説明

細胞の複数の生理学的特性を測定するための方法および装置

容器内の媒質中に存在する細胞を分析する方法は、細胞付近の媒質の元の体積を有する容器を準備するステップ、細胞の少なくとも一部付近の媒質の元の体積を減少させて、媒質の縮小された体積を規定するステップ、および媒質のこの縮小された体積内で細胞に関連する成分を分析するステップを含む。細胞を分析する装置は、細胞と媒質の体積とを保持する容器を受容するようになっているステージと、細胞の少なくとも一部を含む容器内の媒質の縮小された体積を形成するためのバリアを受容するようになっているプランジャと、ステージおよびプランジャの相対運動によって予期内に挿入さえっるようになっているバリアと、媒質の縮小された体積とセンサ連通するセンサとを有しており、センサが、縮小された体積内に存在する成分を分析するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2003年9月10日に出願された米国仮出願第60/502,417号明細書および2003年10月17日に出願された米国仮出願第10/688,791号明細書の利益を主張するものであり、これらの出願の開示内容は、参照により本出願に組み込まれている。
【0002】
技術分野
本出願は、一般に、高スループットのスクリーニング技術に関し、より詳細には、生細胞の周りの細胞外媒質の成分(分析物)を測定することに関する。本出願で引用されている全ての特許文献、刊行物および別の参照資料は本出願の一部をなしており、それらの各開示内容の全体は、参照により本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
生細胞は、通常、栄養物および酸素を周囲の媒質から消費し、イオン、二酸化炭素、乳酸塩および様々なタンパク質を含む代謝副生成物を細胞外環境に返している。これらの分析物の摂取および排出の速度は、細胞内で行われている代謝プロセスに関する重要な情報を提供できるものである。
【0004】
従来の生物学的アッセイでは、本質的に著しい制限が伴う。理想的な生物学的アッセイは、均一であり(つまり、染料のような異種試薬の導入を必要としない)、非侵襲性であり(つまり、生物学的プロセスに有害な作用を及ぼさない)、かつ迅速である。
【0005】
蛍光染料のような内在化されたレポータを利用した、細胞のメカニズムのプロセスを調べるための多くの機器が開発されている。現存の侵襲性の機器とも適合可能な容器内で行う非侵襲性でありかつ均一なアッセイを利用して細胞外分析物を測定することのできる装置は、特に有用である。
【0006】
これまでのいくつかの手段は、酸素流動速度測定に関連し、それというのは、呼吸が、細胞の生存性の測定の基本であると考えることができるからである。多くの装置は、細胞外媒質中の酸素の欠乏率を測定することによってインビトロで呼吸をモニタするように開発されたものである。最も古い装置では、密閉容器内のガスの全圧の変化に依存した測定を、この変化が主として酸素消費によって起こるという仮定の下に行う。
【0007】
1960年代にはクラーク電極(Clark, L. C. Jnr. Ann. NY Acad. Sci. 1962; 102: 29-45)、その後は小型化されたクラーク電極によって、酸素分圧のより特定的な測定が可能となった。クラーク型の設計は比較的複雑で、また電極自体が酸素を消費してしまうという事実があり、このことは、広範な用途に適した平行性の高い装置への組込みを妨げうる。しかし、この装置は、細胞の生存性を測定する(Gesinski RM, Morrison JH, Toepfer JR. "Measurement of oxygen consumption of rat bone marrow cells by a polarographic method." J Appl Physiol. 1968; 24(6): 751-754)、薬物および化学物質の毒性作用を解析する(Shenoy MA, Biaglow JE, Varnes ME, Hetzel FW. "Inhibition of cultured human tumor cell oxygen utilization by chlorpromazine." Adv Exp Med Biol. 1983; 159: 359-68)、およびインシュリンのような薬剤の細胞の代謝プロセスへの影響を明らかにする(Panten U and Klein H. "O2 consumption by isolated pancreatic islets, as measured in a Microincubation system with a Clark-type electrode." Endocrinology 1982; 111: 1595-1600)ためには十分に有用であると考えられている。
【0008】
より最近では、細胞の呼吸を非侵襲的にかつ均一に読み出す設計を可能にするいくつかの酸素センサが開発されている。酸素消光現象によってその応答が減少する蛍光化合物を利用することができる。このような化合物を、酸素透過性の膜中に埋め込み、細胞媒質に晒すことができ、ファイバに結合している安価な半導体光源および半導体光センサを用いて読み出すことができる(Wolfbeis OS, 2002. "Fiber-Optic Chemical Sensors and Biosensors." Annal of Chem. 2002 ; 74: 2663-2678)。
【0009】
イオン感応性電界効果トランジスタ(ISFET)も酸素圧の測定に利用されており、この場合、そのゲート領域を液体分析物に晒すことができ、このセンサによって検出可能な、酵素により触媒された酸素(O)のHイオンへの変換を利用する(Lehmann, M, Baumann W, Brischwein M, Gahle H-J, Freund I, Ehret R, Dreschler S, Palzer H, Kleintges M, Sieben U and Wolf B. "Simultaneous measurement of cellular respiration and acidification with a single CMOS ISFET. 2001." Biosensors & Bioelectronics. 2001; 16: 195-203)。
【0010】
酸素消光される蛍光プローブ、ISFETおよび他の酸素センサを、細菌類もしくはほ乳類の細胞を含む試料チャンバに組み込んだ、呼吸速度、生存性、または薬物もしくは毒物の作用を測定するための装置が、記述されかつ/または実施されている。このような装置の大きさは、大きな細胞培養ビンの内壁に設けた蛍光のパッチから(Tolosa L, Kostov Y, Harms P, Rao G. "Noninvasive measurement of dissolved oxygen in shake flasks." Biotechnol Bioeng 2002 Dec 5; 80(5): 594-7)、微小流体工学技術を利用して製造される微小フローセルに埋め込まれている蛍光センサ(Laehdesmaeki I, Scampavia LD, Beeson C, and Ruzicka J. "Detection of Oxygen Consumption of Cultured Adherent Cells by Bead Injection Spectroscopy." Anal. Chem. 1999 ; 71: 5248-5252)、ウェル内に懸濁させた蛍光化合物を含むマイクロタイタープレート(O'Riordan TC, Buckley D., Ogurtsov V, O'Connor R., Papkovsky DB "A cell viability assay based on monitoring respiration by optical oxygen sensor." Anal. Biochem. 2000; 278(2): 221-227)もしくはウェル上に堆積させた蛍光化合物を含むもの(Woodnicka M, Guarino RD, Hemperly JJ, Timmins MR, Stitt D, Pitner JB. "Novel fluorescent technology platform for high throughput cytotoxicity and proliferation assays." Journal of Biomolecular Screening 2000; 5: 141-152)にわたっている。
【0011】
いくつかの特許文献には、細菌類もしくはほ乳類の細胞を含む培養液と接触させて配置した酸素消光される蛍光化合物を利用して細胞をモニタする装置が記載されている。薬物もしくは毒物で処理された細胞の蛍光測定結果は、参照と比較され、細胞の呼吸への作用が測定される。一態様では、細胞は、周囲空気に晒されるマイクロプレート内に含まれている。細胞は、この構成内で生存性を維持するために低い密度で維持され、それというのは、細胞の密度が高いと、酸素欠乏、媒質の酸性化および接触阻害を招きやすくなるからである。したがって、測定時間は、通常、数10時間もしくは数日となりうる。さらに、周囲酸素の流入および試料体積の制御の不足によって、対照に対する相対的な測定しか行うことができない。別の態様では、周囲酸素の流入を制限するために、細胞媒質上に鉱物油を存在させる。細胞密度は、通常極めて低いので、通常は長時間の測定が必要とされる。
【0012】
多くの特許および公報に、高密度の細胞を含む、小さな閉じられた試料チャンバを組み込んでいる酸素流動速度測定システムが記載されている。このような装置では、能動的かん流システムが使用され、溶解された酸素、pHおよび栄養物の通常のレベルが間欠的に復旧される。このようなシステムは1つとして、使用者が簡単に細胞を培養し、その生存性を維持し、高スループットで平行に実験を行い、または細胞を分離および移動させずに行う別のタイプのアッセイを実施できるようには設計もしくは構成されていない。
【0013】
細胞の酸性化率を測定する手段もある。生細胞は、有酸素呼吸および無酸素呼吸を含む様々な代謝プロセスの副生成物としてプロトン(Hイオン)を生成する。プロトンは、リガンドが膜貫通型受容体もしくはイオンチャンネルと結合することにより、真核細胞の表面でのイオン交換ポンプが作動した場合にも、生成する。細胞外媒質の一定体積中で、このプロトンの流れは、pHセンサを用いて測定可能な段階的な酸性化を生じさせる。したがって、代謝率および/または受容体の活性化の指標となるものを、細胞外酸性化率を正確に測定することによって知ることができる。
【0014】
複数のpHセンサを、細胞媒質の測定に対して適用することができる。上述のものと同様の蛍光センサおよびISFETセンサ以外に、光アドレス電位応答センサ(light addressable potentiometric sensor)が、プロトン流を迅速に測定するための装置内に組み込まれている(Parce W, Owicki J, Kercso K, Sigal G, Wada H, Muir V, Bousse L, Ross K, Sikic B, and McConnell H. 1989. "Detection of Cell-Affecting Agents with a Silicon Biosensor." Science. 1989; 246(4927): 243-247)。
【0015】
特許文献の1つには、細胞の代謝の指標として細胞外酸性化(pH)を測定する方法を利用する装置が記載されている。この装置においては、細胞を高密度で収容している小さな試料チャンバに、間欠的に媒質がかん流しており、このチャンバは、細胞のプロトン放出によってもたらされるpHの変化の測定が可能であるように閉じられている。停止/フローの一連の繰り返しサイクルによって、動的な代謝率のデータが得られる。試料チャンバを一旦組み立ててしまうと、その大きさは固定され、また細胞が高密度で収容されているので、急速な酸性化および媒質の酸素の欠乏によって細胞が死んでしまうことを防ぐために能動的なかん流が必要とされる。しかし、装置にかん流システムを追加することによって、比較的複雑な管構成、ポンプおよび他の特徴がもたらされ、これにより、使用者に対してはクリーニングおよび殺菌の問題が生じてしまう。さらに、この装置を使用して細胞を薬物で処理しなくてはならない場合、薬物を比較的長い期間、細胞の周面にわたりかん流させる必要があり、これにより、通常は希少で高価な化合物を多量に消費することになる。
【0016】
別の細胞外分析物は、非侵襲性の技術を利用して測定することができる。二酸化炭素は、様々な蛍光センサを利用して媒質中の二酸化炭素(CO)の分圧を測定することから知ることができる(Pattison R, Swamy J, Mendenhall B, Hwang C, and Frohlich B. "Measurement and Control of Dissolved Carbon Dioxide in Mammalian Cell Culture Processes Using an in Situ Fiber Optic Chemical Sensor." 2000. Biotechnology Prog. 16: 769-774)(Ge X, Kostov Y, and G Rao. High Stability non-invasive autoclavable naked optical C02 sensor. 2003. Biosensor and Bioelectronics 18 : 857-865頁)。
【0017】
別のイオン成分および化学成分は、光学センサもしくは半導体センサをベースとした非侵襲性の技術を利用して測定することができる。さらに、より大きな分子、例えばタンパク質も非侵襲性の技術を用いて測定することができる。この技術は、上記分子の、細胞外媒質に晒されるセンサに装着されている抗体への結合を感知するようになっている(Flora K and J Brennan. Comparison of Formats for the Development of Fiber-Optic Biosensors Utilizing Sol-Gel Derived Materials Entrapping Fluorescently-Labeled Proteins. Analyst, 1999, 124, 1455-146)。
【0018】
上記のようなセンサで用いられる別の物理的現象は、表面プラズモン共鳴(Jordan & Corn, "Surface Plasmon Resonance Imaging Measurements of Electrostatic Biopolymer Adsorption onto Chemically Modified Gold Surfaces," Anal. Chem., 69: 1449-1456, 1997)、グレーティングカプラ(Morhard et al., "Immobilization of antibodies in micropatterns for cell detection by optical diffraction," Sensors and Actuators B, 70, 232-242頁, 2000)、偏光解析(Jin et al., "A biosensor concept based on imaging ellipsometry for visualization of biomolecular interactions," Analytical Biochemistry, 232, 69-72頁, 1995)、エバネセント波装置(Huber et al., "Direct optical immunosensing(sensitivity and selectivity), "Sensors and Actuators B, 6, 122-126頁, 1992)、反射率測定(Brecht & Gauglitz, "Optical probes and transducers," Biosensors and Bioelectronics, 10, 923-936頁, 1995)、およびウッドの異常回折(B. Cunningham, P. Li, B. Lin, J. Pepper, "Colorimetric resonant reflection as a direct biochemical assay technique, "Sensors and Actuators B, Volume 81, 316-328頁, Jan. 5, 2002)である。
【0019】
一般に、細胞によるタンパク質の放出を測定することを目的とした、上記のようなセンシング技術を組み込んだ装置の有用性は、検出感度によって制限される。感度は、通常、センサ表面に近い領域で細胞の密度が増加すると上昇する。しかし、細胞の密度が増加すると、酸素欠乏、媒質の酸性化および接触阻害によって、細胞の健康状態は急速に減退する。細胞をセンサ表面に直接的に付着させることは可能であるが、一般には望ましいことではない。
【0020】
分析物を測定するための高い細胞の密度と、細胞の健康状態および成長を維持するための低い細胞の密度とを得る必要がある。多くの装置が、細胞外分析物の流動速度を測定するために開発されてきたが、生物学的な研究、創薬および臨床診断の分野で広い用途に使用可能であるという要求に見合わなくてはならない。平行な構成が望ましい。長時間のアッセイ時間の間の不都合と、試料を準備する時間とが解消されることが好ましい。これが解消されない場合には、試料のスループットは低く、よって、最近の創薬および臨床診断に適合できない。
【0021】
さらに、細胞の細胞外流動速度を、他の高スループットのアッセイでも使用される容器内で非侵襲性の様式で測定するために使用できる装置が必要であり、これにより、現存のアッセイに対する品質制御もしくは相補的な流動速度測定としての利用が可能となる。
【0022】
つまり、データの品質、現存の実験の実施との適合性および使いやすさという目標を達成することができ、新しい技術の広範な適用を可能にする装置への需要がある。
【発明の開示】
【0023】
概要
分析物の測定のために高い細胞の密度を、細胞の健康状態および成長の維持のために低い細胞の密度を提供するために、新規の方法および装置が着想され開発された。本発明は、様々な細胞外分析物の流動速度を数分で測定でき、相対的というより定量的な読み出しを提供でき、試験中に細胞の生理学的状態に悪影響を与えることなく使用可能であり、能動的なかん流もしくはかき混ぜのシステムを必要としない。
【0024】
本発明の1つの特徴は、細胞および媒質の混合物を低い密度で収容する容器内で実質的に閉じられた試料チャンバと、分析物の測定のための1つまたは複数のセンサとを一時的に作ることである。この一時的に試料チャンバを作ることは、より大きな容器内、高いレベルの溶解された酸素および他の分析物を含む媒質中、および通常のpH中でなされ、測定が行われる前および行われた直後に細胞を供給する。この特徴を使用して、細胞を成長させ、より長い期間維持し、薬物化合物で処理し、任意の様々な方法を用いてアッセイを行うことができ、その一方で、細胞に関して何ら妥協することなく生存性および呼吸率に対するアッセイが周期的に行われる。
【0025】
さらに、細胞を含む媒質を容器から除去する必要はなく、一時的に移動させるだけでよい。したがって、薬物化合物は最小限の量しか必要とされない。
【0026】
さらに、一時的な試料チャンバの寸法を正確に制御することによって、細胞外分析物の量的な流動速度を簡単に測定することができる。したがって、外部の参照は必要ではなく、容器内での細胞の流動速度の変化は、この1つの容器において複数の読み出しを行うことによって測定できる。
【0027】
本発明の一態様の要素は以下の通りである。
【0028】
1.より多量の媒質で充填された容器内での、小さな比較的不浸透性の試料チャンバ(1つ以上の細胞、1つ以上のセンサおよび少量の細胞媒質を含む)の一時的な形成。この構成は、以下の事項を助成する。
− 媒質中の分析物の変化の速度を増大させ、これにより、感度の高い測定を合理的な短時間で、つまり、従来の方法では数時間であったものを数分で行うことを可能にすること、
− 以下の制限、つまり
a.感度が低いこと(測定培養液中の細胞の密度が低く、測定しなくてはならない信号が小さい)、
b.試料体積が未知であること(使用者によって各ウェルの充填レベルおよび蒸発量が異なる)
c.周辺環境からのOが流入してしまうこと(ウェル全体が封止されている場合、例えば従来技術で提案されているように鉱物油で覆い、そのため末端実験となる)
を克服することによって参照の必要がなくなること、
− 本発明により高い細胞/媒質比が一時的にのみ作られるので、フローセルのための間欠的なかん流を提供する複雑な流体システムの必要がなくなること、および
− SPR、SRU等を含む別のタイプのセンサに対する細胞ベースの高感度のアッセイシステムを構築し、細胞によって影響を受ける分析物が、測定が難しい低い比率で影響を受けること。
2.上記構成を達成するための、段付きウェルおよび底部表面に光学センサを備えている逆きのこ型のプローブを含む、装置の特定の設計。
3.細胞を収容する様々な容器(透明底のマイクロプレートを含む)への上記センサの一時的な適用。
− これにより、細胞を移動させる必要および容器への細胞の付着を防ぐ必要なしに、実質的に全ての従来のアッセイを使用することができるようになり、
− 数分でセンサをクリーニングし再使用することができる。
【0029】
本発明の1つの課題は、生細胞の様々な生理的特性を測定するための、迅速で、非侵襲性でかつ使いやすい方法を提供することである。特に、総括的な細胞の代謝率および呼吸率、有酸素呼吸の無酸素呼吸に対する比率、様々な代謝基質の消費の比率、特定の膜貫通型受容体および別の細胞の受容体の刺激に対する作用、様々な分泌因子の生成率、および細胞の生存性を測定することのできる装置および方法を記載している。
【0030】
上記装置および方法は、生物学的調査、創薬および臨床診断を含む様々な分野で適用可能である。この装置は、単独の装置としてもしくは現存のアッセイ法と共に使用することができる。例えば、この装置は創薬の機器として、細胞の代謝、タンパク質の分泌、または細胞内/細胞外のイオン交換への作用について、様々な化合物をスクリーニングするために使用することができる。さらに、この装置は、細胞もしくは組織試料への化合物の毒性作用を測定する、より複雑で、侵襲性のかつより多くの時間を費やす方法に換えて使用することができる。そのために、この装置では、染料の添加および細胞のインキュベーションを必要としない。この装置は、従来のアッセイの実施前および実施後に、細胞もしくは組織の健康状態を測定するために使用することもでき、これにより、そのようなアッセイの性能が改善される。
【0031】
一態様では、本発明は、容器内の媒質中に存在する細胞を分析する方法を含む。この方法は、細胞に関して媒質の元の体積を提供し、細胞の少なくとも一部に関して媒質の元の体積を縮小させて、その媒質の縮小された体積を規定し、細胞に関連する成分を、媒質のその縮小された体積内で分析する。
【0032】
1つ以上の以下の特徴を含みうる。細胞に関する媒質の縮小された体積は、実質的に元の体積にまで増大させることができる。成分の第1の濃度を測定し、この第1の濃度の測定値から予め決められた時間間隔を置いて成分の第2の濃度を測定することができる。成分の流動速度は、これらの第1の濃度および第2の濃度を基に計算することができる。
【0033】
縮小された体積は、例えば、元の体積の約5〜50%を含むことができ、好ましくは元の体積の約5〜20%を含みうる。いくつかの態様では、縮小された体積は、元の体積の約5%より小さくなっていてよい。
【0034】
細胞は、細菌類、菌類、酵母菌、原核細胞、真核細胞、動物細胞、ヒト細胞、および/または不死化細胞を含みうる。細胞の少なくとも一部は、容器の表面に付着しうる。細胞の少なくとも一部は、媒質中に懸濁していてよい。細胞の少なくとも一部は、生きた組織を含みうる。
【0035】
分析される成分は、溶解ガス(例えば、O、CO、NH)、イオン(例えば、H、Na、K、Ca++)、タンパク質(例えば、サイトカイン、インシュリン、ケモカイン、ホルモン、抗体)、基質(例えば、グルコース、脂肪酸、アミノ酸、グルタミン、グリコーゲン、ピルビン酸塩)、塩および/または鉱物を含みうる。成分は、細胞の少なくとも一部により媒質から吸収もしくは抽出することができる。成分は、細胞の少なくとも一部により媒質内へ分泌することができる。
【0036】
成分の分析は、成分の存在および/または濃度をセンシングもしくは感知することを含みうる。成分を分析することは、第1の成分の第1の濃度をセンシングし、第2の成分の第2の濃度をセンシングし、これらの第1の濃度と第2の濃度との関係を決めることを含みうる。成分の分析は、成分の濃度の変化の速度をセンシングすることを含みうる。
【0037】
縮小された体積内で媒質と接触しているセンサを使用することができる。このセンサは、蛍光センサ、発光センサ、ISFETセンサ、表面プラズモン共鳴センサ、光学的回折原理に基づくセンサ、ウッドの異常回折の原理に基づくセンサ、音響センサまたはマイクロ波センサであってよい。
【0038】
成分の分析は、パラメータ、例えば、細胞の生存性、細胞の数、細胞の成長率、薬物、毒物もしくは化学物質の少なくとも1つへの応答、一存在物の検出、および内在化の決定を含みうる。
【0039】
方法は、追加的な媒質を、容器にかん流させるかつ/または容器内に媒質を補充することを含みうる。
【0040】
媒質の体積を縮小させることは、容器内にバリアを設けることを含んでいてよく、典型的には、容器の外部へ媒質を移動させることがない。バリアの少なくとも一部は、センサを含みうる。別の態様としてもしくは追加として、媒質の縮小された体積が、蛍光プローブのようなセンサを含みうる。容器の少なくとも一部は、センサを含みうる。
【0041】
細胞の少なくとも一部の環境は、媒質の元の体積を縮小させる前に変化させることができる。この環境は、例えば、細胞の少なくとも一部を、薬物、化学物質もしくは毒物の少なくとも1つに晒すことによって変化させることができる。
【0042】
細胞の少なくとも一部の環境は、媒質の元の体積を縮小させた後に変化させることができる。
【0043】
この方法は、容器を覆い、容器を封止し、かつ/または容器内の媒質の元の体積の少なくとも一部を撹拌することを含みうる。
【0044】
別の観点では、本発明は、細胞を分析する装置に関する。この装置は、細胞および媒質の体積を保持する容器を受容するようになっている段と、細胞の少なくとも一部を含む、容器内の媒質の縮小された体積を形成するためのバリアを受容するようになっているプランジャとを有していて、バリアは、段およびプランジャの相対的な運動によって容器内に挿入されるように構成されており、さらに、媒質の縮小された体積とセンシング可能に連通もしくは接続するセンサを有していて、このセンサは、縮小された体積内に存在する成分を分析するように構成されている。
【0045】
1つ以上の以下の特徴を含みうる。センサを、細胞を妨げることなく成分を分析するように構成することができる。容器は、マイクロプレートに設けられたウェルを含みうる。このウェルは段を含みうる。バリアを、成分の分析の前に、媒質を撹拌するように構成することができる。
【0046】
センサは、例えば、蛍光センサ、発光センサ、ISFETセンサ、表面プラズモンセンサ、光学的回折原理に基づくセンサ、ウッドの異常回折の原理に基づくセンサ、音響センサもしくはマイクロ波センサであってよい。容器の少なくとも一部がセンサを含んでいてよいく、媒質の縮小された体積がセンサを含んでいてよく、かつ/またはバリアの少なくとも一部がセンサを含んでいてよい。
【0047】
装置は、自動化された電気光学的な測定システムを含みうる。装置は、コンピュータも含んでいてよく、この自動化された電気光学的な測定システムは、コンピュータと電気的に通信している。
【0048】
バリアは、プランジャに対してバイアスされていてよい。
【0049】
1つの観点では、本発明は、細胞を分析する装置に関する。この装置は、細胞および細胞媒質の体積を保持するための容器と、細胞の少なくとも一部を含む容器内の媒質の縮小された体積を形成するためのバリアを受容するようになっているプランジャと、縮小された体積が媒質の体積の約50%未満となるように、細胞を妨げることなく段およびプランジャの相対的な移動によって容器内に挿入するようになっているバリアと、媒質の縮小された体積とセンシング可能に連通しているセンサとを有しており、センサが、縮小された体積内に存在する成分を分析するように構成されている。
【0050】
別の観点では、本発明は、媒質および細胞を保持するための複数のウェルを備えているプレートに関する。このようなウェルの少なくとも一部のそれぞれは、縮小された体積を形成するためのバリアを受容するための載置面を有している。
【0051】
1つ以上の以下の特徴を含みうる。載置面の形状は、一般的に偏平、弓形、輪郭付き、傾斜付き、円錐形、段付きであるもしくは連結形(interlocking)であってもよい。ウェルのそれぞれ内の縮小された体積は、ウェルの平均体積の約10%未満だけ、好ましくは、ウェルの平均体積の約5%未満だけ、より好ましくは、ウェルの平均体積の約1%未満だけ変化してよい。ウェルの載置面はそれぞれ、各ウェルの内周面に付近に設けられているステップを含みうる。この段は、各ウェルの底部によって規定されている底面付近に設けられている段平面に位置していてよい。この段平面および底平面は、平行な平面である。段平面の高さは、底平面付近では約1ミリメートル(mm)未満であってよく、好ましくは底平面付近で約200μm未満であってよく、より好ましくは底平面付近で約50μm未満であってよい。
【0052】
蛍光センサは、ウェルの少なくとも1つ内に設けられていてよい。ウェルの少なくとも1つは、透明な底部を含みうる。ウェルの少なくとも1つは、不透明なウェルを含みうる。
【0053】
別の観点では、本発明は、容器内の媒質中に存在する細胞の分析のためのバリアに関する。このバリアは、容器に挿入するための本体部分を有しており、この本体部分は、縮小された体積を形成するための、容器の第1の表面と合わせるためのバリア表面を有している。
【0054】
1つ以上の以下の特徴を含みうる。バリア表面の形状は、一般に、偏平、弓形、輪郭付き、傾斜付き、円錐形、段付きもしくは連結していてもよい。バリアは、容器の第2の表面と合わせられるためのカバーを有しうる。
【0055】
センサは、細胞の少なくとも一部の付近に存在している媒質の成分を分析するために、バリア表面設けられていてよい。センサは、光学センサを含みうる。光学センサは、蛍光プローブをセンシングするように構成されていてよい。
【0056】
導体がセンサと結合していて、信号をセンサから伝導するように構成されている。導体は、光学ファイバを含んでおり、少なくとも部分的に本体部分内に設けられていていてよい。バリアは、センサからの信号を伝達するための読み出し部を有していてよい。この読み出し部は、目に見えるもの、繊維、ポスト上に設けられたの電子機器および/または底部からのプレートリーダであってよい。
【0057】
バリアは、マイクロプレートに設けられた複数のウェル内で受容されるように構成されている複数のバリアであってよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
本発明により、細胞媒質のより大きな体積内で、細胞を高濃度に含む体積を一時的に形成することが可能となり、これにより、細胞の生物学的活性により生じる媒質の成分の変化の高感度の測定が可能となる。恒久的にではなく一時的に、媒質の体積を縮小させる(そして、これにより細胞/媒質混合物の濃度を高くする)ことにより、細胞が、非通常の環境に晒されるのが短時間のみとなり、測定プロセスによる不都合な作用を受けない。
【0059】
本発明の一態様では、細胞は、長時間にわたる成長を助けるのに十分な媒質の種類および体積を含む容器の底部で成長するかまたは配置されている。試料チャンバは、容器の底部に形成されるのもであり、容器底部とそれに垂直な壁部からなり、閉じられた体積が、細胞および媒質の縮小された体積を含むのに十分であるようになっている。
【0060】
バリアは、容器の内直径よりわずかに小さい直径を有しており、可動のアクチュエータ上の試料チャンバの上に配置されている。作動により、バリアを、容器の液体のレベルを越えて位置させるかまたは液体内へおよび容器壁部に向けて下げることができ、試料チャンバからカバーの上に存在するバルク媒質へのおよびその逆方向の分析物の拡散に比較的影響のない試料チャンバが形成される。
【0061】
本発明の代表的な態様の断面図を図1に示す。この図に、通常は、マルチウェルマイクロプレート内の典型的な1つのウェル110である容器100を詳細に示す。この単一のウェル110の壁部は、生細胞120および細胞成長媒質130を収容する容器100を形成している。細胞は、容器の底部表面132に付着していてもしていなくてもよく、底部表面は、付着を促進させるように処理もしくはコーティングされていてよい。別の態様では、細胞は、媒質中に懸濁されていてもよく、重力もしくは遠心力を利用して容器底部に強制的に配置されていてもよい。
【0062】
バリア140は、容器100の内直径よりわずかに小さな直径を有しており、容器内で、試料チャンバ150を規定するカバーを形成するために使用される。バリア140は、例えば6mmの直径dを有し、容器100は、例えば7mmの内直径dを有していてよい。図1に、容器内での測定前位置にあるバリア140を示す。測定を行うためには、手動のもしくは動電化されたプランジャ(アクチュエータ)を使用して、バリア140を降下させるかもしくはウェル110を上昇させるかによって、図2に示すようにバリア140を、容器100の底部表面132のわずかに上に配置し直す。測定前に図2に示す位置にバリアを配置させることによって、媒質の縮小された体積を有する試料チャンバ150が規定され、これにより、測定の感度が向上する。
【0063】
ほぼ任意の大きさの単一の容器を製造することができるし、複数の容器を一次元もしくは二次元の配置で製造することもできる。一態様では、the Society for Biomolecular Screeningのマイクロプレートの規格(「SBS-1 Footprints」および「SBS-4 Well Positions」、いずれも2003年5月20日付けでアップデートされている詳細な規格)により記載されているマイクロプレートのパターンおよび次元に対応する、合計で12、24、96、384、1536のまたは他の数の個々のウェルを含む容器の二次元パターンを製造することができる。
【0064】
容器および試料チャンバは、典型的には、プラスチック材料、例えば、ポリスチレンもしくはポリプロピレンを用いて形成することができ、底部は透明であって、側面は黒色に色づけされており、これにより、1つのウェルから別のウェルへの光学的な相互作用が低減する。
【0065】
細胞付近の媒質体積を、媒質を容器の外に移動させることなく一時的に減らすために、様々な種類のバリア、例えば、垂直方向に降下できる単純な平らなカバー、水平方向に延びるスライディングカバー、または回転してバルブとして作動することができる切欠を有しているディスクの対を利用することができる。測定前の所要の安定時間を短縮するために、バリアが、細胞もしくは細胞に近位の媒質を邪魔しない、つまり動かさないことが望ましい。
【0066】
完成された測定システムは、図3に示す構成要素を使用して構成することができる。容器300、例えば、複数のウェル302を有するマイクロプレートのようなプレートは、平行ステージ上に配置されている。マイクロプレートは、プランジャ322の下のバリア320のアレイの下およびピペッタ330のアレイの下に設けられている。プランジャ322は、バリアを受容するようになっている。ウェルの少なくとも一部のそれぞれは、バリアの1つを受容するようになっている載置面(例えば、図4aおよび4bを参照)を有している。バリア320は、センサを含みうる。媒質の元の体積をウェル内に準備することができる。手動のもしくは動電化された作動を利用して、バリアおよびピペッタをマイクロプレートウェル内へと降下させて、ウェル内での媒質の縮小された体積を形成する。この縮小された体積は、媒質の元の体積の、例えば50%未満であっってよい。バリアは、ステージ310およびプランジャ322の相対運動によって、容器内、つまりウェル内にに挿入されるようになっている。バリアおよびピペッタは、洗浄用緩衝剤および較正剤を収容したいくつかの流体リザーバ340内にも降下させることができる。バリアによって、容器内で媒質の縮小された体積が形成されると、センサは、媒質の縮小された体積とセンシング可能に連通することができ、縮小された体積内に存在する1つ以上の成分を分析するように構成されていてよい。センサは、光学エレメント間に介在する適切なバンド制限フィルタを備えている、発光源(例えば発光ダイオード)および光検出器(例えばフォトダイオード)を含む光学的なインターフェースによって応答する。コンピュータおよびソフトウェア350は、作動、較正および測定の機能を実施する。
【0067】
試料チャンバ内での媒質の温度の変化によって、少なくとも2つの要因からの不都合な測定エラーが生じる。第1に、媒質の、溶存ガスを保持する許容量が温度によって変化するので、媒質が周辺環境と平衡になろうとする際、温度変化が、明らかな溶存ガス濃度の変化をもたらしうる。第2に、多くの種類のセンサの測定特性が温度によって変化する。
【0068】
正確かつ再現性のある測定を保証するために、容器中の媒質の縮小された体積の温度を制御するか、または補正因子を測定に適用することができる。蒸発によって、液体媒質が冷却されるので、熱ドリフト、熱勾配およびガス交換を減らすような蒸発の制御が所望される。
【0069】
試料チャンバに、環境および温度の制御を提供することによって、測定プロセスにおける不都合な影響を減少させることができる。例えば、細胞の周囲の媒質の制御されていない温度変化は、酸素消費率に明らかな直接的な影響を与えうる。酸素は、温められると自然に媒質から放出され、観察される比率の変化は、実際、温度の上昇に伴い平衡が移動する溶存ガスの自然な機能である場合には、細胞呼吸の変化に現れる。同様に、制御されていない他の環境条件、例えば湿度もしくは空気流への曝露による媒質から任意の蒸発は、溶存ガス、イオンおよび温度の測定を含む、様々なセンサによる測定に人為的な影響を与えうる。
【0070】
この測定システムを使用して、センサ/バリアを容器壁部と係合させ、細胞を含む媒質の縮小された体積を有する閉じられた試料チャンバを形成することによって、アッセイサイクルを開始する。バリアの動作の速度およびパターンはプログラミングされていてよく、これにより、細胞を不安定にするような、つまり細胞を別の場所に移動するもしくは細胞に剪断応力を生じさせるような媒質の迅速な動きが防止される。このバリアの動作の速度およびパターンは、所望であれば、媒質を撹拌するための流体の動きを提供するように変化させることができる。
【0071】
さらに、バリアは、例えばばねもしくは別の負荷エレメントを使用することによって、独立してバイアスされていてよく、これにより、全てのウェルのカバーが同時に正確に載置されることが保証される。
【0072】
さらに、電気光学インターフェースおよびコンピュータを使用して、細胞外分析物の濃度の変化によって生じる、1つまたは複数のセンサの応答の変化が測定される。分析物の消費もしくは生成の速度は、数分にわたる複数の読み出しを行い、選択された測定点間の傾斜を計算することによって測定することができる。測定シーケンスが終了すると、センサ/カバーは引き上げられて、細胞は、各容器内の媒質の全体積に晒される。
【0073】
この測定システムは、分析物センサの一点のもしくは複数点の較正の提供も含みうる。例えば、既知の、しかし異なるpH、酸素、COもしくは別の分析物のレベルを有する液体を含む2つのリザーバを組み込むことができ、2点(ゲインおよびオフセット)較正を定期的に行うことができる。別の態様では、センサの「工場での(理論的な)」前較正を利用することができ、現場での較正の必要がなくなる、もしくは較正を減らして一点(オフセット)補正とする。
【0074】
図4aを参照すると、一態様では、マイクロプレートを使用して、複数の測定容器を標準的なパターンで提供する。載置面400を各ウェルに組み込むことによって、正確な媒質の縮小された体積を、測定期間中、細胞付近に保持することができる。プレートに設けられた各ウェル内での縮小された体積は、ウェルの併記体積の約10%未満だけ変化させることができる。いくつかの態様では、縮小された体積は、ウェルの平均体積の5%未満だけ変化させることができ、別の態様では、縮小された体積は、ウェルの平均体積の1%未満だけ変化させることができる。載置面400もしくは段は、各ウェルの底部430によって規定されている底面平面420の上に設けられた段平面410に配置されており、段平面410および底面平面420は、互いに平行な平面である。段平面の高さは、一般には底面平面上、約1mm未満であり、通常、底面平面上、50〜200μm未満である。
【0075】
図4bを参照すると、別の態様で、細胞が載置面440に付着することを防止するための傾斜付きの表面435が設けられている。様々な別の係合カバーおよび載置面のうち任意のものを、様々な組合せおよび順番で利用することができる。これには、一般に、偏平、弓形、輪郭付き、傾斜付き、円錐形、段付き、相互連結等のものが含まれる。一般的に望ましいのは、係合する部材によって、高い信頼性および再現性で、元の体積から縮小された体積が分離されることであり、このような縮小された体積が、一般に予め決定されたもしくは既知の容量を有していることである。所望であれば、より良好な封止を得るために、補助的な載置要素、例えばOリングまたは弾性の封止リップ、フラップもしくは別の部材を、カバーもしくはウェルに使用することもできる。
【0076】
センサアッセンブリおよびこのセンサアッセンブリからの信号を伝達するための読み出し部を含む、バリアを作製することができる。図5aに、管状固体支持体500と着脱可能なカバー510もしくはシースとの組合せから形成されており、光学的に結合された1つ以上のセンサ520が取り付けられた構造を形成する拡大された遠位端部を有するバリアの断面図を示す。一態様では、シースは、細胞媒質の汚染を防止するために使い捨て可能もしくは殺菌可能な材料から製造されていてよい。読み出し部530は、センサと電気光学測定システム540との間の通信のための、管状支持体内に設けられた光学ファイバの形態であってよい。電気光学測定システム540は、照射源、光検出器、スペクトルフィルタおよび信号処理要素を組み込んでいることができる。電気光学測定システム540は、自動化されていてよい。いくつかの態様では、電気光学測定システム540は、コンピュータ350と電気的に通信可能である(図3を参照)。
【0077】
図5bに、センサが外部センサ550として表されている別の配置を示す。電気光学測定装置540は、別個の構成要素、つまり光学測定システム560および発光システム570を含んでいてよい。いくつかの態様では、この光学的な測定システム560および発光システム570は、自動化されていてよい。いくつかの態様では、この光学測定システム560および発光システム570は、コンピュータ350と電気的に通信可能になっている。図5cを参照すると、さらに別の態様で、電気光学測定システム540が、管状の支持体500内に配置されている光学および測定要素580と、外部の電気測定システム585とを有している。光学および測定要素は、ケーブル590を介して電気測定システム585と通信可能になっている。
【0078】
所望であれば、信号通信の任意の形態を使用することができる。信号通信のこのような形態は、色変化のような信号の変化の簡単な可視化された応答呼びかけ、容器の任意の側面からのファイバによる光学信号の通信、および透明な容器の底部からの信号応答を呼びかけるレーザもしくはCCDベースのプレート読み出し部を含みうる。
【0079】
実際には、容器、バリアおよびセンサの多数の異なる構成を利用できる。容器の全体積は、数リットルからマイクロリットルの数分の1(ml)にわたるが、一般的には、約1ml未満である。一時的な試料チャンバ内に囲まれた媒質の縮小された体積の、容器が有する媒質の元の体積に対する比は、約50%〜約5%未満であってよく、約1%未満であってもよいが、通常、5〜20%の範囲にある。
【0080】
細菌類、菌類、酵母菌、原核細胞および真核細胞、動物もしくはヒトの細胞等を含む様々な異なる種類および数の細胞を分析することができる。細胞は、容器の壁部に付着していても媒質内で懸濁していてもよい。媒質中の不死化細胞、原細胞および一次細胞、ならびに均質化されたもしくはスライスされた組織も分析することができる。容器の試料チャンバ領域内で細胞を濃縮化するのに遠心分離を利用することもできる。
【0081】
溶存ガス、イオン、タンパク質、代謝基質、塩および鉱物を含む、媒質の任意の数の成分を分析することができる。これらの成分は、細胞によって消費される(例えばO)か、または細胞によって副生成物として(例えばCOおよびNH)もしくは分泌因子として(例えばインシュリン、サイトカイン、ケモカイン、ホルモンもしくは抗体)生成されうるものである。様々な細胞代謝プロセスにおいて、細胞によって分泌されるもしくは抽出されるH、Na、KおよびCa++のようなイオンも分析することができる。細胞によって消費されるもしくは生成される基質、例えばグルコース、脂肪酸、アミノ酸、グルタミン、グリコーゲンおよびピルビン酸塩を分析することもできる。特定の媒質を使用して、測定の感度を向上させることもできる。例えば、細胞外酸性化によって生じるpHの変化を、緩衝能のより小さい媒質、例えば重炭酸塩府ガンの媒質を使用することによって増大させることができる。
【0082】
この方法を使用して行う分析によって、単に媒質中の成分の存在を検出することもできるし、成分の濃度、体積もしくは分圧の量および変化を定量的に分析することもできる。複数のセンサを組み込むことによって、1つ以上の成分比を分析できる。一例として、細胞によって利用された有酸素呼吸の無酸素呼吸に対する比を、酸素消費率および細胞外酸性化率から決定することができ、これは、細胞外媒質の酸素分圧およびpHの変化を測定することによって可能である。分析は、第1の成分の第1の濃度をセンシングすること、第2の成分の第2の濃度をセンシングすること、および第1の成分と第2の成分との関係を決定することを含みうる。
【0083】
使用されたセンサの種類は、酸素センサ、例えば酸素消光される蛍光センサ、酵素と結合するISFETセンサ、縮小されたクラーク電極もしくは別の酸素センサ、pHセンサ、例えば蛍光センサ、ISFETセンサ、pH感応性染料センサ、LAPセンサもしくは別のpHセンサ、COセンサ、例えば重炭酸塩緩衝結合蛍光センサおよびアンモニウム染料結合蛍光センサ、ならびに別のCOセンサ、様々なイオンおよび小分子センサ、大分子センサ、例えば表面プラズモンセンサおよびウッドの異常回折の原理を利用したセンサ、音響センサ、ならびにマイクロ波センサを含む。
【0084】
本発明の方法は、任意の数の細胞の属性および細胞の機能を測定するために使用することができる。例えば、細胞の生存性および代謝率を、酸素消費率、細胞外酸性化率、または別の代謝に関する分析物の流れを測定することによって決定できる。1つ以上の分析物の流動速度を細胞1つ当たりの既知の値と比較することによって、細胞の数を決定でき、これにより成長速度をモニタすることができる。
【0085】
使用するセンサの数は、1つから数百であってよい。溶存ガスのためのセンサは、試料チャンバ内に配置することができるが、媒質とは直接的に接触させない。しかし、別のセンサは、媒質と直接接触させ、細胞のほぼ近傍に存在しているのが望ましい。このことは、インジケータ化合物、例えば蛍光プローブを、細胞媒質を混合することによって、また、インジケータを、測定すべき分析物に対して透過性の化合物中に埋め込むことによって行うことができる。このような埋め込まれたインジケータは、容器の試料チャンバ領域の任意の表面に付着させることができる。
【0086】
一態様では、1つ以上のセンサは、バリアの下側の表面に取り付けられていてよく、バリアを降下させる際に細胞外媒質に晒されるようになっている。このような目的のためのセンサの一例は、酸素透過性基質、例えばシリコンラバーに埋め込まれた蛍光インジケータ、例えば酸素消光される蛍光プローブである。
【0087】
細胞の1つの群の順次的な測定は、予め決められた時間間隔で行うことができ、これにより、細胞外環境の変化の、細胞の機能への変化の影響が分析される、例えば薬物、化学物質もしくは毒物に晒される影響が検査される。本発明の方法では、前述のように、細胞の周辺の媒質の体積をまず縮小させ、媒質の成分を測定し、体積をその元の値に戻す。細胞の周囲の環境は、例えば、膜貫通型受容体を活性化させる化学物質を添加する、溶存酸素のレベルを変化させるまたは栄養物を添加することによって変化させる。1つ以上の追加的な測定サイクルは、一時的な体積縮小法を利用して行われ、細胞外環境の変化の作用が分析される。
【0088】
一連の測定中の任意の時点で、細胞媒質を補充することができる。このようにして、順次的な測定を、数分、数時間もしくは数日の期間にわたり行うことができる。いくつかの異なる手段の任意の1つは、媒質を補充した後に行うことができる。媒質は、手動のもしくは自動化された標準のピペット装置を使用することによって、容器の全体積内の媒質の一部もしくは前部を実質的に除去することによって補充することができる。別の態様では、バリアを所定位置へ降下させた時に、容器の縮小された体積内でのみ媒質を補充することができる。後者の方法では、容器の上面からプランジャ機構に設けられた入口を介してまたは容器の側面もしくは底面の任意の1つに形成された入口を介して流体を抽出するまたは送り出すことによって、媒質を補充することができる。
【0089】
成分、例えば化学物質、溶存ガスもしくは栄養物を変化させるような環境を導入することは、上述のように、容器の全体積に適用することもできるし、または容器の縮小された体積のみに適用することもできる。後者の態様では、前述のように、細胞の周囲の媒質の体積をまず縮小させ、媒質の成分を測定し、体積をその元の値に戻す。さらに体積を再び縮小して、プランジャに設けられた入口または縮小された体積を規定している容器に設けられた他の場所を介して成分を添加することによって、縮小された体積内での細胞の直ぐ周辺の環境を変化させる。この測定サイクル後、縮小された体積内の媒質は、1度以上交換され、細胞が晒される前に成分を洗い流し、再び元の全体積に戻すことができる。この手段によって、必要な化合物の体積を縮小する利点を提供することができる。全体積が汚染されることなく、個々の作用を調べる手段を提供することができ、これにより、実際、ウェルプレートフォーマットでのフローシステムがシミュレートされる。
【実施例】
【0090】
以下の実施例は、本発明の例示的な好ましい特定の実施態様および適用例を示すものであるが、全ての態様および適用例を例示することを意図したものではない。
【0091】
実施例1
C2C12筋芽細胞の基礎呼吸率および酸性化率の反復測定
本発明の様々な特性および潜在的な用途を評価するために、試作の装置を製造した。
【0092】
装置は、円筒形の容器に含まれ、ポリカーボネート材料から製造され、約3μmの多孔寸法を有する直径12mmのポリカーボネート膜アッセンブリを受容するように設計されている。円筒形のポリカーボネートカバーは、容器内に一時的に挿入することができ、高さ約1.5mm、体積約160(μl)のより小さな試料チャンバが形成される。容器の周面に設けられた孔の組により、直径500μmの3つの光ファイバを挿入することができる。各光ファイバの遠位先端は、蛍光センシング材料でコーティングされており、バイオセンサを形成している。
【0093】
3つのバイオセンサは、容器内に収容されている媒質のOおよびCOの分圧ならびにpHの分圧を測定するように設計された。1つのファイバ先端を、ルテニウム染料のマトリックスでコーティングし、酸素透過性のシリコンラバー内に封入し、溶存酸素濃度の読み出し部とした。第2のファイバ先端を、シリコンラバー内に封入された蛍光染料の錯体でコーティングし、Hイオン濃度(pH)の読み出し部とした。第3のバイオセンサは、CO透過性膜を用いて製造し、ヒドロキシピレン三ナトリウム塩(HydroxyPyrene Trisodium Salt(HPTS))pH感応性染料の周囲にNaHCOの小さなリザーバを形成した。細胞媒質中でのCO濃度の変化は、この封止された試薬のpHの変化をもたらし、これにより、pH感応性染料の蛍光特性の測定可能な変化が得られ、この変化を、量的なCO濃度データを提供するように較正した。
【0094】
表1にナノメートル(nm)の単位で示す様々な波長で上記3つの光学センサを照射するために、発光ダイオードを使用した。表1には、各センサの蛍光発光を感知するのに用いた波長も示す。それぞれの場合で、分析物に対して感応性のある(「センサ」)染料の蛍光特性および分析物に対して感応性のない(「参照」)染料の蛍光特性の両方を測定し、不都合なドリフトおよび干渉は最小限となった。二色スプリッタを使用して、個々のファイバ/染料アッセンブリを、フォトダイオード/フィルタセット(Oセンサ)の対もしくはLED/フィルタセット(pHおよびCO)の対に結合させた。
【0095】
【表1】

【0096】
各センサを、複数の測定点および多項式回帰法を利用して一度較正し、非線形の較正曲線を得た。
【0097】
その後、センサを毎日、2点較正法を用いて再較正した。光学的な応答をサンプリングすることによってpHセンサを較正し、またpH6.0の緩衝溶液中に2分間浸し、続いてpH8の溶液中に2分間ずつ浸した。酸素およびCOセンサを、得られたデータ点を用いて較正し、両センサを、室内空気でパージした生理的食塩水浴中に2分間浸し、さらに10%CO/90%Nでパージした浴に浸した。
【0098】
典型的なアッセイ中、約1.5×10の細胞を、液体媒質500μlと共に容器内に配置し、これにより、3×10細胞/mlの細胞密度を得た。測定を行うために、円筒形のカバーを容器内に一時的に挿入した。カバーによって液体媒質が退けられたが、細胞は退けられることはなく、体積160μlのより小さな試料チャンバが形成され、これにより、約1×10細胞/mlの細胞密度を得た。これにより、バイオセンサ付近の媒質内での分析物の変化率が6倍を超えて増加した。
【0099】
試作装置の、細胞外分析物の流動速度を再現性高く測定する能力を評価するために、1.5×10の未分化のC2C12マウス骨格筋細胞(ATCC, Manassas, VAより入手)を、8つの別個の直径12mmのポリカーボネート膜のそれぞれに蒔き、37℃で12時間インキュベートした。
【0100】
一連の試験では、ウェルをインキュベータから取り出し、目視で検査し、測定装置中に配置した。次に、重炭酸塩(NaHCO)不含のDMEM媒質(Specialty Media, Phillipsburg, NJ)160μlを添加し、装置を組み立て、閉じられた試料チャンバを形成した。続いて、各分析物の濃度(OおよびCOの分圧およびプロトン濃度のインジケータとしてのpH)を、20分間で8秒ごとに測定し、各分析物の平均変化率をt=12分〜t=16分の4分間にわたり計算した。
【0101】
O2およびCO2の細胞外分析物の流動速度を測定するために、分圧の変化率を、媒質(モル)中で使用可能な各分析物の体積で割り、nmol/分を単位とする値を得た。酸性化率は、mpHユニット/分(チャートでのスケーリングのために20倍した)で表したが、既知の試料体積内での媒質緩衝液中で得られる電子の数を計算することによって1分当たりのプロトンとして簡単に示すことができない。
【0102】
8つの一連の試験に対する溶存酸素およびpHの低下率の平均および標準偏差を図6に示す。図示の通り、流動速度は、この試作装置において極めて再現性が高い。
【0103】
実施例2
様々な細胞密度に対する、基礎呼吸率および酸性化率の測定
実施例1に記載の実験装置を使用して、細胞数と、酸素およびCO流動速度との関係を調べた。様々な数(1.0×10〜4.0×10)のC2C12筋芽細胞を、直径12mmのポリカーボネート膜(Corning Snapwell(登録商標))に蒔き、37℃で12時間インキュベートした。
【0104】
次に、ウェルをインキュベータから取り出し、目視により検査し、測定装置内に配置した。続いて、NaHCO不含のDMEM媒質(Specialty Media, Phillipsburg, NJ)150μlを添加し、装置を組み立てて、閉じられた試料チャンバを形成した。各分析物の濃度を、20分の間に5秒ごとに測定し、開始からt=10分〜t=20分の平均の変化率を計算した。得られた流動速度を表2に示し、図7にグラフとして示した。
【0105】
【表2】

【0106】
表2のデータは、予想通り、細胞密度が増加することにより分析物の流動速度が、ほとんどの細胞密度においてほぼ線形に増加することを示している。細胞密度3×10を超える場合には、酸素の流動速度は急速には増加しないが、これはおそらく、接触阻害および込み合い効果によるものであろう。
【0107】
したがって、この装置は、高い細胞密度の、代謝率への影響を評価するために用いることもできる。
【0108】
実施例3
2,4DNPのC2C12筋芽細胞への影響
化学物質2,4DNPを使用して、呼吸鎖およびリン酸化システムとのリンクを分離、ミトコンドリア呼吸とATP合成との共役をはずす。この化合物は、酸素消費量を著しく増加させることが知られており、プロトンの流れは、比較的一定に維持される。
【0109】
この実験では、C2C12筋芽細胞を、直径12mmのポリカーボネート膜に蒔き、12時間インキュベートした。次に、ウェルをインキュベータから取り出し、目視により検査し、測定装置内に配置した。続いて、NaHCO不含のDMEM媒質160μlを添加し、装置を組み立てて、閉じられた試料チャンバを形成する。
【0110】
媒質中の溶存しているOおよびCOの濃度、ならびにpHを、20分の間で5秒ごとに測定し、これにより、各分析物の流れに対する対照の基準を決定した。この基準が得られたら、2,4DNP(Sigma, St. Louis, MO)をその配量を変化させて細胞媒質に添加して、一連の実験を行い、分析物の流動速度の測定を20分間行った。対照実験も、2,4DNPの最も高い配量を利用して、しかし細胞なしで実施した。この配量に応じた応答のデータを、表3および図8に示す。
【0111】
【表3】

【0112】
表3のデータは、予想通り、2,4DNPによる処理により、その配量に依存してO消費率が増加するが、細胞外酸性化への影響はほとんどない。
【0113】
実施例4
C2C12筋芽細胞へのロテノンの影響
ロテノンは、呼吸鎖においてNADHデヒドロゲナーゼをブロックすることにより、細胞呼吸を阻害することで知られている。C2C12筋芽細胞を使用して、この影響を示した。1.5×10のC2C12筋芽細胞を膜状に蒔き、インキュベートし、NaHCO不含のDMEM媒質と共に、実施例3で記載したように測定システム内に配置させた。
【0114】
次に、媒質中に溶存しているOおよびCOの濃度ならびにpHを、20分の間に5秒ごとに測定し、これにより、各分析物の流れに対する対照の基準を決定した。この基準が得られたら、ロテノン(Sigma, St. Louis, MO)をその配量を変化させて細胞媒質に添加して、分析物の流動速度の測定を20分間行った。対照実験も、ロテノンの最も高い配量を利用して、しかし細胞なしで実施した。この配量に応じた応答のデータを、表4および図9に示す
【0115】
【表4】

【0116】
表4のデータは、予想通り、ロテノンによる処理により、これらの細胞中のO消費率はその配量に依存して減少する。
【0117】
実施例5
細胞増殖による呼吸および酸性化の変化の測定
実施例1に記載した実験用装置を使用して、細胞増殖と酸素、COおよびプロトンの流動速度との関係を調べた。5.0×10のC2C12筋芽細胞を、直径12mmのポリカーボネート膜に蒔き、その後37℃で12時間インキュベートし、細胞をDMEM血清不含媒質(Gibco, Carlsbad, CA)中に配置して増殖を阻害した。24時間後、細胞の半分をDMDM血清含有媒質に移して増殖を促進させ、一方、もう半分を血清不含媒質中に維持した。
【0118】
ウェルをインキュベータから取り出し、目視により検査し、測定装置内に配置した。次に、NaHCO不含DMEM媒質(Specialty Media, Phillipsburg, NJより入手)57μlを添加し、装置を組み立てて閉じられた試料チャンバを形成した。続いて各分析物の濃度を、20分の間に8秒ごと測定し、開始からt=10分〜t=20分の平均の低下率を計算した。得られた流動速度を表5に、そのグラフを図10に示す。
【0119】
【表5】

【0120】
表5のデータは、予想通り、細胞増殖によって、酸素消費量および細胞外酸性化率が増加したことを示している。
【0121】
実施例6
CHO−M3細胞におけるG−タンパク質結合受容体の活性化の測定
以前の研究は、膜貫通型受容体の刺激により細胞外酸性化率が急速に増加する場合が多いことを示しており、これは、主にイオン交換ポンプの急速な活性化によるものであった。この実験では、試作装置を使用して、受容体作用薬で細胞を処理し、細胞外酸性化率の変化を検出した。
【0122】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、ムスカリン性受容体サブタイプm3を発現(over-express)するように導入(transfect)した。実施例1に記載の試作装置を使用して、公知の一般的なアセチルコリン受容体アゴニストであるカルバコールで処理した後、O消費、CO生成および細胞外酸性化率をモニタした。
【0123】
材料および方法
細胞培養試薬は、Gibco BRL(Grand Island, NY)より入手した。カルバコールはSigma Chemical Co.(St. Louis, MO)より購入した。重炭酸塩不含のDMEM媒質は、Specialty Media(Phillipsburg, NJ)より入手した。ポリカーボネート膜のスナップウェル(直径12mm、多孔寸法3μm)は、Corning(Corning, NY)より入手した。m3−ムスカリン性受容体(CHO−M3細胞)を発現するCHO細胞は、the American Type Tissue Culture(ATCC; Manassas, VA)より入手した。細胞は、Ham's F-12媒質中で、10%ウシ胎仔血清(Hyclone)、1%GlutaMaxおよび0.1%Gentamicinを補って培養し、5%COのインキュベータ内に保持した。80%の密集度に達した時、細胞を二次培養した。CHO−M3細胞を2×10で、使用の24時間前にスナップウェルに蒔いた。検査直前に、スナップウェルの細胞を、3.7g/lのNaClと組み合わせた重炭酸塩不含のDMEM媒質へと移し、浸透圧(pH7.4〜7.5)を維持した。
【0124】
プロトコルについて
検査直前にプローブを較正した。検査容器の底部を、重炭酸不含の媒質で満たした。スナップウェルを5%COインキュベータから取り出し、通常の成長媒質(Ham's F-12)は、重炭酸塩不含DMEM媒質で置き換えた。その後、スナップウェルを試験容器内に配置した。重炭酸塩不含媒質をスナップウェルの上部にピペット滴下し、試験容器のカバー部分を、スナップウェルの上部に静かに配置し、所定の位置にねじ込み、アッセンブリを押しつけた。プローブソフトウェアを開始し、pH、COおよびO分析物を次の3.5時間にわたり測定した。速度78μl/分でのかん流を始めの1.5時間行った後、連続してストップフロー(10分ごと)および媒質の再かん流(10分ごと、78μl/分)のサイクルを開始した。媒質再かん流サイクルの最後の2分間、100μMカルバコールをスナップウェルにかん流した。6番目の前かん流の間、重炭酸塩不含DMEM媒質を再びスナップウェルにかん流した。各ストップフローサイクル中に分析物の変化率を計算した。
【0125】
結果
100μMカルバコール処理によるCHO−M3基準
始めの4回のかん流/ストップフローサイクルを行い、3つの分析物においてノイズバンドを構築し、その後、5番目のかん流中にカルバコール処理を行う。6番目のかん流時の重炭酸塩不含の媒質の前かん流、および6番目のストップフロー中に計算された比率を、潜在的に持続するカルバコールの処理後の分析物に対する効果について評価した。得られたデータを表6および図11に示す。
【0126】
【表6】

【0127】
処理値と比較した平均の基準値によれば、CHO−M3細胞の2分間のカルバコールへの曝露により、pHの率もしくは速度は倍となり(0.01PHU/分から0.02PHU/分)、OおよびCO率も基準のレベルを超えて増加していることが分かる(以下参照)。6番目のストップフロー期間中に得られた処理後の率は、実質的に処理前の値に戻っている。
【0128】
実施例7
試料チャンバの一時的な形成がある場合とない場合とでの測定された分析物の流れの比較
より大きな容器内での、効果的に高い濃度で細胞を含む試料チャンバの一時的な形成は、本発明の特徴の1つである。
【0129】
この原理を実施するために、直径約12mmおよび高さ10mmの円筒形の容器を、ポリカーボネート材料から構成した。OおよびCOの分圧を測定できる蛍光センサ、ならびにpHを測定できるセンサを、容器の底部に設け、前述のように較正を行った。円筒形のカバーも、ポリカーボネート材料から、容器内に挿入して収容できるような直径を有するように製造し、これにより、ガス透過性のカバーを提供し、必要に応じて容器の閉じられた体積を縮小させる。高さ0.5mmの円筒形のスペーサも、容器のエチ部に挿入し収容されるような直径を有するように製造し、これにより、正確な位置でカバーが止まるようになる。
【0130】
約1×10のC2C12筋芽細胞を、前述のように準備した。細胞を、容器内に、細胞成長媒質約1mlと共に配置した。細胞媒質内の酸素の分圧を、較正された蛍光プローブを使用して連続的に測定した。次に、pOの変化率を、開始から12分および16分でのpOの値の差より計算した。
【0131】
次に、円筒形のカバーを、細胞媒質の表面に配置し、周囲空気からの酸素の流入を防いだ。これにより、細胞に晒される媒質の体積も、約130μlへと縮小した。再び、実験開始から12分および16分でのpO値を測定し、記録した。
【0132】
3つの条件に対する、測定された細胞媒質内のpOの変化率を、表7におよび図12のグラフに示す。
【0133】
【表7】

【0134】
この実験は、周辺空気からの封止を行い、細胞を高密度で含む閉じられた試料チャンバの形成が、高い信号対雑音比の迅速な測定を十分に行える流動速度をもたらすことを示している。
【0135】
本発明の思想および範囲を逸脱することがなければ、上述した本発明の多くの変更および変形が可能であることは明らかであり、上記の実施例は、本発明を何ら制限することを意図しておらず、単に例示的なものである。よって、上記の実施態様は、あらゆる点で例示的なものであり、本明細書で説明した本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の一態様の部分的な断面図であり、容器が、マルチウェルマイクロプレート内の単一のウェルによって形成されており、測定前位置にあるカバーおよびセンサのアッセンブリを示す。
【図2】図1のカバーおよびセンサのアッセンブリの測定位置での断面図である。
【図3】本発明の一態様による、完成された測定システムの概略図である。
【図4a】異なる載置面を備えているウェルの概略的な断面図である。
【図4b】異なる載置面を備えているウェルの概略的な断面図である。
【図5a】センサアッセンブリおよび読み出し部を含むバリアの概略的な断面図である。
【図5b】センサアッセンブリおよび読み出し部を含むバリアの概略的な断面図である。
【図5c】センサアッセンブリおよび読み出し部を含むバリアの概略的な断面図である。
【図6】典型的なほ乳類細胞の酸素消費量および細胞外酸性化率の測定結果を示すグラフであり、本発明の一態様を使用した一連の8つの別個の測定の平均と標準偏差を示す。
【図7】本発明の一態様を使用した、典型的なほ乳類細胞の様々な数での、酸素消費量および二酸化炭素発生量の試験結果を示すグラフである。
【図8】本発明の一態様を使用した、典型的なほ乳類細胞の酸素消費率、二酸化炭素発生率および細胞外酸性化率への、化学化合物2,4,DNPの影響の試験結果を示すグラフである。
【図9】本発明の一態様を使用した、典型的なほ乳類細胞の酸素消費率および細胞外酸性化率への、化学化合物ロテノンの影響の試験結果を示すグラフである。
【図10】本発明の一態様を使用した、酸素消費量および細胞外酸性化への細胞増殖の作用の試験結果を示すグラフである。
【図11】本発明の一態様を使用した、典型的なほ乳類細胞の細胞外酸性化率への、化学化合物カルバコールの作用の試験結果を示すグラフである。
【図12】本発明の一態様を使用した、容器内で測定された、典型的なほ乳類細胞の酸素消費率を、小さな閉じられた試料チャンバを形成した場合と、しなかった場合との比較を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の媒質中に存在する細胞を分析する方法であって、
a)前記細胞付近の媒質の元の体積を有する容器を準備し、
b)前記細胞の少なくとも一部付近の前記媒質の元の体積を縮小させ、該細胞の一部付近の媒質の縮小された体積を規定し、該縮小された体積が、前記元の体積の約50%以下であり、
c)前記媒質の縮小された体積内で細胞に関連する成分を分析し、
d)前記細胞付近の前記媒質の縮小された体積を、実質的に元の体積に増加させるステップを含む、方法。
【請求項2】
前記ステップb)およびc)を繰り返すステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成分の第1の濃度を測定し、
前記第1の濃度の測定から予め決められた時間間隔を置いて、前記成分の第2の濃度を測定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の濃度および前記第2の濃度に基づいて、前記成分の流動速度を計算するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記縮小された体積が、元の体積の約5〜50%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記縮小された体積が、元の体積の約5〜20%の範囲にある、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記縮小された体積が、元の体積の約5%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記細胞が、細菌類、菌類、酵母菌類、原核細胞、真核細胞、動物細胞、ヒト細胞および不死化細胞からなる群から選択される細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞の少なくとも一部が、前記容器の表面に付着している、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記細胞の少なくとも一部が、前記媒質中で懸濁している、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記細胞の少なくとも一部が、生きた組織を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記成分が、溶存ガス、イオン、タンパク質、基質、塩および鉱物からなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記溶存ガスが、O、COおよびNHからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記イオンが、H、Na、KおよびCa++からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記タンパク質が、サイトカイン、インシュリン、ケモカイン、ホルモンおよび抗体からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記基質が、グルコース、脂肪酸、アミノ酸、グルタミン、グリコーゲンおよびピルビン酸塩からなる群から選択される材料を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記成分が、前記細胞の少なくとも一部により媒質から吸収された物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記成分が、前記細胞の少なくとも一部により媒質に分泌された物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記成分を分析することが、前記成分の存在を感知することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記成分を分析することが、前記成分の濃度を感知することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記成分を分析することが、第1の成分の第1の濃度を感知し、第2の成分の第2の濃度を感知し、該第1の濃度と該第2の濃度との関係を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記成分を分析することが、当該成分の濃度の変化率を感知することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記成分を分析することが、前記縮小された体積内の媒質と接触するセンサを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記センサが、蛍光センサ、発光センサ、ISFETセンサ、表面プラズモン共鳴センサ、光学回折原理に基づくセンサ、ウッドの異常回折の原理に基づくセンサ、音響センサおよびマイクロ波センサからなる群から選択されるセンサを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記成分を分析することが、細胞の生存性、細胞数、細胞成長率、薬物、毒物および化学薬品の少なくとも1つへの応答、存在物の検出および内在化からなる群から選択されるパラメータを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
追加の媒質を容器を介してかん流させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記容器内に前記媒質を補充するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記媒質の体積を縮小させることが、バリアを容器内に設けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記容器の外へ前記媒質を移動させることなく、前記バリアを容器内に設ける、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記バリアの少なくとも一部がセンサを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記媒質の縮小された体積がセンサを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記センサが蛍光プローブを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記容器の少なくとも一部がセンサを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記媒質の元の体積を縮小させる前に、少なくとも一部の前記細胞の環境を変化させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記環境を変化させることが、前記少なくとも一部の細胞を、薬物、化学薬品および毒物の少なくとも1つに曝露させることを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記媒質の元の体積を縮小させた後に、前記少なくとも一部の細胞の環境を変化させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記容器を覆うステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記容器内で、前記媒質の元の体積の少なくとも一部を撹拌するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記容器を封止するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
細胞を分析するための装置であって、
a)前記細胞と媒質の体積とを保持する容器を受容するためのステージ、
b)前記細胞の少なくとも一部を収容する前記容器内の前記媒質の縮小された体積を形成するためのバリアを受容するようなっているプランジャ、前記ステージおよび当該プランジャの相対運動によって容器内に挿入されるようになっているバリア、および
c)前記媒質の縮小された体積とセンシング可能に連通し、かつ縮小された体積内に存在する成分を分析するように構成されているセンサを有する、装置。
【請求項41】
前記センサが、前記細胞を邪魔することなく前記成分を分析するように構成されている、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記容器が、マイクロプレートに設けられているウェルを含む、請求項40に記載の装置。
【請求項43】
前記ウェルが段を有している、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記バリアが、前記成分の分析前に前記媒質を撹拌するようになっている、請求項40に記載の装置。
【請求項45】
前記センサが、蛍光センサ、発光センサ、ISFETセンサ、表面プラズモン共鳴センサ、光学回折の原理に基づくセンサ、ウッドの異常回折の原理に基づくセンサ、音響センサおよびマイクロ波センサからなる群から選択される、請求項40に記載の装置。
【請求項46】
前記容器の少なくとも一部がセンサを含む、請求項40に記載の装置。
【請求項47】
前記媒質の縮小された体積がセンサを含む、請求項40に記載の装置。
【請求項48】
前記バリアの少なくとも一部がセンサを含む、請求項40に記載の装置。
【請求項49】
自動化された電気光学測定システムをさらに含む、請求項40に記載の装置。
【請求項50】
前記自動化された電気光学測定システムと電気的に連通しているコンピュータをさらに含む、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
前記バリアが、前記プランジャに対してバイアスされている、請求項40に記載の装置。
【請求項52】
前記容器が、複数のウェルを有するマイクロプレートを含み、
前記バリアが、前記複数のウェル内で受容されるように構成されている複数のバリアを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項53】
前記複数のバリアが、独立してプランジャに対してバイアスされている、請求項52に記載の装置。
【請求項54】
細胞を分析するための装置であって、
a)前記細胞と媒質の体積とを保持する容器を受容するようになっているステージ、
b)前記細胞の少なくとも一部を収容する前記容器内で、前記媒質の縮小された体積を形成するためのバリアを受容するようになっているプランジャ、前記細胞を邪魔することなくステージおよびプランジャの相対運度によって前記容器内に挿入されるようになっているバリア、および
c)前記媒質の縮小された体積とセンシング可能に連通し、かつ前記縮小された体積内に存在する成分を分析するように構成されているセンサを有する、装置。
【請求項55】
媒質および細胞を保持するための複数のウェルを有するプレートであって、該ウェルの少なくとも一部のそれぞれが、該各ウェルの元の体積の約50%未満に縮小された体積を規定するように構成されているバリアを受容するようになっている段を備えた載置面を有する、プレート。
【請求項56】
前記載置面の形状が、一般に偏平、弓形、輪郭付き、傾斜付き、円錐形、段付きおよび連結形を含む群から選択される、請求項55に記載のプレート
【請求項57】
前記各ウェル内の前記縮小された体積が、ウェルの平均体積の約10%未満だけ変化する、請求項55に記載のプレート。
【請求項58】
前記各ウェル内の前記縮小された体積が、ウェルの平均体積の約5%未満だけ変化する、請求項57に記載のプレート。
【請求項59】
前記各ウェル内の前記縮小された体積が、ウェルの平均体積の約1%だけ変化する、請求項58に記載のプレート。
【請求項60】
前記各段が、各ウェルの内周面付近に設けられている、請求項55に記載のプレート。
【請求項61】
前記段が、各ウェルの底部で規定されている底部平面より上に設けられている段平面に配置されている、請求項60に記載のプレート。
【請求項62】
前記段平面と前記底部平面とが平行な面となっている、請求項60に記載のプレート。
【請求項63】
前記段平面の高さが、底部平面から約1mm未満である、請求項62に記載のプレート。
【請求項64】
前記段平面の高さが、底部平面から約200μm未満である、請求項63に記載のプレート。
【請求項65】
前記段平面の高さが、底部平面から約50μm未満である、請求項64に記載のプレート。
【請求項66】
前記ウェルの少なくとも1つ内に設けられている蛍光センサをさらに含む、請求項55に記載のプレート。
【請求項67】
前記ウェルの少なくとも1つが、透明な底部を有する、請求項55に記載のプレート。
【請求項68】
前記ウェルの少なくとも1つが、不透明な壁部を有する、請求項55に記載のプレート。
【請求項69】
容器内の媒質中に存在する細胞を分析するためのバリアであって、
前記容器内に挿入される本体部分が設けられており、該本体部分が、前記容器の第1の表面と係合して、前記容器の元の体積の約50%未満の縮小された体積を形成するバリア表面を有しており、
前記細胞の少なくとも一部付近に存在する媒質の成分を分析するための、前記バリア表面に設けられているセンサが設けられている、バリア。
【請求項70】
前記バリア表面が、一般に偏平、弓形、輪郭付き、傾斜付き、円錐形、段付きおよび連結形からなる群から選択される形状を有する、請求項69に記載のバリア。
【請求項71】
前記容器の第2の表面と係合するためのカバーをさらに含む、請求項69に記載のバリア。
【請求項73】
前記センサが光学センサを含む、請求項72に記載のバリア。
【請求項74】
前記光学センサが、蛍光を感知するようになっている、請求項73に記載のバリア。
【請求項75】
前記センサに、該センサに結合し、かつ当該センサからの信号を伝達するようになっている導体をさらに含む、請求項73に記載のバリア。
【請求項76】
前記導体が光ファイバを含む、請求項75に記載のバリア。
【請求項77】
前記導体が、前記本体部分に少なくとも部分的に設けられている、請求項75に記載のバリア。
【請求項78】
前記センサからの信号を伝達するための読み出し部をさらに含む、請求項72に記載のバリア。
【請求項79】
前記読み出し部が、目に見えるもの、ファイバ、ポストに設けられた電子機器および底部からのプレート読み出しからなる群から選択される、請求項78に記載のバリア。
【請求項80】
前記バリアが、マイクロプレートの複数のウェル内で受容されるように構成された複数のバリアを含む、請求項69に記載のバリア。
【請求項81】
前記媒質の縮小された体積が実質的に封止されている、請求項1に記載の方法。
【請求項82】
前記縮小された体積が実質的に封止されている、請求項40に記載の方法。
【請求項83】
前記縮小された体積が実質的に封止されている、請求項54に記載の装置。
【請求項84】
前記載置面が、前記縮小された体積を実質的に封止するようになっている、請求項55に記載のプレート。
【請求項85】
前記縮小された体積が実質的に封止されている、請求項69に記載のバリア。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図5c】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2007−505316(P2007−505316A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526241(P2006−526241)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/029163
【国際公開番号】WO2005/026701
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(506083280)シーホース バイオサイエンス インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】