭載する場合、実装装置が用いられている。この実装装置は、圧電振動素子を吸引した状態で移動する吸引移動手段と、圧電振動素子を搭載する位置を認識しつつ圧電振動素子の移動した位置を認識して正確に吸引移動手段を移動させる認識手段を主に備えている(例えば、特許文献3参照)。
そこで、凹部内に圧電振動素子を搭載する場合、吸引移動手段により複数の圧電振動素子が載置されたパレットから一枚づつ移動して、認識手段により位置を補正しながら凹部内の搭載パッドに付着させてある導電性接着剤の上に圧電振動素子を置いていく。これにより、圧電振動素子の素子搭載部材への搭載が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−026982号公報
【特許文献2】特開2006−334804号公報
【特許文献3】特開2003−249523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、水晶振動素子などの電子部品を素子搭載部材ウェハの素子搭載部材となる部分に搭載する場合、吸引移動手段による電子部品の吸引位置が素子部品の中心からずれることがあり、認識手段により吸引移動手段の位置を補正しても正確な搭載ができない場合があった。
また、素子部品を1つ単位で搭載する場合、全ての凹部に圧電振動素子が搭載されるまでに導電性接着剤が変質する恐れがある。
また、位置の正確な補正のために認識手段を増やすことも考えられるが、装置が高価となり、製造コストを増加させる要因となる。
【0008】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、素子部品の搭載を容易にする簡易な素子部品搭載装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、複数の凹部を有しこれら凹部内に通電のための金属膜が設けられた素子部品が収納されたパレットに、前記素子部品が搭載される位置に硬化する前の導電性接着剤が設けられた素子搭載部材ウェハを重ねて、前記導電性接着剤を介して前記素子部品を前記素子部品が搭載される位置に搭載する素子部品搭載装置であって、幅方向をX方向、奥行き方向をY方向、高さ方向をZ方向としたとき、前記素子部品が搭載される位置が設けられた面を露出させた状態で前記素子搭載部材ウェハを吸引する吸引部と、前記素子搭載部材ウェハを吸引した状態で反転させる反転部と、前記パレットと対向する位置まで移動し
前記素子搭載部材ウェハを吸引した状態でZ方向であって前記パレットの方向に前記吸引部を前記パレットと所定の間隔をあけて移動させ、所定の時間停止して再度前記パレットと重なるように前記パレットの方向へ移動するZ方向移動部とを備える吸引移動反転手段と、前記吸引移動反転手段が所定の時間停止している際に前記吸引部と前記パレットとの所定の間隔に入り、前記吸引移動反転手段で吸引されている前記素子搭載部材ウェハの前記素子部品が搭載される2つの所定の位置と、これら2つの所定の位置と対応する前記パレットに設けられた2つの凹部の所定の位置とを2つのカメラを用いて認識し位置データを生成する位置認識手段と、
前記位置認識手段から前記位置データを入力し、前記2つの所定の位置に対応して記録されている位置と前記位置データと比較し、X方向及びY方向のズレ量を算出してズレ量データを生成する制御手段と、前記パレットが載置され、前記制御手段からズレ量データを入力し、パレットの配置位置を前記ズレ量データで示されたX方向及びY方向の距離を移動するXY方向移動ステージと、を備え、前記制御手段が、前記XY方向移動ステージがズレ量データに対応した距離を移動した場合に、前記位置認識手段を前記吸引部と前記パレットとの所定の間隔から出し、前記吸引移動反転手段の前期吸引部を移動させて前記素子搭載部材ウェハを前記パレットに重ねることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このような素子部品搭載装置によれば、素子搭載部材ウェハの素子搭載部材となる部分の素子部品が搭載される位置の全てに導電性接着剤を設け、吸引移動反転手段により導電性接着剤を設けた素子搭載部材ウェハの面を180度反転させて、素子部品が収納されているパレットに重ね合わせることで、素子搭載部材ウェハの素子搭載部材となる全ての部分のそれぞれに素子部品を導電性接着剤を介して接着させることで、素子部品を素子搭載部材となる部分に一括して搭載することができる。
【0011】
また、素子部品搭載装置によれば、位置認識手段が4つのカメラを備えており、このうちの2つのカメラがそれぞれ、反転している素子搭載部材ウェハの素子搭載部材となる所定の部分であって、素子部材が搭載される位置を認識し、この位置を基準として残りの2つのカメラが素子部品が収納されているパレットに設けられた凹部の位置を認識しつつ、素子搭載部材ウェハの素子部材が搭載される位置との差を算出して、XY方向移動ステージを移動させるので、1回の位置の認識で素子搭載部材ウェハとパレットとの位置あわせを完了させることができる。
【0012】
したがって、素子搭載部材ウェハとパレットとを重ね合わせたときに、素子搭載部材ウェハの素子部品を搭載する位置にパレットの素子部品が位置しており、素子搭載部材ウェハに設けた導電性接着剤がパレットに収納した素子部品と接触することとなる。
これにより、素子搭載部材ウェハの素子搭載部材となる全ての部分のそれぞれに素子部品を一括して搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る素子部品搭載装置の一例を概念的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る素子部品搭載装置の一例を概念的に示し、位置認識手段を省略して示した概念図である。
【図3】素子搭載部材ウェハを吸引部に移動させた状態の一例を示す概念図である。
【図4】吸引部を反転させた状態一例を示す概念図である。
【図5】吸引部をパレットと対向させた一例を示す概念図である。
【図6】位置認識手段により素子搭載部材ウェハとパレットとの位置を認識している状態の一例を示す概念図である。
【図7】(a)はパレットの位置のズレ量の一例を示す模式図であり、(b)はパレットの位置を調整した状態の一例を示す模式図である。
【図8】素子搭載部材ウェハとパレットとを重ね合わせた状態の一例を示す模式図である。
【図9】吸引部が素子搭載部材ウェハの吸引を止めて素子搭載部材ウェハから離れた状態の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という。)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各構成要素について、状態をわかりやすくするために、誇張して図示している。また、素子部品を圧電振動素子として説明する。
【0015】
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係る素子部品搭載装置100は、ウェハWの状態(以下、「素子搭載部材ウェハ」という。)で搬送されてくる素子搭載部材ST(図2参照)となる部分の各搭載パッドTに導電性接着剤を付着させ、硬化する前の導電性接着剤に圧電振動素子Qを接触させることで搭載する装置である。なお、素子搭載部材とは、チップ状に形成された素子部品を搭載して用いる部材をいう。
【0016】
(素子搭載部材ウェハ)
ここで、素子搭載部材ウェハWは、ガラス、シリコン(Si)、焼成が完了したセラミックのいずれかからなり、平板状に形成されている。なお、素子搭載部材ウェハWの所定の位置に貫通穴を設けても良い。この素子搭載部材ウェハWには、圧電振動素子Qを搭載するための搭載パッドTが設けられている。
【0017】
また、図示しないが、この搭載パッドTは貫通穴を介して素子搭載部材ウェハWの他方の主面に設けられている外部端子と電気的に接続している。この搭載パッドTと外部端子とこれらを結ぶ接続形状を導通パターンとする。この導通パターンは、例えば、従来周知のフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術により形成される。
この素子搭載部材ウェハWに設けられる搭載パッドTは、素子搭載部材ウェハWが反転した際に、後述するパレットPに収納された圧電振動素子Qに設けられた引き回しパターンの位置と対向するように設けられている。
【0018】
(圧電振動素子)
なお、圧電振動素子Qは、水晶片の両主面に励振電極を設けた構造となっている。この圧電振動素子Qは、励振電極に通電するための金属膜として引き回しパターンが設けられている。また、この圧電振動素子Qは、複数の凹部が形成されたパレットPのそれぞれの凹部に載置されることで収納されている。
【0019】
この本発明の実施形態に係る素子部品搭載装置100は、素子搭載部材ウェハWが載置された第一の搬送手段10と、接着材付着手段20と、パレット供給手段30と、パレットPが載置された第二の搬送手段40と、吸引移動反転手段50と、押出手段60と、位置認識手段70と、制御手段80と、XY方向移動ステージ90と、から主に構成されている。
【0020】
また、この素子部品搭載装置100は、素子搭載部材ウェハWが載置された第一の搬送手段10とパレットPが載置された第二の搬送手段40とが平行となるように備えられ、第一の搬送手段10と第二の搬送手段40との間に吸引移動反転手段50が備えられ、また、第一の搬送手段10と第二の搬送手段40とを跨ぐようにガイドレールRが設けられ、このガイドレールRに接着材付着手段20と吸引移動反転手段50とが備えられている。また、第一の搬送手段10の搬送経路の途中には、吸引移動反転手段50へ素子搭載部材ウェハWを押出す押出手段60が設けられている。
第二の搬送手段40の一方の端部側には、パレット供給手段30が備えられ、他方の端部側にXY方向移動ステージ90が設けられている。なお、このXY方向移動ステージ90の近傍に位置認識手段70が設けられている。
【0021】
なお、この素子部品搭載装置100において、素子搭載部材ウェハWの移動方向、つまり、第一の搬送手段10の搬送方向を奥行き方向、つまり、Y方向とし、平行となる第一の搬送手段10と第二の搬送手段40とに直交する方向を幅方向、つまり、X方向とし、このX方向とY方向の両方に直行する方向を高さ方向、つまり、Z方向とする。
【0022】
(第一の搬送手段)
第一の搬送手段10は、図1及び図2に示すように、素子搭載部材ウェハWを所定の位置に移動させる役割を果たす。第一の搬送手段10は、まず、載置された素子搭載部材ウェハWを後述する接着材付着手段20が移動してくる位置の下に搭載パッドTの所定の列が位置するように移動させる。つまり、Y方向に素子搭載部材ウェハWを搬送することができる。
ここで、列とは、第一の搬送手段10の移動方向に対して直行する方向に並んだ状態の複数の搭載パッドTの集合をいう。
【0023】
なお、図示しないが、この第一の搬送手段10の移動経路の上方にアライメント位置認識手段を設けても良い。このアライメント位置認識手段は、素子搭載部材ウェハWにアライメントが設けられている場合、所定の位置にアライメントが設けられてないことを検知すると、素子搭載部材ウェハWを所定の位置に停止させずにそのまま通過させて、圧電振動素子Qを搭載させないようにする役割を果たす。
【0024】
この第一の搬送手段10は、所定の位置に素子搭載部材ウェハWを移動させた後、素子搭載部材ウェハWに設けられた複数の搭載パッドTで構成される列の間隔ごとに素子搭載部材ウェハWを移動させる役割も果たす。
この第一の搬送手段10は、例えば、素子搭載部材ウェハWに設けられた全ての搭載パッドTに接着材付着手段20により導電性接着剤が塗布されるよう、列ごとにY方向へ移動した後、後述する押出手段60が設けられた位置まで素子搭載部材ウェハWを移動させる役割を果たす。これは、後述する吸引移動反転手段50へ押出すためである。
【0025】
(接着材付着手段)
接着材付着手段20は、図1及び図2に示すように、第一の搬送手段10により搬送されて所定の位置で停止した素子搭載部材ウェハWの前記導通パターンである搭載パッドTに導電性接着材を付着させる役割を果たす。この接着材付着手段20には、第一の搬送手段10側に導電性接着剤を出すための複数のディスペンサーDが、列をなす搭載パッドTと対向するように設けられている。つまり、X方向に複数のディスペンサーDが設けられている。これらディスペンサーDは、Z方向に往復して移動可能であり、素子搭載部材ウェハWに導電性接着剤を付着させるとき、及び付着させ終わったときにZ方向に移動する。
【0026】
この接着材付着手段20には、搭載パッドTの位置を画像認識手段により認識して位置を補正する位置補正装置が付いていない。しかしながら、素子搭載部材ウェハWがガラス、シリコン、焼成が完了したセラミックスのいずれかからなるため収縮することがないため、搭載パッドTの座標を記憶させておくだけで、導電性接着剤の付着を行うことができる。
【0027】
なお、付着とは、搭載パッドTに導電性接着剤を付けることをいい、ディスペンサーで導電性接着剤を搭載パッドTに塗布することを含む。また、接着材付着手段20の第一の搬送手段10側に転写ヘッドが設けられている場合は、導電性接着剤が搭載パッドTに転写される場合も含む。
【0028】
(押出手段)
押出手段60は、図1〜図3に示すように、第一の搬送手段10により移動させられて第一の搬送手段10上で停止している素子搭載部材ウェハWを後述する吸引移動反転手段50へ押出す役割を果たす。後述するが、吸引移動反転手段50の吸引部51は、第一の搬送手段10と並んだ位置にあるため、押出手段60が押し出した素子搭載部材ウェハWは、吸引部51の所定の位置で停止するように載置される。
【0029】
(パレット供給手段)
パレット供給手段30は、図1及び図2に示すように、複数の圧電振動素子Qが載置されたパレットPを保持する役割を果たす。
このパレット供給手段30は、複数の圧電振動素子Qが搭載されたパレットPを複数保持するようになっている。なお、このパレット供給手段30は、他の工程により形成された複数のパレットPを自動又は手動で保持しても良い。
【0030】
(第二の搬送手段)
第二の搬送手段40は、図1及び図2に示すように、パレットPをパレット供給手段30から移動させ所定の位置で停止させる役割を果たす。
この第二の搬送手段40は、例えば、第一の搬送手段10と同一方向にパレットPを移動させることができるようになっている。つまり、Y方向にパレットPを搬送することができる。この第二の搬送手段40は、パレットPが載置されると、後述する吸引移動反転手段50が移動してくる位置の下に圧電振動素子Qの所定の行と列が位置するように、かつ、XY方向移動ステージ90上に載置された状態となるようにパレットPを移動させる。
【0031】
ここで、行とは、第二の搬送手段40の移動方向に対して平行な方向に並んだ状態の複数の圧電振動素子の集合をいい、列とは、第二の搬送手段40の移動方向に対して直行する方向に並んだ状態の複数の圧電振動素子の集合をいう。
【0032】
(XY方向移動ステージ)
XY方向移動ステージ90は、図5及び図6に示すように、第二の搬送手段40から移動されたパレットPが載置され、後述する制御手段80からズレ量データを入力し、パレットPの配置位置を前記ズレ量データで示されたX方向及びY方向の距離を移動する役割を果たす。
このXY方向移動ステージ90は、例えば、吸引移動反転手段50の吸引部51と押出手段60と並んだ位置に配置されている。そのため、XY方向移動ステージ90は、制御手段80でパレットPの位置の調整はするものの、後述するが反転された吸引部51と対向する位置に配置されている。
また、このXY方向移動ステージ90は、第二の搬送手段40の搬送端部に設けられており、パレットPが搬送されて停止できるようになっている。
【0033】
(位置認識手段)
位置認識手段70は、図5〜図8に示すように、吸引移動反転手段50が所定の時間停止している際に吸引部50とパレットPとの所定の間隔に入り、吸引移動反転手段50の吸引部51で吸引されている素子搭載部材ウェハWの素子部品が搭載される2つの所定の位置と、これら2つの所定の位置と対応するパレットPに設けられた2つの凹部の所定の位置とを4つのカメラを用いて認識し位置データを生成し、生成された位置データを後述する制御手段80へ出力する役割を果たす。
【0034】
位置認識手段70は、例えば、第二の搬送手段40と並べつつ、後述する吸引移動反転手段50の稼動範囲から外れた位置に設けられている。
例えば、位置認識手段70は、柱状の回動支持部71と、この回動支持部71を回動軸とする回動アーム部72と、この回動アーム部72に設けられる4つのカメラ73とから構成されている。
【0035】
回動支持部71は、Z方向に長い柱状に形成されており、図示しないモータから動力伝達される回動軸を内部に備えている。
【0036】
回動アーム部72は、回動支持部71に備えられている。具体的には、回動アーム部72は、回動支持部71の回動軸と接続されており、X軸方向及びY軸方向を含む平面内を回動することができるようになっている。
【0037】
4つのカメラ73(73a,73b,73c,73d)は、回動アーム部72に設けられている。具体的には、これらのカメラ73は、回動アーム部72の回動支持部71側を固定部、先端側を自由端部とすると、自由端部側に2つのカメラ73a及び73bが設けられ、固定部側に残りの2つのカメラが設けられている。
【0038】
自由端部側のカメラ73aは、パレットP側を向くように配置されている。また、自由端部側のカメラ73bは、パレットP側を向くカメラ73aとは反対方向を向くように設けられている。つまり、自由端部側のカメラ73bは、後述する反転した吸引部51側を向くように設けられる。また、カメラ73aの撮影中心点とカメラ73bの撮影中心点は一致させている。
カメラ73bの撮影中心点は、例えば、吸引部51に吸引されている素子搭載部材ウェハWの所定の搭載パッドTの1つの角と一致するように設定されている。
また、カメラ73aの撮影中心点は、これに対応して、パレットPの凹部の1つの角と一致するように設定されている。
【0039】
同様に、固定部側のカメラ73cは、パレットP側を向くように配置されている。また、固定部側のカメラ73dは、パレットP側を向くカメラ73cとは反対方向を向くように設けられている。つまり、固定部側のカメラ73dは、後述する反転した吸引部51側を向くように設けられる。また、カメラ73cの撮影中心点とカメラ73dの撮影中心点は一致させている。
カメラ73dの撮影中心点は、例えば、吸引部51に吸引されている素子搭載部材ウェハWの所定の他の搭載パッドTの1つの角と一致するように設定されている。
また、カメラ73cの撮影中心点は、これに対応して、パレットPの他の凹部の1つの角と一致するように設定されている。
【0040】
これにより、カメラ73b及びカメラ73dの撮影中心点を基準としたとき、カメラ73aの基準位置と撮影された際の基準としている凹部の角の位置と、カメラ73cの基準位置と撮影された際の基準としている凹部の角の位置との差が明確になるように位置データを生成する。
【0041】
このように固定部側の2つのカメラ73c、73dに対して、自由端部側の2つのカメラ73a、73bが離れる距離が長いほど、後述するが、正確にパレットPの位置と吸引部51に吸引されている素子搭載部材ウェハWとを重ね合わせることができる。
【0042】
(吸引移動反転手段)
吸引移動反転手段50は、図3〜図8に示すように、素子部品である圧電振動素子Qが搭載される位置が設けられた面を露出させた状態で素子搭載部材ウェハWを吸引する吸引部51と、素子搭載部材ウェハWを吸引した状態で反転させる反転部52と、パレットPと対向する位置まで移動し素子搭載部材ウェハWを吸引した状態でZ方向であってパレットPの方向に吸引部51をパレットPと所定の間隔をあけて移動させ、所定の時間停止して再度、パレットPと重なるようにパレットの方向へ移動するZ方向移動部53とを備えている。
なお、反転部52は、X方向に移動するX方向移動部52aを備えている。
【0043】
吸引部51は、第一の搬送手段10により搬送された素子搭載部材ウェハWが押出手段60により押し出されるので、この押し出されて移動した素子搭載部材ウェハWを載置し、吸引することで素子搭載部材ウェハWを固定する役割を果たす。
なお、押し出されて移動した素子搭載部材ウェハWは、吸引部51の所定の位置で停止する。なお、この状態にある吸引部51の位置を原点とし、吸引部51の後述する一連の動作が完了した後に、この位置に戻ることを原点復帰という。
また、吸引部51は、素子搭載部材ウェハWを載置する面に貫通していない複数の孔が設けられており、内部に設けられた流路(図示せず)と連通している。この流路は外部のコンプレッサ(図示せず)と接続されており、複数の孔から外気を吸引することができる構造となっている。
吸引部51は、後述するZ方向移動部53に備えられ、Z方向移動部53の長さ方向がZ方向を向いたときにZ方向へ移動することができるようになっている。
Z方向移動部53は、反転部52に設けられており、反転部52の回動と一緒に回動することができる。
【0044】
反転部52は、主に吸引部51を反転させる役割を果たす。例えば、反転部52は、Z方向とX方向とを含む平面内で回動することができるようになっている。
この反転部52には、回動軸の一方の端部側にX方向へ移動するためのX方向移動部52aが設けられており、回動軸の他方の端部側にZ方向移動部53が設けられている。
反転部52は、吸引部51が素子搭載部材ウェハWを吸引した状態で180°回転し、この状態で、第二の搬送手段40の方へ向けてX軸方向に移動する。
また、反転部52は、吸引部51がXY方向移動ステージ90上に載置された状態のパレットPと対向する位置で停止することができるようになっている。
【0045】
このX方向移動部52aは、X方向と平行に設けられているガイドレールRに備えられており、吸引移動反転手段50をX方向に移動させる役割を果たす。
【0046】
Z方向移動部53は、吸引部51をZ方向へ移動させ、つまり、吸引部51をパレットPに近付ける方向に移動させ、パレットPと吸引部51との間に位置認識手段70が入る程度の間隔をあけて吸引部51の移動を停止させ、パレットPが所定の位置に配置されるようにXY方向移動ステージ90の位置の調整が終了し、位置認識手段70がパレットPと吸引部51との間から離れた後に、吸引部51をパレットPの方向に移動させて、素子搭載部材ウェハWとパレットPとを重ねる役割を果たす。
【0047】
(制御手段)
制御手段80は、位置認識手段70から位置データを入力し、2つの所定の位置に対応して記録されている位置と位置データと比較し、X方向及びY方向のズレ量を算出してズレ量データを生成しつつ、X方向及びY方向のズレ量に基づいてXY方向移動ステージ90をX方向、Y方向に移動させ、XY方向移動ステージ90がズレ量データに対応した距離を移動した場合に、位置認識手段70を吸引部51とパレットPとの所定の間隔から出し、吸引移動反転手段50の吸引部51を移動させて素子搭載部材ウェハWをパレットPに重ねる役割を果たす。
【0048】
制御手段80は、位置データを位置認識手段70から入力した後、基準とするパレットPの2つ位置と、そこから実際に撮影されたパレットPの2つの位置とを比較して、X方向の移動量とY方向の移動量とを算出する。これら移動量に対応するように、XY方向移動ステージ90をX方向、Y方向に移動させる。
【0049】
これにより、XY方向移動ステージ90上に載置されているパレットPは、吸引部51に吸引されている素子搭載部材ウェハWと向かい合う位置に調整される。
つまり、素子搭載部材ウェハWは、材質がガラス、シリコン、焼成が完了したセラミックスのいずれかが用いられており収縮することがないため、位置の調整を数値を用いた計算を主体として位置あわせのみで正確な重ねあわせを実現することができる。
【0050】
なお、制御手段80は、素子搭載部材ウェハWとパレットPとの重ねあわせが完了すると、吸引部51の素子搭載部材ウェハWの吸引状態を解除して、XY方向移動ステージ90上に重ね合わせたパレットPと素子搭載部材ウェハとを残し、吸引移動反転手段50を新たな素子搭載部材ウェハWを吸引部51に載置・吸引するために原点復帰させる。
【0051】
このようにして重ねあわされた素子搭載部材ウェハWとパレットPについて説明する。
図8に示すように、パレットPの凹部内に収納されている圧電振動素子Qは、素子搭載部材ウェハWの搭載パッドTに設けられた導電性接着剤Dと接触しており、導電性接着剤Dの硬化後、導電性接着剤Dを介して圧電振動素子Qと搭載パッドTとの電気的接続が可能となっている。
【0052】
したがって、本発明の実施形態に係る素子部品搭載装置100によれば、素子搭載部材ウェハWの素子搭載部材となる部分の素子部品が搭載される位置の全てに導電性接着剤Dを設け、吸引移動反転手段50により導電性接着剤Dを設けた素子搭載部材ウェハWの面を180度反転させて、素子部品である圧電振動素子Qが収納されているパレットPに重ね合わせることで、素子搭載部材ウェハWの素子搭載部材となる全ての部分のそれぞれに圧電振動素子Qを導電性接着剤Dを介して接着させることで、圧電振動素子Qを素子搭載部材となる部分に一括して搭載することができる。
【0053】
また、本発明の実施形態に係る素子部品搭載装置100によれば、位置認識手段70が4つのカメラ73を備えており、このうち2つのカメラ73b、73dがそれぞれ、反転している素子搭載部材ウェハWの素子搭載部材となる所定の部分であって、圧電振動素子Qが搭載される位置を認識し、この位置を基準として残りの2つのカメラが圧電振動素子Qが収納されているパレットPに設けられた凹部の位置を認識しつつ、素子搭載部材ウェハWの素子部材が搭載される位置との差を算出して、XY方向移動ステージ90を移動させるので、1回の位置の認識で素子搭載部材ウェハWとパレットPとの位置あわせを完了させることができる。
【0054】
したがって、素子搭載部材ウェハWとパレットPとを重ね合わせたときに、素子搭載部材ウェハWの圧電振動素子Qを搭載する位置にパレットPの圧電振動素子Qが位置しており、素子搭載部材ウェハWに設けた導電性接着剤DがパレットPに収納した圧電振動素子Qと接触することとなる。
これにより、素子搭載部材ウェハWの素子搭載部材となる全ての部分のそれぞれに圧電振動素子Qを一括して搭載することができる。
【符号の説明】
【0055】
100 素子部品搭載装置
10 第一の搬送手段
20 接着材付着手段
30 パレット供給手段
40 第二の搬送手段
50 吸引移動反転手段
51 吸引部
52 反転部
52a X方向移動部
53 Z方向移動部
60 押出手段
70 位置認識手段
71 回動支持部
72 回動アーム部
73a,73b,73c,73d カメラ
80 制御手段
90 XY方向移動ステージ
Q 圧電振動素子
W 素子搭載部材ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の凹部を有し通電のための金属膜が設けられた素子部品がこれら凹部内に収納されたパレットに、前記素子部品が搭載される位置に硬化する前の導電性接着剤が設けられた素子搭載部材ウェハを重ねて、前記導電性接着剤を介して前記素子部品を前記素子部品が搭載される位置に搭載する素子部品搭載装置であって、
幅方向をX方向、奥行き方向をY方向、高さ方向をZ方向としたとき、
前記素子部品が搭載される位置が設けられた面を露出させた状態で前記素子搭載部材ウェハを吸引する吸引部と、前記素子搭載部材ウェハを吸引した状態で反転させる反転部と、前記パレットと対向する位置まで移動し前記素子搭載部材ウェハを吸引した状態でZ方向であって前記パレットの方向に前記吸引部を前記パレットと所定の間隔をあけて移動させ、所定の時間停止して再度前記パレットと重なるように前記パレットの方向へ移動するZ方向移動部とを備える吸引移動反転手段と、
前記吸引移動反転手段が所定の時間停止している際に前記吸引部と前記パレットとの所定の間隔に入り、前記吸引移動反転手段で吸引されている前記素子搭載部材ウェハの前記素子部品が搭載される2つの所定の位置と、これら2つの所定の位置と対応する前記パレットに設けられた2つの凹部の所定の位置とを4つのカメラを用いて認識し位置データを生成する位置認識手段と、
前記位置認識手段から前記位置データを入力し、前記2つの所定の位置に対応して記録されている位置と前記位置データと比較し、X方向及びY方向のズレ量を算出してズレ量データを生成する制御手段と、
前記パレットが載置され、前記制御手段からズレ量データを入力し、パレットの配置位置を前記ズレ量データで示されたX方向及びY方向の距離を移動するXY方向移動ステージと、
を備え、
前記制御手段が、前記XY方向移動ステージがズレ量データに対応した距離を移動した場合に、前記位置認識手段を前記吸引部と前記パレットとの所定の間隔から出し、前記吸引移動反転手段の前期吸引部を移動させて前記素子搭載部材ウェハを前記パレットに重ねることを特徴とする素子部品搭載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−119459(P2012−119459A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267237(P2010−267237)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】