紡機における機台管理方法
【課題】紡機の必要箇所を繰り返し撮影し、その撮影データを蓄積し、表示機に表示させることによって管理を行うようにした紡機の機台管理方法を提供する。
【解決手段】リング精紡機1の長手方向に移動可能な移動清掃装置2にリング精紡機1に向けた撮影器26、27、28を設置し、リング精紡機1の長手方向に並列して設けられた多数の紡出部に沿って移動清掃装置2を所定の時間を空けて巡回させ、移動清掃装置2の巡回中に撮影器26、27、28でリング精紡機1を撮影し、巡回において撮影した撮影データを複数のリング精紡機1に接続した主制御装置36又はリング精紡機1に備えた機台制御装置29、30、31の記憶装置37に蓄積し、撮影データを画像データとして又は撮影データから得られた分析データとして表示機40に表示する。
【解決手段】リング精紡機1の長手方向に移動可能な移動清掃装置2にリング精紡機1に向けた撮影器26、27、28を設置し、リング精紡機1の長手方向に並列して設けられた多数の紡出部に沿って移動清掃装置2を所定の時間を空けて巡回させ、移動清掃装置2の巡回中に撮影器26、27、28でリング精紡機1を撮影し、巡回において撮影した撮影データを複数のリング精紡機1に接続した主制御装置36又はリング精紡機1に備えた機台制御装置29、30、31の記憶装置37に蓄積し、撮影データを画像データとして又は撮影データから得られた分析データとして表示機40に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、リング精紡機、リング撚糸機、延伸撚糸機あるいは粗紡機等の紡機における機台管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、精紡機100の前面を走行する走行ユニット200にカメラ201を取り付け、走行ユニット200の走行中に供給繊維束領域A、ドラフトパート領域Bあるいは糸が管糸に巻き取られようとしている部分のいずれか又は全部の領域を前記カメラ201によって撮影し、糸切れの有無を検出する技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、精紡機1の上方に懸架された粗糸ボビンBを新しい満ボビンFと交換する粗糸替機4に監視用カメラ14を設置し、粗糸替機4による粗糸替作業の1サイクルを撮影することによって作業状況を監視する技術が開示されている。
【0004】
特許文献3には、ワインダー101の巻取りユニット102上方を走行する玉揚げ装置106に小型カメラ35を巻取りユニット102のテンサローラ127aに向けて取り付けた技術が開示されている。小型カメラ35は、走行中の玉揚げ装置106が巻き上げ完了した巻取りユニット102のパッケージPを玉揚げするために停止した時、テンサローラ127aを撮影し、テンサローラ127aに付けた原点位置を示す目印37を基にその回転状態を電気信号に変えて演算部3に送信し、演算部3で予め認識されているパターンと比較してテンサローラ127aの回転の有無を判断する。
【特許文献1】特開昭58−115133号公報
【特許文献2】特開平7−3545号公報
【特許文献3】特開平8−3829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、糸切れ状態を検出する技術のみを開示し、しかもカメラによる撮影対象物が繊維束あるいは糸であるか否かを知るためにテレビ画面上に特別なカーソルを設定しておく必要があり、紡機の他の場所の撮影には使えないものである。従って、特許文献1に開示の技術では、紡機の種々の箇所に対する管理ができないという問題がある。
【0006】
特許文献2は、精紡機の粗糸替という特殊な作業状況のみを撮影し、監視するもので、紡機の他の部分に利用することができず、前記特許文献1の場合と同様に紡機の種々の箇所に対する管理ができないという問題がある。
【0007】
特許文献3は、テンサローラの回転状態と言う特定の動作状態の検出のみに使用されるもので、汎用性がなく、また巻き上げが完了した巻取りユニットの玉揚げ時というように特定の巻取りユニットでのみ撮影が行われるため全巻取りユニットを撮影することが無いので、前記特許文献1及び特許文献2の場合と同様に紡機の種々の箇所に対する管理ができないという問題がある。
【0008】
本願発明の目的は、上記問題に鑑み、紡機の各紡出部を繰り返し撮影し、その撮影データを蓄積し、表示機に表示させることによって管理を行うようにした紡機における機台管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に代表される本願発明は、撮影器を設置した走行体を、所定の時間を空けて紡機長手方向に巡回させ、巡回中に前記撮影器で紡出部を撮影し、その撮影データを蓄積し、前記撮影データを画像データとして又は撮影データから得られた分析データとして表示機に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
従って本願発明によれば、従来の管理方法では管理できなかった紡機の多くの項目が管理可能となり、紡機の保全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、リング精紡機における本願発明の実施形態を説明する。
図1及び図2は、リング精紡機1とリング精紡機1の上方を長手方向に移動するブロアー式の移動清掃装置2を示す。
リング精紡機1は既知の構成を備えたものである。ギヤエンドGEとアウトエンドOEとの間に架設されたフレーム上で、機台の右側R(図1の右側)と左側L(図1の左側)に配設された多数のスピンドル3はチンプーリ4とテンションプーリ5に巻き掛けられたベルト6により回転駆動される。スピンドル3には糸巻きボビンBが装着され、リング精紡機1の運転によって糸が巻き付けられる。スピンドル3の上方にはドラフトパート7が設置され、さらにそれらの上方に配置されたクリール8に、多数の粗糸ボビン9及び粗糸ボビン9から引き出される粗糸のガイド10が懸架されている。粗糸ボビン9及びガイド10を有する粗糸供給部、ドラフトパート7、スピンドル3を有する巻取り部によりリング精紡機の紡出部が構成されている。
なお、ドラフトパート7の下方に図示した符号11はニューマ装置の吸引ダクトであり、糸切れ発生時に糸切れ紡出部のドラフトパート7から送り出されるフリースを吸引し、隣接紡出部への影響を防止する。
【0012】
移動清掃装置2は本願発明の走行体に相当するものであるが、清掃機能に関する構成は従来からリング精紡機に使用されているものと同等(例えば、特開2000−96365号公報参照)である。
即ち、クリール8の上方に機台長手方向に延びる一対のレール12が架設され、レール12上に移動清掃装置2の可動体13が往復移動可能に載置されている。可動体13は機台の右側Rと左側Lのリング精紡機前面に垂下する一対の吸引パイプ14及び吹気パイプ15を備える。また、吸引パイプ14はさらに分岐した補助吸引ノズル16を備え、吹気パイプ15は分岐した補助噴射ノズル17を備えている。
【0013】
レール12はギヤエンドGE上に設置されたロッド18によって支持され、ロッド18はさらに駆動モータ19及び駆動モータ19の駆動軸に固定した駆動プーリ20を支承する。駆動プーリ20とアウトエンドOE側に設置したロッド(図示せず)によって支承された被動プーリ(図示せず)との間には駆動ベルト21が巻き掛けられており、駆動ベルト21は可動体13と連結して可動体13を機台長手方向に往復駆動する。
可動体13には送風機(図示せず)が備えられ、送風機の作動によって吹気パイプ15及び補助噴射ノズル17への給気作用と吸引パイプ14及び補助吸引ノズル16に対する負圧作用が与えられる。
【0014】
22は、糸巻きボビンBへの糸巻き取り時に上下動して糸のトラバースを行うリングレールを示す。また、リングレール22は公知のようにトラベラ(図示せず)を備えている。機台右側Rのリングレール22の前面には、紡出部の長手方向位置を表示する錘番号R1、R2、R3〜RNがマーキングされている。図示していないが、機台左側Lのリングレール22の前面にも機台左側Lの各紡出部を示す錘番号がマーキングされている。なお、各紡出部の長手方向位置を示す表示(マーキング)は、塗装、印刷、シール添付等の各紡出部を区別できるものであればよい。また表示位置はリングレール22に限らず、各紡出部を特定できる場所であればよいが、後記する撮影器による撮影の便宜上、リングレール22の前面に錘番号をマーキングすることが最も好ましい。
また、全紡出部を複数のブロックに分けてブロック番号を付し、さらに各ブロック毎に連番を付すことにより、ブロック番号とブロック内の連番の組み合わせにより特定紡出部を認識できるように設定してもよい。
【0015】
一方、移動清掃装置2の左右一対の吸引パイプ14には、それぞれ3箇所に上から順番に取り付けブラケット23、24、25が取り付け位置変更可能な状態で固定されている。各取り付けブラケット23、24、25にはそれぞれ撮影器26、27、28が固定されている。撮影器26は粗糸ボビン9からガイド10を介してドラフトパート7に至る粗糸の経路を指向し、撮影器27はドラフトパート7を指向し、撮影器28は糸巻き取り部である糸巻きボビンB及びリングレール22を指向するようにそれぞれ設定されている。
【0016】
前記した移動清掃装置2及び撮影器26、27、28の制御機構を図3に模式的に示した説明図に基づき説明する。図3には3台のリング精紡機001、002、003が示されている。各リング精紡機のギヤエンドGEには機台制御装置29、30、31がそれぞれ設置され、各リング精紡機の移動清掃装置2の駆動モータ19及び移動清掃装置2に取り付けた撮影器26、27、28(図3では代表として撮影器28を示す)はそれぞれ機台制御装置29、30、31に有線32、33、34又は無線によって接続されている。
【0017】
各機台制御装置29、30、31は、リング精紡機の運転制御プログラムのほか、リング精紡機の清掃をリング精紡機の管替え後の再起動時を含む所定時間毎に行うための清掃プログラム及び撮影器26、27、28の撮影動作タイミングが設定された撮影プログラムを備えている。従って、各リング精紡機の移動清掃装置2は各機台制御装置29、30、31からの指令信号により、リング精紡機の機台長手方向に往復移動し、所定の清掃作業を行うと共に設定された動作タイミングで撮影器26、27、28がリング精紡機の撮影を行う。
【0018】
各機台制御装置29、30、31は有線35又は無線によって主制御装置36に接続される。主制御装置36はROM及びRAMからなる記憶装置37とCPU38という既知の構成を備え、種々のデータの入出力、データの演算処理及びデータや演算処理結果の蓄積を行う。また、主制御装置36は有線39又は無線を介して入出力装置を備えた表示機40と接続し、必要なデータを表示機40に表示したり、必要なデータの入出力操作をすることができる。なお、図3に示す主制御装置36及び表示機40は実際は一体化された装置であるが、説明の便宜上別体で表示している。
従って、撮影器26、27、28がリング精紡機の前面を移動しながら撮影した撮影データはそれぞれ一旦機台制御装置29、30、31に送信され、その後各機台制御装置29、30、31から主制御装置36に送信され、記憶装置37に蓄積される。
なお、撮影器26、27、28、各機台制御装置29、30、31及び主制御装置36間の接続は紡績工場等に既設のシリアル通信網やローカルエリアネットワーク等を利用することができる。
【0019】
前記した運転制御プログラム、清掃プログラム及び撮影プログラムは、主制御装置36での入力操作により設定したものを送信し、各機台制御装置29、30、31の記憶装置に設定したものであるが、各プログラムは各機台制御装置29、30、31での入力操作により直接設定するようにしてもよい。
【0020】
主制御装置36は各リング精紡機の機台制御装置29、30、31に対して、清掃作業のために移動中の移動清掃装置2を停止及び再移動するプログラムを備えている。このため、特定の紡出部を予め決めておくか、あるいは作業者によるリアルタイムの入力操作により主制御装置36は機台制御装置29、30、31のいずれかあるいは全部に停止指令信号を発信し、移動清掃装置2を特定の紡出部で停止させ、撮影器26、27、28によってその紡出部の糸巻取り部のみあるいは全体を撮影することができる。撮影データは移動時と同様にそれぞれ機台制御装置29、30、31に送信される。
【0021】
撮影器26、27、28によって撮影した撮影データであるリング精紡機の画像は次の形態がある。即ち、移動清掃装置2が移動中に撮影する画像は動画を基本とするが、設定によって連続静止画に切り換えることができる。移動清掃装置2が停止時に撮影する画像も動画を基本とするが、設定によって静止画に切り換えることができる。
これらの画像形態の切り換え操作は主制御装置36、機台制御装置29、30、31あるいは撮影器26、27、28のいずれかで行うことができる。
上記の各撮影データには、後述する方法によって設定された撮影年月日、時刻、機台名、撮影した位置情報等が撮影時に自動的に記録される。なお、位置情報については各紡出部の他、粗糸ボビン9からスピンドル3に至る紡出部の各位置が撮影器26、27、28によって決まるため、各撮影器に認識番号を付与し、その撮影器からの撮影データについて認識番号を記録すれば紡出部の各位置を認識することができる。
【0022】
なお、移動清掃装置2の停止時間は予め設定されているが、この時間は適宜変更することができる。また、予め設定された停止時間が経過した時点で移動清掃装置2が自動発進するように設定しておくことも可能である。この移動清掃装置2が停止している時間帯は可動体13内に設置された送風装置を停止しておくことが好ましい。
【0023】
前記した移動清掃装置2の停止及び再移動プログラムは主制御装置36に限らず、機台制御装置29、30、31に設定しておき、停止又は再移動指令信号を機台制御装置29、30、31から発信するように構成してもよい。
【0024】
主制御装置36に送信された撮影データは、そのまま表示機40に表示することにより作業者が撮影時点での各紡出部や紡出部間の状況を視覚的に把握し、その状況の良し悪しを判断することができる。
また、撮影データを分析することによりリング精紡機の異常状態や異常傾向等をデータとして把握でき、必要に応じて異常表示や警告あるいは所定の作業を行うことができる。撮影データの分析対象項目としては、例えば糸切れ、ドラフトパート7のクリアラーローラへの風綿堆積状態、トラベラの誤装着や摩耗状況、部品間違い等がある。
【0025】
対象項目の分析は、例えばパターン認識によって行うことができる。糸切れの場合は、適正な紡出運転時の糸バルーンの形状をパターン化し、基準データとして記憶させておき、撮影した紡出部の糸バルーンの画像をパターン化したものを比較データとして基準パターンと照合することにより、撮影した紡出部において糸切れが発生していた場合、比較データと基準データとの間で糸バルーンのパターンが一致せず糸切れと判断することができる。
【0026】
トラベラの誤装着については、トラベラ装着直後の各紡出部の撮影データにおける糸バルーン形態を基準データとして記憶されている糸バルーン形態と照合した時、撮影した糸バルーンの大きさが大きく相違している場合にトラベラの誤装着と判断できる。
なお、トラベラの誤装着については基準データを持たずに撮影した各紡出部の糸バルーンを比較することによっても判断することができる。即ち、機台の長手方向に沿って各紡出部を撮影し、隣接錘と明らかに異なった糸バルーン形態を有する紡出部をトラベラ誤装着の疑いがあるものとして判断する。この場合には、基準データの記憶や基準データとの比較が不要となるために、主制御装置36又は機台制御装置29、30、31側の記憶容量や制御負荷が少なくて済む。なお、基準データを持たず、隣接錘との比較により異常を検出する方法は、トラベラ誤装着に限らず、糸切れや部品誤装着等の監視にも適用することができる。
【0027】
トラベラの摩耗状況を判断する場合は、トラベラ交換後の各紡出部の撮影データにおける糸バルーン形態と基準データとして記憶した糸バルーン形態とを比較し、その偏差を継続して記憶しておき、糸バルーン形態の偏差が一定値以上に拡大した時トラベラの交換時期と判定し、警告あるいはトラベラ交換表示を行う。判断の基準となる偏差値は実験的、経験的に得ることができる。
【0028】
ドラフトパート7のクリアラーローラへの風綿堆積状態については、適正な紡出運転時におけるドラフトパート7の撮影画像を基準データとして設定しておき、移動清掃装置2の巡回時に撮影したクリアラーローラの画像を比較することによって風綿堆積状態の変化を把握することができる。この場合も変化状態の限界を設定しておくことによりクリアラーローラの清掃時期を判定し、清掃作業の指示を表示機40等に表示することができる。
【0029】
なお、基準データとして清掃作業が必要な時間を予測して予め設定しておけば、不慮のトラブルでフリースがクリアラーローラに巻き付いたような場合、設定時間内でもクリアラーローラに大きな変化が現れるので、これを単なる清掃時期として判断せず、異常事態の発生と判定し、緊急対処のための警告信号を出したり、場合によってはリング精紡機の運転停止信号を発信し、トラブルに対し迅速に対応することができる。
【0030】
部品間違いについては、例えばクリアラーローラ等の部品は紡出仕様によって色や大きさが異なるため、新しい紡出仕様が設定された際にその仕様に合ったクリアラーローラ等の部品の色や大きさを基準データとして予め設定しておき、移動清掃装置2の巡回時に撮影した例えばクリアラーローラの画像を基準データと比較することによって部品間違いや部品の装着忘れを早期に発見し、対処することができる。
【0031】
次に、前記したリング精紡機の撮影データ及び蓄積した撮影データ、撮影データから得られた分析データ等の表示機40による利用方法を説明する。
【0032】
図4は表示機40にメニュー画面を表示させたもので、メニュー項目としてリアルタイム映像、録画予約、画像再生及びレポートがある。
ここで、「リアルタイム映像」を選択してクリックすると、図5に示すリアルタイム映像機台選択画面でリング精紡機の機台番号001〜Nが表示される。機台番号はスクロールボタン41又は42を操作することにより全機台番号を表示することができる。チェックしたい機台番号、例えば001を選択し、表示ボタンをクリックすることにより図6に示すリアルタイム映像画面が表示される。なお、機台番号は複数選択することができ、表示ボタンを押すと図6の画面に複数のウィンドウが表示され、各ウィンドウに図6と同じ内容の画面が機台番号毎に表示される。
【0033】
図6の画面には、図5で選択した機台番号001は生産分玉60%であることを示し、その時の機台のR側映像画面及びL側映像画面を表示する。その他に、図6の画面では移動ボタン、録画ボタン及びシャッターボタンが表示されている。
作業者は、映像画面を見ながら移動ボタンを操作して移動清掃装置2を移動あるいは停止させ、R側、L側の映像画面を見ながらリング精紡機の状況をチェックし、異常等の判断をすることができる。
【0034】
さらに、録画ボタン操作することによって移動清掃装置2の移動中や特定紡出部で停止させた時に撮影している映像を動画として録画することができる。また、シャッターボタンの操作によって、特定位置の静止画が録画できる。図6の画面に複数のウィンドウが表示されている時はウィンドウ毎に録画操作することができる。なお、これらの録画映像は図4に示すメニュー項目の録画再生をクリックすることによりいつでも見ることができる。
【0035】
図4のメニュー画面で「録画予約」をクリックすると、図7に示す録画予約リスト画面が表示される。図7の画面には、(新規予約)、過去に予約された予約番号0001〜0003、各予約の有効、無効情報、予約名称43の各項目及び編集ボタン、削除ボタンが表示される。他に予約されている機台があれば、その機台番号とそれに関連する項目はスクロールボタン44及び45の操作により表示することができる。
なお、画面に表示されたリストの各機台は機台番号を選択して編集ボタン又は削除ボタンをクリックすることにより編集又は削除することができる。また、新規予約は(新規予約)項目を選択し、編集ボタンのクリックにより行うことができる。
【0036】
図7において無効となっている予約番号0001の内容を変更して予約しなおす場合、予約番号0001を選択し、編集ボタンをクリックすることにより、図8に示す録画予約編集画面が表示される。
【0037】
図8の画面では次の順で編集する。A名称欄には図7の予約名称43に表示される名称、例えば「定点写真」を記載する。B実行欄では有効を選択する。C映像種類欄はボタン46をクリックしてプルダウンメニューを表示し、連続写真/動画/定点写真/定点動画の中から1つを選択する。図8では「定点写真」が選択され、表示されている。D機台番号欄では機台番号がハイフンやコンマで連続指定や飛び指定が可能であり、図8には機台番号「001〜003、006、009」が指定されている。E撮影位置欄は定点、即ち特定錘を表す錘番号R01〜R03、L06、L09が指定されている。F撮影時間は「60秒」を指定している。G動作タイミングはボタン47をクリックしてプルダウンメニューを表示し、時刻指定/満巻停止前/満巻停止後/始動前/始動後/生産分玉(10〜90%)の中から選択する。図8では「時刻指定」が選択され、表示されている。H撮影日はボタン48のクリックによりプルダウンメニューを表示し、毎日/毎日曜/毎月曜〜毎土曜の中から選択する。図8では「毎日」が選択され、表示されている。I撮影時刻はG動作タイミング欄で時刻指定を選択したとき、撮影開始時間を設定する。時間はボタン49、分はボタン50をクリックしてそれぞれプルダウンメニューから適当な時刻を選択するが、図8では「23時00分」が指定されている。以上の設定により録画予約が完了する。
従って、毎日、上記の設定時刻になると指定された機台の移動清掃装置2が移動を開始し、指定された紡出部で停止して撮影器26、27、28が各紡出部を静止画で撮影すると共にこれを録画する。
【0038】
図4のメニュー画面で「画像再生」を選択すると、図9に示す画像再生リスト画面が表示される。図9の画面では、図6のリアルタイム映像画面で録画されたもの及び図7の録画予約リストで撮影録画されたものが、機台番号、日付、画像種別及び撮影位置について表示される。スクロールボタン51、52の操作により他のリストが表示される。
なお、図9の画像種別欄に表示されたスナップ写真は図6のリアルタイム映像画面から録画されたものである。
【0039】
図9のリストで、例えば機台番号「001」、日付「04/01/22」、画像種別「定点動画」、撮影位置「R24」を選択してダブルクリックすることにより、図10に示す映像再生画面が表示される。この画面では、撮影日時、機台番号、撮影位置、動作タイミングの各項目とR側映像画面、L側映像画面のほか再生停止ボタンが表示される。選択項目では撮影位置が「R24」であるため、図10の画面ではR側映像画面のみが画像表示される。なお、映像画面が動画の場合は再生停止ボタンを操作して見ることができる。
【0040】
図4のメニュー画面で「レポート」を選択すると、図11に示すレポートメニュー画面が表示される。図11の画面では、レポートリストに(新規レポート)項目及び過去に作成されたレポートがレポート番号0001、0002、0003で表示される。各レポート番号には、レポートの有効、無効の区別欄53、対象機台の区別欄54及びレポートの名称欄55が表示される。レポートリストはスクロールボタン56、57の操作により他のレポート番号を表示することができる。
【0041】
各レポートの内容表示は、必要なレポート番号を選択し、レポート表示ボタンをクリックすることにより行う。例えば、レポート番号0001を選択すると、図示していないが、期間及び機台を選択できる糸切れレポート画面が表示される。この画面で期間及び機台を選択してその画面にある表示ボタンをクリックすると選択した期間の選択した機台に関する糸切れレポートが表示され、そのレポートを基に所定の作業を行うことができる。また、不要なレポートはそのレポート番号を選択し、削除ボタンをクリックすることにより削除することができる。さらに、新規レポートを作成する場合はレポートリストの(新規レポート)を選択し、設定ボタンをクリックすることにより、レポート設定画面が表示され、編集することができる。
【0042】
レポートの編集は、(新規レポート)の選択に限らず、既作成レポートを用いて行うこともできる。例えば、無効となっているレポート番号0001を選択し、設定ボタンをクリックすることにより図12に示すレポート設定画面が表示される。
【0043】
図12におけるレポート編集のための設定は次の手順で行う。即ち、A名称欄で、レポートリストに表示される名称、ここでは「全台 糸切れレポート」を入力する。B実行欄では、レポートを有効化又は無効化の設定をし、ここでは有効をチェックする。Cレポート種類欄では、ボタン58の操作によりプルダウンメニューの、糸切れ/部品誤り/トラベラ誤り/風綿堆積、の中から1つを選択し、ここでは「糸切れ」を設定している。D機台番号欄では、機台番号を入力する。なお、ハイフンやコンマで連続指定や飛び指定が可能である。ここでは機台番号「001〜003、006、009」が指定されている。G動作タイミングでは、ボタン59の操作によりプルダウンメニューの、時刻指定/満巻停止前/満巻停止後/始動前/始動後/生産分玉(10〜100%)/分玉別観測(生産分玉0、10、20〜90、100%の各タイミング全てで動作)、の中から1つを選択し、ここでは「時刻指定」を設定している。H日付欄では、ボタン60の操作によりプルダウンメニューの、毎日/毎日曜/毎月曜〜毎土曜、の中から1つを選択し、ここでは「毎日」を設定している。I時刻欄では、G動作タイミング蘭で「時刻指定」を設定した時、撮影開始時刻を設定する。ここではボタン61及びボタン62を操作してプルダウンメニューから「23時00分」を設定している。
これら各欄の設定により、指定された機台の糸切れに関するレポートが既に撮影された機台各部の撮影データ及びその撮影データの分析から得られた分析データを基に作成され、保存される。
【0044】
以上のように構成された本願発明の実施形態は、以下に記載の作用効果を得ることができる。
(1)ドラフトパート7等の風綿堆積の状況を周期的に撮影し、分析評価することにより、清掃タイミングや清掃周期を合理的に判断することができ、また警告等の表示も可能である。
(2)巻き取り中の糸バルーン状況を周期的に撮影して分析評価することにより、トラベラの摩耗状況や交換時期を合理的に判断することができる。
(3)リング精紡機の撮影データ、即ち撮影画像により、クリヤラーローラ等の部品の種類や装着有無を一目で判断することができ、部品の誤装着や欠品等を早期に発見することができる。
【0045】
(4)糸巻取り部の撮影データにより糸切れの有無を検出することができ、従来のように各紡出部毎に糸切れセンサーを取り付ける必要が無いため、スピンドル3回りの構成が簡素化できる。
(5)新しい繊維を仕掛けたり、新部品を装備した場合の試紡時において運転状態を詳細に撮影して画像などの撮影データや糸切れ数等の分析データを取ることによりリング精紡機の的確な観測や合理的な判断を行うことができる。また、この試紡時のデータ記録要員が少なくて済む。
(6)撮影器26、27、28が各機台ごとに設置される移動清掃装置2に設けられているため、監視したい状態(例えば、管替え後の紡出再開時等)が異なった機台で同時に発生するような場合であっても、各機台で並行して撮影することができる。
【0046】
本願発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、次のように実施することができる。
【0047】
(1)図3に示す前記実施形態では、撮影器26、27、28が機台制御装置29、30、31を介して主制御装置36と接続しているが、機台制御装置29、30、31を介在すること無く、例えばローカルエリアネットワーク等の通信手段により主制御装置36と直接接続してもよい。
(2)撮影器26、27、28は機台制御装置29、30、31とのみ接続させておき、機台制御装置29、30、31が主制御装置36の役割である撮影データや分析データの蓄積、撮影タイミング及び撮影箇所等の各種設定を行うように構成してもよい。
【0048】
(3)撮影器26、27、28にCPU、記憶装置等の制御装置及びLCDパネル、スイッチ等の入出力装置を持たせ、撮影データや分析データの蓄積、撮影タイミング及び撮影箇所等の各種設定を直接行うように構成してもよい。
また、上記撮影器26、27、28をローカルエリアネットワーク等の通信手段で機台制御装置29、30、31に接続し、機台制御装置29、30、31に備えた表示機及び入出力装置を利用して撮影器26、27、28に蓄積された撮影データや分析データの参照及び前記実施形態で説明した各種設定を行うように構成してもよい。
【0049】
(4)各紡出部の位置情報は、前記実施形態の場合、図2に示すようなリングレール22の前面にマーキングした錘番号R01〜RNから得ているが、移動清掃装置2の駆動モータ19の回転数、動作時間あるいは回転パルスから移動清掃装置2の位置を計算し、各紡出部を認識するように構成してもよい。そして、認識された紡出部の錘番号を撮影データに付加するようにすれば、リングレール22前面に錘番号をマーキングせずとも、撮影データにおける紡出部の錘番号を視認又は分析することができる。
また、各紡出部にドグを設置しておき、移動清掃装置2に設けたセンサーによってドグを検出し、各紡出部を認識するような方法で構成してもよい。
【0050】
(5)撮影データに付与する撮影年月日や撮影した位置情報等の各種情報は撮影データを機台制御装置29、30、31に送信後、機台制御装置29、30、31側で付与するように構成してもよい。
(6)前記実施形態の撮影器26、27、28に駆動機構を連結し、主制御装置36あるいは機台制御装置29、30、31からの指令信号によって駆動機構を作動し、撮影器26、27、28がリング精紡機に対して種々の撮影位置に設定されるように構成してもよい。
【0051】
(7)本願発明の走行体は、前記実施形態で説明した移動清掃装置2に限らず、粗糸ボビン搬送車、粗糸ボビン交換機、糸継ぎ機等の作業車や紡機撮影専用車を用いることができる。
(8)撮影器26、27、28の撮影動作タイミングは、定期的な一定時間間隔で設定してもよく、時間間隔が異なる不定期で設定してもよい。
(9)撮影データ及び分析データはプリンターによって打ち出し、印刷物として蓄積してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本願発明の実施形態を示すリング精紡機の概略側面図である。
【図2】図1のリング精紡機のギヤエンド側を示す概略正面図である。
【図3】図1の実施形態における撮影器と主制御装置及び機台制御装置との関係を模式的に示す説明図である。
【図4】メニュー画面を示す説明図である。
【図5】リアルタイム映像機台選択画面を示す説明図である。
【図6】リアルタイム映像画面を示す説明図である。
【図7】録画予約リスト画面を示す説明図である。
【図8】録画予約編集画面を示す説明図である。
【図9】画像再生リスト画面を示す説明図である。
【図10】映像再生画面を示す説明図である。
【図11】レポートメニュー画面を示す説明図である。
【図12】レポート設定画面を示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
紡機としてのリング精紡機 1
走行体としての移動清掃装置 2
スピンドル 3
ドラフトパート 7
撮影器 26、27、28
機台制御装置 29、30、31
主制御装置 36
記憶装置 37
表示機 40
糸巻きボビン B
【技術分野】
【0001】
本願発明は、リング精紡機、リング撚糸機、延伸撚糸機あるいは粗紡機等の紡機における機台管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、精紡機100の前面を走行する走行ユニット200にカメラ201を取り付け、走行ユニット200の走行中に供給繊維束領域A、ドラフトパート領域Bあるいは糸が管糸に巻き取られようとしている部分のいずれか又は全部の領域を前記カメラ201によって撮影し、糸切れの有無を検出する技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、精紡機1の上方に懸架された粗糸ボビンBを新しい満ボビンFと交換する粗糸替機4に監視用カメラ14を設置し、粗糸替機4による粗糸替作業の1サイクルを撮影することによって作業状況を監視する技術が開示されている。
【0004】
特許文献3には、ワインダー101の巻取りユニット102上方を走行する玉揚げ装置106に小型カメラ35を巻取りユニット102のテンサローラ127aに向けて取り付けた技術が開示されている。小型カメラ35は、走行中の玉揚げ装置106が巻き上げ完了した巻取りユニット102のパッケージPを玉揚げするために停止した時、テンサローラ127aを撮影し、テンサローラ127aに付けた原点位置を示す目印37を基にその回転状態を電気信号に変えて演算部3に送信し、演算部3で予め認識されているパターンと比較してテンサローラ127aの回転の有無を判断する。
【特許文献1】特開昭58−115133号公報
【特許文献2】特開平7−3545号公報
【特許文献3】特開平8−3829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、糸切れ状態を検出する技術のみを開示し、しかもカメラによる撮影対象物が繊維束あるいは糸であるか否かを知るためにテレビ画面上に特別なカーソルを設定しておく必要があり、紡機の他の場所の撮影には使えないものである。従って、特許文献1に開示の技術では、紡機の種々の箇所に対する管理ができないという問題がある。
【0006】
特許文献2は、精紡機の粗糸替という特殊な作業状況のみを撮影し、監視するもので、紡機の他の部分に利用することができず、前記特許文献1の場合と同様に紡機の種々の箇所に対する管理ができないという問題がある。
【0007】
特許文献3は、テンサローラの回転状態と言う特定の動作状態の検出のみに使用されるもので、汎用性がなく、また巻き上げが完了した巻取りユニットの玉揚げ時というように特定の巻取りユニットでのみ撮影が行われるため全巻取りユニットを撮影することが無いので、前記特許文献1及び特許文献2の場合と同様に紡機の種々の箇所に対する管理ができないという問題がある。
【0008】
本願発明の目的は、上記問題に鑑み、紡機の各紡出部を繰り返し撮影し、その撮影データを蓄積し、表示機に表示させることによって管理を行うようにした紡機における機台管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に代表される本願発明は、撮影器を設置した走行体を、所定の時間を空けて紡機長手方向に巡回させ、巡回中に前記撮影器で紡出部を撮影し、その撮影データを蓄積し、前記撮影データを画像データとして又は撮影データから得られた分析データとして表示機に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
従って本願発明によれば、従来の管理方法では管理できなかった紡機の多くの項目が管理可能となり、紡機の保全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、リング精紡機における本願発明の実施形態を説明する。
図1及び図2は、リング精紡機1とリング精紡機1の上方を長手方向に移動するブロアー式の移動清掃装置2を示す。
リング精紡機1は既知の構成を備えたものである。ギヤエンドGEとアウトエンドOEとの間に架設されたフレーム上で、機台の右側R(図1の右側)と左側L(図1の左側)に配設された多数のスピンドル3はチンプーリ4とテンションプーリ5に巻き掛けられたベルト6により回転駆動される。スピンドル3には糸巻きボビンBが装着され、リング精紡機1の運転によって糸が巻き付けられる。スピンドル3の上方にはドラフトパート7が設置され、さらにそれらの上方に配置されたクリール8に、多数の粗糸ボビン9及び粗糸ボビン9から引き出される粗糸のガイド10が懸架されている。粗糸ボビン9及びガイド10を有する粗糸供給部、ドラフトパート7、スピンドル3を有する巻取り部によりリング精紡機の紡出部が構成されている。
なお、ドラフトパート7の下方に図示した符号11はニューマ装置の吸引ダクトであり、糸切れ発生時に糸切れ紡出部のドラフトパート7から送り出されるフリースを吸引し、隣接紡出部への影響を防止する。
【0012】
移動清掃装置2は本願発明の走行体に相当するものであるが、清掃機能に関する構成は従来からリング精紡機に使用されているものと同等(例えば、特開2000−96365号公報参照)である。
即ち、クリール8の上方に機台長手方向に延びる一対のレール12が架設され、レール12上に移動清掃装置2の可動体13が往復移動可能に載置されている。可動体13は機台の右側Rと左側Lのリング精紡機前面に垂下する一対の吸引パイプ14及び吹気パイプ15を備える。また、吸引パイプ14はさらに分岐した補助吸引ノズル16を備え、吹気パイプ15は分岐した補助噴射ノズル17を備えている。
【0013】
レール12はギヤエンドGE上に設置されたロッド18によって支持され、ロッド18はさらに駆動モータ19及び駆動モータ19の駆動軸に固定した駆動プーリ20を支承する。駆動プーリ20とアウトエンドOE側に設置したロッド(図示せず)によって支承された被動プーリ(図示せず)との間には駆動ベルト21が巻き掛けられており、駆動ベルト21は可動体13と連結して可動体13を機台長手方向に往復駆動する。
可動体13には送風機(図示せず)が備えられ、送風機の作動によって吹気パイプ15及び補助噴射ノズル17への給気作用と吸引パイプ14及び補助吸引ノズル16に対する負圧作用が与えられる。
【0014】
22は、糸巻きボビンBへの糸巻き取り時に上下動して糸のトラバースを行うリングレールを示す。また、リングレール22は公知のようにトラベラ(図示せず)を備えている。機台右側Rのリングレール22の前面には、紡出部の長手方向位置を表示する錘番号R1、R2、R3〜RNがマーキングされている。図示していないが、機台左側Lのリングレール22の前面にも機台左側Lの各紡出部を示す錘番号がマーキングされている。なお、各紡出部の長手方向位置を示す表示(マーキング)は、塗装、印刷、シール添付等の各紡出部を区別できるものであればよい。また表示位置はリングレール22に限らず、各紡出部を特定できる場所であればよいが、後記する撮影器による撮影の便宜上、リングレール22の前面に錘番号をマーキングすることが最も好ましい。
また、全紡出部を複数のブロックに分けてブロック番号を付し、さらに各ブロック毎に連番を付すことにより、ブロック番号とブロック内の連番の組み合わせにより特定紡出部を認識できるように設定してもよい。
【0015】
一方、移動清掃装置2の左右一対の吸引パイプ14には、それぞれ3箇所に上から順番に取り付けブラケット23、24、25が取り付け位置変更可能な状態で固定されている。各取り付けブラケット23、24、25にはそれぞれ撮影器26、27、28が固定されている。撮影器26は粗糸ボビン9からガイド10を介してドラフトパート7に至る粗糸の経路を指向し、撮影器27はドラフトパート7を指向し、撮影器28は糸巻き取り部である糸巻きボビンB及びリングレール22を指向するようにそれぞれ設定されている。
【0016】
前記した移動清掃装置2及び撮影器26、27、28の制御機構を図3に模式的に示した説明図に基づき説明する。図3には3台のリング精紡機001、002、003が示されている。各リング精紡機のギヤエンドGEには機台制御装置29、30、31がそれぞれ設置され、各リング精紡機の移動清掃装置2の駆動モータ19及び移動清掃装置2に取り付けた撮影器26、27、28(図3では代表として撮影器28を示す)はそれぞれ機台制御装置29、30、31に有線32、33、34又は無線によって接続されている。
【0017】
各機台制御装置29、30、31は、リング精紡機の運転制御プログラムのほか、リング精紡機の清掃をリング精紡機の管替え後の再起動時を含む所定時間毎に行うための清掃プログラム及び撮影器26、27、28の撮影動作タイミングが設定された撮影プログラムを備えている。従って、各リング精紡機の移動清掃装置2は各機台制御装置29、30、31からの指令信号により、リング精紡機の機台長手方向に往復移動し、所定の清掃作業を行うと共に設定された動作タイミングで撮影器26、27、28がリング精紡機の撮影を行う。
【0018】
各機台制御装置29、30、31は有線35又は無線によって主制御装置36に接続される。主制御装置36はROM及びRAMからなる記憶装置37とCPU38という既知の構成を備え、種々のデータの入出力、データの演算処理及びデータや演算処理結果の蓄積を行う。また、主制御装置36は有線39又は無線を介して入出力装置を備えた表示機40と接続し、必要なデータを表示機40に表示したり、必要なデータの入出力操作をすることができる。なお、図3に示す主制御装置36及び表示機40は実際は一体化された装置であるが、説明の便宜上別体で表示している。
従って、撮影器26、27、28がリング精紡機の前面を移動しながら撮影した撮影データはそれぞれ一旦機台制御装置29、30、31に送信され、その後各機台制御装置29、30、31から主制御装置36に送信され、記憶装置37に蓄積される。
なお、撮影器26、27、28、各機台制御装置29、30、31及び主制御装置36間の接続は紡績工場等に既設のシリアル通信網やローカルエリアネットワーク等を利用することができる。
【0019】
前記した運転制御プログラム、清掃プログラム及び撮影プログラムは、主制御装置36での入力操作により設定したものを送信し、各機台制御装置29、30、31の記憶装置に設定したものであるが、各プログラムは各機台制御装置29、30、31での入力操作により直接設定するようにしてもよい。
【0020】
主制御装置36は各リング精紡機の機台制御装置29、30、31に対して、清掃作業のために移動中の移動清掃装置2を停止及び再移動するプログラムを備えている。このため、特定の紡出部を予め決めておくか、あるいは作業者によるリアルタイムの入力操作により主制御装置36は機台制御装置29、30、31のいずれかあるいは全部に停止指令信号を発信し、移動清掃装置2を特定の紡出部で停止させ、撮影器26、27、28によってその紡出部の糸巻取り部のみあるいは全体を撮影することができる。撮影データは移動時と同様にそれぞれ機台制御装置29、30、31に送信される。
【0021】
撮影器26、27、28によって撮影した撮影データであるリング精紡機の画像は次の形態がある。即ち、移動清掃装置2が移動中に撮影する画像は動画を基本とするが、設定によって連続静止画に切り換えることができる。移動清掃装置2が停止時に撮影する画像も動画を基本とするが、設定によって静止画に切り換えることができる。
これらの画像形態の切り換え操作は主制御装置36、機台制御装置29、30、31あるいは撮影器26、27、28のいずれかで行うことができる。
上記の各撮影データには、後述する方法によって設定された撮影年月日、時刻、機台名、撮影した位置情報等が撮影時に自動的に記録される。なお、位置情報については各紡出部の他、粗糸ボビン9からスピンドル3に至る紡出部の各位置が撮影器26、27、28によって決まるため、各撮影器に認識番号を付与し、その撮影器からの撮影データについて認識番号を記録すれば紡出部の各位置を認識することができる。
【0022】
なお、移動清掃装置2の停止時間は予め設定されているが、この時間は適宜変更することができる。また、予め設定された停止時間が経過した時点で移動清掃装置2が自動発進するように設定しておくことも可能である。この移動清掃装置2が停止している時間帯は可動体13内に設置された送風装置を停止しておくことが好ましい。
【0023】
前記した移動清掃装置2の停止及び再移動プログラムは主制御装置36に限らず、機台制御装置29、30、31に設定しておき、停止又は再移動指令信号を機台制御装置29、30、31から発信するように構成してもよい。
【0024】
主制御装置36に送信された撮影データは、そのまま表示機40に表示することにより作業者が撮影時点での各紡出部や紡出部間の状況を視覚的に把握し、その状況の良し悪しを判断することができる。
また、撮影データを分析することによりリング精紡機の異常状態や異常傾向等をデータとして把握でき、必要に応じて異常表示や警告あるいは所定の作業を行うことができる。撮影データの分析対象項目としては、例えば糸切れ、ドラフトパート7のクリアラーローラへの風綿堆積状態、トラベラの誤装着や摩耗状況、部品間違い等がある。
【0025】
対象項目の分析は、例えばパターン認識によって行うことができる。糸切れの場合は、適正な紡出運転時の糸バルーンの形状をパターン化し、基準データとして記憶させておき、撮影した紡出部の糸バルーンの画像をパターン化したものを比較データとして基準パターンと照合することにより、撮影した紡出部において糸切れが発生していた場合、比較データと基準データとの間で糸バルーンのパターンが一致せず糸切れと判断することができる。
【0026】
トラベラの誤装着については、トラベラ装着直後の各紡出部の撮影データにおける糸バルーン形態を基準データとして記憶されている糸バルーン形態と照合した時、撮影した糸バルーンの大きさが大きく相違している場合にトラベラの誤装着と判断できる。
なお、トラベラの誤装着については基準データを持たずに撮影した各紡出部の糸バルーンを比較することによっても判断することができる。即ち、機台の長手方向に沿って各紡出部を撮影し、隣接錘と明らかに異なった糸バルーン形態を有する紡出部をトラベラ誤装着の疑いがあるものとして判断する。この場合には、基準データの記憶や基準データとの比較が不要となるために、主制御装置36又は機台制御装置29、30、31側の記憶容量や制御負荷が少なくて済む。なお、基準データを持たず、隣接錘との比較により異常を検出する方法は、トラベラ誤装着に限らず、糸切れや部品誤装着等の監視にも適用することができる。
【0027】
トラベラの摩耗状況を判断する場合は、トラベラ交換後の各紡出部の撮影データにおける糸バルーン形態と基準データとして記憶した糸バルーン形態とを比較し、その偏差を継続して記憶しておき、糸バルーン形態の偏差が一定値以上に拡大した時トラベラの交換時期と判定し、警告あるいはトラベラ交換表示を行う。判断の基準となる偏差値は実験的、経験的に得ることができる。
【0028】
ドラフトパート7のクリアラーローラへの風綿堆積状態については、適正な紡出運転時におけるドラフトパート7の撮影画像を基準データとして設定しておき、移動清掃装置2の巡回時に撮影したクリアラーローラの画像を比較することによって風綿堆積状態の変化を把握することができる。この場合も変化状態の限界を設定しておくことによりクリアラーローラの清掃時期を判定し、清掃作業の指示を表示機40等に表示することができる。
【0029】
なお、基準データとして清掃作業が必要な時間を予測して予め設定しておけば、不慮のトラブルでフリースがクリアラーローラに巻き付いたような場合、設定時間内でもクリアラーローラに大きな変化が現れるので、これを単なる清掃時期として判断せず、異常事態の発生と判定し、緊急対処のための警告信号を出したり、場合によってはリング精紡機の運転停止信号を発信し、トラブルに対し迅速に対応することができる。
【0030】
部品間違いについては、例えばクリアラーローラ等の部品は紡出仕様によって色や大きさが異なるため、新しい紡出仕様が設定された際にその仕様に合ったクリアラーローラ等の部品の色や大きさを基準データとして予め設定しておき、移動清掃装置2の巡回時に撮影した例えばクリアラーローラの画像を基準データと比較することによって部品間違いや部品の装着忘れを早期に発見し、対処することができる。
【0031】
次に、前記したリング精紡機の撮影データ及び蓄積した撮影データ、撮影データから得られた分析データ等の表示機40による利用方法を説明する。
【0032】
図4は表示機40にメニュー画面を表示させたもので、メニュー項目としてリアルタイム映像、録画予約、画像再生及びレポートがある。
ここで、「リアルタイム映像」を選択してクリックすると、図5に示すリアルタイム映像機台選択画面でリング精紡機の機台番号001〜Nが表示される。機台番号はスクロールボタン41又は42を操作することにより全機台番号を表示することができる。チェックしたい機台番号、例えば001を選択し、表示ボタンをクリックすることにより図6に示すリアルタイム映像画面が表示される。なお、機台番号は複数選択することができ、表示ボタンを押すと図6の画面に複数のウィンドウが表示され、各ウィンドウに図6と同じ内容の画面が機台番号毎に表示される。
【0033】
図6の画面には、図5で選択した機台番号001は生産分玉60%であることを示し、その時の機台のR側映像画面及びL側映像画面を表示する。その他に、図6の画面では移動ボタン、録画ボタン及びシャッターボタンが表示されている。
作業者は、映像画面を見ながら移動ボタンを操作して移動清掃装置2を移動あるいは停止させ、R側、L側の映像画面を見ながらリング精紡機の状況をチェックし、異常等の判断をすることができる。
【0034】
さらに、録画ボタン操作することによって移動清掃装置2の移動中や特定紡出部で停止させた時に撮影している映像を動画として録画することができる。また、シャッターボタンの操作によって、特定位置の静止画が録画できる。図6の画面に複数のウィンドウが表示されている時はウィンドウ毎に録画操作することができる。なお、これらの録画映像は図4に示すメニュー項目の録画再生をクリックすることによりいつでも見ることができる。
【0035】
図4のメニュー画面で「録画予約」をクリックすると、図7に示す録画予約リスト画面が表示される。図7の画面には、(新規予約)、過去に予約された予約番号0001〜0003、各予約の有効、無効情報、予約名称43の各項目及び編集ボタン、削除ボタンが表示される。他に予約されている機台があれば、その機台番号とそれに関連する項目はスクロールボタン44及び45の操作により表示することができる。
なお、画面に表示されたリストの各機台は機台番号を選択して編集ボタン又は削除ボタンをクリックすることにより編集又は削除することができる。また、新規予約は(新規予約)項目を選択し、編集ボタンのクリックにより行うことができる。
【0036】
図7において無効となっている予約番号0001の内容を変更して予約しなおす場合、予約番号0001を選択し、編集ボタンをクリックすることにより、図8に示す録画予約編集画面が表示される。
【0037】
図8の画面では次の順で編集する。A名称欄には図7の予約名称43に表示される名称、例えば「定点写真」を記載する。B実行欄では有効を選択する。C映像種類欄はボタン46をクリックしてプルダウンメニューを表示し、連続写真/動画/定点写真/定点動画の中から1つを選択する。図8では「定点写真」が選択され、表示されている。D機台番号欄では機台番号がハイフンやコンマで連続指定や飛び指定が可能であり、図8には機台番号「001〜003、006、009」が指定されている。E撮影位置欄は定点、即ち特定錘を表す錘番号R01〜R03、L06、L09が指定されている。F撮影時間は「60秒」を指定している。G動作タイミングはボタン47をクリックしてプルダウンメニューを表示し、時刻指定/満巻停止前/満巻停止後/始動前/始動後/生産分玉(10〜90%)の中から選択する。図8では「時刻指定」が選択され、表示されている。H撮影日はボタン48のクリックによりプルダウンメニューを表示し、毎日/毎日曜/毎月曜〜毎土曜の中から選択する。図8では「毎日」が選択され、表示されている。I撮影時刻はG動作タイミング欄で時刻指定を選択したとき、撮影開始時間を設定する。時間はボタン49、分はボタン50をクリックしてそれぞれプルダウンメニューから適当な時刻を選択するが、図8では「23時00分」が指定されている。以上の設定により録画予約が完了する。
従って、毎日、上記の設定時刻になると指定された機台の移動清掃装置2が移動を開始し、指定された紡出部で停止して撮影器26、27、28が各紡出部を静止画で撮影すると共にこれを録画する。
【0038】
図4のメニュー画面で「画像再生」を選択すると、図9に示す画像再生リスト画面が表示される。図9の画面では、図6のリアルタイム映像画面で録画されたもの及び図7の録画予約リストで撮影録画されたものが、機台番号、日付、画像種別及び撮影位置について表示される。スクロールボタン51、52の操作により他のリストが表示される。
なお、図9の画像種別欄に表示されたスナップ写真は図6のリアルタイム映像画面から録画されたものである。
【0039】
図9のリストで、例えば機台番号「001」、日付「04/01/22」、画像種別「定点動画」、撮影位置「R24」を選択してダブルクリックすることにより、図10に示す映像再生画面が表示される。この画面では、撮影日時、機台番号、撮影位置、動作タイミングの各項目とR側映像画面、L側映像画面のほか再生停止ボタンが表示される。選択項目では撮影位置が「R24」であるため、図10の画面ではR側映像画面のみが画像表示される。なお、映像画面が動画の場合は再生停止ボタンを操作して見ることができる。
【0040】
図4のメニュー画面で「レポート」を選択すると、図11に示すレポートメニュー画面が表示される。図11の画面では、レポートリストに(新規レポート)項目及び過去に作成されたレポートがレポート番号0001、0002、0003で表示される。各レポート番号には、レポートの有効、無効の区別欄53、対象機台の区別欄54及びレポートの名称欄55が表示される。レポートリストはスクロールボタン56、57の操作により他のレポート番号を表示することができる。
【0041】
各レポートの内容表示は、必要なレポート番号を選択し、レポート表示ボタンをクリックすることにより行う。例えば、レポート番号0001を選択すると、図示していないが、期間及び機台を選択できる糸切れレポート画面が表示される。この画面で期間及び機台を選択してその画面にある表示ボタンをクリックすると選択した期間の選択した機台に関する糸切れレポートが表示され、そのレポートを基に所定の作業を行うことができる。また、不要なレポートはそのレポート番号を選択し、削除ボタンをクリックすることにより削除することができる。さらに、新規レポートを作成する場合はレポートリストの(新規レポート)を選択し、設定ボタンをクリックすることにより、レポート設定画面が表示され、編集することができる。
【0042】
レポートの編集は、(新規レポート)の選択に限らず、既作成レポートを用いて行うこともできる。例えば、無効となっているレポート番号0001を選択し、設定ボタンをクリックすることにより図12に示すレポート設定画面が表示される。
【0043】
図12におけるレポート編集のための設定は次の手順で行う。即ち、A名称欄で、レポートリストに表示される名称、ここでは「全台 糸切れレポート」を入力する。B実行欄では、レポートを有効化又は無効化の設定をし、ここでは有効をチェックする。Cレポート種類欄では、ボタン58の操作によりプルダウンメニューの、糸切れ/部品誤り/トラベラ誤り/風綿堆積、の中から1つを選択し、ここでは「糸切れ」を設定している。D機台番号欄では、機台番号を入力する。なお、ハイフンやコンマで連続指定や飛び指定が可能である。ここでは機台番号「001〜003、006、009」が指定されている。G動作タイミングでは、ボタン59の操作によりプルダウンメニューの、時刻指定/満巻停止前/満巻停止後/始動前/始動後/生産分玉(10〜100%)/分玉別観測(生産分玉0、10、20〜90、100%の各タイミング全てで動作)、の中から1つを選択し、ここでは「時刻指定」を設定している。H日付欄では、ボタン60の操作によりプルダウンメニューの、毎日/毎日曜/毎月曜〜毎土曜、の中から1つを選択し、ここでは「毎日」を設定している。I時刻欄では、G動作タイミング蘭で「時刻指定」を設定した時、撮影開始時刻を設定する。ここではボタン61及びボタン62を操作してプルダウンメニューから「23時00分」を設定している。
これら各欄の設定により、指定された機台の糸切れに関するレポートが既に撮影された機台各部の撮影データ及びその撮影データの分析から得られた分析データを基に作成され、保存される。
【0044】
以上のように構成された本願発明の実施形態は、以下に記載の作用効果を得ることができる。
(1)ドラフトパート7等の風綿堆積の状況を周期的に撮影し、分析評価することにより、清掃タイミングや清掃周期を合理的に判断することができ、また警告等の表示も可能である。
(2)巻き取り中の糸バルーン状況を周期的に撮影して分析評価することにより、トラベラの摩耗状況や交換時期を合理的に判断することができる。
(3)リング精紡機の撮影データ、即ち撮影画像により、クリヤラーローラ等の部品の種類や装着有無を一目で判断することができ、部品の誤装着や欠品等を早期に発見することができる。
【0045】
(4)糸巻取り部の撮影データにより糸切れの有無を検出することができ、従来のように各紡出部毎に糸切れセンサーを取り付ける必要が無いため、スピンドル3回りの構成が簡素化できる。
(5)新しい繊維を仕掛けたり、新部品を装備した場合の試紡時において運転状態を詳細に撮影して画像などの撮影データや糸切れ数等の分析データを取ることによりリング精紡機の的確な観測や合理的な判断を行うことができる。また、この試紡時のデータ記録要員が少なくて済む。
(6)撮影器26、27、28が各機台ごとに設置される移動清掃装置2に設けられているため、監視したい状態(例えば、管替え後の紡出再開時等)が異なった機台で同時に発生するような場合であっても、各機台で並行して撮影することができる。
【0046】
本願発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、次のように実施することができる。
【0047】
(1)図3に示す前記実施形態では、撮影器26、27、28が機台制御装置29、30、31を介して主制御装置36と接続しているが、機台制御装置29、30、31を介在すること無く、例えばローカルエリアネットワーク等の通信手段により主制御装置36と直接接続してもよい。
(2)撮影器26、27、28は機台制御装置29、30、31とのみ接続させておき、機台制御装置29、30、31が主制御装置36の役割である撮影データや分析データの蓄積、撮影タイミング及び撮影箇所等の各種設定を行うように構成してもよい。
【0048】
(3)撮影器26、27、28にCPU、記憶装置等の制御装置及びLCDパネル、スイッチ等の入出力装置を持たせ、撮影データや分析データの蓄積、撮影タイミング及び撮影箇所等の各種設定を直接行うように構成してもよい。
また、上記撮影器26、27、28をローカルエリアネットワーク等の通信手段で機台制御装置29、30、31に接続し、機台制御装置29、30、31に備えた表示機及び入出力装置を利用して撮影器26、27、28に蓄積された撮影データや分析データの参照及び前記実施形態で説明した各種設定を行うように構成してもよい。
【0049】
(4)各紡出部の位置情報は、前記実施形態の場合、図2に示すようなリングレール22の前面にマーキングした錘番号R01〜RNから得ているが、移動清掃装置2の駆動モータ19の回転数、動作時間あるいは回転パルスから移動清掃装置2の位置を計算し、各紡出部を認識するように構成してもよい。そして、認識された紡出部の錘番号を撮影データに付加するようにすれば、リングレール22前面に錘番号をマーキングせずとも、撮影データにおける紡出部の錘番号を視認又は分析することができる。
また、各紡出部にドグを設置しておき、移動清掃装置2に設けたセンサーによってドグを検出し、各紡出部を認識するような方法で構成してもよい。
【0050】
(5)撮影データに付与する撮影年月日や撮影した位置情報等の各種情報は撮影データを機台制御装置29、30、31に送信後、機台制御装置29、30、31側で付与するように構成してもよい。
(6)前記実施形態の撮影器26、27、28に駆動機構を連結し、主制御装置36あるいは機台制御装置29、30、31からの指令信号によって駆動機構を作動し、撮影器26、27、28がリング精紡機に対して種々の撮影位置に設定されるように構成してもよい。
【0051】
(7)本願発明の走行体は、前記実施形態で説明した移動清掃装置2に限らず、粗糸ボビン搬送車、粗糸ボビン交換機、糸継ぎ機等の作業車や紡機撮影専用車を用いることができる。
(8)撮影器26、27、28の撮影動作タイミングは、定期的な一定時間間隔で設定してもよく、時間間隔が異なる不定期で設定してもよい。
(9)撮影データ及び分析データはプリンターによって打ち出し、印刷物として蓄積してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本願発明の実施形態を示すリング精紡機の概略側面図である。
【図2】図1のリング精紡機のギヤエンド側を示す概略正面図である。
【図3】図1の実施形態における撮影器と主制御装置及び機台制御装置との関係を模式的に示す説明図である。
【図4】メニュー画面を示す説明図である。
【図5】リアルタイム映像機台選択画面を示す説明図である。
【図6】リアルタイム映像画面を示す説明図である。
【図7】録画予約リスト画面を示す説明図である。
【図8】録画予約編集画面を示す説明図である。
【図9】画像再生リスト画面を示す説明図である。
【図10】映像再生画面を示す説明図である。
【図11】レポートメニュー画面を示す説明図である。
【図12】レポート設定画面を示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
紡機としてのリング精紡機 1
走行体としての移動清掃装置 2
スピンドル 3
ドラフトパート 7
撮影器 26、27、28
機台制御装置 29、30、31
主制御装置 36
記憶装置 37
表示機 40
糸巻きボビン B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡機の長手方向に移動可能な走行体に紡機側に向けた撮影器を設置し、紡機長手方向に並列して設けられた多数の紡出部に沿って前記走行体を所定の時間を空けて巡回させ、走行体の巡回中に前記撮影器で前記紡出部を撮影し、巡回中に撮影した撮影データを記憶装置に蓄積し、前記撮影データを画像データとして又は撮影データから得られた分析データとして表示機に表示することを特徴とする紡機における機台管理方法。
【請求項2】
前記巡回中に撮影した撮影データは複数の紡機に接続した主制御装置又は紡機に備えた機台制御装置の記憶装置に蓄積することを特徴とする請求項1記載の紡機における機台管理方法。
【請求項3】
前記撮影機は、少なくとも各紡出部の糸巻き取り部に向けて設置したことを特徴とする請求項1又は2記載の紡機における機台管理方法。
【請求項4】
前記走行体は、複数の紡機に接続した主制御装置又は紡機に備えた機台制御装置からの指令信号によって作動するとともに、前記撮影器は前記主制御装置又は機台制御装置によって制御されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の紡機における機台管理方法。
【請求項5】
前記走行体は、予め設定された時間間隔で定期的に紡機長手方向に移動することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の紡機における機台管理方法。
【請求項6】
前記記憶装置には、適正な状態にある紡出部の撮影データをパターン化して基準データとして記憶し、前記走行体の巡回中に撮影した撮影データを比較データとし、前記比較データを基準データと比較して異常の有無を判別することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の紡機における機台管理方法。
【請求項7】
前記基準データ及び比較データは、糸巻き取り時に発生する糸バルーンを撮影した撮影データをパターン化したものであることを特徴とする請求項6記載の紡機における機台管理方法。
【請求項8】
前記記憶装置には、前記各紡出部を撮影した撮影データを複数記憶し、記憶された前記複数の撮影データを比較することにより異常の有無を判別することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の紡機における機台管理方法。
【請求項1】
紡機の長手方向に移動可能な走行体に紡機側に向けた撮影器を設置し、紡機長手方向に並列して設けられた多数の紡出部に沿って前記走行体を所定の時間を空けて巡回させ、走行体の巡回中に前記撮影器で前記紡出部を撮影し、巡回中に撮影した撮影データを記憶装置に蓄積し、前記撮影データを画像データとして又は撮影データから得られた分析データとして表示機に表示することを特徴とする紡機における機台管理方法。
【請求項2】
前記巡回中に撮影した撮影データは複数の紡機に接続した主制御装置又は紡機に備えた機台制御装置の記憶装置に蓄積することを特徴とする請求項1記載の紡機における機台管理方法。
【請求項3】
前記撮影機は、少なくとも各紡出部の糸巻き取り部に向けて設置したことを特徴とする請求項1又は2記載の紡機における機台管理方法。
【請求項4】
前記走行体は、複数の紡機に接続した主制御装置又は紡機に備えた機台制御装置からの指令信号によって作動するとともに、前記撮影器は前記主制御装置又は機台制御装置によって制御されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の紡機における機台管理方法。
【請求項5】
前記走行体は、予め設定された時間間隔で定期的に紡機長手方向に移動することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の紡機における機台管理方法。
【請求項6】
前記記憶装置には、適正な状態にある紡出部の撮影データをパターン化して基準データとして記憶し、前記走行体の巡回中に撮影した撮影データを比較データとし、前記比較データを基準データと比較して異常の有無を判別することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の紡機における機台管理方法。
【請求項7】
前記基準データ及び比較データは、糸巻き取り時に発生する糸バルーンを撮影した撮影データをパターン化したものであることを特徴とする請求項6記載の紡機における機台管理方法。
【請求項8】
前記記憶装置には、前記各紡出部を撮影した撮影データを複数記憶し、記憶された前記複数の撮影データを比較することにより異常の有無を判別することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の紡機における機台管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−291415(P2006−291415A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−116367(P2005−116367)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
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