紫外線照射装置
【課題】無電極ランプ1灯に対する負荷を減少させることができ、ランプの長寿命化や省電力化を実現する。
【解決手段】マグネトロン13からマイクロ波を発生させ、このマイクロ波を筐体14から同軸ケーブル18を介して分配器20に伝送する。分配器20から同軸ケーブル22a〜22dを介してマイクロ波を分配し、整合器24a〜24dでインピーダンスの整合をそれぞれ行い、バルブ内に紫外線を放射させる放電媒体が封入された無電極ランプ26が配置されたランプハウス25からなる複数の紫外線照射部10A〜10D内に放射する。無電極ランプ26は、マイクロ波が放電媒体を励起させて紫外線を放射し、反射板281,282によりはランプハウス25から、被照射体に照射させるようにした。共通のマグネトロン13で紫外線照射部10A〜10Dの無電極ランプ26を励起させたことにより、ランプの長寿命化や省電力化を図ることが可能となる。
【解決手段】マグネトロン13からマイクロ波を発生させ、このマイクロ波を筐体14から同軸ケーブル18を介して分配器20に伝送する。分配器20から同軸ケーブル22a〜22dを介してマイクロ波を分配し、整合器24a〜24dでインピーダンスの整合をそれぞれ行い、バルブ内に紫外線を放射させる放電媒体が封入された無電極ランプ26が配置されたランプハウス25からなる複数の紫外線照射部10A〜10D内に放射する。無電極ランプ26は、マイクロ波が放電媒体を励起させて紫外線を放射し、反射板281,282によりはランプハウス25から、被照射体に照射させるようにした。共通のマグネトロン13で紫外線照射部10A〜10Dの無電極ランプ26を励起させたことにより、ランプの長寿命化や省電力化を図ることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロ波によって励起を行い、紫外線を発光させる無電極ランプを用いた紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマイクロ波で無電極ランプから紫外線を放射させる紫外線照射装置は、印刷関連でのインク乾燥、半導体関連の微細露光、液晶関連の接着剤硬化等の用途に用いられる。このようなマイクロ波給電式無電極ランプが搭載された紫外線照射装置を、無電極ランプの中心軸が同一線上となるように、複数台連結させることで照射エリアの長尺化が図られている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−53014公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1の技術は、無電極ランプの放電媒体をマイクロ波で励起させ紫外線を放射させるランプハウスを、無電極ランプの中心軸が同一線上となるよう複数台配置させ照射エリアの長尺化を図るものである。しかし、各ランプハウス内のそれぞれには、無電極ランプに対し少なくとも1台のマグネトロンおよびこれを駆動する回路等が収容されていることから、照射エリアの長尺化のための全体システム構成の大型化が避けられないとともに、これに伴う広い設置スペースが必要となる、という問題があった。
【0005】
この発明の目的は、システムを大型化することなく照射面積を拡大することのできる紫外線照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、この発明の紫外線照射装置は、マイクロ波を発生させるマグネトロンのマイクロ波に基づき、紫外線を放射させる放電媒体が封入された無電極ランプと、一面から前記紫外線の照射が可能な構成としたランプハウスとから紫外線照射部を構成し、前記紫外線照射部を複数台用意し、各無電極ランプに対し、前記マグネトロンを共用したことを特徴とする。
【0007】
また、紫外線照射装置は、マイクロ波を発生させるマグネトロンのマイクロ波に基づき、紫外線を放射させる放電媒体が封入された無電極ランプと、前記ランプから放射される紫外線を反射させ、被照射体に紫外線を照射させる反射板と、前記無電極ランプおよび前記反射板を搭載し、一面から前記無電極ランプで放射された紫外線を照射させるランプハウスと、を具備し、前記マグネトロンで紫外線を放射させ、前記反射板により前記ランプハウスから照射させる前記無電極ランプは、少なくとも2本であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、共通のマグネトロンで複数の無電極ランプを点灯させることで、無電極ランプ1灯に対する負荷を減少させることができ、ランプの長寿化や省電力化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の紫外線照射装置に関する第1の実施形態について説明するための概念的な構成図である。
【図2】図1の要部の構成図である。
【図3】図1の要部の構成図である。
【図4】図1の要部の構成図である。
【図5】図2の要部の上面図である。
【図6】図5のIa−Ib線の一部を切り欠いて示した断面図である。
【図7】無電極ランプについて説明するための構成図である。
【図8】図6のIIa−IIb線断面図である。
【図9】ランプハウス内のエネルギーレベルを模式的に説明するための説明図である。
【図10】この発明の紫外線照射装置に関する第2の実施形態について説明するための概念的な構成図である。
【図11】この発明の第1および第2の実施形態における照射エリアについて説明するための説明図である。
【図12】この発明の紫外線照射装置に関する第3の実施形態について説明するための概念的な構成図である。
【図13】照射エリアについて説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1〜図9は、この発明の紫外線照射装置に関する第1の実施形態について説明するための、図1は概略的な構成図、図2は図1の要部の構成図、図3は図1の要部の構成図、図4は図1の要部の構成図、図5は図2の要部の上面図、図6は図5のIa−Ib線の一部を切り欠いて示した断面図、図7は無電極ランプについて説明するための構成図、図8は図6のIIa−IIb線断面図、図9は整合器の調整について説明するための説明図である。
【0012】
図1において、11は、高圧電源12およびこの高圧電源12で駆動してマイクロ波を発生させるマグネトロン13とから構成される点灯装置である。点灯装置11は電磁的にシールド可能な材料で形成された筐体14に収納される。マグネトロン13の出力は、コネクタ15に送られる。
【0013】
図2は、マグネトロン13とコネクタ15間の具体的な構成例を示している。高圧電源12に基づきマグネトロン13のアンテナANTから発せられたマイクロ波は、導波管16、同軸/導波管変換部17を介してコネクタ15に供給されている。
【0014】
図3は、同軸/導波管変換部17の具体的な構成例を示している。同軸/導波管変換部17は、アンテナANTから発生するマイクロ波を、点灯装置11の出力として電磁的なシールドが可能な材料で筒状に形成された導波管16から電磁的に結合されたコネクタ15に送信する。さらに、マイクロ波はコネクタ15から同軸ケーブル18の一端にそれぞれ送信する。コネクタ15は、それぞれ導波管16との接合部に切られたネジにねじ込む操作により、機械的および電磁的な結合が行われる。
【0015】
図1、図2、図4において、同軸ケーブル18を介して送られくるマイクロ波は、コネクタ19を介して分配器20に供給する。分配器20は、導電性の例えばアルミニウム製の箱状の形状をしている。分配器20では、マイクロ波をコネクタ21a〜21dにそれぞれ送信し、さらに、マイクロ波はコネクタ21a〜21dから対応の同軸ケーブル22a〜22dの一端にそれぞれ送信する。マイクロ波は、同軸ケーブル22a〜22dの他端からコネクタ23、整合器24a〜24dを介して紫外線照射部10A〜10Dに供給する。
【0016】
ここで、10A〜10Dは、それぞれマイクロ波給電により無電極ランプから放射された紫外線を照射する紫外線照射部である。紫外線照射部10A〜10Dは、同じような構成をしており、以下では紫外線照射部10Aについて説明し、紫外線照射部10B〜10Dについての説明これに置き換えることとする。
【0017】
図1、図2において、紫外線照射部10Aの25は電磁シールド機能を有するランプハウスであり、このランプハウス25内の下方中央部には、無電極ランプ26の長手方向の両端が取り付け配置してある。さらに、ランプハウス25の上部には、ランプハウス25の内部に、例えば、空気を送風することにより、無電極ランプ26等を冷却させる冷却用ファン27が設置されている。
【0018】
無電極ランプ26の背面側には反射板281,282が設置される。また、反射板281,282の反射面側と被照射体(図示せず)との間には、スクリーン29がランプハウス25の下方に開けられた照射窓30に設けられている。スクリーン29は、照射窓30の全面を覆う格好でランプハウス25の底部にネジ等の固定手段で固定されている。
【0019】
スクリーン29は、赤外線をカットするIRカットフィルタ、それに金属線をメッシュ状に編み込んだり、金属板にパンチング加工したりすることにより形成することで、マグネトロン13の例えば2.45GHzの発振周波数によるマイクロ波が漏洩しない程度に、且つ紫外光を十分通過させることが可能な程度の大きさの目を持つRFスクリーンから構成する。
【0020】
スクリーン29は、紫外線照射部10A〜10Dの共通のものを使用することが考えられるが、無電極ランプ26の交換を考えると、紫外線照射部10A〜10Dにそれぞれ個別のものを使用した場合が得策である。
【0021】
ここで、図7を参照して無電極ランプ26の構成例について説明する。261は紫外光を透過させる石英ガラス製の長さが240mm程度の円筒形状のバルブである。バルブ261は、外径は例えば17mm程度である。バルブ261の発光空間262内には、不活性ガスとそれに水銀と鉄を主成分とするマイクロ波で放電させる放電媒体を封入する。バルブ261の両端にはバルブ261を支持する支持部263,264がバルブ261と一体的に形成される。
【0022】
整合器24a〜24dについて説明する。整合器24a〜24dは、同様の構成をしていることから、図6および図6のIIa−IIb線断面図を示した図8を参照しながら、整合器24aについて説明する。
【0023】
すなわち、整合器24aは、導電性の例えばアルミニウム製の箱状の形状をしており、一側面にコネクタ23を取り付け、他側面側にマイクロ波をマイクロ波空洞部251に放射させる開口が形成されている。さらに、整合器24aは、マイクロ波のエネルギーレベルが最大となるようなインピーダンス整合を行う導電性の調整軸31a〜31cからなるスタブ31が設けられている。
【0024】
スタブ31は、図8に示すように、整合器24aの上面に取り付けられ、整合が取れていない場合に、調整軸31a〜31cを調整し整合を行う調整手段である。スタブ31は、調整軸31a〜31cを整合器24a内に適宜出し入れすることにより、無電極ランプ26に対応したインピーダンス整合を行うことが可能となる。
【0025】
調整軸31a〜31cは、例えば調整軸31a〜31cの外周にネジ溝81を形成し、整合器24aの上面に開けた調整孔82の内周にネジ山83を形成し、スタブ31の調整軸31a〜31cを適宜回して整合器24a内外に出し入れ可能である。
【0026】
従って、無電極ランプ26の種類や形状の変更に基づき、整合器24aのスタブ31を調整してインピーダンス不整合を行うことにより、図9に示すようなエネルギーレベルWを実現する。これにより、無電極ランプ26の種類や形状の変更した場合でも、インピーダンスの整合が行われたエネルギーレベルWのマイクロ波による放射が可能となり、良好な発光効率を実現することができる。
【0027】
この実施形態では、各紫外線照射部の各無電極ランプを合わせて照射エリアの長尺化を図りながら、各無電極ランプを励起させるマイクロ波を発生させるマグネトロンを共用させたことにより、システムの低廉化を実現しつつ、複数の紫外線照射部の設置の省スペース化を実現することができる。共通のマグネトロンで複数の無電極ランプを点灯させることで、無電極ランプ1灯に対する負荷を減少させることができ、ランプの長寿化や省電力化を実現することができる。
【0028】
また、マグネトロンを共用させることで省電力化にも寄与する。この場合、個々にマグネトロンを取り付けた場合に比べて電力容量の大きいものを使用するが、個々に取り付けた場合の合計の電力容量よりも小さなもので実現可能である。さらに、マグネトロンの筐体と無電力ランプのランプハウスとが別体となっていることから、設置場所に融通性を持たせることができる。
【0029】
図10は、この発明の紫外線照射装置に関する第2の実施形態について説明するための概略的な構成図である。上記した実施形態と同じ機能部分には同一の符号を付し、ここでは異なる構成部分について説明する。
【0030】
この実施形態は、被照射体の移動時間が同じ場合に、被照射体に対する紫外線の照射時間を長くすることを可能とする照射エリアを実現するものである。
【0031】
すなわち、紫外線照射部10A,10Bは、それぞれの無電極ランプ26の中心軸が同一線上に、紫外線照射部10C,10Dは、それぞれの無電極ランプ26の中心軸が同一線上にそれぞれ配置し、さらに紫外線照射部10Aと10Cの無電極ランプ26は平行に、紫外線照射部10Bと10Dの無電極ランプ26は平行となる関係に配置したものである。
【0032】
この場合、紫外線照射部10A〜10Dの4台の場合における照射エリアは、無電極ランプの長尺方向は、2本分の長さとなるが、直交する方向は2倍程度の幅での紫外線の照射が可能となる。このため、被照射体を無電極ランプの長手方向と直交する方向に移動させた場合に、照射時間を長くすることが可能となる。
【0033】
この実施形態では、被照射体に対する照射時間を長くすることができるとともに、各無電極ランプを励起させるマイクロ波を発生させるマグネトロンを共用させたことにより、システムの低廉化を実現しつつ、紫外線照射部の小型化で省スペース化を実現できる。共通のマグネトロンで複数の無電極ランプを点灯させることで、無電極ランプ1灯に対する負荷を減少させることができ、ランプの長寿化や省電力化を実現することができる。
【0034】
図11は、この発明の第1および第2の実施形態における照射エリアについて説明するための説明図であり、図11(a)は、この発明の第1の実施形態の照射エリアを、図11(b)は、この発明の第2の実施形態の照射エリアを示している。なお、白抜きの矢印は、被照射体の移動方向を示している。
【0035】
図12、図13は、この発明の第3の実施形態について説明するための、図12は概念的な構成図、図13は照射エリアについて説明するための説明図である。なお、上記した各実施形態と同一機能部分には同一の符号を付し、ここでは異なる部分を中心に説明する。
【0036】
この実施形態は、紫外線照射部10内に2本の無電極ランプ261,262を配置した場合である。すなわち、図12において、一端がコネクタ15に接続された同軸ケーブル18の他端は、コネクタ23を介して整合器24に接続する。これにより同軸ケーブル18を介して伝達されるマイクロ波は、整合器24のスタブ31でインピーダンス整合を行い、マイクロ波のエネルギーレベルが最大となるように調整する。
【0037】
整合器24に伝達されたマイクロ波は、マイクロ波空洞部251に放射させ、さらに無電極ランプ261,262を封入された放電媒体を励起し発光させる。これにより、無電極ランプ261,262から放射される紫外線を、スクリーン29を介して被照射体に照射させるものである。
【0038】
この実施形態の場合は、図13に示すように、1本の無電極ランプで放射した紫外線は、破線の照射エリアA1に比べ、2本の無電極ランプで放射した紫外線は、実線の照射エリアA2と広くなり、照射効率が改善される。
【0039】
なお、この実施形態では、1台の紫外線照射部内に2本の無電極ランプを設置した場合としたが、上記した第1あるいは第2の実施形態のように、複数の紫外線照射部を用意し、それぞれに設置した2本の無電極ランプの中心軸がそれぞれ同一線上なるようにしても構わない。
【0040】
この発明は、上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、マグネトロンを収納した筐体と無電極ランプを収納したランプハウスとは別体としたが、複数ある紫外線照射部の何れかにマグネトロンおよびこれを駆動させる電源等を収納させても構わない。この場合、マイクロ波を発生させる紫外線照射部から他の紫外線照射部へは、同軸ケーブル等のマイクロ波伝送手段を使用してマイクロ波を伝送することが考えられる。
【符号の説明】
【0041】
10A〜10D,10 紫外線照射部
11 点灯装置
12 高圧電源
13 マグネトロン
14 筐体
15,19,21a〜21d,23 コネクタ
ANT アンテナ
16 導波管
17 同軸/導波管変換部
18,22a〜22d 同軸ケーブル
20 分配器
24a〜24d,24 整合器
25 ランプハウス
251 マイクロ波空洞部
26,261,262 無電極ランプ
27 冷却用ファン
281,282 反射板
29 スクリーン
30 照射窓
31 スタブ
31a〜31c 調整軸
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロ波によって励起を行い、紫外線を発光させる無電極ランプを用いた紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマイクロ波で無電極ランプから紫外線を放射させる紫外線照射装置は、印刷関連でのインク乾燥、半導体関連の微細露光、液晶関連の接着剤硬化等の用途に用いられる。このようなマイクロ波給電式無電極ランプが搭載された紫外線照射装置を、無電極ランプの中心軸が同一線上となるように、複数台連結させることで照射エリアの長尺化が図られている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−53014公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1の技術は、無電極ランプの放電媒体をマイクロ波で励起させ紫外線を放射させるランプハウスを、無電極ランプの中心軸が同一線上となるよう複数台配置させ照射エリアの長尺化を図るものである。しかし、各ランプハウス内のそれぞれには、無電極ランプに対し少なくとも1台のマグネトロンおよびこれを駆動する回路等が収容されていることから、照射エリアの長尺化のための全体システム構成の大型化が避けられないとともに、これに伴う広い設置スペースが必要となる、という問題があった。
【0005】
この発明の目的は、システムを大型化することなく照射面積を拡大することのできる紫外線照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、この発明の紫外線照射装置は、マイクロ波を発生させるマグネトロンのマイクロ波に基づき、紫外線を放射させる放電媒体が封入された無電極ランプと、一面から前記紫外線の照射が可能な構成としたランプハウスとから紫外線照射部を構成し、前記紫外線照射部を複数台用意し、各無電極ランプに対し、前記マグネトロンを共用したことを特徴とする。
【0007】
また、紫外線照射装置は、マイクロ波を発生させるマグネトロンのマイクロ波に基づき、紫外線を放射させる放電媒体が封入された無電極ランプと、前記ランプから放射される紫外線を反射させ、被照射体に紫外線を照射させる反射板と、前記無電極ランプおよび前記反射板を搭載し、一面から前記無電極ランプで放射された紫外線を照射させるランプハウスと、を具備し、前記マグネトロンで紫外線を放射させ、前記反射板により前記ランプハウスから照射させる前記無電極ランプは、少なくとも2本であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、共通のマグネトロンで複数の無電極ランプを点灯させることで、無電極ランプ1灯に対する負荷を減少させることができ、ランプの長寿化や省電力化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の紫外線照射装置に関する第1の実施形態について説明するための概念的な構成図である。
【図2】図1の要部の構成図である。
【図3】図1の要部の構成図である。
【図4】図1の要部の構成図である。
【図5】図2の要部の上面図である。
【図6】図5のIa−Ib線の一部を切り欠いて示した断面図である。
【図7】無電極ランプについて説明するための構成図である。
【図8】図6のIIa−IIb線断面図である。
【図9】ランプハウス内のエネルギーレベルを模式的に説明するための説明図である。
【図10】この発明の紫外線照射装置に関する第2の実施形態について説明するための概念的な構成図である。
【図11】この発明の第1および第2の実施形態における照射エリアについて説明するための説明図である。
【図12】この発明の紫外線照射装置に関する第3の実施形態について説明するための概念的な構成図である。
【図13】照射エリアについて説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1〜図9は、この発明の紫外線照射装置に関する第1の実施形態について説明するための、図1は概略的な構成図、図2は図1の要部の構成図、図3は図1の要部の構成図、図4は図1の要部の構成図、図5は図2の要部の上面図、図6は図5のIa−Ib線の一部を切り欠いて示した断面図、図7は無電極ランプについて説明するための構成図、図8は図6のIIa−IIb線断面図、図9は整合器の調整について説明するための説明図である。
【0012】
図1において、11は、高圧電源12およびこの高圧電源12で駆動してマイクロ波を発生させるマグネトロン13とから構成される点灯装置である。点灯装置11は電磁的にシールド可能な材料で形成された筐体14に収納される。マグネトロン13の出力は、コネクタ15に送られる。
【0013】
図2は、マグネトロン13とコネクタ15間の具体的な構成例を示している。高圧電源12に基づきマグネトロン13のアンテナANTから発せられたマイクロ波は、導波管16、同軸/導波管変換部17を介してコネクタ15に供給されている。
【0014】
図3は、同軸/導波管変換部17の具体的な構成例を示している。同軸/導波管変換部17は、アンテナANTから発生するマイクロ波を、点灯装置11の出力として電磁的なシールドが可能な材料で筒状に形成された導波管16から電磁的に結合されたコネクタ15に送信する。さらに、マイクロ波はコネクタ15から同軸ケーブル18の一端にそれぞれ送信する。コネクタ15は、それぞれ導波管16との接合部に切られたネジにねじ込む操作により、機械的および電磁的な結合が行われる。
【0015】
図1、図2、図4において、同軸ケーブル18を介して送られくるマイクロ波は、コネクタ19を介して分配器20に供給する。分配器20は、導電性の例えばアルミニウム製の箱状の形状をしている。分配器20では、マイクロ波をコネクタ21a〜21dにそれぞれ送信し、さらに、マイクロ波はコネクタ21a〜21dから対応の同軸ケーブル22a〜22dの一端にそれぞれ送信する。マイクロ波は、同軸ケーブル22a〜22dの他端からコネクタ23、整合器24a〜24dを介して紫外線照射部10A〜10Dに供給する。
【0016】
ここで、10A〜10Dは、それぞれマイクロ波給電により無電極ランプから放射された紫外線を照射する紫外線照射部である。紫外線照射部10A〜10Dは、同じような構成をしており、以下では紫外線照射部10Aについて説明し、紫外線照射部10B〜10Dについての説明これに置き換えることとする。
【0017】
図1、図2において、紫外線照射部10Aの25は電磁シールド機能を有するランプハウスであり、このランプハウス25内の下方中央部には、無電極ランプ26の長手方向の両端が取り付け配置してある。さらに、ランプハウス25の上部には、ランプハウス25の内部に、例えば、空気を送風することにより、無電極ランプ26等を冷却させる冷却用ファン27が設置されている。
【0018】
無電極ランプ26の背面側には反射板281,282が設置される。また、反射板281,282の反射面側と被照射体(図示せず)との間には、スクリーン29がランプハウス25の下方に開けられた照射窓30に設けられている。スクリーン29は、照射窓30の全面を覆う格好でランプハウス25の底部にネジ等の固定手段で固定されている。
【0019】
スクリーン29は、赤外線をカットするIRカットフィルタ、それに金属線をメッシュ状に編み込んだり、金属板にパンチング加工したりすることにより形成することで、マグネトロン13の例えば2.45GHzの発振周波数によるマイクロ波が漏洩しない程度に、且つ紫外光を十分通過させることが可能な程度の大きさの目を持つRFスクリーンから構成する。
【0020】
スクリーン29は、紫外線照射部10A〜10Dの共通のものを使用することが考えられるが、無電極ランプ26の交換を考えると、紫外線照射部10A〜10Dにそれぞれ個別のものを使用した場合が得策である。
【0021】
ここで、図7を参照して無電極ランプ26の構成例について説明する。261は紫外光を透過させる石英ガラス製の長さが240mm程度の円筒形状のバルブである。バルブ261は、外径は例えば17mm程度である。バルブ261の発光空間262内には、不活性ガスとそれに水銀と鉄を主成分とするマイクロ波で放電させる放電媒体を封入する。バルブ261の両端にはバルブ261を支持する支持部263,264がバルブ261と一体的に形成される。
【0022】
整合器24a〜24dについて説明する。整合器24a〜24dは、同様の構成をしていることから、図6および図6のIIa−IIb線断面図を示した図8を参照しながら、整合器24aについて説明する。
【0023】
すなわち、整合器24aは、導電性の例えばアルミニウム製の箱状の形状をしており、一側面にコネクタ23を取り付け、他側面側にマイクロ波をマイクロ波空洞部251に放射させる開口が形成されている。さらに、整合器24aは、マイクロ波のエネルギーレベルが最大となるようなインピーダンス整合を行う導電性の調整軸31a〜31cからなるスタブ31が設けられている。
【0024】
スタブ31は、図8に示すように、整合器24aの上面に取り付けられ、整合が取れていない場合に、調整軸31a〜31cを調整し整合を行う調整手段である。スタブ31は、調整軸31a〜31cを整合器24a内に適宜出し入れすることにより、無電極ランプ26に対応したインピーダンス整合を行うことが可能となる。
【0025】
調整軸31a〜31cは、例えば調整軸31a〜31cの外周にネジ溝81を形成し、整合器24aの上面に開けた調整孔82の内周にネジ山83を形成し、スタブ31の調整軸31a〜31cを適宜回して整合器24a内外に出し入れ可能である。
【0026】
従って、無電極ランプ26の種類や形状の変更に基づき、整合器24aのスタブ31を調整してインピーダンス不整合を行うことにより、図9に示すようなエネルギーレベルWを実現する。これにより、無電極ランプ26の種類や形状の変更した場合でも、インピーダンスの整合が行われたエネルギーレベルWのマイクロ波による放射が可能となり、良好な発光効率を実現することができる。
【0027】
この実施形態では、各紫外線照射部の各無電極ランプを合わせて照射エリアの長尺化を図りながら、各無電極ランプを励起させるマイクロ波を発生させるマグネトロンを共用させたことにより、システムの低廉化を実現しつつ、複数の紫外線照射部の設置の省スペース化を実現することができる。共通のマグネトロンで複数の無電極ランプを点灯させることで、無電極ランプ1灯に対する負荷を減少させることができ、ランプの長寿化や省電力化を実現することができる。
【0028】
また、マグネトロンを共用させることで省電力化にも寄与する。この場合、個々にマグネトロンを取り付けた場合に比べて電力容量の大きいものを使用するが、個々に取り付けた場合の合計の電力容量よりも小さなもので実現可能である。さらに、マグネトロンの筐体と無電力ランプのランプハウスとが別体となっていることから、設置場所に融通性を持たせることができる。
【0029】
図10は、この発明の紫外線照射装置に関する第2の実施形態について説明するための概略的な構成図である。上記した実施形態と同じ機能部分には同一の符号を付し、ここでは異なる構成部分について説明する。
【0030】
この実施形態は、被照射体の移動時間が同じ場合に、被照射体に対する紫外線の照射時間を長くすることを可能とする照射エリアを実現するものである。
【0031】
すなわち、紫外線照射部10A,10Bは、それぞれの無電極ランプ26の中心軸が同一線上に、紫外線照射部10C,10Dは、それぞれの無電極ランプ26の中心軸が同一線上にそれぞれ配置し、さらに紫外線照射部10Aと10Cの無電極ランプ26は平行に、紫外線照射部10Bと10Dの無電極ランプ26は平行となる関係に配置したものである。
【0032】
この場合、紫外線照射部10A〜10Dの4台の場合における照射エリアは、無電極ランプの長尺方向は、2本分の長さとなるが、直交する方向は2倍程度の幅での紫外線の照射が可能となる。このため、被照射体を無電極ランプの長手方向と直交する方向に移動させた場合に、照射時間を長くすることが可能となる。
【0033】
この実施形態では、被照射体に対する照射時間を長くすることができるとともに、各無電極ランプを励起させるマイクロ波を発生させるマグネトロンを共用させたことにより、システムの低廉化を実現しつつ、紫外線照射部の小型化で省スペース化を実現できる。共通のマグネトロンで複数の無電極ランプを点灯させることで、無電極ランプ1灯に対する負荷を減少させることができ、ランプの長寿化や省電力化を実現することができる。
【0034】
図11は、この発明の第1および第2の実施形態における照射エリアについて説明するための説明図であり、図11(a)は、この発明の第1の実施形態の照射エリアを、図11(b)は、この発明の第2の実施形態の照射エリアを示している。なお、白抜きの矢印は、被照射体の移動方向を示している。
【0035】
図12、図13は、この発明の第3の実施形態について説明するための、図12は概念的な構成図、図13は照射エリアについて説明するための説明図である。なお、上記した各実施形態と同一機能部分には同一の符号を付し、ここでは異なる部分を中心に説明する。
【0036】
この実施形態は、紫外線照射部10内に2本の無電極ランプ261,262を配置した場合である。すなわち、図12において、一端がコネクタ15に接続された同軸ケーブル18の他端は、コネクタ23を介して整合器24に接続する。これにより同軸ケーブル18を介して伝達されるマイクロ波は、整合器24のスタブ31でインピーダンス整合を行い、マイクロ波のエネルギーレベルが最大となるように調整する。
【0037】
整合器24に伝達されたマイクロ波は、マイクロ波空洞部251に放射させ、さらに無電極ランプ261,262を封入された放電媒体を励起し発光させる。これにより、無電極ランプ261,262から放射される紫外線を、スクリーン29を介して被照射体に照射させるものである。
【0038】
この実施形態の場合は、図13に示すように、1本の無電極ランプで放射した紫外線は、破線の照射エリアA1に比べ、2本の無電極ランプで放射した紫外線は、実線の照射エリアA2と広くなり、照射効率が改善される。
【0039】
なお、この実施形態では、1台の紫外線照射部内に2本の無電極ランプを設置した場合としたが、上記した第1あるいは第2の実施形態のように、複数の紫外線照射部を用意し、それぞれに設置した2本の無電極ランプの中心軸がそれぞれ同一線上なるようにしても構わない。
【0040】
この発明は、上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、マグネトロンを収納した筐体と無電極ランプを収納したランプハウスとは別体としたが、複数ある紫外線照射部の何れかにマグネトロンおよびこれを駆動させる電源等を収納させても構わない。この場合、マイクロ波を発生させる紫外線照射部から他の紫外線照射部へは、同軸ケーブル等のマイクロ波伝送手段を使用してマイクロ波を伝送することが考えられる。
【符号の説明】
【0041】
10A〜10D,10 紫外線照射部
11 点灯装置
12 高圧電源
13 マグネトロン
14 筐体
15,19,21a〜21d,23 コネクタ
ANT アンテナ
16 導波管
17 同軸/導波管変換部
18,22a〜22d 同軸ケーブル
20 分配器
24a〜24d,24 整合器
25 ランプハウス
251 マイクロ波空洞部
26,261,262 無電極ランプ
27 冷却用ファン
281,282 反射板
29 スクリーン
30 照射窓
31 スタブ
31a〜31c 調整軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波を発生させるマグネトロンのマイクロ波に基づき、紫外線を放射させる放電媒体が封入された無電極ランプと、一面から前記紫外線の照射が可能な構成としたランプハウスとから紫外線照射部を構成し、
前記紫外線照射部を複数台用意し、各無電極ランプに対し、前記マグネトロンを共用したことを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記無電極ランプの中心軸が同一線上に複数台の前記紫外線照射部を連結することで、照射エリアの長尺化を図ったことを特徴とする請求項1記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記マイクロ波を発生させる前記マグネトロンを有する筐体と前記無電極ランプが配置されたランプハウスは別体であることを特徴とする請求項1または2記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
複数の前記紫外線照射部のうち1台にはマイクロ波を発生させる機能を備え、マイクロ波を発生させる機能を持たない他の紫外線照射部にマイクロ波を伝送するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
マイクロ波を発生させる機能のない前記紫外線照射部へのマイクロ波は、同軸ケーブルを介して伝送したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
マイクロ波を発生させる機能のない前記紫外線照射部に前記同軸ケーブルを介して伝送するときに、対象の前記紫外線照射部が複数台の場合は、途中から分配器を介して同軸ケーブルで個々の前記紫外線照射部に照射したことを特徴とする請求項5記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
マイクロ波を発生させるマグネトロンのマイクロ波に基づき、紫外線を放射させる放電媒体が封入された無電極ランプと、
前記ランプから放射される紫外線を反射させ、被照射体に紫外線を照射させる反射板と、
前記無電極ランプおよび前記反射板を搭載し、一面から前記無電極ランプで放射された紫外線を照射させるランプハウスと、を具備し、
前記マグネトロンで紫外線を放射させ、前記反射板により前記ランプハウスから照射させる前記無電極ランプは、少なくとも2本であることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項8】
少なくとも2本の前記無電極ランプと前記ランプハウスから紫外線照射部を構成し、複数の前記無電極ランプの中心軸がそれぞれ同一線上になるように複数台の前記紫外線照射部を連結することで、照射エリアの長尺化を図ったことを特徴とする請求項7記載の紫外線照射装置。
【請求項1】
マイクロ波を発生させるマグネトロンのマイクロ波に基づき、紫外線を放射させる放電媒体が封入された無電極ランプと、一面から前記紫外線の照射が可能な構成としたランプハウスとから紫外線照射部を構成し、
前記紫外線照射部を複数台用意し、各無電極ランプに対し、前記マグネトロンを共用したことを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記無電極ランプの中心軸が同一線上に複数台の前記紫外線照射部を連結することで、照射エリアの長尺化を図ったことを特徴とする請求項1記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記マイクロ波を発生させる前記マグネトロンを有する筐体と前記無電極ランプが配置されたランプハウスは別体であることを特徴とする請求項1または2記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
複数の前記紫外線照射部のうち1台にはマイクロ波を発生させる機能を備え、マイクロ波を発生させる機能を持たない他の紫外線照射部にマイクロ波を伝送するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
マイクロ波を発生させる機能のない前記紫外線照射部へのマイクロ波は、同軸ケーブルを介して伝送したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
マイクロ波を発生させる機能のない前記紫外線照射部に前記同軸ケーブルを介して伝送するときに、対象の前記紫外線照射部が複数台の場合は、途中から分配器を介して同軸ケーブルで個々の前記紫外線照射部に照射したことを特徴とする請求項5記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
マイクロ波を発生させるマグネトロンのマイクロ波に基づき、紫外線を放射させる放電媒体が封入された無電極ランプと、
前記ランプから放射される紫外線を反射させ、被照射体に紫外線を照射させる反射板と、
前記無電極ランプおよび前記反射板を搭載し、一面から前記無電極ランプで放射された紫外線を照射させるランプハウスと、を具備し、
前記マグネトロンで紫外線を放射させ、前記反射板により前記ランプハウスから照射させる前記無電極ランプは、少なくとも2本であることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項8】
少なくとも2本の前記無電極ランプと前記ランプハウスから紫外線照射部を構成し、複数の前記無電極ランプの中心軸がそれぞれ同一線上になるように複数台の前記紫外線照射部を連結することで、照射エリアの長尺化を図ったことを特徴とする請求項7記載の紫外線照射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−197578(P2010−197578A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40747(P2009−40747)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
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