説明

細胞を選択的に崩壊させるための装置および方法

血管収縮剤、表面活性物質および麻酔薬のうちの少なくとも1つを含むとともにガスおよび流体のうちの少なくとも1つと液体とからなる溶液の、ある測定量を収容している容器と、少なくとも一つの針を有している、前記容器と流体的に連通している針アレイと、を備えることを特徴とするシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張/同時係属出願についての参照
【0002】
本出願は、2006年9月5日出願の米国実用特許出願第11/515,634号、2006年1月17日出願の米国実用特許出願第11/334,794号、2006年1月17日出願の米国実用特許出願番号第11/334,805号、および2005年12月2日出願の米国実用特許出願番号第11/292,950号を基礎とする優先権を主張する。なお、これらの出願の内容の全体が、この参照によって、本願明細書に組み込まれるものとする。
【0003】
本発明は、キャビテーションを生じさせる微小な泡によって細胞を選択的に崩壊させるために微小な泡を発生させる装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
女性型の脂肪栄養障害は、皮膚の表面(肌)の組織分布の変化、あるいは皮下のある領域において、増大した流体保持力あるいは脂肪組織の増殖によって、生じる陥凹形成効果につながる、皮下組織の限局性の代謝異常である。このような状態は、一般にセルライトとして公知であるが、思春期後の女性の90%およびいくらかの男性に影響を及ぼす。セルライトは一般的に腰回り、臀部および脚部に現れるが、一般的に認識されているように体重超過によって必ずしも生じるというわけではない。セルライトは、表皮および真皮層の下にある皮下レベルの組織に形成される。この領域において、脂肪細胞は、セプタムと呼ばれている結合組織のバンドによって、取り囲まれた室の内部に配置される。水分が保持されると、これらの線維性セプタムによって定められる周辺部の内側に保持された脂肪細胞が伸張し、かつセプタムおよび取り囲んでいる結合組織を伸張させる。さらに、重量の増加による脂肪細胞の拡大もまたセプタムを伸長させる。最終的には、この結合組織が収縮しかつ硬化(硬化症)して柔軟性を持たない長さで肌を保持する一方、セプタム間の室が重量の増加および水分の増加によって、伸張し続ける。このことは肌の領域が引き下げられることに帰着するが、その一方で他の部分が外側に膨張するので、皮膚表面上につぶつぶのある「ゆず肌」あるいは「カテージチーズ」のような外観をもたらす。
【0005】
肥満はセルライトの根本的な原因であるとは考えられないけれども、その領域における脂肪細胞の数の増大により、それは間違いなくセルライト領域における陥凹状の外観を悪化させる。深部の脂肪および解剖学的組織のより大きな領域を目標とする脂肪吸引のような従来の脂肪摘出技術は、時にはセルライトの外観を悪化させることがある。皮下の脂肪ポケットが残存すると共に、その領域の下方に横たわっている塊(深部の脂肪)の喪失によって目立つことになるからである。何回も脂肪吸引を行っても、患者はまだ存続している皮膚の凹凸(例えばセルライト)の治療を望む。
【0006】
セルライトのような肌の凹凸を治療するための様々なアプローチ、および不必要な脂肪組織の除去が提案されてきた。例えば、様々な局所的な薬剤の付加に加えた、吸引とマッサージの組合せあるいは吸引、マッサージおよびエネルギの適用によって、患部に機械的なマッサージを提供する方法および装置が現在は利用可能である。1950年代に開発されたメソセラピーは、スポーツ傷害から慢性の痛みにおよぶ疾病のために肌を介して様々な治療溶液を注入するものであり、しわおよびセルライトを治療するための美容整形手技としてヨーロッパにおいて広く用いられてきた。この治療は、アミノフィリン、ヒアルロン酸、ノボカイン、植物エキスおよび他のビタミンといった様々な薬剤の肌を介しての注入あるいは移入を含み、血行および脂肪酸化の可能性の増大をもたらす。Acthyderm(Tumwood International、オンタリオ、カナダ)と名付けられた治療は、ビタミン、坑繊維化薬、脂肪分解薬(lypolitics)、抗炎症剤といった様々なメソセラピー薬剤の塗布に続いて、真皮に小さなチャネルを開けるために角質層を電気穿孔するローラシステムを用いる。
【0007】
リンパの排液を改善するマッサージ技術が1930年代の初期に試みられた。"Endermologie"装置(LPG Systems、フランス)、"Synergie"装置(Dynatronics、ソルトレークシティ、ユタ州)および"Silklight"装置(Lumenis、テルアビブ、イスラエル)のような機械的なマッサージ装置あるいはプレソテラピーもまた開発されてきたが、これらの全てが吸引および機械的なローラによる皮下マッサージを用いるものである。他のアプローチは様々なエネルギー源を含んでいるが、Cynosureの"TriActive"装置(Cynosure、ウェストフォード、マサチューセッツ州)は機械的なマッサージに加えて半導体レーザのパルスを用いるし、"Cellulux"装置(Palomar Medical, Burlington, マサチューセッツ州)は冷却されたチラーを介して目標とする皮下脂肪組織に赤外光を放射する。"VelaSmooth"システム(Syneron, Inc., Yokneam Illit、イスラエル)は、脂肪組織の代謝を増大させる吸引と共に双極性の高周波エネルギーを用いる。また、"Thermacool"装置(Thermage, Inc., Hayward, カリフォルニア州)は、皮下の線維性セプタムを縮小させてしわおよび他の肌欠陥を治療するために高周波エネルギーを用いる。いくつかの針の組を用いて低周波割込み電磁場を印加することにより循環の排液を助ける、脂肪電気泳動のような他のエネルギベースの治療法もまた開発されてきた。同様に"Dermosonic"装置(Symedex Medical、ミネアポリス、ミネソタ州)においては、保持された流体および毒素の再吸収および排液を促進するために無侵襲性の超音波が用いられる。
【0008】
瘢痕化および陥凹形成といった肌の凹凸の治療における他のアプローチは、サブシジョンと呼ばれる技術である。この技術は、陥凹形成あるいは瘢痕化の領域において、比較的大きい寸法の針を皮膚下に挿入し、次いで肌の下において、機械的に針を操作して皮下領域の線維性セプタムをバラバラにする。公知のサブシジョン法の少なくとも1つにおいて、目標領域に局所麻酔薬を注入し、18ゲージの針を皮膚表面の10〜20ミリメートル下方に挿入する。次いで、針を表皮に平行に案内して肌の下に剥離平面を作り出し、陥凹形成あるいは瘢痕化を生じさせている締め付けられたセプタムを殆ど完全に引き裂き、あるいは「自由に引き上げる」。それから、出血を制御するために圧力を負荷し、次いで手技に続けて圧縮布を使用する。いくらかの患者には臨床的な効果がある反面、痛み、挫傷、出血および瘢痕化に帰着することもあり得る。公知の技術はまた、サブシジョンのための切断機構、および超音波で支援されたサブシジョン技術を用いる技術を記載している。
【0009】
脂肪吸引、腫脹性脂肪の吸引、リポローシス(lypolosis)として公知の技術は、身体皮下および深部脂肪領域の脂肪組織を狙いとしている。これらの技術はまた、脂肪細胞を崩壊させてから取り除くこと、および身体の免疫/リンパシステムによる再吸収のためにそれらを残すことを含む。従来の脂肪吸引は、取り除かれる脂肪の部位に配置される外科的なカニューレの使用、流体の注入および脂肪組織をバラバラにするカニューレの機械的な動き、崩壊させた脂肪組織を患者から直接吸引するための吸入を含む。
【0010】
"Lysonix"システム(Mentor Corporation、サンタバーバラ、カリフォルニア州)は、米国特許第4,886,491号および第5,419,761号に詳述されているように、(目標部位の組織の空洞化によって、)組織分裂を援助するために、吸引カニューレのハンドピース上にある超音波振動子を用いる。Liposonix (Bothell,ワシントン州)および、Ultrashape(テルアビブ、イスラエル)は、脂肪組織を非侵襲的に破壊するために焦点を合わせた超音波を用いる。加えて、脂肪組織を破壊するために低温冷却することが提案されてきた。腫脹性の脂肪吸引として公知の従来の脂肪吸引技術の変形例は1985年に導入されたが、現在では米国における標準的な治療となっている。それは、吸引カニューレによる機械的な破壊および除去の前における、目標領域への腫脹性の流体の注入を伴う。この流体は、機械的な破壊に伴う痛みの緩和を助けるとともに、組織を膨脹させて機械的な除去の作用を受けやすくする。リドカインのような局所麻酔薬、エピネフリン、食塩水、カリウム等の血管収縮剤を含む様々な組合せの流体を腫脹性の溶液として用いることができる。そのようなアプローチの利点は、以下の文献に詳述されている。"Laboratory and Histopathologic Comparative Study of Internal Ultrasound- Assisted Lipoplasty and Tumescent Lipoplasty" Plastic and Reconstructive Surgery, Sept. 15, (2002) 110:4, 1158-1164、および"When One Liter Does Not Equal 1000 Milliliters: Implications for the Tumescent Technique" Dermatol. Surg. (2000) 26:1024-1028、なお、これらの文献の内容の全体が、この参照によって、本願明細書に明白に組み込まれるものとする。
【0011】
皮膚科的クリーム、化粧水、ビタミンおよびハーブサプリメントを用いる様々な他のアプローチもまた、セルライトを治療するために提案されてきた。個人的な温泉場およびサロンは、身体のこすり洗い、圧覚点マッサージを含むセルライトマッサージ治療を提供するが、植物性揮発油、海草、トクサ、クレマチスおよびツタのような植物化学種から抽出されたハーブ製品の使用もまた提案されてきた。多数の治療が存在するけれども、それらの殆どは肌の凹凸に対して永続的な効果を提供しないし、いくつかは(脂肪吸引が瘢痕化あるいはセルライトのより顕著な外観を生じさせるといった)一つの治療が他のものを悪化させる。ほとんどの治療は、継続する複数の治療を必要とし、それらの効果を維持するためにはかなりの出費がかかり、かつ結果もまちまちである。
【0012】
超音波で治療する装置および方法には、一般に2つの異なるタイプがある。従来技術において、公知の医療用の超音波を発生させる装置は、組織を治療するために、例えば腫瘍を破壊するために、高強度の焦点を合わせた超音波あるいは高い音圧の超音波を与えるものである。高い強度あるいは高い音圧の超音波は、直接的な組織の破壊をもたらすことができる。高い強度あるいは高い音圧の超音波は、生成された音波からのエネルギーを組織の相対的に小さい焦点に集中させるために、普通は一点に焦点が合わせられる。しかしながら、他のタイプの医用超音波は、画像診断および理学療法の用途に用いる、低強度で焦点を合わせないタイプの超音波である。低い音圧の超音波は、例えば心臓イメージングおよび胎児イメージングのために一般に用いられている。低い音圧の超音波は、理学療法の用途においては、組織を破壊することのない、組織警告(tissue warning)のために用いることができる。画像診断のための出力範囲で用いる低い音圧の超音波は、増強剤なしに限られた時間で用いられるときには、一般的にいかなる重大な組織破壊も生じさせない。
【0013】
直接的に皮下組織を破壊するために高強度の焦点を合わせた超音波を用いる方法および装置は、公知技術に記載されている。そのような技術は、身体内部の組織に焦点を合わせる高強度の超音波を用いることができ、それによって、細胞に局部的な破壊または傷害が生じる。高強度の超音波の焦点合せは、例えば、凹状の振動子あるいは音響レンズを用いることによって、達成できる。時には脂肪吸引による脂肪の除去と組合わせられて、脂肪を破壊する高強度の焦点を合わせた超音波の使用は、公知の先行技術に記載されている。高強度の焦点を合わせた超音波のそのような使用は、低い音圧の超音波とは区別されなければならない。
【0014】
前述したことを考慮すると、セルライトのような皮膚の凹凸を治療する方法および装置を提供して、顔、首、腕、脚部、大腿、臀部、胸部、胃および他の目標領域のような身体領域に最小限に侵襲性のあるいは無侵襲性の持続する美的成果をもたらすことが望ましい。従来技術を改良すると共に、それらをより非侵襲的にしかつ副作用をより少なくする、皮膚の凹凸を治療する方法および装置を提供することが望ましい。
【0015】
したがって、皮下組織を治療するために低強度の超音波を使用する装置および方法の必要性が、当業者によって認められてきた。診断用超音波の出力範囲の低強度の超音波の使用は、より安全であり、副作用が少なく、かつより少ない訓練で行うことができる。本発明はこれらの必要性その他を満たすものである。
【発明の概要】
【0016】
開示されているものは、ガスと液体の混合物に微小な泡を生じさせる装置および注入する装置であって、混合室を画成するハウジングと、前記混合室内に含まれている溶液を混合して溶液内に微小な泡を生成するための手段と、前記ハウジングに着脱自在に取り付けられるとともに、前記混合室と流体的に連通し、かつ少なくとも一つの針を含んでいる針アレイと、を備える。
【0017】
前記混合室は、第2の混合室と流体的に連通する第1の混合室を含むことができる。さらに、前記混合手段は、溶液内に微小な泡を発生させるために前記第1および第2の混合室の間で流体およびガスの溶液を急送するための手段を有する。
【0018】
この装置は、前記第1および第2の混合室のうちの少なくとも1つと流体的に接続された液体リザーバと、前記第1および第2の混合室のうちの少なくとも1つと流体的に接続されたガス供給源と、をさらに備えることができる。選択的に、前記液体リザーバおよび/または前記混合室は熱的に絶縁することができ、および/または前記流体を予め定められた温度に維持するための手段を含む。さらに、前記ガス供給源は、大気でもよいし、あるいは大気圧より高い圧力に維持できる空気、酸素、二酸化炭素、パーフルオロプロパン等を含むことができる。
【0019】
溶液急送手段は、前記第1および第2の混合室内で往復運動するべく取り付けられた、第1および第2のピストンを有することができる。さらにこの装置は、前記第1および第2のシリンダーの間で流体およびガスを急送して微小な泡溶液を作り出すために、前記第1および第2のピストンを往復運動させる手段を備えることができる。前記往復動手段は、圧縮空気供給源とすることができ、かつ前記第1および第2のシリンダは空気圧シリンダとすることができる。この装置は、後退した位置と伸長した位置との間に少なくとも一つの針を配備するために針アレイに作動的に接続された針配備機構を備えることができる。針アレイは、少なくとも2本の針を有することができ、かつ前記針配備機構は、前記少なくとも2本の針の1つ若しくは複数を後退位置と伸長位置との間で選択的に配備する。
【0020】
さらに、前記針配備機構は、空気ピストン、電気モータおよびばねのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0021】
この装置は、組織付着圧力を測定するための少なくとも一つの圧力センサを備えることができる。前記センサは、ハウジングおよび針アレイの一方または両方に設けることができる。測定された付着圧力の値が第1の閾値より低い場合、あるいは第2の閾値を超える場合には、少なくとも一つの針の配備を禁止できる。この装置は、2つ以上のセンサを備えることができるとともに、任意の2つのセンサ間における測定された付着圧力値の差が閾値を超える場合には、少なくとも一つの針の配備が禁止される。
【0022】
上述した混合手段は、混合室内に配置されるブレード、パドル、泡立て器および半透膜のうちの少なくとも1つを含むことができる。前記混合手段は、前記ブレード、パドル、泡立て器および半透膜の少なくとも一つに作動的に連結された、モータおよび空気供給源のうちの1つをさらに有することができる。
【0023】
本発明の装置は、組織に付着するように針アレイを引っ張る組織付着手段を備えることができる。前記組織付着手段は、前記ハウジングおよび前記針アレイのうちの少なくとも1つに画成された少なくとも一つの負圧オリフィスを含むことができ、それによって、前記負圧オリフィスは、部分真空の供給源から組織へと吸引作用を伝達し、針アレイを組織に付着させる。前記負圧オリフィスは針アレイに形成することができ、かつ少なくとも一つの針を前記負圧オリフィス内に配置することができる。さらに、負圧オリフィスは受口を画成することができ、負圧オリフィスが部分真空の供給源から吸引作用を伝達するときに、組織は少なくとも部分的に前記受口に引っ張られる。
【0024】
いくつかの実施形態において、針アレイが組織付着表面を有すると共に、前記組織付着手段は、前記組織付着表面上に設けられて前記負圧オリフィスを囲む、少なくとも一つのフランジをさらに有する。
【0025】
本発明の装置は、少なくとも一つの針の挿入深さを調整するための手段を備えることができる。前記針アレイは少なくとも2本の針を含むことができ、かつ前記挿入深さ調節手段は各針の挿入深さを個別に調整できる。一つの実施形態において、前記針挿入深さ調節手段は、複数の別個の針調整深さを含むことができる。あるいは、前記針挿入深さ調節手段は、針の調整深さの連続的な調整をもたらす。さらに、前記針挿入深さ調節手段は、針調整深さを表す読取りおよび/またはディスプレイを含むことができる。
【0026】
一実施形態では、針アレイは組織付着表面を有し、少なくとも一つの針は遠位端を具備し、少なくとも一つの針は、その遠位端が組織付着表面の下方に維持される後退位置とその遠位端が組織付着表面を越えて延びる伸長位置との間で移動可能である。
【0027】
一実施形態では、超音波振動子が、針アレイ、ハウジングおよび少なくとも一つの針のうちの1つに作動的に接続される。
【0028】
1つの態様では、針アレイは超音波振動子を全般的に囲むことができる。あるいは、超音波振動子は針アレイを全般的に囲むことができる。さらに、超音波振動子は針アレイと一体的に形成することができる。
【0029】
この装置は、少なくとも一つの針と流体的に連通する流体加圧機構をさらに備えることができる。
【0030】
さらにこの装置は、液体リザーバから混合室に吐出される流体の容積および圧力を制御するための手段を備えることができる。さらにこの装置は、流体あるいは溶液を組織内に注入する容積、圧力および速度を制御するための手段を備えることができる。
【0031】
機械的に読み取り可能な識別子は、針アレイ上に設けることができる。識別子は、超音波振動子、針アレイおよび/または針アレイの特徴を一義的に特定するために用いることができる。
【0032】
一実施形態では、この装置は、針アレイ上にある機械的に読み取り可能な識別子と、針配置機構に作動的に接続された識別子読取手段とを備える。選択的に、識別子読取手段が識別子を認証しない限り、針配置機構は少なくとも一つの針の配置を禁止する。さらに、針配置機構は、所定の識別子を伴う針アレイが配置された回数を選択的に積算するとともに、その識別子を伴う針アレイを配置した回数が予め定された値を上回る場合には少なくとも一つの針の配置を禁止する。
【0033】
一実施形態では、この装置は、針アレイ上にある機械的に読み取り可能な識別子と、流体加圧機構に作動的に接続された識別子読取手段とを備え、前記流体加圧機構は、前記識別子から読み取った情報に応じて流体注入圧を調整する。
【0034】
また、開示されているシステムは、計量された量の溶液を収容する容器であって、前記溶液が、血管収縮薬、表面活性剤および麻酔薬のうちの少なくとも1つを含むとともに、液体とガスおよび流体のうちの少なくとも1つとを含んでいる容器と;少なくとも一つの針を具備するとともに前記容器と流体的に連通している針アレイと、を備える。ガスは、流体内に少なくとも部分的に溶解しあるいは完全に溶解することができる。選択的に、前記溶液の容器は密閉され、かつ前記溶液は大気圧より高く維持される。
【0035】
上述したシステムは、第1、第2、第3、第4のエネルギー設定のうちの少なくとも1つの設定で作動できる超音波振動子装置を備え、第1のエネルギー設定は組織による溶液の吸収を促進するために選択され、第2エネルギー設定は安定的なキャビテーションを促進するために選択され、第3のエネルギー設定は一過性のキャビテーションを促進するために選択され、かつ第4のエネルギー設定は組織の内部における泡の押圧を促進するために選択される。振動子装置は、第1および第2の振動子を有することができ、前記第1の振動子は泡立ちを促進し、かつ前記第2の振動子は溶解ガスの溶液からの取り出しを促進する。一実施形態では、前記振動子装置は、焦点が合っていないおよび焦点のない超音波のうち少なくとも1つを生じさせる。
【0036】
また、細胞を選択的に崩壊させる方法が開示される。この方法は、血管収縮薬、表面活性剤および麻酔薬のうちの少なくとも1つを含んでいる溶液を皮下組織に経皮的に注入すること、音響放射力によって溶液を分布させる超音波設定で組織に超音波を照射すること、および第2の超音波設定で組織に超音波を照射して細胞による溶液の取り込みを誘起させ、それによって細胞を崩壊させることを含む。
【0037】
また、細胞を選択的に崩壊させる方法が開示される。この方法は、微小な泡溶液を皮下組織内に経皮的に注入すること、音響放射力によって溶液を分布させるとともに微小な泡を細胞の壁に押圧するべく、第1の超音波設定で組織に超音波を照射すること、および一時的なキャビテーションを誘起させるために第2の超音波設定で組織に超音波を照射すること、を含む。溶液は、血管収縮薬、表面活性剤および麻酔薬のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0038】
また、細胞を選択的に崩壊させるための方が開示される。この方法は、溶解したガスおよび部分的に溶解したガスのうちの少なくとも1つを含んでいる溶液を皮下組織内に経皮的に注入すること、安定的なキャビテーションを誘起させるとともに微小な泡を生成するために組織に超音波を照射すること、音響放射力によって溶液を分布させるとともに微小な泡を細胞の壁に押圧するために組織に超音波を照射すること、一過性キャビテーションを誘起させるために組織に超音波を照射すること、を含む。溶液は、血管収縮薬、表面活性剤および麻酔薬のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0039】
上述した実施形態は、微小な泡の生成を促進するテクスチャを有した針をそれぞれ有している。
【0040】
本発明の他の特徴、その性質および様々な利点は、添付の図面および以下の詳細な説明からより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1A】本発明の気泡発生器を示すブロック線図。
【図1B】本発明の気泡発生器を示すブロック線図。
【図1C】図1Bの気泡発生器の第1変形例を示すブロック線図。
【図1D】図1Bの気泡発生器の第2変更例を示すブロック線図。
【図2】本発明の組織キャビテーションシステムを示すブロック線図。
【図3A】本発明のマニホールドおよび注入深さ調整機構を有した流体注入装置を示す図。
【図3B】本発明のマニホールドおよび注入深さ調整機構を有した流体注入装置を示す図。
【図3C】本発明のマニホールドおよび注入深さ調整機構を有した流体注入装置を示す図。
【図3D】図3Aの流体注入装置における注入深さを調整するための変更された機構を示す図。
【図4】各針を介した流体流動を個々に調整するための機構および注入深さを個々に調整するための機構を備える、他の実施形態の流体注入装置を示す図。
【図5】本発明の流体注入装置に用いる、選択的なセンサを有した針アレイを示す図。
【図6】図5の針アレイに用いる真っ直ぐな側方噴射針を示す図。
【図7】元の位置に針を回転させるための機構を備える流体注入装置のブロック線図。
【図8】格納された位置および完全に伸長した位置にある流体注入装置を示す図。
【図9】本発明の組織付着機構を示す図。
【図10】他の実施形態の気泡発生器と、それを用いて泡を注入し超音波を照射するシステムを示す図。
【図11】本発明の溶液注入および超音波照射システムを支持するための釣合い重り腕を示す図。
【図12】本発明の溶液注入および超音波照射システムの一部として用いる流体注入機構を含むハンドピースを示す図。
【図13】気泡発生器を用いない組織キャビテーションシステムの別の実施形態のブロック線図。
【図14】本発明の振動子装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の一態様は、微小な泡溶液を生成する装置と、この装置を用いて組織を選択的に崩壊させるシステムに関する。
【0043】
本発明の第1実施形態では、微小な泡溶液は、アクティブな泡、部分的に溶解した泡、完全に溶解した泡あるいは泡を生成させる材料/化学物質を含む飽和状態あるいは過飽和状態の液体、のうちの1つ若しくは複数を含有した流体または混合物を含んでいる。泡は、脂質等でカプセル化することもできるし、カプセル化しない(自由な)泡とすることもできる。
【0044】
アクティブな泡は、カプセル化されたガスあるいはカプセル化されていないガスを含み得る、ガス状のあるいは蒸気状の泡を指す。これらのアクティブな泡は、肉眼で見ることもできるし、あるいは肉眼で見ることはできない。溶解した泡は、所定の圧力および温度で液体に溶解しているが、溶液の温度および/または圧力の変化あるいは超音波の照射によって溶液から出てくるガスを指す。微小な泡は、溶液を組織内に注入した後で、溶液から出て来ることができる。これは、例えば、溶液が組織の温度に到達したとき、あるいは組織が超音波の照射を受けたときに生じる。あるいは、微小な泡は、大気圧に到達したときには、溶液を組織に注入する前に溶液から出てくる。したがって、溶液が組織内に注入される前にあるいはその後に、泡は溶液から出て来ることがある。
【0045】
前述したように、溶液は、液体(流体)と、この液体に溶解することができあるいは溶解することができないガスとを含む。実例として、増強剤の液体部分は水溶液、等張性の食塩水、通常の食塩水、低緊張の食塩水、低張液、あるいは高張液を含むことができる。溶液は、pHを高めるための1つ若しくは複数の添加物/薬剤(例えば炭酸水素ナトリウム)または従来技術において公知な緩衝剤を選択的に含むことができる。実例として、溶液のガス状部分は、室内から吸引された空気(「室内空気」あるいは「大気」)、酸素、二酸化炭素、パーフルオロプロパン、アルゴン、水素、あるいはこれらのガスの1つ若しくは複数の混合物を含むことができる。しかしながら、本発明は、いかなる特別なガスにも限定されない。ガスと液体の組合せの多数の候補があるが、主な制約は、ガスおよび液体の両方が生体適合性でなければならず、かつガスが液体に適合しなければならないことである。
【0046】
目下のところ好ましい実施形態では、微小な泡溶液の液体部分が低緊張性の緩衝食塩水を含み、かつガス状の部分が空気を含む。
【0047】
ここで留意されるべきことは、全体的な溶液の生体適合が、液体およびガスの生体適合性、液体に対するガスの比率、および微小な泡のサイズを含む、様々な要因によって決まることである。微小な泡があまりに大きいと、それらは標的組織に到達することができない。さらに泡があまりに小さいと、それらは治療に用いる前に溶解してしまう。後に詳述するように、本発明の微小な泡溶液は、異なる大きさの微小な泡の分布を含むことができる。これにより、溶液が、治療的に有用であるにはあまりに小さい、および理想的なサイズより大きいといった、少なくともいくつかの微小な泡を含み得ることが予想される。また、閾値サイズより大きい泡が組織内に注入されないことを確実にするために、フィルタやフィルタリング機構等を設けることも予想される。
【0048】
ここで理解されるべきことは、「生体適合性」という用語が、生体は少量の物質は許容し得るが、その物質が大量な場合は有毒となり得るというように、考慮する量によって相対的なものであるということである。これより、本発明の微小な泡溶液の生体適合性は、注入する溶液の量、微小な泡のサイズ、および液体とガスの比率に関連して解釈されるべきである。さらに、細胞の選択的な破壊が本発明の目的のうちの1つであるから、生体適合性という用語には、単独であるいは超音波照射との組み合わせによって局所的な細胞の破壊に帰着し得る混合物あるいは溶液が含まれることは理解されるべきである。
【0049】
本発明による微小な泡溶液は、微小な泡を安定させる表面活性剤、局所麻酔薬、血管拡張剤および血管収縮剤といった1つ若しくは複数の添加物を含むことができる。実例として、局所麻酔薬はリドカインとすることができるし、血管収縮薬はエピネフリンとすることができる。表1は、本発明の微小泡溶液に含めることができる他の血管収縮剤の非排他的なリストである。表2は、本発明の微小泡溶液に含めれることができる他の局所麻酔薬の非排他的なリストである。表3は、本発明の溶液のガス状部分に含めることができるガス麻酔薬の非排他的なリストである。表4は、本発明の溶液に含めることができる表面活性物質の非排他的なリストである。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【0054】
改良溶液は、緩衝剤(例えば炭酸水素ナトリウム)を更に含むことができる。表5は、本発明の溶液内に含まれることができるバッファの非専属的リストである。
【0055】
【表5】

【0056】
無水の分子量は、表に記載されている。実際の分子量は水和度により左右される。
【0057】
ここで留意されるべきことは、類似の参照符号は本発明の類似の部分の特定を意図しており、かつ点線は選択的な部品を示すことを意図していることである。
【0058】
図1Aは、改良溶液内に微小な泡を生成させる装置100の第1実施形態を示している。この装置100は、液体リザーバ102、ガス蒸気リザーバ104(点線で示されている)、および気泡発生器106を備えている。気泡発生器106は、その内部で流体とガスが混合される容器である、液体リザーバ102からの流体およびガスリザーバ104からのガス/蒸気は気泡発生器106内に流入して混合し、微小な泡を形成しおよび/または流体を過度に飽和させる。
【0059】
この装置100は、気泡発生器106内に吐出される流体の量を制御する(破線で示された)流体計量装置124、および/または組織に注入される微小な泡溶液の量を制御する(点線で示された)流体計量装置126を含むことができる。さらにこの装置100は、気泡発生器106に吐出される気体の量を制御する(点線で示された)ガス計量装置128を含むことができる。図1Aに描かれている装置100は、流体計量装置124および126およびガス計量装置128の両方を含んでいる。しかしながら、実際には、これらの装置の1つ若しくは複数を取り除くこともできる。前述のように、2つ以上の部品は互いに一体化できる。例えば、流体計量装置124は、流体注入装置202と一体化できる。
【0060】
図1Bは、気泡発生器106の第1実施形態をより詳細に示す図であり、かつハウジング108と、流体経路118によって、相互に接続された一対のシリンダ116とを含んでいる。シリンダ116のうちの少なくとも1つが液体リザーバ102と流体的に連通しており、かつシリンダ116のうちの少なくとも1つがガスリザーバ104(周囲環境とすることもできる)と流体的に連通している。流体経路118は、シリンダ116間の流体的な連通をもたらしている。
【0061】
シリンダ116の1つ若しくは複数には、圧縮空気供給源、ばね、エラストマ部材、ステップモータ等の外部の動力源122により駆動される往復運動ピストン120を設けることができる。一実施形態において、往復運動ピストン120は、Bimba Corporationにより製造される空気ピストンである。
【0062】
液体リザーバ102からの液体は、(点線で示された)外部圧供給源110による正圧下で気泡発生器106に押し込むことができるが、例えば往復運動ピストン120によって、発生させることができる分圧下で気泡発生器106内に吸引することもできるし、あるいは重力下で気泡発生器106内に流入させることもできる。同様に、ガスリザーバ104からのガスは、(点線で示されている)外部圧供給源112による正圧下で気泡発生器106に押し込むこともできるし、分圧下で気泡発生器106内に吸引することもできる。後述するように、ピストン120はまた、組織内に流体を注入するための流体加圧機構として2つの目的の役に立つことができる。
【0063】
気泡発生器106は、溶液内のガス飽和度を高めるために、あるいは溶解したガスが溶液から出て来ることを防止するために、加圧しあるいは加圧しないことができる。(点線で示されている)選択的な流体加圧機構110は、流体を所望の圧力に維持するために用いることができる。以下に詳述するように、流体は、溶液のガスの溶解度/飽和度をさらに高めるために冷却できる。
【0064】
図1Cは、微小泡発生器106の別の実施形態を示しているが、それは外部動力源122により駆動される例えば撹拌翼、水掻き、泡立器、半透膜等の部材120'(ロータ)を用いて、シリンダあるいは混合槽(ステータ)116内に微小な泡を発生させるようになっている。当業者が理解するように、部材120'は、シリンダ116等の内部で外部動力源122によって、回転駆動される。組織内に流体を注入するために、選択的な流体加圧機構130を用いることもできる。
【0065】
液体リザーバ102内の液体は、雰囲気温度とすることができる。あるいは流体は、気体の溶解度(過飽和)を高めるためにわずかに冷却できる。液体リザーバ102は、液体をその現在の温度に維持するために熱的に絶縁することもできるし、および/または液体リザーバ102は、液体を所定の温度に維持するために(図示されない)加熱/冷却機構を含むこともできる。
【0066】
用いるガスが空気である場合、単純に周囲の環境、すなわちこの装置100空間から空気("室内空気")を吸い込むために、ガスリザーバ104は省略できる。室内空気を用いる場合、この装置100は、HEPAフィルタ等の(点線で示された)エアフィルタ114を用いることができる。
【0067】
図1Dは、微小泡発生器106の他の実施形態を示しているが、液体およびガスの計量された量を含む容器またはカートリッジ132を、撹拌機133を用いて攪拌しあるいは振動させて、カートリッジ132の内部に微小な泡を生成させるようになっている。微小な泡溶液は、カートリッジ132から流体注入装置202(図2)へと吐出される。加えてこのカートリッジ132は、予め決定された設定で流体の温度を制御するための能動的な加熱/冷却機構を含むことができる。さらにまた、カートリッジ132は、予め決定された速度および圧力での吐出を可能にするために、例えば圧縮空気あるいは機械的な機構によって、加圧できる。
【0068】
図2は、本発明のリポスカルプチュアシステム200のブロック線図である。このシステム200は、装置100、流体注入装置202、超音波振動子装置204、超音波発生装置206、超音波制御装置208、および注入管理ユニット210を備える。装置100は、図1A〜図1Dに描かれている1つの気泡発生器106を含むもの、あるいは本願明細書において、後述する他の実施形態の1つとすることができる。
【0069】
流体注入装置202は、1つ若しくは複数の針218を含み得る針アレイ214を有することができる。あるいは、この流体注入装置202は、例えば1つ若しくは複数の皮下注射器を含むことができる。
【0070】
流体注入装置202は、組織内に溶液を押し込むための流体加圧機構110をさらに含み、あるいはそれに作動的に接続されている。上述したように、シリンダ116間の流体を絞り出すために用いるピストン120等は、流体加圧機械210としての役割を果たすことができる。
【0071】
集合的にシステム200と呼ばれる部品の1つ若しくは複数を組み合わせることができる。例えば、流体注入装置202は、超音波振動子装置204および/または流体注入制御装置210と共に、単一部品として一体化できる。同様に、超音波制御装置208は、超音波発生装置206と共に、単一部品として一体化できる。部品のそのような一体化は予期されるものであって、本発明の範囲内にある。
【0072】
流体注入制御装置210は、気泡発生器106に吐出される流体およびガスの量、および/または組織内に注入される溶液の量を制御できる。選択的に、制御装置210は、流体計量装置124、126およびガス計量装置128に直接的にあるいは間接的に接続できる。流体注入制御装置210は、気泡発生器106内の溶液の混合あるいは(もしあれば)攪拌を制御できる。流体注入制御装置210は、針アレイ214の配置を含む、注入装置202による組織220内への溶液の注入、針アレイ214を配置する深さ、および注入する溶液の量を制御できる。
【0073】
流体注入制御装置210は、針アレイ214(あるいは皮下注射器)の1つ若しくは複数の針の個々の配置および後退を制御できる。これより、制御装置210は、針218(または皮下注射器)を1つずつ配置しあるいは後退させ、1つ若しくは複数の針218を同時に配置しあるいは後退させ、または全ての針を同時に配置しあるいは後退させることができる。
【0074】
加えて、流体注入制御装置210は、各針218に供給される溶液の量を個々に制御できる。各針218に供給される溶液の量を制御するための多くの方法があることは、当業者が理解するところである。例えば、治療領域の中央により多くかつ治療領域の周辺部分にはより少ない溶液を供給し、あるいはその反対とすることが望ましい。
【0075】
注入装置202が皮下注射器を用いる場合、流体注入制御装置210は各注射器に計量分配する流体の量を制御できる。上述したように、治療領域の異なる領域に異なる量の溶液を供給することが望ましいが、これは各注射器毎の溶液の量を変化させることによって、達成できる。
【0076】
図3A〜図3Cに最も良く示されているように、流体注入装置202は、装置100、針アレイ214、および針アレイ214に作動的に接続されている針配置機構216と流体的に連通する、(点線で示された)マニホールドあるいは流体分布経路212を含むことができる。マニホールド212は、微小泡発生器106から針アレイ214へと微小泡溶液を移動させるために用いる流体経路である。
【0077】
1つ若しくは複数の流量調整装置222は、各々の針または注射器218に小出しされる流体の量の個別的制御を可能にするために、流体経路212内に提供されることができる。単独でまたは共に流量調整装置222とマニホールド212は、針218の中の微小な泡溶液の分布を制御する。流量調整装置222は、手動で調節可能でもよくておよび/または注入制御装置210により制御されることができる。電子フローメータおよびコントローラとのような、別の実施例は、活動的な手段を介した各々の針または皮下注射で無限に様々なボリューム制御を含むことができる。
【0078】
全ての針218を組織内に同時に配置するが、1つ若しくは複数の針218に溶液を個別に供給することが望ましい。例えば、針218の1つ若しくは複数のグループに順番に溶液を供給することが望ましい。針218が個々にあるいは2つあるいはより多くのグループとして配置される場合には、配置した針218だけに溶液を供給することが望ましい。
【0079】
後述するように、注入深さは、適切な針長を選択することによって、あるいは所望の注入深さを設定することによって、手動で決定すれることができる。
【0080】
針配置機構216(図2および図3A)は、針218が所望の距離で組織内に貫通するように、針アレイ214の1つ若しくは複数の針218(または皮下注射器)を配置する。針配置機構216は、固定された所定の深さに針218を配置するように構成することもできるし、針218を配置する深さを調整するための手段を含むこともできる。
【0081】
利用可能な注入深さを調整するために、いくつかの幅広い方法がある。注入深さを調整する1つの方法は、長さが異なる針の針アレイ214を提供することである。この実施形態によると、ユーザは、所望の注入深さを達成するためにより短い/より長い針218を有している針アレイ214を選択するだけでよい。さらに、所定の針アレイ214に、異なる長さの針218を用いることができる。
【0082】
他の方法によると、針アレイ214は、注入深さを調整するために垂直方向に変位する。
【0083】
図3Aが示している調節手段の態様は、別々の間隔で垂直方向に針アレイを調整するために、フランジ244Aおよび溝244Bの配置を含むことができる。
【0084】
図3Dが示している調節手段の態様は、ユーザが針アレイ214を垂直方向に調整し、それによって、注入深さを変更できるようにする、針アレイ214および流体注入装置202あるいはハウジング108上に形成された嵌合ねじ山240を含むことができる。一実施形態によると、注入深さは、注入深さの所定の範囲内で連続的に調整できる。例えばユーザは、5〜12ミリメートルの間で針アレイ214を回転させることによって、注入深さを連続的に調整できる。別の実施形態によると、注入深さは、別々の間隔に調整できる。例えばユーザは、3〜15ミリメートルの間で1ミリメートルずつ増加させて注入深さを調整できる。さらに他の実施形態においては、針の深さは電子的に制御することができ、ユーザは制御装置210上に特定の深さを入力する。
【0085】
上述した注入深さの調整は、針アレイ214の全体について注入深さを特定できる。しかしながら、さらに他の方法によると、針アレイ214の1つ若しくは複数の針218の個別的な調整を容易にすることが望ましい。針配置機構216は、1つ若しくは複数の針218あるいは注射器の注入深さを、独立して調整できるようにする。
【0086】
1つ若しくは複数の針218あるいは注射器は、個々の針の注入深さを調整するために垂直方向に変位させることができる。注入深さの調整(垂直方向の針の変位)は、連続的あるいは別々の間隔とすることができるし、手動であるいは注入制御装置210を介して調整できる。
【0087】
上記したように、所望の注入深さへと回動させる嵌合ねじ山246(図4A)や、注入深さを別々の間隔で調整するための手段をもたらすスタンドオフ248(図4B)その他を針アレイ214上に設けることにより、注入深さを調整して組織付着表面226Aに対する針218の垂直方向の高さを調整できる。
【0088】
個別的に注入深さを制御するさらに他の方法は、全ての針アレイ214を配置することと、は対照的に、個々の針または注射器218を配置することである。注入制御装置210あるいは針配置機構216は、個々の針または注射器218の注入深さを選択する(図4C)。
【0089】
注入深さの調整を実行する多くの他の方法があることは、当業者が理解するところである。本発明は、図面に描かれた実施形態には限られない。
【0090】
針配置機構216は、流体注入制御装置120からの信号に応じて針218を配置する。配置機構216は、組織220を貫通させるのに十分な力で針218を配置する、ばね、空圧式ラム、その他を含むことができる。流体注入制御装置210は、配置機構216と組織内への微小泡溶液の注入とを同期させる。
【0091】
予め定めた量の溶液を、単一の注入深さに注入できる。あるいは、配置機構216と同期する流体注入制御装置210は、複数の注入深さのそれぞれに溶液を注入し、または針アレイ214の前側(貫通)若しくは後側(引き抜き)ストロークのときに連続的に注入できる。組織内の第1の深さに針を配置すると共に、次いで溶液を注入する前にわずかにより浅い注入深さへと針を後退させることが望ましい。
【0092】
図5は、少なくとも一つの皮下注射針または極微針218を含む針アレイ214の拡大図である。本発明は、いかなる特別な長さあるいはゲージの針にも限定されない。針218は、治療する組織の深さに従ってかつ患者の快適さを満たすように選択される。さらに、針アレイ214は、長さが異なる針および/またはゲージが異なる針を含むことが好ましい。
【0093】
図5に描かれている実施形態は、一様な間隔を開けて配置された複数の針218を含んでいる。しかしながら、本発明の範囲は、いかなる特別な数の針218にも限定されない。さらに本発明は、針218のいかなる特別な幾何学的な配置あるいは構成にも限定されない、針間隔を一様ではなくすることが望ましい。例えば、治療領域の一部においては針の間隔を小さく(密度を高く)し、かつ他の部分では針の間隔をより大きく(よりまばらに)することが好ましい。追加の針218の使用は、組織220内にへの微小泡溶液の一様な分布を容易にし、および/または、所定の領域を治療するために必要な別個の注入手順の数を減少させる。
【0094】
図6Aは、針シャフト224に対して直線的に芯合わせされた単一の注入開口242を有する針218を示している。皮下注射針218は、針を介して組織内へと溶液を注入するべく構成された管腔を具備する管状部材である。管腔は、微小な泡の発生を促進するためにざらざらした表面を含むことができる。
【0095】
図6Bは、シャフト224Aの軸線に対して概ね直交する1つ若しくは複数の側面噴射開口242Aを具備した他の針218Aを示している。これらの側面噴射開口は、溶液が異なる注入深さで注入されるように、針シャフトの長手方向に沿って異なる高さに形成できる。これらの開口はまた、流れの分布を選択的に方向付けるために、特定の半径方向パターンで配置できる。
【0096】
治療を受ける組織の特徴に応じて、針218が針218Aより好ましいことをユーザは見い出し得るが、その逆もまた同じである。針218に対する参照が、一般的に針218(図6A)および針218A(図6B)の両方を指すことは理解されるべきである。
【0097】
図7に示したように、本発明のいくつかの実施形態は、1つ若しくは複数の針218を元の位置に選択的に回転させるための機構256を含むことができる。この特徴は、組織内への溶液の一様な分布を容易にする。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態によると、針配置機構216は、1つ若しくは複数の針218を超音波で振動させることが望ましい。この特徴は、組織の貫通および/または溶解したガスの溶液からの取り出しを容易にする。例えば、超音波振動子258を、針218および/または針アレイ214に作動的に接続できる。超音波振動子258は、図7に便宜的に示されている。しかしながら、振動子258は、針回転機構256を含まない装置に用いることができるし、その逆もまた同じである。
【0099】
図8Aに最も良く示されているように、皮下注射針218は、流体分布経路212に接続された近位端と、治療する組織220を貫通するように構成された遠位端とを有している。一つの実施形態において、針218にはマイクロ針を含めることができる。
【0100】
一つの実施形態において、流体注入装置202は、針218の遠位端が流体注入装置202の内側に収納されている完全に格納された位置(図8A)から完全に伸長した位置(図8B)へと皮下注射針218を移動させるための針配置機構216を有している。
【0101】
図9A〜図9Cに示したように、流体注入装置202には、治療を受ける組織220にしっかりと付着するように装置202を付勢する組織付着機構を選択的に設けることができる。一実施形態によると、組織付着機構は、少なくとも一つの吸引孔228と、この吸引孔228と流体的に連通する負圧源230とを有している。吸引孔228は、針アレイ214および/またはハウジング108の内部に画成できる。作動の際に、組織付着表面226Aは、負圧源230からの負圧が吸引孔228を介して組織220に伝達されたときに、引っ張られて組織220に付着する。
【0102】
いくつかの実施形態においては、針218と吸引孔228との間に1対1の関係を設けることが望ましい。さらに、針218は、吸引孔228の内部に配置することもできる。吸引孔228には、組織220が負圧力によって、少なくとも部分的に凹部229内に引っ張られる(吸引される)ように、凹部または受口229を画成できる。さらに、針218は、少なくとも部分的に凹部229に収納されて配置されるようにすることができる。
【0103】
選択的に、(点線で示した)フランジ232が針218(あるいは218A)の周縁を囲んで(スカート)吸引圧を導き/含むようにすることができる。あるいは、別々のフランジ232Aが各針218(あるいは218A)を囲んで(スカート)吸引圧を導き/含むようにすることができる。
【0104】
付着表面226Aの周縁に沿って間隔を開けて配置された、1つ若しくは複数の吸引孔228を有することが望ましい。さらに、吸引孔228を全く含まない(吸入領域でない)中央付着表面226Aを有することが望ましい。あるいは、付着表面226Aの中央部分に限定された吸引孔を有することが望ましい。
【0105】
ここで理解されるべきことは、上述した実施形態の液体リザーバ102およびガスリザーバ104を、予め計量された量の液体およびガスを含むカートリッジ132(図1D)に置き換え得ることである。ガスは、流体内に完全にあるいは部分的に溶解させることができる。その最も単純な形態において、カートリッジ132は、所定量のガスおよび液体が充填された、例えばソーダ缶のような、簡単な密封容器である。
【0106】
図10Aは、上述した実施形態における液体リザーバ102、ガスリザーバ104、および気泡発生器106を置き換えるために用い得る、改良されたカートリッジ106A(ギネスビールの缶)を示している。この実施形態において、カートリッジ106Aは、米国特許第4,832,968号公報に開示されているような中空の加圧ポッド134を有している。なお、上記特許の内容はこの参照によって、本願明細書に組み込まれるものとする。カートリッジ106Aおよびポッド134は、ガスおよび液体の周囲の圧力より高い溶液を含んでいるが、それは例えばカートリッジ106Aを密封する前にある量の液体窒素を溶液内に与えあるいは導入することによって、達成できる。カートリッジ106Aは、内側表面の頂部138と気液界面140との間に範囲が限られたヘッドスペース136を有している。
【0107】
ポッド134は、最上内側表面の頂部144と気液界面146との間に範囲が限られた類似のヘッドスペース142を有している。ポッド134は、小さい開口あるいはオリフィス148を有していて、カートリッジ106Aのヘッドスペース136内の圧力が、ポッド134のヘッドスペース142内の圧力と釣合うことができるようになっている。カートリッジ106Aのシール150に穴を開けたときに、ヘッドスペース136の内部の圧力は周囲の圧力と急速に釣合う状態となる。シール150に穴を開けた瞬間には、ポッド134の内部の圧力は、カートリッジ106Aのヘッドスペース136の内部の圧力より高い。ポッド134から出る溶液の流速をオリフィス148が制限するからである。溶液のジェットはオリフィス148からカートリッジ106Aの内側へと急激に流出し、カートリッジの内部の溶液を攪拌しおよび/またはせん断して溶解していた泡が溶液から出現するようにし、それによって、溶液内に微小な泡を生成する。
【0108】
ポッド134は、オリフィス148が気液界面140の下方に維持されるように、好ましくはカートリッジ106Aの底部あるいはその近傍に位置している。
【0109】
図10Bは、気泡発生器106の代わりのカートリッジ106Aを備えたシステム200を示すブロック線図である。
【0110】
微小泡発生器106は、流体注入装置202上に(一体化させて)取り付けると、組織内に注入される前に溶液が移動する距離をそれによって、最小化できる。液体リザーバ102およびガスリザーバ104(設けられている場合)は、微小泡溶液を生成させるための必要に合わせて、微小泡発生装置106に着脱自在に接続できる。注入装置202は、オペレータが手動で支持することもできる。あるいは注入装置202は、注入装置202の操作を容易にするために、釣合い重りを具備し得るアーム302(図11)上に支持できる。
【0111】
図12Aに示されているハンドピース300は、流体注入装置202を有すると共に、柔軟な管路236によって、微小泡発生器106(図示せず)に接続されている。この設計は、オペレータが取り扱うハンドピース300の寸法および重量を最小化する。ハンドピース300が微小泡発生器106を含まないからである。
【0112】
図12Bは、流体注入装置202上に取り付けられたカートリッジ106Aを用いるハンドピース300を示している。この実施形態は、微小泡溶液が組織内に注入される前に移動する距離を最小化する。
【0113】
一実施形態によると、本発明のシステムが備える容器は、密閉されているいはシールされたカートリッジ106A、または開放容器とすることができる。容器がシールされている場合は、その容器は計量された量の溶液を含む。明らかに、容器がシールされていない場合は、必要に応じて自由に溶液を追加できる。
【0114】
このシステムは、少なくとも一つの針を有した針アレイを備えている。針アレイ214は、容器と流体的に連通している。
【0115】
溶液は、本願明細書に開示されている溶液のいずれかを含む。溶液は、液体を含む。溶液は、溶液に部分的にまたは完全に溶解し得るガスをさらに含むことができる。この容器は密閉することができ、かつ溶液は大気圧を超える圧力に維持できる。
【0116】
針アレイ214は少なくとも一つの針218を有しているが、それは本願明細書に開示される針のいずれかとすることができる。
【0117】
上述したガスは、空気、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、パーフルオロプロパン、アルゴン、水素、ハロタン、デスフルラン、セボフルラン、イソフルランおよびエンフルランのグループから選択される、1つ若しくは複数のガスを含むことができる。
【0118】
溶液は、血管収縮薬、表面活性剤および麻酔薬の1つ若しくは複数を含むことができる。さらに血管収縮薬は、ノルエピネフリン、エピネフリン、アンギオテンシンII、バソプレシンおよびエンドセリンの1つ若しくは複数を含むことができる。
【0119】
選択的に、このシステムは、容器を所定の温度範囲に維持するための冷却手段を備えることができる。さらに容器は、熱的に絶縁できる。
【0120】
このシステムは、組織に超音波を伝達する超音波振動子装置204をさらに備えることができる。好ましくは、この振動子装置204は、組織内への溶液の注入に同期して作動する。
【0121】
この振動子装置204は、溶液の分布、吸収および/または組織による取り込み、すなわちソノポレーションを容易にするための第1の設定で超音波エネルギーを伝達できる。
【0122】
溶液の分布を改良する超音波のパラメータには、大きいデューティサイクルのパルス超音波(>10%のデューティサイクル)あるいは500kHz〜15MHzの周波数範囲の連続超音波、焦点合わせしたあるいは焦点をずらした、4未満のメカニカルインデックス4未満といった、マイクロ流動を生じさせる条件が含まれる。一実施形態によると、メカニカルインデックス(MI)は、0.5≦MI≦4の範囲に収まる他の実施形態によると、メカニカルインデックスは、0.5≦MI≦1.9の範囲に収まる。
【0123】
組織内での溶液の吸収および/または取り込みを高めるソノポレーションは、500kHz〜15MHzの周波数範囲、焦点合わせしたあるいは焦点をずらした、かつ中程度から高程度のメカニカルインデックス(MI≧1.0)の、パルス波のあるいは連続した超音波によって、発生させることができる。好ましい実施形態においては、一時的にあるいはより長く持続する気孔を再現的に生成するために、500kHzの周波数で、焦点がずれている、高いメカニカルインデックス(MI≧1.9)の、パルス波の超音波である。
【0124】
振動子装置204は、溶液から溶解ガスを取り出すこと(すなわち安定キャビテーション)によって、泡の発生を促進する第2の設定において、超音波エネルギーを伝達できる。
【0125】
安定キャビテーションのための超音波のパラメータは、高いデューティサイクル(>10%のデューティサイクル)のパルス超音波あるいは2MHz〜15MHzへの周波数範囲の連続超音波、焦点合わせされあるいは焦点をずらした、メカニカルインデックス(MI)が0.05≦ MI≦2.0といったものである。
【0126】
振動子装置204は、一過性のキャビテーション、すなわち泡立ちを容易にする第3の設定で超音波エネルギーを伝達できる。一過性のキャビテーションのための超音波のパラメータは、500kHz〜2MHzの周波数範囲、焦点を合わせたあるいは焦点をずらした、1.9より大きいメカニカルインデックス(MI)といったものである。一過性のキャビテーションのために必要なデューティサイクルは、きわめて低くすることができ、かつ好ましい実施形態では、5%未満のデューティサイクルで伝達される広帯域のパルス(1〜20サイクル)である。
【0127】
振動子装置204は、本願明細書に開示される振動子のいずれかを含むことができるとともに、針アレイ214に作動的に接続できる。
【0128】
振動子装置204は、音響流れおよび/または音響放射力によって、組織内の泡の押圧を促進する第4の周波数範囲で、超音波エネルギーを伝達できる。
【0129】
超音波音響流れおよび放射力媒体を介して伝播する超音波による音響流れおよび音響放射力は、媒体内に懸濁している粒子へのかつ媒体それ自体への力を生じさせる。超音波は、媒体のそれとは異なる音響インピーダンスを有している媒体内の対象に作用する放射力を生じさせる。その一例は血液中のナノ粒子であるが、当業者が理解するように、超音波放射力は非流動性のコアキャリア粒子上にも発生させることができる。媒体が液体であるときに、超音波の負荷から生じる流体の移動は音響流と呼ばれる。
【0130】
生体外および生体内の微小な泡を集中させる放射力の能力は、例えばDayton, et al, Ultrasound in Med. & Biol, 25(8): 1195- 1201(1999)に示されている。5MHzの中心周波数、10kHzのパルス反復周波数(PRF)、および800kPaのピーク圧でパルスさせる超音波振動子は、微小な泡を生体内で血管壁に集中させるとともに、これらの流れる作用物質の速度を一桁減少させることが示された。加えて、薬物送達キャリア粒子を集中させるための放射の付加と、放射力で誘起される集中と支持体の断片化の効果の組み合わせが示された。Paul Daytonその他による「薬物送達カプセルの超音波集中」という名称の、2004年8月26日に出願された米国特許出願第10/928,648号を参照されたい。なお、その内容は、この参照によって、本願明細書に組み込まれるものとする。
【0131】
音響流れおよび選択的な放射力は、細胞膜に沿って組織内に注入された微小な泡を「押圧し」あるいは集中させるために用いることができる。特に、音響流れは、血管囲のキャリア粒子を押圧しあるいは集中させるために用いられてきた。これとは対照的に、本発明は、治療する細胞の壁に泡を集中させるべく皮下組織内の泡を押圧するために音響流れを用いる。
【0132】
本発明の一態様によると、微小な泡を含んでいる溶液を皮下組織に注入し、あるいは溶液を含んでいる溶解ガスを皮下組織に注入し、溶液からガスを取り出すために超音波を照射し、それによって、皮下組織の内部で泡を生成させる。泡は音響流れを用いて細胞壁に押圧され、次いで一過性のキャビテーションを誘起させるために超音波を照射して、細胞膜を介した溶液の移動を改良しおよび/または機械的に選択的に細胞膜を崩壊させて細胞を崩壊させる。
【0133】
音響流れを誘起させるために有用な超音波パラメータには、中心周波数が約0.1〜20MHzで、音響圧力が約100kPa〜20MPa、長いサイクル長(例えば、約10サイクルより大きい連続波)あるいは短いサイクル長(例えば約10サイクル未満)の、高パルス繰返し周波数(例えば約>500 Hz)の超音波が含まれる。特定のパラメータは、以下に詳述するように、キャリヤ粒子の選択に応じて定まるり、かつ当業者が容易に決定できる。
【0134】
一実施形態によると、振動子装置204は、安定的なキャビテーション、一過性のキャビテーション、音響流れ、およびソノポレーションを容易にするために複数のオペレーティングモードで作動できる単一の振動子を有する。他の実施形態によると、振動子装置204は第1および第2の振動子を有し、第1の振動子は泡立ち(一過性のキャビテーション)のために最適化され、かつ第2の振動子は溶液からの溶解ガスの取り出し(安定キャビテーション)および/または音響放射力を用いた泡の押圧のために最適化される。
【0135】
振動子装置は、焦点合わせしたあるいは焦点のない超音波を生成できる。焦点が合った超音波は一般的に収束する超音波を指し、焦点が合わない超音波は一般的に平行な超音波を指し、かつ焦点のない超音波は一般的に発散する超音波を指す。
【0136】
しかしながら、好ましい実施形態によると、振動子装置204は、焦点が合わないおよび/または焦点のない超音波を選択的に生成する。例えば、一過性のキャビテーションの間には焦点が合わない波を用いるとともに、安定的なキャビテーションの間には焦点のない波を用いることが望ましい。このため、振動子装置は、焦点が合わない超音波(非集束性の波)を生成するために平坦な振動子、すなわち略平面的な音響摩耗層(acoustic wear layer)(音響窓)を具備した振動子を含み、および/または焦点のない超音波(発散波)を生成するための凸状の振動子、すなわち凸状の音響摩耗層(acoustic wear layer)を具備した振動子を含む。
【0137】
当業者が理解が理解するように、超音波装置には多くの異なる構造がある。図14に示す実施形態においては、振動子装置204は、内側振動子204Aおよび外側振動子204Bを有している。図示した実施形態において、内側振動子204Aは焦点のない波205Aを生成する凸面形状の音響摩耗層を具備し、かつ外側振動子204Bは焦点が合わない波205Bを生成するための平面形状の音響摩耗層を具備している。しかしながら、内側および外側の振動子204Aおよび204Bの両を平面形状あるいは凸面形状とすることもできる。またさらに、内側および外側の振動子の一方あるいは両方を凹形状、すなわち焦点合わせされた波を生成するための凹形状の音響摩耗層を具備できる。これより、超音波装置204は、焦点を合わせた、焦点が合わない、焦点のない振動子の任意の組合せを有することができる。
【0138】
図14に示されている内側および外側の振動子の両方が円形であり、かつ外側の振動子は内側の振動子を囲んで(取り巻いて)いる。しかしながら、他の形状も予測され、かつ本発明の範囲に含まれる。目下のところ好ましい実施形態によると、内側の振動子は安定的なキャビテーションを生じさせるために用いられ、かつ外側の振動子は一過性のキャビテーションを生じさせるために用いられる。しかしながら、相対的な位置は、内側の振動子が一過性のキャビテーションを生じさせるとともに外側の振動子が安定的なキャビテーションを生じさせるように入れ替えることができる。
【0139】
図14に示した超音波装置204は、この開示のどこか他の部分に記載されるタイプの針アレイ214を含有している。図14の振動子装置204は、本願明細書に開示されている超音波振動子を含む実施形態のいずれかに組み込むことができる。特に、振動子装置204は、システム200内に組み込むことができる。
【0140】
ここで留意されるべきことは、振動子装置204が一つ若しくは複数の振動子の配列を含み得ることである。例えば、振動子装置は、安定的なキャビテーションのための振動子の配列および/または一過性のキャビテーションのための振動子の配列を有することができる。
【0141】
本発明の他の態様では、微小な泡を含みあるいは含まない溶液が皮下組織に注入される。この溶液は、音響流を用いて細胞壁に押圧され、次いで皮下組織はソノポレーションを誘起させるとともに組織による溶液の取り込み/吸収を容易にするために超音波が照射される。溶液は、例えば図13に示されている気泡発生器106を備えていないシステム200のようなシステムを用いて、注入されかつ超音波が照射される。溶液の吸収は、好ましくは細胞の崩壊に帰着する。
【0142】
2005年12月2日に出願された米国実用特許出願第11/292,950号に記載されているように、超音波発生装置206からの超音波エネルギーは、超音波振動子204を介して組織220に負荷される。超音波制御装置208は、様々な超音波パラメータを制御すると共に、超音波発生装置206による超音波の供給を制御する。好ましくは、超音波制御装置208は、流体の注入と超音波エネルギーの負荷とを同期させるために、注入制御装置210と通信する。微小な泡が消滅しあるいは組織により吸収される前に、組織に対してエネルギーを迅速に負荷することが望ましい。
【0143】
超音波振動子204は、好ましくは、微小な泡を組織内で非侵襲的に泡立たせ、それによって、細胞の崩壊を生じさせるのに十分な強さおよび圧力の、焦点が合わない超音波を供給するように構成される。組織に負荷する超音波の強さおよび圧力は、好ましくは、組織の加熱を最小化し、特に患者の表皮の火傷を回避するために選択される。振動子204は、振動子204の温度をモニタするために熱電対238等を含むことができる。
【0144】
少なくとも一つの実施形態において、リポカルチャーシステム200(図2)は(点線で示された)IDリーダ250を備え、かつ針アレイ214は一意的に針アレイ214を識別する(点線で示された)識別子252を有する。IDリーダ250は、識別子252を読み、好ましくは針アレイ214を認証しあるいは照合する。識別子252は、例えば針の長さやゲージのような針アレイ214の特徴を識別する情報を含むことができる。識別子252は、注入サイクル(針の配置)の回数あるいは所定の針アレイ214の使用時間を追跡するために用い得る識別情報をさらに含むことができる。IDリーダ250は、好ましくは注入制御装置210と通信する。注入制御装置210は、所定の針アレイ214を使用した注入サイクルの回数をカウントすることができるとともに、その回数が閾値回数を上回る場合はオペレータに警告できる。注入制御装置210は、注入深さあるいは注入速度を調整するために、識別子252上に記憶されている情報を用いることができる。注入制御装置210は、識別子252の認証、照合あるいは読み込みができない場合には、針アレイの使用法を禁止できる。
【0145】
識別子252は、バーコード表示、無線タグ、スマートチップ、あるいは従来技術において、公知な機械的に読み込み可能な媒体とすることができる。
【0146】
超音波振動子204はまた、識別子252を含むことができる。識別子252は、設定の際にあるいは治療の設定を照合する際に超音波制御装置208が用いる、振動子204の特徴を識別する情報を記憶するために用いることができる。超音波制御装置208は、識別子252を認証し、照合しあるいは読み込むことができない場合に、超音波照射を禁止できる。
【0147】
上述したように、振動子204は針アレイ214と一体化できるが、その場合、単一の識別子252は、針218および振動子204の両方の特徴を説明する情報を記憶できる。超音波制御装置208は、識別された超音波振動子204が作動した時間の量およびパワーレベルを追跡するために識別子252上の情報を用いることができるが、蓄積された超音波の照射時間が閾値を上回る場合には超音波の照射を禁止できる。
【0148】
装置100の構成部品は、任意の殺菌可能な、生体適合性の材料から形成できる。さらに、患者の交叉汚染の可能性を最小化するために、構成部品の一部または全てを使い捨てとする、すなわち独りの患者に使用するために製造できる。針アレイ214は、使用するにつれて針218が鈍るので、好ましくは使い捨ての構成部品である。
【0149】
ハンドピースを組織に当接させて配置したときにハンドピース300(図12A)上に作用する圧力を測定するために、1つ若しくは複数の光学的あるいは圧力センサ254(図5)を設けることができる。圧力センサ254は、ハンドピース300が組織と当接するように配置されたときに圧力が検出されない限り、針アレイ214の不注意な配置および/または振動子204の作動を防止する、安全連動保護機能を提供できる。2つ以上の圧力センサ254を設ける場合には、各測定圧力値が所定の範囲に収まらない限り、および/または2つの測定された圧力値の差が閾値未満である限り、溶液の注入および/または超音波の照射を禁止できる。圧力センサ254は、例えば、針アレイ214(図4)上に、あるいは流体注入装置202(図示せず)上に設けることができる。あるいは、治療する組織に対する針アレイの適切な位置ぎめを検出するために、おそらくは光学的あるいは容量性の、他の検知手段を用いることができる。
【0150】
超音波が針218を介して組織に伝達されるように、超音波振動子204と針218を接続することが有利である。この方法で超音波を負荷することは、目標を定めたキャビテーションを容易にし、および/または組織への針218の貫通を容易にすることができる。
【0151】
図13は、本発明の脂肪を崩壊させるシステム200のブロック線図である。このシステム200は、気泡発生器106を除いて、図2のシステム200と同一である。さらに、超音波振動子204、超音波発生装置206および超音波制御装置208は、これらが選択的な構成部品であることを示すために、点線で示されている。このシステム500は、(後に詳述するような)脂肪を崩壊させる溶液を、超音波を用いてあるいは用いることなしに注入するために用いることができる。
【0152】
一実施形態によると、脂肪を崩壊させる溶液は、その有効成分としてエピネフリンを含む。エピネフリンは、水溶液、等張性食塩水、通常生理食塩溶液、低緊張製の食塩水、低張液あるいは高張液と組み合わせられることが可能である。この溶液は、pHを高めるための1つ若しくは複数の添加物/薬剤(例えば炭酸水素ナトリウム)、あるいは上述した表5にリストされている緩衝剤や、従来技術において、公知の他の緩衝剤を選択的に含むことができる。
【0153】
目下のところ好ましい実施形態によると、この脂肪を溶解させる溶液は、低張性の緩衝食塩水内にエピネフリンを含ませたものである。
【0154】
システム200に超音波を含めることは、脂肪を崩壊させる溶液の吸収および/または分配を容易にすることができる。より詳しくは、超音波は、細胞膜に恒久的にあるいは一時的に孔を開け(ソノポレーション)、溶液内にマイクロ流動を生じさせ、あるいは局所的に溶液若しくは組織を加熱することによる、分配(吸収)および/または組織内への溶液の取り込みを改良するために用いることができる。本発明の一態様によると、超音波発生装置206は、溶液の分布を容易にするために第1の設定で作動させ、次いで吸収を容易にするために第2の設定で作動させることができる。ソノポレーションは、可逆的あるいは不可逆的とすることができる。
【0155】
システム200は、組織の貫通を容易にするために針218を振動させる超音波振動子258、および/または溶液の均一な分布を容易にするために側方噴射針218と組み合わせて用い得る針回転機構256を、選択的に備えることができる。組織の貫通を容易にするために、溶液の吸収および/または分布を容易にするために用いたものと同じ振動子装置204を用いることができ、それによって、別の振動子258の必要性をなくすことができる。
【0156】
システム200は、各針218により注入される溶液の量および/または溶液を組織に注入する速度あるいは圧力を選択的に調整するための手段を含めて、この開示に記載されている特徴のいずれかあるいは全てを含むことができる。さらにシステム200は、注入深さの選択的な調整および/または上述した組織付着機構を含むことができる。
【0157】
作動モード/使用方法
【0158】
第1の作動モードによると、溶液が皮下組織に経皮的に注入され、かつ溶液を分布させるために組織には第1の超音波設定で超音波が照射される。溶液を分布させると、ソノポレーションを誘起させ、それによって、細胞の方向を崩壊を誘起させるために、組織には第2の設定で超音波が照射される。この作動モードによると、溶液は微小な泡を含む必要がない。それらが細胞の崩壊には寄与しないからである。この運転法の有効性を高めるために、組織への注入および超音波照射を10〜50サイクル反復させることが推奨される。
【0159】
第2の作動モードによると、微小な泡を含む溶液が皮下組織へと経皮的に注入され、かつ溶液を分布させおよび/または微小な泡を細胞壁に押圧するために、組織には第1の超音波設定で超音波が照射される。その後、細胞の崩壊を誘起させる一過性のキャビテーションを誘起させるために組織には、第2の設定で(1ミリ秒〜1秒の間)超音波が照射される。この作動モードの有効性を高めるために、注入および組織への超音波照射を10〜50サイクル反復させることが推奨される。
【0160】
ここで理解されるべきことは、超音波照射のタイミングに同期させることが重要であるということである。特に、微小な泡は組織により吸収されおよび/または相対的に短い期間で溶解する。これにより、微小な泡を(音響放射力を用いて)分布させるとともに、溶液を皮下組織に注入した後比較的短い時間のうちに一過性のキャビテーションを誘起させることが重要である。
【0161】
目下のところ好ましい実施形態によると、音響放射力によって、微小泡溶液の分布を容易にするために、および/または溶液が組織に注入されるのと同時にあるいはその後きわめて短い時間範囲内にマイクロ流動が生じさせるために、組織に超音波が照射される。少量の微小泡溶液の注入にほぼ200ミリ秒かかり、かつ音響放射力を介した分布を誘起させる超音波照射には1ミリ秒〜1秒かかる。次に、一過性のキャビテーションを誘起させるために、組織は約400ミリ秒の間超音波が照射される。
【0162】
第3の作動モードによると、溶解ガスすなわち溶解したガスの泡を含んでいる溶液が皮下組織へと経皮的に注入され、溶液から泡を取り出すために組織には(100マイクロ秒〜1ミリ秒の間)第1の超音波設定で超音波が照射され、その後直ちに、溶液を分布させておよび/または微小な泡を細胞壁に押しつけるために第2の設定で(1ミリ秒〜1秒の間)超音波が照射される。その後、細胞の崩壊を誘起する一過性のキャビテーションを誘起させるために、組織には、第3の設定で(100マイクロ秒〜1秒の間)超音波が照射される。この運転法の有効性を増加させるために、組織への注入および超音波の照射を10〜50サイクル反復することが推奨される。
【0163】
ここで理解されるべきことは、超音波照射のタイミングを同期させることが重要であるということである。特に、微小な泡は、組織に吸収されおよび/または相対的に短い期間のうちに溶解する。これより、(音響放射力を用いて)微小な泡を分布させること、および溶液から泡を取り出した後の比較的短い時間のうちに一過性のキャビテーションを誘起させることが重要である。
【0164】
目下のところ好ましい実施例によると、安定的なキャビテーションを誘起させるために、かつ溶液を皮下組織に注入した後で溶液から泡を取り出すために、組織には超音波が照射される。ほぼ100マイクロ秒にわたって超音波を照射することにより、満足できる安定的なキャビテーションが達成された。その後、音響放射力を介した微小泡溶液の分布を容易にするために、および/またはマイクロ流動が生じるように、組織には超音波が照射される。微小な泡を分布させるためには、1ミリ秒〜1秒にわたって超音波を照射することが必要である。その後直ちに、一過性のキャビテーションを誘起させるために、組織にはほぼ400ミリ秒にわたって超音波がを照射される。
【0165】
本発明は、組織を治療する他の方法あるいは装置と組み合わせることができる。例えば、本発明は、カリフォルニア州ヘイワードにあるThermage Corporationから入手可能なThermaCool(商標)、カリフォルニア州ブリズベーンにあるCutera, Inc.から入手可能なCutera Titan(商標)、またはカリフォルニア州サンタクララにあるLumenis, Inc.から入手可能なAluma(商標)といった、皮膚を引き締める手技の使用を含むことができる。
【0166】
本発明は、その精神およびその本質的な特徴から逸脱することなしに、他の様態で具現化できる。したがって、記載した実施形態は、あらゆる点において、例示的であって限定的なものではないと考えられる。本発明をある好ましい実施形態に関して説明してきたが、当業者にとって明らかである他の実施形態もまた本発明の範囲内にある。したがって、本発明の範囲は、添付の請求の範囲を参照することによって、のみ定められることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管収縮剤、表面活性物質および麻酔薬のうちの少なくとも1つを含む溶液のある測定量を収容している容器と、
前記容器と流体的に連通している、少なくとも一つの針を有した針アレイと、を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ガスは、前記流体に少なくとも部分的に溶解することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ガスは、前記液体内に完全に溶解することを特徴とする請求項1に記載したシステム。
【請求項4】
前記容器は密封されており、かつ前記溶液は大気圧より高い圧力に維持されていることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも一つの針は、微小な泡の発生を助長するテクスチャ構造を有した管腔を有していることを特徴とする請求項1に記載したシステム。
【請求項6】
前記ガスは、空気、酸素、二酸化炭素、二酸化炭素、パーフルオロプロパン、アルゴン、水素、ハロタン、デスフルラン、セボフルラン、イソフルラン、およびエンフルランのグループから選択される少なくとも一つのガスであることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記血管収縮剤が、ノルエピネフリン、エピネフリン、アンジオテンシンII、ヴァソプレッシンおよびエンドセリンのうちの少なくとも一つを含んでいることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記容器を所定の温度領域に維持するための冷蔵手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記容器は、熱的に絶縁されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
第1、第2、第3、第4のエネルギー設定のうちの少なくとも1つにおいて作動できる超音波振動子装置をさらに備え、
前記第1のエネルギー設定は、組織による溶液の吸収を容易にするために選択され、
前記第2エネルギー設定は、安定的なキャビテーションを容易にするために選択され、
前記第3のエネルギー設定は、一時的なキャビテーションを容易にするために選択され、
かつ前記第4の周波数範囲は、組織内の泡を押すことを容易にするために選択されることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項11】
前記振動子装置が、少なくとも第1および第2の振動子を含み、
前記第1の振動子は泡立ちを容易にし、かつ前記第2の振動子は溶液からの溶解ガスの取り出しを容易にすることを特徴とする請求項10に記載したシステム。
【請求項12】
前記第1の振動子が前記第2振動子を囲んでいることを特徴とする請求項11に記載したシステム。
【請求項13】
前記第2振動子が前記第1の振動子を囲んでいることを特徴とする請求項11に記載したシステム。
【請求項14】
前記振動子装置は、焦点が合ってないおよび焦点がずらされている超音波の波のうちの少なくとも1つを生成することを特徴とする請求項11に記載したシステム。
【請求項15】
前記振動子装置は、第1のモードにおいて焦点が合ってない超音波の波を、第2のモードにおいて焦点がない超音波の波を選択的に生成することを特徴とする請求項11に記載したシステム。
【請求項16】
前記第1の振動子は略平面的な音響摩耗層を有し、かつかつ前記第2振動子は凸面の音響摩耗層を有していることを特徴とする請求項11に記載したシステム。
【請求項17】
前記振動子装置は、第1および第2の振動子の配列を有しており、
前記第1の振動子の配列は一時的な空洞化を容易にし、
かつ第2振動子の前記配列は、溶解ガスの溶液からの取り出しを容易にすることを特徴とする請求項10に記載したシステム。
【請求項18】
前記振動子装置は、前記針アレイに作動的に接続されていることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
前記容器が、所定量の溶液を含むカートリッジであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
容器と、
エピネフリンを含んでいる、前記容器内の水溶液と、
前記容器と流体的に連通すると共に、皮下組織へと経皮的に溶液を注入するように構成された、少なくとも一つの針を含む針アレイと、
組織による溶液の吸収および/または取り込みを容易にするために、選択された周波数範囲の超音波エネルギーを皮下組織に供給できる超音波振動子装置と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項21】
前記水溶液は、食塩水を含むことを特徴とする請求項20に記載したシステム。
【請求項22】
前記溶液は、緩衝食塩水を含むことを特徴とする請求項20に記載したシステム。
【請求項23】
前記溶液は、緩衝等張食塩水を含むことを特徴とする請求項20に記載したシステム。
【請求項24】
血管収縮薬、表面活性剤、および麻酔薬の少なくとも1つを含む溶液を経皮的に注入すること、
超音波設定で組織に超音波を照射し、音響放射力によって、溶液を分布させること、
第2の超音波設定で組織に超音波を照射して、溶液の細胞への取り込みを誘起させること、を含むことを特徴とする細胞を選択的に崩壊させる方法。
【請求項25】
微小な泡溶液を経皮的に皮下組織に注入すること、
第1の超音波設定で組織に超音波を照射し、音響放射力によって、溶液を分布させるとともに微小な泡を細胞の壁に押しつけること、
第2の超音波設定で組織に超音波を照射して、一時的なキャビテーションを誘起させることを含むことを特徴とする細胞を選択的に崩壊させる方法。
【請求項26】
前記溶液が、血管収縮薬、表面活性剤、および麻酔薬の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
溶解ガスおよび部分的溶解ガスのうちの少なくとも1つを含む溶液を皮下組織へと経皮的に注入すること、
安定的なキャビテーションを誘起させて、微小な泡を生成するために組織に超音波を照射すること、
音響放射力によって、溶液を分布させるとともに微小な泡を細胞の壁に押しつけるべく組織に超音波を照射すること、
一時的なキャビテーションを誘起させるために組織に超音波を照射すること、
を含むことを特徴とする細胞を選択的に崩壊させる方法。
【請求項28】
前記溶液が、血管収縮薬、表面活性剤、および麻酔薬の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−532219(P2010−532219A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514963(P2010−514963)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/067124
【国際公開番号】WO2009/006008
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(510004756)カボチョン、エステティクス、インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】CABOCHON AESTHETICS, INC.
【Fターム(参考)】