説明

細菌感染症治療のためのスルホンアミド誘導体

本発明は式(I)のスルホンアミド誘導体、その医薬組成物、その調製方法、及び結核などの細菌感染症の治療及び/又は予防のためのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)のスルホンアミド誘導体、その医薬組成物、その調製方法、及び結核などの細菌感染症の治療及び/又は予防のためのその使用、に関する。詳しくは、本発明はマイコバクテリウム・ツバキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)タンパク質チロシンホスファターゼ (MPTP)、特にMPTPB、の活性又は機能の修飾、特に阻害、のためのスルホンアミド誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
結核(TB)は、マイコバクテリウム・ツバキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)によって引き起こされる接触感染症であって、主として肺に関わるが、感染は他の器官に拡がる可能性がある。世界保健機構(WHO)によると、世界の人口の三分の一が結核菌(マイコバクテリウム・ツバキュロシス(Mycobacterium tuberculosis))に感染し、毎日5000人がTBで死亡する(Duggrel, 2005, Expert Opin. Invest. Drugs, 14(7), 917-920);21世紀の最初の20年間に約3500万人がTBで死亡すると予想されている。その主な理由は:HIV/AIDSの拡がり、現在の治療に対するコンプライアンスの欠如、Bacille Carmette-Guerin (BCG)ワクチンの効力のばらつきと多剤耐性TB菌株(MDRTB)の出現、などである。HIV感染は、潜伏しているTBを活動的な伝染性TBに変化させる最も強力な危険因子である。AIDS患者の三分の一がTBにかかっており、AIDSに関連した死亡の三分の一がTBによって引き起こされる。
【0003】
微生物の病原性は、通常、その微生物が宿主の中で生き残り複製する能力で決まる。感染時にM. ツバキュロシス(M. tuberculosis)は主にマクロファージの中に住み、いろいろな不利な条件にさらされる、例えば、低酸素症反応性の窒素又は酸素種、養分欠乏、及び免疫監視時に生成されるその他のマクロファージ殺菌システムなどである。マクロファージに入り込み、宿主の免疫応答メカニズムから逃げ回って細胞内で生存するM. ツバキュロシス(M. tuberculosis)の能力がその毒性にとって決定的に重要であると考えられる。
【0004】
M. ツバキュロシス(M. tuberculosis)は二種の機能性分泌チロシンホスファターゼ(低分子量ホスファターゼ)、すなわちMptpAとMptpB、を有することが見出された(Koul et al., 2000, J. Bacteriol., 182, 5425-5432)。MptpBは、リゾソーム・コンパートメントのpHに近いpH 5.6で最適な活動性を有し、もっぱらM. ツバキュロシス(M. tuberculosis)の病原性の株に存在する。MptpB突然変異株はモルモットにおける活性化されたマクロファージでは生存能力が損なわれるが、休止しているマクロファージではそうならない。このことは宿主―病原体相互作用におけるその重要性を示唆する(Singh et al., 2003, Mol. Microbiol., 50, 751-762)。
【0005】
WO 2005/005639は、修飾されたチロシンホスファターゼ遺伝子(MptpA及び/又はMptpB)を有するマイコバクテリウム(Mycobacterium)突然変異株を提供しており、このマイコバクテリウム(Mycobacterium)突然変異株は活性のチロシンホスファターゼを発現できないと言われ、マイコバクテリウム(Mycobacterium)の毒性と病原性におけるチロシンホスファターゼMptpA及びMptpBの役割を評価する方法を提案している。これは、抗結核薬を開発するための標的として使用できる可能性がある。
【0006】
したがって、マイコバクテリアからの分泌チロシンホスファターゼ(例えば、MptpA及び/又はMptpB)の阻害は、マイコバクテリアの増殖を阻害又は防止し(WO 01/81422)、したがってTBの治療に有益であろうと示唆された。したがって、微生物のホスファターゼの阻害因子を開発することはTBの治療に有益であると考えられる。
【0007】
イソニアジドとリファンピンが1950年代と1960年代に開発されたが、最近の40年間には何も有力な新薬はなかった。
【0008】
WHOが勧告しているTBの標準的な治療は少なくとも6ヶ月続き、異なる抗生物質を組み合わせることが必要である(Van Daele et al., 2005, Expert Opin. Ther. Patents, 15(2), 131-140)。
【0009】
最近、Van Daele et al., 2005(上記), DO Davies et al., 2003, Expert Opin. Invest. Drugs, 12(8), 1297-1312, 及びDoggrell, 2005(上記), 及びTangallapally et al., 2005, J. Med. Chem., 2005, 48(26), 8261-8269に記載されているような抗微生物小分子治療法が開発された。
【0010】
いくつかの拡がっている細菌感染症に低分子量ホスファターゼ経路が大きく関わっていることは、TBの強力な新薬を開発する必要性を強調している。
【発明の開示】
【0011】
発明の概要
本発明の目的は、結核などの細菌感染症及び結核による免疫抑制から生ずる肺炎やAIDSなどの疾病の治療及び/又は予防に適した物質を提供することである。
【0012】
特に、本発明の目的は、マイコバクテリアからの分泌チロシンホスファターゼ(例えば、MptpA及び/又はMptpB)、特にMptpB、の活性又は機能を修飾できる、特に阻害できる化合物を提供することである。
【0013】
さらに、本発明の目的は、結核などの細菌感染症及び結核による免疫抑制から生ずる肺炎やAIDSなどの疾病の治療及び/又は予防のための新しいカテゴリーの医薬製剤を提供することである。
【0014】
さらに、本発明の目的は、結核などの細菌感染症及び結核による免疫抑制から生ずる肺炎やAIDSなどの疾病の治療及び/又は予防のための方法を提供することである。
【0015】
第一の様態で、本発明は次の式(I)のオキサミン酸誘導体の使用を提供する:
【化1】

ここで、G1、R1、R2、R3、R4、R5、Cy、m、及びnは、結核などの細菌感染症及び結核による免疫抑制から生ずる肺炎やAIDSなどの疾病の予防及び/又は治療のための医薬製剤の調製についての以下の詳細な記述で定義される。
【0016】
第二の様態で、本発明は、マイコバクテリウム・ツバキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)タンパク質チロシンホスファターゼ (MPTP)、特にMPTPB、に関連した疾病及び病気の予防及び/又は治療のための医薬製剤の調製のための式(I)のスルホンアミド誘導体の使用を提供する。
【0017】
第三の様態で、本発明は、マイコバクテリウム・ツバキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)タンパク質チロシンホスファターゼ (MPTP)、特にMPTPB、の活性又は機能を修飾する、特に阻害する医薬製剤の調製のための式(I)のスルホンアミド誘導体の使用を提供する。
【0018】
第四の様態で、本発明は式(I)による化合物を提供する。
【0019】
第五の様態で、本発明は医薬として用いる式(I)による化合物を提供する。
【0020】
第六の様態で、本発明は式(I)による少なくとも一種の化合物と医薬的に許容される担体、希釈剤、又は賦型剤を含む医薬組成物を提供する。
【0021】
第七の様態で、本発明は、マイコバクテリウム・ツバキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)タンパク質チロシンホスファターゼ (MPTP)、特にMPTPB、と関連した結核及びその他の疾病や病気から選択される細菌性疾患に罹病している患者を治療する方法を提供する。
【0022】
第八の様態で、本発明は、式(I)による化合物を合成する方法を提供する。
【0023】
第九の様態で、本発明は、式(Ia)による化合物を提供する。
【0024】
発明の詳細な説明
以下のパラグラフは、本発明による化合物を構成するいろいろな化学成分の定義を与え、別の形で明示された定義がもっと広い定義を与える場合を除き、これらの定義が本明細書と特許請求の範囲の全体にわたって適用される。
【0025】
“C1-C6-アルキル”とは、1乃至6個の炭素原子を有する一価アルキル基を指す。この用語の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、などである。同様に、“C1-C12-アルキル”は1乃至12個の炭素原子を有する一価アルキル基を指し、“C1-C6-アルキル”及びヘプチル、オクチル、ノニル、デカノイル、ウンデカノイル、及びドデカノイル基を含み、“C1-C10-アルキル”は1乃至10個の炭素原子を有する一価アルキル基を指し、“C1-C8-アルキル”は1乃至8個の炭素原子を有する一価アルキル基を指し、“C1-C5-アルキル”は1乃至5個の炭素原子を有する一価アルキル基を指し、“C7-C12-アルキル”はドデシルなど7乃至12個の炭素原子を有する一価アルキル基を指す。
【0026】
“ヘテロアルキル”とは、少なくともひとつの炭素原子がO、N、又はSから選択されるヘテロ原子で置き換えられたC1-C12-アルキル、好ましくはC1-C6-アルキル、を指し、2-メトキシエチルを含む。
【0027】
“アリール”とは、6乃至14個の炭素原子を有し、単一環(例えば、フェニル)又は多重縮合環(例えば、ナフチル)を有する不飽和芳香族炭素環基を指す。アリールは、フェニル、ナフチル、フェナントレニルなどを含む。
【0028】
“C1-C6-アルキルアリール”とは、C1-C6アルキル置換基を有するアリール基を指し、メチルフェニル、エチルフェニル、などを含む。
【0029】
“アリールC1-C6-アルキル”とは、アリール置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、3-フェニルプロパノイル、ベンジルなどを含む。
【0030】
“ヘテロアリール”とは、単環式ヘテロ芳香族、又は二環式、又は三環式縮合環ヘテロ芳香族基を指す。ヘテロ芳香族基の特定の例は、任意に置換されるピリジル、ピロリル、ピリミジニル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,3,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、ベンゾフリル、[2,3-ジヒドロ]ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、3H-インドリル、ベンゾイミダゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリジニル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、ピリド[3,4-b]ピリジル、ピリド[3,2-b]ピリジル、ピリド[4,3-b]ピリジル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、キサンテニル、又はベンゾキノリルなどである。
【0031】
“C1-C6-アルキルヘテロアリール”とは、C1-C6アルキル置換基を有するアリール基を指し、メチルフリルなどを含む。
【0032】
“ヘテロアリールC1-C6-アルキル”とは、ヘテロアリール置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、フリルメチルなどを含む。
【0033】
“C2-C6-アルケニル”とは、好ましくは2乃至6個の炭素原子を有し、少なくともひとつ又は二つのアルケニル不飽和部位を有するアルケニル基を指す。好ましいアルケニル基は、エテニル(-CH=CH2)、n-2-プロペニル(アリル、-CH2CH=CH2)、などである。
【0034】
“C2-C6-アルケニルアリール”とは、C2-C6-アルケニル置換基を有するアリール基を指し、ビニルフェニルなどを含む。
【0035】
“アリールC2-C6-アルケニル”とは、アリール置換基を有するC2-C6-アルケニル基を指し、フェニルビニルなどを含む。
【0036】
“C2-C6-アルケニルヘテロアリール”とは、C2-C6-アルケニル置換基を有するヘテロアリール基を指し、ビニルピリジニルなどを含む。
【0037】
“ヘテロアリールC2-C6-アルケニル”とは、ヘテロアリール置換基を有するC2-C6-アルケニル基を指し、ピリジニルビニルなどを含む。
【0038】
“C2-C6-アルキニル”とは、好ましくは2乃至6個の炭素原子を有し、少なくともひとつ又は二つのアルキニル不飽和部位を有するアルキニル基を指す。好ましいアルキニル基は、エチニル(-CH≡CH)、プロパルギル(-CH2C≡CH)、などである。
【0039】
“C3-C8-シクロアルキル”とは、単一環(例えば、シクロヘキシル)又は多重縮合環(例えば、ノルボルニル)を有する3乃至8炭素原子の飽和炭素環を指す。C3-C8-シクロアルキルは、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニルなどを含む。
【0040】
“ヘテロシクロアルキル”とは、上記の定義によるC3-C8-シクロアルキル基であって、3個までの炭素原子がO、S、NRから選択されるヘテロ原子で置き換えられているものを指し、ここでRは水素又はメチルと定義される。ヘテロシクロアルキルはピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、テトラヒドロフランなどである。
【0041】
“C1-C6-アルキルシクロアルキル”とは、C1-C6-アルキル置換基を有するC3-C8-シクロアルキル基を指し、メチルシクロペンチルなどを含む。
【0042】
“シクロアルキルC1-C6-アルキル”とは、C3-C8-シクロアルキル置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、3-シクロペンチルプロピルなどを含む。
【0043】
“C1-C6-アルキルヘテロシクロアルキル”とは、C1-C6-アルキル置換基を有するヘテロシクロアルキル基を指し、1-メチルピペラジンなどを含む。
【0044】
“ヘテロシクロアルキルC1-C6-アルキル”とは、ヘテロシクロアルキル置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、4-メチルピペリジルなどを含む。
【0045】
“カルボキシ”とは、-C(O)OH基を指す。
【0046】
“カルボキシC1-C6-アルキル”とは、カルボキシ置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、2-カルボキシエチルなどを含む。
【0047】
“アシル”とは、-C(O)R基を指し、ここでRは、H、“C1-C12-アルキル”、好ましくは“C1-C6-アルキル”、“アリール”、“ヘテロアリール”、“C3-C8-シクロアルキル”、“ヘテロシクロアルキル”、“アリールC1-C6-アルキル”、“ヘテロアリールC1-C6-アルキル”、“C3-C8-シクロアルキルC1-C6-アルキル”、又は“ヘテロシクロアルキルC1-C6-アルキル”などである。
【0048】
“アシルC1-C6-アルキル”とは、アシル置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、アセチル、2-アセチルエチルなどを含む。
【0049】
“アシルアリール”とは、アシル置換基を有するアリール基を指し、2-アセチルフェニルなどを含む。
【0050】
“アシルオキシ”とは、-OC(O)R基を指し、ここでRは、H、“C1-C6-アルキル”、“C2-C6-アルケニル”、“C2-C6-アルキニル”、“C3-C8-シクロアルキル”、“ヘテロシクロアルキル”、“アリール”、“ヘテロアリール”、 “アリールC1-C6-アルキル”又は“ヘテロアリールC1-C6-アルキル”、“アリールC2-C6-アルケニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルケニル”、“アリールC2-C6-アルキニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルキニル”、“シクロアルキルC1-C6-アルキル”、“ヘテロシクロアルキルC1-C6-アルキル”などである。
【0051】
“アシルオキシC1-C6-アルキル”とは、アシルオキシ置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、プロピオン酸エチルエステルなどを含む。
【0052】
“アルコキシ”とは、-O-R基を指し、ここでRは、“C1-C6-アルキル”又は“アリール”又は“ヘテロアリール”又は“アリールC1-C6-アルキル”又は“ヘテロアリールC1-C6-アルキル”などである。好ましいアルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、フェノキシなどである。
【0053】
“アルコキシC1-C6-アルキル”とは、C1-C6-アルキル置換基を有するアルコキシ基を指し、メトキシ、メトキシエチルなどを含む。
【0054】
“アルコキシカルボニル”とは、-C (O)OR基を指し、ここでRは、H、“C1-C6-アルキル”又は“アリール”又は“ヘテロアリール”又は“アリールC1-C6-アルキル”又は“ヘテロアリールC1-C6-アルキル”又は“ヘテロアルキル”などである。
【0055】
“アルコキシカルボニルC1-C6-アルキル”とは、アルコキシカルボニル置換基を有するC1-C5-アルキル基を指し、2-(ベンジルオキシカルボニル)エチルなどを含む。
【0056】
“アミノカルボニル”とは、-C(O)NRR’基を指し、ここで各R、R’は独立に、水素又はC1-C6-アルキル又はアリール又はヘテロアリール又は“アリールC1-C6-アルキル”又は“ヘテロアリールC1-C6-アルキル”などであり、N-フェニルホルムアミドなどを含む。
【0057】
“アミノカルボニルC1-C6-アルキル”とは、アミノカルボニル置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、2-(ジメチルアミノカルボニル)エチル、N-エチルアセタミド、N,N-ジエチルアセタミドなどを含む。
【0058】
“アシルアミノ”とは、-NRC(O)R基を指し、ここで各R、R’は独立に、水素、“C1-C6-アルキル”、“C2-C6-アルケニル”、“C2-C6-アルキニル”、“C3-C8-シクロアルキル”、“ヘテロシクロアルキル”、“アリール”、“ヘテロアリール”、“アリールC1-C6-アルキル”又は“ヘテロアリールC1-C6-アルキル”、“アリールC2-C6-アルケニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルケニル”、“アリールC2-C6-アルキニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルキニル”、“シクロアルキルC1-C6-アルキル”、“ヘテロシクロアルキルC1-C6-アルキル”、である。
【0059】
“アシルアミノC1-C6-アルキル”とは、アシルアミノ置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、2-(プロピオニルアミノ)エチルなどを含む。
【0060】
“ウレイド”とは、-NRC(O)NR’R”基を指し、ここで各R、R’、R”は独立に、水素、“C1-C6-アルキル”、“C2-C6-アルケニル”、“C2-C6-アルキニル”、“C3-C8-シクロアルキル”、“ヘテロシクロアルキル”、“アリール”、“ヘテロアリール”、“アリールC1-C6-アルキル”又は“ヘテロアリールC1-C6-アルキル”、“アリールC2-C6-アルケニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルケニル”、“アリールC2-C6-アルキニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルキニル”、“シクロアルキルC1-C6-アルキル”、“ヘテロシクロアルキルC1-C6-アルキル”、であり、R’とR”はそれらが付着する窒素原子と共に3-8員ヘテロシクロアルキル環を任意に形成できる。
【0061】
“ウレイドC1-C6-アルキル”とは、ウレイド置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、2-(N’-メチルウレイド)エチルなどを含む。
【0062】
“カルバメート”とは、-NRC(O)OR’基を指し、ここで各R、R’は独立に、水素、“C1-C6-アルキル”、“C2-C6-アルケニル”、“C2-C6-アルキニル”、“C3-C8-シクロアルキル”、“ヘテロシクロアルキル”、“アリール”、“ヘテロアリール”、“C1-C6-アルキルアリール”又は“ヘテロアリールC1-C6-アルキル”、“アリールC2-C6-アルケニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルケニル”、“アリールC2-C6-アルキニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルキニル”、“シクロアルキルC1-C6-アルキル”、“ヘテロシクロアルキルC1-C6-アルキル”、である。
【0063】
“アミノ”とは、-NRR’基を指し、ここで各R、R’は独立に、水素、“C1-C6-アルキル”又は“アリール”又は“ヘテロアリール”又は“C1-C6-アルキルアリール”又は“C1-C6-アルキルヘテロアリール”又は“シクロアルキル”、又は“ヘテロシクロアルキル”であり、RとR’はそれらが付着する窒素原子と共に3-8員ヘテロシクロアルキル環を任意に形成できる。
【0064】
“アミノC1-C6-アルキル”とは、アミノ置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、2-(1-ピロリジニル)エチルなどを含む。
【0065】
“アンモニウム”とは、正荷電の-N+RR’R”基を指し、ここで各R、R’、R”は独立に、“C1-C6-アルキル”又は“C1-C6-アルキルアリール”又は“C1-C6-アルキルヘテロアリール”、又は“シクロアルキル”、又は“ヘテロシクロアルキル”であり、RとR’はそれらが付着する窒素原子と共に3-8員ヘテロシクロアルキル環を任意に形成できる。
【0066】
“アンモニウムC1-C6-アルキル”とは、アンモニウム置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、1-エチルピロリジニウムなどを含む。
【0067】
“ハロゲン”とは、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素原子を指す。
【0068】
“スルホニルオキシ”とは、-OSO2-Rを指し、ここでRは、H、“C1-C6-アルキル”、ハロゲンで置換された“C1-C6-アルキル”、例えば、-OSO2-CF3基、“C2-C6-アルケニル”、“C2-C6-アルキニル”、“C3-C8-シクロアルキル”、“ヘテロシクロアルキル”、“アリール”、“ヘテロアリール”、“アリールC1-C6-アルキル”又は“ヘテロアリールC1-C6-アルキル”、“アリールC2-C6-アルケニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルケニル”、“アリールC2-C6-アルキニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルキニル”、“シクロアルキルC1-C6-アルキル”、“ヘテロシクロアルキルC1-C6-アルキル”から選択される。
【0069】
“スルホニルオキシC1-C6-アルキル”とは、スルホニルオキシ置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、2-(メチルスルホニルオキシ)エチルなどを含む。
【0070】
“スルホニル”とは、-SO2-R基を指し、ここでRは、H、“アリール”、“ヘテロアリール”、“C1-C6-アルキル”、ハロゲンで置換された“C1-C6-アルキル”、例えば、-SO2-CF3基、“C2-C6-アルケニル”、“C2-C6-アルキニル”、“C3-C8-シクロアルキル”、“ヘテロシクロアルキル”、“アリール”、“ヘテロアリール”、“アリールC1-C6-アルキル”又は“ヘテロアリールC1-C6-アルキル”、“アリールC2-C6-アルケニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルケニル”、“アリールC2-C6-アルキニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルキニル”、“シクロアルキルC1-C6-アルキル”、“ヘテロシクロアルキルC1-C6-アルキル”から選択される。
【0071】
“スルホニルC1-C6-アルキル”とは、スルホニル置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、2-(メチルスルホニル)エチルなどを含む。
【0072】
“スルフィニル”とは、“-S(O)-R”基を指し、ここでRは、H、“C1-C6-アルキル”、ハロゲンで置換された“C1-C6-アルキル”、例えば、-SO-CF3基、“C2-C6-アルケニル”、“C2-C6-アルキニル”、“C3-C8-シクロアルキル”、“ヘテロシクロアルキル”、“アリール”、“ヘテロアリール”、“アリールC1-C6-アルキル”又は“ヘテロアリールC1-C6-アルキル”、“アリールC2-C6-アルケニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルケニル”、“アリールC2-C6-アルキニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルキニル”、“シクロアルキルC1-C6-アルキル”、“ヘテロシクロアルキルC1-C6-アルキル”から選択される。
【0073】
“スルフィニルC1-C6-アルキル”とは、スルフィニル置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、2-(メチルスルフィニル)エチルなどを含む。
【0074】
“スルファニル”とは、-S-R基を指し、ここでRは、H、“C1-C6-アルキル”、ハロゲンで置換された“C1-C6-アルキル”、例えば、-SO-CF3基、“C2-C6-アルケニル”、“C2-C6-アルキニル”、“C3-C8-シクロアルキル”、“ヘテロシクロアルキル”、“アリール”、“ヘテロアリール”、“アリールC1-C6-アルキル”又は“ヘテロアリールC1-C6-アルキル”、“アリールC2-C6-アルケニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルケニル”、“アリールC2-C6-アルキニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルキニル”、“シクロアルキルC1-C6-アルキル”、“ヘテロシクロアルキルC1-C6-アルキル”から選択される。
【0075】
“スルファニルC1-C6-アルキル”とは、スルファニル置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、2-(エチルスルファニル)エチルなどを含む。
【0076】
“スルフィニルアミノ”とは、-NRSO2-R’基を指し、ここで各R、R’は独立に、水素、“C1-C6-アルキル”、“C2-C6-アルケニル”、“C2-C6-アルキニル”、“C3-C8-シクロアルキル”、“ヘテロシクロアルキル”、“アリール”、“ヘテロアリール”、“アリールC1-C6-アルキル”又は“ヘテロアリールC1-C6-アルキル”、“アリールC2-C6-アルケニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルケニル”、“アリールC2-C6-アルキニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルキニル”、“シクロアルキルC1-C6-アルキル”、“ヘテロシクロアルキルC1-C6-アルキル”を含む。
【0077】
“スルフィニルアミノC1-C6-アルキル”とは、スルフィニルアミノ置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、2-(エチルスルフォニルアミノ)エチルなどを含む。
【0078】
“アミノスルホニル”とは、-SO2-NRR’基を指し、ここで各R、R’は独立に、水素、“C1-C6-アルキル”、“C2-C6-アルケニル”、“C2-C6-アルキニル”、“C3-C8-シクロアルキル”、“ヘテロシクロアルキル”、“アリール”、“ヘテロアリール”、“アリールC1-C6-アルキル”又は“ヘテロアリールC1-C6-アルキル”、“アリールC2-C6-アルケニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルケニル”、“アリールC2-C6-アルキニル”、“ヘテロアリールC2-C6-アルキニル”、“シクロアルキルC1-C6-アルキル”、“ヘテロシクロアルキルC1-C6-アルキル”を含む。
【0079】
“アミノスルホニルC1-C6-アルキル”とは、アミノスルホニル置換基を有するC1-C6-アルキル基を指し、2-(シクロヘキシルアミノスルホニル)エチルなどを含む。
【0080】
“置換された又は置換されない”:個々の置換基の定義によって別に制約される場合を除き、上述された基、“アルケニル”、“アルキニル”、“アリール”、“ヘテロアリール”、“シクロアルキル”、“ヘテロシクロアルキル”、等の基は、任意に、“C1-C6-アルキル”、“C2-C6-アルケニル”、“C2-C6-アルキニル”、“シクロアルキル”、“ヘテロシクロアルキル”、“C1-C6-アルキルアリール”、“C1-C6-アルキルヘテロアリール”、“C1-C6-アルキルシクロアルキル”、“C1-C6-アルキルヘテロシクロアルキル”、“アミノ”、“アンモニウム”、“アシル”、“アシルオキシ”、“アシルアミノ”、“アミノカルボニル”、“アルコキシカルボニル”、“ウレイド”、“アリール”、“カルバメート”、“ヘテロアリール”、“スルフィニル”、“スルホニル”、“アルコキシ”、“スルファニル”、“ハロゲン”、“カルボキシ”、トリハロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、などから成る群から選択される1乃至5個の置換基によって置換することができる。
【0081】
“置換された”とは、“C1-C6-アルキル”、“C2-C6-アルケニル”、“C2-C6-アルキニル”、“シクロアルキル”、“ヘテロシクロアルキル”、“C1-C6-アルキルアリール”、“C1-C6-アルキルヘテロアリール”、“C1-C6-アルキルシクロアルキル”、“C1-C6-アルキルヘテロシクロアルキル”、“アミノ”、“アミノスルホニル”、“アンモニウム”、“アシルアミノ”、 “アミノカルボニル”、 “アリール”、“ヘテロアリール”、“スルフィニル”、“スルホニル”、“アルコキシ”、“アルコキシカルボニル”、“カルバメート”、“スルファニル”、“ハロゲン”、トリハロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、などから成る群から選択される1乃至5個の置換基で置換される基を指す。
【0082】
“医薬的に許容される塩又は錯塩”とは、以下で特定される式(I)の化合物の塩又は錯塩を指す。そのような塩の例としては、式(I)の化合物の有機又は無機の塩基、例えば、水酸基、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、又はリチウム)アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、又はマグネシウム)から成る群から選択される金属カチオンの炭酸塩又は重炭酸塩、との反応、又は有機第一級、第二級、又は第三級アルキルアミンとの反応、によって形成される塩基付加塩があるが、それだけに限定されない。メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルフォリン、N-Mc-D-グルカミン、N,N’-ビス(フェニルメチル)-1,2-エタンジアミン、トロメタミン、エタノルアミン、ジエタノルアミン、エチレンジアミン、N-メチルモルフォリン、プロカイン、ピペリジン、ピペラジン、などから誘導されるアミン塩は本発明の範囲内にあると考えられる。
【0083】
また、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、など)、並びに有機酸、すなわち酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸、アルギニン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、及びポリガラクツロ酸、との反応で形成される酸付加塩も含まれる。
【0084】
“医薬的に活性な誘導体”とは、受容者に投与されたとき、本明細書に開示されるような活性を直接又は間接に示すことができる化合物を指す。“間接に”という用語は、また、体内で生成される酵素又は代謝によって薬の活性形態に変換されるプロドラッグも包含する。
【0085】
本発明の化合物はマイコバクテリウム・ツバキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)タンパク質チロシンホスファターゼ (MPTP)、の修飾物質であることが見出された。MPTPが本発明の化合物によって阻害されると、MPTPはその生物学的及び/又は薬理的な効果を発揮することができない。
【0086】
式(I)による化合物は、マイコバクテリウム・ツバキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)タンパク質チロシンホスファターゼ (MPTP)の活性を修飾するのに、特に阻害するのに適している。したがって、本発明の化合物はまた、マイコバクテリウム・ツバキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)タンパク質チロシンホスファターゼ (MPTP)が関わる疾病の治療及び/又は予防に特に有用であると考えられる。上記治療は、マイコバクテリウム・ツバキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)タンパク質チロシンホスファターゼ (MPTP)、特にMPTPB、の修飾−特に阻害又はダウンレギュレーション−を使用する。本発明による化合物は、結核及びTBによる免疫抑制が関わる細菌性疾病の治療及び/又は予防に有用である。そのような疾病の例は、肺炎又はAIDSである。HIVとTBは致死的な組み合わせであり、それぞれが他方の進行を加速する。HIVは免疫系を弱め、HIV陽性でTBに感染した人は、HIV陰性でTBに感染した人に比べてTBを発病する確率が何倍も高くなる。
【0087】
別の実施形態では、本発明の化合物は細菌感染症及びTBによる免疫抑制が関わるその他の疾病の治療に、単独で、又は細菌感染症の治療に有用な共同作用剤(co-agent)と組み合わせて、用いることができ、共同作用剤は、例えば、以下の化合物などから選択される:
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【0088】
細菌感染症の治療で有用な本発明の化合物と共同作用剤は、細菌感染症の治療で同時に、別々に、又は継起的に使用することができる。
【0089】
本発明による一般式(I)は、また、その互変異性体、幾何異性体、光学的に活性な鏡像異性体、ジアステレオマー、及びそのラセミ化合物形態など、並びに医薬的に許容されるその塩、を含む。式(I)の医薬的に許容される好ましい塩は、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルフォリン、N-Me-D-グルカミン、N,N’-ビス(フェニルメチル)-1,2-エタンジアミン、トロメタミン、エタノルアミン、ジエタノルアミン、エチレンジアミン、N-メチルモルフォリン、プロカイン、ピペリジン、ピペラジン、などのアミンから誘導される塩である。
【0090】
ある実施形態では、本発明は次の式(I)のスルホンアミド誘導体の使用を提供する:
【化12】

ここで、G1は-CR6R7-、-O-、-S-、及び-N(R8)から選択される;
R1は、H、任意に置換されるC1-C6アルキル、任意に置換されるC7-C12アルキル、例えばドデシル、ヘキシル、2-エチルヘキシル、任意に置換されるアシルオキシC1-C6アルキル、例えば酪酸、任意に置換されるC2-C6アルケニル、任意に置換されるC2-C6アルキニル、任意に置換されるアリールC1-C6アルキル、例えば任意に置換されるフェニルC1-C6アルキル(例えば、3,3-ジフェニルプロピル、2-(4-フェノキシフェニル)エチル、2-ビフェニル-4-イルエチル、2-(4-クロロフェニル)プロピル)、任意に置換されるヘテロアリールC1-C6アルキル、任意に置換されるC3-C8-シクロアルキルC1-C6-アルキル及び任意に置換されるヘテロアリールC1-C6アルキルから選択される;
R2は、H、任意に置換されるC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、任意に置換されるC2-C6アルキニル、及び任意に置換されるC3-C8-シクロアルキルから選択される;
R3とR4は、独立に、H、任意に置換されるC1-C6アルキル、及びハロゲンから選択される;
R5は、H、任意に置換されるC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、任意に置換されるC2-C6アルキニル、及び任意に置換されるC3-C8-シクロアルキルから選択される;
R6、R7、及びR8は、独立に、H、任意に置換されるC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、任意に置換されるC2-C6アルキニルから選択される;
Cyは、任意に置換されるアリール、例えば任意に置換されるフェニル、すなわちフェニル、ハロゲノフェニル(例えば、m-クロロフェニル、o-フルオロフェニル)、トリフルオロメチルフェニル(例えば、m-トリフルオロメチルフェニル、p-トリフルオロメチルフェニル)、ニトロフェニル(例えば、m-ニトロフェニル)、フェノキシフェニル(例えば、p-フェノキシフェニル)、メトキシフェニル(例えば、p-メトキシフェニル)、安息香酸(例えば、p-安息香酸)、任意に置換されるヘテロアリール、例えば、任意に置換されるピリジン、すなわちピリジン(例えば、4-ピリジニル)、トリフルオロメチルピリジニル(例えば、p-トリフルオロメチルピリジニル)など、任意に置換されるC3-C8-シクロアルキル、例えば、任意に置換されるシクロフェニル及び任意に置換されるヘテロシクロアルキルから選択される;
mとnは、独立に、0, 1, 2, 3, 及び4から選択される整数である;並びにその幾何異性体、光学活性形態、例えば、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びそのラセミ形態、並びに結核などの細菌感染症の治療のための医薬製剤を調製するのに医薬的に許容されるそれらの塩。
【0091】
ある特定実施形態で、本発明は、G1が-S-である式(I)のスルホンアミド誘導体を提供する。
【0092】
別の特定実施形態で、本発明は、R1が任意に置換されるC1-C6アルキル、任意に置換されるC7-C12アルキル 任意に置換されるC2-C6アルケニル、任意に置換されるC2-C6アルキニルから選択された式(I)のスルホンアミド誘導体を提供する。
【0093】
別の特定実施形態で、本発明は、R1が任意に置換されるC1-C6アルキル及び任意に置換されるヘテロアリールC1-C6アルキルから選択された式(I)のスルホンアミド誘導体を提供する。
【0094】
別の特定実施形態で、本発明は、R2がHである式(I)のスルホンアミド誘導体を提供する。
【0095】
別の特定実施形態で、本発明は、R3がHである式(I)のスルホンアミド誘導体を提供する。
【0096】
別の特定実施形態で、本発明は、R4がHである式(I)のスルホンアミド誘導体を提供する。
【0097】
別の特定実施形態で、本発明は、R5がHである式(I)のスルホンアミド誘導体を提供する。
【0098】
別の特定実施形態で、本発明は、R6がHである式(I)のスルホンアミド誘導体を提供する。
【0099】
別の特定実施形態で、本発明は、R7がHである式(I)のスルホンアミド誘導体を提供する。
【0100】
別の特定実施形態で、本発明は、R8がHである式(I)のスルホンアミド誘導体を提供する。
【0101】
別の特定実施形態で、本発明は、mが0である式(I)のスルホンアミド誘導体を提供する。
【0102】
別の特定実施形態で、本発明は、mが1である式(I)のスルホンアミド誘導体を提供する。
【0103】
別の特定実施形態で、本発明は、nが0である式(I)のスルホンアミド誘導体を提供する。
【0104】
別の特定実施形態で、本発明は、nが1である式(I)のスルホンアミド誘導体を提供する。
【0105】
別の特定実施形態で、本発明は、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8がHであり;Mが0と1から選択され;nが1であり;G1が-S-であり;R1とCyが開示に記載されているようなものである式(I)のスルホンアミド誘導体を提供する。
【0106】
本発明の化合物は特に以下から成る群の化合物を含む:
【表1】

【0107】
別の特定実施形態で、本発明は、マイコバクテリウム・ツバキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)タンパク質チロシンホスファターゼ (MPTP)、特にMPTPB、に関連した疾病や病気の予防及び/又は治療のための医薬製剤の調製のための式(I)の化合物の使用を提供する。
【0108】
別の特定実施形態で、本発明は、マイコバクテリウム・ツバキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)タンパク質チロシンホスファターゼ (MPTP)、特にMPTPB、の活性又は機能を修飾、特に阻害するための医薬製剤の調製のための式(I)の化合物の使用を提供する。
【0109】
別の特定実施形態で、本発明は、下のリストから選択された式(I)による化合物を提供する:
[[(5-{[(2-ビフェニル-4-イルエチル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸;
4-({[5-({(カルボキシカルボニル)[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}メチル)-2-チエニル]スルホニル}アミノ)ブタン酸;
4-{[(5-{[(カルボキシカルボニル)[3-クロロベンジル]アミノ]メチル}-2-チエニル)スルホニル]アミノ}ブタン酸;
{{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
[{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}(ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸;
((3-クロロベンジル){[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸;
{[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル][3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
{[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ}(オキソ)酢酸;
{(3-クロロベンジル)[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル]アミノ}(オキソ)酢酸;
((3-クロロベンジル){[5-({[2-({[5-(ジメチルアミノ)-1-ナフチル]スルホニル}アミノ)エチル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸;
【0110】
別の特定実施形態で、本発明は、下のリストから選択された医薬として使用するための式(I)による化合物を提供する:
[[(5-{[(2-ビフェニル-4-イルエチル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸;
4-({[5-({(カルボキシカルボニル)[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}メチル)-2-チエニル]スルホニル}アミノ)ブタン酸;
4-{[(5-{[(カルボキシカルボニル)[3-クロロベンジル]アミノ]メチル}-2-チエニル)スルホニル]アミノ}ブタン酸;
{{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
[{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}(ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸;
((3-クロロベンジル){[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸;
{[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル][3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
{[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ}(オキソ)酢酸;
{(3-クロロベンジル)[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル]アミノ}(オキソ)酢酸;
((3-クロロベンジル){[5-({[2-({[5-(ジメチルアミノ)-1-ナフチル]スルホニル}アミノ)エチル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸;
【0111】
別の特定実施形態で、本発明は、下のリストから選択される式(I)による少なくともひとつの化合物と医薬的に許容される担体、希釈剤、又は賦型剤を含む医薬組成物を提供する:
[[(5-{[(2-ビフェニル-4-イルエチル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸;
4-({[5-({(カルボキシカルボニル)[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}メチル)-2-チエニル]スルホニル}アミノ)ブタン酸;
4-{[(5-{[(カルボキシカルボニル)[3-クロロベンジル]アミノ]メチル}-2-チエニル)スルホニル]アミノ}ブタン酸;
{{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
[{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}(ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸;
((3-クロロベンジル){[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸;
{[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル][3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
{[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ}(オキソ)酢酸;
{(3-クロロベンジル)[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル]アミノ}(オキソ)酢酸;
((3-クロロベンジル){[5-({[2-({[5-(ジメチルアミノ)-1-ナフチル]スルホニル}アミノ)エチル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸;
【0112】
別の特定実施形態で、本発明は、マイコバクテリウム・ツバキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)タンパク質チロシンホスファターゼ (MPTP)、特にMPTPB、に関連した結核及びその他の疾病と病気から選択される細菌性疾病にかかった患者を治療する方法を提供する。この方法は、式(I)による化合物を投与するステップを含む。
【0113】
本発明の別の実施形態では、式(I)によるスルホンアミド誘導体を調製するプロセスであって、式(II)のアミンを式LG2-CO-CO-R2のカルボン酸と反応させるステップを含むプロセスが提供される
【化13】

ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、m、nは1であり、G1とCyは詳細な説明に記載されるようなものであり、LG2は適当な脱離基であって、Cl、N-ヒドロキシコハク酸イミド、又はベンゾトリアゾール-1-イルなどである。
【0114】
本発明の別の実施形態では、以下の群から選択される式(II)の誘導体が提供される:
エチル{({5-[(ヘキシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)[3(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸塩;
エチル[[(5-{[(2-ビフェニル-4-イルエチル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸塩;
4-({[5-({[エトキシ(オキソ)アセチル][3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}メチル)-2-チエニル]スルホニル}アミノ)ブタン酸;
4-({[5-({(3-クロロベンジル)[エトキシ(オキソ)アセチル]アミノ}メチル)-2-チエニル]スルホニル}アミノ)ブタン酸;
エチル{{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸塩;
エチル[{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}(ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸塩;
エチル((3-クロロベンジル){[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸塩;
エチル{[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル][3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸塩;
エチル{[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ}(オキソ)酢酸塩;
エチル{(3-クロロベンジル) [(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル]アミノ}(オキソ)酢酸塩;
エチル{(3-クロロベンジル) {[5-({[2-({[5-(ジメチルアミノ)-1-ナフチル]スルホニル}アミノ)エチル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸塩;
【0115】
本発明で例示されたスルホンアミド誘導体は、容易に入手可能な出発物質から以下の一般的方法及び手順を用いて調製できる。典型的な又は好ましい実験条件(すなわち、反応温度、時間、反応物質のモル数、溶媒、等)が与えられている場合、そうでないことが明記されていない限り他の条件を用いることもできることは理解されるであろう。最適な反応条件は使用する特定の反応物質又は溶媒によって異なるが、当業者は日常の最適化手順によってそのような条件を決定できる。
【0116】
医薬として用いた場合、本発明の化合物は典型的には医薬組成物の形で投与される。したがって、式(I)の化合物、及び医薬的に許容される担体、希釈剤又は賦型剤を含む医薬組成物も本発明の範囲内にある。医薬組成物を調合するのに適当なそのような担体、希釈剤又は賦型剤はすべて当業者に知られている。
【0117】
本発明の化合物は、通常用いられる補助剤、担体、希釈剤又は賦型剤と合わせて、医薬組成物及びそのユニット投薬量の形にし、錠剤又は充填されたカプセルなどの固体で、又は溶液,懸濁物、エマルジョン、エリクシール、又はそれを充填したカプセルなどの液体で、経口使用、又は腸管外(皮下使用を含む)の注射可能な無菌溶液の形で用いることができる。そのような医薬組成物及びそのユニット投薬量の形は、通常の比率の構成成分を含み、追加される活性化合物又は成分を含んで又は含まずに構成され、そのようなユニット投薬形態は、用いようとする一日投薬量に見合う適当な有効な量の活性成分を含む。
本発明のスルホンアミド誘導体を含む医薬組成物は、当業者に周知の仕方で調製され、少なくとも一種の活性化合物を含む。一般に、本発明の化合物は医薬的に有効な量で投与される。実際に投与される量は、普通、医師によって治療すべき病状、選ばれた投与ルート、実際に投与される化合物、個々の患者の年齢、体重、及び反応、患者の症状の深刻さ、などを考慮して決定される。
【0118】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、経皮、皮下、静脈、筋肉、及び経鼻などいろいろなルートで投与できる。経口投与される組成物は、溶液又は懸濁液などのバルク液体、又はバルク粉末の形を取ることができる。しかし普通、正確な投薬を容易にするために組成物は単位用量形態で与えられる。“単位用量形態”という用語は、人間及びその他の哺乳動物に対するユニタリー投与量として適当な物理的に離散的な単位を指し、各単位は所望の治療効果を生ずると計算された予め定められた量の活性物質を適当な医薬賦型剤と合わせて含む。典型的な単位用量形態は、予め充填された予め計量されたアンプル又はシリンジの液体、又は固体組成物の場合は、ピル、タブレット、カプセルなどの形である。そのような組成物において、スルホンアミド誘導体は、通常、マイナーな成分であり(重量で約0.1乃至約50%、又は好ましくは重量で約1乃至約40%)、残りは所望の投薬形態を形成するのを助けるいろいろなビヒクル又は担体及び加工補助物質である。
【0119】
経口投与に適した液体形態は、適当な水性又は非水性ビヒクルを緩衝剤、懸濁剤及び分散剤、着色剤、芳香剤などと共に含むことができる。固体形態は、以下の成分又は同様の化合物を含むことができる:すなわち、微結晶セルロース、ガム・トラガカント又はゼラチンなどの結合剤;でんぷん又はラクトースなどの賦型剤;アルギニン酸、Primoゲル又はコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、コロイド状二酸化ケイ素などの滑り剤;スクロース又はサッカリンなどの甘味料;又はペパーミント、サリチル酸メチル又はオレンジ香料などの芳香剤。
【0120】
注射可能な組成物は普通、注射可能な無菌食塩水又はリン酸緩衝食塩水、その他の当業者に公知の注射可能な担体をベースとする。上述のように、そのような組成物における式(I)のスルホンアミド誘導体は普通、マイナーな成分であり、しばしば重量で0.05乃至10%の範囲にあり、残りは注射可能な担体などである。
【0121】
経口投与される組成物又は注射可能な組成物の上記のような成分は代表的な成分にすぎない。その他の物質並びに加工方法などはRemington’s Pharmaceutical Science, 20th Edition, 2000, Marck Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaのパート5に記載されており、これは参照によって本明細書に組み込まれる。
【0122】
本発明の化合物は、また、持続放出形態で、又は持続放出薬剤送給システムから投与できる。代表的な持続放出物質はRemington’s Pharmaceutical Science,に組み込まれている資料でも見つけられる。
【0123】
本発明の化合物の合成:
式(I)によるスルホンアミド誘導体は、容易に入手できる出発物質から、いくつかの合成方法により、溶液相又は固体相の化学手順を用いて調製できる。合成経路の例を以下に記述する。
【0124】
以下の短縮形はそれぞれ下の定義を指す:
min(分)、h(時間)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mmol(ミリモル)、m.p.(融点)、eq(当量)、mL(ミリリットル)、μL(マイクロリットル)、mL(ミリリットル)、APCI(大気圧化学電離)、ESI(電気スプレー電離)、L(リットル)、AcOEt(酢酸エチル)、Boc(tert-ブトキシカルボニル)、CH3CN(アセトニトリル)、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)、DCE(ジクロロエタン)、DIEA(ジイソプロピルエチルアミン)、Fmoc(9-フルオレニルメトキシカルボニル)、CDCl3(重水素クルルホルム)、c-Hex(シクロヘキサン)、DCM(ジクロロメタン)、DIC(ジイソプロピルカルボジイミド)、DMAP(4-ジメチルアミノピリジン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルフォキシド)、DMSO-d6(重水素ジメチルスルフォキシド)、EDC(1-(3-ジメチル-アミノ-プロピル)-3-エチルカルボジイミド)、EtOAc(酢酸エチル)、Et2O(ジエチルエーテル)、EtOH(エタノール)、HOBt(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)、K2CO3(炭酸カリウム)、MeOH(メタノール)、CD3OD(重水素メタノール)、MgSO4(硫酸マグネシウム)、NaH(水素化ナトリウム)、NaHCO3(重炭酸ナトリウム)、NaBH3CN(シアノ水素化ホウ素ナトリウム)、NaBH4(水素化ホウ素ナトリウム)、NaBH(OAc)3(ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド)、NMM(N-メチルモルホリン)、NMP(N-メチルピロリドン)、PetEther(石油エーテル)、Pht(フタルイミド)、PyBOP(登録商標)(ベントトリアゾール-1-イル-オキシ-tris-ピロリジノ-ホスフォニウム-ヘキサフルオロホスフェート)、rt(室温)、Rt(反応時間)、SPE(固相抽出)、TEA(トリエチルアミン)、TFA(トリフルオロ酢酸)、THF(テトラヒドロフラン)、HAc(酢酸)、TMOF(トリメチオルソフォルミエート)。
【0125】
本発明で例示されるスルホンアミド誘導体は容易に入手できる出発物質から以下の一般的な方法及び手順を用いて調製できる。典型的な又は好ましい実験条件(すなわち、反応温度、時間、反応物質のモル数、溶媒、など)が示されている場合、別に記されていない限り他の実験条件を使用することもできることは言うまでもない。最適な反応条件は特定の反応物質又は用いる溶媒によって異なるが、そのような条件は当業者が日常的な最適化手順によって決定できる。
【0126】
本発明によるスルホンアミドの合成方法の例は、WO 03/064376に示されており、以下のスキームで例示されるプロセスで与えられる。
【0127】
式(I)の化合物の中間物質を調製する方法
一般に、一般式(I)による誘導体は、いくつかのプロセスによって、溶液相及び固相の化学手順を用いて得られる。G1、R1、R3、R4、R5、Cy、m、及びnの性質により、あるプロセスは他のプロセスよりも好ましくなるが、最も適したプロセスの選択は当業者によって判断される。
【0128】
a) 溶液相を用いる調製:
一般に、式(I)の誘導体は、エステル(Ia)を最初に合成し、その後その加水分解によって一般式(I)の誘導体を生ずることで得られる。
【0129】
以下では、G1、R1、R3、R4、R5、Cy、m、及びnが上で定義されたようなものである式(I)の誘導体の一般的な調製を説明する(下のスキーム1を参照のこと)。
【0130】
式(I)の誘導体は、式(LG2-CO-CO-R2)の対応するカルボン酸誘導体、ここでLG2はCl、 N-ヒドロキシこはく酸イミド、又はベンゾトリアゾール-1-イル-などの適当な脱離基であり、R2は任意に置換されるC1-C6-アルキル、C2-C6-アルケニル、任意に置換されるC2-C6-アルキニル、及び任意に置換されるC3-C8-シクロアルキルから選択される、と式(II)の第一級又は第二級アミンを結合させて調製できる。
【0131】
【化14】

【0132】
上記アミド誘導体の調製は、アミンとカルボン酸又はカルボン酸誘導体(例えば、酸クロリド)からアミド結合を作るために、標準的なカップリング剤、例えば、DIC、EDC、TBTU、DECP、DCC、PyBOP(登録商標)、イソブチルクロロフォルメート、その他を、TEA、DIEA、NMMなどの塩基の存在下で又は塩基なしで用いて、DCM、THF、又はDMFなどの適当な溶媒中で当業者によく知られた条件と方法を用いて行うことができる。式(Ia)の誘導体、すなわちR2が任意に置換されるC1-C6-アルキル、任意に置換されるC2-C6-アルケニル、任意に置換されるC2-C6-アルキニル、及び任意に置換されるC3-C8-シクロアルキルから選択される式(I)の誘導体、は次に水酸化物(例えば、NaOH)を用いて加水分解され、所望の式(I’)の、すなわちR2がHである式(I)の化合物を生ずる。
【0133】
式(II)のアミンは、例えば、式(III)のアミン、ここでG1、R1、R3、R4、R5、及びnは上で定義されたようなものである、のアルキル化によって調製できる(下のスキーム2)。この反応は、式(III)の化合物の、式(VIII)のカルボニル反応基による還元的アルキル化によって行われる。ここでR1aとR1bはH、任意に置換されるC1-C6-アルキル、任意に置換されるアリールであり、又は任意に置換されるC3-C8-シクロアルキルを形成でき、NaBH(OAc)3、NaBH3CN、NaBH4又は水素などの適当な還元剤の存在下で行われる。あるいはまた、式(II)のアミンは、式(VII)のアルキル化剤によるアミン(III)のアルキル化によっても得られる。ここでLG1はCl、Br、I、OTf、Ots、又はOMsなどの脱離基である。
【0134】
【化15】

【0135】
式(III)の上記アミンは、式(IV)の対応する保護された形態の脱保護によって得られる。ここでP1とP2はH又は例えばBoc又はFmocなどの保護基である、又はP1とP2はどちらもフタルイミド保護基を形成する。すべての保護、脱保護方法に関しては、Kocienski, in “Protecting Group”, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, New York, 1994及びTheodora W. Greene and Peter G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Synthesis”, 3rd Edition, John Wiley & Sons Inc. 1999 (NY)を参照のこと。
【0136】
G1、R1、R3、R4、及びnが上のように定義された式(IV)の保護されたアミンは、式(V)のスルホニルクロリドを式(VI)のアミンと当業者に周知の条件下で反応させて調製できる。
【0137】
式(VI)、(VII)、(VIII)の前駆化合物は商業的に入手できるか、又は市販の出発物質から容易にアクセスできる。
【0138】
b) 固相及び/又は固体/溶液の混合相を用いる調製:
さらに別の一般的な方法では、G1、R1、R3、R4、R6、R7、R8、Cy、m、及びnが上で定義されたようなものであり、R5がHである一般式(I)の誘導体は、周知の技術的アプローチ(例えば、IRORI(登録商標))を用いて実施例で記載されスキーム1,2及び3に示されるような固相及び/又は固体/溶液混合相の合成手順によって調製できる。スキーム1,2及び3において式(I)の化合物の溶液相合成に関して記述したものと基本的に同じ条件、方法、及び反応物質を上記化合物の固相及び/又は固体/溶液混合相合成にも適用できることは当業者には理解されるであろう。
【0139】
下のスキーム3における黒丸は、固相合成で化合物が結合する樹脂ビーズを示す。ビーズからの開裂が酸性条件下で行われて対応する式(I)の誘導体が得られる。実施例であげられる例えばSasrinアルデヒド樹脂などの樹脂タイプの他に、当業者に公知の他の適当な反応物質、特に樹脂、を一般式(I)の化合物の固相合成に用いることができることを理解すべきである。
【0140】
特に好ましいあるプロセスでは、R1が上で定義された式(VI)の樹脂結合アミンは、それ自体市販されている、又は例えばSasrinアルデヒド樹脂又はbromo-Wang樹脂などの樹脂とアミンから当業者に周知の標準的な還元的アミン化又はアルキル化条件を用いて容易に調製される。次に樹脂結合アミン(SPS-VI)を、式(V)の化合物によって、DIEAなどの塩基の存在下で、NMP、THF、又はDCM、などの適当な溶媒中でスルホニル化することができ、式(SPS-IV)の化合物が得られる。ここでP1とP2はH又は例えばBoc又はFmocなどの保護基である、又はP1とP2はフタルイミド保護基を形成する(下のスキーム3)。
【0141】
【化16】

【0142】
式(SPS-IV)の樹脂結合アミンの脱保護の後、式(VIII)のカルボニル反応物質による式(SPS-III)の樹脂結合アミンの還元的アルキル化によってアルキル化が行われる。ここでR1aとR1bはH、任意に置換されるC1-C6-アルキル、任意に置換されるアリールであり、又は任意に置換されるC3-C8-シクロアルキルを形成でき、反応は、NaBH(OAc)3、NaBH3CN、NaBH4又は水素などの適当な還元剤と適当な触媒の存在下で行われる。あるいはまた、式(VII)のアルキル化剤によるアミン(SPS-III)のアルキル化によって式(II)のアミンが得られる。ここでLG1はCl、Br、I、OTf、Ots、又はOMsなどの脱離基である。
【0143】
最後に、式(SPS-II)のこの化合物がエステルLG2-CO-COO-R2と結合される。ここでR2はH、任意に置換されるC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、任意に置換されるC2-C6アルキニル、及び任意に置換されるC3-C8-シクロアルキルから選択され、LG2は、例えばClなどの脱離基であり、反応はDIEAなどの塩基の存在下で非プロトン性溶媒(例えば、TCM又はTHFなど)中で行われ、式(SPS-Ia)の樹脂結合エステルが得られる。後者の化合物を、例えばNaOHなどの水酸化物によって適当な溶媒(例えば、THFなど)中で処理することによる加水分解でR2がHである式(SPS-I)の樹脂結合化合物が得られる。次に、酸性条件(例えば、20%THFを含むDCM溶液など)で樹脂からの開裂が行われて対応する式(I’)の所望の誘導体が得られる。あるいはまた、式(SPS-Ia)の樹脂結合エステルを、まずR4がH、C1-C6アルキル、及びハロゲンから選択された式(Ia)のエステルに開裂し、次に加水分解して式(I’)の所望の誘導体にすることもできる。
【0144】
別の一般的プロセスによって、式(I)の化合物を、当業者には周知の適当な相互変換方法によって式(I)の別の化合物に変換できる。
【0145】
上記の一般的合成方法の組を用いて式(I)の化合物及び/又は式(I)の化合物の合成に必要な中間物質を得ることができない場合、当業者に公知の適当な調製方法を用いなければならない。一般に、式(I)の個々の化合物の合成経路は各分子の特定置換基及び必要な中間物質の入手し易さに依存する;そのような因子も当業者には知られている。いろいろな保護及び脱保護の方法については、Philip J. Kocienski, “Protecting Group”, Georg Thieme Verlag Stuttgart, New York, 1994及びTheodors W. Greene and Peter G. M. Wuts“Protecting Group in Organic Synthesis”, Wiley Interscience, 3rd Edition 1999を参照のこと。
【0146】
本発明の化合物は、適当な溶媒の蒸発からの結晶化によって溶媒分子と連関させて単離できる。式(I)の化合物の医薬的に許容される塩基付加塩は、酸性中心を含み、通常の仕方で調製される。例えば、遊離酸の溶液を適当な塩基、非希釈の又は溶液の塩基によって処理し、得られた塩を濾過又は真空下で反応溶媒を蒸発させて単離することができる。医薬的に許容される酸付加塩も同様の仕方で式(I)の化合物の溶液を適当な酸で処理することによって得られる。イオン交換樹脂の方法を用いて両方のタイプの塩を形成又は相互転換することができる。
【0147】
以下では、本発明をいくつかの実施例によって説明するが、それらの実施例は本発明の範囲を制限するものではない。
【0148】
実施例
商業的に入手できる以下の出発物質が用いられた:
ドデシルアミン(Flukaから)、3,3-ジフェニルプロピルアミン(Aldrichから)、2-(4-フェノキシフェニル)エチルアミン(Transworldから)、2-ビフェニル-4-イル-エチルアミン(Transworldから)、ヘキシルアミン(Aldrichから)、4-アミノ酪酸t-ブチルエステル塩酸塩(Sennchemから)、2-(4-クロロフェニル)プロピルアミン塩酸塩(Sigmaから)、2-エチルヘキシルアミン(Flukaから)、ダンシルエチレンジアミン(Molecular Probeから)、4-トリフルオロメチル-ベンズアルデヒド(Aldrichから)、ベンズアルデヒド(Aldrichから)、シクロペンタノン(Flukaから)、3-ニトロ-ベンズアルデヒド(Flukaから)、4-メトキシ-ベンズアルデヒド(Flukaから)、2-フルオロ-ベンズアルデヒド(Flukaから)、4-メタンスルホニル-ベンズアルデヒド(Acrosから)、4-フェノキシ-ベンズアルデヒド(Aldrichから)、4-フォルミル安息香酸メチルエステル(Flukaから)、6-フルオロメチル-ピリジン-3-カルブアルデヒド(Peakdaleから)、3-トリフルオロメチル-ベンズアルデヒド(Aldrichから)、3-クロロ-ベンズアルデヒド(Flukaから)、チオフェン-2-メチルアミン(Aldrichから)、ピリジン-4-カルブアルデヒド(Flukaから)。
【0149】
以下で記述される実施例で示されるHPLC、MS及びNMRデータは次のようにして得られた。HPLC:Waters Symmetry C8カラム50 mm x 4.6 mm; 254 nmでUV検出;流量:2 mL/分間;条件A:8 分間勾配 H2O中0.1% TFAからCH3CN中0.07% TFAへ;条件B:10 分間勾配 H2O中0.1% TFAからCH3CN中0.07% TFAへ。セミ分取逆相HPLCは次のようにして得られた:Supelcosil+Plusカラム(25 mm x 21.2 mm, 12 μm);254 nm及び220 nmでUV検出;流量:20 mL/分間;条件C:10 分間勾配30% CH3CN in 0.1% TFA in CH3CNから100% CH3CNへ、続いて100% CH3CNで5 分間溶出。以下で記述される実施例で示されるMS データは次のようにして得られた:質量分析スペクトル:PE sciex API 150 EX (APCI or ESI) 又はLC/MS Waters ZMD (ESI)。以下で記述される実施例で示されるNMRデータは次のようにして得られた:1H-NMR: Bruker DPX-300MHz. TLC分析はMerck Precoated 60 F254プレートで行われる。フラッシュ・クロマトグラフィーによる精製はSiO2サポートで、シクロヘキサン/EtOAc又はDCM/MeOH混合物を溶出液として用いて行われる。
【0150】
実施例1:{({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)[4-(トリフルオロメチル)-ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸(1)
【化17】

【0151】
ステップ a) 2-(チエン-2-イルメチル)-1H-イソインドール-1,3-(2H)-ジオンの形成
トルエン(100 mL)中のチオフェン-2-メチルアミン(4.2 g, 37.1 mmol)とフタル酸無水物(5 g, 33.7 mmol)の溶液を還流で3時間攪拌、加熱して共沸蒸留により形成された水を除去した。次に溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をDCM (100 mL)に溶解し、水で洗浄し(3 x 30 mL)、MgSO4上で乾燥させ、濾過、濃縮して表題化合物を白色固体(7.8 g, 95%)として得た。1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ7.84 (d, 1H, J=5.4 Hz), 7.83 (d, 1H, J=5.4 Hz), 7.69 (d, 1H, J=5.4 Hz), 7.68 (d, 1H, J=5.4 Hz), 7.20 (d, 0.5H, J=5.2 Hz), 7.19 (d, 0.5H, J=5.2 Hz), 7.14 (m, 1H), 6.92 (d, 0.5H, J=5.1 Hz), 6.91 (d, 0.5H, J=5.1 Hz), 5.01 (s, 2H). HPLC (条件A), Rt: 4.11 分 (HPLC 純度: 99%).
【0152】
ステップ b) 5[(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)メチル]チオフェン-2-スルホニルクロリドの形成
ステップa)で得られた2-(チエン-2-イルメチル)-1H-イソインドール-1,3-(2H)-ジオン(6.8 g, 27.9 mmol)のDCM(56 mL)中の低温(-78℃)溶液に、DCM(9.3 mL)で希釈されたクロロスルホン酸(16.2 g, 139.3 mmol, 9.3 mL, d: 1.74)を滴下して加えた(約10分間)。反応混合物を、-78℃で2時間、-40℃で1時間、さらに室温で一晩攪拌した。得られた褐色溶液を氷に注いだ。混合物をDCMで抽出し(3 x 200 mL)、有機層の全体を水で洗浄し(3 x 200 mL)、MgSO4上で乾燥させ、濾過、濃縮して黄色っぽいオイルを得た。この粗生成物をシリカゲル上のカラム・クロマトグラフィー(AcOEt/c-Hex 1/4から1/3から1/2まで約1時間)によって精製して表題化合物を白色固体(6.4 g, 67%)として得た。1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ7.89 (d, 1H, J=5.5 Hz), 7.87 (d, 1H, J=5.5 Hz), 7.76 (d, 1H, J=5.5 Hz), 7.75 (d, 1H, J=5.5 Hz), 7.71 (d, 1H, J=4.0 Hz), 7.18 (d, 1H, J=4.0 Hz), 5.05 (s, 2H). HPLC (条件A), Rt: 4.6 分 (HPLC 純度: 94.8%).
【0153】
ステップc) 5-[(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)メチル]-N-ドデシルチオフェン-2-スルホンアミドの形成
ステップb) で得られた5[(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)メチル]チオフェン-2-スルホニルクロリド(2 g, 5.8 mmol)、DIEA(1.1 g, 8.8 mmol)のDCM (20 mL)中の溶液に、ドデシルアミン(1.4 g, 7.6 mmol)が室温で加えられ、反応混合物が室温で2 時間攪拌された。HClの1 M水溶液(10 mL)が加えられ、水性層がDCMで抽出された(2 x 30 mL)。有機層の全体をMgSO4上で乾燥させ、濾過、濃縮して黄色っぽいオイルを得た。この粗生成物をシリカゲル上のカラム・クロマトグラフィー(AcOEt/c-Hex 1/4から4/1まで約0.5時間)によって精製して表題化合物を白色固体(2.1 g, 73%)として得た。1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ7.91 (m, 2H), 7.85 (m, 2H), 7.43 (d, 1H, J=3.7 Hz), 7.17 (d, 1H, J=3.7 Hz), 5.05 (s, 2H), 2.90 (t, 2H, J=6.9 Hz), 1.50-1.38 (m, 2H), 1.35-1.16 (m, 18H), 0.86 (t, J=7.9 Hz, 3H). M8LC/MS): 489.3; M+(LC/MS): 491.2. HPLC (条件A), Rt: 6.64 分 (HPLC 純度;96%).
【0154】
ステップd) 5-[(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)メチル]-N-ドデシルチオフェン-2-スルホンアミドの脱保護;5-(アミノメチル)-N-ドデシルチオフェン-2-スルホンアミドの形成
EtOH(20 mL)中のステップc)で得られた5-[(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)メチル]-N-ドデシルチオフェン-2-スルホンアミド(2.0 g, 4.2 mmol)の溶液に、抱水ヒドラジン(0.61 mL, 633 mg, d: 1.030, 12.6 mmol)が加えられた。得られた反応混合物を還流で3 時間攪拌し、その後室温に冷却した。白色の沈澱を濾過によって除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をDCM(20 mL)に溶解し、沈澱を濾過によって除去した。集められた溶媒を濃縮して無色のオイルが得られ、それは放置すると固体(1.5 g, 99%)になった。1H NMR (DMSO-d6, 300MHz) δ7.37 (m, 1H), 6.94 (m, 1H), 3.91 (s, 2H), 2.78 (m, 2H), 1.91-1.65 (m, 20H), 0.86 (t, J=7.6 Hz, 3H). M-(LC/MS (ESI)): 359.2; M+(LC/MS (ESI)): 361.2. HPLC (条件A), Rt: 4.5 分 (HPLC 純度: 95%).
【0155】
ステップe) N-ドデシル-5-({[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}メチル)チオフェン-2-スルホンアミドの形成
DCE(50 mL)中のステップd)で得られた5-(アミノメチル)-N-ドデシルチオフェン-2-スルホンアミド(797 mg, 2.2 mmol)と4-トリフルオロメチル-ベンズアルデヒド(350 mg, 2.0 mmol)の溶液に、NaBH(OAc)3(596 mg, 2.8 mmol)を一度に加え、得られた混合物を一晩室温で攪拌した。30 mLのNaHCO3の飽和水溶液が反応混合物に加えられ、水性層が分離され、DCMで洗浄された(3 x 200 mL)。有機層の全体をMgSO4上で乾燥させ、濾過、濃縮して黄色っぽいオイルを得た。この粗生成物をシリカゲル上のカラム・クロマトグラフィー(AcOEt/c-Hex 1/4から1/2まで約1時間)によって精製して表題化合物を無色のオイル(675 mg, 64%)として得た。1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ7.60 (m, 2H), 7.46 (m, 2H), 7.37 (d, 0.7H, J=8.0 Hz), 6.88 (d, 1H, J=3.8Hz), 4.00 (s, 2H), 3.90 (s, 2H), 3.02 (m, 2H), 1.85-1.55 (m, 2H), 1.5 (m, 2H), 1.22 (s, 18H), 0.87 (t, 3H, 6.6 Hz). M-(LC/MS (ESI)): 517.2; M+(LC/MS (ESI)): 519.2. HPLC (条件A), Rt: 5.27 分 (HPLC 純度: 97%).
【0156】
ステップf) エチル{({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]チエン-2-イル}メチル)[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸塩の形成
0℃での無水THF (15 mL)中のステップe)で得られたN-ドデシル-5-({[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}メチル)チオフェン-2-スルホンアミド(670 mg, 1.29 mmol)とTEA (2 当量, 261 mg, 2.5 mmol)の溶液に、THF (2 mL)で希釈されたクロロ-オキソ-酢酸エチルエステル(1.5 当量, 265 mg, 1.9 mmol)が滴下によって加えられた。反応混合物は室温で3 時間攪拌された。溶媒を蒸発させ、DCMを加えた。溶液は水で洗浄した(3 x)。有機層の全体を、MgSO4上で乾燥させ、濾過、濃縮して黄色っぽいオイルを得た。この粗生成物をシリカゲル上のカラム・クロマトグラフィー(AcOEt/c-Hex 1/7)によって精製して表題化合物を無色のオイル(360 mg, 45%)として得た。1H NMR (CDCl3, 300MHz) δ7.66 (t, 2H, J=9.0 Hz), 7.42 (m, 2H), 7.37 (d, 0.7H, J=8.0 Hz), 6.87 (d, 0.3H, J=3.8 Hz), 6.86 (d, 0.7H, J=3.8 Hz), 4.60 (m, 2H), 4.52 (m, 2H), 4.36 (m, 2H), 3.02 (m, 2H), 1.50 (m, 3H), 1.40-1.20 (m, 21H), 0.86 (t, 3H, 6.6Hz). M-(APCI):617.2; M+(APCI): 619.2. HPLC (条件A), Rt: 7.1 分 (HPLC 純度: 99%).
【0157】
ステップg) {({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)[4-(トリフルオロメチル)-ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸の形成
EtOH(1.5 mL)中のステップf)で得られたエチル{({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]チエン-2-イル}メチル)[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸塩(356 mg, 0.58 mmol)の溶液にH2O(0.5 mL)中のNaOH(1.1 当量, 25 mg, 0.63 mmol)の水溶液が加えられ、得られた反応混合物が室温で1h攪拌された。溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAc (20 mL)に溶解し、HClの1 N水溶液(5 mL)で洗浄した。水性の層を分離しEtOAc (2 x 10 mL)で洗浄した。有機層の全体をMgSO4上で乾燥させ、濾過、濃縮して、表題化合物(I)を発泡体(foam, 325 mg, 96%)として得た。1H NMR (CD3OD, 300MHz) δ7.61 (m, 2H), 7.52 (m, 1H), 7.40 (m, 1H), 7.32 (m, 1H), 7.08 (m, 0.5H), 6.85 (m, 0.5H), 4.71 (m, 4H), 2.88 (m, 2H), 1.46 (m, 2H), 1.27 (m, 18H), 0.87 (t, J=8.1 Hz, 3H), M-(LC/MS (ESI)): 589.1; M+(LC/MS (ESI)): 591.3. HPLC (条件A), Rt: 6.58 分 (HPLC 純度: 99.9%).
【0158】
実施例2:[ベンジル({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)アミノ](オキソ)酢酸(2)
【化18】

【0159】
ステップa) 式(D)の樹脂結合アミン(スキーム5を参照のこと)、例えば樹脂結合ドデシルアミン、の形成
樹脂PS-MB-CHO HL (Argonaut Technologies Inc., 30 mg, 1.42 mmol/g, 0.0426 mmol, 100-200メッシュ)をDCE/TMOF (80/20)中1% HAc (1.0 mL)で室温で15 分間膨潤させた。ドデシルアミン(24 mg, 0.128 mmol)とナトリウムトリアセトボロヒドリド(27 mg, 0.128 mmol)を加え、反応混合物を室温で14 時間振とうした。樹脂を、THF (1 x 15 分間)、MeOH (1 x 15 分間)、THF (1 x 15 分間)、MeOH (3 x 10 分間)、DMF (3 x 10 分間)、MeOH (1 x 5 分間)、THF (3 x 10 分間)、MeOH (1 x 5 分間)、DCM (3 x 10 分間)及びEt2O (1 x 10 分間)で順次洗浄した。樹脂を真空下で乾燥して樹脂結合ドデシルアミンが得られ、それが次のステップで直接に用いられた。
【0160】
ステップb) 式(VII-1)(スキーム5、方法Lを参照のこと)の樹脂結合保護アミン、例えば樹脂結合5-[(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)メチル]-N-ドデシル-チオフェン-2-スルホンアミド、の形成
樹脂結合ドデシルアミン(ステップa)に記載、0.256 mmol)がDCM (1.0 mL)中で室温において15 分間膨潤させた。DIEA (33 mg, 0.256 mmol)と5-[(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)メチル]チオフェン-2-スルホニルクロリド(44 mg, 0.128 mmol)を加え、得られた反応混合物を室温で14 時間振とうした。樹脂を、NMP (1 x 15 分間)、MeOH (1 x 15 分間)、THF (1 x 15 分間)、MeOH (3 x 10 分間)、DMF (3 x 10 分間)、MeOH (1 x 5 分間)、THF (3 x 10 分間)、MeOH (1 x 5 分間)、DCM (3 x 10 分間)及びEt2O (1 x 10 分間)で順次洗浄した。樹脂を真空下で乾燥して表題化合物が得られ、それが次のステップで直接に用いられた。
【0161】
ステップc) 式(VII-1)の樹脂結合保護アミン(スキーム5を参照のこと)のフタルイミド脱保護;例えば、樹脂結合5-(アミノメチル)-N-ドデシルチオフェン-2-スルホンアミドの形成
樹脂結合5-[(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)メチル]-N-ドデシル-チオフェン-2-スルホンアミド(ステップb)で記載、0.0426 mmol)をDMF(1.15 mL)中のヒドラジン一水和物の60%(v/v)溶液で処理し、室温で14 時間振とうした。樹脂を、DMF (1 x 15 分間)、MeOH (3 x 10 分間)、DMF (3 x 10 分間)、MeOH (1 x 5 分間)、THF (3 x 10 分間)、MeOH (1 x 5 分間)、DCM (3 x 10 分間)及びEt2O (1 x 10 分間)で順次洗浄した。樹脂を真空下で乾燥して表題化合物が得られ、それが次のステップで直接に用いられた。
【0162】
ステップd) 式(III-1)の樹脂結合第二級アミン(スキーム5、方法Lを参照のこと)、例えば樹脂結合5-[(ベンジルアミノ)メチル]-N-ドデシルチオフェン-2-スルホンアミド、の形成
樹脂結合5-(アミノメチル)-N-ドデシルチオフェン-2-スルホンアミド(ステップc)で記載、0.0426 mmol)をTHF/TMOF 90/10 (10 mL)中で室温において15 分間膨潤させた。ベンズアルデヒド(45 mg, 0.426 mmol)を加え、混合物を室温で14 時間振とうした。樹脂を無水THF中の10% THFで洗浄し(2 x 15 分間, 次いで2 x 60 分間)、次に無水THF(1 x 30 分間)で洗浄した。樹脂を次に無水THF(1.0 mL)に注いだ。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(30 mg, 0.140 mmol)と酢酸(9μL)を加え、混合物を室温で14 時間振とうした。樹脂を、THF (1 x 15 分間)、MeOH (1 x 15 分間)、MeOH (3 x 10 分間)、DMF (3 x 10 分間)、MeOH (1 x 5 分間)、THF (3 x 10 分間)、MeOH (1 x 5 分間)、DCM (3 x 10 分間)、及びEt2O (1 x 10 分間)で順次洗浄した。樹脂を真空下で乾燥して表題化合物が得られ、それが次のステップで直接に用いられた。
【0163】
ステップe) 式(I-1)の樹脂結合オキサミック・エステル(スキーム1を参照のこと)、例えば、樹脂結合エチル[ベンジル({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]チエン-2-イル}メチル)アミノ]-(オキソ)酢酸塩、の形成
樹脂結合5-[(アミノ)メチル]-N-ドデシルチオフェン-2-スルホンアミド(ステップd)で記載、0.0426 mmol)をDCM (1.0 mL)中で0℃において15 分間膨潤させた。DIEA (28 mg, 0.213 mmol)とクロロオキソ酢酸エチルエステル(29 mg,0.213 mmol)の溶液を加え、反応混合物を室温で4 時間振とうした。樹脂を、THF (1 x 15 分間)、MeOH (1 x 15 分間)、MeOH (3 x 10 分間)、DMF (3 x 10 分間)、MeOH (1 x 5 分間)、THF (3 x 10 分間)、MeOH (1 x 5 分間)、DCM (3 x 10 分間)、及びEt2O (1 x 10 分間)で順次洗浄した。樹脂を真空下で乾燥して表題化合物が得られ、それが次のステップで直接に用いられた。
【0164】
ステップf) 式(I-1)の樹脂結合チエニル(スキーム1を参照のこと)、例えば樹脂結合[ベンジル({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)アミノ](オキソ)酢酸の形成
樹脂結合エチル[ベンジル({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]チエン-2-イル}メチル)アミノ]-(オキソ)酢酸塩(ステップe)に記載、0.0426 mmol)をTHF/H2O 80/20 (0.5 mL)中で室温において15 分間膨潤させた。THF/H2O 80/20 (0.8 mL)で希釈された水酸化リチウム一水和物(20 当量 38 mg, 0.9 mmol)を加え、反応混合物を室温で14 時間振とうした。樹脂を、THF (1 x 15 分間)、H2O (1 x 15 分間)、 MeOH (1 x 15 分間)、THF (1 x 15 分間)、MeOH (3 x 10 分間)、DMF (3 x 10 分間)、MeOH (1 x 5 分間)、THF (3 x 10 分間)、MeOH (1 x 5 分間)、DCM (3 x 10 分間)、及びEt2O (1 x 10 分間)で順次洗浄した。樹脂を真空下で乾燥して表題化合物が得られ、それが次のステップで直接に用いられた。
【0165】
ステップg) 式(I-1)の樹脂結合チエニルの開裂;式(I)のチエニル(スキーム1を参照のこと)、例えば[ベンジル({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)アミノ](オキソ)酢酸、の形成
樹脂結合[ベンジル({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)アミノ](オキソ)酢酸(ステップf)で記載、0.0426 mmol)がTFA/DCM 20/80 (2 mL)に室温で1 時間注がれた。樹脂を濾過し、溶媒を真空下で蒸発させて無色のオイルが得られた。粗生成物は逆相クロマトグラフィー(Parallel Flex)によって、30%のACN中の0.1%のTFA中のH2O中の0.1%のTFAから100%のACN中の0.1%のTFAまでの勾配に10 分間、続いてACNで溶出して(4 分間)精製された。集められた分画を凍結乾燥して表題化合物(2)が白色ガム(20 mg)として得られた。M- (LC/MS(ESI)): 521.2; M+(LC/MS(ESI)): 523.0. HPLC (条件 A), Rt: 6.17 分 (HPLC 純度: 86.2 %)。
【0166】
実施例3:[シクロペンチル({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)アミノ](オキソ) 酢酸(3)
【化19】

【0167】
ステップa) 樹脂結合5-[(シクロペンチルアミノ)メチル]-N-ドデシルチオフェン-2-スルホンアミドの形成
樹脂結合5-(アミノメチル)-N-ドデシルチオフェン-2-スルホンアミド(実施例2,ステップc)、0.23 mmol)をDMF中1%IIAc混合物で室温において15 分間膨潤させた。シクロペンタノン(97 mg, 1.15 mmol)とナトリウム・シアノボロヒドリド(144 mg, 2.3 mmol)を加え、室温において14 時間振とうした。樹脂を、DMF (1 x 15 分間)、MeOH (1 x 15 分間)、THF (1 x 15 分間)、MeOH (3 x 10 分間)、DMF (3 x 10 分間)、MeOH (1 x 5 分間)、THF (3 x 10 分間)、MeOH (1 x 5 分間)、DCM (3 x 10 分間)、及びEt2O (1 x 10 分間)で順次洗浄した。樹脂を真空下で乾燥して表題化合物が得られ、それが直接、次のステップで用いられた。
【0168】
ステップb) 樹脂結合エチル[シクロペンチル({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]チエン-2-イル}メチル)アミノ](オキソ)酢酸塩の形成
実施例2,ステップe)の調製で用いたのと同じ手順で、ただし樹脂結合5-[(シクロペンチルアミノ)メチル]-N-ドデシルチオフェン-2-スルホンアミドを用いて表題の化合物が得られ、それが直接次のステップで用いられた。
【0169】
ステップc) 樹脂結合エチル[シクロペンチル({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]チエン-2-イル}メチル)アミノ](オキソ)酢酸塩の開裂;エチル[シクロペンチル({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]チエン-2-イル}メチル)アミノ](オキソ)酢酸塩の形成
実施例2,ステップg)の調製で用いたのと同じ手順で、ただし樹脂結合エチル[シクロペンチル({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]チエン-2-イル}メチル)アミノ](オキソ)酢酸塩(ステップb)で得られたもの)を用いて、黄色のオイルが得られた。この粗生成物をシリカゲル上のカラム・クロマトグラフィーによって精製して表題の化合物(11 mg, 10%)を得た。M-(LC/MS (ESI)): 527.2; M+(LC/MS (ESI)): 529.4 HPLC (条件A), Rt: 6.94 分 (HPLC 純度: 91.0%).
【0170】
ステップd) [シクロペンチル({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル] -2-チエニル}メチル)アミノ](オキソ)酢酸の形成
実施例1,ステップg)の調製で用いたのと同じ手順で、ただし[シクロペンチル({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]チエン-2-イル}メチル)アミノ](オキソ)酢酸塩を用いて、表題の化合物(3)が無色の発泡体(foam)(96%)として得られた。1H NMR (CD3OD, 300MHz) δ7.25 (m, 1H), 7.0 (m, 1H), 4.64 (s, 1H), 4.30 (m, 1H), 2.76 (t, 2H, J=7.3Hz), 1.81 (m, 2H), 1.79-1.41 (m, 8H), 1.29 (m, 19H), 0.91 (t, 3H, J=6.8 Hz). M-(LC/MS (ESI)): 499.2; M+(LC/MS (ESI)): 501.2. HPLC (条件A), Rt: 6.09 分 (HPLC 純度: 78.7%).
【0171】
実施例4:(({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル){3-[ヒドロキシ(オキシド)アミノ]ベンジル}アミノ)(オキソ)酢酸(4)
【化20】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)でドデシルアミンを用い、ステップd)で3-ニトロベンズアルデヒドを用いて表題化合物(4)がオレンジ色のオイルとして得られた(29 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 566.3; M+(LC/MS (ESI)): 568.2. HPLC (条件A), Rt: 6.23 分 (HPLC 純度: 61.7%).
【0172】
実施例5:[({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)(4-メトキシベンジル)アミノ]-(オキソ)酢酸(5)
【化21】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)でドデシルアミンを用い、ステップd)でp-アニスアルデヒドを用いて表題の化合物(5)が黄色のオイルとして得られた(27 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 551.2; M+(LC/MS (ESI)): 553.4. HPLC (条件A), Rt: 6.26 分 (HPLC 純度: 73.3%).
【0173】
実施例6:[({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)(2-フルオロベンジル)アミノ](オキソ)酢酸(6)
【化22】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)でドデシルアミンを用い、ステップd)で2-フルオロベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(6)が黄色の固体として得られた(28 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 539.1; M+(LC/MS (ESI)): 541.2. HPLC (条件A), Rt: 6.33 分 (HPLC 純度: 70%).
【0174】
実施例7:{({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)[4-(メチルスルホニル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸(7)
【化23】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)でドデシルアミンを用い、ステップd)で4-(メチルスルホニル)ベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(7)が黄色のオイルとして得られた(36 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 599.2; M+(LC/MS (ESI)): 601.3. HPLC (条件A), Rt: 5.81 分 (HPLC 純度: 69.4%)
【0175】
実施例8:[({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)(4-フェノキシベンジル)アミノ](オキソ)酢酸(8)
【化24】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)でドデシルアミンを用い、ステップd)で4-フェノキシベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(8)が黄色のオイルとして得られた(33 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 613.2; M+(LC/MS (ESI)): 615.0. HPLC (条件A), Rt: 6.78 分 (HPLC 純度: 68.5%)
【0176】
実施例9:4-{[(カルボキシカルボニル)({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)-アミノ]メチル}安息香酸(9)
【化25】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)でドデシルアミンを用い、ステップd)でメチル-4-フォルミルベンゾエートを用いて表題の化合物(9)が黄色のオイルとして得られた(5 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 565.3; M+(LC/MS (ESI)): 567.3. HPLC (条件A), Rt: 5.43 分 (HPLC 純度: 99.9%)
【0177】
実施例10:(({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル){[6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジニル]メチル}アミノ](オキソ)酢酸(10)
【化26】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)でドデシルアミンを用い、ステップd)で6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-カルボキシアルデヒドを用いて表題の化合物(10)がオレンジ色のオイルとして得られた(30 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 590.3; M+(LC/MS (ESI)): 592.2. HPLC (条件A), Rt: 6.25 分 (HPLC 純度: 61.7%)
【0178】
実施例11:{({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸(11)
【化27】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)でドデシルアミンを用い、ステップd)で3-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(11)が黄色のオイルとして得られた(19 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 589.3; M+(LC/MS (ESI)): 591.3. HPLC (条件A), Rt: 6.43 分 (HPLC 純度: 81.5%)
【0179】
実施例12:[(3-クロロベンジル)({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)アミノ](オキソ)酢酸(12)
【化28】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)でドデシルアミンを用い、ステップd)で3-クロロベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(12)が黄色のオイルとして得られた(21 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 556; M+(LC/MS (ESI)): 558. HPLC (条件A), Rt: 6.32 分 (HPLC 純度: 81.9%)
【0180】
実施例13:{[(5-{[(3,3-ジフェニルプロピル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル][3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸(13)
【化29】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)で3,3-ジフェニルプロピルアミンを用い、ステップd)で3-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(13)が黄色のオイルとして得られた(17 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 615.3; M+(LC/MS (ESI)): 617.3. HPLC (条件A), Rt: 5.12 分 (HPLC 純度: 75.7%)
【0181】
実施例14:{(3-クロロベンジル)[(5-{[(3,3-ジフェニルプロピル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル]アミノ}(オキソ)酢酸(14)
【化30】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)で3,3-ジフェニルプロピルアミンを用い、ステップd)で3-クロロベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(14)が黄色のオイルとして得られた(15 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 582.5; M+(LC/MS (ESI)): 585.1. HPLC (条件A), Rt: 5.01 分 (HPLC 純度: 72.1%)
【0182】
実施例15:オキソ{{[5-({[2-(4-フェノキシフェニル)エチル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル}[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ](オキソ)酢酸(15)
【化31】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)で4-フェノキシフェネチルアミンを用い、ステップd)で3-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(15)が黄色のオイルとして得られた(22 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 617.0; M+(LC/MS (ESI)): 619.0. HPLC (条件A), Rt: 5.15 分 (HPLC 純度: 77.1%)
【0183】
実施例16:((3-クロロベンジル){[5-({[2-(4-フェノキシフェニル)エチル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸(17)
【化32】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)で4-フェノキシフェネチルアミンを用い、ステップd)で3-クロロベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(16)が黄色のオイルとして得られた(20 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 584; M+(LC/MS (ESI)): 586. HPLC (条件A), Rt: 5.0 分 (HPLC 純度: 79%)
【0184】
実施例17:{[(5-{[(2-[1,1’-ビフェニル]-4-イルエチル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ](オキソ)酢酸(17)
【化33】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)で2-(4-ビフェニル)エチルアミンを用い、ステップd)で3-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(17)が黄色のオイルとして得られた(20 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 601.2; M+(LC/MS (ESI)): 603.0. HPLC (条件A), Rt: 5.13 分 (HPLC 純度: 71.4%)
【0185】
実施例18:{({5-[(ヘキシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ](オキソ)酢酸の形成(18)
【化34】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)でヘキシルアミンを用い、ステップd)で3-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(18)が黄色のオイルとして得られた(17 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 505.1; M+(LC/MS (ESI)): 507. HPLC (条件A), Rt: 4.9 分 (HPLC 純度: 81.8%)
【0186】
実施例19:[(5-{[(2-ビフェニル-4-イルエチル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸の形成(19)
【化35】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)で2-ビフェニル-4-イルエチルアミンを用い、ステップd)でピリジン-4-カルブアルデヒドを用いて表題の化合物(19)が黄色の固体として得られた(1 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 534; M+(LC/MS (ESI)): 536.2. HPLC (条件A), Rt: 3.3 分 (HPLC 純度: 95.5%)
【0187】
実施例20:4-({[5-({(カルボキシカルボニル)[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}メチル) -2-チエニル]スルホニル}アミノ]ブタン酸の形成(20)
【化36】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)で4-アミノ酪酸t-ブチルエステルを用い、ステップd)で3-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(20)が黄色のオイルとして得られた(20 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 507; M+(LC/MS (ESI)): 509.1 HPLC (条件A), Rt: 3.24 分 (HPLC 純度: 77.1%)
【0188】
実施例21:4-({[5-({(カルボキシカルボニル)[3-クロロベンジル]アミノ}メチル) -2-チエニル]スルホニル}アミノ]ブタン酸の形成(21)
【化37】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)で4-アミノ酪酸t-ブチルエステルを用い、ステップd)で3-クロロ-ベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(21)が黄色のオイルとして得られた(14 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 473; M+(LC/MS (ESI)): 475. HPLC (条件A), Rt: 2.95 分 (HPLC 純度: 74.5%)
【0189】
実施例22:{{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル}-2-チエニル)-2-チエニル]メチル}[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸の形成(22)
【化38】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)で2-(4-クロロフェニル)-プロピルアミンを用い、ステップd)で3-トリフルオロメチル-ベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(22)が黄色のオイルとして得られた(18 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 573; M+(LC/MS (ESI)): 575. HPLC (条件A), Rt: 4.96 分 (HPLC 純度: 80.3%)
【0190】
実施例23:{{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル}-2-チエニル]メチル}(ピリジン-4-イルメチル)アミノ}(オキソ)酢酸の形成(23)
【化39】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)で2-(4-クロロフェニル)-プロピルアミンを用い、ステップd)でピリジン-4-カルブアルデヒドを用いて表題の化合物が黄色の粉末として得られた(1 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 506; M+(LC/MS (ESI)): 508. HPLC (条件A), Rt: 2.97 分 (HPLC 純度: 78.8%)
【0191】
実施例24:((3-クロロベンジル){[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル}-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸の形成(24)
【化40】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)で2-(4-クロロフェニル)-プロピルアミンを用い、ステップd)で3-クロロ-ベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(24)が黄色のオイルとして得られた(14 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 538.9 ; M+(LC/MS (ESI)): 540. HPLC (条件A), Rt: 4.85 分 (HPLC 純度: 77.9%)
【0192】
実施例25: {[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル]メチル}[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ)(オキソ)酢酸の形成(25)
【化41】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)で2-エチルヘキシルアミンを用い、ステップd)で3-トリフルオロメチル-ベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(25)が黄色のオイルとして得られた(7 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 533.2; M+(LC/MS (ESI)): 535.3. HPLC (条件A), Rt: 5.37 分 (HPLC 純度: 98%)
【0193】
実施例26:[[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸の形成(26)
【化42】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)で2-エチルヘキシルアミンを用い、ステップd)でピリジン-4-カルブアルデヒドを用いて表題の化合物(26)が黄色の粉末として得られた(2 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 466.1; M+(LC/MS (ESI)): 468.5. HPLC (条件A), Rt: 3.18 分 (HPLC 純度: 67%)
【0194】
実施例27:{(3-クロロベンジル)[5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル] アミノ](オキソ)酢酸の形成(27)
【化43】

実施例2の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)で2-エチルヘキシルアミンを用い、ステップd)で3-クロロベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(27)が黄色のオイルとして得られた(17 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 499.1; M+(LC/MS (ESI)): 501. HPLC (条件A), Rt: 5.21 分 (HPLC 純度: 82%)
【0195】
実施例28:((3-クロロベンジル){[5-({[5-(ジメチルアミノ)-1-ナフチル]スルホニル}アミノ)エチル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル)メチル] アミノ](オキソ)酢酸の形成(28)
【化44】

実施例1の調製で用いたのと同じ手順で、ステップa)でダンシルエチレンジアミンを用い、ステップe)で3-クロロベンズアルデヒドを用いて表題の化合物(28)の塩酸塩が黄色の粉末として得られた(15 mg)。M-(LC/MS (ESI)): 665.5; M+(LC/MS (ESI)): 663.0. HPLC (条件A), Rt: 2.83 分 (HPLC 純度: 95.8%)
【0196】
実施例29:生物的分析
本発明の化合物について次のような分析を行うことができる:
【0197】
a) in vitro試験:
本発明の化合物の阻害活性は、本発明の化合物の最小阻害濃度(MIC)を測定することによって評価できる。MIC50値は、National Committee on Clinical Laboratory Standards (NCCLS)ガイドラインに従って、マイコバクテリウム・ツバキュロシス(Mycobacterium tuberculosis) H37Rvに対して10%マウス血清の存在する状態及び存在しない状態で決定できる。
【0198】
本発明の化合物は次のような酵素分析で試験された:5μlの希釈された化合物又はビヒクル(100% DMSO)を96ウエル・プレートに分配した。55μlのDiFMUP(72.7μMにMPTPB緩衝剤(20 mM Bis Tris HCl pH 6.6, 0.1% Brij 35, 1 mM DL-Dithiothreitol)で希釈)が加えられ、続いて40μlの組み換えMPTPB酵素(50 ng/ml)(MPTPB緩衝剤で希釈)が加えられて反応がスタートした。室温で45分間インキュベートした後、蛍光強度がPerkin-Elmer Fusion蛍光分光計で測定された(355 nmで励起、460 nmで放出、0.2 s)。
【0199】
本発明の化合物の阻害活性の例は下の表1に示されている。
【表2】

【0200】
b) 動物モデル
モルモットは、ずっと前から用いられているように、M. ツバキュロシス(M. tuberculosis)負荷と活性の評価に用いることができる(O’Grady et al., 1963, Adv. Tuberc. Res., 12, 150-190)。しかし、現在では、抗ツバキュロシス(tuberculosis)効果の研究には、Lecoeur et al., 1989, Clin. Exp. Immunol., 76, 458-462に記載されているようなマウス・モデルの方が多く用いられる。
【0201】
c) その他の試験
M. ツバキュロシス(M. tuberculosis)の増殖を観測するためのその他の試験を用いることができる。例えば、Middlebrook et al., 1977, Ann. Rev. Respir. Dis., 115, 1066-1069に記載されているようなBACTEC460システムにおける放射性二酸化炭素の産生の観測、あるいは、Pfyffer et al., 1997, J. Clin. Microbiol., 35, 364-368に記載されているようなマイコバクテリウム(Mycobacterium)増殖インジケーターチューブにおける酸素の観測などである。M. ツバキュロシス(M. tuberculosis)の増殖は、また、特異的に設計されたウイルスによってM. ツバキュロシス(M. tuberculosis)の中に導入されたLuciferase酵素の生物発光をモニターすることによっても観測できる(Hickey et al., 1996, Antimicrob. Agents Chemother., 32, 400-407)。
【0202】
実施例30:医薬製剤の調製
調合物1−錠剤
式(I)の化合物を乾燥粉末として乾燥ゼラチン結合剤とほぼ1:2の重量比で混合する。少量のステアリン酸マグネシウムを潤滑剤として加える。混合物を240-270 mgの錠剤に錠剤プレスで成形する(錠剤あたり80-90 mgの活性スルホンアミド化合物)。
【0203】
調合物2−カプセル
式(I)の化合物を乾燥粉末としてスターチ希釈剤とほぼ1:1の重量比で混合する。この混合物を250 mgカプセルに充填する(カプセルあたり125 mgの活性スルホンアミド化合物)。
【0204】
調合物3−液体
式(I)の化合物(1250 mg)、スクロース(1.75 g)、及びキサンタン・ガム(4 mg)を混合し、No. 10メッシュU.S.篩を通し、前に調製しておいた微結晶セルロースとナトリウム・カルボキシメチル・セルロース(11:89, 50 mg)の水溶液と混合する。安息香酸ナトリウム(10 mg)、香料、及び着色料を水で薄めて攪拌しながら加える。その後十分な水を加えて全体積を5 mlにする。
【0205】
調合物4−錠剤
式(I)の化合物を乾燥粉末として乾燥ゼラチン結合剤とほぼ1:2の重量比で混合する。少量のステアリン酸マグネシウムを潤滑剤として加える。混合物を450-900 mgの錠剤に錠剤プレスで成形する(錠剤あたり150-300 mgの活性スルホンアミド化合物)。
【0206】
調合物5−注射液
式(I)の化合物を緩衝された注射可能な無菌塩水媒体にほぼ5 mg/mlの濃度に溶解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のスルホンアミド誘導体
【化1】

(式中、G1は、-CR6R7-、-O-、-S-、及び-N(R8)から選択される;
R1は、H、C1-C6アルキル、C7-C12アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アリールC1-C6アルキル、ヘテロアリールC1-C6アルキル、C3-C8-シクロアルキルC1-C6-アルキル及びヘテロアリールC1-C6アルキルから選択される;
R2は、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、及びC3-C8-シクロアルキルから選択される;
R3とR4は、独立に、H、C1-C6アルキル、及びハロゲンから選択される;
R5は、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、 C2-C6アルキニル、及びC3-C8-シクロアルキルから選択される;
R6、R7、及びR8は、独立に、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、及びC2-C6アルキニルから選択される;
Cyは、アリール、ヘテロアリール、C3-C8-シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキルから選択される;
mとnは、独立に、0, 1, 2, 3, 及び4から選択される整数である)
並びに、その幾何異性体、光学活性形態、例えば、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びそのラセミ形態、並びに結核などの細菌感染症の治療のための医薬製剤を調製するのに医薬的に許容されるそれらの塩の使用。
【請求項2】
G1が-S-である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
R1がC1-C6アルキル、C7-C12アルキル、C2-C6アルケニル、及びC2-C6アルキニルから選択される、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
R1が任意に置換されるアリールC1-C6アルキル、任意に置換されるヘテロアリールC1-C6アルキルから選択される、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項5】
R2がHである、請求項1乃至4に記載の使用。
【請求項6】
R3がHである、請求項1乃至5に記載の使用。
【請求項7】
R4がHである、請求項1乃至6に記載の使用。
【請求項8】
R5がHである、請求項1乃至7に記載の使用。
【請求項9】
R6がHである、請求項1乃至8に記載の使用。
【請求項10】
R7がHである、請求項1乃至9に記載の使用。
【請求項11】
mが0である、請求項1乃至10に記載の使用。
【請求項12】
mが1である、請求項1乃至11に記載の使用。
【請求項13】
nが1である、請求項1乃至12に記載の使用。
【請求項14】
R2、R3、R4、R5、及びR6及びR7がHであり;mが0と1から選択され;nが1であり;G1が-S-であり;R1とCyが請求項1乃至13に記載されているものである、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
式(I)の化合物が以下から成る群から選択される、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の使用:
{({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)[4-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
[ベンジル({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)アミノ](オキソ)酢酸;
[シクロペンチル({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)アミノ](オキソ)酢酸;
[({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)(3-ニトロベンジル)アミノ](オキソ)酢酸;
[({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)(4-メトキシベンジル)アミノ](オキソ)酢酸;
[({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)(2-フルオロベンジル)アミノ](オキソ)酢酸;
{({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)(4-(メチルスルホニル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
[({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)(4-フェノキシベンジル)アミノ](オキソ)酢酸;
4-{[(カルボキシカルボニル)({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)アミノ]メチル}安息香酸;
(({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル){[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸;
{({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
[(3-クロロベンジル)({5-[(ドデシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)アミノ](オキソ)酢酸;
{[(5-{[(3,3-ジフェニルプロピル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル}メチル)][3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
{(3-クロロベンジル)[(5-{[(3,3-ジフェニルプロピル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル]アミノ}(オキソ)酢酸;
オキソ{{[5-({[2-(4-フェノキシフェニル)エチル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}酢酸;
((3-クロロベンジル){[5-({[2-(4-フェノキシフェニル)エチル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸;
{[(5-{[(2-ビフェニル-4-イルエチル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル][3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
{({5-[(ヘキシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
{({5-[(ヘキシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
[[(5-{[(2-ビフェニル-4-イルエチル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸;
4-({[5-({(カルボキシカルボニル)[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}メチル)-2-チエニル]スルホニル}アミノ)ブタン酸;
4-({[5-({(カルボキシカルボニル)[3-クロロベンジル]アミノ}メチル)-2-チエニル]スルホニル}アミノ)ブタン酸;
{{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
{{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}(ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸;
((3-クロロベンジル){[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸;
{[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル][3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
{[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ}(オキソ)酢酸;
{(3-クロロベンジル)[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル]アミノ}(オキソ)酢酸;
((3-クロロベンジル){[5-({[2-({[5-(ジメチルアミノ)-1-ナフチル]スルホニル}アミノ)エチル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸。
【請求項16】
マイコバクテリウム・ツバキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)タンパク質チロシンホスファターゼ (MPTP)の活性又は機能を修飾する医薬製剤の調製のための式(I)の化合物の使用。
【請求項17】
マイコバクテリウム・ツバキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)タンパク質チロシンホスファターゼ (MPTP) に関連した疾病や病気の予防及び/又は治療のための医薬製剤の調製のための請求項16に記載の使用。
【請求項18】
該マイコバクテリウム・ツバキュロシス(Mycobacterium tuberculosis) タンパク質チロシンホスファターゼがMPTPBである、請求項16又は17に記載の使用。
【請求項19】
以下の群から選択される式(I)の化合物:
[[(5-{[(2-ビフェニル-4-イルエチル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸;
4-({[5-({(カルボキシカルボニル)[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}メチル)-2-チエニル]スルホニル}アミノ)ブタン酸;
4-{[(5-{[(カルボキシカルボニル)[3-クロロベンジル]アミノ]メチル}-2-チエニル)スルホニル]アミノ}ブタン酸;
{{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
[{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}(ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸;
((3-クロロベンジル){[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸;
{[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル][3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
{[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ}(オキソ)酢酸;
{(3-クロロベンジル)[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル]アミノ}(オキソ)酢酸;
((3-クロロベンジル){[5-({[2-({[5-(ジメチルアミノ)-1-ナフチル]スルホニル}アミノ)エチル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸。
【請求項20】
式(I)の化合物が以下の群から選択される、医薬として用いるための式(I)の化合物:
[[(5-{[(2-ビフェニル-4-イルエチル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸;
4-({[5-({(カルボキシカルボニル)[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}メチル)-2-チエニル]スルホニル}アミノ)ブタン酸;
4-{[(5-{[(カルボキシカルボニル)[3-クロロベンジル]アミノ]メチル}-2-チエニル)スルホニル]アミノ}ブタン酸;
{{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
[{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}(ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸;
((3-クロロベンジル){[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸;
{[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル][3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸;
{[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ}(オキソ)酢酸;
{(3-クロロベンジル)[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル]アミノ}(オキソ)酢酸;
((3-クロロベンジル){[5-({[2-({[5-(ジメチルアミノ)-1-ナフチル]スルホニル}アミノ)エチル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸。
【請求項21】
請求項19に記載の化合物及び医薬的に許容されるその担体、希釈剤、又は賦型剤を含む医薬組成物。
【請求項22】
式(II)のアミンを式LG2-CO-CO-R2のカルボン酸誘導体と反応させる以下のステップ:
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、m、nは1であり、G1とCyは請求項1乃至21に記載されるものであり、LG2はCl、N-ヒドロキシコハク酸イミド、及びベンゾトリアゾール-1-イルから選択される脱離基である)
を含む請求項19に記載の化合物を調製するための方法。
【請求項23】
以下の群から選択される式(II)の誘導体:
エチル{({5-[(ヘキシルアミノ)スルホニル]-2-チエニル}メチル)[3(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸塩;
エチル[[(5-{[(2-ビフェニル-4-イルエチル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸塩;
4-({[5-({[エトキシ(オキソ)アセチル][3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}メチル)-2-チエニル]スルホニル}アミノ)ブタン酸;
4-({[5-({(3-クロロベンジル)[エトキシ(オキソ)アセチル]アミノ}メチル)-2-チエニル]スルホニル}アミノ)ブタン酸;
エチル{{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}[3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸塩;
エチル[{[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}(ピリジン-4-イルメチル)アミノ](オキソ)酢酸塩;
エチル((3-クロロベンジル){[5-({[2-(4-クロロフェニル)プロピル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸塩;
エチル{[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル][3-(トリフルオロメチル)ベンジル]アミノ}(オキソ)酢酸塩;
エチル{[(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル](ピリジン-4-イルメチル)アミノ}(オキソ)酢酸塩;
エチル{(3-クロロベンジル) [(5-{[(2-エチルヘキシル)アミノ]スルホニル}-2-チエニル)メチル]アミノ}(オキソ)酢酸塩;
エチル{(3-クロロベンジル) {[5-({[2-({[5-(ジメチルアミノ)-1-ナフチル]スルホニル}アミノ)エチル]アミノ}スルホニル)-2-チエニル]メチル}アミノ)(オキソ)酢酸塩。

【公表番号】特表2009−526773(P2009−526773A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553769(P2008−553769)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051242
【国際公開番号】WO2007/093557
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(507348713)ラボラトワール セローノ ソシエテ アノニム (29)
【Fターム(参考)】